- 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)
- この類に入る代表例(3〜6個):
- 真珠(天然/養殖。未加工・加工の別あり)…7101
- ダイヤモンド(未枠・未セット)…7102
- 合成/再生の貴石・半貴石(例:合成ダイヤ、キュービックジルコニア)…7104
- 貴金属(銀・金・白金族)の地金・半製品・粉…7106/7108/7110
- 貴金属(または貴金属を張った金属)のくず・回収目的のスクラップ…7112(ただし85.49除外に注意)
- 宝飾品(貴金属製のジュエリー)…7113、模造アクセサリー…7117、貨幣…7118
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- 電気・電子機器のくず(e-waste):たとえ貴金属回収目的でも、**85.49(8549)**側に寄り得ます(71.12は“85.49を除く”と明記)
- ボタン(96.06)、ヘアピン・ヘアスライド等(96.15):アクセサリーっぽく見えても「模造細貨類」から除外
- 時計(第91類)、**楽器(第92類)**など:宝石付きでも“完成品としては別類”になりやすい(機械類・電気機器等も同様の除外が注で規定されます)
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- 素材は何か:真珠/宝石(天然か合成か)/貴金属(合金含む)/貴金属を張った金属/それ以外(模造)
- 「貴金属の合金」判定(2%ルール):白金・金・銀がそれぞれ全重量の2%以上かで合金として扱いが変わります
- スクラップの境界:7112(貴金属スクラップ) vs 8549(電気電子機器のくず)
- この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面(例):
- 貴金属スクラップ(税率・規制・廃棄物規制・検査負担が変わり得る)
- 合成ダイヤ/天然ダイヤの取り違え(HS2022で7104側のダイヤ細分が増え、統計・規制の観点でも説明資料が求められやすい)
- 「メッキ」なのか「貴金属を張った金属(clad)」なのか(見出しの適用が変わる)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)
1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)
- この類で特に効くGIR
- GIR1(見出し+注):第71類は、注(特に「貴金属」「合金」「clad」「ジュエリー」「模造細貨類」の定義)で範囲が決まるため、品名だけで決めないのが鉄則です。
- GIR6(6桁の分岐):
- 「粉(powder)」の定義(0.5mmふるい90%以上通過)
- 7110.11/7110.19の“白金”の扱い(Ptのみ)
- 7110の合金の号決定(最も重量が大きい金属)
など、6桁レベルで注が効きます。
- GIR3(セット・複合品):真珠ネックレス(留め具あり)や宝飾セットなど、複数素材の組合せは「本質的特性(essential character)」で整理する場面があります(ただし注で明確に決まる場合は注優先)。
- 「品名だけで決めない」ための観点
- 材質:貴金属の含有(合金・メッキ・cladの別)/宝石が天然か合成か
- 状態:未加工(unworked)・単純加工・加工済み(worked)/未枠・未セットか
- 用途:装飾(ジュエリー)か、家庭用・宗教用等の「金銀細工品」か、回収目的のスクラップか
- 形態:粉・塊(unwrought)・半製品(semi-manufactured)・完成品
※これらは見出しの語と注の定義で判断します。
1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)
- Step1:“そもそも第71類か”
- 電気電子機器のくず(85.49)/ボタン(96.06)/ヘアピン等(96.15)など、別類が明確なものは先に除外候補を当てます。
- Step2:素材を確定
- 真珠(天然/養殖)/宝石(ダイヤ・その他)/合成・再生石/貴金属(銀・金・白金族)/clad/それ以外
- Step3:“状態(未枠・未セット/未加工・加工)”を確定
- 7101〜7104は「糸通し・取り付け・セット」を原則含まず、輸送の便宜のための一時的な糸通しは例外的に含む、という構造です。
