※用語を次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)。
0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)
- この類に入る代表例(3〜6個):
- 銅の粗銅・アノード、電解精製用の銅(7402)
- 精製銅・銅合金の「地金(インゴット、ワイヤバー、ビレット等)」(7403)
- 銅くず・スクラップ(7404)
- 銅粉・銅フレーク(7406)
- 銅の板・帯(厚さ0.15mm超:7409)/銅箔(厚さ0.15mm以下:7410)
- 銅管・継手(7411/7412)、銅製のねじ・ボルト等(7415)
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- 銅鉱石・精鉱:第26類(例:2603)
- 銅の化合物(酸化物・塩・リン化物等):第28類(※類注で「リン含有が高いリン銅」は第28類側へ行く旨が明示)
- 絶縁電線・ケーブル:第85類(例:8544)※第74類の7413は「非絶縁」
- 機械・電気機器の完成品:第16部/第85類(部注で除外)
- 硬貨:第71類(7118 など)
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- 地金(7403)なのか/スクラップ(7404)なのか(=「使用に耐えない」状態かどうか)
- 板(7409:0.15mm超)なのか/箔(7410:0.15mm以下)なのか
- 非絶縁の銅線(7408/7413)なのか/絶縁電線(8544)なのか
- この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
- **銅スクラップ(7404)**は、HS分類だけでなく、**バーゼル法(有害廃棄物等の越境移動規制)**の該当性判断が絡みやすく、通関遅延・差止めリスクが相対的に高いです(後述)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)
1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)
- この類で特に効くGIR:
- GIR1(見出し文言+注):第74類は「形状(地金/粉/線/板/箔/管/継手/ねじ等)」と「注の定義(精製銅・合金・スクラップ等)」でほぼ勝負が決まります。
- GIR6(号=6桁の比較):0.15mm、6mm、合金区分(黄銅/青銅/白銅等)といった“定量条件”で6桁が割れます。
- GIR3(複合品):銅+他金属の複合記事(例:銅合金部材+鋼材部材)では、部注(複合品は重量優先など)を踏まえて整理します。
- 「品名だけで決めない」ための観点:
- 材質・成分(Cu%と不純物、Zn/Sn/Ni等)
- 状態(地金/スクラップ/粉/半製品/完成品)
- 形状・寸法(厚さ、最大断面、コイル状か等)
- 絶縁の有無(電線の典型)
- 加工度(“鋳造・鍛造のみ”か、切削など追加加工ありか:7419で重要)
1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)
- Step1:対象物が「銅(Cuが主体)」か?
- 成分証明(ミルシート、分析表、SDS)で確認。
- Step2:第15部(卑金属)に残るか?(完成機械・電気機器ではないか)
- 例:銅バーでも、機械・電気機器の完成品/専用品の形態なら第16部・第85類へ寄ることがあります。
- Step3:状態の大分類:地金(7401-7403)/スクラップ(7404)/粉(7406)/半製品(7407-7413)/記事(7415-7419)
- Step4:半製品なら**形状定義(棒・線・板・箔・管など)**に当てはめる
- ここで部注(定義)に立ち戻ります。
- Step5:6桁の分岐(例:0.15mm、6mm、合金グループ、裏打ちの有無など)を確定
- よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
- 第74類(銅の未完成材・一般記事) vs 第85類(絶縁電線・電気機器)
- 第74類(銅スクラップ) vs 第26類(鉱石)/第28類(化学品)
- 第74類(銅の一般記事7419) vs 第83類(汎用金具・金物類)※品目実態次第で第83類側へ寄るケースがあります(部注の“部分品/汎用品”の考え方に注意)。
2. 主な項(4桁)とその内容
2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 7401 | 銅マット、沈殿銅(セメント銅) | 製錬中間物 | 鉱石(第26類)と混同しない |
