HS2022 第42類:革製品並びに動物用装着具及び馬具並びに旅行用具、ハンドバッグその他これらに類する容器並びに腸の製品(Articles of leather; saddlery and harness; travel goods, handbags and similar containers; articles of animal gut (other than silk-worm gut))

本資料では、**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)として記載します。
また、原則として
HSは6桁(号)を指し、日本の9桁等は「国内コード」**と明記します。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • スーツケース、トランク、書類かばん、カメラケース、楽器ケース、銃用ケース、ホルスター等の「ケース類」(4202)
    • 旅行用バッグ、リュック、ハンドバッグ、買物袋、財布・札入れ等の「携帯容器」(4202)
    • 動物用装着具・馬具(首輪、口輪、リード、鞍・手綱、犬用コート等)(4201)
    • 革製の衣類・衣類附属品(革手袋、革ベルト等)(4203)
    • その他の革製品(例:ブックカバー等)(4205)
    • 腸・腱等の製品(例:ガット弦など)(4206)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 取手付きのプラスチック袋(長期使用目的でないもの) → 第39類 3923(注3(A)(a))
    • 組物材料(わら・ラタン等)の製品(例:かごバッグ) → 第46類 4602(注3(A)(b))
    • 履物・その部分品 → 第64類(注2(d))
    • むち・乗馬鞭 → 第66類 6602(注2(f))
    • 時計バンド → 第91類 9113(注4で除外)
    • 滅菌外科用カットガット(縫合糸等) → 第30類 3006(注2(a))
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • 「携帯が第一目的の容器」か/単なるカバー・保管目的か(4202に入るかが大きく変わる)
    • 4202は“外面(外側に見える材質)”で6桁が割れる(革系/プラ・繊維/その他)
    • “長期使用目的でない袋”は4202から除外(3923へ)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • ワシントン条約(CITES)対象種の皮革製品(例:ワニ革・ヘビ革のバッグ/ベルト/財布等):書類不備は差止め・遅延リスクになりやすい

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR(例:GIR1/GIR6など)
    • GIR1(項の規定+注):第42類は類注(注1〜4)で範囲・除外がかなり明確です。まず注で“入らないもの”を落とすのが近道です。
    • GIR6(号の比較):4202は**「容器の種類」×「外面材質」**で6桁が決まります。
    • GIR5(a)(ケース類):写真機用ケース等で、
      「特定品用に設計」「長期使用向き」「中身と一緒に提示」「通常一緒に売られる」等の条件を満たすと、ケースは“中身(本体)に含めて”分類され得ます。ケース単体輸入かセット輸入かで結論が変わる典型です。
    • GIR3(b)(セット):例えば“工具セット+ケース”など、複数品で提示される場合、セットに本質的特性を与える構成要素で分類する考え方が出ます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 用途(携帯・保護・収納のどれが第一目的か):4202の境界で最頻出です。
    • 外面材質(見えている面/被覆の有無):4202の号決定に直結します。
    • “長期使用”設計か(使い捨てか):同じ袋でも3923へ飛びます。
    • 毛皮の使い方:革衣類でも、毛皮の使い方次第で第43類へ。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:動物用の装着具・馬具か?
    • Yes → 原則 4201(材料は問わない)
    • No → Step2へ
  • Step2:“携帯が第一目的”の容器(かばん、財布、ケース等)か?
    • Yes → 原則 4202(ただし除外:使い捨て袋3923、組物製品4602等)
    • No/保管・カバー目的が主 → Step3へ
  • Step3:革製の衣類・衣類附属品か?
    • Yes → 原則 4203(時計バンドは除外、毛皮付は要注意)
    • No → Step4へ
  • Step4:その他の革製品(“容器でも衣類でもない”革小物)か?
    • Yes → 原則 4205(例:ブックカバー等)
    • No → Step5へ
  • Step5:腸・膀胱・腱等の製品か?
    • Yes → 4206(ただし滅菌縫合糸等は3006)
    • No → 他章(材質・用途で再探索)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 4202(携帯容器) vs 3923(包装用プラ袋):長期使用設計かどうか
    • 4202(容器) vs 4205(その他革製品):列挙品に“類似する容器”か、単なるカバー・台紙か
    • 4203(革衣類) vs 4303/4304(毛皮衣類):毛皮が裏貼り・外付け(トリミング程度を超える)か
    • 4202のケース類(単体) vs GIR5(a)で“中身と同一分類”:一緒に提示されるか、通常一緒に売られるか

