HS2022 第83類:各種の卑金属製品(Miscellaneous articles of base metal)

※用語は次のとおり統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 錠前・南京錠・鍵(卑金属製、鍵式/ダイヤル式/電気式)→ 83.01
    • 蝶番、建具金物、家具金物、キャスター(取付具付き)、ドアクローザー → 83.02
    • 耐火・防盗の金庫や強化金庫扉(卑金属製)→ 83.03
    • バインダー金具、クリップ、ホチキス針(帯状)などの事務用品 → 83.05
    • 王冠、金属キャップ、金属製フタ等の包装用付属品 → 83.09
    • 溶接・ろう付け用の被覆電極/フラックス入りワイヤ等 → 83.11
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 刃物・工具・カトラリー(ハサミ、ナイフ等)→ 第82類(Chapter 82)
    • ねじ・ボルト・ナット・くぎ・鎖・ばねなど「汎用の金属部品」→(例)73.18、73.15、73.20 等(部注/類注で“83類の部分品扱い”から除外されやすい)
    • 照明付きのサイン・表示(LED内蔵の看板等)→ 94.05(照明器具等)
    • キャップ・栓でも素材がプラスチック主体 → 第39類(プラスチック製品)側が候補(材質支配)
    • 機械の「構造の重要部分」(窓枠そのもの等)→ 83.02ではなく、建材・機械側の章へ(個別判断)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「はん用性の部分品(parts of general use)」かどうか(= 83.01/83.02/83.08/83.10/83.06の枠・鏡 などは“部品”でも原則それ自体の類・項で扱われやすい)
    2. キャスターの定義(寸法):83.02の「キャスター」に入るか(直径・幅)
    3. 錠前(83.01)なのか/錠のない留金・金具(83.02/83.08等)なのか
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 機械・家具の「部品」として申告してしまい、実は83類の“はん用性部品”だった(関税率・統計・原産地規則に波及)
    • **食品接触・包装用途(例:83.09の金属キャップ)**で、食品衛生法手続の要否判断を誤る

