センサーのHSコードで迷う「9026」と「9031」

国別分岐を間違えないための実務ガイド

センサーは見た目が似ていても、「何を測るのか」「どこまでの機能を持つのか」でHSコードが変わります。特に迷いやすいのが9026と9031です。
6桁までは国際的に共通性がありますが、8桁以降は国・地域で異なる枝分かれになります。輸出入の現場では、この国別分岐の違いが関税、原産地判定、通関リードタイム、監査対応に直結します。
(参考:Data.gov

この記事では、センサー分類で頻出する9026と9031の境界を実務的な判断軸で整理し、日本・米国・英国・EUにおける国別分岐までを明確に解説します。


前提:HSコードは輸入国税関の判断が基準

HSコードは、社内で決めた番号を一方的に通すことはできません。実際に基準となるのは輸入国税関の判断です。輸出者側の想定と輸入国側の認定が異なるケースも珍しくありません。
またEPA・FTAの適用にはHSコードが前提となるため、分類を誤ると適用税率や品目別規則の解釈がズレるリスクがあります。
(出典:JETRO

このため、社内で「おすすめ分類」を設計する際は、輸入国側でも通用する論拠と証拠を整えることが前提となります。


9026と9031の違い

判断の焦点は「測定対象」と「他の見出しに当てはまるか」

9026の範囲

液体または気体の流量・液位・圧力などの変量を測定・検査する機器。流量計、液位計、マノメーター、熱流量計などが該当します。
(出典:関税庁

測定対象が液体または気体であり、その変量を明確に測る場合は9026が第一候補です。

9031の範囲

この章で他の見出しに特定されない測定または検査用の機器・装置・機械が対象です。つまり、9031は章内で分類できない機器の「受け皿」となります。
(出典:関税庁

ただし受け皿である分、**「なぜ他の見出しではないか」**という説明が求められます。


実務で起きやすい誤分類

  1. 液体も固体も測定できるレベル計
     液位の測定は通常9026に分類されますが、米国では液体と固体の両方を測定可能なレーダー式レベル計が9031に分類された例があります。
     (例:CustomsMobile)
     → カタログに「粉体にも対応」と記載があるだけで9026主張が難しくなる場合があります。
  2. 圧力を使用しているが、測っているのは圧力そのものではない
     測定原理として圧力を用いていても、測定対象が「圧力」でなければ9026は適用困難です。測定対象が寸法や特性の場合、9031が優勢になります。
  3. 単体機能か部分品か
     製品が単独で測定を完結できるか否かで分類が変わります。米国では、コリオリ式質量流量計のコンバーターが「部分品」として9026.90.2000に分類されています。
     (出典:CustomsMobile

再現性を高める判断フロー

  • 測定対象を一文で言い切る(例:液体の流量、タンク内液位、圧力、振動など)。
  • 対象が液体または気体なら9026を優先検討。
  • 固体にも対応する場合は9031側を検討。
  • 単体機能がなければ部分品コード(9026.90、9031.90など)も確認。
  • 国別8桁以降では電子式・非電子式・航空機用などの枝を精査。

国別分岐の考え方

まず6桁で分類を固め、その後、各国の枝分かれを確認するのが安全です。

日本

  • 9026.10:液体の流量・液位測定機器
  • 9026.20:圧力測定機器
  • 9026.80:その他液体・気体変量測定機器
  • 9031.80:他の見出しに属さない測定機器
    (出典:関税庁

事前教示制度を活用し、グレーなケースは税関回答を取得しておくと監査耐性を高められます。
(参照:税関総合ポータル

米国

  • ノックセンサー:9031.80.8070
  • レーダー式レベル計:9031.80.8085
  • 流量計コンバーター(部分品):9026.90.2000
    (参照:CBP Rulings

米国ではカタログや技術文書の一語一句が分類根拠になります。確証を得たい場合はPart 177のルーリングレターを申請するのが有効です。

英国・EU

英国では電子式か非電子式か、用途限定かで9026内に枝分かれがあります。
(例:UK Trade Info

EUでは結合品目分類(CN)を基に年度ごとに改訂されます。2026年版CNは2026年1月1日から適用。BTI(Binding Tariff Information)制度を使えば法的確実性を担保できます。
(出典:EU Taxation and Customs Union)


