HS2022 第92類:楽器並びにその部分品及び附属品(Musical instruments; parts and accessories of such articles)

用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • アコースティックピアノ(アップライト/グランド)・自動ピアノ等:9201
    • ギター、バイオリン、ハープなどの弦楽器:9202
    • 管楽器(クラリネット、トランペット、バグパイプ、アコーディオン、教会用パイプオルガン等):9205
    • 打楽器(ドラム、シンバル、マラカス等):9206
    • 音が電気的に生成される/又は電気的増幅が必須の楽器(例:電子オルガン、電子ピアノ、共鳴箱のないエレキギター等):9207
    • 部分品・付属品(弦、メトロノーム、音叉、機械式楽器用カード/ディスク/ロール等):9209
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • マイク、アンプ、スピーカー、ヘッドホン、スイッチ、ストロボスコープ等で、楽器に取り付けられていない同一キャビネットに組み込まれていないもの:第85類または第90類(例:8518等)
    • 楽器の形をしていても、材質・作り・音質等から玩具と明らかなもの9503
    • 楽器清掃用ブラシ:9603/一脚・二脚・三脚等:9620
    • 卑金属製の「はん用性の部分品(parts of general use)」や、プラスチック製の類似品:第15部または第39類(例:ねじ・ボルト等)
    • 収集品・こっとう(例:歴史的価値のある楽器、製作後100年超のアンティーク等):9705/9706
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「楽器」か「音響機器(第85/90類)」か:取り付け有無・同一キャビネット内かが鍵
    2. 電気式/電子式でないと演奏できないか(→9207)/電気装置がなくても通常の楽器として演奏できるか(→9201/9202等)
    3. 完成品か、部分品・付属品か(→9209、ただし部品でも「parts of general use」は除外)
  • この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 電子楽器・無線機能付き機器:HS分類ミス+国内規制(PSE/電波法等)対応漏れの同時発生
    • CITES対象素材(象牙・べっ甲等や対象樹種等)が含まれる楽器:通関差止・許可書不足のリスク

