用語の統一(本稿の表記)
- 部=Section、類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、注=Notes(部注/類注)
0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)
- この類に入る代表例(3〜6個):
- 農業・園芸・林業向けの手道具(例:シャベル、くわ、剪定ばさみ)→ 8201
- のこぎり・のこ刃(手のこ、帯のこ刃、丸のこ刃など)→ 8202
- プライヤー、ニッパー、金切りばさみ等の手工具 → 8203
- 交換式工具(ドリルビット、タップ、フライス等)→ 8207
- 包丁・ナイフ(機械用刃物を除く)やその刃 → 8211
- スプーン・フォーク等の食卓用具(セット含む)→ 8215
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- スタンドやフレームに固定して使う「手回しドリル」等(手で回しても“機械”寄り)→ 第84類(例:工作機械側の見出し)
- ベースプレート等に取り付けたギロチン式の剪断機(手動でも機械扱い)→ 第84類(例:8462)
- 噴霧装置、空気圧工具、事務用ステープル打ち機など、「手で使う」でも第84類に明確に含まれるタイプ → 第84類(例:8424、8467、8472)
- 医療用・獣医用の器具として使用されるはさみ・刃物等 → 第90類(例:9018)
- 貴金属(または貴金属張り)を“装飾の域を超えて”柄や刃など主要部に使用したカトラリー等 → 第71類に移りやすい
- 電気かみそり/電気バリカンの頭部・刃 → 85.10(第85類)
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- 「手工具(82類)」か「機械(84類)」か:スタンド固定・ベース付き等は機械側に寄りやすい
- 刃物の系統:交換式工具(8207)/機械用刃(8208)/手持ちナイフ(8211)を分ける
- セット扱い:ナイフ(8211)+同数以上のカトラリー(8215)セットは、原則8215に寄せる
- (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
- EPA/FTAのPSR適用:HSの付番がズレると、原産性判断(CTC/RVC等)も連鎖的に崩れます。
1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)
1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)
- この類で特に効くGIR:
- GIR1(見出し+注で決める):第82類は、類注(注1〜注3)が「入る/入らない」「セットの扱い」「部分品の扱い」を強く決めます。まず注を読んでから項へ進むのが安全です。
- GIR3(複合品・セット):工具セットやキッチンセットは「小売用のセット」論点になりやすいです(ただし、82.11+82.15セットは類注で明確に指示あり)。
- GIR6(6桁の決定):4桁が決まっても、6桁で「材質(鋼か、サーメットか)」「固定刃か折りたたみか」「セットか単品か」などでズレます。
- 「品名だけで決めない」ための観点(この類で効く順):
- 作用する部分(刃・刃先・作用面)の材質:卑金属等でない場合、原則82類から外れやすい(例:ゴム・革・陶磁等の作用部は別類へ)。
- 手で使うのか/機械に組み込まれるのか/据え付けるのか(82類⇔84類の境界)
- セット内容(構成品の種類・点数・用途):82.06や82.15のセット、82.11+82.15のセットなど。
1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)
- Step1:対象が「工具・道具・刃物・カトラリー」系か?(第82類の総説イメージに合うか)
- Step2:作用する部分(刃・作用面)が、卑金属/金属炭化物/サーメット等か?
- YES → Step3へ
- NO → 原則は材質別の類(例:ゴムなら40類等)へ(※例外・個別判断あり)
- Step3:手工具か?機械側か?
