HS2022 第43類:毛皮及び人造毛皮並びにこれらの製品(Furskins and artificial fur; manufactures thereof)実務向け整理

※用語統一:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 原毛皮(生鮮・塩蔵等で“なめし未満”):例)塩蔵ミンク原皮、フォックス原皮(4301)
    • なめした/仕上げた毛皮(毛付きのまま):例)なめし済みミンク毛皮、毛皮パネル(衣類未満の素材)(4302)
    • 毛皮製の衣類・衣類附属品:例)毛皮コート、毛皮マフラー、毛皮の衿(4303)
    • 人造毛皮(定義に合う“フェイクファー”)とその製品:例)人造毛皮のマフラー、(定義に合う)人造毛皮シート(4304)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 羽毛皮(羽毛・ダウン付きの鳥皮):第05.05項または第67.01項
    • (特定動物の)毛付き原皮:第41類(第41類注1(c)ただし書の範囲:牛・馬・通常の羊皮等の“毛付き原皮”など)
    • 革×毛皮(または革×人造毛皮)の手袋:第42.03項(第42類)
    • 履物:第64類、帽子:第65類、玩具等:第95類
    • 織物・編物で作った“ボア/ファー風”生地:多くは第58類(例:5801)や第60類(例:6001)側(=「人造毛皮」の定義から外れる場合)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 本物の毛皮か/人造毛皮か/織編物のパイル生地(ボア等)か(ここを誤ると類が変わる)
    2. 原皮(なめし前)か/なめし・仕上げ済みか/製品(衣類等)になっているか
    3. 衣類で“単なるトリミング”か、それとも“裏張り・全面貼付等で本質的に毛皮が効いている”か(注4で43類へ飛ぶ)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • CITES(ワシントン条約)対象種の毛皮:必要書類不足は通関保留・差止め等のリスク(分類だけでなく“種の特定”が鍵)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(見出し文言+注):第43類は「類注(注1〜5)」で除外衣類の扱い(注4)、**人造毛皮の定義(注5)**が明確に書かれており、まずここで決まります。
    • GIR6(6桁の決定):4301/4302は「動物種」「全形か切れ端か」「組み合わせ(assembled)か」で6桁が分かれます。
    • GIR3(b)(複合品の本質):毛皮×他素材の複合品(例:外側が革・内側が毛皮の衣類等)で迷うときに検討。ただし衣類については注4が優先的に効くので、先に注4の対象か確認します。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 動物種(学名レベルが望ましい):第41類/第43類境界、CITES判定に直結。
    • 加工状態:原皮(保存処理のみ)か、なめし/仕上げ済みか。
    • 形状・完成度:毛皮“素材”(毛皮パネル等)か、衣類等の“製品”か。
    • 人造毛皮の製法:織編物のパイルか、基布に毛を縫い付け/接着したタイプか。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:対象物は「毛付きの皮」または「毛皮風の素材/製品」ですか?
    • いいえ → 第43類以外(繊維、革製品、玩具など)へ
  • Step2:本物の毛皮(動物由来の皮+毛)ですか?それとも人造毛皮ですか?
    • 本物 → Step3へ
    • 人造 → Step6へ
  • Step3:本物の毛皮は**原毛皮(なめし前)**ですか?
    • はい → 4301(ただし第41類注1(c)の例外に当たる“毛付き原皮”は第41類へ)
    • いいえ(なめし/仕上げ済)→ Step4へ
  • Step4:なめし/仕上げ済毛皮は、衣類等の形状になっていますか?
    • いいえ(毛皮パネル、切れ端等、素材段階)→ 4302
    • はい(衣類・衣類附属品・その他製品)→ 4303
  • Step5:注2の除外に該当しませんか?(革×毛皮手袋=42.03、履物=64類、帽子=65類、玩具=95類 等)
  • Step6:人造毛皮は注5の定義に合いますか?(毛を基材に縫い付け/接着等。織編物のパイル生地は外れることが多い)
    • 合う → 4304
    • 合わない → 第58類/第60類(例:5801/6001)等を再検討
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第41類 ↔ 第43類:同じ“毛付きの皮”でも、動物種と加工段階で分かれます(第41類注1(c))。
    • 第43類 ↔ 第58/60類:フェイクファーが「人造毛皮(4304)」か「織編物のパイル生地」か(注5)。
    • 第43類 ↔ 第61/62類・第42類:衣類で毛皮が“単なるトリミング”か、裏張り等で本質を持つか(注4)、手袋の特則(注2(c))。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

(第43類は4項のみのため全列挙)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4301原毛皮(毛皮業者向けの頭・尾・足等や切れ端を含む)塩蔵ミンク原皮、フォックス原皮、毛皮用の切れ端なめし前。ただし“毛付き原皮”でも第41類注1(c)の例外は第41類へ。
4302なめし又は仕上げした毛皮(未組立て/組合せ(他素材追加なし))なめし済み毛皮パネル、毛皮の切れ端(素材)製品形状(衣類等)未満が中心。衣類等になれば4303へ。
4303毛皮製の衣類・衣類附属品・その他の毛皮製品毛皮コート、毛皮マフラー、毛皮ラグ(毛皮製)注3・注4が重要(他素材を加えた毛皮製品や、裏張り衣類の扱い)。手袋は注2(c)で42.03へ。
4304人造毛皮及びその製品人造毛皮のマフラー、人造毛皮のラグ等注5の定義が核心。織編物のボア/ファー風生地は第58/60類に回りやすい。衣類で裏張り等は注4で4304へ。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(第43類で効く軸)
    • 4301(原毛皮):動物種(ミンク/フォックス/ラム等)+「全形」か「頭・尾・足・切れ端」か
    • 4302(なめし・仕上げ済):「全形」か「部分」か/「組合せ(assembled)」か(ただし衣類等は4303)
    • 4303:「衣類・衣類附属品」か「その他の製品」
    • 4304:注5に合う“人造毛皮”かどうか(製法で判断)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4304.00(人造毛皮) vs 第58類/第60類(織編物のパイル生地)
      • どこで分かれるか:「人造毛皮」の定義(注5)に合うか
      • 判断に必要な情報:
        • 生地の製法(織物/編物/タフテッド/基布に毛を接着・縫着 等)
        • 断面写真、製造工程図、メーカー仕様書
      • 典型的な誤り:
        • “フェイクファー”という商品名だけで4304にしてしまう(実は6001等)。
    2. 4303.10(毛皮の衣類・衣類附属品) vs 61/62類(繊維衣類)
      • どこで分かれるか:衣類に毛皮が**裏張り(ライニング)**されている、または外側に毛皮が付いている(単なるトリミング除く)場合、注4により43.03/43.04へ
      • 判断に必要な情報:
        • 毛皮の使用箇所(全面裏張りか、衿・袖口だけのトリムか)
        • 取り外し可否、面積比、製品写真
      • 典型的な誤り:
        • “毛皮付きコート”を全部4303にしてしまう(衿だけのトリムなら61/62類に残ることが多い)。
    3. 4302.30(組合せ毛皮:素材段階) vs 4303(毛皮製品)
      • どこで分かれるか:毛皮が**パネル状(毛皮業者の素材)**なのか、衣類・ラグ等の製品形状なのか。
      • 判断に必要な情報:
        • 形状(裁断パターン済みか、縁処理、裏地・付属品の有無)
        • 用途(furrier用素材として販売か、消費者向け製品か)
      • 典型的な誤り:
        • “縫い合わせてある=製品”と早合点し、4303へ(実は素材パネルで4302.30)。
    4. 革×毛皮の手袋:4303(と思いがち) vs 4203(正解になりやすい)
      • どこで分かれるか:**注2(c)**で“革と毛皮(または人造毛皮)から成る手袋等”は42.03へ除外。
      • 判断に必要な情報:
        • 手袋の主要構成(革部位と毛皮部位の関係、縫製仕様)
      • 典型的な誤り:
        • “毛皮手袋”の名称だけで4303へ。
    5. 毛付き原皮:4301(と思いがち) vs 第41類(毛付き“原皮”の一部)
      • どこで分かれるか:第41類注1(c)のただし書に入る“毛付き原皮”(例:牛・馬・通常の羊皮など)は第41類。
      • 判断に必要な情報:
        • 動物種(羊でも“アストラカン等の特定ラム”は例外になり得る)
        • 原皮か、なめし/仕上げ済みか
      • 典型的な誤り:
        • “毛が付いているから毛皮(43類)”と決め打ち(原皮は第41類に残るケースあり)。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第8部(Section VIII)には、WCO公開条文の構成上、他の部にあるような独立した「部注(Section Notes)PDF」が見当たらず、実務上は主に各類注(Chapter Notes)で判断します。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第41類〜第43類は隣接しており、“材料(原皮・革)”と“製品(革製品・毛皮製品)”、さらに**“毛付きかどうか”**で飛びやすいです。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • この部では、実質的に**類注(第41類注1(c)、第43類注2・4・5等)**が「他章へ飛ぶ」役割を持ちます。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約(第43類 注1〜注5の実務訳)
    • 注1(用語定義):この類でいう「毛皮」は、原則として毛付きの獣皮で、なめし又は仕上げしたもの(ただし4301の原毛皮は別扱い)。
    • 注2(除外):羽毛皮(05.05/67.01)、第41類注1(c)ただし書の毛付き原皮、革×毛皮の手袋(42.03)、履物(64類)、帽子(65類)、玩具等(95類)を除外。
    • 注3(4303の範囲拡張):他素材を加えて組み合わせた毛皮、衣類等の形状に縫い合わせた毛皮等も4303に含める。
    • 注4(衣類の特則):毛皮/人造毛皮を裏張り、または外側に付けた衣類等(単なるトリミング除く)は4303/4304へ。
    • 注5(人造毛皮の定義):人造毛皮(4304)の定義を置き、織編物の模造毛皮等を区別する(典型的には58.01/60.01へ)。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「毛皮」=“なめし又は仕上げした毛付き獣皮”が中心(注1)。一方で4301は“原毛皮(なめし前)”。社内文書では「原毛皮(raw)」と「なめし毛皮(tanned/dressed)」を分けて呼ぶと事故が減ります。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 革×毛皮(革×人造毛皮)の手袋 → 第42.03項(注2(c))
    • 履物 → 第64類、帽子 → 第65類、玩具等 → 第95類(注2(d)〜(f))

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:衣類の裏張り・外側貼付(注4)で「衣類の類」が変わる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 毛皮/人造毛皮が裏地として全面か、外側に面として付く
      • “衿だけ・袖口だけ”等の単なるトリミング
    • 現場で集める証憑:
      • 製品写真(表・裏・タグ)、仕様書、パターン/縫製指示書、BOM
    • 誤分類の典型:
      • レザーコート(42.03相当)や繊維コート(61/62類)として申告してしまうが、実は全面ファーライニングで43.03/43.04に寄る。
  • 影響ポイント2:人造毛皮(注5)か、織編物パイル(58/60類)かで類が変わる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 製法(織/編/タフテッド/接着・縫着)
      • 基材(皮革/織物等)と毛の固定方法
    • 現場で集める証憑:
      • 断面写真、メーカー工程説明、仕様書(「pile knit」「bonded」「tufted」等の記載)
    • 誤分類の典型:
      • フェイクファー生地を一律4304としてしまい、税率・統計・PSRが崩れる。
  • 影響ポイント3:手袋の特則(注2(c))で42.03へ強制移動
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • “手袋・ミトン・ミット”で、革と毛皮(または人造毛皮)の組合せか
    • 現場で集める証憑:
      • サンプル写真、素材構成、縫製仕様
    • 誤分類の典型:
      • “毛皮手袋”として43類へ。
  • 影響ポイント4:第41類注1(c)との連動で、毛付き“原皮”の類が分かれる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 動物種(牛・馬・羊等)と、原皮か/なめし済みか
    • 現場で集める証憑:
      • 仕入先の獣種証明、学名、加工証明(tanned/dressed の有無)
    • 誤分類の典型:
      • “毛がある=毛皮(43)”と決め打ち(原皮は41に残るものがある)。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:フェイクファー生地を全部 4304(人造毛皮)にしてしまう
    • なぜ起きる:商品名(faux fur)に引きずられる/製法確認が抜ける
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):注5で“人造毛皮”を定義し、織編物の模造毛皮等は別扱いになり得ます。
    • 予防策:
      • 確認すべき資料:メーカー工程、断面、仕様書(knit pile / woven pile / bonded 等)
      • 社内で聞く質問例:「毛は編み込まれている?それとも基布に接着/縫着?」
  2. 間違い:毛皮“パネル”(素材)を 4303(製品)にしてしまう
    • なぜ起きる:“縫い合わせがある=製品”と誤認
    • 正しい考え方:4302は“なめし毛皮(素材段階)”、4303は“衣類等の製品形状”が中心。
    • 予防策:
      • 仕様書で「最終用途(furrier用素材か)」を確認
      • 写真で縁処理・裏地・付属品の有無を確認
  3. 間違い:革コート(4203)として申告したが、実は全面ファーライニング
    • なぜ起きる:外側素材(革)だけで判断
    • 正しい考え方:衣類の裏張り・外側貼付は注4で43.03/43.04に寄せるルール(単なるトリミング除く)。
    • 予防策:
      • 社内質問例:「毛皮は衿だけ?それとも胴裏全面?取り外し可能?」
      • 製品写真(内側)を必須化
  4. 間違い:毛皮付きコートを“全部”4303にする
    • なぜ起きる:“毛皮付き”という販売表現
    • 正しい考え方:注4は「単なるトリミング」を除外。衿・袖口だけ等は衣類側(61/62類等)に残ることが多い。
    • 予防策:
      • トリム面積・縫付位置を確認(写真+仕様書)
  5. 間違い:革×毛皮の手袋を 4303 にする
    • なぜ起きる:“毛皮手袋”という品名
    • 正しい考え方:注2(c)で 42.03 に除外。
    • 予防策:
      • まず「手袋か?」を確認し、該当なら注2(c)をチェック
  6. 間違い:毛付き“原皮”を 4301 としてしまう(実は第41類)
    • なぜ起きる:毛付き=毛皮、と短絡
    • 正しい考え方:第41類注1(c)のただし書に入る毛付き原皮は第41類。
    • 予防策:
      • 動物種の特定(学名)+加工状態(raw / tanned)を仕入先へ確認
  7. 間違い:毛皮のブーツ/帽子を 43類にする
    • なぜ起きる:「素材=分類」と誤解
    • 正しい考え方:注2(d)(e)で履物=64類、帽子=65類へ除外。
    • 予防策:
      • 形状(履物・帽子)を先に確定 → 該当類の規定へ
  8. 間違い:ぬいぐるみ(玩具)を 4304 としてしまう
    • なぜ起きる:表面素材(人造毛皮)だけで判断
    • 正しい考え方:注2(f)で玩具等(95類)へ除外。
    • 予防策:
      • 用途(玩具/装飾/衣類)をインボイス品名と仕様書で一致させる

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。**最終製品(例:4303)と材料(例:4301/4302/別章)**のHSが崩れると、CTH/CTSH判定やRVCの前提が崩れます。
  • よくある落とし穴
    • フェイクファーを4304にしてPSRを引いたが、実際は織編物(58/60類)でPSRが別物だった
    • 毛付き皮の材料を41類/43類で取り違えた(第41類注1(c)との境界)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 経済連携協定等によって、採用しているHSバージョン(HS2002/2007/2012/2017など)が異なります。協定が採用しているバージョンでPSRを検索し、輸入申告は最新HSを使う、という整理が必要です。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • まず「協定PSRのHS版」を確定 → 次にWCO相関表で 旧HS⇔最新HS の対応を確認 → 材料HS・製品HSを揃えて検証、が安全です。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必要データ(最低限)
    • 材料表(BOM)、工程フロー(なめし/仕上げ/縫製/接着)、原産国、非原産材料のHS(協定版で)
    • 原価情報(RVC採用時)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 仕様書、製造記録、仕入書、原産地証明(自己申告/第三者証明いずれの場合も)を、協定の保存年限に沿って保管(協定本文・運用ガイドで確認)。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(相関表上、Chapter 43の改正項目が見当たらない)4301〜4304HS2022で第43類の項・号の改廃なし付番の連続性が高い。主なリスクは「注4/注5の読み違い」や「第41類境界」。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料:
    • WCO作成の HS2017↔HS2022 相関表(Correlation Table) を確認し、第43類(4301〜4304)に関する改正(新設・削除・統合・分割等)の記載が見当たらないことから、HS2017→HS2022でコード体系上の変更はないと判断しました。
    • 併せて、HS2022の第43類条文(見出し・類注)を参照し、実務上の分岐が主に注2・注4・注5に集中する点を確認しました。
  • 変更がない場合の明示:第43類はHS2017→HS2022で「変更なし」(上記相関表に基づく)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第43類については、入手できる相関表の範囲では、主要改正(追加・削除・再編)は確認できませんでした。

改正サイクル主要な追加・削除・再編旧コード→新コード(主要)根拠
HS2007→HS2012変更なし(第43類の改正記載が見当たらない)4301〜4304 → 同左日本税関 相関表(HS2012↔HS2007)
HS2012→HS2017変更なし(第43類の改正記載が見当たらない)4301〜4304 → 同左日本税関 相関表(HS2017↔HS2012)
HS2017→HS2022変更なし(第43類の改正記載が見当たらない)4301〜4304 → 同左WCO 相関表(HS2022↔HS2017)

※実務メモ:コード体系が安定している分、「フェイクファーの製法(注5)」と「衣類の裏張り/トリム(注4)」、および**第41類との境界(注1(c))**が事故原因になりがちです。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):全面ファーライニングのレザーコートを4203で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第43類注4の見落とし(裏張り衣類は43.03/43.04へ)
    • 起きやすい状況:品名が「leather coat」で、内側仕様が共有されていない
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査長期化
    • 予防策:内側写真・仕様書を通関資料に添付、社内で「トリムか裏張りか」を必ず確認
  • 事例名:フェイクファー生地を4304で申告したが実は編物パイル
    • 誤りの内容:注5に合わないのに4304(人造毛皮)扱い
    • 起きやすい状況:調達先が「faux fur fabric」とだけ表記
    • 典型的な影響:分類変更(58/60類へ)、税率やEPAのPSR再計算
    • 予防策:工程資料(knit/woven/bonded)を入手し、断面写真で確認
  • 事例名:革×毛皮の手袋を4303で申告
    • 誤りの内容:注2(c)に抵触(42.03へ除外)
    • 起きやすい状況:商品名が「fur gloves」
    • 典型的な影響:修正申告、品名是正要求
    • 予防策:手袋カテゴリは注2(c)チェックを定型化
  • 事例名:CITES対象種の毛皮を“合成”として申告し書類不足
    • 誤りの内容:分類以前に規制確認不足(CITES輸出許可+METI輸入承認等が必要)
    • 起きやすい状況:サプライヤーから学名・許可書が出てこない
    • 典型的な影響:輸入不許可、差止め、返送/廃棄のリスク
    • 予防策:学名(ラテン名)とCITES書類を発注条件に組み込み

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)

10-1. 検疫・衛生(SPS等)

  • 原皮・毛皮は加工度によって動物検疫(家畜伝染病予防法等)の対象になり得るとされ、輸出国政府機関の証明書や日本の動物検疫所での手続が必要になる場合があります。
    • 実務の準備物(一般論):原産国、動物種、加工度(塩蔵/乾燥/なめし等)、衛生証明書の要否、事前相談記録

10-2. ワシントン条約(CITES)等の種規制

  • CITES該当貨物の輸入では、輸出国のCITES輸出許可書等に加えて、経済産業省(METI)の輸入承認等が必要になる旨が税関FAQで整理されています(輸入申告時に税関へ提出)。
  • METIの案内でも、種によって「輸入承認証」や「事前確認書」等が必要であること、また場合により他制度(動物の輸入届出制度等)も関係し得ることが示されています。
  • 国内流通(販売・譲渡・広告)についても、環境省の案内のとおり、国際希少野生動植物種等は原則として取引が規制され、登録等が必要になる場合があります(毛皮やその加工品が対象になり得る)。

10-3. その他の許認可・届出(輸出先国規制の注意)

  • 日本からの輸出でも、輸出先国で犬・猫毛皮の輸出入/販売が禁止されている例があります(EU:規則1523/2007、米国:19 U.S.C. §1308)。犬猫毛皮や混入リスクがある製品は、輸出先の規制確認が必須です。

10-4. 確認先(行政・公式ガイド・窓口)

  • CITES:税関案内/METI(ワシントン条約規制対象貨物の輸入承認手続)
  • 国内取引規制:環境省(種の保存法:取引規制・登録制度)
  • 検疫:農林水産省 動物検疫所(AQ)/JETROの手続整理(参考)

10-5. 実務での準備物(一般論)

  • 物品情報:学名、原産国、加工度(raw/tanned/dressed)、用途(衣類/素材/玩具等)、写真
  • 規制書類:CITES許可書、METI輸入承認等、必要に応じ検疫証明書
  • 通関資料:インボイス品名を「fur」「faux fur」だけにせず、動物種・加工度・製法を補足

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 動物種(学名)、加工度(原皮/なめし/仕上げ)、毛の有無
    • 人造毛皮の場合は製法(織/編/接着/縫着)を工程資料で確定
    • 写真(表・裏・断面・タグ)、仕様書、用途
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第43類注2(除外)に当たらないか(手袋、履物、帽子、玩具等)
    • 衣類は注4で43類に飛ぶか/単なるトリミングか
    • 第41類注1(c)の境界に触れていないか(毛付き原皮)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名に「tanned/dressed」「mink/fox」「bonded faux fur」等、分類に効く語を入れる
    • 検査対応用に写真・仕様書を添付できる状態にする
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定のHS版を確認→相関表で整合→PSR適用
    • BOM・工程・原価・原産国資料の保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • CITES該当の有無(学名で照合)→必要書類(輸出許可+METI輸入承認等)
    • 必要に応じ動物検疫(加工度・対象動物)
    • 輸出先国の毛皮規制(犬猫毛皮等)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS2022 第43類条文(0843_2022E)参照日:2026-02-21
    • WCO HS2022 第41類条文(0841_2022E:注1(c)境界)参照日:2026-02-21
    • WCO 相関表(HS2022↔HS2017)参照日:2026-02-21
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関「関税率表解説 第43類(43r)」参照日:2026-02-21
    • 税関「品目別原産地規則(PSR)検索」注意事項(HS版の違い)参照日:2026-02-21
    • 税関(FAQ)CITES輸入規制概要(1808)参照日:2026-02-21
  • CITES・国内規制
    • 経済産業省:ワシントン条約規制対象貨物の輸入承認手続き 参照日:2026-02-21
    • 環境省:種の保存法(取引規制・登録制度・Q&A)参照日:2026-02-21
  • 検疫
    • JETRO:原皮・革の輸入手続き(検疫等の整理)参照日:2026-02-21
    • 農林水産省 動物検疫所:動物の輸出入(概要)参照日:2026-02-21
  • 輸出先国規制(例)
    • EU:犬猫毛皮の流通・輸出入禁止(Reg. 1523/2007、EC説明ページ)参照日:2026-02-21
    • 米国:犬猫毛皮製品の輸出入禁止(19 U.S.C. §1308)参照日:2026-02-21

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • ①製品写真(表・裏・断面)、②素材構成(動物種/学名・繊維組成)、③加工度(raw/tanned/dressed)、④用途、⑤製造工程(特に人造毛皮は製法)
    • 迷うポイント(注4の該当、注5の該当、第41類注1(c)境界)を「質問」として明文化すると回答が早いです。

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第42類:革製品並びに動物用装着具及び馬具並びに旅行用具、ハンドバッグその他これらに類する容器並びに腸の製品(Articles of leather; saddlery and harness; travel goods, handbags and similar containers; articles of animal gut (other than silk-worm gut))

本資料では、**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)として記載します。
また、原則として
HSは6桁(号)を指し、日本の9桁等は「国内コード」**と明記します。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • スーツケース、トランク、書類かばん、カメラケース、楽器ケース、銃用ケース、ホルスター等の「ケース類」(4202)
    • 旅行用バッグ、リュック、ハンドバッグ、買物袋、財布・札入れ等の「携帯容器」(4202)
    • 動物用装着具・馬具(首輪、口輪、リード、鞍・手綱、犬用コート等)(4201)
    • 革製の衣類・衣類附属品(革手袋、革ベルト等)(4203)
    • その他の革製品(例:ブックカバー等)(4205)
    • 腸・腱等の製品(例:ガット弦など)(4206)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 取手付きのプラスチック袋(長期使用目的でないもの) → 第39類 3923(注3(A)(a))
    • 組物材料(わら・ラタン等)の製品(例:かごバッグ) → 第46類 4602(注3(A)(b))
    • 履物・その部分品 → 第64類(注2(d))
    • むち・乗馬鞭 → 第66類 6602(注2(f))
    • 時計バンド → 第91類 9113(注4で除外)
    • 滅菌外科用カットガット(縫合糸等) → 第30類 3006(注2(a))
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • 「携帯が第一目的の容器」か/単なるカバー・保管目的か(4202に入るかが大きく変わる)
    • 4202は“外面(外側に見える材質)”で6桁が割れる(革系/プラ・繊維/その他)
    • “長期使用目的でない袋”は4202から除外(3923へ)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • ワシントン条約(CITES)対象種の皮革製品(例:ワニ革・ヘビ革のバッグ/ベルト/財布等):書類不備は差止め・遅延リスクになりやすい

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR(例:GIR1/GIR6など)
    • GIR1(項の規定+注):第42類は類注(注1〜4)で範囲・除外がかなり明確です。まず注で“入らないもの”を落とすのが近道です。
    • GIR6(号の比較):4202は**「容器の種類」×「外面材質」**で6桁が決まります。
    • GIR5(a)(ケース類):写真機用ケース等で、
      「特定品用に設計」「長期使用向き」「中身と一緒に提示」「通常一緒に売られる」等の条件を満たすと、ケースは“中身(本体)に含めて”分類され得ます。ケース単体輸入かセット輸入かで結論が変わる典型です。
    • GIR3(b)(セット):例えば“工具セット+ケース”など、複数品で提示される場合、セットに本質的特性を与える構成要素で分類する考え方が出ます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 用途(携帯・保護・収納のどれが第一目的か):4202の境界で最頻出です。
    • 外面材質(見えている面/被覆の有無):4202の号決定に直結します。
    • “長期使用”設計か(使い捨てか):同じ袋でも3923へ飛びます。
    • 毛皮の使い方:革衣類でも、毛皮の使い方次第で第43類へ。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:動物用の装着具・馬具か?
    • Yes → 原則 4201(材料は問わない)
    • No → Step2へ
  • Step2:“携帯が第一目的”の容器(かばん、財布、ケース等)か?
    • Yes → 原則 4202(ただし除外:使い捨て袋3923、組物製品4602等)
    • No/保管・カバー目的が主 → Step3へ
  • Step3:革製の衣類・衣類附属品か?
    • Yes → 原則 4203(時計バンドは除外、毛皮付は要注意)
    • No → Step4へ
  • Step4:その他の革製品(“容器でも衣類でもない”革小物)か?
    • Yes → 原則 4205(例:ブックカバー等)
    • No → Step5へ
  • Step5:腸・膀胱・腱等の製品か?
    • Yes → 4206(ただし滅菌縫合糸等は3006)
    • No → 他章(材質・用途で再探索)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 4202(携帯容器) vs 3923(包装用プラ袋):長期使用設計かどうか
    • 4202(容器) vs 4205(その他革製品):列挙品に“類似する容器”か、単なるカバー・台紙か
    • 4203(革衣類) vs 4303/4304(毛皮衣類):毛皮が裏貼り・外付け(トリミング程度を超える)か
    • 4202のケース類(単体) vs GIR5(a)で“中身と同一分類”:一緒に提示されるか、通常一緒に売られるか

