HS2022 第94類:家具、寝具、照明器具及びプレハブ建築物(Furniture: bedding…: luminaires…: prefabricated buildings)

  • 用語(この文書内の呼び方を統一します)
  • 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 椅子・ソファ・オフィスチェア等の「腰掛け」(9401)
    • 医療・歯科・理髪向けの専用家具(手術台、診察台、理髪椅子等)(9402)
    • 収納家具・テーブル・台所家具・寝室家具など「その他の家具」(9403)
    • マットレス、布団、枕、寝袋などの寝具類(9404)
    • 天井灯、壁付け灯、デスクライト、クリスマス用ライト(電飾)や発光サイン等(9405)
    • 工場で完成/要素として提示され現地組立するプレハブ建築物(木製、鋼製モジュール等)(9406)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 空気・水を入れて使うマットレス/枕/クッション:第39類・第40類・第63類(類注1(a))
    • 床置き用の鏡(姿見など):70.09(類注1(b))
    • 蝶番・取手・錠前・ねじ等の「はん用性の部分品」:第15部(部注2の定義)や83類等(類注1(d))
    • 電球・LEDランプ・LEDモジュール等の「光源そのもの」:第85類(類注1(f))
    • 歯科用機器を組み込んだ歯科用椅子等:90.18(類注1(ij))
    • 三脚・一脚(モノポッド等):96.20(類注1(m))
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • 「家具(9401〜9403)」として扱えるか:床・地面に置いて使う設計が原則(類注2)。例外(壁付け棚等)もあります。
    • 「照明器具(9405)」か「光源(第85類)」か:**器具(ルミネア)光源(LEDランプ/モジュール等)**を分けて考えます。
    • 「プレハブ建築物(9406)」か「建材・部材」か:建築物として一式提示か、部材が単独提示かで分かれます。
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • LED照明:9405(器具)と85類(光源)の取り違えで、税率だけでなく電気用品安全法(PSE等)対応の社内手順が噛み合わないことがあります(分類そのものは別ですが、実務上の影響が大きい)。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(品名+部注/類注):第94類は類注(特に注1〜4)が強力で、まずここで「入る/除外」を決めます。
    • GIR2(a)(未組立・分解状態):フラットパック家具など、分解・未組立でも「部品一式で提示」される場合、完成品として扱うのが基本です(国内解説でも明記)。
    • GIR6(6桁の分岐):HS2022では9405(照明)がLED対応で細分化され、6桁の選択が実務上重要です。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 家具:設置形態(床置き/壁付け)、可動性、用途(医療用か一般用か)
    • 寝具:中材(発泡ゴム/プラか、その他か)、空気/水を入れて使うか(除外)
    • 照明:器具光源か、LED専用設計か、太陽光発電(PV)か
    • プレハブ:現地組立の「建築物」一式か、部材単体か、鋼製モジュール(コンテナ形状)か

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:対象物は「家具/寝具/照明器具/発光サイン/プレハブ建築物」のどれですか?
    • 家具・腰掛け → Step2へ
    • 寝具・マットレス等 → Step3へ
    • 照明器具・発光サイン → Step4へ
    • プレハブ建築物 → Step5へ
  • Step2(家具):床・地面に置く設計ですか?(原則)
    • Yes → 9401(腰掛け)/9402(医療等専用)/9403(その他)へ
    • No → 例外(食器棚・本箱・棚付き家具、ユニット家具、腰掛け/寝台)は家具扱いの余地あり。設計・提示形態を確認。
    • なお、家具でも機械の専用部分品(冷凍機器・ミシン等)なら除外の可能性(類注1(e)(g)等)。
  • Step3(寝具):空気/水を入れて使うタイプですか?
    • Yes → 第39類/第40類/第63類の可能性(第94類から除外)
    • No → 9404(マットレス、布団、枕、寝袋等)へ
  • Step4(照明):それは「光源そのもの(電球・LEDランプ・LEDモジュール)」ですか?
    • Yes → 第85類の可能性(第94類から除外)
    • No(器具・本体) → 9405(照明器具/発光サイン/部品)へ。LED専用設計かで6桁が変わる。
  • Step5(プレハブ):建築物として「一式提示」されていますか?
