HS2022 第34類:せっけん、有機界面活性剤、洗剤、調製潤滑剤、人造ろう、調製ろう、磨き剤、ろうそくその他これに類する物品、モデリングペースト、歯科用ワックス及びプラスターをもととした歯科用の調製品(Soap, organic surface-active agents…)

用語の統一(本資料内):類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 固形せっけん(トイレ用・洗濯用など):3401(例:固形石けん、洗濯石けん)
    • 液体・クリーム状で小売りの皮膚洗浄剤(ハンドソープ等):3401.30
    • 台所用・住居用などの洗浄/清掃用調製品:3402(例:食器用洗剤、浴室用洗剤)
    • 調製潤滑剤(切削油、グリース、防錆・離型など潤滑を基礎とするもの):3403
    • ポリッシュ/クレンザー等の磨き剤・研磨剤(ワックス3404を除く):3405
    • ろうそく:3406、モデリングペースト/歯科用ワックス等:3407
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • シャンプー/歯磨き/シェービング剤/入浴剤(せっけん等を含んでいても) → 第33類(33.05〜33.07)
    • 化学的に単一の化合物(“単体の化学品”) → 原則:第28類・第29類側で検討(第34類注で除外)
    • 食用の油脂の混合物で離型用に用いる種類のもの → 第15類 1517
    • 鉱物ろう(パラフィン等) → 第27類 2712(“鉱物ろう”)
    • 殺虫・消毒など(主目的が防除等)の製剤 → 多くは第38類(例:3808)側で検討(表示・主目的が鍵)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 3401(せっけん/皮膚洗浄)か 3402(その他の洗浄・清掃)か:用途(皮膚用か)、形状(固形/液体)、小売り形態がカギ
    2. “界面活性剤(3402)”として扱えるか:注の試験条件(0.5%水溶液・表面張力など)を満たすかが論点になることがあります
    3. 3402の号の並びがHS2022で変わった:協定PSRや社内マスターの旧コード(3402.11等)を新コード(3402.31等)へ置換する必要が出ます
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • FTA/EPAでPSR検索に使うHS版を誤る(協定HSと申告HSのズレ)
    • 潤滑剤・溶剤・アルコール等で危険物(消防法)やSDS提供が絡み、書類不備で止まりやすい

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(見出し+注が最優先):第34類は注(特に「除外」「定義」)が強く、まず注で“入る/入らない”を固めます(例:33類へ飛ぶ除外、せっけんの定義、界面活性剤の定義)。
    • GIR6(6桁の分岐):3401の「トイレ用/その他」、3402の「アニオン/カチオン/非イオン」等。
    • GIR3(b)(セット):2液混合型の研磨剤・洗浄剤など“混ぜて使うセット”は、部注(Section VI注3)の条件に合えば完成品の見出しで整理しやすいです。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 用途(皮膚用か/住居用か/工業用か/潤滑目的か)
    • 形状・包装(固形バー、粉、液、含浸不織布、小売包装)
    • 成分(単体化学品か、混合物か、石油油分の比率など):3403は“石油油が70%以上を基礎成分とするもの”を除外する設計です。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:第34類に“入らない”除外に当たらないか?
    • シャンプー/歯磨き/シェービング/入浴剤 → 33類へ
    • 単一化合物 → 28/29類側へ
  • Step2:せっけん・皮膚洗浄(3401)か?
    • 固形のせっけん(バー等)/皮膚洗浄の液体・クリーム(小売)/洗剤含浸紙・不織布 → 3401
  • Step3:洗浄・清掃用調製品(3402)か?
    • 3401以外の洗浄剤・清掃剤・界面活性剤(注の定義を満たすかも確認)→ 3402
  • Step4:潤滑・離型・防錆など“潤滑を基礎”にする調製品(3403)か?
    • 切削油、ボルト外し、離型、防錆、繊維・皮革の油脂処理など → 3403(ただし石油油70%以上基礎成分は除外)
  • Step5:ろう(3404)か、磨き剤(3405)か、ろうそく(3406)か、工作・歯科(3407)か?
    • 人造ろう・調製ろう → 3404(注の定義・除外が重要)
    • 研磨(クレンザー)・靴/床/家具用ポリッシュ → 3405
    • ろうそく → 3406、モデリングペースト・歯科用ワックス等 → 3407
  • よく迷う境界:
    • 33類(シャンプー等) vs 34類(せっけん・洗剤)
    • 3401(皮膚洗浄の小売液体) vs 3402(住居・台所などの洗浄)
    • 3401(研磨粉入りでも“バー形状”なら残る) vs 3405(粉・ペーストのクレンザー)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
3401せっけん、石けんとして使用する界面活性製品(バー等)、皮膚洗浄用の液体/クリーム(小売)、洗剤含浸の紙・不織布等固形石けん、洗濯石けん、液体ハンドソープ、洗剤含浸ワイプ「せっけん」は水溶性に限る。研磨粉入りでもバー/成形品なら3401に残るが、粉・ペーストなら3405へ。
3402せっけん以外の有機界面活性剤、界面活性調製品、洗浄剤・清掃剤(3401以外)食器用洗剤、住居用洗剤、工業用界面活性剤(原料)有機界面活性剤の定義は注に試験条件あり(0.5%水溶液・表面張力等)。HS2022で6桁構成が変更(3402.31等)。
3403調製潤滑剤(切削油、離型、防錆等を含む)・繊維等の油脂処理用調製品切削油、グリース、離型剤、防錆スプレー石油油70%以上を基礎成分とするものは除外(別章検討)。日本の分類例規で「グリース」定義(JISのちょう度等)に触れる例あり。
3404人造ろう・調製ろうPEG系ワックス、ワックス混合品、樹脂や鉱物粉を含む調製ワックス注で「ワックス」の範囲と除外(15.21、27.12、液媒体に分散したワックス等)を規定。
3405靴・床・家具等のポリッシュ/研磨ペースト・粉/類似品(3404除く)靴クリーム、床用ワックス(磨き剤側のもの)、クレンザー3401の注2の“研磨粉入りの扱い”が重要(バー形状を外れると3405へ)。
3406ろうそく、ろうそく芯つきの類似品キャンドル、テーパー香り付きでも基本は3406(ただし“他の本体”が主なら別分類も)。
3407モデリングペースト、歯科用ワックス・印象材、石こう基材の歯科用調製品工作用粘土、歯科用ワックス、印象材、石こう系歯科材歯科用途でセット/小売包装の形態条件が出やすい。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(よく効く軸)
    • 3401(石けん/皮膚洗浄):トイレ用(3401.11)かその他(3401.19)か/固形以外の石けん(3401.20)か/皮膚洗浄の液体・クリーム(3401.30)か
    • 3402(洗浄・清掃/界面活性剤):アニオン(3402.31/3402.39)・カチオン(3402.41)・非イオン(3402.42)等/小売用調製品(3402.50)/その他(3402.90)
    • 3403(潤滑):石油油を含むか、用途(繊維・皮革処理用か)などで分岐
    • 3405(研磨):用途(靴/木製家具/車体/研磨粉)で枝分かれ
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 3401.30(皮膚洗浄の液体/クリーム・小売) vs 3402.50(小売用の洗浄/清掃調製品)
      • どこで分かれるか:“洗う対象が皮膚か(toilet/skin washing)”、小売形態か。
      • 判断に必要な情報:用途表示、販売チャネル、製品説明(手肌/ボディ用か、キッチン/住居用か)、容器表示写真
      • 典型的な誤り:「液体=洗剤=3402」と短絡(ハンドソープは3401.30側に寄ります)。
    2. 3401(研磨粉入り石けん) vs 3405.40(研磨ペースト/粉=クレンザー)
      • どこで分かれるか:研磨粉入りでもバー/ケーキ/成形品なら3401に残り得るが、粉・ペースト形状は3405
      • 判断に必要な情報:形状、包装(固形成形か)、研磨材の有無、用途
      • 典型的な誤り:研磨粉入りを一律3405にする/逆に粉クレンザーを3401にする。
    3. 3402(界面活性剤) vs 第29類(単一化合物)
      • どこで分かれるか:第34類注で化学的に単一の化合物は除外。ただし実務上、界面活性剤は“同族体の混合”になっていることが多く、成分の作り(単体か混合か)の確認が必要です。
      • 判断に必要な情報:SDS(成分が単一か/混合か)、CAS、規格書(炭素鎖分布など)
      • 典型的な誤り:界面活性剤=必ず3402、と決め打ち。
    4. 3403.19(石油油等を含む潤滑)に関する“グリース”の扱い(国内運用)
      • どこで分かれるか:日本の分類例規では、グリースをJIS試験(ちょう度等)で説明する例があり、液状潤滑剤と混同しやすいです。
      • 判断に必要な情報:基油の種類、増ちょう剤(石けん等)有無、ちょう度(JIS K2220)等、用途
      • 典型的な誤り:名称だけで「油=27類」「グリース=一律3403」とする。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • Section VI注3:2つ以上の成分を混ぜて最終製品を得るセットは、条件を満たせば“最終製品の見出し”で分類します(例:混合して使う洗浄剤・研磨剤のキット)。
    • Section VI注2:小売・定量包装で特定見出しに該当するものは当該見出しに固定されますが、列挙対象は主に33類等で、34類は直接は入っていません(ただし34類注の除外とセットで理解すると混乱が減ります)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:2液混合型の研磨ペーストセット
      • セット要件(同梱・補完関係など)を満たすなら、完成品(3405等)側で整理しやすいです。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 例:せっけん成分を含む製品でも、**シャンプー等(33類)**は第34類注で除外されます(34類注1(c))。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1:食用離型用油脂(15.17)、単一化合物、シャンプー等(33.05〜33.07)を除外
    • 注2:3401の「せっけん」=水溶性のせっけんに限る。研磨粉入りは“バー等の成形品”のみ3401、それ以外は3405へ
    • 注3:3402の「有機界面活性剤」=0.5%水溶液(20℃)で1時間放置などの条件と、表面張力(45 dyne/cm以下)等の基準
    • 注5:3404の「人造ろう・調製ろう」の定義と、除外(15.21、27.12、液媒体中のワックス等)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「有機界面活性剤」(3402):上記の試験条件・表面張力の基準が定義として効きます。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • シャンプー等 → 33.05〜33.07
    • 鉱物ろう → 27.12、動植物ろう(単体)→ 15.21 など(3404注の除外)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:注2(3401)で、研磨粉入り石けんが 3401↔3405 に割れる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):研磨材の有無、形状(バー/成形か、粉/ペーストか)、用途表示
    • 現場で集める証憑:現品写真(形状・成形)、仕様書、成分表
    • 誤分類の典型:粉クレンザーを“せっけん扱い”で3401にしてしまう。
  • 影響ポイント2:注3(3402)で、“界面活性剤扱いできるか”が論点になる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):0.5%水溶液での状態(透明/安定乳化等)と表面張力基準に合うか
    • 現場で集める証憑:SDS、規格書(界面活性の試験データがあると強い)、用途資料
    • 誤分類の典型:「洗剤っぽい」だけで3402に寄せ、実は別章(単一化合物等)だった。
  • 影響ポイント3:注1(c)で、せっけん入りでも“化粧・トイレタリー”は33類へ飛ぶ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):製品がシャンプー・歯磨き・シェービング・入浴剤に該当するか
    • 現場で集める証憑:表示・用途、配合、販売形態
    • 誤分類の典型:「石けん入り=34類」と短絡。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:ハンドソープを3402.50にしてしまう
    • なぜ起きる:液体洗剤は全部3402という思い込み。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):皮膚洗浄用(液体/クリーム・小売)は3401.30の設計です。
    • 予防策(確認すべき資料/社内で聞くべき質問例):
      • 「洗う対象は皮膚?食器?住居?」を営業/企画に確認
      • 容器表示(用途)と商品説明ページを保存
  2. 間違い:シャンプーや入浴剤を“せっけん入りだから34類”にしてしまう
    • なぜ起きる:成分(soap)に引っ張られる。
    • 正しい考え方:第34類注で、これらは33.05〜33.07に除外されています。
    • 予防策:
      • 製品カテゴリ(シャンプー/浴用など)を先に確定
      • 33類の見出し(33.05〜33.07)も同時に確認
  3. 間違い:研磨粉入りの製品を一律3405にする(または一律3401にする)
    • なぜ起きる:注2(形状条件)を見落とす。
    • 正しい考え方:研磨粉入りでもバー/成形品なら3401に残り得て、粉・ペーストは3405へ。
    • 予防策:
      • 現品写真で形状を確認(粉/ペースト/成形)
      • “成形しているか”を製造に確認
  4. 間違い:界面活性剤原料(工業用)を、根拠なく3402に置く
    • なぜ起きる:用途が洗剤だから、という短絡。
    • 正しい考え方:34類注で単一化合物は除外。3402の定義(試験条件)も踏まえ、成分の“単体/混合”を確認します。
    • 予防策:
      • SDSで「単一物質か混合物か」を確認(CASが複数か等)
      • 同族体混合(炭素鎖分布)かどうかをメーカーに質問
  5. 間違い:潤滑剤を“石油製品だから27類”で処理してしまう(逆も)
    • なぜ起きる:基油だけで判断。
    • 正しい考え方:3403は“調製潤滑剤”の見出しで、用途・調製の実態で判断。一方、3403は石油油70%以上基礎成分のものを除外します。
    • 予防策:
      • 基油比率、添加剤、用途(切削・離型・防錆等)を仕様書で回収
      • 日本の分類例規(例:グリースの説明)も参照して整理
  6. 間違い:HS2022改正(3402の号変更)を反映せず、旧コードのままPSR・社内マスターを運用
    • なぜ起きる:見出し(4桁)は同じなので見落としやすい。
    • 正しい考え方:HS2022で3402の6桁体系が置換されました。
    • 予防策:
      • 旧→新対応表を社内に持ち、マスター更新(後述の7章・8章参照)
      • 協定の採用HS版でPSRを検索(税関注意書き)