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4201動物用装着具(材料不問)首輪、リード、口輪、鞍、手綱、犬用コート人用ハーネスは除外され得る/馬具の金具を単品提示すると他章(例:第15部)へ
4202容器(かばん、財布、各種ケース等)スーツケース、書類かばん、リュック、ハンドバッグ、財布、スマホケース等4202は**「携帯が第一目的」**が基本。使い捨て袋は3923へ、組物材料は4602へ、ブックカバー等は4205等へ
4203革製の衣類・衣類附属品革ジャケット、革手袋、革ベルト、腕輪(※時計バンド除く)時計バンドは9113へ/毛皮の使い方で43類へ/履物は64類
[4204](欠番/予備)HS上「予備」扱い(実務上は出てきません)
4205その他の革製品ブックカバー、書類カバー等(革製/革被覆)4202列挙品に類似しない“カバー類・台紙類”は4205へ行きやすい
4206腸等の製品ガット弦、ゴールドビーターズスキン等滅菌外科用カットガットは3006(42類注2(a))

(見出し文言・除外例は、HS条文(WCO)および日本税関の関税率表解説・分類例規を参照しています。)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • **4202:容器の“種類”→次に“外面材質”**で6桁が決まります。
      例)スーツケース類(4202.11/12/19)、ハンドバッグ(4202.21/22/29)、財布・名刺入れ等(4202.31/32/39)、その他(4202.91/92/99)
    • “携帯が第一目的”かどうか(4202に入るか)
      日本税関の分類例規では、目的判断が難しい容器について、取手・留め具・耐久性・収納スペース等の要件で4202扱いに寄せる考え方を示しています(材質別に要件が整理)。
    • “長期間の使用を目的としない”袋は4202から除外(3923へ)
      日本税関の分類例規では、例えば一時的消耗品無償サービス品で反復使用されないもの加工が粗雑で耐久性に乏しいもの等を“長期使用目的でない”方向で整理しています。
    • スマホ/タブレット等のカバー
      日本税関の分類例規では、特別に成形された収納スペース(固定枠含む)があり、外面を覆う形状のものは、材質によらず原則4202に分類する考え方を示しています(収納スペースなし・一部面のみ保護などは材質分類へ)。
    • 4203:スポーツ用手袋かどうか(4203.21 vs 4203.29)
      スキー/野球/ゴルフ/弓術用など“特に運動用”の特徴があるものは4203.21側に寄ります(例示あり)。
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4202.21/4202.22/4202.29(ハンドバッグ) vs 4202.91/4202.92/4202.99(その他)
      • どこで分かれるか:
        • “女性が身辺用品を入れて使用する携帯用具”という性格(ハンドバッグ)か、スポーツバッグ等の“その他のバッグ”か。
      • 判断に必要な情報:
        • 外形寸法(日本の実務例:長幅15〜30cm等を目安に扱う考え方)
        • 内部の仕切り/ポケットの有無、装飾性、形状の硬さ(変形の可否)
      • 典型的な誤り:
        • “小さめの肩掛けバッグ”を、寸法・構造確認なしにスポーツバッグ等へ寄せる/逆に“ポーチ類”を何でもハンドバッグ扱いする。
    2. 4202(携帯容器) vs 3923(包装用の袋)
      • どこで分かれるか:
        • 長期使用目的か否か(注3(A)(a)で4202から除外される範囲)
      • 判断に必要な情報:
        • 材質・縫製/溶着品質、反復使用前提の強度、無償配布品か、取手や留め具の有無等
      • 典型的な誤り:
        • “買物袋=4202”と短絡し、薄手レジ袋まで4202にしてしまう。
    3. 4202(列挙品に類する容器) vs 4205(その他の革製品)
      • どこで分かれるか:
        • 容器の性格はあっても、列挙品に類似しない(例:ブックカバー、書類カバー等)は4202から外れ、革製なら4205へ行きやすい。
      • 判断に必要な情報:
        • 使い方(携帯が第一目的か、単なるカバー/保管か)、構造(開閉・収納構造)
      • 典型的な誤り:
        • “ケース/カバー”という商品名だけで4202に入れてしまう。
    4. 4203(革衣類附属品) vs 9113(時計バンド)
      • どこで分かれるか:
        • 類注4で、腕輪(wrist straps)は含むが、時計バンドは除外と明示。
      • 判断に必要な情報:
        • 時計に取り付ける専用品か(ラグ形状、ばね棒穴等)、用途説明・図面。
      • 典型的な誤り:
        • “革ベルト状=4203.30”として時計バンドを混ぜる。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第VIII部(第41〜43類)は、(少なくとも公開版の条文構成上)独立した「部注」よりも各類の注で範囲が具体化されています(資料上、Section VIIIの後に各章注が続く構成)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 素材が“革(leather)”か“毛皮(furskin)”かの見極めは、第42類の適用可否に直結します。
      例:毛を付けたままの皮(特に羊皮等)は第43類側になり得るため、革衣類と思って4203を当てる前に素材状態を確認します。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第42類では、実務上は**「第42類注2(除外)」で他章へ飛ぶ**のが多いです(履物64類、帽子65類、鞭66類、模造身辺用細貨類7117等)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1(用語定義):「leather(革)」には、シャモア革、パテントレザー、メタライズドレザー等も含む。
    • 注2(除外):医療用(3006)、履物(64類)、帽子(65類)、鞭(6602)、模造アクセ(7117)、楽器部品(9209)、家具・照明(94類)、玩具(95類)等、広く除外が並ぶ。
    • 注3(A)(4202の追加除外):長期使用目的でないプラ袋(3923)と、組物材料の製品(4602)は4202に入らない。
    • 注3(B)(貴金属等の扱い):4202/4203でも、貴金属等パーツが“本質”を与えない限りそのまま。逆に“本質”を与えるなら第71類。
    • 注4(4203の範囲):手袋(スポーツ/保護用含む)、エプロン等保護衣類、サスペンダー、ベルト、バンドリエ、腕輪は含むが時計バンドは除外(9113)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「革(leather)」の範囲(注1)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 例:長期使用目的でないプラ袋 → 3923組物製品 → 4602時計バンド → 9113鞭 → 6602

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:注3(A)(a)「長期使用目的でないプラ袋」=4202から除外
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 反復使用前提の構造か(縫製・溶着の強度、厚み、持ち手の作り)
      • 無償配布品・一時使用の想定か(取引実態、配布形態)
      • “長期使用目的でない”に該当する要素(消耗品/サービス品/耐久性乏しい等)
    • 現場で集める証憑(仕様書、成分表、MSDS、カタログ、写真、工程図など):
      • 製品写真(厚み・溶着部)、仕様書、販売形態(無償配布の有無)、用途説明
    • 誤分類の典型:
      • “買物袋”という名称だけで4202にし、実態がレジ袋相当で3923だった。
  • 影響ポイント2:注3(B)「貴金属等パーツが本質か」=第71類へ飛ぶ可能性
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 装飾パーツの材質(貴金属めっき等)と、製品価値・外観上の支配度(本質的特性)
      • (日本の実務例)“直接目に触れない部分”“さ細な部分”の扱いなど、国内運用上の考え方
    • 現場で集める証憑:
      • パーツ材質証明、図面(どこに使っているか)、価格構成(装飾の寄与)
    • 誤分類の典型:
      • 金属装飾が支配的なクラッチバッグ等を、検討なしに4202で申告してしまう(本質が71類寄りの可能性)。
  • 影響ポイント3:注4「時計バンドは4203除外」
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 時計取付専用構造か(ラグ対応、ばね棒穴、専用幅)
    • 現場で集める証憑:
      • 取付図、商品仕様、用途説明
    • 誤分類の典型:
      • “革ベルト状”という形状だけで4203.30(ベルト)にしてしまう。
  • 影響ポイント4:注2(b)「毛皮の裏貼り/外付け」=43類へ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 毛皮が裏地か、外側に付いているか、単なるトリミングか(手袋は例外扱いに注意)
    • 現場で集める証憑:
      • 素材構成(毛皮の種類・使用範囲)、製品写真、縫製仕様
    • 誤分類の典型:
      • 毛皮付の革衣類を4203にしてしまう(43類の可能性)。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:「○○ケース」という商品名だけで4202にする
    • なぜ起きる:
      • “ケース/カバー”は日常語で広く、HSの「列挙品に類する容器」と一致しない場合があるため。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):
      • 4202は列挙品+これらに類する容器が中心で、類似しないカバー類は除外され得る(例:ブックカバー等)。
    • 予防策:
      • 「携帯が第一目的か」「収納スペース・開閉構造はどうか」を仕様書・写真で確認。
  2. 間違い:使い捨ての取手付きプラ袋を4202(買物袋)にする
    • なぜ起きる:
      • “shopping-bags”の語に引っ張られ、注3(A)(a)の除外を見落とす。
    • 正しい考え方:
      • 長期使用目的でないプラ袋は4202から除外され3923
    • 予防策:
      • 厚み・溶着品質・反復使用設計・無償配布の有無を確認(サンプル現物が最強)。
  3. 間違い:“携帯容器”か“保管/カバー”かの目的判断をしない
    • なぜ起きる:
      • 目的が併存する製品(保護ケース、収納ケース、ポーチ等)が多い。
    • 正しい考え方:
      • 日本の分類例規でも、目的が難しい場合の整理を提示(携帯のための取手、留め具、耐久性、収納スペース等)。
    • 予防策:
      • 「持ち運び用の取手/肩ひもがあるか」「留め具があるか」「耐久性」「実用的収納」をチェック項目化。
  4. 間違い:4202の“外面”を誤認(革のトリミングだけで革外面扱い等)
    • なぜ起きる:
      • 異材質ミックスのバッグが多く、外観判断が曖昧になりがち。
    • 正しい考え方:
      • 4202の号は「外面が革…」「外面がプラスチック/繊維…」等で分岐するため、外観上支配的な外面を丁寧に確認する。
    • 予防策:
      • 正面・背面・底面写真、素材構成表、表面積の概算(“見える面”ベース)を社内でルール化。
  5. 間違い:スマホ/タブレット“カバー”を材質だけで3926等にしてしまう/逆も同様
    • なぜ起きる:
      • “カバー”の形状が多様(収納枠あり/なし、外面を覆う/覆わない)。
    • 正しい考え方:
      • 特別に成形された収納スペースがあり外面を覆う形状なら原則4202、収納スペースなし等は材質分類へ、という整理が示されている。
    • 予防策:
      • 断面写真、固定枠の有無、収納スペースの有無、保護範囲(全面/一部)を確認。
  6. 間違い:工具箱・工具ケースを何でも4202にする
    • なぜ起きる:
      • 4202に「工具箱及びケース」が例示されているため。
    • 正しい考え方:
      • 4202に入るのは、個々の工具を収めるために特別に成形/内部に取り付けがあるなど、列挙品に類似する容器としての性格があるもの。そうでないものは材質章(例:3926/7326)へ。
    • 予防策:
      • 内装(成形トレー、固定具)の有無、用途説明、製品写真(開いた状態)を入手。
  7. 間違い:時計バンドを4203(革ベルト)にする
    • なぜ起きる:
      • “革でできた帯状品”が多く、用途確認を省きやすい。
    • 正しい考え方:
      • 注4で時計バンドは9113へ除外と明示。
    • 予防策:
      • 取付部仕様(ラグ幅・穴)と用途(時計用)をインボイス品名に明記。
  8. 間違い:毛皮をしっかり使った革衣類を4203にする
    • なぜ起きる:
      • “革”が主素材でも、毛皮の扱いを見落とす。
    • 正しい考え方:
      • 注2(b)で、手袋等を除き、毛皮の裏貼り・外付け(トリミング以上)は43類へ。
    • 予防策:
      • 素材構成(毛皮の種類/使用範囲)を入手し、写真で“トリミング程度”かを確認。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること(誤ると原産性判断が崩れる)
    • 例:同じ“バッグ”でも、**4202(携帯容器)**か、材質章(39類/46類/63類等)に落ちるかでPSRが変わり得ます。
  • よくある落とし穴(材料のHS、最終製品HS、工程の評価軸)
    • 外面材質で4202の号が変わる → 材料HS(革・繊維・プラ等)や工程(縫製・組立)の評価軸が変わり得る
    • そもそも“容器に該当しない”なら4205等へ → PSRが別物になる

(PSRは協定ごとに異なり、最新は税関のPSR検索等で確認する運用が一般的です。)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記
    • 本稿はHS2022(第42類)ですが、協定附属書のPSRがHS2012/2017ベースの場合があります(協定・運用資料で確認が必要)。
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
    • HS改正でコード構造が変わると、PSRの参照コードがずれるため、協定側の参照表や税関の案内に従って読み替えます。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • ①協定の参照HS版を確認 → ②旧HSでPSR特定 → ③相関表でHS2022へ対応づけ → ④最終製品HS(2022)と材料HSの整合をチェック、の順が安全です。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
    • 外面材質(革/繊維/プラ等)を含む仕様確定が先(4202の号確定のため)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 仕様書、材料明細、工程フロー、原価計算根拠、原産地証明関連書類の保管(協定により年限が異なり得ます)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(注の例示)類注2(k)(第94類の例示)“lamps and lighting fittings”の表現が“luminaires and lighting fittings”に更新(例示語の更新)実務上の大きな分類分岐は通常発生しにくいが、注の参照箇所は最新版で確認
HS2017→HS2022変更なし(6桁の新設/削除/分割/統合なしと確認できる範囲)4201〜4206相関表(Table I)に42類該当の記載が見当たらず、WCO条文(2017/2022)のコード列挙も同一社内マスタの大改修より、運用品名・外面判定など実務運用の整備が中心

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料と、判断のしかた:
    • **WCOのHS条文(HS2017/HS2022のChapter 42)**を突合し、4201〜4206の見出し・号列挙が一致すること、注の文言差(例示語の更新)があることを確認しました。
    • **WCOの相関表(HS2017↔HS2022 Table I)**を検索し、4202等の該当が見当たらないことから、少なくとも6桁レベルの再編(新設/削除/分割/統合)は確認できませんでした。
  • 変更がない場合の明示:
    • 第42類は、HS2017→HS2022で6桁コード体系の変更は確認できない、という整理になります(上記根拠による)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な追加・削除・再編(6桁レベル)について、相関表で確認できる範囲を整理します。

改正の流れ第42類(4201〜4206)に関する“主要な追加・削除・再編”根拠(相関表の確認結果)
HS2007→HS2012(確認できる範囲で)大きな再編なし相関表(HS2012↔HS2007)で4202等を検索して該当が見当たらない
HS2012→HS2017(確認できる範囲で)大きな再編なし相関表(HS2017↔HS2012)で4202等を検索して該当が見当たらない
HS2017→HS20227章のとおり(6桁再編なし)WCO条文突合+相関表Table I確認

※相関表は「変更があるコード」を主に掲載する形式のため、“記載がない=絶対に何もない”と断定せず、重要品目は条文・税関ガイダンスで最終確認する運用が安全です。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):レジ袋を「買物袋(4202)」で申告して差し戻し
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):注3(A)(a)の除外(長期使用目的でないプラ袋)を見落とし
    • 起きやすい状況:インボイス品名が“shopping bag”のみ、サンプル未確認
    • 典型的な影響:修正申告、分類照会、検査強化、納期遅延
    • 予防策:厚み・耐久性・反復使用前提の確認、無償配布の有無を資料化
  • 事例名(短く):スマホケースを材質だけで3926申告→4202指摘
    • 誤りの内容:収納枠付きで外面を覆うタイプを、形状要件確認なしに材質分類
    • 起きやすい状況:商品説明が“cover”だけ、図面なし
    • 典型的な影響:修正申告、分類根拠資料の追加提出
    • 予防策:固定枠・収納スペースの有無、保護範囲(全面/一部)を写真で提出
  • 事例名(短く):革ジャケット(毛皮裏貼り)を4203で申告
    • 誤りの内容:注2(b)(毛皮裏貼り等は43類)を見落とし
    • 起きやすい状況:素材表示が曖昧(“shearling”など)、毛皮範囲不明
    • 典型的な影響:分類変更、追加資料要求、遅延
    • 予防策:素材構成表(毛皮の種類・使用範囲)と写真を準備
  • 事例名(短く):時計バンドを革ベルト(4203.30)で申告
    • 誤りの内容:注4で時計バンドは9113に除外される点を見落とし
    • 起きやすい状況:見た目がベルト状、用途確認を省略
    • 典型的な影響:修正申告、社内マスタ修正
    • 予防策:用途(watch strap)を品名に明記、取付仕様図を保管

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • ワシントン条約(CITES)等の種規制
      • 皮革製品(バッグ・ベルト・財布等)もCITES対象になり得る旨を税関が案内しています。
      • 経産省(CITES案内)では、例としてワニ革バッグ等の輸出入時に許可書が必要になり得ること、対象種の調べ方等を案内しています。
      • 実務上は、インボイス等に学術名の記載が求められることがあるため、仕入先から種情報を取得しておくのが安全です(JETROの実務Q&Aでも言及)。
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 腸・腱等の動物由来品は、品目・加工度により所管当局の確認が必要になる場合があります(動物検疫所の案内に基づき、指定検疫物該当性や必要証明書の要否を確認)。
    • 安全保障貿易管理(該当する場合)
      • 通常のバッグ・ケースは該当しないことが多い一方、用途・取引先・最終用途によっては確認が必要なケースがあります(一般論:社内の輸出管理フローに乗せて判断)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 税関:ワシントン条約(CITES)案内ページ
    • 経済産業省:CITES案内・対象種の調べ方、ワニ皮の手続案内
    • 農林水産省(動物検疫所):指定検疫物の輸入検査手続
  • 実務での準備物(一般論):
    • CITES:種(学術名)、原産国、許可書(輸出国発給書類等)、製品写真、数量・重量、取引書類(Invoice/PL)
    • 検疫:該当性確認に必要な成分・加工度情報、必要に応じて証明書類

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 用途(携帯/保護/保管)、対象物(スマホ用、工具用等)
    • 外形寸法、容量、取手/肩ひもの有無、留め具、内部の仕切り
    • 外面材質(見える面)と被覆の有無、混用材質の割合(目視でも良い)
    • “長期使用設計”か(耐久性、無償配布か等)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注3(A)の除外(3923/4602)に当たらないか
    • 注4(時計バンド除外)に当たらないか
    • 毛皮の使用(注2(b))がないか
    • ケースを中身と一緒に輸入する場合、GIR5(a)の検討をしたか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名は「bag/case」だけでなく、用途(handbag / rucksack / phone case等)と材質を記載
    • 外面材質が分岐要素のため、写真・仕様書をセットで準備
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版、PSR、材料HS、工程要件、原価計算(必要な場合)を整合
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • CITES該当種の可能性がある皮革(ワニ・ヘビ等)なら、学術名と許可書の有無を必ず確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • HS Nomenclature 2022 – Chapter 42(条文・類注) (参照日:2026-02-21)
    • HS Nomenclature 2017 – Chapter 42(比較用) (参照日:2026-02-21)
    • HS2017↔HS2022 Correlation Table(Table I) (参照日:2026-02-21)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 関税率表解説 第42類(42r) (参照日:2026-02-21)
    • 分類例規(42rd:ハンドバッグ認定基準、長期使用の考え方、スマホカバー等) (参照日:2026-02-21)
    • 関税率表の解釈に関する通則(GIR) (参照日:2026-02-21)
    • 輸入貨物の品目分類事例(検索入口) (参照日:2026-02-21)
    • 税関:ワシントン条約(CITES) (参照日:2026-02-21)
  • 規制(CITES等)
    • 経済産業省:ワシントン条約(CITES)総合案内 (参照日:2026-02-21)
    • 経済産業省:規制対象種の調べ方 (参照日:2026-02-21)
    • 経済産業省:ワニ目の種の皮の輸出入手続 (参照日:2026-02-21)
    • JETRO:原皮・革の輸入手続き(学術名記載等の実務) (参照日:2026-02-21)
    • 農林水産省(動物検疫所):輸入畜産物の検査手続 (参照日:2026-02-21)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第41類:原皮(毛皮を除く。)及び革(Raw hides and skins (other than furskins) and leather)

※用語の統一:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 牛(水牛含む)・馬類の原皮(生鮮、塩蔵、乾燥、石灰漬け、酸漬け等)で、なめし等(不可逆)をしていないもの(4101)
    • 羊・子羊の原皮(毛付き/毛なしを含むが条件あり)(4102)
    • 爬虫類の原皮(例:ワニ・ヘビの原皮、未なめし)(4103.20)
    • 牛・馬のなめし革/クラスト(毛なし、未仕上げ)例:ウェットブルー、乾燥クラスト(4104)
    • 仕上げ革(なめし/クラスト後に更に加工) 例:型押し・塗装・研磨した靴用革(4107/4112/4113)
    • コンポジションレザー(革/革繊維ベースの再生革シート等)および革くず(革製品に不適なもの)(4115)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 原皮くず(原皮の削り屑等)05.11
    • 羽毛付きの鳥皮05.05 又は 67.01
    • 毛が付いている獣皮で「なめし又は仕上げ」済み(いわゆる毛皮) → 第43類(ただし“原皮の毛付き”は例外あり)
    • 革製の完成品(バッグ、ベルト、手袋、衣類など) → 典型的に 第42類(靴なら第64類等)
    • プラスチック・繊維等ベースのイミテーションレザー(合皮) → 材質・構造により 第39類/第59類など(※「コンポジションレザー(4115)」とは別物)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 材料(原皮・革)か、製品(バッグ等)か(41類 vs 42類/64類など)
    2. 毛付きか/毛なし、かつ 「原皮」か「なめし/仕上げ済み」か(41類の例外・43類の毛皮)
    3. なめしの段階
      • 未なめし(4101〜4103)
      • なめし/クラスト(4104〜4106)
      • 仕上げ革(4107/4112/4113、特殊は4114)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 爬虫類皮(ワニ・ヘビ等):分類ミスに加え、CITES(ワシントン条約)手続の不備があると差止め・没収リスク
    • 原皮(未加工)動物検疫・証明書不備で止まりやすい
    • 「合皮」表示:社内の呼称(合成皮革)をそのまま4115に当てる誤り(実際はプラ/繊維ベースで別類)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+注)が中心です。第41類は「原皮→なめし→仕上げ」という加工段階と、動物種・毛の有無で範囲がはっきり分かれ、注(類注)の影響が大きいです。
    • **GIR6(号の決定)**では、特に
      • 「ウェット状態(wet-blue含む)/乾燥(crust)」
      • 「全形/サイド等」「フルグレイン・未スプリット/グレインスプリット/その他」
      • 「重量(4101.20の閾値)」
        が効きます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • “leather”“wet blue”“crust”“finished”などの商慣行名称は便利ですが、分類は**実態(工程・状態)**で決めます。
    • 必ず確認したい軸:
      • 動物種(牛/羊/豚/爬虫類/その他)
      • 毛(羊毛・体毛)の有無
      • 加工段階:保存処理のみか/不可逆なめし済みか/仕上げ(塗装・型押し等)まで済みか

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:それは「材料」か「製品」か?
    • 材料(原皮・革シート等)→ Step2
    • バッグ・ベルト・手袋・衣類・靴部品など“製品”→ 多くは第42類/第64類等(第41類ではない)
  • Step2:毛が付いているか?
    • 毛付きで なめし/仕上げ済み → 原則 第43類
    • 毛付きでも **「原皮」**で、かつ動物種が注の例外に該当 → 第41類に残る(例:毛付き牛原皮など)
    • 毛なし → Step3
  • Step3:未なめし(raw)か? なめし/クラストか? 仕上げ革か?
    • 未なめし(保存処理まで)→ 4101〜4103(種で分岐)
    • なめし/クラスト(毛なし、未仕上げ)→ 4104〜4106(種+wet/crustで分岐)
    • 仕上げ革(塗装・型押し・研磨など“さらに加工”)→ 4107/4112/4113(種で分岐)/特殊仕上げは4114
    • 再生革・革くず → 4115
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第41類 vs 第43類:毛付きのまま「なめし/仕上げ」まで行ったか(行っていれば第43類になりやすい)。ただし毛付き“原皮”は例外あり。
    • 第41類 vs 第42類:革を“形に切っただけ”でも、特定形状に切り出した革片は製品扱いになり得ます(特に42類や64類)。
    • 4115(コンポジションレザー) vs 合皮(PU等):基材が革/革繊維か、プラ/繊維等か。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4101牛(水牛含む)・馬類の原皮(保存処理は可、未なめし塩蔵牛原皮、乾燥馬皮なめし・パーチメント仕上げ・仕上げ加工は不可。4101.20は重量閾値あり(後述)。
4102羊・子羊の原皮(毛付き可、ただし注の除外あり)毛付き羊皮、酸漬け(pickled)羊皮「毛付き原皮」は例外規定が絡む。4102.10(毛付き)と毛なし(酸漬け等)で分岐。
4103その他動物の原皮(爬虫類、豚等)ワニ原皮、豚原皮鳥皮(羽毛付き)除外、毛皮扱いは43類へ。爬虫類はCITES要注意。
4104牛・馬のなめし皮/クラスト(毛なし、未仕上げウェットブルー牛革、乾燥クラスト牛革wet(wet-blue含む)/dry(crust)で分岐。仕上げ革は4107へ
4105羊・子羊のなめし皮/クラスト(毛なし、未仕上げ)ウェットブルー羊革、乾燥クラスト羊革wet/dryで分岐。シャモア革等は4114へ。
4106その他動物(山羊、豚、爬虫類等)のなめし皮/クラスト(毛なし)山羊革wet-blue、爬虫類なめし皮山羊・豚はwet/dry、爬虫類は別号(4106.40)。仕上げ革は4113へ。
4107牛・馬の仕上げ革(なめし/クラスト後にさらに加工)染色・型押しの靴用牛革4114(エナメル等)除外。全形/サイド等で号が分岐。
4112羊・子羊の仕上げ革衣料用仕上げ羊革4114除外。
4113その他動物の仕上げ革(山羊・豚・爬虫類等)仕上げ山羊革、ヘビ革仕上げ号で動物種分岐(山羊/豚/爬虫類/その他)。
4114特殊仕上げ革(シャモア、エナメル、メタライズ)シャモア革、エナメル革「ワニス・ラッカー塗布」「プラシート被覆」等のエナメル/ラミネート、金属粉/箔被覆はここ。
4115コンポジションレザー(革/革繊維ベース)+革くず(不適)+革粉再生革シート、革粉PU等の合皮は含まれない(基材が革/革繊維であること)。革くずは「革製品製造に不適」限定。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件(頻出)の整理
    • 重量(4101.20/4101.50)
      • 4101.20:全形・未スプリットで、1枚重量が
        • 単純乾燥:8kg以下
        • 乾式塩蔵:10kg以下
        • 生鮮/湿式塩蔵等:16kg以下
      • 4101.50:16kg超の全形原皮
    • 毛付き/毛なし(4102.10など):羊皮は毛付き(4102.10)と毛なし(酸漬け等)で分かれます。
    • wet(wet-blue含む)/dry(crust)
      • 4104/4105/4106で分岐し、貿易書類上の「wet blue」「crust」表示と整合させる必要があります。
      • なお「クラスト」には、乾燥前の再なめし・染色・加脂を含む旨が注で明示されています。
    • フルグレイン未スプリット/グレインスプリット/その他
      • 4104・4107で「Full grains, unsplit」「Grain splits」「Other」に分岐(品質・層構造がポイント)。
    • 動物種(爬虫類等)
      • 原皮:4103.20(爬虫類)
      • なめし/クラスト:4106.40(爬虫類)
      • 仕上げ革:4113.30(爬虫類)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 爬虫類:4103.20 ↔ 4106.40 ↔ 4113.30
      • どこで分かれるか:未なめし(原皮)→なめし/クラスト→仕上げ革の段階差
      • 判断に必要な情報:なめし工程の有無(不可逆か)、wet-blue/クラスト/仕上げ工程(塗装・型押し等)
      • 典型的な誤り:CITES対象でも「革」としか書かれず、原皮/仕上げの区分が不明のまま申告(規制面でも危険)
    2. 牛馬:4104(なめし/クラスト) ↔ 4107(仕上げ革)
      • どこで分かれるか:**“なめし/クラストを超える加工”**があるか
      • 判断に必要な情報:仕上げ内容(塗装、graining/型押し、研磨、印刷、スエード化の研磨等)
      • 典型的な誤り:染色や型押し済みの革を「クラスト」と誤認して4104に入れる
    3. wet(wet-blue) ↔ dry(crust)
      • どこで分かれるか:物理状態(含水状態)
      • 判断に必要な情報:出荷形態(ドラムから出た湿潤状態か、乾燥品か)、仕様書の含水率/状態表示
      • 典型的な誤り:「wet-blue」をdry側(crust)にしてしまう
    4. 4115.10(コンポジションレザー) ↔ 4115.20(革くず等)
      • どこで分かれるか:再生革“シート/ストリップ等の製品”か、端材・粉等の“くず”か
      • 判断に必要な情報:形状(板状/シート状/ストリップ状/粉)、用途(革製品用に適するか)
      • 典型的な誤り:「合皮シート」を“コンポジションレザー”と誤認(実際はプラ/繊維基材で別類)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第41類が属するSection VIIIについて、WCO公開条文の構成上は独立した部注(Section Notes)PDFが提示されておらず、実務判断は主に各Chapterの注(類注)で行うのが実態です。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • Section VIIIの中でも、**第41類(材料の原皮・革)**と、第42類(革製品)、**第43類(毛皮)**が隣接し、境界ミスが起きやすいです。
      • 例:革の“材料”は第41類、革の“手袋・バッグ”は第42類
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 本件では、実務上は**類注(Chapter Notes)**が「他章に飛ぶ」規定を持ちます(次項参照)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約(第41類 注1〜3):
    • 注1:この類に含まないもの(除外)
      • 原皮くず(05.11)
      • 羽毛付き鳥皮(05.05/67.01)
      • 毛付き獣皮(原則43類。ただし一定の“毛付き原皮”は41類に残る例外あり)
    • 注2(A):可逆的な「なめし(前なめし含む)」は4104〜4106に入れない
      • =「一時的に安定化しただけ」の皮は、原皮(4101〜4103)扱いになり得ます。
    • 注2(B):クラストの範囲
      • 乾燥前に再なめし・着色・加脂をしていても、クラストに含む。
    • 注3:コンポジションレザーの定義
      • HS上の「コンポジションレザー」は、見出し4115の物品のみを指す(“合皮”一般とは違う)。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • なめし:皮に腐朽抵抗性・安定性等を与える非可逆的な化学反応(商慣行上の“革”の前提)
    • クラスト(crust):なめし後、乾燥した状態。乾燥前の再なめし・染色・加脂を含み得る(注2(B))。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 原皮くず → 05.11
    • 羽毛付き鳥皮 → 05.05/67.01
    • 毛付き獣皮(なめし/仕上げ済み)→ 43類