    • Yes → 9406へ(木製/鋼製モジュール/その他)
    • No(部材単体) → 原則として各部材の該当項へ(9406の部品としては扱わない)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 9405(照明器具) vs 第85類(LEDランプ/LEDモジュール等の光源)
    • 9404(寝具) vs 第39/40/63類(エアマット等)
    • 家具の「部分品(9401.91/9403.91等)」 vs ガラス板・石板(第70類/第68類等:類注3(A))
    • 9406(プレハブ) vs “ただの鋼製コンテナ/自立ユニット”(設計要件で分岐)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
9401腰掛け(医療等専用を除く)及び部分品オフィスチェア、ソファ、車両用シート家具の定義(床置き原則)に注意。未組立でも一式提示なら完成品扱いのことが多い。
9402医療・外科・歯科・獣医用家具、理髪いす等及び部分品手術台、診察台、病院用ベッド(機構付き)、理髪椅子歯科用機器を組み込んだ歯科用椅子は90.18へ除外の可能性(類注1(ij))。
9403その他の家具及び部分品食器棚、ワードローブ、キッチンキャビネット、プラ家具壁付け棚等の例外(類注2)を確認。ガラス板・石板は家具部品に含めない(類注3(A))。
9404マットレスサポート、寝具等マットレス、敷布団、掛け布団、枕、寝袋空気/水式は除外(類注1(a))。9404品を家具の部分品として扱わない(類注3(B))。
9405照明器具、イルミネーションサイン等及び部分品LED天井灯、デスクライト、クリスマスライト、発光看板光源(電球・LEDランプ等)は第85類へ(類注1(f))。LED専用設計の有無で6桁が分岐(HS2022)。
9406プレハブ建築物プレハブ住宅、現場事務所、鋼製モジュール建築工場完成または要素一式で提示→9406。部材単体提示は各項へ。鋼製“モジュール建築”は9406.20。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 材質(木製か否か):9401(回転昇降いす/ソファベッド/部分品)、9403(部分品)で「木製」分岐あり。
    • 中材(発泡ゴム/プラか否か):マットレス(9404.21/9404.29)。
    • LED専用設計か否か:照明器具(9405.11/19、.21/29、.31/39、.41/42/49、.61/69)。
    • 太陽光発電(PV)か:9405.41(PVかつLED専用)。
    • 建築物の形態(モジュール建築):9406.20(鋼製モジュール) vs 9406.90(その他)。
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 9405.11(LED専用の天井/壁付け) vs 9405.19(その他)
      • どこで分かれるか:器具が「LED光源のみで使用する設計」かどうか。
      • 判断に必要な情報:取扱説明書(対応光源)、口金/ソケットの有無、LEDモジュール内蔵か、交換式か、製品仕様(適合ランプ)
      • 典型的な誤り:LED電球(光源)を“照明器具”として9405に入れる(実際は第85類の可能性)。
    2. 9405.41(PVかつLED専用)/9405.42(LED専用・PV以外)/9405.49(その他)
      • どこで分かれるか:太陽光発電(PV)の有無+LED専用設計の有無。
      • 判断に必要な情報:電源仕様(ソーラーパネル、蓄電池の構成)、光源仕様、カタログ
      • 典型的な誤り:ソーラー式ガーデンライトを“電気機器(85類)”と早合点(器具として9405側の検討が必要)。
    3. 9406.20(鋼製モジュール建築) vs 9406.90(その他のプレハブ)
      • どこで分かれるか:標準的な輸送用コンテナサイズ/形状で、内部が相当に(又は完全に)設備済みで、複数ユニットを組み合わせ恒久建築物を作る設計か。
      • 判断に必要な情報:設計図、結合方法(連結金具等)、内装/設備の施工状況、プロジェクト仕様(組合せ前提か)
      • 典型的な誤り:単体で完結し、他モジュールと組み合わせ前提でない“鋼製ユニット/コンテナ”を9406.20扱い(除外の考慮が必要)。
    4. 9404.21(発泡ゴム/プラのマットレス) vs 9404.29(その他素材)
      • どこで分かれるか:中材がセル状ゴム/プラスチックか。
      • 判断に必要な情報:材料構成(発泡PU、ラテックス等)、断面、MSDS/SDS、仕様書
      • 典型的な誤り:「ウレタン=ゴム」と決め打ちして誤る(素材定義は技術資料で確認)。
    5. 9404.40(布団・掛け布団・ベッドカバー等) vs 9404.90(その他)
      • どこで分かれるか:品目が“Quilts, bedspreads, eiderdowns and duvets”に該当するか。
      • 判断に必要な情報:商品名だけでなく用途(掛け寝具か)、構造(詰物、カバー)、販売形態
      • 典型的な誤り:寝具一括りで9404.90に寄せる(HS2022で9404.40が新設)。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第94類の類注1(d)は「はん用性の部分品」を除外します。この“はん用性の部分品”の定義は第15部注2にあります。
