HS2022 第69類:陶磁製品(Ceramic products)実務向け整理

(第69類の範囲・除外は類注(注)で強く規定されます。)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 耐火れんが・耐火ブロックなどの耐火建材(6901〜6903)
    • 建築用れんが、床用ブロック(6904)
    • 屋根瓦・煙突用陶器部材などの陶磁製建材(6905)
    • 陶磁製の管・継手(6906)
    • 陶磁製タイル、モザイク、仕上げ用陶磁製品(6907)
    • 便器・洗面台等の衛生陶器(6910)、食器(6911/6912)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 電気がい子・電気絶縁用物品 → 8546 / 8547(第69類注で除外)
    • ボタン → 9606、喫煙用パイプ → 9614(第69類注で除外)
    • サーメット(cermets) → 8113(第69類注で除外)
    • 美術品(例:美術的価値を持つ作品) → 第97類(第69類注で除外)
    • 研削用の砥石等(一定のもの) → 6804(第69類注で除外)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「成形後に焼成した陶磁製品」か(焼成していない/800℃未満加熱だけは原則NG)
    2. 用途が明確に別章へ飛ぶ除外品か(電気絶縁物品、ボタン、美術品等)
    3. タイル類は“吸水率(全重量比)”で6桁が割れる(6907.21/22/23)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 食器・器具を輸入するのに、食品衛生法上の「食品等輸入届出」や材質規格対応(鉛・カドミウム溶出など)を見落とすケース(分類そのものだけでなく、“食器として扱う/扱わない”の判断が実務コストに直結)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し文言+類注):第69類は類注(注)で範囲・除外がはっきりしており、まずここで落とします。
    • GIR6(6桁の文言):6907(タイル類)の吸水率、6902/6903(耐火物)の化学成分割合、6909のモース硬度など、6桁の条件が強いです。
    • GIR3(b)(本質):陶磁器+金属ふた等の複合品、複数品のセット(例:カップ+別の食品)で登場します。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(用途、材質、状態、加工度など)
    • 「セラミック○○」という商品名でも、焼成の有無用途(建材/衛生/食器/工業用)電気絶縁用途かで類が変わります。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:それは成形後に焼成した“無機・非金属材料”の製品ですか?
    • YES → Step2
    • NO(樹脂硬化等で800℃未満の加熱だけ等)→ 第69類外(別類候補を再検討)
  • Step2:耐火物(炉内等の高温用途)ですか?
    • YES → 6901〜6903へ(材質・形状で分岐)
    • NO → Step3
  • Step3:形状・用途で大枠を決める
    • 建築用れんが等 → 6904
    • 屋根瓦・煙突部材等 → 6905
    • 陶管・継手 → 6906
    • タイル/モザイク/仕上げ材 → 6907
    • 実験・化学・技術用途/農業用槽/陶製の包装用容器 → 6909
    • 衛生陶器(便器・洗面等) → 6910
    • 食器・台所用品・家庭用品・化粧/トイレ用品 → 6911(磁器)/6912(その他)
    • 小像・装飾品 → 6913
    • その他 → 6914
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第69類(陶磁) vs 第70類(ガラス):ガラスやガラスセラミックスは通常第70類側に寄ります(材質の本質で判断)。
    • 第69類(衛生陶器6910) vs 69.11/69.12(浴室用品):洗面ボウルや便器などの「衛生用備付品」か、タオル掛け等の「用品」かで変わります。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
6901けいそう土等の耐火陶磁製品(れんが等)キーゼルグール系耐火れんがまず「けいそう土等」か、耐火用途か
6902その他の耐火れんが等(建材形状)マグネシアれんが、アルミナれんが**酸化物成分比(>50%)**で6桁分岐
6903その他の耐火陶磁製品るつぼ、ノズル、さや、レトルト**遊離炭素>50%**等で6桁分岐
6904陶磁製の建築用れんが等建築用れんが、床用ブロック建築用れんが(6904.10)かその他か
6905屋根瓦・煙突部材・建築用陶磁製品屋根瓦、装飾タイル(建築用途)屋根瓦(6905.10)か、他の建材か
6906陶磁製の管・導管・継手陶管、陶製継手配管用途で他材質(プラ/金属)と混同注意
6907タイル・モザイク・仕上げ用陶磁製品床/壁タイル、モザイク、仕上げ材吸水率、モザイク、仕上げ材で分岐
6909実験/化学/技術用陶磁器、農業用槽、包装用陶製容器実験用るつぼ(非耐火の技術用)、陶製ジャー電気絶縁物は除外(8546/8547)、硬度条件あり
6910衛生陶器便器、洗面台、ビデ、尿器「備付品」か、浴室用品か(6911/6912へ)
6911磁器製の食器・家庭用品等磁器カップ、磁器皿「磁器(porcelain/china)」の判定が核心
6912陶磁製の食器・家庭用品等(磁器除く)陶器の皿、せっ器のマグ6911との境界=材質(陶器/せっ器/半磁器など)
6913陶磁製の小像・装飾品置物、装飾花瓶(実用品でない)美術品(第97類)との境界に注意
6914その他の陶磁製品上記に当たらない陶磁製品6909/6913との振り分けが頻出

