用語:**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**で統一します。
0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの 超要約
- この類に入る代表例(3〜6個):
- ニッケルマット、ニッケル酸化物焼結体などの製錬中間物(7501)
- 未加工のニッケル(地金)(インゴット、カソード等)(7502)
- ニッケルの廃品・くず(スクラップ)(7503)
- ニッケル粉末・フレーク(7504)
- 棒・ロッド・形材・線(7505)、板・シート・ストリップ・箔(7506)、管・パイプ・継手(7507)
- その他のニッケル製品(例:ニッケル線の布・グリル・ネット=金網類)(7508)
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- ニッケル鉱石・精鉱:第26類 2604(鉱石段階)
- 塗料・インキ等の調製品(金属粉・フレークを基材として調製されたもの):第32類側(第XV部注で除外)
- 機械・電気機器(またはそれとしての性格が支配的なもの):第XVI部(第XV部注で除外)
- 貴金属関係(例:貴金属張りの基材等):第71類(第XV部注で除外)
- 母材が鉄鋼で、ニッケルは表面処理(めっき等)にすぎない製品:通常は母材側(第72類/第73類等)で検討(※ただし複合品の支配的要素は個別判断)
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- 非合金ニッケル(not alloyed)か、ニッケル合金(alloys)か(第75類の号注で成分要件が数値定義)
- 廃品・くず(スクラップ)か、材料として使用可能な形状材か(第XV部注「waste and scrap」定義)
- 粉末か否か(第XV部注「powders」=1mmふるい90%以上通過)
- この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
- 7503(スクラップ):品目分類だけでなく、貨物の状態・混入・汚染等によってはバーゼル法等の輸出入規制の検討が必要になり、遅延や手戻りが起きやすいです(一般論)。

1. 区分の考え方 どうやってこの類に到達するか
1-1. 分類の基本ルール GIRの使いどころ
- この類で特に効くGIR:
- GIR1:見出し文言+注(部注/類注)で決めます。第75類は、まず「ニッケル及びその製品」に該当し、かつ第XV部注の除外(機械・電気等)に当たらないことを確認します。
- GIR6:6桁(号)の選択は、特に**7502/7505/7506/7507の“非合金/合金”**が核心で、号注の成分定義に当てはめます。
- 「品名だけで決めない」ための観点:
- 材質:ニッケル主体か(母材+めっき等の場合は母材側の検討が必要になりやすい)
- 成分:Ni+Co、Co、Fe、O、その他元素の含有率(非合金/合金の定義に直結)
- 状態:製錬中間物/未加工(地金)/廃品・くず/粉末/形状材(棒・線・板・管)/完成品(その他の製品)
- 形状:線(原則コイル)か、棒(非コイル)か、管か、継手か(第XV部注の形状定義が効きます)
- 使用可能性:スクラップは「確実に使用不能」であることが要件(第XV部注)
1-2. 判定フロー 疑似フローチャート
- Step1:対象は「ニッケル金属」または「ニッケルが主となる合金」か
- 例:ニッケルめっき鋼板 → 原則として母材(鉄鋼)側を起点に再確認
- Step2:貨物の状態はどれか(4桁で大枠を決める)
- 製錬中間物 → 7501
- 未加工(地金) → 7502
- 廃品・くず → 7503
- 粉末・フレーク → 7504
- 形状材(棒/線/板/管/継手) → 7505〜7507
- 上記以外の製品 → 7508
- Step3:6桁で分岐(非合金/合金、管か継手か、7508.10か等)
- よく迷う境界:
- 7502(地金) vs 7503(スクラップ):使用不能の裏付けの有無
- 7504(粉末):粒度が定義を満たすか
- 7505(線) vs 7505(棒):線は原則コイル(部注定義)
- 7508.10(金網類):wireの特則(コイル不要+断面寸法6mm以下)が適用されるか