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:毛付き皮=即43類、ではない(ただし条件あり)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 毛付きか(はい/いいえ)
      • 原皮か(未なめし)/なめし・仕上げ済みか
      • 動物種(例外リストに該当するか)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕入先仕様書(工程、保存処理のみか)
      • 写真(毛の状態、裏面)
      • MSDS/工程表(なめし薬品使用の有無)
    • 誤分類の典型:
      • 毛付き牛原皮を「毛付きだから43類」としてしまう(注1(c)の例外に抵触)
  • 影響ポイント2:“前なめし”・“酸漬け”=なめし革(4104〜)とは限らない
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 工程が可逆(戻せる)な前処理か、不可逆なめしまで終わっているか
    • 現場で集める証憑:
      • タンナーの工程フロー(ピックル、クロムなめし等)
      • “wet-blue”の有無(クロムなめしの典型的な出荷状態)
    • 誤分類の典型:
      • 「酸漬け(pickled)」を“なめし済み”と誤認し4104〜に入れる(注2(A)に抵触)
  • 影響ポイント3:「コンポジションレザー」=4115のみ(合皮一般ではない)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 基材が革/革繊維か(はい/いいえ)
      • 形状が板状・シート状・ストリップ状か、粉・くずか
    • 現場で集める証憑:
      • 材料組成(革繊維比率、樹脂バインダー等)
      • 製法説明(“bonded leather” 等)
    • 誤分類の典型:
      • PU基材の“合皮”を4115にしてしまう(注3の趣旨と4115解説の除外に反する)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:バッグ・ベルト等の革製品を第41類で申告
    • なぜ起きる:社内呼称が「レザー=41類」と短絡しやすい
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第41類は**素材(原皮・革)**が中心。特定形状に切った革片や製品は他類扱いになり得る。
    • 予防策:
      • インボイス品名に「material / hides / skins / leather sheet」か「bag/belt/glove」かを明確化
      • 写真(完成品か、材料か)を事前に回収
  2. 間違い:毛付き=必ず第43類
    • なぜ起きる:毛皮(43類)のイメージが強い
    • 正しい考え方:毛付きでも**“原皮”かつ一定動物のものは第41類**に残る例外が明記。
    • 予防策:
      • 「原皮(未なめし)」か「なめし/仕上げ済み」かを工程表で確認
      • 動物種を確定(羊でも例外除外の子羊皮がある)
  3. 間違い:酸漬け(pickled)や前なめし品を“なめし革(4104〜)”にしてしまう
    • なぜ起きる:工程名に“tanning/pre-tanning”が含まれ、誤解しやすい
    • 正しい考え方:注2(A)により、可逆的ななめし(前なめし含む)は4104〜4106に入らない
    • 予防策:
      • “wet-blue(クロムなめし)”かどうか、不可逆工程まで完了しているかを確認
      • 仕様書に「tanned」「wet-blue」「crust」「finished」の区別を要求
  4. 間違い:ウェットブルーなのにcrust(乾燥側)で申告
    • なぜ起きる:出荷形態の把握不足
    • 正しい考え方:HSはwet/dryで号が分かれる(4104/4105/4106)。
    • 予防策:
      • 梱包形態(含水、冷蔵/冷凍の有無)、含水率、HSのwet/dry区分を事前に揃える
  5. 間違い:仕上げ革(塗装・型押し等)を“未仕上げ(4104〜4106)”に入れる
    • なぜ起きる:「染色はクラストの一部」という誤解
    • 正しい考え方:注2(B)は「クラストに含む」範囲を示すが、**“なめし/クラストを超える加工”**は4107/4112/4113へ。日本の解説でも仕上げ工程(型押し、研磨、印刷等)が列挙される。
    • 予防策:
      • 仕上げの有無を「工程表」「サンプル」「表面写真」で確認
      • 取引書類に“finished/embossed/coated/patent”等のキーワードを反映
  6. 間違い:“合皮”を4115(コンポジションレザー)にする
    • なぜ起きる:「合成皮革=コンポジションレザー」という言葉の混同
    • 正しい考え方:HS上のコンポジションレザーは革/革繊維ベースの再生革に限定される(注3、4115解説の除外)。
    • 予防策:
      • 基材の分析(革繊維か、PU/PVCか、繊維布帛か)
      • SDS/材料証明書の取得
  7. 間違い:革くず(4115.20)を“再利用できそう”でもそのまま申告
    • なぜ起きる:「くず=一律4115.20」と短絡
    • 正しい考え方:4115.20は革製品の製造に適しないくずに限定。適する場合は“くず”ではなく革として別見出しになり得る。
    • 予防策:
      • くずの状態(大きさ、品質)と用途(製造可否)を明確化
      • 写真・サンプル提出を前提に税関相談

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること
    • 第41類は「原皮→なめし→仕上げ→製品(42類)」と段階が明確で、どの段階のHSに当たるかでPSRが変わりやすいです。
  • よくある落とし穴(材料のHS、最終製品HS、工程の評価軸)
    • 原皮(4101〜4103)を輸入して国内でなめし(4104〜4106)にすると、同一Chapter内でもHeadingが変わるため、協定によってはCTH要件を満たす可能性があります。
    • 一方で、PSRが「特定工程」や「除外材料」に触れる場合もあり、工程定義を協定本文・PSRで要確認です(一般論)。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 当該協定が参照するHS版(例):
    • RCEP:PSRはHS2012表記で整備されつつ、日本では2023年以降、**HS2022に読み替えたPSR(transposed PSR)**を用いる運用が示されています。
    • CPTPP:PSRの表はHS2012で示されています。
    • 日EU EPA:PSRの表はHS2017で示されています。
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
    • 協定のPSRが旧HS(2012/2017等)で記載されている場合、HS2022コードで通関しても、原産地判断は“協定が参照するHS版”で読む必要が出ます。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • 税関・主管庁が提供する「読み替え表(transposition)」や、協定別のHS改正対応資料を確認し、PSRの条文上のコードと、実務申告コード(HS2022)を結び付けるのが安全です。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)・工程・原産国の整理
    • 原皮の原産(家畜の出生/飼育地)
    • 非原産原皮を国内でなめした場合:工程証跡(なめし・仕上げの有無、wet/dry状態)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 仕入書・製造指図・工程表・在庫管理記録
    • 仕上げ工程(型押し・塗装等)の証明(写真、品質検査表)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし4101〜4115見出し・注・6桁体系に大きな改正は確認されません旧版とのコード運用差は小さい(ただし国内コード細分や関税率は別管理)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料と判断の説明:
    • WCO公開のHS2017第41類条文と、HS2022第41類条文を比較すると、注(1〜3)および見出し体系(4101〜4115、wet/dry等の分岐)に実務上の差異は確認できません
    • WCOが公表する「2022年改正(2017→2022)で移動/新設等があった品目の相関表(改正点を列挙する表)」にも、第41類のコード(4101等)が登場しないため、改正対象外と整理できます
  • 変更がない場合も「変更なし」と明示し、その根拠を示す:
    • 上記のとおり、**HS2017→HS2022の第41類は“変更なし”**と判断します。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理(可能な範囲)
改正局面主要な追加・削除・再編(第41類で確認できた範囲)旧コード→新コード(例)メモ
HS2007→HS20124101.20の改正に伴う範囲調整が相関表に記載旧4101.20の一部 → 4101.90へ移動(または4101.20に残留)相関表では「4101.20の改正による移動」と説明
HS2012→HS2017第41類コードの改正記載なし(少なくとも相関表の改正点には登場せず)改正点列挙型の相関表で41類コードがヒットしない
HS2017→HS2022変更なし章条文比較+改正点相関表の確認

補足:上表は「改正点を列挙する相関表」ベースで確認した範囲です。第41類は大枠が長期的に安定していますが、国内コード(8/9桁)や関税率、協定PSRの読み替えは別途確認してください。


9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):毛付き“仕上げ革ラグ”を4107で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):毛付きで「なめし/仕上げ済み」は原則43類(注1(c)の原則側)
    • 起きやすい状況:インボイスに “hair-on leather” とだけ記載、工程情報なし
    • 典型的な影響:修正申告、検査強化、通関遅延
    • 予防策:毛付きの場合は「原皮か/なめし済みか」を工程表で確定し、必要なら事前教示へ
  • 事例名:“pickled hides”を4104(なめし革)で申告
    • 誤りの内容:可逆的な前なめし段階を4104〜4106に入れた(注2(A))
    • 起きやすい状況:保存処理(酸漬け)=なめし済みと誤解
    • 典型的な影響:分類替え、税率差による追徴、検疫手続の組み替え
    • 予防策:工程の不可逆性、wet-blueの有無を確認(仕様書・MSDS)
  • 事例名:“合皮シート”を4115(コンポジションレザー)で申告
    • 誤りの内容:4115は革/革繊維ベースに限定(注3、4115解説の除外)
    • 起きやすい状況:商品名が「再生皮革」「ボンデッドレザー」「合成皮革」で混乱
    • 典型的な影響:分類替え(39類/59類等)、関税率・規制の再判定
    • 予防策:基材の組成証明(革繊維含有、樹脂種、基布有無)を確保
  • 事例名:爬虫類革でCITES書類不備
    • 誤りの内容:分類以前に、CITES管理種の輸入承認・証明が不足
    • 起きやすい状況:取引先が「レザー素材」としか言わない/種名が不明
    • 典型的な影響:差止め、没収、調査、納期遅延
    • 予防策:種名・学名、CITES付属書、輸出国許可証の事前確認

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 原皮・皮革は動物由来製品として、輸入時に動物検疫(農林水産省 動物検疫所)の対象となり得ます。一般に、輸入には衛生証明書等の提出や検査が必要となる場合があります。
    • 実務では、輸出国・疾病状況・加工度(未加工/なめし等)で要件が変わるため、動物検疫所の案内に従って事前確認が必要です。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • ワニ革・ヘビ革などはCITES対象になり得ます。日本では経済産業省(METI)の輸入承認や、税関での確認が必要になるケースがあります。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 第41類そのものは典型的な該当リスクは高くありませんが、用途(軍用装備等)や相手先により別途確認が必要な場合があります(一般論)。
  • その他の許認可・届出
    • **関税割当(タリフクォータ)**が品目によって関係する可能性がある旨が実務Q&A等で言及されています(該当は品目・時期で要確認)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 動物検疫所(MAFF)輸入検査手続
    • METI CITES輸入承認
    • 税関(CITES案内)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 動物種・加工度がわかる仕様書(工程表)
    • 衛生証明書(必要な場合)
    • CITES関連書類(対象種の場合:許可証、学名・数量等の整合)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 動物種(牛/羊/山羊/豚/爬虫類/その他)
    • 毛の有無、脱毛の有無
    • 加工段階(保存処理のみ/前なめし/不可逆なめし/クラスト/仕上げ)
    • 形状(全形、サイド、シート、ストリップ、粉等)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注1(除外:05.11、05.05/67.01、43類)に抵触しないか
    • 注2(A)(可逆な前なめし)に該当しないか
    • 4104〜4106と4107/4112/4113の境界(仕上げ工程)を工程表で裏付け
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に「raw / wet-blue / crust / finished / hair-on」等、誤解が少ない語を入れる
    • 仕様書、写真、工程フロー、材質証明(4115や合皮疑いの場合)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版(2012/2017等)を確認し、必要なら読み替えを実施
    • BOM、工程証跡、原皮の原産・仕上げ工程の有無を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 動物検疫(原皮等):事前確認、証明書準備
    • CITES(爬虫類等):METI承認・許可証整合

12. 参考資料(出典)

※Web参照は「参照日(YYYY-MM-DD)」も併記

  • WCO(HS2022条文)
    • HS2022 Chapter 41(Raw hides and skins… and leather) (参照日:2026-02-21)
  • WCO(HS2017条文)
    • HS2017 Chapter 41 (参照日:2026-02-21)
  • WCO(HS改正・相関表)
    • Amendments effective from 1 January 2022(相関表・改正点列挙型) (参照日:2026-02-21)
  • 日本(税関・公的機関)
    • 関税率表解説 第41類(41r.pdf) (参照日:2026-02-21)
    • 事前教示制度(品目分類:カスタムスアンサー) (参照日:2026-02-21)
    • 事前教示回答(品目分類)検索 (参照日:2026-02-21)
  • 動物検疫(MAFF)
    • 輸入畜産物の検査手続(動物検疫) (参照日:2026-02-21)
    • 畜産物の輸入検査要領(PDF) (参照日:2026-02-21)
  • CITES(日本)
    • METI:CITES輸入承認手続 (参照日:2026-02-21)
    • 税関:ワシントン条約(CITES)案内 (参照日:2026-02-21)
  • FTA/EPA(HS版の参照例)
    • RCEP:日本外務省(HS2022への読み替え運用に関する案内) (参照日:2026-02-21)
    • RCEP:HS2012表記のPSR資料例 (参照日:2026-02-21)
    • CPTPP/TPP:Annex 3-D(PSRがHS2012表記であることの明示) (参照日:2026-02-21)
    • 日EU EPA:Annex 3-B(PSRがHS2017表記であることの明示) (参照日:2026-02-21)
  • HS旧版相関(参考)
    • HS2017-HS2012 相関表(改正点列挙型、41類コード非該当の確認) (参照日:2026-02-21)
    • HS2012-HS2007 相関表(4101.20改正の記載確認) (参照日:2026-02-21)
  • その他
    • JETRO:原皮・皮革の輸入手続(日本、Q&A) (参照日:2026-02-21)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • ①動物種、②毛の有無、③加工段階(raw / wet-blue / crust / finished)、④形状(全形/サイド/シート等)、⑤用途、⑥工程表・写真・成分資料(4115/合皮判定)
  • 日本税関の「品目分類の事前教示」
    • 制度概要(文書照会で回答を得る)
    • 公開されている事前教示回答の検索(キーワード検索)
    • 注意:Eメール等の簡易照会は、扱いが異なる旨の注意喚起があります(利用時は位置づけを理解した上で)。

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第40類:ゴム及びその製品(Rubber and articles thereof)

用語は次のとおり統一します。
類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 天然ゴム・合成ゴム(ラテックス、ベール、粒などの一次製品):4001〜4002
    • ゴムコンパウンド(未加硫・一次製品):4005
    • 加硫ゴムのホース・チューブ:4009
    • コンベヤベルト/伝動ベルト(加硫ゴム製):4010
    • 空気タイヤ(新品・更生・中古)/チューブ:4011〜4013
    • 医療・衛生用品(例:コンドーム、ゴム手袋)、その他ゴム製品:4014〜4016
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 紡織用繊維の物品(ゴム引布など):第11部(例:第59類)へ
    • 履物(ゴム長靴など完成品):第64類へ
    • 帽子(水泳帽含む):第65類へ
    • 硬質ゴム製の機械・電気機器及びその部分品:第16部へ
    • 玩具・運動用品は原則第95類(ただし運動用手袋等は例外あり):第95類へ
    • 印刷(文字・絵柄)が用途上“副次的でない”プラスチック/ゴム製品:第49類へ飛ぶことがある
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 未加硫か/加硫済みか/硬質ゴムか(同じ形でも項が変わります)
    2. 一次製品(原料形状)か/加工品(成形品)か(4001〜4003・4005・4008などで重要)
    3. **タイヤ:新品(4011)/更生・中古(4012)/チューブ(4013)**の区別
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • タイヤ類(4011〜4013):統計管理・適用税率・規制(車両安全)に波及しやすい
    • 医療・衛生系(4014/4015):医療機器規制の有無が絡むことがある
    • 廃タイヤ・ゴムくず(4004/4012等):廃棄物規制・バーゼル手続の論点が出やすい

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(見出し文言+部注/類注)
      第40類は、類注で「ゴム」「合成ゴム」「一次製品」「くず」等の定義・除外が細かく規定されており、ここを読むだけで大半が決まります。
    • GIR6(6桁の決定)
      タイヤの用途別(4011.10〜)やベルトの寸法別(4010.31〜)など、6桁の“条件分岐”が多い類です。
    • GIR3(b)(複合材・セット)
      ゴム+金属、ゴム+繊維などの複合品は「本質的特性(essential character)」で決まる場面があります。さらに第7部注には“混合して使うセット”の扱いもあります。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 材質(天然/合成、硬質か、他材との複合か)
    • 状態(未加硫/加硫、一次製品か、形材・成形品か)
    • 用途(特にタイヤ・手袋・ガスケットなどは用途が号を分けることがある)
    • 構造(補強材:繊維/金属、継手の有無、層構造)
    • 寸法・規格(ベルト外周、タイヤサイズ、糸の断面寸法など)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:材質確認
    • 主材が「ゴム」か(天然/合成/ファクチス/再生品含む)
    • ゴム以外(プラスチック等)が主なら第39類側も再確認(第7部)
  • Step2:状態(未加硫/加硫/硬質)
    • 未加硫:原料形状→4001〜4006、ゴムコンパウンド→4005、未加硫の形材・簡易成形→4006
    • 加硫(硬質除く):糸→4007、板/棒/形材→4008、ホース→4009、ベルト→4010、タイヤ/チューブ→4011〜4013、医療・衣類・その他→4014〜4016
    • 硬質ゴム(エボナイト等):4017(ただし機械・電気機器の硬質ゴム製部分品などは第16部に飛ぶ場合あり)
  • Step3:用途・形状・補強・寸法で6桁へ(特に重要)
    • タイヤ:新品/更生/中古、用途(乗用車/トラック等)
    • ベルト:コンベヤ/伝動、補強、外周
    • 手袋:医療・手術等用途か否か
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第40類 vs 第11部(第59類):ゴム引布・ゴム加工した織物(“ゴム製品”と呼んでいても繊維側に行く)
    • 第40類 vs 第64類:ゴム素材でも「履物」完成品は第64類
    • 第40類 vs 第16部:機械の“部分品”だからといって自動的に第84/85類とは限らず、4010/4016に残る例がある(部注・除外注の確認)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
4001天然ゴム等(一次製品、板・シート・ストリップ)天然ゴムラテックス、スモークドシート、TSNR類注5により加硫剤等を配合したものは除外→4005へ寄りやすい
4002合成ゴム・油ファクチス等(一次製品、板・シート・ストリップ)SBR/BR/EPDM等の原料、油展ゴム「合成ゴム」の定義(類注4の試験要件)を満たすかが土台
4003再生ゴム(一次製品等)再生ゴムシート、再生ゴム塊「再生」工程の有無(単なる粉砕くずは4004側)
4004ゴムのくず・くず粉粒ゴム端材、粉砕ゴム(パウダー/グラニュール)類注6の「くず」定義:そのままでは使用不可のゴム製品等
4005配合ゴム(未加硫)一次製品等未加硫コンパウンド、カーボンマスターバッチ類注5(A)の“除外添加物”が入ると4001/4002から外れ4005へ
4006未加硫ゴムのその他の形状・簡易成形品未加硫ゴム棒、リング状成形品“一次製品”の定義から外れる形状はここに来やすい
4007加硫ゴム糸・コード加硫ゴムのゴム糸類注7:断面最大寸法5mm超は4008(糸ではなく形材扱い)
4008加硫ゴムの板・棒・形材等スポンジゴムシート、ゴム角材、押出形材類注9で「板・シート・ストリップ」「棒・形材」の定義がある
4009ホース・チューブ(加硫ゴム、硬質除く)ゴムホース(継手付き/なし)、耐圧ホース補強材(繊維/金属)・継手有無で6桁が分かれる
4010コンベヤ/伝動ベルト(加硫ゴム)コンベヤベルト、Vベルト、タイミングベルト類注8:ゴム引布等から作ったベルトも4010に含まれ得る
4011ゴム製空気タイヤ(新品)乗用車タイヤ、新品二輪タイヤ4012(更生/中古)と混同注意。用途別に6桁が分かれる
4012更生/中古空気タイヤ、ソリッドタイヤ等更生タイヤ、中古タイヤ、タイヤトレッド「新品」ではないタイヤ類。トレッド単体もここに来る
4013ゴム製インナーチューブ自転車チューブ、トラック用チューブタイヤ(4011/4012)と別。用途別に6桁が分かれる
4014衛生用品・医療用品(加硫ゴム、硬質除く)コンドーム、乳首(teats)コンドームは4014.10。医療機器規制の対象になることがある
4015衣類・衣類附属品(手袋等)ゴム手袋、ゴム製衣料HS2022で手袋の一部号が改正(4015.12)
4016その他の加硫ゴム製品ガスケット、床マット、エアバッグ様の膨張品「機械部品だから第84類」と決め打ちしない(除外注確認)
4017硬質ゴム・その製品エボナイト棒、硬質ゴムくずただし“硬質ゴム製の機械・電気機器の部分品”は第16部へ

(出典:HS2022の第40類見出し、及び日本の類注要約)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(頻出)
    • タイヤ系(4011〜4013):新品/更生/中古、用途(乗用車/トラック・バス/航空機/二輪/自転車/農林業/建設鉱山等)
    • ベルト(4010):コンベヤか伝動か、補強材(繊維/金属)、伝動ベルトは外周(60〜180cm等)
    • ホース(4009):補強材(繊維/金属)、継手(fittings)有無
    • 手袋(4015):医療・手術・歯科・獣医用途の“種類”か否か(4015.12)
    • ゴム糸(4007):断面最大寸法が5mm超なら4008扱い
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 4011(新品タイヤ) vs 4012(更生/中古タイヤ・トレッド等) vs 4013(チューブ)
      • どこで分かれるか:新品か/更生(retreaded)か/中古か、そして「チューブ」か
      • 判断に必要な情報:製造履歴(新品/更生)、使用済みか、商品名(tire / tube)、サイズ表示
      • 典型的な誤り:中古タイヤを4011で申告、トレッド単体を部品扱いして別類へ
        ※分類例では“トレッド単体”が4012側に整理されています
    2. 4010(ゴム製ベルト) vs 第11部(例:5910等“繊維製ベルト”)
      • どこで分かれるか:ゴム製(またはゴム引布等から製造)として4010に入るか、繊維製として第11部に入るか
      • 判断に必要な情報:ベルトの主材、製造方法(ゴムを染み込ませ/塗布/被覆/積層した織物から作ったか)、補強構造
      • 典型的な誤り:「織物ベース=繊維製」と早合点(類注8で4010に含むケースがある)
    3. 4001/4002(未配合ゴム) vs 4005(配合ゴム:未加硫)
      • どこで分かれるか:加硫剤・加硫促進剤・補強剤等を配合しているか(類注5)
      • 判断に必要な情報:配合表、SDS、工程(マスターバッチ/コンパウンドか)
      • 典型的な誤り:「原料ゴム」表示=4002と思い込み(実態は未加硫コンパウンドで4005)
    4. 4015.12(医療・手術・歯科・獣医用途の手袋) vs 4015.19(その他の手袋)
      • どこで分かれるか:「用途区分(医療等の種類)」で分かれる(HS2022でこの区分が明確化)
      • 判断に必要な情報:用途(医療/非医療)、販売先(医療現場向け等)、規格適合(医療機器か)
      • 典型的な誤り:「使い捨て=医療用」と決め打ち(実際は工業用・家庭用も多い)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第7部注1(セット品の特例)
      第7部(プラスチック・ゴム)に属する成分を含む“混合して使うセット”について、一定要件(同梱・補完関係等)を満たす場合、当該生産品の属する項に分類する考え方が示されています(例:二液型のゴム系材料キット等)。
    • 第7部注2(印刷物の扱い)
      ゴム/プラスチック製品でも、印刷されたモチーフ等が用途に対して副次的でない場合、第49類に飛ぶ可能性があります(例:表示が本質の印刷物)。
    • 第16部注(除外)
      機械部品に見えても、ベルト(4010)や一定の技術用ゴム製品(4016)が第16部から除外される建付けがあり、“機械の部分品だから第84類”という決め打ちは危険です。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:ゴム系の二成分材料(主剤+硬化剤)を同梱して輸入する場合、混合して使うことが明確で要件を満たせば、完成する材料の分類に寄せて考えることになります(ただし実態確認が前提)。
    • 例:ゴム製マットに大きな図柄・文字が印刷され、印刷が商品価値の中心の場合、49類判断が出る可能性があるため、意匠・表示の位置づけを確認します。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 印刷(用途に対して副次的でない)→第49類
    • “混合して使うセット”→セット扱いの要件充足を確認(満たさなければ通常のGIRで個別分類)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 「ゴム」の定義(天然/合成/ファクチス/再生品、未加硫・加硫・硬質を含む)
    • 除外(紡織品、履物、帽子、硬質ゴム製の機械電気部品、90/92/94/96類、原則として95類など)
    • 一次製品の形状定義(ラテックス、塊/ベール/粉/粒など)
    • 合成ゴムの定義(加硫可能性+伸長・復元性試験の要件)
    • 4001/4002に入る“許容添加”と“除外添加”(配合の有無が4005へ分岐)
    • くず(4004)の定義、ゴム糸(4007)と形材(4008)の境界(5mm)
    • 4010の包含(ゴム引布等から作ったベルトも含む)
    • 板・シート・ストリップ/棒・形材の定義(“単なる長方形切り”か、特定形状に切って製品特性があるか)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 合成ゴム:類注4の要件(硫黄加硫で不可逆的に非熱可塑化できること、18〜29℃での伸長・復元性等)を満たすもの
    • 一次製品:類注3の形状に限る(液状/ペースト状、塊・ベール・粉・粒など)
    • くず:製造加工で生じたくず、または摩耗等でそのままでは使用不可のゴム製品
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 紡織用繊維の物品→第11部(例:第59類)
    • 履物→第64類、帽子→第65類
    • 硬質ゴム製の機械電気製品・部分品→第16部
    • 90/92/94/96類の物品→各類へ
    • 95類の物品→原則第95類(例外:運動用手袋、4011〜4013等)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:4001/4002(未配合)↔ 4005(配合ゴム)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      加硫剤・加硫促進剤・補強剤・可塑剤等の配合有無(類注5(A)/(B)の範囲)
    • 現場で集める証憑:配合表(レシピ)、SDS、仕様書、工程表(ミキシングの有無)
    • 誤分類の典型:
      「合成ゴム(SBR)」とだけ書かれた資料で4002にしてしまう(実際はカーボンブラック等配合済みの未加硫コンパウンド→4005)
  • 影響ポイント2:4010(ベルト)に“ゴム引布等から作ったもの”が含まれる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      ベルトが「ゴムを染み込ませ/塗布/被覆/積層した織物」等を素材として製造されたか(類注8)
    • 現場で集める証憑:製造仕様(層構造、補強材)、断面写真、カタログ、材質証明
    • 誤分類の典型:
      織物補強があるだけで第11部へ送ってしまう(実際は4010の包含範囲)
  • 影響ポイント3:4007(ゴム糸)↔ 4008(形材)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):断面最大寸法が5mmを超えるか
    • 現場で集める証憑:寸法図、実測写真、規格書
    • 誤分類の典型:太いゴム紐を「糸」と呼んで4007にしてしまう(5mm超なら4008)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:中古タイヤを4011(新品)で申告
    • なぜ起きる:商品名が「タイヤ」で一括、または更生/中古の情報が通関側に伝わらない
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):4011は“新品”、更生・中古は4012に整理
    • 予防策:インボイスに “new / used / retreaded” を明記、写真・刻印情報(製造年週等)を添付
  2. 間違い:タイヤトレッド(単体)を「部品」扱いして別類へ
    • なぜ起きる:「タイヤの部品」という日本語の先入観
    • 正しい考え方:4012にタイヤトレッド等が含まれる建付け
    • 予防策:現品形態(トレッド単体/カーカス組込済)を写真で残す
  3. 間違い:ゴム引布・ゴム加工織物を第40類で申告
    • なぜ起きる:「ゴム製」と呼ばれているため
    • 正しい考え方:第40類注2(a)で第11部(紡織品)を除外
    • 予防策:基材(織物かゴムか)、層構造(繊維が単なる補強か等)を確認
  4. 間違い:ゴムコンパウンド(未加硫)を4002(合成ゴム)で申告
    • なぜ起きる:原料名(SBR等)だけで判断
    • 正しい考え方:類注5で、加硫剤・補強剤等を配合したものは4001/4002から外れる
    • 予防策:配合表/SDSで「配合済みか」を確認(カーボンブラック、加硫剤等)
  5. 間違い:太いゴムコードを4007(ゴム糸)に入れる
    • なぜ起きる:呼称が“糸/コード”
    • 正しい考え方:類注7で5mm超は4008(形材)
    • 予防策:最大断面寸法を測る(図面でも可)
  6. 間違い:ベルトを繊維製(第11部)と決め打ち
    • なぜ起きる:補強材が織物だと“繊維製”に見える
    • 正しい考え方:類注8で、ゴム引布等から製造したコンベヤ/伝動ベルトは4010に含まれ得る
    • 予防策:断面・製造工程(ゴムが主材か、ゴム加工織物から作ったか)を確認
  7. 間違い:ガスケット/Oリングを機械の部分品として第84類へ
    • なぜ起きる:「機械用=機械類の部分品」と誤解
    • 正しい考え方:4016に“ガスケット等”が整理される一方、機械類側の除外注も絡むため、見出し・注の両方を確認
    • 予防策:単体の材質(ゴム単独か、金属複合か)、用途の一般性(汎用品か)を整理
  8. 間違い:医療用途のゴム製品(コンドーム/手術用手袋等)を規制面で見落とす
    • なぜ起きる:HS分類だけで完結すると思ってしまう
    • 正しい考え方:4014/4015に該当しても、国内では医療機器に該当し得る
    • 予防策:用途、販売先、医療機器該当性(承認・届出等)を別途チェック

