日本税関が2026年版の輸入統計品目表を英語で公開しました。海外拠点や海外サプライヤーと品目番号や税率の話をするたびに、和文資料の翻訳や用語のすり合わせに時間を取られてきた担当者にとって、地味ですが実務インパクトの大きい更新です。 (税関庁)

何が公開されたのか
税関の英語サイトにある Japan’s Tariff Schedule (Statistical Code for Import) に、January 1, 2026 版が追加されました。英語ページ上で、セクションとチャプター(第1類から第97類まで)を辿って、各章の Tariff rate に進める構成になっています。 (税関庁)
この英語版は、次の用途で特に効きます。
・海外の調達先や本社に、統計品目番号と英語品名をそのまま渡して齟齬を減らす
・輸入コスト試算(関税を含むランディングコスト)の議論を英語で進める
・社内の品目マスター整備を、日英で同じ番号体系の前提で進める
一方で、税関自身が英語ページに「参照用であり、公式用途ではない。確認は日本語の法令刊行物で行うこと」という注意書きを明示しています。英語版は便利ですが、最終判断の拠り所は日本語の根拠資料に置く、という運用が安全です。 (税関庁)
そもそも輸入統計品目表は何を決めるのか
ポイントは、輸入の申告や統計の世界では、6桁のHSだけでなく9桁の統計コードで品目を管理することです。財務省の貿易統計の解説では、日本の輸出入申告において9桁の統計コードが品目分類に使われ、9桁は6桁HSと3桁の国内コードで構成される、と整理されています。さらに輸出用と輸入用で国内3桁が同じとは限らない点も重要です。 (税関庁)
実務上は、次のような連鎖が起きます。
・品目番号が揺れる
→ 申告内容、統計計上、社内マスター、仕入先への指示が連鎖して揺れる
・税率や単位が揺れる
→ 原価、見積、価格転嫁、利益計画に直撃する
このため、年初の版替えタイミングで、統計コードと税率表を確実に更新することが、通関の手戻り防止とコスト管理の基本になります。
英語版公開で実務がどう変わるか
1. 海外とのコミュニケーションコストが下がる
これまで、日本側が和文の品目表を読み解き、英訳し、さらに海外側が自国のHS理解と突き合わせる、という二重翻訳が発生しがちでした。英語版が公式サイトに載ることで、参照元を一本化しやすくなります。 (税関庁)
2. 品目マスターの統制がしやすくなる
9桁統計コードは、単なる分類番号ではなく、申告と統計の共通キーです。英語で番号体系を説明できると、海外拠点を含むマスター管理ルールの統一が進みます。 (税関庁)
3. 単位の誤解が減る
輸入実務では、重量、数量、セット、千本単位など、統計単位が絡んで数量管理が崩れやすい場面があります。税関は英語ページで単位略号(例:KG、MT、NO、DZなど)を一覧にしており、社内教育や海外向け説明にそのまま使えます。 (税関庁)
使うときの注意点
参照用であることを前提に、最終確認は日本語根拠で
英語ページは便利ですが、税関が参照用であることを明示しています。社内の判断メモや監査証跡を残す際は、和文の根拠資料や社内決裁資料とセットで管理するのが無難です。 (税関庁)
迷ったら相談導線を確保する
税関は通関手続に関する照会先として Customs Counselors を案内し、全国税関の連絡先リストを公開しています。社内で判断が割れる品目は、通関業者任せにする前に、相談ルートを持っておくと修正コストが抑えられます。 (税関庁)
参照ページの保管は版と日付を必ず残す
2026年版は January 1, 2026 として公開されています。実務では、見ていた版が違うだけで議論が噛み合わないことが起きます。社内共有は、版の日付をタイトルに入れて保存する運用が効きます。 (税関庁)
2026年対応の社内チェックリスト
- 自社の主要輸入品目について、9桁統計コードの最新版をマスターに反映する (税関庁)
- 原価計算で使う関税率の参照版を January 1, 2026 に切り替える (税関庁)
- 数量単位の略号を、購買、物流、経理で共通言語化する (税関庁)
- 海外拠点や仕入先には、英語版の参照先を共有し、社内翻訳のばらつきを減らす (税関庁)
- 迷う品目は、相談先と社内決裁ルートを先に決める (税関庁)
まとめ
今回の英語版公開は、派手な制度変更ではありません。しかし、品目番号と税率という実務の中核情報を、英語で同じ参照元に揃えられるようになった点が重要です。海外とのやり取りが多い企業ほど、分類の手戻りや見積のブレが減り、社内統制も効かせやすくなります。 (税関庁)
補足として、財務省の関税制度ページにも、輸入統計品目表(実行関税率表)など関連リンクが整理されています。社内ポータルに貼るリンク集を作るなら、このページを起点にしておくと迷子になりません。 (mof.go.jp)