失敗しない社内実装:分類カルテの導入

9026/9031の判定は経験に依存しやすいため、「分類カルテ」を標準化して運用すると再現性が上がります。推奨項目は以下の通り。

  • 測定対象と変量(流量、圧力、液位など)
  • 測定媒体(液体のみ・固体含む)
  • 測定原理と出力仕様
  • 単体機能の有無(部分品か否か)
  • カタログと技術資料の整合性
  • 輸入国での根拠(BTI・裁決・教示等)

「分類番号は輸入国側の判断を基準とする。したがって、輸入国側で説明できる根拠と文言に揃える」
(出典:JETRO


まとめ

  • 9026:液体または気体の流量・液位・圧力を測定する機器
  • 9031:章内他見出しで定義できない測定・検査用機器
  • 境界製品に注意:固体も測定できる・部分品・単体不可など
  • 手順:6桁で分類確定 → 各国8桁分岐を精査
  • 制度活用:日本の事前教示/米国のPart 177/EUのBTIで根拠を確保
    (参照:税関総合ポータル

このガイドは、9026と9031の議論を社内で共通言語化することを目的にしています。センサーごとの仕様や用途を当てはめることで、どこが争点になり得るかを可視化できます。

WCOが示すセンサー関連の新分類意見


WCOが示す新しい線引き

WCOが2024年3月の第73回HS委員会で採択した分類意見により、Dual-die Hall sensor integrated circuit(IC)がHS 8542.39に分類されることが明文化されました。 センサー機能を内蔵したICを「測定機器」ではなく「電子集積回路」として扱う境界が、構造面から具体的に示された点が企業実務にとって重要です。


1. 分類意見とは何か

WCOの分類意見(Classification Opinions)は、HS委員会が扱った重要・難解な分類判断を、具体的な品目ごとに整理した公式資料です。 WCOは、分類意見がHS解説(Explanatory Notes)と並ぶ国際的な解釈ツールであり、特定製品に対する分類を示す点に特徴があると説明しています。[wcoomd]​

実務上のポイントは次のとおりです。

  • 分類意見は、各国税関が運用をそろえる際の強い参照点となる。**
  • もっとも、最終的な適用は各国の法令・運用に依存するため、WCOも「各国での実施状況を確認するように」と注意書きを付しています。
  • 実際にWCOは、「HS委員会の決定を適用していない、または適用できない」と通報した国の一覧を公表しています。[cbsa-asfc.gc]​

したがって、分類意見は軽視できない一方で、「自国・仕向国がどう実装しているか」の確認を含めて初めてリスクが閉じます。[cbsa-asfc.gc]​


2. Dual-die HallセンサーICの内容

2-1 対象品目と分類

今回センサー関連で実務に直結するのが、「Dual-die Hall sensor integrated circuit(IC)」をHS 8542.39に分類した新しい分類意見です。 HS上は85.42「電子集積回路」のうち「その他」に該当するサブヘディングに位置づけられています。[trademo]​

分類意見では、同じページで「4スイッチを3ダイに集積したIC」と「Dual-die Hall sensor IC」の2件がいずれも8542.39として示されており、いずれも第85類注12(b)(iii)とGIR1・GIR6を根拠としています。

2-2 製品構造の要点

Dual-die Hall sensor ICに関する分類意見で示されている構造要件は次のとおりです。

  • 1パッケージ内に、冗長構成の2つのセンサーを内蔵したDual-die Hall sensor integrated circuit(IC)である
  • 2つのセンシング要素は「個別の離散部品」ではなく、同一パッケージ内で同じ横方向位置(same lateral position)に配置された要素として集積されている
  • 2つのセンサーはいずれも半導体技術により製造されたモノリシック集積回路であり、互いに電気的には接続されていない
  • ダイ製造時にすべての構成要素が同時に集積されており、追加の能動素子・受動素子など他の回路要素は組み付けられていない
  • 用途は「角度および位置の検出(angle and position detection)」
  • 適用根拠として、GIR1、GIR6、および第85類注12(b)(iii)が明記されている

ここから企業側が読み取るべきメッセージは明確です。
センサー機能を備えていても、構造が電子集積回路そのものであり、追加の回路素子(能動・受動)を組み付けていない限り、測定機器ではなく8542の電子集積回路として整理され得る、という線引きが国際レベルで示されました。[trademo]​