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。特に第34類は3402の6桁構成が変わっているため、材料HS・最終品HSのどちらも“どのHS版で見ているか”がブレやすいです。
  • よくある落とし穴
    • 旧3402.11等のまま協定PSRを読んでしまう(HS2022では該当しない)
    • “洗浄剤”として一括で材料HSを置き、CTC(タリフジャンプ)検討が崩れる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 日本税関のPSR検索は、協定ごとに採用HS版が異なるため、採用版で検索すべきこと、ただし輸入申告は最新HSを使うことを明記しています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • WCO相関表(Correlation Table)で旧HS→新HSの対応を確認し、社内で根拠を残します(税関PSR検索も相関表参照を案内)。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 3402(界面活性剤)を材料に使う場合は、HS版差をまたぐので:
    • “協定のHS版での材料HS”と“申告HS(最新)”を対照表で管理
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 協定のガイダンス/税関ポータルの説明に沿って整備

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022分割/置換(号の再編)3402旧:3402.11〜3402.19、3402.20 → 新:3402.31(LAS等)/3402.39、3402.41〜3402.49、3402.50(小売)、3402.90へ置換旧コードの社内マスター・PSR参照・統計の突合で“コード不一致”が発生しやすい。変換表の整備が必須。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料:
    • WCOの相関表(HS2017→HS2022)Table Iにて、3402.11〜3402.19および3402.20を削除し、3402.31〜3402.50へ置換した旨が示されています。
    • HS2022の第34類本文に、3402.31(Linear alkylbenzene sulphonic acids and their salts)等の新しい号構成が明示されています。
  • 以上より、本資料では 「HS2017→HS2022で、第34類のうち3402のHS6桁体系が再編された」 と整理しています(他の3401/3403/3404/3405/3406/3407については、相関表Table Iに“範囲変更・新設としての記載”が見当たらないため、少なくともHS6桁の大改正は確認できません)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

版の比較主要な追加・削除・再編(第34類、HS6桁)旧コード→新コード(概要)
HS2002→HS2022(長期の見通し)3402の6桁が、旧体系(3402.11〜3402.20)から新体系(3402.31〜3402.50)へ再編旧:3402.11(アニオン)等/3402.20(小売) → 新:3402.31(特定のアニオン:LAS等)/3402.39、3402.50(小売)など
HS2017→HS2022上記のとおり 3402 の置換が主要点7章参照
  • 補足:
    • 2002版でも3402.11(アニオン)等の旧体系が確認でき、2022版では3402.31等に変わっています。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):ハンドソープを食器用洗剤扱いにしてしまった
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):3401(皮膚洗浄・小売)の設計を無視して3402.50で申告
    • 起きやすい状況:商品名に“ソープ/クリーン”などが混在、用途表示を見ていない
    • 典型的な影響:修正申告、税番根拠資料の追提出
    • 予防策:用途表示写真・製品説明を分類前に回収し、皮膚用かを先に確定
  • 事例名:研磨粉入り製品の形状を見落として3401↔3405を誤る
    • 誤りの内容:3401注2の“バー形状条件”を外しているのに3401で申告
    • 起きやすい状況:現品確認をせず、成分(せっけん)だけで判断
    • 典型的な影響:差戻し・補足説明、サンプル提出
    • 予防策:現品写真(粉/ペースト/成形)+仕様書で形状を立証
  • 事例名:シャンプー(石けん入り)を34類で申告
    • 誤りの内容:34類注1(c)の除外(33.05〜33.07)に抵触
    • 起きやすい状況:成分表の“soap”だけ見て判断
    • 典型的な影響:修正申告、規制(表示・区分)側の確認も巻き込む
    • 予防策:製品カテゴリ(シャンプー等)を先に確定し、33類も並行チェック
  • 事例名:HS2022の3402改正を反映せず旧コードで書類作成
    • 誤りの内容:3402.11等の旧HSをそのままインボイス・原産地関連書類に記載
    • 起きやすい状況:社内マスター未更新、協定PSRのHS版と申告HSの混同
    • 典型的な影響:照会、原産地手続のやり直し、通関遅延
    • 予防策:協定採用HS版でPSR確認+相関表で変換根拠を保存

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 一般の洗剤・潤滑剤は食品検疫の中心領域ではありませんが、家庭用品として流通する場合、別法令(表示・有害物質規制)の対象になり得ます(下記)。
  • その他の許認可・届出
    • 家庭用品品質表示(合成洗剤):消費者向けの合成洗剤は、品名や成分表示ルールが示されています(表示設計に影響)。
    • 有害物質を含有する家庭用品の規制(家庭用品規制法):対象物質群・規制の考え方が整理されています(対象製品の場合は該当確認が必要)。
    • 消防法(アルコール等):アルコール類は危険物として取扱い注意喚起が出ています(芳香・洗浄系で高濃度アルコール品は要注意)。
    • 化管法(PRTR/SDS):対象化学物質やそれを含有する製品を事業者間で譲渡・提供する際、SDS情報提供義務があり得ます。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 税関(分類・原産地)
    • 消費者庁(家庭用品品質表示)
    • 経産省(化管法SDS)
    • 消防庁(危険物・注意喚起)
    • 厚労省(家庭用品規制法の枠組み)
  • 実務での準備物(一般論):
    • SDS、成分表(含有率)、用途・表示案、製品写真、危険物該当性(引火点等)、BOM・原産国情報

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 用途(皮膚/台所/住居/工業/潤滑/歯科)
    • 形状(バー/粉/ペースト/液/含浸不織布/セット)
    • 成分(単一化合物か混合か、石油油比率、研磨材の有無)
    • 包装(小売か業務用か)、表示・説明書
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 34類注1(c)(シャンプー等は33類へ)
    • 34類注2(研磨粉入りの形状条件)
    • 34類注3(界面活性剤の定義)
    • 3403の70%石油油除外(該当なら別章再検討)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名は用途が分かるように(例:“liquid hand soap for skin washing”, “dishwashing detergent”, “lubricating grease”)
    • 形状・用途・成分が分かる資料(SDS、写真、カタログ)を添付できる状態に
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が採用するHS版でPSR検索(税関の注意書きどおり)
    • 3402はHS2022で号体系が変わるため、旧→新の対応根拠(相関表等)を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 消費者向け合成洗剤:表示(品名・成分等)
    • 危険物:高濃度アルコール等の取扱注意
    • 事業者間取引:化管法SDS提供の要否

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • HS2022 Chapter 34(注・号構成)(参照日:2026-02-20)
    • Section VI Notes(セット等)(参照日:2026-02-20)
    • WCO Correlation Tables(HS2017→HS2022、Table I)(参照日:2026-02-20)
    • HS2002 Chapter 34(旧体系の例:3402.11等)(参照日:2026-02-20)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関「関税率表解説(第34類)」(参照日:2026-02-20)
    • 税関「分類例規(第34類)」(参照日:2026-02-20)
    • 税関「品目別原産地規則(PSR)検索」注意事項(HS版差・最新HSで申告)(参照日:2026-02-20)
    • 税関「EPA・原産地規則ポータル」(参照日:2026-02-20)
  • 規制(日本)
    • 消費者庁:合成洗剤の表示(ガイド/規程)(参照日:2026-02-20)
    • 経産省:化管法SDS制度(対象事業者・制度概要)(参照日:2026-02-20)
    • 消防庁:消毒用アルコールの安全な取扱い(危険物)(参照日:2026-02-20)
    • 厚労省:家庭用品規制法に関する説明資料 (参照日:2026-02-20)

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

  • 国内実務はHS6桁に国内細分(統計品目番号:輸出入で9桁等)を使います。HS(6桁)と国内コードを混同しないでください。
  • 第34類はとくに3402のHS6桁がHS2022で置換されているため、国内細分の更新も含めて、社内マスター(商品・材料・BOM・原産地)を一括点検するのが安全です。

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • 迷う境界(例:3401↔3402、3401↔3405、3402↔29類、34類↔33類)がある場合、税関の公開資料(解説・例規)を当たり、重要取引は事前相談(一般論)を検討します。
  • 相談を早めるために揃えるもの(一般論):
    • 用途表示(ラベル・説明書)、現品写真(形状)、SDS、成分表(含有率)、工程・用途資料、想定HS候補と迷点

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第1類:生きた動物(Live animals)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 生きている馬(0101)、牛(0102)、豚(0103)、羊・山羊(0104) (wcoomd.org)
    • 生きている家きん(鶏・あひる・がちょう・七面鳥・ほろほろ鳥)(0105) (wcoomd.org)
    • その他の生きた動物(0106):霊長類、ラクダ、うさぎ、爬虫類、鳥類、**みつばち(0106.41)やその他昆虫(0106.49)**など (wcoomd.org)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 生きている魚・甲殻類・軟体動物・その他水棲無脊椎動物 → 第3類(例:0301、0306、0307、0308) (wcoomd.org)
    • 微生物の培養物など → 第30類 3002 (wcoomd.org)
    • 巡回サーカス・巡回動物園(移動動物園)に属する動物 → 第95類 9508 (wcoomd.org)
    • (実務で頻出の“そもそも生体ではない”例)肉(第2類)、動物の精液等(第5類など)、死体(第5類 0511 など)※ここは類注ではなく一般分類の注意点です。
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「生きている」か(生体):生体でなければ第1類ではありません。
    2. 生体でも 水棲(魚介類等)か否か:水棲は原則第3類へ。 (wcoomd.org)
    3. (該当する場合)**純粋種の繁殖用(pure-bred breeding)**か、豚の重量(50kg境界)家きんの185g境界で6桁が変わります。 (wcoomd.org)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 動物検疫(MAFF 動物検疫所)や輸入停止措置が絡む取引(家畜・家きん等)。手続・証明書不備と相まって、通関遅延や積戻しリスクが上がります。 (農林水産省)
    • CITES(ワシントン条約)対象種特定外来生物が絡む取引(許可・承認・持込可否に影響)。 (経済産業省)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR(例:GIR1/GIR6など):
    • **GIR1(見出しと注で決める)**が中心です。第1類は「どの動物群か」が見出し(項・号)に直結します。 (wcoomd.org)
    • **GIR6(6桁の分岐)**で、純粋種(繁殖用)・重量区分(豚)・185g区分(家きん)などを当てはめます。 (wcoomd.org)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 第1類は「材質」よりも、生体であること/分類対象が“動物そのもの”かが最優先です。
    • “用途”は通常は二次的ですが、**pure-bred breeding animals(純粋種繁殖用)**のように用途(繁殖用)と裏付け(血統・証明)がコードに影響する例があります。 (wcoomd.org)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:対象は「動物そのもの」か?(飼料・器具・精液・胚・肉などではないか)
  • Step2:生体か?(生体ならStep3へ/生体でないなら第1類から外れる可能性が高い)
  • Step3:生体なら、魚介類等の水棲無脊椎・魚類に該当しないかを確認
    • 該当するなら第3類(0301/0306/0307/0308)へ。 (wcoomd.org)
  • Step4:水棲除外に該当しない生体なら、動物群で項(4桁)を決定(0101〜0106)
  • Step5:号(6桁)で分岐(純粋種/重量/185g/動物群の細分類)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第1類 vs 第3類:「生体の魚介類」(第3類)か、それ以外の生体動物(第1類)か。 (wcoomd.org)
    • 第1類 vs 第95類:移動サーカス・移動動物園の動物は第1類から除外され得る点。 (wcoomd.org)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