2. 主な項 4桁 とその内容
2-1. 4桁 項 の主なもの一覧表 必須
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 7501 | ニッケルマット、ニッケル酸化物焼結体、その他のニッケル製錬中間物 | ニッケルマット、酸化物焼結体 | 「化学品」なのか「製錬中間物」なのかは工程・用途で裏付け(呼称だけで決めない)。 |
| 7502 | 未加工のニッケル(地金) | カソード、インゴット、ブリケット | 7502.10/7502.20は非合金/合金の成分定義で判定。 |
| 7503 | ニッケルの廃品・くず | 端材、切削くず、スクラップ | 「確実に使用不能」かが鍵(第XV部注)。混入物・汚染は規制検討にも影響(一般論)。 |
| 7504 | ニッケル粉末・フレーク | 粉末(焼結用等)、フレーク | 「粉末」定義(1mmふるい90%以上通過)で裏付け。 |
| 7505 | ニッケルの棒・ロッド・形材・線 | 棒材、線材、形材 | 線=原則コイル(第XV部注の定義)。形材は「棒/線/板/管」に当てはまらない断面一定材。 |
| 7506 | ニッケルの板・シート・ストリップ・箔 | ニッケル板、ニッケル箔 | 「板・箔」は厚み/幅等の形状定義に照らす。加工で“別の製品の性格”になっていないか注意。 |
| 7507 | ニッケルの管・パイプ・継手 | ニッケル管、エルボ、カップリング | 管(中空・一定断面)か、継手(接続用)かを図面で確認。 |
| 7508 | その他のニッケル製品 | ニッケル金網、その他ニッケル製品 | 7508.10は金網類。ここだけwireの特則(コイル不要+断面寸法6mm以下)。 |
2-2. 6桁 号 で実務上重要な分岐 必須
- 分岐条件の整理(第75類で頻出):
- **非合金ニッケル(Nickel, not alloyed)**の定義(号注)
- Ni+Coが99%以上
- Co≦1.5%
- Fe≦0.5%、O≦0.4%、その他元素は各々0.3%以下
→ 実務では「Ni%が高い」だけでは足りず、Co/Fe/O/その他元素まで確認が必要です。
- **ニッケル合金(Nickel alloys)**の定義(号注)
- ニッケルが各元素より重量で優勢で、かつ
- Co>1.5%、または
- 上記のFe/O/その他元素の上限を超える元素がある、または
- (Ni+Co以外の元素合計)>1%
- ニッケルが各元素より重量で優勢で、かつ
- 廃品・くず(waste and scrap)(第XV部注)
- 「金属の廃品・くず」および「破損・切断・摩耗等で確実に使用不能な金属製品」
- 粉末(powders)(第XV部注)
- 1mmメッシュのふるいを重量で90%以上通過
- 7508.10のwire特則(号注)
- 本来のwire定義(原則コイル)ではなく、コイルか否かを問わず、かつ断面寸法が6mm以下に限定
- **非合金ニッケル(Nickel, not alloyed)**の定義(号注)
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
- 7502.10(非合金) vs 7502.20(合金)
- どこで分かれるか:上記の号注(Co、Fe、O、その他元素、合計1%)
- 判断に必要な情報:ミルシート、成分分析表(Ni、Co、Fe、O、その他元素の重量%)
- 典型的な誤り:「Ni 99%」だけで7502.10とする(Coや不純物条件未確認)
- 7503(スクラップ) vs 7502/7505〜(材料)
- どこで分かれるか:「確実に使用不能」か(第XV部注)
- 判断に必要な情報:写真、破断/摩耗状況、選別工程、取引条件(スクラップ売買か)
- 典型的な誤り:端材を商流上“スクラップ”と呼ぶだけで7503にする
- 7504(粉末) vs 7502/7505(粒状・ショット等)
- どこで分かれるか:粉末定義(1mmふるい90%)
- 判断に必要な情報:粒度分布、ふるい試験成績、SDS
- 典型的な誤り:「粉末」と呼称されるが、試験で定義を満たさない
- 7505.11/12(棒・形材) vs 7505.21/22(線)
- どこで分かれるか:線は原則コイル(第XV部注)
- 判断に必要な情報:梱包状態(コイル/リール/直材)、断面寸法・形状
