0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの 超要約
- この類に入る代表例(3〜6個):
- 乳幼児用の調製食料品(小売用)→ 1901.10(例:ベビーフード用シリアル、粉ミルク系の調製品)
- **ミックス・ドウ(生地)**で、ベーカリー製品(1905)を作るためのもの → 1901.20(例:ホットケーキミックス、ピザ生地の未加熱品)
- パスタ・めん類・クスクス → 1902(例:スパゲッティ、マカロニ、即席めん、ラビオリ等の詰物パスタ、クスクス)
- タピオカパール等(でん粉から調製、粒・フレーク等)→ 1903.00
- 朝食用シリアル/穀物を膨張・焙焼・前加熱等で調製したもの → 1904(例:コーンフレーク、グラノーラ、プレクック米)
- パン・菓子・ビスケット等のベーカリー製品 → 1905(例:パン、ケーキ、クッキー、ワッフル、ライスペーパー等)
- この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
- 肉・魚介・昆虫等の含有量が全重量の20%超の調製食料品(※1902の詰物パスタを除く)→ 第16類
- ココア高含有:
- 穀粉・でん粉等ベースで、完全脱脂ココア換算で40%以上 → 1806
- 0401〜0404ベースで、完全脱脂ココア換算で5%以上 → 1806
- 1904系の穀物調製品で、完全脱脂ココア換算で6%超またはチョコ等(1806)で完全被覆 → 1806
- 動物飼料用に特に調製したビスケット等 → 2309
- 医薬品等 → 第30類
- **コーヒー代用物(焙煎穀物など)**は、形態・表示・包装によって 2101 側に寄ることがあります(例:ティーバッグ入り等)
- 実務での最重要分岐(1〜3個):
- 「製品(1905)」か「ミックス・生地(1901.20)」か(ピザ生地が典型)
- ココア含有量の閾値(40%/5%/6%、しかも「完全脱脂ココア換算」)
- 肉・魚介・昆虫等が20%超か(※詰物パスタ例外あり)
- この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
- FTA/EPA原産地(PSR):HS付番を誤ると、適用すべきPSR自体が変わり、原産性判断が崩れます(再発給・追徴・否認リスク)。
- 1901 vs 2106(砂糖・甘味料の比率が高い粉末ミックス等)で税率や規制・統計が変わりやすいです。

1. 区分の考え方 どうやってこの類に到達するか
1-1. 分類の基本ルール GIRの使いどころ
- この類で特に効くGIR
- GIR1:見出し(項の文言)と**注(類注・部注)**でまず当てに行きます。第19類は注の「除外(20%肉等、ココア閾値)」が強力で、ここを外すとズレます。
- GIR6:6桁(号)は、同一項内で**「卵入り」「詰物」「穀物の加工形態」「ビスケット類」**などの性質で分かれます(1902/1904/1905が典型)。
- GIR3(b):セット/混合(例:めん+スープ添付、穀物+茶葉混合など)は「本質的特性」で判断する場面が出ます(後述:即席めん、玄米茶)。
- 「品名だけで決めない」ための観点
- 成分:穀物・粉・でん粉・乳製品の割合、肉・魚介・昆虫等の含有量、ココア量、砂糖・甘味料比率
- 加工度:膨張・焙焼・前加熱調理の有無(1904)、焼成済みか(1905)
- 形状:粒/フレーク/粉末/めん状/パン状など(1902/1903/1904/1905の分かれ目)
- 包装・表示・用途:ティーバッグ入りか、調味料添付か、乳幼児用表示か、動物飼料用に特化か
1-2. 判定フロー 疑似フローチャート
- Step1:「調製食料品」か
- 食用の調製品・ベーカリー製品なら第IV部(第16〜24類)側を検討。
- Step2:第19類の入口チェック
- 穀物・粉・でん粉・ミルク由来の調製品、またはベーカリー製品なら第19類が候補。
- Step3:注で“落とす”(除外判定)
- 肉・魚介・昆虫等が20%超(※詰物パスタ1902を除く)→ 第16類へ
- ココア含有が閾値超(1901は40%/5%、1904は6%や完全被覆)→ 1806へ
- 動物飼料用ビスケット → 2309へ、医薬品 → 第30類へ
- Step4:項(4桁)を決める
- めん・パスタ・クスクス → 1902
- タピオカパール等 → 1903
- 膨張/焙焼シリアル、前加熱穀物等 → 1904
- 焼成したパン・菓子・ビスケット等 → 1905
- 上記以外の粉・でん粉・乳製品由来の調製品、ベーカリー用ミックス・生地 → 1901
- Step5:号(6桁)で絞る(卵/詰物/形態など)
- よく迷う境界:
- 1901 vs 1905:ミックス・生地か、焼成済みの製品か(ピザで頻出)
