- 用語:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)
- この類に入る代表例(3〜6個):
- 亜鉛の塊(インゴット、スラブ、ペレット等)=亜鉛地金(7901)
- 亜鉛合金の塊(ダイカスト用合金地金など)(7901.20)
- 亜鉛くず(リサイクル原料としての金属スクラップ)(7902)
- 亜鉛のダスト/粉/フレーク(7903。※「ダスト」は定義あり)(7903)
- 亜鉛の棒・形材・線(7904)、亜鉛の板・シート・帯・箔(7905)
- その他の亜鉛製品(配管・継手・簡単な成形品などがここに来やすい)(7907)
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- 亜鉛鉱・精鉱:第26類(例:2608)
- 亜鉛酸化物(ZnO)などの化学品:第28類(例:2817)※化学組成で分類
- 亜鉛粉を「塗料・インキ」等に調製したもの:第32類(「金属粉・フレーク基材の調製塗料等」は第15部から除外)
- 亜鉛めっき鋼板(いわゆるトタン板等):基材が鉄鋼なら第72類/第73類側(“亜鉛板”と誤認しやすい)
- 亜鉛めっき工程等で出るスラグ・灰・残留物(ドロス等):第26類(例:2620)へ行きやすい
- 機械・電気機器の部品(機能で分類されるもの):第16部(84/85類)等へ(第15部の除外)
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- 「亜鉛(金属)」なのか「亜鉛化合物/調製品」なのか(第79類か第28/32類か)
- くず(7902)か、灰/スラグ等の残留物(例:2620)か(廃棄物・副産物は高頻度で揉めます)
- 合金か否か/粉末かダストか(Zn%や他元素合計、粒度・製法で分岐)
- (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
- 亜鉛くずの輸出入で「バーゼル法(特定有害廃棄物等)」該当性が絡むと、許認可・遅延リスクが跳ね上がります(分類+規制の二重チェックが必要)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)
1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)
- この類で特に効くGIR(例:GIR1/GIR6など)を、ビジネスマン向けに説明
- GIR1:まず「見出し(項)の文言」と「部注/類注(Notes)」で決めます。第79類は品目数が少ないので、最初の段階でかなり絞れます。
- GIR6:6桁(号)の分岐は、各号の文言と注(ここでは第79類の号注)で判断します。
- 合金・複合品の扱いは、第15部注(合金の分類・複合品の分類)が実務で効きます(「亜鉛合金」判定はここを外すと崩れます)。
- 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
- 材質・組成:Zn含有率、他元素の合計、主成分が何か(合金判定)
- 状態(加工度):地金(unwrought)か、半製品(棒・板等)か、完成品(その他の製品)か
- 粉体の状態:ダスト(定義あり)か、粉/フレークか、塗料等に「調製」されているか
- スクラップ/残渣:金属スクラップか、灰・スラグ・スラッジ等の残留物か
1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)
- Step1:対象は「亜鉛(Zn)の金属・合金」か?
- 化学品(酸化物、塩類)なら第28類などへ。
- Step2:第15部の除外(例:調製塗料、機械・電気製品など)に当たらないか?
