HS2022 第24類:たばこ及び製造たばこ代用品、非燃焼吸引用の物品(ニコチンを含有するかしないかを問わない。)並びにニコチンを含有するその他の物品(ニコチンを人体に摂取するためのものに限る。)Tobacco and manufactured tobacco substitutes; products, whether or not containing nicotine, intended for inhalation without combustion; other nicotine containing products intended for the intake of nicotine into the human body)

  • 対象:HS2022 第24類(Chapter 24)
  • 類名:たばこ及び製造たばこ代用品、非燃焼吸引用の物品(ニコチンを含有するかしないかを問わない。)並びにニコチンを含有するその他の物品(ニコチンを人体に摂取するためのものに限る。)
    (英語:Tobacco and manufactured tobacco substitutes; products, whether or not containing nicotine, intended for inhalation without combustion; other nicotine containing products intended for the intake of nicotine into the human body) (世界税関機関)
  • 対象国・実務前提:日本/両方(輸入・輸出)
  • 主な想定品目・用途(任意):葉たばこ(未製造たばこ)、くずたばこ、紙巻たばこ・葉巻、手巻き用刻みたばこ、パイプたばこ、水パイプ(シーシャ)用たばこ、かみたばこ・かぎたばこ、加熱式たばこ用スティック/カプセル、電子たばこ用リキッド(ニコチン有無)、ニコチンパウチ、ニコチンガム/パッチ等
  • 参照するFTA/EPA(任意):CPTPP、RCEP、日EU・EPA など(協定が参照するHS版は要確認)
  • 免責事項:このプロンプト末尾に固定文として既に貼付済み(変更しない)

冒頭で用語を統一します:**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**です。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 葉たばこ(未製造)、骨(中骨)付き/除去済み、発酵・乾燥済みの葉(ただし「そのまま喫煙用」レベルは別途注意)→ 2401 (世界税関機関)
    • くずたばこ(製造工程で出る端切れ・茎・ダスト等) → 2401.30 (世界税関機関)
    • 紙巻たばこ・葉巻・シガリロ(燃焼して喫煙する一般的なもの)→ 2402 (世界税関機関)
    • 喫煙用たばこ(パイプ用/手巻き用刻み等)・かみたばこ・かぎたばこ・シートたばこ・たばこエキス → 2403 (世界税関機関)
    • 非燃焼吸引用(加熱式たばこ、ニコチン入り/なしの電子たばこ用リキッド等)ニコチン摂取用(経口/経皮等) → 2404 (世界税関機関)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 薬用の紙巻たばこ → 第30類(注1) (世界税関機関)
    • ニコチン(単離したアルカロイドとしての「物質」) → 29.39(第24類の解説で除外明示) (税関ウェブサイト)
    • 殺虫剤(たばこエキス由来でも、製品として殺虫剤) → 38.08(除外明示) (税関ウェブサイト)
    • 大麻等の喫煙用混合物(「製造たばこ代用品」に見えても除外)→ 12.11(除外例示) (税関ウェブサイト)
    • 電子たばこ機器のみ(加熱器・バッテリー等):多くは機械/電気機器として第84/85類側で検討(ただし、リキッド等と供給機構が一体の使い捨て電子たばこは24.04に含める整理が示されています) (税関ウェブサイト)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • 燃焼(=火を付けて燃やす)か/非燃焼吸引(=燃やさずに吸う)か:非燃焼吸引の定義が注で明確化されています。 (世界税関機関)
    • 同じ形状でも24.04に該当するなら24.04優先(注2:第24.04項の優先規定) (世界税関機関)
    • (24.04内の分岐)たばこ/再生たばこを含むか、ニコチンを含むか、摂取方法は何か(経口/経皮等) (世界税関機関)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 加熱式たばこ(スティック等)を「紙巻たばこ(2402)」で申告してしまう:注2により24.04へ寄せるべきケースがあり、関税・国内税・規制手続の前提が崩れやすいです。 (世界税関機関)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • **GIR1(見出し文言+注)**がほぼ全てです。第24類は、類注(注1〜3)と号注(水パイプたばこ定義)が「分岐ルール」そのものになっています。 (世界税関機関)
    • GIR6(号のレベルでの比較):24.04は号体系が新設され、**「ニコチン含有」「摂取方法(経口/経皮)」**で分かれます。 (世界税関機関)
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 用途:燃焼して喫煙か、加熱や気化で吸引か、噛む/嗅ぐ/貼る等で摂取か
    • 成分:たばこ/再生たばこ有無、ニコチン有無(濃度・形態)、代用品(たばこ代用物/ニコチン代用物)の有無
    • 状態:葉・くず(原料)か、刻み/混合(喫煙可能)か、カートリッジ/リキッド等(機器用)か

