本文での用語(統一)
- 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)
- この類に入る代表例(3〜6個):
- 雨傘、日傘(手に持つ一般的な傘) 66.01(例:折りたたみ傘は 6601.91)
- ガーデンパラソルやビーチパラソルなど、スタンド等に固定して使うタイプの傘 6601.10
- つえ(walking-stick)、腰掛け付きつえ(シートステッキ) 66.02
- 乗馬用むち、むち 66.02
- 傘の骨や中棒、持ち手など、66.01 または 66.02 の部分品 66.03(例:傘の骨は 6603.20)
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- ものさし兼用のつえ等(測定用途が本体のもの) 第90類 90.17
- 仕込みづえ、ステッキ銃、護身用に鉛を詰めたつえ等(武器性があるもの) 第93類(武器)
- がん具の傘等(明らかに玩具) 第95類
- 傘のケース、タッセル、ひも、カバー等(傘等に取り付けていない状態で提示されるもの) 66.03 ではなく別分類
- 傘またはアンブレラテントの特性を持たないビーチテント 第63類 63.06
- 松葉づえ(いわゆる医療用クラッチ) 第90類 90.21
- ゴルフクラブ、ホッケーステッキ、スキーストック、登山用ピッケル等 第95類
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- 完成品か、部分品か、付属品だけか(66.01/66.02/66.03 または別分類)
- 66.03に該当すると見えても、繊維製の部分品や傘袋などは注で除外される(別分類になる)
- つえに見えても、測定用途(90.17)や武器性(93類)やスポーツ用品(95類)や医療用(90.21)に該当しないか
- (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
- 仕込みづえ等を通常のつえとして扱ってしまい、武器規制・輸入手続に抵触するリスク(分類以前にコンプライアンス問題化します)
- 持ち手に象牙等の規制対象素材が含まれるのに、種規制(CITES等)を見落とすケース

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)
1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)
- この類で特に効くGIR
- GIR1:見出しと注で決めるのが中心です。第66類は注に明確な除外(90.17、93類、95類)と、66.03の除外(繊維製部分品やケース等)が書かれており、まず注を確認するのが最短ルートです。
- GIR6:同じ項内で6桁まで落とす際に使います。例えば傘(66.01)では、ガーデン用等(6601.10)か、折りたたみ等(6601.91)か、その他(6601.99)かが実務分岐です。
- GIR2(a):未完成品や未組立品を扱う場合に効きます。例として、傘の骨や中棒などが単体で輸入される場合、完成品ではなく部分品(66.03)として評価する場面が出ます。ただし、何が「部分品」として認められるかは注と品物の状態で慎重に判断します。
- 「品名だけで決めない」ための観点
- 用途:雨よけ・日よけの傘なのか、測定用(90.17)や医療用(90.21)やスポーツ用(95類)なのかで大きく分かれます。
- 状態:完成品か、未完成品か、部材(骨・中棒・握りなど)か。未加工の棒材レベルだと第14類や第44類に寄る場合があります。
- 取り付け状態:傘袋・タッセル等が「取り付け済み」か「同梱だが未取り付け」かで、66.03に入るか別分類かが変わり得ます。
- 武器性:仕込み等があると、そもそも第66類ではなく第93類の方向になります。
1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)
- Step1:対象は完成品ですか、部材・付属品だけですか
- 完成品なら Step2へ
- 部材・部分品なら Step4へ
- Step2:完成品が「傘または日傘」か、「つえ・むち類」か
- 傘・日傘なら 66.01 を起点に検討
- つえ・シートステッキ・むち・乗馬用むちなら 66.02 を起点に検討
- Step3:類注1の除外に当たらないか
- 測定用つえ等なら 90.17
- 仕込みづえ等なら 93類
- 玩具の傘等なら 95類
- つえ類でも医療用(松葉づえ)やスポーツ用の棒状器具は別章になり得ます(90.21、95類など)