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。
    同じ「ゴム製品」でも、例えばタイヤ(4011)と手袋(4015)ではPSRが別物になり得ます。HSを誤ると、CTC(関税分類変更)やRVC(付加価値)などの判定軸がズレ、原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴
    • 材料側HS(例:合成ゴム4002、配合ゴム4005)と最終品HS(例:4011タイヤ)を取り違える
    • 工程の実態(更生、加硫、成形)を説明できず、PSR要件の充足が示せない

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 例:RCEPのPSR(附属書3A)はHS2012に基づく旨が明記されています。
  • 例:CPTPP(TPP11)の関税撤廃スケジュール資料は「HS2012」と明示されています(各国税率表の表題等)。
  • 日本税関のPSR検索画面でも、協定ごとにHS版(例:HS2012)が表示されます。
  • 自己申告制度のガイドラインでも「協定によりHS2012を用いる」旨の注記が見られます。

実務対応(一般論)

  • 協定がHS2012参照なのに、自社がHS2022で管理している場合:
    • 「HS2012↔HS2022」の対応(トランスポジション)を作って、PSR適用のHS版を合わせます。
    • 6桁が改正で変わった箇所(この類では4015周り)があるため、特に注意します(次章参照)。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必須級
    • BOM(部材表)、材料原産国、非原産材料のHS(協定参照版で)
    • 工程フロー(混練→加硫→成形等)、外注先・国
    • 原価情報(RVC計算が必要な場合)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 仕入証憑、製造指図書、配合表、SDS、製品仕様書、写真
    • 協定・運用ガイドの保存年限や形式要件を確認(協定/国で異なります)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正+番号変更(再番号付け)4015.11 → 4015.12旧4015.11(surgical gloves)を、医療・手術・歯科・獣医用途の手袋をカバーする形に改め、番号も変更4015の手袋分類で“医療用途”を示す資料(医療機器該当性、用途表示等)の重要性が上がる

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料に基づく説明:
    • 日本税関の「HS2022-HS2017」改正資料で、4015.11が医療・手術・歯科・獣医用途をカバーするよう改められ、番号が付け替えられた旨が明記されています。
    • 実際に、HS2017の第40類では手袋が4015.11(Surgical)/4015.19で整理されているのに対し、HS2022では4015.12(medical, surgical, dental or veterinary purposes)/4015.19となっています。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な再編例(把握できた範囲)を整理します。

版の比較主な論点旧コード → 新コード(概要)実務メモ
HS2007→HS2012(主要見出しは概ね同型)4001〜4017の大枠は維持4011等の6桁詳細は継続して存在
HS2012→HS2017タイヤ(4011)の6桁細分の再編(構造が変化)例:4011の細分が、旧来の“トレッド形状・リム径”等の複数枝から、用途別(4011.70/4011.80等)中心の構造へ過去データ(HS2012)で管理している場合、4011のマッピングが必要
HS2017→HS2022手袋(4015)の改正4015.11 → 4015.12(医療・手術・歯科・獣医用途へ拡張)医療用途手袋の資料整備が重要

※上表は「第40類の中で実務影響が大きい/目視比較で確認できた改正」に絞っています。網羅的な旧新対応は、WCO/税関の相関表等で別途確認してください。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):中古タイヤを新品タイヤとして申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):見出し(4011新品/4012中古・更生)の取り違え
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “tyre” だけ、写真なし
    • 典型的な影響:修正申告、検査強化、通関遅延(一般論)
    • 予防策:新品/中古/更生の明記、刻印写真、仕様書添付
  • 事例名:ゴム糸(4007)と形材(4008)の取り違え
    • 誤りの内容:断面最大寸法5mm超なのに4007で申告(類注7)
    • 起きやすい状況:名称が“ゴムコード”“ゴムひも”
    • 典型的な影響:差戻し、追加資料要求(一般論)
    • 予防策:断面寸法の図面・実測記録を用意
  • 事例名:ベルトを第11部へ誤分類
    • 誤りの内容:類注8で4010に含まれ得るベルトを第11部にしてしまう
    • 起きやすい状況:織物補強がある工業用ベルト
    • 典型的な影響:分類差戻し、関税率・原産地規則の再判定(一般論)
    • 予防策:断面構造、製造工程(ゴム引布由来か)を提出
  • 事例名:タイヤケース+交換用トレッドのセットの扱い誤り
    • 誤りの内容:セット全体を一括して誤った税番にしてしまう(提示形態・構成で整理が必要)
    • 起きやすい状況:同梱品が複数、用途説明不足
    • 典型的な影響:部分ごとの再分類、申告修正(一般論)
    • 予防策:構成品ごとの明細、使用態様の図解、分類例の参照

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 食品に接触するゴム製の器具・容器包装等は、材質別規格(溶出試験等)の対象になることがあります(通知・告示で規格が整理)。
    • 医療機器(薬機法)関係
      • コンドームは、医療機器として指定される枠組みがあり得ます。
      • 手術用手袋等、医療用途の手袋は医療機器として扱われるケースがあるため、販売形態・用途・規格確認が必要です。
    • 自動車関係(安全基準)
      • 乗用車用空気入タイヤ等について、国交省の保安基準・技術基準(関連告示・基準文書)に基づく適合確認が必要になる場面があります(装着・販売形態による)。
    • 廃棄物・環境(バーゼル法等)
      • 廃棄物等の輸出入は、バーゼル法・廃棄物処理法・外為法等に基づく手続が必要となる場合があります(中古タイヤ・ゴムくずの扱いは実態で要確認)。
    • 化学物質管理(SDS/表示等)
      • ゴム製品は配合剤を含むことが多く、化管法(PRTR等)のSDS提供や、化審法・安衛法関連の管理が絡む場合があります。
    • 安全保障貿易管理(該当する場合)
      • ゴム材料・複合材料等は、仕様によっては該非確認が必要になることがあります(SDSや仕様書に基づく確認が基本)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 医療機器:厚労省(指定医療機器の枠組み等)
    • 車両安全(タイヤ基準等):国交省(保安基準関連)
    • 廃棄物輸出入:環境省(バーゼル法等の概要)
    • SDS/化学物質:経産省(化管法SDS制度等)
    • 食品接触材:厚労省(告示370号等の関連資料)
  • 実務での準備物(一般論):
    • SDS、配合表(可能範囲)、製品仕様書、用途説明資料、試験成績(食品接触/医療用途等)、写真(刻印・断面)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • ゴム種(天然/合成:SBR, BR, EPDM等)、未加硫/加硫/硬質、配合有無(加硫剤・補強剤等)
    • 形状(一次製品か、板/棒/形材か、成形品か)、寸法(厚み・幅・外周等)
    • 補強材(繊維/金属)と層構造、継手の有無(ホース等)
    • タイヤ:新品/更生/中古、用途(乗用車/トラック等)、サイズ表示
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注2(除外)に当たらないか(第11部・第64類など)
    • ゴム糸の5mm基準、板/シート/ストリップ定義など“定義注”の踏み落としがないか
    • ベルトは類注8に当たらないか(織物ベースでも4010の可能性)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名は「rubber ___」だけでなく、用途・状態(new/used/retreaded)・規格を入れる
    • 国内コード(統計品目番号)では、品目によって数量単位がNO(本/個)とKGの併記になる例があります(例:4012.90)。
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • まずHS(協定参照版)を確定 → PSRを確認
    • HS版ズレ(例:RCEP/CPTPPでHS2012)を意識し、旧新対応表で整合
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 医療用途(コンドーム/手術用手袋等):薬機法関連確認
    • タイヤ:保安基準等の適合確認(販売・装着形態に応じて)
    • 中古/くず:廃棄物・バーゼル手続の該当性
    • 化学物質:SDS提供義務の対象有無(化管法等)
    • 食品接触:告示370号等の材質規格への適合確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文・見出し)
    • WCO “HS Nomenclature 2022 – Chapter 40 (0740-2022E)”(参照日:2026-02-21)
    • WCO “HS Nomenclature 2017 – Chapter 40 (0740-2017E)”(参照日:2026-02-21)
    • WCO “HS Nomenclature 2012 / 2007 – Chapter 40” (参照日:2026-02-21)
  • 日本(税関・公的機関)
    • 日本税関:第40類 類注(2022版PDF)(参照日:2026-02-21)
    • 日本税関:関税率表解説(第40類)/分類例規(例:4012.90 Tyre carcass with separate treads)(参照日:2026-02-21)
    • 日本税関:HS2022-HS2017 改正資料(4015.11→4015.12の根拠等)(参照日:2026-02-21)
    • 日本税関:品目別原産地規則(PSR)検索(HS版表示含む)(参照日:2026-02-21)
    • 日本税関:輸出統計品目表(例:4012.90の単位表示)(参照日:2026-02-21)
    • 日本税関:事前教示(品目分類)制度(参照日:2026-02-21)
  • FTA/EPA(HS版ズレの根拠)
    • RCEP:PSR附属書がHS2012に基づく旨の明記(参照日:2026-02-21)
    • JETRO:RCEP解説書(関税スケジュールがHS2012基準の旨)(参照日:2026-02-21)
    • CPTPP:日本の関税撤廃スケジュール資料(HS2012の表題等)(参照日:2026-02-21)
    • 日本税関:自己申告制度ガイドライン(HS2012に言及)(参照日:2026-02-21)
  • 規制(日本)
    • 国交省:道路運送車両の保安基準(タイヤ技術基準等の一覧)(参照日:2026-02-21)
    • 環境省:バーゼル条約・廃棄物輸出入規制の概要(参照日:2026-02-21)
    • 経産省:化管法SDS制度(参照日:2026-02-21)
    • 経産省:化審法(概要)(参照日:2026-02-21)
    • 厚労省:SDS/ラベル等(安衛法関連Q&A)(参照日:2026-02-21)
    • 厚労省:食品用器具・容器包装(告示370号リンク等)+告示本文(ゴム製器具等の記述)(参照日:2026-02-21)
    • 厚労省:指定医療機器の一覧(コンドーム等)(参照日:2026-02-21)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第39類:プラスチック及びその製品(Plastics and articles thereof)

(用語)**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**です。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 樹脂の一次製品:PE/PP/PVC/PET などのペレット、粉、フレーク、液状・ペースト状樹脂(3901〜3914)
    • プラスチックくず:廃プラ・端材・スクラップ(3915)※ただし“再ペレット化”は別扱い(後述)
    • フィルム・シート等:自己粘着フィルム(3919)、非発泡シート(3920)、発泡/補強シート(3921)
    • パイプ・ホース:配管、チューブ、継手(3917)
    • 容器・包装材:ボトル、袋、キャップ等(3923)
    • 日用品・建材等:台所用品(3924)、建材(3925)、その他のプラ製品(3926)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 単一の化学品(例:化学的に単一の有機化合物)→ 第29類
    • 溶剤が多い樹脂溶液(一定条件)32.08(塗料等) に飛びやすい(「溶剤重量が全体の50%超」などの除外条件)
    • 合成ゴム第40類(第39類注で明確に除外)
    • 印刷が主用途のプラ製品→ 原則 第49類(ただし 3918/3919 は例外あり)
    • プラスチック製でも“別の章の物品”(例:玩具=第95類、家具=第94類、履物=第64類、機械・電気機器=第16部 など)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 一次製品(3901〜3914)か、くず(3915)か、半製品/製品(3916〜3926)か(形状・加工度で大きく分岐)
    2. シート/フィルム系:3919(自己粘着) vs 3920(非発泡・非補強) vs 3921(発泡/補強)
    3. “管・ホース(3917)”の定義に当てはまるか(断面形状要件を満たさないと 3916 の「形材」寄り)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **リサイクル材(3915か、再生一次製品か)**の誤り → 規制(廃棄物扱い)や契約条件、原産地判定への波及が大きいことがあります
    • **包装材・日用品(3923/3924/3926)**の誤り → FTA/EPAのPSR(品目別規則)選択が変わり、原産性判断が崩れる典型です(後述)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • **GIR1(見出し+注の適用)が最重要です。第39類は類注(注1〜11)と号注(サブヘディング注)**に、定義・除外・形状要件がまとまっており、ここを飛ばすと誤分類になります
    • GIR6(6桁の号の決定):特に樹脂(3901〜3914)は、「ポリ〜」の95%ルール共重合体の扱いなど、号注のロジックが実務の分岐点になります
    • GIR3(混合物・複合品):プラ+他材質の複合品(例:布に樹脂コート、金属部品付き製品)は、どの性質が本質か/他章でより具体的に規定されていないかを確認します(第39類注2の“他章に行く”除外が多い)
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 材質:樹脂種類(PE/PP/PVC/PET/ABS等)、可塑剤の有無、発泡の有無、補強材(ガラス繊維等)の有無
    • 状態:一次製品(ペレット等)か、くずか、シートか、成形品か
    • 加工度:単なる裁断(長方形など)か、穴あけ・縫製・組立までしているか(3920/3921→3926等へ動く)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:“プラスチック”の定義に当てはまるか(熱・圧力等で成形でき、外力除去後も形状保持できる材料)
    • はい → Step2
    • いいえ/ゴム寄り → 第40類なども疑う
  • Step2:第39類の除外(注2)に当てはまらないか
    • 例:単一化学品(第29類)、溶剤が多い樹脂溶液(第32類へ)、合成ゴム(第40類)、家具・玩具・履物等(他章)
  • Step3:形状・加工度で大分類
    • 樹脂の一次製品 → 3901〜3914(注6)
    • 廃プラ・端材・スクラップ → 3915(ただし“再ペレット化した単一熱可塑性材”は3915にしない:注7)
    • 形材・棒・モノフィラメント → 3916
    • 管・ホース → 3917(ただし断面形状の要件あり:注8)
    • 床材/壁材・自己粘着・シート類 → 3918〜3921(注9・注10)
    • 成形品・日用品・建材・その他 → 3922〜3926(注11含む)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第39類 vs 第40類:ゴム(弾性、加硫等)かプラか
    • 第39類 vs 第49類:印刷が“単なる付随”か、“主たる用途”か(部注で第49類へ)
    • 第39類 vs 第48類(壁面被覆):紙基材の壁面被覆(4814)に該当しないか(第39類注2(o)でも除外)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
3901エチレン重合体(一次製品)PEペレット(LDPE/HDPE等)比重0.94境界などが6桁で分岐。共重合/ブレンドは注・号注が効く
3902プロピレン等オレフィン重合体(一次製品)PPペレット、ポリイソブチレン“共重合体”は注4・号注で扱う
3903スチレン重合体(一次製品)PS、SAN、ABSSAN/ABSが別号。略称だけで決めない(後述)
3904塩化ビニル等ハロゲン化オレフィン重合体(一次製品)PVC樹脂、PTFE等フッ素樹脂可塑化PVC/非可塑化PVC、フッ素樹脂は別号
3905酢酸ビニル等の重合体(一次製品)PVAc、PVA、EVA系水性分散か等の分岐あり
3906アクリル重合体(一次製品)PMMA等溶剤が多い“溶液”は注2(e)で32類へ行く場合
3907ポリアセタール・ポリエーテル・エポキシ樹脂・ポリエステル等(一次製品)POM、エポキシ樹脂、PET、PLA等HS2022でポリエーテル一部が細分(3907.21/29)
3908ポリアミド(一次製品)ナイロン樹脂例:接着剤用途でも“一次製品”ならここに残る場合あり
3909アミノ樹脂・フェノール樹脂・ポリウレタン(一次製品)メラミン樹脂、PU原料“調製品”や用途特定で他章も要確認
3910シリコーン(一次製品)シリコーン樹脂形状が一次製品か、シーラント等の調製品か要確認
3911石油樹脂等(注3の製品)一次製品石油樹脂、クマロン樹脂HS2022で一部新号(3911.20)
3912セルロース・誘導体(一次製品)セルロースアセテート等“コロジオン”等の扱いに注意(注2(e))
3913天然高分子等(一次製品)アルギン酸塩等添加で標準化しても一次製品に残るケースあり(税関解説例)
3914イオン交換樹脂(一次製品)陽/陰イオン交換樹脂ベース樹脂が3901〜3913由来であること
3915プラくず・端材・スクラップ廃プラ、端材ただし単一熱可塑性材を“再生一次製品化”したものは3915にしない(注7)
3916モノフィラメント(>1mm)・棒・形材樹脂棒、プロファイル材“管・ホース”定義外の中空形材がここへ来ることあり
3917管・パイプ・ホースおよび継手塩ビ管、チューブ、継手断面形状要件(注8)。満たさないと3916側
3918プラ製床材、壁/天井被覆材塩ビ床材、壁材ロール壁/天井材は「幅45cm以上ロール」等の定義(注9)。紙基材は48類も疑う
3919自己粘着の板・シート・フィルム等両面テープ、粘着フィルム“自己粘着”かどうかが最重要(剥離紙の有無など)
3920その他の板・シート等(非発泡、非補強)OPP/PEフィルム等(非発泡)注10:長方形裁断まで、追加加工なしが前提
3921その他の板・シート等(発泡または補強等)発泡シート、ガラス繊維入りシート“セルラー(発泡)”や補強・積層で3920と分かれる
3922衛生陶器様のプラ製品浴槽、洗面台、便座等サニタリー用途の特定製品
3923物品の運搬・包装用プラ製品ボトル、袋、箱、キャップ包装用途の“典型”。他用途なら3926等も検討
3924食卓・台所用品、家庭用品等タッパー、食器、衛生用品食品接触は国内規制(後述)
3925建築用品(他に特掲なし)樋、窓枠、ドア、容量>300Lタンク等注11の限定列挙に当たるか、恒久設置かが鍵
3926その他のプラ製品(残余)事務用品、衣類付属、装飾品等“他章により具体的”ならそちら優先(注2)

※第39類の見出し構成と、一次製品/半製品/製品の区分はHS条文(WCO)および日本の関税率表解説に基づきます。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件(例:重量、成分割合、用途、加工状態、形状、包装、規格)の整理
    • 樹脂(3901〜3914)
      • 「ポリ〜」の表現は、当該単量体ユニットが合計で95%以上などのルールで判定(号注)
      • 共重合体・ブレンドは、最大割合のコモノマーの属する項へ(注4)。最大が決められない場合は“数字が後ろ”へ寄る(注4)
      • 実務的には、メーカーの略称(ABS/LLDPE等)だけで決めない(後述)
    • シート/フィルム(3918〜3921)
      • 壁/天井被覆材(3918)は、幅45cm以上のロール等の定義(注9)
      • 3920/3921の「板、シート、フィルム…」は、未裁断または単なる長方形裁断までで、追加加工なしが前提(注10)
    • 管・ホース(3917)
      • “管・ホース”と見なす断面形状要件(円形/楕円/一定の長方形/正多角形等)。要件外は形材扱い(注8)
    • PVCなど可塑剤の有無
      • 6桁・8桁で「可塑化/非可塑化」が効くことがあり、可塑剤の定義(副可塑剤を含む)も号注で補足されています
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 3901.10 vs 3901.20(PEの比重0.94境界)
      • どこで分かれるか:比重(0.94未満/0.94以上)
      • 判断に必要な情報:グレード表、物性表(密度)、SDS、試験成績
      • 典型的な誤り:LLDPE等を“名称”だけで低密度扱いに決め打ち
    2. 3903.20(SAN) vs 3903.30(ABS)
      • どこで分かれるか:共重合体の種類(SANかABSか)
      • 判断に必要な情報:モノマー構成比、ポリマー仕様書、CAS/組成
      • 典型的な誤り:“ABS系”という商流名で一括し、SAN寄り品を誤分類
    3. 3907.61 vs 3907.69(PETの粘度数 78 ml/g 境界)
      • どこで分かれるか:粘度数が78 ml/g以上かどうか
      • 判断に必要な情報:粘度数試験結果(ISO 1628-5/JIS K7367-5 等の測定条件)、溶媒条件等
      • 典型的な誤り:IV(Intrinsic Viscosity)など別指標を同一視、または社内/顧客スペックだけで判断
    4. 3915(くず) vs 3901〜3914(再生一次製品)
      • どこで分かれるか:単一熱可塑性材のくずを一次製品形状(ペレット等)に再生しているか(注7)
      • 判断に必要な情報:リサイクル工程(破砕のみか、溶融・再ペレット化までか)、形状写真、製造工程図
      • 典型的な誤り:リサイクル=すべて3915と誤解
    5. 3920(非発泡・非補強シート) vs 3921(発泡/補強等のシート)
      • どこで分かれるか:発泡(セルラー)か、補強・積層等があるか
      • 判断に必要な情報:断面構造、積層構成、基材、補強材の有無
      • 典型的な誤り:外観が“シート”なら3920に固定してしまう

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第39類は**第7部(プラスチック及びゴム並びにこれらの製品)**に属します。部注には、**印刷物の扱い(第49類へ)**など、章をまたぐ重要ルールがあります
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 印刷が“主たる用途”のプラ製品(例:絵柄・文字情報を主に伝える用途のシート等)は、原則として第49類に振られやすいです。
      • ただし、**3918(床材/壁・天井被覆材)や3919(自己粘着材)**は例外扱いになり得るため、「用途」「形状」「印刷の役割」を分けて説明できるようにしておくのが安全です
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • プラスチック製の印刷物 → 第49類(例外あり)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1:プラスチックの定義(成形可能で形状保持、バルカナイズドファイバー含む/ただし繊維扱い材料は除く)
    • 注2:除外の列挙が非常に多い(単一化学品、溶剤が多い溶液、合成ゴム、機械・電機・車両部品、家具・玩具など)
    • 注6:一次製品の形状の定義(液状/ペースト、粉・粒・フレーク等)
    • 注7:3915(くず)の“除外”(単一熱可塑性材のくずを一次製品形状にしたものは3915にしない)
    • 注8:3917(管・ホース)の定義(断面形状要件、へん平管の例外、形材扱いへの振替)
    • 注9:3918の壁/天井被覆材の定義(幅45cm以上ロール、紙以外の裏張り等)
    • 注10:3920/3921の“板・シート…”の範囲(長方形裁断まで、追加加工なし)
    • 注11:3925(建築用品)の限定列挙(容量>300L容器、ドア・窓等、恒久取付具など)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 一次製品(primary forms):樹脂が液状/ペースト、粉・粒・フレーク、塊等の形状(注6)
    • 管・ホース(tubes, pipes and hoses):中空で、一般に気体/液体の運搬等に供するもの。ただし断面形状要件(注8)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 単一化学品→第29類、溶剤が多い溶液→第32類(32.08)、合成ゴム→第40類、家具→第94類、玩具→第95類…等(注2)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:“一次製品”に見えるが、実は第32類へ(溶剤が多い溶液)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):溶剤比率(重量%)、形態(溶液/分散)、製品用途(塗料/コーティング材として供給されているか)
    • 現場で集める証憑:SDS、組成表(溶剤%)、技術資料、製品ラベル
    • 誤分類の典型:アクリル樹脂“溶液”を 3906 等に入れてしまう
  • 影響ポイント2:3915(くず)か、3901〜3914(再生一次製品)か
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):再生工程の有無(溶融→ペレット化等)、単一熱可塑性材か、出荷形状(粒・フレーク等)
    • 現場で集める証憑:工程フロー、写真、受入検査記録、材料証明
    • 誤分類の典型:再ペレットも“廃プラ”として3915に固定
  • 影響ポイント3:3917(管・ホース)に見えるが、断面形状で3916(形材)へ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):内部断面形状(図面)、用途(流体搬送か)、へん平管か否か
    • 現場で集める証憑:図面(断面)、カタログ、用途説明、現物写真
    • 誤分類の典型:複雑断面の中空材を“ホース”として3917申告
  • 影響ポイント4:3920/3921(シート)か、3926等(製品)か:注10の“追加加工”
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):穴あけ・縫製・折り加工・成形等の有無(単なる長方形裁断までか)
    • 現場で集める証憑:加工工程、図面、写真、納入形態
    • 誤分類の典型:穴あけ済み・成形済みなのに3920/3921のまま
  • 影響ポイント5:壁/天井被覆材(3918)の定義(幅45cm以上ロール等)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):ロール幅、裏張り材が紙か否か、装飾加工の有無
    • 現場で集める証憑:仕様書(幅、巻形態)、サンプル、製品写真
    • 誤分類の典型:壁材を一般シート(3920/3921)として扱う/紙基材の4814を見落とす