- Step4:製品類型を確定
- スクラップ→7112(ただし85.49除外)
- ジュエリー→7113(注9の定義)
- 金銀細工品→7114(注10の定義)
- その他の貴金属製品→7115
- 宝石・真珠“製”の物品→7116
- 模造細貨類→7117(注11の定義)
- 貨幣→7118
- Step5:**6桁の分岐(粉/合金/ダイヤ細分など)**へ
- よく迷う境界(例)
- 7112(貴金属スクラップ) vs 8549(e-waste):PCBや電子部品・回路基板を含む場合、85.49側の説明資料が必要になりやすい
- 7113(貴金属ジュエリー) vs 7117(模造):貴金属が“本体材料”か、単なるメッキか/“clad”かで結論が変わります
2. 主な項(4桁)とその内容
2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 7101 | 真珠(天然/養殖)※原則未糸通し・未取付 | ルース真珠、養殖真珠(未加工/加工) | 永続的な糸通しは原則ここから外れやすい。一時的糸通し(輸送便宜)は含む。 |
| 7102 | ダイヤモンド(未枠・未セット) | 原石/単純加工ダイヤ、工業用ダイヤ | 粗ダイヤ(未加工・単純加工)はKPCS対象になり得る(規制面も要注意)。 |
| 7103 | ダイヤ以外の貴石・半貴石(天然) | ルビー、サファイア、エメラルド、翡翠等 | 取り付け・セット品は原則除外。 |
| 7104 | 合成/再生の貴石・半貴石 | 合成ダイヤ、CZ(キュービックジルコニア)、培養水晶 | HS2022で“合成ダイヤ”の細分が強化。 |
| 7105 | 貴石・半貴石のダスト/粉 | ダイヤ粉、研磨粉 | 0.5mmふるい90%通過の「粉」定義は貴金属側の号注だが、粉体は性状説明が重要。 |
| 7106 | 銀(地金・半製品・粉) | 銀地金、銀板・銀線、銀粉 | 「粉」定義あり。銀は“金/白金メッキ銀”も含む見出し。 |
| 7107 | 卑金属に銀を張ったもの(半製品まで) | 銀張り板/線材(clad) | “clad”は機械的方法で被覆(メッキとは別)。 |
| 7108 | 金(地金・半製品・粉/非貨幣用・貨幣用) | 金地金、金粉、金線、monetary gold | 「非貨幣用/貨幣用」で分岐。 |
| 7109 | 卑金属又は銀に金を張ったもの(半製品まで) | 金張り(clad)材 | “clad”の該当性が鍵。 |
| 7110 | 白金(=白金族)※地金・半製品・粉 | Pt/Pd/Rh等の地金・粉 | ただし7110.11/7110.19はPtのみ(号注で限定)。 |
| 7111 | 卑金属等に白金を張ったもの(半製品まで) | Pt張り材(clad) | “clad”の該当性が鍵。 |
| 7112 | 貴金属(clad含む)のくず、回収目的のくず | 貴金属スクラップ、灰、回収用くず | この項に該当する物品は原則ここに専属(注8)。ただし85.49除外に注意。 |
| 7113 | 宝飾品(ジュエリー)と部分品(貴金属・clad) | 指輪、ネックレス、ブローチ等 | 注9の定義が根拠。ポケット用品(シガーケース等)も含み得る。 |
| 7114 | 金銀細工品(家庭用・宗教用等)と部分品 | 銀食器、宗教用品、装飾品など | 注10の定義が根拠。 |
| 7115 | その他の貴金属製品(clad含む) | Pt網状触媒、工業用部材 | 7115.10はPt網状触媒(wire cloth/grill)。他は“その他”。 |
| 7116 | 真珠・宝石“製”の物品 | 真珠の置物、翡翠の彫刻、宝石製品 | 宝飾金属の有無・程度、用途で7113/7116等が分岐し得る。 |
| 7117 | 身辺用模造細貨類(模造ジュエリー) | コスチュームジュエリー、金メッキアクセ | 真珠・宝石・貴金属(clad含む)は原則不可。ただしメッキやさ細な部分は可。 |
| 7118 | 貨幣 | コイン | 7118.10は“金貨以外”かつ“法定通貨でない”など、要件確認。 |
2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)
- 分岐条件の整理(よく効くもの)
- 天然か養殖か/天然か合成・再生か(7101〜7104で中核)
- 未加工(unworked)/単純加工/加工(worked)(特に7101・7102)
- 粉の定義:0.5mmふるいに90%以上通過=「粉/粉状」
