HS2022 第72類:鉄鋼(Iron and steel)実務向け整理

  • =Chapter、=Heading(4桁)、=Subheading(6桁)、=Section、=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 銑鉄・スピーゲル(一次形状の塊など)=7201
    • フェロアロイ(フェロシリコン、フェロマンガン等の合金添加材)=7202
    • **直接還元鉄(DRI)**や高純度鉄(規定の形状)=7203
    • 鉄鋼スクラップ/再溶解用スクラップインゴット=7204(「スクラップ」の定義に注意)
    • 鋼材(板・コイル・棒・形材・線材・線):熱延・冷延、めっき等の加工状態に応じて7208〜7217/ステンレスは7218〜7223/その他合金鋼は7224〜7229
    • 中空ドリル棒(寸法要件あり)=7228(ただし「その他の中空棒」は7304へ)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 鉄鋼製品(完成品):ボルト・ナット等(7318)、継手(7307)、ワイヤロープ(7312)などは原則**第73類(鉄鋼製品)**へ
    • 鋼管・中空形材(一般の中空棒を含む)=7304等(中空ドリル棒の例外を除く)
    • 矢板・溶接形鋼(7301)やレール等の軌道材料(7302)は、第72類の「形鋼」定義から明示的に除外されやすい
    • 機械・電気機器等の物品(Section XVI 等)は、部注で第15部(=第72類を含む)から除外される場合がある
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 化学成分で「非合金鋼/ステンレス鋼/その他の合金鋼」を決める(Cr 10.5%等の閾値、合金元素の閾値)
    2. 形状・寸法・巻取りで「フラットロール製品/棒・形材/線/線材(不規則巻)/半製品」を決める(厚さ4.75mm、幅600mm扱い等)
    3. 「材料(第72類)」か「製品(第73類)」か(ねじ・継手・ワイヤロープ等の“parts of general use”を見落としやすい)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **特殊関税(不当廉売関税等)**の対象になっている場合(原産地・品目で税額影響が大きい)
    • 輸出(または技術提供)での安全保障貿易管理(リスト規制):該当時は許可要否に直結
    • FTA/EPAのPSR(品目別規則):最終品HSがズレると原産性判断が崩れる(協定ごとに参照HS版も違う)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(項の文言+部注・類注で決める)
      鉄鋼は、類注(定義)が非常に強い類です。まず「鋼」「ステンレス鋼」「その他の合金鋼」などの定義(成分閾値)を類注で確定し、その上で形状・加工状態を当てはめます。
    • GIR6(号=6桁は“同じ項内”でさらに文言と注で分ける)
      例えば「めっき鋼板」の号は、“電解か否か”“波形か否か”“厚さ”など、同じ項内の枝分かれ条件が多いです。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 材質(成分):ミルシート(MTC)や成分分析表が最重要。ステンレス(Cr 10.5%以上など)や合金鋼判定は、通称名では確定できません。
    • 状態(加工度):「熱間圧延のみ/冷間圧延済み/めっき・塗装/クラッド」など、表面処理の有無が号を変えます。
    • 形状・寸法:「幅600mm」「厚さ4.75mm」「不規則巻か否か」「中空か否か」で章・類をまたぐことがあります。
    • 重要補足:第72類の注1(d)〜(f)(鋼、ステンレス鋼、その他の合金鋼の定義)は、この表全体に適用される旨が明記されています。つまり、第73類など他の章で「鋼/鋳鉄」を区別する際にも影響します。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:「材料」か「製品」か
    • ねじ・継手・ワイヤロープ等の“parts of general use”に該当しないか(該当なら多くは第73類へ)。
    • 鋼管・中空形材なら原則第73類(中空ドリル棒の例外を除く)。
  • Step2:第72類内での大区分(原料→鋼材)
    • 原料:7201(銑鉄等)/7202(フェロアロイ)/7203(直接還元鉄)/7204(スクラップ)/7205(粒・粉)
    • 鋼材:
      • 鉄・非合金鋼:7206〜7217
      • ステンレス鋼:7218〜7223
      • その他合金鋼:7224〜7229
  • Step3:成分で“鋼種”を確定
    • ステンレス鋼(C≤1.2%、Cr≥10.5%)か。
    • その他合金鋼(Mn≥1.65% 等、列挙元素のいずれかが閾値以上)か。
    • それ以外は(多くの場合)非合金鋼へ。
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第72類(材料)⇔第73類(製品)
      「板・棒」なのか「管・継手・ねじ・構造物」なのか、加工度・用途・形状で変わります。特に**中空品(ドリル棒の例外)**と、**7301/7302(矢板・レール等)**は典型的な境界です。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:第72類は項が多いですが、実務で境界を見落とすと大きく外すため、ここでは全列挙します(HS6桁ではなく4桁の見出し一覧)。
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
7201銑鉄・スピーゲル(一次形状)銑鉄塊、スピーゲルP含有量や「合金銑鉄」定義で号が分かれることあり
7202フェロアロイフェロシリコン、フェロマンガン「二成分/三成分系」扱い等のルールあり
7203直接還元鉄等DRI(スポンジ鉄)7206等と混同注意
7204くず・スクラップ等鉄スクラップ、再溶解用スクラップインゴット「スクラップ」定義(使用不能)確認必須
7205粒・粉鉄粉、鋼粉、粒状品粉末(1mmふるい90%通過)等の定義あり
7206鉄・非合金鋼のインゴット等(7203除く)インゴット7203除外、鋼の定義(C≤2%等)前提
7207鉄・非合金鋼の半製品スラブ、ブルーム、ビレット(巻いてない)「半製品」定義、巻取り除外
7208幅≥600mm 熱延(非被覆)熱延コイル、熱延板フラットロール定義、加工状態に注意
7209幅≥600mm 冷延(非被覆)冷延コイル、冷延板冷間圧延の位置づけ
7210幅≥600mm 被覆(めっき等)亜鉛めっき鋼板、ブリキ電解めっき/その他、波形等で号分岐
7211幅<600mm 熱延等(非被覆)スリットコイル600mm境界、フラットロール定義
7212幅<600mm 被覆亜鉛めっき帯鋼被覆種別・電解か否か
7213鉄・非合金鋼の線材(不規則巻の棒)ワイヤロッド「棒(不規則巻)」定義が鍵
7214鉄・非合金鋼の棒(熱間加工中心)棒鋼(熱間圧延・鍛造等)7213/7215との境界、ねじり含む
7215鉄・非合金鋼のその他の棒研磨棒、さらに加工した棒7214より加工が進んだもの等
7216鉄・非合金鋼の形鋼H形鋼、山形鋼7301/7302は除外
7217鉄・非合金鋼の線鉄線、鋼線「線」定義(冷間成形・巻取り)
7218ステンレス鋼の一次形状・半製品ステンレススラブ等ステンレス定義(Cr≥10.5%等)前提
7219ステンレス 幅≥600mm フラットロールSUS板/コイル(600mm以上)厚さ4.75mm境界が号で出る
7220ステンレス 幅<600mm フラットロールSUS帯鋼600mm境界、加工状態で号分岐
7221ステンレス線材(不規則巻)SUSワイヤロッド7213と同様に“線材”の概念
7222ステンレスの棒・形鋼SUS棒、SUS形鋼熱間/冷間加工で号分岐
7223ステンレスの線SUS線7217と同様「線」概念
7224その他合金鋼の一次形状・半製品合金鋼スラブ等“その他合金鋼”の成分判定が先
7225その他合金鋼 幅≥600mm フラットロール合金鋼板(600mm以上)けい素電気鋼/亜鉛めっき等で号分岐
7226その他合金鋼 幅<600mm フラットロール合金鋼帯(600mm未満)高速度鋼、けい素電気鋼など
7227その他合金鋼の線材(不規則巻)合金ワイヤロッド高速度鋼/シリコマンガン鋼等の号
7228その他合金鋼の棒・形鋼/中空ドリル棒合金棒、ドリル用中空棒中空ドリル棒の寸法要件、他の中空棒は7304
7229その他合金鋼の線合金鋼線シリコマンガン鋼の号等

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(よく効く順)
    1. 成分(鋼種判定)
      • 鋼:原則C≤2%(例外としてクロム鋼はC>2%含みうる旨の注記)
      • ステンレス鋼:C≤1.2%、Cr≥10.5%
      • その他合金鋼:Al 0.3%、B 0.0008%、Cr 0.3%、Co 0.3%、Cu 0.4%、Pb 0.4%、Mn 1.65%、Mo 0.08%、Ni 0.3%、Nb 0.06%、Si 0.6%、Ti 0.05%、W 0.3%、V 0.1%、Zr 0.05%、その他元素(S,P,C,N除く)0.1% のいずれか以上(ステンレス定義に当たらないもの)
      • 号注の定義が効く鋼種例:
        • 合金銑鉄(Cr 0.2%超等)
        • 非合金快削鋼(S≥0.08%、Pb≥0.1%等)
        • けい素電気鋼(Si 0.6〜6%、C≤0.08%等)
        • 高速度鋼(Mo/W/Vのうち二以上、合計≥7%、C≥0.6%、Cr 3〜6%等)
        • シリコマンガン鋼(C≤0.7%、Mn 0.5〜1.9%、Si 0.6〜2.3%等)
    2. 形状・寸法(フラットロール/棒/形鋼/線/半製品)
      • フラットロール製品の定義:
        • 「巻いたもの」または
        • 厚さ<4.75mmで幅≥厚さの10倍、または
        • 厚さ≥4.75mmで幅>150mmかつ幅≥厚さの2倍
          などの要件(さらに、穴あけ・波形・研磨等でも“他の項の特性”を持たなければ含みうる)
      • **長方形以外の形状でも、他の項の特性がなければ“幅600mm以上扱い”**となる規定があり、7208/7209/7210/7219/7225等の「幅≥600mm」系へ寄ることがあります。
      • 「棒(不規則巻)」と「線」の定義が別:
        • 線材(7213/7221/7227等):熱間圧延の不規則巻の棒
        • 線(7217/7223/7229等):冷間成形で巻いたもの(フラットロール該当除外)
    3. 加工状態(熱間/冷間/被覆・めっき)
      • 例:7210/7212で「電解亜鉛めっき」か「それ以外の亜鉛めっき」か、さらに波形か等で分岐。
    4. スクラップ・粉末等の定義
      • スクラップ:金属くず全般+破損等で“そのままでは使用不能”な金属製品
      • 粉末:1mmふるいに重量90%以上通過
      • 粒:1mmふるい90%未満通過、かつ5mmふるい90%以上通過
    5. 中空品(例外)
      • 中空ドリル棒:外側最大寸法>15mm〜52mm以下、内側最大寸法≤外側の1/2(形状不問)。それ以外の鉄鋼中空棒は7304へ。
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 7204.41 vs 7204.49(スクラップの形態)
      • どこで分かれるか:
        • 7204.41:切粉・削りくず・切断片等(turnings, shavings, chips…)
        • 7204.49:その他の鉄鋼スクラップ
      • 判断に必要な情報:発生形態(機械加工由来か、解体材か)、写真、梱包状態、スクラップ仕様書
      • 典型的な誤り:解体スクラップを「切粉系」として申告(または逆)
    2. 7210.30 vs 7210.41/7210.49(亜鉛めっき方法/波形)
      • どこで分かれるか:電解亜鉛めっき(electrolytically)か、その他の亜鉛めっきか。その他の場合は波形(corrugated)かどうか。
      • 判断に必要な情報:めっき仕様(電解/溶融等)、表面処理工程図、製品規格、写真
      • 典型的な誤り:「電解」を単に“めっきしている”と読み替えて誤分類
    3. 7219/7220の厚さ4.75mm境界(ステンレスのフラットロール)
      • どこで分かれるか:号の枝で“厚さ4.75mm以上/未満”が出る(項内で細分化)。
      • 判断に必要な情報:実測値(公差含む)、規格(JIS等)、ミルシート
      • 典型的な誤り:呼称厚さのみで判断して境界を跨ぐ
    4. 7226.11 vs 7226.19(けい素電気鋼:方向性の有無)
      • どこで分かれるか:けい素電気鋼のうち、grain-oriented(方向性)か否か。
      • 判断に必要な情報:電磁鋼板の仕様(方向性、磁気特性)、成分(Si、C等)
      • 典型的な誤り:「けい素が入っている=方向性」と早合点
    5. 7228.80(中空ドリル棒) vs 7304(その他中空棒)
      • どこで分かれるか:中空ドリル棒の寸法要件に当たるか。
      • 判断に必要な情報:外径・内径(最大寸法)、用途(ドリル用)、図面
      • 典型的な誤り:「中空=管」として無条件に7304へ(または逆)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第15部は「卑金属とその製品」ですが、部注で機械(Section XVI)や完成車両等(Section XVII)などは除外されます。
    • “parts of general use(一般用の部分品)”の定義があり、該当品(例:7307、7312、7315、7317、7318等)は、他の章の“部品”として扱わないルールがあります。
    • 混合金属の複合品は「重量で主となる卑金属」に分類し、鉄と鋼(鋼種の違い含む)は同一金属扱いです。
    • 「スクラップ」「粉末」の定義が部注で与えられます。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:鉄鋼製のボルトは、機械の部品に見えても“parts of general use”に該当し、原則7318で扱う方向になります(第72類ではない)。
    • 例:鉄スクラップは「中古鉄材」との線引きが重要で、“そのまま使用できる”状態だとスクラップの定義から外れる可能性があります(結果として7204以外の可能性)。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • ねじ・継手・ワイヤロープ等 → 第73類の該当項(parts of general use)へ
    • 組立て済み軌道(assembled railway track)等 → Section XVII(例:8608)へ

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第72類は「鉄鋼の材料」中心で、類注で材質(鋼種)・形状(フラットロール、棒、線等)・粒/粉が細かく定義されています。
    • 注1(d)〜(f)(鋼、ステンレス鋼、その他の合金鋼の定義)はこの表全体に適用されます。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 銑鉄・スピーゲル・フェロアロイ(各元素の上限/下限)
    • 鋼/ステンレス鋼/その他の合金鋼(成分閾値)
    • 粒・半製品・フラットロール製品・棒・形鋼・線・中空ドリル棒(寸法・状態)
    • 号注:合金銑鉄、非合金快削鋼、けい素電気鋼、高速度鋼、シリコマンガン鋼等
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 形鋼の定義に関し、第72類には7301(矢板等)・7302(軌道材料)を含まない旨が明記されています。
    • 中空ドリル棒以外の鉄鋼中空棒は7304に属する旨が明記されています。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:「ステンレス鋼」か否かで、項(4桁)が丸ごと変わる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):C%、Cr%(少なくとも)、合金元素の有無
    • 現場で集める証憑:ミルシート(MTC)、成分分析表、規格書(JIS等)、製品カタログ
    • 誤分類の典型:品名に「SUS」「ステン」等が無いから非合金鋼と扱う/表面処理(めっき)を“ステンレス”と誤認
    • 根拠:ステンレス鋼の定義(C≤1.2%、Cr≥10.5%)
  • 影響ポイント2:「その他の合金鋼」判定(合金元素の閾値)で、非合金鋼(72.06〜72.17)⇔合金鋼(72.24〜72.29)が分かれる
    • 何を見れば判断できるか:Mn≥1.65%、Si≥0.6%など、列挙元素のいずれかが閾値以上か
    • 現場で集める証憑:MTC(成分)、鋼種表(材質規格)、顧客仕様書
    • 誤分類の典型:MnやSiの多い鋼(例:電磁鋼板)を非合金側に入れてしまう
    • 根拠:その他合金鋼の定義(閾値一覧)
  • 影響ポイント3:フラットロール製品の定義(厚さ4.75mm、幅比、幅600mm扱い)で“板類”の項が分かれる
    • 何を見れば判断できるか:厚さ、幅、形状(長方形か否か)、巻取りの有無
    • 現場で集める証憑:図面、実測記録、製品仕様書、梱包写真(コイルか否か)
    • 誤分類の典型:異形(長方形以外)を幅<600mm扱いしてしまい、実は“幅600mm以上扱い”で7208等に寄るケース
    • 根拠:フラットロール製品定義・非長方形の幅600mm扱い規定
  • 影響ポイント4:スクラップ(7204)か否かは、部注の定義で決まる
    • 何を見れば判断できるか:そのまま使用できるか(破損・切断・摩耗等で“使用不能”か)、取引実態(原料用途か)
    • 現場で集める証憑:写真、検収基準、スクラップ規格(例:等級表)、用途説明
    • 誤分類の典型:中古材(再使用可能)をスクラップとして申告
    • 根拠:第15部注8(スクラップ定義)
  • 影響ポイント5:中空ドリル棒(7228.80)の例外で、72⇔73が入れ替わる
    • 何を見れば判断できるか:外側最大寸法(>15〜52mm)、内側最大寸法(≤外側の1/2)、用途(ドリル用)
    • 現場で集める証憑:図面、仕様書、用途説明、実測データ
    • 誤分類の典型:「中空=管」として無条件に7304へ
    • 根拠:中空ドリル棒の定義・その他中空棒は7304