    • 第15部注2では、配管継手、チェーン、ねじ類(73類など)や、ばね、さらに錠前・金具類(83.01/83.02等)などを「parts of general use」として定義しています。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:家具用の蝶番・取手・金属レール・錠前 → 形状が家具向けでも、原則「はん用性の部分品」側(83類等)で検討し、9403の“家具の部分品”に安易に入れません。
    • 例:照明器具に使う汎用ねじ・ばね → 9405の部分品としてではなく、部注2の扱いを確認します。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 家具部品と称して「ガラス天板」「大理石天板」だけを輸入 → 類注3(A)で家具部品ではなく、ガラス/石材側へ。
    • 家具の金具(蝶番・金属取付具) → 第15部注2の“parts of general use”として第83類等へ。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1:第94類からの除外(空気/水マットレス、床置き鏡、71類、はん用性の部分品、85類の光源等、90.18歯科機器付き椅子、玩具家具、96.20三脚等)。
    • 注2:9401〜9403の物品は原則「床・地面に置いて使用する設計」のものに限る。ただし棚付き家具・ユニット家具、腰掛け/寝台は例外。
    • 注3(A):9401〜9403の“部分品”に、ガラス板・石板等(単独のシート/スラブ)は含めない。
    • 注3(B):9404の物品を「家具の部分品」として9401〜9403に分類しない。
    • 注4:9406の“プレハブ建築物”の定義。HS2022では鋼製モジュール建築も含む旨が明記。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「家具」の実務的定義(国内解説):可動性があり床/地面に置く設計の実用品が中心。ボルト固定設計でも可動性家具とみなす点など、運用上の注意が示されています。
    • 「プレハブ建築物」:工場で完成、または要素として提示され現地組立される建築物。鋼製のモジュール建築(コンテナ形状、内部設備済み、組合せで恒久建築)も含む。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 空気/水式寝具 → 39/40/63(注1(a))
    • 光源(ランプ/LED等) → 85類(注1(f))
    • ねじ・金具等(はん用性の部分品) → 73類/83類等(注1(d)、第15部注2)
    • 歯科機器付き椅子等 → 90.18(注1(ij))

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:類注2(家具の定義:床置き原則+例外)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 設置形態(床置きか、壁固定か)、可動性、用途、提示形態(棚+支持具セットか)
    • 現場で集める証憑:
      • 組立説明書、設置図、取付金具の有無、製品写真、カタログ
    • 誤分類の典型:
      • 壁に掛ける棚板単体(支持具なし)を9403扱いにしてしまう(実際は材質・形状により他類の可能性)。
  • 影響ポイント2:類注3(A)(家具“部分品”から板材を除外)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • その部材が「板(シート/スラブ)単体」なのか、他部材と結合した“部品”形態なのか
    • 現場で集める証憑:
      • 図面(穴加工・金具取付の有無)、加工工程、部品表(BOM)、梱包明細
    • 誤分類の典型:
      • ガラス天板・鏡板(単体)を家具部品として9403.91/9403.99に入れる。
  • 影響ポイント3:類注1(f)+9405(照明器具)と85類(光源)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 製品が「器具(ルミネア)」か「光源(LEDランプ/モジュール)」か。LEDモジュールとLEDランプの区別(口金の有無等)は第85類側の定義も参照。
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書(光源部の構造)、口金/コネクタ、交換方式、電気回路の範囲、適合規格資料
    • 誤分類の典型:
      • “LED照明”という商品名だけで9405に決める(実態がLEDランプ単体の場合がある)。
  • 影響ポイント4:類注4(9406:プレハブ建築物)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 一式提示か、部材単体か。鋼製モジュール建築としての設計(複数ユニット組合せ前提)か。
    • 現場で集める証憑:
      • 出荷形態(セット構成)、設計図、連結方法、内装設備の施工状況、契約仕様書
    • 誤分類の典型:
      • 建築物一式でなく部材単体なのに9406で申告、または組合せ前提でない鋼製ユニットを9406.20で申告。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:エアマットレス(空気注入式)を9404に入れる
    • なぜ起きる:商品名に「マットレス」「ベッド」とあるため
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):類注1(a)で空気/水式の寝具は第94類から除外(39/40/63へ)。
