セット商品のコンプライアンス違反における罰金額の相場を、国別・違反レベル別に体系的に整理します。

1. 米国:19 USC 1592に基づく罰金体系

米国CBPの罰金は、違反の重さ(詐欺/重過失/過失)により明確に倍率が法定されています。uscode.house+1

罰金計算式

違反レベル関税損失がある場合関税損失がない場合
詐欺(Fraud)関税損失額の2倍〜4倍
または商品の国内価値
課税価格の80%
重過失(Gross Negligence)関税損失額の4倍
または商品の国内価値のいずれか小さい方
課税価格の40%
過失(Negligence)関税損失額の2倍
または商品の国内価値のいずれか小さい方
課税価格の20%

実際の計算例:セット商品の分類誤り

前提条件:

  • セット商品の輸入価格(CIF):$100,000
  • 誤った分類での関税率:0%(Free)
  • 正しい分類での関税率:5%
  • 関税損失額:$5,000
  • 3年間、毎月1回輸入(合計36回)
  • 累積関税損失額:$180,000

罰金計算:

違反レベル罰金額合計支払額
過失$180,000 × 2 = $360,000$540,000(未納関税$180,000 + 罰金$360,000)
重過失$180,000 × 4 = $720,000$900,000(未納関税$180,000 + 罰金$720,000)
詐欺$180,000 × 4 = $720,000以上$900,000以上

CBPのガイドライン上の実務相場

CBP内部ガイドライン(Appendix B to Part 171)による実務相場:[ecfr]​

違反レベル最小倍率最大倍率
重過失(関税損失あり)損失額の1.5倍損失額の2.5倍
過失(関税損失あり)損失額の0.5倍損失額の1.5倍

実務例(上記の例で過失認定):

  • 最小罰金:$180,000 × 0.5 = $90,000
  • 最大罰金:$180,000 × 1.5 = $270,000

和解交渉による減額の可能性

実務では、CBPとの和解により法定最大額より低い金額で合意するケースが多くあります:[linkedin]​

  • 早期自主開示:罰金が大幅に減額(50-90%減額も)[greatlakescustomslaw]​
  • Reasonable careの証明:文書化があれば減額交渉の材料になる[aomeara]​
  • 初犯:重大な悪質性がなければ低めの倍率適用

2. 日本:加算税制度による罰金体系

日本では、関税法に基づく加算税が罰金に相当します。freee+1

加算税の種類と税率

加算税の種類税率適用条件
過少申告加算税10%修正申告・更正により追加納税が発生した場合
〃(高額部分)15%追加納税額が当初申告額または50万円のいずれか多い方を超える部分
無申告加算税15%法定期限後に申告した場合
〃(高額部分・50万円超)20%納付額が50万円を超える部分
〃(高額部分・300万円超)30%納付額が300万円を超える部分
重加算税(過少申告)35%事実の隠蔽・仮装がある場合
重加算税(無申告)40%無申告で隠蔽・仮装がある場合

実際の計算例:セット商品の分類誤り

前提条件:

  • セット商品の課税価格:¥10,000,000
  • 誤った分類での関税率:0%(無税)
  • 正しい分類での関税率:5%
  • 関税不足額:¥500,000
  • 3年間で累計36回輸入
  • 累積不足関税額:¥18,000,000

加算税計算(過少申告の場合):

text過少申告加算税 = ¥18,000,000 × 10% = ¥1,800,000

加算税計算(重加算税の場合):

text重加算税 = ¥18,000,000 × 35% = ¥6,300,000

合計支払額:

  • 過少申告加算税の場合:¥18,000,000 + ¥1,800,000 = ¥19,800,000
  • 重加算税の場合:¥18,000,000 + ¥6,300,000 = ¥24,300,000

延滞税

加算税に加えて延滞税(利息相当)も発生します:[freee.co]​

  • 原則:年7.3%(令和6年度は2.4%)
  • 納期限の翌日から実際に納付する日までの日数で計算

3年分の延滞税概算:

text¥18,000,000 × 2.4% × 3年 = 約¥1,300,000

総額: ¥19,800,000 + ¥1,300,000 = 約¥21,100,000(過少申告加算税の場合)

自主申告による軽減

調査の事前通知後、更正予知前に修正申告する場合:5%に軽減[jetro.go]​

text¥18,000,000 × 5% = ¥900,000(約¥900,000の節約)

3. EU:加盟国により異なる罰金体系

EUでは各加盟国が独自の罰則を設定できますが、**「効果的、比例的、抑止的」**でなければなりません。internationaltradecomplianceupdate+1

代表的な罰金率

罰金率備考
ハンガリー25-200%悪質度により変動[internationaltradecomplianceupdate]​
〃(標準)50%ECJが比例性を認めた[blogs.pwc]​
チェコ分類誤りで罰金あり具体的率は法令により[arws]​
英国(EU離脱後)£250-£2,500/件次項参照

ハンガリーの事例:50%罰金がECJで支持された

事例:J.P. Mali社(自転車部品輸入)blogs.pwc+1

状況:

  • アンチダンピング税の過少納付
  • 善意(good faith)を主張したが認められず
  • 罰金率:50%

ECJの判断:

“50%の罰金は効果的かつ抑止的であり、比例原則に反しない。経済事業者に正確なデータ提供のための必要な措置を取らせる目的で正当化される”internationaltradecomplianceupdate+1

計算例(ハンガリーの50%罰金)

前提条件:

  • 関税不足額:€100,000(3年累計)

罰金額:

text€100,000 × 50% = €50,000
合計支払額:€150,000

4. 英国:固定額ペナルティ+重大な場合は高額化

英国HMRCは、固定額ペナルティを段階的に適用します。[gov]​

標準ペナルティ(固定額)

回数罰金額
初回£250
2回目£500
3回目£1,000
4回目以降£2,000, £2,500(上限)

重大な過少申告の場合

過少申告額罰金額
£50,000超初回でも**£1,000**(2段階上げ)
£100,000超初回でも最大額(£2,500)

計算例

前提条件:

  • 関税不足額:£80,000(3年累計)
  • 重大な過少申告に該当

罰金額:

  • 初回から**£1,000**(£50,000超のため2段階上げ)

ただし:
英国では罰金が固定額のため、米国や日本と比べて金額的には比較的低額です。ただし、刑事訴追や営業停止などの行政処分が別途あり得ます。

5. カナダ:AMPS(Administrative Monetary Penalty System)

カナダCBSAは、AMPSにより固定額または比例罰金を科します。cbsa-asfc+1

AMPSの特徴

  • 罰金は違反に対して課され、未納関税とは別途支払い[cbsa-asfc.gc]​
  • 繰り返し違反で罰金額が増加
  • 目的は「改善」であり「懲罰」ではない[cbsa-asfc.gc]​

典型的な違反と罰金額

違反内容罰金額相場
関税支払い不履行固定額(数千CAD)
CBSAへの情報提供不履行固定額
不正確な申告の自己訂正失敗固定額

注: 具体的な金額は違反の種類と重大性により異なり、CBSAの公開情報では詳細が明示されていない場合が多いです。cbsa-asfc+1

6. オーストラリア:商品価値ベースの罰金

オーストラリアは、商品価値の倍数で罰金を計算します。[ato.gov]​

罰金計算式

商品価値を判定できる場合:

textいずれか大きい方
・商品価値の3倍
・1,000ペナルティユニット(1ユニット≒A$313、合計約A$313,000)

商品価値を判定できない場合:

text最大1,000ペナルティユニット

計算例

前提条件:

  • セット商品の価値:A$100,000(3年累計)

罰金額:

textA$100,000 × 3 = A$300,000
または
1,000ペナルティユニット = A$313,000
→ いずれか大きい方:A$313,000

7. インドネシア:段階的な倍率(最大10倍)

インドネシアは、過少申告の割合により罰金倍率が段階的に上昇します。[muc.co]​

罰金倍率表

過少申告率罰金倍率
50%以下100%
50%-100%125%
100%-150%150%
150%-200%175%
200%-250%200%
250%-300%225%
300%-350%250%
350%-400%300%
400%-450%600%
450%超1,000%(10倍)

計算例

前提条件:

  • 正しい関税額:$100,000
  • 申告した関税額:$25,000
  • 過少申告率:75% → 125%罰金

罰金額:

text($100,000 - $25,000) × 125% = $75,000 × 1.25 = $93,750
合計支払額:$75,000 + $93,750 = $168,750

8. 各国比較:同じ分類誤りでの罰金額シミュレーション

共通前提条件:

  • セット商品の輸入価格:$100,000(¥15,000,000相当)
  • 誤った分類:関税率0%
  • 正しい分類:関税率5%
  • 関税不足額:$5,000(¥750,000)
  • 3年間・36回輸入
  • 累積不足関税:$180,000(¥27,000,000)

罰金額比較表

違反レベル罰金計算罰金額合計支払額
米国過失$180,000 × 0.5-1.5$90,000-$270,000$270,000-$450,000
重過失$180,000 × 1.5-2.5$270,000-$450,000$450,000-$630,000
詐欺$180,000 × 2-4$360,000-$720,000$540,000-$900,000
日本過少申告¥27,000,000 × 10%¥2,700,000¥29,700,000
重加算税¥27,000,000 × 35%¥9,450,000¥36,450,000
EU(ハンガリー)標準€180,000 × 50%€90,000€270,000
英国重大固定額£2,500£182,500
オーストラリア標準A$3,600,000 × 3A$10,800,000A$10,980,000
インドネシア過少100%$180,000 × 125%$225,000$405,000

金額換算(1ドル=¥150、1ユーロ=¥160、1ポンド=¥190、1豪ドル=¥100):

合計支払額(円換算)
米国(過失)¥40,500,000-¥67,500,000
米国(重過失)¥67,500,000-¥94,500,000
米国(詐欺)¥81,000,000-¥135,000,000
日本(過少申告)¥29,700,000
日本(重加算税)¥36,450,000
EU¥43,200,000
英国¥34,675,000
オーストラリア¥1,098,000,000
インドネシア¥60,750,000

9. 罰金を軽減する方法

最も効果的:自主開示(Voluntary Disclosure)

効果
米国罰金が50-90%減額される可能性[greatlakescustomslaw]​
日本過少申告加算税が**10%→5%**に軽減[jetro.go]​
カナダAMPSペナルティが減額される場合あり

その他の軽減要因

  • Reasonable careの証明:文書化された分類プロセス[aomeara]​
  • 初犯:繰り返し違反がない[gov]​
  • 善意:意図的ではなかった証明(ただしEUでは認められにくい)[internationaltradecomplianceupdate]​
  • 迅速な是正:指摘後すぐに対応[supplychainbrain]​
  • 協力的態度:監査に全面協力

10. まとめ:罰金相場の実務的理解

セット商品の分類誤りによる罰金相場は:

要素典型的な範囲
過失レベル不足関税額の10%-200%
重過失・故意不足関税額の35%-400%
最悪ケース不足関税額の1,000%(インドネシア)

実務上の重要ポイント:

  1. 米国が最も高額:重過失で損失額の4倍、累積すると数億円規模uscode.house+1
  2. 日本は比較的明確:10-35%の加算税+延滞税で予測可能jetro+1
  3. EUは国により差が大きい:25-200%の範囲[internationaltradecomplianceupdate]​
  4. オーストラリアは商品価値の3倍:高額商品は特に注意[ato.gov]​
  5. 自主開示が最大の軽減策:50-90%の減額効果[greatlakescustomslaw]​

避けるべき「重過失」認定のパターン:

  • 税関の指摘を無視して同じ誤りを繰り返す[supplychainbrain]​
  • 文書化されていない分類決定[aomeara]​
  • 明らかに誤りと知りながら放置
  • 事実の隠蔽・仮装[freee.co]​

結論: セット商品の分類不確実性は、**「数千万円〜数億円の潜在債務」**として財務リスク管理する必要があります。事前判断制度(BTI/ruling/事前教示)への投資は、このリスクを確実に消去する最も費用対効果の高い手段です。

実際のCBP Ruling事例:Essential Characterが決定できなかったケース

事例:超音波・UV除菌器(NY N321794, 2021年)

製品仕様:

  • 超音波洗浄機能
  • UV-C LED除菌機能
  • ワイヤレス充電機能(スマートフォン用)
  • 防水リザーバー内に配置

CBPの判断プロセス:

  1. 複合品として認定:複数のheadingに該当する機能を持つ複合品と判断
  2. Essential characterの検討
    • 超音波洗浄機能(heading 8479)
    • ワイヤレス充電機能(heading 8504)
    • UV除菌機能(heading 8543)
  3. CBPの結論: “CBPは、超音波洗浄機能、UV洗浄機能、充電機能のいずれも、エンドユーザーにとって全て同等に重要であるため、製品にessential characterを与えないと判断した”[cmtradelaw]​
  4. GRI 3(c)の適用
    番号順で最後のheading 8543で分類[cmtradelaw]​

この事例が示す重要なポイントは、「全ての機能がエンドユーザーにとって同等に重要」という客観的判断が、essential character不明瞭の根拠になるということです。

実務判断フローチャート

以下のフローで、セット商品がGRI 3(c)の対象かを判断します:

ステップ1:セット要件の確認

textセット3要件を満たすか?
├─ YES → ステップ2へ
└─ NO → セットとして扱わず、各構成品を個別分類

ステップ2:GRI 3(a)の適用試行

textより特定的な記述の項が存在するか?
├─ YES → その項で分類(終了)
└─ NO → ステップ3へ

ステップ3:GRI 3(b)のEssential Character分析

3-1. 各構成要素の客観的データ収集

  • 価値(円、ドル、ユーロ)と価値比率(%)
  • 重量(グラム、kg)と重量比率(%)
  • 体積(cm³、リットル)と体積比率(%)
  • 数量

3-2. 機能的役割の評価

text主目的を完遂するために不可欠な構成要素は明確か?
├─ YES → その構成要素で分類(終了)
└─ NO → 3-3へ

3-3. 専用性の評価

text特定の活動に対して明確に専用設計された構成要素があるか?
├─ YES → その構成要素で分類(終了)
└─ NO → 3-4へ

3-4. 消費者認識の確認

text消費者が「この製品の本質」として明確に認識する構成要素は?
├─ 明確 → その構成要素で分類(終了)
└─ 不明確 → ステップ4へ

ステップ4:「Essential Character決定不可」の立証

以下の全ての条件を満たす場合、GRI 3(c)を適用:

  • 価値比率が拮抗している(例:30%、35%、35%)
  • 重量・体積でも優位性がない
  • 機能的に独立しており、どれも「主役」でない
  • 専用性が低く、代替可能性が高い
  • 消費者が「これが本質」と明確に認識する要素がない
  • 客観的証拠で上記を説明できる

ステップ5:GRI 3(c)の適用

text候補となるheadingを番号順に並べる
→ 最後の番号のheadingで分類(終了)

Essential Characterが決定できない典型パターン

パターン1:機能分散型(UV Sanitizer型)

特徴:

  • 複数の独立した機能を持つ
  • 各機能が異なるユーザーニーズに対応
  • どの機能も「なければ困る」レベルではない

判定基準:
「エンドユーザーにとって全て同等に重要」かを問う[cmtradelaw]​

実例:

  • 超音波洗浄+UV除菌+充電器
  • ラジオ+懐中電灯+充電器
  • Bluetooth スピーカー+時計+温度計

パターン2:価値均衡型

特徴:

  • 複数の構成品の価値が拮抗
  • 機能的役割も同程度

判定基準:
価値比率が30-40%の範囲に複数の構成品が入るか[zonos]​

実例:

  • 靴下(40%)+ネクタイ(60%)のギフトセットcmtradelaw+1
  • 革50%+繊維50%のベルト[customslegaloffice]​

パターン3:独立商品型

特徴:

  • セット内の各商品が独立した商業価値を持つ
  • 一緒に使う必然性が弱い
  • ギフト用途で束ねただけ

判定基準:
「特定の活動」の定義が曖昧で、essential characterも決められない[tradeinsightai]​

実例:

  • ハンカチ+靴べら+キーホルダーのギフトセット
  • コスメ複数種(口紅、アイシャドウ、マスカラ)で特定のメイクアップ用途が不明確

実務チェックリスト:GRI 3(c)適用前の確認事項

✅ GRI 3(a)を真剣に検討したか

  • 各候補headingの記述を正確に読み比べた
  • より特定的な記述がないことを確認した
  • 検討プロセスを文書化した

✅ GRI 3(b)の全判断要素を検討したか

  • 性質:材料・構成要素の本質的特性を分析した
  • :物理的な大きさを測定・比較した
  • 数量:量的な割合を計算した
  • 重量:重量比率を算出した
  • 価値:価格比率を計算した(原価ベースと販売価格ベースの両方)
  • 使用における役割:機能的支配性を評価した

✅ 「決定できない」ことを客観的に説明できるか

  • 比較表(Excel等)を作成し、数値的根拠を示した
  • なぜどの要素も決定的な優位性がないか文章化した
  • 第三者(上司、通関業者、税関)が納得できる説明になっている