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:物品が「たばこ(植物)そのもの」か?
    • 未製造たばこ(葉の状態、骨付き/除去済み等)・くずたばこ → 2401 (世界税関機関)
  • Step2:燃焼して喫煙する「紙巻/葉巻/シガリロ」か?
  • Step3:上記以外の「製造たばこ」や「たばこ代用品」か?(刻み、パイプ用、かみ/かぎ、シート、エキス等)
  • Step4:非燃焼吸引(加熱・気化等で燃やさず吸う)か、または「ニコチン摂取用」か?
  • Step5:「純粋なニコチン」「殺虫剤」「医薬品」等に当たらないか?
    • 純ニコチン → 29.39、殺虫剤 → 38.08、医薬品(薬用紙巻等)→ 30類などへ。 (税関ウェブサイト)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第24類(たばこ関連) vs 第29類(ニコチンという化学物質):単離したニコチンは第29類側。 (税関ウェブサイト)
    • 第24類 vs 第30類(医薬品):少なくとも「薬用の紙巻たばこ」は第30類に除外。 (世界税関機関)
    • 2402(燃焼喫煙) vs 2404(非燃焼吸引):注3の定義で判定し、注2で2404が優先。 (世界税関機関)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2401たばこ(未製造)/くずたばこ葉たばこ(乾燥葉・発酵葉)、中骨除去済み葉、製造くず(茎・端切れ・粉)「そのまま喫煙に供されるもの」は2403側に寄ることがあるため、加工度と用途確認。 (税関ウェブサイト)
2402葉巻・シェルート・シガリロ・紙巻(たばこ/代用品)一般的な紙巻、葉巻、シガリロ燃焼して喫煙する類型。非燃焼吸引用は24.04へ(注2)。 (税関ウェブサイト)
2403その他の製造たばこ・製造たばこ代用品/再生たばこ/たばこエキス等パイプ/手巻き用刻み、かみたばこ、かぎたばこ、シーシャ用(水パイプたばこ)、シートたばこ、たばこエキス水パイプたばこ(2403.11)は号注定義あり。たばこを含まない水パイプ用は2403.11から除外。 (世界税関機関)
2404非燃焼吸引用(たばこ/再生たばこ/ニコチン/代用品)+その他のニコチン摂取用加熱式たばこスティック、ニコチン入り電子たばこ用リキッド、ニコチンパッチ/ガム/パウチ、使い捨て電子たばこ注2:24.04と他項に同時該当なら24.04。号は「たばこ含有」「ニコチン含有」「経口/経皮」等で分岐。 (世界税関機関)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 2401(未製造・くず):骨付き/骨除去/くずたばこ(製造くず) (世界税関機関)
    • 2403(水パイプ):水パイプで喫煙する用途+「たばこ+グリセリン混合物」という定義 (世界税関機関)
    • 2404(非燃焼吸引・ニコチン摂取)
      • 非燃焼吸引で たばこ/再生たばこを含有 → 2404.11
      • 非燃焼吸引で ニコチン含有(たばこ以外) → 2404.12
      • 非燃焼吸引の その他(ニコチンなし等) → 2404.19
      • その他(吸引以外でニコチン摂取)で 経口/経皮/その他 → 2404.91 / 2404.92 / 2404.99 (世界税関機関)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 2402(紙巻たばこ) vs 2404(加熱式/非燃焼吸引)
      • どこで分かれるか:燃焼して喫煙か/燃焼を伴わない吸引か(注3)+同時該当なら2404優先(注2)
      • 判断に必要な情報:使用方法(火を付けるか、加熱器を使うか)、製品仕様(「heated」「heat-not-burn」「for heating device」等)、取説・カタログ
      • 典型的な誤り:形状が紙巻に似ているだけで2402に寄せる (世界税関機関)
    2. 2403.11(水パイプたばこ) vs 2403.19(その他の喫煙用たばこ)
      • どこで分かれるか:水パイプ用途+「たばこ+グリセリン混合物」定義を満たすか
      • 判断に必要な情報:成分表(グリセリン有無)、用途表示(shisha/hookah等)
      • 典型的な誤り:水パイプ用=自動的に2403.11、と決め打ち(たばこ不含有品は2403.11除外) (世界税関機関)
    3. 2404.12(その他・ニコチン含有) vs 2404.19(その他)
      • どこで分かれるか:ニコチンの含有有無
      • 判断に必要な情報:成分表、MSDS、規格書(mg/mL等)
      • 典型的な誤り:ニコチン濃度が低い/「ノンニコチン」表示だけで判断(実測/仕様の裏取りが必要) (世界税関機関)
    4. 2403(たばこを含む噛み・嗅ぎ等) vs 2404.91/92/99(ニコチン摂取用)
      • どこで分かれるか:たばこ/再生たばこの含有有無+摂取方法(経口/経皮/その他)
      • 判断に必要な情報:原材料(たばこ葉粉末か、抽出ニコチンか)、用途(NRT/娯楽)
      • 典型的な誤り:「ニコチンパウチ」=必ず2404、または必ず2403、と固定してしまう(中身次第) (税関ウェブサイト)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第24類は、実務上は部注よりも「類注(注1〜3)」と「号注(水パイプ)」が決定打になりやすい類です。 (世界税関機関)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例えば「紙巻に見える」製品でも、燃焼しない加熱式であれば類注(注2・注3)を優先して24.04を検討します。 (世界税関機関)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 実務では「他章に飛ぶ」の多くは**類注・解説で明示される除外(29.39、30類、38.08等)**で起きます。 (税関ウェブサイト)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1:薬用の紙巻たばこは第30類へ。 (世界税関機関)
    • 注2:24.04に該当し得るなら、同じ第24類内の他項よりも24.04を優先。 (世界税関機関)
    • 注3:24.04の「非燃焼吸引」は、加熱供給その他の方法による吸引で、燃焼を伴わないもの。 (世界税関機関)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「非燃焼吸引」:燃焼を伴わない吸引(heated delivery 等を含む) (世界税関機関)
    • 「水パイプたばこ(2403.11)」:水パイプで喫煙するためで、たばこ+グリセリン混合物(香料・糖蜜等の有無は問わない)。ただし「たばこ不含有」の水パイプ用は2403.11から除外。 (世界税関機関)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:注2(24.04優先)で「見た目分類」が崩れる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 非燃焼吸引(注3)に該当する使用態様か
      • 同じ第24類の2402/2403と併記されるような外観でも、用途が加熱・気化か
    • 現場で集める証憑:
      • 取扱説明書、製品仕様書(加熱式・気化式の説明)、製品写真(加熱器の有無)、メーカーWebカタログ
    • 誤分類の典型:
      • 加熱式スティックを「紙巻たばこ(2402)」として申告 (世界税関機関)
  • 影響ポイント2:注3の「非燃焼吸引」定義が、2404と2402/2403の境界を作る
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 燃焼を伴うか(点火・燃焼の有無)、加熱供給でエアロゾルを吸う設計か
    • 現場で集める証憑:
      • 火を使う/使わない説明、加熱温度、消耗品(スティック/カートリッジ)の仕様
    • 誤分類の典型:
      • 「煙が出る=燃焼」と思い込み、非燃焼吸引の24.04を見落とす (世界税関機関)
  • 影響ポイント3:号注(水パイプたばこ定義)で2403.11が狭くなる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • たばこ+グリセリン混合物か、用途が水パイプ喫煙か
      • たばこ不含有なら2403.11除外(別号検討)
    • 現場で集める証憑:
      • 成分表、原材料由来、用途表示(shisha/hookah)
    • 誤分類の典型:
      • たばこ不含有の水パイプ用「ハーブ製品」を2403.11としてしまう (世界税関機関)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:加熱式たばこスティックを2402(紙巻たばこ)で申告
    • なぜ起きる:形状・包装が紙巻に似ている/品名に「cigarette」が入る
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):非燃焼吸引なら24.04、かつ注2で24.04優先 (世界税関機関)
    • 予防策:取説・仕様書で「加熱」「燃焼しない」記載を回収し、税関相談用に保存
  2. 間違い:電子たばこ用ニコチン溶液を「化学調製品(3824等)」で固定
    • なぜ起きる:成分(PG/VG/香料)を化学品として見てしまう
    • 正しい考え方:24.04の例示として電子たばこ用のニコチン含有溶液が挙げられています (税関ウェブサイト)
    • 予防策:ニコチン有無・用途(vaping用)を仕様書で明確化
  3. 間違い:使い捨て電子たばこ本体を「電気機器(第85類等)」と決め打ち
    • なぜ起きる:バッテリー・加熱機構があるため機器扱いに引っ張られる
    • 正しい考え方:リキッド等と供給機構が一体で使い捨て設計のものは、24.04に含める整理が示されています (税関ウェブサイト)
    • 予防策:充填/再充電可否、リキッド同梱一体かを製品仕様で確認
  4. 間違い:たばこ加工くず(茎・ダスト等)を2403(喫煙用)へ
    • なぜ起きる:「たばこだから製造たばこ」と思い込み
    • 正しい考え方:くずたばこは2401.30。用途(原料)と状態(くず)で判断 (世界税関機関)
    • 予防策:写真、工程図(発生工程)、粒度・形状データを添付
  5. 間違い:水パイプ関連製品をすべて2403.11に
    • なぜ起きる:「シーシャ=2403.11」という短絡
    • 正しい考え方:2403.11は「たばこ+グリセリン混合物」等の定義、かつたばこ不含有品は除外 (世界税関機関)
    • 予防策:原材料(たばこ含有の有無)を証明できる成分表を必須化
  6. 間違い:ニコチン(単離品)を2403/2404へ
    • なぜ起きる:「たばこ由来=第24類」と誤解
    • 正しい考え方:ニコチン(アルカロイド)は29.39へ(除外明示) (税関ウェブサイト)
    • 予防策:CAS/純度・化学名・MSDSで「単離物質」か「摂取用製品」かを区別
  7. 間違い:ニコチン含有電子たばこ関連製品の規制区分を見落とす
    • なぜ起きる:HS分類と国内規制(医薬品等)を切り離して考えない
    • 正しい考え方:厚労省は(少なくとも2010年時点で)ニコチンが医薬品成分であり、ニコチン含有の場合は承認が必要と説明しています (厚生労働省)
    • 予防策:分類と並行して、成分(ニコチン)・販売形態(業として)・用途を法令担当に回付
  8. 間違い:手巻きたばこセット(たばこ+巻紙)を「紙巻(2402)」扱い
    • なぜ起きる:最終的に紙巻形状になるため
    • 正しい考え方:日本税関の分類例では、刻みたばこをパウチ包装し巻紙同封のセットを2403.19(その他)と整理しています (税関ウェブサイト)
    • 予防策:セット内容(巻紙同封の有無)と刻み幅等を仕様・写真で固定

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること:
    • 24.04の新設により、同じ「たばこ関連」でもHS2017時代の2403に寄っていた品がHS2022では2404側になるケースがあります。PSRの章・項の範囲がズレると、原産性判定(CTH/CTSH/RVC等)の前提が崩れます。 (世界税関機関)
  • よくある落とし穴:
    • 材料側HS(香料、PG/VG、ニコチン等)と最終製品HS(2404等)の混同
    • 製品が「非燃焼吸引」か否か(2402/2403/2404境界)を曖昧なままPSRに当てはめる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 実務ポイント:
    • 協定や税率表が参照するHS版がHS2022と一致しない場合、PSRや譲許表上のコードは旧版ベースで書かれていることがあります。
    • このときは、(旧→新)の対応付け(トランスポジション)を行い、協定上の条文・運用に沿って整理します。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • まず最終製品をHS2022で確定
    • 次に相関表(WCO等)でHS2017側の対応コードを確認
    • 協定で要求されるPSR判定は、協定が参照するHS版に合わせて読替え

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • ニコチン含有の有無、用途(vaping用/NRT等)は、分類だけでなく規制確認にも再利用できるため、仕様書・MSDSの保管が重要です。 (税関ウェブサイト)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022新設(+既存からの移行)2404「非燃焼吸引」製品、その他のニコチン摂取用製品を独立見出し化。章注に2404優先非燃焼吸引の定義を追加。 (世界税関機関)加熱式/電子たばこ・ニコチン製品の分類が2403等から2404へ移り、通関・原産地の前提コードが変わりやすい。
HS2017→HS2022分割/範囲変更(移行元の縮小)2403.99 → 2404.11/12/19 等WCO相関表では、HS2017の2403.99からHS2022の2404系列へ対応付けが示される。 (世界税関機関)旧HSで「その他の製造たばこ等」に入っていた非燃焼吸引製品が、HS2022では2404側に整理される。
HS2017→HS2022新設(移行)2404.91 / 2404.92 / 2404.99WCO相関表では、経口・経皮等のニコチン摂取用が、旧版の2106.90/3824.99/2939.69等から2404へ対応付け。 (世界税関機関)「食品調製品」「化学調製品」「化学物質」側に散っていたニコチン製品の整理が変わる可能性(規制とHSは別だが、社内台帳は見直し要)。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料(相関表、WCO条文、各国税関の解説、協定付属書など)
    • WCO HS2022 第24類の条文(章名、注1〜3、見出し2401〜2404) (世界税関機関)
    • WCO Correlation Tables(HS2017→HS2022)での2403→2404、2106/3824/2939→2404等の対応 (世界税関機関)
    • 日本税関「関税率表解説 第24類」(24r.pdf:24.04の号体系、除外・具体例) (税関ウェブサイト)
    • 日本税関 通達別紙(HS2022改正の新旧対照・24.04の例示:ニコチン溶液、加熱式たばこ、使い捨て電子たばこ、NRT等) (税関ウェブサイト)
    • 日本税関(HS2017/HS2012等)第24類注の公表資料(注が注1中心で、HS2022の注2・注3が存在しないことの確認) (税関ウェブサイト)
  • “どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか”
    • WCO条文(HS2022)では、Chapter 24にheading 24.04が存在し、注2(24.04優先)・注3(非燃焼吸引の定義)が明記されています。 (世界税関機関)
    • 一方、日本税関が公表するHS2017/HS2012の第24類注では、注1と水パイプたばこの号注のみで、HS2022で追加された注2・注3は見当たりません。 (税関ウェブサイト)
    • さらにWCO相関表で、HS2017側の2403.99等からHS2022側の2404.11/12/19等へ対応づけが示されているため、「24.04の新設が単なる文言変更ではなく、実際に分類上の受け皿を移した」改正だと整理できます。 (世界税関機関)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な追加・削除・再編(確認できた範囲)を表で整理します。