- Step4:部材・部分品は 66.03 でよいか(注2チェック)
- 傘骨など「骨組み」なら 6603.20 の可能性
- 持ち手、中棒、先端金具など「その他の部分品」なら 6603.90 の可能性
- ただし、繊維製の部分品やカバー、タッセル、ひも、傘袋などは 66.03 から除外され、取り付けられていない状態なら別分類です。
- よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
- 第66類 66.01(アンブレラテント等)と、第63類 63.06(ビーチテント等)の境界:傘の特性を有するかが鍵になります。
- 第66類 66.02(つえ)と、第90類 90.21(松葉づえなど医療用)
- 第66類 66.02(つえに見える)と、第95類(スポーツ用のクラブやスキーストック等)
- 第66類(つえに見える)と、第93類(仕込みづえ等の武器)
2. 主な項(4桁)とその内容
2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 6601 | 傘・日傘(つえ兼用傘、ガーデン用等を含む) | 雨傘、日傘、折りたたみ傘、ガーデンパラソル、ビーチパラソル、アンブレラテント | 玩具の傘は95類。傘の特性を有しないビーチテントは63.06。6桁で 6601.10 と 6601.91/6601.99 に分岐。 |
| 6602 | つえ、シートステッキ、むち、乗馬用むち等 | つえ、腰掛け付きつえ、羊飼いのつえ、乗馬用むち | 測定用つえは90.17、松葉づえは90.21、スポーツ用のクラブ等は95類、仕込みづえ等は93類。 |
| 6603 | 66.01または66.02の部分品・トリミング・付属品 | 傘骨、リブ、中棒、握り、石突き、バネ、骨先金具、むちの握り等 | 注2で繊維製部分品やカバー、タッセル、ひも、傘袋等は除外。提示時に取り付けていないと別分類。傘骨は6603.20、その他は6603.90が基本。 |
2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)
- 分岐条件の整理(第66類で出やすいもの)
- 6601.10 と 6601.9系(6601.91/6601.99)
- 6601.10:ガーデン用等の傘(固定して使うタイプを含む)
- 6601.91:中棒が伸縮式(折りたたみ式)
- 6601.99:それ以外
- 日本税関の解説では、固定して使う傘(座席・テーブル・スタンド等に取り付けるタイプ)も 6601.10 に含まれ得る旨が示されています。
- 6603.20 と 6603.90
- 6603.20:傘の骨(骨組み)。中棒に取り付けた骨組みも含む
- 6603.90:その他(握り、中棒、ランナー、先端金具など)
- 66.03に見えるが注2で除外されるもの
- 繊維製の部分品、カバー、タッセル、ひも、傘袋などは、66.03に入らない取り扱いが明示されています。
- 6601.10 と 6601.9系(6601.91/6601.99)
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
- 6601.10 と 6601.91/6601.99
- どこで分かれるか:用途と構造(固定して使うガーデン用等か、携帯用傘か。携帯用なら伸縮式かどうか)
- 判断に必要な情報:設置方法(手持ちか、スタンド固定か)、中棒構造(伸縮式か)を仕様書や写真で確認
- 典型的な誤り:大型パラソルを「日傘」とだけ記載して 6601.99 に寄せてしまう
- 6603.20 と 6603.90
- どこで分かれるか:骨組みそのものか、握り・中棒・先端部品等か
- 判断に必要な情報:部品名称、図面、組立位置(傘骨アッセンブリか、ハンドル単体か)
- 典型的な誤り:傘の中棒や握りを「フレーム」と誤記し 6603.20 に入れてしまう
- 6603 と 別章(傘袋やカバー等)
- どこで分かれるか:注2により、取り付けられていない傘袋等は 6603 にしない
- 判断に必要な情報:取付状態(装着済みか、同梱のみか)、素材(繊維、プラ、革等)
- 典型的な誤り:傘と傘袋をまとめて「付属品だから 6603」としてしまう
- 6601.10 と 6601.91/6601.99
3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)
3-1. 関連する部注(Section Notes)
- ポイント要約:
- HS2022のWCO公開資料の構成では、Section XII(第64類〜第67類)について独立したSection Notes(部注)のPDFが提示されておらず、実務上は各類注と、除外先(第90類、第93類、第95類など)の規定との関係が中心になります。