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+部注/類注で決める):第92類は類注の除外(第85/90類、玩具、三脚等、parts of general use等)が強く効きます。まず類注(Note 1, 2)を読み、品名よりも「実体(構造・機能)」で当てに行きます。
    • GIR6(6桁は号の文言で):例:9207.10(鍵盤でアコーディオン以外)か9207.90(その他)など、6桁は「同一レベルの号同士」で比較します。
    • GIR5(a)(ケース類の扱い):楽器用ケースは、条件を満たすと楽器と同一分類になります(「特定品用に成形/適合」「長期使用」「本体と同時提示」「通常同時販売」など)。ケースを別コードで申告しないよう要注意です。
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 音の生成/増幅の仕組み:電気式/電子式の機構がないと演奏できないなら9207寄り。電気装置がなくても通常の楽器として使えるなら9201/9202等の「本来の楽器」寄り。
    • 取り付け・組込みの有無:アンプやマイク等が別体なら第85/90類へ飛びやすい(同一キャビネット内かも重要)。
    • 完成品か、部分品/付属品か:弦・リード・マウスピース・メトロノーム等は9209の典型。ただし金具類は「parts of general use」該当で第15部へ行くことがあります。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:対象は「楽器そのもの」?
    • YES → Step2へ
    • NO(部分品・付属品)→ 原則9209だが、**除外(parts of general use/第85/90類機器/三脚等)**に該当しないか先に確認
  • Step2:電気がないと演奏できない(音が生成される/増幅が必須)?
    • YES → 9207候補(鍵盤か否かで9207.10/9207.90
    • NO → Step3へ(9201/9202/9205/9206/9208
  • Step3:楽器のタイプで4桁(項)を決める
    • 鍵盤弦(ピアノ等)→ 9201
    • 弦楽器(ギター、バイオリン等)→ 9202
    • 管楽器→ 9205(ただし見世物オルガン等は9208側)
    • 打楽器→ 9206
    • 上記のどれにも当てにくい/機械式楽器・鳥型自動歌唱・笛など → 9208
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第92類 vs 第85類:楽器に使うアンプ・スピーカー等でも、別体なら第85類(多くは8518等)
    • 9202(弦楽器) vs 9207(電気式/電子式楽器):ピックアップ付きでも共鳴箱があり通常の弦楽器として演奏できるなら9202に残る一方、共鳴箱のないギターのような電子楽器は9207
    • 9205(管楽器) vs 9208(笛/信号用口吹き等)9208には「whistles, call horns…」等も入るため、用途・形状で要確認。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
9201ピアノ(自動ピアノ含む)、ハープシコード等の鍵盤弦楽器アップライト/グランドピアノ、自動ピアノ、クラビコード等電子ピアノは9207。ピアノに電子効果装置を付ける用途でも、電子式楽器は9207とされる旨に注意。
9202その他の弦楽器ギター、バイオリン、ハープ、ウクレレ等ギター等で音が電子的に増幅されても、通常の弦楽器として演奏可能なら除外されない。一方、共鳴箱のないギター等は9207
[9203]欠番(現行HSでは使用なし)HS条文上ブラケットで表示される欠番。実務上は使用しません。
[9204]欠番(現行HSでは使用なし)同上。
9205吹奏(管)楽器(例:鍵盤付パイプオルガン、アコーディオン等を含む)、ただし見世物オルガン等を除くトランペット、クラリネット、教会用オルガン、アコーディオン、バグパイプ等見世物オルガン・機械式街頭オルガンは9208へ。9205.10の「金管」は材質より音質/構造概念(サックス等は材質が真鍮でも“金管”扱いにならないことが多い)。
9206打楽器ドラム、木琴、シンバル、カスタネット、マラカス等4桁内での6桁分岐なし(9206.00のみ)。ばち等は提示態様により注2で楽器本体に付随。
9207音が電気的に生成される、又は電気的増幅が必須の楽器電子ピアノ、電子オルガン、シンセ、共鳴箱のないエレキギター等外付けアンプ等は第85/90類(取り付けなし・同一キャビネット外)。電子/電気機構がないと演奏できない楽器が中心。
9208オルゴール、見世物オルガン/機械式街頭オルガン、機械式歌唱鳥、のこぎり琴、その他他項に入らない楽器/狩猟用デコイコール/笛・角笛など口吹き信号用オルゴール、機械式オルガン、ホイッスル、ホーン等9205の除外対象(見世物/機械式オルガン)がこちらに入る。玩具の笛は9503の可能性。
9209楽器の部分品・付属品(例:オルゴール機構、カード/ディスク/ロール)、メトロノーム、音叉、ピッチパイプ等弦、リード、マウスピース、メトロノーム、音叉、パンチカード等注2:カード/ディスク/ロールは楽器と一緒でも別扱い。また金具類は「parts of general use」除外に注意。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(第92類で実際に効く軸)
    • 鍵盤か否か9207.10 vs 9207.90
    • 弓で弾くか否か9202.10 vs 9202.90
    • 金管か否か9205.10 vs 9205.90)※「金管」は材質ではなく“概念”に近い点を要注意
    • 部分品の対象楽器9209.91/92/94/99)+ 弦は独立で9209.30
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 9201.xx(ピアノ等) vs 9207.xx(電気式/電子式楽器)
      • どこで分かれるか:電子ピアノは9207。一方、(アコースティック)ピアノは9201で、電気式音声変換装置や増幅装置の有無のみで直ちに9207へは行かない整理が示されています。
      • 判断に必要な情報:
        • 音源が弦打弦の機械式か(=アコースティック)/電子音源か
        • 電気機構がないと演奏できるか(電源必須か)
        • 製品仕様書(音源方式、内部構造、消音機構の有無 等)
      • 典型的な誤り:商品名が「デジタルピアノ」でも「ピアノだから9201」と短絡する
    2. 9202.90(ギター等) vs 9207.90(電気式楽器・その他)
      • どこで分かれるか:ギター等で電子的増幅があっても9202から除外されない場合がある一方、**共鳴箱を有しないギターのような電子楽器は9207**とされています。
      • 判断に必要な情報:
        • 共鳴箱(ボディ)の有無・構造(アコースティックとして成立するか)
        • アンプが必須か(仕様・カタログ記載、設計思想)
      • 典型的な誤り:ピックアップ付き=即9207と決める
    3. 9205(吹奏楽器) vs 9208(笛・口吹き信号用等/見世物オルガン等)
      • どこで分かれるか:9205は吹奏楽器全般だが、**見世物オルガン/機械式街頭オルガンは9208**に回り、9208にはホイッスル等の「口吹き信号用」も含まれます。
      • 判断に必要な情報:
        • 用途(演奏用か信号用か)
        • 構造(機械式オルガンか、通常の楽器か)
      • 典型的な誤り:ホイッスルを「管楽器」として9205に寄せる/玩具ホイッスルを9208で申告してしまう
    4. 9209(部分品・付属品)の中の 9209.94(9207用) vs 第85類(電子部品・音響機器)
      • どこで分かれるか:類注1(b)で**第85/90類のアクセサリー機器(別体)**は除外されます。例として「電子音楽モジュール(8543)」が除外例に挙げられています。
      • 判断に必要な情報:
        • “楽器用の部品/付属品”なのか、“一般の電子機器/モジュール”なのか
        • 接続方式・機能(音源モジュール、エフェクター、アンプ等)
      • 典型的な誤り:楽器用途だから電子モジュールを9209に入れてしまう