| 7402 | 粗銅、電解精製用銅アノード | アノード | 7403(精製銅地金)と区別 |
| 7403 | 精製銅・銅合金の地金 | カソード、ワイヤバー、ビレット、インゴット | 「地金(unwrought)」概念が中核。端部加工だけなら地金扱いの留意あり |
| 7404 | 銅くず・スクラップ | 被覆除去した銅線くず、加工端材 | **“使用に耐えない”**状態か(部注の定義)+バーゼル法等の規制面 |
| 7405 | 銅の母合金 | 脱酸用母合金 | 合金地金(7403)との区別(「母合金」定義) |
| 7406 | 銅粉・銅フレーク | アトマイズ粉、フレーク粉 | 「粉」の定義(ふるい)+ラメラ/非ラメラで分岐 |
| 7407 | 銅の棒・ロッド・形材 | 丸棒、角棒、押出形材 | 形状定義(部注)と「コイル状でない」等の要件 |
| 7408 | 銅線 | 裸銅線 | 絶縁が無いこと。精製銅の一部は最大断面寸法6mmで分岐 |
| 7409 | 銅の板・シート・帯(厚さ0.15mm超) | 銅板、銅帯 | 0.15mm超。合金種類・コイル状で細分 |
| 7410 | 銅箔(厚さ0.15mm以下) | 電子用銅箔、裏打ち銅箔 | 0.15mm以下、裏打ちの有無(厚さは裏打ち除外) |
| 7411 | 銅管 | 銅パイプ | 継手(7412)と混同しやすい |
| 7412 | 銅管継手 | エルボ、ソケット | 材質(精製銅/合金)で細分 |
| 7413 | より線・ケーブル等(非絶縁) | 銅より線、ブレード | 非絶縁。絶縁品は8544へ |
| 7414 | (HS上 未設定/予約) | ― | HS条文でブラケット表示(現行運用では使わない) |
| 7415 | 銅製のくぎ・ねじ・ボルト・ナット等 | 銅ボルト、銅ワッシャー | 83.05(ステープル等)除外あり/ねじ山の有無で分岐 |
| 7416 | (HS上 未設定/予約) | ― | 同上 |
| 7417 | (HS上 未設定/予約) | ― | 同上 |
| 7418 | 銅製家庭用品・衛生用品等 | 台所用品、たわし、衛生設備品 | 7418.10/7418.20 |
| 7419 | 銅製その他の製品 | 銅製部品、銅製記事一般 | HS2022で6桁構造が変更(7419.20/7419.80) |
2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)
- 分岐条件の整理(頻出):
- 厚さ:7409(>0.15mm) vs 7410(≤0.15mm)
- 最大断面寸法:7408(精製銅)で >6mm(7408.11) とその他(7408.19)
- 合金の種類:黄銅・青銅・白銅(キュプロニッケル)・洋白(ニッケルシルバー)等(類注の定義で判定)
- 加工度:7419.20(鋳造・鍛造等のみで追加加工なし) vs 7419.80(切削等でさらに加工)
- 裏打ち(backed)の有無:7410で分岐(厚さは裏打ちを除く)
- 粉体の構造:7406.10(非ラメラ) vs 7406.20(ラメラ/フレーク)+「粉」の定義(ふるい)
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
- 7409(板・帯) vs 7410(箔)
- どこで分かれるか:厚さ0.15mm(裏打ちがある場合は裏打ち除外の厚さ)
- 判断に必要な情報:製品図面、厚さ測定結果(複数点)、裏打ち材の有無と構成
- 典型的な誤り:名目「銅箔」でも0.2mmで実態は7409、または裏打ち厚込みで誤判定
- 7408(銅線) vs 7413(より線等) vs 8544(絶縁電線)
- どこで分かれるか:単線か撚りか/絶縁の有無(絶縁があると第85類へ)
- 判断に必要な情報:断面写真、構造図(導体+絶縁+シース)、用途説明
- 典型的な誤り:絶縁被覆付きなのに7408/7413で申告
- 7411(銅管) vs 7412(銅管継手)
- どこで分かれるか:「管そのもの」か「接続用継手」か
- 判断に必要な情報:形状(エルボ/ソケット等)、接続機能の有無、カタログ
- 典型的な誤り:短い管片を“継手”と誤認、または継手を“管”と誤認
- 7419.20 vs 7419.80(その他銅製品の中の加工度)
- どこで分かれるか:鋳造・鍛造等の後、機械加工や穴あけ等で「さらに加工」しているか
- 判断に必要な情報:工程表、加工指示書、図面(公差/ねじ/穴)
