HS2022 第81類:その他の卑金属及びサーメット並びにこれらの製品(Other base metals; cermets; articles thereof)

  • 用語統一:**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)**です。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • タングステン(粉・塊・線・くず等)【8101】
    • タンタル(塊/粉・くず・るつぼ等)【8103】
    • ビスマス(99.99%超の地金/その他)【8106.10/8106.90】
    • ジルコニウム(原料・粉等/ハフニウム比で分岐)【8109】
    • カドミウム等の「8112対象金属」およびその製品【8112】
    • サーメットおよびその製品【8113】
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 金属炭化物(例:炭化タングステン粉):原則この類に入らず(例:28類や38類、工具用は82類へ)
    • 金属粉を基材にした塗料・インキ等:32.07〜32.15等(部注で除外)
    • 貴金属・貴金属合金:第71類(部注で除外)
    • 機械・電気機器の「部品として完成したもの」:多くが第16部(84・85類)等へ(部注で除外)
    • 工具用の未装着チップ/プレート等:82.09(サーメットであっても、形状・用途が工具用ならこちらが優先しやすい)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • 「金属そのもの」か/「化合物(炭化物等)」か/「サーメット」か(ここで章が飛ぶ)
    • 形状(粉・くず・地金・線・板など):部注で定義があり、数値要件もあります
    • 成分比・純度要件(例:Zr/Hf比、Mg純度、Bi純度)で6桁が変わります
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • FTA/EPAのPSRがHSコード前提のため、誤分類が原産性判断の崩壊に直結しやすい(特に素材輸出入)
    • 「くず」扱いは、通関・環境規制(バーゼル等)・契約条件に波及しやすい

