用語は以下で統一します。
- 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
また、本稿は**HS(6桁)を中心に説明します。日本の輸入申告等では国内コード(9桁等)**が使われますが、国内細分は別途「国内コード」と明記します。
0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)
- この類に入る代表例(3〜6個):
- 眼鏡・ゴーグル・サングラス(9004)、眼鏡フレーム(9003)
- 双眼鏡・望遠鏡(9005)※暗視鏡がここに来る例もあります(後述)
- 顕微鏡(光学顕微鏡:9011、電子顕微鏡等:9012)
- 医療用診断・治療機器(MRI 9018.13、超音波 9018.12、X線/CT 9022 など)
- 流量計・圧力計・温度計などの各種計測機器(9025〜9026)
- 自動調整器(温度調節器・圧力調整器など)(9032)
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- テレビカメラ/デジタルカメラ/ビデオカメラ → 第85類 8525(類注で明示除外)
- ビデオプロジェクター(映像信号を投影する一般の映像用)→ 第85類 8528(90.08から除外される旨が税関解説で明確)
- フラットパネルディスプレイモジュール → 第85類 8524(HS2022で新設・定義、優先分類ルールあり)
- 光ファイバーケーブル(8544)やコネクタ(8536)→ 第85類(類注で除外)
- 汎用部品(ねじ、ばね等)=「parts of general use」→ 第15部(第90類注1で除外)
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- 完成品か、部分品・附属品か(第90類注2で分類ルールが強制されます)
- 第90類に見えても、第85類(8524/8525/8528等)に“飛ぶ”除外があるか(第90類注1、及び第85類注7等)
- 「光学の測定・検査」系は 9013 と 9031 の境界に要注意(第90類注5で9031へ寄せるルール)
- (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
- 医療機器(9018/9022等):税番誤りが、税率だけでなく薬機法対応や輸出入手続の整理にも連鎖しやすいです。
- 分析機器(9027、とくに質量分析計9027.81):HS2022で細分が新設され、統計・管理面での取扱いが変わっています。
- 制御機器(9032):単なる“計測”か“自動制御”かで税番が変わり、誤りが起きやすいです。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)
1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)
- この類で特に効くGIR(例:GIR1/GIR6など)
- **GIR1(見出し+注)**が最重要です。第90類は、注(Notes)による除外・優先ルール・部分品ルールが非常に強い章です(例:デジタルカメラは85.25へ、光学測定器は注5で9031へ、部分品は注2で整理)。
- **GIR6(号レベルの決定)**も重要です。特にHS2022では、**9027.81(質量分析計)**のように6桁で新設・再編があり、旧版慣れのまま申告するとズレます。
- 「品名だけで決めない」ための観点
- 機能(何を測る/何をするか):測定・分析・制御・医療・光学など
- 方式(X線/超音波/MRI/レーザー等):9018/9022/9013/9030の境界に効きます。
- 構造(装置か部品か、マウント有無、交換フィルタ等の有無)
- 電気機器要素の強さ:第85類へ移る典型(8524/8525/8528等)があります。
1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)
- Step1:第90類“に見えるが除外”のチェック
- デジタルカメラ・ビデオカメラ(8525)、ビデオプロジェクター(8528)、フラットパネルディスプレイモジュール(8524)などに該当しないか確認します。
- Step2:完成品か/部分品・附属品か
- 部分品の場合は第90類注2の3段階ルール((a)(b)(c))に従います。
- Step3:4桁(項)を機能で特定
- 光学部品(9001〜9002)、眼鏡(9003〜9004)、写真・映画(9006〜9010)、顕微鏡(9011〜9012)、レーザー等(9013)、医療(9018〜9022)、計測/分析/制御(9024〜9032)…のように“用途・機能”で当たりを付けます。
- Step4:6桁(号)の分岐条件を確認
- 例:質量分析計は9027.81、MRIは9018.13、CTは9022.12など、方式・種類で号が決まるものがあります。
- よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
- 第90類 vs 第85類(カメラ・プロジェクター・表示モジュール・光ファイバー関連)
- 9013 vs 9031(光学の“測定・検査”をする機器)※注5の強制ルールあり
- 9026/9025(測定) vs 9032(自動制御) ※注7の定義が効く
2. 主な項(4桁)とその内容
2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)
ご指定どおり、第90類の4桁(項)を全て表にしています(HS2022の条文構成上、90.09は「[90.09]」として空番扱いです)。
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 9001 | 光ファイバー束・偏光板・未装着光学素子 | 偏光フィルム、コンタクトレンズ、未装着レンズ/プリズム | 「未装着」が要点。光ファイバーケーブルは8544等へ(注1) |
| 9002 | 装着光学素子(器具の部品/取付具) | カメラ用レンズユニット、光学フィルタ | 取付済(mounted)。未装着は9001側。 |
| 9003 | 眼鏡等のフレーム・マウント、部品 | 眼鏡フレーム、ゴーグル枠、テンプル | 完成眼鏡(9004)と混同注意。 |
| 9004 | 眼鏡・ゴーグル等(矯正/保護/その他) | メガネ、保護メガネ、サングラス | 9004.10(サングラス)/9004.90(その他) |
| 9005 | 双眼鏡・単眼鏡・望遠鏡、天体観測機器等 | 双眼鏡、天体望遠鏡、暗視鏡(例あり) | 銃用照準望遠鏡等は注4で9013へ。暗視鏡が9005.80に来る例あり。 |
| 9006 | 写真機(映画用以外)・フラッシュ等 | フィルムカメラ、インスタントカメラ(写真) | デジタルカメラは8525へ(注1)。フィルム幅等で6桁分岐。 |
| 9007 | 映画用カメラ・プロジェクター | 16mm映画撮影機、映画映写機 | 9008(静止像投影)と混同注意。 |
| 9008 | 静止像用投影機・写真引伸機/縮小機 | スライドプロジェクター、引伸機 | ビデオプロジェクターは8528(税関解説で除外明確)。 |
| 9009 | [90.09]空番(HS上の予約) | ― | HS2022でも条文上は空番表示。 |
| 9010 | 写真(映画含む)ラボ機器、ネガ観察器、投影スクリーン | 自動現像機、ネガトスコープ、スクリーン | デジタル化された機器でも“写真ラボ用途”か要確認。 |
| 9011 | 光学顕微鏡(複式) | 実体顕微鏡、研究用顕微鏡 | 9012(非光学顕微鏡)と区別。 |
| 9012 | 非光学顕微鏡、回折装置 | 電子顕微鏡、回折装置 | 9012.10/9012.90(部品) |
| 9013 | レーザー(LD除く)等の光学機器(他にないもの) | レーザー発振器(LD除く)、潜望鏡等 | HS2017までの“液晶デバイス”文言はHS2022で外れた(重要)。光学測定器は注5で9031へ。 |
| 9014 | 方位測定コンパス、その他航法機器 | 方向探知コンパス、航空/宇宙航法機器 | レーダ等は8526へ(注1)。 |
| 9015 | 測量・気象・地球物理など(コンパス除く)、距離計 | トータルステーション、レベル、距離計 | 9014(コンパス)と区別。 |
| 9016 | 5cg感度以上の天びん | 分析天びん | 9016.00の構成(HS6)。 |
| 9017 | 製図・計算器具、手持ち長さ測定器 | ノギス、マイクロメータ、巻尺 | 他章に特掲がないか確認。 |
| 9018 | 医療・外科・歯科・獣医用器具(診断含む) | 超音波、MRI、注射器、カテーテル | 方式/用途で細分多い。MRI 9018.13の分類例あり。 |
| 9019 | 機械療法・マッサージ等、酸素療法/人工呼吸等 | マッサージ器、酸素吸入装置 | 9020(ガスマスク等)と混同注意。 |
| 9020 | その他の呼吸用器具・ガスマスク(一定の簡易マスク除外) | 交換フィルタ式防毒マスク等 | “機械部品も交換フィルタもない保護マスク”は除外(注の文言に沿って判断)。 |
| 9021 | 整形外科用等、義肢、補聴器、体内植込み機器等 | 人工関節、ペースメーカー、補聴器 | 注6で「整形外科用」の定義あり(特殊インソール等)。 |
| 9022 | X線・その他電離放射線利用装置(医療用含む) | X線撮影装置、CT(9022.12)、放射線治療装置 | HS2022で「その他の電離放射線」まで含む方向に拡大(相関表に影響記載)。 |
| 9023 | 教育/展示用モデル等(他用途不可) | 解剖模型、教育用デモ装置 | “他用途に適する”と外れる可能性。 |
| 9024 | 材料の機械特性試験機 | 引張試験機、硬さ試験機 | 90.24の範囲か、機械(84類)か要確認。 |