✅ 一貫性を確保しているか

  • 類似のセット商品で過去に異なる判断をしていないか確認した
  • 社内の判断基準と矛盾していないか確認した
  • 公表されているruling/BTI/事前教示事例を調査した

よくある実務上の間違いと回避方法

❌ 間違い1:「Essential character判定が面倒だから3(c)を使う」

リスク:
税関監査で「GRI 3(b)の検討が不十分」と指摘され、追徴課税・罰金の可能性[tradeinsightai]​

正しいアプローチ:
GRI 3(b)の全判断要素を真剣に検討し、その検討プロセスを文書化した上で、「それでも決定できない」と結論づけるtradeinsightai+1

❌ 間違い2:「価値が同じだからGRI 3(c)」

リスク:
価値は判断要素の一つに過ぎず、機能的役割で明確な優位性があればGRI 3(b)で分類すべきcbsa-asfc+1

正しいアプローチ:
価値が拮抗していても、機能的役割・専用性・消費者認識などの要素を総合的に評価する

❌ 間違い3:「どのheadingでも良いと思ったからGRI 3(c)」

リスク:
GRI 3(c)は「同等に考慮に値する項」の中で最後の番号を選ぶルールであり、「どれでも良い」という意味ではないtraide+1

正しいアプローチ:
候補となるheadingを明確に特定し、それらが「同等に考慮に値する」理由を説明する[tradeinsightai]​

❌ 間違い4:「GRI 3(c)だから説明不要」

リスク:
事前判断制度(BTI、ruling、事前教示)の申請が却下される、または望まない分類が回答されるtaxation-customs.europa+1

正しいアプローチ:
GRI 3(c)に至った判断プロセスを詳細に文書化し、申請時に添付する[gov]​

各国での申請時の説明文例

米国CBP Ruling申請

text分類根拠の説明:

1. GRI 3(a)の検討:
   本製品は以下の複数のheadingに該当する可能性があります:
   - Heading 8479(超音波洗浄機)
   - Heading 8504(充電器)
   - Heading 8543(UV除菌装置)
   
   これらのheadingはいずれも本製品の一部の機能のみを記述しており、
   どのheadingも他より特定的とは言えません。

2. GRI 3(b)の検討:
   Essential characterの判定を試みました:
   
   価値分析:
   - 超音波洗浄機能:35%
   - 充電機能:30%
   - UV除菌機能:35%
   
   機能分析:
   各機能は独立しており、エンドユーザーは用途に応じて
   いずれかの機能を選択的に使用します。どの機能も
   「この製品の本質」として明確に優位ではありません。
   
   結論:Essential characterを決定できません。

3. GRI 3(c)の適用:
   候補heading:8479、8504、8543
   番号順で最後のheading 8543を提案します。

添付資料:
- 構成要素の詳細仕様
- 価値・重量・体積の比較表
- 製品カタログ
- 使用説明書

EU BTI申請

BTI申請フォームの「分類根拠」欄に記載:

textClassification Justification:

The product is a composite good with three distinct functions:
1. Ultrasonic cleaning (heading 8479)
2. Wireless charging (heading 8504)  
3. UV sanitization (heading 8543)

GRI 3(a): No heading is more specific than others.

GRI 3(b): Essential character cannot be determined because:
- Value distribution: 35% / 30% / 35% (attached breakdown)
- Functional independence: Each function operates independently
- Consumer perception: No single function dominates user purpose
- All functions are equally important to end users

GRI 3(c): Among headings 8479, 8504, and 8543, we propose 
heading 8543 as the last in numerical order.

Supporting documents attached:
- Technical specifications
- Value/weight/volume comparison table
- User manual
- Product photographs

日本税関・事前教示照会

text分類根拠の説明:

本製品は以下の複数の項に該当する可能性があります:
- 第8479項(超音波洗浄機)
- 第8504項(充電器)
- 第8543項(UV除菌装置)

関税率表解釈に関する通則3(a):
各項はそれぞれ本製品の一部の機能のみを記述しており、
より特定的な記述を有する項を決定できません。

関税率表解釈に関する通則3(b):
重要な特性を与える材料または構成要素の判定を試みましたが、
以下の理由により決定できませんでした:

・価値比率:超音波機能35%、充電機能30%、UV機能35%
・重量比率:ほぼ均等に分散
・機能的役割:各機能は独立しており、使用者は用途に応じて
  いずれかを選択的に使用するため、どの機能も決定的な
  優位性を持ちません

関税率表解釈に関する通則3(c):
上記により、番号順で最後に来る第8543項が適用されると
考えますが、ご教示をお願いします。

添付資料:
・製品仕様書
・構成要素の価値・重量比較表
・製品カタログ(日本語・英語)
・取扱説明書

まとめ:GRI 3(c)は「最後の手段」であり「逃げ道」ではない

セット商品でessential characterが不明瞭な場合、GRI 3(c)により番号順で最後のheadingで分類します。wcotradetools+2

ただし、実務で最も重要なのは:

  1. GRI 3(a)と3(b)を真剣に検討したことを証明するlinkedin+1
  2. 「Essential characterが決定できない」ことを客観的証拠で示す[cmtradelaw]​
  3. 判断プロセスを第三者が再現できる形で文書化する[tradeinsightai]​
  4. 各国の事前判断制度で確認を取るcustoms+2

UV Sanitizerの事例が示すように、CBPでさえ「全ての機能が同等に重要」と判断してGRI 3(c)を適用することがあります。恐れる必要はありませんが、その判断に至るプロセスの透明性と説明責任が鍵です。[cmtradelaw]​

Essential Characterの基本的な定義

GRI 3(b)は、混合物、複合品、または小売用セットを**「それらに重要な特性を与える材料または構成要素から成るものとして」分類する**と規定しています。[wcotradetools]​

Essential characterとは、その物品の本質的な性格や主要な特徴を決定づける要素のことで、「どの構成要素がその物品を『その物品たらしめているか』」を判断する概念です。[aomeara]​

WCO Explanatory Notesに基づく判定要素

WCOのExplanatory Notesは、essential characterを決定する要素は物品の種類によってケースバイケースで異なると明記しています。cbsa-asfc+1

判定に用いられる主な要素は以下の通りです:

1. 性質(Nature)

材料または構成要素の本質的な性質や特性wcotradetools+1

2. 嵩(Bulk)

物理的な大きさや体積cbsa-asfc+1

3. 数量(Quantity)

構成要素の量的な割合wcotradetools+1

4. 重量(Weight)

重量の比率cbsa-asfc+1

5. 価値(Value)

経済的価値または構成要素の価格比率wcoomd+2

6. 使用における役割(Role in relation to the use of the goods)

その物品の使用において構成材料が果たす機能的な役割wcotradetools+1

重要な実務上の原則

単一の要素だけでは決定できない

Essential characterの判定は単一の要素だけで自動的に決まるわけではありません。全ての要素を総合的に評価し、証拠に基づいて判断する必要があります。[tradeinsightai]​

客観的な判断が必要

Essential characterの判定は主観的であってはならず、Explanatory Notesに記載された客観的要素を用いて判断しなければなりません。[tradeinsightai]​

決定できない場合はGRI 3(c)へ

どの構成要素も明確に優位性を持たず、essential characterが決定できない場合は、GRI 3(b)の適用は失敗し、**GRI 3(c)(最後の番号の項)**に進みます。tradeinsightai+1

各国の実務における判定アプローチ

カナダCBSAの具体例:ヘアドレッシングセット

カナダCBSAは、ヘアドレッシングセットの分類で次のように説明しています:[cbsa-asfc.gc]​

構成品:

  • 電動バリカン(heading 85.10)
  • 櫛(heading 96.15)
  • ハサミ(heading 82.13)
  • ブラシ(heading 96.03)
  • タオル(heading 63.02)
  • 革製ケース(heading 42.02)

判定:
このセットでは、「髪を切る」という活動において専用性が高く(specialized nature)、価値も大きい電動バリカンがessential characterを与えると判断されます。[cbsa-asfc.gc]​

この例から分かるポイント:

  • 機能的な専用性:電動バリカンは髪を切るという主目的に不可欠
  • 価値:構成品の中で最も高価
  • 代替不可能性:他の構成品では電動バリカンの機能を代替できない

米国CBPのアプローチ

米国CBPは、essential characterの判定において次の要素を重視します:rulings.cbp+1

  1. 機能的支配性(Functional dominance):その構成要素がなければ製品が本来の機能を果たせないか
  2. 複雑性(Complexity):技術的に最も複雑で重要な構成要素か
  3. 相対的価値(Relative value):構成要素間の価格比率
  4. 消費者認識(Consumer perception):消費者がその製品の本質として何を認識するか[tradeinsightai]​