- 典型的な誤り:「鍛造品」名目で実は切削済み(7419.80寄り)
3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)
3-1. 関連する部注(Section Notes)
- ポイント要約:
- 第15部は、完成機械・電気機器など多くを除外(部注1)。
- “parts of general use(一般用の部分品)”は、ねじ・ボルト等の汎用品を指し、機械の「部品」扱いではなく各章の当該見出しに分類させる趣旨(部注2)。ただしインプラント(9021)専用設計のものは除外され得ます。
- 合金・複合品の基本は「重量優先」(部注5〜7)。
- **スクラップ(waste and scrap)と粉(powders)**の定義(部注8)は、第74類の7404/7406の境界で重要。
- 第74類などに共通の「棒・線・板・管」等の形状定義が部注9に集約(HS2022の特徴)。
- 実務での意味(具体例つき):
- 例:銅製ボルトを「機械の専用部品」として機械側の部品番号に入れる発想は危険です。汎用の締結具は通常、銅なら7415等に落ちます(ただし医療用インプラント専用設計など例外があり得る)。
- 例:銅粉でも、**塗料・インキ等の“調製品”**としての性格が強い場合は第32類側(部注1(a))に飛ぶ可能性があります。
- “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
- 絶縁電線(第85類)
- 機械・電気機器の完成品(第16部)
- 調製された塗料・インキ等(金属粉ベースの調製品)(第32類)
3-2. この類の類注(Chapter Notes)
- ポイント要約:
- 精製銅(refined copper):Cu 99.85%以上、またはCu 97.5%以上で不純物が一定限度以下。
- 銅合金(copper alloys):Cuが他元素より重量で優位で、他元素が一定限度超または総量が2.5%超。
- 母合金(master alloys):他元素と合計してCu>10%、有用な展延性がなく、添加剤等として用いるもの(ただし高リンのリン銅は第28類側へ)。
- 用語定義(定義がある場合):
- 黄銅(brass):Cu-Zn合金。Znが他の各元素より重量で優位、Ni<5%、Sn<3%等の条件。
- 青銅(bronze):Cu-Sn合金。Snが他元素より優位(一定条件でZnがSnを超え得るが上限あり)。
- 洋白(nickel silver):Cu-Ni-ZnでNi≧5%。
- 白銅(cupro-nickel)等:Cu-Ni系(Znは1%以下等)。
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
- リン銅(銅リン化物)でリン含有が高いものは第28類(HS2022では28.53)側へ(類注で明示)。
4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)
- 影響ポイント1:「精製銅」か「銅合金」かで6桁が変わる(7407/7408/7409/7410/7411/7412など)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- Cu%と不純物(Ag/As/Cd/Cr等)の分析値、Zn/Sn/Ni等の含有率
- 現場で集める証憑:
- ミルシート、成分分析表(第三者分析)、SDS、材料規格(JIS/ASTM等)
- 誤分類の典型:
- 商品名「純銅」だが実際は添加元素が多く合金扱いになり、精製銅のサブヘディングで申告してしまう
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント2:スクラップ(7404)認定の可否(=部注8の“使用に耐えない”)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 破損・切断・摩耗などで「そのまま使用できない」こと、取引実態(スクラップとして購入/売却)
- 現場で集める証憑:
- 写真(全体+クローズアップ)、スクラップ証明、梱包状態、契約書(scrapとしての売買)、選別工程の資料
- 誤分類の典型:
- 中古部品・再利用可能品を“スクラップ”として7404申告(税関で否認されやすい)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント3:形状定義(部注9)に合わないと、そもそも見出しがズレる
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 断面形状、寸法(厚さ/幅/外径/内径)、コイル状か、加工内容
