HS2022 第21類:各種調製食料品 Miscellaneous edible preparations

用語(本資料内で統一します):類=Chapter、項=Heading 4桁、号=Subheading 6桁、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • インスタントコーヒー(コーヒー抽出物・濃縮物)や、そのベースとなる濃縮エキス(2101)
    • ベーカーズイースト等の酵母(活性/不活性)やベーキングパウダー(2102)
    • しょうゆ、トマトケチャップ、各種ソース、混合調味料(2103)
    • スープストック、ブイヨン、粉末スープなど(2104)
    • ベビーフードのうち要件を満たす「均質化複合調製食料品」(2104.20)
    • アイスクリーム、シャーベット等の食用氷(2105)
    • たんぱく濃縮物、テクスチャードプロテイン、その他の「他に特掲されない食品調製品」(2106)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 乾燥混合野菜(例:乾燥スープミックスの具材だけ)→ 0712(乾燥野菜)(wcoomd.org)
    • コーヒー豆、焙煎コーヒー代用品でコーヒーを含むもの → 0901(コーヒー)(wcoomd.org)
    • 香味を付けた茶(フレーバーティー)→ 0902(茶)(wcoomd.org)
    • スパイス単品や混合スパイス(概ね「香辛料」の範囲)→ 0904〜0910(wcoomd.org)
    • 21.03/21.04以外で、肉・魚介・昆虫などが重量20%超の食品調製品 → 第16類(1601〜1605等)に飛ぶ可能性(wcoomd.org)
    • 禁煙補助等のニコチン製品(HS2022で整理されたもの)→ 2404(wcoomd.org)
    • 医薬品としての酵母(医薬品扱いのもの)→ 3003/3004(wcoomd.org)
    • 調製酵素 → 3507(wcoomd.org)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「他に特掲されない食品調製品」2106に入れたくなる前に、注の除外と他章の特掲を全部確認する(2106は“最後の受け皿”)。(wcoomd.org)
    2. 肉・魚介・昆虫等が重量20%超か(ただし21.03/21.04は例外で残り得る)。(wcoomd.org)
    3. ベビーフードが2104.20の定義に当てはまるか(均質化、用途、容器重量250g以下など)。(wcoomd.org)
  • この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 健康食品・サプリ・栄養補助食品を、食品(2106)として扱うか、医薬品(3004等)寄りかで、規制・表示・税率・審査が変わりやすい
    • RCEP/CPTPP等のPSRがHS版(HS2012/2017/2022)で違う場合、コードの取り違えが原産性判断を崩します。(財務省関税局)

1. 区分の考え方

1-1. 分類の基本ルール

  • この類で特に効くGIR(一般論)
    • GIR1(見出し+注で決める):第21類は、類注の除外(例:乾燥混合野菜、香辛料、2404、医薬品、調製酵素、そして「肉・魚介・昆虫20%超」など)が強く効きます。(wcoomd.org)
    • GIR3(混合物・調製品):ソース、シーズニング、粉末飲料、複合食品は混合物が多いので、どの性質が“本質”か(又は特掲があるか)を確認します。
    • GIR6(6桁は同列比較):2101.11/2101.12、2104.10/2104.20、2106.10/2106.90など、6桁内の分岐は用途・性状・表示で詰めます。(wcoomd.org)
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 成分(配合比、重量%):特に「肉・魚介・昆虫20%超」判定、たんぱく濃縮かどうか
    • 状態・加工度:抽出物・濃縮物か、粉末ミックスか、最終食品か
    • 用途・表示:ソース用途、スープ用途、乳幼児用・食餌療法用、禁煙補助、医薬的効能表示の有無
    • 形状・包装:瓶詰/小袋/スティック、2104.20の“容器重量250g以下”など (wcoomd.org)

1-2. 判定フロー

  • Step1:食用の「調製品」か
    • 食品用途で、通常の食用形態(粉末、ペースト、液体、固形)か
    • 医薬的効能が前面に出る/投与量が医薬品形態なら第30類の可能性
  • Step2:第21類の中の特掲(2101〜2105)に当たるか
    • コーヒー/茶/マテの抽出物(2101)
    • 酵母・ベーキングパウダー(2102)
    • ソース・混合調味料(2103)
    • スープ・均質化複合調製食料品(2104)
    • アイスクリーム等(2105)(wcoomd.org)
  • Step3:当たらなければ2106を検討
    • ただし「他に特掲されない」前提なので、第16/17/18/19/20/22/23/30/35/24.04等の可能性を先に潰す
    • とくに類注の除外(0712、0901/0902/0904-0910、2404、3003/3004、3507、そして20%ルール)をチェック (wcoomd.org)
  • よく迷う境界
    • 第21類 vs 第9類:フレーバーティー、スパイス、コーヒー代用品(コーヒー含有)(wcoomd.org)
    • 第21類 vs 第16類:肉・魚介・昆虫の含有率が高い複合食品(20%超)(wcoomd.org)
    • 第21類 vs 第30類:サプリ/禁煙補助/健康食品の“医薬品性”
    • 第21類 vs 第22類:飲料(完成品)か、飲料用調製品(ベース)か

2. 主な項 4桁 とその内容

2-1. 4桁項の主なもの一覧表

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2101コーヒー・茶・マテの抽出物等/それらを基にした調製品/焙煎チコリー等インスタントコーヒー粉、コーヒー濃縮液、紅茶エキス、チコリーコーヒー「焙煎コーヒー代用品でコーヒー含有」は0901に寄り得る点に注意。抽出物は2101側に戻る場合あり。(wcoomd.org)
2102酵母(活性/不活性)等、死滅単細胞微生物、ベーキングパウダードライイースト、栄養酵母、ベーキングパウダーワクチン(3002)は除外。医薬品としての酵母は3003/3004。(wcoomd.org)
2103ソース等、混合調味料、マスタードしょうゆ、ケチャップ、焼肉のたれ、粉末シーズニングスパイス単体/混合スパイスは第9類へ。混合調味料でも「香辛料の範囲」か「調味料」かを吟味。(wcoomd.org)
2104スープ・ブロス等/均質化複合調製食料品粉末スープ、ブイヨン、ベビーフード(ピューレ)2104.20は定義が厳格(用途・均質化・容器重量250g以下等)。(wcoomd.org)
2105アイスクリーム等の食用氷アイスクリーム、ソルベ、かき氷用氷菓「アイスの素(粉末)」などは通常2105ではなく原材料側(例:1901/2106等)を疑う。
2106他に特掲されない食品調製品たんぱく濃縮物、テクスチャードプロテイン、各種食品ベース2106は“最後の受け皿”。除外(2404、3006.93等の移転を含む)や第16類20%ルールに注意。(wcoomd.org)

上表の見出し構成はHS2022条文(第21類の項・号)に基づき整理しています。(wcoomd.org)

2-2. 6桁号で実務上重要な分岐

  • 分岐条件の整理
    • 2101(抽出物 vs 調製品)
      • 抽出物・エッセンス・濃縮物そのもの → 2101.11(コーヒー)/2101.20(茶・マテ)
      • 「抽出物を基にした調製品」や「コーヒーを基にした調製品」 → 2101.12
      • 焙煎チコリー等・焙煎代用品とその抽出物等 → 2101.30
      • 必要情報:原材料(コーヒー豆/抽出物/糖/乳等)、製造工程(抽出の有無)、用途表示(飲料ベースか)(wcoomd.org)
    • 2102(活性 vs 不活性)
      • パン酵母等(発酵能がある)→ 2102.10
      • 栄養酵母等(不活性)・死滅単細胞微生物 → 2102.20
      • ベーキングパウダー → 2102.30
      • 必要情報:製品規格書(生菌/死菌、発酵力)、用途(製パン/栄養補助/培地等)(wcoomd.org)
    • 2103(しょうゆ等の特掲 vs その他)
      • しょうゆ → 2103.10
      • ケチャップ等トマトソース → 2103.20
      • マスタード → 2103.30
      • その他ソース・混合調味料 → 2103.90
      • 必要情報:主原料、味付けの目的(ソース/シーズニング)、スパイスだけの混合か(第9類との境界)(wcoomd.org)
    • 2104(スープ類 vs 均質化複合調製食料品)
      • スープ・ブロス・その調製品 → 2104.10
      • 均質化複合調製食料品 → 2104.20(定義に合うかが全て)
      • 必要情報:容器の正味重量(250g以下か)、対象(乳幼児/食餌療法)、均質化の程度(目視で粒が残るか)(wcoomd.org)
    • 2106(たんぱく濃縮物・テクスチャード vs その他)
      • たんぱく濃縮物・テクスチャードプロテイン → 2106.10
      • その他 → 2106.90
      • 必要情報:たんぱく含有率、原料(大豆/えんどう/乳等)、形状(粒状・繊維状・肉代替用)、用途(一般食品原料か)(wcoomd.org)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    • 2101.11 vs 2101.12
      • どこで分かれるか:抽出物そのものか、抽出物やコーヒーを“基にした調製品”か
      • 判断に必要な情報:配合表(糖・乳・香料等の添加)、最終用途(そのまま溶かして飲める等)
      • 典型的な誤り:「インスタント飲料=全部2101.11」と決め打ちする (wcoomd.org)
    • 2102.10 vs 2102.20
      • どこで分かれるか:活性(発酵能)か不活性か
      • 判断に必要な情報:規格書、検査成績(生菌数等)、製造(乾燥・失活)
      • 典型的な誤り:「ブリューワーズイースト=活性」と思い込む (wcoomd.org)
    • 2104.10 vs 2104.20
      • どこで分かれるか:2104.20の厳格な定義に合うか(用途・均質化・容器重量)
      • 判断に必要な情報:ラベル、容器重量、対象年齢表示、物性(ペースト状で均質か)
      • 典型的な誤り:ベビーフード全般を2104.20に寄せる (wcoomd.org)
    • 2106.10 vs 2106.90
      • どこで分かれるか:たんぱく濃縮物/テクスチャードプロテインに該当するか
      • 判断に必要な情報:成分分析(たんぱく比率)、用途(肉代替等)、加工状態
      • 典型的な誤り:プロテイン入り菓子やサプリを全部2106.10にする(実態は“その他”のことも)(wcoomd.org)

3. 部注と類注の詳細解釈 条文から実務的な意味

3-1. 関連する部注

  • ポイント要約:
    • 第21類が属する第IV部には「ペレット」の定義があり、結合剤の添加割合が重量3%以下などの条件が示されています(第IV部内で“ペレット”という語が出る場合の共通理解)。(wcoomd.org)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:ブイヨンやだしの固形キューブ/粒状品について、商品説明で“pellets(粒状)”と表現されることがあります。定義に合うかは、製造方法・結合剤割合などの確認材料になります。(wcoomd.org)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第IV部注よりも、実務上は**第21類類注(下記3-2)**の除外規定の方が「他章に飛ぶ」場面が多いです(第9類・第16類・第24類・第30類・第35類)。(wcoomd.org)

3-2. この類の類注

  • ポイント要約:
    • 第21類は、類注で次を明確に除外します:
      • 乾燥混合野菜(0712)
      • コーヒーを含む焙煎代用品(0901)
      • 香味を付けた茶(0902)
      • 香辛料(0904〜0910)
      • 21.03/21.04以外で、肉・魚介・昆虫等が重量20%超の食品調製品(第16類)
      • 2404(ニコチン製品)
      • 医薬品としての酵母(3003/3004)
      • 調製酵素(3507)(wcoomd.org)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • **均質化複合調製食料品(2104.20)**は、用途(乳幼児用・食餌療法用等)、均質化の程度、容器の正味重量(250g以下)など複数要件で定義されます。(wcoomd.org)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • とくに重要:肉・魚介・昆虫などが重量20%超(ただし21.03/21.04は例外)→ 第16類。(wcoomd.org)
    • HS2022で整理された**2404(ニコチン関連製品)**は第21類から除外。(wcoomd.org)

