HS2022 第50類:絹及び絹織物(Silk)

※用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 繰糸に適する繭(5001)
    • 生糸(よってないもの)(5002)
    • 絹のくず(繰糸に適しない繭、糸くず、反毛した繊維、ノイル等)(5003)
    • 絹糸(フィラメント系:生糸をよった・合糸したもの等、ただし小売用を除く)(5004)
    • 絹紡糸(絹くずを紡績した糸、ただし小売用を除く)(5005)
    • 絹織物(反物状の織物。号は「ノイル織物」「85%以上」「その他」に分かれる)(5007)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 「製品にしたもの」(スカーフ等の縫製済み・縁縫い済み、形状裁断済みなど)→第61〜63類等へ(部注の定義でChapter 50の対象外)
    • 絹糸でも太さ(線密度)が一定以上で「ひも・綱等」扱いになるもの → 第56類 56.07(部注)
    • 殺菌した天然てぐす → 30.06、釣針付き・釣糸として製品化 → 95.07、模造カットガット → 56.04(関税率表解説上の典型除外)
    • 絹織物のぼろ(ウエス等) → 第63類(関税率表解説)
    • 「シルク風」でも実態がポリエステル等の化学繊維 → 第54/55類など(材質で決まる:表示名に注意)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 何の段階か(繭→生糸→くず→糸→織物→“製品”)
    2. 糸は“小売用にしたもの”か(5004/5005 vs 5006)
    3. 織物は ノイルか/85%以上か/その他か(5007.10/20/90)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • FTA/EPAのPSR(品目別規則)適用で、最終品HSがズレて原産性判断が崩れる(特に糸・織物は材料HSも絡む)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+注で決める):第50類は見出し(繭・生糸・絹くず・糸・織物)と第11部注(混用、製品、糸の小売用等)の影響が大きいです。
    • GIR6(6桁内の選択):特に5007は6桁号が3つ(5007.10/20/90)に分かれ、重量割合(85%)やノイルの有無で分岐します。
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 材質(本当に絹か):表示や商習慣名(“シルク調”)ではなく、繊維組成で判断します(混用は重量優先ルール)。
    • 状態(繊維→糸→織物→製品):反物か、縫製・裁断済みかで章が変わります(“製品にしたもの”はChapter 50から外れる)。
    • 包装・販売形態(糸):同じ糸でも“小売用”か否かで 5004/5005 と 5006 が分かれます。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:その貨物は「絹(silk)」由来の原料/糸/織物ですか?(組成・試験表・仕様書で確認)
  • Step2:形態はどれですか?
    • 繭 → Step3へ
    • 生糸(よってない) → 5002へ
    • 絹くず(未紡績) → 5003へ
    • 糸(フィラメント/紡績糸) → Step4へ
    • 織物(反物状) → Step5へ
    • “製品”(縁縫い、形状裁断、縫製、セット等) → Chapter 50ではなく第61〜63類等をまず疑う
  • Step3(繭):繰糸に適するか?
    • 適する → 5001
    • 適さない(穴あき・汚損・損傷等)→ 5003(絹のくず)
  • Step4(糸):どちらの糸ですか?
    • 生糸由来の絹糸(フィラメント系)→ 5004
    • 絹くず由来の紡績糸(絹紡糸・絹紡紬糸等)→ 5005
      そのうえで 小売用にしたもの なら 5006(絹糸/絹紡糸)へ。
  • Step5(織物):5007の中で分岐
    • ノイル絹の織物 → 5007.10
    • その他で、絹(または絹くず(ノイル除く))が重量85%以上 → 5007.20
    • その他 → 5007.90
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第50類(反物) vs 第61〜63類(製品):縁縫い済みスカーフ等は“製品”扱いになりやすい
    • 第50類の糸 vs 第56類 56.07(ひも・綱):線密度(デシテックス)で飛ぶ
    • 絹混用 vs 他繊維章:重量優先+同率なら“後順位”の章へ(部注)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
5001繭(繰糸に適するもの)繰糸用の蚕繭「繰糸に適する」かが最大分岐。不可なら5003へ
5002生糸(よってない)生糸(かせ、ボビン等)“わずかなより”が生じ得るが、ねん糸(5004)と混同注意
5003絹のくず繰糸に不適な繭、フロス、ノイル、反毛繊維まだ「糸」になっていない段階。ぼろ(63類)、フロック等(56.01)などは除外
5004絹糸(絹くず紡績糸・小売用を除く)オーガンヂー糸、トラム糸、クレープツイスト等小売用(5006)と、線密度が大きい“ひも・綱”(56.07)を除外
5005絹紡糸・絹紡紬糸(小売用を除く)絹くず(ノイル等)を紡績した糸小売用(5006)と“ひも・綱”(56.07)除外。短繊維紡績が前提
5006小売用にした絹糸/絹紡糸+天然てぐす手芸用の絹糸(小巻)、天然てぐす「小売用」の定義(重量・形態・例外)に注意。殺菌てぐす(30.06)・釣糸製品(95.07)等は除外
5007絹又は絹くずの織物羽二重、シャンタン、ちりめん、透け織物等反物状の織物が前提。6桁でノイル/85%以上/その他に分岐

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で出やすい軸)
    • 品質/適性:繭が「繰糸に適する」か(5001 vs 5003)
    • ねん糸か否か:生糸(よってない)か、ねん糸か(5002 vs 5004)
    • 原料(フィラメント/短繊維):生糸由来の絹糸(5004)か、絹くず由来の紡績糸(5005)
    • 小売用の形態:5004/5005 か 5006 か(部注の“小売用にしたもの”定義)
    • 織物の内訳:ノイル織物/85%以上/その他(5007.10/20/90)
    • 線密度(デシテックス):一定以上で“ひも・綱”扱い→第56類へ(特に絹は20,000デシテックス超が目安)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    • 5001.00(繰糸用繭) vs 5003.00(絹のくず)
      • どこで分かれるか:繰糸して生糸にできる品質かどうか
      • 判断に必要な情報:仕入仕様(A品/B品)、欠点(穴・汚れ・損傷)、用途(繰糸/紡績原料)
      • 典型的な誤り:「繭=5001」と決め打ちし、実態は繰糸不可で5003
    • 5002.00(生糸・無ねん) vs 5004.00(絹糸・ねん糸等)
      • どこで分かれるか:「よってない」か、ねん糸工程を経た糸か
      • 判断に必要な情報:製造工程、より数、用途(織物のたて糸等)
      • 典型的な誤り:生糸に“わずかなより”があることを根拠に5004へ寄せる(生糸の範囲を要確認)
    • 5004.00/5005.00(小売用でない糸) vs 5006.00(小売用糸)
      • どこで分かれるか:包装形態・重量などが「小売用にしたもの」の条件に合うか
      • 判断に必要な情報:1個当たり重量(支持体含む)、形態(ボール/かせ/カード/工業用コップ等)、ラベル表示(手芸用等)
      • 典型的な誤り:工業用の大巻を5006にしてしまう/逆に手芸用小巻を5004にしてしまう
    • 5007.10(ノイル織物)/5007.20(85%以上)/5007.90(その他)
      • どこで分かれるか:①ノイル糸由来か、②絹(または絹くず(ノイル除く))が重量85%以上か
      • 判断に必要な情報:繊維組成(重量%)、糸種(ノイル糸か)、混用相手(綿/毛/化繊等)
      • 典型的な誤り:「絹が主だから5007.20」としてしまい、実際は85%未満で5007.90

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 混用繊維の扱い:第50〜55類等の混用品は、原則「重量が最大の繊維」とみなして分類(同率なら“後順位”の見出しへ)。
    • “小売用にしたもの”の定義(糸):支持体込み重量の上限(絹は85g等)、形態、例外が定義されています。5004/5005/5006の分岐に直結します。
    • 線密度が大きい糸の扱い(ひも・綱等):絹や絹くずの糸でも、一定のデシテックスを超えると“twine/cordage/ropes/cables”扱いになり得ます。
    • “製品にしたもの”の定義:裁断形状、縁縫い、縫製、完成品などは“製品”とされ、Chapter 50(反物・原料段階)から外れます。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:絹60%×綿40%の反物
      → 混用ルールで「絹が優勢」とみなして第50類(5007)へ。ただし85%未満なので 5007.90 が有力です(例外・詳細は要確認)。
    • 例:手芸用の絹糸(小巻・小玉)
      → 条件を満たすなら5006(小売用)になり、工業用の大巻(コップ等)なら5004/5005側になりやすいです。
    • 例:**スカーフ用の絹反物(未縫製)**は5007の範囲でも、縁縫い済みスカーフは“製品にしたもの”で別章へ飛びます。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 糸が太くて **56.07(ひも・綱等)**へ
    • 反物が 縁縫い・裁断・縫製されて第61〜63類等へ

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • HS2022の第50類は、条文上の独自の類注(Chapter Notes)が置かれていない構成で、実務上は「各項の見出し文言」と「第11部注」が主な根拠になります。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 法的定義は部注側が中心です。一方、日本税関の関税率表解説では、第50類の「絹」には家蚕由来に限らず野蚕等も含める旨の説明があります(実務の解釈補助)。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 類注ではなく、主に部注・見出し・解説で除外が整理されます(例:殺菌てぐす→30.06、釣糸製品→95.07 等)。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。
※第50類は独自類注がないため、実務上“同等に効く”第11部注(混用、小売用、製品、ひも・綱)を中心に整理します。

  • 影響ポイント1:「小売用にしたもの」かどうかで、5004/5005⇄5006が変わる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 1個当たり重量(支持体含む)
      • 形態(カード/リール/ボール/かせ/工業用コップ等)
      • 表示(手芸用、家庭用、工業用など)
    • 現場で集める証憑:
      • 製品写真(包装含む)、梱包仕様書、製品ラベル、単位重量表
    • 誤分類の典型:
      • “絹糸=5004”と一括して、手芸用小巻(本来5006)の可能性を落とす
  • 影響ポイント2:線密度(デシテックス)が大きい糸は、56.07へ飛び得る
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 線密度(dtex)・太さの仕様、用途(ロープ用途か)
    • 現場で集める証憑:
      • 技術仕様書、試験成績(線密度)、用途説明、カタログ
    • 誤分類の典型:
      • ロープ用途の太い絹コードを5004/5005/5006で申告してしまう
  • 影響ポイント3:“反物”と“製品”の差で、5007⇄61〜63類が変わる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 裁断形状(長方形以外か)、縁処理(縁縫い・房付け等)、縫製有無、完成品としての使用可能性
    • 現場で集める証憑:
      • 物品写真(端部アップ)、寸法図、加工工程表、サンプル
    • 誤分類の典型:
      • 縁縫い済みスカーフを「絹織物(反物)」として5007申告

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:絹スカーフ(縁縫い済み)を5007(絹織物)にしてしまう
    • なぜ起きる:素材が絹=第50類、という思い込み
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):縁縫い・完成状態は“製品にしたもの”に該当し、Chapter 50の対象外(部注)
    • 予防策:
      • 確認資料:端部の加工写真、縫製有無、販売形態(完成品か反物か)
      • 社内質問例:「これは反物として加工工程に回る?そのまま消費者が使う?」
  2. 間違い:手芸用の絹糸を5004/5005(小売用でない糸)で申告
    • なぜ起きる:糸の分類=原料(フィラメント/紡績)だけで決めてしまう
    • 正しい考え方:部注の“小売用にしたもの”定義で5006に移る可能性がある
    • 予防策:
      • 確認資料:1個重量、支持体形状、ラベル表示
      • 社内質問例:「この糸は工場で使う?それとも店頭で1個単位で売る?」
  3. 間違い:繰糸に不適な繭を5001(繰糸用繭)にしてしまう
    • なぜ起きる:「繭=5001」と短絡し、品質区分を確認していない
    • 正しい考え方:繰糸に適しない繭は絹くず(5003)側に整理される(解説で明確)
    • 予防策:
      • 確認資料:検品基準、用途(繰糸/紡績原料)、不良率・汚損情報
  4. 間違い:生糸(5002)と、ねん糸(5004)を混同
    • なぜ起きる:生糸にも工程上“わずかなより”が生じ得る点を誤解
    • 正しい考え方:5002は「よってない」が前提。ねん糸工程の有無で5004を検討(解説参照)
    • 予防策:
      • 確認資料:より数、工程図、製造方法の説明
  5. 間違い:ノイル絹の織物を5007.20(85%以上)に入れてしまう
    • なぜ起きる:“ノイル”という糸種を把握していない
    • 正しい考え方:5007.10が「ノイル織物」として独立している
    • 予防策:
      • 確認資料:使用糸の種類(ノイル糸か)、糸メーカー仕様
  6. 間違い:絹混用織物を、商習慣名(例:ウール混)だけで第51類へ
    • なぜ起きる:マーケ名称とHS分類を混同
    • 正しい考え方:第11部注の混用ルールは“重量優先”(同率なら後順位)
    • 予防策:
      • 確認資料:混率(重量%)の試験表、原糸仕様
      • 社内質問例:「重量%は?証明書はある?同率ではない?」
  7. 間違い:太い絹コードを5004等にしてしまい、56.07を見落とす
    • なぜ起きる:線密度(dtex)を確認していない
    • 正しい考え方:部注で、絹/絹くず糸が一定のdtex超で“ひも・綱等”扱いになり得る
    • 予防策:
      • 確認資料:dtexデータ、用途(ロープ用途か)、引張強度など
  8. 間違い:コーティング/ラミネートした絹織物を5007のまま申告
    • なぜ起きる:表地が絹なので“絹織物”と判断してしまう
    • 正しい考え方:含浸・被覆等により第59類やプラスチックの章へ移る可能性がある(部注の除外構造を踏まえ要検討)
    • 予防策:
      • 確認資料:断面写真、コーティング材質・厚み、機能説明(防水等)
  9. 間違い:殺菌済み天然てぐす(医療用)を5006にしてしまう
    • なぜ起きる:素材だけで判断し、“用途・状態(殺菌)”を見落とす
    • 正しい考え方:関税率表解説上、殺菌した天然てぐすは30.06へ除外される
    • 予防策:
      • 確認資料:医療用途表示、殺菌証明、包装(滅菌パック等)

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。糸・織物は「原料のHS」と「最終品のHS」の両方が原産性判断に絡みやすいです。
  • よくある落とし穴:
    • 最終品(例:絹織物5007)を誤って“製品”(第61〜63類)側にしてしまい、PSRが別物になる
    • 混用の重量%を誤認し、章自体がズレる(PSR以前にHSが崩れる)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 日本税関のPSR検索画面でも、協定ごとに採用HSバージョンが異なり、違う版で検索すると誤りが出得る旨が明示されています。
  • 例(代表):
    • RCEPは、品目別規則(PSR)がHS2022に置換され、2023-01-01から実施と案内されています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • ① 通関申告:原則「最新のHS(輸入国税関の現行)」
    • ② 原産地規則:協定が参照するHS版に合わせてPSRを当てる
    • ③ 版ズレがある場合:相関表(新旧対応)を使ってコード対応を確認し、**“最終的に適用するPSRはどれか”**を固定する

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 収集すべき基礎データ(例):
    • 材料表(BOM)、各材料の原産国、非原産材料のHS(可能なら6桁)、工程(紡績・製織・染色等)、原価情報(RVCがある場合)
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 工程証憑(工程表、外注加工証明)、仕入書類、試験成績(混率)、製造記録を整備しておくと、事後検証に強くなります。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(少なくとも第50類の見出し/号は同一)5001〜5007(含む5007.10/20/90)第50類の構成(繭・生糸・絹くず・糸・織物、及び5007の3分岐)は同一コード移行対応は原則不要(ただし国内コードは別途確認)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料に基づく確認結果:
    • WCOのHS2017版とHS2022版のChapter 50一覧を比較すると、5001.00〜5006.00と、5007.10/5007.20/5007.90の構成・文言が一致しており、HS6桁レベルでの新設/分割/統合等は確認できません。
    • 補助的に、WCOが公表するHS2017–2022相関表(Table I)は「変更のあった相関」を列挙する性格の資料であり、そこに第50類コードが現れないことからも、第50類に改正影響が小さいことが示唆されます(※相関表の性格上、“未掲載=不変”の確認補助として位置づけ)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理(主要なもの)
    | 版の移行 | 主な追加/削除/再編 | 旧コード → 新コード(例) | コメント |
    |—|—|—|—|
    | HS2007→HS2012 | 主要な改正なし(第50類は同一構成) | 5001〜5007(同一) | WCOの各版一覧で一致 |
    | HS2012→HS2017 | 主要な改正なし | 5001〜5007(同一) | WCOの一覧で確認 |
    | HS2017→HS2022 | 主要な改正なし | 5001〜5007(同一) | WCOの一覧で確認 |

※補足:上表はHS6桁(国際統一)ベースです。日本の**国内コード(統計品目番号)**は改正や運用で細分・変更され得るため、実務では最新版の輸入統計品目表・輸出統計品目表で別途確認してください。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「手芸用絹糸」を工業用として申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):小売用定義(部注)を見ずに5004/5005で申告
    • 起きやすい状況:品名が “silk yarn” だけ、重量・形態の情報が通関書類に無い
    • 典型的な影響:税番更正、追加資料要求、審査長期化
    • 予防策:包装写真、1個重量、ラベル(手芸用)を事前に添付
  • 事例名(短く):太い絹コードを5004で申告→56.07へ更正
    • 誤りの内容:線密度(デシテックス)による“ひも・綱等”判定の見落とし(部注)
    • 起きやすい状況:「糸」として輸入するが用途はロープ・結束
    • 典型的な影響:分類差し戻し、追加納税(税率差がある場合)、検査強化
    • 予防策:dtexの仕様書、用途説明(織物用かロープ用か)を準備
  • 事例名(短く):絹の反物と“製品”の取り違え(5007⇄61〜63類)
    • 誤りの内容:縁縫い・裁断等で“製品にしたもの”に該当するのに5007申告(部注)
    • 起きやすい状況:スカーフ/ストールを「生地」と称して輸入
    • 典型的な影響:更正、関税率・原産地規則の再確認、納期遅延
    • 予防策:端部加工の有無を明確化(写真)、製造工程表を添付
  • 事例名(短く):天然てぐすの用途違い(5006⇄30.06/95.07)
    • 誤りの内容:殺菌済み(医療用)や釣針付き等の状態を見落とす(解説上の除外)
    • 起きやすい状況:同じ“gut”でも用途・状態が混在
    • 典型的な影響:分類更正、他法令確認(医療機器等)に波及
    • 予防策:用途証明、殺菌証明、セット内容の明細を用意

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 絹織物などの繊維製品は、食品等の検疫とは別系統ですが、国内販売段階で有害物質規制(後述)や表示義務が問題になりやすいです。
  • その他の許認可・届出(国内流通で頻出)
    • 家庭用品品質表示法(繊維製品品質表示規程):繊維製品の組成表示、取扱い表示、表示者名等のルールが定められています(輸入者は販売時の表示責任に注意)。
    • 有害物質を含有する家庭用品の規制:ホルムアルデヒド等の基準や、アゾ染料に関する規定など、繊維製品に関わる規制が整理されています(特に乳幼児用等は厳しめ)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 表示:消費者庁(家庭用品品質表示法/繊維製品)
    • 有害物質:厚生労働省(関連法令・通知等)
    • 分類:税関(品目分類、事前教示)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 繊維混率試験(重量%)、染料・加工情報(樹脂加工、形態安定等)、製品表示案(ラベル)、用途説明(乳幼児用か等)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原料段階の確認(繭/生糸/くず/糸/織物/製品)
    • 組成(重量%)と証明書(試験成績、メーカー仕様)
    • 糸の場合:線密度(dtex)、より数、包装形態(小売用か)
    • 織物の場合:反物か、裁断・縁処理の有無
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 小売用の判定(5006)を部注で再確認
    • “製品にしたもの”該当性(第61〜63類への飛び)確認
    • ノイル/85%/その他(5007.10/20/90)確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスに「silk fabric / silk yarn」だけでなく、混率、用途、状態(retail/industrial)を追記
    • 写真、仕様書、試験表を添付できる体制
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • PSR検索時に協定のHS版を確認(版ズレ注意)
    • BOM、工程、非原産材料HS、原価資料の保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 表示(繊維製品品質表示)
    • 有害物質(ホルムアルデヒド等、アゾ染料等)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022 Section XI Notes(1100_2022e.pdf)(参照日:2026-02-22)
    • WCO HS Nomenclature 2022 Chapter 50 “Silk”(1150_2022e.pdf)(参照日:2026-02-22)
    • WCO HS Nomenclature 2017 Chapter 50 “Silk”(1150_2017e.pdf)(参照日:2026-02-22)
    • WCO HS Nomenclature 2007 Chapter 50 “Silk”(1150_2007e.pdf)(参照日:2026-02-22)
    • WCO Correlation Tables HS2017–HS2022(Table I, en)/相関表ページ(参照日:2026-02-22)
  • 日本 税関・公的機関のガイド
    • 税関:関税率表解説 第50類(50r.pdf)/第11部 総説(11b.pdf)(参照日:2026-02-22)
    • 税関:EPA・原産地規則ポータル/品目別原産地規則検索(参照日:2026-02-22)
    • 税関:RCEP(HS2022版PSRの実施案内等)(参照日:2026-02-22)
    • 税関:品目分類の事前教示制度(参照日:2026-02-22)
  • その他(表示・化学物質等)
    • 消費者庁:家庭用品品質表示法/繊維製品品質表示規程・表示ガイド(参照日:2026-02-22)
    • 厚生労働省:有害物質を含有する家庭用品の規制(法令・通知等)/施行規則(参照日:2026-02-22)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • 絹製品は「形態差(反物か製品か)」「小売用か」「混率(重量%)」「糸の線密度・より数」などが結論を左右しやすいです。
    • 事前教示(品目分類)に出す/照会する際に有効なセット:
      • ① 現物写真(全体・端部・包装)
      • ② 仕様書(混率・dtex・より数・幅/重量/目付)
      • ③ 工程図(繰糸→撚糸→製織→染色など)
      • ④ 用途(手芸用/工業用、反物販売/完成品販売)
  • 探し方(日本税関の公開情報)
    • 税関は、公開可能な**事前教示回答(品目分類)**を検索できる仕組みを用意しています。キーワード(例:「絹糸」「スカーフ」「織物」)や税番で横断検索し、近い事例の論点(決め手が何か)を把握すると効率的です。

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第49類:印刷した書籍、新聞、絵画その他の印刷物並びに手書き文書、タイプ文書、設計図及び図案(Printed books, newspapers, pictures and other products of the printing industry; manuscripts, typescripts and plans)

  • 用語:**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**です。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 書籍・冊子・リーフレット(単票でも可)や、百科事典・辞書(49.01)
    • 新聞・雑誌などの定期刊行物(49.02。ただし例外あり)
    • 地図・海図・アトラス・壁地図・印刷した地球儀(49.05)
    • 未使用の切手・収入印紙、銀行券、株券などの証券類(49.07)
    • ポスター、写真、広告印刷物、カタログ等の「その他の印刷物」(49.11)
    • (重要)「印刷」は、複写機コピー、ADP(コンピュータ)出力、型押し、写真、感光/感熱複写、タイプも含みます(=“プリントアウト”も含み得る)。
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 透明ベース上の写真のネガ・ポジ(フィルム等):第37類
    • 浮出し(立体)地図・浮出し地球儀:90.23
    • トランプ等の遊戯用カード:第95類
    • オリジナルの版画(銅版画・木版画等):97.02/切手のコレクターズ品・初日カバー等:97.04/製作後100年超の骨董等:第97類
    • 壁紙(48.14)や紙製ラベル(48.21)は、たとえ印刷が重要でも第48類側に残る扱いがある点に注意(例外扱い)。
    • プラスチック/ゴム製品でも、印刷(文字・絵等)が用途に対して「副次的でない」場合、第49類に来ることがあります(ただし 39.18/39.19 は除外)。
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 印刷の位置づけ:その物品の本質・用途が「印刷されていること」で決まるか、単なる装飾/副次的か。
    2. 49.01(本) vs 49.11(広告・ポスター等):広告が本質目的の出版物は49.01に入らず49.11へ。
    3. 49.05(地図等) vs 90.23(浮出し/立体):立体は90.23で、印刷有無は関係なし。
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 旧コード(HS2017)で「4905.10(地球儀)」を使ってしまう(HS2022で再編)。協定PSRや社内マスタとのズレが起きやすいです。
    • 広告カタログを49.01(書籍)扱いにしてしまい、49.11(広告印刷物)との不整合で税関照会が増える。
    • 49.07(未使用切手/銀行券等)と、97.04(切手コレクター品等)を取り違える(内容によっては規制・審査も絡みやすい)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(見出し+注で決める):第49類は「類注(注1〜6)」が境界線そのものです。たとえば、広告目的出版物は49.01から外れて49.11へ(注5)など、注が結論を決めます。
    • GIR6(6桁の号まで落とす):49.05はHS2022で号が再編され、49.11も号区分(広告/写真等/その他)が実務上効きます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 物理形態:単票か、製本されているか、ページ番号があるか、セット物か。
    • 内容/主目的:広告が主か、教育・情報・芸術鑑賞が主か。
    • 印刷の意味合い:コピー/プリンタ出力も「印刷」になり得ますが、単なる装飾模様や色彩印刷だけでは第49類の「印刷物」扱いにならない点に注意。
    • 素材(紙以外もあり得る):プラスチック/ゴム製でも、印刷が用途に対して副次的でなければ第49類へ(例外あり)。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:まず「そもそも第49類か?」(注1の除外をチェック)
    • 透明ベースの写真ネガ/ポジ → 第37類
    • 浮出し地図・浮出し地球儀 → 90.23
    • トランプ等 → 第95類
    • 版画(オリジナル)/切手コレクター品/骨董(100年超) → 第97類
  • Step2:「印刷物/文書」と言えるか(注2)
    • コピー、プリンタ出力、型押し、写真、感光/感熱複写、タイプも含めて“印刷”扱いになり得ます。
  • Step3:項(4桁)を選ぶ
    • 書籍・冊子系 → 49.01(ただし広告目的は49.11へ)
    • 新聞・雑誌等の定期刊行物 → 49.02(ただし例外で49.01へ行くケースあり)
    • 地図・海図・地球儀(印刷) → 49.05
    • 未使用切手・銀行券等 → 49.07
    • それ以外の印刷物(広告、ポスター、写真等) → 49.11
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第48類(紙製品) vs 第49類(印刷物):印刷が包装等の本来用途に対して副次的なら48類、印刷が本質なら49類、という整理が基本(ただし48.14/48.21等の例外に注意)。
    • 第39類(プラスチック製品)/第40類(ゴム製品) vs 第49類:印刷が副次的でない場合は49類へ(ただし39.18/39.19は除外)。
    • 90.23(浮出し) vs 49.05(印刷地図等):立体かどうかが決定打。
    • 第97類(美術品・収集品・骨董) vs 第49類:オリジナル版画や収集切手、骨董(100年超)は第97類。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:第49類は項が少ないため全列挙します。
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4901印刷した書籍、冊子、リーフレット等(単票含む)書籍、教科書、取説、マニュアル、百科事典・辞書定期刊行物でも「紙以外で製本」「複数号を単一カバーでセット」は4901へ(類注3)。広告目的出版物は4901×で4911(類注5)。
4902新聞、雑誌等の定期刊行物新聞、週刊誌、学会誌4902は通常の定期刊行物。例外で4901へ飛ぶケースあり(類注3)。
4903幼児用の絵本、ぬり絵等絵本、ぬり絵帳「絵が主体・文章が副次的」が条件(類注6)。
4904楽譜(印刷/手稿)楽譜集、スコア記録媒体(CD等)は別類。
4905地図・海図等(印刷)アトラス、壁地図、海図、印刷地球儀浮出し(立体)は90.23で除外(類注1(b))。HS2022で号が再編(4905.20/4905.90)。
4906建築・工業等の設計図等(手書き原図等)手書きの設計図、青焼き・感光複写、カーボンコピー見出しの文言が限定的(手書き原図/特定の複写等)。CADプリント等は判断要(後述)。
4907未使用切手・印紙・銀行券等未使用切手、収入印紙、銀行券、株券・債券、小切手用紙収集品(初日カバー等)は97.04側(類注1(d))。
4908転写紙(デカール)デカール、転写シール、転写タトゥー焼付け用(vitrifiable)かどうかで号分岐。
4909絵葉書・グリーティングカード等ポストカード、メッセージカード4909はカード類に特化。
4910カレンダー壁掛けカレンダー、卓上カレンダーHS6桁は4910.00(国内コードで細分がある場合あり)。
4911その他の印刷物(写真含む)広告物、カタログ、ポスター、パンフ、写真「広告が本質目的の出版物」はここ(類注5)。49.01との境界が頻出。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で効きやすいもの)
    • 形態(単票/製本/セット):4901.10(単票)など
    • 発行頻度:4902.10(週4回以上)
    • 書籍形式か否か:4905.20(書籍形態) vs 4905.90(その他)
    • 用途(広告):4911.10(広告印刷物)
    • 内容(写真・デザイン):4911.91(写真・図案等)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4901(書籍) vs 4911.10(広告物)
      • どこで分かれるか:出版物が「本質的に広告目的」か(類注5)。
      • 判断に必要な情報:表紙/奥付、目次、広告比率というより「目的」(販促配布か、一般向け出版か)、配布形態(展示会配布/DM等)、価格設定(無料配布か)。
      • 典型的な誤り:「冊子=本」で4901に寄せる(広告カタログを4901扱い)。
    2. 4902(定期刊行物) vs 4901(例外で4901へ)
      • どこで分かれるか:定期刊行物でも「紙以外で製本」「複数号を単一カバーでセット」なら4901(類注3)。
      • 判断に必要な情報:製本材料(紙/非紙)、セットの形態、同梱される号数。
    3. 4905(印刷地図等) vs 9023(浮出し/立体)
      • どこで分かれるか:立体(浮出し)かどうか(類注1(b))。
      • 判断に必要な情報:断面構造、凹凸の有無、素材・成形方法、写真。
    4. 4907(未使用切手等) vs 9704(収集品)
      • どこで分かれるか:収集・コレクターズ性(初日カバー等)や、類注1(d)で第97類へ除外されるか。
      • 判断に必要な情報:未使用か(消印の有無)、コレクター向けセット/台紙、発行国・額面、流通実態。
    5. 4905の“旧→新”コード誤用(HS2017→HS2022)
      • どこで分かれるか:HS2022では4905.10(地球儀)が削除され、4905.20/4905.90に再編。
      • 判断に必要な情報:取引で参照しているHS版(社内マスタ、相手国タリフ、協定PSRのHS版)。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第49類が属する第10部(Section X)には部注がありません(=この部は部注なしで章が並ぶ構成)。
    • ただし、他部の部注が「第49類へ飛ばす」ことがあり、特に第7部(プラスチック・ゴム)注2が実務上重要です。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • プラスチック製のサインプレートや装飾パネルでも、印刷(文字・絵)が用途に対して副次的でない場合は第49類に分類され得ます(ただし39.18/39.19は除外)。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 「プラスチック製品だから第39類」と決め打ち → 実際は印刷が本質で第49類(第7部注2)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約(注1〜6):
    • 注1:写真フィルム、浮出し地図、トランプ、オリジナル版画、切手収集品、骨董等を除外(第37類、90.23、95類、97類へ)。
    • 注2:「印刷」にはコピー、ADP出力、型押し、写真、感光/感熱複写、タイプも含む。
    • 注3:定期刊行物でも、紙以外で製本・複数号セットは49.01へ。
    • 注4:49.01に含まれる“コレクション/付属絵画/製本用の部分”の扱い。文章を伴わない絵・挿絵は49.11へ。
    • 注5:広告が本質目的の出版物は49.01ではなく49.11。
    • 注6:49.03の「幼児用の絵本」定義(絵が主、文章が従)。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「印刷したもの」:上記注2の範囲(コピー/ADP出力等)+実務解説では、印刷キャラクターの形態は問わない一方、単なる装飾印刷・繰り返し模様は含めない、という整理が示されています。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 注1の除外(第37類、90.23、第95類、第97類)に加え、実務解説では48.14/48.21、39.18/39.19等は印刷の重要性にかかわらず第49類に入らない旨が整理されています。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:「広告目的」かどうかで 49.01 ⇄ 49.11 が入れ替わる(注5)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 目的(販促配布/カタログ/観光案内か、一般出版か)
      • 内容構成(製品紹介の比重、価格表、注文方法、問い合わせ先の強調)
      • 配布形態(展示会配布、DM、店頭無料配布 など)
    • 現場で集める証憑:
      • 現物/見本、PDFデータ、目次、奥付、配布案内(「販促物」表記)、社内の用途説明
    • 誤分類の典型:
      • 「ページがある=本」→4901に入れてしまい、税関から「本質的に広告」と見られて4911へ修正。
  • 影響ポイント2:定期刊行物でも 49.02 ⇄ 49.01 に飛ぶ(注3)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 製本材料(紙か否か)、複数号を単一カバーでセットしているか
    • 現場で集める証憑:
      • 製本仕様(材質)、商品写真、セット構成(何号分か)
    • 誤分類の典型:
      • 「雑誌=4902」で固定 → 実は非紙で製本されていて4901。
  • 影響ポイント3:“印刷”の定義が広い(注2)=プリンタ出力やコピーも第49類候補
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 製造方法(コピー、プリンタ、写真、感光複写、型押し等)
      • 単なる装飾模様か、情報伝達(文字・図)か
    • 現場で集める証憑:
      • 製造工程説明、印刷方式、サンプル画像
    • 誤分類の典型:
      • 「印刷物はオフセット等だけ」と誤解して除外、または逆に装飾印刷を49類へ寄せる。
  • 影響ポイント4:素材起点で決め打ちしない(第48類・第39類等との境界)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 素材(紙/プラ/繊維等)+印刷が用途に対して副次的か否か
      • 例外(39.18/39.19、48.14/48.21)の有無
    • 現場で集める証憑:
      • 材料構成、用途説明、製品カタログ、使用シーン写真
    • 誤分類の典型:
      • 「紙=48類」「プラ=39類」で固定し、印刷の位置づけを見ない。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:製品カタログ(販促冊子)を4901(書籍)にしてしまう
    • なぜ起きる:冊子形態=本と短絡しがち。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):広告が本質目的なら49.01ではなく49.11(類注5)。
    • 予防策(確認すべき資料/社内で聞くべき質問例):
      • 「配布目的は?(販促/販売付属/一般販売)」
      • 目次・奥付・配布方法の資料、現物PDFを保管
  2. 間違い:雑誌を4902に固定し、非紙で製本されたもの/複数号セットを見落とす
    • なぜ起きる:一般常識(雑誌=4902)に引っ張られる。
    • 正しい考え方:注3で49.01へ移るケースが明示。
    • 予防策:
      • 「表紙/製本は紙?プラ?布?」
      • 「複数号が1つのカバーで売られている?」を現物で確認
  3. 間違い:文章のないポスター/絵だけの印刷物を4901(書籍)側に寄せる
    • なぜ起きる:「美術品の複製集」等の誤解。
    • 正しい考え方:49.01の“製本用部分”等の説明がある一方、文章を伴わない絵・挿絵は49.11へ(注4)。
    • 予防策:
      • 文章(テキスト)があるか、ページ番号があるか、製本前提かを確認
  4. 間違い:立体(浮出し)地図・地球儀を4905にする
    • なぜ起きる:地図/地球儀=4905と短絡。
    • 正しい考え方:浮出し(立体)は90.23へ除外(注1(b))。
    • 予防策:
      • 製品写真(側面)、凹凸加工の有無、素材・成形方法の確認
  5. 間違い:未使用切手/印紙(4907)と、切手収集品(9704)を混同
    • なぜ起きる:「切手」だけで判断しがち。
    • 正しい考え方:類注1(d)で97.04の収集品等が除外されている。
    • 予防策:
      • 「消印の有無」「初日カバーか」「コレクター向け台紙/セットか」を確認
  6. 間違い:紙製品の印刷物をすべて第49類にしてしまう
    • なぜ起きる:「印刷されている=49類」の誤解。
    • 正しい考え方:紙・板紙製品で印刷が本来用途に対し副次的なら48類、例外(48.14/48.21等)もある。
    • 予防策:
      • 用途(包装/文具/掲示/広告)を用途説明書で確認
      • 48.14(壁紙)、48.21(ラベル)該当の有無をチェック
  7. 間違い:プラスチック製サイン等を39類に固定してしまう
    • なぜ起きる:素材起点で判断してしまう。
    • 正しい考え方:第7部注2で、印刷が副次的でない場合は第49類(ただし39.18/39.19は除外)。
    • 予防策:
      • 「印刷(文字・絵)がないと用途が成立するか?」を社内に確認
      • 39.18/39.19該当(床材/壁材など)も合わせてチェック
  8. 間違い:HS2017の4905.10(地球儀)をそのまま使い続ける
    • なぜ起きる:社内マスタや取引先資料が更新されていない。
    • 正しい考え方:HS2022で49.05が再編され、4905.10は削除、4905.20/4905.90へ。
    • 予防策:
      • 参照HS版を明示(HS2017/2022)
      • 相関表(旧→新)を社内で固定資料化
  9. 間違い:設計図・図面を何でも4906にしてしまう
    • なぜ起きる:品名(図面)だけで判断。
    • 正しい考え方:4906は見出し上「手書き原図」等に限定されるため、CADプリント等は内容・作成方法・形態を踏まえて4911等の可能性も含め検討が必要。
    • 予防策:
      • 作成方法(手書き/青焼き/プリンタ出力)と、取引実態(技術資料一式か、単なる図面配布物か)を確認