(第1類は4桁見出しが少ないため全列挙します。) (wcoomd.org)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
0101生きている馬・ろば・らば・ヒニー競走馬、乗馬、繁殖馬、ろば、らば6桁で「馬(純粋種/その他)」「ろば」「その他(らば等)」に分岐。 (wcoomd.org)
0102生きている牛(bovine)乳用牛、肉用牛、繁殖牛、水牛6桁で「cattle」「buffalo」「その他の牛科」に分岐。純粋種(繁殖用)区分あり。 (wcoomd.org)
0103生きている豚種豚、子豚、肥育豚6桁で「純粋種繁殖用」or「その他」+その他は50kg境界で分岐。 (wcoomd.org)
0104生きている羊・山羊羊、山羊6桁は羊/山羊で分岐(シンプル)。 (wcoomd.org)
0105生きている家きん(鶏等)初生ひな、採卵鶏、ブロイラー、あひる、がちょう6桁で**185g以下(初生ひな相当)**とその他に大別。種類(鶏/七面鳥/あひる等)で分岐。 (wcoomd.org)
0106その他の生きた動物犬猫、サル、ラクダ、うさぎ、ヘビ、インコ、ダチョウ、みつばち、その他昆虫哺乳類/爬虫類/鳥類/昆虫/その他に分岐。**みつばち(0106.41)**など昆虫は専用号あり。 (wcoomd.org)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で効きやすいもの)
    • 純粋種の繁殖用(Pure-bred breeding animals)か否か(0101/0102/0103.10など) (wcoomd.org)
    • 重量(豚:50kg未満/以上) (wcoomd.org)
    • 雛の重量(家きん:185g以下/その他) (wcoomd.org)
    • 動物群(種・科・用途ではなく“見出しの範囲”)(例:牛= cattle / buffalo / other) (wcoomd.org)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 0103.91(50kg未満) vs 0103.92(50kg以上)
      • どこで分かれるか:輸入時点の個体重量(閾値50kg) (wcoomd.org)
      • 判断に必要な情報:出荷時体重表、輸送書類、獣医証明(体重記載があれば)、到着時計量記録
      • 典型的な誤り:平均体重で一括申告/実測の裏付けなし
    2. 0105(185g以下)グループ vs 0105(その他)グループ
      • どこで分かれるか:185g以下(初生ひな相当)かどうか (wcoomd.org)
      • 判断に必要な情報:孵化日(day-oldか)、梱包形態、出荷証明(重量レンジ)、品種(鶏/あひる等)
      • 典型的な誤り:「初生ひな」と品名にあるのに0105.94/0105.99側で申告(逆もあり)
    3. “Pure-bred breeding animals”系(例:0101.21/0101.29、0102.21/0102.29、0103.10/0103.91・92)
      • どこで分かれるか:純粋種としての血統・登録繁殖用の裏付け (wcoomd.org)
      • 判断に必要な情報:血統書、登録証、輸出国当局/公認機関の証明、売買契約(用途)、(日本の場合)税関が求める証明要件の確認
      • 典型的な誤り:「繁殖用だから純粋種」と自己判断(証明がない)
    4. 0106.41(みつばち)/0106.49(その他昆虫)/0106.90(その他)
      • どこで分かれるか:対象が昆虫か、昆虫ならみつばちか (wcoomd.org)
      • 判断に必要な情報:学名(属・種)、用途(受粉用等)、数量・梱包、検疫要否
      • 典型的な誤り:昆虫を一括して0106.90「その他」へ寄せる

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 部注(Section I)には、**「動物の若齢(幼獣・雛)も当該動物として扱う」**という趣旨の規定があります(文脈上不要な場合を除く)。 (wcoomd.org)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:子牛は0102、子豚は0103、は0105/0106(鳥類)という“動物群”の考え方がブレません。
      ただし、子豚は50kg境界、家きん雛は185g境界など、若齢ゆえに6桁分岐が重要になります。 (wcoomd.org)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第1類は「生体」が前提なので、加工・状態(乾燥等)で他章に飛ぶより、“そもそも生体でない”“水棲動物”・**“サーカス等の一体取扱い”**で他章になるケースが中心です(次の類注参照)。 (wcoomd.org)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第1類は原則「すべての生きた動物」を含みますが、次は明確に除外されます:
      1. 魚介類等(0301/0306/0307/0308)、2) 微生物培養物等(3002)、3) 9508の動物(移動サーカス等) (wcoomd.org)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 第1類の注そのものは定義より“除外”が中心です(実務上は各号の表現=動物群が定義的に働きます)。 (wcoomd.org)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 魚・甲殻類・軟体動物・その他水棲無脊椎動物 → 第3類(0301/0306/0307/0308) (wcoomd.org)
    • 微生物の培養物等 → 第30類 3002 (wcoomd.org)
    • 移動サーカス等の動物 → 第95類 9508 (wcoomd.org)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。

  • 影響ポイント1:水棲(第3類)へのジャンプ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 対象が魚類か、甲殻類/軟体動物/その他水棲無脊椎か(学名・分類群)
      • 生体の状態(生きたまま輸送か)
    • 現場で集める証憑:
      • 学名入り仕様書・カタログ、輸出国の検疫/衛生証明、写真(形態が分かるもの)
    • 誤分類の典型:
      • 生きたエビ・カニ・貝を「その他の生きた動物(0106)」に入れてしまう(実際は第3類へ)。 (wcoomd.org)
  • 影響ポイント2:移動サーカス等(9508)へのジャンプ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 取引実態が「動物単体」か「巡回サーカス/巡回動物園としての一体(ショー・興行)取扱い」か
    • 現場で集める証憑:
      • 契約書(興行・展示の契約形態)、インボイス記載(“travelling circus/menagerie” 等)、輸送単位(機材一式か)
    • 誤分類の典型:
      • “サーカス用の動物”を単体物品として0106にしてしまい、9508の射程を検討しない。 (wcoomd.org)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:生体なのに「肉(第2類)」や「食用内臓」系で検討してしまう
    • なぜ起きる:品名に「食用」「食肉用」など用途が入っている
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第1類は“生体”が対象。用途ではなく状態(生きているか)を先に確定します。 (wcoomd.org)
    • 予防策:写真(生体輸送形態)、獣医証明、輸送温度帯(生体輸送か)を収集
  2. 間違い:生きた魚介類を0106(その他の生きた動物)に入れる
    • なぜ起きる:「魚以外なら0106」と短絡する
    • 正しい考え方:類注で魚介類等は第3類に除外(0301/0306/0307/0308)。 (wcoomd.org)
    • 予防策:学名・分類群の確認、社内で「水棲無脊椎か?」を必ず質問
  3. 間違い:豚の0103.91/0103.92を体重確認なしで決める
    • なぜ起きる:出荷ロットが均一だと思い込む/体重証憑を取っていない
    • 正しい考え方:0103は50kg境界で6桁が明確に分岐。 (wcoomd.org)
    • 予防策:出荷時体重リスト・到着時計量の運用を標準化
  4. 間違い:家きんの雛(初生ひな相当)を0105の「その他」側で申告
    • なぜ起きる:「雛=鶏」だけで0105.94に寄せる
    • 正しい考え方:0105はまず185g以下かどうかで分岐し、さらに種類で分岐。 (wcoomd.org)
    • 予防策:孵化日、梱包単位、重量レンジの記録を入手
  5. 間違い:みつばちを0106.90「その他」にしてしまう
    • なぜ起きる:昆虫の号(0106.41/0106.49)を知らない
    • 正しい考え方:昆虫は専用の号があり、みつばちは0106.41。 (wcoomd.org)
    • 予防策:対象が昆虫かを最初に判定し、学名で確定
  6. 間違い:「純粋種繁殖用」と称して0101/0102/0103.10に入れるが、証明が弱い
    • なぜ起きる:用途(繁殖)だけで判断
    • 正しい考え方:HSの文言は“Pure-bred breeding animals”。実務では血統・登録などの裏付けが重要(国により要求資料が異なり得ます)。 (wcoomd.org)
    • 予防策:血統書・登録証・輸出国当局の証明、契約用途をセットで準備(必要に応じ税関相談)
  7. 間違い:動物そのものではなく「微生物培養物」等を第1類で検討
    • なぜ起きる:輸入形態が“生きている”ので混同
    • 正しい考え方:類注で微生物培養物等は3002に除外。 (wcoomd.org)
    • 予防策:対象が動物(多細胞生物)か、微生物製剤かを研究部門に確認
  8. 間違い:HS分類は合っているが、検疫・届出(行政手続)要否を見落とす
    • なぜ起きる:分類と規制を別部署が別管理している
    • 正しい考え方:日本では家畜・家きん・犬猫等はMAFF動物検疫所の枠組みで手続が必要になり得ます。また、別枠で厚労省検疫所の「動物の輸入届出制度」対象動物もあります。 (農林水産省)
    • 予防策:分類確定後に「動物検疫」「CITES」「外来生物法」「感染症系届出」のチェックリストを必ず回す

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること(誤ると原産性判断が崩れる)
    • 第1類は「生体」で、製造工程よりも**出生・飼養(肥育)**の事実が原産性に直結しやすい領域です。HSを誤ると、参照すべきPSR(またはWO判定)がズレます。
  • よくある落とし穴(材料のHS、最終製品HS、工程の評価軸)
    • 生体動物は「材料→製品」の転換が起きにくいため、PSRが**WO(完全生産)**系の場合、必要証憑(出生・飼養記録)が揃わないと原産主張ができません(一般論)。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記
    • (本回答は参照協定が未指定のため一般論です)EPA/FTAでは、協定本文・譲許表・PSRが“特定のHS版”に基づいていることがあります。例えば、TPP/(CPTPPの基礎となった)文書の一部ではHS2012と明記された譲許表が用いられています。 (United States Trade Representative)
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
    • 国内申告はHS2022で行っていても、協定側が旧HS版参照の場合、**旧→新の対応(トランスポジション)**が必要です。日本でも、国内のHS改正と協定運用HS版がズレるケースがある旨が案内されています。 (日本商工会議所)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • ①協定の附属書で参照HS版を確認 → ②旧HSでPSR条文を特定 → ③相関表でHS2022コードに対応付け → ④最終的に「協定上の品目」と「申告コード」の整合を社内記録化、が実務的です。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
    • 生体動物の場合は、BOMよりも 出生地証明・飼養(肥育)履歴・移動履歴が重要になりがちです(協定ルール次第)。
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 出生証明、飼養管理記録、獣医証明、取引契約(用途)などを、協定の保存要件に合わせて保管します。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(少なくともHS6桁レベル)Chapter 01(0101〜0106)WCO相関表(2017↔2022)の改正対象リストにChapter 01の掲載がなく、HS6桁の新設・削除・分割等が確認されませんHS6桁レベルでは分類体系は継続。※国内コード(8/9桁)は国ごとに改正あり得るため要確認

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料と判断内容:
    • WCOが公表するHS相関表(HS2017→HS2022)は、改正のあったコードの対応を列挙する形式ですが、当該表(Table II)にChapter 01(第1類)のコードが登場しません。このため、HS6桁の観点では第1類に改正(新設・削除・分割・統合等)がないと判断できます。 (wcoomd.org)
    • 併せて、HS2022の法文(第1類の見出し・注)を確認しても、体系はHS2012以降と同型です(次章でHS2007との差分を整理)。 (wcoomd.org)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

(ここではHS6桁の主要な再編に絞ります。国内コードの追加・削除は別途「国内コード」として確認してください。)

期間主要な追加・削除・再編(HS6桁)旧コード→新コード(例)補足(実務への示唆)
HS2007→HS20120101が細分化(馬の純粋種/その他、ろば、らば等を明確化)0101.10/0101.90 → 0101.21/0101.29/0101.30/0101.90「どの動物か」をより明確に統計把握する方向。 (wcoomd.org)
HS2007→HS20120102が細分化(cattleとbuffaloを分離)0102.10/0102.90 → 0102.21/0102.29/0102.31/0102.39/0102.90水牛等の区分が明確化。 (wcoomd.org)
HS2007→HS20120105(雛の一部)細分化(あひる/がちょう/ほろほろ鳥等)0105.19 → 0105.13/0105.14/0105.15(等)“185g以下”でも鳥種で分かれる。 (wcoomd.org)
HS2007→HS20120106の拡充(海獣の範囲拡大、新号新設:ラクダ、うさぎ、昆虫など)0106.12(範囲拡大)、0106.13/0106.14/0106.41/0106.49 新設0106は「その他」の受け皿だが、統計目的で細分が増えた。 (wcoomd.org)
HS2012→HS2017変更なし(第1類の相関表改正対象なし)HS6桁は継続。 (税関ウェブサイト)
HS2017→HS2022変更なし(第1類の相関表改正対象なし)HS6桁は継続。 (wcoomd.org)

