HS2022 第21類:各種調製食料品 Miscellaneous edible preparations

用語(本資料内で統一します):類=Chapter、項=Heading 4桁、号=Subheading 6桁、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • インスタントコーヒー(コーヒー抽出物・濃縮物)や、そのベースとなる濃縮エキス(2101)
    • ベーカーズイースト等の酵母(活性/不活性)やベーキングパウダー(2102)
    • しょうゆ、トマトケチャップ、各種ソース、混合調味料(2103)
    • スープストック、ブイヨン、粉末スープなど(2104)
    • ベビーフードのうち要件を満たす「均質化複合調製食料品」(2104.20)
    • アイスクリーム、シャーベット等の食用氷(2105)
    • たんぱく濃縮物、テクスチャードプロテイン、その他の「他に特掲されない食品調製品」(2106)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 乾燥混合野菜(例:乾燥スープミックスの具材だけ)→ 0712(乾燥野菜)(wcoomd.org)
    • コーヒー豆、焙煎コーヒー代用品でコーヒーを含むもの → 0901(コーヒー)(wcoomd.org)
    • 香味を付けた茶(フレーバーティー)→ 0902(茶)(wcoomd.org)
    • スパイス単品や混合スパイス(概ね「香辛料」の範囲)→ 0904〜0910(wcoomd.org)
    • 21.03/21.04以外で、肉・魚介・昆虫などが重量20%超の食品調製品 → 第16類(1601〜1605等)に飛ぶ可能性(wcoomd.org)
    • 禁煙補助等のニコチン製品(HS2022で整理されたもの)→ 2404(wcoomd.org)
    • 医薬品としての酵母(医薬品扱いのもの)→ 3003/3004(wcoomd.org)
    • 調製酵素 → 3507(wcoomd.org)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「他に特掲されない食品調製品」2106に入れたくなる前に、注の除外と他章の特掲を全部確認する(2106は“最後の受け皿”)。(wcoomd.org)
    2. 肉・魚介・昆虫等が重量20%超か(ただし21.03/21.04は例外で残り得る)。(wcoomd.org)
    3. ベビーフードが2104.20の定義に当てはまるか(均質化、用途、容器重量250g以下など)。(wcoomd.org)
  • この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 健康食品・サプリ・栄養補助食品を、食品(2106)として扱うか、医薬品(3004等)寄りかで、規制・表示・税率・審査が変わりやすい
    • RCEP/CPTPP等のPSRがHS版(HS2012/2017/2022)で違う場合、コードの取り違えが原産性判断を崩します。(財務省関税局)

1. 区分の考え方

1-1. 分類の基本ルール

  • この類で特に効くGIR(一般論)
    • GIR1(見出し+注で決める):第21類は、類注の除外(例:乾燥混合野菜、香辛料、2404、医薬品、調製酵素、そして「肉・魚介・昆虫20%超」など)が強く効きます。(wcoomd.org)
    • GIR3(混合物・調製品):ソース、シーズニング、粉末飲料、複合食品は混合物が多いので、どの性質が“本質”か(又は特掲があるか)を確認します。
    • GIR6(6桁は同列比較):2101.11/2101.12、2104.10/2104.20、2106.10/2106.90など、6桁内の分岐は用途・性状・表示で詰めます。(wcoomd.org)
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 成分(配合比、重量%):特に「肉・魚介・昆虫20%超」判定、たんぱく濃縮かどうか
    • 状態・加工度:抽出物・濃縮物か、粉末ミックスか、最終食品か
    • 用途・表示:ソース用途、スープ用途、乳幼児用・食餌療法用、禁煙補助、医薬的効能表示の有無
    • 形状・包装:瓶詰/小袋/スティック、2104.20の“容器重量250g以下”など (wcoomd.org)