- 典型的な誤り:直材を「ワイヤー」と呼んで線扱いにしてしまう
- 7508.10(金網類) vs 7508.90(その他)
- どこで分かれるか:製品が「布・グリル・ネット(金網類)」か/それ以外か
- 判断に必要な情報:構造(織り/溶接/編み)、用いたwireの最大断面寸法(≤6mm)
- 典型的な誤り:金網っぽい外観だけで7508.10、寸法要件を未確認
- 7502.10(非合金) vs 7502.20(合金)
3. 部注と類注の詳細解釈 条文から実務的な意味
3-1. 関連する部注 Section Notes
- ポイント要約:
- 第XV部注には、除外(第XVI部等)、合金・複合品の扱い、廃品・くず/粉末の定義、**形状材の定義(棒・線・板・管等)**が規定されています。
- 実務での意味(具体例つき):
- 7503を使うなら、“確実に使用不能”の客観資料(写真、検収記録)を準備します。
- 7504を使うなら、「粉末」の**ふるい定義(1mm90%)**を試験成績書で裏付けます。
- 7505の線は原則コイルなので、直材なら棒/形材側を再検討します。
- ニッケル製でも機械・電気製品の性格が支配的なら第XVI部等に移るため、用途・構造の説明資料が重要です。
- “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
- 金属粉が塗料・インキ等に調製されている → 第32類へ
- 機械・電気機器(またはそれらの部品としての性格が支配的) → 第XVI部へ
3-2. この類の類注 Chapter Notes
- ポイント要約:
- 第75類は、**号注(Subheading Notes)**で「非合金ニッケル」「ニッケル合金」の数値定義が置かれています。
- さらに7508.10のwire特則(6mm以下、コイル不要)が規定されています。
- 用語定義(定義がある場合):
- 非合金ニッケル:Ni+Co≥99%、Co≤1.5%、Fe/O/その他元素の上限あり
- ニッケル合金:Ni優勢+(Co>1.5%、または上限超過元素あり、または(Ni+Co以外)合計>1%)
- 7508.10のwire:コイル不要+断面寸法6mm以下
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
- 第75類は第XV部の一部なので、除外は主に第XV部注で整理します(機械・電気等)。
4. 類注が分類に与える影響 どこでコードが変わるか
この章は「注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。
- 影響ポイント1:非合金か合金か
- 何を見れば判断できるか(必要情報):Ni、Co、Fe、O、その他元素(重量%)
- 現場で集める証憑:ミルシート、成分分析表、規格書、SDS
- 誤分類の典型:Ni%だけで判断し、Co/不純物上限/(Ni+Co以外)合計1%を確認していない
- 影響ポイント2:スクラップか否か
- 何を見れば判断できるか(必要情報):「確実に使用不能」か(破損、切断、摩耗等)
- 現場で集める証憑:写真、検収記録、選別工程、売買契約(スクラップ取引条件)
- 誤分類の典型:再利用可能な端材を7503としてしまう
- 影響ポイント3:粉末か否か
- 何を見れば判断できるか(必要情報):1mmふるい90%以上通過
- 現場で集める証憑:粒度分布表、試験成績書、SDS
- 誤分類の典型:粒状・ショットを「粉末」と呼称だけで7504にする
- 影響ポイント4:7508.10のwire特則
- 何を見れば判断できるか(必要情報):wireの最大断面寸法が6mm以下
- 現場で集める証憑:図面、実測記録、カタログ
- 誤分類の典型:金網類なら無条件に7508.10として寸法裏付けを省略
5. 分類でよくある間違い 原因→対策
- 間違い:ニッケルめっき鋼板・めっき部材を第75類にしてしまう
- なぜ起きる:品名・外観(ニッケル色)で母材を見ない
- 正しい考え方:第75類は「ニッケル及びその製品」。表面処理だけで材質が変わるわけではないため、母材・複合の支配的要素を確認する(一般論)
- 予防策:
- 確認すべき資料:母材材質証明、めっき仕様書(厚み、工程)
- 社内で聞く質問例:「母材は何ですか?」「ニッケルは全体材質ですか、表面処理ですか?」