- Step3:状態で大枠を決める
- 地金(塊)→ 7901
- くず → 7902
- ダスト/粉/フレーク → 7903
- 棒・形材・線 → 7904(形状定義は部注)
- 板・シート・帯・箔 → 7905(形状定義は部注)
- 上記以外の亜鉛製品 → 7907(配管・継手・単純な成形品が来やすい)
- よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
- 第79類(亜鉛) vs 第72類(鉄鋼):亜鉛めっき鋼板は「亜鉛」ではなく「鉄鋼」を主として分類するのが典型。
- 7902(亜鉛くず) vs 2620(灰・残留物):めっき工程のドロス等は「くず」ではなく残留物側に寄りやすい。
- 7903(粉) vs 第32類(塗料等):粉末がバインダー等と混ざり調製品になっていると第32類へ。
2. 主な項(4桁)とその内容
2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)
- 原則:
- 第79類は4桁見出しが少ないため、全列挙します。
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 7901 | 亜鉛の塊(地金) | 亜鉛インゴット、ビレット、スラブ、ペレット、亜鉛合金インゴット | 亜鉛(合金除く)はZn比率の定義あり。99.99%で6桁分岐。粉・ダストは7903。 |
| 7902 | 亜鉛のくず | 亜鉛スクラップ(リサイクル原料) | めっき工程のスラグ/灰/スラッジ等は2620へ行きやすい。くずを再溶解して鋳造した塊は7901へ。 |
| 7903 | 亜鉛のダスト、粉及びフレーク | 亜鉛ダスト、亜鉛粉末、亜鉛フレーク | 「亜鉛ダスト」は粒度・製法・Zn%の定義あり。塗料等に調製されたものは第32類へ。 |
| 7904 | 亜鉛の棒、形材及び線 | 亜鉛棒、亜鉛線、亜鉛押出形材 | 「棒/形材/線」の定義は第15部注(断面形状、厚み/幅比、コイルか等)で判断。部品化していれば7907へ。 |
| 7905 | 亜鉛の板、シート、帯及び箔 | 亜鉛板(屋根材用等)、亜鉛箔 | 「板/シート/帯/箔」も第15部注で定義。加工により“物品の性格”が出ると7907等へ。 |
| 7907 | その他の亜鉛製品 | 亜鉛製の管・継手、亜鉛製の単純成形品、亜鉛製アノード等 | 他章でより具体的に規定される物品(例:第82/83類)や機械部品(第84/85類)等は除外され得る(第15部注)。 |
※HS上、[79.06]は角括弧で表示される「未使用(予約)」見出しです。
2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)
- 分岐条件(例:重量、成分割合、用途、加工状態、形状、包装、規格)の整理
- 7901.11 vs 7901.12:Zn 99.99%以上かどうか(純度で分岐)
- 7901.1x(亜鉛:合金除く) vs 7901.20(亜鉛合金):
- 合金除く亜鉛=Znが全重量の97.5%以上(定義)
- 亜鉛合金=Znが各元素より多く、かつ他元素合計が2.5%超(定義)
- 7903.10(亜鉛ダスト) vs 7903.90(その他:粉/フレーク等):亜鉛ダストは「亜鉛蒸気の凝結由来」「球状」「63µmふるい通過率80%以上」「金属亜鉛85%以上」などの要件で判定
- 7902(くず) vs 2620(灰/残留物):第15部注の「くず・スクラップ」概念+解説の除外例で判断(工程残渣は要注意)
- 7904/7905(半製品) vs 7907(その他の製品):断面形状・厚み/幅比・コイル形状などの“定義”と、最終用途で“物品の性格”が出ているかで判断
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
- 7901.11(Zn 99.99%以上) vs 7901.12(未満)
- どこで分かれるか:検査成績書(COA)のZn純度(99.99%ライン)
- 判断に必要な情報:COA、ロット番号、規格(例:SHG等)、用途(ダイカスト用かめっき用か)
- 典型的な誤り:「高純度」の言葉だけで7901.11に寄せる(実測値が必要)
- 7901.12(亜鉛:合金除く) vs 7901.20(亜鉛合金)
- どこで分かれるか:他元素合計が2.5%を超えるか、Znが最大元素か
- 判断に必要な情報:全元素分析(Zn、Al、Cu、Mg、Pb等)、規格票(JIS/ASTM等)
- 典型的な誤り:「合金」の商品名だけで7901.20にする(定義は成分で決まる)
- 7903.10(亜鉛ダスト) vs 7903.90(粉/フレーク)
- どこで分かれるか:製法(蒸気凝結か)、粒子形状(球状か)、粒度(63µm)、金属Zn%(85%以上)
- 判断に必要な情報:製造工程説明、粒度分布(ふるい/レーザー)、SEM写真(あると強い)、COA
- 典型的な誤り:「zinc dust」と称する“煙道ダスト(残渣)”を7903にしてしまう(2620側の可能性)
- 7902(くず) vs 7901(再溶解して鋳造した塊)
- どこで分かれるか:提示形状(くずのままか、溶かしてインゴット化しているか)