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1:見出し(Heading/Subheading)の文言と注(Notes)でまず決めます。第81類は「金属名×形状(粉・くず・地金等)」で整理されているため、まず金属の同定形状が最優先です。
    • GIR6:6桁(号)の分岐は、同じ見出し内で「純度」「成分比」「形状」の条件が多いので、最後に6桁を必ず当て直します。
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 材質(何の金属/合金か):合金は「どの金属の合金として扱うか」が部注で決まります(優勢重量など)。
    • 状態(地金/粉/くず/製品):粉・くずは部注で定義があり、形状も部注で定義されます。
    • 用途・完成度:工具用チップ、機械部品などは別類が優先し得ます(部注の除外)。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:対象が「第15部(卑金属)」相当かを確認
    • 貴金属(第71類)や、塗料等(第32類)など除外規定に当たらないかを先に確認します。
  • Step2:「金属そのもの」か「化合物」か「サーメット」かを確定
    • 金属炭化物(化学物質)なら原則第28類等へ。
    • サーメットなら81.13(ただし工具用形状は82.09等に寄ることが多い)。
  • Step3:金属を同定(W、Mo、Ta、Mg、Co、Bi、Ti、Zr、Sb、Mn、または8112対象金属)
    • 8112は対象金属が多いので、まず「どの元素か」を確定します。
  • Step4:形状・純度・成分比で6桁を確定
    • 例:粉の定義(90%/1mm)で「粉」扱いかが変わる。
    • 例:ZrはHf比(1:500未満)で6桁が変わる。
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 81類(金属) vs 28類(化合物:炭化物等)
    • 81類(素材) vs 82類(工具・工具用チップ)/84・85類(機械・電気機器の部品)
    • 81類(合金として分類) vs 72類(フェロアロイ等)(用途が「フェロ〜」として流通するか、構成が何か)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:第81類は項数が少ないため、全列挙します。
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
8101タングステン及びその製品(くずを含む)タングステン粉、焼結棒、線、スクラップ炭化タングステン(化合物/混合物/工具用チップ)は別類へ行くことがある
8102モリブデン及びその製品(くずを含む)モリブデン粉、板、線、スクラップ「単に焼結して得た棒」か否かの分岐が出やすい
8103タンタル及びその製品(くずを含む)タンタル粉、タンタルるつぼ、熱交換器用部材HS2022で「るつぼ」が独立(8103.91)
8104マグネシウム及びその製品(くずを含む)Mg地金、削りくず、粉地金は純度99.8%以上で分岐(8104.11/19)
8105コバルトのマット等中間生産物、コバルト及びその製品(くずを含む)コバルトマット、地金、粉8105.20が「中間生産物/地金/粉」をまとめて含む構造
8106ビスマス及びその製品(くずを含む)高純度ビスマス地金HS2022で99.99%超か否かで分岐(8106.10/90)
8108チタン及びその製品(くずを含む)チタンスポンジ、粉、スクラップ6桁の構造は「未加工チタン;粉」等が同一号に入る点に注意
8109ジルコニウム及びその製品(くずを含む)ジルコニウム地金、粉、管材、スクラップHS2022で**Hf含有比(1:500未満)**で細分化
8110アンチモン及びその製品(くずを含む)アンチモン地金、粉、スクラップ「未加工アンチモン;粉」など形状で分岐
8111マンガン及びその製品(くずを含む)マンガン地金、スクラップ見出しはシンプルだが、フェロマンガン等(72類)との境界に注意
81128112対象金属(Be/Cr/Hf/Re/Tl/Cd/Ge/V/Ga/In/Nb)とその製品ベリリウム地金、ハフニウム、レニウム、カドミウムスクラップ等対象金属が多い。HS2022でHf・Re・Cdなどが独立細分化
8113サーメット及びその製品(くずを含む)サーメット材料、サーメット製品サーメット定義は部注(微細な金属+セラミックの組合せ、焼結金属炭化物を含む)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件(例:重量、成分割合、用途、加工状態、形状、包装、規格)の整理
    • 粉(Powders):製品の90%以上(重量)が1mmふるいを通過するか(部注の定義)。サプライヤーの粒度分布表(PSD)が重要です。
    • くず(Waste and scrap):破損・切断・摩耗などで「そのままでは使えない」金属廃材か(部注の定義)。中古部材・オフカットは境界になりがちです。
    • 純度/成分比:Mg(99.8%)、Bi(99.99%超)、Zr(Hf比)など。
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 8109.21/8109.29(未加工Zr;粉)・8109.31/8109.39(くず)・8109.91/8109.99(その他)
      • どこで分かれるか:ハフニウムが「Zr500に対しHf1未満(重量)」かどうか
      • 判断に必要な情報:成分分析(Hf含有量、Zr含有量、分析方法、ロット)
      • 典型的な誤り:Zr品なのにHf比を確認せず「その他」へ入れる/逆に低Hfをうたうだけで根拠資料がない
    2. 8106.10/8106.90(ビスマス)
      • どこで分かれるか:**Bi 99.99%超(重量)**か否か
      • 判断に必要な情報:ミルシート、分析証明(Assay)、不純物一覧
      • 典型的な誤り:「99.99%以上」と誤読して境界を曖昧にする(条文は“more than 99.99%”)
    3. 8104.11/8104.19(マグネシウム地金)
      • どこで分かれるか:**Mg 99.8%以上(重量)**か否か
      • 判断に必要な情報:成分表(Al, Zn等の含有)、規格(例:純Mgか合金か)
      • 典型的な誤り:マグネシウム合金(他元素が多い)を高純度地金扱いする
    4. 8102.94/8102.95(モリブデン)(同様構造はタングステン等でも実務論点)
      • どこで分かれるか:「単に焼結して得た棒を含む未加工」か/それ以外の棒・形材等か
      • 判断に必要な情報:製造工程(焼結のみか、圧延・引抜き等の後加工があるか)、形状写真
      • 典型的な誤り:見た目が棒状=すべて8102.95と決め打ちする

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 部注3:本表全体でいう「卑金属(base metals)」の範囲(鉄鋼〜タングステン〜レニウム等)が列挙されています。第81類対象金属の理解に直結します。
    • 部注4:サーメットの定義(微細な金属成分+セラミック成分、焼結金属炭化物を含む)。
    • 部注5:合金の分類(原則は優勢重量など)。
    • 部注8:「くず」「粉」の定義(粉=90%/1mm)。
    • 部注9:棒・形材・線・板などの形状定義(第81類にも準用)。
    • 部注1:塗料等や貴金属、機械類等の除外(どの部・どの類へ飛ぶかの入口)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 「タングステン粉」と称していても、粒度分布が定義を満たさないと「粉」号に入れないことがあります(PSDが必須)。
    • 「炭化タングステン」は、化合物としての粉なら第28類、調製混合物なら第38類、工具用の板・チップ等なら第82類へ、というように状態で飛び先が変わります。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 金属粉末を含む塗料・インキ → 第32類(部注で除外)
    • 完成品(機械・電気機器の部品等) → 第16部(84/85類など)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • HS2022の第81類には類注(Chapter Notes)や号注(Subheading Notes)は置かれていません(=分岐の多くは部注と各見出し文言で行います)。
    • 参考:HS2007/2012/2017には「第74類注1の形状定義を準用する」という号注がありましたが、HS2022では部注9側に定義が整理されています。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • サーメットの定義:部注4
    • 粉・くず:部注8
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 除外そのものは主に部注1(第32類、第71類、第16部など)で整理されています。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。
→第81類は類注がないため、実務上の分岐は“部注(Section Notes)”が実質的に作ります