- スタンド固定・ベース付き・据え付け前提 → 第84類寄り(例示あり)
- 手で保持して使用 → Step4へ
- Step4:4桁を決める(8201〜8215)
- 交換式工具 → 8207
- 機械用ナイフ・刃 → 8208
- ナイフ(機械用以外)→ 8211
- スプーン・フォーク等 → 8215
- など
- Step5:類注(注2=部分品、注3=セット)で“強制移動”がないか確認
- よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
- 第82類 ⇔ 第84類:手で使える形でも、据付け・ベース付き等で機械側に寄る例が明示されています。
- 第82類 ⇔ 第90類(医療器具):医療・獣医用途の器具としての性格が強いと第90類(例:9018)に寄ります。
- 第82類 ⇔ 第71類(貴金属要素):貴金属の使い方が“装飾”の範囲を超えると71類へ。
2. 主な項(4桁)とその内容
2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 8201 | 農業・園芸・林業用の手道具 | シャベル、くわ、剪定ばさみ | 用途が「主として」該当分野か(ただし他用途に流用されても可) |
| 8202 | 手のこ、各種のこ刃 | 手のこ、帯のこ刃、丸のこ刃 | 丸のこ刃は「鋼の作用部」等で6桁分岐 |
| 8203 | やすり、プライヤー類、金切りばさみ等 | ラスプ、ニッパー、パイプカッター | “手工具”か“機械(84類)”かの境界に注意 |
| 8204 | 手動スパナ・レンチ、ソケット | モンキーレンチ、ソケットレンチ | 調整式か否か(8204.11/8204.12) |
| 8205 | その他の手工具等(ダイヤ切り、トーチ、万力等) | ドライバー、金づち、万力、トーチ | 「工作機械やウォータージェット切断機の部品・付属品」は除外される点に注意 |
| 8206 | 8202〜8205の複数見出し工具を小売セットにしたもの | 工具箱(のこ+レンチ+ドライバー等) | “小売用セット”として8206に寄るか、個別か(構成・包装・販売形態) |
| 8207 | 手工具/工作機械用の交換式工具 | ドリルビット、タップ、ダイス、フライス | “交換式”が本質。岩盤掘削工具はサーメット有無で分岐 |
| 8208 | 機械・器具用のナイフ/切断刃 | 食品加工機の刃、木工機械のナイフ | “機械用”が決め手。手持ちナイフ(8211)と混同しやすい |
| 8209 | サーメット製の未装着工具チップ等 | チップ、インサート(未装着) | “サーメット”かつ“未装着”が核 |
| 8210 | 10kg以下の手動機械式器具(飲食物の調製等) | 手動ミンサー、手動ジューサー | 「10kg以下」「飲食物の調製等」が要件 |
| 8211 | 機械用以外のナイフ等+刃 | 包丁、折りたたみナイフ、替刃 | 8211.91/92/93(固定刃/折りたたみ)などで分岐。セット規定あり |
| 8212 | かみそり、かみそり刃等 | 安全かみそり刃、替刃ブランク | 電気かみそりの頭部・刃は8510へ(類注) |
| 8213 | はさみ類(テーラー用等)+刃 | 裁ちばさみ、キッチンばさみ | 医療用器具(9018)との境界に注意 |
| 8214 | その他の刃物類、マニキュア/ペディキュア用具 | ペーパーナイフ、爪切り、ネイルファイル | “刃物類のその他”の受け皿。玩具(95類)との境界例示あり |
| 8215 | スプーン、フォーク等(食卓/台所用) | スプーン、フォーク、レードル | ナイフ+カトラリーセットは8215へ(類注)。貴金属要素で71類に飛ぶことも |
注:上表は**HS6桁(国際6桁)**の枠組みです。日本の輸入申告では、別途「国内コード(統計細分)」が付く点に留意してください(本稿では国内細分は扱いません)。
2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)
- 分岐条件の典型(この類で頻出):
- 材質(例:丸のこ刃の“作用部が鋼か”)
- 形態(固定刃/折りたたみ、セット/単品)
- 用途(機械用か、手持ち用か)
- 要件(例:8210は“10kg以下”)
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
- 8202.31 vs 8202.39(丸のこ刃)
- どこで分かれるか:作用する部分が鋼か(8202.31)/それ以外(8202.39、部分品含む)
- 判断に必要な情報:刃先材質(超硬チップ等)、構成(本体・チップ)、仕様書
- 典型的な誤り:名称だけで「丸のこ刃」→鋼と決め打ちしてしまう
- 8204.11 vs 8204.12(スパナ・レンチ)
- どこで分かれるか:非調整式(8204.11)か、調整式(8204.12)か
- 判断に必要な情報:口幅可変機構の有無(ウォームギヤ等)、製品写真
- 典型的な誤り:「モンキー」でも固定口の製品を混同
- 8207.13 vs 8207.19(岩盤掘削用の交換式工具)