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。最終製品のHS(6桁)を誤ると、適用すべきPSR(CTH/CTSH/RVC等)の前提が崩れます。
  • よくある落とし穴:
    • 「販促カタログ(4911.10)」を「書籍(4901)」としてPSRを見てしまう
    • 49.05の旧コード(4905.10等)で協定のPSRを引いてしまう(HS版ズレ)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定ごとに採用しているHS版が異なるため、税関のPSR検索画面でも「協定が採用するHS版で検索する」注意が明記されています(申告は最新HS)。
  • RCEPは、当初HS2012ベースでしたが、HS2022に置き換えた品目別規則が採択され、2023/1/1から実施とされています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • 協定本文/PSRが旧HSの場合、相関表で旧6桁→新6桁に対応付けしてからPSRを読みに行きます(特に49.05は2022で号が動いたため注意)。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 製造工程フロー、購買証憑、印刷工程(国内/国外)、委託加工契約書
    • 税関向け説明資料(製品見本、カタログ、仕様書)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022削除+再編(号の名称変更/範囲調整)4905.10 / 4905.91 / 4905.99 → 4905.20 / 4905.904905.10(地球儀)削除。4905.91→4905.20、4905.99→4905.90へ名称変更。削除分(地球儀)は4905.90へ移管し、範囲も調整。社内マスタ・過去データ・協定PSRのHS版がズレると、誤コード使用・PSR誤適用が起きやすい。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料として、HS2017版とHS2022版の第49類のコード表(49.05の号構成が異なる)を確認しました。
  • さらに、相関表(HS2022-HS2017)では、「49.05は取引量が少ない4905.10を削除して再編」「4905.91/4905.99をそれぞれ4905.20/4905.90に改称」、**「4905.10の物品は4905.90へ移管し範囲を調整」**と説明されています。
  • 上記より、第49類でHS2017→HS2022における主要な構造変更は、少なくとも49.05の号再編であると判断しました(他の49.01〜49.11は同一の号構造に見えます)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理します(第49類は大きな再編が少なく、確認できる主要差分は49.05です)。
期間追加/削除/再編(概要)旧コード → 新コード(または行き先不明)メモ
HS2007→HS2012大きな変更なし(少なくとも49.01〜49.11の主要構造は同様)HS2012の日本税関表でも49.05は4905.10/4905.91/4905.99構成。
HS2012→HS2017大きな変更なし(49.05も従来構成)HS2017でも4905.10/4905.91/4905.99。
HS2017→HS202249.05を再編(4905.10削除、改称・範囲調整)4905.10(地球儀)→ 4905.90 へ移管、4905.91→4905.20、4905.99→4905.90相関表に理由(低取引量)と移管先が明記。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「展示会カタログ」を書籍(4901)で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):広告目的出版物は4901に含まれず4911(類注5)。
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “catalogue/booklet” 程度で、内容確認せずに本扱い。
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税(税率差がある場合)、分類根拠資料の追加提出要求。
    • 予防策:現物PDF・目次・配布目的の説明書を準備し、広告目的かどうかを事前に整理。
  • 事例名:雑誌セット(2号を1パック)を4902で申告
    • 誤りの内容:複数号を単一カバーでセットした定期刊行物は4901(類注3)。
    • 起きやすい状況:量販店向けの「合本・特装版」や販促セット。
    • 典型的な影響:分類訂正、通関遅延(現物確認が増える)。
    • 予防策:販売形態(セット構成)と包装状態の写真を提出資料に入れる。
  • 事例名:立体地球儀を4905で申告
    • 誤りの内容:浮出し(立体)地球儀は90.23(類注1(b))。
    • 起きやすい状況:「地球儀=4905」と思い込み、立体加工の有無を見ない。
    • 典型的な影響:税関で現物検査、分類差し戻し。
    • 予防策:断面写真・仕様(凹凸/成形)を事前に準備。
  • 事例名:未使用切手セットを4907で申告したが、初日カバー等が混在
    • 誤りの内容:97.04(初日カバー等の収集品)が混在すると第97類側へ(類注1(d))。
    • 起きやすい状況:コレクター向け商品を「未使用切手」と一括で扱う。
    • 典型的な影響:分類のやり直し、内容物ごとの分割申告を求められる。
    • 予防策:商品構成リスト(消印/初日カバーの有無)を作り、品目分割の要否を事前に検討。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 通常の印刷物(紙製品)自体は、動植物検疫の中心品目ではありません(ただし梱包材が木材の場合は別途留意)。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 印刷物そのものは通常対象外ですが、装丁・表紙に規制素材(象牙等)が使われる特殊ケースでは別途確認が必要です(章97や章42等に飛ぶ可能性もあり)。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 第49類には「設計図・図案・仕様書的な文書」が登場しますが、外為法上の“技術データ”は文書や設計図、仕様書、マニュアル等を含むとされ、冊子の送付・持ち出しも「技術の提供」になり得ます(内容が規制対象技術に該当する場合)。
    • 実務上は、HS分類(49類)とは別軸で、**該非判定(貨物/技術)**と取引審査が必要になることがあります。
  • その他の許認可・届出
    • 輸入禁止(日本):税関は、わいせつ物等(公序良俗を害するもの)、児童ポルノ、知的財産権侵害物品、偽造・変造紙幣や有価証券等の輸入を禁止事項として掲げています(印刷物・出版物はここに該当し得ます)。
    • 文化財の輸出:国宝・重要文化財等は原則輸出禁止/許可制で、輸出には文化庁の許可等が必要になる旨が公表されています(古文書・古地図・古書などが該当する場合あり)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 税関:輸出入禁止・規制品目(禁止物品・知財侵害物品等)
    • 経産省:安全保障貿易管理(技術提供Q&A/ガイダンス)
    • 文化庁:文化財の国際関連・輸出関連情報
  • 実務での準備物(一般論):
    • 印刷物の現物見本/データ(PDF)、用途説明、販売形態(有償/無償、販促配布等)
    • 4907/97.04絡みは、消印有無・セット構成表
    • 技術資料(図面等)絡みは、該非判定資料、最終需要者・用途、社内承認記録

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 現物/写真(表紙・裏表紙・中面)、サイズ、ページ数、製本材料(紙/非紙)
    • 内容の主目的(広告/教育/情報/芸術鑑賞)
    • 印刷方式(コピー/プリンタ/写真/感光複写等)
    • 立体(浮出し)加工の有無(地図・地球儀)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注1の除外(37類、90.23、95類、97類)を再確認
    • 49.01/49.11の広告判定(類注5)
    • 49.05のHS版(2017/2022)を確認(4905.10の誤用防止)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名は「catalogue」「poster」等の曖昧語だけにしない(広告用/販売用、定期刊行物セット等の補足)
    • 税関提出用に、現物PDF・写真・仕様書を添付できる状態にする
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定のHS版でPSRを確認(税関も注意喚起)。
    • RCEPなどHS2022置換の有無も確認。
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 禁止物品(わいせつ物、児童ポルノ、知財侵害等)に該当しないかチェック
    • 技術資料(図面等)の海外提供に該当する場合、METIガイダンスで該非・許可要否を確認
    • 古書・古文書等で文化財該当の可能性がある場合、文化庁・税関の確認手続へ

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS2022 Chapter 49(見出し・類注) (参照日:2026-02-22)
    • WCO HS2017 Chapter 49(見出し・類注) (参照日:2026-02-22)
    • HS2017→HS2022 相関表(49.05の再編理由・移管先) (参照日:2026-02-22)
    • WCO HS2022 Table of Contents(Section Xに部注がない構成確認) (参照日:2026-02-22)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 実行関税率表(第49類 類注)49r.pdf (参照日:2026-02-22)
    • 関税率表解説(第49類)49r.pdf(印刷の実務的整理、48/39等との境界) (参照日:2026-02-22)
    • 第7部注(プラスチック/ゴムの印刷物→49類)E7b.pdf (参照日:2026-02-22)
    • 輸出入禁止・規制(禁止物品:わいせつ物、児童ポルノ、知財侵害等) (参照日:2026-02-22)
    • RCEP:HS2022版品目別規則の採択・実施(2023/1/1〜) (参照日:2026-02-22)
    • 品目別原産地規則(HS版違い注意)検索画面 (参照日:2026-02-22)
  • 安全保障貿易管理(日本)
    • 経産省:安全保障貿易管理Q&A(技術=文書・設計図・仕様書等を含む) (参照日:2026-02-22)
    • 経産省:安全保障貿易管理ガイダンス(技術データ例、冊子送付等) (参照日:2026-02-22)
  • 文化財(輸出)
    • 文化庁:文化財の海外持ち出し(原則禁止/制限の説明) (参照日:2026-02-22)
    • 経産省:国宝・重要文化財等の輸出に関する案内 (参照日:2026-02-22)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第48類:紙及び板紙並びに製紙用パルプ、紙又は板紙の製品(Paper and paperboard; articles of paper pulp, of paper or of paperboard)

用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
また、HSコードは原則6桁、日本の国内コード(輸入統計品目等)は8桁/9桁等の細分がある点を混同しないでください。


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 新聞用紙(ニュースプリント)4801(定義あり)
    • コピー用紙・印刷用の非塗工紙(A4等を含む)4802
    • 段ボール原紙(クラフトライナー、フルーティング等)4804/4805
    • 塗工紙(無機物塗工:コート紙等)4810、その他の塗工・含浸・ラミネート紙 4811
    • 段ボール箱・紙袋などの包装容器 4819
    • トイレットペーパー、ティッシュ等(ロール幅36cm以下等)4818
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 木材パルプ・古紙(回収紙)そのもの → 第47類(例:古紙 4707)
    • プラスチック層が全厚の過半を占める紙/板紙のラミネート材(壁紙4814を除く)→ 第39類
    • 写真感光紙(3701〜3704)・試薬含浸紙(3822)など → 第37類/第38類
    • 研磨紙(サンドペーパー)→ 6805
    • (重要)紙っぽく見える紙おむつ・生理用ナプキン等第96類 9619(第48類注で除外)
    • 印刷内容が主用途に対して「付随的でない」印刷物 → 第49類(例外:4814/4821)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「紙の素材(ロール/シート)」か「紙の製品(成形品・容器・事務用品)」か(概ね 4801〜4811 vs 4812〜4823)
    2. サイズ(ロール幅/シート寸法):4803〜4809は一定サイズ以上に限定(小ロール等は別項へ行きがち)
    3. 印刷・意匠の意味合い:印刷が「単なる付随」かどうかで48類↔49類が分かれる(例外あり)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 紙×プラスチックの複合材(ラミネート):39類に飛ぶ条件(厚み比)を見落としやすい
    • 包装(4819)×印刷(49類):販促物扱いになると章が変わり得る
    • 衛生用品:過去(HS2007)では48類にいた品目がHS2012で9619へ移動した経緯があり、社内品名が古いと事故りやすい

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(見出しと注で決める):第48類は、類注(特にサイズ制限・除外・定義)が強く効きます。まず類注で“そもそも48類に残るか”を確認します。
    • GIR6(6桁の決定):4802・4804・4805等は、重量・繊維組成・強度指標(Mullen、CMT等)で6桁が変わります(サブヘディング注に定義あり)。
    • GIR3(複合品・組合せ品):例:紙+樹脂の多層材は「どの層が本質か」以前に、類注で39類へ飛ぶ条件があるため、まず注を優先して確認します。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 材質:繊維(機械パルプ比率、漂白/未漂白)、塗工材(無機 vs 樹脂)、含浸の有無
    • 状態:ロール/シート、幅・寸法、加工度(塗工・ラミネート・型抜き・成形)
    • 用途:新聞印刷用、包装用、衛生用、壁装用、ラベル用等(注で定義される用途概念あり)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:パルプ/古紙の段階か?
    • はい → 第47類(例:木材パルプ、古紙)へ
    • いいえ → Step2へ
  • Step2:形がロール/シート中心の「紙そのもの」か?
    • はい → 4801〜4811を中心に検討(新聞用紙/印刷用紙/クラフト/塗工紙など)
    • いいえ(箱・袋・帳簿・ラベル・成形品等) → Step3へ
  • Step3:「紙製品」なら機能で分岐
    • 壁紙 → 4814(定義:幅45〜160cmなど)
    • トイレット/ティッシュ等(幅36cm以下ロール等) → 4818
    • 包装容器(箱・袋) → 4819
    • 事務・文具(ノート、バインダー等) → 4820
    • ラベル → 4821(印刷されても原則ここ)
    • その他(紙コップ、モールドパルプ品等) → 4823
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 48類 ↔ 39類:プラスチック層が厚いラミネートは39類(壁紙は例外)
    • 48類 ↔ 49類:印刷が主用途に対して付随的でないと49類(例外:4814/4821)
    • 4818 ↔ 9619:おむつ等の衛生用品は9619(48類から除外)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

※見出しの要旨はHS条文(HS2022)を実務向けに要約しています。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4801新聞用紙(ニュースプリント)新聞輪転用紙類注でニュースプリント定義あり(繊維比率・粗さ・坪量・寸法)
4802筆記・印刷等の非塗工紙/板紙(手すき含む)コピー用紙、印刷用紙、手すき和紙類注で4802の定義あり(灰分・白色度・破裂指数等)。フィルター紙等は除外
4803衛生用原紙・同種紙、セルロース繊維の綿状物等(ロール/シート)ティッシュ原紙、タオル原紙4803〜4809は一定サイズ以上のみ(類注8)
4804非塗工クラフト紙/板紙クラフトライナー、重袋用紙「クラフト」の定義(類注6)+サブヘディング注で強度要件あり
4805その他の非塗工紙/板紙(注3程度の加工まで)フルーティング、中芯原紙、テストライナー等サブヘディング注にCMT・Mullen等の定義あり
4806パーチメント紙・耐脂紙・グラシン紙・トレーシング等グラシン紙、トレーシングペーパー特殊紙系。用途よりも紙の種類/性状で判断
4807複合紙/複合板紙(貼り合わせ)合紙、積層紙(非塗工)表面塗工/含浸があると他項へ行く場合
4808段ボール状・しわ加工等の紙/板紙片面段ボール、エンボス紙形状加工の有無(コルゲート等)
4809カーボン紙・ノーカーボン紙等(ロール/シート)カーボン紙(大判)、複写紙(大判)サイズ条件(類注8)。小判・箱入り等は4816へ行きやすい
4810無機物(カオリン等)塗工紙/板紙(他塗工なし)コート紙(無機塗工)「無機塗工+他塗工なし」が核(他コートがあると4811寄り)
4811それ以外の塗工/含浸/被覆/ラミネート紙等(ロール/シート)粘着紙、PEラミ紙、タール紙プラ層が過半厚だと39類(壁紙除く)
4812紙パルプ製フィルターブロック等紙パルプのフィルターブロック形状が「ブロック/板」タイプ
4813巻紙(シガレットペーパー)巻紙、巻紙チューブ幅5cm以下ロール等の区分あり
4814壁紙・類似壁装材、紙製窓透明材壁紙、ボーダー、壁面パネル幅45〜160cm等の定義。床にも使えるものは4823へ
4815(欠番:HSで未使用)HS条文上「[48.15]」として欠番扱い
48164809以外の複写紙等、謄写版原紙、オフセット用原紙箱入りカーボン紙、ノーカーボン紙、小巻見出しで4809除外が明示。小判・セット品で出やすい
4817封筒・レターカード等、文具セット封筒、ポストカード、レターセット内容物が「紙製文具の詰合せ」か確認
4818トイレット紙等(幅36cm以下ロール等)、家庭/衛生/病院用紙製品、紙製衣類等トイレットペーパー、ティッシュ、紙タオルおむつ等は9619。4818は紙・セルロース綿状物の家庭/衛生用途
4819紙製の箱・袋など包装容器、事務用の箱類等段ボール箱、紙袋、ファイル箱印刷が販促主用途だと49類の検討余地(類注12)
4820帳簿・ノート等、バインダー、事務用フォーム等ノート、手帳、バインダールーズシートは除外(類注10)
4821紙/板紙のラベル(印刷の有無を問わず)シールラベル、下げ札類注12の例外で印刷されても48類に残る
4822紙製ボビン等(糸巻き芯など)糸巻き芯、紙管繊維用かその他かで区分あり
4823その他(型抜き紙、紙食器、モールドパルプ品等)紙コップ、紙皿、卵トレー、フィルター紙壁紙でも床にも使えるものはここ(類注9)。ジャカード用穿孔カード等も例示

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類でよく出る軸)
    • 寸法:ロール幅(36cm/28cm/45〜160cmなど)、シート寸法(例:A4相当の上限)
    • 塗工の種類:無機塗工(4810)か、樹脂/粘着等(4811)か
    • 繊維の由来/比率:機械パルプ比率(ニュースプリントや軽量塗工紙の定義で登場)
    • 物性試験値:Mullen破裂強さ、破裂指数、CMT、引裂/引張(段ボール原紙で重要)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4801(ニュースプリント) vs 4802(筆記・印刷用の非塗工紙)
      • どこで分かれるか:ニュースプリントは**定義(繊維比率・粗さ・坪量・寸法)**を満たす必要
      • 判断に必要な情報:
        • 機械/ケミ機械パルプ由来繊維比率(≥50%か)
        • 坪量(40〜65 g/m²か)
        • 表面粗さ(Parker Print Surf)
        • ロール幅/シート寸法(>28cm等)
      • 典型的な誤り:単に「新聞に使う紙」だから4801、と用途だけで決めてしまう
    2. 4803(衛生用原紙:大判ロール/シート) vs 4818(トイレット/ティッシュ等:小幅ロール等)
      • どこで分かれるか:4803等(4803〜4809)は幅36cm超等のサイズ条件がある一方、4818は幅36cm以下ロール等が明示
      • 判断に必要な情報:ロール幅、シート寸法、最終用途(家庭/衛生用途としての形態)
      • 典型的な誤り:「ティッシュ原紙(大判)」を、完成品(4818)と混同
    3. 4804(クラフト紙/板紙)内部の区分(例:クラフトライナー/重袋用紙)
      • どこで分かれるか:サブヘディング注で、重量と強度(Mullen等)、または破裂指数・伸び等の要件が設定
      • 判断に必要な情報:紙の抄造方式(machine-finished等)、坪量、Mullen破裂強さ、引裂/引張、伸び(試験成績書)
      • 典型的な誤り:仕入先の呼称「kraftliner」「sack kraft」をそのまま信じ、試験条件・規格根拠を確認しない
    4. 4810(無機塗工) vs 4811(その他の塗工・含浸・ラミネート等)
      • どこで分かれるか:
        • 4810:カオリン等無機物塗工で、かつ「他の塗工がない」タイプ
        • 4811:粘着、樹脂含浸/被覆、タール/アスファルト、プラ被覆(接着剤を除く)等
      • 判断に必要な情報:塗工層の材質(無機/有機)、多層構成、接着剤の有無、仕様書(層構成図)
      • 典型的な誤り:見た目が「コート紙」だから4810、と塗工の種類を確認しない
    5. 4809(複写紙:大判ロール/シート) vs 4816(4809以外の複写紙・ステンシル等)
      • どこで分かれるか:4816は「4809以外」が明記され、実務上は小判・箱入り・セット形態で4816に寄りやすい
      • 判断に必要な情報:ロール幅/シート寸法(類注8の条件に該当するか)、梱包形態、用途(謄写/オフセット用の原紙か)
      • 典型的な誤り:ノーカーボン紙を一律4809としてしまう(サイズ・形態の確認不足)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第48類が属する第X部(Section X)は、部注(Section Notes)の規定が置かれていない構成です(他部では“Section Notes”が明示されるのに対し、Section Xは章立てのみ)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 部注で一括定義されないため、第48類注(定義・除外・サイズ条件)を最優先で確認します(例:ニュースプリント定義、壁紙定義、印刷の扱い等)。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • (本部は部注がないため)類注による他章移動が主です(例:39類、49類、96類への移動)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約(重要なもの)
    • 注2(除外):石けん含浸紙(3401)、感光紙(37類)、試薬含浸紙(3822)、プラ層が厚い複合材(39類)等を除外
    • 注4(ニュースプリント定義):機械/ケミ機械繊維≥50%、坪量40〜65g/m²、粗さ>2.5µm等
    • 注5(4802定義):灰分・白色度・破裂指数・厚さ等の条件。フィルター紙等は4802に入らない
    • 注7(4801〜4811のタイブレーク):複数見出しに該当する場合は番号が後の見出し
    • 注8(サイズ条件):4803〜4809は幅36cm超等に限定
    • 注9(壁紙定義):幅45〜160cm等、床にも使えるものは4823へ
    • 注12(印刷の扱い):印刷が主用途に対して付随的でなければ49類(例外:4814/4821)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「ニュースプリント」定義:上記注4
    • 「クラフト紙・クラフト板紙」定義:総繊維の80%以上が化学サルフェート/ソーダ法繊維
    • 4802の「筆記・印刷等用紙」定義:上記注5(灰分等)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • プラ層が過半厚の紙/板紙ラミネート(壁紙4814除く)→ 第39類
    • 研磨紙 → 6805、金属箔貼り紙 → 第14/15部が多い
    • 衛生用品(ナプキン・おむつ等)→ 第96類 9619
    • 印刷が付随的でない紙製品 → 第49類(例外あり)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:紙×プラスチック複合材の扱い(48類↔39類)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 断面構成(紙層とプラ層の厚み比)
      • プラ層が「全厚の過半」か
      • 壁装材(4814)に該当するか
    • 現場で集める証憑:
      • 層構成図、仕様書、材料証明、断面写真、厚み測定結果
    • 誤分類の典型:
      • 「紙にフィルムを貼っただけだから4811」と判断→実は39類要件に該当
  • 影響ポイント2:サイズ条件(4803〜4809の適用範囲)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • ロール幅(36cm超か)
      • シート寸法(片辺>36cmかつ他辺>15cmか)
      • 小判・最終消費形態(例:トイレット紙)か
    • 現場で集める証憑:
      • 図面、梱包仕様、製品ラベルの寸法表示、カタログ
    • 誤分類の典型:
      • 小巻の複写紙を4809(大判用)にしてしまう
  • 影響ポイント3:壁紙(4814)定義と「床にも使える」製品(4823)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • ロール幅が45〜160cmか
      • 壁/天井装飾向けの表面加工か
      • 床材としても適する設計か(→4823)
    • 現場で集める証憑:
      • 施工用途の資料(カタログ)、幅、表面材の説明、施工方法
    • 誤分類の典型:
      • 「壁にも貼れる」床材を4814にしてしまう(注9で4823)
  • 影響ポイント4:印刷の意味合い(48類↔49類、例外あり)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 印刷が主用途に対して“付随(incidental/subsidiary)”かどうか
      • 4814(壁紙)・4821(ラベル)に該当するか
    • 現場で集める証憑:
      • 製品写真、デザイン面積/内容、用途説明、販売形態(販促物か)
    • 誤分類の典型:
      • 商品パッケージ(4819)と販促印刷物(49類)の線引きを品名だけで判断
  • 影響ポイント5:4801〜4811の“最後の見出し優先”ルール(注7)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • どの見出し説明に該当してしまうか(複数該当の有無)
    • 現場で集める証憑:
      • 加工内容一覧(塗工/含浸/印刷/表面サイズ等)
    • 誤分類の典型:
      • 複数見出しに該当し得るのに、先に見つけた見出しで固定してしまう