  • 影響ポイント1:「粉」定義(90%/1mm)で、同じ“粉っぽい”ものが別号になる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):粒度分布(PSD)、ふるい試験結果、製品仕様(平均粒径では不足)
    • 現場で集める証憑:仕様書、SDS、試験成績書(粒度)、写真(粒状/フレーク状)
    • 誤分類の典型:「微粉末」と商品名にある=粉(Powders)と決め打ち
  • 影響ポイント2:合金の分類(優勢重量など)で“金属名”が変わる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):合金の重量組成(各元素%)、製造方法(焼結混合物か溶融か)
    • 現場で集める証憑:ミルシート、成分分析、BOM(材料配合)、工程図
    • 誤分類の典型:用途(例:超硬用途)だけで「タングステン系」として8101へ寄せる
  • 影響ポイント3:サーメット定義に該当するかで、81.13または82.09へ動く
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):微細組織(焼結体か、金属×セラミック複合か)、用途(工具用形状か)
    • 現場で集める証憑:材質説明(例:WC-Co、TiC系等)、用途資料、形状図面
    • 誤分類の典型:サーメット素材を81.13で申告すべきところ、工具用チップ形状でも81.13にしてしまう(82.09が優先しやすい)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:炭化タングステン粉を8101(タングステン)に入れる
    • なぜ起きる:商品名に「タングステン」とある/超硬用途=タングステンと短絡
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):日本税関解説で「金属炭化物はこの類に属しない」旨が明確。粉は28類、調製混合物は38類、工具用チップ等は82類など状態で分かれる。
    • 予防策:SDS・化学式・焼結/未焼結・結合材の有無・用途(工具用チップ形状か)を確認する
  2. 間違い:「粉」の号に入れたが、粒度要件(90%/1mm)を満たしていない
    • なぜ起きる:「粉末」「パウダー」という商流表示が先行
    • 正しい考え方:部注8(b)の定義で判断する。
    • 予防策:PSD(ふるい/レーザー回折など)をロット別に入手。社内質問例「90%が1mmふるい通過の試験結果はありますか?」
  3. 間違い:ジルコニウムを8109.29等に入れたが、実はHf比で8109.21側だった(または逆)
    • なぜ起きる:成分表がZr%のみで、Hf含有が管理されていない
    • 正しい考え方:HS2022はHf比(1:500未満)で6桁が分岐する。
    • 予防策:分析項目にHfを追加。社内質問例「Hfの保証値(ppm/%)は?分析方法は?」
  4. 間違い:ビスマスを一律8106.10(高純度)にしてしまう
    • なぜ起きる:「高純度」と聞くと99.99%扱いしがち
    • 正しい考え方:8106.10は99.99%超。境界は厳密。
    • 予防策:Assay(不純物一覧込み)を必須化。社内質問例「Bi純度は“>99.99%”を保証していますか?」
  5. 間違い:マグネシウム地金を8104.11(99.8%以上)に入れたが、実際は合金で8104.19側
    • なぜ起きる:Mg基材=純Mgと誤認
    • 正しい考え方:8104.11は純度条件がある。
    • 予防策:成分表でMg以外(Al/Zn等)を確認。社内質問例「これは純Mgですか、Mg合金ですか?」
  6. 間違い:「くず(scrap)」を安易に選び、実は再使用可能なオフカットだった
    • なぜ起きる:取引慣行で“スクラップ”と呼ぶ
    • 正しい考え方:部注8(a)は「そのままでは使えない」ことがポイント。
    • 予防策:形状写真・再使用可否・切断状態を確認。社内質問例「同形状で再販売/再加工用途はありますか?」
  7. 間違い:サーメット素材を81.13で申告すべきところ、工具用チップ形状でも81.13にしてしまう
    • なぜ起きる:「材質=サーメット」だけで判断
    • 正しい考え方:サーメット定義は部注4。ただし工具用のプレート・チップ等は82類(例:82.09)により具体的に規定され得る。
    • 予防策:用途・形状(工具用か)で二段階確認。図面・カタログを入手
  8. 間違い:HS6桁と日本の国内コード(統計番号9桁等)を混同
    • なぜ起きる:社内資料が9桁前提で、HS6桁に戻す工程が抜ける
    • 正しい考え方:HSは6桁まで国際共通。9桁等は国内細分。
    • 予防策:社内で「HS6桁→国内コード」の対応表を作る(付録A参照)