(見出し文言・類注の骨格はHS条文に基づきます。)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(頻出)
    • 6902(耐火れんが等):主要酸化物の含有量が全重量の50%超か(Mg/Ca/Cr系 vs Al2O3/SiO2系 vs その他)
    • 6903(その他耐火品)遊離炭素が50%超か、アルミナ(またはAl2O3+SiO2)50%超
    • 6907(タイル):**吸水率(全重量比)**が
      • 0.5%以下(6907.21)
      • 0.5%超〜10%以下(6907.22)
      • 10%超(6907.23)
      • モザイク(6907.30)
      • 仕上げ用陶磁製品(6907.40)
    • 6909(技術用途):陶磁器(磁器か否か)/モース硬度9以上の条件(6909.12)
    • 6910(衛生陶器):磁器(6910.10)か、その他か(6910.90)
    • 6911 vs 6912(食器・家庭用品)磁器か否か(素材の性質で判断)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組)
    1. 6907.21 / 6907.22 / 6907.23(吸水率)
      • どこで分かれるか:吸水率(全重量比)の閾値 0.5% / 10%
      • 判断に必要な情報:吸水率の試験成績(仕様書・試験報告書)、製品の種類(タイル/クラッディング等)
      • 典型的な誤り:「タイル=全部同じ」として吸水率証憑なしで付番
    2. 6911(磁器)/ 6912(その他)
      • どこで分かれるか:磁器は「ほぼ完全にガラス化・硬い・本質的に不浸透・半透明(厚い場合除く)・反響性」等の性状で説明されます(実務は製品仕様と材質区分で判定)。
      • 判断に必要な情報:材質名(porcelain/china、stoneware、earthenware等)、製法、カタログ、必要に応じ試験/社内技術回答
      • 典型的な誤り:見た目が白い=磁器、という短絡
    3. 6910(衛生陶器) vs 6911/6912(トイレ用品・浴室用品)
      • どこで分かれるか:「洗面台・便器等の衛生用備付品」か、タオル掛け等の用品か
      • 判断に必要な情報:取付方法(配管接続の有無、固定設置か)、機能(衛生設備か、付属品か)
      • 典型的な誤り:浴室にある=全部6910、としてしまう(タオル掛け等は6911/6912側になり得る)
    4. 複合品(陶磁器+金属等)
      • どこで分かれるか:セット/複合品としての本質(GIR3(b))
      • 判断に必要な情報:構成材料、各部の機能、価格比、使用時の役割
      • 典型的な誤り:主要部品の材質だけで即決
      • 参考になる国際分類例:磁器の灰皿(ボウル)+鋼製ふた等は「本質」をみる整理になっています。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第13部(Section XIII)は、HS目次上、独立した「Section Notes(部注)」が明示されていません(目次では第68〜70類が並列提示)。実務上は、各章(68/69/70)の類注・見出し文言で境界を切ります。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 「石・セメント製品(第68類)」「陶磁(第69類)」「ガラス(第70類)」の素材×製法でまず三分し、そこから類注で確定させます。
      • 例:同じ“タイル”でも、焼成した陶磁タイルは69類、ガラスモザイクは70類側など。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • Section XIIIの部注による飛びというより、第69類注2の除外(電気絶縁物品、ボタン、美術品など)で他章へ飛ぶ、が典型です。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • (注1)この類は「成形後に焼成した陶磁製品」に限定されます。
    • (注1(b))800℃未満の加熱(樹脂硬化・水分除去等)のみは“焼成”とみなされず、第69類に入らない、という実務に効く線引きがあります。
    • (注2)除外品:電気絶縁物品(8546/8547)、ボタン(9606)、喫煙用パイプ(9614)、第97類の美術品等。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 条文上、陶磁製品は「無機の非金属材料を、一般に室温で調製・成形し、焼成して得られる」と整理され、原材料例(粘土、けい酸質材料、酸化物・炭化物・窒化物・黒鉛等)も示されています。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 電気がい子・電気絶縁用物品 → 8546 / 8547
    • ボタン → 9606、喫煙用パイプ → 9614
    • サーメット → 8113
    • 美術品 → 第97類