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:樹脂“溶液”を一次製品(3901〜3914)に入れる
    • なぜ起きる:製品名が「樹脂」「レジン」で、ペンキ/コーティング用途を見落とす
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第39類注2(e)の除外(溶剤比率など条件)に当てはまると第32類へ
    • 予防策:SDSで溶剤重量%を確認/「出荷形態は塗料用途か?希釈して使う前提か?」を社内(技術・営業)に確認
  2. 間違い:再ペレット(再生PE粒)を3915(廃プラ)で申告
    • なぜ起きる:「リサイクル=廃棄物」思考で固定
    • 正しい考え方:注7により、単一熱可塑性材のくずを一次製品形状にしたものは3915にしない
    • 予防策:工程図(溶融・ペレット化有無)/出荷形状写真/材質証明を取得
  3. 間違い:複雑断面の中空材を3917(管)に入れる
    • なぜ起きる:「中空=管」と短絡
    • 正しい考え方:注8の断面形状要件(円形/楕円/一定長方形/正多角形等)。要件外は(へん平管を除き)形材扱い
    • 予防策:断面図の入手(CAD/製図)/“流体搬送目的か?”を仕様書で確認
  4. 間違い:壁/天井材を3920/3921の一般シートで処理
    • なぜ起きる:ロール材=シートという思い込み
    • 正しい考え方:3918の壁/天井被覆材は注9の定義(幅45cm以上ロール等)で判定
    • 予防策:幅・裏張り材・装飾の有無をカタログから取得/紙基材なら4814も比較
  5. 間違い:自己粘着フィルムを3920/3921で申告
    • なぜ起きる:粘着層が薄く、材料の“見た目”だけで判断
    • 正しい考え方:自己粘着の板・シート・フィルム等は3919が基本
    • 予防策:剥離紙の有無、粘着剤の種類、用途(ラベル/保護フィルム/テープ)を仕様書で確認
  6. 間違い:発泡シートを3920(非発泡)に入れる
    • なぜ起きる:表面が平滑で発泡が見えづらい
    • 正しい考え方:3920は「非セルラー(非発泡)」等の条件が前提。発泡や補強があれば3921側
    • 予防策:断面写真、比重、発泡倍率、積層構成の確認
  7. 間違い:“プラスチック製だから”と3926(その他)に寄せる
    • なぜ起きる:3926が便利な“受け皿”に見える
    • 正しい考え方:注2で他章(機械・車両部品、家具、玩具等)へ行くものが多い。より具体的な章・項が優先
    • 予防策:「用途(何の部品か)」「取付先」「専用性」を確認/完成品の機能を説明できる資料(図面・写真)を準備
  8. 間違い:樹脂の略称(ABS/LLDPE等)だけで樹脂号を決める
    • なぜ起きる:商流で略称が常用され、組成比の確認が省かれる
    • 正しい考え方:略称は参考に留め、注4・号注1に基づき、単量体ユニットの構成割合で判断する
    • 予防策:メーカーSDS/仕様書でモノマー構成比、共重合比、ブレンド比を確認
  9. 間違い:PETの3907.61/3907.69を“グレード名”で振り分け
    • なぜ起きる:社内呼称(ボトルグレード等)とHSの粘度数条件が一致しない
    • 正しい考え方:粘度数は所定の方法(ISO 1628-5/JIS K7367-5 等)での測定結果で判断する
    • 予防策:試験成績書の入手/測定条件(溶媒条件等)まで揃える

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること(誤ると原産性判断が崩れる)
    • PSRは通常、HS(4桁/6桁)単位で規則が書かれます。
    • 例:同じ“プラスチック製”でも、樹脂(3901〜3914)と製品(392x)では、PSR(CTH/CTSH/RVC等)の要求が変わり得ます。
  • よくある落とし穴
    • 材料(樹脂ペレット)のHSと、最終製品(ボトル等)のHSを混同
    • “くず(3915)”と“再生一次製品(3901等)”の混同で、材料HSがずれてPSR判定が崩れる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 本回答では参照協定が未指定のため、各協定が採用するHS版を個別に明記できません
  • 一般論としての注意点:
    • 協定本文・譲許表・PSRは、HS2012/HS2017等の旧版で固定されていることがあります。
    • その場合、社内の付番(HS2022)と協定の付番がずれるので、**トランスポジション(旧→新対応)**が必要です。
    • 第39類でも、HS2022で3907.20が3907.21/3907.29に分割されるなど、協定の“旧コード”表記と差が出ます

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
    • 最終製品HS(6桁)と、主要材料HS(6桁)
    • 主要材料の原産国、調達先、価格(RVC用)
    • 工程フロー(どこで“実質的変更”が起きるか)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 仕入書、製造記録、原価台帳、仕様書、SDS、試験成績書(粘度数など)を“後で説明できる形”で保存

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022分割(新設+残余)3907.20 → 3907.21/3907.29“その他のポリエーテル”が細分され、特定物質(bis(polyoxyethylene) methylphosphonate)が独立号に協定・社内マスターで旧3907.20を使っている場合、どちらに対応するか確認が必要
HS2017→HS2022新設(範囲変更)3911.90 → 3911.20(新設)+3911.90(残余)3911の「その他」から特定物質(poly(1,3-phenylene methylphosphonate))を独立号化規制対象物質の識別が必要な案件では、仕様書・SDSの整備が重要

※上記はWCOの相関表(HS2017↔HS2022)と、各版のHS条文の号構成に基づく要約です。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料と判断プロセス:
    • WCO相関表(Table I)で、HS2017の3907.20がHS2022で3907.21/3907.29に対応付けられていることを確認しました
    • 実際に、HS2017条文では 39.07 に **3907.20(Other polyethers)**があり 、HS2022条文では 39.07 に **3907.21(bis(polyoxyethylene) methylphosphonate)**と **3907.29(Other)**が存在します
    • 同様に、相関表でHS2017の3911.90の一部がHS2022の3911.20へ対応付けられていることを確認しました
  • 以上より、第39類のHS2017→HS2022の主要変更は、上記の6桁レベルの新設/分割であると整理しました(本回答範囲)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な追加・再編(確認できた範囲)を、2007→2012→2017→2022の流れで整理します(※“可能な範囲”での整理です)。

変遷変更タイプ旧コード → 新コード(代表)概要実務メモ
HS2012→HS2017分割3907.60 → 3907.61/3907.69PETが粘度数で細分(78 ml/g以上/その他)PET取引は試験成績書が実務必須になりやすい
HS2017→HS2022分割3907.20 → 3907.21/3907.29その他ポリエーテルが細分マスターの旧コード対応に注意
HS2017→HS2022新設(範囲変更)3911.90 → 3911.20+3911.903911「その他」から特定物質を独立号化SDS上の物質特定が重要になるケース
HS2007→HS2012(大きな再編なし:本回答確認範囲)例:3907.60/3907.70 等は継続少なくともPET/PLA等の基本構成は継続して確認“大きな再編は2012→2017以降に顕在化”の整理

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):再生ペレットを“廃プラ”申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):注7(3915は一次製品化した単一熱可塑性材のくずを含まない)
    • 起きやすい状況:リサイクル材を一括で3915に入れる社内ルール
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、輸入検査強化、取引先との規格・規制対応の再確認
    • 予防策:工程証明(溶融・ペレット化)と写真を用意、事前教示活用(後述)
  • 事例名(短く):複雑断面チューブを3917で申告
    • 誤りの内容:注8の断面要件を満たさないのに“管・ホース”扱い
    • 起きやすい状況:図面なしで現物写真だけで判断
    • 典型的な影響:分類差し戻し、追加資料要請、通関遅延
    • 予防策:断面図(CAD)・用途説明・サンプル提出
  • 事例名(短く):壁材ロールを一般シート(3920/3921)扱い
    • 誤りの内容:注9(3918の壁/天井被覆材定義)を未確認
    • 起きやすい状況:幅45cm以上ロールの仕様がインボイスに書かれていない
    • 典型的な影響:品目更正、書類追加、納期遅延
    • 予防策:幅・裏張り材・装飾の有無をインボイス補足資料に明記
  • 事例名(短く):加工済みシートを3920で申告
    • 誤りの内容:注10(追加加工のあるものは3920/3921に残らない)を見落とし
    • 起きやすい状況:穴あけ・折り加工済み部材を“シート材料”と誤認
    • 典型的な影響:分類修正、追加納税、後続輸入の検査強化
    • 予防策:加工工程の有無を図面・工程表で提示

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 食品用器具・容器包装(プラスチック)は、食品衛生法の枠組みで材料規制・溶出規制等の対象になり得ます。日本では合成樹脂のポジティブリスト制度が運用されています(適合確認が実務上重要)。
    • その他の許認可・届出
      • 廃プラスチック(3915等)の国際移動は、バーゼル条約関連の枠組みで、汚れた廃プラ等が規制対象となり得る旨が公表されています(輸出時の手続確認が必要)。
    • 安全保障貿易管理(該当する場合)
      • 高機能材料・特定用途(軍民両用等)では、素材や用途により確認が必要になることがあります(案件ごとに該非判定)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 厚生労働省/消費者庁(食品用器具・容器包装の制度)
    • 環境省(廃棄物・バーゼル関連)
    • 税関(事前教示、関税率表解説)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 食品接触:材質証明、適合宣言書、試験成績書、サプライヤーのPL適合情報
    • 廃プラ:汚れの程度、混合物の有無、写真、成分分析、輸出手続資料
    • 共通:SDS、仕様書、図面、用途説明、工程図

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 材質(樹脂種類、添加剤、可塑剤、補強材、発泡の有無)
    • 形状(一次製品/くず/シート/成形品/管等)
    • 加工度(裁断のみか、穴あけ・縫製・組立までか)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注2の除外(他章へ行くもの)を再点検(家具・玩具・機械部品等)
    • 3915 vs 3901〜3914(注7)、3917定義(注8)、3920/3921定義(注10)を再確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスに「樹脂名+形状+用途」(例:“PET resin, pellets, bottle grade”)を明記
    • 図面/写真、SDS、試験成績(粘度数など)を添付できるよう準備
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 最終製品HS(6桁)と、主要材料HS(6桁)を揃える
    • 協定の参照HS版(HS2012/2017等)と自社HS版(HS2022)のズレを点検(必要なら相関表で対応)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品接触(器具・容器包装)ならPL適合確認
    • 廃プラ輸出入はバーゼル関連手続の要否確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文・相関表)
    • HS Nomenclature 2022 Chapter 39(Plastics and articles thereof)[参照日:2026-02-21]
    • HS Nomenclature 2017 Chapter 39(比較用)[参照日:2026-02-21]
    • HS Nomenclature 2012 / 2007 Chapter 39(比較用)[参照日:2026-02-21]
    • HS2017↔HS2022 Correlation Tables(Table I)[参照日:2026-02-21]
    • Section VII Notes(Plastics and rubber and articles thereof)[参照日:2026-02-21]
  • 日本 税関・公的機関のガイド
    • 税関「関税率表解説 第39類(39r)」[参照日:2026-02-21]
    • 税関「関税率表解説データ(例:3907.61/3907.69 粘度数測定等)」[参照日:2026-02-21]
    • 税関「事前教示(関税分類)案内・検索」[参照日:2026-02-21]
  • 規制(日本)
    • 厚生労働省:食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度(合成樹脂等)[参照日:2026-02-21]
    • 消費者庁:器具・容器包装のポジティブリスト制度関連ページ[参照日:2026-02-21]
    • 環境省:汚れた廃プラスチック等の輸出規制(バーゼル関連)[参照日:2026-02-21]
    • 経済産業省:安全保障貿易管理(該非判定等の一般情報)[参照日:2026-02-21]

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

  • 注意:ここからは「国内コード(輸入統計品目表等の細分)」の話で、HS6桁そのものではありません。
  • 例:手袋(3926.20 / 4015.19)の国内細分で「厚さ0.2mm未満」等の要件が付くケース
    • 税関解説では、厚さ判定の測定点(指先からの距離等)まで示されており、国内細分の選択・統計申告で差が出ます
  • 例:ガウン(医療・介護等)を国内細分で定義しているケース
    • 形状要件(後部を留め具で閉じる構造、袖口の構造等)が説明されており、品名だけでなく構造説明が必要になります

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • 日本では、税関の**事前教示制度(関税分類)**を活用できます(重要取引ほど推奨)。
  • 相談が早い情報(一般論)
    • 仕様書(材質・用途・構造)、SDS、図面(断面)、写真、サンプル
    • 3920/3921・3917など“定義が効く品目”は、寸法(幅45cm等)や断面形状、加工工程が分かる資料が特に有効

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第38類:各種の化学工業生産品(Miscellaneous chemical products)

用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • **農薬・消毒剤等(殺虫剤/殺菌剤/除草剤/消毒剤等)**で、所定の形状・包装(小売用等)や調製品・浸み込ませた物品として供されるもの(例:家庭用殺虫スプレー、消毒用ワイプ)→典型的に 38.08
    • 溶剤・シンナー(有機混合溶剤)や塗膜はく離剤などの調製品 →典型的に 38.14
    • 燃料/潤滑油用添加剤(アンチノック、酸化防止、粘度向上等) →典型的に 38.11
    • 診断・試験試薬(キット含む)や認証標準物質(CRM) →典型的に 38.22
    • 廃溶剤・下水汚泥・感染性廃棄物等(注の定義に合致する「廃棄物」) →典型的に 38.25
    • 冷媒等のガス混合物(メタン/エタン/プロパンのハロゲン化誘導体を含む混合物)で、他のより特定の見出しに当たらないもの → 38.27
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 化学的に単一の元素・化合物(単体化学品):原則として 第28類/第29類(無機/有機化学品)へ(例外は類注で限定)
    • 化学品+食用品等(栄養価のある物質)の混合物で、食料品の調製に使うタイプ:21.06 等へ(「ビタミン配合粉末」等で迷いがち)
    • 医薬品(治療・予防目的の医薬品)30.03/30.04
    • 使用済み触媒(金属回収等の性格が強いもの):26.2071.12 等へ(触媒の形状・用途で分岐)
    • 石油系油分が主の廃油27.10 へ(38.25の「その他の廃棄物」から除外)
    • ニコチン/たばこ関連の新規区分に当たる物品24.04 へ(HS2022で明示的に除外)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 単体化学品(単一化合物)か?/混合物・調製品か?(第28/29類 vs 第38類の入口)
    2. 「製品」か「廃棄物」か?(38.25に行くには注の定義・証拠が必要)
    3. 38.27(ガス混合物)に当たるか?:当たっても、名称/機能で特定された他の見出しが優先(部注)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 38.08(農薬・消毒剤):法規制(農薬取締、毒劇物、危険物、SDS等)・許認可・表示の影響が大きい
    • 38.22(診断試薬/CRM):医療系用途や輸入規制・品質証明(証明書の有無)が論点になりやすい
    • 38.25(廃棄物):廃棄物処理法・感染性廃棄物マニュアル等のコンプライアンス、通関審査の厳格化につながりやすい
    • 38.27(冷媒等のガス混合物):HS2022で新設され、旧コード運用のままだと申告補正リスク

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+注で決める):第38類は「〜その他(n.e.s.)」が多く、注(部注・類注)に“優先順位”や“除外”が書かれているため、GIR1が中心です。
    • GIR6(号=6桁の決定):38.08のように号注(Subheading Notes)で対象物質・包装重量が指定され、6桁が変わります。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(第38類で特に重要):
    • 成分:単一化合物か、混合(配合)か。主要成分・CAS・含有率(特に38.27は%条件がある号あり)。
    • 用途(機能):添加剤(38.11)、触媒(38.15)、試薬(38.22)、培地(38.21)などは用途が決定打。
    • 形状/包装:38.08は「小売用の形状・包装」「調製品」「浸み込ませた物品」などがカギ。
    • “製品”か“廃棄物”か:38.25は注で定義され、同じ成分でも「廃棄物」扱いかでコードが変わります。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:化学品(化学工業・関連工業の生産品)としての性格があるか
    • ない場合:第38類以外(例:化粧品→33類、洗剤→34類、プラスチック製品→39類等)へ。
  • Step2:化学的に単一の元素/化合物(単体化学品)か?
    • Yes → 原則 28類/29類
      • ただし、例外(38.01の人造黒鉛、38.08の所定形状の農薬等、38.13の消火器用装てん物、38.22の認証標準物質、注3で38.24に入るもの等)は第38類に残る
    • No → Step3へ
  • Step3:廃棄物か?(38.25の定義に合うか)
    • Yes → 38.25候補(ただし廃油等は27.10等の除外あり)
    • No → Step4へ
  • Step4:メタン/エタン/プロパンのハロゲン化誘導体を含む混合物(38.27)か?
    • Yes → まず「名称/機能で特定された他見出し(例:溶剤=38.14、ブレーキ液=38.19等)」に当たらないか確認
      • 当たる → そちらが優先(部注)
      • 当たらない → 38.27
    • No → Step5へ
  • Step5:第38類内の個別項(38.01〜38.23等)に当たるか
    • 当たる → その項へ
    • 当たらない → 最後に **38.24(化学工業の化学品・調製品 “その他”)**を検討(ただし他章・他項の特定見出しを先に潰す)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第28/29類(単体化学品) vs 第38類(混合物・調製品)
    • 第21類(食品調製品) vs 第38類(栄養価のある物質を含む混合物の扱い)
    • 第27類(石油製品/廃油) vs 38.25(廃棄物)
    • 38.14(有機混合溶剤) vs 38.25(廃溶剤)(“製品”か“廃棄物”かが本質)
    • 38.27(ガス混合物) vs 旧運用(38.24)(HS2022で構造変更)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
3801人造黒鉛、コロイド状黒鉛、黒鉛/炭素ベースのペースト・半製品人造黒鉛粉、電極用カーボンペースト天然黒鉛(25.04)や加工済み製品(68.15/85.45等)との境界に注意
3802活性炭、活性天然鉱物、動物性炭浄水用活性炭、活性白土木炭(44.02)やカーボンブラック(28.03)等と混同注意
3803トール油(精製の有無不問)クラフトパルプ副産トール油植物油脂類との区別(由来・工程)
3804木材パルプ製造残液(リグニンスルホン酸塩等)リグニンスルホン酸塩液3803(トール油)除外が明示
3805テレピン油等のテルペン系油、粗ジペンテン等テレピン油、松根油精油(33類)との境界に注意(製法・用途)
3806ロジン、樹脂酸および誘導体、ロジンスピリット等ロジン、エステルガム樹脂系(39類)・香料用途(33類)との誤認に注意
3807木タール、木クレオソート等、植物ピッチ系調製品木クレオソート、木ナフサ由来(木材蒸留)・用途で確認
3808殺虫剤/殺菌剤/除草剤/消毒剤等(小売形状・包装/調製品/浸漬品)家庭用殺虫剤、除草剤、消毒シート単体化学品は原則対象外。号注で対象物質・包装重量の分岐あり
3809繊維/紙/皮革等の仕上剤、染色助剤(他で特定されない)繊維仕上剤、紙用サイズ剤(でん粉系含む)用途(どの産業向けか)が分岐(繊維/紙/皮革)
3810金属表面の酸洗い剤、はんだ付け等のフラックス、溶接用粉・ペースト等酸洗いペースト、はんだフラックス金属+他材料の粉・ペースト等、用途で判定
3811燃料/潤滑油等の添加剤(アンチノック等)ガソリン添加剤、潤滑油添加剤鉛化合物ベースか、石油系油分含有か等で分岐
3812ゴム加硫促進剤、可塑剤、安定剤(酸化防止等)ゴム加硫促進剤、樹脂安定剤TMQ混合物等で細分あり(3812.31等)
3813消火器用装てん物、消火弾消火器充填剤類注で例外扱い(単体化学品でもここに残り得る)
3814有機混合溶剤/シンナー、塗膜はく離剤ラッカーシンナー、剥離剤混合(コンポジット)であることが前提。単一溶剤は29類になりやすい
3815反応開始剤/促進剤、触媒調製品(他で特定されない)担持触媒(Ni、Pt等)、触媒調製品使用済み触媒金属粉/金属ガーゼ状触媒は除外規定あり
3816耐火セメント/モルタル/コンクリ等(ドロマイトラムミングミックス含む)耐火モルタル、耐火キャスタブル38.01製品除外が明示。HS2022で文言が明確化
3817混合アルキルベンゼン/アルキルナフタレンLAB(洗剤原料)等27.07や29.02該当品は除外(石油系/単体芳香族との境界)
3818電子用ドープ元素(ウエハ等形状)・ドープ化合物ドープSiウエハデバイス化(85類)との境界、形状・用途で確認
3819ブレーキ液等(石油油分<70%)ブレーキフルード石油系油分比率が分岐点(70%)
3820不凍液、解氷液エンジン冷却用不凍液38.19(ブレーキ液)との混同注意
3821微生物/細胞の培地(維持・培養)培地粉末、細胞培養培地用途(培養用)で判定。試薬(38.22)と区別
3822診断/実験室用試薬(キット含む)、認証標準物質検査キット、標準液(CRM)認証標準物質は原則38.22が優先(ただし28/29類品は除く)
3823工業用脂肪酸、精製由来酸性油、工業用脂肪アルコールステアリン酸、オレイン酸(工業用)15類油脂・石けん原料との境界:工業用・精製副産等の確認
3824鋳型用バインダー、その他の化学品・調製品(n.e.s.)鋳物砂バインダー、セメント添加剤、修正液等“最後の受け皿”。部注で「セットは3824」等の優先規定あり。号注3でPOPs含有品等の細分
3825化学工業残留物、都市ごみ、下水汚泥、感染性廃棄物、廃溶剤等廃溶剤、下水汚泥、感染性廃棄物注で「都市ごみ」「下水汚泥」「その他の廃棄物」を定義。廃油は27.10除外
3826バイオディーゼル(石油油分<70%)FAME系バイオ燃料「脂肪酸モノアルキルエステル」「燃料用途」「由来(動物/植物/微生物)」を確認
3827メタン/エタン/プロパンのハロゲン化誘導体を含む混合物(n.e.s.)冷媒ガスブレンド(HFC等混合)HS2022新設。部注で他の名称/機能見出しが優先。号で含有物質・%条件あり

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件(例:重量、成分割合、用途、加工状態、形状、包装、規格)の整理
    • 38.08(農薬・消毒剤等)
      • 号注で「特定物質を含むか」「包装の正味重量(≤300g、>300g≤7.5kg 等)」で6桁が分かれます。
    • 38.25(廃棄物)
      • 「都市ごみ/下水汚泥/感染性廃棄物/廃有機溶剤」など、廃棄物の種類で6桁が分かれ、廃有機溶剤はハロゲン化の有無でも分岐します。
    • 38.27(ガス混合物)
      • 6桁(実際は38.27の下で細分が多い)で、含有する特定ガスの種類や、**質量%の閾値(例:HFC-125が55%以上等)**により分岐します。
    • 38.22(診断/試薬)
      • HS2022では「マラリア用」「蚊媒介感染症用(Zika等)」「血液型判定用」などの細分があり、用途・キット仕様の確認が必要です。
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 3808.52/3808.59 vs 3808.91〜3808.94(一般の殺虫/殺菌/除草/消毒)
      • どこで分かれるか:号注の特定物質リスト該当と、正味重量(≤300g等)
      • 判断に必要な情報:SDS(有効成分)、配合表、ラベル、包装形態・正味量
      • 典型的な誤り:有効成分がリスト対象なのに一般号で申告、または重量条件の見落とし
    2. 3825.41(廃有機溶剤:ハロゲン化) vs 3825.49(廃有機溶剤:その他)
      • どこで分かれるか:廃溶剤がハロゲン化溶剤を主に含むか
      • 判断に必要な情報:廃棄物分析結果、SDS/成分、回収目的の有無、マニフェスト等
      • 典型的な誤り:「再生用だから製品扱い」として38.14へ寄せる(ただし注の定義上は“廃溶剤”なら38.25側)
    3. 3827(ガス混合物)内の閾値系(例:3827.62/3827.63/3827.64…)
      • どこで分かれるか:HFC-125、HFC-134a、HFC-143a、HFC-32等の質量%条件・HFO混入の有無
      • 判断に必要な情報:組成表(mass%)、ガス分析証明、SDS
      • 典型的な誤り:旧コード(HS2017の3824.7系)を使い続ける/%条件を体積%で見てしまう(mass%条件に注意)
    4. 3822(試薬) vs 3006(医療用に特定されたもの)
      • どこで分かれるか:38.22本文で「30.06のものを除く」とされるため、当該試薬が30.06に該当する用途・態様か
      • 判断に必要な情報:使用目的(体外/体内、診断方法)、添付文書、キット構成
      • 典型的な誤り:「医療っぽい」だけで30類へ寄せる/逆に30.06相当を38.22で申告
    5. 3815.11(Ni系担持触媒) vs 3815.12(貴金属系担持触媒) vs 3815.90(その他)
      • どこで分かれるか:担体上の活性物質がNi(化合物含む)か、貴金属(化合物含む)か
      • 判断に必要な情報:触媒仕様書、金属分析、用途(新品/使用済み)
      • 典型的な誤り:使用済み触媒や金属ガーゼ触媒まで3815に入れてしまう(類注で除外)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 部注3:小売用セットでGIR3(a)で決められない場合、38.24に分類する、という“逃げ道”が明示されています(化学品キットで重要)。
    • 部注4(HS2022で新設):38.27に該当しても、名称/機能で特定された他の見出しに当たるなら、そちらを優先(38.27は“最後”)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:DIY用途の「接着・洗浄・下地処理」等が一式になった化学品キットで、どの品が本質か判断が割れる場合、部注3の考え方が効き、38.24に収斂する可能性があります(ただし他章の特定見出しを先に検討)。
    • 例:冷媒混合ガスが38.27の要件を満たしても、それが他の見出しで用途・機能として明確に規定される製品なら、38.27ではなくその見出しへ(部注4)。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • セット商品の扱いで38.24へ収斂(他章で特定されない場合)
    • 38.27該当でも、名称/機能で特定された他見出しへ(38.27の濫用防止)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1:第38類からの主要な除外(単体化学品、食品調製用混合物、24.04、医薬品、使用済み触媒等)を列挙。入口で必ず確認。
    • 注2認証標準物質(CRM)の定義と、(28/29類品を除き)38.22優先ルール。
    • 注3:38.24に“必ず入る”物品の列挙(培養結晶、フーゼル油、インク除去剤(小売包装)等)。
    • 注4〜6:38.25関連の定義(都市ごみ、下水汚泥、その他の廃棄物)。廃棄物の範囲が注で決まる。
    • 注7:38.26の「バイオディーゼル」定義(脂肪酸モノアルキルエステル、動物/植物/微生物由来等)。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 認証標準物質(CRM):証明書で特性値・方法・不確かさ等を示し、分析/校正等に適する標準物質
    • 都市ごみ(municipal waste):家庭・ホテル・病院等からのごみ等を含むが、分別された個別材、産業廃棄物、廃医薬品、臨床(感染性)廃棄物は含まない等
    • 下水汚泥(sewage sludge):都市排水処理で生じる汚泥(ただし肥料用途で適する安定化汚泥は除外)
    • その他の廃棄物(other wastes):感染性廃棄物、廃有機溶剤、酸洗い廃液・廃ブレーキ液等、化学工業廃棄物等。ただし石油油分が主の廃棄物は除外(27.10)
    • バイオディーゼル:燃料用途の脂肪酸モノアルキルエステル(動物/植物/微生物由来)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 食品調製用混合物 → 主として 21.06
    • 医薬品 → 30.03/30.04
    • 使用済み触媒 → 26.20/71.12
    • 石油油分主体の廃棄物 → 27.10