- 1904 vs 2101:玄米茶・焙煎穀物系(割合・形態・包装)
- 1901 vs 2106:砂糖・甘味料の比率が高い粉末ミックス
- 1904 vs 1806:チョコ被覆・ココア6%超のシリアル系
2. 主な項 4桁 とその内容
2-1. 4桁 項 の主なもの一覧表
| 項番号(4桁) | 見出しの要旨(日本語) | 典型例(製品名) | 重要な分岐条件/除外/注意点 |
|---|---|---|---|
| 1901 | 麦芽エキス、穀粉・でん粉・乳製品由来の調製食料品、ベーカリー用ミックス/生地 | 乳幼児用調製品、ホットケーキミックス、グラタン/ソース用粉、未加熱ピザ生地など | ココア閾値(粉系40%未満/乳系5%未満)を超えると1806へ。ミックス/生地(1901.20)と焼成品(1905)を混同しない。 |
| 1902 | パスタ、めん類、詰物パスタ、クスクス | スパゲッティ、マカロニ、即席めん、ラビオリ、クスクス | 「詰物パスタ」は肉等20%超でも第19類に残る例外。即席めんは1902.30の概念整理が重要(冷凍・冷蔵は除外など)。 |
| 1903 | タピオカ(でん粉から調製、粒・フレーク等) | タピオカパール、タピオカフレーク | でん粉由来で、粒・真珠状など特有の形態。単なるでん粉(第11類)等との切り分けが必要。 |
| 1904 | 穀物の膨張・焙焼品、穀粒/フレーク等の前加熱調理・その他の調製品 | コーンフレーク、オートミール系朝食シリアル、プレクック米、玄米茶(条件あり) | ココア6%超またはチョコ完全被覆は1806。砂糖がけで砂糖菓子性→1704の可能性。玄米茶は割合で1904/2101が分かれやすい。 |
| 1905 | パン、菓子、ケーキ、ビスケット等のベーカリー製品、ライスペーパー等 | 食パン、クッキー、クラッカー、ケーキ、ワッフル、ピザ(焼成済み) | 焼成済みが基本。肉等20%超は第16類へ飛ぶ可能性(製品次第)。ココア有無は問わない。 |
2-2. 6桁 号 で実務上重要な分岐
- 分岐条件の整理
- 1901
- 1901.10:乳幼児向け・小売包装(表示・用途・形態が鍵)
- 1901.20:1905製品を作るためのミックス・生地(未加熱のピザ生地などが例)
- 1901.90:その他(ただしHS2022では“外へ動いた”ものがある=後述)
- 1902
- 1902.11 / 1902.19:未調理・非詰物で「卵入り」か否か
- 1902.20:詰物パスタ(肉等の含有が多くても例外的に19類)
- 1902.30:その他パスタ(即席めん等がここに来るケースが多い)
- 1902.40:クスクス
- 1904
- 1904.10:穀物等の膨張・焙焼品(例:コーンフレーク等)
- 1904.20:未焙焼フレーク由来や混合フレーク等
- 1904.30:ブルガー小麦
- 1904.90:その他(HS2022で“外へ動く”可能性が増えた=昆虫等)
- 1905
- 1905.31:スイートビスケット、1905.32:ワッフル/ウエハー、1905.10/20/40/90:その他の類型
- 1901
- 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組)
- 1901.20(ミックス/生地) vs 1905(焼成済みベーカリー製品)
- どこで分かれるか:未加熱の生地・ドウか、焼成・加熱済み製品か
例:未調理ピザは1901.20寄り、事前に生地を加熱したものや完成ピザは1905寄りの考え方が示されています。 - 判断に必要な情報:製造工程(焼成の有無)、輸入形態(冷凍/冷蔵/常温)、商品写真、商品規格書
- 典型的な誤り:「ピザ=1905」と決め打ちして、生地段階を見落とす
- どこで分かれるか:未加熱の生地・ドウか、焼成・加熱済み製品か
- 1901(粉・穀粉調製品) vs 2106(その他の調製食料品)
- どこで分かれるか:日本実務の一例として、砂糖その他甘味料が70%以下→1901、70%超→2106という取り扱い基準が示されています。
- 判断に必要な情報:配合比(砂糖・甘味料の種類含む)、BOM、分析表
- 典型的な誤り:粉末ミックスを全部1901に入れてしまう
- 1904(穀物調製品) vs 2101(茶・コーヒー等の調製品)
- どこで分かれるか:玄米茶は、玄米(花含む)が50%以上→1904、50%未満→2101という整理が示されています。
- 判断に必要な情報:玄米と茶葉の配合比、商品名・表示、用途説明
- 典型的な誤り:「お茶=2101」で固定してしまう
- 1902.30(即席めん等) vs 1902.11/1902.19(未調理パスタ)
- どこで分かれるか:即席めんは、調味料添付または味付け済みで、簡便な調理で食用、かつ冷凍・冷蔵ではない等の条件で概念整理されています。