版の流れ主なポイント(第24類)旧コード→新コード(代表)根拠(確認できた資料)
HS2006/HS2007第24類注は注1(薬用紙巻の除外)中心(当該資料範囲では24.04の記載なし)日本税関公表の当該年版資料 (税関ウェブサイト)
HS2012/HS2017水パイプたばこ(2403.11)の号注が掲載され、なお注は注1中心(当該資料範囲では24.04の記載なし)日本税関公表の当該年版資料 (税関ウェブサイト)
HS2017→HS202224.04新設注2(24.04優先)注3(非燃焼吸引定義)例:2403.99 → 2404.11/12/19 等WCO条文+相関表、日本税関新旧対照 (世界税関機関)

※HS2007→HS2012→HS2017の「見出し・号の全体差分」については、本回答で参照できた一次資料が「注(Notes)」中心のため、第24類全コード表の網羅的な増減までは断定していません。ただし、少なくとも「24.04と注2・注3」はHS2022で明確に追加されています。 (世界税関機関)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名:加熱式スティックを「紙巻(2402)」で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):非燃焼吸引なのに24.04を見落とし(注2・注3の趣旨) (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:品名がcigarette/外観が紙巻に近い
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、通関遅延(一般論)
    • 予防策:取説・カタログで「燃焼しない」「加熱式」を明確化し、事前教示も検討
  • 事例名:ニコチン入りリキッドを化学調製品で処理
    • 誤りの内容:24.04で例示される「電子たばこ用ニコチン溶液」を見落とし (税関ウェブサイト)
    • 起きやすい状況:香料・溶剤中心の配合で、化学品担当が分類
    • 典型的な影響:コード差による税率・規制照会のやり直し
    • 予防策:成分表(ニコチン有無)と用途(vaping用)を必須添付
  • 事例名:水パイプ用(たばこ不含有)を2403.11に
    • 誤りの内容:2403.11の号注で「たばこ不含有品は除外」 (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:「shisha」名称だけで分類
    • 典型的な影響:差替え・検査(一般論)
    • 予防策:たばこ含有の有無をMSDS/原材料で証明
  • 事例名:手巻きたばこセットを2402へ
    • 誤りの内容:税関分類例の整理に反する(巻紙同封でも2403.19扱い) (税関ウェブサイト)
    • 起きやすい状況:「最終的に紙巻になる」発想
    • 典型的な影響:申告訂正(一般論)
    • 予防策:セット内容・刻み幅・用途表示を資料化

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • その他の許認可・届出(たばこ事業関係):
      • 自ら輸入した製造たばこを「販売を業として」行う場合、たばこ事業法に基づく特定販売業の登録が必要とされています(財務省・税関が窓口)。 (財務省)
      • 製造たばこの小売販売を業として行う場合は、たばこ事業法に基づく小売販売業の許可が必要とされています。 (財務省)
      • 実務上は、登録/許可だけでなく、製品によっては財務省側で「認可されるたばこか」等の事前確認が推奨されています(税関資料で注意喚起)。 (税関ウェブサイト)
    • その他(医薬品・成分規制の観点):
      • 厚労省は過去の報道発表で、ニコチンは医薬品成分であり、ニコチンを含む電子たばこは(当時)承認が必要で、当時国内で承認された製品はない、と説明しています(制度・運用は改正され得るため最新確認が必要)。 (厚生労働省)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 財務省(たばこ事業:特定販売業登録、小売許可) (財務省)
    • 税関(特定販売業登録の手続案内等) (税関ウェブサイト)
    • 厚生労働省(ニコチン含有製品の医薬品該当性等の注意喚起・通知) (厚生労働省)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 成分表(ニコチン有無・濃度)、MSDS、カタログ、使用方法(燃焼/非燃焼)、構造図(使い捨て一体型か等)
    • たばこ事業関係:販売形態(業として/小売)を整理した社内メモ、登録/許可の要否判定メモ

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • たばこ/再生たばこ含有の有無
    • ニコチン含有の有無(濃度)
    • 使用態様:燃焼/非燃焼吸引/経口/経皮/その他
    • 形状:葉・くず・刻み・シート・カートリッジ・リキッド・使い捨て一体型 など (世界税関機関)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注2(24.04優先)・注3(非燃焼吸引定義)に照らして矛盾がないか (世界税関機関)
    • ニコチン単離品(29.39)、殺虫剤(38.08)、薬用紙巻(30類)等の除外に当たらないか (税関ウェブサイト)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスには「heated」「without combustion」「nicotine-containing」「for vaping」「for oral application」等、分岐に効く情報を入れる
    • 仕様書・成分表・写真を申告補足資料として準備
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • HS2022の2404にした場合、協定が旧HS参照なら相関表で旧コードにマッピングしてPSRを読む (世界税関機関)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 販売を業として行うなら、特定販売業登録・小売許可の要否を確認 (財務省)
    • ニコチン含有品は医薬品該当性等の観点で最新の行政情報を確認 (厚生労働省)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO「HS Nomenclature 2022 – Chapter 24」 (世界税関機関)(参照日:2026-02-17)
    • WCO「HS 2017–HS 2022 Correlation Tables」 (世界税関機関)(参照日:2026-02-17)
  • 日本 税関・公的機関のガイド
  • 財務省(たばこ事業)
    • 財務省「製造たばこ特定販売業の登録の申請」 (財務省)(参照日:2026-02-17)
    • 財務省「製造たばこの小売販売業の許可」 (財務省)(参照日:2026-02-17)
    • 東京税関「製造たばこに関する特定販売業の登録手続きについて(PDF)」 (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
  • 厚生労働省(注意喚起)
    • 厚労省 報道発表(2010-08-18)「ニコチンを含む電子タバコへの注意…」 (厚生労働省)(参照日:2026-02-17)
  • 旧版(改正前の確認用)
    • 日本税関(HS2017/HS2012/HS2007/HS2006)第24類注(輸出用データ) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第23類:食品工業において生ずる残留物及びくず並びに調製飼料(Residues and waste from the food industries; prepared animal fodder)

