0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの 超要約
- この類に入る代表例(3〜6個):
- 感光性の写真用フィルム・プレート(露光していないもの):シート状 3701、ロール状 3702。
- 感光性の写真用紙・板紙・紡織用繊維(露光していないもの):3703。
- 露光済みだが現像していないフィルムや写真紙:3704。
- 現像済みの静止画像用フィルム(ネガ/ポジ、マイクロフィルム等):3705。
- 現像済みの映画用フィルム(サウンドトラック有無を問わず):3706。
- 写真用の化学調製品や、写真用の未混合品で「使用量包装/小売用で直ちに使用可能」なもの:3707(例:現像液、定着液、感光乳剤、フォトレジスト)。
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- 写真・映画用の「くず」(廃フィルム等):第37類注1で除外。
- 貴金属回収目的の廃フィルム等で貴金属/化合物を含むもの:7112
- それ以外のくず:材質により 3915(プラくず)や 4707(古紙)など
- 現像済みの写真紙・写真布(写真プリント):第49類または第11部へ(写真紙/板紙は49類、紡織用繊維は第11部の扱い)。
- 感光性ではないプラスチックフィルム:第39類。
- 写真用フラッシュ電球:9006。
- 機械式録音用など「記録していない記録媒体」:8523(例:写真ではなく録音・記録媒体)。
- 直ちに印刷に使える印刷用プレート(例:オフセット用で使用可能状態):8442。
- 写真・映画用の「くず」(廃フィルム等):第37類注1で除外。
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- その媒体は「感光性/感熱性を含む意味での写真用」か、そして「露光・現像の状態」はどこか(未露光/露光未現像/現像済)。
- 媒体の形状・材質は何か(シートかロールか、紙/繊維かそれ以外か)。
- 化学品の場合、混合品か単一物質か、また「使用量包装/小売用で直ちに使用可能」か(3707の成立条件)。
- この類で特に誤分類が高コストになりやすい場面:
- 3707(写真用化学品)と第28・29類(単一化学品)の取り違え:関税だけでなく、SDS、危険物、毒劇物、輸出管理など社内コンプライアンス側の手戻りが起きやすいです。

1. 区分の考え方 どうやってこの類に到達するか
1-1. 分類の基本ルール GIRの使いどころ
- この類で特に効くGIR
- GIR1:まず「項の文言」+「部注/類注」で決めます。第37類は類注が短いですが、注1 くず除外・注2 写真用の定義が強力です。
- GIR6:6桁は「幅・長さ・パーフォレーション有無・カラー用か・包装形態」など、見出しに書かれた条件で機械的に分かれます。
- 「品名だけで決めない」ための観点
- 状態:未露光か、露光済みか、現像済みか(ここで 370x が大きく変わります)。
- 形状:シート(平面状)かロールか。
- 材質:紙/板紙/繊維か、それ以外(プラ・ガラス・金属など)か。
- 用途:静止写真か映画か、医療用X線か、印刷製版か、半導体用フォトリソグラフィか(例:フォトレジスト)。
- 化学品:混合品か単一物質か、使用量包装か、小売用で直ちに使用可能か。
1-2. 判定フロー 疑似フローチャート
- Step1:対象は「写真用」か
- 光や放射線で可視像を形成する工程に使うか。HS2022では「感熱性を含む」趣旨が明示されています。
- Step2:それは「くず」か
- はい → 第37類の外(例:貴金属回収目的なら 7112、その他は材質で 3915/4707 等)。
- いいえ → Step3へ
- Step3:物は「媒体」か「化学品」か
- 媒体(プレート/フィルム/紙/繊維)→ Step4へ
- 化学品(現像液、定着液、感光乳剤、フォトレジスト等)→ Step7へ
- Step4:露光・現像の状態
- 未露光 → 3701/3702/3703 のどれか
- 露光済・未現像 → 3704
- 現像済 → 3705/3706 または(紙/繊維は)49類/11部