- 現場で集める証憑:
- 図面、検査成績表、工程図(圧延/押出/伸線/切削)、サンプル写真
- 誤分類の典型:
- 0.15mm境界の測定が曖昧で7409/7410を誤る
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
5. 分類でよくある間違い(原因→対策)
- 間違い:銅箔(7410)を銅板(7409)で申告(または逆)
- なぜ起きる:厚さの測り方(裏打ち込み/除外)や公差、呼称に引っ張られる
- 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):0.15mmの基準は見出し文言で固定
- 予防策:図面で「銅単体の厚さ」を確認、複数点測定、裏打ち材の構成資料を添付
- 間違い:絶縁電線を7408/7413で申告
- なぜ起きる:導体が銅なので“銅線”と理解してしまう
- 正しい考え方:7413は「非絶縁」、絶縁品は第85類へ(部注1で第16部/第85類が除外の文脈も)
- 予防策:断面写真・仕様書で絶縁層の有無を必ず確認
- 間違い:スクラップ(7404)と地金(7403)を取り違える
- なぜ起きる:「リサイクル原料=スクラップ」と短絡
- 正しい考え方:スクラップは“使用に耐えない”状態の定義に当てる
- 予防策:取引書類(scrap表記)、写真、用途(溶解原料専用か)を揃える
- 間違い:“黄銅”と聞いて何でも brass(黄銅)サブヘディングに入れる
- なぜ起きる:商慣習名とHS定義がズレる(Ni/Sn含有で黄銅の定義外になること)
- 正しい考え方:黄銅/青銅/洋白等は類注の定義で判定
- 予防策:Zn/Sn/Niの含有率を確認(合金証明)
- 間違い:7412(継手)を7411(管)で申告
- なぜ起きる:短い配管部材を“管”と誤認/逆も同様
- 正しい考え方:接続機能を持つ形状(エルボ等)は継手側
- 予防策:カタログ・図面で形状と用途を確認(配管部材の呼称だけに依存しない)
- 間違い:銅製ねじ等を“機械の部品”として機械側見出しに入れる
- なぜ起きる:部品=完成品側、という思い込み
- 正しい考え方:汎用締結具は“parts of general use”として独立分類が原則(例外:インプラント専用設計等)
- 予防策:汎用品か専用品か、用途限定性(医療用等)を仕様で確認
- 間違い:7419.20(追加加工なし)と7419.80(その他)を混同
- なぜ起きる:「鍛造品」という言い方が工程実態(切削済み)を隠す
- 正しい考え方:見出しの“but not further worked”を工程で判定
- 予防策:工程表・加工内容(穴、ねじ、切削、研磨)を提出資料として揃える
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係
- HSの付番がPSR選択に直結します。特に第74類は「板/箔」「管/継手」「地金/スクラップ」でPSRのロジック(CTH/RVC/WO等)が変わりやすいです。
- よくある落とし穴:
- 最終製品のHSを誤る→適用すべきPSR自体が変わる
- 材料(非原産材料)のHSを適当に置く→CTC判定が崩れる
- 工程で“さらに加工”しているのに、加工度が低い見出しで考えてしまう(7419など)
6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)
- 実務では「協定本文(当初版)」と「運用上参照すべきHS(置換PSR等)」がズレることがあります。
- 例(日本の実務で重要):
- RCEP:HS2012のPSRが、合同委員会でHS2022に置き換えられ、2023-01-01から運用(原産地証明のHSも置換PSRに基づく)。
- CPTPP:HS2012ベースで運用される枠組みが一般的(日本税関の原産地規則マニュアルの整理に従い確認)。
- 日EU EPA・日英EPA:HS2017ベース(同マニュアルの整理に従い確認)。
- トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
- まず「協定が要求するHS版」を確認→次に税関/公的機関が出す「置換PSR」「読み替え表」の有無を確認
- HS2022で通関していても、PSRは別版参照の場合があるので、協定・制度ごとに切り分けます。
6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)
- 必要データ(最低限):
- 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