4. 類注が分類に与える影響

  • 影響ポイント1:肉・魚介・昆虫など重量20%超で第16類に飛ぶ
    • 何を見れば判断できるか:
      • 配合割合(重量%):肉、内臓、血、昆虫、魚、甲殻類、軟体動物等の合計が20%を超えるか(wcoomd.org)
      • 対象品が**21.03(ソース等)または21.04(スープ等)**に該当するか(ここは例外扱い)(wcoomd.org)
    • 現場で集める証憑:
      • レシピ/配合表、BOM、原材料規格書
      • 製造工程図(肉エキス添加のタイミング等)
      • ラベル表示(原材料名・含有量表示があれば)
    • 誤分類の典型:
      • 肉エキス入りの複合調味料を「食品調製品2106」で申告してしまい、20%超で第16類指摘を受ける
  • 影響ポイント2:焙煎コーヒー代用品の扱い
    • 何を見れば判断できるか:
      • 「焙煎代用品(例:チコリー等)」にコーヒーが含まれるか(含まれる場合、代用品そのものは0901側に寄る)(wcoomd.org)
      • ただし、その抽出物等は2101に分類され得る(例外の戻し)(wcoomd.org)
    • 現場で集める証憑:
      • 原材料配合、焙煎の有無、抽出工程の有無、製品仕様(抽出物かどうか)
    • 誤分類の典型:
      • コーヒーを少量含む代用コーヒーを、2101.30(焙煎代用品)として固定してしまう(実態は0901側を検討要)
  • 影響ポイント3:2104.20 均質化複合調製食料品の定義
    • 何を見れば判断できるか:
      • 対象用途(乳幼児用、食餌療法用)
      • 均質化の程度(ほぼ均一で、微小な具は許容され得る)
      • 容器の正味重量が250g以下か(wcoomd.org)
    • 現場で集める証憑:
      • パッケージ(内容量表示)、商品カタログ、用途説明
      • サンプル写真(中身の状態)
    • 誤分類の典型:
      • 300gの大容量ベビーフードを2104.20としてしまう

5. 分類でよくある間違い 原因→対策

  1. 間違い:とりあえず2106(その他の食品調製品)に入れる
    • なぜ起きる:品名が「〇〇ミックス」「〇〇ベース」で、見出しが分かりにくい
    • 正しい考え方:2106は「他に特掲されない」前提。類注の除外(第9類、2404、3003/3004、3507、20%ルール等)と、他章の特掲を先に潰す。(wcoomd.org)
    • 予防策:配合表・用途・包装形態・広告表示を必ず揃え、候補章を逆引きで潰す(第19類、22類、30類なども同時に検討)
  2. 間違い:混合調味料を全部「香辛料(第9類)」にする
    • なぜ起きる:見た目が粉末でスパイスっぽい
    • 正しい考え方:類注で「香辛料(0904〜0910)」は第21類から除外されますが、ソース/混合調味料としての性格が強い場合は2103を検討します(配合と用途が鍵)。(wcoomd.org)
    • 予防策:スパイス単体か、塩・糖・うま味調味料等を含む“調味料製品”かを配合表で整理。用途(料理の味付け/テーブル用)も確認
  3. 間違い:肉エキス入りの複合食品を2106にしてしまう
    • なぜ起きる:「調味ベース」なので食品調製品と思い込む
    • 正しい考え方:21.03/21.04以外の食品調製品で、肉・魚介・昆虫等が重量20%超なら第16類に飛ぶ可能性があります。(wcoomd.org)
    • 予防策:肉・魚介・昆虫等の重量%をレシピで必ず算出(原材料の含水差にも注意)。20%前後なら分析・証憑を厚く
  4. 間違い:フレーバーティーを2106や2101にしてしまう
    • なぜ起きる:香料入り=“調製”と捉える
    • 正しい考え方:類注で「香味を付けた茶」は0902に除外されています。(wcoomd.org)
    • 予防策:原料が茶葉主体で香味付けか、抽出物・濃縮物かを工程で確認
  5. 間違い:ベビーフードを一律2104.20にする
    • なぜ起きる:乳幼児用=2104.20と短絡
    • 正しい考え方:2104.20は用途だけでなく、均質化・容器重量250g以下等の定義要件があります。(wcoomd.org)
    • 予防策:SKUごとに内容量と中身の状態(均質化)を確認。容器サイズ違いでコードが変わり得る前提で管理
  6. 間違い:禁煙補助のニコチン製品を「食品(2106)」扱いする
    • なぜ起きる:ガム/タブレット等で“食品っぽい”
    • 正しい考え方:HS2022では、禁煙補助等のニコチン関連製品が2404へ移ったことで、2106.90の範囲が狭くなった旨が相関表で示されています。(財務省関税局)
    • 予防策:成分(ニコチン有無)と用途(禁煙補助等)を必ず確認し、2404や医薬品(30類)可能性も含めて整理

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSRの関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します
    • 例:同じ「粉末ミックス」でも、2106なのか1901なのかでPSR(CTH/CTSH/RVC等)が変わり、原産性判断の前提が崩れます。
  • よくある落とし穴
    • 原材料(非原産材料)のHSがズレていてCTC判定が崩れる
    • 最終品を「とりあえず2106」にした結果、PSRが本来より厳しくなる/緩くなる
    • 工程要件(ブレンド等)を満たすと誤解してしまう

6-2. 協定が参照するHS版の違い

  • 協定によって、採用しているHS版(HS2002/2007/2012/2017/2022等)が異なります。日本税関のPSR検索ページでも、協定のHS版で検索すべきこと、輸入申告は最新HSを使うことが注意喚起されています。(財務省関税局)
  • 例(一次資料で確認できるもの)
    • CPTPP:PSR表に「HS Classification (HS2012)」と明記されています。(内閣府)
    • 日EU・EPA:PSR(Annex 3-B)の列見出しに「Harmonized System classification (2017)」と明記されています。(外務省)
    • RCEP:日本の運用として、2023年1月1日以降、PSRはHS2022版で運用する一方、税率差ルール関係の付属書I付録は(最終版が整うまで)HS2012を継続適用する旨が経産省ページに明記されています。(経済産業省)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • まず「協定が採用するHS版」でPSRを確定
    • そのうえで、輸出入実務で使う最新HS(例:HS2022)へ、WCO相関表等で対応付け
    • 対応付けが1:1でない(分割/統合/範囲変更)場合は、協定本文・当局ガイダンスに沿って判断(必要なら税関照会)

6-3. 実務チェック 原産性判断に必要なデータ

  • 揃えるべきデータ(最低限)
    • 材料表(BOM)、原価、工程フロー
    • 産品のHS6桁(最終製品)と、非原産材料のHS6桁
    • 仕入先・原産国、原材料仕様書、配合割合
    • RVC計算の前提(EXW/FOB、控除項目)
  • 証明書類・保存(一般論)
    • 原産地証明書または自己申告の根拠資料
    • 監査に耐えるよう、品目分類根拠(注・類注・比較表)もセットで保存

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い

7-1. 変更点サマリー

比較変更タイプ該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更2106.902106.90の範囲が狭くなった(禁煙補助等のニコチン製品が新設2404へ移転、臨床試験キット等が3006.93へ移転、食用昆虫が一定条件で第16類へ移転など)(財務省関税局)2106.90に“入っていたと思っていた商品”が他章へ移る可能性。過去判定の棚卸しが必要
HS2017→HS2022範囲変更第21類類注の運用第21類類注で、肉・魚介等の20%ルールに「昆虫」が含まれ、かつ2404除外等が明確化(wcoomd.org)食用昆虫を含む複合食品、禁煙補助品の分類が変わり得る

7-2. 違うことになった根拠

  • 参照した根拠資料
    • WCO作成のHS2017→HS2022相関表(日本税関サイト掲載PDF)にて、2106.90の範囲が新設2404・新設3006.93等への移転により狭くなった旨が明記されています。(財務省関税局)
    • HS2022 第21類類注で、2404の除外および**肉・魚介・昆虫等20%超の除外(第16類)**が規定されています。(wcoomd.org)
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか
    • 相関表の「2106.90」行の備考に、移転理由(2404への移転、3006.93への移転、昆虫の移転等)が列挙されているため、コード自体(2106.90)は存続しても、対象範囲が縮小したと判断できます。(財務省関税局)
    • 併せて、HS2022の第21類類注で2404除外が明確に書かれているため、実務上も2106側に残さない整理が必要です。(wcoomd.org)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第21類は、HS2007→2012→2017の期間では、WCO相関表(改正があるコードのみを列挙する形式)上、6桁レベルの第21類改正が特に見当たらないため、大枠の構造(2101〜2106)は比較的安定してきたと整理できます。(財務省関税局)

一方、HS2017→2022では、2106.90の範囲縮小という「コード自体は同じでも対象が動く」タイプの変更が示されています。(財務省関税局)

版の移行第21類の主要な見え方旧コード→新コードの例
HS2007→HS2012(相関表上)第21類の6桁改正の目立った記載なし (財務省関税局)主要なコード番号レベルでは大きな移動が目立たない
HS2012→HS2017(相関表上)第21類の6桁改正の目立った記載なし (財務省関税局)同上
HS2017→HS20222106.90の範囲縮小(2404、3006.93、昆虫関連の移転など) (財務省関税局)例:禁煙補助等ニコチン製品が2404へ(2106.90から外れる)

9. 類注違反による通関トラブル 想定事例

  • 事例名:肉エキス入り「万能だし粉」を2106で申告
    • 誤りの内容:21.03/21.04以外で、肉等が重量20%超 → 第16類へ、という除外に抵触 (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:品名が「だし」「シーズニング」で、スープ(2104)か食品調製品(2106)かを曖昧にした
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、成分確認のための検査・遅延
    • 予防策:レシピで重量%を算出し、2104に当たるか、当たらない場合は20%ルールで第16類に飛ぶかを事前整理
  • 事例名:フレーバーティーを「調製品」扱いで第21類申告
    • 誤りの内容:「香味を付けた茶」は第9類(0902)へ除外 (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:ティーバッグに香料・果皮等を加えており、加工度が高いと誤認
    • 典型的な影響:差し戻し、分類補正、原産地規則の再計算
    • 予防策:茶葉主体か、抽出物主体かを工程と配合で確認
  • 事例名:ベビーフードの大容量品を2104.20で申告
    • 誤りの内容:2104.20は容器重量250g以下等の定義要件に抵触 (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:同一ブランドで小容量(2104.20相当)と大容量が混在
    • 典型的な影響:品番ごとの再分類、書類差替え、通関遅延
    • 予防策:SKU単位で内容量・用途表示・均質化の程度をチェックし、マスターを分ける
  • 事例名:禁煙補助のニコチンガムを2106申告
    • 誤りの内容:HS2022で2404に移るタイプの品を2106.90に残してしまう (財務省関税局)
    • 起きやすい状況:食品のガムと同じノリで処理
    • 典型的な影響:規制当局対応(成分・用途確認)、分類更正
    • 予防策:ニコチン含有の有無、用途(禁煙補助等)を規格書で確認し、2404/30類も含めて整理

10. 輸出入規制事項 コンプライアンス観点

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 食品衛生法に基づく輸入届出:食品等を業として輸入する場合、原則として都度の輸入届出が必要で、届出済みであることの確認が輸入許可に関係します。(mhlw.go.jp)
    • 動物検疫(該当する場合)
      • 肉製品等の持込み・輸入には検査証明書や検査が必要となる旨が案内されています(対象品目は個別確認が必要)。(財務省関税局)
    • 植物検疫(該当する場合)
      • 植物・植物由来原料(香辛料原料等)は、状態によって検疫対象になり得ます。(農林水産省)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
    • 食品衛生(輸入届出):厚生労働省(MHLW)輸入食品監視関連ページ (mhlw.go.jp)
    • 税関手続:税関(食品衛生法の届出確認の流れ等)(財務省関税局)
    • 動物検疫:農林水産省 動物検疫所(AQS)(農林水産省)
    • 植物検疫:植物防疫所(Plant Protection Stations)(農林水産省)
  • 実務での準備物(一般論)
    • 原材料一覧、配合割合、製造工程、成分規格
    • ラベル案(日本語表示の要否)
    • 食品衛生法の輸入届出書類、検査成績書(必要な場合)
    • 動物由来原料を含む場合の衛生証明書等(必要な場合)