EUのBTI実務

EUのBTI決定では、essential characterの判定理由を明確に文書化することが求められます。ploum+1

実務上は以下の情報を提出します:

  • 各構成品の詳細な仕様と材質
  • 重量・体積・価値の比較データ
  • 機能説明書やパンフレット
  • 消費者向けの製品説明

実務における判定の手順

ステップ1:全構成要素を洗い出す

セットまたは複合品を構成する全ての材料・部品をリストアップし、それぞれの仮の分類項を特定します。[wcotradetools]​

ステップ2:客観的データを整理する

各構成要素について以下を数値化・明確化します:

  • 重量(グラム、kg)
  • 体積(cm³、リットル)
  • 単価および価値比率(%)
  • 数量

ステップ3:機能的役割を評価する

  • その製品の主目的は何かを定義する
  • 各構成要素が主目的に対して果たす役割(不可欠/補助的/独立的)を評価する
  • 専用性(その構成要素がその用途に特化しているか)を検討する
  • 代替可能性(他の構成要素で代替できるか)を評価する

ステップ4:総合判断と文書化

上記の要素を総合的に評価し、どの構成要素が製品の本質を決定づけるかを判断します。判断理由は第三者が再現可能な形で文書化します。[tradeinsightai]​

ステップ5:Essential characterが決定できない場合

複数の構成要素が同等に重要で、いずれも決定的な優位性がない場合は、GRI 3(b)は適用できず、**GRI 3(c)(番号順で最後の項)**で分類します。wcotradetools+1

よくある判定の誤解

❌ 「価値が最も高い=Essential character」ではない

価値は判断要素の一つですが、価値だけで自動的に決まるわけではありません。機能的役割が弱い高価な装飾品より、価値は低くても機能上不可欠な部品がessential characterを与えることがあります。tradeinsightai+1

❌ 「重量が最も重い=Essential character」ではない

重量も一要素に過ぎません。軽量でも技術的に重要な電子部品が、重い箱よりessential characterを与える場合があります。

❌ 「消費者の主観」だけで決めてはいけない

消費者認識は参考要素ですが、客観的な証拠に基づく判断が必要です。[tradeinsightai]​

実務上の文書化のコツ

Essential characterの判定を各国税関に説明する際は、以下の構成で文書を作成すると効果的です:

  1. 製品の目的と用途の明確な定義
  2. 構成要素リスト(表形式で材質・用途・重量・体積・単価を整理)
  3. 各要素の機能的役割の説明(主要/補助/独立)
  4. 専用性と代替可能性の評価
  5. 客観的データの比較(価値比率、重量比率など)
  6. 結論:なぜその構成要素がessential characterを与えるか

この文書化アプローチは、米国のruling申請、EUのBTI申請、日本の事前教示、カナダのadvance rulingなど、各国の事前判断制度で共通して有効です。cbsa-asfc+1

GIR 3(b)で「セット品」を分類する実務: 各国でブレないためのヒント集

海外向けに商品を束ねて販売する場面は増えています。ギフトボックス、スターターキット、アクセサリー同梱、販促用の「おまけ」など、見た目はひとまとまりでも、税関上の品目分類(HSコード、関税分類)は一筋縄ではいきません。

とりわけ悩ましいのが、HSの解釈に関する通則(General Rules for the Interpretation of the Harmonized System)のうち、GIR(GRI)3(b)で扱う「小売用のセットにした物品(goods put up in sets for retail sale)」です。セットとして一つの品目番号に寄せられれば申告が簡素化する一方、要件を満たさないのにセット扱いをすると、追徴・罰則リスクや通関遅延につながります。各国は共通のHSルールを基礎にしつつ、運用や情報提出の作法に差があります。

この記事では、GIR 3(b)の基本から、国別に通用する実務のコツまでを、ビジネス現場向けに深掘りします。

1. GIR 3(b)の前提: 「セット品」に見えても、まずは三つの要件を満たすか

1-1. 「小売用のセット」に該当する三つの要件

HSの解釈ルールでは、ある物品が複数の項(Heading)に当たりそうなときの決め方として、GIR 3(a)〜(c)を順次適用します。そのうちGIR 3(b)は、混合物や複合品と並んで「小売用のセットにした物品」を対象とし、セット全体に「重要な特性(essential character)」を与える材料または構成要素で分類すると定めています。[en.wikipedia]​

ここでいう「小売用のセット」は、原則として次の三要件をすべて満たす必要があります。[wcotradetools]​

  1. 少なくとも二つ以上の異なる物品から成り、原則として異なる項に分類され得ること
  2. ある特定の必要性を満たす、または特定の活動を行うために、一緒に組み合わせられていること
  3. 再包装せずに最終使用者へ直接販売できる形で包装されていること

さらに「小売」は、加工・再包装・他の物品への組込みなどを行った上で再販売するための販売は含まれないと整理されています。[wcotradetools]​

1-2. よくある誤解: 「ギフト」や「同じデザイン」はセット認定の決め手にならない

実務でよくある誤解として、「ギフト用に箱詰めされているから自動的にセット」という判断がありますが、これは正確ではありません。あくまで「特定の必要性・活動」を満たすかを個別に検討すべきです。また、同じ装飾モチーフで統一されているだけの寄せ集めは、通常セット扱いになりません。[tradeinsightai]​

同様に「同じ場所で使うからセット」という判断も危険です。例えば、ビーチで使う複数アイテムをまとめただけでは、活動がバラバラならセットにならないケースがあります。[tradeinsightai]​

1-3. そもそもGIR 3(b)ではなく、項や注記で「セット」が定義されている場合がある

実務で見落としがちなポイントが、品目表の文言や部注・類注で「セット」が明示されているケースです。品目表の記述自体に「set」が含まれるものは、GIR 1と6等で分類するため、GIR 3(b)の枠組みがそのまま当てはまらない場合があると整理されています。[tradeinsightai]​

2. 実務で迷わないための判断フロー: セット認定と「重要な特性」の固め方

2-1. まずは部材ごとの「仮の分類」を置く

セット判定の出発点は、構成品を一つずつ分解し、それぞれがどの項に入り得るかを仮置きすることです。これは各国共通で、後の「二つ以上の異なる項に入り得るか」の検証にも直結します。[wcotradetools]​

ここでのコツは、社内のBOM(部品表)とインボイスの品名を一致させ、各構成品の材質、用途、機能、単価、重量を整理することです。後述する事前教示や BTI申請でも、この情報がそのまま要求されます。[gov]​

2-2. 三要件のうち「特定の必要性・活動」を言語化できると、各国で説明が通る

要件2)は、判断のブレが出やすいところです。実務上は、次の観点で「活動」を言語化すると、説明が強くなります。

  • そのセットの最終目的は何か(例: 髪を切る、ワインを提供する、特定の料理を作る)
  • 各構成品は、その目的に不可欠か、補助的か、目的外でも独立して成立するか
  • 取扱説明書やパッケージの文言が「同時使用」を前提にしているか

この「活動の定義」が弱いと、WCOが挙げるような「単なる寄せ集め(selections)」に近いと見なされ、構成品別に分類すべき扱いになりやすくなります。[wcotradetools]​

2-3. 「重要な特性(essential character)」の決め方: 価値だけでなく役割で説明する

セットと認定できたら、次はセット全体の「重要な特性」をどの構成品が与えるかを決めます。

WCOの説明では、重要な特性はケースにより決め手が変わり、たとえば材質・構成要素の性質、嵩、数量、重量、価値、または使用との関係での役割などで判断し得るとされています。tradeinsightai+1

ポイントは、社内で「なぜそれが主役なのか」を第三者が再現できる形で残すことです。価格比率だけでなく、用途上の支配性(それがないと他が機能しない等)を言語化しておくと、国が変わっても説明が通りやすくなります。[cbsa-asfc.gc]​

2-4. ケースや箱の扱い: GIR 5(a)でセットと一緒に分類されることがある

セットが木箱やケースに収められている場合、ケース自体を別分類にするのか、セットと一緒に分類するのかが論点になります。

HSルール上、特定の物品または物品のセットに適合する容器で、長期使用に適し、通常一緒に販売され、かつ全体に重要な特性を与えない場合は、内容物と同じ分類に含め得る(GIR 5(a))とされています。tradeinsightai+1

実務では、ワイン用具一式が木箱に入った商品について、ワイン提供という活動の主役である栓抜き等が重要な特性を与えるとしてセットを分類し、木箱はGIR 5(a)の条件を満たすためセットと一緒に分類する、というロジックが示されています。[gov]​