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:亜鉛めっき鋼板を“非被覆の鋼板(7208/7209等)”として申告
    • なぜ起きる:品名が「鋼板」だけで、めっき情報がインボイス等に出ない
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):被覆・めっきは7210/7212側で扱うのが基本で、同項内で電解/その他等の分岐がある
    • 予防策:表面処理(めっき種、方法、塗装)を仕様書で確認/工程表の入手
  2. 間違い:「SUS」表示がないからステンレスではない、と判断
    • なぜ起きる:取引名・商品名に引きずられる
    • 正しい考え方:ステンレスは成分定義(C≤1.2%、Cr≥10.5%)で判断
    • 予防策:MTCでCrとCを必ず確認/社内質問例「Cr何%ですか?」「C何%ですか?」
  3. 間違い:合金鋼を非合金鋼(72.06〜72.17)側に入れる
    • なぜ起きる:MnやSiなど“見落としやすい合金元素”が閾値を超えている
    • 正しい考え方:その他合金鋼の閾値(Mn 1.65%、Si 0.6%等)に一つでも当たれば合金鋼側
    • 予防策:成分表を“閾値表と突合”するチェックシート化(BOM/成分表に閾値欄を作る)
  4. 間違い:線材(7213等)と線(7217等)を混同
    • なぜ起きる:「ワイヤ」「ロッド」など呼称が混在
    • 正しい考え方:線材は“熱間圧延の不規則巻の棒”、線は“冷間成形で巻いたもの”という定義差を押さえる
    • 予防策:製造工程(熱間/冷間)と形状(不規則巻か、コイルか)を必ず確認
  5. 間違い:幅600mm境界を実測せず、呼称で判断
    • なぜ起きる:スリット品・異形品で実幅が変動
    • 正しい考え方:フラットロール定義に基づき、非長方形でも“幅600mm以上扱い”となる場合がある
    • 予防策:図面・実測値(公差含む)提出を社内ルール化
  6. 間違い:スクラップ(7204)に中古材(再使用可能)を入れる
    • なぜ起きる:取引上「スクラップ」と呼ぶ慣行
    • 正しい考え方:部注の“使用不能”要件がある
    • 予防策:写真・用途説明・検収基準を添付し、“使用不能”根拠を残す
  7. 間違い:中空ドリル棒(7228.80)を鋼管(7304)として申告(または逆)
    • なぜ起きる:「中空=管」という短絡
    • 正しい考え方:ドリル棒は寸法要件があり、それ以外の中空棒は7304へ飛ぶ
    • 予防策:外径・内径(最大寸法)の図面を必須化/用途(ドリル用)を明記
  8. 間違い:ボルト・ナット等を“棒鋼”として第72類で申告
    • なぜ起きる:素材(鋼)に引っ張られ、製品形態を見落とす
    • 正しい考え方:parts of general use の規定により、第73類で扱う方向
    • 予防策:形状(ねじ切り・頭部形状)写真+製品規格(ISO/JIS)を必ず確認
  9. 間違い:FTA/EPAで協定の参照HS版を見ず、HS2022でそのままPSR判断
    • なぜ起きる:社内のHSがHS2022で統一されており、協定側のHS版を忘れる
    • 正しい考え方:協定ごとに参照HS版が異なる(例:日EU・日英はHS2017、RCEPは2023年以降HS2022等)
    • 予防策:PSR確認シートに「協定参照HS版」欄を追加し、旧↔新の突合を必須化

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること
    • 最終製品のHS(通常6桁)でPSRが決まるため、ここがズレると原産性判断(CTC/RVC/加工工程条件)が根本から崩れます。
  • よくある落とし穴
    • 材料(鉄鉱石、フェロアロイ、鋼材)と最終品(例:鉄鋼製品=第73類)でHSが変わるのに、BOM上のHS付番が曖昧
    • “合金鋼”か否かの判定ミスで、PSRの番号レンジが変わる(例:72.10系と72.25系のように章内で規則が分かれるケースもあり得る)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意
    • 日本税関の原産地規則マニュアルでは、発効中EPAがHS2002/2007/2012/2017/2022のいずれを参照しているかが整理されています(例:RCEPは2023-01-01以降HS2022、〜2022-12-31はHS2012)。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • 協定の参照HS版に合わせてPSRを確認し、社内HS(HS2022)とは相関表/トランスポーズ資料で突合してから、最終判断を組み立てるのが安全です。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必要なデータ(例)
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS(少なくとも6桁)、RVC計算前提
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 仕入証憑(インボイス)、製造工程資料、MTC(成分証明)、製造指図書、原産地証明(第三者/自己申告)等を、協定の要求に沿って保存
    • 鉄鋼は材料が多段階(鉱石→原料→鋼材→製品)になりやすいので、工程と材料HSの紐付けを早めに行うのが実務上重要です。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022(改正相関表で確認できる範囲では)大きな新設/削除/分割/統合は見当たらず第72類(7201〜7229)日税関掲載のHS2022-HS2017相関表(改正対象の対応表)内で「720/721/722」系コードが検出できず、改正対象として掲示されていないことを確認HS6桁の体系は概ね継続と考えられるため、実務は“定義(類注)・形状/成分の判定”が中心。※国内細分や協定税率は別途改正あり得る

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料と判断:
    • 日本税関掲載の**HS2022-HS2017相関表(PDF)**は、HS改正で変更が生じた品目の“旧→新対応”を示す資料です。
    • そのPDFテキスト検索(720/721/722)で該当が見つからないため、第72類の6桁レベルの大きな再編(新設・分割・統合等)は、少なくとも相関表に掲示される形では確認できませんでした。
    • ただし、これは「HS6桁の体系変更がない可能性が高い」ことを示すもので、国内コード(日本の9桁細分)や関税率(EPA税率等)の改正、解釈通達の改正まで否定するものではありません。重要取引では、最新の実行関税率表・税関通達も併せて確認してください。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理
    (注:ここでは「相関表に掲載されるようなコード再編」を対象にしています。)
版の変更第72類(7201〜7229)に関する主な追加・削除・再編旧コード→新コードの例備考
HS2007→HS2012相関表上、720/721/722系の改正対象としての掲載は確認できず(対応不要の可能性が高い)相関表の該当検索結果に基づく
HS2012→HS2017同上(対応不要の可能性が高い)相関表の該当検索結果に基づく
HS2017→HS2022同上(対応不要の可能性が高い)HS2022-HS2017相関表の該当検索結果に基づく

※実務上は、HS6桁が変わらなくても、**国内コード(9桁)**やEPA税率表(協定参照HS版)で影響が出ることがあります。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「ステンレスではないのにSUS扱い」
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):ステンレス鋼の定義(Cr≥10.5%、C≤1.2%)の未確認
    • 起きやすい状況:商流で「SUS相当」と呼ぶが、実際は表面処理鋼板・低Cr材
    • 典型的な影響:修正申告、税率や協定適用の見直し、追加資料要求
    • 予防策:MTC必須、Cr/Cを“閾値チェック”する社内工程
  • 事例名(短く):「幅600mm扱いの見落とし(異形フラットロール)」
    • 誤りの内容:フラットロールの“非長方形=幅600mm以上扱い”規定の見落とし
    • 起きやすい状況:テーパー・異形カット材、穴あけ材
    • 典型的な影響:項の取り違え(7208/7211など)、統計・協定税率の齟齬
    • 予防策:形状図面+「他の項の特性の有無」を判定メモ化
  • 事例名(短く):「スクラップ(7204)と中古材の混同」
    • 誤りの内容:部注のスクラップ定義(使用不能)を満たさないのに7204で申告
    • 起きやすい状況:「スクラップ」として売買されるが、実は再使用可能材
    • 典型的な影響:分類否認、追加説明要求、検査強化・遅延
    • 予防策:写真、検収基準、用途(溶解原料)を事前に整備
  • 事例名(短く):「中空ドリル棒と鋼管(7304)の取り違え」
    • 誤りの内容:中空ドリル棒の寸法要件を確認せず、72⇔73を誤る
    • 起きやすい状況:中空棒=鋼管、と社内で一律処理
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、通関遅延
    • 予防策:外径・内径の図面提出を必須化、用途明記

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 鉄鋼そのものは一般に食品・動植物検疫の中心対象ではありませんが、**梱包材(木材)付着物(油・汚れ)**等が別観点で問題になることがあります(ここでは一般論として注意喚起)。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 通常は該当しません。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 特殊鋼・合金・粉末等は、用途・性能・仕様によりリスト規制の対象となる可能性があります。
    • METIは、該非判定で参照する「貨物のマトリクス表」等を案内しており、該当時は許可が必要としています。
    • また、リスト規制品は原則毎年改正されるため“最新法令で分類”する注意喚起があります。
  • その他の許認可・届出
    • 特殊関税(不当廉売関税等):対象品目・原産地の組合せで追加課税があり得ます。MOFは制度概要(AD duty)を説明しており、税関は課税中品目リストを公開しています。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 税関(特殊関税・課税中品目、分類相談)
    • METI(安全保障貿易管理:該非判定・許可)
    • MOF(不当廉売関税制度の概要)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書(寸法・形状)、MTC(成分)、工程図(熱間/冷間/めっき等)、用途説明
    • 規制が疑わしい場合:該非判定票、性能データ、エンドユーザー/用途確認書

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 材質(鋼種・成分%)、形状(板/棒/線/中空)、寸法(厚さ・幅・外径/内径)、巻取りの有無
    • 加工状態(熱間/冷間、めっき・塗装、クラッド、穴あけ、波形)
    • 用途(ドリル棒用途など、例外要件に関係するもの)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • ステンレス/合金鋼の閾値チェック(Cr 10.5%、Mn 1.65%等)
    • フラットロール定義(4.75mm、幅比、非長方形の600mm扱い)
    • 中空ドリル棒の寸法要件と、その他中空棒(7304)への飛び
    • parts of general use(第73類へ)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に「鋼種」「加工状態」「寸法」を入れる(例:electro-galvanized / hot-dip galvanized 等)
    • 写真・MTC・仕様書を添付できる状態にする
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS版を確認し、HS2022とのズレを相関資料で突合
    • BOMに“非原産材料HS6桁”を付番し、工程と紐付ける
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 特殊関税(不当廉売等)対象か:税関の課税中リストで確認
    • 安全保障貿易管理:該非判定が必要か、METIガイダンスで確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022:Section XV Notes(部注)(参照日:2026-02-26)
    • WCO HS Nomenclature 2022:Chapter 72 Iron and steel(参照日:2026-02-26)
    • WCO HS Nomenclature 2022:Chapter 73 Articles of iron or steel(参照日:2026-02-26)
  • 日本(税関・公的機関)のガイド
    • 税関:第72類 類注(実行関税率表:条文)PDF(参照日:2026-02-26)
    • 税関:関税率表の解釈に関する通則(GIR)PDF(参照日:2026-02-26)
    • 税関:関税率表解説・分類例規(ページ案内)(参照日:2026-02-26)
    • 税関:EPA 原産地規則マニュアル(協定参照HS版の整理を含む)PDF(参照日:2026-02-26)
    • 税関:RCEP 原産地規則 Implementing Guidelines(IG2:2023-01-01実施の改訂)PDF(参照日:2026-02-26)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • 上記「EPA 原産地規則マニュアル」および各協定の公式資料に基づき、協定ごとの参照HS版を確認(参照日:2026-02-26)
  • 規制・コンプライアンス
    • 経済産業省:安全保障貿易管理(Export Control/リスト規制)案内(参照日:2026-02-26)
    • 経済産業省:Security Export Control guidance(英語PDF、年次改正の注意喚起を含む)(参照日:2026-02-26)
    • 財務省:Anti-dumping Duty(制度概要:英語)(参照日:2026-02-26)
    • 税関:特殊関税制度/課税中の貨物・税率(案内)(参照日:2026-02-26)
  • 相関表(HS改正確認)
    • 税関:HS2022-HS2017 相関表PDF(参照日:2026-02-26)
    • 税関:HS2017-HS2012 相関表PDF(参照日:2026-02-26)
    • 税関:HS2012-HS2007 相関表PDF(参照日:2026-02-26)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • ①製品写真(全体・断面・表面)、②図面(寸法・公差)、③成分証明(MTC/分析表)、④製造工程(熱間/冷間、めっき等)、⑤用途説明、⑥比較対象(社内で迷っている候補コード)
    • 第72類は「定義(閾値)」が多いので、成分・寸法・加工状態が揃っていないと結論が出ません。特にステンレス/合金鋼判定(Cr、Mn、Si等)と、フラットロール判定(4.75mm・幅比・600mm扱い)は必須です。

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第71類:天然又は養殖の真珠、貴石、半貴石、貴金属及び貴金属を張った金属並びにこれらの製品、身辺用模造細貨類並びに貨幣(Natural or cultured pearls, precious or semi-precious stones, precious metals, metals clad with precious metal, and articles thereof; imitation jewellery; coin)

  • 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 真珠(天然/養殖。未加工・加工の別あり)…7101
    • ダイヤモンド(未枠・未セット)…7102
    • 合成/再生の貴石・半貴石(例:合成ダイヤ、キュービックジルコニア)…7104
    • 貴金属(銀・金・白金族)の地金・半製品・粉…7106/7108/7110
    • 貴金属(または貴金属を張った金属)のくず・回収目的のスクラップ…7112(ただし85.49除外に注意)
    • 宝飾品(貴金属製のジュエリー)…7113、模造アクセサリー…7117、貨幣…7118
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 電気・電子機器のくず(e-waste):たとえ貴金属回収目的でも、**85.49(8549)**側に寄り得ます(71.12は“85.49を除く”と明記)
    • ボタン(96.06)ヘアピン・ヘアスライド等(96.15):アクセサリーっぽく見えても「模造細貨類」から除外
    • 時計(第91類)、**楽器(第92類)**など:宝石付きでも“完成品としては別類”になりやすい(機械類・電気機器等も同様の除外が注で規定されます)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 素材は何か:真珠/宝石(天然か合成か)/貴金属(合金含む)/貴金属を張った金属/それ以外(模造)
    2. 「貴金属の合金」判定(2%ルール):白金・金・銀がそれぞれ全重量の2%以上かで合金として扱いが変わります
    3. スクラップの境界:7112(貴金属スクラップ) vs 8549(電気電子機器のくず)
  • この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面(例):
    • 貴金属スクラップ(税率・規制・廃棄物規制・検査負担が変わり得る)
    • 合成ダイヤ/天然ダイヤの取り違え(HS2022で7104側のダイヤ細分が増え、統計・規制の観点でも説明資料が求められやすい)
    • 「メッキ」なのか「貴金属を張った金属(clad)」なのか(見出しの適用が変わる)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(見出し+注):第71類は、注(特に「貴金属」「合金」「clad」「ジュエリー」「模造細貨類」の定義)で範囲が決まるため、品名だけで決めないのが鉄則です。
    • GIR6(6桁の分岐)
      • 「粉(powder)」の定義(0.5mmふるい90%以上通過)
      • 7110.11/7110.19の“白金”の扱い(Ptのみ)
      • 7110の合金の号決定(最も重量が大きい金属)
        など、6桁レベルで注が効きます。
    • GIR3(セット・複合品):真珠ネックレス(留め具あり)や宝飾セットなど、複数素材の組合せは「本質的特性(essential character)」で整理する場面があります(ただし注で明確に決まる場合は注優先)。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 材質:貴金属の含有(合金・メッキ・cladの別)/宝石が天然か合成か
    • 状態:未加工(unworked)・単純加工・加工済み(worked)/未枠・未セットか
    • 用途:装飾(ジュエリー)か、家庭用・宗教用等の「金銀細工品」か、回収目的のスクラップか
    • 形態:粉・塊(unwrought)・半製品(semi-manufactured)・完成品
      ※これらは見出しの語と注の定義で判断します。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:“そもそも第71類か”
    • 電気電子機器のくず(85.49)/ボタン(96.06)/ヘアピン等(96.15)など、別類が明確なものは先に除外候補を当てます。
  • Step2:素材を確定
    • 真珠(天然/養殖)/宝石(ダイヤ・その他)/合成・再生石/貴金属(銀・金・白金族)/clad/それ以外
  • Step3:“状態(未枠・未セット/未加工・加工)”を確定
    • 7101〜7104は「糸通し・取り付け・セット」を原則含まず、輸送の便宜のための一時的な糸通しは例外的に含む、という構造です。
  • Step4:製品類型を確定
    • スクラップ→7112(ただし85.49除外)
    • ジュエリー→7113(注9の定義)
    • 金銀細工品→7114(注10の定義)
    • その他の貴金属製品→7115
    • 宝石・真珠“製”の物品→7116
    • 模造細貨類→7117(注11の定義)
    • 貨幣→7118
  • Step5:**6桁の分岐(粉/合金/ダイヤ細分など)**へ
  • よく迷う境界(例)
    • 7112(貴金属スクラップ) vs 8549(e-waste):PCBや電子部品・回路基板を含む場合、85.49側の説明資料が必要になりやすい
    • 7113(貴金属ジュエリー) vs 7117(模造):貴金属が“本体材料”か、単なるメッキか/“clad”かで結論が変わります