1-2. 判定フロー

  • Step1:食用の「調製品」か
    • 食品用途で、通常の食用形態(粉末、ペースト、液体、固形)か
    • 医薬的効能が前面に出る/投与量が医薬品形態なら第30類の可能性
  • Step2:第21類の中の特掲(2101〜2105)に当たるか
    • コーヒー/茶/マテの抽出物(2101)
    • 酵母・ベーキングパウダー(2102)
    • ソース・混合調味料(2103)
    • スープ・均質化複合調製食料品(2104)
    • アイスクリーム等(2105)(wcoomd.org)
  • Step3:当たらなければ2106を検討
    • ただし「他に特掲されない」前提なので、第16/17/18/19/20/22/23/30/35/24.04等の可能性を先に潰す
    • とくに類注の除外(0712、0901/0902/0904-0910、2404、3003/3004、3507、そして20%ルール)をチェック (wcoomd.org)
  • よく迷う境界
    • 第21類 vs 第9類:フレーバーティー、スパイス、コーヒー代用品(コーヒー含有)(wcoomd.org)
    • 第21類 vs 第16類:肉・魚介・昆虫の含有率が高い複合食品(20%超)(wcoomd.org)
    • 第21類 vs 第30類:サプリ/禁煙補助/健康食品の“医薬品性”
    • 第21類 vs 第22類:飲料(完成品)か、飲料用調製品(ベース)か

2. 主な項 4桁 とその内容

2-1. 4桁項の主なもの一覧表

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2101コーヒー・茶・マテの抽出物等/それらを基にした調製品/焙煎チコリー等インスタントコーヒー粉、コーヒー濃縮液、紅茶エキス、チコリーコーヒー「焙煎コーヒー代用品でコーヒー含有」は0901に寄り得る点に注意。抽出物は2101側に戻る場合あり。(wcoomd.org)
2102酵母(活性/不活性)等、死滅単細胞微生物、ベーキングパウダードライイースト、栄養酵母、ベーキングパウダーワクチン(3002)は除外。医薬品としての酵母は3003/3004。(wcoomd.org)
2103ソース等、混合調味料、マスタードしょうゆ、ケチャップ、焼肉のたれ、粉末シーズニングスパイス単体/混合スパイスは第9類へ。混合調味料でも「香辛料の範囲」か「調味料」かを吟味。(wcoomd.org)
2104スープ・ブロス等/均質化複合調製食料品粉末スープ、ブイヨン、ベビーフード(ピューレ)2104.20は定義が厳格(用途・均質化・容器重量250g以下等)。(wcoomd.org)
2105アイスクリーム等の食用氷アイスクリーム、ソルベ、かき氷用氷菓「アイスの素(粉末)」などは通常2105ではなく原材料側(例:1901/2106等)を疑う。
2106他に特掲されない食品調製品たんぱく濃縮物、テクスチャードプロテイン、各種食品ベース2106は“最後の受け皿”。除外(2404、3006.93等の移転を含む)や第16類20%ルールに注意。(wcoomd.org)

上表の見出し構成はHS2022条文(第21類の項・号)に基づき整理しています。(wcoomd.org)