3. 各国実務のヒント: 共通ルールでも、運用のクセはここに出る

3-1. EU: ガイドラインを前提に、BTIで「EU内の一貫性」を確保する

EUでは、CN(Combined Nomenclature)に基づく分類の枠組みの中で、GIR 3(b)のセット定義や考え方を整理しています。三要件の明確化に加え、同一項内でも異なる号に分かれる組合せがセットとして扱われ得ること、ギフト表示だけでは足りないことなど、現場で迷いがちな論点が具体例つきで示されています。[tradeinsightai]​

BTI(Binding Tariff Information)の活用

EU向けで特に有効なのが、BTIです。BTIは各加盟国税関が発行する法的な分類決定で、原則3年間EU全域で有効であり、税関当局と決定の保有者を拘束します。[taxation-customs.ec.europa]​

また、有効・無効を含むBTIはEBTIデータベースで公表されます。[taxation-customs.ec.europa]​

セット品は「提示のされ方(包装)」が判断を左右しやすいため、分類が提示形態に依存する場合には、包装あり・なし双方の写真を提出すると有用です。[ploum]​

実務ヒント

  • EUでの販売形態(単品販売か、必ず同梱か)を企画段階で固定し、サンプル写真とパッケージ文言を保存する
  • 重要な特性の根拠は、機能上の支配性と、数量・重量・価値など客観データの両輪で作る[wcotradetools]​
  • BTI申請はEU Customs Trader Portalを通じてデジタル化されており、商品の詳細情報、リーフレット、サンプル、構成説明を含める必要がある[ploum]​

3-2. 英国: 事前に「法的拘束力のある決定」を取りに行く。後追いは不可

英国では、法的拘束力のある品目分類の決定を取得する制度が整備されています。一般に有効期間は3年で、関税、ライセンス、数量規制などの見通しを立てる助けになると案内されています。[gov]​

重要な注意点

英国税関(HMRC)が、決定は原則として事後的(通関完了後)には出せないと明確にしている点です。輸出入が具体化した段階で前倒しで申請する運用が、安全策になります。[gov]​

申請時には、商品の詳細情報に加え、パンフレット、マニュアル、写真、サンプルなどの提出が求められ得ます。HMRCは通常120日以内に回答することを目指しています。[gov]​

実務ヒント

  • 決定取得の前提として、構成品の材質・用途・単価・重量を揃え、説明責任を持てる資料にする
  • 木箱やケースは、GIR 5(a)に当たるか否かを最初から論点化する[en.wikipedia]​
  • Great Britain向けにはAdvance Tariff Ruling、Northern IrelandまたはEU向けにはBTIを申請する[gov]​

3-3. 米国: 「三要件」と「重要な特性」の説明が、審査を通す文章力になる

米国ではHTSUSのGRI 3(b)により、セットは重要な特性を与える構成品で分類する枠組みが採られています。[en.wikipedia]​

CBPのインフォームド・コンプライアンス資料では、セット該当の三要件を明示し、要件を満たした場合は重要な特性を与える物品で分類する、と整理しています。[tradeinsightai]​

また、重要な特性の判断要素として、性質、嵩、数量、重量、価値、使用における役割などの観点が挙げられています。[tradeinsightai]​

Rulingの活用

米国向けで現場が助かるのが、事前の拘束力あるruling(行政解釈)です。申請には、物品の完全な説明、米国内での主要用途、商業上の名称、複数材料の場合は各材料の相対的な重量・体積・価値、購入価格や概算販売価格など、分類に関係する事実の提示が求められています。写真や図、可能ならサンプル提出も想定されています。[customsmobile]​

この「要求される情報」は、そのままGIR 3(b)セットの重要な特性の立証素材になります。米国だけでなく他国にも横展開できるので、最初からグローバル共通の情報セットとして整備すると効率的です。

実務ヒント

  • 重要な特性の根拠は、価値比率と機能の支配性をセットで書く
  • セット要件2)が弱い場合は、セット扱いせず構成品別分類も含めてリスク比較する[tradeinsightai]​

3-4. カナダ: ガイドが丁寧。セット要件と重要特性の説明を、そのまま社内標準にできる

カナダCBSAは、GIR 3(b)相当のルールを解説するガイドで、重要な特性の判断要素(性質、重量、価値、数量、嵩、相対的な役割など)を明確に示しています。[cbsa-asfc.gc]​

また、セットの三要件を列挙し、構成品が明確に一緒に使われ、特定の目的を達成する関係性が必要だと説明しています。[cbsa-asfc.gc]​

具体例: ヘアドレッシングセット

例として、ヘアドレッシングセットでは、次の構成品が含まれています:[cbsa-asfc.gc]​

  • 電動バリカン(heading 85.10)
  • 櫛(heading 96.15)
  • ハサミ(heading 82.13)
  • ブラシ(heading 96.03)
  • タオル(heading 63.02)
  • 革製ケース(heading 42.02)

この場合、活動(髪を切る)に対して専用性が高く価値も大きい電動バリカンが重要な特性を与える、と判断されます。[cbsa-asfc.gc]​

確実性を求める場合、CBSAはadvance rulingの取得を案内しています。cbsa-asfc+1

実務ヒント

  • 重要な特性の説明は、単価だけでなく「専用性」と「代替可能性」で補強する
  • セットに含める付属品やノベルティは、主目的との関係が薄いとセット要件を崩し得るため、企画段階で分類影響を評価する[cbsa-asfc.gc]​

3-5. 日本: 事前教示は「文書」で取り、申告時に添付して審査で尊重してもらう

日本税関には、輸入前に関税分類や税率等について照会し回答を得る「品目分類の事前教示」制度があります。制度趣旨として、税率が事前に分かることで原価計算や販売計画を立てやすくなり、申告時に税番等が判明しているため通関が円滑になる、と説明されています。[customs.go]​

運用上の要点

  • 原則は文書で照会し、文書で回答を受ける。正確性の観点から文書照会が推奨されている[customs.go]​
  • 文書回答(一定条件のメール照会を含む)で交付される回答書は、輸入申告時に添付すると、回答書に記載の所属区分・関税率・統計品目番号が審査で尊重されるcustoms+1
  • 有効期間は3年間で、貨物が照会内容と異なる場合や、法令改正等があった場合などは尊重されない[customs.go]​
  • 回答は原則として公表される(最大180日間の公表延期申請が可能)[customs.go]​

実務ヒント

  • セットの包装形態や同梱構成は、事前教示の照会内容と現物が一致するよう、設計変更の管理を厳格にする
  • 回答書の写しを申告書類パッケージに組込み、通関担当者や通関業者と共有する[customs.go]​

3-6. オーストラリア、ニュージーランド、韓国: 事前判断の窓口を使い、提出情報の粒度を揃える

国によって呼称は違っても、事前に分類判断を得る仕組みは広く整備されています。実務の要点は「早めに」「十分な資料で」「提出後の追加要求に対応できる体制で」です。

オーストラリア

Tariff Advice System(TA)により、TAPINを通じた電子申請または所定フォーム(B102)でTariff Adviceを申請できます。通常の処理期間は30日で、需要が多い時期はさらに時間がかかる場合があります。TAは特定のメーカーからの特定商品に対して発行され、それらの商品を輸入する際には従わなければなりません。[abf.gov]​

ニュージーランド

税関も、特定品目の輸入要件について確実性を高めるrulingを案内し、輸入前に申請すべき旨を明記しています。[fedex]​

韓国

専門機関を通じたHSコード確認や、品目分類の事前判定(advance ruling)申請が案内されています。

実務ヒント

  • どの国でも、構成品の仕様書、材質、用途、写真、包装形態、コストや重量の裏付けが鍵になる
  • 国内向けの製品資料をそのまま出すのではなく、「セット要件」と「重要な特性」を説明するための追加資料を用意する[wcotradetools]​

4. 失敗しない社内運用: セット品分類を「属人化」させない仕組み

4-1. セット品向けの社内ワンシートを作る

おすすめは、セット品ごとに1枚の分類メモを固定フォーマットで持つことです。監査や税関照会に耐える粒度で、しかし更新可能な形にします。

記載項目の例

  • 商品名、販売形態、包装形態(写真リンク)
  • 構成品一覧(材質、用途、単価、重量、想定HS項)
  • セット三要件の充足理由(特に要件2)の説明)
  • 重要な特性の判断根拠(機能、専用性、価値、数量等)
  • 主要国の結論HSコードと、根拠文書(BTI、ruling、事前教示番号など)