- 実務での意味(具体例つき):
- 傘袋やタッセル等が「部分品」かどうかは、部注ではなく第66類注2の規定で処理します(取り付けていなければ別分類)。
- “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
- 第66類そのものの注で、90.17、93類、95類へ飛ぶ構造です(類注が主役)。
3-2. この類の類注(Chapter Notes)
- ポイント要約:
- 注1:測定用つえ(90.17)、仕込み等の武器性があるつえ(93類)、玩具の傘等(95類)を除外します。
- 注2:66.03(部分品等)から、繊維製部分品、カバー、タッセル、ひも、傘袋などを除外します。これらが傘等と一緒に提示されても、取り付けていないなら別分類です。
- 用語定義(定義がある場合):
- 伸縮式中棒(telescopic shaft)という機能的な区分が 6601.91 にあります(日本税関解説では折畳み式と説明)。
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
- 測定用つえ等 90.17
- ステッキ銃、仕込みづえ、鉛入り護身用つえ等 93類
- 玩具の傘等 95類
- 傘の特性を有しないビーチテント 63.06(日本税関解説で例示)
- 松葉づえ 90.21、スポーツ用の棒状器具(ゴルフクラブ等) 95類(日本税関解説で例示)
4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)
- 影響ポイント1:つえ・棒状品は「機能」で章が飛びます(注1と日本税関解説)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 測定機能があるか(目盛りが装備され、測定用途が前提か)
- 武器性があるか(刃や発射機構、加重など護身用加工)
- 医療用補助具か(松葉づえ等)
- スポーツ用具か(ゴルフクラブ、スキーストック等)
- 現場で集める証憑:
- 製品仕様書、構造図、写真(外観だけでなく内部構造が分かる資料)
- 用途説明(取扱説明書、カタログ、販売ページの用途記載)
- 誤分類の典型:
- 「つえ」という品名だけで 66.02 と決め、実は測定用や武器性があり別章だった
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント2:66.03(部分品)に見えても、注2で外に出されます
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 対象が繊維製の部材か(例:傘地のみ、カバーのみ)
- 傘袋・タッセル等が「取り付け済み」か「同梱だが未取り付け」か
- 現場で集める証憑:
- 梱包明細、セット内容表、組立状態の写真
- 素材情報(繊維か、樹脂か、革か、金属か)
- 誤分類の典型:
- 交換用の傘地や傘袋を、傘の部分品として 66.03 に入れてしまう
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
5. 分類でよくある間違い(原因→対策)
- 間違い:
- 傘袋やケースを、傘の部分品として 66.03 に入れてしまう
- なぜ起きる:
- 「傘の付属品だから部分品」という思い込み
- 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):
- 第66類注2で、傘袋等は 66.03 に含めない旨が明記され、傘等と一緒でも未取り付けなら別分類です。
- 予防策:
- 取り付け状態を確認(装着済みか、同梱だけか)
- 素材と形状に応じた別分類候補を検討し、必要なら税関相談
- 間違い:
- 交換用の傘地(繊維製)を 66.03 に入れる
- なぜ起きる:
- 「傘の部材=66.03」と短絡しやすい
- 正しい考え方:
- 第66類注2で繊維製の部分品等は 66.03 から除外されます。
- 予防策:
- 傘地単体か、骨組み等と一体かを確認
- 素材(繊維、樹脂、紙など)と加工状態(裁断済み、縫製済み)を仕様書で確認
- 間違い:
- 仕込みづえを通常のつえ(66.02)として申告する
- なぜ起きる:
- 外観がつえに見える、品名も「つえ」になりがち
- 正しい考え方:
- 第66類注1で、仕込みづえ等は第93類へ除外されます。
- 予防策:
- 構造確認(内部に刃や発射機構がないか)
- 仕込み・武器性が疑われる場合は、分類以前に輸入規制の確認を最優先に実施