※類注(除外先)の表記も、HS2007では03.08が存在しないため除外列挙が短く、HS2012以降は03.08が加わっています(第1類注の見え方が変わる点として注意)。 (wcoomd.org)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):生きたエビを0106で申告してしまった
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第1類注で、水棲無脊椎(03.06等)が除外される点の見落とし (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:品名が「live animal」程度で、学名・分類群情報がない
    • 典型的な影響:修正申告、検査強化、検疫・規制手続の手戻りによる遅延(一般論)
    • 予防策:学名・分類群を仕様書に必須化、写真添付、社内QAで「水棲か?」を必ず確認
  • 事例名:初生ひな(185g以下)を“その他家きん”で申告
    • 誤りの内容:0105の6桁分岐(185g以下/その他)を取り違え (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:インボイスが「chicks」だけで、孵化日・重量が書かれていない
    • 典型的な影響:統計・税率・国内コード要件のズレ、書類差戻し(一般論)
    • 予防策:孵化日、重量レンジ、梱包単位をインボイス補足欄に追記
  • 事例名:みつばちを0106.90「その他」で申告
    • 誤りの内容:0106.41(bees)の存在を見落とし (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:受粉用の昆虫全般をまとめて処理
    • 典型的な影響:統計・規制確認(外来生物等)のチェック漏れ、修正対応(一般論)
    • 予防策:昆虫は0106.41/0106.49を先に検討、学名(Apis mellifera等)を確認
  • 事例名:移動サーカスの動物を“単体の生体動物”として申告
    • 誤りの内容:第1類注で9508の動物が除外される点の見落とし (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:興行契約・機材一式の輸入なのに、動物だけ切り出して申告
    • 典型的な影響:分類更正、通関遅延(一般論)
    • 予防策:取引実態(興行一体か)を契約書で確認、必要なら税関相談

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 動物検疫(MAFF 動物検疫所):家畜等の輸入には、輸出国政府機関(検疫機関)の検査合格・証明書添付が必要となる旨が案内されています(家畜衛生条件に基づく)。 (農林水産省)
      • 犬・猫:狂犬病関連の要件(抗体検査等)を含む手続が定められており、動物検疫所ページで案内されています。 (農林水産省)
      • 生きた家きん:鳥インフルエンザ発生等に伴う輸入停止・解除の情報が動物検疫所で更新されます(変動リスクが高い)。 (農林水産省)
      • 追加で留意:税関も動物検疫が必要な物品例を案内しています(一般的な確認導線)。 (税関ウェブサイト)
    • ワシントン条約(CITES)等の種規制
      • CITES対象の動植物等は、輸出国側のCITES書類に加え、日本側での輸入承認手続が必要となる旨が経産省(METI)で案内されています。 (経済産業省)
      • 取引種の所管・手続はケースで異なり得るため、CITES該当性(附属書)と所管窓口の確認が必要です(例示的説明)。 (ジェトロ)
    • その他の許認可・届出
      • 外来生物法(特定外来生物):特定外来生物は輸入等が原則禁止で、環境省および税関が注意喚起しています。 (環境省)
      • 厚労省の「動物の輸入届出制度」:届出対象動物(および死体)を輸入する際に検疫所への届出が必要である旨が案内されています(動物検疫所対象と別枠で並走し得る点が実務の落とし穴)。 (厚生労働省)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
  • 実務での準備物(一般論):
    • 学名・写真・仕様書(対象同定)
    • 輸出国政府機関の健康/検査証明(必要な場合) (農林水産省)
    • CITES書類(該当する場合) (経済産業省)
    • 外来生物法の該当性確認資料(該当疑いがある場合) (環境省)
    • (HSの分岐に必要)体重記録、孵化日、血統・登録証など

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 生体か否か(写真・輸送形態)
    • 学名(属・種)/動物群(cattle/buffalo等)
    • 体重(豚)、雛の重量・孵化日(家きん)
    • 純粋種繁殖用の証明(該当する場合)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第1類注の除外(第3類、3002、9508)に当たらないか (wcoomd.org)
    • 0106で“その他”に寄せていないか(昆虫・海獣等の専用号の有無)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスに「live」「学名」「数量」「体重/孵化日」等の補足
    • 検疫・許可で求められる原本/写しの手当て
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS版(HS2012等)を確認し、HS2022との差分があれば相関表で対応 (日本商工会議所)
    • 生体は出生・飼養履歴の証憑を整備
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO “HS Nomenclature 2022 Edition” Section I Notes(参照日:2026-02-12) (wcoomd.org)
    • WCO HS2022 Chapter 1 “Live animals”(参照日:2026-02-12) (wcoomd.org)
    • WCO Correlation Tables HS2017–HS2022(参照日:2026-02-12) (wcoomd.org)
  • 日本 税関・公的機関のガイド
    • 農林水産省 動物検疫所「動物の輸出入」(参照日:2026-02-12) (農林水産省)
    • 農林水産省 動物検疫所「犬、猫の日本への入国(輸入)」等(参照日:2026-02-12) (農林水産省)
    • 農林水産省 動物検疫所「生きた家きん等の輸入停止情報」(参照日:2026-02-12) (農林水産省)
    • 経済産業省(METI)「ワシントン条約規制対象貨物の輸入承認手続き」(参照日:2026-02-12) (経済産業省)
    • 環境省「外来生物法(概要・規制)」(参照日:2026-02-12) (環境省)
    • 税関「特定外来生物」(参照日:2026-02-12) (税関ウェブサイト)
    • 厚生労働省「動物の輸入届出制度」(参照日:2026-02-12) (厚生労働省)
  • 相関表・HS改正関連
    • 日本税関(WCO著作権表記の相関表)HS2012–HS2007 相関(参照日:2026-02-12) (税関ウェブサイト)
    • WCO HS2007 Chapter 1 “Live animals”(参照日:2026-02-12) (wcoomd.org)
    • WCO HS2012 Chapter 1 “Live animals”(参照日:2026-02-12) (wcoomd.org)
  • FTA/EPA(HS版ズレの一般論)
    • 日本商工会議所(JCCI)「経済連携協定に基づくHSコード取扱い(HS版のズレ注意)」(参照日:2026-02-12) (日本商工会議所)
    • USTR(TPP関連資料:Tariff Schedule “HS2012”表記の例)(参照日:2026-02-12) (United States Trade Representative)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HSコード:基礎講座のシラバス

HSコードの基礎講座を始めます。

シラバスは以下の通り。

第0章 HSコードは何のためにあるか

扱うこと
関税率、輸出入申告、FTA原産地規則、規制品目判定、統計の起点がHSであること
間違えると起きること(追加課税、差し止め、監査指摘)
到達目標
HSが業務の共通言語だと理解する

第1章 HSの全体像と構造

扱うこと
部、類(Chapter)、項(Heading)、号(Subheading)
2桁 4桁 6桁の意味と、各国の上乗せ(8桁 9桁 10桁など)
到達目標
どこまでが国際共通で、どこからが国別か説明できる

第2章 分類に必要な商品情報の集め方

扱うこと
品名だけでは無理、必要情報の型を覚える
材質、組成、用途、機能、構造、形状、加工度、包装、取付先、動作原理
SDS、仕様書、図面、BOM、写真の読み方
到達目標
分類に足りない情報を自分で洗い出し、関係部署に質問できる

第3章 分類の進め方の型(最短ルート)

扱うこと
分類の手順をテンプレ化
候補章をあたり、項を絞り、注記で落とし、号で確定
到達目標
迷いにくい手順で、毎回同じ流れで調べられる

第4章 GRIを使いこなす その1(GRI1と注記)

扱うこと
最重要はGRI1(項目の文言と部注 類注で分類)
注記の優先順位と使い方
到達目標
注記が分類の決定打になる理由を理解する

第5章 GRIを使いこなす その2(未完成品、分解品、混合物)

扱うこと
GRI2(a) 未完成品、未組立品
GRI2(b) 混合物、複合材料
到達目標
組立前や半製品でも慌てず分類できる

第6章 GRIを使いこなす その3(複合品、セット品の地雷)

扱うこと
GRI3(a) 最も具体的
GRI3(b) 本質的特性(essential character)
GRI3(c) どれでもないとき
到達目標
複数要素がある商品で、理屈を立てて結論を出せる

第7章 部品 付属品 アクセサリの考え方

扱うこと
部品の典型論点(専用性、汎用性、注記の部品規定)
機械の部分品と汎用部品の違い
到達目標
部品で誤分類しやすいパターンを回避できる

第8章 よく出る業務分野別の攻略(基本商品で確実に当てる)

扱うこと
化学品とSDSからの分類の型
プラスチックと材質 判定の型
食品と加工度の型
繊維と混用率の型
金属製品と用途 形状の型
機械 電気と機能 原理の型
到達目標
基本的な代表品目を各分野で分類できる

第9章 6桁の次にある世界(各国のタリフ番号と税率)

扱うこと
6桁から先は国別
税率表の読み方、関税率を見たときの注意点
到達目標
HS分類と関税率の関係を誤解しない

第10章 根拠の作り方(社内説明と監査に耐える)

扱うこと
分類根拠メモの書き方
根拠の優先順位(文言 注記 公式解説 事前教示 判例 先例など)
変更履歴と再評価のタイミング
到達目標
誰が見ても追跡できる分類記録を残せる

第11章 演習と実務テスト(付番できる状態に仕上げる)

扱うこと
10〜20個の基本商品で、商品情報収集から根拠作成まで通し演習
間違いやすい設問を混ぜて復習
到達目標
初見の商品でも、一定品質で付番できる

付録
用語集、商品情報ヒアリングシート、分類手順チェックリスト、根拠記録テンプレート

EUで「電子機能付き繊維製品」を分類するときの本質的性質判定

スマートテキスタイルの品目分類を、再現性のある判断プロセスに落とし込む

はじめに

電熱ベッドパッド、発光する衣類、センサー内蔵ウェアなど、繊維の中に電気や電子の機能が入った製品は、ビジネス上の魅力が大きい一方で、EUの品目分類では判断が難しくなりがちです。

特に現場で揉めやすいのが「本質的性質(essential character)」の見立てです。ここを誤ると、関税率の違いだけでなく、輸入時に求められる手続や要件の見落としにつながり、監査や事後調査のリスクが跳ね上がります。EUでも、品目分類が関税や関連要件を左右することが明確に示されています。 (Taxation and Customs Union)

本記事では、EUの公式情報と裁判例、分類規則を軸に、電子機能付き繊維製品の「本質的性質」判定を、実務で使える形に深掘りします。


EUの品目分類の土台

1) EUはCNを使い、CNはHSを土台にしている

EUの品目分類は「Combined Nomenclature(CN)」を使います。CNは、共通関税や域外貿易統計などのための分類ツールで、WCOのHSをベースにEU独自の細分を加えたものです。 (Taxation and Customs Union)

またCNは毎年更新されます。テクノロジーの進化が速い領域ほど、過去の前提で固定してしまわない運用が重要です。 (Taxation and Customs Union)

2) 判断は「見た目と構造などの客観的特徴」が最優先

EU司法裁判所(CJEU)の一貫した考え方として、品目分類の決め手は、一般に「関連する見出しの文言や注で定義される客観的特徴と性質」に求める、という原則があります。 (EUR-Lex)

ここでいう客観的特徴とは、例えば次のようなものです。

  • 物理的構造、素材、構成部品
  • 機能と、その機能が発現する仕組み
  • 電源や制御部が一体か、外付けか、着脱式か
  • 使用方法、取扱説明書に沿った使われ方

広告コピーやブランドストーリーは参考になっても、客観的特徴を上書きする決定打にはなりにくい、という前提で整理しておくとブレが減ります。

3) 解説資料は重要だが、法的拘束力は別

CNの解説資料(Explanatory notes)は、範囲の理解に役立ちますが、EU側でも「法的に拘束力はない」とされています。 (Taxation and Customs Union)
一方でCJEUも、HSやCNの解説資料は拘束力こそないが、統一的運用のための有用な解釈補助になり得る、と整理しています。 (EUR-Lex)

つまり実務では、解説資料は使う。ただし、法令本文や注、そして裁判例との整合を崩さない、という使い方が安全です。


本質的性質とは何か

1) Rule 3(b) が出てくる場面

電子機能付き繊維製品では、繊維と電子部品が同居します。その結果、複数の見出しに該当し得る状態になります。

このとき、HSの一般解釈規則(General Rules)では、複数分類候補がある場合にRule 3で順位付けしていき、Rule 3(a)で決まらない場合はRule 3(b)で「本質的性質を与える材料または構成要素」によって分類します。 (EUR-Lex)

2) 本質的性質を決める要因は、製品タイプで変わる

CJEUが引用するHSの解説では、本質的性質を決める要因は製品により異なり、例として次が挙げられます。

  • 材料や構成要素の性質
  • かさ、数量、重量、価値
  • 製品の使用に対する構成要素の役割 (EUR-Lex)

電子機能付き繊維製品に当てはめると、単に電子部品が入っているだけでは足りず、電子部品が「使い方を支配しているか」が中心テーマになります。

3) 実務で効く考え方

CJEUは、どの材料が本質的性質を与えるかを見極めるための考え方として、構成要素の一方を取り除いた場合でも、製品が特徴的な性質を保持するかを検討するアプローチを示しています。 (EUR-Lex)

電子機能付き繊維製品の現場では、次の問いに言い換えると判断が整理されます。

  • 電子機能がなくても、これは依然として繊維製品として成立するか
  • 繊維部分がなくなると、電子部分は独立の装置として成立するか
  • 使用者は何のために買い、何のために使うのか
  • その目的達成を決定的に支えているのはどちらか

まず最初に切り分けるべき3分類

本質的性質の議論に入る前に、そもそも「一体の複合品」なのか「セット」なのか「単なる同梱」なのかを確定させる必要があります。ここを誤ると、後工程の議論が全部ずれます。