- 判断に必要な情報:調味料の添付有無、保存形態(常温/冷凍/冷蔵)、調理方法、製品仕様
- 典型的な誤り:乾麺=全部「未調理パスタ」側に寄せる
- 1904(穀物調製品) vs 1806(ココア調製品)
- どこで分かれるか:1904はココア6%超(完全脱脂換算)やチョコ等で完全被覆を除外し1806へ。
- 判断に必要な情報:ココア分析(完全脱脂換算)、被覆の状態(全体被覆か)、原材料表
- 典型的な誤り:シリアルバーを見た目で1904に入れる
- 1901.20(ミックス/生地) vs 1905(焼成済みベーカリー製品)
3. 部注と類注の詳細解釈 条文から実務的な意味
3-1. 関連する部注 Section Notes
- ポイント要約:
- 第IV部の部注として、用語「pellets(ペレット)」の定義(結着剤3%以下等)が置かれています。
- 実務での意味(具体例つき):
- 第19類そのものは主に粉・焼成品が中心ですが、**第23類(飼料等)**側で「ペレット」の概念が効く場面があります。第19類の除外(動物飼料用ビスケット→2309)に落ちた後、2309内で形態がペレットか否かが論点になる可能性があります。
- “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
- 第19類→2309へ飛ぶ(動物飼料用に特に調製したビスケット等)
3-2. この類の類注 Chapter Notes
- ポイント要約:
- 注1:除外(20%肉等、動物飼料用ビスケット、医薬品)
- 注2:1901の「ひき割り(groats)」「粉(flour/meal)」の定義(特定の植物粉は除外)
- 注3:1904の除外(ココア6%超、チョコ等で完全被覆 → 1806)
- 注4:1904の「その他の調製」の意味(第10類/第11類の加工度を超える)
- 用語定義(定義がある場合):
- 「その他の調製をしたもの」(1904)=第10類または第11類で想定する加工度を超える調製・加工。
- ココア含有量(注3、及び1901の見出し文言)について、日本税関解説ではテオブロミン+カフェインの合計×31で算定する旨が示されています(実務上、分析・算定方法の確認が重要)。
- 除外規定(除外先の類・項も明記):
- 肉・魚介・昆虫等20%超(※1902詰物パスタ除く)→ 第16類
- 動物飼料用ビスケット等 → 2309
- 医薬品等 → 第30類
- 1904のココア6%超・完全被覆 → 1806
- 1901のココア閾値超(40%/5%)→ 1806(解説で明示)
4. 類注が分類に与える影響 どこでコードが変わるか
この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。
- 影響ポイント1:肉・魚介・昆虫等の20%ルールで第16類へ飛ぶ
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 肉、くず肉、血、魚、甲殻類、軟体動物、その他水棲無脊椎動物、昆虫類の合計重量比
- 詰物パスタ(1902.20)か否か(例外)
- 現場で集める証憑:
- レシピ(配合表)、BOM、原材料規格書、分析表、製造工程図、商品写真
- 誤分類の典型:
- ミートパイ/肉入り菓子パン等を、見た目で1905に入れる(実際は肉等比率次第で16類へ)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント2:ココア閾値・完全脱脂換算・被覆の有無で1806へ飛ぶ
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 1901:完全脱脂ココア換算で40%未満(粉系)/5%未満(乳系)か
- 1904:完全脱脂ココア換算で6%超か、1806のチョコ等で完全に覆われているか
- ココア算定方法(日本税関解説:テオブロミン+カフェイン×31)
- 現場で集める証憑:
- 成分表、分析成績書(ココア換算根拠がわかるもの)、原材料表、被覆状態が分かる写真
- 誤分類の典型:
- チョコがけシリアル・バーを1904にしてしまう(注3で1806へ)
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 影響ポイント3:1904の「その他の調製」概念で、第10類/第11類との境界が動く
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
- 単なる製粉・圧ぺん等(第10/11類で想定)を超えて、前加熱調理・膨張・焙焼・調味付けなどがあるか
- 現場で集める証憑:
- 製造工程(加熱・乾燥条件)、規格書、用途説明(朝食用等)