社内メモでも写真とキーワードを揃えると、後から検索・比較が容易になります。[ploum]​

4-2. 変更管理: ノベルティ追加や包装変更が、セット認定を壊す

セット分類の実務で一番多い事故は「中身を少し変えたら別物になった」です。追加した付属品が主目的と関係薄く独立した商業目的を持つ場合、セット要件2)を満たさず、セット不成立となる可能性があります。[tradeinsightai]​

ギフトだからセット、同じ場所で使うからセット、という安易な判断を戒める必要があります。包装変更や販促施策は、品目分類の観点でも事前にレビューすべきです。[tradeinsightai]​

4-3. 迷ったら「各国で拘束力のある判断」を取りに行く

セット品は、同じ構成でも提示形態や用途説明で結論が動きやすい領域です。だからこそ、国別に拘束力のある判断を取りに行く価値があります。

  • EU: BTIは原則3年有効でEU全域に効く[taxation-customs.ec.europa]​
  • 日本: 文書による事前教示回答書は申告時に添付すれば審査で尊重され、原則3年有効[customs.go]​
  • 英国: 決定は原則として事後には出ないため、前倒し申請が必須[gov]​
  • 米国: 申請で求められる事実の粒度が明確なので、最初から情報を揃えれば再利用できる[customsmobile]​
  • カナダ: ガイドの枠組みが明快で、必要ならadvance rulingの取得が案内されているghy+1

5. まとめ: GIR 3(b)セット品は「活動の定義」と「重要な特性の証拠」が勝負

GIR 3(b)のセット品は、三要件のうち「特定の必要性・活動」をどう定義するかで、結論が大きく変わります。セットにできたとしても、重要な特性の説明が曖昧だと、国ごとの運用差でブレが出ます。

だからこそ、次の二点を先に固めることが、最短の近道です。

  1. この束ね方は、誰のどんな活動を完遂させるためのものか
  2. その活動の中で主役は何か。機能、専用性、価値、数量などで再現可能に示せるか

セット品の分類は「申告の都合」ではなく、「商品の本質と販売形態」で決まります。各国の事前判断制度をうまく使い、社内の説明責任を積み上げていけば、通関の安定性とコスト予見性は大きく改善します。


免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としたものであり、特定の取引や商品に対する法的助言、通関助言、または当局の公式見解を構成するものではありません。最終的な品目分類、関税率、規制要件の判断は、申告先の法令、HS品目表、解説、分類例規および税関当局の判断(BTI、ruling、事前教示など)に基づいて行ってください。具体案件については、通関業者や貿易コンプライアンスの専門家に相談し、必要に応じて各国税関の拘束力ある事前決定の取得をご検討ください。


HS2022 第14類:植物性の組物材料及び他の類に該当しない植物性生産品(Vegetable plaiting materials; vegetable products not elsewhere specified or included)

※用語は以下に統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

実務のコツ:第14類は、HS2022では「1401」と「1404」の2項が中心で、[14.02] と [14.03] は欠番(予約番号)です。古い資料や検索結果で 1402/1403 が出てくる場合があるため、システム登録・マスタ移行時の注意点になります。 (世界関税機関)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 竹(編組用:割竹、竹ひご等) → 1401(竹は 1401.10) (世界関税機関)
    • 籐(ラタン:割り籐、籐芯等) → 1401(籐は 1401.20) (世界関税機関)
    • い草・しちとうい等の編組用材料、ラフィア、麦わら(洗浄・漂白・染色したものを含む) → 1401.90(その他) (世界関税機関)
    • コットンリンター(綿実の短繊維) → 1404.20 (世界関税機関)
    • 詰め物用の植物材料(例:カポック等)、ほうき・ブラシ用の未加工植物材料 → 1404.90(その他) (関税庁)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 編組材料で作った製品(かご、マット、すだれ等):原材料ではなく「製品」→(例)**第46類(編物材料の製品)**へ行きやすい
    • 竹・木材のチップ(chipwood)第44類 4404(類注で除外) (世界関税機関)
    • ウッドウール(木毛)第44類 4405(類注で除外) (世界関税機関)
    • ほうき・ブラシ用に“房(tufts)”や“結び束(knots)”に加工済みの部材第96類 9603(類注で除外) (世界関税機関)
    • 紡績用の繊維原料としてのみ使えるように処理された植物材料第11部(繊維・繊維製品)側(類注で除外) (世界関税機関)
    • 飼料用のわら・牧草など:用途・性状によっては**第12類(飼料等)**側に行きやすい(第14類は「編組用」など“材料用途”が鍵)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「材料」か「製品」か(原材料なら第14類、製品なら第46類/第96類等)
    2. **編組用の植物材料(1401)**か、それ以外の「他に該当しない植物性産品」(1404)か (世界関税機関)
    3. 1404の場合、**綿リンター(1404.20)**か、**その他(1404.90)**か (世界関税機関)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 古いHS版(HS2002など)で存在した 1402/1403 を、現在のHSとして誤用して通関システムが受け付けない/PSR照合が崩れる(後述:HS2002→2007で削除)。 (税関ポータル)
    • 植物検疫の要否を見落として貨物が止まる(植物材料は検疫対象になりやすい)。 (税関ポータル)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(見出し+注で決める):第14類は、類注(Chapter Notes)で“入る/入らない”がはっきり書かれているため、まず類注を読み、1401/1404のどちらに該当するかを詰めます。 (世界関税機関)
    • GIR6(6桁の号の決め方):1401は「竹/籐/その他」、1404は「綿リンター/その他」と、6桁の分岐が比較的シンプルです。 (世界関税機関)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 材質(植物種):竹なのか籐なのか、い草なのか等(1401の分岐に直結)。
    • 加工度:単に割った・漂白した程度は1401に残る場合がありますが、チップ化木毛房・結び束など、注で他章へ飛ぶ境界があります。 (世界関税機関)
    • “主として何に使う種類の材料か(of a kind used primarily)”:編組用か、詰め物用か、ほうき用か等。※ただし実務では「客観的性状(形状・寸法・処理内容)+取引実態(用途)」をセットで確認します。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:植物性の原材料ですか?それとも製品ですか?
    • 製品(かご・マット・すだれ・完成ほうき等)→ 第46類/第96類などを先に検討
    • 原材料(竹ひご、籐芯、綿リンター等)→ Step2へ
  • Step2:編組用(plaiting)として流通する材料ですか?
    • はい → 1401(竹=1401.10/籐=1401.20/その他=1401.90) (世界関税機関)
    • いいえ → Step3へ
  • Step3:綿リンターですか?
  • Step4:他の類・項により具体的に該当しない“植物性産品”ですか?(残余)
    • はい → 1404.90(ただし除外:木毛4405、ほうき/ブラシ用の房・結び束9603等) (世界関税機関)
    • いいえ → 他章(例:木材系44類、繊維11部、抽出物13類など)へ
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第14類(材料) vs 第46類(編組材料の製品)
    • 第14類 vs 第44類(木材加工品:チップ・木毛など) (世界関税機関)
    • 第14類 vs 第96類(ブラシ・ほうきの部材として加工済みのもの) (世界関税機関)
    • 第14類 vs 第11部(紡績用繊維原料レベルの処理がされているもの) (世界関税機関)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

