HS2022 第47類:木材パルプ、繊維性セルロース材料のパルプ及び古紙(Pulp of wood or of other fibrous cellulosic material; recovered (waste and scrap) paper or paperboard)実務向け整理

  • 用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
  • 本資料でいう「HSコード」は原則6桁(号)までを指します。**8桁/9桁等は国内コード(日本の統計品目番号等)**として区別します。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 木材パルプ(機械パルプ:例 GWP/TMP等)→ 4701
    • 化学木材パルプ(溶解パルプ)→ 4702
    • クラフトパルプ等(ソーダ/硫酸塩、溶解用以外)→ 4703
    • サルファイトパルプ等(亜硫酸、溶解用以外)→ 4704
    • 古紙由来の繊維パルプ(古紙を解繊して“パルプ”になったもの)→ 4706.20
    • 回収した古紙(段ボール古紙・新聞古紙・混合古紙など)→ 4707
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 紙・板紙そのもの(製品としての紙、ロール紙等)→ 第48類(4801〜)へ行きやすい
    • 紙製品(袋、箱、ティッシュ等)→ 第48類
    • 紙以外の繊維くず(ウエス等)第63類 6310(繊維製のぼろ)
    • セルロース誘導体(セルロースアセテート等)第39類(例:3912) へ行きやすい(※“パルプ”ではなく化学加工品)
    • 木材チップ/木くず第44類(例:4401) へ行きやすい(※パルプ化前)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「パルプ」か「古紙(紙くず)」か(4706 vs 4707)
    2. 化学木材パルプが“溶解用(4702)”に該当するか(類注の定義条件を満たすか)
    3. 木材由来か/木材以外(竹・綿リンター等)由来か(4701-4705 vs 4706)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **4702(溶解パルプ)**は類注に“数値基準”があるため、裏付け(試験成績等)が弱いと税関照会・再分類になりやすいです。
    • **4707(古紙)**は、環境法令上の「廃棄物」該当性が絡むと、通関以前に手続・許可が問題化し得ます(後述)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1:見出し(品目名)と、関連する注(類注)でまず決めます。第47類は「製造工程(機械/化学/複合)」「原料(木材/その他繊維性セルロース/古紙)」「漂白の有無」「樹種(針葉樹/非針葉樹)」が見出し構造に直結します。
    • GIR6:6桁(号)レベルの分岐(例:4703.11/19/21/29)を、同じ論理で当てはめます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(この類で特に重要):
    • 状態:紙(シート/ロール)なのか、解繊されたパルプなのか、単なる**古紙(くず)**なのか
    • 製造方法:機械パルプ/化学パルプ(クラフト・サルファイト)/機械+化学の複合
    • 品質情報:漂白の有無、樹種、(溶解パルプなら)不溶解分・灰分などの分析値