- 証明書類・保存要件(一般論):
- 原産地証明関連(CO/申告)、裏付資料(仕入証憑、製造記録、成分証明)を、社内規程で一括管理
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)
7-1. 変更点サマリー(必須:表)
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 分割/統合(再構成) | 7419 | 旧:7419.10(チェーン)+7419.91/7419.99 → 新:7419.20/7419.80(加工度で区分) | 旧コード前提のマスタ/PSR/統計の見直しが必要 |
| HS2017→HS2022 | 注の新設/移動 | Section XV 注9 | 棒・線・板・管などの定義を、各章注から部注へ集約 | 形状判定の根拠条文が「章注→部注」へ移り、説明資料の参照先が変わる |
| HS2017→HS2022 | 定義の見直し | Section XV 注8(スクラップ) | スクラップ定義が整理(“金属くず全般”“使用不能品”) | 7404該当性説明の書き方(証憑)を見直す |
| HS2017→HS2022 | 定義の変更 | Section XV 注2(parts of general use) | インプラント専用設計品の扱いが明確化 | 医療用ねじ等で分類が変わり得る(汎用品か専用品かの証明が重要) |
7-2. 「違うことになった根拠」(必須)
- 7419の変更根拠:
- HS2017では7419.10(チェーン)と7419.91/7419.99(その他)が存在。
- HS2022では7419.20/7419.80へ再編され、チェーンの独立号が無い。
- WCO相関表(HS2017→HS2022)でも、7419.10等が7419.80等へ対応付けされている。
- 形状定義の移動(章注→部注)の根拠:
- HS2017の第74類注に棒・線・板・管等の定義が記載。
- HS2022ではそれらがSection XV注9に集約。
- 変更がない部分:
- 7401〜7413、7415、7418など多くの4桁はHS2017とHS2022で大枠は維持されています(ただし“根拠注”の参照先が変わり得る点は注意)。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
主要な追加・削除・再編(HS2007→2012→2017→2022):
| 変遷 | 旧コード → 新コード(主な対応) | 変更の要点 | 補足(実務) |
|---|---|---|---|
| HS2007→HS2012 | 7418.11/7418.19 → 7418.10 | 家庭用品系サブヘディングの統合 | マスタ変換が必要(過去データ参照時) |
| HS2012→HS2017 | (章注の参照先)銅リン化物の除外先:28.48 → 28.53 | 第28類側の見出し再編に伴う参照変更 | “高リンのリン銅”を扱う場合、版違いに注意 |
| HS2017→HS2022 | 7419.10/7419.91/7419.99 → 7419.20/7419.80 | 7419の6桁構造変更 | 旧7419.10(チェーン)はHS2022で別建てなし(7419.80側へ整理され得る) |
9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)
- 事例名(短く):「スクラップ申告だが再利用可能」問題
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):部注8(スクラップ定義)に当てはまらない可能性
- 起きやすい状況:中古モーターの銅部品・電線束など、再利用/修理可能な状態
- 典型的な影響:修正申告、検査強化、通関遅延
- 予防策:状態写真、売買契約(scrap条件)、選別工程の説明を事前に用意
- 事例名:「銅箔の厚さ境界(0.15mm)で揉める」
- 誤りの内容:7409/7410の見出し要件違反(厚さ)
- 起きやすい状況:公差が大きいロット、裏打ち材付き
- 影響:HS差替えによる税率・統計・原産地判定の連鎖変更
- 予防策:厚さ測定記録、裏打ち除外厚さの根拠資料
- 事例名:「絶縁電線を非絶縁として申告」
- 誤りの内容:部注(第16部/第85類除外)の見落とし+7413の要件誤認
- 起きやすい状況:導体銅比率が高く見た目が似ている
- 影響:品目誤り、規制/安全基準/表示の追加確認
- 予防策:断面・仕様書で絶縁層確認