- 間違い:7502.10(非合金)をNi%が高いだけで選ぶ
- なぜ起きる:定義を「Ni 99%」と誤解
- 正しい考え方:非合金はNi+Co≥99%に加え、Co≤1.5%、Fe/O/その他元素上限が条件
- 予防策:
- 確認すべき資料:成分分析(Ni、Co、Fe、O、その他元素)
- 質問例:「Coは何%ですか?」「Fe/O/その他元素は上限内ですか?」
- 間違い:スクラップ取引という理由だけで7503にする
- なぜ起きる:商流用語(scrap)をそのままHSに当てはめる
- 正しい考え方:スクラップは「確実に使用不能」要件(第XV部注)
- 予防策:
- 確認すべき資料:現物写真、検収記録、再利用可否の判断根拠
- 質問例:「このまま材料として使えますか?」「破損・摩耗で使用不能ですか?」
- 間違い:粒状品・ショットを7504(粉末)にする
- なぜ起きる:「粉末」の定義を数値で見ない
- 正しい考え方:粉末=1mmふるい90%以上通過(第XV部注)
- 予防策:
- 確認すべき資料:粒度分布、ふるい試験成績
- 質問例:「1mmふるいで90%以上通りますか?」
- 間違い:直材を「ワイヤー」と呼び7505の線へ寄せる
- なぜ起きる:現場の呼称が混在
- 正しい考え方:wireは原則コイル(第XV部注)
- 予防策:
- 確認すべき資料:梱包写真(コイル/リール/直材)、長さ・断面
- 質問例:「コイル巻きですか?直材ですか?」
- 間違い:7508.10(金網類)でwireの6mm要件を見落とす
- なぜ起きる:「金網=7508.10」と短絡
- 正しい考え方:7508.10のwireは特則で“断面寸法6mm以下”
- 予防策:
- 確認すべき資料:図面・カタログ・実測記録
- 質問例:「wireの最大断面寸法は何mmですか?」
- 間違い:ニッケル製の機械部品を材質だけで7508にする
- なぜ起きる:材質起点で分類しがち
- 正しい考え方:第XV部注で機械・電気等は除外。用途・構造で第XVI部等を検討
- 予防策:
- 確認すべき資料:用途説明、取付構造、図面
- 質問例:「特定機械の専用品ですか?汎用ですか?」
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR 品目別規則 の関係
- HSの付番がPSR選択に直結します。第75類は非合金/合金で号が変わるため、分類の裏付け(成分表)がないと原産性判断も崩れやすいです(一般論)。
- よくある落とし穴:
- 最終製品HSは合っているが、非原産材料のHSがずれてCTC判定が崩れる
- 7503(スクラップ)を材料として使う場合の整理(材料のHS・工程・原価の整合)
6-2. 協定が参照するHS版の違い HS2012/2017/2022のズレ
- 実務では「協定が参照するHS版」が協定ごとに異なります。日本税関の原産地規則マニュアルは、RCEPが2023-01-01以降HS2022を使用する等、協定ごとの参照HS版を整理しています。
- 例:RCEPは、合同委員会でHS2022へ置換したPSRが採択され、各締約国で2023-01-01から実施とされています。
- トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
- ①協定本文・運用資料で参照HS版を特定
- ②WCO相関表(改正対象一覧)で、当該コードが改正対象に入っているか点検
- ③必要に応じて、協定側の置換PSR(RCEPのような公式置換資料)で読み替え
6-3. 実務チェック 原産性判断に必要なデータ
- 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
- 証明書類・保存要件(一般論):協定・国内運用により差があるため、税関・協定ガイドの最新を確認
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い 違うことになった根拠
7-1. 変更点サマリー 必須 表
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | コード体系としての再編なし(HS6桁) | 7501〜7508 | HS2017/HS2022ともに7501〜7508の構成で、WCO相関表(改正対象一覧)にも第75類コードが列挙されていない | HS6桁の社内マスタは大きく変わりにくい(ただし国内コードは別途要確認) |