    • 予防策:
      • 確認資料:構造断面、バルブの有無、取説
      • 社内質問例:「空気を入れて使いますか?」「中材は発泡材ですか?」
  2. 間違い:LED電球(口金付き)を9405(照明器具)として扱う
    • なぜ起きる:「LED照明」という表現が広く、器具と光源が混同される
    • 正しい考え方:類注1(f)で“ランプ/光源”は第85類。LEDモジュール/LEDランプの区別も第85類の定義参照。
    • 予防策:
      • 確認資料:口金の有無、交換可能性、製品構成(光源単体か)
      • 社内質問例:「これは器具ですか?それとも電球(光源)ですか?」
  3. 間違い:ガラス天板(単体)を“家具の部分品(9403.91/9403.99)”に入れる
    • なぜ起きる:最終用途がテーブルの天板なので部品に見える
    • 正しい考え方:類注3(A)で、ガラス(鏡含む)や石材等の板(単体)は9401〜9403の部分品に含めない。
    • 予防策:
      • 確認資料:板単体か、金具等と結合されているか、梱包明細
      • 社内質問例:「他の部材と一体ですか?穴加工や金具固定はありますか?」
  4. 間違い:マットレス単体を“ベッド(家具)の部品”として扱う
    • なぜ起きる:「ベッドの一部」という商流上の言い方
    • 正しい考え方:類注3(B)により、9404品は9401〜9403の部分品として扱わない。
    • 予防策:寝具は寝具として個別分類する前提でBOMを整理(ベッドフレーム/マットレスの別明細)
  5. 間違い:フラットパック家具(未組立)を部材ごとに別コードで申告する
    • なぜ起きる:箱が複数で、部材ごとに見える
    • 正しい考え方:分解・未組立でも一式提示なら完成品扱い(GIR2(a)の考え方、国内解説にも言及)。
    • 予防策:
      • 確認資料:セット構成表、梱包リスト、組立説明書
      • 社内質問例:「1セットとして販売されますか?不足部材はありますか?」
  6. 間違い:壁付け収納(ユニット家具要素)を“家具ではない”として別類へ
    • なぜ起きる:床置きでないため家具から外す誤解
    • 正しい考え方:類注2の例外で、棚付き家具やユニット家具は壁付け等でも9403等に分類し得る。
    • 予防策:支持具付き提示か、ユニット要素として提示かを確認
  7. 間違い:歯科用機器を組み込んだ歯科用椅子を9402に入れる
    • なぜ起きる:見た目が「歯科用椅子」そのもの
    • 正しい考え方:類注1(ij)で、歯科用機器を組み込むものは90.18へ。
    • 予防策:機器(スピットン、治療ユニット等)の組込み有無を仕様書で確認
  8. 間違い:鋼製の輸送コンテナ風ユニットを一律に9406.20とする
    • なぜ起きる:HS2022で“モジュール建築”が新設されたため拡大解釈
    • 正しい考え方:9406.20は“モジュール建築ユニット”として組合せ前提等の要件を確認。単体で自己完結し組合せ前提でないものは除外され得る旨の国内解説も参照。
    • 予防策:設計意図(組合せ前提か)、連結構造の有無を必ず確認
  9. 間違い:三脚(撮影用等)を家具の一種として扱う
    • なぜ起きる:スタンド=家具的と誤認
    • 正しい考え方:類注1(m)で三脚等は96.20へ除外。
    • 予防策:用途(撮影/測量等)と構造(雲台等)の確認

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。最終製品のHS(例:9403家具、9405照明器具)を誤ると、参照すべきPSR自体が変わるため原産性判断が崩れます(一般論)。
  • よくある落とし穴(一般論)
    • 「器具(9405)」と「光源(85類)」の取り違え → PSRが別物になる
    • 家具の「部分品」扱い(9403.91/9403.99 等)と完成品(9403.xx)の混同
    • 材料HS(非原産材料)を“社内呼称”で済ませ、正しいHS(6桁)で管理していない

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 日本の輸出入申告など国内手続は、HS2022に基づく表記で行われています。
  • 一方、EPA等の品目別規則は、協定ごとに採用しているHS版が異なる旨が公表されています(日本税関)。
  • RCEPについては、HS2012ベースのPSRをHS2022へ置き換えたPSRが合同委員会で採択され、2023年1月1日から実施とされています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • ①協定の採用HS版を確定 → ②相関表で旧↔新を対応 → ③PSRの適用条文・運用を確認
    • HS2022で新設された6桁(例:9406.20、9404.40、9405のLED細分)は、協定側HS版にない場合があるため、必ず相関で“協定側の行き先コード”に落とします。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必須に近いデータ(一般論)
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS(6桁)、RVC計算の前提
  • 第94類で特に効く資料例
    • 家具:主要材料(木/金属/プラ)、表面材、金具類(parts of general useの扱い)
    • 照明:光源部(LEDモジュール/ランプ/器具)、電源(PV有無)、交換可否