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4201動物用装着具(材料不問)首輪、リード、口輪、鞍、手綱、犬用コート人用ハーネスは除外され得る/馬具の金具を単品提示すると他章(例:第15部)へ
4202容器(かばん、財布、各種ケース等)スーツケース、書類かばん、リュック、ハンドバッグ、財布、スマホケース等4202は**「携帯が第一目的」**が基本。使い捨て袋は3923へ、組物材料は4602へ、ブックカバー等は4205等へ
4203革製の衣類・衣類附属品革ジャケット、革手袋、革ベルト、腕輪(※時計バンド除く)時計バンドは9113へ/毛皮の使い方で43類へ/履物は64類
[4204](欠番/予備)HS上「予備」扱い(実務上は出てきません)
4205その他の革製品ブックカバー、書類カバー等(革製/革被覆)4202列挙品に類似しない“カバー類・台紙類”は4205へ行きやすい
4206腸等の製品ガット弦、ゴールドビーターズスキン等滅菌外科用カットガットは3006(42類注2(a))

(見出し文言・除外例は、HS条文(WCO)および日本税関の関税率表解説・分類例規を参照しています。)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • **4202:容器の“種類”→次に“外面材質”**で6桁が決まります。
      例)スーツケース類(4202.11/12/19)、ハンドバッグ(4202.21/22/29)、財布・名刺入れ等(4202.31/32/39)、その他(4202.91/92/99)
    • “携帯が第一目的”かどうか(4202に入るか)
      日本税関の分類例規では、目的判断が難しい容器について、取手・留め具・耐久性・収納スペース等の要件で4202扱いに寄せる考え方を示しています(材質別に要件が整理)。
    • “長期間の使用を目的としない”袋は4202から除外(3923へ)
      日本税関の分類例規では、例えば一時的消耗品無償サービス品で反復使用されないもの加工が粗雑で耐久性に乏しいもの等を“長期使用目的でない”方向で整理しています。
    • スマホ/タブレット等のカバー
      日本税関の分類例規では、特別に成形された収納スペース(固定枠含む)があり、外面を覆う形状のものは、材質によらず原則4202に分類する考え方を示しています(収納スペースなし・一部面のみ保護などは材質分類へ)。
    • 4203:スポーツ用手袋かどうか(4203.21 vs 4203.29)
      スキー/野球/ゴルフ/弓術用など“特に運動用”の特徴があるものは4203.21側に寄ります(例示あり)。
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4202.21/4202.22/4202.29(ハンドバッグ) vs 4202.91/4202.92/4202.99(その他)
      • どこで分かれるか:
        • “女性が身辺用品を入れて使用する携帯用具”という性格(ハンドバッグ)か、スポーツバッグ等の“その他のバッグ”か。
      • 判断に必要な情報:
        • 外形寸法(日本の実務例:長幅15〜30cm等を目安に扱う考え方)
        • 内部の仕切り/ポケットの有無、装飾性、形状の硬さ(変形の可否)
      • 典型的な誤り:
        • “小さめの肩掛けバッグ”を、寸法・構造確認なしにスポーツバッグ等へ寄せる/逆に“ポーチ類”を何でもハンドバッグ扱いする。
    2. 4202(携帯容器) vs 3923(包装用の袋)
      • どこで分かれるか:
        • 長期使用目的か否か(注3(A)(a)で4202から除外される範囲)
      • 判断に必要な情報:
        • 材質・縫製/溶着品質、反復使用前提の強度、無償配布品か、取手や留め具の有無等
      • 典型的な誤り:
        • “買物袋=4202”と短絡し、薄手レジ袋まで4202にしてしまう。
    3. 4202(列挙品に類する容器) vs 4205(その他の革製品)
      • どこで分かれるか:
        • 容器の性格はあっても、列挙品に類似しない(例:ブックカバー、書類カバー等)は4202から外れ、革製なら4205へ行きやすい。
      • 判断に必要な情報:
        • 使い方(携帯が第一目的か、単なるカバー/保管か)、構造(開閉・収納構造)
      • 典型的な誤り:
        • “ケース/カバー”という商品名だけで4202に入れてしまう。
    4. 4203(革衣類附属品) vs 9113(時計バンド)
      • どこで分かれるか:
        • 類注4で、腕輪(wrist straps)は含むが、時計バンドは除外と明示。
      • 判断に必要な情報:
        • 時計に取り付ける専用品か(ラグ形状、ばね棒穴等)、用途説明・図面。
      • 典型的な誤り:
        • “革ベルト状=4203.30”として時計バンドを混ぜる。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第VIII部(第41〜43類)は、(少なくとも公開版の条文構成上)独立した「部注」よりも各類の注で範囲が具体化されています(資料上、Section VIIIの後に各章注が続く構成)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 素材が“革(leather)”か“毛皮(furskin)”かの見極めは、第42類の適用可否に直結します。
      例:毛を付けたままの皮(特に羊皮等)は第43類側になり得るため、革衣類と思って4203を当てる前に素材状態を確認します。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第42類では、実務上は**「第42類注2(除外)」で他章へ飛ぶ**のが多いです(履物64類、帽子65類、鞭66類、模造身辺用細貨類7117等)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1(用語定義):「leather(革)」には、シャモア革、パテントレザー、メタライズドレザー等も含む。
    • 注2(除外):医療用(3006)、履物(64類)、帽子(65類)、鞭(6602)、模造アクセ(7117)、楽器部品(9209)、家具・照明(94類)、玩具(95類)等、広く除外が並ぶ。
    • 注3(A)(4202の追加除外):長期使用目的でないプラ袋(3923)と、組物材料の製品(4602)は4202に入らない。
    • 注3(B)(貴金属等の扱い):4202/4203でも、貴金属等パーツが“本質”を与えない限りそのまま。逆に“本質”を与えるなら第71類。
    • 注4(4203の範囲):手袋(スポーツ/保護用含む)、エプロン等保護衣類、サスペンダー、ベルト、バンドリエ、腕輪は含むが時計バンドは除外(9113)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「革(leather)」の範囲(注1)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 例:長期使用目的でないプラ袋 → 3923組物製品 → 4602時計バンド → 9113鞭 → 6602