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • **GIR1(見出し文言+注)が中心です。第83類は「金属の種類」より製品の機能・用途(錠、金具、包装付属品、表示板等)で見出しが立っています。まず項(4桁)の文言と部注(第15部注)・類注(第83類注)**で当否を詰めます。
    • **GIR6(号レベル)**で、用途区分(建築用/家具用/自動車用など)や形状(電極の種類等)に沿って6桁を確定します。
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 同じ「金具」「部品」でも、錠機構の有無取付対象(建築・家具・車両)寸法要件(キャスター)、**被覆・フラックス入り(溶接材)**でコードが変わります。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:その物品は「卑金属製の完成品(またはそれに準ずるもの)」で、第83類の各項の機能に当たりますか?(錠、取付金具、包装付属品、表示板、溶接材など)
  • Step2:部注(第15部注)で“はん用性の部分品”扱いになりませんか?
    • 83.01/83.02/83.08/83.10/83.06(枠・鏡)は、他章の「部品」から外れてこちらに残る代表です。
  • Step3:類注を確認
    • 「部分品は本体と同じ項」原則(注1)+ただし例外(ねじ・ばね等は除外)
    • キャスターの定義(注2)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 83.02(取付金具) vs 機械部品(84/85類):一般用途の取付金具なら83.02側に残りやすい
    • 83.10(表示板) vs 94.05(照明付き表示)
    • 83.01(錠) vs 83.08(錠なし留金・ファスナー類)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第83類は実務上、4桁が11項と多くないため全列挙します(見出し要旨はHS2022の第83類に基づく要約です)。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
8301卑金属製の錠・鍵(鍵式/ダイヤル式/電気式)、錠一体の留金・枠、鍵玄関錠、南京錠、家具用シリンダー錠、カードキー錠、鍵(単体提示)錠機構の有無が最重要。錠なしの留金は83.08側になり得ます。
8302家具・建具・車体等用の取付金具、支持具、取付具付きキャスター、ドアクローザー蝶番、レール、取手、ブラケット、ドアクローザー、キャスターキャスター定義(注2)、用途区分(建築/家具/自動車)が6桁に影響。
8303金庫・強化金庫扉等(卑金属製)耐火金庫、強化金庫扉、貸金庫扉「金庫」用途・構造の確認(単なる保管箱は別項の可能性)。
8304金属製の事務・机上用品(家具を除く)書類トレー、ペントレー、スタンプ台立て**家具(94.03)**は除外(机・キャビネット本体等)。
8305バインダー金具、クリップ、ホチキス針(帯状)等ルーズリーフ金具、ゼムクリップ、ホチキス針、インデックス金具針金・くぎ等の他類(73類等)と混同注意。
8306非電気の鐘・ゴング、金属製置物・装飾、金属枠、金属鏡ドアベル(機械式)、トロフィー、装飾置物、写真立て枠、金属鏡非電気が条件。枠・鏡は「はん用性部品」に該当し得る点に注意。
8307卑金属製のフレキシブルチューブ(継手の有無不問)金属フレキ管(配管用)ゴム/樹脂ホースは別類。素材・構造確認。
8308衣料・靴・鞄等用の留金/バックル/ホック等、管状リベット、金属ビーズ・スパンコールベルトバックル、ホック、アイレット、鞄留具、管状リベット〜に使用する種類のもの」要件。ボタン・ファスナー等は別類の可能性。
8309王冠、キャップ、ふた、封印等の包装付属品(卑金属製)王冠、アルミキャップ、スクリューキャップ、シール食品包装用途なら食品衛生法手続の要否確認。
8310金属製の表示板・銘板・文字・記号等(照明付き除外)ステンレス銘板、住所表示、数字プレート照明付き(94.05)除外。表示方法(発光の有無)を確認。
8311溶接・ろう付け等用の被覆電極/フラックス入り材等アーク溶接用被覆棒、フラックス入りワイヤ、金属溶射用ワイヤ用途(溶接等)と被覆/芯入りの有無が決め手。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出):
    • 用途(motor vehicles / buildings / furniture / clothing等):83.02・83.08で特に重要
    • 寸法(キャスター):83.02注2(直径・幅)
    • 機構の有無(錠の有無、電気か否か):83.01・83.06
    • 被覆/フラックス入り(溶接材):83.11
    • 材質の二分(鉄鋼 vs その他):83.07
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 8301(錠) vs 8308(錠なし留金・バックル等)
      • どこで分かれるか:施錠機構(鍵/ダイヤル/電気)を持つか
      • 判断に必要な情報:構造図、鍵の有無、操作方式(カード/暗証番号等)。
      • 典型的な誤り:鞄の留金(鍵なし)を「錠」として8301に入れる。
    2. 8302.20(キャスター) vs 8302.49(その他取付金具)/他類
      • どこで分かれるか:キャスターは注2の寸法定義を満たすことが前提。
      • 判断に必要な情報:車輪直径(タイヤ含む)、車輪/タイヤ幅、取付具の材質、用途。
      • 典型的な誤り:大型車輪ユニットを寸法確認せず8302.20にしてしまう(注2外→除外、例:第87類)。
    3. 8302.41(建築物用) vs 8302.42(家具用) vs 8302.30(自動車用)
      • どこで分かれるか:設計上「どこに適するか」(建築/家具/自動車)。
      • 判断に必要な情報:取付対象、取付穴ピッチ、耐候性仕様、車両規格適合等。
      • 典型的な誤り:「見た目が似ている」だけで建築用/家具用を取り違える。
    4. 8310(表示板) vs 9405(照明付き表示)
      • どこで分かれるか:表示板に恒久的な光源(LED等)を備えるか
      • 判断に必要な情報:電源・配線、発光部の有無、商品仕様書(電気定格)。
      • 典型的な誤り:LED内蔵銘板を金属板扱いで8310にする。
    5. 8311(溶接材) vs 素材の線材(72〜81類等)
      • どこで分かれるか:フラックスで被覆/芯入りで、溶接・ろう付け等に使用する“性格”があるか。
      • 判断に必要な情報:SDS/仕様書(被覆成分・芯材)、用途説明(溶接条件)、形状(電極/ワイヤ/棒)。
      • 典型的な誤り:フラックス入りワイヤを「鋼線」として素材章へ。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第15部注では、**“はん用性の部分品(parts of general use)”**を定義し、その中に
      • 83.01、83.02、83.08、83.10、および 83.06の枠・鏡 を含めています。
    • その結果、他章(例:73〜76、78〜82)で「部品」と書いてあっても、はん用性の部分品は“部品”に含めない扱いになります。
    • さらに、(一定の留保の下で)第82類・第83類の物品は、素材章(72〜76、78〜81)から除外される旨も示されています。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例)産業機械の扉に付く一般的な蝶番:機械の“専用部品”に見えても、一般用途の取付金具なら83.02に残りやすい(=はん用性の部分品)。
    • 例)錠前に使うねじ・ばね:注1の例外で、83類の“部分品”として扱わず、ねじ(73.18)・ばね(73.20)等に戻る、という整理がしやすい。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 「錠の部分品です」と言われた物が、実体はねじ・ボルト・ばね・鎖等 → 73類等へ
    • 「表示板です」と言われた物が、実体は照明付きサイン → 94.05へ