- 白金族の扱い:
- 「白金(platinum)」は原則“白金族”を含む
- ただし 7110.11/7110.19 では “白金(Pt)に限定”
- 71.10(白金族)の合金:Pt/Pd/Rh/Ir/Os/Ruのうち重量最大の金属の号へ
- 71.12(スクラップ):
- 見出し上、85.49を除く(e-wasteは85.49側へ)
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組)
- 7104.21 / 7104.29(合成・再生石:未加工等)
- どこで分かれるか:ダイヤモンド(合成・再生)か、それ以外か
- 判断に必要な情報:材質証明(合成ダイヤか)、製法/鑑別書、用途説明
- 典型的な誤り:合成ダイヤを“その他(Other)”に寄せてしまう
- 7104.91 / 7104.99(合成・再生石:その他)
- どこで分かれるか:同様にダイヤか否か
- 判断に必要な情報:カット済か、グレーディング有無、鑑別書
- 典型的な誤り:加工度の説明不足で“Other”に流れる
- 7112(貴金属スクラップ) / 8549(電気電子機器のくず)
- どこで分かれるか:対象が電気・電子機器のくずとして整理される性状か(回路基板、電子部品、電池等の混在など)
- 判断に必要な情報:写真、混在物リスト、前処理工程、回収工程(どの工程で何を回収するか)
- 典型的な誤り:「金が入っているから7112」と短絡
- 7110.11/7110.19(Pt) / 7110.21以降(Pd等)
- どこで分かれるか:Ptなのか、Pd/Rh等なのか(さらに粉か否か等)
- 判断に必要な情報:成分分析(ICP等)、ミルシート、MSDS
- 典型的な誤り:注4(B)の“白金=白金族”だけを見て、7110.11/7110.19にPd等を入れてしまう(実際は号注でPt限定)
- 7104.21 / 7104.29(合成・再生石:未加工等)
3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)
3-1. 関連する部注(Section Notes)
- ポイント要約:
- 第71類の注8は「71.12に該当する物品は、原則として71.12に専属」としたうえで、第6部注1(A)を例外として参照しています。
- また、日本の分類例規では、第71類内で使う「棒・形材・板・シート・ストリップ」の定義を、第15部注9の定義に寄せています(形状説明の統一)。
- 実務での意味(具体例つき):
- 71.12(スクラップ)を主張するなら:「回収目的」「くず(scrap)としての性状」「混在物」を、写真・工程図で説明できるようにしておく(e-wasteとの境界で必須)。
- 地金・半製品の形状(板・線・棒など)を説明する際は、用語の定義を揃えて記載すると、税関照会対応が早くなります。
- “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
- 71.12に見えても、電気電子機器のくずとして整理されるなら85.49へ(見出し側で明示的に除外)。
- (例外として参照される)第6部注1(A)は、28.44/28.45に該当する物品は同項に専属、という趣旨です(レアケースですが、注の“優先関係”として押さえる価値があります)。
3-2. この類の類注(Chapter Notes)
- ポイント要約(実務で特に使うもの):
- 注5:合金の2%ルール(白金/金/銀のどれを“貴金属合金”として扱うか)
- 注6:貴金属の参照には合金を含むが、cladやメッキは含まない(文脈による例外はあり得る)
- 注7:clad(金属を張った金属)の定義(はんだ付け・ろう付け・溶接・熱間圧延などの機械的方法。象眼も含む)
- 注8:71.12は専属(ただし第6部注1(A)の例外参照あり)
- 注9:71.13の「身辺用細貨類(ジュエリー)」の定義(小型装飾品+携帯用品)
- 注10:71.14の「金銀細工品」の定義(家庭用・事務用・宗教用等)
- 注11:71.17の「身辺用模造細貨類」の定義(真珠・宝石・貴金属/cladは原則不可、ただしメッキやさ細な部分は可。96.06/96.15除外)
- 用語定義(定義がある場合):
- 「粉/粉状」:0.5mmふるい90%以上通過
- 「白金(platinum)」:原則は白金族を含むが、7110.11/7110.19はPtに限定