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:注3(A)(a)「長期使用目的でないプラ袋」=4202から除外
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 反復使用前提の構造か(縫製・溶着の強度、厚み、持ち手の作り)
      • 無償配布品・一時使用の想定か(取引実態、配布形態)
      • “長期使用目的でない”に該当する要素(消耗品/サービス品/耐久性乏しい等)
    • 現場で集める証憑(仕様書、成分表、MSDS、カタログ、写真、工程図など):
      • 製品写真(厚み・溶着部)、仕様書、販売形態(無償配布の有無)、用途説明
    • 誤分類の典型:
      • “買物袋”という名称だけで4202にし、実態がレジ袋相当で3923だった。
  • 影響ポイント2:注3(B)「貴金属等パーツが本質か」=第71類へ飛ぶ可能性
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 装飾パーツの材質(貴金属めっき等)と、製品価値・外観上の支配度(本質的特性)
      • (日本の実務例)“直接目に触れない部分”“さ細な部分”の扱いなど、国内運用上の考え方
    • 現場で集める証憑:
      • パーツ材質証明、図面(どこに使っているか)、価格構成(装飾の寄与)
    • 誤分類の典型:
      • 金属装飾が支配的なクラッチバッグ等を、検討なしに4202で申告してしまう(本質が71類寄りの可能性)。
  • 影響ポイント3:注4「時計バンドは4203除外」
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 時計取付専用構造か(ラグ対応、ばね棒穴、専用幅)
    • 現場で集める証憑:
      • 取付図、商品仕様、用途説明
    • 誤分類の典型:
      • “革ベルト状”という形状だけで4203.30(ベルト)にしてしまう。
  • 影響ポイント4:注2(b)「毛皮の裏貼り/外付け」=43類へ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 毛皮が裏地か、外側に付いているか、単なるトリミングか(手袋は例外扱いに注意)
    • 現場で集める証憑:
      • 素材構成(毛皮の種類・使用範囲)、製品写真、縫製仕様
    • 誤分類の典型:
      • 毛皮付の革衣類を4203にしてしまう(43類の可能性)。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:「○○ケース」という商品名だけで4202にする
    • なぜ起きる:
      • “ケース/カバー”は日常語で広く、HSの「列挙品に類する容器」と一致しない場合があるため。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):
      • 4202は列挙品+これらに類する容器が中心で、類似しないカバー類は除外され得る(例:ブックカバー等)。
    • 予防策:
      • 「携帯が第一目的か」「収納スペース・開閉構造はどうか」を仕様書・写真で確認。
  2. 間違い:使い捨ての取手付きプラ袋を4202(買物袋)にする
    • なぜ起きる:
      • “shopping-bags”の語に引っ張られ、注3(A)(a)の除外を見落とす。
    • 正しい考え方:
      • 長期使用目的でないプラ袋は4202から除外され3923
    • 予防策:
      • 厚み・溶着品質・反復使用設計・無償配布の有無を確認(サンプル現物が最強)。
  3. 間違い:“携帯容器”か“保管/カバー”かの目的判断をしない
    • なぜ起きる:
      • 目的が併存する製品(保護ケース、収納ケース、ポーチ等)が多い。
    • 正しい考え方:
      • 日本の分類例規でも、目的が難しい場合の整理を提示(携帯のための取手、留め具、耐久性、収納スペース等)。
    • 予防策:
      • 「持ち運び用の取手/肩ひもがあるか」「留め具があるか」「耐久性」「実用的収納」をチェック項目化。
  4. 間違い:4202の“外面”を誤認(革のトリミングだけで革外面扱い等)
    • なぜ起きる:
      • 異材質ミックスのバッグが多く、外観判断が曖昧になりがち。
    • 正しい考え方:
      • 4202の号は「外面が革…」「外面がプラスチック/繊維…」等で分岐するため、外観上支配的な外面を丁寧に確認する。
    • 予防策:
      • 正面・背面・底面写真、素材構成表、表面積の概算(“見える面”ベース)を社内でルール化。
  5. 間違い:スマホ/タブレット“カバー”を材質だけで3926等にしてしまう/逆も同様
    • なぜ起きる:
      • “カバー”の形状が多様(収納枠あり/なし、外面を覆う/覆わない)。
    • 正しい考え方:
      • 特別に成形された収納スペースがあり外面を覆う形状なら原則4202、収納スペースなし等は材質分類へ、という整理が示されている。
    • 予防策:
      • 断面写真、固定枠の有無、収納スペースの有無、保護範囲(全面/一部)を確認。
  6. 間違い:工具箱・工具ケースを何でも4202にする
    • なぜ起きる:
      • 4202に「工具箱及びケース」が例示されているため。
    • 正しい考え方:
      • 4202に入るのは、個々の工具を収めるために特別に成形/内部に取り付けがあるなど、列挙品に類似する容器としての性格があるもの。そうでないものは材質章(例:3926/7326)へ。
    • 予防策:
      • 内装(成形トレー、固定具)の有無、用途説明、製品写真(開いた状態)を入手。
  7. 間違い:時計バンドを4203(革ベルト)にする
    • なぜ起きる:
      • “革でできた帯状品”が多く、用途確認を省きやすい。
    • 正しい考え方:
      • 注4で時計バンドは9113へ除外と明示。
    • 予防策:
      • 取付部仕様(ラグ幅・穴)と用途(時計用)をインボイス品名に明記。
  8. 間違い:毛皮をしっかり使った革衣類を4203にする
    • なぜ起きる:
      • “革”が主素材でも、毛皮の扱いを見落とす。
    • 正しい考え方:
      • 注2(b)で、手袋等を除き、毛皮の裏貼り・外付け(トリミング以上)は43類へ。
    • 予防策:
      • 素材構成(毛皮の種類/使用範囲)を入手し、写真で“トリミング程度”かを確認。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること(誤ると原産性判断が崩れる)
    • 例:同じ“バッグ”でも、**4202(携帯容器)**か、材質章(39類/46類/63類等)に落ちるかでPSRが変わり得ます。
  • よくある落とし穴(材料のHS、最終製品HS、工程の評価軸)
    • 外面材質で4202の号が変わる → 材料HS(革・繊維・プラ等)や工程(縫製・組立)の評価軸が変わり得る
    • そもそも“容器に該当しない”なら4205等へ → PSRが別物になる