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:「焼成品」要件(注1)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 製造工程(成形 → 焼成の有無、焼成温度レンジ)
      • 800℃未満加熱の有無(それが“焼成”の代替になっていないか)
    • 現場で集める証憑:
      • 工程表、焼成炉条件(温度プロファイル)、仕様書、MSDS/材料説明、カタログ、製造者宣誓書
    • 誤分類の典型:
      • 「セラミック(商品名)」だけで第69類に入れてしまい、実は低温硬化(<800℃)で第69類外だった
  • 影響ポイント2:除外規定(注2)で“材料が陶磁でも他章に飛ぶ”
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 電気絶縁用途か(8546/8547)
      • 美術品としての性格があるか(97類)
      • ボタン/喫煙用パイプ等の用途・形状
    • 現場で集める証憑:
      • 用途資料(設計図、用途説明、取扱説明書)、写真、販売形態、セット構成
    • 誤分類の典型:
      • “陶磁製”という理由だけで69類に残してしまい、注2除外を見落とす
  • 影響ポイント3:6911/6912(磁器か否か)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 材質区分(porcelain/china か、earthenware/stoneware/半磁器等か)
      • 性状(不浸透性・半透明性などの説明)
    • 現場で集める証憑:
      • メーカーの材質証明、カタログ、品質仕様(吸水率や焼成温度帯の情報があると補強になる場合)
    • 誤分類の典型:
      • 見た目だけ(白い/薄い/光る)で磁器扱い

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:「セラミック製」表記だけで第69類に入れる
    • なぜ起きる:マーケ用語の“セラミック”が広すぎる(樹脂硬化品や複合材にも使われる)
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):第69類は「成形後に焼成」限定、かつ<800℃加熱は焼成扱いしない場合がある
    • 予防策:工程表(焼成温度)、材質説明を取得。「焼成炉に入れているか/何℃か」を社内・サプライヤに質問
  2. 間違い:タイル(6907)を吸水率未確認で付番
    • なぜ起きる:見た目が同じでも吸水率で6桁が割れる
    • 正しい考え方:6907.21/22/23は吸水率の閾値で分岐
    • 予防策:試験成績(吸水率)を取得。過去実績があってもロット・仕様変更の有無を確認
  3. 間違い:衛生陶器(6910)と浴室用品(6911/6912)を混同
    • なぜ起きる:「トイレ周りの陶磁器=6910」と思い込み
    • 正しい考え方:便器・洗面など“衛生用備付品”が6910、タオル掛け等は6911/6912側になり得る(解説で明示)
    • 予防策:設置形態(配管接続の有無、固定設置か)と用途をカタログで確認
  4. 間違い:6911(磁器)/6912(その他)の判定を「色」や「釉薬」で決める
    • なぜ起きる:外観の印象に引っ張られる
    • 正しい考え方:磁器は性状・材質区分で整理される(硬質/軟質/骨灰等を含む)
    • 予防策:メーカー材質区分(porcelain/china vs stoneware/earthenware等)を取得。社内に陶磁材質の判定基準を作る
  5. 間違い:陶磁製でも電気絶縁物品を69類に入れる
    • なぜ起きる:「素材=陶磁」だけで判断し、注2除外を見落とす
    • 正しい考え方:電気がい子(8546)・電気絶縁用物品(8547)は第69類注で除外
    • 予防策:用途(絶縁目的か)を設計資料で確認。電気部品はまず第85類を横断確認
  6. 間違い:複合品の本質判定をせず、陶磁部品だけを見て69類にする
    • なぜ起きる:構成が多い製品(例:灰皿+金属ふた)で全体像を見ない
    • 正しい考え方:GIR3(b)で本質を判断する場面がある(国際分類例が参考)
    • 予防策:構成表(部材・重量・価額・機能)を取得し、分類メモに「本質の理由」を残す