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約(第83類注):
    • 注1(部分品は本体と同じ項):原則として、卑金属製の部分品は“親となる物品”と同じ項で分類します。
    • ただし例外(注1のただし書):鉄鋼製の一定の物品(例:73.12、73.15、73.17、73.18、73.20)や、同様の他の卑金属製品は、この類の物品の“部分品”としては扱いません。
    • 注2(キャスター定義):83.02の「キャスター」は、直径・幅の要件で定義されています。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「キャスター」
      • 直径(タイヤがあればタイヤ含む)が75mm以下、または
      • 直径が75mm超でも、取り付けた車輪/タイヤの幅が30mm未満
        のもの、という整理です。
    • 日本税関の解説では、空気タイヤの場合の直径測定(通常空気圧)や、スポーク有無は分類に影響しない、注2に該当しないキャスターは除外(例:第87類)といった実務的な補足があります。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 注2に該当しない「キャスター」→ 83.02から除外(例:第87類)
    • ねじ・ばね等(例:73.18、73.20等)→ 83類の部分品にしない

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:“はん用性の部分品”に該当すると、機械・家具の「部品」扱いから外れやすい
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 「一般的な取付金具か(汎用形状・規格)/特定機械の専用品か」
      • 取り付け対象(建築・家具・車両・機械)と、単体での用途説明
    • 現場で集める証憑:
      • 取付図、組立図、写真(取付状況)、カタログ、用途説明、寸法図、材質表
    • 誤分類の典型:
      • 機械のドアヒンジを「機械部品」として84/85類に入れてしまい、83.02が正だった、という形
  • 影響ポイント2:キャスターの“直径・幅”で83.02の入口に立てるかが決まる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 車輪直径(タイヤ含む)、車輪/タイヤ幅、空気タイヤの測定条件、取付具の材質
    • 現場で集める証憑:
      • メーカー仕様書、図面、実測写真(ノギス等)、型番表、タイヤ仕様
    • 誤分類の典型:
      • 「キャスターっぽい」だけで83.02に入れ、注2不適合で差し戻し(例:第87類)
  • 影響ポイント3:“部分品は親と同じ項”の原則と、注1の例外(ねじ・ばね等)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 部品の実体が、ねじ・ばね・鎖・ワイヤ類など、例外に列挙される類型に該当しないか
    • 現場で集める証憑:
      • 部品表(BOM)、部品図、規格(JIS/ISO)、材質・形状写真
    • 誤分類の典型:
      • 「錠の部品です」→実は汎用ねじ(73.18相当)なのに8301.60で申告してしまう