(PSRは協定ごとに異なり、最新は税関のPSR検索等で確認する運用が一般的です。)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記
    • 本稿はHS2022(第42類)ですが、協定附属書のPSRがHS2012/2017ベースの場合があります(協定・運用資料で確認が必要)。
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
    • HS改正でコード構造が変わると、PSRの参照コードがずれるため、協定側の参照表や税関の案内に従って読み替えます。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • ①協定の参照HS版を確認 → ②旧HSでPSR特定 → ③相関表でHS2022へ対応づけ → ④最終製品HS(2022)と材料HSの整合をチェック、の順が安全です。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
    • 外面材質(革/繊維/プラ等)を含む仕様確定が先(4202の号確定のため)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 仕様書、材料明細、工程フロー、原価計算根拠、原産地証明関連書類の保管(協定により年限が異なり得ます)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(注の例示)類注2(k)(第94類の例示)“lamps and lighting fittings”の表現が“luminaires and lighting fittings”に更新(例示語の更新)実務上の大きな分類分岐は通常発生しにくいが、注の参照箇所は最新版で確認
HS2017→HS2022変更なし(6桁の新設/削除/分割/統合なしと確認できる範囲)4201〜4206相関表(Table I)に42類該当の記載が見当たらず、WCO条文(2017/2022)のコード列挙も同一社内マスタの大改修より、運用品名・外面判定など実務運用の整備が中心

