用語(本資料内の統一):類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)
- この類に入る代表例(3〜6個):
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
- 「ノンアル」「微アル」飲料:HS上は0.5%の線引きがある一方、国内法(酒税法等)の“酒類”定義は別なので、通関・規制・社内管理の前提がズレやすいです。 (JETRO)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)
1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)
- この類で特に効くGIR:
- GIR1:まずは見出し文言と注(部注/類注)で判定します。第22類は
- 料理用に調製して飲料不適 → 2103
- 「非アルコール飲料」の定義(0.5%以下)
- アルコール分の測定温度(20℃)
といった“結論を変える注”が明確です。 (世界税関機関)
- GIR6:6桁(号)レベルでは、アルコール分・容器容量・変性の有無・酒類の種類で枝分かれします(例:2202.91/2202.99、2204.21/2204.22/2204.29、2207.10/2207.20)。 (世界税関機関)
- (補足)混合が絡む場合:2206自体が「発酵酒の混合」等を含むため、実務上は**“発酵酒ベースの混合なのか/蒸留酒(スピリッツ)を加えたのか”**が重要になります。 (世界税関機関)
- GIR1:まずは見出し文言と注(部注/類注)で判定します。第22類は
- 「品名だけで決めない」ための観点:
1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)
- Step1:それは「飲用(飲料)」としての性格が中心ですか?
- Yes → Step2へ
- No(料理用に調製して飲めない) → 原則 2103(ただし食酢は2209の可能性) (世界税関機関)
- Step2:アルコール分(20℃、容量%)を確認
- Step3:非アルコール側(0.5%以下)
- Step4:アルコール側(0.5%超)
- よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
- 第22類 vs 第20類(2009ジュース):ジュースとしての性格か、清涼飲料としての性格か
- 第22類 vs 第21類(2103/2106等):料理用調製品・飲料ベース(濃縮/シロップ)
- 第22類 vs 第29類(2915酢酸):酢酸濃度10%超かどうか (世界税関機関)
2. 主な項(4桁)とその内容
2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 2201 | 砂糖等や香味料を加えていない水、氷・雪 | ミネラルウォーター、炭酸水(無糖)、氷 | 砂糖/香味料入りは2202。蒸留水等の純水は2853。海水は2501。 (世界税関機関) |
| 2202 | 砂糖等や香味料入りの水、その他の非アルコール飲料(2009のジュース除く) | コーラ、スポーツドリンク、エナジードリンク、ノンアルビール | 「非アルコール」は0.5%以下。果実/ナット/野菜ジュース(2009)は除外。 (世界税関機関) |
| 2203 | 麦芽から作ったビール | ビール | 0.5%以下のノンアルビールは2202.91へ行く可能性。 (世界税関機関) |
| 2204 | 生鮮ぶどうのワイン(強化含む)、ぶどうマスト(2009除く) | ワイン、ポート、ぶどうマスト | 発泡ワインの定義あり(圧力条件)。容器容量で6桁分岐。料理用で飲用不可なら2103へ。 (世界税関機関) |
| 2205 | ベルモット等:植物・芳香物質で香味付けした生鮮ぶどうワイン | ベルモット、アロマワイン | 容器容量で6桁分岐。ベースが「ぶどうワイン」である点が重要。 (世界税関機関) |
| 2206 | その他の発酵酒、発酵酒の混合、発酵酒+非アル飲料の混合(他項除く) | 清酒、シードル、ペリー、ミード | ビール/ワイン/ベルモットは別項。蒸留酒を加えたリキュール等は2208寄りになりやすい。 (世界税関機関) |
| 2207 | 未変性エタノール(80%以上)、変性アルコール(度数不問) | 工業用高濃度エタノール、変性アルコール | 80%境界(未変性)。変性かどうかは仕様・添加物で確認(国により変性剤が異なる)。 (世界税関機関) |
| 2208 | 未変性エタノール(80%未満)、蒸留酒・リキュール等 | ウイスキー、焼酎、ジン、ラム、リキュール | 果汁等にアルコールを加え0.5%超の飲料も含まれ得る(例外除く)。 (世界税関機関) |
| 2209 | 食酢、食酢代用物 | 穀物酢、ワインビネガー、りんご酢 | 酢酸の含有量が全重量の10%超の水溶液は2915へ。 (世界税関機関) |