3. なぜこの判断がビジネスに効くか

3-1 HSコード変更の連鎖

HSコードが8542か、それ以外(例えば測定機器、トランスデューサー等)かで変わると、影響は単なる関税率にとどまりません。

  • 原産地規則の品目別規則(CTH、CTSH、RVC等)の該当性
  • 社内マスタやERP・販売管理システム上の品目分類
  • 輸出入統計および社内KPIの集計ロジック
  • 取引契約書の品番・仕様欄に紐づく条文(関税・関税負担条項等)

センサーは採用品目の裾野が広く、同じ技術要素が複数製品に跨るため、一度分類が揺れると影響が部門横断で波及しやすい領域です。[perplexity]​

3-2 サプライヤー資料とBOMの書き方

今回の分類意見は、構造条件(冗長センサー構成、電気的非接続、追加素子の不在など)をかなり具体的に記述しています。

  • これらの条件が、サプライヤーのデータシートや仕様書、FMEA、機能安全ドキュメントのどこに記載されているか
  • BOM上で「ICとして完結しているのか」「基板上の他素子と一体でモジュール化されているのか」がどう表記されているか

といった「書き方」次第で、同じ技術内容でも分類判断の強度が変わり得ます。 調達部門が受け取る仕様書の粒度が、そのまま通関時の説明可能性とリスクに直結するイメージです。[perplexity]​

3-3 モジュール化による分類の変化可能性

今回の分類意見が対象とするのはあくまでICそのものです。
実務では、同じHallセンサーでも、次のレイヤーで取引されるケースが多くなります。

  • 半導体ダイを一定のパッケージに封止したIC単体
  • ICを基板実装し、抵抗・コンデンサ・レギュレータ等を組み合わせたセンサーモジュール
  • コネクタ付き・筐体組込みのユニットとして自動車・産業機械に搭載される段階

モジュール化が進むほど、第85類注12(b)が定義する「電子集積回路」から外れ、他の見出し(例:8543のトランスデューサー類、計測機器類、車両部分品など)へ分類が移る可能性が高まります。 したがって、製品階層ごとに「どこまでがICで、どこからが装置か」を棚卸ししておく意味が大きくなります。[customsmobile]​


4. 実務落とし込み:3段階の切り分け

センサー品目を整理する際は、次の3段階で切り分けると迷いを減らせます。

A. 集積回路としてのセンサーIC

  • 今回の分類意見の射程に入る領域です。
  • 第85類注12(b)で定義される電子集積回路に該当するかどうかが中心論点になり、「追加の回路素子が組み付けられていないこと」が重要な判断材料となります。[trademo]​

B. センサーモジュール

  • IC以外の能動素子・受動素子、基板、コネクタ、シールド、磁性体等が一体化した段階では、Note 12(b)から外れてくる可能性が高まります。[customsmobile]​
  • 構成要素や主たる機能によっては、8543や90類の測定機器、あるいは装置の部分品としての検討が必要であり、品ごとの差が大きいため先入観で決めない方が安全です。[perplexity]​

C. センサー機能を含む機器・ユニット

  • 自動車、産業機械、ロボット、家電等の一部として機能する段階では、機器全体の主機能、章注、部品規定(例えば第17部注2など)が判断の軸になります。[perplexity]​
  • この段階では、もはや「センサーであること」よりも「当該機器が何をする装置か」が分類を決める主因になります。

今回の分類意見はAの領域をクリアにしたものであり、B・Cの判断を行う際の基準点としても位置づけることができます。


5. 各国実装のばらつきへの備え

分類意見は国際的に強い参照資料ですが、各国での適用にはタイムラグや例外があり得ます。WCO自身も、分類決定を輸出入に適用する際は、相手国での実装状況を確認するよう助言しており、適用できない決定の一覧も公開しています。[cbsa-asfc.gc]​

企業が取り得る現実的な対応は次のとおりです。

  • 主要仕向地ごとに、税関の公表資料・事前教示・通達などを通じて、自社が想定するHSコードと当局運用が一致しているか点検する
  • 差異が予見される国については、事前教示や技術資料の添付など、申告根拠を補強する運用を取る
  • 国別の運用差は、社内マスタに履歴として残し、営業・物流・経営層と共有することで、「国ごとにHSが違う」ことを前提にした価格・契約設計を可能にする