- どこで分かれるか:作用部がサーメット(8207.13)か、それ以外(8207.19)
- 判断に必要な情報:作用部材質(サーメットの有無)、カタログ
- 典型的な誤り:超硬(炭化物)とサーメットの区別を確認せずに選択
- 8211.91 / 8211.92 / 8211.93(ナイフの形態)
- どこで分かれるか:テーブルナイフ(固定刃)(8211.91)/その他の固定刃(8211.92)/固定刃以外(折りたたみ等)(8211.93)
- 判断に必要な情報:用途(テーブル用か)、刃の固定可否、ロック機構
- 典型的な誤り:テーブル用セットの一部を「その他固定刃」に入れてしまう
- 8215.10 / 8215.20 / 8215.91 / 8215.99(カトラリーと“貴金属めっき”)
- どこで分かれるか:セットか単品か、また貴金属めっきの有無
- 判断に必要な情報:セット内容、めっきの材質・範囲、仕様書
- 典型的な誤り:装飾が“軽微”か“主要部”かの見極め不足(主要部なら71類に飛ぶ可能性)
- 8202.31 vs 8202.39(丸のこ刃)
3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)
3-1. 関連する部注(Section Notes)
- ポイント要約:
- 第82類(第15部)の内部では、**「はん用性の部分品(parts of general use)」**は、原則として第82類に置かれず、別の見出し(ねじ・ボルト等)へ行きます。
- 実務での意味(具体例つき):
- 例:剪定ばさみ用のばね、工具に使われるねじ・ナット等は、「工具の一部だから82類」と決めず、**はん用性部分品として他の章(例:73類等)**を検討します。
- “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
- 工具の部品として入ってきたが、実は「はん用性の部分品」だった(ねじ・ボルト・ばね等)。
3-2. この類の類注(Chapter Notes)
- ポイント要約(注1〜注3):
- 注1:原則として「刃・作用面などの作用部」が、卑金属等(卑金属/金属炭化物/サーメット等)でできているものに限って第82類に入る(ただしトーチ等の例外あり)。
- 注2:第82類の物品の卑金属製部分品は、原則として“完成品と同じ項”へ。ただし、**手工具用ツールホルダー(8466)**等の例外や、はん用性の部分品は除外。また電気かみそり等の頭部・刃は8510へ。
- 注3:8211のナイフと8215の食卓用具が「同数以上」でセットになっている場合は、8215に分類。
- 用語定義(定義がある場合):
- 類注自体は「卑金属・サーメット等」「はん用性の部分品」等の参照を置いており、定義は別注(部注)側で与えられる構造です。実務上は「作用部材質」「部品の汎用性」を仕様書で裏どりします。
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
- 手工具用ツールホルダー → 8466
- 電気かみそり/電気バリカンの頭部・刃 → 8510
4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)
- 影響ポイント1:注1(作用部材質)で「82類に入る/入らない」が決まる
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 刃・刃先・作用面の材質(卑金属、炭化物、サーメット、研磨材の付き方)
- 現場で集める証憑:
- 材料仕様書、図面、カタログ、写真、(必要に応じて)材質証明
- 誤分類の典型:
- 見た目が金属でも、実は作用部が別材質で82類に入らないのに「工具だから82類」で押してしまう。
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント2:注2(部分品)で「完成品と同じ項」か「例外」かが変わる
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 当該部品が「特定品の専用品」か「はん用性の部分品」か
- ツールホルダー該当性(8466)
- 現場で集める証憑:
- BOM、用途説明、取付図、互換性情報(汎用品か専用品か)
- 誤分類の典型:
- ネジ・ばね等を「工具の部品」として82類に入れてしまう(はん用性部分品は除外)。
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント3:注3(セット)で「8211→8215へ強制的に寄せる」
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- セットの構成(ナイフの本数、スプーン/フォーク等の本数、販売形態)
- 現場で集める証憑:
- セット写真、梱包内容一覧、SKU構成、販売ページ(小売セットの実態)
- 誤分類の典型:
- 「ナイフセットだから8211」としてしまい、カトラリー同梱(同数以上)の注3適用を見落とす。