2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)
- 分岐条件(よく使うもの)の整理
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
- (A) 2202.91(ノンアルビール) vs 2203.00(ビール)
- どこで分かれるか:アルコール分が 0.5%以下かどうか(“非アルコール飲料”定義) (世界税関機関)
- 判断に必要な情報:成分/製法、ABV試験成績(20℃換算)、商品仕様書
- 典型的な誤り:「ビールに見える/麦芽由来」だけで2203にしてしまう(0.5%以下なら2202.91の可能性)
- (B) 2202(清涼飲料) vs 2009(果実・ナット・野菜ジュース)
- どこで分かれるか:商品が“ジュース(2009)”としての性格か、“その他の飲料(2202)”か。2202は2009ジュースを除外します。 (世界税関機関)
- 判断に必要な情報:原材料比率、製造工程(搾汁か、調製飲料か)、最終製品の表示・仕様
- 典型的な誤り:「果汁入り飲料は全部2202」と決め打ち(果汁主体なら2009の可能性が残る)
- (C) 2207(エタノール) vs 2208(スピリッツ/80%未満エタノール)
- どこで分かれるか:未変性エタノールの 80%境界、および 変性の有無 (世界税関機関)
- 判断に必要な情報:ABV(20℃)、SDS/仕様書、変性剤の添加有無・種類
- 典型的な誤り:
- 高濃度でも80%未満なのに2207にする
- 変性アルコールを飲料用として扱い2208にする(変性は2207.20)
- (D) 2206(発酵酒) vs 2208(蒸留酒・リキュール等)
- どこで分かれるか:発酵のみで得た酒か、蒸留酒ベース/アルコール添加で“スピリッツ系”になっているか
- 判断に必要な情報:製造工程(発酵/蒸留/添加)、原材料、ABV、商品説明
- 典型的な誤り:果実系のお酒を全部2206とする(蒸留酒に果実等を漬けたリキュールは2208寄りになりやすい) (税関ウェブサイト)
- (E) 2209(食酢) vs 2915(酢酸水溶液)
- どこで分かれるか:酢酸含有量が全重量の 10%超なら2915へ(類注の除外) (世界税関機関)
- 判断に必要な情報:酢酸含有量(w/w%)、SDS/成分表、用途(食用/工業用)
- 典型的な誤り:工業用の酢酸溶液を“食酢っぽい”として2209にしてしまう
- (A) 2202.91(ノンアルビール) vs 2203.00(ビール)
3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)
3-1. 関連する部注(Section Notes)
- ポイント要約:
- 第22類が属する**第4部(Section IV)**の部注は、少なくとも「ペレット」の定義を置いています。 (税関ウェブサイト)
- 実務での意味(具体例つき):
- 第22類の典型的な飲料分類では「ペレット」定義に直接当たるケースは多くありません。
- ただし、飲料原料(例:固形化した副原料等)を取り扱う場合、別章でペレット定義が効くことがあり得る、という程度の位置づけです。 (税関ウェブサイト)
- “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
- 第22類に関しては、部注よりも**類注(第22類注)**の除外規定(料理用、酢酸濃度、医薬品等)の方が「飛び先」を作る主役です。 (世界税関機関)
3-2. この類の類注(Chapter Notes)
- ポイント要約:
- 用語定義(定義がある場合):
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)
- 影響ポイント1:0.5%の境界(2202の非アルコール定義)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- ABV(20℃の容量%)の試験成績
- 発酵が進む可能性(輸送中の再発酵等)の有無(商品設計・保存条件) (世界税関機関)
- 現場で集める証憑:仕様書、分析表(ABV)、成分表、製造工程図、商品ラベル案
- 誤分類の典型:
- “ノンアル/微アル”表記だけで2202と決める(0.5%超なら酒類側へ)
- 逆に、0.5%以下でも「ビールに似ている」だけで2203にする
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント2:料理用調製(飲料として不適)→2103へ
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 食塩・香辛料等の添加、飲用に適さない処理の有無
- 取引実態(“調味料”として販売・用途が固定されているか) (世界税関機関)
- 現場で集める証憑:配合表、用途説明、製品仕様(塩分等)、カタログ、ラベル
- 誤分類の典型:料理用ワインを「ワインだから2204」としてしまう