1) セットかどうか

EUの分類規則では、同梱されている複数の品が常にセット扱いになるわけではありません。

例えば、ランニングベストとソフトフラスク2本を一緒に小売販売する形態でも、用途や活動が同一とは言えないなどの理由で、セットではなく個別分類とされた例があります。 (EUR-Lex)

電子機能付き繊維製品でも同様に、衣類と電子機器を同梱しているだけの場合、セット扱いを前提にせず、個別分類の可能性から検討するのが安全です。

2) 複合品かどうか

一体化して実質的に分離できない構造かどうかは重要です。
EUの分類規則でも、構成要素が結合され「実質的に分離できない一体のもの」として示されるケースがあります。 (EUR-Lex)

電子機能付き繊維製品では、例えば次が論点になりやすいです。

  • 電熱線やセンサーが縫い込まれていて、通常の使用を想定すると分離できない
  • 制御部や電源がポケットに収まるが、配線は一体化している
  • バッテリーだけが着脱式で、衣類側は電子部材を内蔵している

3) 法令上の除外規定が先に決着をつけることもある

電子要素があるからといって、必ずしもChapter 85(電気機器類)に行くとは限りません。
後述する事例では、電気加熱ユニットを内蔵する繊維製品であっても、Chapter 85の注記で対象外とされ、繊維側で分類されました。 (EUR-Lex)

このタイプは、本質的性質の比較衡量に入る前に、注記で勝負がついている典型です。


電子機能付き繊維製品の本質的性質判定

実務で使える5つの評価軸

以下は、EUの考え方(Rule 3(b) とその解説、裁判例の整理)に沿って、現場で再現可能な形に落とし込んだ評価軸です。 (EUR-Lex)

評価軸1 製品の主要な使用目的を支配するのはどちらか

本質的性質の最重要ポイントは、使用目的に対する役割です。 (EUR-Lex)

例として、同じ「衣類」でも次のように分かれます。

  • 繊維が主で、電子は付加価値
    安全性向上のための小さな発光や反射、識別タグなど
  • 電子が主で、繊維は保持体
    センサーが主役で、繊維は装着性や位置決めのためのキャリアに近い

この判断は、製品仕様書と取扱説明書に基づき、購入目的と使用時の行為を具体化するとブレが減ります。

評価軸2 電子機能を外したときに「商品として成立」するか

CJEUの考え方を実務向けに言い換えると、構成要素を外しても特徴が残るか、という検討が効きます。 (EUR-Lex)

  • 電子を外しても、衣類として普通に着られる
    繊維側が本質的性質を与える方向に傾きやすい
  • 繊維を外すと、電子は用途を失う
    繊維が単なるキャリアである可能性が高いが、逆に「電子単体でも機器として成立」するなら電子側が主になり得る

評価軸3 かさ、重量、価値のバランス

Rule 3(b) の解説では、かさ、重量、価値が要因になり得るとされています。 (EUR-Lex)

ただし注意点があります。価値が高いから必ず本質的性質、とはなりません。例えば、装飾品の中に電気部材が入っていても、照明効果が付随的なら、装飾品側が本質的性質と判断され得ます。 (EUR-Lex)

数値は重要ですが、最後は「役割」の説明で締めるのがEU流です。

評価軸4 一体化の度合いと、通常使用での分離可能性

分解できるかどうかは、セットか複合品かの入口だけでなく、本質的性質の見立てにも影響します。 (EUR-Lex)

  • 縫込みやラミネートで一体化している
    複合品としての議論になりやすい
  • バッテリーのみ着脱、制御部も衣類と不可分
    電子機能が製品設計の中核に入っていることの裏付けになりやすい
  • 電子モジュール一式が簡単に取り外せ、衣類は汎用衣類として成立
    衣類側の独立性が強まりやすい

評価軸5 説明責任に耐える証拠が揃っているか

EUの原則は、客観的特徴で決める、です。 (EUR-Lex)
したがって、本質的性質の結論に至る道筋を、客観的資料で再現できる状態にしておくことが実務上の勝ち筋です。


公式事例で読む「判断の癖」

ここでは、EU官報の分類規則に掲載された事例を使い、電子機能付き繊維製品に応用できるポイントを抽出します。

事例1 電気加熱ユニット内蔵の繊維製品でも、繊維で分類される

電気加熱ユニットと温度調整スイッチを備える「電熱ベッド用の下敷きに近い繊維製品」について、EUはChapter 85の電気機器としては扱わず、繊維側(CN 6307)で分類しました。理由の柱は次の通りです。

  • Chapter 85は、電気で温める毛布やベッドパッドなどを対象外としている
  • いくつかの繊維見出しも検討したうえで、最終的に6307が妥当 (EUR-Lex)

学びは明確です。
電子機能がある場合でも、まず注記で「そもそも電気側に入れない」ことがあり得ます。分類検討の初期に、セクション注や章注を必ず確認する、という手順がリスクを大きく下げます。 (EUR-Lex)

事例2 電気部材が入っていても、本質的性質が装飾側に残るケース

人工の桜の枝に小さな電球チェーンと変圧器が一体化した複合品について、EUはRule 3(b) を使い、本質的性質は装飾用の人工花(枝)が与えると判断しました。照明は主目的ではなく、装飾効果を高める付随的なもの、と整理されています。 (EUR-Lex)

電子機能付き繊維製品への応用としては、例えば次のような示唆になります。

  • 発光や電子表示があっても、主目的が衣類の着用や外観であり、電子が付随に留まるなら、繊維側が本質的性質になり得る
  • 逆に、電子機能が使用目的を支配している場合は、この論法では守れない

事例3 同梱でもセットにならず、個別分類になる

ランニングベストと飲料用ソフトフラスクを同梱した商品が、セットではなく、各品を個別に分類すべきとされた例があります。理由は、同一の特定ニーズや特定活動を満たすための組合せとは言いにくい、などです。 (EUR-Lex)

スマートテキスタイルの文脈では、例えば次が該当し得ます。

  • 衣類とアプリ連携デバイスを同梱しているが、衣類もデバイスも単独使用できる
  • 交換用モジュールやアクセサリを同梱しているが、用途の一体性が弱い

先に「セット認定」を外しておくと、本質的性質の議論を必要な範囲に限定できます。


社内判断を強くするための証拠パッケージ

本質的性質の結論は、結論そのものより「説明の筋」が問われます。そこで、次の資料を最初から揃えておくと、説明が崩れにくくなります。

推奨資料

  1. 製品仕様書
    電子機能の内容、出力、制御方法、電源方式、部材の配置
  2. 部品表と構成図
    繊維と電子の関係が一体か、モジュールか、着脱式か
  3. 重量と原価の内訳
    Rule 3(b) の評価軸である重量や価値の根拠になる (EUR-Lex)
  4. 取扱説明書
    想定用途と使用方法を客観化できる
  5. 写真とサンプル
    客観的特徴の確認がしやすい

説明文の型

社内メモや税関照会用の説明は、次の順で組み立てると説得力が上がります。

  • 製品の客観的特徴の確定
  • 該当し得る見出しの洗い出し
  • セクション注、章注での除外や優先の確認
  • それでも複数候補が残る場合にRule 3で整理
  • Rule 3(b) を使うなら、役割、重量、価値などの根拠を示し、本質的性質の結論を導く (EUR-Lex)

迷ったらBTIでリスクを閉じる

本質的性質判定は、社内の最適解を作れても、当局と一致するとは限りません。EUでは、品目分類について法的な判断を得る仕組みとしてBTI(Binding Tariff Information)があります。

BTIの要点

  • EU加盟国税関が出す、特定製品の品目分類に関する法的決定
  • 原則としてEU域内で通用し、一般に3年間有効 (Taxation and Customs Union)
  • 有効なBTIは公開データベース(EBTI)で参照できる (Taxation and Customs Union)

またBTIは、CN変更や欧州委員会による分類措置、CJEU判決などを契機に失効や撤回が起こり得ます。運用では、BTI取得後もウォッチが必要です。 (Taxation and Customs Union)

申請実務の観点では、欧州委員会がBTIプロセスに関する行政ガイダンスを公表しており、申請情報の正確性や、写真やサンプルを含む詳細記述の重要性が明確にされています。 (Taxation and Customs Union)


まとめ

電子機能付き繊維製品の分類は、繊維か電子か、という二択では終わりません。EUの考え方に沿って実務を安定させる鍵は、次の3点です。

  1. 注記を最初に確認し、電子側に行けない類型があることを前提にする
  2. セットか複合品か同梱かを先に確定し、本質的性質の議論を必要な範囲に絞る
  3. Rule 3(b) の評価軸で、役割を中心に、重量や価値などの客観的根拠をセットで説明できるようにする (EUR-Lex)

このプロセスを社内標準にすると、担当者の経験差によるブレが減り、税関対応も一段と強くなります。


免責事項

本記事は、EUの公表資料や裁判例等に基づき一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の製品に対する法的助言、関税分類の最終判断、税関手続の保証を行うものではありません。実際の分類は、個別製品の客観的特徴、契約形態、構成、使用方法、適用される注記や当局解釈により結論が変わり得ます。個別案件は、EU加盟国税関への照会、BTIの取得、または通関・貿易専門家への相談を行ってください。

AI分類は効率化の特効薬か、それともリスクの火種か。CBPの新指針が突きつける「人間の責任」

2026年2月9日 | 米国貿易・コンプライアンス戦略


貿易DX(デジタルトランスフォーメーション)が加速する中、米国税関・国境警備局(CBP)は、AIを活用した物品分類(HSコード特定)支援ツールの適正利用に関する重要なガイドラインを提示しています。

この動きは、CBPが進める2024年から2028会計年度に向けたIT戦略の一環であり、AIを経済的繁栄を促進する「資産」と位置づける一方で、その運用には厳格なガバナンスを求めるものです。ビジネスの現場でAIツールの導入を検討している企業にとって、この指針は単なる「技術的なアドバイス」ではなく、法的なリスク管理における「必須要件」となります。

本稿では、HSコードの専門家の視点から、CBPが示した新指針の本質と、企業が直面する実務上の課題を深掘りします。

テクノロジーは進化しても「合理的な注意」は譲れない

米国関税法において、輸入者は「合理的な注意(Reasonable Care)」を払って正確な申告を行う法的義務を負っています。CBPが示したAI活用に関する基本的スタンスは、この原則をデジタル時代に合わせて再定義したものです。

AIは補助であり、判断の主体は人間である

CBPは、AIを職員の業務を支援するツールとして位置づけており、法執行アクションや利益の拒否に関する最終的な判断をAIの出力のみに基づいて行うことはありません。このスタンスは民間企業に対しても同様に求められています。

AIツールが提示したHSコードが誤っていた場合、企業が「AIがそう言ったから」という理由で責任を免れることはできません。AIはあくまで効率化のための補助手段であり、その出力を精査し、最終的な妥当性を保証するのは「人間の専門家」であるという点が強調されています。

2024年から2028年のIT戦略が目指す「データ駆動型」の国境管理

CBPが2024年に発表した最新のIT戦略(FY2024-2028)は、データの力で国境を管理し、合法的な貿易を加速させることを目標としています。

ガバナンスの強化:ディレクティブ 1450-030の役割

AIの安全な導入を推進するため、CBPはディレクティブ(通達)1450-030を発出し、AIの運用とガバナンスに関する具体的な要件を定義しました。この指針は、AIモデルの開発から運用、報告に至るまでのサイクル全体に「説明責任」を求めています。

企業が自社の通関システムにAIを組み込む際、CBPは以下の4つの機能を備えたリスク管理フレームワーク(NIST準拠)の活用を推奨しています。

  • ガバナンス(Govern):AI利用のルールと責任を明確にする
  • マッピング(Map):AIが使用される文脈とリスクプロファイルを理解する
  • 測定(Measure):AIの性能とリスクを定期的に分析・追跡する
  • 管理(Manage):特定されたリスクに対して優先順位をつけ、コントロールを維持する

企業が取るべき3つの実務的アクション

CBPの新指針に対応し、コンプライアンスと効率化を両立させるためには、以下のステップが不可欠です。

1. ヒューマン・イン・ザ・ループの構築

AIが判定したHSコードに対し、必ず人間の通関士や専門家がレビューを行う「人間介在型(Human-in-the-loop)」のプロセスを業務フローに組み込んでください。特に、高額な関税がかかる品目や、反ダンピング税等の規制対象品目については、AIの判定を鵜呑みにすることは極めて危険です。

2. AI判定の「根拠」を記録する

将来の事後調査(監査)に備え、なぜそのHSコードを選択したのかという「根拠」を記録・保存する体制を整えてください。CBPは透明性を重視しており、AIのアルゴリズムが不明瞭なブラックボックス状態での申告は、合理的な注意を欠いているとみなされるリスクがあります。

3. サプライヤーとのデータ連携を強化する

正確なAI分類には、高精度な製品マスターデータが欠かせません。製品の材質、機能、用途といった詳細な情報をサプライヤーからデジタルデータとして受け取り、AIの学習や判定の精度を高めるための「データ・ガバナンス」を強化してください。