| 9025 | 温度計・気圧計・湿度計等 | 温度計、バロメータ、湿度計 | 9032(自動制御)と混同注意。 |
| 9026 | 流量・液位・圧力等(液体/気体)測定器 | 流量計、圧力計、液位計 | “自動制御”機能が本質なら9032へ(注7)。 |
| 9027 | 物理/化学分析機器、光・音・熱量測定、ミクロトーム等 | 分光計、ガスクロ、pH計、ミクロトーム | HS2022で質量分析計9027.81新設。 |
| 9028 | ガス・液体・電気の供給/生産メータ | ガスメーター、水道メーター、電力量計 | 日本では計量法の対象となり得る(取引・証明用途等)。 |
| 9029 | 回転数計・速度計・歩数計等、ストロボスコープ | タコメータ、歩数計 | 9014/9015該当なら除外(見出しに明記)。 |
| 9030 | 電気量測定器(9028除く)、放射線検出/測定器等 | オシロスコープ、スペアナ、線量計 | 9022(放射線“利用装置”)と区別。 |
| 9031 | 他項にない測定・検査機器、投影検査器等 | 三次元測定機、光学投影機(検査用) | 注5で9013に行きそうでも“光学の測定・検査”は9031へ。 |
| 9032 | 自動調整/制御機器 | サーモスタット、圧力調整器 | 注7の定義(測って目標値維持)が核心。 |
| 9033 | 他に特掲のない部分品・附属品 | 汎用化していない専用品の部品等 | 部分品は注2でまず(a)(b)判定。最後に残るものが9033。 |
(出典:WCO HS2022 第90類条文、および日本税関「関税率表解説・分類例規」第90類等)
2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)
ここでは“実務で迷いやすい”分岐に絞って整理します(全号の網羅ではありません)。
- 分岐条件(例:重量、成分割合、用途、加工状態、形状、包装、規格)の整理
- 第90類は「方式(何をどう測る/写す/投影するか)」「構造(装着/未装着、交換フィルタ有無等)」「完成品/部品」が効きます。
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
- 9001(未装着光学素子) vs 9002(装着光学素子)
- どこで分かれるか:
- ざっくり「**mounted(装着/取付済)**かどうか」。
- 判断に必要な情報:
- 図面・写真(枠/ハウジング/マウントの有無)
- “部品として器具に取り付ける状態か”の説明
- 典型的な誤り:
- フィルタ枠付きなのに9001(未装着)で申告してしまう
- どこで分かれるか:
- 9003(フレーム) vs 9004(完成眼鏡)
- どこで分かれるか:
- レンズ等を含みそのまま着用できるか(9004)/枠のみ(9003)。
- 判断に必要な情報:
- セット内容(レンズ有無)、インボイス明細、写真
- 典型的な誤り:
- “フレーム付きレンズ”(完成品)をフレームとして9003申告
- どこで分かれるか:
- 9008(静止像投影) vs 8528(映像用プロジェクター)
- どこで分かれるか:
- 90.08は「静止像投影」が中心(スライド等)。一方、一般のビデオプロジェクターは85.28に除外される旨が明確です。
- 判断に必要な情報:
- 入力信号(HDMI等の映像信号か、写真/スライド投影か)
- 用途(会議用、映画/映像用、写真引伸用途など)
- 典型的な誤り:
- 「プロジェクター」という品名だけで9008に入れてしまう(映像用は8528の可能性が高い)
- どこで分かれるか:
- 9013 vs 9031(光学“測定・検査”機器)
- どこで分かれるか:
- 注5により、光学の測定/検査機器で9013にも9031にも読めるなら9031に寄せます。
- 判断に必要な情報:
- “測定・検査”の有無(数値表示・検査判定・測定原理)
- カタログ(測定精度、測定対象、検査機能)
- 典型的な誤り:
- “レーザーを使う検査装置”を、レーザー機器だから9013と短絡する(測定/検査なら9031寄り)
- どこで分かれるか:
- 9027.81(質量分析計) vs 9027.89(その他)
- どこで分かれるか:
- HS2022で質量分析計が9027.81として独立しました。
- 判断に必要な情報:
- 方式(MSであるか)、メーカー仕様、型式
- 典型的な誤り:
- 旧来の感覚(“9027.80その他”)で9027.89等にしてしまう
- どこで分かれるか:
(補足)**9032(自動制御) vs 9025/9026(測定)**も頻出です。注7の要件(測って目標値に維持する閉ループ)を満たすかで変わります。
3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)
3-1. 関連する部注(Section Notes)
- ポイント要約:
- 第90類注3で、第16部(Section XVI)の注3・注4が第90類にも適用されるとされています。つまり、複合機能機械/システム(機能ユニット等)の考え方が第90類でも重要になります。