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します(誤ると原産性判断が崩れる)
  • よくある落とし穴:
    • 最終品(例:6911 食器)だけでなく、非原産材料(釉薬、素地材料、付属部品)のHS整理が雑で、CTC判定が崩れる
    • セット品・複合品で最終HSが変わり、PSRが変わる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 実務では、協定や税率表が旧版HSに基づく場合があり得ます(協定文・運用で確認が必要)。日本の関税率表でも、EPA税率が旧品目表に基づく場合がある旨の注意書きがあります。
  • ズレがある場合の注意:
    • HS2022の6桁で分類しても、協定側のPSRがHS2012/HS2017参照だと、**トランスポジション(旧→新対応)**が必要

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 少なくとも「なぜそのHSになったか(類注・要件)」と「どのPSRを適用したか」を社内で説明できる状態にする

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022注の拡充(文言追加)第69類注1「焼成品のみ」から、800℃未満加熱は焼成扱いしない等の説明が追加“セラミック”表記製品で工程確認の重要度が上がる(低温処理品の誤分類防止)
HS2017→HS2022文言修正(定義の置換)6903.10HS2017の「graphite/other carbon」から、HS2022は「free carbon」表現に整理炭素系耐火物の説明・証憑(遊離炭素の定義)を揃える必要がある
HS2017→HS2022文言修正(例示追加)69.03 見出し耐火陶磁製品の例示に「slide gates」等が明示対象物品の理解がしやすい(実務判断の説明性向上)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料(一次):
    • HS2022の第69類条文(WCO公開PDF)と、HS2017の第69類条文(WCO公開PDF)を対比し、
      • 注1がHS2022で(a)〜(c)の形に拡充され、800℃未満加熱の扱いが明文化されていること
      • 6903.10の表現がHS2017の「graphite/other carbon」からHS2022の「free carbon」に変わっていること
        を確認しました。
  • 補足(国内解釈の整合):
    • 日本税関の関税率表(類注)でも、注1(b)として800度未満の記載が確認でき、HS2022注の内容と整合します。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理(第69類の代表例)
版の流れ変更タイプ旧コード → 新コード(例)変更の要旨実務メモ
HS2012→HS2017統合・再編(タイル)6907/6908(旧)6907.21〜6907.40(新)69.08は未使用(削除/予約扱い)旧6907・6908の範囲を見直し、吸水率等の構造に整理旧版参照の契約・PSR・統計比較ではトランスポジション必須
HS2017→HS2022注の拡充69類注1800℃未満加熱の扱い等が明文化工程確認の重要度が上がる
HS2007→HS2012(本表の相関表で確認できる範囲では)大きな再編なし相関表は“変更がある箇所中心”のため、当該類が出ない=変更が小さい可能性不安な場合は対象コードを直接対比(条文)で確認