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。

  • 影響ポイント1:「単体化学品」なら原則28/29類へ(第38類は例外限定)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):成分が単一化合物か、混合物/調製品か。純度、CAS、反応物/溶媒の残存等。
    • 現場で集める証憑:SDS、COA(分析証明)、仕様書、製造工程、成分表
    • 誤分類の典型:「用途が農薬/溶剤だから」といって単一化合物を38類に入れてしまう
  • 影響ポイント2:認証標準物質(CRM)は(28/29類品を除き)38.22が優先
    • 何を見れば判断できるか:**認証書(certificate)**に、認証特性値・測定方法・不確かさが記載されているか。
    • 現場で集める証憑:CRM証明書、ロット情報、用途説明(校正/分析用)
    • 誤分類の典型:標準液を「化学品(28/29類)」として申告してしまう(ただし28/29類品は例外でそちらへ)
  • 影響ポイント3:38.25(廃棄物)の定義に当たると、同じ成分でもコードが変わる
    • 何を見れば判断できるか:
      • 発生源(家庭系/医療系/化学工業等)
      • “廃棄物”としての性格(使用済み/汚染/再使用不可等)
      • 廃油(石油油分主)なら除外(27.10)
    • 現場で集める証憑:マニフェスト、廃棄物分析、SDS相当、処理契約、写真、ロット履歴
    • 誤分類の典型:廃溶剤を「有機混合溶剤(38.14)」として申告、または廃油を38.25に入れてしまう
  • 影響ポイント4:38.27(ガス混合物)は“最後”。名称/機能で特定された見出しが優先
    • 何を見れば判断できるか:その混合物が、他の見出し(名称/機能)に該当するか(例:溶剤、ブレーキ液等)。
    • 現場で集める証憑:用途説明、SDS、組成(mass%)、製品規格
    • 誤分類の典型:「冷媒ガスっぽいから38.27」と短絡(部注4に反する可能性)
  • 影響ポイント5:バイオディーゼル(38.26)は定義(注7)+石油油分70%基準がカギ
    • 何を見れば判断できるか:脂肪酸モノアルキルエステル(FAME等)か、燃料用途か、由来(動物/植物/微生物)か、石油油分比率(70%未満)
    • 現場で集める証憑:成分分析(FAME含有)、燃料規格、混合比、SDS
    • 誤分類の典型:バイオ燃料を石油製品側(27類)や“その他調製品”(38.24)へ寄せる

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:「化学品っぽい」だけで38.24(その他)に入れる
    • なぜ起きる:38.24は受け皿で、製品名だけ見て早合点しやすい
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):まず38.01〜38.23や他章の特定見出しを検討し、最後に38.24(n.e.s.)
    • 予防策:SDS・用途・工程(調製品か)を取得し、候補見出しを「用途順」に潰す
  2. 間違い:単一化合物(高純度溶剤など)を38.14(混合溶剤)として申告
    • なぜ起きる:「シンナー/溶剤」という商流名で判断してしまう
    • 正しい考え方:38.14は“有機混合溶剤/シンナー”。単体化学品は原則28/29類へ
    • 予防策:純度・組成(単一/混合)をCOA/SDSで確認
  3. 間違い:農薬原体(有効成分単体)を38.08に入れる
    • なぜ起きる:用途(農薬)に引っ張られる
    • 正しい考え方:38.08は「所定の形状/包装」「調製品」「浸み込ませた物品」等。原体単体は原則28/29類側になりやすい
    • 予防策:包装形態(小売用か)、剤型(調製品か)、含有率・溶媒等を確認
  4. 間違い:3808.52/59や3808.61〜69の“物質リスト・重量条件”を見落とす
    • なぜ起きる:6桁の細分が細かく、SDSの成分名(ISO名等)と突合しない
    • 正しい考え方:号注で対象物質が指定され、包装重量で分岐
    • 予防策:SDSの有効成分名(ISO/INN)→号注リスト照合、正味重量の確認(≤300g等)
  5. 間違い:診断キットを“医薬品っぽい”として30類へ、または逆に30.06相当を38.22へ
    • なぜ起きる:医療用途の区分が曖昧、キット構成を見ない
    • 正しい考え方:38.22本文で「30.06のものを除く」とされるため、体外診断用か/投与用か等を確認
    • 予防策:添付文書、用途(in vitro/in vivo)、キットの構成部材リストを入手
  6. 間違い:廃溶剤を“再生原料”として38.14(製品)扱いにしてしまう
    • なぜ起きる:回収・再生目的=製品、と思い込み
    • 正しい考え方:38.25には「廃有機溶剤」の定義があり、提示形態が“廃棄物”なら38.25で整理される
    • 予防策:発生履歴、再使用可否、マニフェスト、分析表を整備
  7. 間違い:冷媒ガス混合物を旧HS(3824.7系)で申告し続ける
    • なぜ起きる:社内マスタ更新漏れ、旧取引慣行
    • 正しい考え方:HS2022で新設38.27、旧の38.24内細分(3824.7系)が再編(削除)
    • 予防策:相関表で旧→新をマスタに反映、SDS組成(mass%)で38.27号を確定
  8. 間違い:触媒を一律に3815へ(使用済み触媒や金属ガーゼ触媒を含む)
    • なぜ起きる:「触媒=3815」と短絡
    • 正しい考え方:注で使用済み触媒や**金属/合金から成る触媒(粉状/ガーゼ状等)**は除外が明示
    • 予防策:新品/使用済み、形状(担持/金属ガーゼ等)、回収目的(貴金属回収等)の確認

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること:
    PSRは最終製品HSに紐づくため、HSを誤ると「CTC(関税分類変更)」「RVC(付加価値)」「加工工程要件」などの判断軸が丸ごと変わります(=原産性判断が崩れる)。
  • よくある落とし穴:
    • 材料側のHS(28/29類)と、製品側のHS(38類)を取り違え、CTC判定を誤る
    • 38.24(その他)に寄せてしまい、PSRが過度に厳しく/緩く見える
    • 38.27(新設)移行後も旧HS前提のPSRを当てはめてしまう(協定の参照HS版が重要)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記:
    実務では、税関のPSR検索等で協定ごとに参照HS版が異なる点に注意が必要です。
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意:
    • HS2022で新設・分割・統合(例:38.27新設)の場合、協定上は旧HSでPSRが書かれていることがあります
    • その場合は「トランスポジション(旧→新対応)」の考え方が必要になります(一般論として、WCO相関表等を参照し、当該協定の運用ガイダンスに従う)。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • そろえるべき基本データ:
    • 材料表(BOM)、原価、工程(製造フロー)、原産国
    • 非原産材料のHS(特に28/29類の単体化学品 vs 38類の調製品で差が出る)
    • RVC計算の前提(工場出荷価格等)
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 協定別の保存年限・証憑要件に従い、SDS・仕様書・配合設計・工程記録を保存(分類根拠=原産地根拠にもなる)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022新設+再編38.27(新設)旧HSでは「メタン/エタン/プロパンのハロゲン化誘導体を含む混合物」が38.24内(3824.71〜3824.79等)に置かれていたが、HS2022で38.27として独立冷媒ガス等のコードが変わり、社内マスタ更新・品目管理・統計・PSRに影響
HS2017→HS2022削除3824.7(旧:3824.71〜79)旧の3824.7系サブヘディング群がHS2022で削除され、38.27側に移転旧コードで申告すると補正リスク。過去データとの比較は相関表必須
HS2017→HS2022新設(部注追加)部注(Section VI Note 4)38.27に該当しても、名称/機能で特定された他見出しが優先、という優先ルールを追加38.27の“濫用”を防ぎ、用途に応じた見出しへ誘導。社内判定ロジック見直し
HS2017→HS2022分割(細分化)3822(試薬)HS2017は3822.00のみだったが、HS2022ではマラリア用等に細分(3822.11等)診断キット等で6桁の選定が必要(統計・規制・優遇税率の枝分かれ可能性)
HS2017→HS2022文言修正(範囲明確化)3816HS2022で「ドロマイトラムミングミックスを含む」旨が明確化耐火物系の分類検討で説明資料に反映(特に“何が含まれるか”の説明に有用)
HS2017→HS2022定義拡張(注の修正)注7(バイオディーゼル)HS2022では由来に「微生物由来」が明示的に入り、定義が拡張アルゲ燃料等の説明がしやすくなる。燃料系の分類根拠資料に反映

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料(相関表、WCO条文、各国税関の解説、協定付属書など):
    • WCO HS2022 第38類条文(見出し・類注・号注)
    • WCO HS2017 第38類条文(旧コードの存在確認:3824.71〜79、3822.00 等)
    • WCO 相関表(HS2022↔HS2017):38.27新設、3824.7削除等の“改正理由”注記
    • WCO「HS2022改正ハイライト」(Kigali改正に関連して38.27や部注の導入が言及)
    • 日本税関「関税率表解説 第38類」(国内実務向けの注・解説)
  • “どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか”:
    • 38.27新設は、HS2022条文に38.27が新たに掲載されていること(条文)と、相関表で“New heading 38.27 / New heading Note 4 to Section VI / Deletion of subheading 3824.7…”等の説明が付されていること(相関表)から判断しました。
    • 3822の細分化は、HS2017条文では3822.00のみ、HS2022条文では3822.11等に分割されていることから判断しました。
    • **バイオディーゼル定義の拡張(微生物由来)**は、HS2017注7とHS2022注7の文言差から判断しました。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

(主要ポイントのみ。実務では相関表で“旧→新”を必ず突合してください。)

  • HS2007→2012→2017→2022の流れ(主要な追加・削除・再編)
版の移行主な追加/削除/再編(第38類中心)旧コード→新コード(例)根拠
HS2007→HS201238.26(バイオディーゼル)新設、注7新設(旧)3824.90 等に含まれていたバイオディーゼル →(新)3826.00相関表の注記(新設理由・移転)
HS2012→HS201738.08の細分見直し(DDT小包装等)、3808.52新設3808.61〜69新設、新号注追加。3812.31新設(旧)3808.50 →(新)3808.52/3808.59/3808.61〜69 等相関表(Rotterdam条約等の監視目的が言及)
HS2017→HS202238.27新設、旧3824.7削除・移転、部注4新設、3822細分化(旧)3824.71〜79 →(新)3827.11〜 等 / (旧)3822.00 →(新)3822.11等相関表・HS条文・改正ハイライト
  • 補足:旧コード→新コード対応の出し方(一般論)
    • まずWCO相関表(2017↔2022、2012↔2017等)で機械的に候補を出し、
    • 次に**現物の仕様(組成、用途、包装形態、廃棄物性)**で新側の見出し・号注を満たすか確認、
    • そのうえで、協定(PSR)や国内統計品目(国内コード)への落とし込みを行う、という順序が安全です。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「農薬原体」を38.08で申告して補正
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):38.08は所定の形状・包装/調製品等が前提。単体化学品は原則除外(注1)
    • 起きやすい状況:品名が「○○農薬(原体)」、SDS未確認、包装がドラム
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、遅延
    • 予防策:SDS/COAで単一化合物か確認、剤型・包装条件を確認、事前教示活用
  • 事例名(短く):食品向け「栄養価のある混合物」を38類で申告
    • 誤りの内容:注1(b)の除外(食品調製用混合物は主に21.06)
    • 起きやすい状況:「食品用プレミックス」「栄養添加粉末」等で、化学品と誤認
    • 典型的な影響:分類変更による関税率差、規制/表示(食品側)への波及、遅延
    • 予防策:用途(食料品調製か)を確認、成分に“栄養価物質”が含まれるか整理
  • 事例名(短く):廃溶剤を38.14(製品)で申告して差戻し
    • 誤りの内容:38.25(廃溶剤)の定義・号注の見落とし
    • 起きやすい状況:「回収して再生するから製品」と説明、マニフェスト不備
    • 典型的な影響:廃棄物関係の追加資料要求、審査長期化、保管費用増
    • 予防策:廃棄物としての発生経緯・分析結果・処理フローを事前に準備
  • 事例名(短く):冷媒混合物を旧HS(3824.7)で申告して補正
    • 誤りの内容:HS2022で38.27が新設され、旧3824.7が削除・移転
    • 起きやすい状況:社内マスタ未更新、海外サプライヤーの旧HS表記
    • 典型的な影響:修正申告、統計修正、通関遅延
    • 予防策:相関表でマスタ更新、SDS組成(mass%)で新号を確定

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 第38類は「食品・動植物検疫」より、化学物質・医療・廃棄物・危険物側の規制が中心になりがちです(品目により例外あり)。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 化学品は用途・需要者次第でキャッチオール規制等の対象となり得ます(輸出側)。
    • また、化学兵器禁止法関連物質の輸入は外為法に基づく承認が必要となる場合があります(輸入側)。
  • その他の許認可・届出(例:化学品・危険物・農薬・フロン・廃棄物)
    • 化審法(化学物質審査規制法):新規化学物質・既存化学物質の規制枠組み(製造・輸入に影響)
    • 安衛法のラベル表示・SDS提供:SDS/ラベル対象物質の取り扱い(輸入者の体制整備が重要)
    • 毒物及び劇物:該当物質の取扱い・届出等(自治体運用も含む)
    • 消防法(危険物):溶剤・塗料・添加剤等で危険物該当し得る
    • 農薬取締法:38.08のうち農薬に該当するものは登録・表示等が論点
    • フロン排出抑制法:冷媒(38.27該当品を含み得る)で管理が問題になる場合
    • 廃棄物処理法:38.25該当の廃棄物の取扱い(感染性廃棄物の判断・処理手順等)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 経産省(化審法、外為法/安保貿易)、厚労省(SDS/表示、化学品安全)、農水省(農薬)、環境省(フロン、廃棄物)
  • 実務での準備物(一般論):
    • SDS、成分表(CAS/含有率)、用途説明、ラベル案
    • 廃棄物なら:マニフェスト、分析表、発生源説明、処理フロー
    • 冷媒混合物なら:組成(mass%)とガス分析証明、用途(冷媒/その他)
    • 農薬/消毒なら:有効成分・濃度、登録情報、用途区分(農薬/医薬品/雑品等の線引き)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 製品名(商流名)だけでなく:用途、成分(CAS/%)、剤型、包装(正味量)、安全データ(SDS)
    • 「廃棄物」かどうか:発生履歴、再使用可否、汚染状況、処理目的
    • 38.22候補なら:**認証書(CRM)**の有無
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注1の除外(21.06、24.04、30類、使用済み触媒等)に当たらないか
    • 38.27候補なら部注4(他見出し優先)を適用したか
    • 38.08候補なら号注の物質リスト・重量条件を確認したか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に「用途(additive, reagent, waste solvent等)」と「主成分」を反映
    • 必要に応じて:SDS、仕様書、写真、組成表、証明書(CRM/ガス分析)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定参照HS版(HS2012/2017等)を確認し、必要なら相関表で読み替え
    • BOMと非原産材料のHS、RVCの根拠資料を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • SDS/ラベル、危険物、毒劇物、農薬、フロン、廃棄物、安保貿易(用途・需要者)を横断確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022:Chapter 38(条文・注・号注) (参照日:2026-02-21)
    • WCO HS2022:Section VI Notes(部注:Note 3/4 等) (参照日:2026-02-21)
    • WCO HS2017:Chapter 38(旧コード確認) (参照日:2026-02-21)
    • WCO 相関表(HS2022↔HS2017) (参照日:2026-02-21)
    • WCO “Amendments effective from 1 January 2022”(38.27等の改正背景) (参照日:2026-02-21)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関「関税率表解説 第38類(各種の化学工業生産品)」 (参照日:2026-02-21)
    • 税関:PSR検索等の注意事項(協定参照HS版の違い) (参照日:2026-02-21)
    • 税関:Advance Ruling / 事前教示(品目分類) (参照日:2026-02-21)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス(一般論の補助)
    • WCO “Guide for Technical Update of Preferential Rules of Origin” (参照日:2026-02-21)
  • 規制・コンプライアンス(日本)
    • 経産省:化審法概要(制度説明資料) (参照日:2026-02-21)
    • 厚労省:安衛法におけるラベル表示・SDS提供制度 (参照日:2026-02-21)
    • 総務省消防庁:危険物規制の概要(消防法関連) (参照日:2026-02-21)
    • 農水省:農薬取締法(概要) (参照日:2026-02-21)
    • 環境省:フロン排出抑制法(概要) (参照日:2026-02-21)
    • 環境省:廃棄物処理法(制度ページ) (参照日:2026-02-21)
    • 環境省:感染性廃棄物処理マニュアル(参考) (参照日:2026-02-21)
    • 経産省:化学兵器禁止法関連物質の輸入(外為法承認) (参照日:2026-02-21)
    • 経産省:補完的輸出規制(キャッチオール規制) (参照日:2026-02-21)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第37類:写真用又は映画用の材料 — Photographic or cinematographic goods

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの 超要約

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 感光性の写真用フィルム・プレート(露光していないもの):シート状 3701、ロール状 3702。
    • 感光性の写真用紙・板紙・紡織用繊維(露光していないもの):3703。
    • 露光済みだが現像していないフィルムや写真紙:3704。
    • 現像済みの静止画像用フィルム(ネガ/ポジ、マイクロフィルム等):3705。
    • 現像済みの映画用フィルム(サウンドトラック有無を問わず):3706。
    • 写真用の化学調製品や、写真用の未混合品で「使用量包装/小売用で直ちに使用可能」なもの:3707(例:現像液、定着液、感光乳剤、フォトレジスト)。
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 写真・映画用の「くず」(廃フィルム等):第37類注1で除外。
      • 貴金属回収目的の廃フィルム等で貴金属/化合物を含むもの:7112
      • それ以外のくず:材質により 3915(プラくず)や 4707(古紙)など
    • 現像済みの写真紙・写真布(写真プリント):第49類または第11部へ(写真紙/板紙は49類、紡織用繊維は第11部の扱い)。
    • 感光性ではないプラスチックフィルム:第39類。
    • 写真用フラッシュ電球:9006。
    • 機械式録音用など「記録していない記録媒体」:8523(例:写真ではなく録音・記録媒体)。
    • 直ちに印刷に使える印刷用プレート(例:オフセット用で使用可能状態):8442。
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. その媒体は「感光性/感熱性を含む意味での写真用」か、そして「露光・現像の状態」はどこか(未露光/露光未現像/現像済)。
    2. 媒体の形状・材質は何か(シートかロールか、紙/繊維かそれ以外か)。
    3. 化学品の場合、混合品か単一物質か、また「使用量包装/小売用で直ちに使用可能」か(3707の成立条件)。
  • この類で特に誤分類が高コストになりやすい場面:
    • 3707(写真用化学品)と第28・29類(単一化学品)の取り違え:関税だけでなく、SDS、危険物、毒劇物、輸出管理など社内コンプライアンス側の手戻りが起きやすいです。

1. 区分の考え方 どうやってこの類に到達するか

1-1. 分類の基本ルール GIRの使いどころ

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1:まず「項の文言」+「部注/類注」で決めます。第37類は類注が短いですが、注1 くず除外注2 写真用の定義が強力です。
    • GIR6:6桁は「幅・長さ・パーフォレーション有無・カラー用か・包装形態」など、見出しに書かれた条件で機械的に分かれます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 状態:未露光か、露光済みか、現像済みか(ここで 370x が大きく変わります)。
    • 形状:シート(平面状)かロールか。
    • 材質:紙/板紙/繊維か、それ以外(プラ・ガラス・金属など)か。
    • 用途:静止写真か映画か、医療用X線か、印刷製版か、半導体用フォトリソグラフィか(例:フォトレジスト)。
    • 化学品:混合品か単一物質か、使用量包装か、小売用で直ちに使用可能か。

1-2. 判定フロー 疑似フローチャート

  • Step1:対象は「写真用」か
    • 光や放射線で可視像を形成する工程に使うか。HS2022では「感熱性を含む」趣旨が明示されています。
  • Step2:それは「くず」か
    • はい → 第37類の外(例:貴金属回収目的なら 7112、その他は材質で 3915/4707 等)。
    • いいえ → Step3へ
  • Step3:物は「媒体」か「化学品」か
    • 媒体(プレート/フィルム/紙/繊維)→ Step4へ
    • 化学品(現像液、定着液、感光乳剤、フォトレジスト等)→ Step7へ
  • Step4:露光・現像の状態
    • 未露光 → 3701/3702/3703 のどれか
    • 露光済・未現像 → 3704
    • 現像済 → 3705/3706 または(紙/繊維は)49類/11部
  • Step5:未露光媒体の形状・材質
    • シート状で紙/板紙/繊維以外 → 3701
    • ロール状で紙/板紙/繊維以外 → 3702
    • 紙/板紙/繊維 → 3703
  • Step6:現像済みフィルムの用途
    • 映画の投影用フィルム(サウンドトラック含む) → 3706
    • 静止画像のフィルム(マイクロフィルム等含む) → 3705
  • Step7:写真用化学品か
    • 混合した調製品 → 3707(原則)
    • 未混合品 → 「使用量包装」または「小売用で直ちに使用可能」なら 3707、そうでないなら第28・29類等へ(単一化学品として扱う方向)。
  • よく迷う境界
    • 第37類 3705 と 8442(印刷用プレート):現像済みでも「直ちに印刷に使用できる状態」は 8442 側に寄ります。
    • 3707 と 第28・29類:単一物質か、混合調製品か、包装形態はどうか。さらに部注で 2843/2846/2852 の優先が効きます。
    • 第37類と第49類:写真紙が「現像済み」かどうか。

2. 主な項 4桁 とその内容

2-1. 4桁 項 の主なもの一覧表 必須

項番号 4桁見出しの要旨 日本語典型例 製品名重要な分岐条件 / 除外 / 注意点
3701シート状の感光性プレート・フィルム 未露光、紙/繊維以外。シート状インスタントプリントフィルムも含むX線用シートフィルム、製版用PSプレート 未露光、インスタント写真フィルムパック「平面状」かつ未露光。ロール状は3702。紙/繊維は3703。
3702ロール状の感光性写真用フィルム 未露光、紙/繊維以外。ロール状インスタントプリントフィルムも含む35mmロールフィルム、映画撮影用未露光フィルム、ロール状インスタントフィルム幅・長さ・孔有無などで6桁が細かい。紙/繊維ベースは3703側。
3703感光性の写真用紙・板紙・紡織用繊維 未露光写真印画紙 未露光、青写真用感光紙、感光性の写真用布「感光性」が鍵。単なるコート紙は48類/11部へ。現像済みは49類/11部へ。
3704写真用の媒体 露光済み・未現像露光済みフィルム 現像前、露光済み写真紙 現像前露光済みかの証拠(工程・取り扱い)。現像済みは3705/3706または49類/11部。
3705写真用プレート・フィルム 露光済み・現像済み 映画用以外現像済みネガ・ポジ、マイクロフィルム、ハーフトーンスクリーンフィルム映画投影用は3706。印刷用に直ちに使えるプレートは8442へ。
3706映画用フィルム 露光済み・現像済み サウンドトラック有無問わず上映用の映画フィルム、音声トラックのみのフィルム「映画投影用」かが鍵。サウンドトラックのみでも条件を満たせば含む。非光電式のみの音声媒体は8523へ。
3707写真用の化学調製品・写真用未混合品 使用量包装/小売用で直ちに使用可能現像液、定着液、感光乳剤、調色剤、フォトレジスト単一物質は「使用量包装/小売用」等の条件が必要。2843-2846/2852等へ飛ぶ例あり(例:塩化第二水銀は2852)。

2-2. 6桁 号 で実務上重要な分岐 必須

  • 分岐条件の整理
    • 3701:用途(X線/インスタント)+サイズ(辺>255mm)+カラーか否か。
    • 3702:用途(X線)+孔有無+幅(<=105mm、>105mm、<=16mm、16-35mm、>35mm 等)+長さ(<=30m、>30m、>200m 等)+カラーか否か。
    • 3703:ロール幅(>610mm)+カラーか否か。
    • 3706:幅が35mm以上か。
    • 3707:感光乳剤か(3707.10)それ以外(3707.90)。用途と組成で判断(例:フォトレジストは3707.90に含まれる旨の解説あり)。
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組)
    1. 3701 系 vs 3702 系 vs 3703 系
      • どこで分かれるか:シートかロールか、紙/繊維かそれ以外か。
      • 判断に必要な情報:形状(ロール径・芯の有無)、ベース材質(紙/PET/ガラス等)、製品仕様書。
      • 典型的な誤り:「ロール状の感光フィルム」を3701に入れてしまう/紙ベースなのに3702にしてしまう。
    2. 3704 vs 3705/3706
      • どこで分かれるか:現像の有無(露光済みでも未現像なら3704)。
      • 判断に必要な情報:工程フロー、現像処理の実施記録、製品状態(メーカー出荷形態)。
      • 典型的な誤り:「露光済み=現像済み」と誤認して3705/3706にしてしまう。
    3. 3705 vs 3706
      • どこで分かれるか:映画投影用か(3706)/静止画像用か(3705)。
      • 判断に必要な情報:用途(上映用か)、フィルムの規格(映画用標準幅など)、サウンドトラックの仕様。
      • 典型的な誤り:上映用フィルムを3705にしてしまう。
    4. 3707 vs 第28・29類(単一化学品)
      • どこで分かれるか:混合調製品か、単一物質か。単一物質なら「使用量包装/小売用で直ちに使用可能」等の条件を満たすか。さらに 2843-2846/2852 などは部注で優先され得ます。
      • 判断に必要な情報:SDS、成分表、梱包形態(1回分小袋・錠剤等か)、ラベル表示。
      • 典型的な誤り:バルクの単一化学品(例:単体溶剤、単体塩)を「写真用」として3707にしてしまう。
    5. 3705 vs 8442
      • どこで分かれるか:現像済みでも「直ちに印刷用に使用できるプレート」は8442へ。
      • 判断に必要な情報:用途(印刷機にそのまま装着して使えるか)、工程(製版完了品か)、カタログ。
      • 典型的な誤り:印刷用CTPプレート完成品を3705にしてしまう。

3. 部注と類注の詳細解釈 条文から実務的な意味

3-1. 関連する部注 Section Notes

  • ポイント要約
    • 第37類は第6部(化学工業品)に属し、第6部注には「ある見出しの優先」や「小売用・使用量包装による帰属固定」があります。特に 3707 は部注2で明示的に対象になっています。
  • 実務での意味 具体例つき
    • 例:写真用の現像剤キットが「小売用」「直ちに使用可能」などの形態なら、他の化学品見出しへ散らさず 3707 に寄せる考え方が働きます(ただし部注1で優先される見出しがある場合を除きます)。
    • 例:塩化第二水銀のように、写真工程で使う単一物質であっても、部注1の優先関係により 2852 側に分類されるとされています。
  • この部注で他章に飛ぶ代表パターン
    • 3707候補でも、2843-2846/2852等(貴金属塩や特定化合物など)に該当する場合はそちらへ。

3-2. この類の類注 Chapter Notes

  • ポイント要約
    • 類注1:くずは含まない(廃フィルム等は第37類の外)。
    • 類注2:「写真用」の定義。HS2022では「感光性に加え感熱性を含む」趣旨が明示されています。
  • 用語定義
    • 「写真用」:光や放射線で、感光性(感熱性を含む)表面に可視像を形成するための工程に関係するもの。
  • 除外規定
    • くず:7112 または材質別(3915、4707等)。

4. 類注が分類に与える影響 どこでコードが変わるか

  • 影響ポイント1:くず除外で第37類から外れる
    • 何を見れば判断できるか:新品/製品か、廃棄・回収目的か、貴金属回収用途か。
    • 現場で集める証憑:廃棄証明、回収委託契約、銀含有の有無(分析結果やSDS)、写真(状態確認)。
    • 誤分類の典型:廃フィルムを「現像済みフィルム」として3705/3706に申告してしまう。
  • 影響ポイント2:写真用の定義に感熱性が含まれる
    • 何を見れば判断できるか:材料の感度特性(光感度/熱感度/レーザー露光など)、用途(画像形成工程)。
    • 現場で集める証憑:メーカー仕様書、工程図、技術資料(例:赤外レーザー感光性プレートが「感熱性プレート」と呼ばれる旨の記載など)。
    • 誤分類の典型:「感熱=写真ではない」と思い込み、別章(48類の紙、39類のフィルム等)へ寄せてしまう。