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
- 71.12は「85.49を除く」と明記(電気電子機器のくずは85.49へ)。
- 模造細貨類の定義から、ボタン(96.06)・ヘアアクセ等(96.15)を除外。
4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)
- 影響ポイント1:2%ルール(合金が貴金属扱いになるか)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):成分%(重量比)、主成分金属、合金種別
- 現場で集める証憑:ミルシート、成分分析表(ICP)、MSDS、購入仕様書
- 誤分類の典型:金含有1.9%の合金を“金合金(貴金属)”扱いにしてしまう/逆に2%超を卑金属側にしてしまう
- 影響ポイント2:clad(金張り等) vs メッキ(plated)
- 何を見れば判断できるか:製造方法(熱間圧延等で張り合わせか、電気めっき等か)、断面構造
- 現場で集める証憑:製造工程図、断面写真、仕様書(cladの表示)、表面処理情報
- 誤分類の典型:「金メッキ=金張り(clad)」と誤解して、7109/7111/7113.20等に寄せてしまう
- 影響ポイント3:スクラップ(7112)専属性+e-waste除外
- 何を見れば判断できるか:貨物が「貴金属のくず」か「電気電子機器のくず」か(混在物・形態・回収工程)
- 現場で集める証憑:写真、混合リスト、前処理工程、回収工程(回収対象金属)
- 誤分類の典型:「貴金属回収用だから7112」として、回路基板・電子部品混在のe-wasteを見落とす
- 影響ポイント4:“模造細貨類(7117)”の定義
- 何を見れば判断できるか:真珠・宝石・貴金属/cladの使用有無、使用している場合は「メッキ/さ細な部分」に留まるか
- 現場で集める証憑:材質表、めっき仕様、部品表(留め具等)、写真
- 誤分類の典型:金メッキアクセを7113へ/逆に、貴金属部材が実質的に主要部分なのに7117へ
5. 分類でよくある間違い(原因→対策)
- 間違い:「金メッキのアクセサリー」を7113(貴金属ジュエリー)にする
- なぜ起きる:品名に“gold”が入る、外観が金色、で短絡
- 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):模造細貨類は、貴金属は原則不可だがメッキは許容され得る、という定義がある一方、7113は“貴金属又はclad”が前提です。まず“cladか/メッキか”“貴金属が主要部材か”を確定します。
- 予防策:めっき仕様(方法・厚み・下地材)、主要材質、部品表(留め具の材質)を社内から回収
- 間違い:貴金属含有合金を、卑金属側(第15部など)に寄せる(または逆)
- なぜ起きる:合金の“少量含有”を見落とす/成分表がない
- 正しい考え方:2%ルールで“貴金属合金”扱いが決まります(白金→金→銀の整理も含む)。
- 予防策:成分表(重量%)の入手を輸入前の必須条件にする(ICP等の検査結果でも可)
- 間違い:合成ダイヤを天然ダイヤ(7102)側にしてしまう
- なぜ起きる:鑑別情報がない/“ダイヤ”という商品名だけで処理
- 正しい考え方:合成・再生石は7104で、HS2022では7104内で“ダイヤ”が明確に細分されています。
- 予防策:鑑別書(天然/合成)、製法・仕入先証明、カット状態の説明を準備
- 間違い:貴金属スクラップ(7112)に見えるe-wasteを、7112で申告する
- なぜ起きる:回収対象が金・銀だから、という先入観
- 正しい考え方:71.12は85.49を除外しており、e-wasteとして整理されるなら85.49へ寄り得ます。HS2022で85.49が新設され、バーゼル条約との整合・モニタリング容易化の趣旨が示されています。
- 予防策:回路基板・電池・電子部品の有無、混在割合、前処理工程をインボイス添付資料で説明
- 間違い:白金族(PGM)の地金を、7110.11(Pt)にまとめてしまう
- なぜ起きる:「白金=白金族」という理解だけで、号注を見落とす
- 正しい考え方:7110.11/7110.19の“platinum”はPtに限定される旨が号注で規定されています。
- 予防策:元素別の分析結果を取得し、Pt/Pd/Rh等を分けて申告できるようにする
- 間違い:「ジュエリー」か「金銀細工品」かを曖昧にして7113/7114を誤る