※第14類は4桁見出しが少ないため全列挙します。なお、[14.02] と [14.03] は欠番です。 (世界関税機関)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
1401編組用の植物性材料(竹・籐・い草・麦わら・ラフィア等)竹ひご、割竹、籐芯、割り籐、い草束、漂白した麦わら竹/籐/その他の6桁分岐。竹は割る・漂白・染色等しても1401に残る場合あり(類注)。一方で**チップ(4404)**は除外。 (世界関税機関)
1404他に特掲のない植物性産品(残余)綿リンター、カポック等の詰め物用植物材料、ほうき用未加工材料、染色・なめし用植物材料 等1404.20(綿リンター)か1404.90(その他)。ただし木毛(4405)、**房・結び束(9603)**は除外(類注)。 (世界関税機関)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類は「材料種別」が中心)
    • 1401.10(竹)/1401.20(籐)/1401.90(その他):植物種の同定が本質
    • 1404.20(綿リンター)/1404.90(その他):綿実由来のリンターかどうかが本質 (世界関税機関)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
  1. 1401.10(竹) vs 1401.20(籐) vs 1401.90(その他)
    • どこで分かれるか:材質(植物種)
    • 判断に必要な情報:
      • 仕入先仕様書(材質名・学名があればベスト)
      • 写真(節の有無、繊維構造、表皮)
      • 形状(竹ひご/籐皮/籐芯など)
    • 典型的な誤り:
      • “見た目が棒状だから竹”と決め打ちし、実は籐(ラタン)だった
  2. 1404.20(綿リンター) vs 1404.90(その他植物産品)
    • どこで分かれるか:綿実から取れる短繊維(リンター)か
    • 判断に必要な情報:
      • 原料由来(綿実の脱リンター工程の副産物か)
      • 繊維長・不純物等の分析(あれば)
      • 用途(セルロース原料、火薬用ニトロセルロース原料等としての取引実態)
    • 典型的な誤り:
      • “綿っぽいから綿花/綿くず”として第52類(綿)側のコードに寄せてしまう(リンターは第14類に特掲) (世界関税機関)
  3. 1404.90(未加工のほうき原料等) vs 9603(房・結び束など加工済み部材)
    • どこで分かれるか:「房・結び束」にした等、ブラシ/ほうき用の部材として加工済みか
    • 判断に必要な情報:
      • 形状写真(束ねて固定しているか、ブラシヘッド形状か)
      • 工程図(“tufting”“knotting”工程の有無)
      • サンプル
    • 典型的な誤り:
      • “植物材料だから1404.90”で止めてしまい、実際は9603相当(類注で除外) (世界関税機関)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第14類が属する第2部(Section II:植物性生産品)では、「ペレット(pellets)」の定義が置かれています。
    • 「ペレット」とは、圧縮または結合剤(バインダー)を重量比3%以下で添加して凝集させたものを指します。 (世界関税機関)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:編組用の麦わらや、園芸・充填用途の植物材料をペレット状で輸送するケースでは、「ペレットだから別章」というより、“ペレットの定義に当たるか”をまず揃える(結合剤の有無・割合)ことが重要です。 (世界関税機関)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • **バインダーが多い(3%超)**場合、もはや「植物材料のペレット」という扱いが難しくなり、混合品/調製品側の検討が必要になります(この場合は成分・用途の追加情報が必須)。 (世界関税機関)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1:紡績等のため、繊維原料としてのみ使えるように処理された植物材料は第14類に入りません。 (世界関税機関)
    • 注2:1401には、竹・籐などが含まれ、竹は割る/縦割り/長さ切り/両端丸め/漂白/難燃化/研磨/染色などの処理をしても含み得る、とされています。一方で**チップ(4404)**は除外です。 (世界関税機関)
    • 注3:1404から、**木毛(4405)**と、**房・結び束(9603)**が除外されています。 (世界関税機関)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「ペレット」:部注(Section II Note)で定義(上記)。 (世界関税機関)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。

  • 影響ポイント1:竹・籐などの“加工の許容範囲”(注2)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 加工内容(割り、縦割り、切断、漂白、難燃化、研磨、染色など)
      • 形状(板材・チップ・繊維化の程度)
    • 現場で集める証憑:
      • 工程表、写真、仕様書、サンプル
    • 誤分類の典型:
      • 竹チップを「竹だから1401」と誤り、実際は注2で4404へ (世界関税機関)
  • 影響ポイント2:1404の“除外”で9603に飛ぶ(注3)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • “房(tuft)”“結び束(knot)”として加工されているか
      • ブラシ/ほうき用部材として完成しているか
    • 現場で集める証憑:
      • 形状写真、工程図(結束工程の有無)、サンプル
    • 誤分類の典型:
      • ほうき用植物材料を束ねた部材を1404.90で申告し、注3により9603と判断される (世界関税機関)
  • 影響ポイント3:第11部(繊維原料)への排除(注1)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 紡績用繊維(スライバー状等)としての状態・工程
      • “繊維用途にしか使えない”レベルの処理の有無
    • 現場で集める証憑:
      • 工程図、用途説明(カタログ)、物性(繊維長、梳綿の有無)
    • 誤分類の典型:
      • 繊維原料として高度に処理された植物繊維を、単なる植物材料として第14類に置いてしまう (世界関税機関)
  • 影響ポイント4:ペレット定義(Section II Note)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 圧縮のみか、バインダー添加か
      • バインダー添加の場合、その重量比(3%以下か) (世界関税機関)
    • 現場で集める証憑:
      • MSDS/成分表、製造条件、配合表
    • 誤分類の典型:
      • バインダー多量添加の成形品を、ペレットと誤認して植物材料扱いにする

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:編組材料(竹ひご等)で作った“製品”を1401で申告
    • なぜ起きる:インボイス品名が「bamboo」「rattan」だけで、完成品か材料かが不明
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第14類は基本「材料」。完成した籠やマットは第46類等を検討
    • 予防策:
      • 確認資料:製品写真、用途、組立の有無、梱包形態
      • 質問例:「これは“素材の束”ですか?“完成品(使用可能)”ですか?」
  2. 間違い:竹チップを1401.10(竹)に入れる
    • なぜ起きる:材質(竹)だけ見てしまう
    • 正しい考え方:類注2でチップ(4404)を除外しているため、形状(chipwood)で第44類へ (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:粒度分布、形状写真、用途(パルプ/燃料等)、HS見本
      • 質問例:「“ひご状/条状”ですか?“チップ状”ですか?」
  3. 間違い:ウッドウール(木毛)を1404.90に入れる
    • なぜ起きる:「植物性の繊維っぽい=1404」と短絡
    • 正しい考え方:類注3で木毛は4405へ除外 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:製品規格(wood wool)、用途、写真
      • 質問例:「これは木材を削った“木毛”ですか?」
  4. 間違い:ほうき・ブラシ用の加工済み“房/結び束”を1404.90で申告
    • なぜ起きる:素材が植物なので材料扱いしてしまう
    • 正しい考え方:類注3で房・結び束は9603へ除外 (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:束ね加工の有無、ブラシヘッド形状、工程図
      • 質問例:「この状態でブラシ部材として取り付けできますか?」
  5. 間違い:綿リンター(1404.20)を“綿くず”として第52類へ寄せる
    • なぜ起きる:見た目が綿に似ている
    • 正しい考え方:第14類に綿リンターが特掲されている(1404.20) (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:原料由来(綿実からのリンター)、工程説明
      • 質問例:「綿花由来の廃棄物ですか?綿実から取ったリンターですか?」
  6. 間違い:「その他(1404.90)」を“何でも箱”として使う
    • なぜ起きる:品名が曖昧(“plant material”“natural fiber”)
    • 正しい考え方:1404は「他に特掲がない」ことが前提。まず他章(食品、抽出物、木材加工品、繊維原料等)を潰す
    • 予防策:
      • 確認資料:用途(食用/工業用/園芸用)、加工度、成分、学名
  7. 間違い:ペレット状=別の分類と誤解
    • なぜ起きる:形状だけで判断
    • 正しい考え方:部注で「ペレット」の定義があり、バインダー3%以下等の条件を確認する (世界関税機関)
    • 予防策:
      • 確認資料:配合表、MSDS、製造方法
  8. 間違い:古いHS版の1402/1403を使い続ける
    • なぜ起きる:古い資料・海外取引先のコードが更新されていない
    • 正しい考え方:HS2007改正で14.02/14.03(1402.00/1403.00)と1404.10が削除され、相関表上は1404.90へ整理されている (税関ポータル)
    • 予防策:
      • 確認資料:協定が参照するHS版、相関表
      • 質問例:「相手のHSは何年版(HS2012/2017/2022など)ですか?」

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。最終製品HSを誤ると、PSR(CTH/RVC/WO等)の判定軸そのものがズレます
  • よくある落とし穴:
    • 原材料(竹ひご等:第14類)と、最終製品(例:籠=第46類)が別章になるのに、原材料HSでPSRを見てしまう
    • “その他(1404.90)”で丸め、PSR検索結果が意図と違う

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 日本の実務では、協定により**参照するHS版(例:HS2012)**が決まっていることが多く、PSR検索や付属書のHSがHS2022とズレる場合があります。
    • 例:日本税関の案内では、品目別規則等で用いる関税分類番号がHS2012に基づく旨が示されています。 (税関ポータル)
    • RCEPの品目別規則(PSR)は、付属書がHS2012に基づく形で示されます。 (税関ポータル)
    • 一方で、RCEPについてはHS2022へトランスポーズしたPSR表が公表されているため、参照資料の取り違えに注意が必要です。 (外務省)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • 「協定本文・付属書のHS版」→「自社の申告HS(HS2022)」の順で、相関表でブリッジします
    • 旧版で欠番になった番号(例:1402/1403)に遭遇したら、相関表の公式資料で移行先を確認します(後述:HS2002→2007では 1404.90 に整理)。 (税関ポータル)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必要データ(典型):
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国
    • 非原産材料のHS(協定参照版でのHSも)
    • RVC計算の前提(控除方式/積上げ方式等)
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 取引証憑(インボイス、B/L、製造記録、原料調達証明)
    • 監査に耐える形で、**HS版の整合(協定参照HS ↔ 申告HS)**を残す