用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 魚粉・肉かす等(食用に適しないもの)(例:魚粉、ミートミール)→ 23.01
    • ふすま等の製粉残渣(例:小麦ふすま、とうもろこしふすま)→ 23.02
    • ビートパルプ・バガス・醸造かす(例:砂糖製造残渣、ビール粕、蒸留粕、清酒かす)→ 23.03 (税関ウェブサイト)
    • 大豆油かす等の油脂抽出残渣(油かす)(例:大豆かす、なたね油かす)→ 23.04〜23.06
    • 犬猫用ペットフード(小売用) → 23.09(2309.10) (税関ウェブサイト)
    • 配合飼料・発酵飼料などの“飼料用調製品” → 23.09(2309.90) (税関ウェブサイト)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • (人の)食用としての調製食品・食品原料(例:食品としてのたん白加工品など)→ 多くは第16〜22類・第21類など(個別判断)
    • 油さい(油脂精製で生じる残渣) → 15.22(油さい)
    • 大豆由来でも“たん白濃縮物”等(加工度が高いもの) → 21.06へ行きやすい(2304からの除外として言及あり)
    • 糖みつ(モラセス)そのもの → 17類(例:17.03)へ行きやすい(23.03の“砂糖製造のくず”とは別物として注意)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 単体の“残渣・副産物”か/混合・栄養添加・発酵などで“飼料用に調製”されたものか
      • 前者は 23.01〜23.08、後者は 23.09 へ寄りやすい(特に23.08と23.09が境界)。(税関ウェブサイト)
    2. 犬猫用で“小売用にしたもの”か
    3. 油脂抽出残渣(油かす)か/油さい(15.22)や高加工たん白(21.06)か
      • 同じ“大豆由来”でも分岐します。
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 飼料(23類)と食品(16〜22類など)の取り違え:規制(飼料安全・検疫)や表示、原産地規則(PSR)の適用がズレ、通関遅延・追加対応が起きやすいです。(農林水産省)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1:項(見出し)の文言+部注/類注で決めるのが基本です。第23類は「○○由来の残渣」「食用に適しない」「飼料用の調製品」など、文言に要件が多いため、品名だけで飛びつくと事故りやすいです。(税関ウェブサイト)
    • GIR3(b):配合飼料やプレミックス等、複数材料の混合品で競合する場合に、「全体としての重要な特性(多くは“飼料用に調製された”という性格)」で整理します(ただし23.09の要件を満たすかを先に確認)。(税関ウェブサイト)
    • GIR6:2309.10(犬猫・小売)と2309.90(その他)など、6桁での分岐に必須です。(税関ウェブサイト)
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 由来(どの産業工程の残渣か):製粉、でん粉製造、砂糖製造、醸造/蒸留、油脂抽出…
    • 用途・販売形態:飼料向け表示、対象動物(犬猫か家畜か)、小売包装かバルクか
    • 加工度:単なる搾りかす/ふすまか、発酵・栄養添加・成形までしているか
    • 食用適否(23.01は明確に要件)
    • 形状(ペレット等):第IV部の部注で「ペレット」の定義があります(後述)。(税関ウェブサイト)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:用途・表示
    • 飼料(動物給餌)目的ですか?(ラベル、SDS/仕様書、販売先で確認)
  • Step2:単体の残渣・副産物か
    • はい → Step3へ
    • いいえ(混合・栄養添加・発酵・成形などで“飼料用に調製”)→ 原則 23.09 を検討 (税関ウェブサイト)
  • Step3:どの工程由来か(代表)
    • 食用に適しない肉/魚粉等 → 23.01
    • 製粉のふすま等 → 23.02
    • でん粉/砂糖/醸造蒸留のかす → 23.03
    • 油脂抽出の油かす → 23.04〜23.06
    • ワイン澱・酒石 → 23.07
    • 上記に当てはまらないが飼料に使う植物性残渣等 → 23.08
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 23.08(植物性残渣等) vs 23.09(飼料用調製品):加工度・混合の有無・“調製”の実態で分かれます。
    • 23.04(大豆油かす等) vs 21.06(たん白加工品):同じ大豆由来でも「油脂抽出残渣」か「たん白濃縮・分離等の高度加工」かで分岐。
    • 23.03(バガス等) vs 23.09(発酵・調製飼料):発酵・糖みつ添加の目的等で分岐(事例あり)。(税関ウェブサイト)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第23類の4桁は少ないため全列挙します(文言はWCO HS2022に基づく要約)。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2301食用に適しない肉・魚等の粉/ミール/ペレット、グリーブス魚粉、ミートミール、グリーブス**“食用に適しない”**が要件。食用グレードなら別類へ行き得ます。
2302穀物・豆類のふるい分け/製粉等の残渣(ペレット含む)小麦ふすま、とうもろこしふすま由来が製粉・ふるい分け等であること。穀物種別で6桁分岐。
2303でん粉製造残渣等、ビートパルプ/バガス等、醸造/蒸留かす(ペレット含む)コーングルテンフィード等、ビートパルプ、バガス、ビール粕、蒸留粕、清酒かす工程由来で6桁分岐。清酒かす等は国内運用で成分・性状確認が重要。(税関ウェブサイト)
2304大豆油の抽出後の油かす等(ペレット含む)大豆かす(大豆ミール)日本の解説では繊維状でない脱脂大豆粉を含む旨の説明あり。一方で**油さい(15.22)たん白濃縮物(21.06)**等は除外として注意。
2305落花生油の抽出後の油かす等落花生かす23.04/23.05は“特定油種の抽出残渣”として独立。
2306その他の植物性又は微生物性油脂の抽出後の油かす等(ペレット含む)なたね油かす、ひまわり油かす、綿実油かす、コプラミール等HS2022で見出しが**microbial(微生物性)**を含む形に整理(後述)。2306.41は“低エルカ酸”の定義に注意。
2307ワイン澱、酒石ワイン澱(lees)、酒石(argol)ぶどう搾りかす等は23.08側に行く場合もあり得るので要確認。
2308飼料用の植物材料・植物くず・残渣・副産物(他に特掲なし)柑橘パルプ、ぶどう粕、草粉等“残渣・副産物”としての性格が強いもの。23.09との境界が頻出。
2309飼料用の調製品犬猫用ペットフード、配合飼料、プレミックス類注により「加工で原材料の本質を失った飼料」等を含み得る。2309.10は犬猫用小売。(税関ウェブサイト)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出):
    • 由来工程(製粉/でん粉/砂糖/醸造蒸留/油脂抽出)→ 2302/2303/2304-2306の分岐
    • 対象動物・小売形態(犬猫・小売包装)→ 2309.10/2309.90
    • 規格・定義が参照されるケース
      • 「ペレット」の定義(結合剤3%以下等)→ 部注(第IV部)(税関ウェブサイト)
      • 2306.41「低エルカ酸なたね/からし菜」→ 第12類の号注定義を参照
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 2309.10(犬猫・小売) vs 2309.90(その他)
      • どこで分かれるか:犬または猫用で、小売用にしたものか。
      • 判断に必要な情報:対象動物の表示、JAN/小売パッケージ写真、1包装重量、販売形態(EC小売・業務用)、容器形態。
      • 典型的な誤り:缶詰のキャットフードを「食品っぽい」ので16類等に寄せてしまう。実務上は2309.10に分類された事例があります。(税関ウェブサイト)
    2. 2303.20(バガス等) vs 2309.90(発酵・調製飼料)
      • どこで分かれるか:単なる砂糖製造残渣(バガス)か、**飼料に供するため積極的に加工(発酵等)**した“飼料用調製品”か。
      • 判断に必要な情報:工程(アンモニア処理、糖みつ混合、乳酸菌発酵等)、添加目的(結合剤か発酵促進か)、形状(キューブ等)。
      • 典型的な誤り:「原料はバガスだから2303.20」と短絡。発酵・加工の実態で2309.90になった事例があります。(税関ウェブサイト)
    3. 2304(大豆油かす) vs 2306(その他油かす)
      • どこで分かれるか:油種が大豆か、落花生以外の他油種/微生物油か。
      • 判断に必要な情報:抽出対象油脂(大豆油/なたね油/ひまわり油/微生物油など)、製造工程、原料証明。
      • 典型的な誤り:油種が混在、または“植物由来だから2306”と雑に振る。
    4. 2306.41(低エルカ酸なたね/からし菜) vs 2306.49(その他)
      • どこで分かれるか:原料種子が「低エルカ酸」の定義に当たるか(第12類の定義参照)。
      • 判断に必要な情報:品種情報、分析(エルカ酸)、サプライヤー仕様書。
      • 典型的な誤り:なたね由来を全部2306.41にしてしまう。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第IV部(第16類〜第24類)の部注で、「ペレット」の定義が置かれています。要旨としては「直接圧縮、または全重量の3%以下の結合剤で固めたもの」を指します。(税関ウェブサイト)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第23類の多くの項は「ペレット状であるかないかを問わない」と書かれており、HS6桁の所属自体は“ペレットか否か”で変わらないことが多いです。
    • ただし日本の国内コード(統計品目番号)では、ペレット/キューブ等の形状や包装で細分・税率・適用区分が変わることがあるため、部注の定義が効いてきます(付録A参照)。(税関ウェブサイト)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第23類では「ペレット」定義が主で、他章へ飛ばすタイプの部注は相対的に少ないです(ただし、食品側(16〜22類)との境界はGIRと各類注の影響が大きい)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 類注1:23.09項の範囲
      • 23.09には、他に特掲されない飼料用物品で、植物/動物材料を加工して原材料の本質的特性を失う程度になったもの等を含み得ます(ただし、同様の加工から生じる植物くず・残渣・副産物は除く、という構造)。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「ペレット」:第IV部部注の定義(結合剤3%以下等)を参照。(税関ウェブサイト)
    • 2306.41「低エルカ酸なたね/からし菜」:第12類の号注定義を参照(第23類の号注が参照を指示)。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 日本の解説では、23.04(大豆油かす)に関連して、**油さい(15.22)**や、**脱脂大豆粉から得たたん白濃縮物等(21.06)**が除外として触れられています。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:23.08(残渣)と23.09(調製飼料)の境界
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • ①混合の有無(単体か、配合か)
      • ②加工の程度(発酵・栄養添加・安定化・成形など)
      • ③“飼料用に調製”された意図(工程設計・添加目的)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書(原材料比率100%合計)、製造工程フロー、添加物リスト、栄養成分保証、用途表示ラベル、写真(形状/包装)。
    • 誤分類の典型:
      • “原料がバガスだから”と2303.20に固定 → 発酵工程・糖みつ添加目的等から2309.90になった事例がある(発酵バガス)。(税関ウェブサイト)
  • 影響ポイント2:23.09内の犬猫用(2309.10)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 犬猫用であること(表示・販売資料)、小売用(個装)であること、給与方法(そのまま与える形)。
    • 現場で集める証憑:
      • 外装/ラベル画像、SKU情報、販売チャネル、容器仕様。
    • 誤分類の典型:
      • 缶入りキャットフードを「食品缶詰」の感覚で別章へ → 2309.10として整理された事例がある。(税関ウェブサイト)
  • 影響ポイント3:油かす(23.04〜23.06)と“油さい(15.22)/たん白加工品(21.06)”
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • どの工程で出たものか(油脂抽出後の固形残渣か、精製工程の沈殿/スカムか、たん白濃縮/分離工程品か)。
    • 現場で集める証憑:
      • 製造工程、SDS、工程内での位置づけ、粗脂肪/粗たん白/繊維の分析。
    • 誤分類の典型:
      • “大豆由来”だけで2304固定 → 除外に当たり得る(15.22や21.06)。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:配合飼料(混合・ペレット)を、原料のどれか(例:ふすま=2302、油かす=2304)で申告してしまう
    • なぜ起きる:インボイス品名が「corn/wheat/soy meal mix」等で、原料名が前面に出る。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):混合・調製され「飼料用に供する種類の調製品」として23.09に整理されることがある(配合飼料の分類事例あり)。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:原料割合、製造工程(混合/成形)、用途表示、成分保証。
      • 社内質問例:「これは単一副産物?それとも意図して配合・調製している?」「対象動物と給与方法は?」
  2. 間違い:バガス(2303.20)と“発酵バガス飼料”(2309.90)を同一視
    • なぜ起きる:原料が同じ「バガス」なので、工程差を見落とす。
    • 正しい考え方:発酵・添加・成形等で飼料用に積極加工された場合、23.09側に寄る(発酵バガスの事例)。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:発酵条件、糖みつ等の添加目的(結合剤か栄養源か)、形状(キューブ等)。
      • 社内質問例:「添加は“固めるため”だけ?それとも発酵促進・栄養調整?」
  3. 間違い:犬猫用ペットフードを“食品っぽい”ので16類/21類にしてしまう
    • なぜ起きる:缶詰・レトルト等、人の食品に近い見た目。
    • 正しい考え方:犬猫用で小売用なら2309.10(事例あり)。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:犬猫用表示、包装形態(小売)、給与方法。
      • 社内質問例:「これは“人が食べる用途”は一切ない?」「小売用(消費者向け個装)?」
  4. 間違い:大豆由来の高たん白製品を全部2304(大豆油かす)に入れる
    • なぜ起きる:「脱脂大豆」「大豆ミール」周辺の用語が紛らわしい。
    • 正しい考え方:日本の解説で、23.04に含まれる範囲と、**21.06等へ除外され得る“たん白濃縮物等”**の注意が示されています。
    • 予防策:
      • 確認資料:繊維状か否か、たん白濃縮/分離の工程有無、最終用途(食品原料か飼料原料か)。
      • 社内質問例:「油の抽出残渣?それともたん白を“製品化”する工程が入っている?」
  5. 間違い:“油かす”と“油さい(15.22)”を混同
    • なぜ起きる:どちらも油脂関連の残渣で見た目が似る。
    • 正しい考え方:油脂抽出後の固形残渣は23.04〜23.06側、精製工程の油さい等は15.22側が典型(解説で言及)。
    • 予防策:
      • 確認資料:工程図(抽出後か精製後か)、脂肪分、含水率。
  6. 間違い:「ペレット」表示だけで“ペレット状”と決めつける
    • なぜ起きる:商流用語の“pellet”と関税率表上の定義がズレる可能性。
    • 正しい考え方:部注で「ペレット」の定義(結合剤3%以下等)が示されています。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:成形方法、結合剤の種類と添加率、粒径/形状。
  7. 間違い:清酒かす等(醸造かす)の性状確認不足
    • なぜ起きる:インボイスに「sake lees」等としか書かれず、アルコール残存や状態が不明。
    • 正しい考え方:日本の詳細解説では清酒かすの定義(例:純アルコール量の目安)が示されています。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:アルコール分分析、製法、乾燥の有無。
  8. 間違い:23.08(植物性残渣)と23.09(飼料用調製品)の境界で、“用途だけ”で決める
    • なぜ起きる:どちらも飼料用途で、品名が似る。
    • 正しい考え方:23.09の類注が示す「加工により本質的特性を失う程度」など、加工度がポイント。
    • 予防策:
      • 確認資料:顕微鏡的な組織残存の有無(必要なら)、製造工程、混合/添加の有無。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。HSを誤ると、適用すべきPSR(CTH/CTSH/RVC等)自体が変わり、原産性判断が崩れます。
  • 第23類は「残渣・飼料用調製品」で材料が多岐にわたるため、BOM上の材料HSが散りやすく、CTH/CTSHの判定がブレやすいです(特に2309の配合飼料)。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定は、**交渉・締結時点のHS版(例:HS2012、HS2017等)**でPSRや譲許表が作られていることがあります。
  • 例(一次資料/公的資料から確認できるもの):
    • 日EU EPA:PSR(Annex 3-B)で「Harmonized System classification (2017)」として整理されています。(外務省)
    • 日豪EPA:JETROの実務マニュアルで、関税率・品目別規則等が2012年版HSコードで規定されている旨が説明されています。(JETRO)
    • RCEP:運用上、PSRがHS2012で参照できることや、時期によりHS2022への移行が関係する旨のガイダンス例があります(国・時期で取扱いが変わり得るので要確認)。(Australian Border Force Website)
  • 実務対応(一般論):
    • ① まず協定のPSRが参照するHS版を確認
    • ② 申告で使うHS(現行の実行関税率表/輸出統計品目表)との間で**トランスポジション(旧→新対応)**を整理
    • ③ 税関のPSR検索等で、変換リンクや対応表を使って確認(日本税関のPSR検索画面では、HS版の相互変換への案内があります)。(税関ウェブサイト)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必要データ(最低限):
    • 材料表(BOM)・材料原産国・材料HS(可能なら6桁)
    • 配合比率、工程(混合・発酵・加熱・乾燥・成形等)、RVC計算の前提(EXW/FOB)
  • 証明書類・保存(一般論):
    • 仕様書・分析表・製造記録・仕入書・原産地証明関連の記録を、協定・国内法に沿って保存