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料と、判断のしかた:
    • **WCOのHS条文(HS2017/HS2022のChapter 42)**を突合し、4201〜4206の見出し・号列挙が一致すること、注の文言差(例示語の更新)があることを確認しました。
    • **WCOの相関表(HS2017↔HS2022 Table I)**を検索し、4202等の該当が見当たらないことから、少なくとも6桁レベルの再編(新設/削除/分割/統合)は確認できませんでした。
  • 変更がない場合の明示:
    • 第42類は、HS2017→HS2022で6桁コード体系の変更は確認できない、という整理になります(上記根拠による)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な追加・削除・再編(6桁レベル)について、相関表で確認できる範囲を整理します。

改正の流れ第42類(4201〜4206)に関する“主要な追加・削除・再編”根拠(相関表の確認結果)
HS2007→HS2012(確認できる範囲で)大きな再編なし相関表(HS2012↔HS2007)で4202等を検索して該当が見当たらない
HS2012→HS2017(確認できる範囲で)大きな再編なし相関表(HS2017↔HS2012)で4202等を検索して該当が見当たらない
HS2017→HS20227章のとおり(6桁再編なし)WCO条文突合+相関表Table I確認

※相関表は「変更があるコード」を主に掲載する形式のため、“記載がない=絶対に何もない”と断定せず、重要品目は条文・税関ガイダンスで最終確認する運用が安全です。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):レジ袋を「買物袋(4202)」で申告して差し戻し
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):注3(A)(a)の除外(長期使用目的でないプラ袋)を見落とし
    • 起きやすい状況:インボイス品名が“shopping bag”のみ、サンプル未確認
    • 典型的な影響:修正申告、分類照会、検査強化、納期遅延
    • 予防策:厚み・耐久性・反復使用前提の確認、無償配布の有無を資料化
  • 事例名(短く):スマホケースを材質だけで3926申告→4202指摘
    • 誤りの内容:収納枠付きで外面を覆うタイプを、形状要件確認なしに材質分類
    • 起きやすい状況:商品説明が“cover”だけ、図面なし
    • 典型的な影響:修正申告、分類根拠資料の追加提出
    • 予防策:固定枠・収納スペースの有無、保護範囲(全面/一部)を写真で提出
  • 事例名(短く):革ジャケット(毛皮裏貼り)を4203で申告
    • 誤りの内容:注2(b)(毛皮裏貼り等は43類)を見落とし
    • 起きやすい状況:素材表示が曖昧(“shearling”など)、毛皮範囲不明
    • 典型的な影響:分類変更、追加資料要求、遅延
    • 予防策:素材構成表(毛皮の種類・使用範囲)と写真を準備
  • 事例名(短く):時計バンドを革ベルト(4203.30)で申告
    • 誤りの内容:注4で時計バンドは9113に除外される点を見落とし
    • 起きやすい状況:見た目がベルト状、用途確認を省略
    • 典型的な影響:修正申告、社内マスタ修正
    • 予防策:用途(watch strap)を品名に明記、取付仕様図を保管