2-2. 6桁号で実務上重要な分岐

  • 分岐条件の整理
    • 2101(抽出物 vs 調製品)
      • 抽出物・エッセンス・濃縮物そのもの → 2101.11(コーヒー)/2101.20(茶・マテ)
      • 「抽出物を基にした調製品」や「コーヒーを基にした調製品」 → 2101.12
      • 焙煎チコリー等・焙煎代用品とその抽出物等 → 2101.30
      • 必要情報:原材料(コーヒー豆/抽出物/糖/乳等)、製造工程(抽出の有無)、用途表示(飲料ベースか)(wcoomd.org)
    • 2102(活性 vs 不活性)
      • パン酵母等(発酵能がある)→ 2102.10
      • 栄養酵母等(不活性)・死滅単細胞微生物 → 2102.20
      • ベーキングパウダー → 2102.30
      • 必要情報:製品規格書(生菌/死菌、発酵力)、用途(製パン/栄養補助/培地等)(wcoomd.org)
    • 2103(しょうゆ等の特掲 vs その他)
      • しょうゆ → 2103.10
      • ケチャップ等トマトソース → 2103.20
      • マスタード → 2103.30
      • その他ソース・混合調味料 → 2103.90
      • 必要情報:主原料、味付けの目的(ソース/シーズニング)、スパイスだけの混合か(第9類との境界)(wcoomd.org)
    • 2104(スープ類 vs 均質化複合調製食料品)
      • スープ・ブロス・その調製品 → 2104.10
      • 均質化複合調製食料品 → 2104.20(定義に合うかが全て)
      • 必要情報:容器の正味重量(250g以下か)、対象(乳幼児/食餌療法)、均質化の程度(目視で粒が残るか)(wcoomd.org)
    • 2106(たんぱく濃縮物・テクスチャード vs その他)
      • たんぱく濃縮物・テクスチャードプロテイン → 2106.10
      • その他 → 2106.90
      • 必要情報:たんぱく含有率、原料(大豆/えんどう/乳等)、形状(粒状・繊維状・肉代替用)、用途(一般食品原料か)(wcoomd.org)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    • 2101.11 vs 2101.12
      • どこで分かれるか:抽出物そのものか、抽出物やコーヒーを“基にした調製品”か
      • 判断に必要な情報:配合表(糖・乳・香料等の添加)、最終用途(そのまま溶かして飲める等)
      • 典型的な誤り:「インスタント飲料=全部2101.11」と決め打ちする (wcoomd.org)
    • 2102.10 vs 2102.20
      • どこで分かれるか:活性(発酵能)か不活性か
      • 判断に必要な情報:規格書、検査成績(生菌数等)、製造(乾燥・失活)
      • 典型的な誤り:「ブリューワーズイースト=活性」と思い込む (wcoomd.org)
    • 2104.10 vs 2104.20
      • どこで分かれるか:2104.20の厳格な定義に合うか(用途・均質化・容器重量)
      • 判断に必要な情報:ラベル、容器重量、対象年齢表示、物性(ペースト状で均質か)
      • 典型的な誤り:ベビーフード全般を2104.20に寄せる (wcoomd.org)
    • 2106.10 vs 2106.90
      • どこで分かれるか:たんぱく濃縮物/テクスチャードプロテインに該当するか
      • 判断に必要な情報:成分分析(たんぱく比率)、用途(肉代替等)、加工状態
      • 典型的な誤り:プロテイン入り菓子やサプリを全部2106.10にする(実態は“その他”のことも)(wcoomd.org)

3. 部注と類注の詳細解釈 条文から実務的な意味

3-1. 関連する部注

  • ポイント要約:
    • 第21類が属する第IV部には「ペレット」の定義があり、結合剤の添加割合が重量3%以下などの条件が示されています(第IV部内で“ペレット”という語が出る場合の共通理解)。(wcoomd.org)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:ブイヨンやだしの固形キューブ/粒状品について、商品説明で“pellets(粒状)”と表現されることがあります。定義に合うかは、製造方法・結合剤割合などの確認材料になります。(wcoomd.org)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第IV部注よりも、実務上は**第21類類注(下記3-2)**の除外規定の方が「他章に飛ぶ」場面が多いです(第9類・第16類・第24類・第30類・第35類)。(wcoomd.org)

3-2. この類の類注

  • ポイント要約:
    • 第21類は、類注で次を明確に除外します:
      • 乾燥混合野菜(0712)
      • コーヒーを含む焙煎代用品(0901)
      • 香味を付けた茶(0902)
      • 香辛料(0904〜0910)
      • 21.03/21.04以外で、肉・魚介・昆虫等が重量20%超の食品調製品(第16類)
      • 2404(ニコチン製品)
      • 医薬品としての酵母(3003/3004)
      • 調製酵素(3507)(wcoomd.org)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • **均質化複合調製食料品(2104.20)**は、用途(乳幼児用・食餌療法用等)、均質化の程度、容器の正味重量(250g以下)など複数要件で定義されます。(wcoomd.org)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • とくに重要:肉・魚介・昆虫などが重量20%超(ただし21.03/21.04は例外)→ 第16類。(wcoomd.org)
    • HS2022で整理された**2404(ニコチン関連製品)**は第21類から除外。(wcoomd.org)