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:錠のない鞄留金を8301(錠)で申告
    • なぜ起きる:品名が「lock」「錠前」と書かれている(販売名ベース)。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):施錠機構がなければ、83.01の「錠」ではなく、83.08の留金類に寄るのが自然です(“鍵/ダイヤル/電気”の有無で整理)。
    • 予防策:仕様書に「キー付きか」「暗証番号機構か」「電気解錠か」を明記してもらう。
  2. 間違い:ドアの掛け金・かんぬきを8301に入れる
    • なぜ起きる:「施錠」っぽく見える。
    • 正しい考え方:鍵で操作する錠でなければ、83.02の建具金物側が候補になります(日本税関解説でも、単なる掛け金等は83.02、錠なし留具は83.08と整理されています)。
    • 予防策:鍵穴・シリンダーの有無、操作方式(鍵/レバーのみ)を確認。
  3. 間違い:機械に取り付ける蝶番を機械部品(84/85類)で申告
    • なぜ起きる:「機械専用品」の思い込み。
    • 正しい考え方:一般的な取付金具は83.02として扱われやすく、部注の“はん用性の部分品”の考え方が効きます。
    • 予防策:汎用品か専用品か(流通型番の有無、汎用寸法か)を確認。
  4. 間違い:キャスターを寸法確認せず8302.20で申告
    • なぜ起きる:外観がキャスター。
    • 正しい考え方:83.02注2の寸法要件を満たす必要があり、満たさないものは除外(例:第87類)とされています。
    • 予防策:直径(タイヤ含む)と幅を仕様書に必須項目としてもらう。
  5. 間違い:錠の“部分品”として、ねじ・ばね等を8301.60で申告
    • なぜ起きる:BOM上は錠の部品扱い。
    • 正しい考え方:第83類注1のただし書で、一定の鉄鋼製品等は83類の部分品にしない、とされています(ねじ・ばね等は代表例)。
    • 予防策:部品の形状分類(ねじ/ばね/鎖/ワイヤ)を先に行い、例外に当たるかチェック。
  6. 間違い:LED内蔵の銘板を8310で申告
    • なぜ起きる:ベースが金属板。
    • 正しい考え方:83.10は照明付き表示(94.05)を除外します。
    • 予防策:電源・発光部の有無をインボイス品名と仕様書に明記(“illuminated”など)。
  7. 間違い:金属キャップ(83.09)をプラスチック包装(39類)で申告
    • なぜ起きる:パッキン等に樹脂が付いていて材質判断が曖昧。
    • 正しい考え方:主たる性質・構成・見出し該当性で判断(キャップ/フタとしての本体が卑金属なら83.09が候補)。
    • 予防策:材質構成比、断面図、主要部材(本体・ライナー)を確認。
  8. 間違い:フラックス入り溶接ワイヤを「鋼線」として素材章へ
    • なぜ起きる:見た目がワイヤで、用途情報が不足。
    • 正しい考え方:83.11は、溶接・ろう付け等用の被覆/芯入り材を含みます。
    • 予防策:SDS、製品カタログ(用途・成分)、溶接条件表の提出を求める。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。
    • 例:83.02(取付金具)なのか、84/85の機械部品なのかで、PSRの章・項が変わり、原産性判定が根本から変わります。
  • よくある落とし穴:
    • 「完成品HS」だけでなく、非原産材料のHSも精度が要ります(材料のHSミス→PSR評価軸ズレ)。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定ごとに参照HS版が異なることがあり、同じ“83.08”でも文言・範囲が版で変わる可能性があります。
  • RCEPについて、日本の外務省ページでは、証明書に記載するHSコード・原産基準は**HS2022へトランスポーズされたPSRに基づく(2023-01-01以降)**旨が明示されています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • ①協定のPSRが参照するHS版を確認 → ②自社運用HS(HS2022)との対応表で突合 → ③疑義があれば協定ガイダンス/税関相談。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 少なくとも、**分類根拠(なぜ83類か)**が説明できる資料(図面・仕様書・用途説明)は保存推奨です。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022変更なし(相関表上、第83類の変更対象コードが見当たらない)83類全般WCO相関表(Table I)は変更のあったサブヘディングを列挙する形式だが、83類コードは掲載されていない2017運用から2022運用へ移行時、第83類ではコード体系の再付番対応が相対的に少ない可能性(ただし国内細分は別)

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料と判断プロセス:
    • **WCOの相関表(HS2017–2022 Table I)**は、HS2022で新設/範囲変更等のあったサブヘディングを列挙する形式です。そこに第83類のサブヘディングが登場しないため、少なくともHS2017→HS2022で“相関表に載るレベルの改正”は第83類に見当たらない、と整理できます(※相関表は分類決定ではなくガイド、という位置付けも併せて留意)。
    • さらに、WCOが公開する第83類テキスト(HS2017版とHS2022版)を見比べても、見出し構成・注の骨格は同一です。
  • 変更がない場合の明示:
    • したがって本資料では、**HS2017→HS2022の第83類は「変更なし」**として扱います。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第83類は、少なくとも主要な見出し(8301〜8311)の枠組み自体は継続しており、版間の目立つ差は「見出し文言の明確化(例:83.08)」のような形で現れています。