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:紙おむつ・生理用ナプキン等を4818にしてしまう
    • なぜ起きる:見た目が「紙っぽい」「衛生用品」なので48類に寄せがち
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第48類注で第96類(例:9619)を除外
    • 予防策:
      • 確認資料:製品構成(吸収体・不織布等)、用途(おむつ/ナプキン/ライナー)
      • 社内質問例:「これは紙製品ですか?それとも吸収性衛生用品(9619相当)ですか?」
  2. 間違い:紙+プラのラミネートを一律4811にしてしまう
    • なぜ起きる:表面が紙なので“紙製品”だと思い込む
    • 正しい考え方:プラ層が過半厚だと39類(壁紙4814を除く)
    • 予防策:
      • 確認資料:断面図、厚み測定、材質証明
      • 社内質問例:「プラ層は何µm?全体厚みは?過半ですか?」
  3. 間違い:4803(原紙)と4818(完成品)を混同
    • なぜ起きる:「ティッシュ」「トイレット」という商品名で判断してしまう
    • 正しい考え方:4803〜4809はサイズ条件があり、4818は幅36cm以下ロール等が明示
    • 予防策:
      • 確認資料:ロール幅・シート寸法、出荷形態(原紙か最終消費形態か)
      • 社内質問例:「これは加工前の原紙ロールですか?最終消費者向けの小巻ですか?」
  4. 間違い:4809(複写紙)と4816(4809以外の複写紙等)を取り違える
    • なぜ起きる:「ノーカーボン紙=4809」と固定観念
    • 正しい考え方:4816は見出しで4809を除外し、形態(小判・箱入り等)で4816に寄ることが多い
    • 予防策:
      • 確認資料:寸法(類注8該当か)、梱包、用途(ステンシル/オフセット原紙か)
      • 社内質問例:「ロール幅は36cm超?シートは大判?箱入りセット?」
  5. 間違い:コート紙を全部4810(無機塗工)にしてしまう
    • なぜ起きる:「コート紙」という業界用語が広い
    • 正しい考え方:4810は無機塗工で“他の塗工がない”前提。樹脂・粘着等が絡むと4811側
    • 予防策:
      • 確認資料:塗工材の成分(無機/有機)、層構成
      • 社内質問例:「塗工はカオリン系?樹脂系?粘着剤は?」
  6. 間違い:段ボール原紙の4804/4805で、強度要件を確認せずに分類
    • なぜ起きる:仕入先の品名(kraftliner/testliner等)を鵜呑みにする
    • 正しい考え方:サブヘディング注にMullen、CMT、破裂指数等の定義がある
    • 予防策:
      • 確認資料:試験成績書(Mullen、CMT30等)、坪量、原料(回収パルプ比率)
      • 社内質問例:「テストライナー(回収パルプ主体)ですか?CMT値/Mullenは?」
  7. 間違い:壁紙(4814)の定義(幅・用途)を見落とす
    • なぜ起きる:見た目が“壁紙っぽい”で判断
    • 正しい考え方:幅45〜160cm等の定義。床にも使えるものは4823
    • 予防策:
      • 確認資料:ロール幅、用途(壁/天井専用か床兼用か)
      • 社内質問例:「床にも施工可能な仕様(耐摩耗等)ですか?」
  8. 間違い:印刷が多い紙製品を48類のままにする/逆に49類に飛ばしすぎる
    • なぜ起きる:印刷の“主従関係”が曖昧
    • 正しい考え方:印刷が主用途に対して付随的でないと49類(ただし4814/4821は例外)
    • 予防策:
      • 確認資料:印刷内容(文章・絵柄の役割)、販売形態(販促物か容器か)
      • 社内質問例:「印刷は識別・装飾程度?それとも内容物(情報)が商品価値ですか?」

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。
    例:段ボール箱(4819)なのに、紙原紙(4804/4805)でPSRを見てしまうと、工程・材料評価軸がズレて原産性判断が崩れます
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品HSと材料HS(原紙・接着剤・フィルム等)を混同
    • 「紙製」としてまとめ、39類相当のラミ材を材料側で見落とす

(実務ツール例)日本税関のPSR検索・相関表案内は、協定別に参照しやすい入口になります。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定によってPSRが参照するHS版が異なることがあります(HS2022の6桁とズレる場合あり)。
    • 例:RCEPのPSR付属書はHS2012ベースで構成されている旨が示されています。
    • 例:協定付属書が2017年改正HS(HS2017)ベースである旨が明記されている例があります。
  • ズレる場合の注意(一般論):
    • 協定が参照するHS版に合わせてPSRを確認
    • HS2022で社内管理している場合は、**相関表(旧→新)**で突合

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 最低限そろえるもの(一般論)
    • 材料表(BOM)、材料ごとの原産国、非原産材料のHS、原価
    • 工程表(どこで抄紙/塗工/ラミネート/製袋/製箱を行うか)
    • 製品仕様(坪量、層構成、塗工材、用途)
  • 証明書類・保存要件:協定・運用で異なるため、最新ガイドを確認(一般論)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正第48類注2(q)例示の「napkin liners for babies」→「napkin liners」に変更“おむつライナー”類の除外(96類扱い)をより一般化して誤解を減らす可能性
HS2017→HS2022文言修正第48類注12「not merely incidental」→「not merely subsidiary」に変更48類↔49類の境界(印刷の主従)説明の表現が変化。実務上は「印刷が主用途か」をより明確に確認したい
HS2017→HS2022(実務上)変更なしHS6桁(第48類)HS2017↔HS2022の相関表上、第48類の6桁改編対象が見当たらない(=新設/分割/統合なしの扱い)6桁番号の大規模な組替え対応は原則不要(ただし国内コードは別途改正あり得る)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料
    • WCOのHS条文(HS2017 第48類、HS2022 第48類)を比較し、類注2(q)と類注12の文言差を確認しました。
    • WCOのHS2017↔HS2022相関表(Table I/II)を参照し、第48類の6桁改編(新設/分割/統合)に該当する掲載が見当たらないことを根拠に、「6桁レベルの構造変更は原則なし」と整理しました。
  • 何が変わったと判断したか
    • コード体系(6桁)の大枠は維持されつつ、類注(解釈ルール)の文言が一部更新された、と判断しています。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

※ここは「可能な範囲で」の整理です。第48類は大規模な見出し再編が相対的に少ない一方、**衛生用品の移動(HS2012)**のように周辺章の新設が第48類の実務に大きく影響した例があります。

版の流れ主要な追加・削除・再編旧コード → 新コード(または行き先)実務メモ
HS2007→HS2012新設(章外の新見出し)4818.40(衛生用品) → 9619.00(新設)以前の社内マスタ/品名が「4818.40」起点のままだと誤分類リスクが高い
HS2012→HS2017(注の整理)ニュースプリント定義に寸法適用条件が付いた等(類注の精緻化)定義・サイズ条件を“用途”だけで代替しない運用が重要
HS2017→HS2022文言修正類注2(q)、類注12の表現変更印刷の主従、衛生用品除外の確認をより丁寧に

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):紙ラミネート材を4811で申告→39類該当
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第48類注2(g)(プラ層が過半厚なら39類、壁紙除く)
    • 起きやすい状況:商品名が「ラミネート紙」「紙パック材」等で、層厚比を確認していない
    • 典型的な影響:分類更正、追加納税、検査強化、納期遅延(一般論)
    • 予防策:断面図・厚み測定を添付して事前相談(教示)も検討
  • 事例名:おむつライナーを4818で申告→9619
    • 誤りの内容:第48類注2(q)(96類の衛生用品を除外)
    • 起きやすい状況:社内の旧HS(2007時代)情報や通称で運用している
    • 典型的な影響:分類更正、税率差の追徴、規制(表示/安全)確認のやり直し(一般論)
    • 予防策:用途(衛生用品)・構造(吸収体)を明確化、HS改正履歴をマスタに反映
  • 事例名:販促用の印刷物付き紙製品を48類で申告→49類
    • 誤りの内容:第48類注12(印刷が主用途に対し付随的でない場合は49類。例外4814/4821)
    • 起きやすい状況:パッケージとチラシ/カタログの混載、インボイス品名が曖昧
    • 典型的な影響:部分的に分類差替え、仕分け検査、通関遅延(一般論)
    • 予防策:品目ごとに用途説明・写真を用意し、混載でも品名を分離記載
  • 事例名:壁紙の要件未確認で4814申告→4823
    • 誤りの内容:第48類注9(幅・用途要件、床兼用は4823)
    • 起きやすい状況:建材カタログで「壁/床どちらもOK」なのに壁紙扱いしてしまう
    • 典型的な影響:分類更正、追加納税、サンプル提出要求(一般論)
    • 予防策:用途(床施工の可否)を明記、ロール幅・表面材仕様を提出

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • **食品用の器具・容器包装(紙コップ、紙皿、食品包装紙など)として輸入し、販売/営業使用する場合、食品衛生法に基づく輸入届出(検疫所)**が必要となる枠組みがあります。
    • 「器具・容器包装」には規格・基準があり、適合確認が求められます(一般論)。
    • 準備物(一般論):材質情報、カラー写真、パーツリスト、試験成績書など(検疫所案内に例示)。
  • その他の許認可・届出
    • 国内販売時の表示:ティシュ/トイレットペーパー等は、消費者向け表示のガイド(寸法・枚数等)があります(輸入通関そのものとは別論点ですが、販売まで見据える場合に要確認)。
  • 安全保障貿易管理
    • 第48類一般は典型的なリスト規制品ではないことが多いですが、最終用途・仕様で別管理が乗る可能性はゼロではないため、社内の輸出管理フローで確認してください(一般論)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 厚生労働省(食品等輸入手続、器具・容器包装)
    • 検疫所(輸入届出・必要資料)
    • 消費者庁(家庭用品表示のガイド)
    • 日本税関(関税率表・解説、PSR検索等)
  • 実務での準備物(一般論):
    • HS分類根拠:仕様書、組成表、層構成図、寸法、用途説明、写真、試験成績書(必要なら)
    • 規制対応:食品接触用途なら材質情報・試験成績書・届出用情報

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 形状:ロール/シート/成形品、ロール幅・シート寸法
    • 材質:繊維(機械パルプ比率、漂白/未漂白)、塗工材(無機/樹脂)、層構成
    • 加工:塗工、含浸、ラミネート、粘着、印刷(内容と役割)
    • 用途:新聞、包装、衛生、壁装、事務用品、食品接触の有無
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 39類へ飛ぶ条件(プラ層過半)を確認
    • 印刷が付随的か(48↔49)を確認
    • 衛生用品(9619)除外を確認
    • サイズ条件(4803〜4809)を確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名は「紙」「箱」だけでなく、用途+材質+形状+加工まで書く
    • 必要に応じて写真・仕様書を添付(税関照会対策)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 最終製品HSでPSRを確認(材料HSも整理)
    • HS版ズレがないか(相関表で突合)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品用の器具・容器包装なら輸入届出と基準適合確認
    • 国内販売時表示(ティシュ/トイレット等)も並行確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • HS Nomenclature 2022:Chapter 48 (参照日:2026-02-22)
    • HS Nomenclature 2017:Chapter 48 (参照日:2026-02-22)
    • HS Correlation Tables(HS2017↔HS2022:Table I/II) (参照日:2026-02-22)
    • HS Nomenclature 2007:Chapter 48(旧版) (参照日:2026-02-22)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 日本税関:第48類(HS2022)類注(和文PDF) (参照日:2026-02-22)
    • 相関表(HS2007↔HS2012)PDF(日本税関掲載) (参照日:2026-02-22)
    • PSR検索等(日本税関) (参照日:2026-02-22)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • RCEP:PSR付属書がHS2012ベースである旨の資料例 (参照日:2026-02-22)
    • HS2017ベースの付属書である旨が明記された資料例(外務省) (参照日:2026-02-22)
  • 規制(日本)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(器具・容器包装を含む) (参照日:2026-02-22)
    • 厚生労働省:Utensils, Containers, and Packaging(規格・基準) (参照日:2026-02-22)
    • 検疫所(例:輸入届出の準備資料案内) (参照日:2026-02-22)
    • 消費者庁:ティシュ/トイレットペーパー表示ガイド (参照日:2026-02-22)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第47類:木材パルプ、繊維性セルロース材料のパルプ及び古紙(Pulp of wood or of other fibrous cellulosic material; recovered (waste and scrap) paper or paperboard)実務向け整理

  • 用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
  • 本資料でいう「HSコード」は原則6桁(号)までを指します。**8桁/9桁等は国内コード(日本の統計品目番号等)**として区別します。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 木材パルプ(機械パルプ:例 GWP/TMP等)→ 4701
    • 化学木材パルプ(溶解パルプ)→ 4702
    • クラフトパルプ等(ソーダ/硫酸塩、溶解用以外)→ 4703
    • サルファイトパルプ等(亜硫酸、溶解用以外)→ 4704
    • 古紙由来の繊維パルプ(古紙を解繊して“パルプ”になったもの)→ 4706.20
    • 回収した古紙(段ボール古紙・新聞古紙・混合古紙など)→ 4707
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 紙・板紙そのもの(製品としての紙、ロール紙等)→ 第48類(4801〜)へ行きやすい
    • 紙製品(袋、箱、ティッシュ等)→ 第48類
    • 紙以外の繊維くず(ウエス等)第63類 6310(繊維製のぼろ)
    • セルロース誘導体(セルロースアセテート等)第39類(例:3912) へ行きやすい(※“パルプ”ではなく化学加工品)
    • 木材チップ/木くず第44類(例:4401) へ行きやすい(※パルプ化前)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「パルプ」か「古紙(紙くず)」か(4706 vs 4707)
    2. 化学木材パルプが“溶解用(4702)”に該当するか(類注の定義条件を満たすか)
    3. 木材由来か/木材以外(竹・綿リンター等)由来か(4701-4705 vs 4706)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **4702(溶解パルプ)**は類注に“数値基準”があるため、裏付け(試験成績等)が弱いと税関照会・再分類になりやすいです。
    • **4707(古紙)**は、環境法令上の「廃棄物」該当性が絡むと、通関以前に手続・許可が問題化し得ます(後述)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1:見出し(品目名)と、関連する注(類注)でまず決めます。第47類は「製造工程(機械/化学/複合)」「原料(木材/その他繊維性セルロース/古紙)」「漂白の有無」「樹種(針葉樹/非針葉樹)」が見出し構造に直結します。
    • GIR6:6桁(号)レベルの分岐(例:4703.11/19/21/29)を、同じ論理で当てはめます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(この類で特に重要):
    • 状態:紙(シート/ロール)なのか、解繊されたパルプなのか、単なる**古紙(くず)**なのか
    • 製造方法:機械パルプ/化学パルプ(クラフト・サルファイト)/機械+化学の複合
    • 品質情報:漂白の有無、樹種、(溶解パルプなら)不溶解分・灰分などの分析値

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:これは「紙・板紙(製品)」ですか?それとも「パルプ」または「古紙(くず)」ですか?
    • 紙・板紙(製品)→ 原則 第48類へ(第47類ではない)
    • パルプ/古紙(くず)→ Step2へ
  • Step2:古紙(くず)そのものですか?(回収した紙/板紙が、裁断・選別程度で“紙の形”を保っている)
    • Yes → 4707(古紙)へ
    • No(解繊してスラリー/シート化前の繊維状態=パルプ)→ Step3へ
  • Step3:パルプの原料は木材ですか?
    • 木材 → Step4へ
    • 木材以外(綿リンター、竹、古紙由来など)→ 4706へ(細分は2-2参照)
  • Step4:木材パルプの製法は?
    • 機械 → 4701
    • 化学 → Step5へ
    • 機械+化学の複合 → 4705
  • Step5:化学木材パルプは「溶解用(4702)」の定義を満たしますか?(類注の数値条件)
    • Yes → 4702
    • No → プロセスで分岐:クラフト等(4703)/サルファイト(4704)
  • よく迷う境界:
    • 4706.20(古紙由来“パルプ”) vs 4707(古紙そのもの)
    • 4702(溶解パルプ) vs 4703/4704(溶解用以外の化学木材パルプ)
    • 第47類(パルプ/古紙) vs 第48類(紙・板紙・紙製品)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第47類は4桁(項)が少ないため、全列挙します。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4701機械木材パルプ砕木パルプ(GWP)、TMP等木材由来・機械処理主体。化学パルプは4702-4704。
4702化学木材パルプ(溶解用)溶解パルプ(レーヨン/セルロース誘導体原料)類注に数値定義(NaOH不溶解分・灰分)。満たさなければ4703/4704へ。
4703化学木材パルプ(ソーダ/硫酸塩=クラフト)、溶解用以外クラフトパルプ(未晒/晒)未漂白/漂白、針葉樹/非針葉樹で6桁分岐。
4704化学木材パルプ(亜硫酸=サルファイト)、溶解用以外サルファイトパルプ(未晒/晒)未漂白/漂白、針葉樹/非針葉樹で6桁分岐。
4705機械的工程+化学的工程の組合せで得た木材パルプCMP/CTMP等(木材由来の複合パルプ)木材由来に限る。木材以外(竹等)の複合は4706.93側。
4706古紙由来繊維パルプ又はその他繊維性セルロース材料のパルプ古紙パルプ、綿リンターパルプ、竹パルプ「紙くず」状態は4707。木材由来は4701-4705。
4707古紙(回収した紙・板紙のくず)段ボール古紙、新聞古紙、混合古紙“紙の形”を保つ回収くず。汚染・混合は規制や別分類論点。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出):
    • 製法:機械(4701)/化学(4702-4704)/複合(4705、4706.93)
    • 用途・品質(定義):溶解用(4702)は類注で数値定義(試験条件つき)
    • 漂白:未漂白 vs 半漂白/漂白(4703、4704の下位分岐)
    • 樹種:針葉樹 vs 非針葉樹(4703、4704)
    • 古紙の“状態”:パルプ化済み(4706.20)か、古紙のまま(4707)
    • 古紙の種類:クラフト/段ボール系(4707.10)、漂白化学パルプ主体の紙(4707.20)、機械パルプ主体(4707.30)、その他混合(4707.90)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4702(溶解用) vs 4703/4704(溶解用以外の化学木材パルプ)
      • どこで分かれるか:類注の数値条件を満たすか
        • 試験:18% NaOH溶液(20℃)に1時間浸漬後の不溶解分
        • 基準:ソーダ/硫酸塩(クラフト)系は不溶解分 92%以上、亜硫酸(サルファイト)系は88%以上、さらにサルファイト系は灰分 0.15%以下
      • 判断に必要な情報:製法(クラフト/サルファイト)、分析成績(不溶解分・灰分)、製品仕様書(溶解用途のグレード)
      • 典型的な誤り:「用途が“レーヨン用”と聞いた」だけで4702にしてしまい、分析値がなく否認される
    2. 4703(クラフト等) vs 4704(サルファイト)
      • どこで分かれるか:化学パルプの製造プロセス(硫酸塩/ソーダか、亜硫酸か)
      • 判断に必要な情報:メーカーの工程情報(Kraft / Sulphite)、SDS、仕様書(製法の記載)
      • 典型的な誤り:「硫黄を使う=サルファイト」と短絡し、クラフト(硫酸塩)を4704にしてしまう
    3. 4706.20(古紙由来パルプ) vs 4707(古紙)
      • どこで分かれるか:“紙くず”のままか、解繊してパルプになっているか
      • 判断に必要な情報:写真(ベール状の古紙か、パルプシート/フレークか)、工程(離解・脱墨の有無)、形状(繊維化)
      • 典型的な誤り:「原料は古紙」なので4707と申告したが、実物は既にパルプ化された4706.20だった
    4. 4705(木材の複合パルプ) vs 4706.93(木材以外の複合パルプ)
      • どこで分かれるか:原料が木材か、その他繊維性セルロース材料か
      • 判断に必要な情報:原料(木材/竹/バガス等)、製法(機械+化学)
      • 典型的な誤り:竹パルプ(4706.30)や非木材パルプを「木材パルプの一種」と誤認して4705にしてしまう

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第10部(Section X:第47〜49類)には、部注(Section Notes)が置かれていません(WCOのHS構成上、Section Xでは“Section Notes”の記載がなく、Chapter 47〜49が列挙されています)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 「部注で一括定義される」タイプではないため、第47類は“類注(Chapter Notes)”と各見出し(Heading)の語が判断の軸です。
    • ただし、境界(第48類の紙・板紙、他部の化学品・繊維くず等)は多いので、他類側の注・定義で除外されるパターンは現場で起きます。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • Section Xに部注がないため、ここは「該当なし」とし、実務上は「類注」や「第48類側の定義・除外」で飛ぶと整理するのが安全です。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第47類の類注(注)は実務上ほぼ1点で、4702(化学木材パルプ:溶解用)の定義を数値で定めています。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「化学木材パルプ(溶解用)」=
      • 18%水酸化ナトリウム溶液(20℃)に1時間浸漬後の不溶解分が
        • ソーダ/硫酸塩(クラフト)系:92%以上
        • 亜硫酸(サルファイト)系:88%以上
      • かつサルファイト系は灰分が0.15%以下
        という要件を満たすもの。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 上記条件を満たさない化学木材パルプは、4702ではなく、製法に応じて **4703(クラフト等)または4704(サルファイト)**に分類されます(“溶解用以外”側)。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です(第47類は主に1点)。

  • 影響ポイント1:4702(溶解パルプ)に入れるための“分析条件”
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 製法(クラフト/サルファイト)
      • 不溶解分(NaOH試験条件つき)
      • (サルファイトの場合)灰分
    • 現場で集める証憑(仕様書、成分表、MSDS、カタログ、写真、工程図など):
      • メーカー仕様書(Dissolving pulpである旨と、試験値)
      • 試験成績書(NaOH不溶解分%、灰分%)
      • 製造工程概要(Kraft/Sulphite)
    • 誤分類の典型:
      • 「用途が化学繊維だから」「名称がdissolving pulpだから」で4702とし、数値基準の裏付け不足で4703/4704に更正される

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:“古紙”と聞いたので全部4707にしてしまう(実際は古紙由来パルプ)
    • なぜ起きる:原料(古紙)に引っ張られ、製品状態(パルプ化済み)を見落とす
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):古紙そのものは4707、古紙から得た繊維パルプは4706.20
    • 予防策(確認すべき資料/社内で聞くべき質問例):
      • 写真:ベール古紙か?パルプシート/フレークか?
      • 工程:離解・脱墨済みか?
      • 社内質問例:「出荷形態は“紙のまま”ですか、“繊維化(パルプ化)”されていますか?」
  2. 間違い:4702(溶解用)を“用途”だけで決めてしまう
    • なぜ起きる:営業資料や通称(dissolving)に依存し、類注の数値要件を確認しない
    • 正しい考え方:4702は**類注の定義(NaOH不溶解分・灰分)**を満たす必要
    • 予防策:
      • 試験成績書の入手(不溶解分%、灰分%)
      • 社内質問例:「4702の類注試験値(92/88、灰分0.15)は取れていますか?」
  3. 間違い:クラフト(硫酸塩)とサルファイト(亜硫酸)を混同(4703と4704の取り違え)
    • なぜ起きる:「硫黄を使う」など曖昧な理解で工程を特定できない
    • 正しい考え方:見出しは製法で分かれる(4703=ソーダ/硫酸塩、4704=亜硫酸)
    • 予防策:
      • 仕様書に「Kraft / Sulphite」を明記させる
      • 社内質問例:「蒸解薬品は何ですか?工程名(Kraft/Sulphite)は?」
  4. 間違い:漂白・未漂白を“白さの見た目”で判断
    • なぜ起きる:色味は保管・混入で変わり得る/半漂白もある
    • 正しい考え方:4703・4704は未漂白半漂白/漂白で号が分かれる
    • 予防策:
      • 仕様書で「Unbleached / Semi-bleached / Bleached」を確認
      • 社内質問例:「漂白工程(漂白剤の使用)の有無は?」
  5. 間違い:針葉樹/非針葉樹の確認不足(4703.11/19などの誤り)
    • なぜ起きる:混合材・購入材で樹種情報が伝わらない
    • 正しい考え方:4703・4704は針葉樹/非針葉樹で号が分かれる
    • 予防策:
      • 樹種(softwood/hardwood)の証明(仕様書、供給契約、製造ロット情報)
  6. 間違い:木材パルプ(4705)と非木材パルプ(4706)を混同
    • なぜ起きる:「パルプ=木材」という思い込み
    • 正しい考え方:4706は「古紙由来 or その他の繊維性セルロース材料」のパルプ
    • 予防策:
      • 原料の特定(竹、バガス、綿リンター等)
      • 社内質問例:「原料は木材100%ですか?非木材繊維は入っていますか?」
  7. 間違い:HS6桁と国内コード(8/9桁)を混同して書類が不一致
    • なぜ起きる:通関書類・原産地資料・販売管理で桁数がバラバラ
    • 正しい考え方:HSは6桁までが国際共通。8/9桁は国内コード。PSRも原則HS版(6桁)基準で読む
    • 予防策:
      • 社内マスターに「HS6桁」「国内コード」を別欄管理
      • インボイスはHS6桁を併記し、国内コードは必要時のみ別記
  8. 間違い:“紙のロール”を47類(パルプ/古紙)と誤認
    • なぜ起きる:「原料工程の途中」という説明で、実物の状態確認が不足
    • 正しい考え方:紙・板紙としての形状であれば原則48類側(紙・板紙)
    • 予防策:
      • 写真・サンプル確認(シート/ロールか、パルプシート/フレークか)

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します(誤ると原産性判断が崩れる):
    • 例:4707(古紙)を4706(古紙由来パルプ)と誤ると、PSR(CTH/WO等)の前提が変わり、原産性の結論が変わり得ます。
  • よくある落とし穴:
    • 材料のHS(古紙・薬品・木材チップ等)と最終製品のHS(パルプ/古紙)を取り違える
    • “工程基準(製造行為)”がPSRにある場合、工程記録が必要なのに、BOMだけで判断してしまう

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定本文・付属書のPSRは、協定ごとに参照HS版が異なります(一般論として、必ず協定側の版を確認します)。
  • 例(本資料で参照した範囲の一次資料ベース):
    • RCEP:PSR(Annex 3A)は HS2012版ベースである旨が明記されています。
      • さらに、RCEPではPSRのHS2022へのトランスポーズ(移し替え)が採択され、各国で実施されている旨の解説資料もあります(運用は当事国ごとに最新確認が必要)。
    • CPTPP(TPP11):PSRや関税コミットメントは、**2017年直前のHS(HS2012)**で確定した旨のガイドがあります。
    • 日EU・EPA:PSRの付属書(Annex 3-B)に「Harmonized System classification (2017)」と明記されています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • 通関は最新の国内コードで申告しつつ、PSRは協定が参照するHS版で読む必要があるため、相関表(correlation table)で“協定HS → 現行HS”を対応づけます。日本税関のPSR検索画面でも相関表参照が案内されています。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 基本データ(一般論):
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 第47類で“集め方が重要”になりやすい証憑:
    • 4701-4705(木材パルプ):木材原料の原産、蒸解・漂白工程、購入パルプなら製造国証明
    • 4707(古紙):どこで回収(収集)されたかの証憑(回収地/集荷記録等)※協定ルールにより扱いが異なるため要確認
  • 証明書類・保存要件:
    • 協定別の保管年限・様式があるため、社内手順書に落とし込み(一般論)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(少なくとも6桁体系・見出し構造)4701〜4707WCO公開のHS2017・HS2022のChapter 47の見出し/号が同一協定や社内マスターの移行負荷は小さい(※国内細分は別途)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料:
    • WCO公開のHS 2017版 Chapter 47 と、HS 2022版 Chapter 47 を比較すると、見出し(4701〜4707)および6桁(号)の列挙が同一であることを確認しました。
  • したがって:
    • HS2017→HS2022において、第47類は6桁レベルの新設・削除・分割・統合といった再編は確認できません(本資料で参照した一次資料ベース)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

ここでは、HS2007→2012→2017→2022の流れで、第47類(4701〜4707)の主要な動きを整理します。

版間追加・削除・再編の有無該当コード内容(要旨)旧コード→新コード
HS2007→HS2012実質「文言の明確化」(コード体系は維持)4706.932007では“semi-chemical”表現、2012では“機械+化学の組合せで得た”表現に明確化(同一概念の説明整理)4706.93 → 4706.93
HS2012→HS2017変更なし(6桁体系)4701〜4707見出し・号の列挙が同一変更なし
HS2017→HS2022変更なし(6桁体系)4701〜4707見出し・号の列挙が同一変更なし

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):溶解パルプ(4702)と申告したが、試験値が揃わない
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):4702の類注定義(不溶解分・灰分)を満たす裏付け不十分
    • 起きやすい状況:品名が“dissolving pulp”、用途がレーヨン向け、という情報だけで申告
    • 典型的な影響:更正(4703/4704への変更)、審査・照会で通関遅延
    • 予防策:メーカー試験成績書(NaOH不溶解分%、灰分%)を事前入手・保存
  • 事例名(短く):古紙(4707)輸入で“廃棄物該当”を指摘され手続停止
    • 誤りの内容:HS分類以前に、環境法令上の手続(バーゼル法/廃棄物処理法)確認不足
    • 起きやすい状況:混合・汚損・異物混入の古紙、用途説明が曖昧(単なる処分目的と見られる等)
    • 典型的な影響:貨物留置、追加書類要求、関係省庁確認で遅延
    • 予防策:品質基準(異物/汚染)と用途(再生利用)を明確化、必要なら事前相談
  • 事例名(短く):古紙由来パルプ(4706.20)を古紙(4707)で申告
    • 誤りの内容:製品状態(パルプ化済み)の取り違え
    • 起きやすい状況:取引名が「DIP(脱墨パルプ)」等でも、現物確認が弱い
    • 典型的な影響:分類更正、統計・原産地・契約条件(価格/歩留まり)への影響
    • 予防策:写真・サンプル・工程(離解/脱墨)を申告資料に残す
  • 事例名(短く):紙ロールをパルプとして申告(47類 vs 48類)
    • 誤りの内容:紙・板紙(第48類)を第47類として申告(状態の誤認)
    • 起きやすい状況:「原紙」「半製品」という社内呼称に引っ張られる
    • 典型的な影響:分類更正、税番差による規制・統計・PSR判断のやり直し
    • 予防策:形状(シート/ロール)と物性(紙かパルプか)を最優先で確認