- 誤分類の典型:
- 「穀物=第10類」と早合点し、プレクック米・朝食用シリアルを見落とす
- 何を見れば判断できるか(必要情報):
5. 分類でよくある間違い 原因→対策
- 間違い:ピザを全部1905にしてしまう
- なぜ起きる:品名が「ピザ」だと焼成品のイメージが強い
- 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):未調理(未加熱)のピザ生地段階は、ミックス・生地(1901.20)側で検討し、焼成済みは1905側で検討する整理が示されています。
- 予防策:工程(焼成の有無)、輸入時の状態(冷凍/常温)、写真、商品説明書を必ず回収
- 間違い:チョコがけシリアル/シリアルバーを1904に入れる
- なぜ起きる:主原料が穀物=1904と思い込み
- 正しい考え方:1904は、ココア6%超(完全脱脂換算)や1806チョコ等で完全被覆したものを除外し、1806へ飛ぶ注があります。
- 予防策:被覆状態の写真、配合比、ココア算定根拠(分析)を事前に取得
- 間違い:肉入りの菓子パン/パイを1905に固定
- なぜ起きる:「パン・パイ=1905」の固定観念
- 正しい考え方:肉・魚介・昆虫等が合計20%超なら、原則第16類へ(ただし詰物パスタ1902は例外)。
- 予防策:肉等の含有量(重量比)をBOMで明確化、詰物パスタ例外の該当性も確認
- 間違い:粉末ミックス(甘味料多)を全部1901に入れる
- なぜ起きる:「粉=1901」の短絡、砂糖割合の確認不足
- 正しい考え方:日本実務の一例として、砂糖その他甘味料が70%超なら2106側になる基準が示されています。
- 予防策:甘味料の総量(種類も含む)を配合表で管理し、判断基準に照らす
- 間違い:即席めんを「乾麺=未調理パスタ」側(1902.11/1902.19)に寄せる
- なぜ起きる:形状が麺で同じ、調味料添付の意味を軽視
- 正しい考え方:即席めんは、調味料添付/味付け、簡便な調理で食用、冷凍・冷蔵でない等の条件で概念整理されています(1902.30の範囲理解が重要)。
- 予防策:調味料の有無、保存温度帯、調理手順を商品仕様書で明確化
- 間違い:玄米茶を「茶=2101」で固定
- なぜ起きる:販売上のカテゴリー(お茶)で分類してしまう
- 正しい考え方:玄米(花含む)が50%以上なら1904、50%未満なら2101という整理が示されています。
- 予防策:配合比(玄米・茶葉)を取得し、「本質的特性」を説明できる資料を準備
- 間違い:焙煎麦(麦茶原料)を無条件に「コーヒー代用物(2101)」へ
- なぜ起きる:焙煎穀物=コーヒー代用物と思い込み
- 正しい考え方:ティーバッグ入り等「コーヒー代用物」としての明確性がある場合に2101寄りになり、バルクは19類寄りという整理が示されています。
- 予防策:包装形態(ティーバッグ/バルク)、表示(用途)、販売形態の資料を確保
- 間違い:ココア含有量を「原材料表示」だけで判断
- なぜ起きる:完全脱脂換算や算定方法の理解不足
- 正しい考え方:日本税関解説では、テオブロミン+カフェイン×31でココア換算する旨が示されています(分析が必要な場面あり)。
- 予防策:ココア換算の算定根拠(分析成績書、算定式)を用意
6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点
6-1. HSコードとPSR 品目別規則 の関係
- HSの付番がPSR選択に直結します。第19類は、同じ「食品」でも1901/1904/1905/2106などでPSRが変わりやすく、誤分類=誤った原産性判断になりがちです。
- よくある落とし穴
- 最終製品は第19類でも、材料(砂糖・乳製品・ココア等)のHSが別章になり、CTC判定が変わる
- 「調製の程度」や「本質的特性」の説明不足で、HSがぶれてPSRが揺れる
6-2. 協定が参照するHS版の違い HS2012/2017/2022のズレ
- CPTPP
- PSRはHS2012で最終化された旨がガイドで示されています。
- RCEP
- 品目別規則(Annex 3A)はHS2012に基づくと明記されています。
- ただし、RCEPでは**HS2022へ技術的更新(transposed PSR)**した版を採択し、2023-01-01から適用する旨が公表されています(運用上、どの版を参照するか要確認)。
- 日EU EPA
- EU側情報では、日EU EPAの関税上の分類はHS2017コードを用いる旨が示されています(PSRも同じ版前提で確認するのが安全です)。
- 日英EPA(UK-Japan CEPA)
- 英国政府・JETRO資料で、PSRがHS2017に基づく旨が示されています。
- トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