- なぜ起きる:用途(装飾/家庭用/宗教用)の説明不足
- 正しい考え方:注9(ジュエリー)と注10(金銀細工品)の定義に沿って、品目の性格を説明します。
- 予防策:用途カタログ、販売形態(贈答/装飾/食卓用品等)、寸法・形状写真を準備
- 間違い:模造細貨類の除外(96.06/96.15)を見落とす
- なぜ起きる:「アクセサリーは全部7117」と思い込む
- 正しい考え方:模造細貨類の定義は96.06・96.15の物品を除外します。
- 予防策:品名を“button / hairpin”等の機能語で分類し直し、除外先の見出しを先に確認
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係
- HSの付番がPSR選択に直結します。第71類は素材・加工度・セットでコードが動きやすく、誤ると原産性判断(CTC/RVCなど)の前提が崩れます。
- よくある落とし穴
- **最終製品のHS(例:7113)**は合っているが、材料側(例:7108/7110/7104)のHSが曖昧
- セット・複合品で「本質的特性」を整理できていない(相手国でHSが変わるリスク)
- そもそも輸入国でのHSが日本と一致しない(EPA相談デスクでも“輸入国でのHS確認”が強調されています)
6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)
- 協定により参照HS版が異なります(例:CPTPP=HS2012、日EU・EPA=HS2017、RCEP=HS2022)。
- HS2022(現在の付番)で社内管理していても、PSRは旧版で書かれていることがあるため、協定が参照するHS版に合わせて読み替える必要があります(旧→新の対応は相関表で確認)。
6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)
- 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
- 証明書類・保存要件(一般論):インボイス、製造記録、仕入書、鑑別書(宝石)など、HSの根拠資料を保存しておくと、検認対応が早いです。
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)
7-1. 変更点サマリー(必須:表)
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 分割(細分新設) | 7104.20 → 7104.21/7104.29 | 合成・再生石のうち、合成ダイヤを独立細分 | 合成ダイヤの鑑別・説明が重要に(“ダイヤか否か”で6桁が変わる) |
| HS2017→HS2022 | 分割(細分新設) | 7104.90 → 7104.91/7104.99 | 7104内の“ダイヤ”を独立細分 | 同上(加工品でも“ダイヤ”判定が必要) |
| HS2017→HS2022 | 範囲変更(除外明記) | 7112 | 71.12の見出しに**「85.49を除く」**が明記 | スクラップ案件でe-waste(85.49)との境界説明が必須 |
| HS2017→HS2022 | 新設(他章) | 85.49(8549) | 電気電子機器のくずを分類する項を新設(バーゼル条約との整合等の趣旨が示される) | 旧来7112等で扱われがちだった案件が85.49へ動き得る |
7-2. 「違うことになった根拠」(必須)
- 7104の細分新設は、HS2022↔HS2017の相関表で「7104.20の細分」「7104.90の細分」として示されています。
- 71.12の見出し自体に「other than goods of heading 85.49」が入っているため、HS2022では“71.12に見えるものでも、電気電子機器のくずとして整理されるなら85.49へ”という整理がしやすくなっています。
- 85.49新設の背景として、日本税関のHS2022概要資料で、バーゼル条約で規制する廃棄物とHSコードを整合させ、モニタリングを容易化する趣旨が説明されています。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
第71類について、入手できる相関表(HS2012↔HS2007、HS2017↔HS2012)を確認した範囲では、第71類に関する大きな改正項目(新設・削除・再編)が相関表上に示されていませんでした。したがって、主要な改正は **HS2017→HS2022(7104細分、7112の85.49除外など)**が中心と整理できます。