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第92類類注1(a)で出てくる「parts of general use(はん用性の部分品)」は、第15部注2で定義される“ねじ類・ばね・金具類等”を指し、楽器専用品っぽく見えても“はん用品”なら第92類から除外されます。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:ギター用の金属ねじ・ボルト・ワッシャー・蝶番などが、形状・規格的に「はん用品(parts of general use)」の範囲に入る場合、9209ではなく第15部(例:7318等)に分類され得ます。
    • 逆に、“明確に楽器の機能を構成する”専用部品(例:特定機種専用の鍵盤アクション部品、特定モデル用の特殊機構部品など)は9209側で検討します(ただし電子機能部は第85類になり得る)。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 9209と思った金具が、parts of general use扱いで第15部へ

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約(類注1):
    • 第92類には含めないものとして、
      • parts of general use(第15部注2の定義)
      • 第85/90類のマイク・アンプ等(ただし「取り付けなし/同一キャビネットに組込みなし」に限る)
      • 玩具(9503)、清掃ブラシ(9603)、一脚/三脚等(9620)、収集品・こっとう(9705/9706
        が列挙されています。
  • ポイント要約(類注2):
    • 弦楽器(9202)・打楽器(9206)の演奏用の弓・ばち等は、本体と一緒に提示され、通常数量で明らかに当該楽器用なら、本体と同じ項に分類します(9209にしない)。
    • ただし、9209のカード・ディスク・ロールは、楽器と一緒でも別個の物品として扱います。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 法文レベルの厳密定義は少ないため、実務は「機能・構造・提示態様」で詰めます(例:弓/ばちの“通常数量”、電気機構が“ないと演奏できない”か等)。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 第85/90類の音響・測定機器(別体):第85類/第90類
    • 玩具:9503
    • ブラシ:9603/三脚等:9620
    • 収集品・こっとう:9705/9706

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。

  • 影響ポイント1:外付けのマイク/アンプ等を楽器の一部と誤認しない(類注1(b))
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 機器が楽器に取り付けられているか
      • 同一キャビネットに組み込まれているか(例:同じ筐体内か)
    • 現場で集める証憑:
      • 外観写真(取り付け状態が分かるもの)
      • 配線図、筐体構造図、製品仕様書(内蔵か別体か)
      • セット梱包の明細(同梱でも“別体”なら別分類になり得る)
    • 誤分類の典型:
      • ギター+外付けアンプを、まとめて9207で申告(アンプ側は第85類へ)
  • 影響ポイント2:弓・ばち等が「本体と同じ項」になる(類注2)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 本体と同時提示
      • 通常数量か(例:バイオリンに弓1本、ドラムにスティック2本など、商慣習上の妥当性)
    • 現場で集める証憑:
      • セット内容表、梱包写真、販売形態(通常同梱か)
      • カタログ(標準付属品の記載)
    • 誤分類の典型:
      • バイオリン(本体)を9202、弓を9209として分けて申告(同時提示・通常数量なら同一項扱い)
  • 影響ポイント3:「parts of general use」該当で第92類から飛ぶ(類注1(a)→第15部注2)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 物品がねじ・金具・ばね等の“はん用品”に当たるか(規格品か、汎用か)
    • 現場で集める証憑:
      • 図面(寸法・規格)、材質表
      • 他用途に転用可能かの説明(汎用性)
    • 誤分類の典型:
      • 「楽器用だから」と、汎用ねじを9209に入れてしまう