まとめ:デジタル国境を越えるための「信頼の設計」

CBPのAI指針は、決してテクノロジーの活用を否定するものではありません。むしろ、AIのスピードと分析力を活用して「脅威」を迅速に検知し、合法的な貿易を加速させることを奨励しています。

しかし、その恩恵を享受するためには、企業側に「技術をコントロールし、結果に責任を持つ」という成熟した管理体制が求められます。2026年以降、AIは通関の現場で当たり前の存在となりますが、その背後にある人間のプロフェッショナリズムこそが、貿易コンプライアンスの最後の砦となるのです。


免責

本稿は一般的な情報提供を目的としたもので、個別案件の法的助言ではありません。実際の申告・契約・規制適合は、対象国の法令と最新の当局公表、必要に応じて専門家見解に基づき判断してください。


HS2028移行で始まるFTA転記作業の初期兆候

現場が混乱する前に、企業が先回りできるサインと実務手順

HS2028は、単なるHSコード改訂ではありません。関税率表や通関実務だけでなく、FTAやEPAの品目別原産地規則(PSR)や附属書、運用手続、各国の原産地証明制度まで、連鎖的に更新を促します。WCOはHS2028が2028年1月1日に発効すること、そして残りの準備期間で相関表(Correlation Tables)や解説資料の整備を進めることを明示しています。 (wcoomd.org)

問題は、FTA側の更新が各協定ごとに別のテンポで動くことです。つまり企業は、HS2028の発効日だけを見ていても間に合いません。実務の世界では、その前段階として「転記作業の初期兆候」が必ず現れます。本稿では、そのサインを具体化し、見えた瞬間に着手すべき準備を整理します。


1. FTAの転記作業とは何か

HS改訂が、PSRと附属書を動かす理由

FTAやEPAの原産地規則は、HSコードを前提に設計されています。PSRは多くの場合、HSの類、項、号のどこかを条件にして、CTC(関税分類変更基準)やRVC(付加価値基準)などを定義します。HSが改訂されると、次の問題が起きます。

・品目番号が分割、統合、移動し、旧番号のままではPSRの適用対象が曖昧になる
・附属書の品目表や脚注、例外規定が、参照先を失う
・協定上の用語定義(章、項、号など)の整合性が崩れる
・各国の原産地証明運用(検索ツール、申告様式、監査手順)に更新が必要になる

この更新は、単なる置換ではなく、協定の手続に沿って「技術的更新」または「転記(transposition)」として行われます。WCOは、HS改訂に伴う優遇原産地規則の技術的更新の進め方をガイドとして整理し、FTAsのPSR見直し対象の洗い出しにも役立つと説明しています。


2. HS2028の公式タイムラインを押さえる

企業が見るべきは発効日だけではない

WCOは、HS2028が2028年1月1日に発効することを明確にしています。 (wcoomd.org)
また2026年1月21日付で、HS2028改正が受け入れられ、相関表の作成など実装に向けた次の工程に入ることを公表しています。 (wcoomd.org)

さらにWCOは、準備期間に実施する中核タスクとして、HS2022とHS2028の相関表作成、HS解説資料の更新、加盟国支援を挙げています。 (wcoomd.org)

ここから読み取れる実務上の結論は一つです。
FTAの転記作業は、発効直前に突然始まるのではなく、相関表や運用資料の整備と並走して、段階的に立ち上がります。


3. 転記作業の初期兆候

兆候は、政府側と民間側の両方に出る

以下は、HS2028対応の転記が現実のタスクとして動き始めたと判断できるサインです。

3-1. 公式ツールや案内に「協定のHSバージョン差」が強調される

日本税関のPSR検索画面は、協定ごとに採用しているHSバージョンが異なり、違うバージョンで検索すると結果が誤ることがあると明示しています。さらに相関表の確認も促しています。 (税関総合情報)
こうした注意書きが強調され始めるのは、改訂期の混乱を見越して、実務者にバージョン管理を徹底させる動きが出ているサインです。

3-2. FTAの共同委員会や附属書改正で、HSベース更新が正式議題になる

転記は「協定上の手続」を通ります。典型例として、日本とインドネシアのEPAでは、PSRの附属書(Annex 2)をHS2002ベースからHS2017ベースへ更新することが改正目的として明示されています。 (mofa.go.jp)
つまり、HS改訂は実務作業ではなく、協定の改正作業として扱われるということです。HS2028でも同様に、協定ごとの手続が動き始めた瞬間が初期兆候になります。

3-3. 協定本文に「転記」の概念が明文化され、実装期限が意識される

RCEPは、HS改訂に合わせてPSRを更新するための転記手続を条文で定義し、改訂HSの発効前に協議して更新を準備し、共同委員会で採択し公表する流れを規定しています。 (世界と日本)
このような枠組みを持つ協定では、HS2028が近づくほど、共同委員会や実務会合で転記が具体議題化しやすく、企業側も早期に影響を受けます。

3-4. 相関表の議論や更新が、各国の制度改修と結びつく

WCOが相関表の開発を主要タスクとして掲げている時点で、各国はそれを前提に法令やITを更新します。 (wcoomd.org)
この段階で起きやすいのが、政府ポータルや通関システム側が「新旧コード併記」「暫定マッピング」「移行期間の扱い」を示し始めることです。これも初期兆候です。


4. 企業現場で先に起きる、もう一つの初期兆候

官報より先に、取引先とシステムが動く

HS2028の転記は政府間の話に見えますが、企業の現場では次の形で先に顕在化します。

・長期契約の更新時に、取引先からHS2028相当コードの提示を求められる
・フォワーダーや通関業者が、品目マスターの更新計画を共有してくる
・顧客監査で、PSRの適用根拠をHSバージョン付きで説明するよう求められる
・原産地証明関連の業務で、協定ごとのHS年次差がボトルネックになる

ここで重要なのは、企業が扱うFTAが複数あるほど、協定ごとにHS年次が異なる状態が長期化しやすいことです。税関も協定ごとのHSバージョン差を明確に注意喚起しています。 (税関総合情報)
つまりHS2028対応は、全社一括の切替ではなく、協定別の並走管理になる可能性が高いという前提で設計すべきです。


5. 初期兆候を見たら、最初にやるべきこと

転記が始まってから慌てないための実務順序

5-1. 自社が使う協定ごとに、参照HS年次を棚卸しする

協定ごとに採用HS年次が違うと、同じ品目でもPSRが参照するコード体系が変わります。まずは協定別に、現行運用がどのHS年次に基づいているかを一覧化します。税関もこの点を誤ると検索結果が誤る可能性を示しています。 (税関総合情報)

5-2. HS2022からHS2028へのマッピングを、業務単位で準備する

相関表はWCOが開発すると明示していますが、実務では相関表が出てから検討開始では遅れます。 (wcoomd.org)
自社の重点品目については、次の粒度で事前準備します。

・HS6での変化点を想定し、分割や統合が起きそうな品目を特定
・自社品目マスターに、旧コード、暫定新コード候補、根拠メモ欄を作る
・品目別に、分類根拠資料と原産地判定の根拠資料を結びつけておく

5-3. PSRの再判定が必要になるパターンを先に決める

転記は原則として既存PSRの趣旨を損なわずに行われますが、品目構造が変われば運用上の解釈や適用範囲の説明が難しくなることがあります。RCEPでも、転記はPSRを損なわずに行うことを求めています。 (世界と日本)
そこで、社内ルールとして次のトリガーを定義しておくと早いです。

・HS6が変わる品目は必ずPSRを再確認
・分割統合がある場合は、材料表と工程情報をセットで再レビュー
・協定の転記版PSRが出たら、旧版と差分比較を実施

5-4. 転記対応は、通関と原産地証明を分けて設計する

税関は、協定のHS年次とは別に、輸入申告は最新HSを使うべきことも示しています。 (税関総合情報)
つまり現場は、通関側は最新HS、原産地証明側は協定HSという二重管理を迫られます。これを前提に、システムと帳票の設計を先に決めることが、移行期の混乱を減らします。


6. 初期兆候を見逃すと、どこで損をするか

コスト増は関税だけではない

転記対応が遅れると、起きる損失は追加関税や否認リスクだけに留まりません。

・特恵適用の判断遅延による出荷リードタイム悪化
・監査での説明コスト増、資料再作成
・取引先からのコード整合性要求に対応できず、受注条件が不利になる
・品目マスター混乱による、社内の原価計算や購買条件の誤り

WCOのガイドも、HS改訂に合わせた原産地規則更新が、誤適用防止やリスク評価の効率化につながると述べています。
逆に言えば、更新を後追いすると、リスク評価と統制コストが上がります。


7. まとめ

HS2028の本番は、FTAの転記が動き出した瞬間から始まる

HS2028は2028年1月1日発効で、WCOは相関表や解説資料更新を含む準備期間を示しています。 (wcoomd.org)
しかし企業にとっての実質的な開始点は、次の初期兆候が見えた時です。

・協定HS年次差の注意喚起が強まる
・共同委員会や附属書改正でHS更新が正式化する
・協定条文に基づく転記手続が具体化する
・ポータルやシステムが新旧併記、移行運用を示し始める
・取引先と社内システムが先に動き、二重管理が現実になる

最も堅い戦略は、協定別のHS年次棚卸しと、重点品目のマッピング準備を先に終え、転記版PSRが出た瞬間に差分検証へ入れる体制を作ることです。これが、HS2028移行をコストではなく競争力に変える、現実的な先回りになります。


免責

本稿は一般的な情報提供を目的としています。個別取引におけるHS分類、特恵適用、原産地規則の判断は、協定正文、当局ガイダンス、専門家助言に基づき確認してください。

掲載記事に関するお詫びとご報告

平素は本ブログをご愛読いただき、誠にありがとうございます。

この度、本ブログに掲載いたしました「https://global-scm.com/hscf/archives/838 」の記事内容(税関のAIシステムに関する記述)につきまして、税関当局より「公表している事実はない」とのご指摘をいただきました。

社内にて事実関係を精査いたしましたところ、当該記事は生成AI(人工知能)によって作成された仮想の情報に基づいたものであり、実在しないニュースが含まれていることが判明いたしました。情報の真偽を確認することなく、誤った情報をあたかも事実であるかのように発信してしまったことは、情報発信者として極めて不適切な行為であり、深く反省しております。

本件により、税関関係者の皆様、および読者の皆様に多大なるご迷惑とご不快な思いをさせたことを、心より深くお詫び申し上げます。

当該記事につきましては、速やかに削除いたしました。今後は外部情報の取り扱いにおいて厳格な事実確認プロセスを徹底し、二度とこのような事態を繰り返さないよう、情報精度の向上と再発防止に努めてまいる所存です。

重ねて、この度の不始末を深くお詫び申し上げます。

2024年2月4日
株式会社ロジスティック
代表取締役 嶋 正和

樹脂・接着剤・有機化学品:初期8桁ウォッチリストを深掘りする

樹脂や接着剤、有機化学品を扱うビジネスでは、HSコードは通関のための番号にとどまりません。関税・原産地ルール・貿易統計・品目別の需要動向・規制対応まで、意思決定の土台になります。特に化学系は、同じ「樹脂」でも一次形状か溶液か、単体か混合品か、コポリマーかブレンドかで、分類や税務・規制が変わりやすい領域です。(Tulli Tilastot)

そこで効くのが、8桁でのウォッチリスト運用です。粒度が粗すぎると異変検知が遅れ、細かすぎると運用が回りません。8桁は、調達・営業・経理・貿易管理が同じ表を見て会話しやすい「実務の最小単位」になりやすいのが利点です。(Tulli Tilastot)

まず押さえる前提:6桁が共通、8桁は国や地域で変わる

HSは国際的な品目分類で、基本の共通部分は6桁です。国や地域は、その後ろに桁を追加して、より細かい管理(関税率・統計・規制)を行います。

日本でも、輸出入の申告・統計で用いる品目番号はより細かい桁数になり、先頭6桁がHSに対応するという整理が案内されています。

欧州では、8桁のCombined Nomenclature(CN)が、輸出入申告や統計の基盤として使われ、毎年改正されます。(Tulli Tilastot)

この記事では、8桁の具体例としてCN 2026のコードをベースに「初期8桁ウォッチリスト」を提示します。自社の国別コードに合わせる場合は、同じ6桁を核にして、自社が使う8桁または9桁・10桁へマッピングする、という考え方で読んでください。(Tulli Tilastot)

初期8桁ウォッチリストを「おすすめ」する条件

初期版の目的は、完璧な網羅ではありません。最小の手間で、経営に効く変化を早く拾うことです。おすすめの作り方は次の順です。

  1. 支出額または売上額が大きい原料・商品を優先する
  2. 価格変動が大きいもの、供給制約が出やすいものを優先する
  3. 規制や用途制限が絡みやすいものを優先する
  4. 上流の有機化学品と下流の樹脂・接着剤を「連鎖」で持つ
    例:スチレンとPS、塩化ビニルとPVC、イソシアネートとPUなど