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(第14類の号レベルの再編は確認できず)1401.10/1401.20/1401.90、1404.20/1404.90HS2017とHS2022で同じ構成マスター移行は概ねそのまま。ただし欠番([14.02][14.03])を誤って使わない運用が重要 (世界関税機関)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料:
    • WCOのHS2017およびHS2022の第14類ページ(見出し構成が一致) (世界関税機関)
    • WCO相関表(HS2017↔HS2022)の変更対象リスト(Table I)に第14類コードが見当たらないこと(※変更対象に掲載なし=少なくとも改正の主要対象ではない、という確認の仕方) (世界関税機関)
  • 以上より、**HS2017→HS2022で第14類(少なくとも6桁レベル)の再編は実務上「変更なし」**と整理できます。 (世界関税機関)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第14類は、HS2007以降は構成が安定しています。一方、HS2002→HS2007で大きな削除(14.02/14.03 等)がありました

  • HS2007→2012→2017→2022の流れ(主要な追加・削除・再編)
    • 下表の通り、HS2007以降は 1401(竹/籐/その他)と 1404(綿リンター/その他)の骨格が継続しています。 (世界関税機関)
HS版第14類の主な号(6桁)変更の有無
HS20071401.10 / 1401.20 / 1401.90、1404.20 / 1404.90([14.02][14.03]欠番)大枠この形に整理 (世界関税機関)
HS2012同上変更なし(少なくとも第14類ページ上は同構成) (世界関税機関)
HS2017同上変更なし (世界関税機関)
HS2022同上変更なし (世界関税機関)
  • HS2002→HS2007での主な削除・再編(参考:旧コード→新コード)
    • HS2002では、1402(詰め物用植物材料)1403(ほうき・ブラシ用植物材料)、および 1404.10 が存在しました。 (世界関税機関)
    • HS2007改正で、14.02/14.03(1402.00/1403.00)と1404.10が削除され、相関表上は 1404.90 に整理される形になっています(低取引量が理由として記載)。 (税関ポータル)
旧コード(HS2002)新コード(HS2007以降)備考
1402.001404.90相関表で 1404.90 に整理 (税関ポータル)
1403.001404.90同上 (税関ポータル)
1404.101404.90同上 (税関ポータル)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):竹チップを1401(竹)で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):類注2により、チップ(4404)除外に抵触 (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:インボイスに「bamboo」しか書かれていない/写真なし
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、通関遅延
    • 予防策:粒度・形状写真、用途、工程資料を事前に準備
  • 事例名(短く):ほうき用“房(tuft)”を1404.90で申告
    • 誤りの内容:類注3により、房・結び束は9603除外に抵触 (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:原料束と部材束の違いが社内で共有されていない
    • 典型的な影響:HS更正、税率差、輸入許可の遅れ
    • 予防策:束ね加工の有無(工程図)を確認、サンプル提示
  • 事例名(短く):綿リンターを綿くず(第52類)扱い
    • 誤りの内容:1404.20に特掲の綿リンターを見落とし (世界関税機関)
    • 起きやすい状況:品名が「cotton waste」「cotton fiber」等で曖昧
    • 典型的な影響:HS更正、FTAのPSR判定や原産性が崩れる
    • 予防策:原料由来(綿実リンター)を仕様書で確認
  • 事例名(短く):古い1402/1403で書類が回ってくる
    • 誤りの内容:HS2007で削除済みの番号を現行HSとして使用 (税関ポータル)
    • 起きやすい状況:海外サプライヤーのマスタ未更新、古い契約書の踏襲
    • 典型的な影響:申告システムでエラー、PSR検索不能、訂正対応
    • 予防策:協定参照HS版・相関表で必ず確認、社内マスタの版管理
  • 事例名(短く):植物検疫対象の可能性を見落とし
    • 誤りの内容:分類というよりコンプラ抜け(植物材料の輸入手続)
    • 起きやすい状況:園芸用ミズゴケ等を「ただの素材」と扱う
    • 典型的な影響:検査・保留、到着後の倉庫費用増
    • 予防策:植物防疫所の対象確認、必要に応じて証明書・事前相談 (税関ポータル)

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 植物材料の輸入は植物検疫の対象になり得ます。輸入時に植物防疫所での検査が必要な場合があり、品目によっては輸出国の植物検疫証明書(Phytosanitary Certificate)が必要です。 (農林水産省)
    • 一部の植物等は輸入禁止品として整理されています。 (農林水産省)
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 第14類の典型品目(竹・籐等)は一般にCITESの中心ではないことが多い一方、原料植物の種によっては対象となり得るため、学名レベルでの確認が安全です(疑義があれば税関・所管官庁に確認)。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 第14類の「未加工植物材料」自体は該当しにくい一方、用途・加工品・混合物によって別扱いになることがあります。
  • その他の許認可・届出
    • (例)殺虫成分由来の残渣(ピレスラム抽出残渣等)や薬用用途での輸入は、別途の規制や社内審査が必要なケースがあります(品目と用途次第)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
  • 実務での準備物(一般論):
    • 学名・品名・用途を含む仕様書、写真、加工工程
    • 必要に応じて植物検疫証明書、燻蒸証明、成分表

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 材質(植物種・学名)、形状(ひご/芯/チップ/房など)、加工内容
    • 用途(編組用、詰め物用、ほうき用、染色・なめし用、園芸用 等)
    • 写真・サンプル・工程図
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスに「bamboo/rattan」だけでなく、**形状(split、strip、core 等)**を入れる
    • 日本の申告は国内コード(統計番号9桁)も必要:HS6桁との対応を確認
    • 数量単位(多くはkg)の整合(梱包重量・ネット/グロス)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定参照HS版(HS2012等)を確認し、必要なら相関表でブリッジ (税関ポータル)
    • BOM、原価、工程証憑を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022:Chapter 14(0214_2022e.pdf)参照日:2026-02-14 (世界関税機関)
    • WCO HS Nomenclature 2017:Chapter 14(0214_2017e.pdf)参照日:2026-02-14 (世界関税機関)
    • WCO HS Nomenclature 2012/2007/2002:Chapter 14(0214-2012E、0214_2007e、0214_2002e)参照日:2026-02-14 (世界関税機関)
    • WCO HS2022↔HS2017 Correlation Tables(Table I/II)参照日:2026-02-14 (世界関税機関)
    • HS2007↔HS2002 Correlation Table(日本税関掲載PDF):参照日:2026-02-14 (税関ポータル)
    • WCO Section II Notes(0200_2022e.pdf:pellets定義)参照日:2026-02-14 (世界関税機関)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 品目別原産地規則・HS版に関する税関資料(HS2012等)参照日:2026-02-14 (税関ポータル)
    • 事前教示(関税分類)制度・検索:参照日:2026-02-14 (税関ポータル)
  • 植物検疫(MAFF/植物防疫所)・税関案内
    • 植物防疫所「植物の輸入」「輸入禁止品」等:参照日:2026-02-14 (農林水産省)
    • 税関:検疫対象品の確認案内:参照日:2026-02-14 (税関ポータル)
  • その他
    • webTARIFF(国内コードの細分例の確認に使用):参照日:2026-02-14 (関税庁)

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

※国内コード(統計番号9桁)は改正され得るため、最新の国内コード表で必ず確認してください(ここでは「細分されやすい観点」を示します)。 (関税庁)

  • 1401(編組用材料)
    • 1401.10(竹)、1401.20(籐)は比較的明確
    • 1401.90(その他)は、国内コードでい草類、葛つる等に細分される例があります(品名・用途で分かれやすい)。 (関税庁)
  • 1404.90(その他植物性産品)
    • 国内コードで、詰め物用材料(カポック等)/ほうき・ブラシ用材料/染色・なめし用材料/抽出残渣/ガンピ、ナッツ殻、硬い種子等のように、用途・品目群で細分される例があります。 (関税庁)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • ①貨物の名称(一般名+学名があれば)
    • ②写真(全体・拡大・断面)
    • ③成分/材質、加工工程、用途
    • ④サンプル(可能なら)
    • ⑤類似品との比較(なぜ1401/1404と思うかのメモ)
  • 日本税関の探し方(実務手順)
    • 税関の**事前教示(関税分類)**は、制度説明ページ(Advance Classification Ruling)と、公開可能な回答を検索できるページがあります。 (税関ポータル)
    • パンフレットには、提出資料(サンプル、写真、原材料、加工工程等)など実務的な持ち物が整理されています。 (税関ポータル)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。