- 間違い:
- 松葉づえ等の医療用補助具を 66.02 に入れる
- なぜ起きる:
- 「つえ」と同じ棒状で混同する
- 正しい考え方:
- 日本税関解説で松葉づえは 90.21 に除外されると整理されています。
- 予防策:
- 用途(医療・補助具としての設計か)と販売区分(医療機器相当か)を確認
- 医療用途なら第90類側の見出しも併せて確認
- 間違い:
- ゴルフクラブやスキーストック等を 66.02 に入れる
- なぜ起きる:
- 「棒状=つえ」と誤認
- 正しい考え方:
- 日本税関解説で、スポーツ用具は第95類へ除外される例が示されています。
- 予防策:
- 用途と競技用規格の有無を確認
- スポーツ用品売場で流通する物は第95類を優先的に検討
- 間違い:
- ビーチテントを 66.01(アンブレラテント)として扱う
- なぜ起きる:
- 「日よけ=傘」という連想
- 正しい考え方:
- 日本税関解説では、傘等の特性を有しないビーチテントは 63.06 と整理されています。
- 予防策:
- 構造(中棒と骨組みで開閉する傘形態か、布製テント形態か)を写真と仕様で確認
- 間違い:
- 66.03のうち「傘の骨」と「その他部品」を取り違える(6603.20 と 6603.90)
- なぜ起きる:
- 仕入先の部品名が曖昧(frame、shaft等)
- 正しい考え方:
- HS条文上、傘の骨(骨組み)が 6603.20、その他が 6603.90 です。
- 予防策:
- 部品の機能と位置を図面で特定し、骨組みアッセンブリか否かを確認
- 間違い:
- つえ用に「未加工の木・とうの棒」を 66.02 とする
- なぜ起きる:
- 将来つえになる予定であることだけで判断してしまう
- 正しい考え方:
- 日本税関解説では、単なる粗けずりや丸めただけの木・とうは第14類や第44類に該当し得る一方、曲げ・ねじり等の加工がある未完成つえは 66.02 に含み得ると整理されています。
- 予防策:
- 加工度(つえとしての形状・加工がどこまで進んでいるか)を工程表と現物写真で確認
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係
- HSの付番がPSR選択に直結します
- 例として、完成品の傘(66.01)と、傘の骨(66.03)では、同じサプライチェーンでも適用される品目別規則が変わり得ます。まず最終製品のHS6桁を固めることが前提です。
- よくある落とし穴
- 最終製品のHS(66.01等)と、非原産材料のHS(生地、金属部品等)が混線する
- 66.03に入ると思っていた部材が注2で別分類となり、材料HSが想定と変わる
6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)
- 日本税関の原産地規則ポータルでも、協定により採用HS年版が異なるため、協定が採用する年版のHSコードで検索する必要がある旨が明記されています。
- RCEPについては、HS2012に基づく品目別規則をHS2022へ置換した規則が採択され、2023年1月1日から実施と案内されています。
- トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
- 輸入申告は最新の国内コード体系で行いつつ、原産地証明書やPSR適用は協定が指定するHS年版に合わせる必要があるため、相関表や税関の案内を使って対応関係を確認します。
6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)
- 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提を整理します。一般的な原産地規則の考え方や必要要件は税関資料で確認できます。
- 証明書類・保存要件(一般論)
- 協定ごとの手続要件(証明方法、保存期間等)を確認し、社内で証跡管理(BOM、製造工程、仕入証憑)を整備します。
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)
7-1. 変更点サマリー(必須:表)
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 変更なし | 6601.10、6601.91、6601.99、6602.00、6603.20、6603.90 | 第66類の見出し・注・6桁体系は同一 | HS6桁ベースの分類実務は基本的に継続。協定や国内細分の更新は別途確認が必要 |
7-2. 「違うことになった根拠」(必須)
- 変更なしと判断した根拠