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。誤ると、材料HSや工程判定(CTC/RVC等)がずれ、原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴:
    • 材料(粉・合金・スクラップ)のHSがずれている
    • 「化合物(28類)」と「金属(81類)」の取り違えで、CTC条件の“章/類/項変更”判定が逆転する

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定ごとに採用しているHS年版が異なります。税関のPSR検索でも「協定のHS年版と違うHSで検索すると誤り得る」旨が注意喚起されています。
  • 例:RCEPは、HS2022に置換したPSRを採択し、2023年1月1日から運用とされています。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • 協定のPSRが旧版参照の場合、当局が提供する置換表(トランスポーズPSR等)やガイダンスに従い、“協定が要求するHS版”でPSR判定→**“通関は最新HS”**という二重管理が必要になることがあります。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 証明書類・保存要件(一般論)
  • 第81類は素材が多いので、**材料HSの確定(粉/くず/合金/化合物)**と、**成分証明(Zr/Hf、純度等)**が特に重要です。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022分割8106.00 → 8106.10 / 8106.90ビスマスを高純度(>99.99%)とその他に分割分析証明が必須化。申告コード・関税率・PSRが変わる可能性
HS2017→HS2022分割(細分化)8109.20/30/90 → 8109.21/29/31/39/91/99ジルコニウムをHf比(<1:500)で細分化成分分析(Hf)が必須。誤ると規制・統計・PSRに影響
HS2017→HS2022文言修正/細分(実質新設)8103.90 → 8103.91 / 8103.99タンタル「るつぼ」を独立コード化るつぼ取引でコードが変わる。品名・規格で判定
HS2017→HS2022削除+移動81.07(カドミウム)削除 → 8112へ包含HS2022では81.07が削除表示となり、カドミウムは8112見出しに含まれる旧コードでの社内マスタが崩れる。過去データ・PSRの読み替えが必要
HS2017→HS2022分割(細分化)8112(その他)中心 → Hf/Re/Cd等の個別号を追加8112でハフニウム・レニウム・カドミウム等が独立号で明確化「Other」一括が減り、金属同定がより重要に
HS2017→HS2022注の整理Subheading Note(74類注1準用)廃止HS2017等の号注がなくなり、形状定義は部注側で運用定義の参照先が変わる。社内マニュアル更新が必要

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠は、**WCOのHS条文(HS2017とHS2022のChapter 81)**を見比べ、見出し・号の構造変更(例:81.07の有無、8106や8109の細分化、8103のるつぼ追加、8112の細分)を確認しました。
  • 例えば、HS2017では81.07として「Cadmium and articles thereof…」が存在しますが、HS2022では81.07が削除表示となり、8112の見出し文言にcadmiumが含まれています(条文上の位置づけが変化)。
  • 形状定義については、HS2007/2012/2017で「74類注1を準用する号注」が存在する一方、HS2022ではChapter 81側にその号注がなく、Section XVの定義(Note 9等)を参照する実務になります。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • HS2007→2012→2017→2022の流れで、主要な追加・削除・再編を表で整理(可能な範囲で旧→新対応)
版の変遷主要な追加・削除・再編(第81類)旧コード→新コードの見え方(例)備考
HS2007→HS2012大枠の構造は同一(81.07カドミウムあり、8106は単一)8106.00(維持)、8107(維持)少なくとも章レベルでは顕著な再編なし
HS2012→HS2017大枠の構造は同一(号注あり)8106.00(維持)、8107(維持)81類の条文構造は継続
HS2017→HS20228106分割、8109細分、8103るつぼ新設、81.07削除→8112へ、8112細分、号注整理8106.00→8106.10/90、8107→(削除)→8112(cadmium)等実務マスタ更新・PSR読み替えが必要