| HS2017→HS2022 | 定義・参照先の整理(条文構造) | wire定義の参照先 | 7508.10のwire特則が、HS2017では「Chapter Note 1(c)」を前提に上書き、HS2022では「Section XV Note 9(c)」を前提に上書きに変更 | 根拠条文の参照先が変わるため、社内手順書・教育資料の引用先を更新 |
7-2. 違うことになった根拠 必須
- HS6桁の大きな再編がないと判断した根拠:
- HS2017とHS2022の第75類条文を比較すると、見出し(7501〜7508)構成が同じです。
- WCO相関表(改正対象一覧:scope変更/新設の列挙)にも第75類の該当コードが現れません。
- 条文構造(参照先)が変わった根拠:
- HS2017では第75類のChapter Note 1に形状定義(wire等)が置かれていました。
- HS2022では形状定義が第XV部注9に置かれ、第75類の7508.10はそのwire定義(9(c))を前提に特則で上書きする書きぶりになっています。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
第75類は、少なくとも相関表(改正対象一覧に相当)で追える範囲では、HS2002→2007→2012→2017→2022の各改正で「750」系列の大きな再編(新設/削除/分割/統合)が表に現れていません(=改正対象として列挙されていない、という意味での整理)。
| 版の変更 | 第75類(7501〜7508)に関する主な追加・削除・再編 | 旧コード→新コードの例 | 備考 |
|---|---|---|---|
| HS2002→HS2007 | 相関表(改正対象一覧)上、750の列挙を確認できず | (該当なし) | 大きなコード再編が改正対象一覧に現れない整理 |
| HS2007→HS2012 | 相関表上、750の列挙を確認できず | (該当なし) | 同上 |
| HS2012→HS2017 | 相関表上、750の列挙を確認できず | (該当なし) | 同上 |
| HS2017→HS2022 | 相関表上、750の列挙を確認できず | (該当なし) | HS6桁の大きな再編は表に現れない整理 |
9. 類注違反による通関トラブル 想定事例
- 事例名:スクラップ申告だが「使用不能」根拠が弱い
- 誤りの内容:第XV部注のwaste and scrap定義に合わないのに7503で申告
- 起きやすい状況:端材・短尺材をスクラップ扱いで売買
- 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、遅延(一般論)
- 予防策:写真・検収記録で「使用不能」を立証、再利用可否を事前整理
- 事例名:粉末の定義を満たさず7504が否認
- 誤りの内容:粉末定義(1mmふるい90%)未確認
- 起きやすい状況:粒状・ショットを粉末と称して販売
- 影響:照会、サンプル提出、分類変更
- 予防策:粒度分布・ふるい試験の提出
- 事例名:非合金/合金の取り違えで税番が変わる
- 誤りの内容:号注の数値条件(Co、Fe/O、合計1%)未確認
- 起きやすい状況:ミルシート未入手、Ni%だけで判断
- 影響:税率・原産地規則(PSR)への波及(一般論)
- 予防策:成分表入手を前提に分類(入手できない場合は保守的に対応、税関相談)
- 事例名:金網類で7508.10の寸法要件未確認
- 誤りの内容:wire特則(断面寸法6mm以下)を満たさないのに7508.10
- 起きやすい状況:図面・カタログ不備
- 影響:照会・保留、分類変更
- 予防策:実測記録、図面、カタログを添付
10. 輸出入規制事項 コンプライアンス観点
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ):
- 安全保障貿易管理(該当する場合)
- 規制該当性はHSだけで決まらず、仕様・用途・需要者等に基づく該非判定(リスト規制)やキャッチオールの検討が必要です(一般論)。該非判定の情報収集(仕様書等)をMETIも案内しています。
- その他の許認可・届出(バーゼル等、該当する場合)