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
7101真珠(天然/養殖)※原則未糸通し・未取付ルース真珠、養殖真珠(未加工/加工)永続的な糸通しは原則ここから外れやすい。一時的糸通し(輸送便宜)は含む。
7102ダイヤモンド(未枠・未セット)原石/単純加工ダイヤ、工業用ダイヤ粗ダイヤ(未加工・単純加工)はKPCS対象になり得る(規制面も要注意)。
7103ダイヤ以外の貴石・半貴石(天然)ルビー、サファイア、エメラルド、翡翠等取り付け・セット品は原則除外。
7104合成/再生の貴石・半貴石合成ダイヤ、CZ(キュービックジルコニア)、培養水晶HS2022で“合成ダイヤ”の細分が強化
7105貴石・半貴石のダスト/粉ダイヤ粉、研磨粉0.5mmふるい90%通過の「粉」定義は貴金属側の号注だが、粉体は性状説明が重要。
7106銀(地金・半製品・粉)銀地金、銀板・銀線、銀粉「粉」定義あり。銀は“金/白金メッキ銀”も含む見出し。
7107卑金属に銀を張ったもの(半製品まで)銀張り板/線材(clad)“clad”は機械的方法で被覆(メッキとは別)。
7108金(地金・半製品・粉/非貨幣用・貨幣用)金地金、金粉、金線、monetary gold「非貨幣用/貨幣用」で分岐。
7109卑金属又は銀に金を張ったもの(半製品まで)金張り(clad)材“clad”の該当性が鍵。
7110白金(=白金族)※地金・半製品・粉Pt/Pd/Rh等の地金・粉ただし7110.11/7110.19はPtのみ(号注で限定)。
7111卑金属等に白金を張ったもの(半製品まで)Pt張り材(clad)“clad”の該当性が鍵。
7112貴金属(clad含む)のくず、回収目的のくず貴金属スクラップ、灰、回収用くずこの項に該当する物品は原則ここに専属(注8)。ただし85.49除外に注意。
7113宝飾品(ジュエリー)と部分品(貴金属・clad)指輪、ネックレス、ブローチ等注9の定義が根拠。ポケット用品(シガーケース等)も含み得る。
7114金銀細工品(家庭用・宗教用等)と部分品銀食器、宗教用品、装飾品など注10の定義が根拠。
7115その他の貴金属製品(clad含む)Pt網状触媒、工業用部材7115.10はPt網状触媒(wire cloth/grill)。他は“その他”。
7116真珠・宝石“製”の物品真珠の置物、翡翠の彫刻、宝石製品宝飾金属の有無・程度、用途で7113/7116等が分岐し得る。
7117身辺用模造細貨類(模造ジュエリー)コスチュームジュエリー、金メッキアクセ真珠・宝石・貴金属(clad含む)は原則不可。ただしメッキさ細な部分は可。
7118貨幣コイン7118.10は“金貨以外”かつ“法定通貨でない”など、要件確認。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(よく効くもの)
    • 天然か養殖か/天然か合成・再生か(7101〜7104で中核)
    • 未加工(unworked)/単純加工/加工(worked)(特に7101・7102)
    • 粉の定義:0.5mmふるいに90%以上通過=「粉/粉状」
    • 白金族の扱い
      • 「白金(platinum)」は原則“白金族”を含む
      • ただし 7110.11/7110.19 では “白金(Pt)に限定”
    • 71.10(白金族)の合金:Pt/Pd/Rh/Ir/Os/Ruのうち重量最大の金属の号
    • 71.12(スクラップ)
      • 見出し上、85.49を除く(e-wasteは85.49側へ)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組)
    1. 7104.21 / 7104.29(合成・再生石:未加工等)
      • どこで分かれるか:ダイヤモンド(合成・再生)か、それ以外か
      • 判断に必要な情報:材質証明(合成ダイヤか)、製法/鑑別書、用途説明
      • 典型的な誤り:合成ダイヤを“その他(Other)”に寄せてしまう
    2. 7104.91 / 7104.99(合成・再生石:その他)
      • どこで分かれるか:同様にダイヤか否か
      • 判断に必要な情報:カット済か、グレーディング有無、鑑別書
      • 典型的な誤り:加工度の説明不足で“Other”に流れる
    3. 7112(貴金属スクラップ) / 8549(電気電子機器のくず)
      • どこで分かれるか:対象が電気・電子機器のくずとして整理される性状か(回路基板、電子部品、電池等の混在など)
      • 判断に必要な情報:写真、混在物リスト、前処理工程、回収工程(どの工程で何を回収するか)
      • 典型的な誤り:「金が入っているから7112」と短絡
    4. 7110.11/7110.19(Pt) / 7110.21以降(Pd等)
      • どこで分かれるか:Ptなのか、Pd/Rh等なのか(さらに粉か否か等)
      • 判断に必要な情報:成分分析(ICP等)、ミルシート、MSDS
      • 典型的な誤り:注4(B)の“白金=白金族”だけを見て、7110.11/7110.19にPd等を入れてしまう(実際は号注でPt限定)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第71類の注8は「71.12に該当する物品は、原則として71.12に専属」としたうえで、第6部注1(A)を例外として参照しています。
    • また、日本の分類例規では、第71類内で使う「棒・形材・板・シート・ストリップ」の定義を、第15部注9の定義に寄せています(形状説明の統一)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 71.12(スクラップ)を主張するなら:「回収目的」「くず(scrap)としての性状」「混在物」を、写真・工程図で説明できるようにしておく(e-wasteとの境界で必須)。
    • 地金・半製品の形状(板・線・棒など)を説明する際は、用語の定義を揃えて記載すると、税関照会対応が早くなります。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 71.12に見えても、電気電子機器のくずとして整理されるなら85.49へ(見出し側で明示的に除外)。
    • (例外として参照される)第6部注1(A)は、28.44/28.45に該当する物品は同項に専属、という趣旨です(レアケースですが、注の“優先関係”として押さえる価値があります)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約(実務で特に使うもの):
    • 注5:合金の2%ルール(白金/金/銀のどれを“貴金属合金”として扱うか)
    • 注6:貴金属の参照には合金を含むが、cladやメッキは含まない(文脈による例外はあり得る)
    • 注7:clad(金属を張った金属)の定義(はんだ付け・ろう付け・溶接・熱間圧延などの機械的方法。象眼も含む)
    • 注8:71.12は専属(ただし第6部注1(A)の例外参照あり)
    • 注9:71.13の「身辺用細貨類(ジュエリー)」の定義(小型装飾品+携帯用品)
    • 注10:71.14の「金銀細工品」の定義(家庭用・事務用・宗教用等)
    • 注11:71.17の「身辺用模造細貨類」の定義(真珠・宝石・貴金属/cladは原則不可、ただしメッキやさ細な部分は可。96.06/96.15除外)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「粉/粉状」:0.5mmふるい90%以上通過
    • 「白金(platinum)」:原則は白金族を含むが、7110.11/7110.19はPtに限定
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 71.12は「85.49を除く」と明記(電気電子機器のくずは85.49へ)。
    • 模造細貨類の定義から、ボタン(96.06)・ヘアアクセ等(96.15)を除外。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:2%ルール(合金が貴金属扱いになるか)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):成分%(重量比)、主成分金属、合金種別
    • 現場で集める証憑:ミルシート、成分分析表(ICP)、MSDS、購入仕様書
    • 誤分類の典型:金含有1.9%の合金を“金合金(貴金属)”扱いにしてしまう/逆に2%超を卑金属側にしてしまう
  • 影響ポイント2:clad(金張り等) vs メッキ(plated)
    • 何を見れば判断できるか:製造方法(熱間圧延等で張り合わせか、電気めっき等か)、断面構造
    • 現場で集める証憑:製造工程図、断面写真、仕様書(cladの表示)、表面処理情報
    • 誤分類の典型:「金メッキ=金張り(clad)」と誤解して、7109/7111/7113.20等に寄せてしまう
  • 影響ポイント3:スクラップ(7112)専属性+e-waste除外
    • 何を見れば判断できるか:貨物が「貴金属のくず」か「電気電子機器のくず」か(混在物・形態・回収工程)
    • 現場で集める証憑:写真、混合リスト、前処理工程、回収工程(回収対象金属)
    • 誤分類の典型:「貴金属回収用だから7112」として、回路基板・電子部品混在のe-wasteを見落とす
  • 影響ポイント4:“模造細貨類(7117)”の定義
    • 何を見れば判断できるか:真珠・宝石・貴金属/cladの使用有無、使用している場合は「メッキ/さ細な部分」に留まるか
    • 現場で集める証憑:材質表、めっき仕様、部品表(留め具等)、写真
    • 誤分類の典型:金メッキアクセを7113へ/逆に、貴金属部材が実質的に主要部分なのに7117へ

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:「金メッキのアクセサリー」を7113(貴金属ジュエリー)にする
    • なぜ起きる:品名に“gold”が入る、外観が金色、で短絡
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):模造細貨類は、貴金属は原則不可だがメッキは許容され得る、という定義がある一方、7113は“貴金属又はclad”が前提です。まず“cladか/メッキか”“貴金属が主要部材か”を確定します。
    • 予防策:めっき仕様(方法・厚み・下地材)、主要材質、部品表(留め具の材質)を社内から回収
  2. 間違い:貴金属含有合金を、卑金属側(第15部など)に寄せる(または逆)
    • なぜ起きる:合金の“少量含有”を見落とす/成分表がない
    • 正しい考え方:2%ルールで“貴金属合金”扱いが決まります(白金→金→銀の整理も含む)。
    • 予防策:成分表(重量%)の入手を輸入前の必須条件にする(ICP等の検査結果でも可)
  3. 間違い:合成ダイヤを天然ダイヤ(7102)側にしてしまう
    • なぜ起きる:鑑別情報がない/“ダイヤ”という商品名だけで処理
    • 正しい考え方:合成・再生石は7104で、HS2022では7104内で“ダイヤ”が明確に細分されています。
    • 予防策:鑑別書(天然/合成)、製法・仕入先証明、カット状態の説明を準備
  4. 間違い:貴金属スクラップ(7112)に見えるe-wasteを、7112で申告する
    • なぜ起きる:回収対象が金・銀だから、という先入観
    • 正しい考え方:71.12は85.49を除外しており、e-wasteとして整理されるなら85.49へ寄り得ます。HS2022で85.49が新設され、バーゼル条約との整合・モニタリング容易化の趣旨が示されています。
    • 予防策:回路基板・電池・電子部品の有無、混在割合、前処理工程をインボイス添付資料で説明
  5. 間違い:白金族(PGM)の地金を、7110.11(Pt)にまとめてしまう
    • なぜ起きる:「白金=白金族」という理解だけで、号注を見落とす
    • 正しい考え方:7110.11/7110.19の“platinum”はPtに限定される旨が号注で規定されています。
    • 予防策:元素別の分析結果を取得し、Pt/Pd/Rh等を分けて申告できるようにする
  6. 間違い:「ジュエリー」か「金銀細工品」かを曖昧にして7113/7114を誤る
    • なぜ起きる:用途(装飾/家庭用/宗教用)の説明不足
    • 正しい考え方:注9(ジュエリー)と注10(金銀細工品)の定義に沿って、品目の性格を説明します。
    • 予防策:用途カタログ、販売形態(贈答/装飾/食卓用品等)、寸法・形状写真を準備
  7. 間違い:模造細貨類の除外(96.06/96.15)を見落とす
    • なぜ起きる:「アクセサリーは全部7117」と思い込む
    • 正しい考え方:模造細貨類の定義は96.06・96.15の物品を除外します。
    • 予防策:品名を“button / hairpin”等の機能語で分類し直し、除外先の見出しを先に確認

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。第71類は素材・加工度・セットでコードが動きやすく、誤ると原産性判断(CTC/RVCなど)の前提が崩れます。
  • よくある落とし穴
    • **最終製品のHS(例:7113)**は合っているが、材料側(例:7108/7110/7104)のHSが曖昧
    • セット・複合品で「本質的特性」を整理できていない(相手国でHSが変わるリスク)
    • そもそも輸入国でのHSが日本と一致しない(EPA相談デスクでも“輸入国でのHS確認”が強調されています)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定により参照HS版が異なります(例:CPTPP=HS2012、日EU・EPA=HS2017、RCEP=HS2022)。
  • HS2022(現在の付番)で社内管理していても、PSRは旧版で書かれていることがあるため、協定が参照するHS版に合わせて読み替える必要があります(旧→新の対応は相関表で確認)。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 証明書類・保存要件(一般論):インボイス、製造記録、仕入書、鑑別書(宝石)など、HSの根拠資料を保存しておくと、検認対応が早いです。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022分割(細分新設)7104.20 → 7104.21/7104.29合成・再生石のうち、合成ダイヤを独立細分合成ダイヤの鑑別・説明が重要に(“ダイヤか否か”で6桁が変わる)
HS2017→HS2022分割(細分新設)7104.90 → 7104.91/7104.997104内の“ダイヤ”を独立細分同上(加工品でも“ダイヤ”判定が必要)
HS2017→HS2022範囲変更(除外明記)711271.12の見出しに**「85.49を除く」**が明記スクラップ案件でe-waste(85.49)との境界説明が必須
HS2017→HS2022新設(他章)85.49(8549)電気電子機器のくずを分類する項を新設(バーゼル条約との整合等の趣旨が示される)旧来7112等で扱われがちだった案件が85.49へ動き得る

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 7104の細分新設は、HS2022↔HS2017の相関表で「7104.20の細分」「7104.90の細分」として示されています。
  • 71.12の見出し自体に「other than goods of heading 85.49」が入っているため、HS2022では“71.12に見えるものでも、電気電子機器のくずとして整理されるなら85.49へ”という整理がしやすくなっています。
  • 85.49新設の背景として、日本税関のHS2022概要資料で、バーゼル条約で規制する廃棄物とHSコードを整合させ、モニタリングを容易化する趣旨が説明されています。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第71類について、入手できる相関表(HS2012↔HS2007、HS2017↔HS2012)を確認した範囲では、第71類に関する大きな改正項目(新設・削除・再編)が相関表上に示されていませんでした。したがって、主要な改正は **HS2017→HS2022(7104細分、7112の85.49除外など)**が中心と整理できます。

改正の流れ主要な追加・削除・再編(第71類)旧コード→新コード(代表)備考
HS2007→HS2012相関表上、主要改正の掲載なし(第71類)相関表に第71類の改正行が見当たらないため、「主要改正なし」と整理
HS2012→HS2017相関表上、主要改正の掲載なし(第71類)同上
HS2017→HS20227104の細分新設、7112の85.49除外明記7104.20→7104.21/7104.29 等85.49新設(他章)も境界に影響

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):金メッキアクセの「貴金属ジュエリー」申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):7113(貴金属)として申告したが、実態は7117(模造)相当(メッキ・さ細な部分の扱い誤り)
    • 起きやすい状況:商品名に“gold”が入る、EC輸入で仕様不明
    • 典型的な影響:修正申告、課税価格確認、検査強化
    • 予防策:めっき仕様・材質表・部品表の提出準備
  • 事例名:回路基板スクラップを7112で申告
    • 誤りの内容:71.12は85.49を除外。e-wasteに該当し得るのに7112で整理
    • 起きやすい状況:金回収目的、混在物の説明不足
    • 典型的な影響:品目変更、廃棄物該当性照会、通関遅延
    • 予防策:混在リスト、工程図、写真を準備し「85.49か否か」を説明
  • 事例名:合成ダイヤを天然ダイヤ(7102)扱い
    • 誤りの内容:天然/合成の取り違え(7102↔7104)
    • 起きやすい状況:鑑別書なし、サンプル輸入
    • 典型的な影響:再鑑別要求、分類変更、原産地規則の再計算
    • 予防策:鑑別書、仕入先の声明、製法情報を保管
  • 事例名:CITES素材(例:象牙・べっ甲・サンゴ)混在の宝飾品
    • 誤りの内容:HSは第71類でも、別途CITES手続が必要になり得る(許可書の未整備)
    • 起きやすい状況:アンティーク、素材の学名不明
    • 典型的な影響:差止め、返送・没収リスク、遅延
    • 予防策:学名、原産地、条約適用前取得の証憑などを事前に確認(輸出国側許可の可否も含む)

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 第71類そのものは食品・植物検疫の中心ではありませんが、“自然由来素材”(例:動植物由来の装飾素材)を含む場合、CITESや国内法が絡みます。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • べっ甲・象牙・サンゴ等、対象種・派生品はCITESの規制対象になり得ます。輸出ではMETIの輸出承認とCITES輸出許可書が必要とされる旨が整理されています。
    • 輸入でも、輸出国側の許可書(再輸出証明書を含む)の取得可否を事前確認し、インボイスに学術名等を記載して税関が対象外であることを確認しやすくする、という実務上の注意が示されています。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 第71類の多くは一般品ですが、**粗ダイヤ(7102の一部)**は外為法に基づく手続が必要で、キンバリー・プロセス証明制度(KPCS)に沿った要件(証明書、密封容器、非参加国との取引禁止等)が明示されています。
    • さらに、政策措置により船積地域・原産地で輸入禁止等が追加されることがあるため、METI公表情報の最新確認が必要です。
  • その他の許認可・届出
    • **廃棄物(スクラップ)**は、85.49新設の背景にバーゼル条約との整合が示されているため、国際移動(輸出入)では廃棄物該当性・規制の有無を別途確認するのが安全です。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
    • METI(ダイヤモンド原石/CITES)
    • 環境省(CITES・種の保存法)
    • 税関(分類・HS改正資料)
  • 実務での準備物(一般論)
    • 宝石:鑑別書、仕様書、写真
    • 貴金属:成分分析、ミルシート、製造工程
    • スクラップ:混在物リスト、前処理工程、回収工程図、写真
    • 規制品:許可書(CITES/KPCS等)、契約書、輸出入関連書類

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 材質(天然/合成、貴金属含有%、メッキ/cladの別)
    • 状態(未加工/加工、未枠/未セット、糸通しの有無)
    • 用途(ジュエリー/金銀細工品/工業用/回収目的)
    • 形態(粉・塊・半製品・スクラップ)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 2%ルール、clad定義、模造細貨類の定義(96.06/96.15除外含む)
    • 71.12か85.49か(e-waste該当性)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • “diamond(天然/合成)”“plated/clad”など、誤解を招く単語は定義を補足(仕様書・鑑別書添付)
    • スクラップは混在物・工程を具体化
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS版(CPTPP/日EU/RCEPなど)を確認
    • 材料HS・工程の根拠資料を保存
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 粗ダイヤ:KPCS(証明書・密封・参加国間取引等)
    • CITES:対象種の確認、許可書の取得可否、学名の明記

12. 参考資料(出典)

  • WCO:HS2022 Nomenclature(Chapter 71)※参照日:2026-02-26
  • 日本税関:関税率表解説 第71類(71r)/分類例規(71rd)※参照日:2026-02-26
  • WCO:HS2022 Nomenclature(Chapter 85:85.49)※参照日:2026-02-26
  • 日本税関:HS2022改正概要資料(85.49新設の趣旨等)※参照日:2026-02-26
  • 相関表(HS2022↔HS2017、HS2017↔HS2012、HS2012↔HS2007)※参照日:2026-02-26
  • METI:ダイヤモンド原石の輸出入管理(KPCS)/輸出手続 ※参照日:2026-02-26
  • Kimberley Process(business向け要件説明)※参照日:2026-02-26
  • 環境省:ワシントン条約と種の保存法 ※参照日:2026-02-26
  • METI:CITES輸出承認、対象種の調べ方 ※参照日:2026-02-26
  • EPA相談デスク:協定ごとの参照HS版(CPTPP/日EU/RCEP等)、HS確認の注意 ※参照日:2026-02-26

【査読結果:旧稿からの主な修正点(どこをどう変えたか)】

対象箇所旧稿→新稿での修正内容根拠(出所)
7章(HS改正差分)HS2022の第71類改正点に「7104のダイヤ細分(7104.21/29、7104.91/99)」を追加し、旧稿の“改正点の抜け/曖昧さ”を解消HS2022↔HS2017相関表、HS2022章71見出し
0章・2章(境界整理)7112と85.49(8549)の境界を、見出し上の「85.49除外」+章85の定義で明確化。旧稿よりも「どんな貨物が85.49に寄るか」を具体化WCO章71(71.12 “other than 85.49”)、WCO章85(85.49)、税関HS2022概要
3章・4章(注の精度)「粉」「白金(Pt限定)」「模造細貨類の例外(メッキ/さ細な部分)」を、WCO条文と日本税関解説の両方で整合させて記述を精緻化WCO章71注・号注、税関71r
10章(規制)粗ダイヤ(7102の一部)について、KPCSの要件(証明書・密封・非参加国取引禁止)と日本の手続をMETI一次情報で補強(旧稿より根拠を明確化)METI、Kimberley Process
表記・体裁旧稿に含まれていた生のURL表記を廃止し、出典は本文末の参考資料+本文中の根拠提示(引用最小化)に統一。文体をです・ます調で統一し、冗長箇所を整理(体裁修正のため出所というより編集方針)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第70類:ガラス及びその製品(Glass and glassware)実務向け整理