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント3:酢酸10%超 → 2915(2209から除外)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):酢酸含有量(重量%)、用途(食用/工業用)、SDS (世界税関機関)
- 現場で集める証憑:成分分析、SDS、用途説明書
- 誤分類の典型:工業用酢酸溶液を「酢だから2209」にしてしまう
- 影響ポイント4:スパークリングワイン定義(2204.10)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):20℃で密閉容器内の圧力(3 bar以上か) (世界税関機関)
- 現場で集める証憑:製品規格書(ガス圧)、製造仕様、ラベル表示
- 誤分類の典型:発泡性をうたうワインを全部2204.10にする(圧力条件未確認)
5. 分類でよくある間違い(原因→対策)
- 間違い:果汁入り飲料を一律で2202にしてしまう
- なぜ起きる:見た目や商品名が“ドリンク”で、2009ジュース除外を見落とす
- 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):2202は2009の果実・ナット・野菜ジュースを除外(見出し文言) (世界税関機関)
- 予防策:
- 確認すべき資料:原材料配合比率、製造工程(搾汁/調製)、Brix等
- 社内で聞く質問例:「これは“ジュース(搾った液)”が主体ですか?それとも水や糖類等で調製した飲料ですか?」
- 間違い:ノンアルビールを2203(ビール)にする/逆にビールを2202にする
- なぜ起きる:商品名・見た目で決め、0.5%定義を確認しない
- 正しい考え方:2202の非アルコール飲料=0.5%以下(類注)。0.5%超なら22.03〜22.06/22.08。 (世界税関機関)
- 予防策:
- 資料:ABV試験成績(20℃)、仕様書
- 質問例:「ABV(20℃換算)は何%ですか?ロットで変動しますか?」
- 間違い:濃縮シロップ/原液(割材)を“飲料”として2202にする
- なぜ起きる:用途が飲用でも、輸入形態が“原液”である点を見落とす
- 正しい考え方:輸入形態が“調製品”の場合、21類(例:2106)など他章が候補になり得ます(製品の状態で判断)
- 予防策:
- 資料:使用方法(希釈倍率)、製品形態(そのまま飲めるか)、ラベル
- 質問例:「この製品はそのまま飲用に供されますか?希釈や調合が前提ですか?」
- 間違い:料理用ワイン(塩分等で飲めない)を2204にする
- なぜ起きる:原料がワイン=2204と短絡し、料理用調製の除外を見落とす
- 正しい考え方:料理用に調製して飲用不適(2209を除く)は主として2103へ(類注) (世界税関機関)
- 予防策:
- 資料:配合表(塩・香辛料)、用途表示、販売形態
- 質問例:「飲用できますか?塩分/香辛料等の添加はありますか?」
- 間違い:“発酵飲料”を全部2206とする
- なぜ起きる:発酵という言葉だけで判断し、蒸留酒添加(リキュール化)を確認しない
- 正しい考え方:2206はビール/ワイン/ベルモット以外の発酵酒等。蒸留酒・リキュール等は2208寄り。 (世界税関機関)
- 予防策:
- 資料:製造工程(蒸留の有無、添加アルコールの種類)、ABV
- 質問例:「蒸留酒(スピリッツ)の添加がありますか?あるなら何を、いつ加えますか?」
- 間違い:エタノールを2207/2208で取り違える
- なぜ起きる:80%境界、変性の有無を見落とす
- 正しい考え方:未変性80%以上→2207、未変性80%未満→2208、変性は度数不問で2207(見出し) (世界税関機関)
- 予防策:
- 資料:ABV(20℃)、SDS、変性剤情報
- 質問例:「変性剤は入っていますか?ABVはいくつですか?」
- 間違い:スパークリングワイン(2204.10)要件を確認しない
- なぜ起きる:“発泡性”という宣伝文句で判断してしまう
- 正しい考え方:2204.10の「スパークリングワイン」には圧力定義がある(号注) (世界税関機関)
- 予防策:
- 資料:ガス圧(20℃)、製品規格
- 質問例:「20℃密閉でのゲージ圧は何barですか?」
- 間違い:食酢(2209)と酢酸水溶液(2915)を混同
- なぜ起きる:どちらも“酢酸”に見えるため、濃度と用途を確認しない
- 正しい考え方:酢酸が全重量の10%超の水溶液は2915(類注で2209から除外) (世界税関機関)
- 予防策:
- 資料:成分分析(w/w%)、SDS
- 質問例:「酢酸含有量は何%(重量)ですか?食用グレードですか?」
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係
- HSの付番がPSR選択に直結すること:
- PSRは通常、**HS(主に6桁)**を前提に書かれているため、最終製品のHSを誤ると、PSRの読み替えや適用条文がズレ、原産性判断が崩れます。