- Step5:未露光媒体の形状・材質
- シート状で紙/板紙/繊維以外 → 3701
- ロール状で紙/板紙/繊維以外 → 3702
- 紙/板紙/繊維 → 3703
- Step6:現像済みフィルムの用途
- 映画の投影用フィルム(サウンドトラック含む) → 3706
- 静止画像のフィルム(マイクロフィルム等含む) → 3705
- Step7:写真用化学品か
- 混合した調製品 → 3707(原則)
- 未混合品 → 「使用量包装」または「小売用で直ちに使用可能」なら 3707、そうでないなら第28・29類等へ(単一化学品として扱う方向)。
- よく迷う境界
- 第37類 3705 と 8442(印刷用プレート):現像済みでも「直ちに印刷に使用できる状態」は 8442 側に寄ります。
- 3707 と 第28・29類:単一物質か、混合調製品か、包装形態はどうか。さらに部注で 2843/2846/2852 の優先が効きます。
- 第37類と第49類:写真紙が「現像済み」かどうか。
2. 主な項 4桁 とその内容
2-1. 4桁 項 の主なもの一覧表 必須
| 項番号 4桁 | 見出しの要旨 日本語 | 典型例 製品名 | 重要な分岐条件 / 除外 / 注意点 |
|---|---|---|---|
| 3701 | シート状の感光性プレート・フィルム 未露光、紙/繊維以外。シート状インスタントプリントフィルムも含む | X線用シートフィルム、製版用PSプレート 未露光、インスタント写真フィルムパック | 「平面状」かつ未露光。ロール状は3702。紙/繊維は3703。 |
| 3702 | ロール状の感光性写真用フィルム 未露光、紙/繊維以外。ロール状インスタントプリントフィルムも含む | 35mmロールフィルム、映画撮影用未露光フィルム、ロール状インスタントフィルム | 幅・長さ・孔有無などで6桁が細かい。紙/繊維ベースは3703側。 |
| 3703 | 感光性の写真用紙・板紙・紡織用繊維 未露光 | 写真印画紙 未露光、青写真用感光紙、感光性の写真用布 | 「感光性」が鍵。単なるコート紙は48類/11部へ。現像済みは49類/11部へ。 |
| 3704 | 写真用の媒体 露光済み・未現像 | 露光済みフィルム 現像前、露光済み写真紙 現像前 | 露光済みかの証拠(工程・取り扱い)。現像済みは3705/3706または49類/11部。 |
| 3705 | 写真用プレート・フィルム 露光済み・現像済み 映画用以外 | 現像済みネガ・ポジ、マイクロフィルム、ハーフトーンスクリーンフィルム | 映画投影用は3706。印刷用に直ちに使えるプレートは8442へ。 |
| 3706 | 映画用フィルム 露光済み・現像済み サウンドトラック有無問わず | 上映用の映画フィルム、音声トラックのみのフィルム | 「映画投影用」かが鍵。サウンドトラックのみでも条件を満たせば含む。非光電式のみの音声媒体は8523へ。 |
| 3707 | 写真用の化学調製品・写真用未混合品 使用量包装/小売用で直ちに使用可能 | 現像液、定着液、感光乳剤、調色剤、フォトレジスト | 単一物質は「使用量包装/小売用」等の条件が必要。2843-2846/2852等へ飛ぶ例あり(例:塩化第二水銀は2852)。 |
2-2. 6桁 号 で実務上重要な分岐 必須
- 分岐条件の整理
- 3701:用途(X線/インスタント)+サイズ(辺>255mm)+カラーか否か。
- 3702:用途(X線)+孔有無+幅(<=105mm、>105mm、<=16mm、16-35mm、>35mm 等)+長さ(<=30m、>30m、>200m 等)+カラーか否か。
- 3703:ロール幅(>610mm)+カラーか否か。
- 3706:幅が35mm以上か。
- 3707:感光乳剤か(3707.10)それ以外(3707.90)。用途と組成で判断(例:フォトレジストは3707.90に含まれる旨の解説あり)。
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組)
- 3701 系 vs 3702 系 vs 3703 系
- どこで分かれるか:シートかロールか、紙/繊維かそれ以外か。