5. 分類でよくある間違い 原因→対策

  1. 間違い:未露光の写真印画紙を第48類の紙として申告
    • なぜ起きる:見た目が紙で、感光性の有無を確認しない。
    • 正しい考え方:感光性の紙・板紙・繊維で未露光は3703。非感光性のコート紙は48類側。
    • 予防策:仕様書で「sensitised / photosensitive」の有無を確認。社内質問例「これは露光して像が出る材料ですか」。
  2. 間違い:露光済み未現像フィルムを3705/3706に入れる
    • なぜ起きる:「露光済み=完成」と誤解。
    • 正しい考え方:露光済みで現像していない媒体は3704。
    • 予防策:工程のどこで輸出入するか(現像前か後か)を工程表で固定。
  3. 間違い:現像済みの写真プリントを第37類のまま申告
    • なぜ起きる:写真=37類、という連想。
    • 正しい考え方:現像済みの写真紙・写真布は49類または11部。
    • 予防策:製品が「最終の画像出力物(プリント)」かどうかを確認。写真(現物)添付。
  4. 間違い:ロール状フィルムを3701(シート)にする
    • なぜ起きる:品名に「フィルム」としか書かれていない。
    • 正しい考え方:シート状(平面状)=3701、ロール状=3702(紙/繊維ベースは3703)。
    • 予防策:梱包形態(巻取り・芯)と寸法を必ず取得。
  5. 間違い:フォトレジストを3824等で処理
    • なぜ起きる:半導体材料なので「その他化学品」に寄せがち。
    • 正しい考え方:日本の解説では、フォトリソグラフィ用フォトレジストを3707.90に含む旨の説明があります。
    • 予防策:用途(photolithography)、組成(樹脂+増感剤+溶媒等)を仕様書で確認。
  6. 間違い:写真用現像剤の原料単体(バルク)を3707にする
    • なぜ起きる:「写真で使う=3707」と短絡。
    • 正しい考え方:未混合の単一物質は、原則として28類/29類等(ただし使用量包装や小売用で直ちに使用可能等の条件を満たす場合は3707になり得る)。また部注で優先される見出し(2843-2846/2852等)に注意。
    • 予防策:SDSで「単一物質か混合物か」、包装(1回分か)を確認。
  7. 間違い:映画用フィルム(現像済み)を3705にする
    • なぜ起きる:静止写真と映画の区別が曖昧。
    • 正しい考え方:上映用の映画フィルムは3706。
    • 予防策:用途を確認(上映用/編集用/静止画像用)、フィルム規格(幅・サウンドトラック)。
  8. 間違い:現像済みで直ちに印刷に使えるプレートを3705にする
    • なぜ起きる:「写真製版」=37類の思い込み。
    • 正しい考え方:印刷用として直ちに使用できるプレートは8442へ。
    • 予防策:出荷形態(刷版として完成品か)を工場工程図で確認。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR 品目別規則 の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。特に第37類は「媒体」か「化学調製品」かで章や項が変わり、CTH系ルールの判定が大きく変わり得ます。
  • よくある落とし穴
    • 最終製品(例:フォトレジスト 3707)と原材料(樹脂・溶媒等)のHSが別章で、工程評価がずれる。
    • 3704/3705(現像前後)を取り違え、PSRの対象品目が変わる。

6-2. 協定が参照するHS版の違い HS2012/2017/2022のズレ

  • 日本税関のPSR検索でも「協定ごとに採用HS版が異なる」ため、協定が採用するHSで検索する必要がある旨が明示されています。
  • HS2022と協定参照HSがズレる場合の注意
    • 輸入申告は原則最新のHSで行いつつ、原産地規則(PSR)は協定参照HSで判定、という二重管理が起きます。
  • トランスポジション 旧→新対応 の扱い方 一般論
    • WCO相関表などで旧版と新版の対応を確認し、「どのコードに読み替えるか」を社内ルール化します。

6-3. 実務チェック 原産性判断に必要なデータ

  • 用意すべき基本データ
    • BOM、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算前提
  • 証明書類・保存要件 一般論
    • 協定・運用ガイドに従い、原産性を裏づける資料(購買証憑、製造記録、配合表等)を保存

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い 違うことになった根拠

7-1. 変更点サマリー 必須 表

比較変更タイプ該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正 / 定義の明確化第37類注2「写真用」の定義で、感光性に加え感熱性を含む趣旨が明示感熱性プレート等の位置づけが明確化。仕様書で感熱/レーザー露光などの特性確認がより重要
HS2017→HS2022変更なし3701〜37074桁・6桁の構成自体は同一コード番号の付け替えは原則不要。状態・形状・材質での従来分岐は継続

7-2. 違うことになった根拠 必須

  • 参照した根拠資料
    • WCOのHS2017 第37類の注2文言(感光性のみ)と、HS2022 第37類の注2文言(感光性に加え感熱性を含む趣旨)を比較しました。
    • 日本税関の関税率表解説でも、赤外線レーザー感光性プレートが「感熱性プレート」と呼ばれる旨が説明されており、実務上この論点が出ることを確認しました。
    • WCOのHS2017-2022相関表は「新版・旧版の対応」を示す資料ですが、第37類の6桁番号の新設・削除・分割統合は少なくとも相関表の対象として現れていないことから、番号変更はない前提で整理しました。
  • 以上より、HS2017→HS2022では「定義の明確化(注の文言修正)」が主で、3701〜3707の番号体系自体は維持と判断しました。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第37類は長期的には大枠が安定していますが、過去版では一部6桁の再編があります(例:3702、3705)。

版の流れ主な追加・削除・再編旧コード→新コードの考え方
HS2007→HS20123702の6桁が再編(例:3702.51や3702.91-3702.95等の体系から、3702.52-3702.56、3702.96-3702.98等へ)ロールフィルムは「幅・長さ・用途」の条件で新版側の該当号へ読み替えが必要
HS2012→HS20173705.10(オフセット用)/3705.90 が 3705.00 に統合「現像済みフィルム/プレート(映画用以外)」という束ね方に変更。用途だけでなく、8442との境界確認がより重要
HS2017→HS2022第37類注2の文言に感熱性を含む趣旨を明示。番号変更はなし感熱性プレート等の資料確認を強化。コード自体は原則そのまま

9. 類注違反による通関トラブル 想定事例

  • 事例名:廃フィルムを「現像済みフィルム」として申告
    • 誤りの内容:第37類注1(くず除外)に抵触
    • 起きやすい状況:回収品・返品・製造端材を「製品名」で申告
    • 典型的な影響:修正申告、検査強化、場合により廃棄物・リサイクル関連の追加確認
    • 予防策:取引実態(売品か廃棄か)をインボイス備考に明記、写真と契約書添付
  • 事例名:感光紙を普通紙で申告
    • 誤りの内容:3703の範囲認定ミス(感光性の確認不足)
    • 起きやすい状況:品名が「paper」「coated paper」など曖昧
    • 典型的な影響:追加納税や原産地判定のやり直し
    • 予防策:仕様書に「sensitised/photosensitive」の記載を添付
  • 事例名:フォトレジストをその他化学品で申告
    • 誤りの内容:3707.90に含まれる旨の扱いを見落とし
    • 起きやすい状況:半導体材料として購買部門が化学系の別分類を想定
    • 典型的な影響:訂正申告、統計誤り、EPAのPSR再確認
    • 予防策:用途(photolithography)・成分(樹脂/増感剤/溶媒)を提出
  • 事例名:完成刷版を3705で申告
    • 誤りの内容:解説上、直ちに印刷に使用できるプレートは8442へ
    • 起きやすい状況:CTP工程のどの段階かが貿易書類に反映されない
    • 典型的な影響:分類差戻し、納期遅延
    • 予防策:工程図で「刷版完成」か「感光板」かを明確化

10. 輸出入規制事項 コンプライアンス観点

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生:一般に第37類そのものが直ちに検疫対象とは限りませんが、3707の化学品は別法令で管理対象になり得ます(SDS/表示等)。
    • ワシントン条約等:通常は該当しにくい類です(個別取引で確認)。
    • 安全保障貿易管理:貨物・技術がリスト規制またはキャッチオール規制に該当するかの確認が必要です(特に化学品・先端材料は用途確認が重要)。
    • その他の許認可・届出
      • 毒物及び劇物取締法:輸入・販売等の業態により登録・表示など規制があり得ます。
      • 消防法 危険物:溶剤を含む化学品(例:フォトレジスト等)が危険物に該当する場合、保管・運搬・数量管理が必要になり得ます。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
    • 安全保障貿易管理:経済産業省(リスト規制/キャッチオール)
    • 毒劇法:厚生労働省(毒物及び劇物取締法)
    • 消防法危険物:消防庁(危険物の考え方・法令)
    • SDS/ラベル:厚生労働省(安衛法のSDS・ラベル制度等)
  • 実務での準備物 一般論
    • 3707:SDS、成分表、危険物該当性(消防法/IATA等)、毒劇法該当性、用途説明、包装形態(使用量か)
    • 媒体(3701-3706):仕様書(幅・長さ・材質)、未露光/露光/現像の状態が分かる資料、用途(映画/静止/医療)

11. 実務チェックリスト 分類→通関→原産地→規制

  • 分類前チェック 製品情報の収集
    • 媒体:未露光/露光/現像、シート/ロール、ベース材質、寸法(幅・長さ)、用途(静止/映画/X線/製版)
    • 化学品:混合物か単一物質か、写真工程に直接使うか、使用量包装か、小売用で直ちに使用可能か、SDS/成分
  • 分類後チェック 注・除外・境界の再確認
    • くずに該当しないか(第37類注1)
    • 現像済み写真紙を37類に残していないか(49類/11部へ)
    • 3705と8442、3707と28・29類の境界を再確認
  • 申告前チェック インボイス品名、数量単位、補足資料
    • 品名は「photographic film in rolls, sensitised, unexposed」等、状態を入れる
    • 補足資料:仕様書、SDS、工程図、写真
  • FTA/EPAチェック PSR・材料・工程・保存
    • 協定参照HS版でPSR確認(HS版ズレに注意)
    • BOM・原価・工程記録・非原産材料HSの整備
  • 規制チェック 許可/届出/検査
    • 3707:毒劇法、消防法危険物、SDS/ラベル、輸出管理(用途・需要者)

12. 参考資料 出典

  • WCO(HS条文・相関表等)
    • WCO HS2022 Chapter 37(条文)参照日 2026-02-21
    • WCO HS2017 Chapter 37(条文)参照日 2026-02-21
    • WCO HS2012 / HS2007 Chapter 37(旧版比較用)参照日 2026-02-21
    • WCO HS2017–HS2022 Correlation Tables(相関表案内)参照日 2026-02-21
    • WCO HS2022 Section VI Notes(第6部部注 英文)参照日 2026-02-21
  • 日本 税関・公的機関のガイド
    • 税関 関税率表解説 第37類(実務解釈)参照日 2026-02-21
    • 税関 第6部 部注(日本語)参照日 2026-02-21
    • 税関 関税率表の解釈に関する通則(GIRの日本語解説)参照日 2026-02-21
    • 税関 品目別原産地規則PSR検索 注意事項(協定ごとのHS版)参照日 2026-02-21
  • 規制(日本)
    • 厚生労働省 毒物及び劇物取締法の規制概要 参照日 2026-02-21
    • 消防庁 危険物に関する説明・法令抜粋 参照日 2026-02-21
    • 経済産業省 安全保障貿易管理 リスト規制/キャッチオール 参照日 2026-02-21
    • 厚生労働省 安衛法 SDS・ラベル制度/GHS関連 参照日 2026-02-21

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第36類:火薬類、火工品、マッチ、発火性合金及び調製燃料(Explosives; pyrotechnic products; matches; pyrophoric alloys; certain combustible preparations)

用語の統一:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 火薬(推進薬。銃用・ロケット用などの推進目的のもの):3601
    • 調製した爆薬(推進薬以外の爆薬。ダイナマイト等の「混合物」としての爆薬):3602
    • 導火線・導爆線・雷管等(爆破の附属品):3603(HS2022では用途別に6桁が細分化)
    • 花火、信号用フレア、霧中信号用品などの火工品:3604
    • マッチ(火工品を除く):3605
    • フェロセリウム(発火石)や、一定の「調製燃料」(固形燃料・小型ライター用燃料・付け木等):3606
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 化学的に単一の化合物(原則):第28類または第29類へ(例:未調製の硝酸塩類、単一化合物の爆発性物質など)。ただし類注2(a)(b)に該当する「燃料用途の成形品」等は例外で第36類に残る
    • ニトロセルロース(綿火薬などとして言及されがちでも、物としてはプラスチック系の見出しへ):39.12
    • 写真用のせん光材料:37.07
    • 化学ルミネセンス(いわゆるケミカルライト等):38.24
    • 爆薬入りの空包、銃砲弾用の信管・カートリッジケース等:93.06
    • ライター本体・ライター部品:96.13(3606.10は「補充燃料」側の話で、ライター本体ではありません)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • 化学的に単一の化合物か、調製した混合物・成形品か(類注1・2が分岐点)
    • 3606.10に当たるか(ライター補充用の容器、かつ容量300立方センチメートル以下)
    • 3604.10(花火)か3604.90(信号用等のその他の火工品)か(用途・設計思想で分岐)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 火薬類は日本では輸入許可・承認等の法規制が絡みやすく、HSの誤りが許認可・危険品輸送・保険・保管要件に波及しやすいです(通関の遅延や差止め、返送・廃棄リスクも実務上は無視できません)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(見出し+注で決める):第36類は「類注」が強い類です。特に、類注1(単一化合物の原則除外)と類注2(3606の範囲を限定)が、分類先を大きく左右します。
    • GIR6(6桁の決定):HS2022では3603が6桁で細分化されたため、3603を使うときはGIR6で確実に落とし込みが必要です。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 用途:推進(3601)か、破壊・爆破(3602)か、信号・照明・娯楽(3604)か
    • 物の状態:単一化合物(28/29へ行きやすい)か、混合物・調製品(36に入りやすい)か
    • 形状・包装:固形燃料が「タブレット状」等に成形されているか、ライター補充用の小型容器か(3606の分岐)
    • 規制・危険物情報:SDS、UN番号、危険物クラスは、HSの根拠資料としても「説明の一貫性」を作るのに有効です(ただしUN分類とHSは別体系なので、そのまま自動一致はしません)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:その物は「爆発・発火・燃焼効果」を目的とした製品か、またはそれに直接使われる附属品か
    • はい:Step2へ
    • いいえ:第36類以外(例:化学ルミネセンスは38.24、写真用フラッシュは37.07など)
  • Step2:化学的に単一の化合物として提示されているか(混合物ではないか)
    • はい:原則として第28類または第29類(ただし、類注2(a)(b)に当てはまる燃料用途の成形品・小型容器入り燃料は例外で3606)
    • いいえ(混合物・調製品・完成品):Step3へ
  • Step3:4桁(項)を当てる
    • 推進薬:3601
    • 調製爆薬:3602
    • 導火線・雷管等:3603
    • 火工品(花火・信号等):3604
    • マッチ:3605
    • フェロセリウム、固形燃料、ライター補充燃料、付け木等:3606
  • Step4:6桁(号)を当てる(分岐があるのは主に3603・3604・3606)
    • 3603:用途別(導火線、導爆線、火管、雷管、イグナイター、電気雷管)
    • 3604:花火(3604.10)か、その他の火工品(3604.90)
    • 3606:小型容器入りのライター補充燃料(3606.10)か、それ以外(3606.90)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第36類と第28/29類:単一化合物か、調製品か(類注1・2)
    • 第36類と第93類:弾薬・空包・信管等(93.06)との線引き
    • 第36類と第37類:写真用フラッシュ(37.07)
    • 第36類と第38類:化学ルミネセンス、使い捨てカイロ等(38.24)
    • 第36類と第96類:ライター本体・部品(96.13)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

原則:第36類の4桁見出しは少ないため全列挙します。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
3601火薬(推進薬)黒色火薬、無煙火薬、ロケット推進薬など推進目的の火薬。単一化合物は原則28/29へ。ニトロセルロースは39.12に飛びやすい点に注意
3602爆薬(調製したもの、推進薬以外)ダイナマイト、ANFO等の「混合物」としての爆薬単一化合物の爆発性物質は28/29へ(例:単体の硝酸塩など)。「調製(混合・感度調整等)」が鍵
3603導火線・導爆線・火管・雷管・イグナイター・電気雷管導火線、導爆線、雷管(電気雷管含む)などHS2022で6桁細分化(3603.10〜3603.60)。弾薬の構成品は93.06に行き得る
3604花火、信号用フレア等の火工品花火、信号用ロケット、霧中信号、玩具用雷管(ロールキャップ等)3604.10(花火)と3604.90(その他)。写真用フラッシュは37.07、化学ルミネセンスは38.24
3605マッチ(3604の火工品を除く)木軸マッチ、紙軸マッチ等ベンガルマッチ等の火工品は3604。用途・構造で見極め
3606フェロセリウム等の発火性合金、及び類注2の可燃性材料の製品発火石、固形燃料タブレット、ライター補充燃料(小型缶)、付け木類注2で範囲が限定。3606.10は「ライター補充用」かつ「300cm3以下」。ライター本体・部品は96.13

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件(この類でよく効く軸)
    • 3603:機能(導火線か、導爆線か、雷管か等)
    • 3604:用途(娯楽用の「花火」か、信号・救難等の「その他」か)
    • 3606:包装・用途(ライター補充用の容器か、固形燃料の成形品か、付け木等か。特に300cm3要件)
  • 3603(HS2022)の6桁区分(業務での見分けポイント)
号(6桁)名称の要旨典型例判断に必要な情報(例)
3603.10導火線時間差で燃焼して火炎を伝える導火線構造(外被+心薬)、用途(雷管へ火炎を伝達)
3603.20導爆線爆発を伝えるコード(detonating cord)中心薬(爆薬)を持つか、爆発伝達用途か
3603.30火管打撃等で着火する小型点火具(percussion caps)製品の作動方式(打撃着火か等)
3603.40雷管(電気雷管除く)起爆用キャップ(detonating caps)電気式か否か、用途(起爆)
3603.50イグナイター点火具(igniters)何を点火する部品か、電気雷管との区別
3603.60電気雷管電気式の起爆具(electric detonators)電気点火・信号線等の仕様
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 3603.10(導火線)と3603.20(導爆線)
      • どこで分かれるか:火炎伝達(燃焼)か、爆発伝達(起爆)か
      • 判断に必要な情報:用途、構造、SDS、製品仕様書(「爆発を伝える」記載の有無)
      • 典型的な誤り:ケーブル状だから導爆線と決め打ちする(実は導火線)
    2. 3603.40(雷管)と3603.60(電気雷管)
      • どこで分かれるか:電気式で起爆するか
      • 判断に必要な情報:電気点火の有無、リード線、点火方式の説明資料
      • 典型的な誤り:商品名に「雷管」とあるだけで電気式の判定をしない
    3. 3604.10(花火)と3604.90(その他の火工品)
      • どこで分かれるか:娯楽用の花火か、信号・救難・霧中信号等の用途か
      • 判断に必要な情報:用途(玩具・娯楽か、救難信号か)、取扱説明、認証情報、カタログ
      • 典型的な誤り:発光するから全部「花火」としてしまう(信号用フレア等が混在)
    4. 3606.10(ライター補充燃料)と3606.90(その他)
      • どこで分かれるか:容器が「ライターの充てんに使用する種類」かつ「300cm3以下」か
      • 判断に必要な情報:容器容量(仕様・表示)、用途表示(refill/for lighters 等)、販売形態
      • 典型的な誤り:小型ガス缶だから3606.10とする(用途がライター補充ではない/容量要件を満たさない)
    5. 3604(火工品)と38.24(化学ルミネセンス等)
      • どこで分かれるか:燃焼・爆発で光るか、化学反応(ルミネセンス)で光るか
      • 判断に必要な情報:発光原理、SDS、構造(火薬の有無)
      • 典型的な誤り:光る棒状製品を花火扱いにする

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第36類は第6部(化学工業品等)の中にあり、部注には「セット」や「小売用包装」など、化学品でよく出る論点が整理されています。特に、複数の成分がセットで提示され混合して使うタイプは、一定条件のもと「混合後の製品」を基準に分類する考え方が示されています。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 火薬類そのものというより、化学品全般に共通する注意点ですが、同梱セット・小分け包装・用途表示が分類根拠になり得ます。第36類では、3606の「燃料用途の成形品」や「小型容器入り燃料」がまさに包装・形状で範囲が決まるため、部注の考え方(包装や提示方法が分類に影響し得る)を意識しておくと整理が楽になります。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第36類の外形に見えても、実質が写真用フラッシュ(37.07)や化学ルミネセンス(38.24)なら、その見出しへ行きます(除外の考え方の具体例として有用です)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 類注1:この類は、原則として「化学的に単一の化合物」を含みません(例外は類注2(a)(b)に該当するもの)。つまり、単体化学品は28/29へ行きやすく、36類は「混合物」や「完成品」に寄りやすい、という大原則です。
    • 類注2:3606の「可燃性材料の製品」を、(a)固形燃料等、(b)小型ライター用燃料(300cm3以下)、(c)付け木等に限定しています。3606に入るかどうかは、この限定に当たるかが全てです。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 3606の「可燃性材料の製品」は、類注2に列挙される範囲に限る、という定義運用になります(列挙外は「可燃性」でも原則対象外)。
    • 300立方センチメートル(300cm3)要件は、容器容量で客観的に判断します。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 写真用のせん光材料:37.07
    • 化学ルミネセンス製品:38.24
    • 弾薬関連(空包、信管、カートリッジケース等):93.06
    • ライター本体・部品:96.13
    • ニトロセルロース(綿火薬など):39.12

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:単一化合物か、調製品か(類注1)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 成分表(単一物質か混合か)
      • SDS(化学品名、組成、混合物区分)
      • 製造工程(混合・感度調整・成形の有無)
    • 現場で集める証憑:
      • SDS、仕様書、COA(分析証明)、配合表、カタログ
    • 誤分類の典型:
      • 爆発性があるという理由だけで3602へ入れてしまう(実際は単一化合物で28/29へ)
  • 影響ポイント2:3606の範囲限定(類注2)と「300cm3」要件
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 用途表示(ライター補充用か)
      • 容器容量(300cm3以下か)
      • 形状(固形燃料がタブレット等か)
    • 現場で集める証憑:
      • 容器仕様(寸法・容量)、ラベル、外箱表示、製品写真、SDS
    • 誤分類の典型:
      • 小型の燃料缶というだけで3606.10としてしまい、容量要件や用途要件を落とす
  • 影響ポイント3:3604の「花火」か「その他火工品」か
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 使用目的(娯楽用か、救難・信号用か)
      • 取扱説明、販売先、法規・規格上の区分(可能な範囲で)
    • 現場で集める証憑:
      • カタログ、用途説明、製品写真、輸送・保管区分資料(危険品情報)
    • 誤分類の典型:
      • 「発光=花火」で3604.10に固定してしまい、信号用フレア等を混在させる

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:単一化合物の爆発性物質を3602(爆薬)に入れる
    • なぜ起きる:名称が「爆薬」っぽい、危険物だから36類だと思い込む
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):類注1により、単一化合物は原則として36類に入らず、28/29へ行きます(例外は3606の一部)。
    • 予防策(確認すべき資料/社内で聞くべき質問例):
      • SDSで「単一物質」か「混合物」かを確認
      • 社内質問例:配合して感度調整していますか。成形して燃料用途ですか。
  2. 間違い:綿火薬(ニトロセルロース)を3601(火薬)に入れる
    • なぜ起きる:「火薬」という用途イメージで分類してしまう
    • 正しい考え方:ニトロセルロースは36類から除外され、39.12が示されています。
    • 予防策:
      • 製品が「ニトロセルロース樹脂」なのか「推進薬として調製済み」なのかを分けて資料化
  3. 間違い:弾薬・空包・信管などを3603/3602に入れる
    • なぜ起きる:中に火薬が入っているので同じと考える
    • 正しい考え方:弾薬等は93.06へ除外され得ます(日本の解説でも明示)。
    • 予防策:
      • 社内質問例:最終用途は弾薬(カートリッジ)ですか。薬室・ケースを伴いますか。
  4. 間違い:玩具用の雷管(ロールキャップ等)を3605(マッチ)に入れる
    • なぜ起きる:「点火」「小型」で近いと感じる
    • 正しい考え方:玩具用雷管は火工品として3604に含まれる例が示されています。
    • 予防策:
      • 製品がマッチか火工品か(燃焼の効果・構造)を写真付きで整理
  5. 間違い:写真用フラッシュ材料を3604に入れる
    • なぜ起きる:「せん光=火工品」と短絡する
    • 正しい考え方:写真用のせん光材料は37.07へ除外されます。
    • 予防策:
      • 社内質問例:写真撮影・撮影機材向けの消耗材ですか。
  6. 間違い:ケミカルライト(化学ルミネセンス)を3604に入れる
    • なぜ起きる:「光る=火工品」と思い込む
    • 正しい考え方:化学ルミネセンス現象で光る製品は38.24へ除外されます。
    • 予防策:
      • 発光原理(燃焼か化学反応か)を仕様書で確認
  7. 間違い:使い捨てカイロを3606(調製燃料)に入れる
    • なぜ起きる:「熱を出す=燃料」と捉える
    • 正しい考え方:光や炎を出さない発熱反応で熱を生じる使い捨てカイロは38.24へ除外されます。
    • 予防策:
      • 「燃焼」か「酸化等の発熱反応」かを確認
  8. 間違い:ライター補充燃料のつもりで、容量要件を見ずに3606.10に入れる
    • なぜ起きる:商品カテゴリ名だけで分類してしまう
    • 正しい考え方:3606.10は容器容量300cm3以下に限定されています。
    • 予防策:
      • 容器容量(ml・cm3)を必ず取得し、資料に残す
      • 社内質問例:容器容量は何mlですか。用途はライター補充に限定ですか。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。HSがずれると、適用すべきPSR(CTH/CTSH、RVC、工程基準など)の特定自体がずれ、原産性判断が崩れます。
  • この類は3603がHS2022で細分化されたため、協定が旧版HSを参照している場合、PSR側のコード体系に戻して評価する必要が出やすい類です。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 日本税関の公表資料では、協定ごとに参照HS版が異なることが明示されています(例):
    • CPTPP:HS2012
    • 日EU・EPA、日英協定、日米貿易協定:HS2017
    • RCEP:2022年12月31日まではHS2012、2023年1月1日以降はHS2022
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
    • 日本の輸入申告では最新の国内コード(基礎はHS2022)を使う一方、PSRや譲許表は協定の参照HS版で書かれているため、同じ「製品」でもコードの見え方が変わります。
    • 第36類では、3603が典型で、HS2017では3603.00だったものがHS2022では3603.10〜3603.60に分かれています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • まず協定が参照するHS版でPSRを確認
    • 次に、WCOの相関表(correlation table)等で新旧コードの対応を把握
    • 社内のBOM・原価計算・工程記録の「品目番号」は、協定版HSと申告用HSの両方の管理ができるようにしておくと、監査・事後確認に強くなります。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 第36類は規制産品になりやすいので、原産地資料に加えて、許認可・SDS・危険物情報もセットで整備すると通関が安定します(分類根拠の説明にもなります)。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022分割(6桁細分化)3603.00 → 3603.10/20/30/40/50/603603が用途別に細分化協定参照HS版とのズレが発生しやすい。PSR調査・統計・輸出管理での粒度が上がる

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料(相関表、WCO条文、各国税関の解説、協定付属書など)
    • WCO HS2017のChapter 36では、3603は3603.00の単一号でした。
    • WCO HS2022のChapter 36では、3603が3603.10〜3603.60に細分化されています。
    • WCOのHS2022↔HS2017相関表(Table I)でも、3603.10〜3603.60が「ex 3603.00」からの細分化であること、及び細分化の趣旨(監視・統制の目的)が示されています。
  • “どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか”
    • 上記WCO一次資料(HS2017章別表、HS2022章別表、相関表)を突合し、3601/3602/3604/3605/3606の構造が同一である一方、3603のみ6桁が新設された点を変更点と判断しました。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第36類は、HS2007→HS2012→HS2017→HS2022の流れで見ると、見出し構造の大枠は維持され、HS2022で3603が6桁細分化されたのが目立つ変更です。

主要論点旧コード→新コード(または行き先)
HS20073603は3603.003603.00(継続)
HS20123603は3603.003603.00(継続)
HS20173603は3603.003603.00(継続)
HS20223603を用途別に細分化3603.00 → 3603.10/20/30/40/50/60