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ):
    • その他の許認可・届出(廃棄物の越境移動関連)
      • 古紙(4707)や、汚損・混合物を含む貨物は、状況によってバーゼル法(特定有害廃棄物等)や廃棄物処理法の枠組みで手続が必要になる可能性があります。
        • 経産省(METI)はバーゼル法の概要・手引きを公表しています。
        • 環境省(MOE)は廃棄物等の輸出入手続・申請先を整理しています。
      • 実務ポイント:HSコードが4707でも、環境法上の「廃棄物該当性」は別途判断になり得るため、品質(汚染・混合)と用途(再生利用)を明確化し、必要なら事前相談が安全です。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 経済産業省:バーゼル法(越境移動規制)関連ページ
    • 環境省:廃棄物・特定有害廃棄物等の輸出入/手続
  • 実務での準備物(一般論):
    • 貨物の性状説明(写真、成分/異物、含水率、梱包)
    • 用途(再生利用工程、受入先の処理能力・工程)
    • 取引契約書(再生利用目的、品質条件、受入拒否時の返送条項)
    • 必要に応じて、関係省庁の事前相談記録

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • パルプか?古紙か?紙製品か?(写真・サンプル)
    • 原料(木材/非木材/古紙)、製法(機械/化学/複合)
    • 漂白の有無、樹種(針葉樹/非針葉樹)
    • 溶解パルプ主張なら:不溶解分・灰分の試験値
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 4702の類注条件を満たす証憑があるか
    • 4706.20と4707の境界(パルプ化の有無)を再確認
    • 国内コード(8/9桁)を使う場面では、HS6桁との整合を確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名に「pulp / recovered paper」等、状態が分かる記載
    • 必要に応じて工程概要・仕様書を添付
    • 数量単位(重量ベースが一般的)とドライベースの扱い確認(契約条件)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版(HS2012/2017等)を確認
    • 相関表で協定HSと現行HSの対応付け(必要な場合)
    • 木材原料や古紙回収地など、原産性の根拠資料を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 4707などで廃棄物該当性が疑われる場合:バーゼル法/廃棄物処理法の手続要否確認
    • 汚損・混合・異物混入リスクの事前評価(検査・滞留対策)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文)
    • WCO HS2022 Chapter 47(見出し・号、類注)〔参照日: 2026-02-22〕
    • WCO HS2017 Chapter 47(比較用)〔参照日: 2026-02-22〕
    • WCO HS2012/2007 Chapter 47(改正履歴確認)〔参照日: 2026-02-22〕
    • WCO HS2022 Table of Contents(Section Xに部注がないことの確認)〔参照日: 2026-02-22〕
  • 日本 税関・公的機関
    • 日本税関:第47類の類注(4702定義の和文)〔参照日: 2026-02-22〕
    • 日本税関:品目別原産地規則(PSR)検索画面(相関表案内含む)〔参照日: 2026-02-22〕
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • RCEP:Product-Specific Rules(Annex 3A)がHS2012版に基づく旨(日本税関公表資料)〔参照日: 2026-02-22〕
    • CPTPP:PSR等がHS2012で確定した旨のガイド(豪州当局資料)〔参照日: 2026-02-22〕
    • 日EU・EPA:Annex 3-B(PSR)がHS2017分類に基づく旨(MOFA公表資料)〔参照日: 2026-02-22〕
    • (参考)RCEP PSRのHS2022トランスポーズに関する解説(JETRO資料)〔参照日: 2026-02-22〕
  • 規制(廃棄物越境移動)
    • 経済産業省:バーゼル条約・バーゼル法(概要・手引き等)〔参照日: 2026-02-22〕
    • 環境省:廃棄物・特定有害廃棄物等の輸出入/手続(申請先等)〔参照日: 2026-02-22〕

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第46類:わら、エスパルトその他の組物材料の製品並びにかご細工物及び枝条細工物(Manufactures of straw, of esparto or of other plaiting materials; basketware and wickerwork)

用語(本文中で統一します)

  • 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

根拠となるHSの範囲は「HS(6桁)」です。日本の「国内コード(統計番号など)」に触れる場合は、必ず「国内コード」と明記します。


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 竹・籐(ラタン)・わら等の組物材料で作った「すだれ」「ござ」「むしろ」「マット類」(シート状のもの)→主に 4601
    • 組物材料から直接造形した「かご」「バスケット」「収納用品」「枝条細工物(ウィッカー)」→主に 4602
    • プラスチックの単繊維・ストリップ等を“編んで”作ったかご(いわゆる人工ラタン系の編み)→4602.90(代表的)
    • **紡績してない天然繊維(例:マニラ麻)**を束ねて組んだ材料から作るマット等(「糸」ではなく“未紡績繊維束”がポイント)→46類側に寄りやすい
    • へちま(loofah)の製品 → 4602(号は材質等で判断)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 壁面被覆材(ストロー等を貼った壁紙など)→ 48.14(類注で除外)
    • ひも・綱・ロープ・ケーブル(組んであるか否かを問わない)→ 56.07(類注で除外)
    • 履物・帽子(及びその部分品)→ 第64類・第65類(類注で除外)
    • かご細工製の車両・車体(例:ベビーカー等の“車両”扱い)→ 第87類(類注で除外)
    • 籐(ラタン)家具・照明器具(椅子、テーブル、ランプ等)→ 第94類(類注で除外)
    • 編んでいない成形プラスチックのバスケット(射出成形等)→ 第39類側(※46類は「組物材料」+編組プロセスが核)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 材料が「組物材料(plaiting materials)」に該当するか(単繊維/ストリップ、未紡績繊維束を含む一方、第54類の単繊維等は除外など)
    2. 形状が「シート状素材・すだれ等(4601)」か、「直接造形した製品(4602)」か
    3. 類注の除外(48.14/56.07/94類など)に当たらないか
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 「バッグ」等の品名だけで 42.02 に寄せる誤り(42類注で46.02を明確に除外
    • 「プラスチック製=39類」と短絡し、編組(組物)構造を見落とす誤り(税関の分類事例でも 46.02 扱いが示されます)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR(例:GIR1/GIR6など)を、ビジネスマン向けに説明
    • GIR1(見出し+部注/類注で決める):第46類は、類注で「組物材料」の定義と除外(48.14/56.07/94類等)が明確なので、まずここで大枠が決まります。
    • GIR6(6桁レベルの選択):4601/4602の中で、竹・籐・その他植物性・その他(例:プラスチック)へ振り分けます。
    • GIR3(複合材・セット):鉄フレーム+編組チューブ等の複合品は「何が本質か(重要な特性)」が争点になりやすいです(実例として、編組部分を“組物材料”と捉え 46.02 とした事例があります)。
    • GIR2(a)(未完成・未組立):未組立のバスケットキット等でも、提示時点で完成品の重要な特性があれば完成品扱いになる可能性があります。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 材質(素材):竹/籐/わら/いぐさ/紙ストリップ/プラ単繊維など(類注の“組物材料”の範囲確認が必須)。
    • 製法(編む・組む・平行に束ねて綴じる等):46類は“編組(plaiting/interlacing)に適する状態・形状”という製法適合が軸です。
    • 最終形状:シート状(マット/すだれ等)か、立体物(かご等)かで 4601/4602 が分かれやすいです。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:素材は「組物材料」か?
    • 例:わら、竹、籐、いぐさ、木のストリップ、未紡績天然繊維束、プラ単繊維/ストリップ、紙ストリップ → Yes
    • 例:糸(yarn)、紡織用繊維のロービング、第54類の単繊維/ストリップ → 原則 No(46類注で除外)
  • Step2:形状・用途はどちらか?
    • 4601:プラット(さなだ)・類似品、または“平行に束ねて綴じた/織った”シート状(例:すだれ、ござ、マット)
    • 4602:組物材料から直接造形した立体物、または 4601 の物品から作った製品(例:かご、収納バスケット)
  • Step3:類注の除外(他章へ飛ぶ)に当たらないか?
    • 壁面被覆材(48.14)/ひも・綱(56.07)/履物・帽子(64/65)/車両・車体(87)/家具・照明(94)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 46類(編組) vs 39類(成形プラスチック雑貨):**“編んでいるか”**が決定打になりやすいです。
    • 46.02(組物材料製のバッグ等) vs 42.02(旅行用具・バッグ類):42類注で 46.02 を除外しています(品名「バッグ」で短絡しない)。
    • 46類(シート状のすだれ等) vs 48.14(壁面被覆材):壁紙用途は 48.14 側へ。
    • 46.02(かご) vs 94類(籐家具):椅子・テーブル等の“家具機能”は 94類へ(類注で除外)。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:第46類は4桁見出しが少ないため「全列挙」です。
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4601さなだ・組物材料のシート状品(敷物、すだれ等を含む)竹すだれ、ござ、むしろ、マット、平行に束ねて綴じたシート「組物材料」の範囲が前提。壁面被覆材(48.14)やひも・綱(56.07)は類注で除外。
4602かご細工物・枝条細工物等(組物材料から直接造形/4601から製造)+へちま製品籐かご、竹かご、収納バスケット、編組プラチューブかご、へちま製品家具・照明(94類)や車両(87類)は類注で除外。バッグ形状でも“組物材料製”なら 42.02 ではなく 46.02 へ。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件(例:重量、成分割合、用途、加工状態、形状、包装、規格)の整理
    第46類の6桁分岐は、主に (A)品目タイプ(マット/すだれ等か、それ以外か)(B)材料(竹/籐/その他植物性/その他=プラ等) の組合せです。
    • 4601系(シート状/さなだ等)
      • 4601.21/22/29:植物材料製の「敷物・すだれ等」グループで、竹・籐・その他に分岐
      • 4601.92/93/94/99:**その他(上記以外)**で、竹・籐・その他植物性・その他に分岐
    • 4602系(かご等の立体製品)
      • 4602.11/12/19:植物材料製(竹・籐・その他)
      • 4602.90:その他の材料(例:プラスチックストリップ等で編んだかご)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4602.19(植物材料のその他) vs 4602.90(その他材料)
      • どこで分かれるか:素材が「植物材料」か(竹/籐以外の植物を含む)/それ以外(プラ単繊維・ストリップ等)か
      • 判断に必要な情報:原材料の材質証明(仕様書、材質表示、SDS)、写真(編組構造)、場合によりサンプル
      • 典型的な誤り:「プラスチック製だから39類」「雑貨だから39類」と短絡(実際は 46.02 とされた例あり)
    2. 4601.21(竹の敷物・すだれ等) vs 4601.92(竹のその他)
      • どこで分かれるか:製品が「敷物・すだれ等(シート状の完成品寄り)」か、あるいは「さなだ等の材料・その他」か
      • 判断に必要な情報:用途(完成品として使用するか、加工用材料か)、形状(縁加工の有無など)、販売形態
      • 典型的な誤り:シート状なら何でも“敷物”扱いにしてしまう(実態は加工用さなだ等)
    3. 4601.94(その他植物材料) vs 4601.99(その他)
      • どこで分かれるか:「その他植物材料」か、それ以外(紙ストリップ、プラストリップ等)か
      • 判断に必要な情報:素材の定義(植物か、紙か、プラか)、材料構成比、層構造(貼り合わせ等)
      • 典型的な誤り:「紙っぽい=紙製品(48類)」と決め打ち(紙ストリップは“組物材料”に含まれ得る)
    4. 42.02(バッグ類) vs 46.02(組物材料製のバッグ等)(※HS6同士の比較ではありませんが誤り頻出)
      • どこで分かれるか:バッグ形状でも、組物材料製の製品は42.02から除外され46.02へ
      • 判断に必要な情報:外面素材(革/繊維/プラシートではなく“編組した組物材料”か)、製法(編み)
      • 典型的な誤り:インボイス品名「handbag」で42.02に分類してしまう

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第46類(Section IX)は、実務上は**第46類注(Chapter Notes)**が中心で、ここで「組物材料」の定義・除外を押さえるのが近道です。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • “材質が植物っぽい”ではなく、**編組(plaiting)に適する形状(ストリップ・単繊維等)**かどうかが鍵です。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • この部(Section IX)では、典型的には**類注(第46類注2)**により 48.14/56.07/94類等へ飛びます。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 類注1:**「組物材料」**の定義(含むもの/含まないものを列挙)
    • 類注2:第46類に含めないもの(48.14、56.07、64/65、87、94)
    • 類注3:4601の用語「平行につないだ物品」の意味(シート状にしたもの、綴じ材が紡績糸か否かは不問)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「組物材料」:編組・組合せ等に適する状態/形状の材料。植物材料のストリップだけでなく、未紡績の天然繊維、プラ単繊維・ストリップ、紙ストリップも含み得る一方、第54類の単繊維・ストリップ等は除外とされています。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 壁面被覆材(48.14)/ひも・綱・ケーブル(56.07)/履物・帽子(64/65)/車両・車体(87)/家具・照明(94)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:“素材が何か”より先に「組物材料」該当性(形状・状態)を見る
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 材料がストリップ/単繊維/未紡績繊維束など「編める形」か
      • 第54類の単繊維等に該当しないか(糸・フィラメント扱いの可能性)
    • 現場で集める証憑:仕様書(寸法・形状)、SDS/材質証明、製造工程図、現物写真(編組構造)
    • 誤分類の典型:
      • “プラスチック製=39類”としてしまい、編組構造と類注1(プラ単繊維等も組物材料に含む)を見落とす
  • 影響ポイント2:ひも・綱(56.07)への除外で、46類の「編み」と56類の「ロープ」が分かれる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 物品が“シート状(すだれ・マット等)/立体物(かご)”なのか、“ロープ状(綱)”なのか
      • ロープ状の場合、類注2(b)で56.07へ除外
    • 現場で集める証憑:形状写真、用途説明、商品カタログ、梱包形態
    • 誤分類の典型:
      • “編んである=46類”と誤認し、56.07(ひも・綱)を見落とす
  • 影響ポイント3:家具・照明(94類)への除外で、籐製品が46.02から外れる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 物品の本質が「収納用のかご」なのか、「座る/置く等の家具機能」なのか、「照明器具」なのか
      • 家具・照明は類注2(e)で94類へ
    • 現場で集める証憑:用途説明、寸法・耐荷重、組立説明書、電気部品有無(照明の場合)
    • 誤分類の典型:
      • 籐椅子を「籐製=46.02」としてしまう(実際は家具)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:ストローハンドバッグ等を 42.02(バッグ)で申告
    • なぜ起きる:インボイス品名が“bag/handbag”で、形状(バッグ)だけ見てしまう
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):42類注で「組物材料の製品(46.02)」を 42.02 から除外しています。素材が組物材料で、製法が編組なら 46.02 を検討します。
    • 予防策:外面素材(編組材か)、製法、材料一覧(BOM)を事前に確認。「外面は何でできていますか?(革/繊維/シート状プラではなく、編んだストロー等ですか?)」を社内質問に入れる。
  2. 間違い:プラスチック製の“編みかご”を 39類(プラスチック製家庭用品等)へ短絡
    • なぜ起きる:材質だけで決め、46類注1がプラ単繊維/ストリップ等を「組物材料」に含める点を見落とす
    • 正しい考え方:編組したプラチューブのかごを 46.02(4602.90)とした税関分類事例があり、編組構造・類注1が根拠になります。
    • 予防策:写真(編組構造)、材質証明、工程(編み込みか/成形か)を必須提出物に。
  3. 間違い:籐(ラタン)椅子・家具を 46.02 で申告
    • なぜ起きる:「籐=かご細工」という先入観
    • 正しい考え方:第46類注2(e)で第94類(家具・照明等)を除外。籐椅子は家具として94類側が原則です。
    • 予防策:用途(座る/置く/照明等)を確認し、家具機能なら 94類を起点に再検討。商品仕様(耐荷重・組立)を回収。
  4. 間違い:ロープ状の物品(なわ等)を 46類で申告
    • なぜ起きる:“組んである=46類”という誤解
    • 正しい考え方:第46類注2(b)で、ひも・綱・ケーブル(56.07)を46類から除外。
    • 予防策:形状がロープ状かシート状か、用途(結束/吊り下げ/敷物)を確認。サンプル写真を税番検討票に添付。
  5. 間違い:ストロー等の壁面材(壁紙)を 4601(マット類)にしてしまう
    • なぜ起きる:見た目が「シート状」なので 4601 に寄せがち
    • 正しい考え方:第46類注2(a)で 48.14(壁面被覆材)を除外。壁面被覆用途は48類側を検討します。
    • 予防策:用途(壁面施工用か)、裏面処理(接着剤塗布等)、施工方法の資料を入手。
  6. 間違い:竹箸・竹の板材など、編組していない竹製品を 46類に入れる
    • なぜ起きる:「竹=組物材料」の連想
    • 正しい考え方:46類は“組物材料として編組した製品”が中心。編組していない竹の木製品は第44類側の検討が通常です(※最終判断は個別仕様)。
    • 予防策:製法(編む/組む/切削・成形)を工程表で確認し、編組がない場合は44類など他類も併走検討。
  7. 間違い:未紡績天然繊維束を“糸”と誤認し、56類/58類へ寄せる
    • なぜ起きる:繊維=紡織品と決めつける
    • 正しい考え方:46類注1は「紡績してない天然の紡織用繊維」を組物材料に含めます。分類例規でも、未紡績束→46類側で整理されています。
    • 予防策:繊維が“紡績されているか(糸か)”を仕様で確認。束の写真・断面・撚りの有無を保存。
  8. 間違い:4601(シート状)と4602(直接造形品)を混同
    • なぜ起きる:どちらも“編み物”に見える
    • 正しい考え方:4602は「直接造形した製品」または「4601から製造した製品」。立体物の最終製品は4602に寄りやすいです。
    • 予防策:販売形態(完成品/中間材)、形状(立体/シート)、用途(収納/敷物)をチェックシート化。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること(誤ると原産性判断が崩れる)
    PSRは通常、最終製品のHS(多くは6桁)で引かれます。第46類は「バッグ」等で42.02と誤るとPSRが別物になり、原産性判断(CTC/RVC等)を誤るリスクがあります。
  • よくある落とし穴(材料のHS、最終製品HS、工程の評価軸)
    • 最終製品が 4602 なのに、材料(例:プラストリップ)側のHSだけで議論してしまう
    • “組物材料”の定義(未紡績繊維束など)を誤り、材料HSがずれる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記
    例(日本の代表例):
    • CPTPP(TPP11):HS2012参照
    • 日EU・EPA:HS2017参照
    • RCEP:HS2012ベースからHS2022へ置換されたPSRが採択され、2023-01-01からHS2022版PSRで運用
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
    • 自社の品番管理がHS2022でも、協定がHS2012/2017参照なら、PSRはその版で読まないとズレます。
    • RCEPは、PSRはHS2022に置換でも、制度運用上「HS2012を暫定的に使う部分が残る」旨の注意喚起があります(税率差ルール関連)。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • 旧版HS→新版HSの対応は、相関表・当局ガイダンスでコードの“読み替え”を行い、PSRの対象コードを確定します(協定・税関ガイダンス優先)。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
    • 組物材料(例:籐ストリップ、プラストリップ等)のHS、原産国、重量/価額
    • 加工工程(編組・縫製・フレーム組立)と、それがPSRの「工程基準」に関係するか
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 協定・税関ガイダンスに従い、サプライヤー証明、工程資料、計算根拠を保存(年限・形式は協定ごとに要確認)。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(第46類としての項・号構成/類注に実質変更なし)4601/4602(Chapter 46)4桁は2項、6桁区分(竹/籐/その他植物/その他)と類注の除外構造が同一分類ロジックは継続。協定(PSR)が参照するHS版(2012/2017/2022)の違いには引き続き注意。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料(相関表、WCO条文、各国税関の解説、協定付属書など)と判断根拠
    • WCOのHS条文(HS2022 Chapter 46)では、項(46.01/46.02)、号(4601.21〜、4602.90など)、類注1〜3が示されています。
    • WCOの旧版条文(HS2007 Chapter 46)を確認すると、同一の項・号構成と同趣旨の類注が掲載されています。
    • 以上より、少なくともHS2007→HS2022の間で、第46類のHS6レベルの骨格(4601/4602の構造、類注の主要要素)は維持されていると判断できます(中間版のHS2012/2017でも大幅改変があった形跡は通常相関表等に現れます)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第46類は、少なくともHS2007とHS2022で項・号の枠組みが同一であり、主要な追加・削除・再編は確認できません。

(整理表:主要コードの“同一維持”の確認)

変遷主要コード旧コード→新コード(または行き先不明)メモ
HS2007→HS2012→HS2017→HS202246014601→4601(変更なし)竹/籐/その他の区分構造が維持
HS2007→HS2012→HS2017→HS202246024602→4602(変更なし)植物材料(竹/籐/その他)+その他(例:プラ)構造が維持

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):ストロー壁紙を4601で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第46類注2(a)(48.14の壁面被覆材は除外)
    • 起きやすい状況:品名が「ストローマット」「シート」で、用途(壁面施工)を書かない
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化・遅延(一般論)
    • 予防策:用途(壁面被覆)・施工方法・裏面処理を資料化し、48.14との比較メモを残す。
  • 事例名(短く):なわ・綱を46類で申告
    • 誤りの内容:第46類注2(b)(56.07のひも・綱等は除外)
    • 起きやすい状況:輸送・梱包資材として「編んだ素材」だけで判断
    • 典型的な影響:修正申告、分類照会、遅延(一般論)
    • 予防策:形状(ロープ状/シート状)を写真で明確化。用途(結束用/敷物用)をインボイス品名に反映。
  • 事例名(短く):籐(ラタン)椅子を4602で申告
    • 誤りの内容:第46類注2(e)(家具は94類)
    • 起きやすい状況:「籐=かご細工」と素材名で判断、用途(座る家具)を見落とす
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化(一般論)
    • 予防策:商品カテゴリ(家具)・用途・耐荷重・組立説明書で94類を先に確認。
  • 事例名(短く):編組プラチューブかごを39類で申告
    • 誤りの内容:第46類注1(プラ単繊維・ストリップ等を組物材料に含む)を見落とす
    • 起きやすい状況:材質欄に「plastic」だけ書かれ、編組構造の説明・写真がない
    • 典型的な影響:分類差戻し、サンプル提出、遅延(一般論)
    • 予防策:編組構造が分かる写真+税関の類注根拠メモを準備(類似事例の存在も参考)。
  • 事例名(短く):ストローバッグを4202で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):42類注3(A)(b)(46.02を除外)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が「handbag」「shopping bag」だけ
    • 典型的な影響:税番更正、税率・原産地規則(PSR)見直し(一般論)
    • 予防策:外面素材(編組材)と製法(plaited)を品名・明細に入れる。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • {日本}前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 植物検疫(植物防疫所)
      • 輸入植物検疫は、病害虫付着のおそれがある植物が対象で、高度に加工されたもの等は対象外になり得ると整理されています(ただし個別判断)。
      • 一方で、規程上「わら類(稲わら、麦わら、なわ、むしろ等)」が検疫対象として扱われる場面があるため、わら・むしろ等は要注意です(検査や消毒等の措置が規定され得ます)。
      • 税関手続では、植物防疫所の証明等が関税法70条の「他法令証明」として扱われる運用整理があります(該当時は書類不備で止まりやすい)。
    • (用途によって)動物検疫(家畜伝染病予防法)
      • わら・乾草は、用途・態様により動物検疫の対象となる整理があります(例:飼料・敷料用途等)。取り扱いは事前確認が安全です。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 第46類の典型素材(竹・籐等)はCITESの中心ではないことが多い一方、材料植物がCITES掲載種に該当する場合は、輸出国のCITES許可書等や、種によっては日本側の輸入承認等が必要になります。
    • 確認のコツ:通称名ではなく、可能なら学名(属・種)まで押さえて照合します。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 第46類の一般的な民生雑貨は該当しにくい傾向ですが、輸出先・用途・付属品(例:照明の電気部品等)によって別観点が入ることがあります(個別確認)。
  • その他の許認可・届出
    • 中古品(中古のむしろ等)や植物由来品の一部は、検疫指定物品として追加要件が出る可能性があるため、取引形態(新品/中古)も確認します。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 税関:関税率表解説・分類例規、カスタムスアンサー
    • 農林水産省 植物防疫所:輸入植物検疫の対象/FAQ
    • 経済産業省/税関:CITES輸入手続
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書(材質・寸法・製法)、写真、用途説明、材料証明(SDS等)、必要に応じて検疫・CITES書類

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 材料:竹/籐/わら/紙/プラ単繊維・ストリップ等(混材の場合は割合も)
    • 製法:編組(plaiting)か、成形(molded)か、貼り合わせ(wall covering)か
    • 形状:シート状(4601寄り)/立体物(4602寄り)
    • 仕様資料:写真、カタログ、工程図、サンプル
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注1(組物材料の定義)と類注2(除外)を再確認
    • バッグ形状なら42類注(46.02除外)も横断確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名に「plaited / woven」「material(bamboo/rattan/PP strip等)」を入れて誤解を減らす
    • 国内コードで面積申告が必要なもの(例:畳表)等は計算法に注意(付録A参照)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS年版(2012/2017/2022)を確認し、必要なら相関表で読み替え
    • BOM、非原産材料HS、工程、原価(RVCなら計算根拠)を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • わら・むしろ等:植物検疫(場合により動物検疫)を事前確認
    • 素材植物の学名が不明な場合:CITES該当性を確認(該当ならMETI/税関手続)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文)
    • HS Nomenclature 2022 – Chapter 46(0946_2022E) (参照日:2026-02-21)
    • HS Nomenclature 2007 – Chapter 46(0946_2007E) (参照日:2026-02-21)
    • Correlation Tables HS 2017–2022(案内ページ) (参照日:2026-02-21)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 関税率表(輸入統計品目表)の解釈に関する通則(tuusoku) (参照日:2026-02-21)
    • 第46類 類注(46r.pdf) (参照日:2026-02-21)
    • 分類例規(46rd.pdf:畳表/畳床、むしろ等の国内コード論点) (参照日:2026-02-21)
    • 分類事例:ポリエチレン製チューブを組み上げたかご(46.02) (参照日:2026-02-21)
    • 第42類 解説(42r.pdf:42.02から46.02を除外する注) (参照日:2026-02-21)
  • 検疫・規制
    • 植物防疫所:輸入植物検疫の対象とならない植物(概要) (参照日:2026-02-21)
    • 植物防疫所:輸入植物検疫規程(わら類等の取扱いの例) (参照日:2026-02-21)
    • 税関通達:輸入植物等の通関時取扱い(他法令証明の扱い等) (参照日:2026-02-21)
    • 農林水産省(動物検疫関連):わら及び乾草の輸入検疫要領 (参照日:2026-02-21)
    • 経産省:ワシントン条約規制対象貨物の輸入承認手続き (参照日:2026-02-21)
    • 税関:ワシントン条約該当物品の輸入規制(カスタムスアンサー等) (参照日:2026-02-21)
    • 外務省:ワシントン条約(CITES)の概要 (参照日:2026-02-21)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • 税関:RCEP協定 HS2022版PSRの採択・実施(案内) (参照日:2026-02-21)
    • 外務省:RCEP協定 HS2022に従ったPSR採択(案内) (参照日:2026-02-21)
    • 経産省:RCEP(税率差ルール)手続に関する注意(HS版の扱い) (参照日:2026-02-21)
    • 税関:協定・法令等/EPAとは (参照日:2026-02-21)
    • 税関:TPP11(CPTPP)及び日EU・EPA 原産地規則(実務編) (参照日:2026-02-21)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第45類:コルク及びその製品(Cork and articles of cork)

本資料では、**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**として用語を統一します。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 天然コルク(粗のもの/単に調製したもの)、コルクくず、破砕・粒状・粉砕コルク(例:粒状コルク断熱材、コルク粉)〔45.01〕
    • 鬼皮を除いたコルク、粗く角にしたコルク、長方形(正方形含む)ブロック・板・シート・ストリップ、角が鋭い栓用ブランク〔45.02〕
    • 天然コルクの製品(例:コルク栓、丸縁ブランク、ディスク/ワッシャー、マット、ハンドル、ガスケット等)〔45.03〕
    • 凝集コルク(アグロメレート)とその製品(例:パネル、ブロック、タイル、円柱・円盤、その他成形品)〔45.04〕
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 履物・履物部分品(例:コルク底・コルク中敷き等)→ 第64類(類注で除外)
    • 帽子・帽子部分品(例:コルクを用いた帽体/つば等)→ 第65類(類注で除外)
    • 玩具・遊戯用具・運動用具等(例:釣り糸用のうき等を含む)→ 第95類(類注で除外)
    • 卑金属製の王冠(クラウンキャップ)+コルクディスク83.09(「金属製品」が本体のため)
    • コルク製カートリッジワッド93.06
    • リノリウム等の床材としての性質を持つもの59.04(凝集コルクの説明上の除外)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • 天然コルクか/凝集コルク(粒を固めたもの)か(45.03⇔45.04の分岐)
    • 「素材の形(ブロック・板・シート・ストリップ)」段階か/「製品(栓・マット等)」か(45.02⇔45.03の分岐)
    • コルクが“主役”か“従属部品”か(複合栓・注ぎ口付き栓等はGIR3(b)で他章へ行くことあり)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 食品用の栓・栓部材(輸入):HS誤りが原因で、原産地規則(PSR)選択ミスや、食品接触材としての届出・試験要否の判断がずれる可能性があります(結果:通関遅延・追加対応)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(品目表の文言+注):第45類は類注(除外)が短く明確なので、まず「履物/帽子/第95類か」を注で落とします。
    • GIR6(号=6桁の選択):45.01/45.03/45.04は6桁で用途・形状が分かれるため、最終的に6桁の文言で詰めます。
    • GIR3(b)(複合品・結合品):例えば「注ぎ口(プラスチック)+コルク栓」のように、コルクが従属的な場合は、全体に本質的特性を与える材料/部分で分類が変わります(第45類にならないことがある)。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 材質:天然コルクか、粒状コルクを固めた凝集コルクか(接着剤使用の有無も含む)。
    • 加工度/形状:粗・単に調製(45.01)→鬼皮除去・角取り/長方形素材(45.02)→製品(45.03)という“加工段階”の発想が重要です。
    • 用途(客観用途):栓、密封ディスク、マット、断熱材、釣り用うき等で他類へ飛びやすいです。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:「履物・帽子・玩具/スポーツ用品」用途/形態か?
    • Yes → 第64/65/95類へ(第45類注で除外)
    • No → Step2へ
  • Step2:天然コルクか/凝集コルクか?
    • 天然 → Step3へ(45.01/45.02/45.03のどれか)
    • 凝集(粒を固めたもの)→ 45.04(ただし床材の“リノリウム的性質”が強い場合は59.04の可能性)
  • Step3:天然コルクの場合、素材段階か製品か?
    • 粗・単に調製/くず/粒状・粉状 → 45.01
    • 鬼皮除去・粗く角にした/長方形素材・角が鋭いブランク → 45.02
    • 上記以外で「栓・マット・ガスケット等の製品」→ 45.03
  • Step4:6桁で確定(例:栓なら4503.10、その他製品は4503.90…)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 45.02(長方形素材) vs 45.03(製品):長方形以外の形状に切った板・シート等は「製品」扱いになりやすいです。
    • 45.03(天然製品) vs 45.04(凝集製品):見た目が似ていても、粒を固めた“凝集”かどうかが決定的です。
    • 45.03(コルク部品) vs 83.09/93.06/95類:王冠、弾薬部材、釣り用具など、用途・組合せで他類へ移ります。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4501天然コルク(粗・単に調製)、コルクくず、破砕/粒状/粉砕コルク剥いだままのコルク樹皮、トリミングコルク、コルクくず、粒状コルク鬼皮除去や粗く角取りしたものは4502へ。凝集(固めた)ものは4504へ。
4502天然コルク(鬼皮を除いたもの等)・長方形ブロック/板/シート等(鋭角ブランク含む)debacked cork、粗く角にしたコルク、長方形のコルク板、角が鋭い栓用ブランク長方形以外に切った板等は“製品”扱いで4503へ。丸縁ブランクは4503へ。
4503天然コルクの製品ワイン用コルク栓、ディスク/ワッシャー、マット、ハンドル、ガスケット複合栓でコルクが従属なら他類へ。王冠(83.09)、弾薬ワッド(93.06)、釣り糸うき等(95)に注意。
4504凝集コルク(結合剤あり/なし)とその製品凝集コルクパネル、コルクタイル、円柱・円盤、断熱材成形品床材でリノリウム等の性質が強い場合は59.04の可能性。