版の流れ主な追加・削除・再編(第83類)旧コード→新コードの対応
HS2007→HS2012コード体系(8301〜8311)は概ね維持。83.08の見出し文言はHS2007と同様の範囲表現(衣料・履物・日よけ・ハンドバッグ・旅行用品等)。大きな付替えなし(6桁レベル)
HS2012→HS201783.08の見出し文言が拡張(衣料付属品、宝飾品、時計、書籍、革製品、馬具等の用途語が追加され、対象用途の説明が明確化)。コード(8308.10/20/90)は維持、見出し説明の明確化が中心
HS2017→HS2022第83類は大きな改正が見当たらない(相関表上)。付替え対応は限定的(6桁レベル)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):キャスター寸法の見落としでコード差し戻し
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):83.02注2の定義外(直径・幅不適合)
    • 起きやすい状況:型番だけで「キャスター」と判断し、寸法証憑を取っていない
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、納期遅延(一般論)
    • 予防策:直径(タイヤ含む)・幅を仕様書/実測で固定し、注2適合を明文化
  • 事例名:錠の部分品として“ねじ・ばね”を8301.60で申告
    • 誤りの内容:第83類注1のただし書(ねじ・ばね等は部分品扱いしない)
    • 起きやすい状況:BOMの分類をそのまま税番に転記
    • 典型的な影響:分類補正、書類追加要請、通関遅延
    • 予防策:部品表に「形状分類(ねじ/ばね等)」欄を追加し、例外品を自動抽出
  • 事例名:機械用ヒンジを機械部品(84類等)で申告
    • 誤りの内容:部注の「はん用性の部分品」整理の見落とし
    • 起きやすい状況:装置メーカーが「専用品」と説明、実際は汎用品
    • 典型的な影響:差し戻し、分類根拠提出要求
    • 予防策:汎用規格品かどうか(市販型番の有無)と用途を写真付きで説明
  • 事例名:照明付き銘板を8310で申告
    • 誤りの内容:83.10の除外(94.05)
    • 起きやすい状況:金属板にLEDが組み込まれているのに、見た目で判断
    • 典型的な影響:修正申告、追加確認(電気用品含む)
    • 予防策:電源の有無・発光機能の有無をインボイス品名へ明記

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ):
    • 検疫・衛生(SPS等):
      • 食品衛生法(輸入食品等):販売または営業上使用する「食品等」(食品、添加物、器具、容器包装など)を輸入する場合、検疫所への輸入届出が必要で、届出なしでは販売・営業使用できない旨が示されています。
      • 第83類では、特に **83.09(ボトルキャップ、王冠、ふた等)**が「容器包装」として該当し得るため、用途(食品用途/非食品用途)確認が重要です。
    • ワシントン条約(CITES)等の種規制:
      • 第83類は金属製品中心のため、通常は該当しにくい(ただし装飾に動植物由来素材を含む場合は別途確認)。
    • 安全保障貿易管理(該当する場合):
      • 第83類単体では典型例は多くありませんが、用途・仕様(軍用向け特殊仕様等)によっては別途確認が必要です。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 厚生労働省(検疫所)「食品等輸入手続」
    • 日本税関(関税率表解説・事前教示)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書、用途説明(食品接触の有無)、材質情報、製造工程情報(必要に応じ)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 機能(錠/取付/包装付属/表示/溶接材)
    • 取付対象(建築/家具/車両/機械)
    • 寸法(キャスター:直径・幅)
    • 被覆/芯入り(溶接材:SDS・仕様)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 「はん用性の部分品」該当か(83.01/83.02/83.08/83.10/83.06枠・鏡)
    • 第83類注1の例外(ねじ・ばね等)を踏んでいないか
    • キャスター注2適合か
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名に「with lock / without lock」「illuminated」等、誤解防止語を入れる
    • 図面・写真・カタログを添付できる状態に
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS版を確認
    • RCEPはHS2022トランスポーズPSRの適用開始日に注意
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 83.09等が食品用途なら、食品衛生法の輸入届出要否を確認

12. 参考資料(出典)

※参照日(2026-02-28)

  • WCO(HS条文)
    • HS2022 Chapter 83(Miscellaneous articles of base metal)
    • HS2022 Section XV Notes(parts of general use の定義など)
    • HS2017 Chapter 83(版比較用)
    • HS2007 Chapter 83(版比較用)
    • Correlation Tables HS2017–HS2022(Table I)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 関税率表解説(第83類)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • 外務省:RCEP協定(PSRのHS2022トランスポーズ適用開始の注記)
  • 規制(検疫・衛生)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(食品衛生法に基づく輸入届出、対象範囲(器具・容器包装等))

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

 

FTAでAIを活用する:株式会社ロジスティック

Logistique Inc.

投稿者: shima

嶋 正和 株式会社ロジスティック 代表取締役社長

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