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:電子ピアノ(デジタルピアノ)を9201にしてしまう
    • なぜ起きる:商品名が「ピアノ」なので、鍵盤弦楽器と短絡しやすい
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):電子ピアノは9207に属する旨が明記されています。
    • 予防策(確認すべき資料/社内で聞くべき質問例):
      • 音源方式(打弦弦振動か、電子音源か)
      • 電源がないと演奏できるか
      • メーカー仕様書・回路/構造説明書を入手
  2. 間違い:ピックアップ付きアコギ/セミアコを9207にしてしまう
    • なぜ起きる:「電気を使う=電気楽器」と思い込みやすい
    • 正しい考え方:ギター等は電子的増幅があっても9202から除外されない場合があり、共鳴箱のないギター等が9207の例として示されています。
    • 予防策:
      • 共鳴箱の有無、アンプ必須性
      • 音が生楽器として成立するか(仕様・構造)
  3. 間違い:外付けアンプ・マイク等を楽器本体(第92類)に含めてしまう
    • なぜ起きる:「楽器セット」=同一分類と誤解
    • 正しい考え方:類注1(b)で、取り付けなし/同一キャビネット内でない音響機器等は第85/90類へ除外されます。
    • 予防策:
      • 梱包状態よりも「取り付け・組込み」を確認
      • セット明細で“別体機器”を分解して分類
  4. 間違い:バイオリン+弓(同梱)を、本体9202・弓9209に分けて申告
    • なぜ起きる:弓は「部品/付属品」と思いがち
    • 正しい考え方:類注2により、弓・ばち等は条件を満たすと本体と同じ項に分類されます。
    • 予防策:
      • 同時提示か、通常数量かを確認
      • カタログの「標準付属品」記載を保存
  5. 間違い:楽器用ケースを別HSで申告してしまう(または逆に、条件未充足なのに本体に含める)
    • なぜ起きる:ケースは“包装”と思う/または“付属品だから必ず同一”と思う
    • 正しい考え方:GIR5(a)で、特定品用に成形・長期使用・同時提示・通常同時販売などの条件を満たすと本体と同じ分類。一方で「全体の重要な特性を与える容器」等は例外があります。
    • 予防策:
      • ケース形状(汎用バッグか、専用成形か)
      • “通常同時販売”か(販売形態・梱包)
  6. 間違い:三脚(譜面台/マイクスタンド等)を9209にしてしまう
    • なぜ起きる:「楽器周辺機器=92類」と誤解
    • 正しい考え方:類注1(d)で、一脚・二脚・三脚等は9620に除外されています。
    • 予防策:
      • “楽器の一部”か、“汎用スタンド類”かを用途・構造で確認
  7. 間違い:電子音源モジュール等を9209(楽器部品)として申告
    • なぜ起きる:「楽器用」=9209と思いがち
    • 正しい考え方:除外例として「電子音楽モジュール(8543)」が挙げられています。機能が“電子機器そのもの”なら第85類を検討。
    • 予防策:
      • 機能説明(音源生成・信号処理・増幅の別)
      • 接続I/F(MIDI、USB等)と単体機器性