    • プレハブ:一式提示の範囲、モジュール結合設計、内装設備の施工範囲
  • 証明書類・保存要件:協定・輸出入国で異なるため、最新の協定運用ガイドを確認(一般論)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022分割9401.30 → 9401.31/9401.39回転・昇降いすを「木製」「その他」に細分木材/非木材でHS6が変わり、統計・PSR選択に影響
HS2017→HS2022分割9401.40 → 9401.41/9401.49ソファベッド等を「木製」「その他」に細分同上
HS2017→HS2022分割9401.90 → 9401.91/9401.99腰掛けの部分品を「木製」「その他」に細分部品輸出入でHS6の統一管理が必要
HS2017→HS2022分割9403.90 → 9403.91/9403.99家具の部分品を「木製」「その他」に細分家具部品ビジネスでのHS見直しが必須
HS2017→HS2022新設(分割)9404.90 → 9404.40+9404.90掛け布団等(quilts等)を9404.40として独立寝具のHS6が変わる可能性(協定HS版とのズレ注意)
HS2017→HS2022分割(LED対応)9405.10/20/30/40/60 → LED専用・その他へ照明器具・発光サインを「LED専用設計」等で細分LED関連の分類精度が求められ、旧コード運用だとズレが出る
HS2017→HS2022新設9406.20鋼製モジュール建築ユニットを独立コンテナ型建築の分類で要件確認が必須

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料として、(1) WCO公表のHS2017/HS2022の第94類条文(品目表と類注)を比較し、(2) 日本税関のHS2017↔HS2022相関表(改正理由の備考付き)で変更の方向性(分割/新設)を確認しました。
  • 例えば、照明(9405)はHS2022条文上で「Designed for use solely with LED…」のサブヘディングが追加され、HS2017の9405.10/20/30/40/60がLED対応で細分化されています(条文比較)。
  • プレハブ(9406)はHS2022で9406.20(鋼製モジュール建築ユニット)が新設され、類注4にも鋼製モジュール建築が含まれる旨が追記されています。
    • なお、日本税関の相関表の備考欄で“9404.20”と読める箇所がありますが、同じ行で新設コードは9406.20として示され、類注4の追記内容とも整合します(実務上は9406.20の理解で整理するのが自然です)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な流れ(HS6桁)を中心に整理します(コードの“文言修正”は割愛し、実務に効きやすい再編を優先)。

期間主な追加・削除・再編(要旨)旧コード→新コード(代表)コメント
HS2007→HS2012HS6桁レベルの大きな再編は少ない(少なくとも第94類の主要見出し構造は同型)例:9406.00(2007)→9406.00(2012)条文(WCO公表)上、主要見出しは同型。
HS2012→HS2017竹/とう(ラタン)を分ける細分、プレハブの木製区分の新設など9401.51→9401.52/9401.53、9403.81→9403.82/9403.83、9406.00→9406.10/9406.90日本税関の相関表により確認。
HS2017→HS2022木製/その他の区分追加(9401/9403の部分品等)、寝具の新設(9404.40)、LED対応細分(9405)、鋼製モジュール建築(9406.20)9405.40→9405.41/9405.42/9405.49 等セクション7のとおり。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):エアマットレスを寝具(9404)で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):類注1(a)(空気/水式の除外)
    • 起きやすい状況:EC品名が「Air mattress」「エアベッド」だけで、材質・構造情報が不足
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、納期遅延(一般論)
    • 予防策:構造(空気注入か)を事前に仕様書・写真で確定
  • 事例名:ガラス天板を家具部品として申告
    • 誤りの内容:類注3(A)(板材は家具部品に含めない)
    • 起きやすい状況:テーブル部材として同梱されるが、通関書類上は単体部材
    • 典型的な影響:分類変更、課税標準の再計算、通関遅延
    • 予防策:部材の提示形態(結合の有無)を梱包明細で管理
  • 事例名:LED電球を9405で申告
    • 誤りの内容:類注1(f)(光源は85類)
    • 起きやすい状況:「LED照明」としか書いていないインボイス
    • 典型的な影響:分類再判定、規制対応の手戻り(一般論)
    • 予防策:インボイス品名に「lamp/bulb」「luminaire/fixture」を分けて記載
  • 事例名:鋼製ユニットを9406.20に誤投入
    • 誤りの内容:類注4の“モジュール建築”要件の取り違え
    • 起きやすい状況:コンテナ形状の製品を一括りで「モジュール建築」と誤解
    • 典型的な影響:分類修正、確認資料の追加提出、遅延
    • 予防策:設計(複数ユニット組合せ前提)を図面で確認