- 事例名:「鍛造品(7419.20)だと思ったら切削済み」
- 誤りの内容:7419.20の“追加加工なし”要件の見落とし
- 起きやすい状況:外注加工が工程表に出ていない
- 影響:コード差替え、原産地ルール再判定
- 予防策:工程表・加工指示書の入手、サンプル確認
10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ):
- 検疫・衛生(SPS等):通常、第74類の銅材そのものはSPSの中心ではありません(用途・付着物・汚れ等がある場合は別途確認)。
- バーゼル法(有害廃棄物等の越境移動)/廃棄物性の確認:
- 特に**銅くず・スクラップ(7404)**は、貨物が「廃棄物」に当たるかどうかで手続が大きく変わる可能性があります。
- 税関はバーゼル法に関する「水際」情報を公表しており、輸出入時の注意点・相談導線が示されています。
- 経済産業省はバーゼル法に関する事前相談の案内を公表しています。
- 環境省も制度・手続の情報を公表しています。
- 安全保障貿易管理(該当する場合):
- 金属材料は一般品でも、仕様・用途・需要者・仕向地により、リスト規制/キャッチオール規制の確認が必要になることがあります(経産省の制度概要・ガイダンス参照)。
- 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
- バーゼル法:税関(案内ページ)、経産省(事前相談)、環境省(制度説明)
- 安全保障貿易管理:経産省(制度概要・キャッチオール等)
- 実務での準備物(一般論):
- 貨物の状態写真、成分表、用途説明、取引契約(スクラップ売買であること等)、工程・選別フロー、(必要に応じ)事前相談記録
11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 成分(Cu/Zn/Sn/Ni等)、形状(棒/線/板/箔/管/継手)、寸法(厚さ0.15mm、最大断面6mmなどの境界)、絶縁の有無
- スクラップの場合:使用不能性の根拠(写真・契約・選別工程)
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 部注8(スクラップ/粉)、部注9(形状定義)、類注(精製銅/合金/母合金)
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- インボイス品名は「銅板」「銅箔」「銅線(非絶縁)」「銅スクラップ」等、誤解が起きない粒度で
- 裏付資料(図面・成分表・写真)をセットで管理
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 協定が参照するHS版(RCEPは2023-01-01以降HS2022置換PSR等)を確認
- BOM、非原産材料HS、工程、原価資料を保存
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 銅スクラップはバーゼル法の観点で事前確認(必要なら事前相談)
- 安全保障貿易管理(該当性・用途確認)
12. 参考資料(出典)
- WCO(HS条文・注・相関表等)
- HS2022 Chapter 74 “Copper and articles thereof”(参照日:2026-02-27)
- HS2017 Chapter 74(参照日:2026-02-27)
- HS2012 Chapter 74(参照日:2026-02-27)
- HS2007 Chapter 74(参照日:2026-02-27)
- HS2022 Section XV Notes(参照日:2026-02-27)
- HS2017 Section XV Notes(参照日:2026-02-27)
- WCO Correlation Tables 2017↔2022(Table II)(参照日:2026-02-27)
- 日本:税関・公的機関
- 税関:RCEP(HS2022版PSR・運用案内)(参照日:2026-02-27)
- 税関:EPA原産地規則マニュアル(協定別HS版の整理を含む)(参照日:2026-02-27)
- 税関:バーゼル法関係(水際情報)(参照日:2026-02-27)
- 経済産業省:バーゼル法(事前相談)(参照日:2026-02-27)
- 環境省:バーゼル法関連情報(参照日:2026-02-27)
- 経済産業省:安全保障貿易管理(制度概要・キャッチオール等)(参照日:2026-02-27)
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不