| 改正の流れ | 主要な追加・削除・再編(第71類) | 旧コード→新コード(代表) | 備考 |
|---|---|---|---|
| HS2007→HS2012 | 相関表上、主要改正の掲載なし(第71類) | ― | 相関表に第71類の改正行が見当たらないため、「主要改正なし」と整理 |
| HS2012→HS2017 | 相関表上、主要改正の掲載なし(第71類) | ― | 同上 |
| HS2017→HS2022 | 7104の細分新設、7112の85.49除外明記 | 7104.20→7104.21/7104.29 等 | 85.49新設(他章)も境界に影響 |
9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)
- 事例名(短く):金メッキアクセの「貴金属ジュエリー」申告
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):7113(貴金属)として申告したが、実態は7117(模造)相当(メッキ・さ細な部分の扱い誤り)
- 起きやすい状況:商品名に“gold”が入る、EC輸入で仕様不明
- 典型的な影響:修正申告、課税価格確認、検査強化
- 予防策:めっき仕様・材質表・部品表の提出準備
- 事例名:回路基板スクラップを7112で申告
- 誤りの内容:71.12は85.49を除外。e-wasteに該当し得るのに7112で整理
- 起きやすい状況:金回収目的、混在物の説明不足
- 典型的な影響:品目変更、廃棄物該当性照会、通関遅延
- 予防策:混在リスト、工程図、写真を準備し「85.49か否か」を説明
- 事例名:合成ダイヤを天然ダイヤ(7102)扱い
- 誤りの内容:天然/合成の取り違え(7102↔7104)
- 起きやすい状況:鑑別書なし、サンプル輸入
- 典型的な影響:再鑑別要求、分類変更、原産地規則の再計算
- 予防策:鑑別書、仕入先の声明、製法情報を保管
- 事例名:CITES素材(例:象牙・べっ甲・サンゴ)混在の宝飾品
- 誤りの内容:HSは第71類でも、別途CITES手続が必要になり得る(許可書の未整備)
- 起きやすい状況:アンティーク、素材の学名不明
- 典型的な影響:差止め、返送・没収リスク、遅延
- 予防策:学名、原産地、条約適用前取得の証憑などを事前に確認(輸出国側許可の可否も含む)
10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
- 検疫・衛生(SPS等)
- 第71類そのものは食品・植物検疫の中心ではありませんが、“自然由来素材”(例:動植物由来の装飾素材)を含む場合、CITESや国内法が絡みます。
- ワシントン条約(CITES)等の種規制
- べっ甲・象牙・サンゴ等、対象種・派生品はCITESの規制対象になり得ます。輸出ではMETIの輸出承認とCITES輸出許可書が必要とされる旨が整理されています。
- 輸入でも、輸出国側の許可書(再輸出証明書を含む)の取得可否を事前確認し、インボイスに学術名等を記載して税関が対象外であることを確認しやすくする、という実務上の注意が示されています。
- 安全保障貿易管理(該当する場合)
- 第71類の多くは一般品ですが、**粗ダイヤ(7102の一部)**は外為法に基づく手続が必要で、キンバリー・プロセス証明制度(KPCS)に沿った要件(証明書、密封容器、非参加国との取引禁止等)が明示されています。
- さらに、政策措置により船積地域・原産地で輸入禁止等が追加されることがあるため、METI公表情報の最新確認が必要です。
- その他の許認可・届出
- **廃棄物(スクラップ)**は、85.49新設の背景にバーゼル条約との整合が示されているため、国際移動(輸出入)では廃棄物該当性・規制の有無を別途確認するのが安全です。
- 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
- METI(ダイヤモンド原石/CITES)
- 環境省(CITES・種の保存法)
- 税関(分類・HS改正資料)
- 実務での準備物(一般論)
- 宝石:鑑別書、仕様書、写真
- 貴金属:成分分析、ミルシート、製造工程
- スクラップ:混在物リスト、前処理工程、回収工程図、写真