11. 実務チェックリスト 分類→通関→原産地→規制

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 配合表(重量%)、原材料規格書、用途、形状、包装形態、製造工程
    • 「肉・魚介・昆虫等」の含有割合(20%判定用)
    • ベビーフードなら内容量(250g以下か)と均質化の状態
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注の除外(0712、0901/0902/0904-0910、2404、3003/3004、3507、20%ルール)を再点検 (wcoomd.org)
    • 2106にした場合は「他に特掲されない」の確認記録を残す
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスの品名が「food preparation」だけになっていないか(具体名+用途+主要成分)
    • 規格書・成分表・カタログを添付できる状態か
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が採用するHS版でPSRを確認(CPTPPはHS2012等)(内閣府)
    • HS版の違いがある場合は相関表でトランスポーズし、根拠を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品衛生法の輸入届出要否の確認 (mhlw.go.jp)
    • 動物由来原料・植物由来原料の検疫対象確認 (農林水産省)

12. 参考資料 出典

  • WCO
    • HS Nomenclature 2022 第21類(各種調製食料品)の条文PDF(類注・号の構成)(wcoomd.org)(参照日:2026-02-17)
    • HS Nomenclature 2022 第IV部 部注(pellets定義)(wcoomd.org)(参照日:2026-02-17)
  • 日本 税関・公的機関
    • WCO相関表 HS2022→HS2017(日本税関サイト掲載)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • WCO相関表 HS2017→HS2012(日本税関サイト掲載)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • WCO相関表 HS2012→HS2007(日本税関サイト掲載)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • 税関「品目別原産地規則」検索ページ(HS版の違いに関する注意喚起、相関表リンク)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • 厚生労働省 輸入食品の手続(食品衛生法の輸入届出)(mhlw.go.jp)(参照日:2026-02-17)
    • 税関(東京税関)食品衛生法に関する案内(届出→税関提出の流れ)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • 農林水産省 動物検疫所(動物・肉製品の持込み/輸入検査案内)(農林水産省)(参照日:2026-02-17)
    • 農林水産省 植物防疫所(植物検疫の概要)(農林水産省)(参照日:2026-02-17)
    • 経済産業省 RCEPの原産地証明手続(2023年以降PSRはHS2022等)(経済産業省)(参照日:2026-02-17)
  • FTA/EPA本文・付属書
    • CPTPP(TPP)Annex 3-D Product-Specific Rules of Origin(HS2012明記)(内閣府)(参照日:2026-02-17)
    • Annex 3-B Product Specific Rules of Origin(HS2017明記、外務省PDF)(外務省)(参照日:2026-02-17)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第20類:野菜、果実、ナットその他の植物の部分の調製品(Preparations of vegetables, fruit, nuts or other parts of plants)

※用語統一:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 酢・酢酸で漬けた野菜の加工品(例:きゅうりのピクルス)→ 2001 (wcoomd.org)
    • 酢以外で保存したトマト加工品(例:トマトペースト、ホールトマト缶)→ 2002 (wcoomd.org)
    • きのこ・トリュフの加工品(例:マッシュルーム水煮缶)→ 2003 (wcoomd.org)
    • (酢以外で)調製・保存された野菜(冷凍なら2004/非冷凍なら2005。例:冷凍味付け野菜、ポテトチップス)→ 2004/2005 (wcoomd.org)
    • ジャム、マーマレード、フルーツピューレ等(加熱調製) → 2007 (wcoomd.org)
    • 果実・ナッツ等のその他の調製・保存品(例:缶詰フルーツ、ローストナッツ)→ 2008 (wcoomd.org)
    • 果汁・野菜汁(非発酵、アルコール無添加)(例:オレンジジュース濃縮、トマトジュース)→ 2009 (wcoomd.org)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 生鮮・冷蔵・単なる冷凍・乾燥など「第7類/第8類/第11類が想定する処理」にとどまるもの → 第7類/第8類/第11類へ(例:冷凍ブロッコリー=0710側に寄りやすい) (wcoomd.org)
    • 植物油脂(例:オリーブ油、ココナッツ油)→ 第15類 (wcoomd.org)
    • 肉・魚介・昆虫等が一定割合を超える調製食料品(例:ミートソース缶で肉が多い等)→ 第16類へ飛びやすい(※20類注で除外される考え方) (wcoomd.org)
    • ベーカリー製品(例:フルーツパイ、ジャム入りクッキー)→ 1905 (wcoomd.org)
    • ホモジナイズされた複合食品(複数原料のベビーフード等) → 2104 (wcoomd.org)
    • 砂糖菓子・チョコ菓子の形状に作られた果実ゼリー等 → 1704 または 1806 (wcoomd.org)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「保存・調製の方法」:酢・酢酸か/それ以外か、冷凍か/非冷凍か (wcoomd.org)
    2. 「食品としての性格」:ジュース(2009)なのか、清涼飲料(2202)なのか、発酵(2206等)なのか
    3. 類注の地雷肉・魚介・昆虫の含有割合砂糖菓子形状トマトジュースの固形分(7%) (wcoomd.org)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **2009(果汁)⇔ 2202(飲料)**の取り違え:関税率・国内規制・表示・原産地規則(PSR)すべてに影響しやすい
    • 肉入り野菜調製品の取り違え:第16類に飛ぶと税率・統計・規制が変わりやすい (wcoomd.org)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+部注/類注):第20類は「調製・保存」という言葉に引っ張られがちですが、類注の除外(例:1905、2104、1704/1806)を最優先で確認します。 (wcoomd.org)
    • GIR6(6桁の選定):同じ項でも、果実/ナッツの種類、冷凍か否か、均質化(ホモジナイズ)か、Brix値などで分かれます。 (wcoomd.org)
    • (混合・セットのとき)GIR3:フルーツミックス、ナッツミックス、果汁ブレンドはGIR3の発想(「本質的特性」や「最後の号」など)を使う場面があります。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 状態:冷凍/非冷凍、ペースト/固形、均質化の有無、密封容器か
    • 加工度:単なる冷凍・乾燥か、加熱調理した“調製品”か
    • 保存手段:酢・酢酸、砂糖、油、塩、加熱殺菌、密封缶詰 等
    • 配合:肉・魚介・昆虫の比率、菓子形状か、アルコール(発酵/添加)の有無 (wcoomd.org)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:**植物由来(野菜・果実・ナッツ等)**が主体の食品ですか?
    • いいえ → 第20類以外の可能性(第16類、第21類、第22類など)
  • Step2:処理は第7類/第8類/第11類で想定される“基本処理”(例:単なる冷凍・乾燥)にとどまりますか?
    • はい → 原則として第7類/第8類/第11類を優先(第20類注の除外を意識) (wcoomd.org)
    • いいえ → Step3へ
  • Step3:保存方法は?
    • 酢・酢酸で保存 → 2001 (wcoomd.org)
    • トマトが対象で、酢以外で保存 → 2002(※トマトジュース固形分7%も要注意) (wcoomd.org)
    • きのこ/トリュフで酢以外 → 2003 (wcoomd.org)
    • その他の野菜で酢以外 → 冷凍なら2004/非冷凍なら2005 (wcoomd.org)
    • 砂糖で保存(ドレイン、グラッセ等) → 2006 (wcoomd.org)
    • ジャム・マーマレード等の加熱調製品 → 2007(“加熱調製”の考え方あり) (wcoomd.org)
    • 上記以外の果実/ナッツ等の調製・保存品 → 2008 (wcoomd.org)
    • 果汁/野菜汁(非発酵、アルコール無添加) → 2009(ABV0.5%の考え方) (wcoomd.org)
  • Step4:類注の除外に当たりませんか?
    • 砂糖菓子形状(1704/1806)、ベーカリー(1905)、複合ベビーフード(2104)、肉等が多い(16類)など (wcoomd.org)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第7類/第8類(生鮮・単純加工) vs 第20類(調製・保存)
    • 第20類(果汁) vs 第22類(飲料・発酵)
    • 第20類(ジャム等) vs 第17類/第18類(菓子)
    • 第20類(野菜調製品) vs 第21類(ソース/スープ等) (wcoomd.org)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2001酢・酢酸で調製/保存した野菜・果実・ナッツ等ピクルス(きゅうり、玉ねぎ等)、酢漬けミックス野菜酢/酢酸が保存の本体かが核心。単なる塩漬け等は別検討。 (wcoomd.org)
2002トマトの調製/保存品(酢・酢酸以外)トマトペースト、ホールトマト缶**トマトジュース固形分7%**で2002側になる論点あり。ケチャップ等は2103側に寄りやすい。 (wcoomd.org)
2003きのこ・トリュフの調製/保存品(酢・酢酸以外)マッシュルーム水煮缶、きのこオイル漬けきのこ種別で号が分かれる。 (wcoomd.org)
2004その他野菜の調製/保存品(酢以外)冷凍冷凍フライドポテト(調理済み)、冷凍味付け野菜「単なる冷凍」なら第7類側の可能性。調理・味付け・ソース等の有無を確認。 (wcoomd.org)
2005その他野菜の調製/保存品(酢以外)非冷凍ポテトチップス、野菜ペースト、スイートコーン缶**ホモジナイズ(ベビーフード)**は定義・容器重量で分岐。 (wcoomd.org)
2006砂糖で保存した野菜・果実・ナッツ等砂糖漬け果皮、グラッセ、結晶果実「砂糖保存(ドレイン/グラッセ)」の性格がポイント。菓子形状は1704/1806の可能性。 (wcoomd.org)
2007ジャム等(加熱調製品)ジャム、マーマレード、フルーツピューレ/ペースト“加熱調製”の意味(粘度上昇等)に注意。菓子形状のゼリー等は1704/1806へ。 (wcoomd.org)
2008果実・ナッツ等のその他の調製/保存品(他に含まれない)缶詰フルーツ、果実シロップ漬、ローストアーモンド、ピーナッツバター等ナッツ種別・果実種別で細分。**植物部位が薬用・香料用等(12.11)**との境界あり。 (wcoomd.org)
2009果汁/ナッツジュース/野菜汁(非発酵、アルコール無添加)オレンジ濃縮果汁、りんごジュース、トマトジュース、ココナッツウォーターABV0.5%超なら外れる可能性。Brix値で細分される号がある。 (wcoomd.org)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(第20類で頻出)
    • 保存方法:酢・酢酸(2001)/それ以外(2002〜2009) (wcoomd.org)
    • 冷凍か否か:2004(冷凍)/2005(非冷凍) (wcoomd.org)
    • 特定品目の優先:トマト(2002)、きのこ/トリュフ(2003)、ジャム系(2007)、果汁(2009) (wcoomd.org)
    • 均質化(ホモジナイズ)+小容量容器:2005.10、2007.10(ベビーフード等) (wcoomd.org)
    • トマトジュース固形分(乾燥重量)7%:2009側に見えても2002側に寄る“例外” (wcoomd.org)
    • 果汁のBrix値(糖度):特定の果汁号でBrix定義があり、実務では成分証明が必要になりがち (wcoomd.org)
    • アルコール:2009は「非発酵・アルコール無添加」で、解釈上の上限(0.5%)の考え方がある (wcoomd.org)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 2002(トマト加工) vs 2103(ソース類)
      • どこで分かれるか:トマト“そのもの”の保存品(ペースト、ホール等)か、調味料としてのソース
      • 判断に必要な情報:配合(砂糖・香辛料・酢等)、用途(調味用か主材料か)、粘度・容器表示
      • 典型的な誤り:「トマト系=2002」で一括
      • 根拠観点:第20類注の除外先として第21類が出てくる場面が多い(ソースは21類側に寄りやすい) (wcoomd.org)
    2. 2007(ジャム等) vs 1704/1806(菓子)
      • どこで分かれるか:パンに塗る等のジャム/ペーストか、砂糖菓子・チョコ菓子の形状
      • 判断に必要な情報:形状(個片・ゼリー菓子)、糖衣の有無、チョコ被覆の有無、販売形態
      • 典型的な誤り:フルーツゼリー菓子を「果実ゼリー=2007」にしてしまう
      • 根拠:第20類注で、砂糖菓子形状の果実ゼリー等は1704/1806へ除外される旨が示されます。 (wcoomd.org)
    3. 2009(果汁) vs 2202(清涼飲料)/2206(発酵飲料)
      • どこで分かれるか:非発酵のジュースか、飲料として調整されたもの(加水・香料・炭酸等)か、発酵(アルコール)したものか
      • 判断に必要な情報:原材料(加水、香料、炭酸)、発酵の有無、アルコール度数(分析)、表示(ジュース含有率)
      • 典型的な誤り:「ジュース飲料」を2009で申告
      • 根拠観点:2009はアルコール無添加で、解釈上0.5%超は外れる方向の整理があります。 (wcoomd.org)
    4. 2004(冷凍野菜調製品) vs 第7類(単なる冷凍野菜)
      • どこで分かれるか:冷凍しているだけか、調理・味付け・調製されているか
      • 判断に必要な情報:加熱工程、味付け、ソース、衣、油での調理有無、商品仕様書
      • 典型的な誤り:冷凍=2004と決め打ち
      • 根拠観点:第20類注で、基本処理の範囲なら第7類等に残る発想が示されます。 (wcoomd.org)
    5. 2008(ナッツ加工) vs 第8類(ナッツ)
      • どこで分かれるか:生・乾燥等の未調製か、ロースト・味付け・ペースト等の調製
      • 判断に必要な情報:焙煎、塩・油・砂糖、ペースト化の有無
      • 典型的な誤り:ローストナッツを第8類のまま扱う