4. 類注が分類に与える影響

  • 影響ポイント1:肉・魚介・昆虫など重量20%超で第16類に飛ぶ
    • 何を見れば判断できるか:
      • 配合割合(重量%):肉、内臓、血、昆虫、魚、甲殻類、軟体動物等の合計が20%を超えるか(wcoomd.org)
      • 対象品が**21.03(ソース等)または21.04(スープ等)**に該当するか(ここは例外扱い)(wcoomd.org)
    • 現場で集める証憑:
      • レシピ/配合表、BOM、原材料規格書
      • 製造工程図(肉エキス添加のタイミング等)
      • ラベル表示(原材料名・含有量表示があれば)
    • 誤分類の典型:
      • 肉エキス入りの複合調味料を「食品調製品2106」で申告してしまい、20%超で第16類指摘を受ける
  • 影響ポイント2:焙煎コーヒー代用品の扱い
    • 何を見れば判断できるか:
      • 「焙煎代用品(例:チコリー等)」にコーヒーが含まれるか(含まれる場合、代用品そのものは0901側に寄る)(wcoomd.org)
      • ただし、その抽出物等は2101に分類され得る(例外の戻し)(wcoomd.org)
    • 現場で集める証憑:
      • 原材料配合、焙煎の有無、抽出工程の有無、製品仕様(抽出物かどうか)
    • 誤分類の典型:
      • コーヒーを少量含む代用コーヒーを、2101.30(焙煎代用品)として固定してしまう(実態は0901側を検討要)
  • 影響ポイント3:2104.20 均質化複合調製食料品の定義
    • 何を見れば判断できるか:
      • 対象用途(乳幼児用、食餌療法用)
      • 均質化の程度(ほぼ均一で、微小な具は許容され得る)
      • 容器の正味重量が250g以下か(wcoomd.org)
    • 現場で集める証憑:
      • パッケージ(内容量表示)、商品カタログ、用途説明
      • サンプル写真(中身の状態)
    • 誤分類の典型:
      • 300gの大容量ベビーフードを2104.20としてしまう

5. 分類でよくある間違い 原因→対策

  1. 間違い:とりあえず2106(その他の食品調製品)に入れる
    • なぜ起きる:品名が「〇〇ミックス」「〇〇ベース」で、見出しが分かりにくい
    • 正しい考え方:2106は「他に特掲されない」前提。類注の除外(第9類、2404、3003/3004、3507、20%ルール等)と、他章の特掲を先に潰す。(wcoomd.org)
    • 予防策:配合表・用途・包装形態・広告表示を必ず揃え、候補章を逆引きで潰す(第19類、22類、30類なども同時に検討)
  2. 間違い:混合調味料を全部「香辛料(第9類)」にする
    • なぜ起きる:見た目が粉末でスパイスっぽい
    • 正しい考え方:類注で「香辛料(0904〜0910)」は第21類から除外されますが、ソース/混合調味料としての性格が強い場合は2103を検討します(配合と用途が鍵)。(wcoomd.org)
    • 予防策:スパイス単体か、塩・糖・うま味調味料等を含む“調味料製品”かを配合表で整理。用途(料理の味付け/テーブル用)も確認
  3. 間違い:肉エキス入りの複合食品を2106にしてしまう
    • なぜ起きる:「調味ベース」なので食品調製品と思い込む
    • 正しい考え方:21.03/21.04以外の食品調製品で、肉・魚介・昆虫等が重量20%超なら第16類に飛ぶ可能性があります。(wcoomd.org)
    • 予防策:肉・魚介・昆虫等の重量%をレシピで必ず算出(原材料の含水差にも注意)。20%前後なら分析・証憑を厚く
  4. 間違い:フレーバーティーを2106や2101にしてしまう
    • なぜ起きる:香料入り=“調製”と捉える
    • 正しい考え方:類注で「香味を付けた茶」は0902に除外されています。(wcoomd.org)
    • 予防策:原料が茶葉主体で香味付けか、抽出物・濃縮物かを工程で確認
  5. 間違い:ベビーフードを一律2104.20にする
    • なぜ起きる:乳幼児用=2104.20と短絡
    • 正しい考え方:2104.20は用途だけでなく、均質化・容器重量250g以下等の定義要件があります。(wcoomd.org)
    • 予防策:SKUごとに内容量と中身の状態(均質化)を確認。容器サイズ違いでコードが変わり得る前提で管理
  6. 間違い:禁煙補助のニコチン製品を「食品(2106)」扱いする
    • なぜ起きる:ガム/タブレット等で“食品っぽい”
    • 正しい考え方:HS2022では、禁煙補助等のニコチン関連製品が2404へ移ったことで、2106.90の範囲が狭くなった旨が相関表で示されています。(財務省関税局)
    • 予防策:成分(ニコチン有無)と用途(禁煙補助等)を必ず確認し、2404や医薬品(30類)可能性も含めて整理