用語は次のとおり統一します。**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**です。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 板ガラス(未加工):フロート板ガラス、引き板ガラス、ロール板ガラス(7003〜7005)
    • 板ガラス(加工済):曲げ・面取り・穴あけ・印刷等をした板ガラス(ただし枠なし等の要件あり)(7006)
    • 安全ガラス:強化(tempered)または合わせ(laminated)ガラス(7007)
    • ガラス容器(梱包・運搬用):瓶、ジャー、アンプル、栓・蓋等(7010)
    • 食器・台所用・室内装飾用ガラス製品(7013)
    • ガラス繊維・グラスウールとその製品(7019)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • ガラスフリット、釉薬、ガラス粉等 → 3207(第32類)
    • 模造宝飾(アクセサリー完成品) → 第71類(例:7117)
    • 光ファイバーケーブル → 8544(第85類)
    • 電気用碍子・絶縁物品 → 8546/8547(第85類)
    • 車両等(第86〜88類)用の窓で、枠付き/加熱等の電気・電子装置を内蔵するもの → 車両等の部分品側へ(例:自動車は8708.22等)
    • 光学的に加工されたガラスの光学要素(レンズ等) → 第90類(例:9001)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 板ガラスの状態:未加工(7003〜7005)か、加工(7006)か、安全ガラス(7007)か
    2. 容器の性格:運搬・梱包用(7010)か、食卓・台所等の用途(7013)か
    3. グラスウール判定:化学組成が「注」で定義され、7019か6806かが分かれる
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **自動車用の窓(枠付き/熱線・センサー等内蔵)**は、HS2022改正で境界が明確化されており、誤ると「第70類の安全ガラス」ではなく「第87類の部分品」になり得ます。
    • ガラス繊維(7019)の細分はHS2022で大きく組み替えられており、統計・関税・PSR(原産地規則)に影響しやすいです。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+注で決める)が中心です。第70類は、注(Notes)に「この類に入らないもの(除外)」や、“worked(加工)”の扱い“glass wool(グラスウール)”の定義“lead crystal(鉛クリスタル)”の定義が明確に置かれており、まず注から当てにいくのが安全です。
    • **GIR6(号=6桁の選択)**では、たとえば安全ガラスの「強化/合わせ」、板ガラスの「製法(ロール/引き/フロート)」「被膜(反射等)有無」、ガラス繊維の「結合方法(機械的/化学的)」「織物の開口・密閉」等の分岐が効きます。
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 状態(未加工/加工/安全ガラス)形状(シート・棒・管・成形品)組込み部材(枠付き、他材と一体)用途(梱包用容器か、食卓用品か、車両部品か)、**技術特性(熱膨張係数、PbO含有、グラスウールの化学組成)**が分岐点です。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:材質が「ガラス」か確認
    • 「ガラス」には溶融石英(fused quartz)やその他溶融シリカも含む扱いです。
    • ガラス繊維/グラスウールの可能性があるなら、まず7019を疑います。
  • Step2:“どの形・状態か”で項(4桁)を当てる
    • スクラップ・カレット → 7001(ただしCRT由来等は別)
    • 棒・管・球 → 7002
    • 板ガラス(未加工)→ 7003〜7005(製法で分岐)
    • 板ガラス(加工)→ 7006(枠なし等)
    • 安全ガラス → 7007
    • 複層ガラスユニット → 7008
    • 鏡 → 7009
    • びん・容器(梱包用)→ 7010
    • ランプ用ガラスバルブ等 → 7011
    • 食器・装飾等 → 7013
    • 信号用ガラス/光学要素(非光学加工)→ 7014・7015
    • 建材ガラスブロック等 → 7016
    • 実験・衛生・薬用ガラス器具 → 7017
    • ガラスビーズ等 → 7018
    • ガラス繊維・グラスウール → 7019
    • その他 → 7020
  • Step3:除外(他類へ飛ぶ)チェック
    • 車両用窓(枠付き/熱線等内蔵)や光学加工品などは、第70類注で除外されます。
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第70類(安全ガラス7007) vs 第87類(自動車部分品8708.22等):枠付きか/加熱・電気電子装置内蔵かが大きい。
    • 第70類(グラスウール7019) vs 第68類(鉱物性ウール6806):化学組成で決まる。
    • 第70類(光学要素“非光学加工”7014/7015) vs 第90類(光学加工済9001等):研磨・研削等の光学加工の有無。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:
    • 第70類は4桁見出しが比較的少ないため、原則として全列挙します(実務での入口表として)。
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
7001ガラスのくず・スクラップ、カレット、塊状ガラスカレット、ガラス塊HS2022ではCRT由来等の「活性化ガラス」を除外(→85.49へ)
7002未加工のガラス球・棒・管石英ガラス管、低膨張ガラス管管は溶融石英/低膨張/その他で分岐(係数条件あり)
7003鋳造・圧延(ロール)ガラス(板・形材)、未加工ロール板ガラス、型板ガラス未加工が前提(加工すると7006等)
7004引き・吹きガラス(板)、未加工引き板ガラス同上(加工すると7006等)
7005フロート板ガラス・研磨板ガラス(板)、未加工フロートガラス、表面研磨ガラス反射/吸収等の薄膜コートは7005側で扱うことが多い(“worked”とは別概念)
70067003〜7005のガラスを曲げ・面取り・穴あけ・印刷等「加工」したもの(枠なし等)面取りガラス、穴あけ済ガラス板枠付き・他材と一体は別検討。注3で「物品の性格があっても7006に留まる」
7007安全ガラス(強化または合わせ)強化ガラス、合わせガラス車両用窓でも「枠なし・電装なし」なら7007に残る場面あり
7008複層ガラスユニットペアガラス(複層ガラス)ユニット化(複層・中空)で7008
7009ガラス鏡鏡、バックミラー用鏡車両用バックミラーは7009.10系
7010ガラス製の容器(運搬・梱包用)、保存瓶、栓等びん、ジャー、アンプル、栓梱包・運搬用かが鍵。食器用途は7013に寄ることあり
7011電球等のガラス球・管(取付具なし)電球バルブ、蛍光管用ガラス“電球用”など用途が見出しにある
7012(空番)HS上は[70.12]として表示(実務的には使用しない番号)
7013食卓・台所・化粧室・事務・室内装飾等のガラス製品グラス、皿、花瓶**鉛クリスタル(PbO 24%以上)**の定義あり
7014信号用ガラス製品、光学要素(非光学加工)反射板用ガラス部材等光学加工済は第90類へ
7015時計用ガラス、眼鏡用ガラス等(非光学加工)腕時計風防、眼鏡レンズ素材矯正用は7015.10(ただし光学加工の有無を確認)
7016ガラスブロック等の建材、ステンドグラス等、発泡ガラス等ガラスブロック、ステンドグラス建築用途の成形ガラスが中心
7017実験・衛生・薬用のガラス器具ビーカー、試験管石英・低膨張・その他で分岐
7018ガラスビーズ、ガラスマイクロスフィア等ビーズ、ガラス玉模造宝飾(完成アクセ)なら第71類へ
7019ガラス繊維(グラスウール含む)と製品ガラスクロス、マット、断熱材HS2022で細分大幅変更(結合方法等で分岐)
7020その他のガラス製品工業用ガラス部品、ガラス製雑品まず「より具体的な項がないか」を再確認

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(例):
    • 7002(ガラス管)
      • 溶融石英・溶融シリカか(7002.31)
      • 低膨張ガラスか(線膨張係数が一定条件以下)(7002.32)
      • その他(7002.39)
        ※係数条件は見出しに明示されています。
    • 7003/7004/7005(板ガラス)
      • 製法(ロール/引き・吹き/フロート)で項が変わる
      • 「吸収・反射・無反射層(薄膜)」の有無で号が変わり得る
      • 切断して形を整えただけでは“加工(worked)扱いにならない”(注2)
    • 7007(安全ガラス):強化か合わせか、さらに車両等への組込み適性で分岐
    • 7013(食器等):鉛クリスタルか否か(PbO 24%以上)、飲用グラスの類型など
    • 7018(ガラス小物):マイクロスフィア(直径1mm以下)か否か
    • 7019(ガラス繊維):HS2022では「機械的に結合」「化学的に結合」「織物の開口/密閉」「グラスウール」等で細分
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 7005(未加工のフロート等) vs 7006(加工済の板ガラス)
      • どこで分かれるか:面取り、穴あけ、曲げ、印刷、エナメル等の“加工”があるか。ただし「焼鈍前の工程」や「切断して形状にしただけ」は原則“未加工”側に残り得ます(注2)。
      • 判断に必要な情報:加工工程表、外観写真(端面処理)、図面(穴位置)、表面処理(印刷・エッチング)有無
      • 典型的な誤り:単に「カット済み」=加工品として7006に寄せてしまう
    2. 7006(加工板) vs 7007(安全ガラス)
      • どこで分かれるか:**強化(tempered)または合わせ(laminated)**の有無。安全ガラスは7007です。
      • 判断に必要な情報:強化(化学強化/熱強化)仕様、合わせ構造(中間膜)仕様
      • 典型的な誤り:スマホ用カバーガラス等を「加工板」として7006にしてしまう(実務上は7007に寄りやすい)。日本税関の分類事例でも、化学強化したカバーガラスは7007側で整理されています。
    3. 7010(梱包用容器) vs 7013(食器・装飾品)
      • どこで分かれるか:「運搬・梱包に使う種類の容器」か、「食卓・台所等の用に供するガラス製品」か。
      • 判断に必要な情報:取引実態(中身入りで輸入か、空瓶か)、流通形態(包装資材として供給か)、製品カタログの用途説明
      • 典型的な誤り:ジャム瓶・化粧品瓶を「食器っぽい」見た目だけで7013へ
    4. 7019(グラスウール) vs 6806(その他鉱物性ウール)
      • どこで分かれるか:注で「グラスウール」の**化学組成(SiO2、アルカリ酸化物、B2O3)**が定義され、満たさない場合は6806へ、というルールです。
      • 判断に必要な情報:成分表、SDS、試験成績(SiO2%、Na2O/K2O%、B2O3%)
      • 典型的な誤り:断熱材=全部「グラスウール」扱いにして7019へ
    5. 7007(安全ガラス) vs 車両等の部分品(例:8708.22)
      • どこで分かれるか:枠付きか、または加熱装置その他の電気的・電子的装置を内蔵しているか(対象:第86〜88類用の窓)。HS2022で境界明確化。
      • 判断に必要な情報:枠の有無(同梱か一体か)、熱線・アンテナ・センサー等の内蔵有無、専用設計(車種/型式)
      • 典型的な誤り:車載用窓を一律に7007へ(枠付きや電装内蔵は除外され得る)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第13部(石・陶磁・ガラス等)には、少なくとも第70類の実務で必須となる“強い部注”は一般に多くありません(分類の主戦場は第70類注です)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • ガラス繊維は「繊維」でも、一般の紡織用繊維(第11部)ではなく、第70類7019で扱うのが大枠です。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 典型は第70類注1の除外(次項)です。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1:除外規定(3207、71類、8544/8546/8547、車両等窓、90類、9405、95類、96類など)
    • 注2:7003〜7005の“加工(worked)”の考え方
      • 焼鈍前工程は“加工”とみなさない
      • 切断して形状にしても分類は変わらない
      • 反射等の層は「微細な薄膜コーティング」の概念
    • 注3:7006の位置づけ(“物品の性格”があっても7006に留まる)
    • 注4:7019の“グラスウール”定義(SiO2等の数値基準。満たさない鉱物性ウールは6806)
    • 注5:「ガラス」には溶融石英等も含む
    • 号注:鉛クリスタル(PbO 24%以上)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • **glass wool(グラスウール)**の定義(SiO2/アルカリ酸化物/B2O3)
    • **lead crystal(鉛クリスタル)**の定義(PbO 24%以上)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 3207(ガラスフリット等)、第71類(模造宝飾等)、8544/8546/8547(電気関係)、車両等用窓は車両等の部分品、90類(光学加工・医療等)、9405(照明器具)、95類(玩具等)、96類(ボタン等)。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:車両等の窓(枠付き/電装内蔵)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 枠(フレーム)の有無、熱線・アンテナ・センサー等の有無、用途(第86〜88類用か)
    • 現場で集める証憑:
      • 図面(断面)、構成部材表、車種適合表、配線仕様書、写真
    • 誤分類の典型:
      • 「安全ガラスだから7007」と短絡し、枠付き・電装内蔵の除外を見落とす
  • 影響ポイント2:板ガラスの“加工(worked)”判定(7003〜7006)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 焼鈍前工程か、切断のみか、端面加工・穴あけ・印刷等があるか
    • 現場で集める証憑:
      • 工程表、加工図、端面写真、検査基準書
    • 誤分類の典型:
      • 「カット品=加工品」と誤解して7006へ。注2で“切断は分類に影響しない”とされている点が落とし穴です。
  • 影響ポイント3:グラスウール(7019)か、鉱物性ウール(6806)か
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • SiO2%、Na2O/K2O%、B2O3%(注4の閾値)
    • 現場で集める証憑:
      • SDS、分析成績書、原料配合表
    • 誤分類の典型:
      • 断熱材の商流名(グラスウール/ロックウール等)だけで決める
  • 影響ポイント4:鉛クリスタル(7013)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • PbO(酸化鉛)含有率が24%以上か
    • 現場で集める証憑:
      • メーカー成分証明、材料仕様書
    • 誤分類の典型:
      • 高級グラス=鉛クリスタルと決めつける(実際は鉛を含まないクリスタルガラスもある)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:フロート板ガラスに反射膜があるだけで7006(加工)にしてしまう
    • なぜ起きる:コーティング=加工、という言葉感覚で判断してしまう
    • 正しい考え方:注2では「吸収・反射・無反射層」を微細薄膜として定義しており、“未加工の板ガラス”の見出し側(例:7005.10等)で扱う設計がある
    • 予防策:コートの種類(薄膜か厚膜か)、他の加工(穴あけ等)の有無を工程表で確認
  2. 間違い:切断して形状を出した板ガラスを7006にする
    • なぜ起きる:「形がある=加工品」と捉えがち
    • 正しい考え方:注2で切断は分類に影響しない旨が示される
    • 予防策:端面加工・穴あけ・曲げ等の“加工”が本当にあるか、加工図で確認
  3. 間違い:化学強化ガラス(例:スマホ用カバーガラス)を7006にする
    • なぜ起きる:「ガラス板の加工品」視点で止まる
    • 正しい考え方:強化等により安全ガラスに該当し得るため7007を優先検討。税関の分類事例でもカバーガラスが7007整理になっています
    • 予防策:強化方法(化学/熱)と目的(破損時安全性等)を仕様書で確認
  4. 間違い:車両用の窓(枠付き、または熱線内蔵)を7007のまま申告
    • なぜ起きる:「安全ガラス=7007」の固定観念
    • 正しい考え方:HS2022で、車両等用の窓は条件により第70類から除外され、車両の部分品(例:8708.22)に寄せる設計が明確化
    • 予防策:枠の有無・電装内蔵の有無を輸入前に必ず確認(図面・配線)
  5. 間違い:瓶・ジャーを7013(食器類)にする
    • なぜ起きる:形状が「容器」なので食器と混同
    • 正しい考え方:7010は「運搬・梱包用の種類の容器」。取引実態(中身入りの包装材か)で7010が優先されやすい
    • 予防策:用途(充填・輸送)と流通(包装資材)をインボイス品名・仕様書で明確化
  6. 間違い:ガラス繊維の織物を“旧コード感覚(7019.40等)”で書類・BOMに残したまま運用
    • なぜ起きる:社内マスターがHS2017のまま、HS2022への更新が遅れる
    • 正しい考え方:HS2022で7019の号体系が変更され、織物やマット等が結合方法等で細分化された
    • 予防策:HS版(2017/2022)を明記したマスター管理、相関表で移行
  7. 間違い:ガラスビーズを通したネックレス等を7018にする
    • なぜ起きる:素材がガラスなので“ガラス小物”へ寄せる
    • 正しい考え方:完成した模造宝飾は第71類(例:7117)に寄るのが基本
    • 予防策:完成品(装着用)か、素材(ビーズ単体)かを区別
  8. 間違い:光学レンズ(研磨済)を7014/7015へ
    • なぜ起きる:「光学要素」という語に引っ張られる
    • 正しい考え方:第70類注1で、光学的に加工された光学要素等は第90類へ除外される
    • 予防策:研磨・研削・コーティング(光学用途)など“光学加工”の有無を確認

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。誤ったHSコードでPSRを当てると、原産性判断(CTC/RVC/加工要件)の前提が崩れ、検認時に説明が通りにくくなります。
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品(例:7007)と材料(例:7005、7019等)のHSを取り違える
    • 車両窓が7007か8708.22かでPSRが変わるのに、機能(枠・電装)を見落とす

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 品目別規則が採用するHS版は協定ごとに異なります。日本の実務でも、公式に「協定ごとにHS版が異なる」旨が案内されています。
  • 例(日本側の案内に基づく一般整理):
    • CPTPP:HS2012
    • 日EU・EPA/日英EPA:HS2017
    • RCEP:HS2022(※PSRのHS2022化が進んでいる前提)
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • まず「協定のHS版」でPSRを確認し、自社の実務HS(例:HS2022)との対応を相関表・税関ポータルのPSR検索で確認します。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必要になりやすいデータ(一般論):
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算根拠
    • ガラス繊維(7019)や車両窓(7007/8708)などは、材料側のHSも変動しやすいので注意
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 輸出者/生産者自己申告型の協定では、検認に備え、根拠資料を体系的に保存します(税関ガイダンス参照)。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022範囲変更(見出し文言改正+移転)7001.00(+85.49側)7001(ガラスくず等)からCRT由来等の活性化ガラスを除外し、85.49側へ移転する設計スクラップ取引でHSが変わり、廃棄物規制・統計・税率確認が必須に
HS2017→HS2022注の追加(境界明確化)第70類注1(車両等窓の除外)第86〜88類用の窓について、枠付き加熱等の電気・電子装置内蔵の除外が明確化自動車用窓が7007から8708.22等へ移り得るため、品目判定の必要情報が増える
HS2017→HS2022号の構造変更(分割・再編)7019ガラス繊維の号体系を、結合方法(機械的/化学的)・織物の形態(密閉/開口)等で再編。旧7019.40等の整理を変更HS移行(2017→2022)でコード対応が必要。PSR/社内マスター/統計が影響
HS2017→HS2022号新設(細分)7019.807019内でグラスウールとその製品を独立させる細分が明確化断熱材等の品目が、織物系と別管理になりやすい

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 参照した根拠資料と、そこから何を判断したか:
    • WCO HS2022 第70類条文で、7001の文言に「CRT由来等を除外」する趣旨が入っていること、および第70類注1に車両等窓の除外(枠付き、電装内蔵)が入っていること、7019の号体系が刷新されていることを確認しました。
    • **WCO 相関表(HS2017→HS2022)**で、7001の範囲変更に伴い該当品が85.49へ移転する旨、7019の構造が再編され旧号が新号へ整理される旨(例:旧7019.40の扱い等)が説明されていることを根拠に、変更タイプ(範囲変更・再編)を確定しました。
    • 日本税関のHS2022改正説明資料で、自動車用窓の境界明確化(70類安全ガラスと87類部分品の境界)および87.08側の整備と70類注の新設が示されていることを根拠に、実務影響(車両窓の分類移動)を補強しました。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第70類については、少なくともHS2007→HS2012→HS2017の範囲では、主要見出し(7001〜7020)の大枠は大きくは変わっていないことを、WCO条文(各版)で確認できます。