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(範囲明確化)23.06「vegetable fats or oils」→「vegetable or microbial fats or oils」へ(微生物油脂由来の油かす等を明確に包含)微細藻類・酵母等の微生物油脂の抽出残渣が、23.06側で整理しやすくなる。契約書・工程資料に“microbial oil extraction residue”が出てくる案件で重要。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料と判断のしかた:
    • WCOが公開するHS2017版とHS2022版のChapter 23の条文PDFを比較すると、23.06の見出し文言が上表のとおり変更されていることが確認できます。
  • 補足:
    • この変更は「6桁コードの新設/削除」というより、見出しの範囲の明確化です。実務では、取引品が「微生物油脂の抽出残渣」に該当するかを、工程資料で説明できるようにすることが重要です。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第23類は、長期的には“見た目が似た残渣”が統合されることがあります。WCOの旧版条文から確認できる主要点を、可能な範囲で整理します。(世界税関機関)

版の流れ主要な追加・削除・再編(要旨)旧コード→新コード(目安)実務メモ
HS2002→HS200723.02の「米由来(2302.20)」が見当たらなくなり、穀物系の整理が簡素化2302.20(Of rice)→ 2302.40(Of other cereals)へ吸収“米ぬか/米ふすま”は、現行では一般に2302.40側で整理する発想になります(国内コードは別途)。(世界税関機関)
HS2002→HS200723.06の「とうもろこし胚芽(2306.70)」が統合2306.70(Of maize germ)→ 2306.90(Other)へ吸収“corn germ oilcake”系は2306.90側で整理されやすいです。(世界税関機関)
HS2007→HS2017大きな6桁構造変更は限定的(少なくとも条文上は同じ構造を維持)第23類は「工程由来」で安定している一方、23.08/23.09の境界が実務では難所。(世界税関機関)
HS2017→HS202223.06の文言に「microbial」が追加微生物油脂の抽出残渣案件で要注意。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):発酵バガスを“単なるバガス”として申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):23.09の“飼料用調製品”該当性を見落とし、23.03側で処理。
    • 起きやすい状況:インボイスに「bagasse」だけ、工程情報が出てこない。
    • 典型的な影響:税番更正、追加資料要求、検査強化・通関遅延。
    • 予防策:工程(発酵・糖みつ添加目的)を仕様書に明記し、必要なら事前教示。(税関ウェブサイト)
  • 事例名:缶詰キャットフードを食品(人用)として申告
    • 誤りの内容:犬猫用小売の2309.10に該当し得るのに、別章へ。
    • 起きやすい状況:外観が人用缶詰に近く、社内で食品担当が処理。
    • 典型的な影響:税関照会、資料追加、HS更正、(国内コード差で)税率や統計がズレる。
    • 予防策:犬猫用表示・給与方法・包装を提出できるようにする。(税関ウェブサイト)
  • 事例名:大豆由来高たん白品の2304固定
    • 誤りの内容:23.04の範囲と、21.06等に除外され得る品の区別が不十分。
    • 起きやすい状況:「soy protein」「defatted soy flour」など曖昧な品名。
    • 典型的な影響:税率差・原産地規則(CTH/CTSH)差で、EPA適用可否が崩れる。
    • 予防策:工程(たん白濃縮/分離の有無)、分析表、用途を揃えて事前確認。
  • 事例名:清酒かすの性状未確認で分類が揺れる
    • 誤りの内容:醸造かすとしての性状確認(アルコール残存等)を省略。
    • 起きやすい状況:副産物で仕様書が薄い。
    • 典型的な影響:追加分析要求、通関遅延。
    • 予防策:日本の詳細解説で示されるような指標(例:純アルコール量の目安)を踏まえ、分析・工程証跡を用意。(税関ウェブサイト)

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫(該当があるものだけ):
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 飼料安全法(飼料・飼料添加物):輸入飼料・飼料添加物は基準・規格、禁止物質等の対象になり得ます。具体の手続(届出等)は品目・成分・用途で変わるため、MAFF/FAMICの案内で確認が必要です。(農林水産省)
      • ペットフード安全法(犬猫用):犬猫用のペットフードは別法体系で届出・基準等の枠組みがあります。(環境省)
    • 植物検疫
      • 乾草・わら等、植物性材料を含む飼料・敷料は、植物検疫の対象になり得ます(相手国・品目で要件が変動)。(famic.go.jp)
    • 動物検疫
      • 動物由来原料(肉骨粉等)や、牧草等の一部は動物検疫の観点で制限・条件が課される場合があります。(農林水産省)
    • 安全保障貿易管理(該当する場合)
      • 第23類は一般に該当頻度は高くありませんが、混合物に該当物質が含まれる場合等は別途確認が必要です(一般論)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 農林水産省(飼料・飼料添加物、ペットフード)
    • FAMIC(手続・通知等)
    • 植物防疫所(植物検疫)
    • 動物検疫所(動物検疫) (農林水産省)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 成分表、原料由来証明、製造工程、SDS、用途表示(対象動物)、包装仕様、分析成績(必要に応じてアルコール分・油分・たん白等)。