- 実務での意味(具体例つき):
- 例:MRI装置は巨大電磁石+無線周波装置+ADP装置等で構成されることがある、と税関資料に例示があります。システムとしての提示形態・構成次第で判断が変わり得るので、**「セットで輸入か」「一体として特定機能を果たすか」**を整理します。
- “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
- 第90類“部分品”でも、部品それ自体が第84/85類の見出しに入るなら、注2(a)でそちらに行く、という形で「他章に飛ぶ」ことがあります。
3-2. この類の類注(Chapter Notes)
- ポイント要約:
- 注1:除外規定(デジタルカメラ等の85類、光ファイバー関連、ねじ等の汎用部品などが除外)
- 注2:部分品・附属品の分類ルール(最重要)
- 注4:銃用照準望遠鏡等は9005でなく9013
- 注5:光学の測定・検査は9031へ寄せる
- 注6:9021の「整形外科用」の定義(特殊インソール等の条件)
- 注7:9032の定義(自動制御の範囲限定)
- 用語定義(定義がある場合):
- 「orthopaedic appliances(整形外科用)」の定義は注6にあり、矯正/支持目的や、靴・インソールの条件(オーダーメイド又は大量生産でも単品提示等)が書かれています。
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
- デジタルカメラ等→85.25、ビデオプロジェクター→85.28、光ファイバーケーブル→85.44、コネクタ→85.36、数値制御装置→85.37…など、注1(h)は“飛び先”が具体的に列挙されています。
4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)
- 影響ポイント1:注1(除外)で第85類へ飛ぶ
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 仕様書で「デジタルカメラ機能」「映像投影」「表示モジュール」などの有無
- 現場で集める証憑:
- メーカー仕様書、入出力仕様(HDMI等)、構成部品表、製品写真
- 誤分類の典型:
- “光学っぽい”から第90類に入れてしまう(例:ビデオプロジェクター→8528)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント2:注2(部分品ルール)で9033に“落とす前”の判定が必須
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- その部品が単体で84/85/90/91の見出しに入るか(注2(a))
- 専用品・主用性の有無(注2(b))
- 現場で集める証憑:
- 図面、用途説明、装着対象機種一覧、部品番号、カタログ
- 誤分類の典型:
- “部品だから”と機械的に9033へ(注2の(a)(b)を見ていない)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント3:注5で9013→9031に寄せる
- 何を見れば判断できるか:
- 測定・検査の機能(数値化、判定、精度保証など)
- 現場で集める証憑:
- 測定仕様(精度・分解能)、測定原理、検査工程図
- 誤分類の典型:
- “レーザー装置だから9013”としてしまう(測定・検査なら9031に寄る可能性)
- 何を見れば判断できるか:
- 影響ポイント4:注7で9032(自動制御)か、単なる計測(9025/9026等)かが分かれる
- 何を見れば判断できるか:
- センサーで測定→制御演算→アクチュエータで目標値維持、の“閉ループ”要件
- 現場で集める証憑:
- 制御ブロック図、I/O仕様、制御方式説明
- 誤分類の典型:
- “温度を測る機器”を全部温度計(9025)にする/逆に全部制御器(9032)にする
- 何を見れば判断できるか:
(補足:HS2022ではフラットパネルディスプレイモジュール(8524)が新設され、90.13等に分類されていたものの整理が進んだ、という改正背景が税関資料でも説明されています。)
5. 分類でよくある間違い(原因→対策)
- 間違い:デジタルカメラを9006(写真機)にする
- なぜ起きる:品名が「カメラ」だから
- 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):注1(h)でデジタルカメラは8525へ除外。
- 予防策:
- 仕様書で撮像素子、記録方式、デジタル出力の有無を確認
- インボイス品名に「digital camera / video camera recorder」等を明記
- 間違い:会議用ビデオプロジェクターを9008にする
- なぜ起きる:「プロジェクター=9008」と短絡