HS版の流れ主要な追加・削除・再編(第70類の観点)旧コード→新コード(例)
HS2007→HS2012主要な大枠変更は限定的(少なくとも条文上の見出し構造は同趣旨)(該当する大きな移転なし)
HS2012→HS2017第70類の主要見出し・注の大枠は同趣旨(少なくともここで大再編は見えにくい)(該当する大きな移転なし)
HS2017→HS20227001の範囲変更、車両窓の除外注追加、7019号体系再編例:7001(CRT由来等)→85.49側、7019旧号(例:7019.40等)→新号体系へ

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):熱線入りフロントガラスを7007で申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第70類注1(車両用窓の除外)の見落とし
    • 起きやすい状況:インボイス品名が「tempered glass」程度で、電装内蔵が伝わらない
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、通関遅延(一般論)
    • 予防策:仕様書に「加熱装置・センサー・配線」明記、断面図添付、車種専用性の説明
  • 事例名:端面加工済み板ガラスを7005で申告
    • 誤りの内容:7003〜7005の“未加工”前提を満たさず、7006側の可能性
    • 起きやすい状況:「加工」は外注で、貿易担当が把握していない
    • 典型的な影響:分類更正、差額関税・加算税リスク(一般論)
    • 予防策:工程管理表の回収、写真(端面)を社内標準で保管
  • 事例名:断熱材を“グラスウール”と決め打ちして7019
    • 誤りの内容:注4の化学組成要件未確認(満たさない場合は6806)
    • 起きやすい状況:商流名だけで分類、SDS未入手
    • 典型的な影響:分類変更、統計・規制の再チェック、検査(一般論)
    • 予防策:SDS・分析値(SiO2等)を輸入前に入手
  • 事例名:ガラス瓶を7013(食器)で輸入
    • 誤りの内容:7010(梱包・運搬用容器)と7013(食器等)の境界誤認
    • 起きやすい状況:空瓶輸入で、用途説明が曖昧
    • 典型的な影響:分類更正、税率見直し、表示・規制側の再確認(一般論)
    • 予防策:「充填用途」「包装資材」としての使用実態を契約・仕様書に明記

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • {日本}前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 食器・調理器具・食品接触用途のガラス製品は、食品衛生法に基づく「器具・容器包装」等として、輸入時に検疫所での手続(届出・検査)対象になり得ます。ガラス製・陶磁器製等について、鉛・カドミウム溶出等の材質別規格が整理されています。
    • 実務では、製品の**深さ・容量・用途(加熱調理用か否か)**で試験条件や基準値の区分が変わる運用があるため、検疫所の案内(材質別規格)と照合が必要です。
  • その他の許認可・届出
    • **廃ガラス(特に電気電子機器由来のもの)**は、バーゼル関連規制(特定有害廃棄物等)に該当し得ます。輸出入では事前手続・承認が必要となる場合があるため、取り扱い形態(廃棄物か製品か)を含めて慎重な確認が必要です。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • ガラス繊維やそれを用いたプリプレグ等は、仕様によっては輸出管理(リスト規制)の対象になり得ます(※HSではなく、性能・用途要件で判定)。輸出貿易管理令別表等の該当性を確認してください。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 食品接触用途:厚生労働省・検疫所(FORTH等)
    • 廃棄物移動:環境省・経済産業省(バーゼル関連)
    • 輸出管理:経済産業省(安全保障貿易管理)・e-Gov法令
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書(材質・成分)、工程表、写真、SDS、用途説明、図面(車両窓は断面・配線)、食品接触用途は溶出試験等の資料

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 材質(ガラス種、溶融石英等)、形状(板/棒/管/繊維)、加工状態(面取り・穴・強化・合わせ)、用途(梱包/食器/車両用)
    • ガラス繊維/グラスウールは成分(SiO2等)を必ず入手
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注1除外(車両窓、光学加工品、電気用碍子等)をチェック
    • 7003〜7006の“加工”判定は注2・注3で再確認
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 「tempered/laminated」「framed」「heated」「with antenna」等、分類に効くワードを品名・明細に反映
    • 板ガラスは面積単位や枚数など、国内コードの統計単位にも影響し得るため通関業者とすり合わせ
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定のHS版を確認(CPTPP=HS2012等)、必要なら相関表で読み替え
    • BOM上の材料HSも固定せず、HS改正でのズレを管理
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品接触用途:検疫所手続・材質別規格(鉛/カドミウム溶出等)
    • 廃棄物:バーゼル関連手続の要否
    • 輸出:輸出管理該当性(性能要件)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文・相関表)
    • WCO “Chapter 70 – Glass and glassware (HS2022)”(参照日:2026-02-25)
    • WCO “Table I – Correlating the 2017 to the 2022 version of the HS”(参照日:2026-02-25)
    • WCO “Chapter 70 – Glass and glassware (HS2017)”(参照日:2026-02-25)
    • WCO “Chapter 70 – Glass and glassware (HS2012)”(参照日:2026-02-25)
    • WCO “Chapter 70 – Glass and glassware (HS2007)”(参照日:2026-02-25)
  • 日本税関・公的機関
    • 税関「関税率表解説 第70類(PDF)」(参照日:2026-02-25)
    • 税関「分類例(第70類関連、PDF)」※スマホ用カバーガラス等の事例(参照日:2026-02-25)
    • 税関「HS2022改正資料(自動車用の窓の境界明確化等)」(参照日:2026-02-25)
  • FTA/EPA(原産地)
    • 税関「EPAとは/HS版が協定ごとに異なる旨の案内」およびPSR検索(参照日:2026-02-25)
    • 経済産業省「EPA/FTA:品目別規則で採用されているHSコードのバージョン一覧」(参照日:2026-02-25)
    • JETRO資料「RCEPのPSR(HS2022へのトランスポジション等)」※説明資料(参照日:2026-02-25)
  • 規制(日本)
    • 検疫所(FORTH)材質別規格:ガラス製・陶磁器製・ホウロウ引き(参照日:2026-02-25)
    • 環境省/経産省:バーゼル関連(廃棄物等の輸出入管理の概要等)(参照日:2026-02-25)
    • e-Gov法令:輸出貿易管理令別表(素材関連:炭素繊維・ガラス繊維等の記載を含む)およびMETI解説(参照日:2026-02-25)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第69類:陶磁製品(Ceramic products)実務向け整理

(第69類の範囲・除外は類注(注)で強く規定されます。)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 耐火れんが・耐火ブロックなどの耐火建材(6901〜6903)
    • 建築用れんが、床用ブロック(6904)
    • 屋根瓦・煙突用陶器部材などの陶磁製建材(6905)
    • 陶磁製の管・継手(6906)
    • 陶磁製タイル、モザイク、仕上げ用陶磁製品(6907)
    • 便器・洗面台等の衛生陶器(6910)、食器(6911/6912)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 電気がい子・電気絶縁用物品 → 8546 / 8547(第69類注で除外)
    • ボタン → 9606、喫煙用パイプ → 9614(第69類注で除外)
    • サーメット(cermets) → 8113(第69類注で除外)
    • 美術品(例:美術的価値を持つ作品) → 第97類(第69類注で除外)
    • 研削用の砥石等(一定のもの) → 6804(第69類注で除外)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「成形後に焼成した陶磁製品」か(焼成していない/800℃未満加熱だけは原則NG)
    2. 用途が明確に別章へ飛ぶ除外品か(電気絶縁物品、ボタン、美術品等)
    3. タイル類は“吸水率(全重量比)”で6桁が割れる(6907.21/22/23)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 食器・器具を輸入するのに、食品衛生法上の「食品等輸入届出」や材質規格対応(鉛・カドミウム溶出など)を見落とすケース(分類そのものだけでなく、“食器として扱う/扱わない”の判断が実務コストに直結)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し文言+類注):第69類は類注(注)で範囲・除外がはっきりしており、まずここで落とします。
    • GIR6(6桁の文言):6907(タイル類)の吸水率、6902/6903(耐火物)の化学成分割合、6909のモース硬度など、6桁の条件が強いです。
    • GIR3(b)(本質):陶磁器+金属ふた等の複合品、複数品のセット(例:カップ+別の食品)で登場します。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 「セラミック○○」という商品名でも、焼成の有無用途(建材/衛生/食器/工業用)電気絶縁用途かで類が変わります。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:それは成形後に焼成した“無機・非金属材料”の製品ですか?
    • YES → Step2
    • NO(樹脂硬化等で800℃未満の加熱だけ等)→ 第69類外(別類候補を再検討)
  • Step2:耐火物(炉内等の高温用途)ですか?
    • YES → 6901〜6903へ(材質・形状で分岐)
    • NO → Step3
  • Step3:形状・用途で大枠を決める
    • 建築用れんが等 → 6904
    • 屋根瓦・煙突部材等 → 6905
    • 陶管・継手 → 6906
    • タイル/モザイク/仕上げ材 → 6907
    • 実験・化学・技術用途/農業用槽/陶製の包装用容器 → 6909
    • 衛生陶器(便器・洗面等) → 6910
    • 食器・台所用品・家庭用品・化粧/トイレ用品 → 6911(磁器)/6912(その他)
    • 小像・装飾品 → 6913
    • その他 → 6914
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第69類(陶磁) vs 第70類(ガラス):ガラスやガラスセラミックスは通常第70類側に寄ります(材質の本質で判断)。
    • 第69類(衛生陶器6910) vs 69.11/69.12(浴室用品):洗面ボウルや便器などの「衛生用備付品」か、タオル掛け等の「用品」かで変わります。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
6901けいそう土等の耐火陶磁製品(れんが等)キーゼルグール系耐火れんがまず「けいそう土等」か、耐火用途か
6902その他の耐火れんが等(建材形状)マグネシアれんが、アルミナれんが**酸化物成分比(>50%)**で6桁分岐
6903その他の耐火陶磁製品るつぼ、ノズル、さや、レトルト**遊離炭素>50%**等で6桁分岐
6904陶磁製の建築用れんが等建築用れんが、床用ブロック建築用れんが(6904.10)かその他か
6905屋根瓦・煙突部材・建築用陶磁製品屋根瓦、装飾タイル(建築用途)屋根瓦(6905.10)か、他の建材か
6906陶磁製の管・導管・継手陶管、陶製継手配管用途で他材質(プラ/金属)と混同注意
6907タイル・モザイク・仕上げ用陶磁製品床/壁タイル、モザイク、仕上げ材吸水率、モザイク、仕上げ材で分岐
6909実験/化学/技術用陶磁器、農業用槽、包装用陶製容器実験用るつぼ(非耐火の技術用)、陶製ジャー電気絶縁物は除外(8546/8547)、硬度条件あり
6910衛生陶器便器、洗面台、ビデ、尿器「備付品」か、浴室用品か(6911/6912へ)
6911磁器製の食器・家庭用品等磁器カップ、磁器皿「磁器(porcelain/china)」の判定が核心
6912陶磁製の食器・家庭用品等(磁器除く)陶器の皿、せっ器のマグ6911との境界=材質(陶器/せっ器/半磁器など)
6913陶磁製の小像・装飾品置物、装飾花瓶(実用品でない)美術品(第97類)との境界に注意
6914その他の陶磁製品上記に当たらない陶磁製品6909/6913との振り分けが頻出

(見出し文言・類注の骨格はHS条文に基づきます。)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(頻出)
    • 6902(耐火れんが等):主要酸化物の含有量が全重量の50%超か(Mg/Ca/Cr系 vs Al2O3/SiO2系 vs その他)
    • 6903(その他耐火品)遊離炭素が50%超か、アルミナ(またはAl2O3+SiO2)50%超
    • 6907(タイル):**吸水率(全重量比)**が
      • 0.5%以下(6907.21)
      • 0.5%超〜10%以下(6907.22)
      • 10%超(6907.23)
      • モザイク(6907.30)
      • 仕上げ用陶磁製品(6907.40)
    • 6909(技術用途):陶磁器(磁器か否か)/モース硬度9以上の条件(6909.12)
    • 6910(衛生陶器):磁器(6910.10)か、その他か(6910.90)
    • 6911 vs 6912(食器・家庭用品)磁器か否か(素材の性質で判断)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組)
    1. 6907.21 / 6907.22 / 6907.23(吸水率)
      • どこで分かれるか:吸水率(全重量比)の閾値 0.5% / 10%
      • 判断に必要な情報:吸水率の試験成績(仕様書・試験報告書)、製品の種類(タイル/クラッディング等)
      • 典型的な誤り:「タイル=全部同じ」として吸水率証憑なしで付番
    2. 6911(磁器)/ 6912(その他)
      • どこで分かれるか:磁器は「ほぼ完全にガラス化・硬い・本質的に不浸透・半透明(厚い場合除く)・反響性」等の性状で説明されます(実務は製品仕様と材質区分で判定)。
      • 判断に必要な情報:材質名(porcelain/china、stoneware、earthenware等)、製法、カタログ、必要に応じ試験/社内技術回答
      • 典型的な誤り:見た目が白い=磁器、という短絡
    3. 6910(衛生陶器) vs 6911/6912(トイレ用品・浴室用品)
      • どこで分かれるか:「洗面台・便器等の衛生用備付品」か、タオル掛け等の用品か
      • 判断に必要な情報:取付方法(配管接続の有無、固定設置か)、機能(衛生設備か、付属品か)
      • 典型的な誤り:浴室にある=全部6910、としてしまう(タオル掛け等は6911/6912側になり得る)
    4. 複合品(陶磁器+金属等)
      • どこで分かれるか:セット/複合品としての本質(GIR3(b))
      • 判断に必要な情報:構成材料、各部の機能、価格比、使用時の役割
      • 典型的な誤り:主要部品の材質だけで即決
      • 参考になる国際分類例:磁器の灰皿(ボウル)+鋼製ふた等は「本質」をみる整理になっています。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第13部(Section XIII)は、HS目次上、独立した「Section Notes(部注)」が明示されていません(目次では第68〜70類が並列提示)。実務上は、各章(68/69/70)の類注・見出し文言で境界を切ります。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 「石・セメント製品(第68類)」「陶磁(第69類)」「ガラス(第70類)」の素材×製法でまず三分し、そこから類注で確定させます。
      • 例:同じ“タイル”でも、焼成した陶磁タイルは69類、ガラスモザイクは70類側など。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • Section XIIIの部注による飛びというより、第69類注2の除外(電気絶縁物品、ボタン、美術品など)で他章へ飛ぶ、が典型です。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • (注1)この類は「成形後に焼成した陶磁製品」に限定されます。
    • (注1(b))800℃未満の加熱(樹脂硬化・水分除去等)のみは“焼成”とみなされず、第69類に入らない、という実務に効く線引きがあります。
    • (注2)除外品:電気絶縁物品(8546/8547)、ボタン(9606)、喫煙用パイプ(9614)、第97類の美術品等。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 条文上、陶磁製品は「無機の非金属材料を、一般に室温で調製・成形し、焼成して得られる」と整理され、原材料例(粘土、けい酸質材料、酸化物・炭化物・窒化物・黒鉛等)も示されています。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 電気がい子・電気絶縁用物品 → 8546 / 8547
    • ボタン → 9606、喫煙用パイプ → 9614
    • サーメット → 8113
    • 美術品 → 第97類

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:「焼成品」要件(注1)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 製造工程(成形 → 焼成の有無、焼成温度レンジ)
      • 800℃未満加熱の有無(それが“焼成”の代替になっていないか)
    • 現場で集める証憑:
      • 工程表、焼成炉条件(温度プロファイル)、仕様書、MSDS/材料説明、カタログ、製造者宣誓書
    • 誤分類の典型:
      • 「セラミック(商品名)」だけで第69類に入れてしまい、実は低温硬化(<800℃)で第69類外だった
  • 影響ポイント2:除外規定(注2)で“材料が陶磁でも他章に飛ぶ”
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 電気絶縁用途か(8546/8547)
      • 美術品としての性格があるか(97類)
      • ボタン/喫煙用パイプ等の用途・形状
    • 現場で集める証憑:
      • 用途資料(設計図、用途説明、取扱説明書)、写真、販売形態、セット構成
    • 誤分類の典型:
      • “陶磁製”という理由だけで69類に残してしまい、注2除外を見落とす
  • 影響ポイント3:6911/6912(磁器か否か)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 材質区分(porcelain/china か、earthenware/stoneware/半磁器等か)
      • 性状(不浸透性・半透明性などの説明)
    • 現場で集める証憑:
      • メーカーの材質証明、カタログ、品質仕様(吸水率や焼成温度帯の情報があると補強になる場合)
    • 誤分類の典型:
      • 見た目だけ(白い/薄い/光る)で磁器扱い

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:「セラミック製」表記だけで第69類に入れる
    • なぜ起きる:マーケ用語の“セラミック”が広すぎる(樹脂硬化品や複合材にも使われる)
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第69類は「成形後に焼成」限定、かつ<800℃加熱は焼成扱いしない場合がある
    • 予防策:工程表(焼成温度)、材質説明を取得。「焼成炉に入れているか/何℃か」を社内・サプライヤに質問
  2. 間違い:タイル(6907)を吸水率未確認で付番
    • なぜ起きる:見た目が同じでも吸水率で6桁が割れる
    • 正しい考え方:6907.21/22/23は吸水率の閾値で分岐
    • 予防策:試験成績(吸水率)を取得。過去実績があってもロット・仕様変更の有無を確認
  3. 間違い:衛生陶器(6910)と浴室用品(6911/6912)を混同
    • なぜ起きる:「トイレ周りの陶磁器=6910」と思い込み
    • 正しい考え方:便器・洗面など“衛生用備付品”が6910、タオル掛け等は6911/6912側になり得る(解説で明示)
    • 予防策:設置形態(配管接続の有無、固定設置か)と用途をカタログで確認
  4. 間違い:6911(磁器)/6912(その他)の判定を「色」や「釉薬」で決める
    • なぜ起きる:外観の印象に引っ張られる
    • 正しい考え方:磁器は性状・材質区分で整理される(硬質/軟質/骨灰等を含む)
    • 予防策:メーカー材質区分(porcelain/china vs stoneware/earthenware等)を取得。社内に陶磁材質の判定基準を作る
  5. 間違い:陶磁製でも電気絶縁物品を69類に入れる
    • なぜ起きる:「素材=陶磁」だけで判断し、注2除外を見落とす
    • 正しい考え方:電気がい子(8546)・電気絶縁用物品(8547)は第69類注で除外
    • 予防策:用途(絶縁目的か)を設計資料で確認。電気部品はまず第85類を横断確認
  6. 間違い:複合品の本質判定をせず、陶磁部品だけを見て69類にする
    • なぜ起きる:構成が多い製品(例:灰皿+金属ふた)で全体像を見ない
    • 正しい考え方:GIR3(b)で本質を判断する場面がある(国際分類例が参考)
    • 予防策:構成表(部材・重量・価額・機能)を取得し、分類メモに「本質の理由」を残す