- 判断に必要な情報:加工工程(再溶解の有無)、写真、取引書類(インゴット売買かスクラップか)
- 典型的な誤り:リサイクル由来だからといって一律7902にする
3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)
3-1. 関連する部注(Section Notes)
- ポイント要約:
- 第15部は、塗料等に調製された金属粉、機械・電気製品、貴金属製品などを除外します。
- **合金は「どの金属が重量で優勢か」**で所属が決まるのが原則(亜鉛合金かどうかの大前提)。
- くず・スクラップ、粉末の定義が部注で与えられています(粉末=1mmふるい通過90%以上等)。
- 第74〜76類・第78〜81類(亜鉛を含む)向けに、棒・形材・線・板・管等の形状定義が部注で共通化されています。
- 実務での意味(具体例つき):
- 例:亜鉛粉末を樹脂や溶剤と混ぜた防錆塗料原料は、第15部の除外により第32類側が本線になります(“粉末だから7903”ではない)。
- 例:亜鉛の押出形材でも、断面や寸法が「棒/形材」の定義に当てはまるかで 7904 を支えます(定義は部注)。
- 例:**複合品(亜鉛+他の卑金属)**は、原則として重量優勢金属で分類(ただし、見出しが別途要求する場合は例外)。
- “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
- 調製塗料・インキ等(第32類)へ
- 機械・電気製品(第16部:84/85類)へ
- 亜鉛めっき工程の残渣(第26類:2620等)へ
3-2. この類の類注(Chapter Notes)
- ポイント要約:
- HS2022の第79類は「類注(Chapter Notes)」は実質なく、主に「号注(Subheading Notes)」で定義が置かれています。
- 号注で重要なのは「亜鉛(合金除く)」「亜鉛合金」「亜鉛ダスト」の定義です。
- 用語定義(定義がある場合):
- 亜鉛(合金を除く。):Znが全重量の97.5%以上の金属
- 亜鉛合金:Znが各元素より重量で多く、かつ他元素合計が全重量の2.5%超
- 亜鉛のダスト:亜鉛蒸気の凝結由来で球状粒子、63µmふるい通過率80%以上、金属Zn 85%以上(要旨)
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
- 亜鉛粉等を塗料等に「調製」したもの:第32類
- 亜鉛のスラグ/灰/残留物(例:めっきの残渣):第26類(例:2620)
4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)
この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。
※第79類は「類注」よりも**号注(Subheading Notes)**が実務分岐の中心です。
- 影響ポイント1:「亜鉛(合金除く)」か「亜鉛合金」かで 7901.1x / 7901.20 が変わる
- 何を見れば判断できるか(必要情報):Zn%と他元素の合計(2.5%基準)、Znが最大元素か
- 現場で集める証憑(仕様書、成分表、MSDS、カタログ、写真、工程図など):
- COA(全元素分析)
- 規格票(JIS/ASTM/社内規格)
- 用途(めっき用、ダイカスト用、化学用途など)
- 誤分類の典型:
- 商品名に「合金」とあるだけで7901.20にしてしまう(実際は他元素2.5%以下で“合金”定義外の可能性)
- 影響ポイント2:「亜鉛ダスト(7903.10)」の要件を満たすか
- 何を見れば判断できるか(必要情報):製法(蒸気凝結)、粒子形状(球状)、粒度(63µm基準)、金属Zn%(85%以上)
- 現場で集める証憑:
- 製造工程説明(どの工程で発生/製造したか)
- 粒度分布(ふるい/レーザー)
- COA(金属Zn%)
- 誤分類の典型:
- めっき工程の煙道ダスト等(残渣)を「ダスト」と称して7903に入れる(2620側の可能性)
- 影響ポイント3:7904/7905(半製品)と7907(その他製品)の線引き
- 何を見れば判断できるか(必要情報):断面形状・コイルか否か・厚み/幅比(棒/板の定義)+“物品としての性格”が出ているか
- 現場で集める証憑:
- 図面(寸法・断面)
- 仕様書(加工内容:穴あけ、ねじ切り、フランジ等)
- 写真(外観で「部品化」していないか)
- 誤分類の典型:
- 端部加工済み・取付穴付きの部材を「板」扱いで7905にしてしまう(実態は7907寄り)
5. 分類でよくある間違い(原因→対策)
- 間違い:「亜鉛めっき鋼板」を“亜鉛板(7905)”として申告
- なぜ起きる:商流で「トタン」「亜鉛板」と呼ばれることがある
- 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):基材が鉄鋼なら第72類/第73類側が本線(亜鉛は被覆)。第79類は亜鉛そのものの製品。
- 予防策:素材証明(材質:steelかzincか)、断面写真、仕様書で基材を確認
- 間違い:亜鉛酸化物(ZnO)等を第79類に入れる