(出典:WCO HS2022 Chapter 45、税関「関税率表解説」第45類)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で多い軸)
    • 加工度:粗/単に調製(4501.10)⇔鬼皮除去・角取り(4502.00)⇔製品(4503/4504)
    • 形状:長方形素材(4502.00)⇔長方形以外に成形・切断(4503扱いになりやすい)
    • 天然 vs 凝集:天然製品(4503)⇔凝集製品(4504)
    • 用途(栓か否か):栓(4503.10)⇔その他(4503.90)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4501.10(粗/単に調製) vs 4502.00(鬼皮除去・粗く角取り・長方形素材)
      • どこで分かれるか:鬼皮を完全に除去したか/粗く角にして両面が平行に近いか、長方形素材に加工したか。
      • 判断に必要な情報:加工工程(削り・焼き・洗浄・蒸気処理の有無)、写真(表裏・端部)、寸法形状、製品仕様書。
      • 典型的な誤り:「表面清浄=鬼皮除去」と誤認して4502にしてしまう(実際は4501.10の範囲)。
    2. 4502.00(鋭角ブランク含む) vs 4503.10(栓・丸縁ブランク)
      • どこで分かれるか:角が鋭い(鋭角)ブランク=4502縁が丸いブランク(栓として確認可能)=4503.10
      • 判断に必要な情報:ブランクの形状(角の丸み)、用途(栓としての同定可能性)、加工(面取り/丸め)。
      • 典型的な誤り:栓用ブランクを全部4502に寄せる(“丸縁”の要件を見落とす)。
    3. 4503.10(栓) vs 4503.90(その他)
      • どこで分かれるか:容器を閉鎖する「栓」か、ディスク・ワッシャー・マット等の「その他製品」か。
      • 判断に必要な情報:用途(容器閉鎖か)、形状(円柱・角柱形等)、販売形態(栓として販売されるか)。
      • 典型的な誤り:王冠用の薄いコルクディスクを「栓」として4503.10にする(一般に4503.90側で扱われる注意点あり)。
    4. 4503(コルク部品) vs 83.09(王冠)
      • どこで分かれるか:卑金属製の王冠が本体でコルクが裏張りなら83.09へ。
      • 判断に必要な情報:構成(王冠+裏張り材)、主要材料、完成品としての機能。
      • 典型的な誤り:コルクが入っているだけで第45類に寄せる。
    5. 4504(凝集コルク) vs 59.04(リノリウム等の床材)
      • どこで分かれるか:凝集コルクでも、リノリウム等に類する床材としての性質を持つ場合は59.04側の検討が必要。
      • 判断に必要な情報:組成(コルク粉+樹脂/油等)、裏打ち(繊維基材の有無)、製品規格・用途(床材としての性能)。
      • 典型的な誤り:床材は全部4504と決め打ちする。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第45類が属する第9部(Section IX)には、独立した「部注(Section Notes)」が置かれていません(WCOの章立て上、Section IXは章(44〜46)の列挙から始まります)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 「部注で一括除外」というより、各類注(Chapter Notes)と見出し文言で境界を作る部です。
    • したがって第45類は、まず**類注(第45類注1)**を最優先で確認するのが近道です。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 該当なし(※飛び先は主に第45類注と、各項の解説上の除外で発生します)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第45類注はシンプルで、(a)履物(第64類)、(b)帽子(第65類)、(c)第95類の物品を除外します。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 類注自体に詳細定義は多くありませんが、実務上は「天然コルク」「凝集コルク」「鬼皮除去」などを、解説(Explanatory Notes相当)で具体化して考えます。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 履物・履物部分品 → 第64類
    • 帽子・帽子部分品 → 第65類
    • 玩具・遊戯用具・運動用具等 → 第95類
    • 参考:解説上、王冠(83.09)、**カートリッジワッド(93.06)**なども第45類から外れる例として挙げられています。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:用途が第64類/第65類/第95類に当たると、コルク製でも第45類に残れない
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 製品カテゴリ(靴か、帽子か、玩具・スポーツ用品か)
      • 使用実態(例:釣り糸用のうき=釣り用具としての扱い)
    • 現場で集める証憑:
      • 商品カタログ/EC表示(用途表示)
      • 形状写真(装着部位が履物/帽子か、スポーツ用具の一部か)
      • セット構成(玩具セット等)
    • 誤分類の典型:
      • 「素材がコルクだから45類」と決め打ちし、用途(履物・帽子・スポーツ用途)を見落とす。
  • 影響ポイント2:“漁網用”のうき(例示)と、“釣り糸用”のうき(除外例示)のように、同じ“うき”でも帰属が変わる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • うきが「漁網に取り付ける資材」なのか、「釣り糸の仕掛け(釣り用具)」なのか
      • 販売チャネル(漁業資材か、レジャーフィッシング用品か)
    • 現場で集める証憑:
      • 用途説明(仕様書・パッケージ)
      • 使用写真、取付方法図
    • 誤分類の典型:
      • うきを一律に45.03へ入れる(第95類側の可能性を確認しない)。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:「コルクシート=全部4502」としてしまう
    • なぜ起きる:形状(シート)だけ見て、天然/凝集長方形以外の成形を見ないため。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):4502は「天然コルクの長方形素材」が中心。凝集なら4504、長方形以外に切断・成形して“製品”なら4503寄りになります。
    • 予防策:
      • 仕様書に「天然/凝集」「粒状を固めたか」「接着剤の有無」を入れる
      • 図面で“長方形(正方形含む)”かどうかを明確化
  2. 間違い:4501.10(単に調製)と4502.00(鬼皮除去)を取り違える
    • なぜ起きる:「表面処理=鬼皮除去」と思い込みやすい。
    • 正しい考え方:4501.10には、表面清浄・端部整理・殺菌、温湯/蒸気処理後に平坦化したもの等が含まれ得る一方、鬼皮を除いたものや粗く角取りしたものは4502側です。
    • 予防策:
      • 工程表(削り・焼き・剥離の範囲)を入手
      • 表裏の写真を要求(外皮が残っているかの確認)
  3. 間違い:栓用ブランクを全部4502.00にしてしまう
    • なぜ起きる:「ブランク=素材」という先入観。
    • 正しい考え方:鋭角ブランクは4502に含まれる一方、縁が丸い等、栓として確認可能なブランクは4503.10側に入る扱いがあります。
    • 予防策:
      • 角の形状(面取り/丸め)を仕様書に記載
      • “最終用途(栓)としての同定可能性”を明示
  4. 間違い:「注ぎ口付き栓(ポアラー)」を4503.10にしてしまう
    • なぜ起きる:商品名が「コルク栓」として売られているため。
    • 正しい考え方:金属・プラスチックの注ぎ口が主体で、コルクが従属なら、GIR3(b)で本質的特性により他類へ行き得ます(解説でも“コルクが従属的な栓”は他項へ、という趣旨が示されています)。
    • 予防策:
      • 部品構成比(材料・重量・価額)と機能の中心を整理
      • “コルク部分が交換可能か/単なる保持部材か”を確認
  5. 間違い:王冠(クラウンキャップ)を「コルク部材があるから45類」とする
    • なぜ起きる:裏張り材(コルク)だけに注目する。
    • 正しい考え方:卑金属製王冠であれば、裏張りがコルクでも83.09側が示されます。
    • 予防策:
      • 完成品の主要材質(外殻)と機能(密封機構)で分類検討
      • “裏張り材だけ別HS”と考えない
  6. 間違い:コルク製カートリッジワッドを45類に入れる
    • なぜ起きる:材質がコルクで、見た目がディスク/ワッシャーに似るため。
    • 正しい考え方:弾薬部材は93.06に行く除外例が示されています。
    • 予防策:
      • 用途(弾薬・カートリッジ用途)をインボイス/仕様書に明示
      • ミリタリー/狩猟用途の有無を社内ヒアリング
  7. 間違い:凝集コルク床材を全部4504にしてしまう
    • なぜ起きる:「コルク床=4504」と単純化するため。
    • 正しい考え方:凝集コルクでも、リノリウム等に類する床材としての性質がある場合は59.04の検討が必要(解説上の注意)。
    • 予防策:
      • 組成(コルク粉+油/樹脂/充填材)・裏打ち(繊維)を確認
      • MSDS/SDS・技術データシートを入手
  8. 間違い:ガスケット/シールを単品の45類で申告するが、実は“セット”として8484に該当
    • なぜ起きる:部品単品発想でセット性を見落とす。
    • 正しい考え方:解説では、ガスケット等でも「84.84項に含まれる取りそろえてセットにしたもの」は除外される旨が示されています。
    • 予防策:
      • 梱包明細(セット同梱の有無)を確認
      • “用途が特定機械のシールセットか”をヒアリング

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること
    • PSRは通常、項(4桁)や号(6桁)単位で規則が決まるため、例えば「4503(天然コルク製品)」か「4504(凝集コルク製品)」かを誤ると、原産性判断の前提が崩れます。
  • よくある落とし穴
    • 材料のHSと最終製品のHSを混同(材料が4501でも、最終が4503/4504になり得る)
    • 複合品(キャップ付き栓など)でGIR3(b)の結果が変わる→PSRも変わる可能性

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 経済連携協定等によって、採用しているHSコードのバージョンが異なり、協定が採用していないHS版で検索すると結果が誤る可能性がある旨が税関PSR検索画面で注意喚起されています。
  • 具体例(代表例として)
    • RCEP:当初はHS2012に基づくPSRでしたが、税関案内では「HS2022に置き換えたPSRが採択され、2023/1/1から実施」とされています。
    • 日EU・EPA:EU側案内(Access2Markets)では、関税確認に用いる品目コードはHS(HS2017)に基づく旨が示されています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • ①通関申告は原則「最新の国内コード」で行う
    • ②原産地証明・PSR判断は「協定が参照するHS版」で行う
    • ③必要に応じて、旧HS版⇔新HS版の対応(トランスポジション)を使って整合させる
      (この運用の注意喚起自体は税関のPSR検索画面・案内にも記載があります。)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
    • コルク原料(4501/4502)→加工(成形・凝集・打抜き等)→最終品(4503/4504)を工程で説明できるようにする
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 税関の原産地規則マニュアル等、協定別の運用ガイドを参照し、必要書類(材料証明、製造工程資料、計算根拠等)を保存します。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし第45類(4501〜4504)見出し・号の構成が同一章内のコード移行対応は原則不要(ただし国内コードや協定HS版の差は別途注意)
HS2012→HS2017変更なし第45類(4501〜4504)同上同上
HS2007→HS2012変更なし第45類(4501〜4504)同上同上

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料
    • WCOのHS条文(Chapter 45)について、HS2007/2012/2017/2022の各版を突合し、項(45.01〜45.04)および号(4501.10/4501.90/4502.00/4503.10/4503.90/4504.10/4504.90)の構成・文言が実質的に同一であることを確認しました。
  • 何が変わったと判断したか
    • 上記のとおり、**第45類に関しては改正(新設/削除/分割/統合等)が確認できないため、「変更なし」**と整理しました。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第45類は、少なくともHS2007→HS2012→HS2017→HS2022の範囲で、主要コード体系(4501〜4504、各6桁)が継続しています。

HS2007HS2012HS2017HS2022備考
4501450145014501継続(同一構成:4501.10/4501.90)
4502450245024502継続(4502.00)
4503450345034503継続(4503.10/4503.90)
4504450445044504継続(4504.10/4504.90)

※ただし、**各国の国内コード(8桁/9桁等)**や、FTA/EPAが参照するHS版は別問題として変動し得ます(後述)。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):コルク中敷きの45類申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第45類注で「履物・部分品(第64類)」除外に抵触
    • 起きやすい状況:商品名が「コルクインソール」「コルクソール」で材質が強調される
    • 典型的な影響:修正申告、検査強化、納期遅延(一般論)
    • 予防策:用途(履物の部分品)を先に確定し、64類を起点に検討。写真・装着例を添付。
  • 事例名:コルク製帽体パーツの45類申告
    • 誤りの内容:第45類注で「帽子・部分品(第65類)」除外に抵触
    • 起きやすい状況:ハンドメイド材料として輸入し、品名が曖昧
    • 典型的な影響:差止・補正要求・説明資料追加(一般論)
    • 予防策:最終用途(帽子部材)と形状(つば/帽体)を明示、65類で検討。
  • 事例名:釣り糸用コルクうきの45類申告
    • 誤りの内容:第45類注で「第95類の物品」除外に抵触(解説でも釣り糸用うきが例示)
    • 起きやすい状況:漁網用資材(45.03側)と混同
    • 典型的な影響:税番更正、通関遅延(一般論)
    • 予防策:用途証明(釣り用具か漁業資材か)を仕様書・販売資料で明確化。
  • 事例名:“スポーツ用”コルク部材の45類申告
    • 誤りの内容:第45類注の「運動用具等(第95類)」除外に抵触
    • 起きやすい状況:「スポーツ用品の部品」でも材質がコルクだと45類に寄せがち
    • 典型的な影響:追加資料要求、分類変更(一般論)
    • 予防策:第95類の範囲確認、機能・用途で判断。必要なら事前教示。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 植物検疫(輸入):植物防疫所の案内では、「籐及びコルク」は輸入植物検疫の対象とならないとされています。税関のカスタムスアンサー(植物防疫法)でも、コルクは検査不要の例として記載されています。
    • 食品衛生(輸入・用途次第):販売・営業用に輸入する「食品等」には、食品、添加物、器具、容器包装等が含まれ、検疫所への輸入届出が必要とされています。コルク栓等が「容器包装」や「器具」に該当し得るため、食品用途(ワイン・飲料の栓等)では該当性を確認してください。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • コルク(Quercus suber等)自体は通常CITESの典型対象ではありませんが、輸入国側の規制は別途あり得るため、産地・樹種の特定が必要な取引は注意してください(一般論)。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 第45類単体は一般に該当しにくいですが、最終用途・最終需要者・他部材との組合せで審査が必要になるケースはあり得ます(一般論)。
  • その他の許認可・届出
    • 輸出先がEU等の場合:食品接触材(Food Contact Materials)規制への適合情報提供が求められることがあり得ます(包装・栓用途の場合)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 植物検疫:農林水産省 植物防疫所(「対象とならない植物」等)
    • 食品衛生:厚生労働省「食品等輸入手続」/検疫所窓口
    • FTA/EPA:税関(PSR検索、協定別案内)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書(材質、天然/凝集、加工工程)
    • 写真(表裏・端部・断面)
    • 成分/材料情報(接着剤や裏打ち材がある場合)
    • 用途資料(食品用途・スポーツ用途・履物/帽子用途などの判断資料)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 天然コルクか凝集コルクか(製法、粒状の有無)
    • 形状(長方形素材か、成形品か、栓か)
    • 複合品なら構成部材(材質・重量・価額・機能)と“主役”はどれか
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第45類注:履物(64)・帽子(65)・第95類に該当しないか
    • 解説上の典型除外:83.09/93.06/59.04等の検討漏れがないか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • “cork sheet”“cork stopper”など曖昧品名を避け、加工度・用途を補う
    • 画像・仕様書を添付できる体制(税関照会対策)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版でPSR確認(HS版ズレ注意)
    • BOM、工程説明、原価/付加価値計算根拠を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 植物検疫:コルクは原則対象外の整理(ただし例外がないか念のため確認)
    • 食品用途:器具・容器包装該当性と輸入届出の要否を確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文)
    • HS Nomenclature 2022:Chapter 45 “Cork and articles of cork”(参照日:2026-02-21)
    • HS Nomenclature 2017:Chapter 45(参照日:2026-02-21)
    • HS Nomenclature 2012:Chapter 45(参照日:2026-02-21)
    • HS Nomenclature 2007:Chapter 45(参照日:2026-02-21)
  • 日本 税関・公的機関
    • 税関「関税率表解説」第45類(参照日:2026-02-21)
    • 税関 カスタムスアンサー(植物防疫法:コルクは検査不要の例)(参照日:2026-02-21)
    • 税関:品目別原産地規則(PSR)検索画面(HS版違い注意)(参照日:2026-02-21)
    • 税関:RCEP(HS2022版PSR採択の案内)(参照日:2026-02-21)
    • 税関:事前教示(品目分類)検索(参照日:2026-02-21)
  • 日本(衛生・検疫)
    • 農林水産省 植物防疫所「輸入植物検疫の対象とならない植物」(籐及びコルク)(参照日:2026-02-21)
    • 厚生労働省「食品等輸入手続」(器具・容器包装を含む)(参照日:2026-02-21)
  • 輸出先規制(例)
    • JETRO:EUの食品接触材(FCM)に関する留意点(参照日:2026-02-21)

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

  • 注意:以下は国内コード(統計品目番号)の例です。HS(6桁)とは別で、改正されることがあります。申告時点の最新版で確認してください。
  • 例(日本の関税率表・統計コード例:2012年版の表示)
    • HS 4501.10 → 国内コード例 4501.10-000
    • HS 4501.90 → 国内コード例 4501.90-000
    • HS 4502.00 → 国内コード例 4502.00-000
    • HS 4503.10 → 国内コード例 4503.10-000
    • HS 4503.90 → 国内コード例 4503.90-000
    • HS 4504.10 → 国内コード例 4504.10-000
    • HS 4504.90 → 国内コード例 4504.90-000

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • ①製品概要(用途・機能) ②材質(天然/凝集、結合剤) ③加工工程 ④形状寸法図 ⑤写真(表裏・断面) ⑥サンプル(可能なら)
  • 探し方
    • 税関の「事前教示回答(品目分類)」は、一般的品名・税番・貨物概要等で検索できます。
    • 英語でもAdvance Rulingの概要が整理されています(海外拠点向け説明に便利)。

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第44類:木材及びその製品並びに木炭(Wood and articles of wood; wood charcoal)

用語(この文書内の統一)

  • 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
  • 原則として「HS(6桁)」を中心に説明します。日本の「国内コード(統計品目番号等、8桁/9桁)」に触れる場合は、その旨を明記します。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 丸太・粗の木材(例:皮付き丸太、防腐剤処理した丸太)→ 44.03
    • 製材(厚さ6mm超、例:板材、角材、フィンガージョイント材)→ 44.07
    • 単板・ベニヤシート(厚さ6mm以下)→ 44.08
    • 合板・LVL・ブロックボード等の積層材 → 44.12
    • 木質ペレット/木質ブリケット → 44.01(HS2022でペレット4401.31、ブリケット4401.32が明確化)
    • 木炭(殻・ナット炭を含む、凝結の有無問わず)→ 44.02
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 活性炭(Activated charcoal)→ 第38類 38.02(木炭44.02と混同多い)
    • 香料・殺虫/殺菌等に主として用いる木材チップ/粉(用途で除外)→ 12.11
    • 染色・なめし用の木材チップ/粉 → 14.04
    • かご細工物等(枝条細工物・編組品)→ 第46類
    • 家具(木製でも)→ 第94類(例:椅子・机・キャビネット等)
    • 機械・車両の部分品やキャビネット等(木製でも)→ 第16部/第17部側へ(除外規定あり)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「加工度」:丸太(44.03)→ 製材(44.07)→ 連続的に成形(44.09)→ 建具等の“建築用部材”(44.18)の順に、加工・形状でコードが変わりやすいです。
    2. 厚さ6mm:6mm超=44.07、6mm以下の単板=44.08、これが基礎の分岐です。
    3. 木質ペレット vs 木質ブリケット:HS2022では定義(寸法・結合剤割合)が明記され、誤ると統計・規制・原産地で影響が出やすいです。
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **植物検疫(木材害虫)**の対象確認が遅れ、到着後に検査・燻蒸等で保管料/遅延が発生するケース(丸太・製材・梱包材等)。
    • **CITES(種規制)**対象の木材(例:一部のローズウッド等)を含む製品で、許可がなく差止め・積戻し等のリスク。
    • **FTA/EPAのPSR(品目別規則)**がHS版(2012/2017等)で書かれているのに、HS2022のコードのまま当てはめて誤判定。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(見出し+注):第44類は「材質+加工段階」で整理されているため、まず品名(見出し文言)と類注(Chapter Notes)が最重要です。
    • GIR6(号の比較):ペレット/ブリケット、樹種、寸法(例:粗材の最小断面寸法15cm)など、6桁で条件が入るところが多いです。
    • GIR3(b)(複合品の本質):木材+プラスチック/断熱材などの複合パネルは、“どちらが本質か”で第39類などに飛ぶことがあります(例:木材が単なる支持材なら39類側)。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(第44類で特に重要)
    • 用途:香料/殺虫/染色用の木材粉は第44類から除外(12.11、14.04)。
    • 状態・加工度:粗材(44.03)か、製材(44.07)か、連続成形(44.09)か、建具(44.18)か。
    • 寸法条件:厚さ6mm、粗材の最小断面寸法15cm等。
    • 形状(成形の有無):溝付き・面取りなど“連続的に成形”されていると44.09へ。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:木材(または竹等の木質材料)ですか?
    • いいえ → 第44類以外(材質別の部/類へ)
    • はい → Step2へ(※「木」の参照は、文脈上不要でない限り竹等も含む扱い)
  • Step2:第44類の除外品に当たりませんか?
    • 活性炭→ 38.02
    • 香料/殺虫剤等用途の木材粉→ 12.11
    • 染色/なめし用木材粉→ 14.04
    • かご細工物→ 46類
    • 家具→ 94類
      (その他除外多数)
  • Step3:加工段階はどこですか?
    • 燃料材・チップ・のこくず・木くず・ペレット/ブリケット → 44.01
    • 木炭 → 44.02
    • 丸太・粗材 → 44.03
    • 製材(厚さ6mm超)→ 44.07
    • 単板(厚さ6mm以下)→ 44.08
    • 連続成形材(溝・面取り等)→ 44.09
    • 木質ボード(パーティクル/OSB/MDF等)→ 44.10/44.11
    • 合板・LVL・ブロックボード等の積層材 → 44.12
  • Step4:“板材”ではなく“物品(記事)”ですか?
    • 梱包材(箱・パレット等)→ 44.15
    • 建具・建築用部材(窓/ドア/床板/構造用木材等)→ 44.18
    • 食卓用品・台所用品(箸・まな板等)→ 44.19
    • 装飾品・小箱等 → 44.20
    • その他の木製品(衣類用ハンガー、棺等)→ 44.21
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 44.02(木炭) vs 38.02(活性炭)
    • 第44類(木材製品) vs 第94類(家具)
    • 第44類(木質ボード) vs 第39類(プラスチックパネル等):木材が“本質”か“支持体”か

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4401薪材、木材チップ/小片、のこくず・木くず(凝結の有無問わず)薪、チップ、木質ペレット、木質ブリケット、のこくずペレット/ブリケットはHS定義あり(寸法・結合剤)/用途が香料・染色等なら除外
4402木炭(殻・ナット炭を含む、凝結の有無問わず)木炭、竹炭、ココナッツ殻炭、炭ブリケット活性炭は38.02へ/「殻・ナット炭」区分あり
4403粗の木材(皮/辺材の有無、粗角の有無、保存処理の有無)丸太、原木、防腐処理材樹種・寸法(最小断面15cm等)で6桁が分かれる/“家具の特性”があると94類へ注意
4404たが材、割り材、杭・支柱(縦引き除く)、粗削りの棒等杭、ポール、傘柄用粗棒“縦にひいた”製材は44.07側へ行きやすい
4405木毛・木粉木毛、木粉用途(香料/染色)で12.11/14.04に飛ばないか確認
4406木製の鉄道/軌道用まくら木枕木防腐処理の有無で下位区分
4407製材等(厚さ6mm超、プレーナー/サンダー/エンドジョイント可)板材、角材、フィンガージョイント材連続成形(溝・面取り等)すると44.09へ
4408単板等(厚さ6mm以下)ベニヤシート、突板、合板用単板6mm境界が重要/積層材からスライスした単板も含まれ得る
4409連続的に成形した木材(溝・面取り等、寄木床用条片など)フローリング材(未組立)、羽目板44.07との境界:連続成形の有無
4410パーティクルボード、OSB等PB、OSB、ワァーボード木材以外の“木質材料”も対象/外層・用途で他類に行くことも
4411繊維板(MDF等)MDF、HDF、断熱用ファイバーボード密度・厚さで下位区分
4412合板、化粧板、類する積層木材(LVL・ブロックボード等含む)合板、化粧合板、LVL、ブロックボード“外層の材”や“LVL/ブロックボード”区分があり、HS2022で整理強化
4413高密化木材(densified wood)圧縮木材、電気絶縁用途の高密化材「高密化木材」の定義あり
4414木製の額縁等額縁、写真立て枠“熱帯産木材”など下位区分(HS2022で明確化)
4415木製梱包材(箱・クレート・ドラム等、パレット等)木箱、パレット、ケーブルドラム物流資材はここに集約されやすい
4416木製樽・桶等(樽材含む)ワイン樽、桶、樽板
4417木製の工具柄等ほうき柄、工具柄、靴型ただし“刃などの作業部”が特定材料なら44.17除外(82類注意)
4418建具・建築用木工品(窓・ドア・床板・構造用木材等)窓枠、ドア枠、床板、型枠、CLT、集成材HS2022で「構造用エンジニアード材(glulam/CLT/I形梁等)」を独立細分
4419木製食卓用品・台所用品まな板、木製食器、割箸竹製・熱帯材などの区分あり
4420寄木細工・象がん、木製装飾品、木製小箱など宝石箱、木製オーナメント“木製家具様の物品(ただし94類該当除く)”も含み得る
4421その他の木製品衣類用ハンガー、棺、その他雑品HS2022で棺の号が明確化