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:これは「紙・板紙(製品)」ですか?それとも「パルプ」または「古紙(くず)」ですか?
    • 紙・板紙(製品)→ 原則 第48類へ(第47類ではない)
    • パルプ/古紙(くず)→ Step2へ
  • Step2:古紙(くず)そのものですか?(回収した紙/板紙が、裁断・選別程度で“紙の形”を保っている)
    • Yes → 4707(古紙)へ
    • No(解繊してスラリー/シート化前の繊維状態=パルプ)→ Step3へ
  • Step3:パルプの原料は木材ですか?
    • 木材 → Step4へ
    • 木材以外(綿リンター、竹、古紙由来など)→ 4706へ(細分は2-2参照)
  • Step4:木材パルプの製法は?
    • 機械 → 4701
    • 化学 → Step5へ
    • 機械+化学の複合 → 4705
  • Step5:化学木材パルプは「溶解用(4702)」の定義を満たしますか?(類注の数値条件)
    • Yes → 4702
    • No → プロセスで分岐:クラフト等(4703)/サルファイト(4704)
  • よく迷う境界:
    • 4706.20(古紙由来“パルプ”) vs 4707(古紙そのもの)
    • 4702(溶解パルプ) vs 4703/4704(溶解用以外の化学木材パルプ)
    • 第47類(パルプ/古紙) vs 第48類(紙・板紙・紙製品)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第47類は4桁(項)が少ないため、全列挙します。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4701機械木材パルプ砕木パルプ(GWP)、TMP等木材由来・機械処理主体。化学パルプは4702-4704。
4702化学木材パルプ(溶解用)溶解パルプ(レーヨン/セルロース誘導体原料)類注に数値定義(NaOH不溶解分・灰分)。満たさなければ4703/4704へ。
4703化学木材パルプ(ソーダ/硫酸塩=クラフト)、溶解用以外クラフトパルプ(未晒/晒)未漂白/漂白、針葉樹/非針葉樹で6桁分岐。
4704化学木材パルプ(亜硫酸=サルファイト)、溶解用以外サルファイトパルプ(未晒/晒)未漂白/漂白、針葉樹/非針葉樹で6桁分岐。
4705機械的工程+化学的工程の組合せで得た木材パルプCMP/CTMP等(木材由来の複合パルプ)木材由来に限る。木材以外(竹等)の複合は4706.93側。
4706古紙由来繊維パルプ又はその他繊維性セルロース材料のパルプ古紙パルプ、綿リンターパルプ、竹パルプ「紙くず」状態は4707。木材由来は4701-4705。
4707古紙(回収した紙・板紙のくず)段ボール古紙、新聞古紙、混合古紙“紙の形”を保つ回収くず。汚染・混合は規制や別分類論点。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出):
    • 製法:機械(4701)/化学(4702-4704)/複合(4705、4706.93)
    • 用途・品質(定義):溶解用(4702)は類注で数値定義(試験条件つき)
    • 漂白:未漂白 vs 半漂白/漂白(4703、4704の下位分岐)
    • 樹種:針葉樹 vs 非針葉樹(4703、4704)
    • 古紙の“状態”:パルプ化済み(4706.20)か、古紙のまま(4707)
    • 古紙の種類:クラフト/段ボール系(4707.10)、漂白化学パルプ主体の紙(4707.20)、機械パルプ主体(4707.30)、その他混合(4707.90)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4702(溶解用) vs 4703/4704(溶解用以外の化学木材パルプ)
      • どこで分かれるか:類注の数値条件を満たすか
        • 試験:18% NaOH溶液(20℃)に1時間浸漬後の不溶解分
        • 基準:ソーダ/硫酸塩(クラフト)系は不溶解分 92%以上、亜硫酸(サルファイト)系は88%以上、さらにサルファイト系は灰分 0.15%以下
      • 判断に必要な情報:製法(クラフト/サルファイト)、分析成績(不溶解分・灰分)、製品仕様書(溶解用途のグレード)
      • 典型的な誤り:「用途が“レーヨン用”と聞いた」だけで4702にしてしまい、分析値がなく否認される
    2. 4703(クラフト等) vs 4704(サルファイト)
      • どこで分かれるか:化学パルプの製造プロセス(硫酸塩/ソーダか、亜硫酸か)
      • 判断に必要な情報:メーカーの工程情報(Kraft / Sulphite)、SDS、仕様書(製法の記載)
      • 典型的な誤り:「硫黄を使う=サルファイト」と短絡し、クラフト(硫酸塩)を4704にしてしまう
    3. 4706.20(古紙由来パルプ) vs 4707(古紙)
      • どこで分かれるか:“紙くず”のままか、解繊してパルプになっているか
      • 判断に必要な情報:写真(ベール状の古紙か、パルプシート/フレークか)、工程(離解・脱墨の有無)、形状(繊維化)
      • 典型的な誤り:「原料は古紙」なので4707と申告したが、実物は既にパルプ化された4706.20だった
    4. 4705(木材の複合パルプ) vs 4706.93(木材以外の複合パルプ)
      • どこで分かれるか:原料が木材か、その他繊維性セルロース材料か
      • 判断に必要な情報:原料(木材/竹/バガス等)、製法(機械+化学)
      • 典型的な誤り:竹パルプ(4706.30)や非木材パルプを「木材パルプの一種」と誤認して4705にしてしまう

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第10部(Section X:第47〜49類)には、部注(Section Notes)が置かれていません(WCOのHS構成上、Section Xでは“Section Notes”の記載がなく、Chapter 47〜49が列挙されています)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 「部注で一括定義される」タイプではないため、第47類は“類注(Chapter Notes)”と各見出し(Heading)の語が判断の軸です。
    • ただし、境界(第48類の紙・板紙、他部の化学品・繊維くず等)は多いので、他類側の注・定義で除外されるパターンは現場で起きます。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • Section Xに部注がないため、ここは「該当なし」とし、実務上は「類注」や「第48類側の定義・除外」で飛ぶと整理するのが安全です。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第47類の類注(注)は実務上ほぼ1点で、4702(化学木材パルプ:溶解用)の定義を数値で定めています。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「化学木材パルプ(溶解用)」=
      • 18%水酸化ナトリウム溶液(20℃)に1時間浸漬後の不溶解分が
        • ソーダ/硫酸塩(クラフト)系:92%以上
        • 亜硫酸(サルファイト)系:88%以上
      • かつサルファイト系は灰分が0.15%以下
        という要件を満たすもの。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 上記条件を満たさない化学木材パルプは、4702ではなく、製法に応じて **4703(クラフト等)または4704(サルファイト)**に分類されます(“溶解用以外”側)。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です(第47類は主に1点)。