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
5. 分類でよくある間違い(原因→対策)
- 間違い:据え付け型の手回し機器を82類(手工具)に入れる
- なぜ起きる:動力が電動でない=“手工具”と誤解しやすい
- 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):
- 手で使えても、スタンド固定・ベース付き等で機械(第84類)に寄る例示があります。
- 予防策(確認すべき資料/社内で聞くべき質問例):
- 「床・作業台に据える設計か?」「ベースプレートやスタンドがあるか?」を写真・図面で確認
- 間違い:機械用の刃(8208)を、手持ちナイフ(8211)に入れる
- なぜ起きる:「刃物」「ナイフ」という商品名に引っ張られる
- 正しい考え方:
- 機械・器具に用いる刃は8208、機械用以外のナイフは8211という切り分けが見出し上明確です。
- 予防策:
- 「装着先(機械名・型式)は何か?」を必ず確認。取付方法(ボルト穴等)もチェック
- 間違い:“交換式工具”でないのに8207に入れる
- なぜ起きる:ドリル関連・切削関連=8207、という思い込み
- 正しい考え方:
- 8207は交換式工具(手工具用/工作機械用)という性格が核。固定刃の機械用ナイフは8208等。
- 予防策:
- 「工具が交換式(消耗交換)として設計されているか」「シャンク規格や保持方式は?」を確認
- 間違い:工具の“部品”なら何でも注2で82類に入ると思う
- なぜ起きる:注2の前半(完成品と同じ項)だけ読んでしまう
- 正しい考え方:
- はん用性の部分品は除外、ツールホルダー(8466)等は例外、電気かみそり刃は8510へ、と但し書きが重要です。
- 予防策:
- 部品について「汎用品か専用品か」をBOMと図面で確認(ねじ・ばね等は要注意)
- 間違い:ナイフ+カトラリーのセットを8211で申告
- なぜ起きる:主役(ナイフ)だけを見てしまう
- 正しい考え方:
- 類注3で、条件を満たすセットは8215に分類と指示されています。
- 予防策:
- セット内容の数量(同数以上か)をインボイス/梱包明細/写真で確定させる
- 間違い:貴金属の使い方を軽視して82類のままにする
- なぜ起きる:少し光っている程度に見える/「装飾」だと自己判断
- 正しい考え方:
- “軽微な装飾”の範囲なら82類に留まり得ますが、主要部に貴金属等を用いると71類に移る旨が示されています。
- 予防策:
- 貴金属めっき/張りの範囲(柄全体か、ワンポイントか)と素材証明を取得
- 間違い:医療用はさみ等を82類に入れる
- なぜ起きる:形状が通常のはさみと同じに見える
- 正しい考え方:
- 医療・獣医用の器具としての性格が明確なら90類(例:9018)に寄ることが示されています。
- 予防策:
- カタログ用途(medical/surgical 等)、販売先、滅菌対応等の仕様を確認
- 間違い:「手で使う=82類」として、84類に明確に含まれる器具を入れてしまう
- なぜ起きる:ニューマチックツールや噴霧器、ステープラー等は“手持ち”に見える
- 正しい考え方:
- これらは例示として84類に含まれる旨が説明されています。
- 予防策:
- 「動力源(空気圧等)」「機械的機構」「用途」が84類側の典型に当てはまらないかを確認
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係
- HSの付番がPSR選択に直結すること:
- PSR(CTC/RVC/加工工程等)はHS(多くは6桁)を前提に書かれているため、HSが1桁でもズレると、満たすべきルール自体が変わります。
- よくある落とし穴:
- 最終製品だけでなく、非原産材料側のHS付番もPSRの判定(CTH/CTSH等)に影響
- セット(82.06/82.15 等)の扱いを誤って、PSRの“対象コード”が変わる
6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)
- 一般論(実務で重要):
- 協定ごとに採用HS版が異なり、協定が採用していないHS版でPSR検索すると結果が誤る可能性がある旨、税関ポータルでも注意喚起されています。
- 一方で、輸入申告は最新のHSを使う(協定検索と申告で“HS版がズレる”ことが起き得る)点も明示されています。
- 本稿で例示した協定(参考:代表例):
- RCEP:PSR附属書(Annex 3A)はHS2012に基づく旨が明記されています。
- ただし、日本の外務省資料では、RCEP合同委員会で採択されたHS2022へのトランスポーズ版PSRが2023-01-01から実施される旨が示されています。
- CPTPP:日本税関の原産地規則資料で、CPTPPの関税分類番号(6桁)がHS2012で運用されていることが読み取れます。
- RCEP:PSR附属書(Annex 3A)はHS2012に基づく旨が明記されています。
- トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
- ①協定本文・運用資料が指すHS版を確認 → ②旧HSでPSRを確定 → ③WCO相関表や当局のトランスポーズ表で新HSに対応付け、**申告HS(最新)**と整合を取る、という順が事故を減らします。
6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)
- 必要データ(最低限):
- 材料表(BOM)、原価、工程、各材料の原産国、非原産材料のHS(協定が採用する版)
- 証明書類・保存要件(一般論):
- 自己申告・第三者証明の別により提出書類が変わるため、税関のガイド・様式に合わせて保存(協定ごとの運用に従う)。
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)
7-1. 変更点サマリー(必須:表)
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2007→HS2012 | 削除/統合 | 8201.20 | 8201の「フォーク」区分(8201.20)が削除され、他の区分へ整理 | 旧データ参照時に8201.20が出てきたら要注意(現行は別号へ寄せる) |
| HS2007→HS2012 | 削除/再整理 | 8205.80 | 8205.80(“金床等”のサブ見出し)が削除され、8205内の区分が整理 | 8205の旧番号で管理している品目は、現行の8205内で再判定が必要 |
| HS2007→HS2012 | 文言修正 | 8205.90 | 8205.90の説明が「セット」中心から「その他(セット含む)」へ整理 | 8205.90に“セット以外”も入る整理のため、旧ロジックの見直しが必要 |
| HS2012→HS2017 | 文言修正/範囲明確化 | 8205(見出し文) | 8205の除外に「ウォータージェット切断機」関連が追加 | 8205に見えても、当該機械の部品・付属品なら機械側(例:8466等)検討が必要 |
| HS2017→HS2022 | 変更なし(実質同一) | 8201〜8215、類注 | 第82類の見出し・類注は実質同一(少なくともWCO条文比較上の変更は確認できない) | 過去データとの突合(統計/PSR)時は、主にHS2012以前の番号差に注意 |
7-2. 「違うことになった根拠」(必須)
- 根拠資料と判断のしかた:
- **HS2007とHS2012のWCO条文(第82類)**を比較すると、8201に存在した「8201.20(Forks)」がHS2012では掲載されていないこと、また8205に存在した「8205.80」がHS2012では掲載されていないことが確認できます。
- HS2012とHS2017を比較すると、8205の見出し文に「water‑jet cutting machines」が追加されていることが確認できます(HS2012側には当該文言がない)。
- HS2017とHS2022は、第82類の見出し・類注の記載が一致しており、条文上の再編は確認できませんでした。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
主要ポイント(第82類に関して、実務で影響が出やすいもの)を整理します。
| 版の流れ | 主な追加・削除・再編(第82類の例) | 旧コード→新コード(考え方) | 備考 |
|---|---|---|---|
| HS2007→HS2012 | 8201.20(フォーク)削除、8205.80削除、8205の「その他」整理 | 旧8201.20は現行8201内で再分類、旧8205.80は現行8205内で再分類 | 実務では“旧HSでの社内マスタ”を洗い替え |
| HS2012→HS2017 | 8205見出し文にウォータージェット切断機の除外を追加 | 8205周辺で「機械の部品・付属品」論点が強化 | 機械側見出し(例:8466等)再確認 |
| HS2017→HS2022 | 第82類は実質変更なし | ― | 大きな再編は見当たらない |
9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)
- 事例名(短く):ナイフ+カトラリーセットの申告ミス
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):類注3(セットは8215へ)を見落とし、8211で申告
- 起きやすい状況:商品名が「ナイフセット」、梱包明細が曖昧
- 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、納期遅延(一般論)
- 予防策:セット内容(点数)と写真を事前に揃え、注3を必ずチェック
- 事例名:工具の“汎用ネジ”を82類部品で申告
- 誤りの内容:注2ただし書き(はん用性部分品は除外)を無視
- 起きやすい状況:「工具の修理部品」として一括手配
- 典型的な影響:品目更正、関税・消費税差額、帳票再作成
- 予防策:BOMで汎用品(ねじ・ばね等)を切り出し、別分類を検討