- なぜ起きる:「亜鉛製品」という日本語の印象
- 正しい考え方:化学品は第28類等(元素ではなく化合物として分類)
- 予防策:SDS/成分(ZnO等)、CAS No.、化学式を確認
- 間違い:亜鉛粉末入りの調製塗料・ペーストを7903に入れる
- なぜ起きる:「粉末が主成分」だけで判断
- 正しい考え方:第15部は「金属粉/フレーク基材の調製塗料等」を除外し、第32類に送る設計です。
- 予防策:混合有無(樹脂・溶剤・添加剤)、製品形態(ペースト/分散液)を確認。配合表を入手
- 間違い:亜鉛くず(7902)と、灰/スラグ等(2620)を混同
- なぜ起きる:工場から出る「廃棄物」を一括でスクラップ扱いする
- 正しい考え方:解説上、めっき等の際に生じるスラグ・灰・残留物は7902から除外され得ます。
- 予防策:発生工程(溶融めっき槽、電気めっきスラッジ等)、外観(灰状/スラッジ状)、金属回収可能性、分析値を確認
- 間違い:再溶解して鋳造したインゴットを“くず(7902)”のまま申告
- なぜ起きる:原料がスクラップ由来
- 正しい考え方:インゴット等の塊に鋳造されていれば7901側が問題になります。
- 予防策:提示形状(塊か、くずか)、加工工程(溶解・鋳造の有無)を確認
- 間違い:「亜鉛合金」を成分確認なしで7901.20に決め打ち
- なぜ起きる:商品名・用途(ダイカスト用)だけで判断
- 正しい考え方:亜鉛合金かどうかは、Znが最大元素+他元素合計2.5%超の要件で判断します。
- 予防策:COA(全元素)を必須化(社内手順)
- 間違い:“亜鉛ダスト”を名乗る粉体を一律7903.10にする
- なぜ起きる:名称に引っ張られる
- 正しい考え方:7903.10の「ダスト」は粒度・製法・Zn%の要件があります。
- 予防策:粒度分布(63µm)、製法説明、金属Zn%の提出を求める
- 間違い:亜鉛製部品を、形材/板(7904/7905)として処理
- なぜ起きる:外観が棒や板に見える
- 正しい考え方:加工により「部品としての性格」が出ている場合、7907側へ寄るのが一般的です(他章のより具体的規定があればそちら)。
- 予防策:加工内容(穴・ねじ・フランジ等)を図面で確認し、用途(機械部品か単体物品か)をヒアリング
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係
- HSの付番がPSR選択に直結すること(誤ると原産性判断が崩れる)
- 例:最終製品を7907としてPSRを見たつもりが、実態は鉄鋼製品(第72/73類)だった、などは“根本からズレます”。
- よくある落とし穴(材料のHS、最終製品HS、工程の評価軸)
- 原材料(例:亜鉛地金7901、亜鉛粉7903、亜鉛酸化物2817)のHSが混ざると、CTC/RVCの計算前提が崩れます。
- 税関のPSR検索(品目別原産地規則検索)を使うと、協定別の規則参照がスムーズです。
6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)
- 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記
- 実務では、協定本文/附属書がHS2012/HS2017ベースで運用されていることがあります(協定ごとに確認が必要)。
- 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
- HS2022で注の位置が変わる(例:形状定義が部注へ移動)と、参照先条文がズレて見えることがあります。HS版の取り違えを避けます。
- トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
- WCO相関表や税関のHS2022改正資料を使い、旧HS→新HSの対応関係を確認します。
6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)
- 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
- 亜鉛製品は材料(亜鉛地金・合金地金・粉体)起点で整理しやすい一方、他金属や樹脂との複合化で判定が難しくなります。
- 証明書類・保存要件(一般論)
- 税関の原産地規則マニュアル等に沿って、証憑を体系的に保存(BOM、製造工程、仕入書、COA等)。
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)
7-1. 変更点サマリー(必須:表)
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 文言修正(注の再配置) | Chapter 79 Note / Section XV Note 9 | 棒・形材・線・板・管等の形状定義が、類注(Chapter Note)から部注(Section XV Note 9)へ移動。HS2022の第79類本文は主に号注のみ。 | 実務で参照すべき注の位置が変わる(教育・手順書の更新が必要) |
| HS2017→HS2022 | 変更なし(見出し構成) | 7901〜7907([7906]除く) | 6桁見出しの並びは基本的に同じ。79.06は引き続き予約扱い。 | コード体系自体は安定。誤りは主に“注の参照ミス”で発生 |