- 判断に必要な情報:形状(ロール径・芯の有無)、ベース材質(紙/PET/ガラス等)、製品仕様書。
- 典型的な誤り:「ロール状の感光フィルム」を3701に入れてしまう/紙ベースなのに3702にしてしまう。
- 3704 vs 3705/3706
- どこで分かれるか:現像の有無(露光済みでも未現像なら3704)。
- 判断に必要な情報:工程フロー、現像処理の実施記録、製品状態(メーカー出荷形態)。
- 典型的な誤り:「露光済み=現像済み」と誤認して3705/3706にしてしまう。
- 3705 vs 3706
- どこで分かれるか:映画投影用か(3706)/静止画像用か(3705)。
- 判断に必要な情報:用途(上映用か)、フィルムの規格(映画用標準幅など)、サウンドトラックの仕様。
- 典型的な誤り:上映用フィルムを3705にしてしまう。
- 3707 vs 第28・29類(単一化学品)
- どこで分かれるか:混合調製品か、単一物質か。単一物質なら「使用量包装/小売用で直ちに使用可能」等の条件を満たすか。さらに 2843-2846/2852 などは部注で優先され得ます。
- 判断に必要な情報:SDS、成分表、梱包形態(1回分小袋・錠剤等か)、ラベル表示。
- 典型的な誤り:バルクの単一化学品(例:単体溶剤、単体塩)を「写真用」として3707にしてしまう。
- 3705 vs 8442
- どこで分かれるか:現像済みでも「直ちに印刷用に使用できるプレート」は8442へ。
- 判断に必要な情報:用途(印刷機にそのまま装着して使えるか)、工程(製版完了品か)、カタログ。
- 典型的な誤り:印刷用CTPプレート完成品を3705にしてしまう。
- 3701 系 vs 3702 系 vs 3703 系
3. 部注と類注の詳細解釈 条文から実務的な意味
3-1. 関連する部注 Section Notes
- ポイント要約
- 第37類は第6部(化学工業品)に属し、第6部注には「ある見出しの優先」や「小売用・使用量包装による帰属固定」があります。特に 3707 は部注2で明示的に対象になっています。
- 実務での意味 具体例つき
- 例:写真用の現像剤キットが「小売用」「直ちに使用可能」などの形態なら、他の化学品見出しへ散らさず 3707 に寄せる考え方が働きます(ただし部注1で優先される見出しがある場合を除きます)。
- 例:塩化第二水銀のように、写真工程で使う単一物質であっても、部注1の優先関係により 2852 側に分類されるとされています。
- この部注で他章に飛ぶ代表パターン
- 3707候補でも、2843-2846/2852等(貴金属塩や特定化合物など)に該当する場合はそちらへ。
3-2. この類の類注 Chapter Notes
- ポイント要約
- 類注1:くずは含まない(廃フィルム等は第37類の外)。
- 類注2:「写真用」の定義。HS2022では「感光性に加え感熱性を含む」趣旨が明示されています。
- 用語定義
- 「写真用」:光や放射線で、感光性(感熱性を含む)表面に可視像を形成するための工程に関係するもの。
- 除外規定
- くず:7112 または材質別(3915、4707等)。
4. 類注が分類に与える影響 どこでコードが変わるか
- 影響ポイント1:くず除外で第37類から外れる
- 何を見れば判断できるか:新品/製品か、廃棄・回収目的か、貴金属回収用途か。
- 現場で集める証憑:廃棄証明、回収委託契約、銀含有の有無(分析結果やSDS)、写真(状態確認)。
- 誤分類の典型:廃フィルムを「現像済みフィルム」として3705/3706に申告してしまう。
- 影響ポイント2:写真用の定義に感熱性が含まれる
- 何を見れば判断できるか:材料の感度特性(光感度/熱感度/レーザー露光など)、用途(画像形成工程)。
- 現場で集める証憑:メーカー仕様書、工程図、技術資料(例:赤外レーザー感光性プレートが「感熱性プレート」と呼ばれる旨の記載など)。
- 誤分類の典型:「感熱=写真ではない」と思い込み、別章(48類の紙、39類のフィルム等)へ寄せてしまう。
5. 分類でよくある間違い 原因→対策
- 間違い:未露光の写真印画紙を第48類の紙として申告
- なぜ起きる:見た目が紙で、感光性の有無を確認しない。