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):ライター補充燃料の容量要件見落とし
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):3606.10の「300cm3以下」要件を確認せず申告(類注2(b))
    • 起きやすい状況:仕入先が複数サイズを扱っており、社内マスターが一括で3606.10になっている
    • 典型的な影響:コード修正、税率差・規制照合のやり直し、輸入許可手続きの遅延
    • 予防策:容器容量(仕様・写真)を品番ごとに保存し、マスターで条件管理する
  • 事例名:化学ルミネセンス製品を火工品として申告
    • 誤りの内容:3604に入れたが、除外(38.24)に該当
    • 起きやすい状況:商品名が「light stick」「glow stick」で発光するため花火扱いした
    • 典型的な影響:規制照合の誤り、危険品区分の誤前提、検査・補足資料要求
    • 予防策:発光原理と火薬の有無をSDSで確認
  • 事例名:単一化合物の爆発性物質を3602に入れてしまう
    • 誤りの内容:類注1の原則(単一化合物は除外)を見落とし
    • 起きやすい状況:危険物ラベルだけで分類を決める
    • 典型的な影響:税番差替え、規制・許認可の前提が崩れる
    • 予防策:混合物か単一物質かを必ず書面で確定
  • 事例名:玩具用雷管をマッチとして申告
    • 誤りの内容:3605ではなく3604側の火工品
    • 起きやすい状況:小売商品で外観が似ている
    • 典型的な影響:分類補正、危険品取り扱いの再確認
    • 予防策:構造(火工剤の有無)と用途(玩具の効果)で整理

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • 火薬類取締法:火薬類の輸入には許可が必要となる場合があります(法令上の規定・運用の確認が必須)。
    • 経済産業省(貿易管理)側の手続:火薬類の輸入に関する承認・申請手続の案内が公表されています。
    • 税関で確認する他法令:火薬類取締法が輸入関係他法令として整理されています(税関での確認対象になり得る)。
  • 記載の分類軸(該当がある項目のみ書く)
    • その他の許認可・届出:
      • 火薬類:用途(産業用・玩具用等)や品目により、所管官庁・都道府県等で手続が分かれ得るため、輸入前に必ず行政窓口・通関業者と手続確認が必要です。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 経済産業省(火薬類の輸入手続案内)
    • e-Gov法令検索(火薬類取締法、施行規則)
    • 税関(輸入関係他法令の案内)
  • 実務での準備物(一般論):
    • HS分類根拠:仕様書、SDS、製品写真、用途説明、包装仕様(容量含む)
    • 規制対応:許可申請に必要な書類、輸送危険物情報(UN番号等)、保管・輸送計画

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 製品の機能(推進・爆破・信号・娯楽・点火・燃料)
    • 組成(単一物質か混合物か)、SDS入手
    • 形状・包装(固形燃料の形、ライター燃料の容器容量、ラベル表示)
    • 製品写真(外観、ラベル、危険表示)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注1・2を満たすか(単一化合物、3606の限定範囲)
    • 93.06、37.07、38.24、96.13等の除外に該当しないか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名を用途が分かる表現に(例:signal flare / fireworks / lighter refill fuel 等)
    • 数量単位(個数・重量など)を実態に合わせる
    • 税関照会に備えて、SDS・仕様書・写真を即時提出できる状態に
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS版を確認(CPTPP=HS2012等)
    • HS2022申告コードと協定HSコードの対応(3603は特に注意)
    • 原産資料(BOM、工程、原価、保存)を整備
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 火薬類取締法等の許可要否を、品目・用途・数量で確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022 Chapter 36(0636_2022E)参照日:2026-02-21
    • WCO HS Nomenclature 2017 Chapter 36(0636_2017E)参照日:2026-02-21
    • WCO HS Nomenclature 2012 Chapter 36(0636-2012E)参照日:2026-02-21
    • WCO HS Nomenclature 2007 Chapter 36(0636_2007E)参照日:2026-02-21
    • WCO Correlation Table(HS2022↔HS2017、Table I)参照日:2026-02-21
    • WCO HS2022 Section VI Notes(0600_2022E)参照日:2026-02-21
  • 日本(税関・公的機関)のガイド
    • 税関:関税率表解説 第36類(36r.pdf)参照日:2026-02-21
    • 税関:EPA原産地規則マニュアル(協定参照HS版の一覧を含む)参照日:2026-02-21
    • 税関:税関で確認する輸入関係他法令の概要(火薬類取締法の整理)参照日:2026-02-21
  • 日本(所管省庁・法令)
    • 経済産業省:火薬類の輸入(手続案内)参照日:2026-02-21
    • e-Gov法令検索:火薬類取締法 参照日:2026-02-21
    • e-Gov法令検索:火薬類取締法施行規則 参照日:2026-02-21

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第35類:たんぱく系物質、変性でん粉、膠着剤及び酵素(Albuminoidal substances; modified starches; glues; enzymes)

用語の統一:**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**です。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • カゼイン/カゼイナート(乳由来たんぱく質・塩)や、(条件により)カゼイングルー(3501)
    • 卵白アルブミンミルクアルブミン、(条件により)ホエイたんぱく濃縮物(WPC)(3502)
    • ゼラチン(長方形/正方形シートを含む)、アイシングラス等(3503)
    • ペプトン、その他のたんぱく質系物質(他に該当しないもの)や皮粉(3504)
    • デキストリン/変性でん粉、およびでん粉系の膠着剤(3505)
    • 調製接着剤(工業用接着剤・小売用接着剤1kg以下を含む)(3506)、酵素・調製酵素(3507)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 酵母 → 第21類(21.02)
    • (治療用・予防用に調製した)血液分画物や医薬品 → 第30類(※血液アルブミンでも用途・調製状態で分岐)
    • 洗浄用途の酵素系調製品(酵素入り洗剤など) → 第34類(例:洗浄・浸せき用)
    • なめし前処理用の酵素系調製品 → 第32類(32.02)
    • 硬化たんぱく質(硬化カゼイン/硬化ゼラチン等) → 第39類(39.13)
    • (定義を超える)でん粉分解物:還元糖が乾燥状態で10%超 → 第17類(17.02)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「ホエイたんぱく濃縮物」:乾燥基準で80%超かどうか(3502か、別章か)
    2. 「デキストリン」:還元糖(乾燥基準)が10%以下かどうか(3505か17.02か)
    3. 接着剤:小売用(1kg以下)か/2液セットか/用途が“接着”か(3506に寄るか、他章か)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 食品原料(WPC、ゼラチン、酵素、変性でん粉)は、関税だけでなく、**輸入手続(食品衛生・動物検疫)**や、**EPAのPSR(品目別規則)**にも連鎖しやすいです。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(見出し+注で決める):第35類は「類注(除外規定・定義)」が強いです。例えば、酵母は21.02、洗浄用途の酵素系調製品は第34類に飛びます。
    • GIR6(号=6桁の比較):3502(卵白の乾燥/その他)や3506(小売用1kg以下/その他)など、6桁で要件が明確なものがあります。
    • (重要)Section VI 注2・注3の使いどころ
      • 注2:小売用・計量単位で販売などの理由で35.06に該当する場合、他の見出しではなく35.06に固定する趣旨です。
      • 注3:2液型接着剤(樹脂+硬化剤)のように、混合して製品(Section VI/VIIの物品)を得るセットは、条件を満たすと得られる製品の見出しで分類します。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 成分(由来:乳/卵/魚/植物、たんぱく含量、糖含量、添加物)
    • 状態(乾燥/液状/シート/成形品、硬化の有無)
    • 用途(食品原料、培地、洗浄、なめし、接着、写真等)
    • 販売形態(小売包装、セット品、正味重量)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:物品が「たんぱく系物質/変性でん粉/接着剤/酵素(または調製品)」かを確認
  • Step2:第35類注の除外に当たらないか確認(酵母、医薬品、洗浄用途の酵素系調製品、硬化たんぱく質 等)
  • Step3:該当しそうな**項(3501〜3507)**を当てる
    • 乳たんぱく(カゼイン)→3501
    • アルブミン(卵白、血清、ミルク、WPC80%超)→3502
    • ゼラチン/動物にかわ→3503
    • ペプトン/その他たんぱく系物質/皮粉→3504
    • 変性でん粉/デキストリン/でん粉系のり→3505
    • 調製接着剤/小売用1kg以下接着剤→3506
    • 酵素/調製酵素→3507
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 3502(WPC80%超)↔ 04.04(WPC80%以下)
    • 3505(デキストリン)↔ 17.02(還元糖10%超)
    • 3507(酵素)↔ 第34類(酵素系洗浄調製品)/32.02(なめし前処理用酵素調製品)
    • 3503(ゼラチンシート)↔ 96.02(切抜き・成形品)/49類(印刷物)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:第35類は4桁見出しが少ないため全列挙します。
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
3501カゼイン、カゼイナート、カゼイン誘導体、カゼイングルー酸カゼイン、ナトリウムカゼイナート、工業用カゼイン糊小売用1kg以下の「接着剤」としての包装なら3506へ寄りやすい/硬化カゼインは39.13へ
3502アルブミン類(WPC80%超を含む)、アルブミナート等乾燥卵白、血清アルブミン(非治療用)、WPC(乾燥基準80%超)WPC80%超がポイント(計算方法も)/治療・予防用に調製した血液アルブミンは30類へ
3503ゼラチン、ゼラチン誘導体、アイシングラス、動物性にかわ(カゼイン糊除く)食品用ゼラチン、写真用ゼラチン、魚膠シート形状(長方形/正方形)/切抜き・成形品は96.02へ、印刷業のゼラチン製品は49類へ
3504ペプトン等、その他たんぱく質系物質(他に該当しないもの)、皮粉ペプトン(培地用)、コラーゲンペプチド原料、皮粉(タンニン定量用)食品添加目的の「調製食料品」扱いになると21.06へ行き得る/酵素は3507へ
3505デキストリン・変性でん粉、でん粉/デキストリン系の膠着剤マルトデキストリン、糊化済でん粉、アセチル化でん粉、でん粉糊デキストリン定義:還元糖10%以下/アセチル化でん粉はDS値で実務基準あり(日本)
3506調製膠着剤・調製接着剤、小売用1kg以下接着剤瞬間接着剤、エポキシ接着剤(工業用/小売用)、接着剤粉末小売用1kg以下が独立要件(3506.10)/マスチック等(32.14)や“接着性が主目的でない”調製品(38.09等)は除外
3507酵素、他に該当しない調製酵素レンネット、アミラーゼ、プロテアーゼ、酵素ブレンド洗浄用途の酵素系調製品は34類、なめし前処理用は32.02へ除外

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類でよく出る軸)
    • 含有率(乾燥基準):WPCの「ホエイたんぱく80%超」
    • 糖(還元糖)の割合(乾燥基準):デキストリン定義「10%以下」
    • 包装形態・正味重量:小売用接着剤「1kg以下」
    • 形状(シート形状/成形品):ゼラチンシート(長方形/正方形)か
    • 用途(洗浄・なめし等):酵素が“洗浄調製品”なら第34類へ
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 3502(アルブミン類) vs 0404(ホエイ等)
      • どこで分かれるか:ホエイたんぱく濃縮物が「乾燥基準で80%超」かどうか。超えると3502側に入る整理です。
      • 判断に必要な情報:
        • 乾燥基準のホエイたんぱく含有率(COA/分析表)
        • 計算根拠(窒素量×換算係数など:日本の解説では計算方法の言及あり)
      • 典型的な誤り:「乳由来=第4類」と短絡して04.04へ固定する。
    2. 3505(デキストリン/変性でん粉) vs 1702(糖類)
      • どこで分かれるか:でん粉分解物のうち、還元糖(ぶどう糖換算)が乾燥基準で10%以下なら「デキストリン」扱い(3505)になり得ます。10%を超えると17.02へ。
      • 判断に必要な情報:還元糖の分析(乾燥基準、換算方法)
      • 典型的な誤り:「マルトデキストリン=必ず3505」または「糖っぽい=必ず17.02」。
    3. 3505(変性でん粉) vs 1108(でん粉)(日本で特に実務的)
      • どこで分かれるか:一般論として、変性したでん粉は3505寄りですが、アセチル化でん粉は「DS値が非常に低いと区別困難」なため、日本の分類例規ではDS値0.01以上を変性でん粉として扱う整理が示されています。
      • 判断に必要な情報:DS(Degree of Substitution)の試験成績、製造方法、用途(増粘・糊化特性など)
      • 典型的な誤り:DSや変性内容を確認せず、品名だけで3505に決めてしまう。
    4. 3506(調製接着剤) vs 39類/32.08/32.14/38.09 等
      • どこで分かれるか:
        • 「接着剤として調製されたもの」か(用途・配合・形態)
        • 小売用で1kg以下なら3506.10がまず候補
        • マスチック・充てん料的性格が強いものは32.14へ除外され得ます(税関解説で言及)。
      • 判断に必要な情報:SDS、配合(樹脂・溶剤・充填材)、用途説明(接着か、充填/シールか)、包装仕様(正味重量)
      • 典型的な誤り:「樹脂が主成分だから39類」として、調製接着剤の要件や小売条件を見落とす。
    5. 3507(酵素/調製酵素) vs 34類(洗浄調製品)/32.02(なめし前処理)
      • どこで分かれるか:第35類注で、洗浄・浸せき用途の酵素系調製品は第34類なめし前処理用の酵素系調製品は32.02へ除外されます。
      • 判断に必要な情報:用途(洗浄/工業触媒/食品加工)、添加成分(界面活性剤の有無)、商品形態(洗剤として販売か)
      • 典型的な誤り:「酵素が入っている=3507」と決め打ちする。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • Section VI 注2:一定の品目(例:35.06)について、小売用・計量形態等の条件で当該見出しに該当するなら、他の見出しに移さないという整理です。
    • Section VI 注3:複数構成要素を「混合して」製品を得るセットは、条件を満たすとその製品の見出しで分類します(2液接着剤などが典型)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 「エポキシ樹脂+硬化剤」が同梱された2液接着剤キット:単なる樹脂や硬化剤単品ではなく、セットとして“接着剤”の性格が明確なら注3の考え方で扱います(最終的には見出し要件で3506に寄ることが多いです)。
    • 小売用チューブ入り瞬間接着剤(正味20gなど):注2の趣旨も踏まえ、小売用・1kg以下の要件を満たすなら3506.10が強い候補になります。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 35.06に該当する「小売用」形態の判断を落とすと、39類等に誤って寄せてしまいがちです(注2の発想でブレーキをかけるのが実務的)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第35類注1は、酵母、医薬品(血液分画物等)、なめし前処理用酵素調製品、洗浄用途の酵素調製品、硬化たんぱく質、印刷業のゼラチン製品などを除外します。
    • 第35類注2は、35.05の「デキストリン」の定義を置き、還元糖(ぶどう糖換算)が乾燥基準で10%以下とする線引きを明確化しています。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「デキストリン」:でん粉分解物のうち、還元糖(ぶどう糖換算)が乾燥状態で10%以下のもの。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 酵母 → 21.02
    • 洗浄用途の酵素系調製品 → 第34類
    • なめし前処理用の酵素系調製品 → 32.02
    • 硬化たんぱく質 → 39.13
    • 印刷業のゼラチン製品 → 第49類

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:でん粉分解物が「35.05(デキストリン)」か「17.02」か
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):還元糖(ぶどう糖換算)の含有率(乾燥基準)
    • 現場で集める証憑:成分表、試験成績書(糖組成・還元糖)、製造工程(酸/酵素分解の程度)
    • 誤分類の典型:「デキストリン」という商流名だけで3505にする/逆に甘いから17.02にする
    • 根拠:類注2で10%基準が示されます。
  • 影響ポイント2:WPC(ホエイたんぱく濃縮物)が「3502」か「0404」か
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):乾燥基準のホエイたんぱく含有率(80%超か)
    • 現場で集める証憑:COA、窒素量からの計算根拠(換算)、製品仕様書(WPC80/WPC90等)
    • 誤分類の典型:乳由来なので第4類に固定する
    • 根拠:3502の見出しにWPCの要件が含まれ、日本の解説でも80%超/以下の分岐と計算方法の考え方が整理されています。
  • 影響ポイント3:酵素が「3507」か、用途で「32.02/34類」へ飛ぶか
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):用途(なめし前処理か、洗浄用途か、その他の工業用途か)/界面活性剤の有無
    • 現場で集める証憑:SDS、用途資料、ラベル表示、販売形態(洗剤としての表示)
    • 誤分類の典型:酵素入り洗剤を3507にしてしまう
    • 根拠:類注1で用途別の除外が明確です。
  • 影響ポイント4:ゼラチンが「3503」か「96.02/49類」へ飛ぶか
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):形状(長方形/正方形シートか、その他形状か)/印刷物か
    • 現場で集める証憑:写真(寸法が分かる)、製品図面、用途、加工内容(印刷、成形)
    • 誤分類の典型:円形に打ち抜いたゼラチンを3503のまま申告
    • 根拠:見出し要旨・解説で、シート形状や他類(96.02、49類)への分岐が示されています。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:WPC(高たんぱく)を0404で申告
    • なぜ起きる:乳由来=第4類という思い込み、仕様書に「WPC」としか書かれない
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):3502はWPC(乾燥基準80%超)を包含する趣旨が見出しに明記されています。
    • 予防策:COAで乾燥基準たんぱく%を確認し、計算根拠(窒素換算等)も保存
  2. 間違い:マルトデキストリンを一律3505(または一律1702)にする
    • なぜ起きる:商品名が紛らわしい(糖っぽい/でん粉っぽい)
    • 正しい考え方:類注2の「還元糖10%」で線引き。超えると17.02に行き得ます。
    • 予防策:還元糖(乾燥基準)の分析結果を入手し、ロット差の有無も確認
  3. 間違い:アセチル化でん粉を“変性だから”と無条件で3505
    • なぜ起きる:変性の程度(DS値)を確認していない
    • 正しい考え方:日本の分類例規では、アセチル化でん粉はDS値0.01以上を変性でん粉として扱う整理が示されています。
    • 予防策:DS値の試験成績を必須資料化(仕様書のテンプレに組み込む)
  4. 間違い:小売用(1kg以下)の接着剤を、原料樹脂(39類)として申告
    • なぜ起きる:成分(樹脂)だけ見て用途・包装を見ない
    • 正しい考え方:35.06は「小売用で1kg以下」の接着剤を明確に含み、Section VI 注2の趣旨も踏まえます。
    • 予防策:包装形態(小売用表示、NET重量)をインボイス・仕様書に明記
  5. 間違い:2液接着剤キットを、樹脂と硬化剤で別々の品目として分類
    • なぜ起きる:出荷形態(セット)を見落とす
    • 正しい考え方:Section VI 注3は、混合して製品を得るセットの分類方針を示します。
    • 予防策:セット梱包の写真、同梱構成、混合比、用途(接着)を資料化
  6. 間違い:酵素入り洗剤を3507(酵素)で申告
    • なぜ起きる:主成分が酵素だと思い込む/洗剤としての販売実態を軽視
    • 正しい考え方:類注1で「洗浄用途の酵素系調製品」は第34類へ除外されます。
    • 予防策:界面活性剤の有無、洗浄用途表示、SDS・ラベルで用途を確認
  7. 間違い:円形に切り抜いたゼラチンシートを3503のまま申告
    • なぜ起きる:原料がゼラチンなので見出しを固定してしまう
    • 正しい考え方:3503で扱うシートは形状要件があり、切抜き・成形品は別項へ行き得ます。
    • 予防策:形状(寸法・図面)、加工内容(打ち抜き・成形)を提出資料に入れる
  8. 間違い:たんぱく質加水分解物(食品用途)を3504と決め打ち
    • なぜ起きる:「たんぱく質=第35類」という単純化
    • 正しい考え方:税関解説では、成分・用途により21.06へ除外され得る例が示されています(調製食料品の添加物として使用するもの等)。
    • 予防策:用途(食品原料か工業原料か)、食塩等の混合状況、最終製品としての提示形態を確認

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します(誤ると原産性判断が崩れます)。
  • よくある落とし穴:
    • 「最終製品HS」と「材料HS」を取り違える
    • 同じ“酵素”でも、洗剤(34類)側に落ちるとPSRが全く変わる
    • WPCの80%基準など、閾値でHSが変わるとPSRも変わります

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 税関のPSR検索画面でも、協定ごとに採用HS版が異なること、輸入申告は最新HSを使うことが注意書きされています。
  • 例:RCEPは譲許表がHS2012ベースで、申告時は最新HSへ読み替える必要がある旨が税関資料で説明されています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • ①まず輸入国(日本)の最新HS(HS2022)でHS6桁を確定
    • ②協定が参照するHS版(HS2012/2017等)へ、相関表(Correlation Table)で対応付け
    • ③対応付けたコードでPSRを確認し、必要な工程・原価情報を当てはめる
    • 相関表の入手先として、WCOおよび税関の案内があります。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 証明書類・保存要件(一般論):工程フロー、歩留まり、外注工程、分析成績書(含有率閾値品目は特に)
  • 分類が揺れやすい品目(WPC、でん粉分解物、酵素系調製品、接着剤キット)は、分類根拠(閾値・用途・包装)もセットで保存がおすすめです。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(少なくとも第35類のHS6桁体系)3501〜3507見出し構成・号(6桁)が同一第35類内の6桁付番は基本的に継続利用(ただし各国の国内コード改正は別途確認)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料として、WCO公表のHS2017版・HS2022版の第35類(Chapter 35)の見出し・号を比較すると、3501〜3507の構成は同一です。
  • また、WCOの相関表(Table I)は「HS2022で範囲が変わった、または新設されたサブヘディング」を列挙する趣旨ですが、第35類の主要コード(3501、3507等)は当該表に現れないことを確認できます(=変更対象として挙げられていない)。
  • したがって、HS2017→HS2022で第35類(HS6桁)に実務上のコード変更はないと整理できます(※国内コードは国ごとに改正あり得るため別確認)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、少なくとも公開されているWCOの各版の第35類を見る限り、3501〜3507の見出し・号の枠組みは一貫しています。
版(例)主要コードの追加・削除・再編旧コード→新コード(対応)コメント
HS2007→HS2012大きな再編なし(3501〜3507の枠組み維持)3501→3501 … 3507→3507第35類の基本体系は安定
HS2012→HS2017大きな再編なし同上見出し・号の構成が同一
HS2017→HS2022大きな再編なし同上相関表でも変更対象として現れない整理

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):WPCの80%判定を示せず通関が止まる
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):3502に入る根拠(乾燥基準80%超)を提出できず、04.04側との境界が不明確
    • 起きやすい状況:インボイス品名が「Whey protein concentrate」のみ、COAなし
    • 典型的な影響:分類保留、追加資料要請、検査・分析、通関遅延
    • 予防策:COA(乾燥基準たんぱく%)と計算根拠を事前に準備・保存
  • 事例名(短く):“デキストリン”表示だが還元糖10%超で更正
    • 誤りの内容:類注2の10%基準に照らすと17.02相当だった
    • 起きやすい状況:サプライヤー名義で「dextrin」と表記されているだけ
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、以後の検査強化
    • 予防策:還元糖分析(乾燥基準)の提出、ロットばらつき確認
  • 事例名(短く):酵素入り洗剤を3507で申告し、34類へ振替
    • 誤りの内容:類注1で洗浄用途の酵素系調製品は第34類へ除外
    • 起きやすい状況:主成分が酵素で、担当者が“酵素=3507”と誤認
    • 典型的な影響:再分類、SDS確認の追加、通関遅延
    • 予防策:用途表示・界面活性剤の有無・SDSで「洗浄調製品」該当性を先に潰す
  • 事例名(短く):小売用接着剤(1kg以下)を39類で申告し差戻し
    • 誤りの内容:35.06(小売用1kg以下)を見落とし
    • 起きやすい状況:成分(樹脂)だけで分類、包装仕様書がない
    • 典型的な影響:修正申告、資料再提出、遅延
    • 予防策:包装形態(小売用、NET重量)をインボイス・Packing Listに明記

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 食品・食品添加物(ゼラチン、変性でん粉、酵素、たんぱく原料等)として輸入する場合、食品衛生法に基づく輸入届出などの手続が必要です(検疫所で受付・審査)。
    • 酵素が食品添加物(加工助剤等)として扱われる場合、関連の基準・評価の枠組みが存在します(製品の位置づけ確認が重要)。
  • 動物由来(動物検疫等)
    • ゼラチン等の動物由来原料は、品目・由来・加工度によって、動物検疫所での手続や輸入条件の確認が必要になる場合があります。
  • 化学物質管理(SDS/ラベル等)
    • 接着剤(3506)は配合化学品であることが多く、成分によっては化管法SDS制度の対象(指定化学物質を一定含有率以上含む製品など)となり、他事業者への譲渡・提供時にSDS情報提供が求められます。
    • 溶剤系接着剤は引火性等の危険有害性の観点から、輸送・保管・表示で別途要件が出ることがあります(製品SDSで確認が実務的です)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 食品等:厚生労働省(食品等輸入手続/検疫所)
    • 動物由来:農林水産省 動物検疫所
    • SDS等:経済産業省(化管法SDS制度)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 食品系:原材料表、製造方法、添加物の使用状況、成分規格、COA
    • 動物由来:原料部位・由来国、加工工程、必要に応じ輸出国証明書
    • 接着剤・化学品:SDS、成分表(秘密情報は要相談)、用途、危険有害性情報、包装仕様

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 何由来の製品か(乳/卵/魚/植物/微生物)
    • 乾燥基準の含有率(WPC80%など閾値)
    • 還元糖(デキストリン10%)、DS値(アセチル化でん粉0.01)
    • 用途(食品、洗浄、なめし、接着、培地、印刷等)
    • 形状(シート/成形品/粉/液)・硬化の有無
    • 包装(小売用か、正味重量、セット品か)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第35類注の除外に当たらないか(酵母、洗浄用途酵素調製品、硬化たんぱく質等)
    • 3502↔0404、3505↔1702、3507↔34類の境界を再点検
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 「WPC」「maltodextrin」「enzyme preparation」「adhesive」など曖昧品名の補足(成分・用途・閾値根拠)
    • 写真、SDS、COA、工程図(特に境界品)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定のHS版(HS2012/2017等)と最新HSのズレを確認
    • 相関表で読み替え、PSR適用コードを確定
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品用途:食品衛生法の輸入届出
    • 動物由来:動物検疫手続の要否
    • 接着剤:SDS/ラベルの義務対象確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • HS2022 Chapter 35 (参照日:2026-02-20)
    • HS2017 Chapter 35 (参照日:2026-02-20)
    • HS2012 Chapter 35 (参照日:2026-02-20)
    • HS2007 Chapter 35 (参照日:2026-02-20)
    • Section VI Notes(注2・注3) (参照日:2026-02-20)
    • Correlation Tables HS2017–HS2022(Table Iの位置づけ説明) (参照日:2026-02-20)
    • Table I(検索上、3501/3507が現れない確認) (参照日:2026-02-20)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 関税率表解説(第35類) (参照日:2026-02-20)
    • 分類例規:アセチル化でん粉(DS値0.01) (参照日:2026-02-20)
    • 品目別原産地規則(PSR)検索(HS版注意) (参照日:2026-02-20)
    • HS2022改正(税関案内) (参照日:2026-02-20)
    • RCEPとHS版の読み替え注意(税関資料) (参照日:2026-02-20)
  • 規制(食品・動物検疫・化学物質)
    • 食品等輸入手続(厚労省) (参照日:2026-02-20)
    • 動物検疫所:輸入畜産物の検査手続 (参照日:2026-02-20)
    • 動物性加工たん白質等の輸入検疫(ゼラチン等に触れる資料) (参照日:2026-02-20)
    • 化管法SDS制度(対象物質/対象事業者/Q&A) (参照日:2026-02-20)
  • その他(実務に有用)
    • 税関:事前教示回答(品目分類) (参照日:2026-02-20)
    • 税関:輸入貨物の品目分類事例 (参照日:2026-02-20)
    • 税関:関税率表解説・分類例規の案内 (参照日:2026-02-20)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。