- 正しい考え方:税関解説で、90.08は静止像投影中心で、ビデオプロジェクターは85.28へ除外される整理。
- 予防策:
- 入力信号・用途(映像投影/静止像投影)を仕様で確定
- 間違い:液晶/有機ELの表示モジュールを9013にする
- なぜ起きる:旧版(HS2017以前)の「液晶デバイス」文言の記憶
- 正しい考え方:
- HS2017の9013は液晶デバイスを含む文言があるが、HS2022の9013にはその文言がない。
- HS2022で**8524(フラットパネルディスプレイモジュール)**が新設され、注7で8524優先のルール。
- 予防策:
- HS版(2017/2022)を混同しない
- モジュール構造(ドライバ/制御回路の有無等)を図面で確認
- 間違い:光学フィルタを9001にする(実は9002)
- なぜ起きる:「フィルタ=光学素子」の一括り
- 正しい考え方:9001は未装着、9002は装着済で器具の部品・取付具。
- 予防策:マウント有無、装着状態の写真を入手
- 間違い:眼鏡フレーム(9003)と完成眼鏡(9004)の混同
- なぜ起きる:取引上「眼鏡」と呼ぶ
- 正しい考え方:見出しでフレーム(9003)と完成品(9004)が分かれる。
- 予防策:レンズ有無・セット内容を明細化
- 間違い:部分品は全部9033
- なぜ起きる:部品分類が難しく“最後の受け皿”に逃げる
- 正しい考え方:注2で(a)(b)(c)の順に判定し、最後に残るものだけが9033。
- 予防策:部品が単体で別見出し(84/85/90/91)に入らないかチェック表を作る
- 間違い:放射線“利用装置”(9022)と放射線“検出/測定”(9030)の混同
- なぜ起きる:どちらも放射線関連で紛らわしい
- 正しい考え方:
- 9022=X線等を利用する装置(撮影/治療など)
- 9030=電気量測定器+放射線検出/測定器等(線量計など)
- 予防策:装置が「発生・照射」側か「検出・計測」側かを仕様で整理
- 間違い:流量計/圧力計(9026)を9032(自動制御)にしてしまう/逆
- なぜ起きる:どちらも“センサー付き”に見える
- 正しい考え方:注7により9032は閉ループ自動制御に限定。
- 予防策:制御ループの有無(設定値維持・制御出力)を確認
- 間違い:質量分析計を9027.89(その他)で申告
- なぜ起きる:旧HSで“9027.80その他”に慣れている
- 正しい考え方:HS2022で9027.81(質量分析計)新設。
- 予防策:HS版を確認し、改正差分表・相関表を社内で更新
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係
- HSの付番がPSR選択に直結すること
- 最終製品のHS(6桁)が誤ると、PSR(CTH/RVC等)も誤り、原産性判断が崩れます。
- よくある落とし穴
- 「材料HS」と「完成品HS」の取り違え
- 部品(注2の扱い)を誤って“別章”に置いてしまい、CTH判定が狂う(例:本来は完成品9018だが、部品を84/85に置くべきもの/置かないものが混ざる)
6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)
- 協定本文・付属書(PSR)が参照するHS版は協定ごとに異なり得ます。HS2022の税番をそのまま当てはめず、協定の参照HS版を必ず確認してください。
- 参考:RCEPについては、税関がHS2022への転置PSRを公表し、適用開始(2023年)を案内しています。
- トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
- ①協定の参照HS版でPSR確認 → ②相関表でHS2022へ対応付け → ③“範囲変更”がある品目(例:9013/8524、9027.81新設など)は個別に検証、が安全です。
6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)
- 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
- 証明書類・保存要件(一般論)
- 協定・運用で求められる保存年限、サプライヤ証明、工程記録を整理
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)
7-1. 変更点サマリー(必須:表)
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 削除/範囲変更 | 9006.51, 9006.52(削除)→9006.53/9006.59(範囲拡大) | 貿易量が小さい等の理由で9006.51/52を削除し、9006.53/59の範囲が調整された旨が相関表で説明 | “フィルム幅”に基づく細分運用の見直しが必要。社内マスタ更新必須。 |