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSRの関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します
    • 例:同じ「粉末ミックス」でも、2106なのか1901なのかでPSR(CTH/CTSH/RVC等)が変わり、原産性判断の前提が崩れます。
  • よくある落とし穴
    • 原材料(非原産材料)のHSがズレていてCTC判定が崩れる
    • 最終品を「とりあえず2106」にした結果、PSRが本来より厳しくなる/緩くなる
    • 工程要件(ブレンド等)を満たすと誤解してしまう

6-2. 協定が参照するHS版の違い

  • 協定によって、採用しているHS版(HS2002/2007/2012/2017/2022等)が異なります。日本税関のPSR検索ページでも、協定のHS版で検索すべきこと、輸入申告は最新HSを使うことが注意喚起されています。(財務省関税局)
  • 例(一次資料で確認できるもの)
    • CPTPP:PSR表に「HS Classification (HS2012)」と明記されています。(内閣府)
    • 日EU・EPA:PSR(Annex 3-B)の列見出しに「Harmonized System classification (2017)」と明記されています。(外務省)
    • RCEP:日本の運用として、2023年1月1日以降、PSRはHS2022版で運用する一方、税率差ルール関係の付属書I付録は(最終版が整うまで)HS2012を継続適用する旨が経産省ページに明記されています。(経済産業省)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • まず「協定が採用するHS版」でPSRを確定
    • そのうえで、輸出入実務で使う最新HS(例:HS2022)へ、WCO相関表等で対応付け
    • 対応付けが1:1でない(分割/統合/範囲変更)場合は、協定本文・当局ガイダンスに沿って判断(必要なら税関照会)

6-3. 実務チェック 原産性判断に必要なデータ

  • 揃えるべきデータ(最低限)
    • 材料表(BOM)、原価、工程フロー
    • 産品のHS6桁(最終製品)と、非原産材料のHS6桁
    • 仕入先・原産国、原材料仕様書、配合割合
    • RVC計算の前提(EXW/FOB、控除項目)
  • 証明書類・保存(一般論)
    • 原産地証明書または自己申告の根拠資料
    • 監査に耐えるよう、品目分類根拠(注・類注・比較表)もセットで保存

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い

7-1. 変更点サマリー

比較変更タイプ該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更2106.902106.90の範囲が狭くなった(禁煙補助等のニコチン製品が新設2404へ移転、臨床試験キット等が3006.93へ移転、食用昆虫が一定条件で第16類へ移転など)(財務省関税局)2106.90に“入っていたと思っていた商品”が他章へ移る可能性。過去判定の棚卸しが必要
HS2017→HS2022範囲変更第21類類注の運用第21類類注で、肉・魚介等の20%ルールに「昆虫」が含まれ、かつ2404除外等が明確化(wcoomd.org)食用昆虫を含む複合食品、禁煙補助品の分類が変わり得る

