EUが2026年版Combined Nomenclature(CN)を公布:企業実務で押さえるべき変更点と対応手順


EUが2026年版Combined Nomenclature(CN)を公布:企業実務で押さえるべき変更点と対応手順

EU(欧州連合)は、EU域内で輸入・輸出の申告や統計に使う品目分類表であるCombined Nomenclature(CN)の2026年版を公布しました。適用開始は2026年1月1日です。

CNは関税率の判定や各種EU政策の適用判断の入口になるため、改訂幅が小さく見えても、マスタ更新漏れがあると通関遅延やコスト増につながります。

1. Combined Nomenclature(CN)とは何か

CNは、EUの共通関税率表とEUの対外貿易統計の両方の要件を満たすための品目分類です。世界共通のHS(Harmonized System)をベースにしつつ、EU独自の細分(追加の区分)を付けて、より具体的に分類できるようにしたものです。

基本的には8桁で運用され、EUの輸入・輸出申告や域内統計(Intrastat)で使用されます。実務的には、CNコードが次のような判断を左右します。

  • どの関税率が適用されるか
  • 統計上どう扱われるか
  • 各種EU政策(通商措置、輸入規制など)の対象かどうか

2. 2026年版CNの公布:決定事項のまとめ

今回の2026年版CNは、欧州委員会の実施規則として以下の通り公表されました。

  • 法令名:Commission Implementing Regulation (EU) 2025/1926
  • 採択日:2025年9月22日
  • 官報掲載:2025年10月31日(EU Official Journal L系列)
  • 適用開始:2026年1月1日

CNは毎年更新され、基本規則である理事会規則(EEC)2658/87の別表(Annex I)が差し替えられる形で最新版が示されます。

3. 2026年版CN:主な変更の方向性

欧州委員会の案内では、CNの近代化の観点から、特定品目のモニタリング(把握)をしやすくするための新しい区分の導入が示されています。特にエネルギー転換や先端製造に関わる品目が例示されており、該当する企業は分類見直しの優先度が高い領域です。

公表情報で例として挙げられている新設区分(コード帯)は次のとおりです。

分類領域主な品目例
電池材料関連リチウムニッケルマンガンコバルト酸化物、リン酸鉄リチウムなど
太陽光・炭素材料人造黒鉛、太陽電池用ウェハーなど
風力・水力関連風力発電用タワー、ブレード、水力タービン用ローター・ステーターなど
水素・電力変換水素燃料電池、最大電力点追従機能(MPPT)付きインバータなど
化学品特定の芳香族エーテル、飽和脂肪族モノカルボン酸の誘導体など

4. 企業にとっての実務インパクト

影響が出やすい場面として、主に以下の3点が挙げられます。

  1. 輸出品の該当:EU向け輸出品が、上記のような新設・細分領域に該当する場合。
  2. 取引先との整合:EU側輸入者がCN更新に合わせてマスタ更新を進める中で、コード不一致が起きる場合。
  3. 規制対応:EUの通商措置や環境規制(CBAM等)がCNコードで指定されている場合。

旧コードのまま出荷すると、EU側で通関エラーが発生したり、関税率や統計単位の取り違えによるコスト増を招いたりするトラブルが想定されます。

5. いま取るべき対応チェックリスト

適用開始が2026年1月1日に迫っているため、早急に以下のステップを確認してください。

  • 影響範囲の一次スクリーニング自社品目のうち、電池、風力、太陽光、水素、先端化学品などに該当するものを抽出します。
  • 旧版と新版の差分確認各国当局が提供する対応表を活用し、変更されたコードの洗い出しを行います。スペイン税務当局(Agencia Tributaria)などが詳細な比較ファイルを案内しています。
  • マスタ更新と周辺文書の整備製品税番マスタ、HS/CN変換テーブル、インボイス、原産地関連資料を更新します。
  • 取引先とのすり合わせEU側の輸入者や通関業者と、2026年1月以降に使用するコードを事前に確認し合います。
  • 解釈の裏付け判断に迷う品目はCN Explanatory Notes(解説注)を参照してください。法的拘束力はありませんが、重要な判断材料になります。

まとめ

2026年版CNは、2026年1月1日から一斉に適用されます。特にグリーン・デジタル分野での細分化が進んでおり、該当企業の現場負荷は例年以上に高くなることが予想されます。

年末年始の出荷に向けて、早めの準備と取引先との連携がスムーズな通関の鍵となります。


免責事項:本稿は一般情報の提供を目的としたものです。個別品目の分類は、製品の仕様や用途によって結論が変わるため、最終的な判断は当局の公式判断や専門家の見解を仰いでください。