こうして作った初期リストを、四半期ごとに見直すだけでも、誤分類リスクと機会損失を同時に減らしやすくなります。HSの位置づけ自体が貿易実務の中核であることは、税関・行政・国際機関の説明でも一貫しています。

おすすめ:樹脂・接着剤・有機化学品の初期8桁ウォッチリスト(CN 2026例)

以下のコードと英語の元表記は、CN 2026の該当章(化学品:Chapter 29・35、樹脂:Chapter 39)を参照し、品目名は日本語に要約しています。(Tulli Tilastot)

1) 樹脂(一次形状中心、Chapter 39)

8桁コード品目(要約)ビジネス上のウォッチ観点
39011010線状ポリエチレン(比重0.94未満)フィルム・包材、LD/LLDの境界
39011090ポリエチレン(比重0.94未満、その他)汎用LDPE、グレード混在
39012090ポリエチレン(比重0.94以上、その他)HDPE、容器・パイプ向け
39013000エチレン酢酸ビニル共重合体(EVA)粘着・靴材、配合で用途差
39014000エチレンαオレフィン共重合体(比重0.94未満)LLD系、供給先切替の影響
39021000ポリプロピレン(PP)自動車・家電、指数連動が強い
39023000プロピレン共重合体衝撃強度系、用途で価格差
39031100発泡用ポリスチレン(EPS)建材・緩衝材、季節変動
39031900ポリスチレン(その他)GPPS/HIPS、原料スチレン連動
39032000SAN透明・耐薬品、代替材との競合
39033000ABS家電・車載、上流原料の影響大
39041000PVC(他物質と混合なし)VCM連動、規制と代替の影響
39042100PVC(非可塑化)建材中心、需要の地域差
39042200PVC(可塑化)可塑剤とセットで監視
39043000塩化ビニル酢酸ビニル共重合体接着・塗料向け、配合で揺れる
39061000PMMA光学・透明材、グレード差
39069090アクリル系ポリマー(その他)粘着・塗料、用途で誤分類注意
39073000エポキシ樹脂2液系、硬化剤とのセット輸入
39074000ポリカーボネート(PC)BPA連鎖、規制・代替材
39076100PET(粘度数78 ml/g以上)ボトル材寄り、規格管理
39076900PET(その他)繊維・フィルム等、用途で需給分岐
39077000ポリ乳酸(PLA)バイオ系、用途拡大で区分注意
39081000ポリアミド(PA)ナイロン、上流の連鎖が強い
39091000尿素樹脂・チオ尿素樹脂木材用接着など用途限定が多い
39092000メラミン樹脂住宅・家具、原料メラミン連動
39093100ポリメリックMDI(粗MDI)PU系、化学品側との境界
39094000フェノール樹脂耐熱、用途が明確で管理しやすい
39095090ポリウレタン(その他)反応性、溶剤含有で分岐しやすい
39100000シリコーン(一次形状)電子・自動車、規格多様
39111000石油樹脂など(粘着付与材)粘着剤配合の要、原料連動

主な根拠例として、ポリエチレンの比重による区分、PPやPS、PVC、アクリル、エポキシ、PC、PET、PA、PU、シリコーン等の該当8桁は、CN 2026のChapter 39に明記されています。(Tulli Tilastot)

2) 接着剤(Heading 3506)

8桁コード品目(要約)ビジネス上のウォッチ観点
35061000小分け販売の接着剤(正味1kg以下)包装形態で分岐、販促品混入に注意
35069110光学用途の透明接着(FPD等向け)用途限定、証憑と用途説明が重要
35069190ポリマー系またはゴム系の接着剤(その他)汎用接着の母集団、処方変更が頻発
35069900その他の接着剤どこにも当てはまらない残りを管理

ここは包装形態と用途が決定打になります。小分け販売かどうか、またポリマー系か、用途限定かでサブヘディングが分かれます。(Tulli Tilastot)

3) 上流の有機化学品(Chapter 29中心)

樹脂と接着剤の8桁を見ても、上流の変化が拾えないと「なぜ価格が動いたか」が説明できません。初期ウォッチリストでは、次のようなモノマー・中間体を樹脂とセットで持つのが実務的です。

8桁コード品目(要約)ひもづく下流の例
29012100エチレンPE、EVA等
29012200プロペン(プロピレン)PP等
29025000スチレンPS、ABS、SAN等
29032100塩化ビニル(クロロエチレン)PVC等
29053100エチレングリコールPET等
29053200プロピレングリコールPU、樹脂用途の原料群
29101000エチレンオキシド(オキシラン)界面活性・ポリエーテル連鎖
29102000プロピレンオキシドポリオール連鎖
29103000エピクロロヒドリンエポキシ樹脂連鎖
29161100アクリル酸・塩アクリル系樹脂・粘着の原料群
29161200アクリル酸エステルアクリル系樹脂・粘着の原料群
29291000イソシアネートPU、接着剤の反応系
29336100メラミンメラミン樹脂
29337100カプロラクタムPA(ナイロン)

これらの8桁コードは、CN 2026のChapter 29に掲載されています。(Tulli Tilastot)

深掘りで差が出るポイント:8桁を「経営に効く情報」に変える

ここからが本題です。8桁を並べるだけでは、コスト削減もリスク低減も起きません。深掘りの焦点を、分類の分岐点と、意思決定に直結する変数に寄せるのがコツです。

1. 樹脂は「コポリマー・ブレンド」の判定基準が命

同じ用途でも、ホモポリマーなのかコポリマーなのか、ブレンドなのかで、見かけ上の商材名は似ていても分類上の扱いが変わり得ます。Chapter 39の注記では、コポリマーの考え方や、どのモノマーが重量で優勢かで分類する原則が示されています。(Tulli Tilastot)

運用の要点は、MSDSと技術データシートにある「組成の重量比」と「ポリマー種」を、品目マスタに必ず持たせることです。営業資料だけで判断すると、後から配合が変わった時に気づけません。

2. PEは比重0.94が一つの分水嶺

ポリエチレンは比重の閾値(0.94)で区分されるため、同じ「PE」でも型番変更や添加剤で比重が跨ぐと、8桁が変わる可能性があります。CN 2026の該当箇所でも、比重0.94未満と0.94以上でサブヘディングが分かれています。(Tulli Tilastot)

購買・品質・貿易の連携ポイントは、比重の根拠を試験条件(温度など)まで揃えておくことです。

3. 一次形状か、溶液か:溶剤比率で章を跨ぐことがある

樹脂を溶剤に溶かした「溶液」は、溶剤の重量比など条件によって、別の品目に移ることがあります。Chapter 39の注記では、揮発性有機溶剤中の溶液で、溶剤の重量が一定割合を超える場合などの扱いが示されています。(Tulli Tilastot)

接着剤やコーティング材はここで事故が起きやすいので、インボイス表記だけでなく、溶剤比率と形態(一次形状か、塗料的なものか)をチェック項目に入れるのが安全です。

4. 接着剤は「小分け販売」と「用途限定」が最重要

Heading 3506では、正味重量1kg以下の小分け販売かどうか、またポリマー系接着剤か、光学用途のような用途限定かで8桁が分かれます。(Tulli Tilastot)

現場でよくある落とし穴は、同じ製品でも包装形態だけ変えて輸入するケースです。現物は同じでも、包装が変われば8桁が変わり得るので、調達条件(容器、容量、セット構成)を購買発注書と同じ粒度で管理しておく必要があります。

5. セット品・二液キットは「混ぜた後の製品」で見る発想が必要

硬化剤と樹脂がセットになった二液キットは、個別に見るのか、セットとして見るのかが実務の論点になります。Section VIの注記には、混合してある製品を得るためのセットの扱いが示されています。(Tulli Tilastot)

この手の品目は、サンプル提供や試作段階で梱包が変わりやすいので、試作品を含めて早めに貿易管理がレビューできる体制が重要です。

6. 上流の8桁を持つと、価格と供給の説明力が上がる

樹脂や接着剤の価格は、上流のモノマー・中間体に引っ張られます。たとえば、スチレン(29025000)とPS/ABS/SAN、塩化ビニル(29032100)とPVC、エチレングリコール(29053100)とPET、エピクロロヒドリン(29103000)とエポキシ、イソシアネート(29291000)とPUというように、8桁同士の連鎖で見ると、調達説明が一段ラクになります。(Tulli Tilastot)

初期版では「上流8桁を持つのは全品目のうち上位10から20だけ」と割り切っても十分効果があります。

7. 改正対応は「年次更新」と「定期改正」の二層で設計する

8桁は国や地域で毎年更新されることがあります。CNも年次で改正されるという整理が明確です。(Tulli Tilastot)
一方で、HSの枠組み自体も定期的に改正されます。

運用としては、次の二層が現実的です。

  1. 年次でのコード改正チェック(8桁レベル)
  2. HS改正タイミングの構造変化チェック(6桁レベル)

すぐ回る運用テンプレ:月次30分で回すやり方

最後に、ビジネス側が回せる運用形に落とします。

  1. オーナーを決める
    調達か貿易管理が主担当、品証と経理を巻き込み役にする
  2. ウォッチ対象を3層に分ける
    重点(毎月):支出上位と規制高リスク
    標準(四半期):主要樹脂と主要接着剤
    監視(半期):周辺原料・代替材
  3. 変更トリガーを決める
    新グレード採用、配合変更、溶剤比率変更、包装形態変更、用途変更
  4. 証憑の最小セットを固定する
    仕様書、MSDS、用途説明、写真(包装含む)
  5. 例外処理をルール化する
    分類が割れる品目は「判断の根拠」を必ず残す
    外部照会(通関業者・専門家)を使う場合も、社内の決裁条件を決めておく

まとめ

樹脂・接着剤・有機化学品は、8桁でウォッチする価値が高い領域です。理由は単純で、分類の分岐点が多く、上流の市況変化や規制変化が下流の事業に直撃するからです。HSは6桁が世界共通で、8桁は国や地域で細分化されるという前提に立ち、初期版は「少数精鋭で回す」ことをおすすめします。(Tulli Tilastot)

注:本記事は一般的な実務の整理であり、最終的な品目番号の確定は、製品仕様と当局の運用、個別の通関判断に依存します。社内の貿易管理規程や通関実務の専門家と合わせて運用してください。

EVバッテリー分類:監査で問われる3つのリスク

はじめに:分類は「関税」だけでは終わらない

EVバッテリーは高額で、国際物流では危険物輸送や環境規制とも接続しやすい商材です。そのため、品目分類(HSコード)が一度ずれると、関税・特恵・規制対応が連鎖し、税関の事後調査(ポストクリアランス監査)で説明責任が一気に重くなります。

制度面でも、世界貿易機関の貿易円滑化協定は、各国が事後調査を採用し、結果をリスク管理に活用することを求めています。(WTO)
つまり、監査は例外イベントではなく、前提として組み込むべきリスクです。

本稿では、EVバッテリー分類を監査目線で深掘りし、監査で問われやすい3つのリスクと、ビジネス側で実装できる対策まで落とし込みます。なお、品目分類は最終的に各国税関の判断が前提です。迷う論点は事前教示(アドバンスルーリング)等で当局見解を取りに行くことが、監査コストを最小化します。(税関総合情報ポータル)

前提整理:なぜEVバッテリー分類は監査論点になりやすいのか

監査は「申告の整合性」を再構成してくる

監査の本質は、結論としての税番よりも、当時の申告が取引実態と整合していたかの検証です。世界税関機構のPCAガイドラインでも、事後調査は企業の商取引システムや契約、会計・非会計記録などの記録群を検証してコンプライアンスを測る、と整理されています。(世界関税機関)
EVバッテリーは、仕様変更や梱包形態の違いが起きやすく、この整合性が崩れやすい領域です。

バッテリーは税・物流・環境が連鎖しやすい

バッテリーは、通関分類だけでなく、危険物輸送の試験証跡、返品・回収品の取り扱い、国境を越える場合の環境手続など、社内の複数部門データがつながります。部門ごとに言葉がずれると、監査で矛盾として浮き上がります。

提示形態で分類論点が変わる

セル、モジュール、パック、さらに制御・保護部品とのセットのされ方で、説明が難しくなります。ここで重要なのは、機能として蓄電池なのか、あるいは別の機器・部品として提示されているのかを、当時の提示形態に即して説明できるかです。

まず押さえる分類の土台:85.07(蓄電池)とバッテリーパック

HS上の位置づけ

HS2022では、85.07が電気式蓄電池で、リチウムイオンは8507.60に位置づきます。(世界関税機関)
実務では、まず85.07を起点に、各国の国内細分に落とす流れになります。

バッテリーパックが85.07に属し得る理由

監査で誤りが出やすいのが、いわゆるバッテリーパックです。日本税関の関税率表解説では、セルを連結する回路を有する蓄電池(バッテリーパック)は、接続子、温度制御装置、回路保護装置、保護ハウジングなどの補助機構を含むか否かを問わず85.07項に属し、たとえ特別な装置とともに使用されるよう設計されていても85.07項に属する、と明確に整理されています。
この一文を説明できるかどうかが、監査での勝敗を分けやすいポイントです。