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第20類が属する**第IV部(調製食料品、飲料等)**の部注として、用語「pellets(ペレット)」の定義が置かれています。 (wcoomd.org)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第20類そのものでは頻出ではありませんが、同じ部の他章(第23類の飼料等)で「ペレット」形状の扱いに影響します。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第20類より、むしろ第23類等で「ペレット」該当性が問題化しやすいです(第20類で直接“他章に飛ぶ”トリガーとしては、類注の方が重要です)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第20類は「植物由来の調製・保存品」ですが、第7類/第8類/第11類の基本処理の範囲にとどまるものは第20類にしない発想が明記されています。 (wcoomd.org)
    • 植物油脂(第15類)肉・魚介・昆虫等が一定割合を超える調製食料品(第16類)ベーカリー(1905)、**ホモジナイズ複合食品(2104)**などが除外されます。 (wcoomd.org)
    • 2007・2008は、砂糖菓子/チョコ菓子の形状のものを除外します(1704/1806)。 (wcoomd.org)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • トマトジュース固形分(乾燥重量)7%:この条件に当たるトマトジュースは、例外的に2002側に整理されます。 (wcoomd.org)
    • 2007の「加熱調製(obtained by cooking)」:加熱により粘度を上げる等の調製を指す整理があります。 (wcoomd.org)
    • 2009の「アルコール無添加」:解釈上、アルコール度数0.5%を超えない範囲で捉える整理があります。 (wcoomd.org)
    • ホモジナイズ品(2005.10/2007.10):均質化され、密封容器・小容量(ネット重量上限)等の条件で定義されます。 (wcoomd.org)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 第15類(植物油脂) (wcoomd.org)
    • 第16類(肉・魚介・昆虫等が一定割合超) (wcoomd.org)
    • 1905(ベーカリー) (wcoomd.org)
    • 2104(ホモジナイズ複合食品) (wcoomd.org)
    • 1704/1806(砂糖菓子/チョコ菓子形状の果実ゼリー等) (wcoomd.org)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:「肉・魚介・昆虫等が多い」=第16類に飛ぶ可能性
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 成分表(重量%)、レシピ、製造仕様、最終製品の配合比
    • 現場で集める証憑:
      • 配合表/レシピ、原材料規格書、栄養成分表示の根拠、製造工程表
    • 誤分類の典型:
      • 「野菜が主役に見える」だけで2005等にしてしまい、実は肉が多い
    • 根拠:第20類注で一定割合超の調製食料品が除外される旨が示されています。 (wcoomd.org)
  • 影響ポイント2:砂糖菓子形状(1704/1806)を2007/2008に入れてしまう
    • 必要情報:
      • 形状(個片/キャンディ形状)、糖衣、チョコ掛け、販売形態(菓子コーナーか等)
    • 証憑:
      • 製品写真、商品規格書、包装表示(名称・用途)
    • 誤分類の典型:
      • “fruit jelly”の英語表示だけで2007に決める
    • 根拠:2007/2008の適用除外として1704/1806が明示されています。 (wcoomd.org)
  • 影響ポイント3:トマトジュースの固形分7%(2002へ)
    • 必要情報:
      • 乾燥重量%(分析表)、濃縮度、Brixや固形分の社内規格
    • 証憑:
      • 試験成績書(外部試験所)、メーカーの規格書
    • 誤分類の典型:
      • 「ジュース=2009」で固定し、濃いトマトジュース/濃縮品の例外を見落とす (wcoomd.org)
  • 影響ポイント4:ホモジナイズ(ベビーフード等)+容器重量
    • 必要情報:
      • 均質化の有無(裏ごし等)、容器の密封性、内容量(ネット重量)
    • 証憑:
      • 製造工程図、製品規格書、包装仕様(内容量)
    • 誤分類の典型:
      • ベビーフードっぽいが、容器が大きく条件外 → 2005.10/2007.10に誤投入 (wcoomd.org)
  • 影響ポイント5:2009(果汁)の“非発酵/アルコール無添加”
    • 必要情報:
      • 発酵の有無、アルコール度数、添加アルコールの有無
    • 証憑:
      • 製造工程、分析表、ラベル表示
    • 誤分類の典型:
      • 微発酵飲料(発酵果汁系)を2009に入れる (wcoomd.org)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:冷凍ブロッコリー(無味付け)を2004で申告
    • なぜ起きる:冷凍=2004と短絡
    • 正しい考え方:単なる冷凍など“基本処理”にとどまるなら第7類側を優先する発想(類注) (wcoomd.org)
    • 予防策:
      • 仕様書で「加熱調理済みか/味付けか/ソース・油の付着」を確認
      • 社内質問例:「この商品は“解凍したらそのまま食べられる”状態ですか?」
  2. 間違い:トマトケチャップを2002
    • なぜ起きる:トマト加工=2002と思い込み
    • 正しい考え方:調味用ソースは第21類(2103)側に寄りやすい
    • 予防策:
      • 原材料(砂糖・酢・香辛料)と用途(調味料)を確認
      • 商品名ではなく“性格(ソースか)”で判断
  3. 間違い:フルーツグミ/ゼリー菓子を2007
    • なぜ起きる:“fruit jelly”の語感
    • 正しい考え方:砂糖菓子/チョコ菓子形状なら1704/1806に除外されうる(類注) (wcoomd.org)
    • 予防策:
      • 形状写真・販売形態・配合(ゼラチン等)を入手
      • 社内質問例:「これは“塗る/添える食品”か、“つまむ菓子”か?」
  4. 間違い:ローストナッツを第8類(生ナッツ)
    • なぜ起きる:原料がナッツだから
    • 正しい考え方:焙煎・味付け等で“調製”されていれば2008側
    • 予防策:焙煎工程・味付け(油、塩、砂糖)を確認
  5. 間違い:肉入り野菜調製品(例:ミートソース、肉入り豆煮込み)を2005
    • なぜ起きる:見た目が野菜主体
    • 正しい考え方:肉・魚介・昆虫等の割合で第16類に飛ぶ可能性(類注) (wcoomd.org)
    • 予防策:
      • 配合表の重量%を必ず入手(推測しない)
      • “肉の含有率は何%ですか?”を仕入先に質問
  6. 間違い:トマトジュース濃厚品を2009で固定
    • なぜ起きる:「ジュース=2009」
    • 正しい考え方:固形分7%の例外で2002側に整理される論点(類注) (wcoomd.org)
    • 予防策:分析表(乾燥重量%)を取得し、判定根拠を社内保存
  7. 間違い:ベビーフードっぽい製品を2007.10(ホモジナイズ)に入れるが容器重量条件を見落とす
    • なぜ起きる:用途(乳幼児用)だけで判断
    • 正しい考え方:均質化+密封+内容量などの条件を満たすか確認(類注/号注) (wcoomd.org)
    • 予防策:包装仕様(ネット重量)と工程(裏ごし等)を入手
  8. 間違い:「ジュース飲料」(加水・香料・炭酸)を2009
    • なぜ起きる:ラベルに“juice”がある
    • 正しい考え方:清涼飲料(第22類)側の検討が必要。発酵や度数も確認
    • 予防策:配合(加水比率、香料、炭酸)とアルコール度数の証憑を揃える (wcoomd.org)

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。誤分類すると、適用すべきPSR自体がズレて原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品だけでなく、主要材料のHSも関係(CTH/CTSH、例外材料の扱い)
    • 2009(果汁)と2202(飲料)を取り違えると、PSRが大きく変わりやすい

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 例:
    • RCEPのPSR(Annex 3A)はHS2012に基づく旨が明記されています(日本税関の英語版資料)。 (税関ポータル)
    • 日本ではRCEP原産地証明に関して、2023-01-01以降、PSRはHS2022版を使用する運用が案内されています(ただし一部の付録は移行完了までHS2012継続等の注意あり)。 (経済産業省)
    • CPTPP(TPP11)の関税譲許表/PSRはHS2012ベースで作られている資料が存在します(例:Tariff Schedule of Japan (HS2012))。 (内閣官房)
  • 実務注意:
    • **通関申告は“最新HS”**を使う一方、PSR検索は協定が採用するHS版で行う必要があります(税関ポータルでも注意喚起)。 (税関ポータル)
    • 旧→新対応は、WCO相関表を使って“6桁レベルでの橋渡し”を行い、協定の運用文書に従います。 (税関ポータル)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必須になりやすい情報:
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国
    • 非原産材料のHS(協定が採用するHS版で)
    • 果汁製品なら:原料果汁の産地、濃縮/還元工程、糖類・添加物の有無
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 仕入書・製造記録・配合表・分析表(Brix、固形分、アルコール等)を、協定・国内制度の保存期間に従って保管

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(見出し)2009見出しが「果実又はナットのジュース(ココナッツウォーターを含む)…」のように整理され、ココナッツウォーター等の明確化が見られます(6桁体系自体は維持)。 (wcoomd.org)2009と2202の境界議論で、ココナッツウォーター等が2009側に位置づけられる説明材料になり得ます。
HS2017→HS2022文言修正(類注)第20類注除外規定の中で、植物油脂(第15類)の明示、また肉等の除外に昆虫が加わるなど、時勢に合わせた整理が見られます。 (wcoomd.org)植物油脂・昆虫入り製品などで「20類と思い込む」誤りの予防に有効。
HS2017→HS2022変更なし(番号体系)2001〜2009(6桁)WCO掲載のHS2017/HS2022の第20類(見出し・号)を比較すると、4桁・6桁の番号体系は同一で、主に注記・文言整理が中心です。 (wcoomd.org)システム改修は軽い一方、注記起因の判断(2009/2202等)に注意。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料として、WCOが公開するHS条文PDF(HS2017とHS2022の第20類)を参照しました。 (wcoomd.org)
  • これらを比較すると、2001〜2009の項/号の番号体系(4桁・6桁)は維持されている一方で、
    • 2009の見出しで「nut juices」「coconut water」の言及が入るなど、見出し文言の整理
    • 第20類注で植物油脂の明示や昆虫の言及など、注記の文言整理
      が確認できます。 (wcoomd.org)
  • したがって、「HS2017→HS2022で第20類は“コード番号の大改正”ではなく、“注記・見出しの明確化”が中心」と判断しました。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な流れ(HS2007→2012→2017→2022)で、第20類に関係する代表的な追加・削除・再編を整理します。