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「低温硬化“セラミック部材”を第69類で申告」
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):注1(b)(800℃未満加熱は焼成扱いしない)を見落とし
    • 起きやすい状況:材料名が“ceramic”、工程が樹脂硬化中心
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、審査長期化(工程説明の追加要求)
    • 予防策:工程表・焼成温度の証憑を事前に準備、疑義があれば事前教示検討
  • 事例名:「電気絶縁用の陶磁部品を6909/6914で申告」
    • 誤りの内容:注2(f)(8546/8547除外)を見落とし
    • 起きやすい状況:材質が陶磁で、用途説明が不十分
    • 典型的な影響:分類更正、場合により関連規制(電気用品等)の確認増
    • 予防策:用途・機能を明確化(絶縁か否か)、設計資料添付
  • 事例名:「衛生陶器6910と浴室用品6911/6912の混同」
    • 誤りの内容:衛生“備付品”の概念を誤認
    • 起きやすい状況:浴室・トイレ向けの商品群を一括で同一コードにしてしまう
    • 典型的な影響:税番訂正、統計誤り、社内マスタ再整備
    • 予防策:配管接続・固定設置の有無で切り分け(カタログ・図面)
  • 事例名:「吸水率の証憑がなく、6907.21/22/23でブレる」
    • 誤りの内容:6907の6桁条件(吸水率)を裏付けなしで申告
    • 起きやすい状況:タイル・クラッディング材の多品種輸入
    • 典型的な影響:検査・照会、通関遅延
    • 予防策:吸水率の試験報告書、仕様変更履歴の管理

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 食器・器具(陶磁器の食器等)を販売・営業用途で輸入する場合、食品衛生法に基づき輸入届出義務があります(検疫所で受付、審査・検査要否判断)。
    • ガラス・陶磁器・ホウロウ引き製品には、材質別規格として鉛・カドミウム溶出等の基準が設定されています(深さ/容量・加熱調理用か否かで区分)。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 第69類の一般的な陶磁製品そのものは通常対象外(ただし装飾に動植物由来素材を使う場合は別途確認)
  • 安全保障貿易管理
    • 一般的な陶磁製品は直ちに該当しませんが、高機能セラミックスが特定用途(軍事転用可能用途等)に該当する可能性がある場合は別途確認(個別判定)
  • その他の許認可・届出
    • 食器の輸入実務では、HS分類と並行して、届出書類(材質・形状が分かる資料等)整備が求められます(一般論)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 厚生労働省「食品等輸入手続について」
    • 検疫所(届出窓口、規格基準案内)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 材質・仕様書、製造工程表、製品写真/カタログ、必要に応じ試験成績(鉛・カドミウム溶出等)、過去の届出実績番号

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • どんな製品か:用途(建材/食器/衛生/工業用)、設置方法、使用環境
    • 材質:磁器/せっ器/陶器/ガラスセラミック等の区分、構成材料(複合品)
    • 工程:成形後に焼成したか、焼成温度帯(<800℃加熱のみではないか)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注2除外(8546/8547、9606、97類等)に当たらないか
    • 6907は吸水率、6902/6903は成分比など、6桁条件を証憑で裏付けたか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名に「用途」「材質」「型番」を含める(“ceramic parts”だけは避ける)
    • 数量単位:HSの標準数量単位(例:6907はm²、6910は個(u)など)を意識し、誤入力を防ぐ
    • 補足資料:吸水率試験、材質証明、工程表、写真
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 最終HSが正しいか(PSRが変わる)
    • 旧HS版参照の協定ならトランスポジションを実施
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食器・器具:食品衛生法の輸入届出、材質別規格への適合(鉛・カドミウム溶出等)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文・相関表・改正パッケージ等)
    • WCO HS Nomenclature 2022 – Chapter 69(Ceramic products) (参照日:2026-02-25)
    • WCO HS Nomenclature 2017 – Chapter 69(Ceramic products) (参照日:2026-02-25)
    • WCO Recommendation – Standard Units of Quantity (HS2022) (参照日:2026-02-25)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関:実行関税率表(2022年1月1日版)第69類 類注(69r.pdf) (参照日:2026-02-25)
    • 税関:関税率表解説 第69類(69r.pdf) (参照日:2026-02-25)
    • 税関:国際分類例規(第69類) (参照日:2026-02-25)
    • 税関:WCO相関表(HS2017→HS2012) (参照日:2026-02-25)
  • 規制(食品衛生法・検疫)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続について (参照日:2026-02-25)
    • 検疫所(例:大阪検疫所):材質別規格(ガラス・陶磁器・ホウロウ引き) (参照日:2026-02-25)
  • その他
    • JETRO:食器の輸入手続き(参考:分類例や実務概要) (参照日:2026-02-25)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

 

FTAでAIを活用する:株式会社ロジスティック

Logistique Inc.

投稿者: shima

嶋 正和 株式会社ロジスティック 代表取締役社長

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