6. すぐ使える社内チェックリスト

今回の分類意見を踏まえ、Hallセンサー関連のSKUを整理する際の社内チェックポイントは以下が有効です。

  • 自社の「Hallセンサー関連SKU」を、IC単体、基板実装品、モジュール、ユニット等の階層に分解して一覧化する
  • 「IC単体」と主張するSKUについて、追加の能動素子・受動素子を組み付けていないことを、仕様書・BOM・レイアウト図で確認する(Note 12(b)の要件を満たすかどうか)[trademo]​
  • 仕様書に「冗長構成」「電気的に非接続」「角度・位置の検出」など、今回の分類意見の記述と対応する文言があるかを確認し、分類根拠資料として保管する。
  • 主要国(例:日本、EU、米国、韓国、中国など)で、当該分類意見がどのタイミングで反映されているかを確認し、必要に応じて事前教示を取得する。[cbsa-asfc.gc]​
  • HSコード変更が、原産地規則(PSR)、輸出管理、社内マスタ、取引契約、価格設定に与える影響を同時にレビューする

7. 一次情報へのアクセスルート

WCOは、HS品目表・法的注・解説・分類意見などの公式資料を「WCO Trade Tools」から参照できると案内しており、単なるPDF配布からオンラインサービスへと軸足を移しています。 継続的にHS分類を監視する企業ほど、この参照ルートを社内で固定し、定期的なアップデートを確認できる体制を持つことが、分類判断のスピードと再現性を高めます。[wcoomd]​


8. まとめ

今回のポイントは、センサー機能を持つICであっても、構造が電子集積回路そのものであり、追加の回路素子を組み付けていない場合には、8542.39に整理され得るという基準が、Dual-die Hall sensor ICを例に明確に示されたことです。 センサーは技術進化に伴い形態が急速に変わる一方で、分類体系は相対的にゆっくり動きます。

分類の再現性を高めるカギは、技術理解そのものに加え、

  • 製品階層の切り分け(IC/モジュール/機器)
  • それぞれの階層でNote 12(b)や部品規定をどう適用するかというルールの明文化
  • 根拠資料(仕様書・BOM・図面・安全認証資料等)の整理・保管

にあります。 Dual-die HallセンサーICの分類意見は、その起点として実務で活用しやすい材料と言えるでしょう。[wcoomd]​

HS2028で変わる半導体・センサー分類 ビジネスに効く論点と、今からできる準備


半導体やセンサーは、関税分類の世界で「技術進化が速いのに、分類体系の更新は緩やか」という典型例です。そこにHS2028の改正が迫っています。コードが変わるだけに見えますが、実務では関税率、原産地規則、統計、輸出管理、社内マスタの整合まで連鎖的に影響します。wcoomd

本記事は、技術者向けではなく、調達・営業・経営企画・貿易管理・物流のビジネス部門が、HS2028の半導体・センサー領域をどう捉え、どこにリスクと機会が生まれるかを整理するための実務ガイドです。なお、HS2028の改正はWCOの正式手続きを経て進行中で、発効日は2028年1月1日と確定しています。wcoomd

1. まずHS2028を正しく理解する

なぜ2028なのか、いつ何が起きるのか

HSは原則5年ごとに改正されますが、第7次見直しサイクルはパンデミック等の影響で1年延長され、次の版はHS2028として2028年1月1日に実施されます。次回は5年サイクルに戻り、HS2033が続くとWCOが明示しています。aeb+1​

2025年3月開催の第75回HS委員会(HSC)では、Article 16勧告として、299件の改正セットを含むHS2028勧告パッケージが暫定採択されました。この299件には、105件の品目改正案、5件の注解改正、66件の分類決定、14件の新分類意見が含まれます。正式採択は2025年12月末に予定され、2026年1月に最終版が公表、2028年1月1日に発効します。tarifftel+2​

HS改正は「合意が必要な国際標準」です。WCO理事会承認後、各締約国には6か月の異議申立期間があり、異議が出た部分は除外される可能性があります。つまり、企業は早期に影響を見積もりつつ、最終確定版で必ず再検証する姿勢が必須です。wcoomd

2. なぜ半導体・センサーがHS2028の注目テーマなのか

ビジネス側の論点は「税率」より広い

半導体業界団体は以前から、技術進化のスピードが5年サイクルのHS改正を上回るペースで進んでおり、より迅速な改正メカニズムが必要だと主張してきました。実際、多機能化したMCO(Multi-Chip Optoelectronics)やセンサー統合製品は、機能別分類か素子基準かで分類がぶれやすく、2017年および2022年のHS改正でも半導体定義の拡張が行われています。deepbeez+1​