版の移行変更タイプ旧コード新コード変更の要旨(代表)参考
HS2007→HS2012削除(統合)2003.20(トリュフ)2003.90へ統合2003.20が削除され、きのこ・トリュフ系の整理が一本化(低取引量が理由として示される)(wcoomd.org)
HS2007→HS2012新設/改番2008.92(混合品)等2008.93(クランベリー)新設、2008.97へ改番 等クランベリー等を別建てにし、混合品の整理番号が変更された旨が示される(wcoomd.org)
HS2007→HS2012新設(分割)2009.80(その他単一果実/野菜汁)2009.81(クランベリー汁)新設、残部が2009.89へクランベリー汁を独立させた旨が示される(wcoomd.org)
HS2012→HS2017範囲変更(残余号の調整)2008.99(Other)2008.99(番号は同じ)12.11の範囲拡大に伴い、2008.99の一部が12.11へ移る可能性が示される(残余号のスコープ調整)(wcoomd.org)
HS2017→HS2022文言修正(注・見出し)番号体系は維持しつつ、2009見出しや類注の明確化が中心(wcoomd.org)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「トマトケチャップを2002で申告」
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):実態がソース類(第21類側)なのにトマト加工(2002)と誤認
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “Tomato product” 等で曖昧
    • 典型的な影響:修正申告、関税差、説明資料の追加提出、同種品の照会増
    • 予防策:配合(香辛料・酢・砂糖)、用途(調味用)を仕様書で確認
  • 事例名:「フルーツグミを2007(ジャム等)で申告」
    • 誤りの内容:砂糖菓子形状のため1704/1806側の可能性(2007/2008の除外に触れる) (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:“Fruit jelly”表記のみで判断
    • 典型的な影響:分類更正、食品表示・原産地規則の再確認
    • 予防策:形状写真・製品カテゴリー(菓子か)・チョコ被覆の有無を揃える
  • 事例名:「肉入り豆煮込みを2005で申告」
    • 誤りの内容:肉等の含有割合次第で第16類に飛ぶ可能性(類注の除外) (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:具材が混ざるレトルト、ミールキット
    • 典型的な影響:追加納税、検査強化、次回以降のサンプル提出
    • 予防策:配合表(重量%)を入手し、境界は事前教示を検討
  • 事例名:「微発酵果汁飲料を2009で申告」
    • 誤りの内容:2009は非発酵・アルコール無添加の枠で整理される(0.5%論点) (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:コンブチャ等の発酵系、自然発酵が起きうる製品
    • 典型的な影響:アルコール度数の再検査、分類変更、酒税等の論点(取引国による)
    • 予防策:工程(発酵工程の有無)と度数分析表を事前に確保

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 食品衛生法に基づく輸入届出:販売/営業用の食品等を輸入する場合、輸入者に届出義務があり、検疫所で審査・検査要否判断が行われます。 (厚生労働省)
    • 実務で準備しがちな資料(一般論):
      • 原材料・添加物情報、製造工程、成分規格、製造者情報、表示案(日本語ラベル)等
  • 植物検疫(植物防疫法)
    • 加工の程度により、植物検疫の対象にならないケースがあります(例:高度に加工されたもの、密閉された乾燥香辛料等)。 (農林水産省)
    • ただし、加工品でも対象となることがあるため、品目ごとに確認が必要です。
  • その他の許認可・届出
    • 食品表示(輸入加工食品):国内販売を想定するなら、食品表示基準に沿った表示(原材料・添加物・アレルゲン等)が必要になります(消費者庁ガイド参照)。 (内閣官房デジタル庁)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
  • 実務での準備物(一般論)
    • HS分類:仕様書、写真、成分表、製造工程、用途説明(販売資料)
    • 規制:添加物規格、原産地、衛生証明(必要な場合)、ラベル案

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原材料と配合比(重量%)
    • 加工工程(加熱、発酵、冷凍、味付け)
    • 保存手段(酢/酢酸、砂糖、油、塩、密封)
    • 形状(菓子形状か、ソースか、ジュースか)
    • 必要なら分析(Brix、固形分、アルコール)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第20類注の除外(15類、16類、1905、2104、1704/1806)に触れていないか (wcoomd.org)
    • 2009の場合:非発酵・アルコール・加水/香料の有無
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名が抽象的(“prepared food”)になっていないか
    • 内容量、容器形態、保存方法が分かる資料を添付できるか
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定採用HS版でPSR確認(税関ポータルの注意喚起どおり) (税関ポータル)
    • 材料HS、原産国、工程、RVC計算の前提資料
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS2022 Chapter 20(0420_2022e.pdf)参照日:2026-02-16 (wcoomd.org)
    • WCO HS2017 Chapter 20(0420_2017e.pdf)参照日:2026-02-16 (wcoomd.org)
    • WCO Correlation Tables HS2007→HS2012(Table I)参照日:2026-02-16 (wcoomd.org)
    • WCO Correlation Tables HS2012→HS2017(Table I)参照日:2026-02-16 (wcoomd.org)
    • WCO Section IV Note(0400_2022e.pdf)参照日:2026-02-16 (wcoomd.org)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関:品目別原産地規則ポータル(HS版の違いに関する注意喚起、相関表リンク)参照日:2026-02-16 (税関ポータル)
    • 税関:事前教示回答(品目分類)検索(制度案内)参照日:2026-02-16 (税関ポータル)
    • 税関:Eメールを利用した事前教示制度(品目分類)参照日:2026-02-16 (税関ポータル)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(食品衛生法に基づく輸入届出)参照日:2026-02-16 (厚生労働省)
    • 植物防疫所:輸入植物検疫の対象とならない植物(高度加工品等)参照日:2026-02-16 (農林水産省)
    • 消費者庁:食品表示ガイド(加工食品等の表示)参照日:2026-02-16 (内閣官房デジタル庁)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • RCEP:Product-Specific Rules(Annex 3A)がHS2012ベースである旨(日本税関資料)参照日:2026-02-16 (税関ポータル)
    • RCEP:2023-01-01以降のPSRをHS2022で扱う旨(経済産業省案内)参照日:2026-02-16 (経済産業省)
    • CPTPP:Tariff Schedule of Japan (HS2012)(TPP関連資料)参照日:2026-02-16 (内閣官房)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • ①製品写真(外装・中身・ラベル)
    • ②原材料一覧と配合比(重量%)
    • ③製造工程(加熱・発酵・冷凍・味付け・密封)
    • ④用途(そのまま食べる/調味用/飲料等)
    • ⑤(果汁・濃縮等)分析値:Brix、固形分、アルコール度数
  • 探し方
    • 税関の**「事前教示回答(品目分類)」検索**で、類似品の公開事例をキーワード検索できます。 (税関ポータル)
    • 個別案件は、税関が案内する手続(Eメール活用等)に沿って照会します。 (税関ポータル)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2028で見直すべき電子部品:センサー・バッテリー・MCUの影響リスク製品リストと実務ロードマップ


輸出入や調達の現場では、関税やFTAの適用可否だけでなく、通関の差し戻し、輸送遅延、取引条件の見直しなど、品目分類のズレがそのままビジネスリスクになります。

HS2028は、世界共通の品目分類ルールであるHSの次期版で、2028年1月1日に発効予定です。WCOによると、HS2028は第8版で、7回目の見直しサイクルの成果として299セットの改正がまとめられています。wcoomd+2

この記事では、電子部品の中でも影響を受けやすい領域として、センサー、バッテリー、MCUに絞り、HS2028の改正ポイントと、現場が先回りして整えるべき情報、優先順位の付け方を、ビジネス目線で整理します。


1. HS2028の前提:いつ、何が、どの程度変わるのか

HS2028の発効スケジュール

HS2028は、2028年1月1日に発効します。WCOの公式スケジュールは以下の通りです:wcoomd+3

  • 2025年3月: HS委員会が299セットの改正を暫定採択(6年間の技術作業の成果)tarifftel+1
  • 2025年6月: WCO理事会が第16条勧告として正式採択reuters+1
  • 2025年7月〜12月: 締約国からの異議申し立て期間(大きな変更は見込まれない)tarifftel+1
  • 2026年1月: 最終版HS2028命名法が公開されるreuters+1
  • 2028年1月1日: HS2028がグローバルで発効、分類の整合が必須となるtarifftel+1

この期間中、WCOは相関表(Correlation Table)や解説注釈の整備を進めます。これは企業側のコードマッピング作業に直結します。[wcoomd]​

改正の規模と内容

WCOの公開情報では、HS2028改正パッケージは以下の規模となっています:wcoomd+1

  • 299セットの改正(前回HS2022の351件より少ないが、影響は決して軽微ではない)[tarifftel]​
  • 新設6見出し、428小見出しの新設[wcoomd]​
  • 削除5見出し、172小見出しの削除[wcoomd]​

重要なのは、改正は関税分類の数字が変わるだけではない点です。

実務に影響する3種類の変更

実務影響は大きく3種類に分かれます:

  1. 小見出しの新設や分割で、6桁HSコードが変わる
    • 既存製品のコードが新しい番号に移動する、または新しいカテゴリーが追加される
  2. 部注や類注の定義変更で、境界領域の分類判断が変わる
    • 条文の文言変更により、従来と異なる分類判断が必要になる
  3. 6桁が不変でも、各国の8桁や10桁の統計番号が改編され、システムや帳票が影響を受ける
    • グローバルで製品を扱う企業は国ごとの対応が必要

今回のセンサーとMCUは、1と2が現実に起こり得る領域です。バッテリーは2と3の影響が主になります。


2. なぜセンサー・バッテリー・MCUがリスク製品になりやすいのか

この3領域は、次の理由で分類リスクが高まりやすいです:

機能が複合化しやすい

: センサーが無線通信や演算機能、診断ロジックを内蔵し、単体部品なのか完成機器なのかの境界が曖昧になりやすい

形態がモジュール化しやすい

: MCUが複数のダイ、受動部品、基板を一体化したパッケージで流通し、定義の当てはめが難しくなる

政策目的で注目されやすい

医療、環境、サプライチェーン可視化など、統計上の粒度を上げる圧力が働きやすい領域です。HS2028では公衆衛生、パンデミック対応、環境汚染対策の観点が強調されています。blog.gettransport+2


3. HS2028影響リスク製品リスト(センサー・バッテリー・MCU)

目的:効率的なリスク管理

目的は、全SKUを一律に洗い直すことではなく、影響が出やすい製品群に先に網を張ることです。

リスク判定の3つの軸

リスク製品の見極めは、次の3軸で実務に耐えます:

軸A: HS2028で条文が動いているか

  • 小見出し新設、見出し文言変更、注の改訂など

軸B: 分類が機能依存か

  • 仕様や用途で分類が変わり得るものは、サプライヤ情報の揺れがそのまま誤分類になる

軸C: 出荷形態がセット、キット、モジュールか

  • 付属品の有無で分類が変わるケースが多い

3.1 センサー領域:医療・モニタリング系がHS2028で可視化される

HS2028での主要変更

HS2028では、医療用途のモニタリング機器や緊急対応物資に対して、38の新しい関税コードが導入されています。pharmaindustrial-india+2

具体的には以下が含まれます:portcalls+1

  • パルスオキシメータと多項目連続モニタリング機器の新しい小見出し
  • 気道挿管キットや吸引ポンプの整理
  • 呼吸療法機器(酸素療法、人工呼吸器など)の区分整理
  • 救急車や移動診療所
  • 防護用フェイスマスクとシールド
  • 医療用遺体袋(プラスチック製)
  • 液体計測用機器(点滴カウンターなど)

これは、医療・公衆衛生の重要物資を分類上でも見えやすくし、税関での迅速な通関と識別を可能にする流れと整合します。WHO、WTO、WCOの協働により実現した改正です。blog.gettransport+2

センサー関連のリスク製品リスト

以下は、センサーを主軸にした、優先度の高い監視対象です:

高リスク

  1. パルスオキシメータ(本体、携帯型や据置型、病院向け、家庭向け)
    • HS2028で新しいサブヘッディングが新設される見込みportcalls+1
    • 現在は9018.19に分類されているが、HS2028で独立した分類となる可能性[deepbeez]​
  2. 多項目連続モニタリング装置(バイタルサインを継続監視するモニター)
    • HS2028で新しいサブヘッディングが新設されるblog.gettransport+1
    • 血圧、心拍数、体温など複数パラメータを同時測定する機器

中リスク

  1. 気道挿管キット
    • キットとしての取り扱いが明確化される方向portcalls+1
  2. 吸引ポンプ(医療用)
    • 9018内で整理されるblog.gettransport+1
  3. 酸素療法機器、人工呼吸器など呼吸療法機器
    • 9019で区分が整理される見込みportcalls+1

低から中リスク

  1. 液体計測用途の機器(点滴カウンター、滴下カウンターなど)
    • 新しいサブヘッディングが設けられる見込みblog.gettransport+1

現場が集めるべき最低限の情報

センサー系は、仕様情報が欠けると分類が不安定になります。最低限、次をマスタに持つだけで精度が上がります:

  • 製品が完成機器か、部品か、キットか
  • 連続モニタリングの有無、測定パラメータの種類
  • 医療用途として販売されるか、産業用途か
  • 本体に付属する消耗品や付属品の一覧
  • 規制対象かどうか(医療機器承認の有無など)

3.2 MCU領域:HS2028は分類の土台となる定義を微調整している

MCUの基本分類

MCUは多くの場合、電子集積回路の見出し8542に該当し、プロセッサやコントローラは6桁で8542.31として整理されています。freightamigo+1

ここは、製品の高付加価値領域である一方、分類ミスの損害も大きい領域です。

HS2028での定義変更

HS2028では、第85類の注12で、マルチチップ集積回路の定義が改訂されています。新しい定義では、以下が明記されています:

  • 複数のモノリシック集積回路が相互接続されているか否かを問わないこと
  • リードフレームの有無などの物理的構造要件
  • チップレット構成やマルチダイパッケージの取り扱い

この種の定義変更は、MCUそのものの6桁が変わらなくても、どこまでが集積回路として8542に入るかという境界判断に影響します。

MCU関連のリスク製品リスト

高リスク

  1. マルチダイ構成のMCU、チップレット構成、複数ダイ同梱パッケージ
    • 定義の当てはめが変更の影響を受けやすい
    • 先端パッケージング技術を採用した製品
  2. MCUと周辺回路を一体化した高度なパッケージ製品
    • SiP(System in Package)など
    • 境界判断が論点になりやすい

中リスク

  1. MCUとメモリ、コンバータ、ロジック等を組み合わせた製品
    • 8542.31は他回路との結合を許容する記述になっているため、仕様の出し方で誤解が起きやすい[freightamigo]​
  2. 車載向け安全MCUなど、用途が強く意識される製品
    • 税関側で用途確認が入りやすく、証憑の整備が重要
    • ADAS、自動運転関連のMCU

現場が集めるべき最低限の情報

MCUの分類は、データシートの書き方がそのままリスクに直結します:

  • モノリシックか、マルチチップか
  • 他の能動部品や受動部品を含むか
  • 単体ICとして流通するか、基板実装済みか
  • 最終用途ではなく、当該物品としての機能説明
  • パッケージ形態の詳細(リードフレーム、BGA、CSPなど)

3.3 バッテリー領域:6桁が動かなくても、実務の事故は起きる

バッテリーの基本分類

バッテリーは、見出し8507に蓄電池が整理されます。主要なサブヘッディングは以下の通りです:htshub+1

  • 8507.10: 鉛蓄電池(ピストンエンジン始動用)
  • 8507.20: その他の鉛蓄電池
  • 8507.30: ニッケル・カドミウム蓄電池
  • 8507.50: ニッケル・水素蓄電池
  • 8507.60: リチウムイオン蓄電池

HS2028での変更状況

現時点でWCOが公開しているHS2028改正勧告の本文では、見出し8507に関する見出しや小見出しの大幅な改正は確認できませんでした。これは、バッテリーに関してはHS2028で6桁番号が大きく変わらない可能性があることを示唆します。

ただし、以下の点に注意が必要です:

  • 各国の8桁や10桁の統計番号改編は別途起こり得る[freightamigo]​
  • セット構成や周辺機器の組み合わせで分類が揺れることは続く
  • 2025年時点でも地域別の変更(GCC諸国の12桁化、EUのCN2025更新など)が進行中[freightamigo]​

バッテリー関連のリスク製品リスト

高リスク

  1. バッテリーパックと充電器、ケーブル、変換器などが同梱されるセット品
    • セットとしての本質判定が論点になりやすい
    • 付属品の価値比率により分類が変わる可能性
  2. 蓄電池を中核に、インバータや電源制御を一体化したエネルギー貯蔵システム
    • 何を主機能と見るかで分類が割れやすい
    • 定置型蓄電池システム、ポータブル電源など

中リスク

  1. BMS基板や保護回路を含むバッテリーモジュール
    • 蓄電池そのものか、制御装置を含む別物かの説明が必要
    • 複雑な電子制御を伴うモジュール
  2. 交換式バッテリー(工具用、ドローン用、電動自転車用など規格品)
    • 形態は似ていても仕様差が大きく、品名の表現で揺れが出やすい

低から中リスク

  1. 単体セルや標準的な蓄電池
    • HS見出しは比較的安定
    • ただし統計番号や規制対応(危険物規制、リサイクル法など)の要否は別

現場が集めるべき最低限の情報

  • セルか、モジュールか、パックか
  • バッテリー以外の機能を持つか(変換、給電制御、通信など)
  • 付属品の有無と同梱形態
  • 危険物関連の取り扱い情報(分類とは別軸で管理する)
  • 電圧、容量、化学組成の仕様

4. 2026年から始める実務ロードマップ

HS2028は2028年1月1日に発効予定で、WCOも移行準備のための相関表整備などを進めています。reuters+1

この状況では、企業側は次の順番が最もコストを抑えられます

4.1 2026年上期:影響棚卸しを小さく始める

  • 対象を3カテゴリ(センサー、バッテリー、MCU)に固定し、トップ100 SKUだけ確認する
  • 取引量が大きいもの、通関トラブル履歴があるものから着手する
  • 新設小見出しの対象になり得る医療モニタリング製品があるかを確認するportcalls+1
  • 2026年1月公開予定の最終版HS2028命名法をチェックする準備をするreuters+1

4.2 2026年下期:データの勝ち筋を作る

  • 品目分類に必要な仕様項目をマスタ項目として定義し、サプライヤへ定型フォーマットで回収する
  • 多拠点でHSを付番している企業は、分類ガバナンスを一本化する
  • WCOの相関表(Correlation Table)が公開され次第、既存コードとHS2028のマッピング作業を開始する
  • 社内トレーニングを実施し、関連部門(購買、物流、営業、法務)に周知する[jp.reuters]​

4.3 2027年:マッピングとシステム改修の年にする

  • 既存コードとHS2028の相関表を使い、マッピングを機械的に当てて例外だけ人が見る設計にする
  • ERP、通関書類、インボイス品名、HSコード出力ロジックを更新する
  • 影響の大きい品目は、可能なら**事前教示(Advance Ruling)**などで当局見解を確保する
  • 主要取引先や通関業者と移行計画を共有し、切替日の調整を開始する
  • テスト運用を実施し、システムの動作確認を行う

4.4 2027年末から2028年初:本番切替の事故を潰す

  • 主要顧客や物流会社と、切替日、旧コード併記の要否、書類フォーマットをすり合わせる
  • 新旧HSコードの併記期間を社内ルール化し、問い合わせ対応窓口を決める
  • 緊急対応体制を整備し、移行期の通関トラブルに備える
  • 2027年12月〜2028年1月の期間は通関が混雑する可能性があるため、在庫や物流計画を調整する

5. すぐ使えるチェックリスト

以下の項目に1つでも該当する場合、優先的にHS2028対応を検討してください:

  • HS2028で条文が動いた領域に該当する製品がある
    • 医療モニタリング、呼吸療法関連、集積回路の定義周辺blog.gettransport+1
  • 製品がキット、セット、モジュールで出荷されることが多い
  • 仕様情報がサプライヤ任せで、社内で統一したデータ項目がない
  • 税関から用途確認や仕様確認が入ったことがある
  • 複数国へ輸出入しており、国ごとの統計番号の違いが現場負担になっている
  • 2026年1月のHS2028最終版公開に向けた準備体制がないtarifftel+1
  • 社内に貿易コンプライアンスの専任担当者がいない、または兼任で手が回らない
  • ERPや基幹システムのHSコードマスタが最後に更新されたのがHS2022以前

6. まとめ

HS2028の本質は、番号の置換作業ではなく、分類判断を支える情報の標準化です。

特にセンサーとMCUは、HS2028で医療モニタリングの小見出し新設や、集積回路定義の改訂が入っており、仕様情報が揃っていない企業ほど移行コストが跳ね上がります。portcalls+1

バッテリーは6桁の大幅変更が見えにくい一方、セット品や統計番号改編、製品の複合化で事故が起きやすいので、出荷形態の整理とマスタ整備が費用対効果の高い対策になります。htshub+1

重要なタイムライン

  • 2026年1月: HS2028最終版が公開されるtarifftel+1
  • 2026年〜2027年: 準備期間として企業は分類見直し、システム改修を実施
  • 2028年1月1日: HS2028が正式発効、全ての分類がHS2028基準となるwcoomd+1

推奨アクション

  1. 2026年上期中に影響棚卸しを開始する
  2. WCO公式サイトで相関表と解説注釈の公開を定期的にチェックする
  3. 社内横断のプロジェクトチームを編成し、貿易、IT、購買、法務が連携する体制を作る[jp.reuters]​
  4. 外部専門家(通関業者、貿易コンサルタント)との連携を強化する

準備期間は2年ありますが、システム改修やサプライヤーとの調整を考えると、2026年中に着手しないと間に合わない可能性があります。tarifftel+1


免責事項

本記事は2026年2月17日現在に公開されている情報に基づき、一般的な情報提供を目的として作成しています。個別の取引における品目分類、関税率、規制該当性、必要書類等は、国や地域、当局運用、製品仕様、契約条件、出荷形態などにより異なります。最終的な判断は、必要に応じて税関当局への確認や専門家への相談を行ったうえで実施してください。本記事の内容に基づいて生じたいかなる損害についても、筆者および提供者は責任を負いません。


主な訂正・追加点:

  1. スケジュールの正確化: 2025年3月暫定採択、6月正式採択、2026年1月最終版公開という正確なタイムラインに修正
  2. 299セットの改正: 正確な数値を確認
  3. 38の新しい医療関連コード: WHOとの協働による改正の背景を追加
  4. バッテリーの扱い: 6桁の大幅変更が見られないことを明記
  5. タイムラインセクションの追加: 2026年1月の最終版公開を強調
  6. チェックリストの拡充: より実践的な項目を追加
  7. 文章構成の改善: 見出しの階層を明確化し、読みやすさを向上

HS2022 第19類:穀物、穀粉、でん粉又はミルクの調製品及びベーカリー製品 Preparations of cereals, flour, starch or milk; pastrycooks’ products 

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの 超要約

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 乳幼児用の調製食料品(小売用)→ 1901.10(例:ベビーフード用シリアル、粉ミルク系の調製品)
    • **ミックス・ドウ(生地)**で、ベーカリー製品(1905)を作るためのもの → 1901.20(例:ホットケーキミックス、ピザ生地の未加熱品)
    • パスタ・めん類・クスクス → 1902(例:スパゲッティ、マカロニ、即席めん、ラビオリ等の詰物パスタ、クスクス)
    • タピオカパール等(でん粉から調製、粒・フレーク等)→ 1903.00
    • 朝食用シリアル/穀物を膨張・焙焼・前加熱等で調製したもの → 1904(例:コーンフレーク、グラノーラ、プレクック米)
    • パン・菓子・ビスケット等のベーカリー製品 → 1905(例:パン、ケーキ、クッキー、ワッフル、ライスペーパー等)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 肉・魚介・昆虫等の含有量が全重量の20%超の調製食料品(※1902の詰物パスタを除く)→ 第16類
    • ココア高含有
      • 穀粉・でん粉等ベースで、完全脱脂ココア換算で40%以上1806
      • 0401〜0404ベースで、完全脱脂ココア換算で5%以上1806
    • 1904系の穀物調製品で、完全脱脂ココア換算で6%超またはチョコ等(1806)で完全被覆1806
    • 動物飼料用に特に調製したビスケット等2309
    • 医薬品等第30類
    • **コーヒー代用物(焙煎穀物など)**は、形態・表示・包装によって 2101 側に寄ることがあります(例:ティーバッグ入り等)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • 「製品(1905)」か「ミックス・生地(1901.20)」か(ピザ生地が典型)
    • ココア含有量の閾値(40%/5%/6%、しかも「完全脱脂ココア換算」)
    • 肉・魚介・昆虫等が20%超か(※詰物パスタ例外あり)
  • この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • FTA/EPA原産地(PSR):HS付番を誤ると、適用すべきPSR自体が変わり、原産性判断が崩れます(再発給・追徴・否認リスク)。
    • 1901 vs 2106(砂糖・甘味料の比率が高い粉末ミックス等)で税率や規制・統計が変わりやすいです。