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • ワシントン条約(CITES)等の種規制
      • 皮革製品(バッグ・ベルト・財布等)もCITES対象になり得る旨を税関が案内しています。
      • 経産省(CITES案内)では、例としてワニ革バッグ等の輸出入時に許可書が必要になり得ること、対象種の調べ方等を案内しています。
      • 実務上は、インボイス等に学術名の記載が求められることがあるため、仕入先から種情報を取得しておくのが安全です(JETROの実務Q&Aでも言及)。
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 腸・腱等の動物由来品は、品目・加工度により所管当局の確認が必要になる場合があります(動物検疫所の案内に基づき、指定検疫物該当性や必要証明書の要否を確認)。
    • 安全保障貿易管理(該当する場合)
      • 通常のバッグ・ケースは該当しないことが多い一方、用途・取引先・最終用途によっては確認が必要なケースがあります(一般論:社内の輸出管理フローに乗せて判断)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 税関:ワシントン条約(CITES)案内ページ
    • 経済産業省:CITES案内・対象種の調べ方、ワニ皮の手続案内
    • 農林水産省(動物検疫所):指定検疫物の輸入検査手続
  • 実務での準備物(一般論):
    • CITES:種(学術名)、原産国、許可書(輸出国発給書類等)、製品写真、数量・重量、取引書類(Invoice/PL)
    • 検疫:該当性確認に必要な成分・加工度情報、必要に応じて証明書類

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 用途(携帯/保護/保管)、対象物(スマホ用、工具用等)
    • 外形寸法、容量、取手/肩ひもの有無、留め具、内部の仕切り
    • 外面材質(見える面)と被覆の有無、混用材質の割合(目視でも良い)
    • “長期使用設計”か(耐久性、無償配布か等)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注3(A)の除外(3923/4602)に当たらないか
    • 注4(時計バンド除外)に当たらないか
    • 毛皮の使用(注2(b))がないか
    • ケースを中身と一緒に輸入する場合、GIR5(a)の検討をしたか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名は「bag/case」だけでなく、用途(handbag / rucksack / phone case等)と材質を記載
    • 外面材質が分岐要素のため、写真・仕様書をセットで準備
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版、PSR、材料HS、工程要件、原価計算(必要な場合)を整合
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • CITES該当種の可能性がある皮革(ワニ・ヘビ等)なら、学術名と許可書の有無を必ず確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • HS Nomenclature 2022 – Chapter 42(条文・類注) (参照日:2026-02-21)
    • HS Nomenclature 2017 – Chapter 42(比較用) (参照日:2026-02-21)
    • HS2017↔HS2022 Correlation Table(Table I) (参照日:2026-02-21)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 関税率表解説 第42類(42r) (参照日:2026-02-21)
    • 分類例規(42rd:ハンドバッグ認定基準、長期使用の考え方、スマホカバー等) (参照日:2026-02-21)
    • 関税率表の解釈に関する通則(GIR) (参照日:2026-02-21)
    • 輸入貨物の品目分類事例(検索入口) (参照日:2026-02-21)
    • 税関:ワシントン条約(CITES) (参照日:2026-02-21)
  • 規制(CITES等)
    • 経済産業省:ワシントン条約(CITES)総合案内 (参照日:2026-02-21)
    • 経済産業省:規制対象種の調べ方 (参照日:2026-02-21)
    • 経済産業省:ワニ目の種の皮の輸出入手続 (参照日:2026-02-21)
    • JETRO:原皮・革の輸入手続き(学術名記載等の実務) (参照日:2026-02-21)
    • 農林水産省(動物検疫所):輸入畜産物の検査手続 (参照日:2026-02-21)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。