- 正しい考え方:感光性の紙・板紙・繊維で未露光は3703。非感光性のコート紙は48類側。
- 予防策:仕様書で「sensitised / photosensitive」の有無を確認。社内質問例「これは露光して像が出る材料ですか」。
- 間違い:露光済み未現像フィルムを3705/3706に入れる
- なぜ起きる:「露光済み=完成」と誤解。
- 正しい考え方:露光済みで現像していない媒体は3704。
- 予防策:工程のどこで輸出入するか(現像前か後か)を工程表で固定。
- 間違い:現像済みの写真プリントを第37類のまま申告
- なぜ起きる:写真=37類、という連想。
- 正しい考え方:現像済みの写真紙・写真布は49類または11部。
- 予防策:製品が「最終の画像出力物(プリント)」かどうかを確認。写真(現物)添付。
- 間違い:ロール状フィルムを3701(シート)にする
- なぜ起きる:品名に「フィルム」としか書かれていない。
- 正しい考え方:シート状(平面状)=3701、ロール状=3702(紙/繊維ベースは3703)。
- 予防策:梱包形態(巻取り・芯)と寸法を必ず取得。
- 間違い:フォトレジストを3824等で処理
- なぜ起きる:半導体材料なので「その他化学品」に寄せがち。
- 正しい考え方:日本の解説では、フォトリソグラフィ用フォトレジストを3707.90に含む旨の説明があります。
- 予防策:用途(photolithography)、組成(樹脂+増感剤+溶媒等)を仕様書で確認。
- 間違い:写真用現像剤の原料単体(バルク)を3707にする
- なぜ起きる:「写真で使う=3707」と短絡。
- 正しい考え方:未混合の単一物質は、原則として28類/29類等(ただし使用量包装や小売用で直ちに使用可能等の条件を満たす場合は3707になり得る)。また部注で優先される見出し(2843-2846/2852等)に注意。
- 予防策:SDSで「単一物質か混合物か」、包装(1回分か)を確認。
- 間違い:映画用フィルム(現像済み)を3705にする
- なぜ起きる:静止写真と映画の区別が曖昧。
- 正しい考え方:上映用の映画フィルムは3706。
- 予防策:用途を確認(上映用/編集用/静止画像用)、フィルム規格(幅・サウンドトラック)。
- 間違い:現像済みで直ちに印刷に使えるプレートを3705にする
- なぜ起きる:「写真製版」=37類の思い込み。
- 正しい考え方:印刷用として直ちに使用できるプレートは8442へ。
- 予防策:出荷形態(刷版として完成品か)を工場工程図で確認。
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR 品目別規則 の関係
- HSの付番がPSR選択に直結します。特に第37類は「媒体」か「化学調製品」かで章や項が変わり、CTH系ルールの判定が大きく変わり得ます。
- よくある落とし穴
- 最終製品(例:フォトレジスト 3707)と原材料(樹脂・溶媒等)のHSが別章で、工程評価がずれる。
- 3704/3705(現像前後)を取り違え、PSRの対象品目が変わる。
6-2. 協定が参照するHS版の違い HS2012/2017/2022のズレ
- 日本税関のPSR検索でも「協定ごとに採用HS版が異なる」ため、協定が採用するHSで検索する必要がある旨が明示されています。
- HS2022と協定参照HSがズレる場合の注意
- 輸入申告は原則最新のHSで行いつつ、原産地規則(PSR)は協定参照HSで判定、という二重管理が起きます。
- トランスポジション 旧→新対応 の扱い方 一般論
- WCO相関表などで旧版と新版の対応を確認し、「どのコードに読み替えるか」を社内ルール化します。
6-3. 実務チェック 原産性判断に必要なデータ
- 用意すべき基本データ
- BOM、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算前提
- 証明書類・保存要件 一般論
- 協定・運用ガイドに従い、原産性を裏づける資料(購買証憑、製造記録、配合表等)を保存
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い 違うことになった根拠