  • 影響ポイント1:4702(溶解パルプ)に入れるための“分析条件”
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 製法(クラフト/サルファイト)
      • 不溶解分(NaOH試験条件つき)
      • (サルファイトの場合)灰分
    • 現場で集める証憑(仕様書、成分表、MSDS、カタログ、写真、工程図など):
      • メーカー仕様書(Dissolving pulpである旨と、試験値)
      • 試験成績書(NaOH不溶解分%、灰分%)
      • 製造工程概要(Kraft/Sulphite)
    • 誤分類の典型:
      • 「用途が化学繊維だから」「名称がdissolving pulpだから」で4702とし、数値基準の裏付け不足で4703/4704に更正される

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:“古紙”と聞いたので全部4707にしてしまう(実際は古紙由来パルプ)
    • なぜ起きる:原料(古紙)に引っ張られ、製品状態(パルプ化済み)を見落とす
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):古紙そのものは4707、古紙から得た繊維パルプは4706.20
    • 予防策(確認すべき資料/社内で聞くべき質問例):
      • 写真:ベール古紙か?パルプシート/フレークか?
      • 工程:離解・脱墨済みか?
      • 社内質問例:「出荷形態は“紙のまま”ですか、“繊維化(パルプ化)”されていますか?」
  2. 間違い:4702(溶解用)を“用途”だけで決めてしまう
    • なぜ起きる:営業資料や通称(dissolving)に依存し、類注の数値要件を確認しない
    • 正しい考え方:4702は**類注の定義(NaOH不溶解分・灰分)**を満たす必要
    • 予防策:
      • 試験成績書の入手(不溶解分%、灰分%)
      • 社内質問例:「4702の類注試験値(92/88、灰分0.15)は取れていますか?」
  3. 間違い:クラフト(硫酸塩)とサルファイト(亜硫酸)を混同(4703と4704の取り違え)
    • なぜ起きる:「硫黄を使う」など曖昧な理解で工程を特定できない
    • 正しい考え方:見出しは製法で分かれる(4703=ソーダ/硫酸塩、4704=亜硫酸)
    • 予防策:
      • 仕様書に「Kraft / Sulphite」を明記させる
      • 社内質問例:「蒸解薬品は何ですか?工程名(Kraft/Sulphite)は?」
  4. 間違い:漂白・未漂白を“白さの見た目”で判断
    • なぜ起きる:色味は保管・混入で変わり得る/半漂白もある
    • 正しい考え方:4703・4704は未漂白半漂白/漂白で号が分かれる
    • 予防策:
      • 仕様書で「Unbleached / Semi-bleached / Bleached」を確認
      • 社内質問例:「漂白工程(漂白剤の使用)の有無は?」
  5. 間違い:針葉樹/非針葉樹の確認不足(4703.11/19などの誤り)
    • なぜ起きる:混合材・購入材で樹種情報が伝わらない
    • 正しい考え方:4703・4704は針葉樹/非針葉樹で号が分かれる
    • 予防策:
      • 樹種(softwood/hardwood)の証明(仕様書、供給契約、製造ロット情報)
  6. 間違い:木材パルプ(4705)と非木材パルプ(4706)を混同
    • なぜ起きる:「パルプ=木材」という思い込み
    • 正しい考え方:4706は「古紙由来 or その他の繊維性セルロース材料」のパルプ
    • 予防策:
      • 原料の特定(竹、バガス、綿リンター等)
      • 社内質問例:「原料は木材100%ですか?非木材繊維は入っていますか?」
  7. 間違い:HS6桁と国内コード(8/9桁)を混同して書類が不一致
    • なぜ起きる:通関書類・原産地資料・販売管理で桁数がバラバラ
    • 正しい考え方:HSは6桁までが国際共通。8/9桁は国内コード。PSRも原則HS版(6桁)基準で読む
    • 予防策:
      • 社内マスターに「HS6桁」「国内コード」を別欄管理
      • インボイスはHS6桁を併記し、国内コードは必要時のみ別記
  8. 間違い:“紙のロール”を47類(パルプ/古紙)と誤認
    • なぜ起きる:「原料工程の途中」という説明で、実物の状態確認が不足
    • 正しい考え方:紙・板紙としての形状であれば原則48類側(紙・板紙)
    • 予防策:
      • 写真・サンプル確認(シート/ロールか、パルプシート/フレークか)