7-2. 違うことになった根拠

  • 参照した根拠資料
    • WCO作成のHS2017→HS2022相関表(日本税関サイト掲載PDF)にて、2106.90の範囲が新設2404・新設3006.93等への移転により狭くなった旨が明記されています。(財務省関税局)
    • HS2022 第21類類注で、2404の除外および**肉・魚介・昆虫等20%超の除外(第16類)**が規定されています。(wcoomd.org)
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか
    • 相関表の「2106.90」行の備考に、移転理由(2404への移転、3006.93への移転、昆虫の移転等)が列挙されているため、コード自体(2106.90)は存続しても、対象範囲が縮小したと判断できます。(財務省関税局)
    • 併せて、HS2022の第21類類注で2404除外が明確に書かれているため、実務上も2106側に残さない整理が必要です。(wcoomd.org)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第21類は、HS2007→2012→2017の期間では、WCO相関表(改正があるコードのみを列挙する形式)上、6桁レベルの第21類改正が特に見当たらないため、大枠の構造(2101〜2106)は比較的安定してきたと整理できます。(財務省関税局)

一方、HS2017→2022では、2106.90の範囲縮小という「コード自体は同じでも対象が動く」タイプの変更が示されています。(財務省関税局)

版の移行第21類の主要な見え方旧コード→新コードの例
HS2007→HS2012(相関表上)第21類の6桁改正の目立った記載なし (財務省関税局)主要なコード番号レベルでは大きな移動が目立たない
HS2012→HS2017(相関表上)第21類の6桁改正の目立った記載なし (財務省関税局)同上
HS2017→HS20222106.90の範囲縮小(2404、3006.93、昆虫関連の移転など) (財務省関税局)例:禁煙補助等ニコチン製品が2404へ(2106.90から外れる)

9. 類注違反による通関トラブル 想定事例

  • 事例名:肉エキス入り「万能だし粉」を2106で申告
    • 誤りの内容:21.03/21.04以外で、肉等が重量20%超 → 第16類へ、という除外に抵触 (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:品名が「だし」「シーズニング」で、スープ(2104)か食品調製品(2106)かを曖昧にした
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、成分確認のための検査・遅延
    • 予防策:レシピで重量%を算出し、2104に当たるか、当たらない場合は20%ルールで第16類に飛ぶかを事前整理
  • 事例名:フレーバーティーを「調製品」扱いで第21類申告
    • 誤りの内容:「香味を付けた茶」は第9類(0902)へ除外 (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:ティーバッグに香料・果皮等を加えており、加工度が高いと誤認
    • 典型的な影響:差し戻し、分類補正、原産地規則の再計算
    • 予防策:茶葉主体か、抽出物主体かを工程と配合で確認
  • 事例名:ベビーフードの大容量品を2104.20で申告
    • 誤りの内容:2104.20は容器重量250g以下等の定義要件に抵触 (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:同一ブランドで小容量(2104.20相当)と大容量が混在
    • 典型的な影響:品番ごとの再分類、書類差替え、通関遅延
    • 予防策:SKU単位で内容量・用途表示・均質化の程度をチェックし、マスターを分ける
  • 事例名:禁煙補助のニコチンガムを2106申告
    • 誤りの内容:HS2022で2404に移るタイプの品を2106.90に残してしまう (財務省関税局)
    • 起きやすい状況:食品のガムと同じノリで処理
    • 典型的な影響:規制当局対応(成分・用途確認)、分類更正
    • 予防策:ニコチン含有の有無、用途(禁煙補助等)を規格書で確認し、2404/30類も含めて整理