- よくある落とし穴:
- 最終製品(例:2204ワイン)だけ見て、非原産材料側のHS(例えば添加酒精や香料の分類)を適当に置く
- 製造工程の評価軸(CTC/RVC/特定工程など)がPSRと噛み合っていない
6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)
- 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記(一般論):
- CPTPP:PSR(品目別規則)の表が HS2012 を前提に提示されている例が確認できます。 (international.gc.ca)
- RCEP:協定のPSR(Annex 3A)は HS2012 版として提供されている資料があります。 (Australian Border Force Website)
- 一方で、日本側運用としては、2023-01-01以降、PSRはHS2022版を使用しつつ、一定の附属書は最終版提供までHS2012を適用し続ける旨の整理が示されています。 (経済産業省)
- 日EU EPA:日本税関の原産地手続の説明資料では、申告書類等での関税分類番号を HS2012(6桁) として扱う旨が示されています(協定運用上の版ズレに注意)。 (税関ウェブサイト)
- 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意:
- 現行の輸出入申告はHS2022であっても、PSR参照はHS2012のまま、ということが起き得ます。
- 第22類は大枠の構造は安定していますが、2202や2204のように過去版で6桁構造が変わった領域は特に注意が必要です(後述の第8章参照)。
- トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
- まず「協定が参照するHS版」を確定(税関/公的ガイドで確認)
- 旧HS→新HSの対応(相関表、税関のPSR変換表)を当て、PSRの適用対象が変わらないかチェックする (税関ウェブサイト)
6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)
- そろえるべき基本データ(一般論):
- 材料表(BOM)、原価、工程、原産国
- 非原産材料のHS(協定が参照するHS版で整理)
- RVC計算が必要な場合は、算定式と対象コストの根拠資料
- 証明書類・保存要件(一般論):
- 申告書の記載事項として、**HS2012(6桁)**の記載が求められる場面がある旨が整理されています。 (税関ウェブサイト)
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)
7-1. 変更点サマリー(必須:表)
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 文言修正(範囲明確化) | 2202(見出し文言) | 2202の除外対象ジュースが「果実・野菜」から「果実・ナット・野菜」へ明確化(2009との整合) (世界税関機関) | ナット系(例:ナッツ飲料/ジュース)の取扱いで、2009との関係をより意識して確認が必要 |
| HS2017→HS2022 | 範囲変更(他類への移管の影響) | 2202.99(ex)→3006.93 | 相関表上、2202.99の一部が新設の3006.93(臨床試験用のプラセボ等)へ移る扱いが示されている (税関ウェブサイト) | 医療・治験関連の“飲料形態”キットが混在する案件では、飲料としての思い込み分類を避ける |
| HS2017→HS2022 | 変更なし(構造維持) | 2201〜2209(概ね) | 第22類の4桁骨格は維持(上記の文言/範囲影響を除く) (世界税関機関) | 過去データの比較は可能だが、2202周辺は版差/範囲差に注意 |
7-2. 「違うことになった根拠」(必須)
- 見出し文言(2202)の「ナット」追加は、WCOのHS2017版とHS2022版の章テキスト比較で確認できます(HS2017は“fruit or vegetable”、HS2022は“fruit, nut or vegetable”)。 (世界税関機関)
- 2202.99の一部が3006.93へ移る影響は、WCO相関表(HS2022↔HS2017)において 2202.99(ex)→3006.93 が記載されていることに基づき、範囲影響として整理しました。 (税関ウェブサイト)
- 上記以外については、WCOのHS2022章テキスト(第22類)における4桁の構成が2201〜2209であること、HS2017章テキストと同様の骨格であることから「概ね変更なし」と判断しています。 (世界税関機関)
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
第22類は4桁レベルは比較的安定ですが、6桁の分割が過去にあります。主要点を「旧コード→新コード」中心に整理します。