| HS2017→HS2022 | 文言修正/範囲変更(他章新設と連動) | 9013(見出し文言)/8524(新設) | HS2017の9013は液晶デバイス文言あり→HS2022では外れ、HS2022で8524(フラットパネルディスプレイモジュール)が新設・定義され優先ルール | 旧慣習で9013とする誤りが増えやすい。表示モジュールは8524/8528/8529等も含め再判定が必要。 |
| HS2017→HS2022 | 範囲変更 | 9022.21 / 9022.29(拡大)+影響:9018.90(一部) | 9022.21/29の範囲が「X線/αβγ以外の放射線」もカバーする方向に拡大し、相関表では一部が9018.90から影響を受ける旨を記載 | 放射線系医療装置の税番見直しが必要(特に“その他電離放射線”利用装置)。 |
| HS2017→HS2022 | 新設/分割 | 9027.81(新設)/9027.89(その他) | 質量分析計を独立の号にし、統計把握等を容易にする目的が相関表に記載 | MSを扱う企業はHS6桁更新必須。輸出管理・統計・原産地判定にも影響。 |
7-2. 「違うことになった根拠」(必須)
- 根拠資料として、以下を突合しました:
- WCOのHS条文(HS2017/HS2022)の見出し文言差(例:9013の液晶デバイス文言の有無)
- 日本税関が公開するHS2022改正資料(8524新設と、90類側への影響説明)
- HS2017→HS2022相関表(9006.51/52削除理由、9022.21/29拡大、9027.81新設の趣旨)
- これらの資料に基づき、「コードの新設/削除」「見出し文言の変更」「範囲拡大」の有無を判断し、上表(7-1)に反映しました。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
主要な追加・削除・再編(可能な範囲)を、HS2007→2012→2017→2022で整理します。
| 時系列 | 主要トピック | 旧コード → 新コード(または行き先) | 要点(簡潔) | 根拠 |
|---|---|---|---|---|
| HS2007/2012/2017 → HS2022 | 9013の“液晶デバイス”文言の削除(他章新設と連動) | 9013(液晶デバイス部分)→ 主として8524等へ(要個別判定) | HS2017/2012/2007では9013見出しに液晶デバイス文言があるが、HS2022の9013では外れている。HS2022で8524が新設・定義。 | HS2007/2012/2017条文、HS2022条文、85類注7、税関改正資料 |
| HS2007/2012/2017 → HS2022 | 9006.51/9006.52の削除 | 9006.51/9006.52 →(削除)→ 9006.53/9006.59へ実務的に吸収 | HS2007/2012/2017には9006.51/52があるがHS2022では無い。相関表で削除理由と範囲調整が説明されている。 | HS2007条文、HS2012条文、相関表、HS2022条文 |
| HS2007/2012/2017 → HS2022 | 質量分析計の号新設 | 9027.80(その他)→ 9027.81(MS)+9027.89(その他) | HS2007では9027.80に含まれていたが、HS2022で9027.81が新設。 | HS2007条文、HS2022条文、相関表 |
| HS2017 → HS2022 | 9022の範囲拡大と影響 | 9018.90(一部)→ 9022.21/29側へ影響 | 相関表で、9022.21/29の範囲拡大(他の電離放射線)と、それに伴う影響が示されている。 | 相関表、HS2022条文 |
9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)
- 事例名(短く):ビデオプロジェクターを9008で輸入申告
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):90.08に当てはめたが、税関解説ではビデオプロジェクターは85.28へ除外される整理
- 起きやすい状況:インボイス品名が「PROJECTOR」だけ、用途説明なし
- 典型的な影響:修正申告、分類根拠の追加提出、納期遅延(一般論)
- 予防策:用途(静止像/映像)、入力仕様を添付し、85.28/90.08を事前に比較検討
- 事例名:表示モジュールを9013で申告(HS2022で8524新設後も旧運用のまま)
- 誤りの内容:HS2022で8524が新設・優先ルールがあるのに、9013(旧“液晶デバイス”感覚)にしてしまう
- 起きやすい状況:社内HSマスタがHS2017のまま
- 典型的な影響:税番更正、FTA原産地判断のやり直し(一般論)
- 予防策:HS版更新、8524定義(ドライバ/制御回路等)に沿って仕様確認
- 事例名:質量分析計を9027.89で申告
- 誤りの内容:HS2022の9027.81新設を見落とし
- 起きやすい状況:旧HSで“9027.80その他”のまま運用
- 典型的な影響:統計品目の修正、輸出管理/社内審査プロセスの再確認(一般論)