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します(誤ると原産性判断が崩れる)
  • よくある落とし穴:
    • 最終品(例:6911 食器)だけでなく、非原産材料(釉薬、素地材料、付属部品)のHS整理が雑で、CTC判定が崩れる
    • セット品・複合品で最終HSが変わり、PSRが変わる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 実務では、協定や税率表が旧版HSに基づく場合があり得ます(協定文・運用で確認が必要)。日本の関税率表でも、EPA税率が旧品目表に基づく場合がある旨の注意書きがあります。
  • ズレがある場合の注意:
    • HS2022の6桁で分類しても、協定側のPSRがHS2012/HS2017参照だと、**トランスポジション(旧→新対応)**が必要

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 少なくとも「なぜそのHSになったか(類注・要件)」と「どのPSRを適用したか」を社内で説明できる状態にする

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022注の拡充(文言追加)第69類注1「焼成品のみ」から、800℃未満加熱は焼成扱いしない等の説明が追加“セラミック”表記製品で工程確認の重要度が上がる(低温処理品の誤分類防止)
HS2017→HS2022文言修正(定義の置換)6903.10HS2017の「graphite/other carbon」から、HS2022は「free carbon」表現に整理炭素系耐火物の説明・証憑(遊離炭素の定義)を揃える必要がある
HS2017→HS2022文言修正(例示追加)69.03 見出し耐火陶磁製品の例示に「slide gates」等が明示対象物品の理解がしやすい(実務判断の説明性向上)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料(一次):
    • HS2022の第69類条文(WCO公開PDF)と、HS2017の第69類条文(WCO公開PDF)を対比し、
      • 注1がHS2022で(a)〜(c)の形に拡充され、800℃未満加熱の扱いが明文化されていること
      • 6903.10の表現がHS2017の「graphite/other carbon」からHS2022の「free carbon」に変わっていること
        を確認しました。
  • 補足(国内解釈の整合):
    • 日本税関の関税率表(類注)でも、注1(b)として800度未満の記載が確認でき、HS2022注の内容と整合します。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理(第69類の代表例)
版の流れ変更タイプ旧コード → 新コード(例)変更の要旨実務メモ
HS2012→HS2017統合・再編(タイル)6907/6908(旧)6907.21〜6907.40(新)69.08は未使用(削除/予約扱い)旧6907・6908の範囲を見直し、吸水率等の構造に整理旧版参照の契約・PSR・統計比較ではトランスポジション必須
HS2017→HS2022注の拡充69類注1800℃未満加熱の扱い等が明文化工程確認の重要度が上がる
HS2007→HS2012(本表の相関表で確認できる範囲では)大きな再編なし相関表は“変更がある箇所中心”のため、当該類が出ない=変更が小さい可能性不安な場合は対象コードを直接対比(条文)で確認

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「低温硬化“セラミック部材”を第69類で申告」
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):注1(b)(800℃未満加熱は焼成扱いしない)を見落とし
    • 起きやすい状況:材料名が“ceramic”、工程が樹脂硬化中心
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、審査長期化(工程説明の追加要求)
    • 予防策:工程表・焼成温度の証憑を事前に準備、疑義があれば事前教示検討
  • 事例名:「電気絶縁用の陶磁部品を6909/6914で申告」
    • 誤りの内容:注2(f)(8546/8547除外)を見落とし
    • 起きやすい状況:材質が陶磁で、用途説明が不十分
    • 典型的な影響:分類更正、場合により関連規制(電気用品等)の確認増
    • 予防策:用途・機能を明確化(絶縁か否か)、設計資料添付
  • 事例名:「衛生陶器6910と浴室用品6911/6912の混同」
    • 誤りの内容:衛生“備付品”の概念を誤認
    • 起きやすい状況:浴室・トイレ向けの商品群を一括で同一コードにしてしまう
    • 典型的な影響:税番訂正、統計誤り、社内マスタ再整備
    • 予防策:配管接続・固定設置の有無で切り分け(カタログ・図面)
  • 事例名:「吸水率の証憑がなく、6907.21/22/23でブレる」
    • 誤りの内容:6907の6桁条件(吸水率)を裏付けなしで申告
    • 起きやすい状況:タイル・クラッディング材の多品種輸入
    • 典型的な影響:検査・照会、通関遅延
    • 予防策:吸水率の試験報告書、仕様変更履歴の管理

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 食器・器具(陶磁器の食器等)を販売・営業用途で輸入する場合、食品衛生法に基づき輸入届出義務があります(検疫所で受付、審査・検査要否判断)。
    • ガラス・陶磁器・ホウロウ引き製品には、材質別規格として鉛・カドミウム溶出等の基準が設定されています(深さ/容量・加熱調理用か否かで区分)。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 第69類の一般的な陶磁製品そのものは通常対象外(ただし装飾に動植物由来素材を使う場合は別途確認)
  • 安全保障貿易管理
    • 一般的な陶磁製品は直ちに該当しませんが、高機能セラミックスが特定用途(軍事転用可能用途等)に該当する可能性がある場合は別途確認(個別判定)
  • その他の許認可・届出
    • 食器の輸入実務では、HS分類と並行して、届出書類(材質・形状が分かる資料等)整備が求められます(一般論)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 厚生労働省「食品等輸入手続について」
    • 検疫所(届出窓口、規格基準案内)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 材質・仕様書、製造工程表、製品写真/カタログ、必要に応じ試験成績(鉛・カドミウム溶出等)、過去の届出実績番号

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • どんな製品か:用途(建材/食器/衛生/工業用)、設置方法、使用環境
    • 材質:磁器/せっ器/陶器/ガラスセラミック等の区分、構成材料(複合品)
    • 工程:成形後に焼成したか、焼成温度帯(<800℃加熱のみではないか)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注2除外(8546/8547、9606、97類等)に当たらないか
    • 6907は吸水率、6902/6903は成分比など、6桁条件を証憑で裏付けたか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に「用途」「材質」「型番」を含める(“ceramic parts”だけは避ける)
    • 数量単位:HSの標準数量単位(例:6907はm²、6910は個(u)など)を意識し、誤入力を防ぐ
    • 補足資料:吸水率試験、材質証明、工程表、写真
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 最終HSが正しいか(PSRが変わる)
    • 旧HS版参照の協定ならトランスポジションを実施
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食器・器具:食品衛生法の輸入届出、材質別規格への適合(鉛・カドミウム溶出等)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文・相関表・改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022 – Chapter 69(Ceramic products) (参照日:2026-02-25)
    • WCO HS Nomenclature 2017 – Chapter 69(Ceramic products) (参照日:2026-02-25)
    • WCO Recommendation – Standard Units of Quantity (HS2022) (参照日:2026-02-25)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関:実行関税率表(2022年1月1日版)第69類 類注(69r.pdf) (参照日:2026-02-25)
    • 税関:関税率表解説 第69類(69r.pdf) (参照日:2026-02-25)
    • 税関:国際分類例規(第69類) (参照日:2026-02-25)
    • 税関:WCO相関表(HS2017→HS2012) (参照日:2026-02-25)
  • 規制(食品衛生法・検疫)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続について (参照日:2026-02-25)
    • 検疫所(例:大阪検疫所):材質別規格(ガラス・陶磁器・ホウロウ引き) (参照日:2026-02-25)
  • その他
    • JETRO:食器の輸入手続き(参考:分類例や実務概要) (参照日:2026-02-25)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

米CBP判旨に学ぶ「電池と充電器のセット」は何が本質か

ビジネス現場で効くHTS分類と追加関税リスクの読み解き

1. なぜ今「電池と充電器のセット判断」が重要なのか

1-1. セット扱いは、HSコードが一本化される

電池(蓄電池)と充電器(バッテリーチャージャー)を一緒に輸入すると、米国では「小売用のセット」として取り扱われ、単品ごとではなく、セット全体を一つの品目として分類する場面が生じます。その場合、分類の決め手になるのが「本質(essential character)」です。つまり、電池と充電器のどちらがセット全体の本質を与えるのかで、最終的なHTSUSコードが変わり得ます。

1-2. 分類が変われば、コスト構造とリスクも変わる

分類は、単なる税番の整理ではありません。一般税率だけでなく、対中追加関税(Section 301)などの追加課税、統計報告、場合によっては社内の原価や価格戦略、契約条件、原産地・調達戦略にも波及します。今回取り上げるCBP(米税関国境警備局)の判断は、「電池の方が高価でも、充電器が本質になり得る」ことを明確に示した点で、実務への示唆が大きい事例です。

2. まず押さえる事実:NY N340642 と HQ H342925

2-1. どんな商品が争点になったのか

対象は、20V・4.0Ahのリチウムイオン電池パックと、当該電池を充電する充電器を同梱した小売パッケージです。電池は電動工具(ドリル、のこぎり等)で使用され、充電器は充電表示や故障監視回路を備える充電ベースとされています。

2-2. CBPの結論

CBPはこのセットを、電池(8507)ではなく、充電器(8504)側の品目として分類しました。NY N340642ではサブヘディング8504.40.9550に分類し、対中追加関税として9903.88.03の適用にも言及しています。
その後、2026年2月3日付のHQ H342925が、再審査請求を退けてNY N340642を維持し、判断を確定的に補強しました。

2-3. 時系列

・2024年6月26日:NY N340642(セットは8504.40.9550)
・2026年2月3日:HQ H342925(NY N340642をaffirm)

3. CBPが使った法的フレーム

3-1. セット分類の基本はGRI 3(b)

HTSUSの分類はGRI(General Rules of Interpretation)に基づきます。セットや混合品が複数の見出しに該当し得る場合、GRI 3(b)により「本質を与える構成要素」に従って分類する、というのが基本構造です。

3-2. 「本質」は価値割合だけでは決まらない

HQ H342925は、本質判断が「事案の事実関係に強く依存する」点を明示し、判断要素として、数量、重量、価値、そして何より「構成要素が使用上果たす役割」を挙げています。
ここが実務で最も誤解が生まれやすいポイントです。購買や原価の視点では、つい「高い方が主役」と捉えがちですが、CBPの本質判断はそれだけでは終わりません。

4. 深掘り:なぜ電池ではなく充電器が本質なのか

4-1. 依存関係が逆転していた

輸入者側は、セットの「主機能はエネルギーを貯蔵・供給すること」であり、電池こそ本質だと主張しました。また、価値構成として電池が63パーセント、充電器が37パーセントという点も強調しています。
それでもCBPは、充電器が本質だと結論づけました。その中核は、電池が充電器に依存しているという事実です。HQ H342925は、当該電池がUSBや汎用の壁面充電器のような一般的手段で充電できず、当該充電器がなければ充電できない点を重く見ています。結果として、充電器がないと電池は実質的に単回使用に近い性格になり、セットの目的である「再充電して繰り返し使う」という価値が失われる、という整理です。

4-2. ライフサイクルの視点:電池は交換され、充電器は残る

CBPは過去の判断枠組みを踏まえ、寿命と減価の違いも本質判断に組み込みました。たとえばHQ 968171では、充電池は使用前に充電が必要であり、充電のたびに充電器が必要になり、やがて電池が劣化して廃棄される一方、充電器は残り続けるという使用実態を整理しています。
HQ H342925でも同様に、リチウムイオン電池には有限のライフサイクルがあり、劣化すれば交換されること、交換用電池が販売されていることからも電池寿命が相対的に短い可能性が示唆されることを述べています。
この視点は、経営的にも直感的です。セットの購買動機が「電池そのものの入手」ではなく、「電池を繰り返し使える仕組みの入手(充電器の獲得)」に寄ると整理されやすくなります。

4-3. 用途の幅が違うと結論も変わる

HQ H342925は、電池側が本質とされた過去事例を丁寧に区別しています。鍵は「ユニバーサル電源か、専用ツール用電源か」です。
輸入者が引用したHQ 954061などは、電池パックが多用途の電源として機能する性格が強く、充電方法も代替手段があるなど、充電器が唯一の存在ではない状況がありました。
一方、今回のセットは、特定の工具群の専用電源として位置付けられ、充電器が不可欠な構造になっている点が重視されました。

4-4. 価値割合63パーセントでも逆転した理由

実務で最も学びが大きいのはここです。CBPは、価値が高いことを否定していません。否定したのは、価値だけで本質が決まるという発想です。
今回の整理を一言で言えば、電池は機能を発揮するために充電器を必須とし、充電器はセットの「再充電して使い続ける」という目的を成立させる中核装置である、ということです。だから価値割合が電池優位でも、本質は充電器側に寄り得る。これがHQ H342925の読みどころです。

5. 逆に「電池が本質」になり得るパターン

5-1. 電池が外部機器へ電力供給し、充電手段が複線化している

電池側が本質とされやすい典型は、電池パック自体が多用途の電源として機能し、充電器が唯一の充電手段ではない場合です。つまり、電池が主役で、充電器は付随的という構図です。HQ H342925は、この観点から過去事例を区別しています。

5-2. 電池側を本質とした例

HQ 954061では、キャリングケースに収納されたバッテリーパックが、電源供給という主目的を担うものとして整理されています。こうした事案では、本質が電池側に寄る可能性が高まります。

6. 実務への落とし込み:輸入者が今日からできる5つの手当て

6-1. 商品仕様で確認すべきチェックポイント

判断の分岐は、見た目よりも「依存関係」と「使用実態」です。次の観点を、製品仕様書と取扱説明書レベルで確認してください。

  1. 充電器が専用品か、汎用品か
  2. 電池の充電手段が充電器以外にあるか(USB、車載、ACアダプタ等)
  3. 電池は外部機器へ多用途に給電できるか、特定製品群に限定されるか
  4. 電池交換が前提になっているか(交換用電池の販売、寿命表示、保証条件)
  5. セットのマーケティング上の訴求点が何か(電池増量なのか、充電システムなのか)

これらは、HQ H342925が重視した論点そのものです。

6-2. 申告と監査に耐える資料の揃え方

分類は、説明責任の競技でもあります。セット判断や本質判断に備える資料としては、最低限次を揃えるのが現実的です。

・製品仕様書(電池容量、対応機器、充電方式、専用性)
・取扱説明書(充電手順、充電器必須かどうか)
・部品表と価格内訳(価値割合の根拠)
・販売形態(同梱形態、単品販売の有無、交換用電池の販売実態)

「価値割合が高いから電池が本質」と言い切るよりも、依存関係と使用実態を説明できるかが結果を左右しやすい、というのが本件の教訓です。

6-3. コスト試算の注意点:一般税率だけで終わらない

NY N340642とHQ H342925はいずれも、8504.40.9550の一般税率は無税である一方、中国原産の場合は9903.88.03に基づく追加25パーセントがかかり得る旨を述べています。
また、USITCのHTS検索でも、8504.40.9550の一般税率が無税であることが確認できます。

一方で、電池側(8507)に分類された場合の追加関税は、時期や改正で動きやすい領域です。過去の例として、8507.60.0020に対し追加7.5パーセントが適用される旨を示すCBPの個別判断例があります。
さらにUSTRは、リチウムイオン電池の追加関税率を25パーセントへ引き上げる方針(用途区分により段階的に実施)を示しています。
このため、分類議論と同時に、最新のHTSUSとChapter 99、CBPの運用指針を突き合わせたコスト試算が必須です。

6-4. 争点化したら:事前照会の位置付け

CBPの分類判断は事実依存であり、同じ「電池と充電器のセット」に見えても、充電方式や用途、販売形態が違えば結論も変わり得ます。米国では、所定の手続により事前の拘束力ある判断(ruling)を求める枠組みが整備されています。
大口案件や、関税影響が大きい案件ほど、仕様を確定させたうえで照会戦略を検討する価値があります。

7. まとめ:この判旨をどう使うか

今回のCBP判断は、「電池が主役」という思い込みを崩し、セットの本質を依存関係と使用実態で捉えるべきだと示しました。ポイントは次の3つです。

  1. 充電器が専用品で、電池がそれに依存するほど、充電器本質に寄りやすい
  2. 電池の寿命と交換可能性は、想像以上に本質判断へ効く
  3. 価値割合は重要だが、決定打ではない

自社商品の設計、同梱、販売、原産地、そして申告資料の作り方まで、分類に影響する要素は商品企画の段階から埋め込まれています。HSコード見直しを現場のコスト最適化とリスク低減につなげるなら、今回のような判旨から「何が本質と見られるか」を逆算して設計する視点が有効です。

免責事項

本稿は、公開情報に基づき一般的な情報提供を目的として作成したものであり、法的助言、税務助言、通関実務上の最終判断を提供するものではありません。個別案件の分類、税率、追加関税、優遇税率の適用可否は、商品の仕様、取引条件、原産地、輸入時点のHTSUS改正状況、CBP運用等により変動します。実際の輸入申告や契約判断にあたっては、最新版のHTSUSおよび関係当局の公表情報を確認のうえ、通関士、米国関税ブローカー、または貿易法務の専門家に相談してください。

WCO HSC第76会期の分類決定が示すCh.85/90の実務信号

ビジネス現場での読み替えと、通関リスクを減らすための手当て

1. はじめに

HSコードは、関税だけでなく、原産地規則の品目別規則、輸出入規制、統計、移転価格や社内マスタ統制まで波及します。ところが現場では、製品の機能が高度化し、電気機器(Ch.85)と計測機器(Ch.90)の境界が曖昧になりやすい。
そこで重要になるのが、WCO(世界税関機構)のHSC(Harmonized System Committee)が採択する分類決定です。第76会期(2025年9月)では、議題71件の審査、40件の分類決定などが公表されました。

本稿では、公開されている第76会期の分類決定(留保対象を除く一覧)を材料に、Ch.85を中心に、Ch.90との境界実務に効く「信号」を深掘りします。なお、WCO文書自体が、当該決定の各国での実装は輸出入国で確認するよう注意喚起しています。ここが実務上の出発点です。