7-1. 変更点サマリー 必須 表
| 比較 | 変更タイプ | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 文言修正 / 定義の明確化 | 第37類注2 | 「写真用」の定義で、感光性に加え感熱性を含む趣旨が明示 | 感熱性プレート等の位置づけが明確化。仕様書で感熱/レーザー露光などの特性確認がより重要 |
| HS2017→HS2022 | 変更なし | 3701〜3707 | 4桁・6桁の構成自体は同一 | コード番号の付け替えは原則不要。状態・形状・材質での従来分岐は継続 |
7-2. 違うことになった根拠 必須
- 参照した根拠資料
- WCOのHS2017 第37類の注2文言(感光性のみ)と、HS2022 第37類の注2文言(感光性に加え感熱性を含む趣旨)を比較しました。
- 日本税関の関税率表解説でも、赤外線レーザー感光性プレートが「感熱性プレート」と呼ばれる旨が説明されており、実務上この論点が出ることを確認しました。
- WCOのHS2017-2022相関表は「新版・旧版の対応」を示す資料ですが、第37類の6桁番号の新設・削除・分割統合は少なくとも相関表の対象として現れていないことから、番号変更はない前提で整理しました。
- 以上より、HS2017→HS2022では「定義の明確化(注の文言修正)」が主で、3701〜3707の番号体系自体は維持と判断しました。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
第37類は長期的には大枠が安定していますが、過去版では一部6桁の再編があります(例:3702、3705)。
| 版の流れ | 主な追加・削除・再編 | 旧コード→新コードの考え方 |
|---|---|---|
| HS2007→HS2012 | 3702の6桁が再編(例:3702.51や3702.91-3702.95等の体系から、3702.52-3702.56、3702.96-3702.98等へ) | ロールフィルムは「幅・長さ・用途」の条件で新版側の該当号へ読み替えが必要 |
| HS2012→HS2017 | 3705.10(オフセット用)/3705.90 が 3705.00 に統合 | 「現像済みフィルム/プレート(映画用以外)」という束ね方に変更。用途だけでなく、8442との境界確認がより重要 |
| HS2017→HS2022 | 第37類注2の文言に感熱性を含む趣旨を明示。番号変更はなし | 感熱性プレート等の資料確認を強化。コード自体は原則そのまま |
9. 類注違反による通関トラブル 想定事例
- 事例名:廃フィルムを「現像済みフィルム」として申告
- 誤りの内容:第37類注1(くず除外)に抵触
- 起きやすい状況:回収品・返品・製造端材を「製品名」で申告
- 典型的な影響:修正申告、検査強化、場合により廃棄物・リサイクル関連の追加確認
- 予防策:取引実態(売品か廃棄か)をインボイス備考に明記、写真と契約書添付
- 事例名:感光紙を普通紙で申告
- 誤りの内容:3703の範囲認定ミス(感光性の確認不足)
- 起きやすい状況:品名が「paper」「coated paper」など曖昧
- 典型的な影響:追加納税や原産地判定のやり直し
- 予防策:仕様書に「sensitised/photosensitive」の記載を添付
- 事例名:フォトレジストをその他化学品で申告
- 誤りの内容:3707.90に含まれる旨の扱いを見落とし
- 起きやすい状況:半導体材料として購買部門が化学系の別分類を想定
- 典型的な影響:訂正申告、統計誤り、EPAのPSR再確認
- 予防策:用途(photolithography)・成分(樹脂/増感剤/溶媒)を提出
- 事例名:完成刷版を3705で申告
- 誤りの内容:解説上、直ちに印刷に使用できるプレートは8442へ
- 起きやすい状況:CTP工程のどの段階かが貿易書類に反映されない
- 典型的な影響:分類差戻し、納期遅延
- 予防策:工程図で「刷版完成」か「感光板」かを明確化
10. 輸出入規制事項 コンプライアンス観点