7-2. 「違うことになった根拠」(必須)
- 参照した根拠資料(相関表、WCO条文、各国税関の解説、協定付属書など)
- WCO HS2017 第79類条文(第79類の注に形状定義+号注が存在)
- WCO HS2022 第79類条文(第79類は号注中心で、形状定義は載らない)
- WCO HS2022 第15部(Section XV)部注(Note 9に形状定義が整理)
- WCO 相関表ページ/税関のHS2022改正案内(相関表の位置づけ確認)
- “どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか”
- HS2017の第79類では、**「Bars and rods」「Profiles」「Wire」「Plates…」「Tubes and pipes」**等の定義が「Chapter 79 Note」にまとまっていました。
- HS2022では、これらの定義が「Section XV Note 9」に移り、第79類自体は号注(亜鉛/合金/ダストの定義)と見出し一覧が中心になっています。
- したがって、コードの大枠は変わらない一方で、判断の根拠条文(参照先)が変わった点が実務上の変更点です。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
- HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理
- 可能な範囲で「旧コード→新コード(または行き先不明)」の対応を示す
| 版間 | 追加/削除/再編 | 旧コード | 新コード | コメント |
|---|---|---|---|---|
| HS2007→HS2012 | 実質変更なし | 7901〜7907([7906]含む) | 同左 | 見出し構成は維持。 |
| HS2012→HS2017 | 実質変更なし | 同左 | 同左 | 見出し構成は維持。 |
| HS2017→HS2022 | 見出しは維持/注の移動 | 同左 | 同左 | 形状定義が部注へ移動(7章参照)。 |
※第79類は、コード自体の改廃が少ない一方、注の参照位置が変わる点に注意が必要です。
9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)
- 事例名(短く):「亜鉛スクラップ」で申告したが、実はめっき残渣
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):7902の除外(灰・残留物等)に該当し得る
- 起きやすい状況:工場で「亜鉛系の廃棄物」を一括でスクラップと呼ぶ
- 典型的な影響:修正申告、検査強化、輸出入許可の追加確認
- 予防策:発生工程と外観、分析、写真を揃え、必要なら税関相談
- 事例名:「亜鉛粉末」で申告したが、実は調製塗料(ペースト)
- 誤りの内容:第15部除外(調製塗料)を見落とし
- 起きやすい状況:「Zinc-rich」等の品名に引っ張られる
- 典型的な影響:分類差替え、税率・規制・原産地判断のやり直し
- 予防策:SDS・配合表(バインダー/溶剤/添加剤)を取得し、調製品か確認
- 事例名:「亜鉛板(7905)」で申告したが、実は亜鉛めっき鋼板
- 誤りの内容:材質(基材)確認不足
- 起きやすい状況:「トタン」「亜鉛板」の慣用呼称
- 典型的な影響:HS変更、税率変更、統計誤り
- 予防策:ミルシート、断面写真、材質表示を入手
- 事例名:合金地金(7901.20)で申告したが、実は部品(7907)
- 誤りの内容:加工度(地金 vs 物品)を誤認
- 起きやすい状況:ダイカスト成形の「形だけ部品」に見える/見えない問題
- 典型的な影響:分類差替え、他法令確認(用途規制等)の追加対応
- 予防策:形状・機能・取付け方法が分かる図面/写真を提出できるようにする
10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
- **廃棄物・スクラップ(7902等)**は、貨物の性状次第でバーゼル法(特定有害廃棄物等)や廃棄物処理法の論点が出ます。
- **輸出管理(安全保障貿易管理)**は、最終用途・需要者によってはキャッチオール管理の観点で確認が必要です(一般論)。
- 記載の分類軸(該当がある項目のみ書く):
- 検疫・衛生(SPS等):通常、金属亜鉛そのものは該当が限定的(ただし用途・混合物は別途)
- ワシントン条約(CITES)等の種規制:通常なし
- 安全保障貿易管理:用途・需要者で確認(一般論)
- その他の許認可・届出:廃棄物・スクラップはバーゼル関連手続の可能性
- 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
- 経済産業省:バーゼル法関連(輸出入手続)
- 環境省:廃棄物等の越境移動規制関連
- 税関:輸入関係他法令一覧、相談窓口
- 実務での準備物(一般論):
- くず・廃棄物該当性の判断資料(発生工程、分析結果、写真、契約書、処理予定)
- 必要に応じて承認申請書類(所管省庁の様式・手引きに従う)