HS2028でも、半導体ベースのトランスデューサー(変換素子)を含む分野が改正対象に挙がっています。これは単なる統計目的にとどまらず、次の実務要素に連動します。wcoomd+1​

  • 関税率と通商救済: MFN税率だけでなく、追加関税、セーフガード、アンチダンピング等がHSコードに紐づくため、コード変更は対象判定に影響します。
  • 原産地規則: 多くのFTAは品目別規則をHSの類・項・号で定義するため、HS変更は「同じ製品でも、どの規則を見るべきか」を変え得ます。
  • 輸出管理・規制: 規制リスト自体は性能・仕様基準が中心でも、運用現場ではHSコードをスクリーニングキーにすることが多く、分類変更は監視ロジックに影響します。
  • 企業の意思決定: 調達先分散、在庫配置、製造地設計、価格交渉など、サプライチェーンKPIにHS分類が組み込まれています。

3. 半導体・センサー分類で「揺れやすい境界」

HS改正が起きると影響が出やすい典型ポイント

半導体とセンサーは、商品形態が連続的に変化します。

  • ウエハ、ダイ
  • パッケージ化された素子
  • 信号処理ICと一体化したモジュール
  • 筐体、通信、電源、ソフトを含む完成品

HS分類は、こうした連続体を「どこで線を引くか」を国際標準として定める作業なので、改正が入ると境界付近の品目が動きます。ビジネスで影響が大きいのは、まさにこの境界品です。wcoomd

センサーで特に揺れやすい論点は次のとおりです。

  • センサー素子か、測定機器か: センサー素子は部品寄り(8541系)、測定機器は完成品寄り(他類)です。完成品側に寄るほど、半導体の章(第85類)から離れやすくなります。deepbeez
  • 変換素子か、信号処理まで含むか: 物理量を電気信号に変換するだけの段階と、補正・演算・デジタル出力まで含む段階は、税関分類の評価ポイントが変わります。deepbeez
  • 単機能か、多機能か: 環境センサーは温湿度、気圧、ガス、照度など複数要素を統合しがちで、多機能化は「主たる機能は何か」という論点を強めます。
  • どの産業用途に組み込まれるか: 同じセンサーでも、自動車、産業機械、医療、家電でパッケージや付加機能が変わり、分類は用途だけで決まらない一方、用途に由来する構成差は分類に影響します。youtube​

4. HS2028で半導体・センサー分類は何が「変わる」のか

確定情報と、実務上の読み方を分ける

情報の信頼性を最優先に、言い切れる範囲と言い切れない範囲を分けます。

4-1. 現時点で一次資料から言い切れること

  • HS2028は2028年1月1日に発効されるwcoomd
  • HS2028は299件の改正セットを含む勧告パッケージとして暫定採択されたstrtrade+1​
  • 改正には105件の品目改正案、5件の注解改正、66件の分類決定、14件の新分類意見が含まれるstrtrade+1​
  • 半導体ベースのトランスデューサー(変換素子)が改正議題に含まれているwcoomd+1​

つまり、半導体・センサー領域はHS2028の改正議題に含まれており、何らかの分類上の調整が入る可能性が高い、という点までは公的文書で裏づけられます。

4-2. 企業実務として「ここが動くと困る」を先に特定する

個別の6桁コードがどう変わるかは、2026年1月公表予定のWCO正式なHS2028法文と相関表(correlation table)で最終確認が必要です。ここを飛ばして断定すると、誤った社内判断につながります。tarifftel+1​

ビジネス側は、コード表の暗記ではなく「自社品が分類境界のど真ん中にいるか」を見抜くことが重要です。具体的には、次のような品目群はHS2028で影響を受けやすい位置にあります。

  • 半導体ベースの変換素子(各種トランスデューサー)deepbeez
  • センサー素子に信号処理ICが付随するモジュール
  • 複合センサー(複数の測定要素を統合)
  • 完成品に近いスマートセンサー(補正、演算、通信を内蔵)
  • センサーを搭載したユニットやサブアセンブリ(他機能と不可分)youtube​