(上表はHS2022 第44類の見出し構造に基づく要約です。)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件(よく効くもの)
    • 寸法:製材「厚さ6mm超」(44.07)と、単板「厚さ6mm以下」(44.08)。
    • 形状加工:溝・本実・面取り等の“連続成形”→ 44.09。
    • 凝結形状と定義:木質ペレット(4401.31)/ブリケット(4401.32)は寸法・結合剤割合が定義で固定。
    • 樹種/グループ:粗材(44.03)や製材(44.07)、合板(44.12)は樹種別区分が目立ちます。
    • “エンジニアード構造用木材”か否か:44.18の中で glulam/CLT/I形梁などが独立。
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4401.31(木質ペレット) vs 4401.32(木質ブリケット) vs 4401.39(その他の凝結品)
      • どこで分かれるか:
        • ペレット=直径25mm以下・長さ100mm以下の円筒状(結合剤は重量3%以下まで)
        • ブリケット=最小断面寸法25mm超の立方/多面体/円筒状(結合剤は重量3%以下まで)
      • 判断に必要な情報:粒径(直径・長さ)、断面寸法、結合剤(バインダー)の有無と割合、製造工程(圧縮のみか添加ありか)。
      • 典型的な誤り:見た目だけでペレット/ブリケットを誤判定、または「木くず」だけで4401.49等に入れてしまう。
    2. 4402(木炭) vs 3802(活性炭)
      • どこで分かれるか:活性化(賦活)処理の有無。活性炭は第44類の注で除外が明記されています。
      • 判断に必要な情報:製造工程(賦活工程の有無)、比表面積等の仕様、用途(吸着剤用途)、SDS/技術資料。
      • 典型的な誤り:「チャコール=活性炭」と思い込み、44.02に入れてしまう(または逆)。
    3. 4407(製材) vs 4409(連続成形材)
      • どこで分かれるか:溝・本実・面取りなど、**縁/端/面の“連続的成形”**があるか。44.07はプレーナー/サンダー/エンドジョイントは許容ですが、連続成形は44.09側です。
      • 判断に必要な情報:断面図、加工工程(モルダー加工の有無)、製品図面・写真。
      • 典型的な誤り:フローリング材(本実付き)を「板材」として44.07にしてしまう。
    4. 44.10(パーティクル/OSB等) vs 44.11(MDF等) vs 44.12(合板・LVL等)
      • どこで分かれるか:
        • 44.10:粒子(チップ/ストランド等)を樹脂等で成形
        • 44.11:繊維(ファイバー)ベース(MDF等)
        • 44.12:単板(ベニヤ)を積層、またはLVL/ブロックボード等の積層木材
      • 判断に必要な情報:断面写真、構成(粒子/繊維/単板)、密度、製法、接着剤種類。
      • 典型的な誤り:LVLを「合板の一種」として“その他合板”に入れてしまう(HS2022ではLVL区分が独立)。
    5. 4418.81〜4418.83(構造用エンジニアード材) vs 4418.30(柱・梁等)/4412(LVL等)
      • どこで分かれるか:
        • 44.18の中で、glulam(集成材)、CLT、I形梁などは「Engineered structural timber products」として独立。
      • 判断に必要な情報:製品規格(CLT/集成材の規格、層構成)、用途(構造材としての使用)、断面形状、JAS/JIS/EN等の証明。
      • 典型的な誤り:CLTを“合板(4412)”や“その他の建具(4418.99)”として申告してしまう(HS2022で細分された点を見落とす)。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第44類はSection IX(第9部)に属しますが、実務上は**第44類の類注(Chapter Notes)**が中心で、加えて他部(例:第16部/第17部)の物品は第44類から除外され得ます。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 木製の機械カバー・車両部品のように、機械/車両の“部分品・付属品”としての性格が強いと、第44類ではなく第16部/第17部の側で検討が必要になります(第44類注で例示)。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第44類注1に列挙された除外(活性炭、家具、かご細工物等)に該当した場合に、他類へ飛びます。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1(除外):用途(香料/殺虫/染色)や品目(活性炭、家具、46類品、機械部品等)で広く除外。
    • 注2(高密化木材の定義):化学的または物理的処理により密度・硬度が増し、機械強度や耐性が向上した木材を「densified wood」と定義。
    • 注3(4414〜4421の適用拡張):これらの“木製品の見出し”は、通常の木材だけでなく、パーティクルボード/繊維板/積層材/高密化木材で作った同種の物品にも適用。
    • 注4(ボード類の加工):44.10〜44.12の板材は、44.09相当の形状に加工しても、それだけで他見出しの“物品”の性格を持たない限り、引き続き44.10〜44.12に留まる考え方。
    • 注5(4417の除外):木製工具柄等でも、刃などの作業部が特定材料(82類注1に列挙)でできている工具は4417に入れない。
    • 注6(“木”の扱い):文脈上不要でない限り、「木」には竹など木質材料も含む。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 高密化木材(densified wood)の定義(注2)
    • 木質ペレット(4401.31)/木質ブリケット(4401.32)の定義(Subheading Notes)
    • S-P-F(4407.13)/Hem-fir(4407.14)の定義(Subheading Notes)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 活性炭 → 38.02
    • 家具 → 94類
    • かご細工物等 → 46類
    • 香料・殺虫等用木材粉 → 12.11
    • 染色・なめし用木材粉 → 14.04
      (ほか多数)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:木質ペレット/ブリケットの定義(4401.31/4401.32)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):寸法(直径・長さ・最小断面寸法)、形状、結合剤割合(≤3%)。
    • 現場で集める証憑:製品仕様書、粒度分布/寸法規格、製造工程図、試験成績、写真。
    • 誤分類の典型:ペレットを「木くず(非凝結)」扱い、またはブリケットをペレット扱い。
  • 影響ポイント2:板材(4410〜4412)の“加工しても留まる”ルール(注4)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):加工内容(曲げ・溝加工・穴あけ等)、最終物品としての機能/形状(建具や家具部品になっているか)。
    • 現場で集める証憑:加工工程、断面図、用途説明、カタログ。
    • 誤分類の典型:単なる加工板を「44.18(建具)」や「44.21(その他物品)」へ飛ばしてしまう、または逆に“完成した建具部材”なのに板材のままにする。
  • 影響ポイント3:“木”に竹等を含む(注6)
    • 何を見れば判断できるか:材料が竹であるか、用途が編組(plaiting)目的か。
    • 証憑:材質証明、用途説明、製品写真。
    • 誤分類の典型:竹製品を何でも第44類に入れる(編組用の粗材は14.01、かご細工物は46類等に飛ぶ)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:木炭(44.02)を活性炭(38.02)として申告/逆
    • なぜ起きる:商品名に「チャコール」「活性」「脱臭」等が混在し、工程(賦活)の確認が省略される。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第44類注1で活性炭(38.02)が除外されるため、賦活処理の有無が決定点です。
    • 予防策:
      • 確認すべき資料:製造工程、比表面積、用途、SDS
      • 社内で聞く質問例:「賦活処理(薬品/蒸気等)はしていますか?」「吸着材用途ですか?」
  2. 間違い:木質ペレット(4401.31)と木質ブリケット(4401.32)を混同
    • なぜ起きる:両方とも“圧縮固形燃料”で見た目が似ている。
    • 正しい考え方:Subheading Notesで寸法・形状・結合剤割合が明確に定義されています。
    • 予防策:
      • 確認資料:寸法規格、写真、結合剤割合(≤3%)
      • 質問例:「直径は何mm?長さは?最小断面寸法は?」「バインダーは何%?」
  3. 間違い:製材(44.07)と連続成形材(44.09)の取り違え
    • なぜ起きる:インボイス品名が “lumber”“wood board”程度で、加工内容が書かれていない。
    • 正しい考え方:溝・面取り等の“連続成形”があれば44.09。
    • 予防策:
      • 確認資料:断面図、加工工程(モルダー等)、現物写真(端部)
      • 質問例:「本実加工(tongue & groove)は?面取りは?溝は?」
  4. 間違い:LVLを“合板(4412.2/4412.9)”のその他として処理
    • なぜ起きる:現場で「合板の一種」と呼ばれることが多い。
    • 正しい考え方:HS2022ではLVLが4412.41〜4412.49として区分されます。
    • 予防策:
      • 確認資料:構成(単板積層で繊維方向が概ね同方向か)、規格(LVL表示)、製造工程
      • 質問例:「これはLVL規格品ですか?単板は同方向に積層ですか?」
  5. 間違い:CLT/集成材(glulam)を“その他の建具(4418.99)”や“板材(4412)”として申告
    • なぜ起きる:エンジニアード材の新設細分(HS2022)を把握していない。
    • 正しい考え方:44.18の中で、構造用エンジニアード材(4418.81〜4418.83等)として独立。
    • 予防策:
      • 確認資料:JAS/JIS/EN等の規格証明、層構成、用途(構造材)
      • 質問例:「CLT(X-lam)ですか?集成材ですか?I形梁ですか?」
  6. 間違い:木製パレットを“木製品(4421)”として申告
    • なぜ起きる:輸送具としての認識が弱く、雑品扱いにしてしまう。
    • 正しい考え方:木製パレット類は44.15に明示されています。
    • 予防策:
      • 確認資料:用途(荷役・保管)、形状写真
      • 質問例:「これはパレット/パレットカラーですか?箱ですか?」
  7. 間違い:“木材を裏打ちしたプラスチックパネル”を木材ボード(44.10等)で申告
    • なぜ起きる:外観が木目で、木材が主材に見える。
    • 正しい考え方:木材が単なる支持体なら第39類側に寄る場合がある一方、構造要素として木材が本質なら44.10に属し得る、という考え方が示されています。
    • 予防策:
      • 確認資料:層構成、厚さ、機能(強度の主体)、用途
      • 質問例:「どの層が強度を担いますか?木材は装飾/支持どちらですか?」
  8. 間違い:“ログ家具”を家具(94類)でなく粗材(44.03)として扱う/逆
    • なぜ起きる:丸太を少し加工しただけのものが“家具”として販売される。
    • 正しい考え方:家具としての特性(完成品としての機能・形状)を備えているかが鍵。税関の分類例では、単に皮を剥ぎ寸法を揃えただけで家具特性がなければ粗材(44.03)と判断された例があります。
    • 予防策:
      • 確認資料:組立状態、使用機能、写真(完成状態)
      • 質問例:「座面・脚等があり椅子として機能しますか?単なる丸太加工材ですか?」

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。第44類は「原材料(丸太/単板/ボード)→製品(合板/建具)」の工程でHSが変わりやすく、最終製品のHSを誤ると、PSR(CTH/CTSH、RVC等)の判定軸が崩れます
  • よくある落とし穴:
    • 材料(例:単板44.08、接着剤35類等)のHSと、最終製品(合板44.12、建具44.18)のHSを混同
    • LVL/CLT等、HS2022で細分された品目を旧コードのままPSRに当てはめる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定のPSRは「参照するHS版」が明記されていることが多いです。
    • 例:RCEPのPSRはHS2012に基づくとされます。
    • 例:日EU・EPAのPSR(Annex 3-B)はHS2017に基づく旨が示されています。
  • HS2022でコードが変わった品目(例:木質ブリケット、CLT等)では、**「協定のHS版」⇔「現行の通関HS(HS2022)」の対応付け(トランスポジション)**が必要です。対応付けには、WCO/税関が公表する相関表が実務の基礎になります。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 典型的に必要:
    • BOM(材料表)、工程フロー、原産国、非原産材料のHS(協定参照版でのコード)、材料原価/製造原価(RVC計算が必要な場合)
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 仕様書、製造記録、購買証憑、原産材料証明、相関表によるHS対応メモ(監査対応のため)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022分割/新設4401.32木質ブリケットを独立(ペレット4401.31と並列化)バイオマス燃料でコードの取り違えが起きやすい。寸法・結合剤割合の確認が必須
HS2017→HS2022構造見直し4401.41/4401.49非凝結のこくず(Sawdust)とその他を明確化木くずの“状態(凝結/非凝結)”の確認が重要に
HS2017→HS2022新設4402.20殻・ナット由来の木炭を独立ココナッツ殻炭等の分類が明確に(統計・規制で影響)
HS2017→HS2022分割/新設4403.42粗材でTeakを独立熱帯材の樹種特定(証明)要求が増える
HS2017→HS2022新設4407.13/4407.14針葉樹製材で混合林由来のS-P-F、Hem-firを独立定義北米材の証明(樹種グループ)を揃えないと誤分類しやすい
HS2017→HS2022新設4407.23熱帯材製材でTeakを独立4403と同様に樹種確認が重要
HS2017→HS2022再編(カテゴリ新設)4412.41〜4412.49LVL(Laminated veneered lumber)を独立カテゴリ化LVLを“その他合板”で申告するとズレる
HS2017→HS2022再編(カテゴリ新設)4412.51〜4412.59ブロックボード等を独立カテゴリ化建材系の積層材でコード選択が変わる
HS2017→HS2022新設/再編4418.81〜4418.83構造用エンジニアード材(glulam/CLT/I形梁)を独立建築用途で最重要の改正。品名・規格が通関書類に必要
HS2017→HS2022新設4419.20木製食卓用品で熱帯材を独立“熱帯材”判定(材種)で分岐
HS2017→HS2022新設4421.20棺を独立雑品扱いの誤りを減らす

(根拠:HS2017-HS2022相関表およびHS2022条文の見出し構造)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料:
    • 税関公表の HS2017↔HS2022 相関表(該当コードの新設・分割・再編と、備考(remarks))
    • HS2022 第44類(条文・注・Subheading Notes)(新設号の定義や見出し構造)
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか:
    • 例:木質ブリケット(4401.32)は、相関表で新設・分割として示され、同時にHS2022のSubheading Notesで「wood briquettes」の定義(結合剤≤3%・最小断面>25mm等)が置かれているため、HS2017時点の“その他凝結品”から独立したと判断できます。
    • 例:4418.81〜4418.83は、HS2022の見出しで「Engineered structural timber products」として明確に区分され、相関表でも再編の対象として示されているため、HS2017の「その他建具」等からの整理・細分が起きたと判断できます。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要なもの(代表例)を整理します(網羅は相関表で確認してください)。

変化の流れ主な追加・削除・再編(第44類の代表)旧コード→新コード(代表例)根拠
HS2007→HS2012木質ペレットを独立(4401.31新設)旧4401.30の一部 → 新4401.31WCO相関表で新設が示され、ペレット定義はSubheading Noteで規定
HS2012→HS2017燃料材を針葉樹/非針葉樹に細分(4401.11/12等)旧4401.10 → 新4401.11/12相関表の備考(高い貿易量により細分)
HS2012→HS2017のこくず・木くずを「凝結」「非凝結」に大括りで整理旧4401.39等 → 新4401.39/4401.40相関表の備考(凝結/非凝結の整理)
HS2012→HS2017“tropical wood”の取扱い拡大(Subheading Note削除の影響)範囲拡大(コードは維持/再編あり)相関表の備考(tropical wood範囲拡大)
HS2017→HS2022木質ブリケット独立、非凝結のこくず明確化、殻炭新設など旧4401.39/40 → 新4401.31/32/39/41/49、旧4402.90等→新4402.20等HS2017↔HS2022相関表とHS2022条文
HS2017→HS2022LVL・ブロックボード等のカテゴリ独立、CLT/集成材等の細分旧4412/4418の一部 → 新4412.4x/5x、4418.81〜HS2022条文の見出し構造と相関表

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「チャコール」輸入で活性炭扱いされ差止め
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第44類注1で活性炭は除外(38.02)なのに、工程・仕様の疎明ができない。
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “charcoal”のみ、SDSなし。
    • 典型的な影響:修正申告、検査・説明要求、遅延。
    • 予防策:賦活有無の工程説明、比表面積等の仕様提示、事前教示の検討。
  • 事例名:木質ペレットとブリケットの誤申告で統計・規制側から照会
    • 誤りの内容:Subheading Notesの定義(寸法・結合剤割合)に合わない号で申告。
    • 起きやすい状況:梱包単位(袋/バラ)だけ見て分類、寸法未確認。
    • 影響:修正、追加資料提出、場合により検査強化。
    • 予防策:寸法スペック・写真・工程図を事前に揃える。
  • 事例名:木質ボード+プラスチック断熱層の建材パネルで類違い
    • 誤りの内容:本質がどちらか(木材が構造主体か、プラスチックが主体か)の判断ミス。
    • 起きやすい状況:商品名が“insulation panel”で層構成が不明。
    • 影響:税番変更、税率差、説明資料要求。
    • 予防策:層構成(厚さ、材質、機能)をカタログと断面図で明示。
  • 事例名:CLTを合板(4412)で申告し、建築用途で照会
    • 誤りの内容:HS2022で構造用エンジニアード材(4418.82)として細分された点を見落とし。
    • 起きやすい状況:現場呼称が“mass timber panel”“engineered wood panel”で曖昧。
    • 影響:修正申告、規格書提出、納期遅延。
    • 予防策:規格(CLT)と用途を明記、事前教示活用。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫(該当があるものだけ)

検疫・衛生(SPS等)

  • 植物検疫(木材・木製品)
    • 木材・木製梱包材等は、害虫侵入防止の観点で植物検疫の確認対象になりやすいです。輸入時に必要な場合、植物防疫所の証明等を税関手続で求められます。
  • 木材こん包材(WPM:ISPM 15)
    • 国際物流で使う木材こん包材(パレット等)は、ISPM15(熱処理/くん蒸・マーキング等)に基づく要件が運用されています。

ワシントン条約(CITES)等の種規制

  • 特定の木材種(例:一部のローズウッド等)はCITES対象となり得ます。日本では経産省(METI)等の手続が関係します。
  • 実務上は「学名(属種)で対象判定」になることが多いので、樹種証明(学名)・製品の含有部位が重要です。

その他(合法性・サステナビリティ)

  • クリーンウッド法(合法伐採木材等の流通・利用促進)
    • 木材・木材製品の合法性確認(サプライチェーン管理)が実務上重要です。
  • (輸出の場合の例)EU向けでは森林減少に関する規制(EUDR)対応が論点になる場合があります(対象品目・要求は相手国制度を要確認)。

確認先(行政・公式ガイド・窓口)

  • 植物検疫:植物防疫所(MAFF)/税関(必要書類の案内)
  • CITES:経済産業省等の案内
  • 合法性:林野庁(クリーンウッド法関連)

実務での準備物(一般論)

  • 樹種(学名)・材質証明、工程説明、写真(外観/断面)、検疫要否確認メモ、CITES該当性の調査結果、合法性(デューデリジェンス)資料。

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 材質:木材種(針葉/広葉、可能なら学名)、竹等の有無
    • 加工度:丸太/製材/単板/ボード/建具/梱包材/雑品
    • 寸法:厚さ(6mm境界)、断面寸法(例:粗材の15cm基準)、ペレット/ブリケット寸法
    • 構成:複合材(木+プラ等)の層構成、機能(本質)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 活性炭・家具・かご細工物等の除外に該当しないか
    • 44.10〜44.12の加工板が、他見出しの“物品”に該当するほど完成していないか(注4)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に「加工内容(T&G、面取り、CLT、glulam等)」を入れる
    • 仕様書・断面図・写真を添付できる状態にする
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS版(HS2012/2017等)を確認(RCEP、日EU等)
    • 相関表でHS2022コード↔協定参照コードを対応付け
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 植物検疫の要否(木材・木製梱包材)
    • CITES該当性(樹種・学名)
    • 合法性(クリーンウッド法、顧客要求)

12. 参考資料(出典)

  • WCO:HS2022 Nomenclature 第44類(条文・注・Subheading Notes)(参照日:2026-02-21)
  • 日本税関:関税率表解説 第44類(44r.pdf)(参照日:2026-02-21)
  • 日本税関:HS2017↔HS2022 相関表(参照日:2026-02-21)
  • 日本税関:HS2017↔HS2012 相関表(参照日:2026-02-21)
  • WCO:HS2012↔HS2007 相関表(参照日:2026-02-21)
  • 日本税関:分類例規(ホワイトラワン等、分類例を含む資料)(参照日:2026-02-21)
  • 植物検疫(MAFF/植物防疫所)および税関案内(参照日:2026-02-21)
  • CITES(経産省)案内、木材種のガイダンス(参照日:2026-02-21)
  • クリーンウッド法(林野庁)/日本法令外国語訳(参照日:2026-02-21)
  • RCEP/日EU・EPA:PSR(参照HS版の根拠)(参照日:2026-02-21)

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

ここでは「HS6桁」ではなく、日本の**国内コード(統計品目番号等)**で実務影響が出やすい観点を一般的に示します(年度改正があるため、必ず最新版の関税率表で確認してください)。

  • 単位が揺れやすい(代表例)
    • 丸太など粗材(44.03系)は**立方メートル(m³)**系の単位で扱われることが多い
    • ペレット・木炭などは**重量(kg/トン)**系の単位になりやすい
      (国内コードの単位は「Webタリフ」等で“Unit”欄に表示されます。略号の意味も同資料で確認できます。)
  • NACCS用/統計用の細分(例)
    • 44.19(食卓用品)などは、国内コードで「割箸の有無」「竹製の有無」など実務上の枝番が設定されていることがあります。

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • 製品写真(全体・端部・断面)、寸法表、材質(樹種/学名含む)、用途、加工工程、カタログ、サンプル可否
    • 複合材は層構成(厚さ・材質・機能)
  • 日本税関の主な探し方
    • 事前教示回答(品目分類):公開可能な回答を検索できます。
    • 輸入貨物の品目分類事例:参考となる事例が類別で掲載されています。
    • 事前教示(品目分類)は回答が審査で尊重され、有効期間(例:3年)などの制度説明があります。

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第43類:毛皮及び人造毛皮並びにこれらの製品(Furskins and artificial fur; manufactures thereof)実務向け整理

※用語統一:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 原毛皮(生鮮・塩蔵等で“なめし未満”):例)塩蔵ミンク原皮、フォックス原皮(4301)
    • なめした/仕上げた毛皮(毛付きのまま):例)なめし済みミンク毛皮、毛皮パネル(衣類未満の素材)(4302)
    • 毛皮製の衣類・衣類附属品:例)毛皮コート、毛皮マフラー、毛皮の衿(4303)
    • 人造毛皮(定義に合う“フェイクファー”)とその製品:例)人造毛皮のマフラー、(定義に合う)人造毛皮シート(4304)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 羽毛皮(羽毛・ダウン付きの鳥皮):第05.05項または第67.01項
    • (特定動物の)毛付き原皮:第41類(第41類注1(c)ただし書の範囲:牛・馬・通常の羊皮等の“毛付き原皮”など)
    • 革×毛皮(または革×人造毛皮)の手袋:第42.03項(第42類)
    • 履物:第64類、帽子:第65類、玩具等:第95類
    • 織物・編物で作った“ボア/ファー風”生地:多くは第58類(例:5801)や第60類(例:6001)側(=「人造毛皮」の定義から外れる場合)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 本物の毛皮か/人造毛皮か/織編物のパイル生地(ボア等)か(ここを誤ると類が変わる)
    2. 原皮(なめし前)か/なめし・仕上げ済みか/製品(衣類等)になっているか
    3. 衣類で“単なるトリミング”か、それとも“裏張り・全面貼付等で本質的に毛皮が効いている”か(注4で43類へ飛ぶ)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • CITES(ワシントン条約)対象種の毛皮:必要書類不足は通関保留・差止め等のリスク(分類だけでなく“種の特定”が鍵)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(見出し文言+注):第43類は「類注(注1〜5)」で除外衣類の扱い(注4)、**人造毛皮の定義(注5)**が明確に書かれており、まずここで決まります。
    • GIR6(6桁の決定):4301/4302は「動物種」「全形か切れ端か」「組み合わせ(assembled)か」で6桁が分かれます。
    • GIR3(b)(複合品の本質):毛皮×他素材の複合品(例:外側が革・内側が毛皮の衣類等)で迷うときに検討。ただし衣類については注4が優先的に効くので、先に注4の対象か確認します。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 動物種(学名レベルが望ましい):第41類/第43類境界、CITES判定に直結。
    • 加工状態:原皮(保存処理のみ)か、なめし/仕上げ済みか。
    • 形状・完成度:毛皮“素材”(毛皮パネル等)か、衣類等の“製品”か。
    • 人造毛皮の製法:織編物のパイルか、基布に毛を縫い付け/接着したタイプか。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:対象物は「毛付きの皮」または「毛皮風の素材/製品」ですか?
    • いいえ → 第43類以外(繊維、革製品、玩具など)へ
  • Step2:本物の毛皮(動物由来の皮+毛)ですか?それとも人造毛皮ですか?
    • 本物 → Step3へ
    • 人造 → Step6へ
  • Step3:本物の毛皮は**原毛皮(なめし前)**ですか?
    • はい → 4301(ただし第41類注1(c)の例外に当たる“毛付き原皮”は第41類へ)
    • いいえ(なめし/仕上げ済)→ Step4へ
  • Step4:なめし/仕上げ済毛皮は、衣類等の形状になっていますか?
    • いいえ(毛皮パネル、切れ端等、素材段階)→ 4302
    • はい(衣類・衣類附属品・その他製品)→ 4303
  • Step5:注2の除外に該当しませんか?(革×毛皮手袋=42.03、履物=64類、帽子=65類、玩具=95類 等)
  • Step6:人造毛皮は注5の定義に合いますか?(毛を基材に縫い付け/接着等。織編物のパイル生地は外れることが多い)
    • 合う → 4304
    • 合わない → 第58類/第60類(例:5801/6001)等を再検討
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第41類 ↔ 第43類:同じ“毛付きの皮”でも、動物種と加工段階で分かれます(第41類注1(c))。
    • 第43類 ↔ 第58/60類:フェイクファーが「人造毛皮(4304)」か「織編物のパイル生地」か(注5)。
    • 第43類 ↔ 第61/62類・第42類:衣類で毛皮が“単なるトリミング”か、裏張り等で本質を持つか(注4)、手袋の特則(注2(c))。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

(第43類は4項のみのため全列挙)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4301原毛皮(毛皮業者向けの頭・尾・足等や切れ端を含む)塩蔵ミンク原皮、フォックス原皮、毛皮用の切れ端なめし前。ただし“毛付き原皮”でも第41類注1(c)の例外は第41類へ。
4302なめし又は仕上げした毛皮(未組立て/組合せ(他素材追加なし))なめし済み毛皮パネル、毛皮の切れ端(素材)製品形状(衣類等)未満が中心。衣類等になれば4303へ。
4303毛皮製の衣類・衣類附属品・その他の毛皮製品毛皮コート、毛皮マフラー、毛皮ラグ(毛皮製)注3・注4が重要(他素材を加えた毛皮製品や、裏張り衣類の扱い)。手袋は注2(c)で42.03へ。
4304人造毛皮及びその製品人造毛皮のマフラー、人造毛皮のラグ等注5の定義が核心。織編物のボア/ファー風生地は第58/60類に回りやすい。衣類で裏張り等は注4で4304へ。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(第43類で効く軸)
    • 4301(原毛皮):動物種(ミンク/フォックス/ラム等)+「全形」か「頭・尾・足・切れ端」か
    • 4302(なめし・仕上げ済):「全形」か「部分」か/「組合せ(assembled)」か(ただし衣類等は4303)
    • 4303:「衣類・衣類附属品」か「その他の製品」
    • 4304:注5に合う“人造毛皮”かどうか(製法で判断)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4304.00(人造毛皮) vs 第58類/第60類(織編物のパイル生地)
      • どこで分かれるか:「人造毛皮」の定義(注5)に合うか
      • 判断に必要な情報:
        • 生地の製法(織物/編物/タフテッド/基布に毛を接着・縫着 等)
        • 断面写真、製造工程図、メーカー仕様書
      • 典型的な誤り:
        • “フェイクファー”という商品名だけで4304にしてしまう(実は6001等)。
    2. 4303.10(毛皮の衣類・衣類附属品) vs 61/62類(繊維衣類)
      • どこで分かれるか:衣類に毛皮が**裏張り(ライニング)**されている、または外側に毛皮が付いている(単なるトリミング除く)場合、注4により43.03/43.04へ
      • 判断に必要な情報:
        • 毛皮の使用箇所(全面裏張りか、衿・袖口だけのトリムか)
        • 取り外し可否、面積比、製品写真
      • 典型的な誤り:
        • “毛皮付きコート”を全部4303にしてしまう(衿だけのトリムなら61/62類に残ることが多い)。
    3. 4302.30(組合せ毛皮:素材段階) vs 4303(毛皮製品)
      • どこで分かれるか:毛皮が**パネル状(毛皮業者の素材)**なのか、衣類・ラグ等の製品形状なのか。
      • 判断に必要な情報:
        • 形状(裁断パターン済みか、縁処理、裏地・付属品の有無)
        • 用途(furrier用素材として販売か、消費者向け製品か)
      • 典型的な誤り:
        • “縫い合わせてある=製品”と早合点し、4303へ(実は素材パネルで4302.30)。
    4. 革×毛皮の手袋:4303(と思いがち) vs 4203(正解になりやすい)
      • どこで分かれるか:**注2(c)**で“革と毛皮(または人造毛皮)から成る手袋等”は42.03へ除外。
      • 判断に必要な情報:
        • 手袋の主要構成(革部位と毛皮部位の関係、縫製仕様)
      • 典型的な誤り:
        • “毛皮手袋”の名称だけで4303へ。
    5. 毛付き原皮:4301(と思いがち) vs 第41類(毛付き“原皮”の一部)
      • どこで分かれるか:第41類注1(c)のただし書に入る“毛付き原皮”(例:牛・馬・通常の羊皮など)は第41類。
      • 判断に必要な情報:
        • 動物種(羊でも“アストラカン等の特定ラム”は例外になり得る)
        • 原皮か、なめし/仕上げ済みか
      • 典型的な誤り:
        • “毛が付いているから毛皮(43類)”と決め打ち(原皮は第41類に残るケースあり)。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第8部(Section VIII)には、WCO公開条文の構成上、他の部にあるような独立した「部注(Section Notes)PDF」が見当たらず、実務上は主に各類注(Chapter Notes)で判断します。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第41類〜第43類は隣接しており、“材料(原皮・革)”と“製品(革製品・毛皮製品)”、さらに**“毛付きかどうか”**で飛びやすいです。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • この部では、実質的に**類注(第41類注1(c)、第43類注2・4・5等)**が「他章へ飛ぶ」役割を持ちます。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約(第43類 注1〜注5の実務訳)
    • 注1(用語定義):この類でいう「毛皮」は、原則として毛付きの獣皮で、なめし又は仕上げしたもの(ただし4301の原毛皮は別扱い)。
    • 注2(除外):羽毛皮(05.05/67.01)、第41類注1(c)ただし書の毛付き原皮、革×毛皮の手袋(42.03)、履物(64類)、帽子(65類)、玩具等(95類)を除外。
    • 注3(4303の範囲拡張):他素材を加えて組み合わせた毛皮、衣類等の形状に縫い合わせた毛皮等も4303に含める。
    • 注4(衣類の特則):毛皮/人造毛皮を裏張り、または外側に付けた衣類等(単なるトリミング除く)は4303/4304へ。
    • 注5(人造毛皮の定義):人造毛皮(4304)の定義を置き、織編物の模造毛皮等を区別する(典型的には58.01/60.01へ)。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「毛皮」=“なめし又は仕上げした毛付き獣皮”が中心(注1)。一方で4301は“原毛皮(なめし前)”。社内文書では「原毛皮(raw)」と「なめし毛皮(tanned/dressed)」を分けて呼ぶと事故が減ります。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 革×毛皮(革×人造毛皮)の手袋 → 第42.03項(注2(c))
    • 履物 → 第64類、帽子 → 第65類、玩具等 → 第95類(注2(d)〜(f))