- WCOが公開するHS2017の第66類条文と、HS2022の第66類条文を突合すると、注の構成(90.17、93類、95類の除外、66.03の除外)および6桁の号(6601.10、6601.91、6601.99、6602.00、6603.20、6603.90)が一致しています。
- よって、少なくともHS6桁レベルではHS2017からHS2022でコード体系の変更はないと整理できます。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
- HS2007→2012→2017→2022の流れでの主要な追加・削除・再編(第66類の範囲)
| 期間 | 変更内容 | 旧コード | 新コード(行き先) | 補足 |
|---|---|---|---|---|
| HS2002→HS2007 | 削除 | 6603.10(Handles and knobs) | 6603.90(Other)へ包含 | WCOの2007年改正資料で 6603.10 削除が明示され、相関表でも 6603.10 の削除と 6603.90 への統合が示されています。 |
| HS2007→HS2012 | 変更なし | なし | なし | 日本税関のHS2012(2012年1月版)でも、66.01の3区分、66.02、66.03(6603.20と6603.90)が確認できます。 |
| HS2012→HS2017 | 変更なし | なし | なし | WCO公開条文で第66類の6桁体系が同一です。 |
| HS2017→HS2022 | 変更なし | なし | なし | 前記の通り。 |
- 実務メモ
- 古いマスタや取引先資料で「6603.10」を見かけた場合、現行のHSでは存在しないため、通常は 6603.90 を起点に、品物が握り・ノブ等に当たるか確認するのが現実的です。
9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)
- 事例名(短く):傘袋を部分品として一括申告してしまう
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第66類注2の趣旨に反し、未取り付けの傘袋等を 66.03 の部分品扱い
- 起きやすい状況:セット販売で傘と袋が同梱、インボイス上「umbrella set」としか書かれていない
- 典型的な影響:分類補正、税番訂正、必要資料の追加提出、通関遅延
- 予防策:セット明細と取付状態を明確化し、傘と袋は別行で記載する
- 事例名:仕込みづえを通常のつえとして申告
- 誤りの内容:第66類注1により第93類へ除外される物品を 66.02 で申告
- 起きやすい状況:外観がつえ、商品名も「cane」
- 典型的な影響:輸入差止め、規制当局対応、没収・返送等のリスク
- 予防策:武器性の有無を仕様段階で確認し、該当する場合は輸入規制を優先確認
- 事例名:医療用の松葉づえを 66.02 に分類
- 誤りの内容:日本税関解説で 90.21 に除外される物品を 66.02 として処理
- 起きやすい状況:医療用と一般用の境界が曖昧な歩行補助具
- 典型的な影響:分類補正、追加資料要求、通関遅延
- 予防策:医療用設計か、販売区分・規格・用途をインボイスとカタログに明記
- 事例名:ビーチテントをアンブレラテントと誤認
- 誤りの内容:傘の特性がないテントを 66.01 として処理(本来 63.06 寄り)
- 起きやすい状況:販促資料で「sun shelter」「parasol tent」など表現が混在
- 典型的な影響:分類補正、検査対象化、引取り遅延
- 予防策:構造写真と組立説明を準備し、傘構造かテント構造かを明確化
10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
- その他の許認可・届出
- 武器類(第93類相当品)の輸入承認
- 仕込みづえ等はHS上も第66類の除外対象で、武器類として扱われ得ます。武器類は外為法に基づく輸入承認が必要となる品目がある旨が経済産業省および税関案内で示されています。
- 確認先:経済産業省(輸入承認)および税関の案内
- 武器類(第93類相当品)の輸入承認
- ワシントン条約(CITES)等の種規制
- 傘やつえの握り・装飾に、象牙、べっこう等の規制対象種由来素材が使われる可能性があります(日本税関解説でも、握り素材の例として象牙等が挙げられています)。
- 規制対象種かどうかの確認方法や、輸出国の許可書の必要性、非規制種であることを税関が確認できるようインボイス等へ学名等を記載する実務的要請が、経済産業省の案内に示されています。