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します(誤ると原産性判断が崩れる):
    • 例:4707(古紙)を4706(古紙由来パルプ)と誤ると、PSR(CTH/WO等)の前提が変わり、原産性の結論が変わり得ます。
  • よくある落とし穴:
    • 材料のHS(古紙・薬品・木材チップ等)と最終製品のHS(パルプ/古紙)を取り違える
    • “工程基準(製造行為)”がPSRにある場合、工程記録が必要なのに、BOMだけで判断してしまう

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定本文・付属書のPSRは、協定ごとに参照HS版が異なります(一般論として、必ず協定側の版を確認します)。
  • 例(本資料で参照した範囲の一次資料ベース):
    • RCEP:PSR(Annex 3A)は HS2012版ベースである旨が明記されています。
      • さらに、RCEPではPSRのHS2022へのトランスポーズ(移し替え)が採択され、各国で実施されている旨の解説資料もあります(運用は当事国ごとに最新確認が必要)。
    • CPTPP(TPP11):PSRや関税コミットメントは、**2017年直前のHS(HS2012)**で確定した旨のガイドがあります。
    • 日EU・EPA:PSRの付属書(Annex 3-B)に「Harmonized System classification (2017)」と明記されています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • 通関は最新の国内コードで申告しつつ、PSRは協定が参照するHS版で読む必要があるため、相関表(correlation table)で“協定HS → 現行HS”を対応づけます。日本税関のPSR検索画面でも相関表参照が案内されています。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 基本データ(一般論):
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 第47類で“集め方が重要”になりやすい証憑:
    • 4701-4705(木材パルプ):木材原料の原産、蒸解・漂白工程、購入パルプなら製造国証明
    • 4707(古紙):どこで回収(収集)されたかの証憑(回収地/集荷記録等)※協定ルールにより扱いが異なるため要確認
  • 証明書類・保存要件:
    • 協定別の保管年限・様式があるため、社内手順書に落とし込み(一般論)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(少なくとも6桁体系・見出し構造)4701〜4707WCO公開のHS2017・HS2022のChapter 47の見出し/号が同一協定や社内マスターの移行負荷は小さい(※国内細分は別途)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料:
    • WCO公開のHS 2017版 Chapter 47 と、HS 2022版 Chapter 47 を比較すると、見出し(4701〜4707)および6桁(号)の列挙が同一であることを確認しました。
  • したがって:
    • HS2017→HS2022において、第47類は6桁レベルの新設・削除・分割・統合といった再編は確認できません(本資料で参照した一次資料ベース)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

ここでは、HS2007→2012→2017→2022の流れで、第47類(4701〜4707)の主要な動きを整理します。

版間追加・削除・再編の有無該当コード内容(要旨)旧コード→新コード
HS2007→HS2012実質「文言の明確化」(コード体系は維持)4706.932007では“semi-chemical”表現、2012では“機械+化学の組合せで得た”表現に明確化(同一概念の説明整理)4706.93 → 4706.93
HS2012→HS2017変更なし(6桁体系)4701〜4707見出し・号の列挙が同一変更なし
HS2017→HS2022変更なし(6桁体系)4701〜4707見出し・号の列挙が同一変更なし

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):溶解パルプ(4702)と申告したが、試験値が揃わない
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):4702の類注定義(不溶解分・灰分)を満たす裏付け不十分
    • 起きやすい状況:品名が“dissolving pulp”、用途がレーヨン向け、という情報だけで申告
    • 典型的な影響:更正(4703/4704への変更)、審査・照会で通関遅延
    • 予防策:メーカー試験成績書(NaOH不溶解分%、灰分%)を事前入手・保存
  • 事例名(短く):古紙(4707)輸入で“廃棄物該当”を指摘され手続停止
    • 誤りの内容:HS分類以前に、環境法令上の手続(バーゼル法/廃棄物処理法)確認不足
    • 起きやすい状況:混合・汚損・異物混入の古紙、用途説明が曖昧(単なる処分目的と見られる等)
    • 典型的な影響:貨物留置、追加書類要求、関係省庁確認で遅延
    • 予防策:品質基準(異物/汚染)と用途(再生利用)を明確化、必要なら事前相談
  • 事例名(短く):古紙由来パルプ(4706.20)を古紙(4707)で申告
    • 誤りの内容:製品状態(パルプ化済み)の取り違え
    • 起きやすい状況:取引名が「DIP(脱墨パルプ)」等でも、現物確認が弱い
    • 典型的な影響:分類更正、統計・原産地・契約条件(価格/歩留まり)への影響
    • 予防策:写真・サンプル・工程(離解/脱墨)を申告資料に残す
  • 事例名(短く):紙ロールをパルプとして申告(47類 vs 48類)
    • 誤りの内容:紙・板紙(第48類)を第47類として申告(状態の誤認)
    • 起きやすい状況:「原紙」「半製品」という社内呼称に引っ張られる
    • 典型的な影響:分類更正、税番差による規制・統計・PSR判断のやり直し
    • 予防策:形状(シート/ロール)と物性(紙かパルプか)を最優先で確認