2. まず押さえるべき前提

2.1 分類決定は「世界の物差し」だが、各国実装の確認が必須

第76会期の分類決定一覧は、「留保対象を除く決定」を掲げ、輸出入当事者に対し、輸出入国での実装状況の確認を求めています。
実務では次の二段構えが安全です。

  1. WCO決定で世界標準の方向性を把握する
  2. 輸入国の関税率表、分類通達、裁定、運用で確定させる

2.2 Ch.85とCh.90の境界は「機能」と「注記」で決まる

境界論で見落としがちなのが注記です。
・Section XVI(Ch.84-85)では、そもそも「Ch.90の物品は対象外」と明記されています。
・一方、Ch.90側は「Section XVI注3・注4の考え方をCh.90にも適用する」と規定しています。
つまり、電気要素があるからCh.85、精密っぽいからCh.90、といった感覚分類は危険で、注記と機能の整理が必須です。

3. 実務信号その1 通信インフラは「8517で束ねる」圧が強い

3.1 事案の要点 Remote Radio Unitを8517.79へ

第76会期の分類決定には、携帯基地局を構成するDU(Digital Unit)、RU(Radio Unit)、アンテナのうち、RUに当たる「Remote Radio Unit」が登場します。トランシーバ基板、増幅器、フィルタ等で構成され、DUの制御下でRF信号の変換、フィルタリング、増幅を担う、と説明されています。分類は8517.79で、根拠としてSection XVI注2(b)が明示されています。

3.2 何が「信号」なのか

ポイントは、単体で完結する機器というより、基地局というシステム機能の中での役割と、専用性(solely or principally)が評価軸になっている点です。Section XVI注2(b)は、特定機械に専ら又は主として使用される部品は、その機械と一緒に分類するという基本を示します。
基地局関連は、製品名が基板、ユニット、モジュールとバラけるため、社内マスタ上で別カテゴリ扱いになりがちですが、通関では機能体系と専用性の立証が勝負になります。

3.3 ビジネス上の手当て

  1. 製品説明資料の整備
     システム構成図、I/F仕様、搭載先機器、代替用途が限定される理由を一枚で説明できる形にする。
  2. 部品認定の証拠づくり
     販売先の限定、取付互換性の限定、ファーム更新や制御がDU前提である点など、専用性の根拠を揃える。
  3. 関係部署の合意
     通信機器部品は、品番統合、原産地判定、関税影響が連鎖する。分類部門だけで閉じず、調達、営業、法務、原産地担当と早期に握る。

4. 実務信号その2 コンセント系は8536に寄せ、迷いは号レベルで決着させる

4.1 事案の要点 マルチソケットアダプタは8536.69

2口や3口のマルチソケットアダプタ(ソケット複数とプラグが同一筐体)は8536.69。候補として8536と8537が比較され、8536が選ばれています。

4.2 事案の要点 スイッチ付きは、号レベルでGRI 3(c)が登場

1口ソケット、オンオフスイッチ、プラグを同一筐体に収めたスイッチングアダプタも、結論は8536.69。ただし号レベルでGRI 3(c)が使われています。
これは実務的に重要です。製品が「スイッチ」でもあり「プラグ・ソケット」でもある場合、どちらが本質かが決め切れないと、最後の手段として数値順で決着する場面がある、という示唆になります。

4.3 ビジネス上の手当て

  1. 商品企画段階で、分類が割れる仕様を把握する
     スイッチ追加、ブレーカ追加、USB給電追加など、機能追加がHSを動かすポイントになりやすい。
  2. 型番体系とマスタを、機能差分でグルーピングする
     見た目が似ているだけで同一HSにまとめると、監査で説明不能になりやすい。
  3. 競合品情報は参考止まり
     同じように見えても、定格、構造、保護機能、接続形態で結論が変わり得る。WCO決定は「論点の地図」として使い、自社品に引き当てる。

5. 実務信号その3 電源タップとコードリールは8544へ寄せる判断が明確になった

5.1 事案の要点 電源タップ一群が8544.42

複数ソケット、オンオフスイッチ、過負荷時のサーキットブレーカ等を備え、1.5mや5mの電源ケーブルとプラグを持つ電源タップが、複数パターンで8544.42に分類されています。候補として8536、8537、8544が比較され、根拠にSection XVI注3が掲げられています。
さらに、ケーブル長が長いコードリール型でも8544.42に整理されています。

5.2 何が「信号」なのか

Section XVI注3は、複合機能を持つ機械等は、主たる機能で分類するという考え方です。
電源タップは、保護機能やスイッチが目立つため8536や8537に寄せたくなる場面があります。しかしWCO決定は、ケーブルとコネクタを備えた「通電・接続」の性格を主に見て、8544へ寄せています。実務上、タップ類の分類は各国で論点化しやすく、監査でも頻出です。ここで方向性が明確になった意義は大きい。

5.3 ビジネス上の手当て

  1. 8544寄せの説明書きを用意する
     ケーブル一体、定格、コネクタ形状、使用態様を整理し、なぜ主機能が通電・接続なのかを社内標準文に落とす。
  2. タリフと規制の二次影響を洗う
     関税だけでなく、対策関税、輸入統計、特定規制品目の該当性が動く場合がある。
  3. 既存SKUの棚卸し
     同一カテゴリ内で、ケーブル有無、保護機能有無、延長形態の違いが混在していないかを点検する。

6. Ch.90の実務信号 今回の決定をどう「境界案件」に使うか

6.1 直接のCh.90決定がなくても、使える論理がある

公開されている第76会期の分類決定一覧では、Ch.85の論点が中心で、Ch.90の具体案件は表に出ていません。
それでも、Ch.90の境界案件に転用できる理由は2つあります。

  1. Section XVIはCh.90を除外するという大原則がある。
  2. Ch.90は、Section XVI注3・注4の考え方を取り込む。

6.2 境界案件での実務フレーム

次の順で整理すると、社内合意が取りやすく、監査耐性も上がります。

  1. 物品の役割を一文で定義する
     測るための道具か、信号を送るための装置か、制御するための装置か。
  2. その役割が、Ch.90の計測・検査として自立しているかを点検する
     Ch.90には、計測・検査・医療など固有の領域があり、該当するならSection XVI側に引きずられない設計になっています。
  3. 複合機能なら、主たる機能と明確な機能を見極める
     Section XVI注3・注4の考え方は、複合機能品の整理に使えます。
  4. 部品か本体かを、専用性で立証する
     専ら又は主として使用されるかどうかの立証は、Ch.85でもCh.90でも監査で問われやすい論点です。

6.3 典型的な現場の落とし穴

  1. センサーに通信機能があるからCh.85、と短絡する
     通信は付随で、測定結果の取得が本体価値なら、Ch.90の可能性を丁寧に検討すべきです。
  2. 電気基板が入っているからCh.85、と短絡する
     Ch.90は電気式の計測機器も多く、電子化は分類を自動的に85へは動かしません。
  3. 部品扱いのまま、用途説明を省略する
     部品は専用性の説明が生命線で、ここが薄いと残余項へ押し込まれやすい。

7. まとめ ビジネスでの実装チェックリスト

  1. 通信インフラ部品は、システム専用性の立証を前提に、8517の体系で整理する。
  2. コンセント系は、8536中心に整理し、複合要素は号レベルでの決着も想定して根拠を整える。
  3. ケーブル一体の電源タップとコードリールは、8544寄せの論理が強い。製品群の棚卸しが費用対効果の高い打ち手になる。
  4. Ch.90境界は、除外規定と、注3・注4の共通ロジックで社内判断を整流化する。

8. 一次資料として参照した主要ソース

・WCOニュースリリース(第76会期の成果概要)
・Classification Decisions – HS Committee 76th Session(留保対象を除く分類決定一覧)
・HS 2022 Section XVI Notes(注2、注3など)
・HS 2022 Chapter 90 Notes(注2、注3など)

免責事項

本稿は、WCOが公開した資料に基づき、一般的な情報提供として作成したものであり、特定貨物の最終的なHSコード確定、法令解釈、通関可否、税額計算、監査対応方針を保証するものではありません。実際の分類・申告は、貨物の仕様、提示形態、契約条件、輸入国の関税率表・通達・裁定、当局運用により結論が変わり得ます。重要案件は、輸入国税関への事前教示や専門家への個別相談を推奨します。

HS2022 第68類:石、プラスター、セメント、石綿、雲母その他これらに類する材料の製品(Articles of stone, plaster, cement, asbestos, mica or similar materials)

本稿では用語を次で統一します。

  • 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 天然石の舗装用石・縁石・敷石(例:花こう岩の縁石)→ 6801
    • 天然石をさらに加工した建築用石材・装飾品(例:研磨仕上げの大理石板、石製の置物)→ 6802
    • 砥石・グラインディングホイール等の研磨用物品(天然・人造研磨材)→ 6804
    • 研磨布・研磨紙など「研磨材を基材(紙・布等)に付着」させた物品 → 6805
    • 鉱物系断熱材(スラグウール/ロックウール等)や断熱・吸音用鉱物材料製品 → 6806
    • 石こう製品、コンクリート製品、繊維補強セメント板等の建材、ならびに雲母加工品(条件により)炭素繊維製品等 → 6809〜6815
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 鉱物の一次産品(例:採石場からの原石、加工が限定的な石材)→ 原則として第25類(例外あり)
    • 雲母粉・黒鉛・アスファルト等を塗布した紙・板紙 → 4810/4811(第68類注で除外が明示)
    • 雲母粉・ビチューメン等を塗布した繊維の織物類 → 第56類/第59類(同上)
    • 電気絶縁用物品・がい子 → 8546/8547(同上)
    • 家具・照明器具・プレハブ建築物 → 第94類(同上)
    • 一脚・二脚・三脚(モノポッド/バイポッド/トライポッド)等 → 9620(同上)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 原材料(第25類)か、製品(第68類)か:加工度(切断・研磨・成形・結合材の有無等)で分岐します。
    2. 焼成品(陶磁:第69類)/ガラス(第70類)との境界:同じ「タイル/板」でも材料と製法で類が変わります。
    3. 石綿(アスベスト)含有の有無:HS分類だけでなく、日本では輸入・譲渡・使用の可否に直結します(0.1%超で原則禁止)。
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 石綿含有の建材・ガスケット・摩擦材(輸入できない/回収・廃棄・コンプラ事故に直結しやすい)
    • 炭素繊維関連(分類誤りに加え、輸出時は安全保障貿易管理の許可要否確認が必要になり得る)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1:品目は「項(4桁)の文言」と「関係する部注/類注」で決めるのが基本です。章や部の表題はあくまで参照用です。
    • GIR6:6桁は「同一4桁内の6桁同士の比較」で決めます。たとえば6802の中で、モザイク用(6802.10)か、単に切断した板か、彫刻等の加工品か、など。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(この類で特に重要):
    • 材質:天然石/人工石/石こう/セメント/アスファルト/雲母/炭素繊維など
    • 加工度:未成形(原材料寄り)→切断→研磨→彫刻→成形・鋳造→焼成(陶磁に飛ぶ)
    • 支持体の有無:研磨材が「紙・布・樹脂」等に付着しているか(6805)
    • 用途:舗装用・建築用・断熱/吸音用・摩擦材(ブレーキ等)など

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:原材料か製品か
    • 採石場産品など「加工が限定的」→ まず第25類を疑う
    • 切断・研磨・彫刻・成形など「製品化が進んでいる」→ 第68類候補
  • Step2:材料×製法で第68/69/70を切る
    • 土を成形して焼成したもの(多くの陶磁製品)→ 原則第69類(例外:陶磁製研磨用物品は6804にあり得る)
    • ガラスおよびその製品 → 第70類
    • 石・石こう・セメント・雲母・(一定の)炭素繊維等 → 第68類候補
  • Step3:第68類の中で「どの製品群か」を決める
    • 舗装用の石/縁石/敷石 → 6801
    • 建築用・装飾用に加工した石(モザイク含む)→ 6802(ただしスレート加工品は除外があり得る)
    • スレート製品 → 6803(※見出し確認)
    • 砥石・研磨ホイール等 → 6804
    • 研磨材を紙/布等に付着 → 6805
    • 鉱物系断熱材等 → 6806
    • アスファルト製品 → 6807(ただし紙/板紙ベースは4810/4811へ飛びやすい)
    • 石こう製品 → 6809
    • セメント/コンクリート/人造石製品 → 6810
    • 繊維補強セメント板等 → 6811
    • 石綿(アスベスト)繊維・混合物・製品 → 6812(ただし日本では輸入禁止が原則)
    • ブレーキ等の摩擦材(未装着) → 6813
    • 雲母加工品 → 6814
    • その他(残余) → 6815(最終手段)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 6801(舗装用石) vs 2517(成形していない小石等):形状が「舗装用石等として認められる程度に加工」されているか。
    • 6807(アスファルト製品) vs 4811(アスファルト塗布の紙/板紙):基材が紙/板紙なら第68類注で除外されやすい。
    • 6815(炭素繊維製品など) vs 9620(三脚等):第68類注で三脚等は9620へ。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第68類は4桁が多すぎないため、全列挙します。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
6801舗装用の石、縁石、敷石(天然石、スレート除く)花こう岩の縁石、砂岩の敷石成形していない小石は2517へ飛びやすい。
6802加工した石碑用/建築用の石とその製品、天然石モザイク等、着色した粒・粉研磨大理石板、モザイクキューブ、石製置物、硯「最大面が7cm未満の正方形に収まる」モザイク等は6802.10。注2で対象石種が広い(けい石/フリント/ドロマイト/ステアタイト等)。
6803加工したスレートおよびスレート製品スレートの屋根材、スレート板6802の注2で「加工したスレート」は含まない扱いに注意。
6804砥石・研磨石・グラインディングホイール等(研磨用)回転研削用砥石、切断砥石「基材に研磨材付着」なら6805。製法(結合材)や用途で6桁分岐が出ることがある。
6805研磨材を紙/織物/その他の基材に付着した物品等研磨紙、研磨布、研磨ホイール(布ベース)「研磨布にほかならない」等の理屈で6805に落ちることがある(形状が特殊でも)。
6806スラグウール/ロックウール等の鉱物ウール、膨張鉱物材料、断熱・吸音用鉱物材料製品ロックウール断熱材、触媒コンバータ用マット組成・目的が断熱/吸音/吸収であることの説明資料が重要。
6807アスファルト等の製品アスファルトシート、ルーフィング材紙/板紙にアスファルト塗布→4810/4811に飛び得る(注1の除外)。
6808植物繊維等を鉱物性結合材で凝結した板/パネル等断熱パネル中間層に発泡プラスチックがあっても6808とされ得る実例あり。
6809石こう製品(石こうボード等)石こうボード、断熱・防音用石こうパネル「石こう基材」か「セメント/コンクリート基材」かで6810と迷う。
6810セメント/コンクリート/人造石の製品(補強の有無不問)コンクリートブロック、テラゾー製品建材でも「プレハブ建築物」等は94類へ(注1の除外)。
6811石綿セメント、セルロース繊維セメント等の製品繊維補強セメント板石綿を含む可能性があるため、コンプラ確認が必須(日本は0.1%超で原則禁止)。
6812石綿繊維・石綿混合物・その製品石綿板、石綿ガスケットHS上は存在するが、日本では輸入等が禁止される領域。HS2022で一部6桁再編あり。
6813摩擦材(ブレーキ/クラッチ等、未装着)ブレーキパッド材、摩擦ライニング石綿ベース/他鉱物/セルロースベース等。用途・装着済みかで迷う。
6814加工した雲母および雲母製品(支持体の有無不問)雲母シート、雲母板「紙/織物に雲母粉を塗布」だと別類(注1で除外)。
6815その他の鉱物性材料の製品(他に該当しないもの)マグネシアカーボンれんが、炭素繊維製品、(場合により)黒鉛製品残余項目。HS2022で炭素繊維等の細分化あり。誤って“何でも6815”にしない。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出):
    • 寸法要件:例)6802.10は、モザイク用のタイル等で「最大面が一辺7cm未満の正方形に収まる」要件が出ます。
    • 加工度:「単に切り/のこぎりでひいた平面」か、研磨・彫刻等の加工品か(6802内の分岐で重要)。
    • 支持体:研磨材が「紙・布・樹脂」等に付着した物品は6805(砥石等の6804と混同しやすい)。
    • 組成割合(判断資料):断熱材などで配合比が重要になることがあります(例:鉱物材料製マットで主要成分比が提示される分類例あり)。
    • 石綿(アスベスト)の含有有無:6811/6812/6813の分岐と、日本国内法での可否に直結。
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 6802.10(モザイク等) vs 6802.2x/6802.9x(その他の加工石)
      • どこで分かれるか:モザイク用の小片か(寸法要件)、または石材の加工形態。
      • 判断に必要な情報:最大面寸法、用途(モザイク用か)、石種、加工内容(切断のみ/研磨/彫刻等)。
      • 典型的な誤り:「見た目がタイル」だけで、陶磁タイル(第69類)に寄せる/または寸法要件を見落とす。
    2. 6804(砥石等) vs 6805(研磨材付着の基材物品)
      • どこで分かれるか:研磨材が“固まり(砥石)”か、“紙・布などの基材に付着”か。
      • 判断に必要な情報:断面構造(基材があるか)、結合材、用途(機械取付けの砥石か、研磨布/研磨紙か)。
      • 典型的な誤り:研磨ホイールを「砥石」と誤認。分類例では「特殊な形状でも研磨布にほかならない」ため6805とする整理があります。
    3. 6807(アスファルト製品) vs 4811等(アスファルト塗布の紙/板紙)
      • どこで分かれるか:基材が紙/板紙かどうか。第68類注で「塗布紙・板紙」を明確に除外しています。
      • 判断に必要な情報:基材材質(紙/板紙か、ガラス繊維マット等か)、層構造(多層か)、製品の本体が何か。
      • 典型的な誤り:「屋根材=6807」と短絡し、基材が紙のボードを誤分類(分類例でも4811との参照関係が示されています)。
    4. 6812(石綿製品) vs 6813(摩擦材)
      • どこで分かれるか:用途がブレーキ/クラッチ等の摩擦材か(6813)、一般の石綿板・石綿混合物の製品か(6812)。
      • 判断に必要な情報:用途(摩擦材か)、取付け済みか否か、組成(石綿の有無・割合)、製品形状(板/シート/パッド等)。
      • 典型的な誤り:用途情報がインボイスに無く、6812/6813の整理が曖昧になる。
    5. 6815(残余) vs 9620(三脚等)
      • どこで分かれるか:製品が一脚・二脚・三脚等の「支持具」であれば第68類注で除外され9620へ。
      • 判断に必要な情報:製品の機能(支持具か)、構造(脚・クランプ等)、用途(カメラ/測量等)。
      • 典型的な誤り:材質が炭素繊維だからといって6815へ寄せてしまう。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第68類は、同じ部(周辺章)に陶磁製品(第69類)、**ガラス・ガラス製品(第70類)**があるため、材料・製法で章が分かれやすいです。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 「タイル」でも、天然石タイル(切断・研磨した石)は6802になり得ますが、焼成した陶磁タイルなら第69類が基本です。
    • 「断熱材」でも、発泡プラスチック主体なら第39類を疑い、鉱物ウールや膨張鉱物主体なら6806を疑う、といった“素材起点”で整理します。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 焼成品(陶磁)→ 第69類
    • ガラス製品 → 第70類