10. 輸出入規制事項 コンプライアンス観点

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 食品衛生法に基づく輸入届出:食品等を業として輸入する場合、原則として都度の輸入届出が必要で、届出済みであることの確認が輸入許可に関係します。(mhlw.go.jp)
    • 動物検疫(該当する場合)
      • 肉製品等の持込み・輸入には検査証明書や検査が必要となる旨が案内されています(対象品目は個別確認が必要)。(財務省関税局)
    • 植物検疫(該当する場合)
      • 植物・植物由来原料(香辛料原料等)は、状態によって検疫対象になり得ます。(農林水産省)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
    • 食品衛生(輸入届出):厚生労働省(MHLW)輸入食品監視関連ページ (mhlw.go.jp)
    • 税関手続:税関(食品衛生法の届出確認の流れ等)(財務省関税局)
    • 動物検疫:農林水産省 動物検疫所(AQS)(農林水産省)
    • 植物検疫:植物防疫所(Plant Protection Stations)(農林水産省)
  • 実務での準備物(一般論)
    • 原材料一覧、配合割合、製造工程、成分規格
    • ラベル案(日本語表示の要否)
    • 食品衛生法の輸入届出書類、検査成績書(必要な場合)
    • 動物由来原料を含む場合の衛生証明書等(必要な場合)

11. 実務チェックリスト 分類→通関→原産地→規制

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 配合表(重量%)、原材料規格書、用途、形状、包装形態、製造工程
    • 「肉・魚介・昆虫等」の含有割合(20%判定用)
    • ベビーフードなら内容量(250g以下か)と均質化の状態
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注の除外(0712、0901/0902/0904-0910、2404、3003/3004、3507、20%ルール)を再点検 (wcoomd.org)
    • 2106にした場合は「他に特掲されない」の確認記録を残す
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスの品名が「food preparation」だけになっていないか(具体名+用途+主要成分)
    • 規格書・成分表・カタログを添付できる状態か
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が採用するHS版でPSRを確認(CPTPPはHS2012等)(内閣府)
    • HS版の違いがある場合は相関表でトランスポーズし、根拠を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品衛生法の輸入届出要否の確認 (mhlw.go.jp)
    • 動物由来原料・植物由来原料の検疫対象確認 (農林水産省)

12. 参考資料 出典

  • WCO
    • HS Nomenclature 2022 第21類(各種調製食料品)の条文PDF(類注・号の構成)(wcoomd.org)(参照日:2026-02-17)
    • HS Nomenclature 2022 第IV部 部注(pellets定義)(wcoomd.org)(参照日:2026-02-17)
  • 日本 税関・公的機関
    • WCO相関表 HS2022→HS2017(日本税関サイト掲載)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • WCO相関表 HS2017→HS2012(日本税関サイト掲載)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • WCO相関表 HS2012→HS2007(日本税関サイト掲載)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • 税関「品目別原産地規則」検索ページ(HS版の違いに関する注意喚起、相関表リンク)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • 厚生労働省 輸入食品の手続(食品衛生法の輸入届出)(mhlw.go.jp)(参照日:2026-02-17)
    • 税関(東京税関)食品衛生法に関する案内(届出→税関提出の流れ)(財務省関税局)(参照日:2026-02-17)
    • 農林水産省 動物検疫所(動物・肉製品の持込み/輸入検査案内)(農林水産省)(参照日:2026-02-17)
    • 農林水産省 植物防疫所(植物検疫の概要)(農林水産省)(参照日:2026-02-17)
    • 経済産業省 RCEPの原産地証明手続(2023年以降PSRはHS2022等)(経済産業省)(参照日:2026-02-17)
  • FTA/EPA本文・付属書
    • CPTPP(TPP)Annex 3-D Product-Specific Rules of Origin(HS2012明記)(内閣府)(参照日:2026-02-17)
    • Annex 3-B Product Specific Rules of Origin(HS2017明記、外務省PDF)(外務省)(参照日:2026-02-17)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。