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「炭化タングステン粉」をタングステン粉として申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):日本税関解説のとおり金属炭化物は81類に属さない(化合物/混合物/工具用等へ)。
    • 起きやすい状況:商品名「タングステン粉」、用途「超硬」だけで判断
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、納期遅延
    • 予防策:化学式・結合材・焼結有無・用途(工具用形状)を資料で確定
  • 事例名:ジルコニウムのHf比未確認で誤った6桁を選択
    • 誤りの内容:8109のHf比条件(<1:500)を満たす/満たさないの判断が欠落
    • 起きやすい状況:成分表にHf項目がない
    • 典型的な影響:統計誤り、FTA/規制チェックの手戻り
    • 予防策:ロット別分析、保証値の取得
  • 事例名:ビスマス高純度の「>99.99%」を「≥99.99%」と誤認
    • 誤りの内容:8106.10の閾値表現の読み違い
    • 起きやすい状況:規格書が「99.99%」表記止まり
    • 典型的な影響:コード差し戻し、追加資料要求
    • 予防策:Assayで“more than”を満たす記載を確保(不純物一覧付き)
  • 事例名:サーメット材料を81.13で申告したが、実は工具用チップで82.09
    • 誤りの内容:材質だけで判断し、より具体的な見出し(工具用)を見落とし
    • 起きやすい状況:形状が「ブランク」でも工具用途が明確
    • 典型的な影響:品目更正、関税率・規制判定の再確認
    • 予防策:用途・形状図面を必ず確認し、どの見出しがより具体か検討

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
    • 検疫・衛生(SPS等):通常、金属素材自体はSPS中心ではありませんが、粉末はSDSや危険物/輸送要件の確認が実務上重要です(HS分類とは別管理)。
    • ワシントン条約(CITES)等の種規制:第81類は通常対象外。
    • 安全保障貿易管理(該当する場合):
      • HS分類とは別に、外為法に基づく輸出管理(リスト規制・キャッチオール等)が適用され得ます。METIのQ&Aには、ジルコニウム素材(素管等)に関する該非判断例が掲載されています。
      • 実務は「該非判定(スペックで判定)→取引審査→出荷管理」の順で設計されます(HSだけでは完結しません)。
    • その他の許認可・届出:
      • スクラップ等は、バーゼル条約関連の規制対象となる場合があり、税関も水際で取締りを実施しています(対象可否は品目・性状・汚染状況等で個別判断)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • METI(安全保障貿易管理、Q&A、改正情報)
    • 税関(バーゼル該当物品の水際取締り等)
  • 実務での準備物(一般論):
    • HS:仕様書、成分分析、製造工程、形状写真
    • 規制:SDS、用途・需要者情報、該非判定書(必要に応じて)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 金属種(元素)/合金組成(重量%)
    • 形状(粉・くず・地金・板・線等)+製造工程(焼結のみか、圧延・引抜き等があるか)
    • 純度条件(Mg 99.8%、Bi >99.99%、Zr/Hf比など)
    • SDS、粒度分布(粉の場合)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 化合物(炭化物等)や調製品(混合物)でないか
    • 工具用形状、機械・電気部品として完成していないか(別類優先)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名は金属名+形状+純度/成分比を併記(例:Zirconium unwrought, Hf <0.2%)
    • ロット別分析証明を添付できる体制
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が採用するHS年版でPSR検索(税関注意喚起あり)
    • RCEPはHS2022置換PSRが運用(2023/1/1〜)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • METI該非(HSとは別)/スクラップのバーゼル該当性など

12. 参考資料(出典)

※参照日:2026-02-27

  • WCO(HS2022 Chapter 81)
  • WCO(HS2017 Chapter 81)
  • WCO(HS2012 Chapter 81)
  • WCO(HS2007 Chapter 81)
  • WCO(HS2022 Section XV Notes:base metals/ cermets/ alloys/ waste & scrap/ powders/ shapes)
  • 日本税関:関税率表解説 第81類(81r)
  • 日本税関:品目別原産地規則検索(HS年版の注意)
  • 外務省:RCEP「HS2022に従った品目別規則(PSR)の採択」
  • 日本税関:RCEP協定のHS2022版PSR(案内)
  • 経済産業省(METI):安全保障貿易管理Q&A(素材:ジルコニウム素管等の例)
  • 経済産業省(METI):安全保障貿易管理(English/改正情報等)
  • 日本税関:バーゼル条約該当物品の水際取締り

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

 

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投稿者: shima

嶋 正和 株式会社ロジスティック 代表取締役社長

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