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原材料(100%合計)・添加物
    • 製造工程(どの産業の“残渣”か、調製の有無)
    • 用途(対象動物、給与方法)、販売形態(小売/業務用)
    • 写真(形状:粉・フレーク・ペレット・キューブ、包装)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 23.09の類注を踏まえ、23.08/23.09の境界を再点検
    • 油かす(23.04〜23.06)と油さい(15.22)/高加工たん白(21.06)を再点検
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名が“residue”“meal”“feed”程度なら、工程由来・用途が伝わる補足を添付
    • 犬猫用なら小売包装資料を必ず添付(2309.10判定の要) (税関ウェブサイト)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版(HS2012/2017等)を確認し、必要ならHS変換 (外務省)
    • BOMの材料HSと工程証跡を整備(混合飼料は特に重要)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 飼料安全法、ペットフード安全法、植物/動物検疫の該当性を確認 (農林水産省)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文・旧版含む)
    • HS2022 Chapter 23 条文(PDF) (参照日:2026-02-17)
    • HS2017 Chapter 23 条文(PDF) (参照日:2026-02-17)
    • HS2007 Chapter 23 条文(PDF) (世界税関機関)(参照日:2026-02-17)
    • HS2002 Chapter 23 条文(PDF) (世界税関機関)(参照日:2026-02-17)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 関税率表解説 第23類(23r.pdf) (参照日:2026-02-17)
    • 第IV部 部注(ペレット定義等、4b.pdf) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 第23類の詳細解説(清酒かす等、23rd.pdf) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 品目分類事例:配合飼料(2309.90) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 品目分類事例:発酵バガス(2309.90) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 品目分類事例:キャットフード(2309.10) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 日本税関:品目別原産地規則(PSR)検索(HS版変換案内含む) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス(例示)
    • 日EU EPA Annex 3-B(PSR、HS2017表記) (外務省)(参照日:2026-02-17)
    • JETRO:日豪EPA活用マニュアル(HS2012言及) (JETRO)(参照日:2026-02-17)
    • RCEP(全文) (ASEAN Main Portal)(参照日:2026-02-17)
    • RCEP運用ガイダンス例(PSR/HS移行に言及) (Australian Border Force Website)(参照日:2026-02-17)
    • 日インドネシア協定:品目別規則改正(HS版運用に言及) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
  • 規制・許認可(日本)
    • MAFF:飼料安全法関連(輸入手続等) (農林水産省)(参照日:2026-02-17)
    • FAMIC:飼料・ペットフード関連手続案内 (famic.go.jp)(参照日:2026-02-17)
    • 環境省:ペットフード安全法Q&A (環境省)(参照日:2026-02-17)
    • 植物防疫所(植物検疫) (famic.go.jp)(参照日:2026-02-17)
    • 動物検疫所(動物検疫) (農林水産省)(参照日:2026-02-17)

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

※ここは**HS6桁ではなく日本の国内コード(統計品目番号等)**の話です。国際共通のHS(6桁)と混同しないでください。

  • 2309.10(犬猫用・小売)では、日本の国内コードで犬/猫、気密容器入り等の区分が設けられていることがあります。キャットフード事例では統計番号レベルまで示されています。(税関ウェブサイト)
  • 2309.90(その他)では、国内運用上、ペレット状・キューブ状など形状や“基材が何か”で細分されることがあります。
  • 形状判断の前提として、第IV部部注の「ペレット」定義(結合剤3%以下等)が参照され得ます。(税関ウェブサイト)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論):
    • 製品概要(用途・対象動物)、原材料比率、製造工程、写真(形状・包装)、分析表(必要に応じて)、想定HS(自社案)
  • 日本税関の公開事例は、**品目分類事例(PDF)**が具体的で、特に23.09(配合飼料、発酵バガス、キャットフード)のような“境界が難しい品”の参考になります。(税関ウェブサイト)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第22類:飲料、アルコール及び食酢(Beverages, spirits and vinegar)

用語(本資料内の統一):類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. アルコール分(20℃での容量%):2202の「非アルコール飲料」は 0.5%以下(0.5%超は22.03〜22.06または22.08へ) (世界税関機関)
    2. “飲料”か“飲料にならない料理用”か:料理用調製で飲用不可なら 2103 へ飛ぶ(食酢を除く) (世界税関機関)
    3. エタノール/蒸留酒の80%境界・変性の有無:未変性エタノール 80%以上→220780%未満→2208、変性は度数不問で2207 (世界税関機関)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 「ノンアル」「微アル」飲料:HS上は0.5%の線引きがある一方、国内法(酒税法等)の“酒類”定義は別なので、通関・規制・社内管理の前提がズレやすいです。 (JETRO)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1:まずは見出し文言と注(部注/類注)で判定します。第22類は
      • 料理用に調製して飲料不適 → 2103
      • 「非アルコール飲料」の定義(0.5%以下)
      • アルコール分の測定温度(20℃)
        といった“結論を変える注”が明確です。 (世界税関機関)
    • GIR6:6桁(号)レベルでは、アルコール分・容器容量・変性の有無・酒類の種類で枝分かれします(例:2202.91/2202.99、2204.21/2204.22/2204.29、2207.10/2207.20)。 (世界税関機関)
    • (補足)混合が絡む場合:2206自体が「発酵酒の混合」等を含むため、実務上は**“発酵酒ベースの混合なのか/蒸留酒(スピリッツ)を加えたのか”**が重要になります。 (世界税関機関)
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • アルコール分(ABV):20℃での容量%で判断(0.5%・80%が重要な境界) (世界税関機関)
    • 製法:発酵(ビール/ワイン/その他発酵酒)か、蒸留・精製(スピリッツ/エタノール)か (税関ウェブサイト)
    • “ジュース”か“清涼飲料”か:2202は2009のジュースを除外(果実・ナット・野菜) (世界税関機関)
    • 容器容量や発泡条件:ワインの一部は容器容量で6桁が分岐し、発泡ワインは圧力条件で定義されます (世界税関機関)
    • 用途(料理用):飲めないように調製された場合は大きく飛びます (世界税関機関)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:それは「飲用(飲料)」としての性格が中心ですか?
    • Yes → Step2へ
    • No(料理用に調製して飲めない) → 原則 2103(ただし食酢は2209の可能性) (世界税関機関)
  • Step2:アルコール分(20℃、容量%)を確認
  • Step3:非アルコール側(0.5%以下)
    • 砂糖/香味料なしの水・氷・雪 → 2201
    • 砂糖/香味料入りの水、またはその他の非アルコール飲料 → 2202
  • Step4:アルコール側(0.5%超)
    • 麦芽から作ったビール → 2203
    • 生鮮ぶどう由来のワイン/マスト → 2204(発泡等の条件も確認) (世界税関機関)
    • ベルモット等(ぶどう酒を植物/芳香物質で香味付け) → 2205 (世界税関機関)
    • その他の発酵酒(清酒、シードル等)や発酵酒の混合 → 2206 (世界税関機関)
    • エタノール(未変性80%以上)または変性アルコール → 2207 (世界税関機関)
    • エタノール(未変性80%未満)や蒸留酒/リキュール等 → 2208 (世界税関機関)
    • 食酢・食酢代用物 → 2209(ただし酢酸10%超は2915) (世界税関機関)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第22類 vs 第20類(2009ジュース):ジュースとしての性格か、清涼飲料としての性格か
    • 第22類 vs 第21類(2103/2106等):料理用調製品・飲料ベース(濃縮/シロップ)
    • 第22類 vs 第29類(2915酢酸):酢酸濃度10%超かどうか (世界税関機関)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2201砂糖等や香味料を加えていない水、氷・雪ミネラルウォーター、炭酸水(無糖)、氷砂糖/香味料入りは2202。蒸留水等の純水は2853。海水は2501。 (世界税関機関)
2202砂糖等や香味料入りの水、その他の非アルコール飲料(2009のジュース除く)コーラ、スポーツドリンク、エナジードリンク、ノンアルビール「非アルコール」は0.5%以下。果実/ナット/野菜ジュース(2009)は除外。 (世界税関機関)
2203麦芽から作ったビールビール0.5%以下のノンアルビールは2202.91へ行く可能性。 (世界税関機関)
2204生鮮ぶどうのワイン(強化含む)、ぶどうマスト(2009除く)ワイン、ポート、ぶどうマスト発泡ワインの定義あり(圧力条件)。容器容量で6桁分岐。料理用で飲用不可なら2103へ。 (世界税関機関)
2205ベルモット等:植物・芳香物質で香味付けした生鮮ぶどうワインベルモット、アロマワイン容器容量で6桁分岐。ベースが「ぶどうワイン」である点が重要。 (世界税関機関)
2206その他の発酵酒、発酵酒の混合、発酵酒+非アル飲料の混合(他項除く)清酒、シードル、ペリー、ミードビール/ワイン/ベルモットは別項。蒸留酒を加えたリキュール等は2208寄りになりやすい。 (世界税関機関)
2207未変性エタノール(80%以上)、変性アルコール(度数不問)工業用高濃度エタノール、変性アルコール80%境界(未変性)。変性かどうかは仕様・添加物で確認(国により変性剤が異なる)。 (世界税関機関)
2208未変性エタノール(80%未満)、蒸留酒・リキュール等ウイスキー、焼酎、ジン、ラム、リキュール果汁等にアルコールを加え0.5%超の飲料も含まれ得る(例外除く)。 (世界税関機関)
2209食酢、食酢代用物穀物酢、ワインビネガー、りんご酢酢酸の含有量が全重量の10%超の水溶液は2915へ。 (世界税関機関)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件(よく使うもの)の整理
    • アルコール分(ABV)
      • 0.5%以下 → 2201/2202側へ(ただし製品形態により別章もあり)
      • 0.5%超 → 22.03〜22.06 または 22.08 へ (世界税関機関)
    • 未変性エタノールの80%境界
    • 変性の有無:変性アルコールは 2207.20(度数不問) (世界税関機関)
    • 容器容量(ワイン/ベルモット):2L以下、2L超10L以下、その他で分岐(2204/2205) (世界税関機関)
    • 発泡(スパークリングワイン):20℃で密閉容器内の圧力が一定以上(3 bar以上) (世界税関機関)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    • (A) 2202.91(ノンアルビール) vs 2203.00(ビール)
      • どこで分かれるか:アルコール分が 0.5%以下かどうか(“非アルコール飲料”定義) (世界税関機関)
      • 判断に必要な情報:成分/製法、ABV試験成績(20℃換算)、商品仕様書
      • 典型的な誤り:「ビールに見える/麦芽由来」だけで2203にしてしまう(0.5%以下なら2202.91の可能性)
    • (B) 2202(清涼飲料) vs 2009(果実・ナット・野菜ジュース)
      • どこで分かれるか:商品が“ジュース(2009)”としての性格か、“その他の飲料(2202)”か。2202は2009ジュースを除外します。 (世界税関機関)
      • 判断に必要な情報:原材料比率、製造工程(搾汁か、調製飲料か)、最終製品の表示・仕様
      • 典型的な誤り:「果汁入り飲料は全部2202」と決め打ち(果汁主体なら2009の可能性が残る)
    • (C) 2207(エタノール) vs 2208(スピリッツ/80%未満エタノール)
      • どこで分かれるか:未変性エタノールの 80%境界、および 変性の有無 (世界税関機関)
      • 判断に必要な情報:ABV(20℃)、SDS/仕様書、変性剤の添加有無・種類
      • 典型的な誤り:
        • 高濃度でも80%未満なのに2207にする
        • 変性アルコールを飲料用として扱い2208にする(変性は2207.20)
    • (D) 2206(発酵酒) vs 2208(蒸留酒・リキュール等)
      • どこで分かれるか:発酵のみで得た酒か、蒸留酒ベース/アルコール添加で“スピリッツ系”になっているか
      • 判断に必要な情報:製造工程(発酵/蒸留/添加)、原材料、ABV、商品説明
      • 典型的な誤り:果実系のお酒を全部2206とする(蒸留酒に果実等を漬けたリキュールは2208寄りになりやすい) (税関ウェブサイト)
    • (E) 2209(食酢) vs 2915(酢酸水溶液)
      • どこで分かれるか:酢酸含有量が全重量の 10%超なら2915へ(類注の除外) (世界税関機関)
      • 判断に必要な情報:酢酸含有量(w/w%)、SDS/成分表、用途(食用/工業用)
      • 典型的な誤り:工業用の酢酸溶液を“食酢っぽい”として2209にしてしまう