同じ解説では、使用済み蓄電池やそのくずは85.49に区分されることも明示されています。返品・回収品が絡む場合、ここがリスク3に直結します。

監査で問われる3つのリスク

リスク1:課税リスク(追徴、加算、延滞、そして利益率の毀損)

分類のずれが最初に刺さるのは課税です。税差が大きいほど、監査では重要度が上がります。加えて、特恵関税を適用している場合は、原産地ルール判定の前提(HS)が崩れ、影響範囲が広がります。

監査で典型的に起きるパターンは次の通りです。

  1. バッテリーパックを別の枠(例:車両部品としての扱い)で説明していた
    当局側から見ると、なぜ蓄電池として扱わなかったのかが質問になります。85.07に属し得る根拠を、当時の提示形態と機能で説明できないと不利になります。
  2. 仕様変更やサプライヤー変更で、社内マスターと実物がずれていた
    監査は、品名、型番、仕様書、BOM、写真、梱包形態から申告貨物を再構成します。事後調査が記録群を検証するプロセスであることは、WCOのPCAガイドラインの定義とも一致します。(世界関税機関)
  3. 申告の説明が「結論のみ」で、根拠が残っていない
    事後調査は過去が対象です。根拠資料が残っていないと、当時正しかったことを示せません。

実務対策の要点は、税番の正解を当てることに加え、当時の判断材料と判断プロセスを再現できる形で残すことです。

リスク2:貿易政策リスク(対象品目の特定ミスが「回避」疑義につながる)

EVバッテリーは政策対象になりやすい分野で、当局目線では分類が各種措置の入口になります。ここで問題になるのは、単なる誤りとしての分類ミスを超えて、結果として政策措置の適用を回避したように見えるリスクです。

特に次の条件が重なると、説明責任が重くなります。

  1. 高額で税額影響が大きい
  2. グループ内取引など取引形態が複雑
  3. 仕様や品名が曖昧で、仕様書が弱い
  4. 物流書類と通関書類で貨物説明がずれている

実務対策の要点は、分類メモを税番を決める紙ではなく、疑義を潰す紙として作ることです。最低限、次は揃えます。

  1. その製品の機能を一文で言い切る
  2. 付属部品が蓄電池の機能に寄与する補助機構であることを整理する
    日本の関税率表解説が、補助機構を含んでも85.07に属する旨を示しています。
  3. 提示形態を証拠化する
    梱包写真、構成表、同梱物一覧は、後から効く証跡です。

リスク3:安全・環境リスク(危険物輸送と使用済み境界の崩壊)

ここがEVバッテリー特有の深い落とし穴です。分類は税関申告だけではなく、危険物輸送と環境規制のデータとも結びつきます。

論点A:UN38.3試験とテストサマリーの整備不足

リチウム電池は、国連の試験・基準マニュアルの38.3で試験手続が示されています。UN Manual of Tests and Criteria (国連欧州経済委員会)
米国のPHMSAは、リチウム電池のテストサマリー要件が2022年1月1日に有効となり、その後2024年5月10日に改訂が有効になったことを明示しています。(パイプラインおよび有害物質安全管理局)

監査で起きやすいのは、申告は新品の蓄電池なのに、危険物輸送側の証跡(試験、テストサマリー、型番一致)が出せないケースです。この場合、分類以前に貨物の同一性が疑われます。

論点B:新品と使用済み・くずの境界

HS2022では、電気電子機器の廃棄物・くずとして85.49が整理され、使用済み蓄電池の定義も示されています。具体的には、8549.11から8549.19における使用済み蓄電池は、破損や摩耗などで使用できず、再充電もできないもの、とされています。(世界関税機関)
日本の関税率表解説でも、使用済み蓄電池やそれらのくずは85.49と整理されています。

EVでは、返品、解析返送、リファービッシュ、リコール回収などが混在します。社内では返品でも、外形的に回収・処分目的に見えると、分類だけでなく必要手続も変わり得ます。

論点C:国境を越えると環境手続が重くなる

バーゼル条約の電子廃棄物改正は、2025年1月1日に発効したと公式に示されています。(バーゼル条約)
返品・回収品が環境手続の対象に見える状況で、通関上は新品として扱っていると、書類全体の整合性が崩れます。

実務対策の要点は、分類担当だけで完結させず、通関、物流(危険物)、品質保証(試験証跡)、環境(廃棄物手続)を型番単位でつなぐことです。

監査に強い会社がやっている実務設計

1. 分類根拠を再現可能なメモにする

次の要素を必ず入れます。

  1. 製品の機能、構造、用途
  2. セル、モジュール、パックの構成と同梱物
  3. 補助機構の役割(接続子、温度制御、回路保護、ハウジングなど)
    バッテリーパックが補助機構を含んでも85.07に属するという整理が根拠になります。
  4. 結論の税番(HS6桁と国内細分)
    HS2022上の8507.60(リチウムイオン)など、HS側の位置づけも紐づけます。(世界関税機関)
  5. 判断に使った証跡の所在(仕様書、BOM、写真、テストサマリー、梱包資料)

2. 事前教示を戦略的に使う

日本税関は、輸入予定貨物の税番や税率等について事前に照会し、回答を受けられる制度を案内しています。(税関総合情報ポータル)
論点が割れる可能性がある型番は、監査で争うよりも、早期に当局判断を取りに行く方が総コストを抑えやすいです。

3. 変更管理を分類の仕組みに入れる

分類ミスそのものより、ミスが放置された状態が監査で致命傷になりがちです。最低限、次をルール化します。

  1. 型番変更、材料変更、BMS設計変更、梱包変更のたびに分類レビュー
  2. サプライヤー変更時に、仕様書と写真を再取得し同一性を確認
  3. 危険物輸送の証跡と税番情報を型番で紐づけ

監査が記録群を検証する以上、記録の整合性が通る仕組み作りが本質です。(世界関税機関)

よくある監査質問と、即答できる答え方

質問1:なぜこの貨物は85.07なのか

答えの骨子は、蓄電池の機能と提示形態です。バッテリーパックが補助機構を含んでも85.07に属すること、特定機器用に設計されていても85.07に属することを、当局向けに言語化します。

質問2:UN38.3試験とテストサマリーはあるか。型番と一致するか

国連マニュアルの38.3で試験手続が示されていること、米国PHMSAがテストサマリー要件の発効日と改訂日を明示していることを踏まえ、証跡の所在と更新管理を即答できるようにします。(国連欧州経済委員会)

質問3:返品・回収品は新品か、使用済みか。分類と手続の整理は

使用済み蓄電池の定義(再充電できない等)と85.49の位置づけを理解し、契約書と物流指示書の言葉まで含めて整合させます。(世界関税機関)
国境を越える場合は、バーゼル条約の改正発効日(2025年1月1日)を前提に、社内フローが動くようにします。(バーゼル条約)

まとめ:監査で強いのは「分類の正解」より「説明の再現性」

EVバッテリー分類は、課税、貿易政策、安全・環境が一本の線でつながる領域です。監査で問われるのは、結論の税番よりも、当時の実物に基づき説明できるか、そして同じ判断を社内で再現できるかです。(世界関税機関)

今日からの優先順位は次の通りです。

  1. 主要型番について、分類根拠メモを整備する
  2. 危険物輸送の証跡(UN38.3、テストサマリー)と税番を型番で紐づける
  3. 返品・回収品の新品と使用済みの判断基準を、契約と物流指示書の言葉まで揃える
  4. 迷う論点は事前教示で当局見解を取り、監査リスクを先に潰す (税関総合情報ポータル)

HS 2028改正の骨格が確定。WCOが示した世界共通6桁の全貌と企業が直面するシステム移行のマラソン

2026年1月31日、世界税関機構(WCO)から、全世界の貿易実務者にとって極めて重要なマイルストーンとなる情報が発信されました。それは、2028年1月1日に発効する第8次HS条約改正(HS 2028)における、世界共通の6桁コードの変更内容が最終確定し、現行のHS 2022との相関表(Correlation Tables)のドラフト配布が開始されたというニュースです。

これは単なる事務連絡ではありません。2年後に迫った新ルールへの移行に向け、企業のシステム改修やマスタデータ更新のカウントダウンが正式に始まったことを意味します。

本記事では、今回確定した変更内容のポイントと、このニュースを受けてビジネスマンが今すぐ着手すべき準備について解説します。

HSコードの6桁が確定したことの重大な意味

貿易実務においてHSコードは世界共通言語ですが、厳密に世界で統一されているのは上6桁までです。それ以降の桁数は国ごとに自由に設定されます。今回、WCOが確定させたのは、この世界共通部分である6桁の構造です。

これが確定したということは、もはや議論のフェーズは終わり、実装のフェーズに入ったことを示唆します。これから2028年にかけて、日本、米国、EUなどの各加盟国は、この6桁をベースに自国の関税率表(9桁や10桁)を作成する作業に入ります。

企業にとって重要なのは、相関表(Correlation Tables)が提示された点です。これは、今のコードが将来どのコードに変換されるかを示す対照表であり、システム移行のための設計図そのものです。これが入手可能になったことで、IT部門や通関部門は具体的な影響範囲の特定が可能になりました。

今回の改正を貫く2つの主要テーマ

HS 2028の改正内容は多岐にわたりますが、ビジネスに直結する大きな潮流は環境とテクノロジーの2点に集約されます。

環境物品の可視化と循環経済への対応

もっとも大きな変更点は、環境関連物品の細分化です。これまでのHSコードでは、廃棄物やリサイクル原料は大雑把な分類しかされていませんでした。しかし、HS 2028では、使用済みプラスチック、電子廃棄物(e-waste)、そしてバイオ燃料などの分類が劇的に細かくなります。

これは、国境を越えるリサイクル資源の移動を管理しやすくするためであり、同時に環境物品への関税撤廃や、逆に環境負荷の高い物品への課税強化を行うための布石でもあります。サステナビリティを掲げる企業にとって、自社のリサイクル材がどの新コードに落ちるかは、コンプライアンス上の最重要確認事項となります。

新技術製品の独立分類

もう一つの柱は、急速に普及した新技術への対応です。例えば、ドローン、3Dプリンター、特定のAIハードウェア、次世代半導体素材などが、従来のその他分類から独立し、固有の場所を与えられます。

これにより、ハイテク製品の貿易統計が正確になると同時に、特定の技術製品を狙い撃ちにした関税設定や輸出管理が容易になります。該当製品を扱うメーカーは、関税率が変動するリスクを織り込む必要があります。

最大のリスクはFTA原産地規則との乖離

コードが変わることで最も警戒すべき実務上の落とし穴は、自由貿易協定(FTA/EPA)の原産地証明です。

多くのFTAでは、原産地規則(関税分類変更基準など)が、協定発効時の古いHSコードに基づいて定義されています。HS 2028が導入されると、通関申告は2028年版で行う一方、原産地判定は2017年版や2022年版のコードに変換して行わなければならないという、二重管理の状態が発生します。

WCOによる相関表の公開は、この変換作業を正確に行うための公式な定規が配られたことを意味します。この定規を使わずに感覚で変換を行えば、原産地規則の適用ミスによる脱税や事後調査での否認につながります。

企業が今すぐ開始すべき3つのアクション

2028年はまだ先だと思われるかもしれませんが、基幹システムの改修には年単位の時間を要します。以下の3つのステップで準備を開始することを推奨します。

影響分析の予算化とチーム組成

まず、自社が取り扱っている製品のうち、どの程度がHS 2028の影響を受けるかを洗い出す必要があります。今回配布された相関表を用いれば、コードが変わる品目のリストアップが可能です。IT部門と通関部門によるタスクフォースを立ち上げ、システム改修に必要な予算を来期の計画に盛り込む必要があります。

マスタデータのクレンジング

移行作業をスムーズにするためには、現状のデータが綺麗であることが大前提です。現在使用しているHSコードに誤りがないか、製品情報(成分、材質、用途)が最新の状態に更新されているかを確認してください。ゴミデータのまま新コードへ移行しようとすると、自動変換の精度が落ち、手作業の修正コストが膨れ上がります。

サプライチェーン全体への周知

自社だけでなく、海外のサプライヤーや現地法人に対しても、2028年改正に向けた準備を促す必要があります。特に、部品表(BOM)のHSコード更新は、サプライヤーからの情報提供がなければ完了しません。早期にアナウンスを行うことで、直前の混乱を避けることができます。

まとめ

WCOによるHS 2028の最終確定は、グローバルビジネスにおけるルール変更の合図です。

新しいコード体系は、環境配慮や新技術といった時代の要請を反映したものであり、これに適応できない企業は、通関の遅延や関税コストの増加というペナルティを支払うことになります。

相関表という地図は手渡されました。あとは、2028年1月1日というゴールに向けて、着実にシステムと業務を適合させていく実行力が問われています。