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 木製家具など加工品は、一般に輸入植物検疫の対象とならないものとして整理されています(ただし個別事情は要確認)。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 家具・建材に規制対象種の木材(例:ローズウッド等)が含まれると、輸出入に許可書等が必要になることがあります。日本の制度はワシントン条約と種の保存法に基づきます。
  • その他の許認可・届出
    • 照明器具(9405)の一部は、電気用品安全法(DENAN)の対象になり得ます。対象・非対象の解釈例や対象品目情報が公表されています(PSE対応の要否は製品仕様で判断)。
    • プレハブ建築物や一部の家庭用品等で、石綿(アスベスト)含有リスクがある場合、日本では0.1%超含有品の製造・輸入等が禁止され、輸入時の確認が求められます。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 電気用品安全法:経済産業省(DENAN関連ページ)
    • 植物検疫:農林水産省 植物防疫所
    • CITES:環境省(種の保存法・ワシントン条約)
    • 石綿:厚生労働省(アスベスト関連)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書(電気仕様・材料)、SDS、木材樹種情報、構造図、試験報告書(必要な場合)、取扱説明書、写真

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 家具:床置き/壁付け、可動性、用途(医療用か)、主要材質、未組立か
    • 寝具:空気/水式か、素材(発泡材か)
    • 照明:器具か光源か、LED専用設計か、PVか
    • プレハブ:一式提示か、モジュール組合せ前提か
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 類注1(除外)に当たらないか(特に85類光源、39/40/63のエア寝具)
    • 類注2(家具定義)、類注3(部分品の範囲)を再確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 「luminaire(器具)」と「lamp/light source(光源)」を品名で分ける
    • 未組立家具は“1 set”としての提示形態を説明できるようにする
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の採用HS版を確認し、HS2022との相関を取る
    • 材料HS(非原産)を6桁で確定してBOM管理
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 照明:電気用品安全法の対象性確認(必要に応じPSE)
    • CITES:木材樹種と原産地、許可書の要否
    • 石綿:含有確認(0.1%超は輸入禁止)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文)
    • WCO HS2022 第94類(2094_2022e.pdf) (参照日:2026-03-02)
    • WCO HS2017 第94類(2094_2017e.pdf) (参照日:2026-03-02)
    • WCO HS2012 第94類(2094_2012e.pdf) (参照日:2026-03-02)
    • WCO HS2007 第94類(2094E.pdf) (参照日:2026-03-02)
    • WCO HS2022 第15部注(parts of general use の定義:1500_2022e.pdf) (参照日:2026-03-02)
    • WCO HS2022 第85類(LEDモジュール/LEDランプの定義が含まれる箇所) (参照日:2026-03-02)
  • 日本(税関・公的機関)
    • 税関:関税率表解説 第94類(94r.pdf) (参照日:2026-03-02)
    • 税関:HS2017↔HS2022 相関表(PDF) (参照日:2026-03-02)
    • 税関:HS2012↔HS2017 相関表(PDF) (参照日:2026-03-02)
    • 税関:EPA/原産地規則におけるHS版の違い(案内) (参照日:2026-03-02)
    • 税関:RCEP HS2022版PSRの採択(案内) (参照日:2026-03-02)
    • 税関:RCEP HS2022版PSR(PDF) (参照日:2026-03-02)
    • 経済産業省:日本の国内手続がHS2022表記で行われる旨(EPA関連説明) (参照日:2026-03-02)
    • 経済産業省:電気用品安全法(特定電気用品一覧) (参照日:2026-03-02)
    • 経済産業省:電気用品安全法(対象/非対象解釈例:照明器具の例を含む) (参照日:2026-03-02)
    • 農林水産省 植物防疫所:輸入植物検疫の対象外(加工品としての家具等) (参照日:2026-03-02)
    • JETRO:木材の輸入手続きQ&A(植物検疫/CITES言及あり) (参照日:2026-03-02)
    • 環境省:ワシントン条約と種の保存法 (参照日:2026-03-02)
    • 厚生労働省:アスベスト含有製品の輸入禁止等(0.1%超) (参照日:2026-03-02)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。