| 時系列 | 主な追加・削除・再編 | 旧コード→新コード(代表) | 実務メモ |
|---|---|---|---|
| HS2007→HS2012 | 大枠は維持 | (主要な6桁構造は概ね同様) (世界税関機関) | 2007/2012とも2202は2202.90(Other)で、ノンアルビールはまだ独立6桁ではない (世界税関機関) |
| HS2012→HS2017 | 2202の6桁分割 | 2202.90 → 2202.91(ノンアルビール) + 2202.99(その他) (世界税関機関) | ノンアルビールを独立で統計把握できるようになった(実務では“ビール類似”でも0.5%定義を同時に確認) (世界税関機関) |
| HS2012→HS2017 | 2204の6桁分割(容器容量) | 2204.29(Other)から 2204.22(2L超10L以下) を新設し分割 (税関ウェブサイト) | Bag-in-Box等の流通形態で誤りやすい(容器容量の証拠が必要) |
| HS2012→HS2017 | 見出し文言の例示追加 | 2206.00(Other fermented beverages)の例示に saké を追加 (世界税関機関) | 清酒が2206であることの理解を補強(コード自体は2206.00のまま) |
| HS2017→HS2022 | 2202見出し文言の調整 | 2202の除外ジュースに nut を追加 (世界税関機関) | ナッツ系ジュース/飲料の分類検討で2009との整合を意識 |
※「旧コード→新コード(または行き先不明)」の観点では、第22類は「別章へ完全移管でコードが消える」より、6桁分割と文言調整が中心です(上表のとおり)。
9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)
- 事例名(短く):料理用ワインを“ワイン(2204)”で申告してしまった
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第22類注で、料理用に調製し飲料不適(食酢除く)は除外(主として2103) (世界税関機関)
- 起きやすい状況:インボイス品名が“Cooking wine”でも、社内が「ワインだから2204」と処理
- 典型的な影響:修正申告、追加納税、説明資料の追加提出、通関遅延
- 予防策:塩分/香辛料等の配合確認、用途説明書を揃えて事前相談
- 事例名(短く):“微アル飲料”を2202で申告したが、実測で0.5%超
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):2202の非アルコール飲料定義(0.5%以下)に抵触し、酒類側(22.03〜22.06/22.08)となる (世界税関機関)
- 起きやすい状況:輸送中の再発酵、ロット差、表示上“low alcohol”をノンアル扱い
- 典型的な影響:分類更正、課税関係/規制確認のやり直し、検査強化
- 予防策:ABV仕様の保証、輸送条件管理、輸入前の分析成績取得
- 事例名(短く):Bag-in-Boxワインの容器容量を確認せず2204.29で処理
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):2204は容器容量で6桁が分岐(2204.21/2204.22/2204.29) (世界税関機関)
- 起きやすい状況:外装だけ見て容量を勘違い(2L超10L以下を見落とす)
- 典型的な影響:統計・税率・通関処理の訂正
- 予防策:製品仕様書(容量)、梱包明細(L表示)、ラベル写真をセットで保管
- 事例名(短く):工業用酢酸溶液を“食酢(2209)”として申告
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):酢酸10%超の水溶液は2915に除外される (世界税関機関)
- 起きやすい状況:英語品名が“Vinegar-like / Acetic solution”など曖昧
- 典型的な影響:分類更正、危険物/化学品としての追加確認、遅延
- 予防策:SDSで濃度確認、用途(食用/工業用)を明確にした書類整備
10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
- 検疫・衛生(SPS等)
- その他の許認可・届出(酒類)
- 安全保障貿易管理(該当する場合)
- 一般的な飲料は該当しにくいですが、高濃度エタノール等は用途・仕様により別観点の確認が必要になる場合があります(個別確認)。
- その他(安全・危険物)
- エタノール等の高濃度アルコールは、保管・取扱数量により消防法上の危険物(第四類・アルコール類)該当が問題となり得ます(濃度は重量%基準など、表示換算の注意あり)。 (tfd.metro.tokyo.lg.jp)
- 確認先:所轄消防署、消防庁/自治体消防のガイド (tfd.metro.tokyo.lg.jp)
- 実務での準備物(一般論):