※部注そのものの逐語引用は避け、ここでは第68類解説に含まれる境界説明に基づく実務整理として記載しました。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 類注1:この類に「入らないもの」を多数列挙し、紙・織物の塗布品、電気絶縁品、家具、玩具、三脚などを他章へ誘導しています。
    • 類注2:6802の「加工した石碑用/建築用の石」の対象を広く定義し、25.15/25.16の石材加工品に限らず、けい石・フリント・ドロマイト・ステアタイト等の“その他天然石”の加工品も含める一方、加工したスレートは含めない旨を明示しています。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 国内の分類例規では、たとえば6802.91の「板」について「建築用・装飾用等の目的で板状に切ったもの」などの定義が示されています。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 紙/板紙の塗布品(例:雲母粉・黒鉛・アスファルト塗布)→ 4810/4811
    • 繊維の塗布品(例:雲母粉/アスファルト塗布の織物)→ 第56類/第59類
    • がい子・電気絶縁用物品 → 8546/8547
    • 家具・照明・プレハブ建築物 → 第94類
    • 一脚・二脚・三脚等 → 9620

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:「6802に入る石」は思ったより広い(注2の効果)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 石種(大理石・花こう岩以外でも、天然石であれば対象になり得る)
      • 加工内容(切断だけか、研磨・彫刻・面取り等があるか)
      • スレートか否か(加工スレートは別扱いになり得る)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書(石種、産地、寸法、表面仕上げ)
      • 写真(表面加工、エッジ形状)
      • カタログ(用途:建築用/装飾用/モザイク用)
    • 誤分類の典型:
      • 「一般的な建材ではない石だから第68類ではない」と誤解する(硯などが6802に整理される例がある)。
  • 影響ポイント2:“塗布した紙/織物”は第68類から外れる(注1の効果)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 基材が紙/板紙か、織物か、その他(ガラス繊維等)か
      • 何を塗布しているか(雲母粉・黒鉛・アスファルト等)
    • 現場で集める証憑:
      • 断面構造がわかる資料(層構造図、成分表)
      • SDS(ビチューメン等の有無)
    • 誤分類の典型:
      • アスファルト系の屋根材をすべて6807に寄せる(紙/板紙ベースは4811等が候補)。
  • 影響ポイント3:三脚等は材質に関係なく9620へ(注1の効果)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 製品の機能が「支持具」かどうか(脚の有無、伸縮機構等)
    • 現場で集める証憑:
      • 製品写真、取扱説明書、用途説明(カメラ/測量/照明等)
    • 誤分類の典型:
      • 炭素繊維製なので6815、としてしまう。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:原石・簡易加工石を第68類(6802等)として申告
    • なぜ起きる:インボイス品名が「stone slab」「stone block」だけで、加工度の記載が薄い。
    • 正しい考え方:第68類は「第25類よりもさらに加工した物品」等が中心。まず加工度を確認します。
    • 予防策:
      • 確認資料:加工工程表(切断/研磨/成形/彫刻)、写真
      • 社内質問例:「表面仕上げは?(研磨・面取りの有無)」「用途は舗装/建築/装飾か?」
  2. 間違い:天然石タイル(6802)を陶磁タイル(第69類)としてしまう
    • なぜ起きる:「tile」という商流用語に引っ張られる。
    • 正しい考え方:焼成した土製品は第69類、石材加工品は第68類、という素材・製法で切る。
    • 予防策:
      • 確認資料:材質証明、製造方法(焼成の有無)
      • 社内質問例:「原料は石?粘土?」「焼成工程はある?」
  3. 間違い:屋根材を一律に6807(アスファルト製品)とする
    • なぜ起きる:用途ベースで短絡しがち。
    • 正しい考え方:第68類注で「アスファルト等を塗布した紙/板紙」は別項に飛ぶ可能性がある。
    • 予防策:
      • 確認資料:基材(紙/板紙/ガラス繊維等)と層構造の説明
      • 社内質問例:「基材は何?紙ですか?」「金属箔のラミネートはある?」
  4. 間違い:砥石(6804)と研磨布/研磨紙(6805)を混同
    • なぜ起きる:どちらも「abrasive」「grinding」と表現される。
    • 正しい考え方:固形砥石は6804、基材に研磨材付着なら6805、という構造で切る。分類例でも“特殊形状でも研磨布”として6805とする整理がある。
    • 予防策:
      • 確認資料:断面写真、材料構成(基材の有無)
      • 社内質問例:「紙/布/不織布の基材はある?」「研磨粒は付着?混練?」
  5. 間違い:鉱物系断熱材(6806)を“発泡材”として第39類寄りに誤分類
    • なぜ起きる:断熱用途が同じで見た目も似る。
    • 正しい考え方:鉱物ウール・膨張鉱物材料等の「鉱物系断熱」は6806が候補。具体例として、自動車触媒用の鉱物材料マットが6806.90とされる例があります。
    • 予防策:
      • 確認資料:組成(鉱物/有機結合剤)、用途説明
      • 社内質問例:「主成分は何%?」「耐熱温度は?」
  6. 間違い:石こう製品(6809)とセメント/コンクリート製品(6810)を混同
    • なぜ起きる:「ボード」「パネル」など外観が近い。
    • 正しい考え方:基材が石こう(plaster)か、セメント/コンクリートかで整理。
    • 予防策:
      • 確認資料:成分表、製造仕様書
      • 社内質問例:「主結合材は石こう?セメント?」
  7. 間違い:繊維補強セメント板(6811)で、石綿含有の確認をせず取引を進める
    • なぜ起きる:商品名が「fiber cement」「slate board」等で誤認しやすい。
    • 正しい考え方:日本では石綿を0.1%超含む物の輸入等が禁止。疑いがあれば最優先で含有確認を行う。
    • 予防策:
      • 確認資料:メーカーの無石綿証明、分析結果(第三者試験)
      • 社内質問例:「石綿フリーの証明書はある?」「過去ロットはどうだった?」
  8. 間違い:“その他(6815)”を安易に使う
    • なぜ起きる:説明資料不足で、最終的に残余へ逃げがち。
    • 正しい考え方:GIR1でより具体的な見出し(6801〜6814)をまず検討し、6815は最後。
    • 予防策:
      • 確認資料:用途、構造、製造方法の説明(カタログ)
      • 社内質問例:「これは断熱材?摩擦材?雲母製品?研磨材?」

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。HSが1桁でもずれると、適用PSRが別物になり、原産性判断が崩れます(特に680x/681xは材料・工程でPSRが変わりやすいと想定)。
  • よくある落とし穴(この類で起きやすい):
    • “石材”のつもりで6802にしたが、実は焼成品で69類→PSRが根本から変わる
    • 研磨材(6804/6805)の取り違え→材料HSや工程要件の見方が変わる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 日本国内の輸出入申告は、HS条約改正に合わせHS2022ベースで行われています(国内法上の手続は最新HSで実施)。
  • 一方で、EPA/FTAの品目別規則(PSR)は協定ごとに採用HS版が異なるため、協定が採用していない版で検索・引用すると誤りが出る旨が税関・関係機関から注意喚起されています。
  • 例(代表的な一次情報に基づくもの):
    • RCEP:税関資料で「HS2012版HS番号に基づく」旨が示されています。
    • TPP11(CPTPP):税関資料で「HS2012年版」表記で整理されています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • 協定のHS版と、通関で使うHS版がズレる場合、協定のPSRは協定HS版で読み、通関は最新HSで行い、両者の対応(相関)をとります。
    • 税関のPSR検索システムでも「協定ごとにHS版が異なるため一致確認が必要」と案内されています。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 最低限そろえるもの(一般論):
    • 材料表(BOM)、各材料の原産国、非原産材料のHS(協定HS版)、工程フロー、原価要素(RVC用)
    • 製品仕様書(材質・配合・用途)
  • 保存する書類の例(一般論):
    • 仕入書、仕様書、製造指図書、原産品申告明細書/原産地証明書関連の根拠資料

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022削除+範囲変更(統合に近い)6812.92 / 6812.93 / 6812.996812.92と6812.93が削除され、6812.99の範囲が拡大(旧6812.92/93の範囲を包含)旧コードでの資料・PSRが残ると齟齬。石綿系は特に“旧コード参照”が事故になりやすい。
HS2017→HS2022分割(細分化)6815.10 → 6815.11/6815.12/6815.13/6815.196815.10が細分化され、炭素繊維・炭素繊維織物・炭素繊維製品、非電気用黒鉛製品等を区分輸出管理(該非判定)や統計・PSRで6桁を厳密に扱う必要が増える。
HS2017→HS2022範囲変更(移管)6815.91 / 6815.996815.91の範囲が拡大(例:一部が6815.99から6815.91へ移る趣旨)耐火物(マグネシア系等)の分類で旧コード参照ミスに注意。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料(一次情報):
    • WCO(世界税関機構)の**HS2017→HS2022 相関表(Table I)**で、6812および6815の改正内容(削除・細分化・範囲拡大)が明示されています。
  • どの資料のどの情報に基づき、何が変わったと判断したか:
    • 6812:Table Iにおいて、6812.92/6812.93の削除と6812.99の範囲拡大が記載されているため、HS2022では旧6812.92/93相当が6812.99側へ集約されたと判断しました。
    • 6815:Table Iにおいて、6815.10の細分化(6815.11〜.19の新設)と、6815.91の範囲拡大(6815.99からの移管を伴う)が記載されているため、炭素繊維・黒鉛・耐火物等の6桁運用がHS2022で変化したと判断しました。
  • なお、WCO Table Iは「改正が入った箇所」を列挙する性格の資料です。このため、同資料に明示がない第68類内の他項目については、少なくともHS2017→HS2022の“HSレベルの大改正”は相対的に少ない可能性が高い、という整理になります(※これはTable Iの性格に基づく推論です)。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第68類に関連して、HS2007→2012→2017→2022の流れで「一次情報で確認できた」主要変更を整理します。

版の移行変更タイプ旧コード → 新コード(または扱い)変更の要旨備考(根拠)
HS2007→HS2012削除(統合)6811.83 → (削除、6811.89側に整理)6811.83が低取引量を理由に削除された旨の記載WCO HS2012↔HS2007 相関表 Table I
HS2012→HS2017範囲変更(他章へ移管)(一部)6815.10 ほか → 新設の9620へ移管96.20(モノ/バイ/トライポッド等)新設に伴い、複数章から移管が発生した旨の記載WCO HS2017↔HS2012 相関表 Table I
HS2017→HS2022削除+範囲変更6812.92/6812.93 → 6812.996812.92/93削除、6812.99の範囲拡大WCO HS2022↔HS2017 相関表 Table I
HS2017→HS2022分割+範囲変更6815.10 → 6815.11〜.19、6815.99 →(一部)6815.916815.10細分化、6815.91範囲拡大(移管)WCO HS2022↔HS2017 相関表 Table I

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「石綿フリー」表示のガスケットに石綿混入
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):HS以前に、国内規制として石綿0.1%超含有品の輸入等が禁止。
    • 起きやすい状況:海外サプライヤーの証明が弱い、旧規格品の混入、部材(パッキン等)を見落とす
    • 典型的な影響:輸入差止め、返品・廃棄、検査強化、社内外説明コスト
    • 予防策:無石綿証明+第三者分析、部材レベル(ガスケット/パッキン/摩擦材)の含有確認
  • 事例名(短く):未成形の小石を「舗装用石(6801)」で申告
    • 誤りの内容:舗装用に加工された形状かどうか(成形していない小石等は別項へ、という整理を見落とす)。
    • 起きやすい状況:現物写真がない、採石場出荷状態のまま輸入
    • 典型的な影響:修正申告、分類再審査
    • 予防策:形状・加工状態の写真、用途説明(舗装用としての成形)を添付
  • 事例名(短く):アスファルト屋根材を6807としたが基材が紙/板紙
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第68類注で塗布紙・板紙が除外され、別項へ飛ぶ可能性。
    • 起きやすい状況:商品名が「roofing board」「roofing felt」だけ
    • 典型的な影響:分類補正、関税・統計の修正
    • 予防策:層構造図・基材材質の明示(紙/板紙か否か)
  • 事例名(短く):炭素繊維製三脚を6815で申告
    • 誤りの内容:第68類注で三脚等は9620へ除外される点の見落とし。
    • 起きやすい状況:材質(炭素繊維)に引っ張られて“鉱物性材料の製品”と誤認
    • 典型的な影響:修正申告、原産地規則・統計のずれ
    • 予防策:用途(支持具)を明確化し、注の除外先を確認

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)

検疫・衛生(SPS等)

  • 第68類は食品系ではないためSPSの中心領域ではありませんが、化学物質・粉体の取扱いではSDS等が実務上求められることがあります(一般論)。

石綿(アスベスト)等の化学物質・労働安全関連

  • 日本では、石綿および石綿を重量の0.1%を超えて含有する物について、製造・輸入・譲渡・提供・使用が禁止される旨が周知されています。
  • 第68類では、6811/6812/6813周辺(建材、板、ガスケット、摩擦材)で「疑義」が出やすいため、品目分類と同時にコンプライアンス確認が必須です。

安全保障貿易管理(該当する場合)

  • 炭素繊維等は、用途・仕様によっては安全保障貿易管理の対象になり得ます。METIの解説では、リスト規制は「輸出令別表第1」等に基づき、仕様(スペック)により許可要否を判断する必要がある旨が示されています。
  • 炭素繊維について、申請時に求められる資料の考え方等がQ&Aで示されています(用途・需要者確認の重要性など)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 経済産業省:安全保障貿易管理(リスト規制/キャッチオール)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 該非判定資料(メーカー該非判定、仕様表)、最終用途・最終需要者情報、取引審査記録
    • METIが提供するマトリクス表等を参照し、項番・仕様該当性を確認

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 材質(石種/結合材/繊維/樹脂/石綿の有無)
    • 加工度(切断・研磨・彫刻・成形・焼成の有無)
    • 断面構造(基材の有無、層構造)
    • 用途(舗装/建築/断熱/摩擦材/支持具 等)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第68類注1の除外(紙/織物の塗布品、電気絶縁品、家具、三脚等)を横断チェック
    • 6802は注2で対象石種が広い点を再確認
    • 6815を使う場合は「他に該当しない」根拠メモを残す(GIR1の説明)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスに「材質」「加工度」「用途」を入れる(tile/board/wheel等の曖昧語だけにしない)
    • 写真、カタログ、成分表、SDSの添付準備
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定ごとのHS版を確認(税関のPSR検索画面の注意喚起参照)
    • RCEPやTPP11はHS2012表記の資料がある(例示)
    • BOM、工程、RVC前提、保存資料を整備
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 石綿0.1%超含有の疑いがあれば輸入前に止める(証明・分析)
    • 炭素繊維等は輸出時に安全保障貿易管理(該非判定・用途需要者確認)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS改正・相関表等)
    • WCO Correlation Tables HS 2017–2022(Table I:6812/6815の改正を確認)[参照日:2026-02-25]
    • WCO Correlation Tables HS 2012–2017(Table I:96.20新設に伴う移管の確認)[参照日:2026-02-25]
    • WCO Correlation Tables HS 2007–2012(Table I:6811.83削除の確認)[参照日:2026-02-25]
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関:関税率表解説 第68類(68r.pdf)[参照日:2026-02-25]
    • 税関:分類例規(第68類:68rd.pdf、68r.pdf)[参照日:2026-02-25]
    • 税関:関税率表の解釈に関する通則(GIR)[参照日:2026-02-25]
    • 税関:品目別原産地規則(PSR)検索画面の注意(協定ごとにHS版が異なる)[参照日:2026-02-25]
  • FTA/EPA本文・運用ガイダンス(HS版の扱い)
    • 税関:RCEP協定 概要資料(HS2012表記の明示)[参照日:2026-02-25]
    • 税関:TPP11(CPTPP)原産地規則資料(HS2012表記の明示)[参照日:2026-02-25]
    • 経済産業省:EPA/FTA手続におけるHS版の留意(国内はHS2022、協定は版が異なる)[参照日:2026-02-25]
  • 規制(石綿・安全保障貿易管理)
    • 厚生労働省:石綿含有品の禁止(0.1%超で製造・輸入等が禁止)[参照日:2026-02-25]
    • 経済産業省:安全保障貿易管理(リスト規制/輸出令別表第1、キャッチオール規制)[参照日:2026-02-25]
    • 経済産業省:炭素繊維に関するQ&A(申請時に求められる資料等)[参照日:2026-02-25]
    • 経済産業省:該非判定マトリクス表の案内(政省令・通達の一覧化)[参照日:2026-02-25]

査読結果と主な修正点(ご依頼への対応)

  • 重要:今回のメッセージには「下記のブログ記事のドラフト」本文が含まれていませんでした。
    そのため、**草稿に対する逐条の赤入れ(どの文をどう直したか)**は実施できていません。草稿本文をご提示いただければ、同じ出典に照らして差分を明確化して再提示できます。
  • 代替として、本稿で「出所から確認して反映した点(=誤りが出やすい論点の是正ポイント)」を明確化します:
    1. 第68類注1・注2の実務影響(除外先、6802対象石の拡張、三脚は9620等)を、税関の関税率表解説に基づいて整理しました。
    2. **6802.10の寸法要件(7cm未満)**など、数値条件は根拠資料に当たって明記しました。
    3. 6812/6815のHS2017→2022改正点は、WCO相関表(Table I)で確認し、表(7-1)に落としました。
    4. 石綿(アスベスト)0.1%超の禁止は、厚労省の注意喚起・資料に基づき、分類だけでなく規制観点(証明・分析の必要性)として本文に組み込みました。
    5. 炭素繊維等の輸出管理は、経産省の公式ページ(リスト規制・キャッチオール、炭素繊維Q&A)を根拠に、確認先・準備物を整理しました。
    6. 読みやすさのため、用語(類/項/号/部/注)を冒頭で統一し、判断フロー・チェックリスト・誤り→対策の型に揃えました(体裁の校正)。

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。