貿易実務でHSコードを正しく決める際、基本原則である「通則1」で分類しきれない場合に登場するのが「通則2」です。
通則2は、「未完成品・バラ品」と「複数材料の製品」を、完成品や単一材料と同じように扱うためのルールです。 (税関総合情報:関税率表解説(通則))

結論
通則2は大きく以下の2つに分かれます。
- 通則2(a):未完成品・組み立てていない完成品の扱い
- 通則2(b):二つ以上の材料からできている製品の扱い
どちらも**「見た目どおりの状態でなく、実質的な性格・特性で分類する」**ことを狙ったルールです。
1. 通則2(a):未完成品・バラ品の考え方
通則2(a)のポイントは一言で言うと、**「ほぼ完成しているなら完成品」「バラで梱包されていても、組み立てて完成品になるなら完成品」**として分類するという考え方です。
内容は次の2つのパートからなります。 (税関総合情報)
- 未完成品・不完全な物品:提示の際に、すでに完成品としての「重要な特性(Essential Character)」を持っているものは、完成品と同じ項に分類する。
- 未組立て・分解品(ノックダウン品):完成品(または上記により完成品とみなされるもの)をバラして提示している場合は、まとめて完成品と同じ項に分類する。
通則2(a)のイメージ例
ビジネス現場でイメージしやすい例です。
- 未完成だが重要な特性を持つ例サドルやタイヤがない自転車のフレーム一式。見た目は未完成ですが、「自転車としての形・機能」の重要な特性が明確なため、自転車の完成品の項(87.12など)に分類されます。同じく、画面や内部部品をほぼ備えたスマホ本体で、箱や付属品がない状態のものも、すでにスマホとしての機能・性格を持つため、完成品の項で判断します。
- 組み立てていない完成品(ノックダウン)の例ボルトで組めばすぐ完成するオフィス家具一式や、溶接・ねじ止めすれば完成する機械が、輸送の都合で分解されて輸入されるケース。これらは部品個々の項ではなく、対象となる家具や機械の「完成品」として分類されます。
このように、「現時点で完成品としての性格がはっきりしているか」「組み立てさえすれば完成品になるか」が判断の軸になります。
【要注意】通則2(a)が使えないケース
すべての未完成品に通則2(a)が自動的に使えるわけではありません。以下の場合は適用外となります。 (税関総合情報)
- 項や注に「未完成品は別項にする」と明記されている場合
- まだ完成品としての「重要な特性」がはっきりしない段階のもの(例:ベアリング用の未研摩の鋼球は、ベアリング完成品ではなく「鋼の材料」側で分類される単なる半製品です)
- 第1部〜第6部(第1類〜第38類)の物品農水産物や化学品などの部類には、原則として通則2(a)は適用されません。通則2(a)は主に機械類や製品類を想定したルールです。
2. 通則2(b):複数材料からなる製品
通則2(b)は、「2つ以上の材料からできている製品」や「混合物」を扱うルールです。 (税関総合情報)
内容をざっくり言うと、以下のようになります。
- 「ある材料だけでできている」と書かれた項の規定は、他の材料が混ざった製品にも拡大して適用(準用)する。
- 2つ以上の材料からなる製品の分類は、通則3に従って決定する。
※訂正ポイント(よくある誤解)
通則2(b)自体で「主な材料はどれか」を決めるわけではありません。通則2(b)はあくまで**「複数材料になった瞬間に、それぞれの材料の項を候補として挙げてよい」と認める入口の役割を果たしています。最終的にどの材料をベースにするか(本質的特性)の決着は、次のステップである「通則3」**に進んで決定します。
通則2(b)のイメージ例
ビジネスでよく出てくる複合品のイメージです。
- プラスチックと金属からなる複合部品「プラスチック製品の項」「金属製品の項」の両方に候補が出てきます。通則2(b)により「複数材料の製品としても、両方の項を候補にしてよい」とされます。そのうえで、どちらが本質的特性かを通則3で判断します。
- 布と革を組み合わせたバッグ布の項・革の項、両方に当てはまりそうな場合、通則2(b)で候補を広げたうえで、通則3で主要材料(本質的特性)を判断します。
3. 実務で意識したいポイント
実務担当者向けに、通則2を使うときの着眼点です。
通則2(a)を使うとき
- 図面・仕様・組立状態を見て、「完成品としての重要な特性」を持っているかを客観的に確認する。
- 輸送・組立の都合でバラにしているだけ(ノックダウン)なのか、それとも関連性の薄い単なる部品の集合体なのかを見極める。
通則2(b)を使うとき
- 材料構成(材質の割合%、使用目的、外観・機能)を整理しておく。
- 複数候補が挙がった際、どの材料がユーザーにとって一番重要か(機能面・価値面で本質的特性を与えているか)を説明できるようにしておく(通則3への準備)。
いずれのケースでも、「なぜそのHSコードにしたのか」を税関や社内外に説明する際、通則2を根拠として論理立てて話せることが、ビジネス上のコンプライアンスと信頼につながります。 (税関総合情報:関税率表解説)
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