- 確認先:経済産業省のCITES案内、税関相談窓口
- 検疫・衛生(SPS等)
- 第66類は食品や動植物検疫の中心章ではありませんが、天然素材(動物由来、植物由来)を含む場合は別途規制がないか確認が必要です。該当する場合のみ個別に当局情報を確認してください。
- 実務での準備物(一般論)
- 製品仕様書(素材内訳、学名、写真)、構造図、用途説明
- 規制該当時は許可証・証明書一式の写しを入手し、インボイス記載を整備
11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 完成品か部材か(傘、つえ、むち、骨、握り等)
- 用途(雨よけ、日よけ、測定、医療、スポーツ、護身)
- 取付状態(傘袋やタッセルが装着済みか)
- 素材(繊維、金属、樹脂、革、動植物由来素材)
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 注1の除外(90.17、93類、95類)に該当しないか
- 66.03の注2除外(繊維製部材、傘袋等)に該当しないか
- アンブレラテントとビーチテントの境界(63.06)を再確認
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- 品名を具体化:folding umbrella、garden parasol、umbrella frame、umbrella handle 等
- セット品は内訳を分解し、未取り付け付属品は別行に
- 写真・仕様書・材質表を添付できるよう準備
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 協定が参照するHS年版でPSRを確認(税関ポータルの注意書きを遵守)
- RCEPはHS2022置換規則の適用関係を確認
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 武器類該当の有無(仕込みづえ等):METI輸入承認や税関案内を確認
- CITES該当の有無:学名、許可書、インボイス記載
12. 参考資料(出典)
- WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
- WCO HS Nomenclature 2022 edition(目次ページ) 参照日:2026-02-25
- WCO HS2022 Chapter 66(条文) 参照日:2026-02-25
- WCO HS2017 Chapter 66(条文) 参照日:2026-02-25
- WCO HS2007 Chapter 66(条文) 参照日:2026-02-25
- WCO HS2002 Chapter 66(条文。6603.10が存在) 参照日:2026-02-25
- WCO Amendments to the HS Nomenclature effective from 1 January 2007(6603.10削除の根拠) 参照日:2026-02-25
- 日本税関・公的機関のガイド(日本)
- 税関 関税率表解説(第66類) 参照日:2026-02-25
- 税関 輸入統計品目表(HS2012 2012年1月版 第66類) 参照日:2026-02-25
- 税関 HS2007-HS2002 相関表(6603.10削除の対応) 参照日:2026-02-25
- 税関 原産地規則とは 参照日:2026-02-25
- 税関 品目別原産地規則 検索画面(HS年版差の注意) 参照日:2026-02-25
- 税関 RCEP協定のHS2022版品目別規則(置換の実施案内) 参照日:2026-02-25
- 税関 事前教示制度(品目分類)Eメール照会 参照日:2026-02-25
- 税関 事前教示回答(品目分類)検索 参照日:2026-02-25
- 税関 関税率表解説・分類例規(分類基準・事例) 参照日:2026-02-25
- FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
- 日本税関 RCEP関連Q&A等(HS相関表利用の言及を含む) 参照日:2026-02-25
- 規制(武器、CITES等)
- 経済産業省 武器類の輸入承認案内 参照日:2026-02-25
- 東京税関 郵便等での銃砲・刀剣類の案内 参照日:2026-02-25
- 経済産業省 ワシントン条約規制対象種の調べ方 参照日:2026-02-25
- e-Gov法令検索 銃砲刀剣類所持等取締法 参照日:2026-02-25
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。