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第22類が属する**第4部(Section IV)**の部注は、少なくとも「ペレット」の定義を置いています。 (税関ウェブサイト)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第22類の典型的な飲料分類では「ペレット」定義に直接当たるケースは多くありません。
    • ただし、飲料原料(例:固形化した副原料等)を取り扱う場合、別章でペレット定義が効くことがあり得る、という程度の位置づけです。 (税関ウェブサイト)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第22類に関しては、部注よりも**類注(第22類注)**の除外規定(料理用、酢酸濃度、医薬品等)の方が「飛び先」を作る主役です。 (世界税関機関)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • (除外)料理用に調製して飲料に適さないもの(食酢を除く)は主として2103へ (世界税関機関)
    • (除外)海水は2501、**純水(蒸留水等)**は2853へ (世界税関機関)
    • (除外)酢酸10%超の水溶液は2915へ (世界税関機関)
    • (除外)医薬品は3003/3004、香料・化粧品は33類へ (世界税関機関)
    • **アルコール分の測定温度(20℃)**が定義され、22類だけでなく20・21類にも関係します (世界税関機関)
    • **2202の非アルコール飲料定義(0.5%以下)**が明記されています (世界税関機関)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「非アルコール飲料」(2202用):アルコール分(20℃、容量%)が 0.5%以下 (世界税関機関)
    • 「スパークリングワイン」(2204.10用):20℃の密閉容器で、ゲージ圧力が 3 bar以上 (世界税関機関)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:0.5%の境界(2202の非アルコール定義)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • ABV(20℃の容量%)の試験成績
      • 発酵が進む可能性(輸送中の再発酵等)の有無(商品設計・保存条件) (世界税関機関)
    • 現場で集める証憑:仕様書、分析表(ABV)、成分表、製造工程図、商品ラベル案
    • 誤分類の典型:
      • “ノンアル/微アル”表記だけで2202と決める(0.5%超なら酒類側へ)
      • 逆に、0.5%以下でも「ビールに似ている」だけで2203にする
  • 影響ポイント2:料理用調製(飲料として不適)→2103へ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 食塩・香辛料等の添加、飲用に適さない処理の有無
      • 取引実態(“調味料”として販売・用途が固定されているか) (世界税関機関)
    • 現場で集める証憑:配合表、用途説明、製品仕様(塩分等)、カタログ、ラベル
    • 誤分類の典型:料理用ワインを「ワインだから2204」としてしまう
  • 影響ポイント3:酢酸10%超 → 2915(2209から除外)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):酢酸含有量(重量%)、用途(食用/工業用)、SDS (世界税関機関)
    • 現場で集める証憑:成分分析、SDS、用途説明書
    • 誤分類の典型:工業用酢酸溶液を「酢だから2209」にしてしまう
  • 影響ポイント4:スパークリングワイン定義(2204.10)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):20℃で密閉容器内の圧力(3 bar以上か) (世界税関機関)
    • 現場で集める証憑:製品規格書(ガス圧)、製造仕様、ラベル表示
    • 誤分類の典型:発泡性をうたうワインを全部2204.10にする(圧力条件未確認)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:果汁入り飲料を一律で2202にしてしまう
    • なぜ起きる:見た目や商品名が“ドリンク”で、2009ジュース除外を見落とす
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):2202は2009の果実・ナット・野菜ジュースを除外(見出し文言) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 確認すべき資料:原材料配合比率、製造工程(搾汁/調製)、Brix等
      • 社内で聞く質問例:「これは“ジュース(搾った液)”が主体ですか?それとも水や糖類等で調製した飲料ですか?」
  2. 間違い:ノンアルビールを2203(ビール)にする/逆にビールを2202にする
    • なぜ起きる:商品名・見た目で決め、0.5%定義を確認しない
    • 正しい考え方:2202の非アルコール飲料=0.5%以下(類注)。0.5%超なら22.03〜22.06/22.08。 (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:ABV試験成績(20℃)、仕様書
      • 質問例:「ABV(20℃換算)は何%ですか?ロットで変動しますか?」
  3. 間違い:濃縮シロップ/原液(割材)を“飲料”として2202にする
    • なぜ起きる:用途が飲用でも、輸入形態が“原液”である点を見落とす
    • 正しい考え方:輸入形態が“調製品”の場合、21類(例:2106)など他章が候補になり得ます(製品の状態で判断)
    • 予防策:
      • 資料:使用方法(希釈倍率)、製品形態(そのまま飲めるか)、ラベル
      • 質問例:「この製品はそのまま飲用に供されますか?希釈や調合が前提ですか?」
  4. 間違い:料理用ワイン(塩分等で飲めない)を2204にする
    • なぜ起きる:原料がワイン=2204と短絡し、料理用調製の除外を見落とす
    • 正しい考え方:料理用に調製して飲用不適(2209を除く)は主として2103へ(類注) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:配合表(塩・香辛料)、用途表示、販売形態
      • 質問例:「飲用できますか?塩分/香辛料等の添加はありますか?」
  5. 間違い:“発酵飲料”を全部2206とする
    • なぜ起きる:発酵という言葉だけで判断し、蒸留酒添加(リキュール化)を確認しない
    • 正しい考え方:2206はビール/ワイン/ベルモット以外の発酵酒等。蒸留酒・リキュール等は2208寄り。 (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:製造工程(蒸留の有無、添加アルコールの種類)、ABV
      • 質問例:「蒸留酒(スピリッツ)の添加がありますか?あるなら何を、いつ加えますか?」
  6. 間違い:エタノールを2207/2208で取り違える
    • なぜ起きる:80%境界、変性の有無を見落とす
    • 正しい考え方:未変性80%以上→2207、未変性80%未満→2208、変性は度数不問で2207(見出し) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:ABV(20℃)、SDS、変性剤情報
      • 質問例:「変性剤は入っていますか?ABVはいくつですか?」
  7. 間違い:スパークリングワイン(2204.10)要件を確認しない
    • なぜ起きる:“発泡性”という宣伝文句で判断してしまう
    • 正しい考え方:2204.10の「スパークリングワイン」には圧力定義がある(号注) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:ガス圧(20℃)、製品規格
      • 質問例:「20℃密閉でのゲージ圧は何barですか?」
  8. 間違い:食酢(2209)と酢酸水溶液(2915)を混同
    • なぜ起きる:どちらも“酢酸”に見えるため、濃度と用途を確認しない
    • 正しい考え方:酢酸が全重量の10%超の水溶液は2915(類注で2209から除外) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:成分分析(w/w%)、SDS
      • 質問例:「酢酸含有量は何%(重量)ですか?食用グレードですか?」

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること:
    • PSRは通常、**HS(主に6桁)**を前提に書かれているため、最終製品のHSを誤ると、PSRの読み替えや適用条文がズレ、原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品(例:2204ワイン)だけ見て、非原産材料側のHS(例えば添加酒精や香料の分類)を適当に置く
    • 製造工程の評価軸(CTC/RVC/特定工程など)がPSRと噛み合っていない