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。例えば「楽器(92類)」なのか「音響機器(85類)」なのかで、適用する品目別規則(PSR)の条文・要件が変わり得ます。
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品は92類だが、非原産材料が85類(アンプ・電子モジュール等)に分かれる、など「材料HSの取り違え」でCTH/CTSH判定が崩れる
    • セット品で「セット全体のHS」を誤り、PSR選択がズレる(GIR3/5の見落とし)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定によって採用HS版が異なり、**原産地証明書に記載すべきHSが「協定が参照する版」**である点に注意が必要です(輸入申告は最新HSで行うため、両者がズレる場面があります)。
  • 例(一次情報で確認できる範囲):
    • RCEP:PSRがHS2022に置換された版が示され、2023年1月1日から実施とされています。
    • 日EU・EPA/日英EPA等:HS2017ベースで運用される旨が整理されています(少なくとも日英EPAについてはHS2017採用が明記)。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • 「協定PSRのHS(旧版)」→「輸入申告のHS(新版)」へ変換が必要な場合、税関や協定当局が提供する対照表・運用文書を根拠に対応します(社内で勝手に読み替えない)。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必須データ(例):
    • BOM(材料表)、各材料の原産国、非原産材料のHS(可能なら6桁)、工程フロー、原価(RVC計算がある場合)
    • セット品の場合:セット構成、各構成品の価額・役割(重要な特性)
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 協定ごとに保存期間や必要書類が異なるため、最新版の税関マニュアル・協定本文・運用手続を確認(疑義があれば税関相談/事前教示の活用)。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(HS6桁の移動・分割等の改正セットが確認できない)Chapter 92(92019209WCOのHS2022↔HS2017相関資料上、92xxの移動・新設・削除が見当たらないため、HS6桁レベルの体系変更はないと整理できます。協定参照HS版の違いは別問題として残る(原産地証明・譲許表で要注意)。国内細分は国ごとに更新され得る。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料:
    • WCO HS2022の第92類(条文・見出し・類注)
    • WCOのHS2022↔HS2017相関資料(変更・移動が生じたコード群の対応を示す資料)
  • 上記に基づく説明:
    • HS2022の第92類の見出しは92019209で構成され、欠番[92.03][92.04]を含む点も含めて示されています。
    • 一方、HS2022↔HS2017相関資料において、第92類(92xx)に関する分割・統合・移動等の記載が確認できないため、HS2017→HS2022で第92類のHS6桁体系が変更されたとは読み取れません(=変更なし整理)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第92類は、HS2022時点での見出し(92019209)自体は大きくは変わっていない一方、類注の除外範囲見出し文言が過去改正で調整されています(実務上はここが効きます)。

版の流れ主要な追加・削除・再編(例)旧コード→新コード(または扱い)実務メモ
HS2007→HS201292.05見出し文言が「Other wind…」から、例示追加+「見世物オルガン/機械式街頭オルガン除外」を含む形へ調整コード自体(9205)は維持、見出し解釈が明確化92059208の境界(見世物/機械式オルガン)がより明確に
HS2012→HS2017以降(注:ここではHS2022条文との差分で確認)類注1(d)の除外に「一脚、二脚、三脚…(96.20)」が追加(除外先)9620への言及追加譜面台/スタンド類の誤分類が起きやすいので注意
HS2017→HS2022変更なし(上記7章参照)HS版差(協定・国内細分)は残る

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):外付けアンプを楽器(92類)に含めて申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):類注1(b)(取り付けなし/同一キャビネット外の音響機器は第85/90類)
    • 起きやすい状況:ギター+アンプの「初心者セット」で、インボイス品名がまとめ書き
    • 典型的な影響:修正申告、税番更正、必要に応じ追加納税、検査強化・遅延(一般論)
    • 予防策:セット明細を分解し、取り付け有無・筐体内蔵有無を写真/仕様書で説明
  • 事例名:バイオリン同梱の弓を9209として別申告
    • 誤りの内容:類注2(同時提示・通常数量の弓等は本体と同一項)
    • 起きやすい状況:物流でSKUが分かれており、システム上別行で申告
    • 影響:税番の整合性指摘、補正資料要求(一般論)
    • 予防策:標準付属品であることをカタログ・梱包写真で提示
  • 事例名:譜面台/マイクスタンドを9209で申告
    • 誤りの内容:類注1(d)(一脚/三脚等は9620
    • 起きやすい状況:楽器販売店が「付属品」として一括出荷
    • 影響:分類更正、関税・統計のやり直し(一般論)
    • 予防策:スタンド類はまず9620を当て、楽器との関連は二次的に扱う
  • 事例名:楽器用の汎用ねじを9209で申告
    • 誤りの内容:類注1(a)+第15部注2(parts of general use の除外)
    • 起きやすい状況:部品表が「楽器用ねじ」としか書かれていない
    • 影響:税番更正、説明不足による通関遅延(一般論)
    • 予防策:規格・寸法・汎用性(他用途に使えるか)を図面で説明