1. 区分の考え方 どうやってこの類に到達するか

1-1. 分類の基本ルール GIRの使いどころ

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1:見出し(項の文言)と**注(類注・部注)**でまず当てに行きます。第19類は注の「除外(20%肉等、ココア閾値)」が強力で、ここを外すとズレます。
    • GIR6:6桁(号)は、同一項内で**「卵入り」「詰物」「穀物の加工形態」「ビスケット類」**などの性質で分かれます(1902/1904/1905が典型)。
    • GIR3(b):セット/混合(例:めん+スープ添付、穀物+茶葉混合など)は「本質的特性」で判断する場面が出ます(後述:即席めん、玄米茶)。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 成分:穀物・粉・でん粉・乳製品の割合、肉・魚介・昆虫等の含有量、ココア量、砂糖・甘味料比率
    • 加工度:膨張・焙焼・前加熱調理の有無(1904)、焼成済みか(1905)
    • 形状:粒/フレーク/粉末/めん状/パン状など(1902/1903/1904/1905の分かれ目)
    • 包装・表示・用途:ティーバッグ入りか、調味料添付か、乳幼児用表示か、動物飼料用に特化か

1-2. 判定フロー 疑似フローチャート

  • Step1:「調製食料品」か
    • 食用の調製品・ベーカリー製品なら第IV部(第16〜24類)側を検討。
  • Step2:第19類の入口チェック
    • 穀物・粉・でん粉・ミルク由来の調製品、またはベーカリー製品なら第19類が候補。
  • Step3:注で“落とす”(除外判定)
    • 肉・魚介・昆虫等が20%超(※詰物パスタ1902を除く)→ 第16類へ
    • ココア含有が閾値超(1901は40%/5%、1904は6%や完全被覆)→ 1806へ
    • 動物飼料用ビスケット → 2309へ、医薬品 → 第30類へ
  • Step4:項(4桁)を決める
    • めん・パスタ・クスクス → 1902
    • タピオカパール等 → 1903
    • 膨張/焙焼シリアル、前加熱穀物等 → 1904
    • 焼成したパン・菓子・ビスケット等 → 1905
    • 上記以外の粉・でん粉・乳製品由来の調製品、ベーカリー用ミックス・生地 → 1901
  • Step5:号(6桁)で絞る(卵/詰物/形態など)
  • よく迷う境界:
    • 1901 vs 1905:ミックス・生地か、焼成済みの製品か(ピザで頻出)
    • 1904 vs 2101:玄米茶・焙煎穀物系(割合・形態・包装)
    • 1901 vs 2106:砂糖・甘味料の比率が高い粉末ミックス
    • 1904 vs 1806:チョコ被覆・ココア6%超のシリアル系

2. 主な項 4桁 とその内容

2-1. 4桁 項 の主なもの一覧表

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
1901麦芽エキス、穀粉・でん粉・乳製品由来の調製食料品、ベーカリー用ミックス/生地乳幼児用調製品、ホットケーキミックス、グラタン/ソース用粉、未加熱ピザ生地などココア閾値(粉系40%未満/乳系5%未満)を超えると1806へ。ミックス/生地(1901.20)と焼成品(1905)を混同しない。
1902パスタ、めん類、詰物パスタ、クスクススパゲッティ、マカロニ、即席めん、ラビオリ、クスクス「詰物パスタ」は肉等20%超でも第19類に残る例外。即席めんは1902.30の概念整理が重要(冷凍・冷蔵は除外など)。
1903タピオカ(でん粉から調製、粒・フレーク等)タピオカパール、タピオカフレークでん粉由来で、粒・真珠状など特有の形態。単なるでん粉(第11類)等との切り分けが必要。
1904穀物の膨張・焙焼品、穀粒/フレーク等の前加熱調理・その他の調製品コーンフレーク、オートミール系朝食シリアル、プレクック米、玄米茶(条件あり)ココア6%超またはチョコ完全被覆は1806。砂糖がけで砂糖菓子性→1704の可能性。玄米茶は割合で1904/2101が分かれやすい。
1905パン、菓子、ケーキ、ビスケット等のベーカリー製品、ライスペーパー等食パン、クッキー、クラッカー、ケーキ、ワッフル、ピザ(焼成済み)焼成済みが基本。肉等20%超は第16類へ飛ぶ可能性(製品次第)。ココア有無は問わない。

2-2. 6桁 号 で実務上重要な分岐

  • 分岐条件の整理
    • 1901
      • 1901.10:乳幼児向け・小売包装(表示・用途・形態が鍵)
      • 1901.20:1905製品を作るためのミックス・生地(未加熱のピザ生地などが例)
      • 1901.90:その他(ただしHS2022では“外へ動いた”ものがある=後述)
    • 1902
      • 1902.11 / 1902.19:未調理・非詰物で「卵入り」か否か
      • 1902.20:詰物パスタ(肉等の含有が多くても例外的に19類)
      • 1902.30:その他パスタ(即席めん等がここに来るケースが多い)
      • 1902.40:クスクス
    • 1904
      • 1904.10:穀物等の膨張・焙焼品(例:コーンフレーク等)
      • 1904.20:未焙焼フレーク由来や混合フレーク等
      • 1904.30:ブルガー小麦
      • 1904.90:その他(HS2022で“外へ動く”可能性が増えた=昆虫等)
    • 1905
      • 1905.31:スイートビスケット、1905.32:ワッフル/ウエハー、1905.10/20/40/90:その他の類型
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組)
    • 1901.20(ミックス/生地) vs 1905(焼成済みベーカリー製品)
      • どこで分かれるか:未加熱の生地・ドウか、焼成・加熱済み製品
        例:未調理ピザは1901.20寄り、事前に生地を加熱したものや完成ピザは1905寄りの考え方が示されています。
      • 判断に必要な情報:製造工程(焼成の有無)、輸入形態(冷凍/冷蔵/常温)、商品写真、商品規格書
      • 典型的な誤り:「ピザ=1905」と決め打ちして、生地段階を見落とす
    • 1901(粉・穀粉調製品) vs 2106(その他の調製食料品)
      • どこで分かれるか:日本実務の一例として、砂糖その他甘味料が70%以下→1901、70%超→2106という取り扱い基準が示されています。
      • 判断に必要な情報:配合比(砂糖・甘味料の種類含む)、BOM、分析表
      • 典型的な誤り:粉末ミックスを全部1901に入れてしまう
    • 1904(穀物調製品) vs 2101(茶・コーヒー等の調製品)
      • どこで分かれるか:玄米茶は、玄米(花含む)が50%以上→1904、50%未満→2101という整理が示されています。
      • 判断に必要な情報:玄米と茶葉の配合比、商品名・表示、用途説明
      • 典型的な誤り:「お茶=2101」で固定してしまう
    • 1902.30(即席めん等) vs 1902.11/1902.19(未調理パスタ)
      • どこで分かれるか:即席めんは、調味料添付または味付け済みで、簡便な調理で食用、かつ冷凍・冷蔵ではない等の条件で概念整理されています。
      • 判断に必要な情報:調味料の添付有無、保存形態(常温/冷凍/冷蔵)、調理方法、製品仕様
      • 典型的な誤り:乾麺=全部「未調理パスタ」側に寄せる
    • 1904(穀物調製品) vs 1806(ココア調製品)
      • どこで分かれるか:1904はココア6%超(完全脱脂換算)やチョコ等で完全被覆を除外し1806へ。
      • 判断に必要な情報:ココア分析(完全脱脂換算)、被覆の状態(全体被覆か)、原材料表
      • 典型的な誤り:シリアルバーを見た目で1904に入れる

3. 部注と類注の詳細解釈 条文から実務的な意味

3-1. 関連する部注 Section Notes

  • ポイント要約:
    • 第IV部の部注として、用語「pellets(ペレット)」の定義(結着剤3%以下等)が置かれています。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第19類そのものは主に粉・焼成品が中心ですが、**第23類(飼料等)**側で「ペレット」の概念が効く場面があります。第19類の除外(動物飼料用ビスケット→2309)に落ちた後、2309内で形態がペレットか否かが論点になる可能性があります。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第19類→2309へ飛ぶ(動物飼料用に特に調製したビスケット等)

3-2. この類の類注 Chapter Notes

  • ポイント要約:
    • 注1:除外(20%肉等、動物飼料用ビスケット、医薬品)
    • 注2:1901の「ひき割り(groats)」「粉(flour/meal)」の定義(特定の植物粉は除外)
    • 注3:1904の除外(ココア6%超、チョコ等で完全被覆 → 1806)
    • 注4:1904の「その他の調製」の意味(第10類/第11類の加工度を超える)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「その他の調製をしたもの」(1904)=第10類または第11類で想定する加工度を超える調製・加工。
    • ココア含有量(注3、及び1901の見出し文言)について、日本税関解説ではテオブロミン+カフェインの合計×31で算定する旨が示されています(実務上、分析・算定方法の確認が重要)。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 肉・魚介・昆虫等20%超(※1902詰物パスタ除く)→ 第16類
    • 動物飼料用ビスケット等 → 2309
    • 医薬品等 → 第30類
    • 1904のココア6%超・完全被覆 → 1806
    • 1901のココア閾値超(40%/5%)→ 1806(解説で明示)

4. 類注が分類に与える影響 どこでコードが変わるか

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:肉・魚介・昆虫等の20%ルールで第16類へ飛ぶ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 肉、くず肉、血、魚、甲殻類、軟体動物、その他水棲無脊椎動物、昆虫類の合計重量比
      • 詰物パスタ(1902.20)か否か(例外)
    • 現場で集める証憑:
      • レシピ(配合表)、BOM、原材料規格書、分析表、製造工程図、商品写真
    • 誤分類の典型:
      • ミートパイ/肉入り菓子パン等を、見た目で1905に入れる(実際は肉等比率次第で16類へ)
  • 影響ポイント2:ココア閾値・完全脱脂換算・被覆の有無で1806へ飛ぶ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 1901:完全脱脂ココア換算で40%未満(粉系)/5%未満(乳系)か
      • 1904:完全脱脂ココア換算で6%超か、1806のチョコ等で完全に覆われている
      • ココア算定方法(日本税関解説:テオブロミン+カフェイン×31)
    • 現場で集める証憑:
      • 成分表、分析成績書(ココア換算根拠がわかるもの)、原材料表、被覆状態が分かる写真
    • 誤分類の典型:
      • チョコがけシリアル・バーを1904にしてしまう(注3で1806へ)
  • 影響ポイント3:1904の「その他の調製」概念で、第10類/第11類との境界が動く
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 単なる製粉・圧ぺん等(第10/11類で想定)を超えて、前加熱調理・膨張・焙焼・調味付けなどがあるか
    • 現場で集める証憑:
      • 製造工程(加熱・乾燥条件)、規格書、用途説明(朝食用等)
    • 誤分類の典型:
      • 「穀物=第10類」と早合点し、プレクック米・朝食用シリアルを見落とす

5. 分類でよくある間違い 原因→対策

  1. 間違い:ピザを全部1905にしてしまう
    • なぜ起きる:品名が「ピザ」だと焼成品のイメージが強い
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):未調理(未加熱)のピザ生地段階は、ミックス・生地(1901.20)側で検討し、焼成済みは1905側で検討する整理が示されています。
    • 予防策:工程(焼成の有無)、輸入時の状態(冷凍/常温)、写真、商品説明書を必ず回収
  2. 間違い:チョコがけシリアル/シリアルバーを1904に入れる
    • なぜ起きる:主原料が穀物=1904と思い込み
    • 正しい考え方:1904は、ココア6%超(完全脱脂換算)や1806チョコ等で完全被覆したものを除外し、1806へ飛ぶ注があります。
    • 予防策:被覆状態の写真、配合比、ココア算定根拠(分析)を事前に取得
  3. 間違い:肉入りの菓子パン/パイを1905に固定
    • なぜ起きる:「パン・パイ=1905」の固定観念
    • 正しい考え方:肉・魚介・昆虫等が合計20%超なら、原則第16類へ(ただし詰物パスタ1902は例外)。
    • 予防策:肉等の含有量(重量比)をBOMで明確化、詰物パスタ例外の該当性も確認
  4. 間違い:粉末ミックス(甘味料多)を全部1901に入れる
    • なぜ起きる:「粉=1901」の短絡、砂糖割合の確認不足
    • 正しい考え方:日本実務の一例として、砂糖その他甘味料が70%超なら2106側になる基準が示されています。
    • 予防策:甘味料の総量(種類も含む)を配合表で管理し、判断基準に照らす
  5. 間違い:即席めんを「乾麺=未調理パスタ」側(1902.11/1902.19)に寄せる
    • なぜ起きる:形状が麺で同じ、調味料添付の意味を軽視
    • 正しい考え方:即席めんは、調味料添付/味付け、簡便な調理で食用、冷凍・冷蔵でない等の条件で概念整理されています(1902.30の範囲理解が重要)。
    • 予防策:調味料の有無、保存温度帯、調理手順を商品仕様書で明確化
  6. 間違い:玄米茶を「茶=2101」で固定
    • なぜ起きる:販売上のカテゴリー(お茶)で分類してしまう
    • 正しい考え方:玄米(花含む)が50%以上なら1904、50%未満なら2101という整理が示されています。
    • 予防策:配合比(玄米・茶葉)を取得し、「本質的特性」を説明できる資料を準備
  7. 間違い:焙煎麦(麦茶原料)を無条件に「コーヒー代用物(2101)」へ
    • なぜ起きる:焙煎穀物=コーヒー代用物と思い込み
    • 正しい考え方:ティーバッグ入り等「コーヒー代用物」としての明確性がある場合に2101寄りになり、バルクは19類寄りという整理が示されています。
    • 予防策:包装形態(ティーバッグ/バルク)、表示(用途)、販売形態の資料を確保
  8. 間違い:ココア含有量を「原材料表示」だけで判断
    • なぜ起きる:完全脱脂換算や算定方法の理解不足
    • 正しい考え方:日本税関解説では、テオブロミン+カフェイン×31でココア換算する旨が示されています(分析が必要な場面あり)。
    • 予防策:ココア換算の算定根拠(分析成績書、算定式)を用意