- 事例名:電気かみそり刃の誤分類
- 誤りの内容:類注2で8510と明示されているのに、8212(かみそり刃)で申告
- 起きやすい状況:「替刃」という品名のみで判断
- 典型的な影響:修正、差額、審査長期化
- 予防策:電気式か否か、適合機種(電気かみそり/バリカン)を品名に明記
- 事例名:据付け前提の“手動”機器を82類に入れる
- 誤りの内容:82類の総説が示す82類⇔84類の境界を見落とす
- 起きやすい状況:現物写真がなく、仕様が「手動」としか書かれていない
- 典型的な影響:差戻し、追加資料要求
- 予防策:スタンド/ベースの有無、使用方法(据置きか手持ちか)を図面で確認
10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ):
- 銃砲刀剣類所持等取締法(いわゆる銃刀法)関連:刀剣類等について、税関で確認が必要な輸入規制が案内されています(品目により要件が異なるため、個別確認が必須)。
- 輸入関係他法令:税関は「輸入関係他法令一覧」や「輸出入禁止・規制品目」等で主管省庁確認を促しています。
- (参考)銃刀法は近年改正情報もあるため、最新の公表情報を確認してください。
- 記載の分類軸(該当がある項目のみ書く):
- 検疫・衛生(SPS等):第82類は通常は該当しにくい(食品そのものではないため)
- ワシントン条約(CITES)等の種規制:通常は該当しにくい
- 安全保障貿易管理:個別製品の仕様により別途確認(本稿では一般論に留めます)
- その他の許認可・届出:刀剣類・一部の刃物等は、主管当局・税関への確認が重要
- 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
- 税関(カスタムスアンサー、輸入関係他法令一覧)
- 警察庁(銃刀法関連の公表情報)
- 経済産業省(輸入管理関連:該当する場合)
- 実務での準備物(一般論):
- 製品写真、仕様書(刃渡り等の属性を含む場合は特に)、用途説明、取引書類、必要に応じて許可・承認書類
11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 作用部材質(刃先・作用面)、用途(手持ち/機械用/医療用等)、構造(固定・折りたたみ、据付けの有無)
- セット内容(同梱品と数量)、包装形態(小売用か)
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 類注1〜3を再確認(作用部材質、部分品、セット)
- 82類⇔84類(機械)、82類⇔90類(医療)、82類⇔71類(貴金属)の境界を再点検
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- インボイス品名に「用途(機械用/手持ち)」「セット構成」「材質」を織り込む
- 写真・カタログ・仕様書を添付できる状態にする
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 協定が採用するHS版でPSRを確認(検索時のHS版違いに注意)
- BOM(材料HS含む)、工程、原価データを保存(自己申告・検証に備える)
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 刀剣類・一部刃物等は「輸入関係他法令」「税関FAQ」を参照し、主管当局も含め事前確認
12. 参考資料(出典)
※参照日(YYYY-MM-DD):2026-02-28
- WCO(HS条文)
- HS2022 Chapter 82 条文(1582_2022E)
- HS2017 Chapter 82 条文(1582_2017E)
- HS2012 Chapter 82 条文(1582_2012E)
- HS2007 Chapter 82 条文(1582_2007E)
- 日本税関・公的機関(分類・原産地・規制)
- 関税率表解説 第82類(82r.pdf)
- 関税率表の解釈に関する通則(GIR)
- 品目別原産地規則(PSR)検索ポータル(HS版の注意喚起含む)
- 我が国の原産地規則(EPA原産地規則の詳細、2025年4月)
- RCEP:外務省掲載ページ(HS2022トランスポーズPSRへの注意書き)
- RCEP:Annex 3A(PSR、HS2012ベースの明記あり)
- RCEP:HS2022へのトランスポーズPSR(2023-01-01実施の明記あり)
- 輸入関係他法令一覧(英語版、2026-01-01)
- 税関FAQ:銃砲刀剣類所持等取締法に基づく輸入規制の確認要件(英語)
- 輸出入禁止・規制品目(税関)
- 銃砲刀剣類所持等取締法(e-Gov法令)
- 警察庁:銃刀法改正(2024年6月)の案内
- 経済産業省:輸入管理(武器等)関連ページ(該当時の参照先)
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。
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