これらは、分類が「素子」寄りか「機器」寄りかで分かれ、HS改正で線引きが再定義されると影響が出やすい領域です。

5. HS2028対応で失敗しやすい会社のパターン

通関担当だけに任せると、ほぼ確実に抜ける

半導体・センサー企業でよくある失敗は、HS改正を「通関部門のコード置換作業」にしてしまうことです。これだと次が抜けます。

  • 製品マスタの粒度が足りない: 分類に必要な属性(素子の役割、信号処理の有無、通信機能、主たる機能など)がマスタに入っていないと、相関表が出ても機械的に当てはめられません。
  • 原産地規則の影響評価が後回し: HS変更は、FTAの品目別規則(PSR)の参照単位を変え得ます。関税率がゼロでも、原産地判定でコストが跳ねることがあります。
  • 規制スクリーニングが壊れる: 社内の輸出審査フローでHSコードをキーにしている場合、誤分類や未更新は審査漏れの原因になります。

6. ビジネスマン向けの実務チェックリスト

2028年までに何を終わらせるか

以下は、半導体・センサー企業がHS2028で痛手を避けるための現実的な進め方です。

ステップ1: 影響範囲の棚卸し

  • 製品群を「素子」「モジュール」「完成品寄り」に3分類する
  • 売上上位、利益上位、規制リスク上位の品目を優先対象にする
  • 輸出入の主要国別に、関税率とFTA利用の有無を紐づける

ステップ2: 分類に必要な属性を社内で標準化する

センサーや半導体は、品名だけでは分類できません。仕様書を見なくても判断できる属性項目を、マスタに落とし込みます。

  • 測定対象(温度、圧力、加速度、光、ガスなど)
  • 変換方式と主要構成(半導体要素の有無、MEMSかどうかなど)
  • 信号処理の範囲(増幅、A/D、演算、補正)
  • 出力形態(アナログ、デジタル、通信プロトコル)
  • 単体販売か、ユニットの一部か

ステップ3: 相関表が出た瞬間に「自動変換」しない

WCO手続き上、最終的な確定内容や各国の国内拡張桁への転記を確認する必要があります。相関表は出発点で、個別品目の仕様と照合して初めて確定に近づきます。wcoomd

ステップ4: 社内の下流影響を先に洗い出す

  • 価格条件(関税負担者)
  • 原産地証明の運用(PSR参照箇所)
  • 輸出入ライセンスや社内審査フロー
  • 統計や経営レポート(品目別KPI)
  • 取引先との品目コード整合(発注、納品、請求)

7. まとめ

HS2028は「半導体・センサーの線引き」がビジネスコストになる改正

HS2028は2028年1月1日に発効され、299件の改正セットからなる勧告パッケージとして暫定採択されました。改正には105件の品目改正案、5件の注解改正、66件の分類決定、14件の新分類意見が含まれます。また、半導体ベースのトランスデューサーが改正対象として明示されています。wcoomd+3​

ただし、個別のコード改編の詳細は、2026年1月公表予定のWCO正式なHS2028法文と相関表、さらに各国の国内法への転記で最終確認が必要です。ここを飛ばして社内で断定しないことが、信頼性の高いHS2028対応の第一歩です。tarifftel+1​

半導体・センサー企業にとっての成功の鍵は、改正が出てから慌てて置換することではありません。分類境界にいる品目を先に特定し、仕様に基づく分類判断を回せるマスタ設計と運用体制を2028年までに構築することです。


https://hts.usitc.gov/search?query=8541.42.00.10

https://www.wcoomd.org/-/media/wco/public/global/pdf/events/2019/hs-conference/semiconductors-and-the-future-of-the-hs_sia-white-paper_april-2019.pdf?la=fr

https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx

https://www.aeb.com/en/magazine/articles/hs-code-2028.php

https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2023/october/successful-conclusion-of-the-72nd-session-of-the-harmonized-system-committee.aspx

https://www.tarifftel.com/blog/hs-2028-your-guide-to-the-next-harmonised-system-update/

https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/april/amendments-to-2028-harmonized-schedule-advanced

https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/activities-and-programmes/amending_hs.aspx

https://deepbeez.com/d/hs/transducer

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https://global-scm.com/hscf/archives/134

https://global-scm.com/hscf/

https://global-scm.com/hscf/archives/34

https://www.ul.com/resources/global-market-access-regulatory-news-update

https://www.flexport.com/data/hs-code/85-electrical-machinery-and-equipment-and-parts-thereof-sound-recorders-and-reproducers-television-image-and-sound-recorders-and-reproducers-and-parts-an/