- 金属スクラップは、性状・混入物等によりバーゼル法等の規制対象になり得ます。METI/環境省の事前相談制度もあり、税関判断と異なる可能性がある点まで明記されています(一般論)。
- 安全保障貿易管理(該当する場合)
- 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
- 安全保障貿易管理:METI(該非判定、マトリクス表等)
- バーゼル関連:METI/環境省(事前相談、制度案内)
- 品目分類の不明点:税関の事前教示制度(一般論)
- 実務での準備物(一般論):
- HS分類:仕様書、成分表(ミルシート)、図面、写真、SDS、工程説明
- 規制:用途説明、需要者情報、該非判定書、スクラップは混入物・汚染状況資料
11. 実務チェックリスト 分類→通関→原産地→規制
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 材質:ニッケル主体か、母材+表面処理か
- 成分:Ni/Co/Fe/O/その他元素(重量%)
- 状態:中間物/地金/スクラップ/粉末/形状材/完成品
- 形状:コイルの有無、断面寸法、管か継手か(図面で確認)
- スクラップ:使用不能根拠(写真・検収)
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 第XV部注の除外(機械・電気等)に当たらないか
- 7508.10はwire寸法6mm以下の特則を確認
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- インボイス品名が曖昧(nickel alloy / scrap等)になっていないか
- 成分表・写真・図面を提出できるか(照会対応の短縮)
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 協定が参照するHS版を確認(協定ごとに違う)
- 製品HSと材料HS、工程、原価(RVC)整合
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 輸出:該非判定・用途需要者確認(METI案内に沿って資料収集)
- スクラップ:バーゼル法等の対象性(事前相談活用)
12. 参考資料 出典
- WCO HS2022 第75類 条文(Nickel and articles thereof) (参照日:2026-02-27)
- WCO HS2022 第XV部 注(Base metals and articles of base metal:除外、廃品・くず、粉末、形状定義等) (参照日:2026-02-27)
- WCO HS2017 第75類 条文(旧版:Chapter Note 1の形状定義等) (参照日:2026-02-27)
- WCO 相関表(HS2017–HS2022:改正対象の考え方) (参照日:2026-02-27)
- 日本税関:HS2022改正について(制度概要) (参照日:2026-02-27)
- 日本税関:HS2022↔HS2017 相関表(PDF) (参照日:2026-02-27)
- 日本税関:HS2017↔HS2012、HS2012↔HS2007、HS2007↔HS2002 相関表(PDF) (参照日:2026-02-27)
- 日本税関:事前教示制度(品目分類) (参照日:2026-02-27)
- 日本税関:EPA原産地規則マニュアル(協定ごとの参照HS版) (参照日:2026-02-27)
- 日本税関:RCEP HS2022置換PSR(PDF) (参照日:2026-02-27)
- 外務省:RCEPのHS2022置換PSR採択(運用開始日等) (参照日:2026-02-27)
- METI:安全保障貿易管理(該非判定マトリクス表の案内) (参照日:2026-02-27)
- METI:安全保障貿易管理の概要(英語ガイダンス:リスト規制/キャッチオール等) (参照日:2026-02-27)
- METI:バーゼル法 輸出入規制 事前相談(委託) (参照日:2026-02-27)
- 環境省:バーゼル条約関係の国内枠組み(輸出入手続の概説) (参照日:2026-02-27)
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。