- 予防策:型式仕様でMSを確定し、9027.81を優先検討
- 事例名:部品を一括で9033にまとめ申告
- 誤りの内容:注2(a)(b)を見ずに“部品=9033”
- 起きやすい状況:部品点数が多く、機能説明が不足
- 典型的な影響:追加資料要求、分類修正、審査長期化(一般論)
- 予防策:部品ごとに「単体で別見出しに入るか」「主用性」を整理し、注2に沿って判定
10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
- 検疫・衛生(SPS等)
- 第90類そのものは食品等ではありませんが、**医療機器(9018〜9022等)**は国内流通の前提として薬機法の枠組み(承認・認証・届出等)が絡み得ます。
- ワシントン条約(CITES)等の種規制
- 第90類では一般に中心論点になりにくいですが、素材(象牙等)を使った装飾がある場合は別途検討が必要です(一般論)。
- 安全保障貿易管理(該当する場合)
- 分析機器・計測機器は安全保障貿易管理で論点になり得ます。制度自体はリスト規制+キャッチオール規制の枠組みで運用され、METIがQ&A等を公開しています。
- ※HSコードだけで該当/非該当が決まるわけではなく、性能仕様・用途・需要者を含めて判断します(一般論)。
- その他の許認可・届出
- 計量法(特定計量器):取引・証明用途で使用する電力量計・水道メーター・ガスメーター等は、検定証印等が求められ、有効期限の考え方もあります。輸入・販売・使用の各段階で留意事項が整理されています。
- 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
- 医療機器:厚生労働省、PMDA(審査・区分等)
- 計量法:経済産業省(特定計量器の制度・注意喚起)
- 安全保障貿易管理:経済産業省(Q&A等)
- 実務での準備物(一般論):
- 仕様書(性能、方式、入出力)
- 写真・図面
- 医療機器なら承認/認証/届出状況、製造販売業の体制(当事者の役割整理)
- 計量器なら検定・型式承認等の関連情報(該当する場合)
11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 何をする機器か(測定/分析/制御/診断/治療/投影)
- 方式(X線/超音波/MRI/レーザー等)
- 構造(装着/未装着、交換フィルタ、表示モジュールの構成)
- 完成品か部品か(注2を意識)
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 注1(除外)で85類に飛ばないか(8524/8525/8528等)
- 注5(9013↔9031)・注7(9032)に抵触していないか
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- “projector” “sensor” “module”など曖昧語は避け、機能・方式を明記
- カタログ/写真を添付(必要時)
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 協定の参照HS版確認、相関表で転置
- BOM・工程・原価の保存
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 医療機器(薬機法)・計量器(計量法)・輸出管理(該当時)を並行確認
(推奨)迷う場合は税関の**事前教示制度(品目分類)**を活用し、照会に必要な情報(仕様・写真等)を揃えます。
12. 参考資料(出典)
※参照日はいずれも 2026-03-01。
- WCO(HS条文)
- HS2022 Chapter 90(条文・類注)
- HS2017 Chapter 90(9013文言比較等)
- HS2012 Chapter 90(旧版比較)
- HS2007 Chapter 90(旧版比較)
- HS2022 Chapter 85(注7:8524優先等)
- 日本税関・公的機関(分類・改正・手続)
- 関税率表解説(第90類)
- 分類例規(第90類:暗視鏡9005.80、MRI 9018.13等の例)
- HS2022改正資料(8524新設と90類側への影響説明等)
- HS2017→HS2022 相関表(9006.51/52削除、9027.81新設、9022範囲拡大等)
- 事前教示制度(品目分類)案内・カスタムスアンサー
- 日本:規制(計量法・薬機法・輸出管理)
- 経済産業省:計量法(特定計量器の規制概要、検定証印等、有効期間注意)
- 厚生労働省:医薬品・医療機器(薬機法の枠組み概要)
- PMDA:医療機器の審査・区分(承認/認証/届出の考え方等)
- 経済産業省:安全保障貿易管理Q&A、キャッチオール関連資料
- FTA/EPA(参考)
- 日本税関:RCEPのHS2022転置PSR(案内)
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。