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記(一般論):
    • CPTPP:PSR(品目別規則)の表が HS2012 を前提に提示されている例が確認できます。 (international.gc.ca)
    • RCEP:協定のPSR(Annex 3A)は HS2012 版として提供されている資料があります。 (Australian Border Force Website)
      • 一方で、日本側運用としては、2023-01-01以降、PSRはHS2022版を使用しつつ、一定の附属書は最終版提供までHS2012を適用し続ける旨の整理が示されています。 (経済産業省)
    • 日EU EPA:日本税関の原産地手続の説明資料では、申告書類等での関税分類番号を HS2012(6桁) として扱う旨が示されています(協定運用上の版ズレに注意)。 (税関ウェブサイト)
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意:
    • 現行の輸出入申告はHS2022であっても、PSR参照はHS2012のまま、ということが起き得ます。
    • 第22類は大枠の構造は安定していますが、2202や2204のように過去版で6桁構造が変わった領域は特に注意が必要です(後述の第8章参照)。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • まず「協定が参照するHS版」を確定(税関/公的ガイドで確認)
    • 旧HS→新HSの対応(相関表、税関のPSR変換表)を当て、PSRの適用対象が変わらないかチェックする (税関ウェブサイト)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • そろえるべき基本データ(一般論):
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国
    • 非原産材料のHS(協定が参照するHS版で整理)
    • RVC計算が必要な場合は、算定式と対象コストの根拠資料
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 申告書の記載事項として、**HS2012(6桁)**の記載が求められる場面がある旨が整理されています。 (税関ウェブサイト)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(範囲明確化)2202(見出し文言)2202の除外対象ジュースが「果実・野菜」から「果実・ナット・野菜」へ明確化(2009との整合) (世界税関機関)ナット系(例:ナッツ飲料/ジュース)の取扱いで、2009との関係をより意識して確認が必要
HS2017→HS2022範囲変更(他類への移管の影響)2202.99(ex)→3006.93相関表上、2202.99の一部が新設の3006.93(臨床試験用のプラセボ等)へ移る扱いが示されている (税関ウェブサイト)医療・治験関連の“飲料形態”キットが混在する案件では、飲料としての思い込み分類を避ける
HS2017→HS2022変更なし(構造維持)2201〜2209(概ね)第22類の4桁骨格は維持(上記の文言/範囲影響を除く) (世界税関機関)過去データの比較は可能だが、2202周辺は版差/範囲差に注意

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 見出し文言(2202)の「ナット」追加は、WCOのHS2017版とHS2022版の章テキスト比較で確認できます(HS2017は“fruit or vegetable”、HS2022は“fruit, nut or vegetable”)。 (世界税関機関)
  • 2202.99の一部が3006.93へ移る影響は、WCO相関表(HS2022↔HS2017)において 2202.99(ex)→3006.93 が記載されていることに基づき、範囲影響として整理しました。 (税関ウェブサイト)
  • 上記以外については、WCOのHS2022章テキスト(第22類)における4桁の構成が2201〜2209であること、HS2017章テキストと同様の骨格であることから「概ね変更なし」と判断しています。 (世界税関機関)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第22類は4桁レベルは比較的安定ですが、6桁の分割が過去にあります。主要点を「旧コード→新コード」中心に整理します。

時系列主な追加・削除・再編旧コード→新コード(代表)実務メモ
HS2007→HS2012大枠は維持(主要な6桁構造は概ね同様) (世界税関機関)2007/2012とも2202は2202.90(Other)で、ノンアルビールはまだ独立6桁ではない (世界税関機関)
HS2012→HS20172202の6桁分割2202.90 → 2202.91(ノンアルビール) + 2202.99(その他) (世界税関機関)ノンアルビールを独立で統計把握できるようになった(実務では“ビール類似”でも0.5%定義を同時に確認) (世界税関機関)
HS2012→HS20172204の6桁分割(容器容量)2204.29(Other)から 2204.22(2L超10L以下) を新設し分割 (税関ウェブサイト)Bag-in-Box等の流通形態で誤りやすい(容器容量の証拠が必要)
HS2012→HS2017見出し文言の例示追加2206.00(Other fermented beverages)の例示に saké を追加 (世界税関機関)清酒が2206であることの理解を補強(コード自体は2206.00のまま)
HS2017→HS20222202見出し文言の調整2202の除外ジュースに nut を追加 (世界税関機関)ナッツ系ジュース/飲料の分類検討で2009との整合を意識

※「旧コード→新コード(または行き先不明)」の観点では、第22類は「別章へ完全移管でコードが消える」より、6桁分割文言調整が中心です(上表のとおり)。


9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):料理用ワインを“ワイン(2204)”で申告してしまった
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第22類注で、料理用に調製し飲料不適(食酢除く)は除外(主として2103) (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が“Cooking wine”でも、社内が「ワインだから2204」と処理
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、説明資料の追加提出、通関遅延
    • 予防策:塩分/香辛料等の配合確認、用途説明書を揃えて事前相談
  • 事例名(短く):“微アル飲料”を2202で申告したが、実測で0.5%超
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):2202の非アルコール飲料定義(0.5%以下)に抵触し、酒類側(22.03〜22.06/22.08)となる (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:輸送中の再発酵、ロット差、表示上“low alcohol”をノンアル扱い
    • 典型的な影響:分類更正、課税関係/規制確認のやり直し、検査強化
    • 予防策:ABV仕様の保証、輸送条件管理、輸入前の分析成績取得
  • 事例名(短く):Bag-in-Boxワインの容器容量を確認せず2204.29で処理
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):2204は容器容量で6桁が分岐(2204.21/2204.22/2204.29) (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:外装だけ見て容量を勘違い(2L超10L以下を見落とす)
    • 典型的な影響:統計・税率・通関処理の訂正
    • 予防策:製品仕様書(容量)、梱包明細(L表示)、ラベル写真をセットで保管
  • 事例名(短く):工業用酢酸溶液を“食酢(2209)”として申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):酢酸10%超の水溶液は2915に除外される (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:英語品名が“Vinegar-like / Acetic solution”など曖昧
    • 典型的な影響:分類更正、危険物/化学品としての追加確認、遅延
    • 予防策:SDSで濃度確認、用途(食用/工業用)を明確にした書類整備

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 飲料(酒類を含む)を販売・営業使用目的で輸入する場合、食品衛生法に基づく輸入届出等の手続が必要とされています(検疫所で審査・必要に応じ検査判断)。 (厚生労働省)
    • 確認先:厚生労働省(食品等輸入手続)、各検疫所窓口 (厚生労働省)
  • その他の許認可・届出(酒類)
    • 酒類を輸入し、販売する場合は、酒税法に基づく酒類販売業免許が必要とされる旨が税関の案内等で整理されています。 (税関ウェブサイト)
    • 確認先:国税庁(酒類販売業免許)、税関(カスタムスアンサー) (国税庁)
    • 実務注意:HSの「非アルコール(0.5%)」と、酒税法上の“酒類”の線引きは一致しない点があるため、HS分類だけで国内規制判断を固定しないことが重要です。 (JETRO)
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 一般的な飲料は該当しにくいですが、高濃度エタノール等は用途・仕様により別観点の確認が必要になる場合があります(個別確認)。
  • その他(安全・危険物)
    • エタノール等の高濃度アルコールは、保管・取扱数量により消防法上の危険物(第四類・アルコール類)該当が問題となり得ます(濃度は重量%基準など、表示換算の注意あり)。 (tfd.metro.tokyo.lg.jp)
    • 確認先:所轄消防署、消防庁/自治体消防のガイド (tfd.metro.tokyo.lg.jp)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 成分表、製造工程表、分析表(ABV、酢酸濃度等)、SDS(化学品該当時)、ラベル案
    • 輸入届出関連書類(検疫所向け) (厚生労働省)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 2202の0.5%定義、2209の酢酸10%除外、料理用調製の除外(2103)を再確認 (世界税関機関)
    • 2009ジュース除外の確認(果実・ナット・野菜) (世界税関機関)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名が曖昧(“drink base”“acetic solution”等)なら仕様書・成分表添付
    • 申告単位(L、kg等)と内容量の整合
    • 酒類の場合、酒税・免許・届出が別途絡むことを前提に社内で役割分担 (税関ウェブサイト)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 実行関税率表(2022年版)第22類 注(和文PDF)(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
    • 関税率表解説(第22類 解説PDF)※例示・実務解釈(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
    • 第4部 部注(ペレット定義)和文PDF(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
    • 税関:カスタムスアンサー「酒類の輸入について」(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(参照日:2026-02-17) (厚生労働省)
    • 東京消防庁:消毒用アルコールの取扱い(参照日:2026-02-17) (tfd.metro.tokyo.lg.jp)
    • 日本税関:我が国の原産地規則(手続資料、HS2012記載等)(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • CPTPP:Annex 3-D(PSR、HS2012表記例:カナダ政府公開)(参照日:2026-02-17) (international.gc.ca)
    • RCEP:Annex 3A(PSR、HS2012版PDF例:ABF公開)(参照日:2026-02-17) (Australian Border Force Website)
    • 経済産業省:RCEP原産地証明(2023-01-01以降PSRはHS2022使用等)(参照日:2026-02-17) (経済産業省)
  • その他
    • JETRO:アルコール飲料の輸入手続Q&A(HS上0.5%等と国内法の差の注意)(参照日:2026-02-17) (JETRO)
    • UNSD:HS2017 220291とHS2012 220290の対応情報(参照日:2026-02-17) (unstats.un.org)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。