- 規制品:許可書(CITES/KPCS等)、契約書、輸出入関連書類
11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 材質(天然/合成、貴金属含有%、メッキ/cladの別)
- 状態(未加工/加工、未枠/未セット、糸通しの有無)
- 用途(ジュエリー/金銀細工品/工業用/回収目的)
- 形態(粉・塊・半製品・スクラップ)
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 2%ルール、clad定義、模造細貨類の定義(96.06/96.15除外含む)
- 71.12か85.49か(e-waste該当性)
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- “diamond(天然/合成)”“plated/clad”など、誤解を招く単語は定義を補足(仕様書・鑑別書添付)
- スクラップは混在物・工程を具体化
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 協定の参照HS版(CPTPP/日EU/RCEPなど)を確認
- 材料HS・工程の根拠資料を保存
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 粗ダイヤ:KPCS(証明書・密封・参加国間取引等)
- CITES:対象種の確認、許可書の取得可否、学名の明記
12. 参考資料(出典)
- WCO:HS2022 Nomenclature(Chapter 71)※参照日:2026-02-26
- 日本税関:関税率表解説 第71類(71r)/分類例規(71rd)※参照日:2026-02-26
- WCO:HS2022 Nomenclature(Chapter 85:85.49)※参照日:2026-02-26
- 日本税関:HS2022改正概要資料(85.49新設の趣旨等)※参照日:2026-02-26
- 相関表(HS2022↔HS2017、HS2017↔HS2012、HS2012↔HS2007)※参照日:2026-02-26
- METI:ダイヤモンド原石の輸出入管理(KPCS)/輸出手続 ※参照日:2026-02-26
- Kimberley Process(business向け要件説明)※参照日:2026-02-26
- 環境省:ワシントン条約と種の保存法 ※参照日:2026-02-26
- METI:CITES輸出承認、対象種の調べ方 ※参照日:2026-02-26
- EPA相談デスク:協定ごとの参照HS版(CPTPP/日EU/RCEP等)、HS確認の注意 ※参照日:2026-02-26
【査読結果:旧稿からの主な修正点(どこをどう変えたか)】
| 対象箇所 | 旧稿→新稿での修正内容 | 根拠(出所) |
|---|---|---|
| 7章(HS改正差分) | HS2022の第71類改正点に「7104のダイヤ細分(7104.21/29、7104.91/99)」を追加し、旧稿の“改正点の抜け/曖昧さ”を解消 | HS2022↔HS2017相関表、HS2022章71見出し |
| 0章・2章(境界整理) | 7112と85.49(8549)の境界を、見出し上の「85.49除外」+章85の定義で明確化。旧稿よりも「どんな貨物が85.49に寄るか」を具体化 | WCO章71(71.12 “other than 85.49”)、WCO章85(85.49)、税関HS2022概要 |
| 3章・4章(注の精度) | 「粉」「白金(Pt限定)」「模造細貨類の例外(メッキ/さ細な部分)」を、WCO条文と日本税関解説の両方で整合させて記述を精緻化 | WCO章71注・号注、税関71r |
| 10章(規制) | 粗ダイヤ(7102の一部)について、KPCSの要件(証明書・密封・非参加国取引禁止)と日本の手続をMETI一次情報で補強(旧稿より根拠を明確化) | METI、Kimberley Process |
| 表記・体裁 | 旧稿に含まれていた生のURL表記を廃止し、出典は本文末の参考資料+本文中の根拠提示(引用最小化)に統一。文体をです・ます調で統一し、冗長箇所を整理 | (体裁修正のため出所というより編集方針) |
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。
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