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:衣類の裏張り・外側貼付(注4)で「衣類の類」が変わる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 毛皮/人造毛皮が裏地として全面か、外側に面として付く
      • “衿だけ・袖口だけ”等の単なるトリミング
    • 現場で集める証憑:
      • 製品写真(表・裏・タグ)、仕様書、パターン/縫製指示書、BOM
    • 誤分類の典型:
      • レザーコート(42.03相当)や繊維コート(61/62類)として申告してしまうが、実は全面ファーライニングで43.03/43.04に寄る。
  • 影響ポイント2:人造毛皮(注5)か、織編物パイル(58/60類)かで類が変わる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 製法(織/編/タフテッド/接着・縫着)
      • 基材(皮革/織物等)と毛の固定方法
    • 現場で集める証憑:
      • 断面写真、メーカー工程説明、仕様書(「pile knit」「bonded」「tufted」等の記載)
    • 誤分類の典型:
      • フェイクファー生地を一律4304としてしまい、税率・統計・PSRが崩れる。
  • 影響ポイント3:手袋の特則(注2(c))で42.03へ強制移動
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • “手袋・ミトン・ミット”で、革と毛皮(または人造毛皮)の組合せか
    • 現場で集める証憑:
      • サンプル写真、素材構成、縫製仕様
    • 誤分類の典型:
      • “毛皮手袋”として43類へ。
  • 影響ポイント4:第41類注1(c)との連動で、毛付き“原皮”の類が分かれる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 動物種(牛・馬・羊等)と、原皮か/なめし済みか
    • 現場で集める証憑:
      • 仕入先の獣種証明、学名、加工証明(tanned/dressed の有無)
    • 誤分類の典型:
      • “毛がある=毛皮(43)”と決め打ち(原皮は41に残るものがある)。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:フェイクファー生地を全部 4304(人造毛皮)にしてしまう
    • なぜ起きる:商品名(faux fur)に引きずられる/製法確認が抜ける
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):注5で“人造毛皮”を定義し、織編物の模造毛皮等は別扱いになり得ます。
    • 予防策:
      • 確認すべき資料:メーカー工程、断面、仕様書(knit pile / woven pile / bonded 等)
      • 社内で聞く質問例:「毛は編み込まれている?それとも基布に接着/縫着?」
  2. 間違い:毛皮“パネル”(素材)を 4303(製品)にしてしまう
    • なぜ起きる:“縫い合わせがある=製品”と誤認
    • 正しい考え方:4302は“なめし毛皮(素材段階)”、4303は“衣類等の製品形状”が中心。
    • 予防策:
      • 仕様書で「最終用途(furrier用素材か)」を確認
      • 写真で縁処理・裏地・付属品の有無を確認
  3. 間違い:革コート(4203)として申告したが、実は全面ファーライニング
    • なぜ起きる:外側素材(革)だけで判断
    • 正しい考え方:衣類の裏張り・外側貼付は注4で43.03/43.04に寄せるルール(単なるトリミング除く)。
    • 予防策:
      • 社内質問例:「毛皮は衿だけ?それとも胴裏全面?取り外し可能?」
      • 製品写真(内側)を必須化
  4. 間違い:毛皮付きコートを“全部”4303にする
    • なぜ起きる:“毛皮付き”という販売表現
    • 正しい考え方:注4は「単なるトリミング」を除外。衿・袖口だけ等は衣類側(61/62類等)に残ることが多い。
    • 予防策:
      • トリム面積・縫付位置を確認(写真+仕様書)
  5. 間違い:革×毛皮の手袋を 4303 にする
    • なぜ起きる:“毛皮手袋”という品名
    • 正しい考え方:注2(c)で 42.03 に除外。
    • 予防策:
      • まず「手袋か?」を確認し、該当なら注2(c)をチェック
  6. 間違い:毛付き“原皮”を 4301 としてしまう(実は第41類)
    • なぜ起きる:毛付き=毛皮、と短絡
    • 正しい考え方:第41類注1(c)のただし書に入る毛付き原皮は第41類。
    • 予防策:
      • 動物種の特定(学名)+加工状態(raw / tanned)を仕入先へ確認
  7. 間違い:毛皮のブーツ/帽子を 43類にする
    • なぜ起きる:「素材=分類」と誤解
    • 正しい考え方:注2(d)(e)で履物=64類、帽子=65類へ除外。
    • 予防策:
      • 形状(履物・帽子)を先に確定 → 該当類の規定へ
  8. 間違い:ぬいぐるみ(玩具)を 4304 としてしまう
    • なぜ起きる:表面素材(人造毛皮)だけで判断
    • 正しい考え方:注2(f)で玩具等(95類)へ除外。
    • 予防策:
      • 用途(玩具/装飾/衣類)をインボイス品名と仕様書で一致させる

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。**最終製品(例:4303)と材料(例:4301/4302/別章)**のHSが崩れると、CTH/CTSH判定やRVCの前提が崩れます。
  • よくある落とし穴
    • フェイクファーを4304にしてPSRを引いたが、実際は織編物(58/60類)でPSRが別物だった
    • 毛付き皮の材料を41類/43類で取り違えた(第41類注1(c)との境界)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 経済連携協定等によって、採用しているHSバージョン(HS2002/2007/2012/2017など)が異なります。協定が採用しているバージョンでPSRを検索し、輸入申告は最新HSを使う、という整理が必要です。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • まず「協定PSRのHS版」を確定 → 次にWCO相関表で 旧HS⇔最新HS の対応を確認 → 材料HS・製品HSを揃えて検証、が安全です。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必要データ(最低限)
    • 材料表(BOM)、工程フロー(なめし/仕上げ/縫製/接着)、原産国、非原産材料のHS(協定版で)
    • 原価情報(RVC採用時)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 仕様書、製造記録、仕入書、原産地証明(自己申告/第三者証明いずれの場合も)を、協定の保存年限に沿って保管(協定本文・運用ガイドで確認)。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(相関表上、Chapter 43の改正項目が見当たらない)4301〜4304HS2022で第43類の項・号の改廃なし付番の連続性が高い。主なリスクは「注4/注5の読み違い」や「第41類境界」。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料:
    • WCO作成の HS2017↔HS2022 相関表(Correlation Table) を確認し、第43類(4301〜4304)に関する改正(新設・削除・統合・分割等)の記載が見当たらないことから、HS2017→HS2022でコード体系上の変更はないと判断しました。
    • 併せて、HS2022の第43類条文(見出し・類注)を参照し、実務上の分岐が主に注2・注4・注5に集中する点を確認しました。
  • 変更がない場合の明示:第43類はHS2017→HS2022で「変更なし」(上記相関表に基づく)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第43類については、入手できる相関表の範囲では、主要改正(追加・削除・再編)は確認できませんでした。

改正サイクル主要な追加・削除・再編旧コード→新コード(主要)根拠
HS2007→HS2012変更なし(第43類の改正記載が見当たらない)4301〜4304 → 同左日本税関 相関表(HS2012↔HS2007)
HS2012→HS2017変更なし(第43類の改正記載が見当たらない)4301〜4304 → 同左日本税関 相関表(HS2017↔HS2012)
HS2017→HS2022変更なし(第43類の改正記載が見当たらない)4301〜4304 → 同左WCO 相関表(HS2022↔HS2017)

※実務メモ:コード体系が安定している分、「フェイクファーの製法(注5)」と「衣類の裏張り/トリム(注4)」、および**第41類との境界(注1(c))**が事故原因になりがちです。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):全面ファーライニングのレザーコートを4203で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第43類注4の見落とし(裏張り衣類は43.03/43.04へ)
    • 起きやすい状況:品名が「leather coat」で、内側仕様が共有されていない
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査長期化
    • 予防策:内側写真・仕様書を通関資料に添付、社内で「トリムか裏張りか」を必ず確認
  • 事例名:フェイクファー生地を4304で申告したが実は編物パイル
    • 誤りの内容:注5に合わないのに4304(人造毛皮)扱い
    • 起きやすい状況:調達先が「faux fur fabric」とだけ表記
    • 典型的な影響:分類変更(58/60類へ)、税率やEPAのPSR再計算
    • 予防策:工程資料(knit/woven/bonded)を入手し、断面写真で確認
  • 事例名:革×毛皮の手袋を4303で申告
    • 誤りの内容:注2(c)に抵触(42.03へ除外)
    • 起きやすい状況:商品名が「fur gloves」
    • 典型的な影響:修正申告、品名是正要求
    • 予防策:手袋カテゴリは注2(c)チェックを定型化
  • 事例名:CITES対象種の毛皮を“合成”として申告し書類不足
    • 誤りの内容:分類以前に規制確認不足(CITES輸出許可+METI輸入承認等が必要)
    • 起きやすい状況:サプライヤーから学名・許可書が出てこない
    • 典型的な影響:輸入不許可、差止め、返送/廃棄のリスク
    • 予防策:学名(ラテン名)とCITES書類を発注条件に組み込み

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)

10-1. 検疫・衛生(SPS等)

  • 原皮・毛皮は加工度によって動物検疫(家畜伝染病予防法等)の対象になり得るとされ、輸出国政府機関の証明書や日本の動物検疫所での手続が必要になる場合があります。
    • 実務の準備物(一般論):原産国、動物種、加工度(塩蔵/乾燥/なめし等)、衛生証明書の要否、事前相談記録

10-2. ワシントン条約(CITES)等の種規制

  • CITES該当貨物の輸入では、輸出国のCITES輸出許可書等に加えて、経済産業省(METI)の輸入承認等が必要になる旨が税関FAQで整理されています(輸入申告時に税関へ提出)。
  • METIの案内でも、種によって「輸入承認証」や「事前確認書」等が必要であること、また場合により他制度(動物の輸入届出制度等)も関係し得ることが示されています。
  • 国内流通(販売・譲渡・広告)についても、環境省の案内のとおり、国際希少野生動植物種等は原則として取引が規制され、登録等が必要になる場合があります(毛皮やその加工品が対象になり得る)。

10-3. その他の許認可・届出(輸出先国規制の注意)

  • 日本からの輸出でも、輸出先国で犬・猫毛皮の輸出入/販売が禁止されている例があります(EU:規則1523/2007、米国:19 U.S.C. §1308)。犬猫毛皮や混入リスクがある製品は、輸出先の規制確認が必須です。

10-4. 確認先(行政・公式ガイド・窓口)

  • CITES:税関案内/METI(ワシントン条約規制対象貨物の輸入承認手続)
  • 国内取引規制:環境省(種の保存法:取引規制・登録制度)
  • 検疫:農林水産省 動物検疫所(AQ)/JETROの手続整理(参考)

10-5. 実務での準備物(一般論)

  • 物品情報:学名、原産国、加工度(raw/tanned/dressed)、用途(衣類/素材/玩具等)、写真
  • 規制書類:CITES許可書、METI輸入承認等、必要に応じ検疫証明書
  • 通関資料:インボイス品名を「fur」「faux fur」だけにせず、動物種・加工度・製法を補足

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 動物種(学名)、加工度(原皮/なめし/仕上げ)、毛の有無
    • 人造毛皮の場合は製法(織/編/接着/縫着)を工程資料で確定
    • 写真(表・裏・断面・タグ)、仕様書、用途
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第43類注2(除外)に当たらないか(手袋、履物、帽子、玩具等)
    • 衣類は注4で43類に飛ぶか/単なるトリミングか
    • 第41類注1(c)の境界に触れていないか(毛付き原皮)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名に「tanned/dressed」「mink/fox」「bonded faux fur」等、分類に効く語を入れる
    • 検査対応用に写真・仕様書を添付できる状態にする
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定のHS版を確認→相関表で整合→PSR適用
    • BOM・工程・原価・原産国資料の保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • CITES該当の有無(学名で照合)→必要書類(輸出許可+METI輸入承認等)
    • 必要に応じ動物検疫(加工度・対象動物)
    • 輸出先国の毛皮規制(犬猫毛皮等)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS2022 第43類条文(0843_2022E)参照日:2026-02-21
    • WCO HS2022 第41類条文(0841_2022E:注1(c)境界)参照日:2026-02-21
    • WCO 相関表(HS2022↔HS2017)参照日:2026-02-21
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関「関税率表解説 第43類(43r)」参照日:2026-02-21
    • 税関「品目別原産地規則(PSR)検索」注意事項(HS版の違い)参照日:2026-02-21
    • 税関(FAQ)CITES輸入規制概要(1808)参照日:2026-02-21
  • CITES・国内規制
    • 経済産業省:ワシントン条約規制対象貨物の輸入承認手続き 参照日:2026-02-21
    • 環境省:種の保存法(取引規制・登録制度・Q&A)参照日:2026-02-21
  • 検疫
    • JETRO:原皮・革の輸入手続き(検疫等の整理)参照日:2026-02-21
    • 農林水産省 動物検疫所:動物の輸出入(概要)参照日:2026-02-21
  • 輸出先国規制(例)
    • EU:犬猫毛皮の流通・輸出入禁止(Reg. 1523/2007、EC説明ページ)参照日:2026-02-21
    • 米国:犬猫毛皮製品の輸出入禁止(19 U.S.C. §1308)参照日:2026-02-21

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • ①製品写真(表・裏・断面)、②素材構成(動物種/学名・繊維組成)、③加工度(raw/tanned/dressed)、④用途、⑤製造工程(特に人造毛皮は製法)
    • 迷うポイント(注4の該当、注5の該当、第41類注1(c)境界)を「質問」として明文化すると回答が早いです。

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第42類:革製品並びに動物用装着具及び馬具並びに旅行用具、ハンドバッグその他これらに類する容器並びに腸の製品(Articles of leather; saddlery and harness; travel goods, handbags and similar containers; articles of animal gut (other than silk-worm gut))

本資料では、**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)として記載します。
また、原則として
HSは6桁(号)を指し、日本の9桁等は「国内コード」**と明記します。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • スーツケース、トランク、書類かばん、カメラケース、楽器ケース、銃用ケース、ホルスター等の「ケース類」(4202)
    • 旅行用バッグ、リュック、ハンドバッグ、買物袋、財布・札入れ等の「携帯容器」(4202)
    • 動物用装着具・馬具(首輪、口輪、リード、鞍・手綱、犬用コート等)(4201)
    • 革製の衣類・衣類附属品(革手袋、革ベルト等)(4203)
    • その他の革製品(例:ブックカバー等)(4205)
    • 腸・腱等の製品(例:ガット弦など)(4206)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 取手付きのプラスチック袋(長期使用目的でないもの) → 第39類 3923(注3(A)(a))
    • 組物材料(わら・ラタン等)の製品(例:かごバッグ) → 第46類 4602(注3(A)(b))
    • 履物・その部分品 → 第64類(注2(d))
    • むち・乗馬鞭 → 第66類 6602(注2(f))
    • 時計バンド → 第91類 9113(注4で除外)
    • 滅菌外科用カットガット(縫合糸等) → 第30類 3006(注2(a))
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • 「携帯が第一目的の容器」か/単なるカバー・保管目的か(4202に入るかが大きく変わる)
    • 4202は“外面(外側に見える材質)”で6桁が割れる(革系/プラ・繊維/その他)
    • “長期使用目的でない袋”は4202から除外(3923へ)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • ワシントン条約(CITES)対象種の皮革製品(例:ワニ革・ヘビ革のバッグ/ベルト/財布等):書類不備は差止め・遅延リスクになりやすい

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR(例:GIR1/GIR6など)
    • GIR1(項の規定+注):第42類は類注(注1〜4)で範囲・除外がかなり明確です。まず注で“入らないもの”を落とすのが近道です。
    • GIR6(号の比較):4202は**「容器の種類」×「外面材質」**で6桁が決まります。
    • GIR5(a)(ケース類):写真機用ケース等で、
      「特定品用に設計」「長期使用向き」「中身と一緒に提示」「通常一緒に売られる」等の条件を満たすと、ケースは“中身(本体)に含めて”分類され得ます。ケース単体輸入かセット輸入かで結論が変わる典型です。
    • GIR3(b)(セット):例えば“工具セット+ケース”など、複数品で提示される場合、セットに本質的特性を与える構成要素で分類する考え方が出ます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 用途(携帯・保護・収納のどれが第一目的か):4202の境界で最頻出です。
    • 外面材質(見えている面/被覆の有無):4202の号決定に直結します。
    • “長期使用”設計か(使い捨てか):同じ袋でも3923へ飛びます。
    • 毛皮の使い方:革衣類でも、毛皮の使い方次第で第43類へ。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:動物用の装着具・馬具か?
    • Yes → 原則 4201(材料は問わない)
    • No → Step2へ
  • Step2:“携帯が第一目的”の容器(かばん、財布、ケース等)か?
    • Yes → 原則 4202(ただし除外:使い捨て袋3923、組物製品4602等)
    • No/保管・カバー目的が主 → Step3へ
  • Step3:革製の衣類・衣類附属品か?
    • Yes → 原則 4203(時計バンドは除外、毛皮付は要注意)
    • No → Step4へ
  • Step4:その他の革製品(“容器でも衣類でもない”革小物)か?
    • Yes → 原則 4205(例:ブックカバー等)
    • No → Step5へ
  • Step5:腸・膀胱・腱等の製品か?
    • Yes → 4206(ただし滅菌縫合糸等は3006)
    • No → 他章(材質・用途で再探索)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 4202(携帯容器) vs 3923(包装用プラ袋):長期使用設計かどうか
    • 4202(容器) vs 4205(その他革製品):列挙品に“類似する容器”か、単なるカバー・台紙か
    • 4203(革衣類) vs 4303/4304(毛皮衣類):毛皮が裏貼り・外付け(トリミング程度を超える)か
    • 4202のケース類(単体) vs GIR5(a)で“中身と同一分類”:一緒に提示されるか、通常一緒に売られるか

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4201動物用装着具(材料不問)首輪、リード、口輪、鞍、手綱、犬用コート人用ハーネスは除外され得る/馬具の金具を単品提示すると他章(例:第15部)へ
4202容器(かばん、財布、各種ケース等)スーツケース、書類かばん、リュック、ハンドバッグ、財布、スマホケース等4202は**「携帯が第一目的」**が基本。使い捨て袋は3923へ、組物材料は4602へ、ブックカバー等は4205等へ
4203革製の衣類・衣類附属品革ジャケット、革手袋、革ベルト、腕輪(※時計バンド除く)時計バンドは9113へ/毛皮の使い方で43類へ/履物は64類
[4204](欠番/予備)HS上「予備」扱い(実務上は出てきません)
4205その他の革製品ブックカバー、書類カバー等(革製/革被覆)4202列挙品に類似しない“カバー類・台紙類”は4205へ行きやすい
4206腸等の製品ガット弦、ゴールドビーターズスキン等滅菌外科用カットガットは3006(42類注2(a))

(見出し文言・除外例は、HS条文(WCO)および日本税関の関税率表解説・分類例規を参照しています。)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • **4202:容器の“種類”→次に“外面材質”**で6桁が決まります。
      例)スーツケース類(4202.11/12/19)、ハンドバッグ(4202.21/22/29)、財布・名刺入れ等(4202.31/32/39)、その他(4202.91/92/99)
    • “携帯が第一目的”かどうか(4202に入るか)
      日本税関の分類例規では、目的判断が難しい容器について、取手・留め具・耐久性・収納スペース等の要件で4202扱いに寄せる考え方を示しています(材質別に要件が整理)。
    • “長期間の使用を目的としない”袋は4202から除外(3923へ)
      日本税関の分類例規では、例えば一時的消耗品無償サービス品で反復使用されないもの加工が粗雑で耐久性に乏しいもの等を“長期使用目的でない”方向で整理しています。
    • スマホ/タブレット等のカバー
      日本税関の分類例規では、特別に成形された収納スペース(固定枠含む)があり、外面を覆う形状のものは、材質によらず原則4202に分類する考え方を示しています(収納スペースなし・一部面のみ保護などは材質分類へ)。
    • 4203:スポーツ用手袋かどうか(4203.21 vs 4203.29)
      スキー/野球/ゴルフ/弓術用など“特に運動用”の特徴があるものは4203.21側に寄ります(例示あり)。
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4202.21/4202.22/4202.29(ハンドバッグ) vs 4202.91/4202.92/4202.99(その他)
      • どこで分かれるか:
        • “女性が身辺用品を入れて使用する携帯用具”という性格(ハンドバッグ)か、スポーツバッグ等の“その他のバッグ”か。
      • 判断に必要な情報:
        • 外形寸法(日本の実務例:長幅15〜30cm等を目安に扱う考え方)
        • 内部の仕切り/ポケットの有無、装飾性、形状の硬さ(変形の可否)
      • 典型的な誤り:
        • “小さめの肩掛けバッグ”を、寸法・構造確認なしにスポーツバッグ等へ寄せる/逆に“ポーチ類”を何でもハンドバッグ扱いする。
    2. 4202(携帯容器) vs 3923(包装用の袋)
      • どこで分かれるか:
        • 長期使用目的か否か(注3(A)(a)で4202から除外される範囲)
      • 判断に必要な情報:
        • 材質・縫製/溶着品質、反復使用前提の強度、無償配布品か、取手や留め具の有無等
      • 典型的な誤り:
        • “買物袋=4202”と短絡し、薄手レジ袋まで4202にしてしまう。
    3. 4202(列挙品に類する容器) vs 4205(その他の革製品)
      • どこで分かれるか:
        • 容器の性格はあっても、列挙品に類似しない(例:ブックカバー、書類カバー等)は4202から外れ、革製なら4205へ行きやすい。
      • 判断に必要な情報:
        • 使い方(携帯が第一目的か、単なるカバー/保管か)、構造(開閉・収納構造)
      • 典型的な誤り:
        • “ケース/カバー”という商品名だけで4202に入れてしまう。
    4. 4203(革衣類附属品) vs 9113(時計バンド)
      • どこで分かれるか:
        • 類注4で、腕輪(wrist straps)は含むが、時計バンドは除外と明示。
      • 判断に必要な情報:
        • 時計に取り付ける専用品か(ラグ形状、ばね棒穴等)、用途説明・図面。
      • 典型的な誤り:
        • “革ベルト状=4203.30”として時計バンドを混ぜる。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第VIII部(第41〜43類)は、(少なくとも公開版の条文構成上)独立した「部注」よりも各類の注で範囲が具体化されています(資料上、Section VIIIの後に各章注が続く構成)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 素材が“革(leather)”か“毛皮(furskin)”かの見極めは、第42類の適用可否に直結します。
      例:毛を付けたままの皮(特に羊皮等)は第43類側になり得るため、革衣類と思って4203を当てる前に素材状態を確認します。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第42類では、実務上は**「第42類注2(除外)」で他章へ飛ぶ**のが多いです(履物64類、帽子65類、鞭66類、模造身辺用細貨類7117等)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1(用語定義):「leather(革)」には、シャモア革、パテントレザー、メタライズドレザー等も含む。
    • 注2(除外):医療用(3006)、履物(64類)、帽子(65類)、鞭(6602)、模造アクセ(7117)、楽器部品(9209)、家具・照明(94類)、玩具(95類)等、広く除外が並ぶ。
    • 注3(A)(4202の追加除外):長期使用目的でないプラ袋(3923)と、組物材料の製品(4602)は4202に入らない。
    • 注3(B)(貴金属等の扱い):4202/4203でも、貴金属等パーツが“本質”を与えない限りそのまま。逆に“本質”を与えるなら第71類。
    • 注4(4203の範囲):手袋(スポーツ/保護用含む)、エプロン等保護衣類、サスペンダー、ベルト、バンドリエ、腕輪は含むが時計バンドは除外(9113)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「革(leather)」の範囲(注1)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 例:長期使用目的でないプラ袋 → 3923組物製品 → 4602時計バンド → 9113鞭 → 6602

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:注3(A)(a)「長期使用目的でないプラ袋」=4202から除外
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 反復使用前提の構造か(縫製・溶着の強度、厚み、持ち手の作り)
      • 無償配布品・一時使用の想定か(取引実態、配布形態)
      • “長期使用目的でない”に該当する要素(消耗品/サービス品/耐久性乏しい等)
    • 現場で集める証憑(仕様書、成分表、MSDS、カタログ、写真、工程図など):
      • 製品写真(厚み・溶着部)、仕様書、販売形態(無償配布の有無)、用途説明
    • 誤分類の典型:
      • “買物袋”という名称だけで4202にし、実態がレジ袋相当で3923だった。
  • 影響ポイント2:注3(B)「貴金属等パーツが本質か」=第71類へ飛ぶ可能性
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 装飾パーツの材質(貴金属めっき等)と、製品価値・外観上の支配度(本質的特性)
      • (日本の実務例)“直接目に触れない部分”“さ細な部分”の扱いなど、国内運用上の考え方
    • 現場で集める証憑:
      • パーツ材質証明、図面(どこに使っているか)、価格構成(装飾の寄与)
    • 誤分類の典型:
      • 金属装飾が支配的なクラッチバッグ等を、検討なしに4202で申告してしまう(本質が71類寄りの可能性)。
  • 影響ポイント3:注4「時計バンドは4203除外」
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 時計取付専用構造か(ラグ対応、ばね棒穴、専用幅)
    • 現場で集める証憑:
      • 取付図、商品仕様、用途説明
    • 誤分類の典型:
      • “革ベルト状”という形状だけで4203.30(ベルト)にしてしまう。
  • 影響ポイント4:注2(b)「毛皮の裏貼り/外付け」=43類へ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 毛皮が裏地か、外側に付いているか、単なるトリミングか(手袋は例外扱いに注意)
    • 現場で集める証憑:
      • 素材構成(毛皮の種類・使用範囲)、製品写真、縫製仕様
    • 誤分類の典型:
      • 毛皮付の革衣類を4203にしてしまう(43類の可能性)。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:「○○ケース」という商品名だけで4202にする
    • なぜ起きる:
      • “ケース/カバー”は日常語で広く、HSの「列挙品に類する容器」と一致しない場合があるため。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):
      • 4202は列挙品+これらに類する容器が中心で、類似しないカバー類は除外され得る(例:ブックカバー等)。
    • 予防策:
      • 「携帯が第一目的か」「収納スペース・開閉構造はどうか」を仕様書・写真で確認。
  2. 間違い:使い捨ての取手付きプラ袋を4202(買物袋)にする
    • なぜ起きる:
      • “shopping-bags”の語に引っ張られ、注3(A)(a)の除外を見落とす。
    • 正しい考え方:
      • 長期使用目的でないプラ袋は4202から除外され3923
    • 予防策:
      • 厚み・溶着品質・反復使用設計・無償配布の有無を確認(サンプル現物が最強)。
  3. 間違い:“携帯容器”か“保管/カバー”かの目的判断をしない
    • なぜ起きる:
      • 目的が併存する製品(保護ケース、収納ケース、ポーチ等)が多い。
    • 正しい考え方:
      • 日本の分類例規でも、目的が難しい場合の整理を提示(携帯のための取手、留め具、耐久性、収納スペース等)。
    • 予防策:
      • 「持ち運び用の取手/肩ひもがあるか」「留め具があるか」「耐久性」「実用的収納」をチェック項目化。
  4. 間違い:4202の“外面”を誤認(革のトリミングだけで革外面扱い等)
    • なぜ起きる:
      • 異材質ミックスのバッグが多く、外観判断が曖昧になりがち。
    • 正しい考え方:
      • 4202の号は「外面が革…」「外面がプラスチック/繊維…」等で分岐するため、外観上支配的な外面を丁寧に確認する。
    • 予防策:
      • 正面・背面・底面写真、素材構成表、表面積の概算(“見える面”ベース)を社内でルール化。
  5. 間違い:スマホ/タブレット“カバー”を材質だけで3926等にしてしまう/逆も同様
    • なぜ起きる:
      • “カバー”の形状が多様(収納枠あり/なし、外面を覆う/覆わない)。
    • 正しい考え方:
      • 特別に成形された収納スペースがあり外面を覆う形状なら原則4202、収納スペースなし等は材質分類へ、という整理が示されている。
    • 予防策:
      • 断面写真、固定枠の有無、収納スペースの有無、保護範囲(全面/一部)を確認。
  6. 間違い:工具箱・工具ケースを何でも4202にする
    • なぜ起きる:
      • 4202に「工具箱及びケース」が例示されているため。
    • 正しい考え方:
      • 4202に入るのは、個々の工具を収めるために特別に成形/内部に取り付けがあるなど、列挙品に類似する容器としての性格があるもの。そうでないものは材質章(例:3926/7326)へ。
    • 予防策:
      • 内装(成形トレー、固定具)の有無、用途説明、製品写真(開いた状態)を入手。
  7. 間違い:時計バンドを4203(革ベルト)にする
    • なぜ起きる:
      • “革でできた帯状品”が多く、用途確認を省きやすい。
    • 正しい考え方:
      • 注4で時計バンドは9113へ除外と明示。
    • 予防策:
      • 取付部仕様(ラグ幅・穴)と用途(時計用)をインボイス品名に明記。
  8. 間違い:毛皮をしっかり使った革衣類を4203にする
    • なぜ起きる:
      • “革”が主素材でも、毛皮の扱いを見落とす。
    • 正しい考え方:
      • 注2(b)で、手袋等を除き、毛皮の裏貼り・外付け(トリミング以上)は43類へ。
    • 予防策:
      • 素材構成(毛皮の種類/使用範囲)を入手し、写真で“トリミング程度”かを確認。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること(誤ると原産性判断が崩れる)
    • 例:同じ“バッグ”でも、**4202(携帯容器)**か、材質章(39類/46類/63類等)に落ちるかでPSRが変わり得ます。
  • よくある落とし穴(材料のHS、最終製品HS、工程の評価軸)
    • 外面材質で4202の号が変わる → 材料HS(革・繊維・プラ等)や工程(縫製・組立)の評価軸が変わり得る
    • そもそも“容器に該当しない”なら4205等へ → PSRが別物になる

(PSRは協定ごとに異なり、最新は税関のPSR検索等で確認する運用が一般的です。)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記
    • 本稿はHS2022(第42類)ですが、協定附属書のPSRがHS2012/2017ベースの場合があります(協定・運用資料で確認が必要)。
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
    • HS改正でコード構造が変わると、PSRの参照コードがずれるため、協定側の参照表や税関の案内に従って読み替えます。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • ①協定の参照HS版を確認 → ②旧HSでPSR特定 → ③相関表でHS2022へ対応づけ → ④最終製品HS(2022)と材料HSの整合をチェック、の順が安全です。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
    • 外面材質(革/繊維/プラ等)を含む仕様確定が先(4202の号確定のため)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 仕様書、材料明細、工程フロー、原価計算根拠、原産地証明関連書類の保管(協定により年限が異なり得ます)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(注の例示)類注2(k)(第94類の例示)“lamps and lighting fittings”の表現が“luminaires and lighting fittings”に更新(例示語の更新)実務上の大きな分類分岐は通常発生しにくいが、注の参照箇所は最新版で確認
HS2017→HS2022変更なし(6桁の新設/削除/分割/統合なしと確認できる範囲)4201〜4206相関表(Table I)に42類該当の記載が見当たらず、WCO条文(2017/2022)のコード列挙も同一社内マスタの大改修より、運用品名・外面判定など実務運用の整備が中心

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料と、判断のしかた:
    • **WCOのHS条文(HS2017/HS2022のChapter 42)**を突合し、4201〜4206の見出し・号列挙が一致すること、注の文言差(例示語の更新)があることを確認しました。
    • **WCOの相関表(HS2017↔HS2022 Table I)**を検索し、4202等の該当が見当たらないことから、少なくとも6桁レベルの再編(新設/削除/分割/統合)は確認できませんでした。
  • 変更がない場合の明示:
    • 第42類は、HS2017→HS2022で6桁コード体系の変更は確認できない、という整理になります(上記根拠による)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な追加・削除・再編(6桁レベル)について、相関表で確認できる範囲を整理します。