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 楽器そのものは一般にSPSの中心ではありませんが、動植物由来素材(例:皮革、木材、骨等)を含む場合は、別法令(動物検疫・植物防疫など)が関係する可能性があります。個別素材で確認が必要です(一般論)。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • CITES対象素材を使用した楽器(部品・付属品含む)の輸出入は、原則として輸出国当局のCITES許可書等が必要で、種によっては日本側での輸入承認/事前確認が必要とされています。
    • 海外公演等で携帯して持ち出し・持ち帰りする場合は、条件を満たすと「楽器証明書制度」を使える旨が案内されています(非商業目的で、販売・譲渡目的でない等)。
    • 実務メモ:商流(販売・譲渡を伴う商業輸出入)と、演奏家の携帯(非商業)では手続が変わるため、目的を明確にして制度を選びます。
  • 電気用品安全法(PSE)等(電気/電子楽器に関係)
    • METIの「特定電気用品以外の電気用品(341品目)」の一覧に**「電子楽器」**が掲げられており、電子楽器は仕様によって電安法の対象となり得ます。
    • 電安法は改正・運用更新があり得るため、METIの電安法ポータルや手引書で最新の手続・対象範囲(型式区分等)を確認してください。
  • 電波法(無線機能付き機器:Bluetooth、無線送受信等)
    • 楽器に無線機能(例:Bluetooth MIDI、無線送信機内蔵等)がある場合、電波法上の適合(技適等)の確認が必要になり得ます(一般論)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • CITES(経済産業省):楽器証明書制度、輸出入手続、FAQ
    • 電安法(経済産業省):電気用品安全法ポータル/手引書
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書(電源・無線・材質)、構成部材の材質証明、写真、回路/構造説明、CITES関連書類(該当時)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 何の楽器か(弦/管/打/鍵盤/機械式/信号用等)
    • 音の生成方式:電気がないと演奏できるか
    • 取り付け・内蔵:アンプ/マイク/スピーカー等が別体か同一キャビネット内か
    • 部品の場合:汎用金具(parts of general use)該当性、電子機能部の有無
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注1の除外に当たらないか(85/90類、玩具、三脚、収集品等)
    • 類注2(弓/ばち等同梱)や、カード/ディスク/ロール別扱いを踏んでいないか
    • ケースがGIR5(a)で本体同一分類になるか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • セット内容を分解して品名・型番・数量を明記
    • 写真、仕様書、カタログ、構造説明(内蔵/別体)を準備
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版を確認(原産地証明書のHS)
    • BOM(非原産材料のHS含む)、工程、原価データを保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • CITES対象素材がないか(該当時は許可書・承認手続)
    • 電子楽器はPSE対象となり得る(製品仕様で判断)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO, HS Nomenclature 2022, Chapter 92(1892_2022e) (参照日:2026-03-01)
    • WCO, General Rules for the Interpretation of the Harmonized System(0001_2022e-gir) (参照日:2026-03-01)
    • WCO, HS Nomenclature 2022, Section XV Notes(parts of general use 定義) (参照日:2026-03-01)
    • WCO/Customs, HS2022↔HS2017 相関資料(HS2022-HS2017) (参照日:2026-03-01)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関「関税率表解説 第92類(92r.pdf)」 (参照日:2026-03-01)
    • 税関「関税率表の解釈に関する通則(tuusoku.pdf)」 (参照日:2026-03-01)
    • 税関「EPA原産地規則マニュアル(epa.pdf)」 (参照日:2026-03-01)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • 税関(RCEP)Product-Specific Rules(HS2022版、実施日記載あり) (参照日:2026-03-01)
    • JETRO「経済連携協定の利用」(協定ごとのHS年版差の注意) (参照日:2026-03-01)
    • JETRO「日英EPA」資料(HS2017採用の明記) (参照日:2026-03-01)
  • 規制(日本)
    • 経済産業省:ワシントン条約(CITES)手続・楽器証明書制度 (参照日:2026-03-01)
    • 経済産業省:電気用品安全法(電安法)ポータル/非特定電気用品リスト(「電子楽器」含む) (参照日:2026-03-01)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。