11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 製品仕様書(材質、用途、加工度)
- COA(Zn%、他元素、金属Zn%)
- 粒度分布(粉・ダストの場合)
- 写真(外観、梱包、断面)
- 工程図(特にスクラップ/残渣、ダストの発生工程)
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 第15部注:除外(調製塗料、機械等)、合金、くず・粉の定義
- 第79類号注:亜鉛(合金除く)/合金/ダストの定義
- 7902 vs 2620、7903 vs 第32類など境界の再点検
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- インボイス:英語品名(unwrought zinc / zinc waste and scrap / zinc dust 等)と状態が一致
- 補足資料:COA、写真、工程説明を添付(税関照会の予防)
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- PSR検索(協定・HS6桁)
- BOM、非原産材料HS、工程、RVC計算の前提(必要な場合)
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- スクラップ/廃棄物:バーゼル法等の該当性を所管省庁手引きで確認
- 輸出管理:用途・需要者(一般論)
12. 参考資料(出典)
- WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
- WCO HS2022 Chapter 79 “Zinc and articles thereof” (参照日:2026-02-27)
- WCO HS2022 Section XV Notes(特にNote 8, 9) (参照日:2026-02-27)
- WCO HS2017 Chapter 79(旧版比較用) (参照日:2026-02-27)
- WCO HS2012 Chapter 79(旧版比較用) (参照日:2026-02-27)
- WCO HS2007 Chapter 79(旧版比較用) (参照日:2026-02-27)
- WCO Correlation Tables HS 2017–2022(相関表の位置づけ) (参照日:2026-02-27)
- WCO GIR(General Rules) (参照日:2026-02-27)
- 日本税関・公的機関のガイド
- 関税率表解説(第79類)79r.pdf (参照日:2026-02-27)
- 関税率表の解釈に関する通則(日本税関) (参照日:2026-02-27)
- HS2022改正について(税関) (参照日:2026-02-27)
- HS2022改正概要資料(税関) (参照日:2026-02-27)
- 日本の関税率表(参照用・2026/1/1版の入口) (参照日:2026-02-27)
- 輸入関係他法令一覧(税関) (参照日:2026-02-27)
- 事前教示回答(品目分類)検索(税関) (参照日:2026-02-27)
- FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
- EPA・原産地規則ポータル(税関) (参照日:2026-02-27)
- 我が国の原産地規則(税関資料) (参照日:2026-02-27)
- EPA原産地規則マニュアル(税関) (参照日:2026-02-27)
- 品目別原産地規則(PSR)検索画面 (参照日:2026-02-27)
- その他(規制)
- 経済産業省:バーゼル法・特定有害廃棄物等の輸出入管理 (参照日:2026-02-27)
- 環境省:廃棄物等の輸出入の手続 (参照日:2026-02-27)
- METI Trade Control(安全保障貿易管理の入口) (参照日:2026-02-27)
- 輸出貿易管理令(英訳) (参照日:2026-02-27)
付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)
- 日本の国内コード(統計品目番号等)は、HS6桁の下に税率・統計・制度運用の都合で細分されます(例:課税価格条件、用途、規格等)。
- 最新の国内細分は、税関の「実行関税率表(輸入統計品目表)」から該当税番ページで確認してください(改正で変わり得ます)。
- NACCS用コード一覧(NACCS用品目コード)も別途公開されています(通関実務で参照)。
付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)
- 税関の**事前教示回答(品目分類)**は公開分を検索できます。
- 相談が早い情報(一般論):
- 製品概要(用途・機能)
- 材質(成分表/COA、SDS)
- 製造工程(特にダスト/スクラップ/残渣)
- 写真(全体・断面・梱包)
- 図面(寸法・断面形状・加工内容)
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