改正の流れ第42類(4201〜4206)に関する“主要な追加・削除・再編”根拠(相関表の確認結果)
HS2007→HS2012(確認できる範囲で)大きな再編なし相関表(HS2012↔HS2007)で4202等を検索して該当が見当たらない
HS2012→HS2017(確認できる範囲で)大きな再編なし相関表(HS2017↔HS2012)で4202等を検索して該当が見当たらない
HS2017→HS20227章のとおり(6桁再編なし)WCO条文突合+相関表Table I確認

※相関表は「変更があるコード」を主に掲載する形式のため、“記載がない=絶対に何もない”と断定せず、重要品目は条文・税関ガイダンスで最終確認する運用が安全です。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):レジ袋を「買物袋(4202)」で申告して差し戻し
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):注3(A)(a)の除外(長期使用目的でないプラ袋)を見落とし
    • 起きやすい状況:インボイス品名が“shopping bag”のみ、サンプル未確認
    • 典型的な影響:修正申告、分類照会、検査強化、納期遅延
    • 予防策:厚み・耐久性・反復使用前提の確認、無償配布の有無を資料化
  • 事例名(短く):スマホケースを材質だけで3926申告→4202指摘
    • 誤りの内容:収納枠付きで外面を覆うタイプを、形状要件確認なしに材質分類
    • 起きやすい状況:商品説明が“cover”だけ、図面なし
    • 典型的な影響:修正申告、分類根拠資料の追加提出
    • 予防策:固定枠・収納スペースの有無、保護範囲(全面/一部)を写真で提出
  • 事例名(短く):革ジャケット(毛皮裏貼り)を4203で申告
    • 誤りの内容:注2(b)(毛皮裏貼り等は43類)を見落とし
    • 起きやすい状況:素材表示が曖昧(“shearling”など)、毛皮範囲不明
    • 典型的な影響:分類変更、追加資料要求、遅延
    • 予防策:素材構成表(毛皮の種類・使用範囲)と写真を準備
  • 事例名(短く):時計バンドを革ベルト(4203.30)で申告
    • 誤りの内容:注4で時計バンドは9113に除外される点を見落とし
    • 起きやすい状況:見た目がベルト状、用途確認を省略
    • 典型的な影響:修正申告、社内マスタ修正
    • 予防策:用途(watch strap)を品名に明記、取付仕様図を保管

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • ワシントン条約(CITES)等の種規制
      • 皮革製品(バッグ・ベルト・財布等)もCITES対象になり得る旨を税関が案内しています。
      • 経産省(CITES案内)では、例としてワニ革バッグ等の輸出入時に許可書が必要になり得ること、対象種の調べ方等を案内しています。
      • 実務上は、インボイス等に学術名の記載が求められることがあるため、仕入先から種情報を取得しておくのが安全です(JETROの実務Q&Aでも言及)。
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 腸・腱等の動物由来品は、品目・加工度により所管当局の確認が必要になる場合があります(動物検疫所の案内に基づき、指定検疫物該当性や必要証明書の要否を確認)。
    • 安全保障貿易管理(該当する場合)
      • 通常のバッグ・ケースは該当しないことが多い一方、用途・取引先・最終用途によっては確認が必要なケースがあります(一般論:社内の輸出管理フローに乗せて判断)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 税関:ワシントン条約(CITES)案内ページ
    • 経済産業省:CITES案内・対象種の調べ方、ワニ皮の手続案内
    • 農林水産省(動物検疫所):指定検疫物の輸入検査手続
  • 実務での準備物(一般論):
    • CITES:種(学術名)、原産国、許可書(輸出国発給書類等)、製品写真、数量・重量、取引書類(Invoice/PL)
    • 検疫:該当性確認に必要な成分・加工度情報、必要に応じて証明書類

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 用途(携帯/保護/保管)、対象物(スマホ用、工具用等)
    • 外形寸法、容量、取手/肩ひもの有無、留め具、内部の仕切り
    • 外面材質(見える面)と被覆の有無、混用材質の割合(目視でも良い)
    • “長期使用設計”か(耐久性、無償配布か等)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注3(A)の除外(3923/4602)に当たらないか
    • 注4(時計バンド除外)に当たらないか
    • 毛皮の使用(注2(b))がないか
    • ケースを中身と一緒に輸入する場合、GIR5(a)の検討をしたか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名は「bag/case」だけでなく、用途(handbag / rucksack / phone case等)と材質を記載
    • 外面材質が分岐要素のため、写真・仕様書をセットで準備
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版、PSR、材料HS、工程要件、原価計算(必要な場合)を整合
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • CITES該当種の可能性がある皮革(ワニ・ヘビ等)なら、学術名と許可書の有無を必ず確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • HS Nomenclature 2022 – Chapter 42(条文・類注) (参照日:2026-02-21)
    • HS Nomenclature 2017 – Chapter 42(比較用) (参照日:2026-02-21)
    • HS2017↔HS2022 Correlation Table(Table I) (参照日:2026-02-21)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 関税率表解説 第42類(42r) (参照日:2026-02-21)
    • 分類例規(42rd:ハンドバッグ認定基準、長期使用の考え方、スマホカバー等) (参照日:2026-02-21)
    • 関税率表の解釈に関する通則(GIR) (参照日:2026-02-21)
    • 輸入貨物の品目分類事例(検索入口) (参照日:2026-02-21)
    • 税関:ワシントン条約(CITES) (参照日:2026-02-21)
  • 規制(CITES等)
    • 経済産業省:ワシントン条約(CITES)総合案内 (参照日:2026-02-21)
    • 経済産業省:規制対象種の調べ方 (参照日:2026-02-21)
    • 経済産業省:ワニ目の種の皮の輸出入手続 (参照日:2026-02-21)
    • JETRO:原皮・革の輸入手続き(学術名記載等の実務) (参照日:2026-02-21)
    • 農林水産省(動物検疫所):輸入畜産物の検査手続 (参照日:2026-02-21)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第41類:原皮(毛皮を除く。)及び革(Raw hides and skins (other than furskins) and leather)

※用語の統一:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 牛(水牛含む)・馬類の原皮(生鮮、塩蔵、乾燥、石灰漬け、酸漬け等)で、なめし等(不可逆)をしていないもの(4101)
    • 羊・子羊の原皮(毛付き/毛なしを含むが条件あり)(4102)
    • 爬虫類の原皮(例:ワニ・ヘビの原皮、未なめし)(4103.20)
    • 牛・馬のなめし革/クラスト(毛なし、未仕上げ)例:ウェットブルー、乾燥クラスト(4104)
    • 仕上げ革(なめし/クラスト後に更に加工) 例:型押し・塗装・研磨した靴用革(4107/4112/4113)
    • コンポジションレザー(革/革繊維ベースの再生革シート等)および革くず(革製品に不適なもの)(4115)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 原皮くず(原皮の削り屑等)05.11
    • 羽毛付きの鳥皮05.05 又は 67.01
    • 毛が付いている獣皮で「なめし又は仕上げ」済み(いわゆる毛皮) → 第43類(ただし“原皮の毛付き”は例外あり)
    • 革製の完成品(バッグ、ベルト、手袋、衣類など) → 典型的に 第42類(靴なら第64類等)
    • プラスチック・繊維等ベースのイミテーションレザー(合皮) → 材質・構造により 第39類/第59類など(※「コンポジションレザー(4115)」とは別物)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 材料(原皮・革)か、製品(バッグ等)か(41類 vs 42類/64類など)
    2. 毛付きか/毛なし、かつ 「原皮」か「なめし/仕上げ済み」か(41類の例外・43類の毛皮)
    3. なめしの段階
      • 未なめし(4101〜4103)
      • なめし/クラスト(4104〜4106)
      • 仕上げ革(4107/4112/4113、特殊は4114)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 爬虫類皮(ワニ・ヘビ等):分類ミスに加え、CITES(ワシントン条約)手続の不備があると差止め・没収リスク
    • 原皮(未加工)動物検疫・証明書不備で止まりやすい
    • 「合皮」表示:社内の呼称(合成皮革)をそのまま4115に当てる誤り(実際はプラ/繊維ベースで別類)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+注)が中心です。第41類は「原皮→なめし→仕上げ」という加工段階と、動物種・毛の有無で範囲がはっきり分かれ、注(類注)の影響が大きいです。
    • **GIR6(号の決定)**では、特に
      • 「ウェット状態(wet-blue含む)/乾燥(crust)」
      • 「全形/サイド等」「フルグレイン・未スプリット/グレインスプリット/その他」
      • 「重量(4101.20の閾値)」
        が効きます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • “leather”“wet blue”“crust”“finished”などの商慣行名称は便利ですが、分類は**実態(工程・状態)**で決めます。
    • 必ず確認したい軸:
      • 動物種(牛/羊/豚/爬虫類/その他)
      • 毛(羊毛・体毛)の有無
      • 加工段階:保存処理のみか/不可逆なめし済みか/仕上げ(塗装・型押し等)まで済みか

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:それは「材料」か「製品」か?
    • 材料(原皮・革シート等)→ Step2
    • バッグ・ベルト・手袋・衣類・靴部品など“製品”→ 多くは第42類/第64類等(第41類ではない)
  • Step2:毛が付いているか?
    • 毛付きで なめし/仕上げ済み → 原則 第43類
    • 毛付きでも **「原皮」**で、かつ動物種が注の例外に該当 → 第41類に残る(例:毛付き牛原皮など)
    • 毛なし → Step3
  • Step3:未なめし(raw)か? なめし/クラストか? 仕上げ革か?
    • 未なめし(保存処理まで)→ 4101〜4103(種で分岐)
    • なめし/クラスト(毛なし、未仕上げ)→ 4104〜4106(種+wet/crustで分岐)
    • 仕上げ革(塗装・型押し・研磨など“さらに加工”)→ 4107/4112/4113(種で分岐)/特殊仕上げは4114
    • 再生革・革くず → 4115
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第41類 vs 第43類:毛付きのまま「なめし/仕上げ」まで行ったか(行っていれば第43類になりやすい)。ただし毛付き“原皮”は例外あり。
    • 第41類 vs 第42類:革を“形に切っただけ”でも、特定形状に切り出した革片は製品扱いになり得ます(特に42類や64類)。
    • 4115(コンポジションレザー) vs 合皮(PU等):基材が革/革繊維か、プラ/繊維等か。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4101牛(水牛含む)・馬類の原皮(保存処理は可、未なめし塩蔵牛原皮、乾燥馬皮なめし・パーチメント仕上げ・仕上げ加工は不可。4101.20は重量閾値あり(後述)。
4102羊・子羊の原皮(毛付き可、ただし注の除外あり)毛付き羊皮、酸漬け(pickled)羊皮「毛付き原皮」は例外規定が絡む。4102.10(毛付き)と毛なし(酸漬け等)で分岐。
4103その他動物の原皮(爬虫類、豚等)ワニ原皮、豚原皮鳥皮(羽毛付き)除外、毛皮扱いは43類へ。爬虫類はCITES要注意。
4104牛・馬のなめし皮/クラスト(毛なし、未仕上げウェットブルー牛革、乾燥クラスト牛革wet(wet-blue含む)/dry(crust)で分岐。仕上げ革は4107へ
4105羊・子羊のなめし皮/クラスト(毛なし、未仕上げ)ウェットブルー羊革、乾燥クラスト羊革wet/dryで分岐。シャモア革等は4114へ。
4106その他動物(山羊、豚、爬虫類等)のなめし皮/クラスト(毛なし)山羊革wet-blue、爬虫類なめし皮山羊・豚はwet/dry、爬虫類は別号(4106.40)。仕上げ革は4113へ。
4107牛・馬の仕上げ革(なめし/クラスト後にさらに加工)染色・型押しの靴用牛革4114(エナメル等)除外。全形/サイド等で号が分岐。
4112羊・子羊の仕上げ革衣料用仕上げ羊革4114除外。
4113その他動物の仕上げ革(山羊・豚・爬虫類等)仕上げ山羊革、ヘビ革仕上げ号で動物種分岐(山羊/豚/爬虫類/その他)。
4114特殊仕上げ革(シャモア、エナメル、メタライズ)シャモア革、エナメル革「ワニス・ラッカー塗布」「プラシート被覆」等のエナメル/ラミネート、金属粉/箔被覆はここ。
4115コンポジションレザー(革/革繊維ベース)+革くず(不適)+革粉再生革シート、革粉PU等の合皮は含まれない(基材が革/革繊維であること)。革くずは「革製品製造に不適」限定。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件(頻出)の整理
    • 重量(4101.20/4101.50)
      • 4101.20:全形・未スプリットで、1枚重量が
        • 単純乾燥:8kg以下
        • 乾式塩蔵:10kg以下
        • 生鮮/湿式塩蔵等:16kg以下
      • 4101.50:16kg超の全形原皮
    • 毛付き/毛なし(4102.10など):羊皮は毛付き(4102.10)と毛なし(酸漬け等)で分かれます。
    • wet(wet-blue含む)/dry(crust)
      • 4104/4105/4106で分岐し、貿易書類上の「wet blue」「crust」表示と整合させる必要があります。
      • なお「クラスト」には、乾燥前の再なめし・染色・加脂を含む旨が注で明示されています。
    • フルグレイン未スプリット/グレインスプリット/その他
      • 4104・4107で「Full grains, unsplit」「Grain splits」「Other」に分岐(品質・層構造がポイント)。
    • 動物種(爬虫類等)
      • 原皮:4103.20(爬虫類)
      • なめし/クラスト:4106.40(爬虫類)
      • 仕上げ革:4113.30(爬虫類)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 爬虫類:4103.20 ↔ 4106.40 ↔ 4113.30
      • どこで分かれるか:未なめし(原皮)→なめし/クラスト→仕上げ革の段階差
      • 判断に必要な情報:なめし工程の有無(不可逆か)、wet-blue/クラスト/仕上げ工程(塗装・型押し等)
      • 典型的な誤り:CITES対象でも「革」としか書かれず、原皮/仕上げの区分が不明のまま申告(規制面でも危険)
    2. 牛馬:4104(なめし/クラスト) ↔ 4107(仕上げ革)
      • どこで分かれるか:**“なめし/クラストを超える加工”**があるか
      • 判断に必要な情報:仕上げ内容(塗装、graining/型押し、研磨、印刷、スエード化の研磨等)
      • 典型的な誤り:染色や型押し済みの革を「クラスト」と誤認して4104に入れる
    3. wet(wet-blue) ↔ dry(crust)
      • どこで分かれるか:物理状態(含水状態)
      • 判断に必要な情報:出荷形態(ドラムから出た湿潤状態か、乾燥品か)、仕様書の含水率/状態表示
      • 典型的な誤り:「wet-blue」をdry側(crust)にしてしまう
    4. 4115.10(コンポジションレザー) ↔ 4115.20(革くず等)
      • どこで分かれるか:再生革“シート/ストリップ等の製品”か、端材・粉等の“くず”か
      • 判断に必要な情報:形状(板状/シート状/ストリップ状/粉)、用途(革製品用に適するか)
      • 典型的な誤り:「合皮シート」を“コンポジションレザー”と誤認(実際はプラ/繊維基材で別類)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第41類が属するSection VIIIについて、WCO公開条文の構成上は独立した部注(Section Notes)PDFが提示されておらず、実務判断は主に各Chapterの注(類注)で行うのが実態です。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • Section VIIIの中でも、**第41類(材料の原皮・革)**と、第42類(革製品)、**第43類(毛皮)**が隣接し、境界ミスが起きやすいです。
      • 例:革の“材料”は第41類、革の“手袋・バッグ”は第42類
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 本件では、実務上は**類注(Chapter Notes)**が「他章に飛ぶ」規定を持ちます(次項参照)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約(第41類 注1〜3):
    • 注1:この類に含まないもの(除外)
      • 原皮くず(05.11)
      • 羽毛付き鳥皮(05.05/67.01)
      • 毛付き獣皮(原則43類。ただし一定の“毛付き原皮”は41類に残る例外あり)
    • 注2(A):可逆的な「なめし(前なめし含む)」は4104〜4106に入れない
      • =「一時的に安定化しただけ」の皮は、原皮(4101〜4103)扱いになり得ます。
    • 注2(B):クラストの範囲
      • 乾燥前に再なめし・着色・加脂をしていても、クラストに含む。
    • 注3:コンポジションレザーの定義
      • HS上の「コンポジションレザー」は、見出し4115の物品のみを指す(“合皮”一般とは違う)。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • なめし:皮に腐朽抵抗性・安定性等を与える非可逆的な化学反応(商慣行上の“革”の前提)
    • クラスト(crust):なめし後、乾燥した状態。乾燥前の再なめし・染色・加脂を含み得る(注2(B))。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 原皮くず → 05.11
    • 羽毛付き鳥皮 → 05.05/67.01
    • 毛付き獣皮(なめし/仕上げ済み)→ 43類

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:毛付き皮=即43類、ではない(ただし条件あり)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 毛付きか(はい/いいえ)
      • 原皮か(未なめし)/なめし・仕上げ済みか
      • 動物種(例外リストに該当するか)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕入先仕様書(工程、保存処理のみか)
      • 写真(毛の状態、裏面)
      • MSDS/工程表(なめし薬品使用の有無)
    • 誤分類の典型:
      • 毛付き牛原皮を「毛付きだから43類」としてしまう(注1(c)の例外に抵触)
  • 影響ポイント2:“前なめし”・“酸漬け”=なめし革(4104〜)とは限らない
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 工程が可逆(戻せる)な前処理か、不可逆なめしまで終わっているか
    • 現場で集める証憑:
      • タンナーの工程フロー(ピックル、クロムなめし等)
      • “wet-blue”の有無(クロムなめしの典型的な出荷状態)
    • 誤分類の典型:
      • 「酸漬け(pickled)」を“なめし済み”と誤認し4104〜に入れる(注2(A)に抵触)
  • 影響ポイント3:「コンポジションレザー」=4115のみ(合皮一般ではない)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 基材が革/革繊維か(はい/いいえ)
      • 形状が板状・シート状・ストリップ状か、粉・くずか
    • 現場で集める証憑:
      • 材料組成(革繊維比率、樹脂バインダー等)
      • 製法説明(“bonded leather” 等)
    • 誤分類の典型:
      • PU基材の“合皮”を4115にしてしまう(注3の趣旨と4115解説の除外に反する)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:バッグ・ベルト等の革製品を第41類で申告
    • なぜ起きる:社内呼称が「レザー=41類」と短絡しやすい
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第41類は**素材(原皮・革)**が中心。特定形状に切った革片や製品は他類扱いになり得る。
    • 予防策:
      • インボイス品名に「material / hides / skins / leather sheet」か「bag/belt/glove」かを明確化
      • 写真(完成品か、材料か)を事前に回収
  2. 間違い:毛付き=必ず第43類
    • なぜ起きる:毛皮(43類)のイメージが強い
    • 正しい考え方:毛付きでも**“原皮”かつ一定動物のものは第41類**に残る例外が明記。
    • 予防策:
      • 「原皮(未なめし)」か「なめし/仕上げ済み」かを工程表で確認
      • 動物種を確定(羊でも例外除外の子羊皮がある)
  3. 間違い:酸漬け(pickled)や前なめし品を“なめし革(4104〜)”にしてしまう
    • なぜ起きる:工程名に“tanning/pre-tanning”が含まれ、誤解しやすい
    • 正しい考え方:注2(A)により、可逆的ななめし(前なめし含む)は4104〜4106に入らない
    • 予防策:
      • “wet-blue(クロムなめし)”かどうか、不可逆工程まで完了しているかを確認
      • 仕様書に「tanned」「wet-blue」「crust」「finished」の区別を要求
  4. 間違い:ウェットブルーなのにcrust(乾燥側)で申告
    • なぜ起きる:出荷形態の把握不足
    • 正しい考え方:HSはwet/dryで号が分かれる(4104/4105/4106)。
    • 予防策:
      • 梱包形態(含水、冷蔵/冷凍の有無)、含水率、HSのwet/dry区分を事前に揃える
  5. 間違い:仕上げ革(塗装・型押し等)を“未仕上げ(4104〜4106)”に入れる
    • なぜ起きる:「染色はクラストの一部」という誤解
    • 正しい考え方:注2(B)は「クラストに含む」範囲を示すが、**“なめし/クラストを超える加工”**は4107/4112/4113へ。日本の解説でも仕上げ工程(型押し、研磨、印刷等)が列挙される。
    • 予防策:
      • 仕上げの有無を「工程表」「サンプル」「表面写真」で確認
      • 取引書類に“finished/embossed/coated/patent”等のキーワードを反映
  6. 間違い:“合皮”を4115(コンポジションレザー)にする
    • なぜ起きる:「合成皮革=コンポジションレザー」という言葉の混同
    • 正しい考え方:HS上のコンポジションレザーは革/革繊維ベースの再生革に限定される(注3、4115解説の除外)。
    • 予防策:
      • 基材の分析(革繊維か、PU/PVCか、繊維布帛か)
      • SDS/材料証明書の取得
  7. 間違い:革くず(4115.20)を“再利用できそう”でもそのまま申告
    • なぜ起きる:「くず=一律4115.20」と短絡
    • 正しい考え方:4115.20は革製品の製造に適しないくずに限定。適する場合は“くず”ではなく革として別見出しになり得る。
    • 予防策:
      • くずの状態(大きさ、品質)と用途(製造可否)を明確化
      • 写真・サンプル提出を前提に税関相談

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること
    • 第41類は「原皮→なめし→仕上げ→製品(42類)」と段階が明確で、どの段階のHSに当たるかでPSRが変わりやすいです。
  • よくある落とし穴(材料のHS、最終製品HS、工程の評価軸)
    • 原皮(4101〜4103)を輸入して国内でなめし(4104〜4106)にすると、同一Chapter内でもHeadingが変わるため、協定によってはCTH要件を満たす可能性があります。
    • 一方で、PSRが「特定工程」や「除外材料」に触れる場合もあり、工程定義を協定本文・PSRで要確認です(一般論)。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 当該協定が参照するHS版(例):
    • RCEP:PSRはHS2012表記で整備されつつ、日本では2023年以降、**HS2022に読み替えたPSR(transposed PSR)**を用いる運用が示されています。
    • CPTPP:PSRの表はHS2012で示されています。
    • 日EU EPA:PSRの表はHS2017で示されています。
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
    • 協定のPSRが旧HS(2012/2017等)で記載されている場合、HS2022コードで通関しても、原産地判断は“協定が参照するHS版”で読む必要が出ます。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • 税関・主管庁が提供する「読み替え表(transposition)」や、協定別のHS改正対応資料を確認し、PSRの条文上のコードと、実務申告コード(HS2022)を結び付けるのが安全です。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)・工程・原産国の整理
    • 原皮の原産(家畜の出生/飼育地)
    • 非原産原皮を国内でなめした場合:工程証跡(なめし・仕上げの有無、wet/dry状態)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 仕入書・製造指図・工程表・在庫管理記録
    • 仕上げ工程(型押し・塗装等)の証明(写真、品質検査表)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし4101〜4115見出し・注・6桁体系に大きな改正は確認されません旧版とのコード運用差は小さい(ただし国内コード細分や関税率は別管理)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料と判断の説明:
    • WCO公開のHS2017第41類条文と、HS2022第41類条文を比較すると、注(1〜3)および見出し体系(4101〜4115、wet/dry等の分岐)に実務上の差異は確認できません
    • WCOが公表する「2022年改正(2017→2022)で移動/新設等があった品目の相関表(改正点を列挙する表)」にも、第41類のコード(4101等)が登場しないため、改正対象外と整理できます
  • 変更がない場合も「変更なし」と明示し、その根拠を示す:
    • 上記のとおり、**HS2017→HS2022の第41類は“変更なし”**と判断します。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理(可能な範囲)
改正局面主要な追加・削除・再編(第41類で確認できた範囲)旧コード→新コード(例)メモ
HS2007→HS20124101.20の改正に伴う範囲調整が相関表に記載旧4101.20の一部 → 4101.90へ移動(または4101.20に残留)相関表では「4101.20の改正による移動」と説明
HS2012→HS2017第41類コードの改正記載なし(少なくとも相関表の改正点には登場せず)改正点列挙型の相関表で41類コードがヒットしない
HS2017→HS2022変更なし章条文比較+改正点相関表の確認

補足:上表は「改正点を列挙する相関表」ベースで確認した範囲です。第41類は大枠が長期的に安定していますが、国内コード(8/9桁)や関税率、協定PSRの読み替えは別途確認してください。


9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):毛付き“仕上げ革ラグ”を4107で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):毛付きで「なめし/仕上げ済み」は原則43類(注1(c)の原則側)
    • 起きやすい状況:インボイスに “hair-on leather” とだけ記載、工程情報なし
    • 典型的な影響:修正申告、検査強化、通関遅延
    • 予防策:毛付きの場合は「原皮か/なめし済みか」を工程表で確定し、必要なら事前教示へ
  • 事例名:“pickled hides”を4104(なめし革)で申告
    • 誤りの内容:可逆的な前なめし段階を4104〜4106に入れた(注2(A))
    • 起きやすい状況:保存処理(酸漬け)=なめし済みと誤解
    • 典型的な影響:分類替え、税率差による追徴、検疫手続の組み替え
    • 予防策:工程の不可逆性、wet-blueの有無を確認(仕様書・MSDS)
  • 事例名:“合皮シート”を4115(コンポジションレザー)で申告
    • 誤りの内容:4115は革/革繊維ベースに限定(注3、4115解説の除外)
    • 起きやすい状況:商品名が「再生皮革」「ボンデッドレザー」「合成皮革」で混乱
    • 典型的な影響:分類替え(39類/59類等)、関税率・規制の再判定
    • 予防策:基材の組成証明(革繊維含有、樹脂種、基布有無)を確保
  • 事例名:爬虫類革でCITES書類不備
    • 誤りの内容:分類以前に、CITES管理種の輸入承認・証明が不足
    • 起きやすい状況:取引先が「レザー素材」としか言わない/種名が不明
    • 典型的な影響:差止め、没収、調査、納期遅延
    • 予防策:種名・学名、CITES付属書、輸出国許可証の事前確認

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 原皮・皮革は動物由来製品として、輸入時に動物検疫(農林水産省 動物検疫所)の対象となり得ます。一般に、輸入には衛生証明書等の提出や検査が必要となる場合があります。
    • 実務では、輸出国・疾病状況・加工度(未加工/なめし等)で要件が変わるため、動物検疫所の案内に従って事前確認が必要です。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • ワニ革・ヘビ革などはCITES対象になり得ます。日本では経済産業省(METI)の輸入承認や、税関での確認が必要になるケースがあります。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 第41類そのものは典型的な該当リスクは高くありませんが、用途(軍用装備等)や相手先により別途確認が必要な場合があります(一般論)。
  • その他の許認可・届出
    • **関税割当(タリフクォータ)**が品目によって関係する可能性がある旨が実務Q&A等で言及されています(該当は品目・時期で要確認)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 動物検疫所(MAFF)輸入検査手続
    • METI CITES輸入承認
    • 税関(CITES案内)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 動物種・加工度がわかる仕様書(工程表)
    • 衛生証明書(必要な場合)
    • CITES関連書類(対象種の場合:許可証、学名・数量等の整合)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 動物種(牛/羊/山羊/豚/爬虫類/その他)
    • 毛の有無、脱毛の有無
    • 加工段階(保存処理のみ/前なめし/不可逆なめし/クラスト/仕上げ)
    • 形状(全形、サイド、シート、ストリップ、粉等)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注1(除外:05.11、05.05/67.01、43類)に抵触しないか
    • 注2(A)(可逆な前なめし)に該当しないか
    • 4104〜4106と4107/4112/4113の境界(仕上げ工程)を工程表で裏付け
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に「raw / wet-blue / crust / finished / hair-on」等、誤解が少ない語を入れる
    • 仕様書、写真、工程フロー、材質証明(4115や合皮疑いの場合)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版(2012/2017等)を確認し、必要なら読み替えを実施
    • BOM、工程証跡、原皮の原産・仕上げ工程の有無を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 動物検疫(原皮等):事前確認、証明書準備
    • CITES(爬虫類等):METI承認・許可証整合

12. 参考資料(出典)

※Web参照は「参照日(YYYY-MM-DD)」も併記

  • WCO(HS2022条文)
    • HS2022 Chapter 41(Raw hides and skins… and leather) (参照日:2026-02-21)
  • WCO(HS2017条文)
    • HS2017 Chapter 41 (参照日:2026-02-21)
  • WCO(HS改正・相関表)
    • Amendments effective from 1 January 2022(相関表・改正点列挙型) (参照日:2026-02-21)
  • 日本(税関・公的機関)
    • 関税率表解説 第41類(41r.pdf) (参照日:2026-02-21)
    • 事前教示制度(品目分類:カスタムスアンサー) (参照日:2026-02-21)
    • 事前教示回答(品目分類)検索 (参照日:2026-02-21)
  • 動物検疫(MAFF)
    • 輸入畜産物の検査手続(動物検疫) (参照日:2026-02-21)
    • 畜産物の輸入検査要領(PDF) (参照日:2026-02-21)
  • CITES(日本)
    • METI:CITES輸入承認手続 (参照日:2026-02-21)
    • 税関:ワシントン条約(CITES)案内 (参照日:2026-02-21)
  • FTA/EPA(HS版の参照例)
    • RCEP:日本外務省(HS2022への読み替え運用に関する案内) (参照日:2026-02-21)
    • RCEP:HS2012表記のPSR資料例 (参照日:2026-02-21)
    • CPTPP/TPP:Annex 3-D(PSRがHS2012表記であることの明示) (参照日:2026-02-21)
    • 日EU EPA:Annex 3-B(PSRがHS2017表記であることの明示) (参照日:2026-02-21)
  • HS旧版相関(参考)
    • HS2017-HS2012 相関表(改正点列挙型、41類コード非該当の確認) (参照日:2026-02-21)
    • HS2012-HS2007 相関表(4101.20改正の記載確認) (参照日:2026-02-21)
  • その他
    • JETRO:原皮・皮革の輸入手続(日本、Q&A) (参照日:2026-02-21)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • ①動物種、②毛の有無、③加工段階(raw / wet-blue / crust / finished)、④形状(全形/サイド/シート等)、⑤用途、⑥工程表・写真・成分資料(4115/合皮判定)
  • 日本税関の「品目分類の事前教示」
    • 制度概要(文書照会で回答を得る)
    • 公開されている事前教示回答の検索(キーワード検索)
    • 注意:Eメール等の簡易照会は、扱いが異なる旨の注意喚起があります(利用時は位置づけを理解した上で)。

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。