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ):
    • その他の許認可・届出(廃棄物の越境移動関連)
      • 古紙(4707)や、汚損・混合物を含む貨物は、状況によってバーゼル法(特定有害廃棄物等)や廃棄物処理法の枠組みで手続が必要になる可能性があります。
        • 経産省(METI)はバーゼル法の概要・手引きを公表しています。
        • 環境省(MOE)は廃棄物等の輸出入手続・申請先を整理しています。
      • 実務ポイント:HSコードが4707でも、環境法上の「廃棄物該当性」は別途判断になり得るため、品質(汚染・混合)と用途(再生利用)を明確化し、必要なら事前相談が安全です。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 経済産業省:バーゼル法(越境移動規制)関連ページ
    • 環境省:廃棄物・特定有害廃棄物等の輸出入/手続
  • 実務での準備物(一般論):
    • 貨物の性状説明(写真、成分/異物、含水率、梱包)
    • 用途(再生利用工程、受入先の処理能力・工程)
    • 取引契約書(再生利用目的、品質条件、受入拒否時の返送条項)
    • 必要に応じて、関係省庁の事前相談記録

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • パルプか?古紙か?紙製品か?(写真・サンプル)
    • 原料(木材/非木材/古紙)、製法(機械/化学/複合)
    • 漂白の有無、樹種(針葉樹/非針葉樹)
    • 溶解パルプ主張なら:不溶解分・灰分の試験値
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 4702の類注条件を満たす証憑があるか
    • 4706.20と4707の境界(パルプ化の有無)を再確認
    • 国内コード(8/9桁)を使う場面では、HS6桁との整合を確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名に「pulp / recovered paper」等、状態が分かる記載
    • 必要に応じて工程概要・仕様書を添付
    • 数量単位(重量ベースが一般的)とドライベースの扱い確認(契約条件)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版(HS2012/2017等)を確認
    • 相関表で協定HSと現行HSの対応付け(必要な場合)
    • 木材原料や古紙回収地など、原産性の根拠資料を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 4707などで廃棄物該当性が疑われる場合:バーゼル法/廃棄物処理法の手続要否確認
    • 汚損・混合・異物混入リスクの事前評価(検査・滞留対策)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文)
    • WCO HS2022 Chapter 47(見出し・号、類注)〔参照日: 2026-02-22〕
    • WCO HS2017 Chapter 47(比較用)〔参照日: 2026-02-22〕
    • WCO HS2012/2007 Chapter 47(改正履歴確認)〔参照日: 2026-02-22〕
    • WCO HS2022 Table of Contents(Section Xに部注がないことの確認)〔参照日: 2026-02-22〕
  • 日本 税関・公的機関
    • 日本税関:第47類の類注(4702定義の和文)〔参照日: 2026-02-22〕
    • 日本税関:品目別原産地規則(PSR)検索画面(相関表案内含む)〔参照日: 2026-02-22〕
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • RCEP:Product-Specific Rules(Annex 3A)がHS2012版に基づく旨(日本税関公表資料)〔参照日: 2026-02-22〕
    • CPTPP:PSR等がHS2012で確定した旨のガイド(豪州当局資料)〔参照日: 2026-02-22〕
    • 日EU・EPA:Annex 3-B(PSR)がHS2017分類に基づく旨(MOFA公表資料)〔参照日: 2026-02-22〕
    • (参考)RCEP PSRのHS2022トランスポーズに関する解説(JETRO資料)〔参照日: 2026-02-22〕
  • 規制(廃棄物越境移動)
    • 経済産業省:バーゼル条約・バーゼル法(概要・手引き等)〔参照日: 2026-02-22〕
    • 環境省:廃棄物・特定有害廃棄物等の輸出入/手続(申請先等)〔参照日: 2026-02-22〕

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。