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
- 検疫・衛生:一般に第37類そのものが直ちに検疫対象とは限りませんが、3707の化学品は別法令で管理対象になり得ます(SDS/表示等)。
- ワシントン条約等:通常は該当しにくい類です(個別取引で確認)。
- 安全保障貿易管理:貨物・技術がリスト規制またはキャッチオール規制に該当するかの確認が必要です(特に化学品・先端材料は用途確認が重要)。
- その他の許認可・届出
- 毒物及び劇物取締法:輸入・販売等の業態により登録・表示など規制があり得ます。
- 消防法 危険物:溶剤を含む化学品(例:フォトレジスト等)が危険物に該当する場合、保管・運搬・数量管理が必要になり得ます。
- 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
- 安全保障貿易管理:経済産業省(リスト規制/キャッチオール)
- 毒劇法:厚生労働省(毒物及び劇物取締法)
- 消防法危険物:消防庁(危険物の考え方・法令)
- SDS/ラベル:厚生労働省(安衛法のSDS・ラベル制度等)
- 実務での準備物 一般論
- 3707:SDS、成分表、危険物該当性(消防法/IATA等)、毒劇法該当性、用途説明、包装形態(使用量か)
- 媒体(3701-3706):仕様書(幅・長さ・材質)、未露光/露光/現像の状態が分かる資料、用途(映画/静止/医療)
11. 実務チェックリスト 分類→通関→原産地→規制
- 分類前チェック 製品情報の収集
- 媒体:未露光/露光/現像、シート/ロール、ベース材質、寸法(幅・長さ)、用途(静止/映画/X線/製版)
- 化学品:混合物か単一物質か、写真工程に直接使うか、使用量包装か、小売用で直ちに使用可能か、SDS/成分
- 分類後チェック 注・除外・境界の再確認
- くずに該当しないか(第37類注1)
- 現像済み写真紙を37類に残していないか(49類/11部へ)
- 3705と8442、3707と28・29類の境界を再確認
- 申告前チェック インボイス品名、数量単位、補足資料
- 品名は「photographic film in rolls, sensitised, unexposed」等、状態を入れる
- 補足資料:仕様書、SDS、工程図、写真
- FTA/EPAチェック PSR・材料・工程・保存
- 協定参照HS版でPSR確認(HS版ズレに注意)
- BOM・原価・工程記録・非原産材料HSの整備
- 規制チェック 許可/届出/検査
- 3707:毒劇法、消防法危険物、SDS/ラベル、輸出管理(用途・需要者)
12. 参考資料 出典
- WCO(HS条文・相関表等)
- WCO HS2022 Chapter 37(条文)参照日 2026-02-21
- WCO HS2017 Chapter 37(条文)参照日 2026-02-21
- WCO HS2012 / HS2007 Chapter 37(旧版比較用)参照日 2026-02-21
- WCO HS2017–HS2022 Correlation Tables(相関表案内)参照日 2026-02-21
- WCO HS2022 Section VI Notes(第6部部注 英文)参照日 2026-02-21
- 日本 税関・公的機関のガイド
- 税関 関税率表解説 第37類(実務解釈)参照日 2026-02-21
- 税関 第6部 部注(日本語)参照日 2026-02-21
- 税関 関税率表の解釈に関する通則(GIRの日本語解説)参照日 2026-02-21
- 税関 品目別原産地規則PSR検索 注意事項(協定ごとのHS版)参照日 2026-02-21
- 規制(日本)
- 厚生労働省 毒物及び劇物取締法の規制概要 参照日 2026-02-21
- 消防庁 危険物に関する説明・法令抜粋 参照日 2026-02-21
- 経済産業省 安全保障貿易管理 リスト規制/キャッチオール 参照日 2026-02-21
- 厚生労働省 安衛法 SDS・ラベル制度/GHS関連 参照日 2026-02-21
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。