- 成分表、製造工程表、分析表(ABV、酢酸濃度等)、SDS(化学品該当時)、ラベル案
- 輸入届出関連書類(検疫所向け) (厚生労働省)
11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- インボイス品名が曖昧(“drink base”“acetic solution”等)なら仕様書・成分表添付
- 申告単位(L、kg等)と内容量の整合
- 酒類の場合、酒税・免許・届出が別途絡むことを前提に社内で役割分担 (税関ウェブサイト)
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 協定が参照するHS版(HS2012等)を確定し、必要なら相関表で読み替え (international.gc.ca)
- BOM、原価、工程、非原産材料HS、保存資料をセット化 (税関ウェブサイト)
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 食品衛生法の輸入届出(検疫所) (厚生労働省)
- 酒類販売免許(販売目的の場合) (税関ウェブサイト)
- 高濃度アルコールの危険物規制(保管/取扱) (tfd.metro.tokyo.lg.jp)
12. 参考資料(出典)
- WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
- WCO HS Nomenclature 2022 – Chapter 22(条文PDF)(参照日:2026-02-17) (世界税関機関)
- WCO HS Nomenclature 2017 – Chapter 22(条文PDF)(参照日:2026-02-17) (世界税関機関)
- WCO HS Nomenclature 2012 – Chapter 22(条文PDF)(参照日:2026-02-17) (世界税関機関)
- WCO HS Nomenclature 2007 – Chapter 22(条文PDF)(参照日:2026-02-17) (世界税関機関)
- HS2022↔HS2017 相関表(WCO相関表:日本税関掲載PDF)(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
- HS2017↔HS2012 相関表(日本税関掲載PDF)(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
- (参考)USITC “Recommended Modifications …”における2204.22新設等の記載(参照日:2026-02-17) (アメリカ合衆国国際貿易委員会)
- 日本税関・公的機関のガイド
- 実行関税率表(2022年版)第22類 注(和文PDF)(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
- 関税率表解説(第22類 解説PDF)※例示・実務解釈(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
- 第4部 部注(ペレット定義)和文PDF(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
- 税関:カスタムスアンサー「酒類の輸入について」(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
- 厚生労働省:食品等輸入手続(参照日:2026-02-17) (厚生労働省)
- 東京消防庁:消毒用アルコールの取扱い(参照日:2026-02-17) (tfd.metro.tokyo.lg.jp)
- 日本税関:我が国の原産地規則(手続資料、HS2012記載等)(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
- FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
- CPTPP:Annex 3-D(PSR、HS2012表記例:カナダ政府公開)(参照日:2026-02-17) (international.gc.ca)
- RCEP:Annex 3A(PSR、HS2012版PDF例:ABF公開)(参照日:2026-02-17) (Australian Border Force Website)
- 経済産業省:RCEP原産地証明(2023-01-01以降PSRはHS2022使用等)(参照日:2026-02-17) (経済産業省)
- その他
- JETRO:アルコール飲料の輸入手続Q&A(HS上0.5%等と国内法の差の注意)(参照日:2026-02-17) (JETRO)
- UNSD:HS2017 220291とHS2012 220290の対応情報(参照日:2026-02-17) (unstats.un.org)
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