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR 品目別規則 の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。第19類は、同じ「食品」でも1901/1904/1905/2106などでPSRが変わりやすく、誤分類=誤った原産性判断になりがちです。
  • よくある落とし穴
    • 最終製品は第19類でも、材料(砂糖・乳製品・ココア等)のHSが別章になり、CTC判定が変わる
    • 「調製の程度」や「本質的特性」の説明不足で、HSがぶれてPSRが揺れる

6-2. 協定が参照するHS版の違い HS2012/2017/2022のズレ

  • CPTPP
    • PSRはHS2012で最終化された旨がガイドで示されています。
  • RCEP
    • 品目別規則(Annex 3A)はHS2012に基づくと明記されています。
    • ただし、RCEPでは**HS2022へ技術的更新(transposed PSR)**した版を採択し、2023-01-01から適用する旨が公表されています(運用上、どの版を参照するか要確認)。
  • 日EU EPA
    • EU側情報では、日EU EPAの関税上の分類はHS2017コードを用いる旨が示されています(PSRも同じ版前提で確認するのが安全です)。
  • 日英EPA(UK-Japan CEPA)
    • 英国政府・JETRO資料で、PSRがHS2017に基づく旨が示されています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • まず**通関用(現行)**のHS(例:HS2022、かつ国内コード)を確定
    • 次に、協定参照HS版(HS2012/2017等)でPSRを引くために、WCO相関表や各当局の対応表で紐付ける
    • 相関が「ex(部分)」になる場合は、コードだけでなく品名・範囲で一致させる(安易な機械変換は危険)

6-3. 実務チェック 原産性判断に必要なデータ

  • 必須データ
    • 材料表(BOM/レシピ)、原価、工程(加熱・焙焼・乾燥等)、原産国、非原産材料のHS(協定参照版で)
    • ココア・乳・砂糖の含有比率(第19類は境界が比率で動きやすい)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 供給者宣誓、製造工程説明、成分表、インボイス・B/L等、協定に沿った保存(社内規程化推奨)
    • HS版ズレの説明資料(相関表、技術的更新資料)を添付できるようにする

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い 違うことになった根拠

7-1. 変更点サマリー

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更1901.90(ex)ヨーグルトに穀物・ベーカリー製品等を加えたものが、乳製品側の新サブヘディング(0403.20)へ移る等により、1901.90の範囲が狭くなった旨が相関表で示されています。乳系+穀物入り製品を1901.90と決め打ちすると誤りになり得る。
HS2017→HS2022範囲変更1901.90(ex)、1904.90(ex)昆虫を20%超含む調製品が第16類側へ移る等で、1901.90/1904.90の範囲が狭くなる旨が相関表で示されています。“昆虫入りシリアル”など新商品で分類が動く。肉等20%ルールの対象に「昆虫」が明記される点に注意。
HS2017→HS2022文言修正・明確化(関連類注)第18類注(影響は1902にも)HS2017では第18類注が1902を除外しておらず、ココア含有パスタが18類・19類どちらにも分類し得る状態があったが、HS2022で第18類注に1902を除外する旨を規定して明確化した、という趣旨の説明が示されています。ココア含有パスタ等の境界で、章間の優先関係が明確化。

7-2. 違うことになった根拠

  • 参照した根拠資料
    • WCOのHS2017↔HS2022相関表(Table I)で、1901.90や1904.90の範囲が「ex(部分)」扱いとなり、ヨーグルト関連の移動や昆虫関連の移動により範囲が狭くなった旨が説明されています。
    • HS2022の第19類注(条文)では、除外対象に「insects(昆虫)」が含まれています。
    • 日本税関のHS2022改正解説資料で、第18類注に1902を除外する規定を追加して分類の重複可能性を解消する趣旨が示されています。
  • どう判断したか(文章)
    • 相関表の「ex」は「同じ6桁でも範囲が一部だけ移った/範囲が変化した」ことを意味するため、HS2022では1901.90・1904.90の中身が一部外へ動いていると判断しました(ヨーグルト系、昆虫含有の調製品など)。
    • また、HS2022条文で第19類注の除外対象に昆虫が含まれるため、肉・魚介と同様に“20%超”判定が必要になる領域が拡張したと整理しました。
    • さらに、章間(第18類と第19類)の優先関係について、日本税関資料がHS2022での条文整備を説明しているため、ココア含有パスタ等の扱いが明確化されたと判断しました。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れ(第19類の大枠)
    • HS2007時点でも第19類は1901〜1905の構成で、注(20%肉等、1904のココア6%除外等)も同様の枠組みで掲載されています。
    • HS2022でも同じく1901〜1905の構成です。
  • 主要な追加・削除・再編(可能な範囲)
    • HS2007→HS2022で、見出し構成(1901〜1905)は維持されつつ、HS2022では相関表が示す通り1901.90/1904.90の範囲が一部変更(ヨーグルト系の移動、昆虫関連の移動)となっています。
  • 旧コード→新コード(代表的な“行き先”)
    • 1901.90(2017の一部)→ 0403.20(2022の新サブヘディング側へ)という移動が示されています(ヨーグルト関連)。
    • 昆虫20%超含有の調製品:1901.90/1904.90等の一部 → 1602.90(第16類)へ移る旨が示されています。
  • 補足
    • HS2012/2017の第19類内の細かな変遷(6桁単位)は、案件ごとにWCO相関表での確認が安全です(“ex”の有無が重要)。

9. 類注違反による通関トラブル 想定事例

  • 事例名:肉入りパイを1905で申告してしまう
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第19類注1(a)(肉等20%超は第16類へ)
    • 起きやすい状況:商品名が「パイ」「パン」で、肉の比率(重量)が把握できていない
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、納期遅延(一般論)
    • 予防策:配合表で肉等比率を確定し、境界品は事前教示を検討
  • 事例名:チョコがけシリアルバーを1904で申告
    • 誤りの内容:第19類注3(ココア6%超・完全被覆は除外)
    • 起きやすい状況:主原料が穀物で「シリアル」と認識、被覆やココア換算を未確認
    • 典型的な影響:コード変更、税率差による追徴、表示・規制確認のやり直し
    • 予防策:被覆写真、配合比、ココア分析(完全脱脂換算)を準備
  • 事例名:甘味料比率が高い粉末ミックスを1901で申告
    • 誤りの内容:1901と2106の境界(甘味料70%超の扱い)
    • 起きやすい状況:BOMが輸出者側でブラックボックス、糖アルコール等の扱いを見落とす
    • 典型的な影響:統計・関税・原産地PSRへの影響、差戻し
    • 予防策:甘味料総量(種類含む)を取得し、基準に当てはめる
  • 事例名:玄米茶を2101固定で申告
    • 誤りの内容:本質的特性(玄米割合)に基づく取り扱いを見落とす
    • 起きやすい状況:社内カテゴリが「茶」だけで管理
    • 典型的な影響:HS差異によりPSR・関税率・統計が変わる
    • 予防策:配合比と説明資料(仕様書、配合表)を整備

10. 輸出入規制事項 コンプライアンス観点

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 食品衛生法に基づく輸入届出:販売・営業用の食品等を輸入する場合、検疫所に輸入届出が必要で、届出なしでは販売・営業使用できない旨が示されています。
    • 動物検疫(該当する場合)
      • 乳・乳製品が含まれる(1901など)場合、動物検疫所による乳製品の検疫が必要になるケースがあります(輸入検査申請、証明書提出等)。
    • 植物検疫(該当する場合)
      • 植物由来品でも、高度に加工され病害虫付着のおそれがない加工品等は植物検疫の対象外になり得る旨が示されています。加工度・形態によるため、案件ごとに植物防疫所情報で確認が必要です。
    • その他
      • 食品表示・アレルゲン表示などは国内流通段階で別途要件が発生し得ます(本資料では一般論に留めます)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
    • 厚生労働省(輸入食品監視・食品等輸入手続)
    • 農林水産省 動物検疫所(乳製品)
    • 農林水産省 植物防疫所(植物検疫の要否)
  • 実務での準備物(一般論)
    • 原材料表、製造工程、成分規格、衛生証明書(必要な場合)、検査成績書(必要な場合)、ラベル案、写真

11. 実務チェックリスト 分類→通関→原産地→規制

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原材料一覧+配合比(重量%)、肉・魚介・昆虫等の比率、ココア換算根拠、砂糖/甘味料比率
    • 加工工程(焼成・焙焼・膨張・前加熱調理・乾燥)、最終形態(粉・粒・フレーク・めん・パン)
    • 包装形態(ティーバッグ、調味料添付、乳幼児用小売包装)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注1:肉等20%超か(詰物パスタ例外の該当性含む)
    • 注3:1904のココア6%・被覆要件
    • 1901と2106の境界(甘味料比率、用途)
    • 玄米茶など混合品は本質的特性(割合)を説明できるか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に「pasta」「baking mix」「breakfast cereal」等の機能・形態を反映
    • 仕様書・カタログ・写真を添付可能に(境界品ほど重要)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定参照HS版(CPTPP/RCEP=HS2012、日EU/日英=HS2017等)を確認し、相関表で整合
    • BOM、原価、工程証憑、サプライヤー宣誓の保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品衛生法の輸入届出(検疫所)
    • 乳製品があれば動物検疫所(MAFF)
    • 植物検疫の要否(加工度で対象外になり得るが、必ず確認)

12. 参考資料 出典

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • HS Nomenclature 2022 Chapter 19(条文:注・見出し) (参照日:2026-02-16)
    • HS Nomenclature 2022 Section IV Note(pellets定義) (参照日:2026-02-16)
    • Correlation Tables HS 2017–2022 Table I(1901.90/1904.90の範囲変更等) (参照日:2026-02-16)
    • HS Nomenclature 2007 Chapter 19(旧版の構成確認) (参照日:2026-02-16)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関「関税率表解説」第19類(ココア換算等の実務的説明) (参照日:2026-02-16)
    • 税関「分類例規」第19類(砂糖比率70%、即席めん、玄米茶等の取扱い) (参照日:2026-02-16)
    • 税関 HS2022改正解説資料(第18類注の明確化等) (参照日:2026-02-16)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • CPTPP:PSRがHS2012で最終化された旨(ガイド) (参照日:2026-02-16)
    • RCEP:Annex 3AがHS2012に基づく旨、およびHS2022へ技術的更新されたPSRの適用(公表資料) (参照日:2026-02-16)
    • 日EU EPA:HS2017コード利用(EU Access2Markets) (参照日:2026-02-16)
    • 日英EPA(UK-Japan CEPA):PSRがHS2017基準(英国政府・JETRO) (参照日:2026-02-16)
    • 日本税関:協定により参照HS版が異なる旨(注意喚起) (参照日:2026-02-16)
  • 規制(輸入手続)
    • 厚生労働省:食品衛生法に基づく輸入手続・輸入届出 (参照日:2026-02-16)
    • 農林水産省 動物検疫所:乳製品の検疫 (参照日:2026-02-16)
    • 農林水産省 植物防疫所:植物検疫の対象外となる加工品の考え方 (参照日:2026-02-16)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。