- まず**通関用(現行)**のHS(例:HS2022、かつ国内コード)を確定
- 次に、協定参照HS版(HS2012/2017等)でPSRを引くために、WCO相関表や各当局の対応表で紐付ける
- 相関が「ex(部分)」になる場合は、コードだけでなく品名・範囲で一致させる(安易な機械変換は危険)
6-3. 実務チェック 原産性判断に必要なデータ
- 必須データ
- 材料表(BOM/レシピ)、原価、工程(加熱・焙焼・乾燥等)、原産国、非原産材料のHS(協定参照版で)
- ココア・乳・砂糖の含有比率(第19類は境界が比率で動きやすい)
- 証明書類・保存要件(一般論)
- 供給者宣誓、製造工程説明、成分表、インボイス・B/L等、協定に沿った保存(社内規程化推奨)
- HS版ズレの説明資料(相関表、技術的更新資料)を添付できるようにする
7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い 違うことになった根拠
7-1. 変更点サマリー
| 比較(例:HS2017→HS2022) | 変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更) | 該当コード | 変更の要旨 | 実務への影響 |
|---|---|---|---|---|
| HS2017→HS2022 | 範囲変更 | 1901.90(ex) | ヨーグルトに穀物・ベーカリー製品等を加えたものが、乳製品側の新サブヘディング(0403.20)へ移る等により、1901.90の範囲が狭くなった旨が相関表で示されています。 | 乳系+穀物入り製品を1901.90と決め打ちすると誤りになり得る。 |
| HS2017→HS2022 | 範囲変更 | 1901.90(ex)、1904.90(ex) | 昆虫を20%超含む調製品が第16類側へ移る等で、1901.90/1904.90の範囲が狭くなる旨が相関表で示されています。 | “昆虫入りシリアル”など新商品で分類が動く。肉等20%ルールの対象に「昆虫」が明記される点に注意。 |
| HS2017→HS2022 | 文言修正・明確化(関連類注) | 第18類注(影響は1902にも) | HS2017では第18類注が1902を除外しておらず、ココア含有パスタが18類・19類どちらにも分類し得る状態があったが、HS2022で第18類注に1902を除外する旨を規定して明確化した、という趣旨の説明が示されています。 | ココア含有パスタ等の境界で、章間の優先関係が明確化。 |
7-2. 違うことになった根拠
- 参照した根拠資料
- WCOのHS2017↔HS2022相関表(Table I)で、1901.90や1904.90の範囲が「ex(部分)」扱いとなり、ヨーグルト関連の移動や昆虫関連の移動により範囲が狭くなった旨が説明されています。
- HS2022の第19類注(条文)では、除外対象に「insects(昆虫)」が含まれています。
- 日本税関のHS2022改正解説資料で、第18類注に1902を除外する規定を追加して分類の重複可能性を解消する趣旨が示されています。
- どう判断したか(文章)
- 相関表の「ex」は「同じ6桁でも範囲が一部だけ移った/範囲が変化した」ことを意味するため、HS2022では1901.90・1904.90の中身が一部外へ動いていると判断しました(ヨーグルト系、昆虫含有の調製品など)。
- また、HS2022条文で第19類注の除外対象に昆虫が含まれるため、肉・魚介と同様に“20%超”判定が必要になる領域が拡張したと整理しました。
- さらに、章間(第18類と第19類)の優先関係について、日本税関資料がHS2022での条文整備を説明しているため、ココア含有パスタ等の扱いが明確化されたと判断しました。
8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード
- HS2007→2012→2017→2022の流れ(第19類の大枠)
- HS2007時点でも第19類は1901〜1905の構成で、注(20%肉等、1904のココア6%除外等)も同様の枠組みで掲載されています。
- HS2022でも同じく1901〜1905の構成です。
- 主要な追加・削除・再編(可能な範囲)
- HS2007→HS2022で、見出し構成(1901〜1905)は維持されつつ、HS2022では相関表が示す通り1901.90/1904.90の範囲が一部変更(ヨーグルト系の移動、昆虫関連の移動)となっています。
- 旧コード→新コード(代表的な“行き先”)
- 1901.90(2017の一部)→ 0403.20(2022の新サブヘディング側へ)という移動が示されています(ヨーグルト関連)。
- 昆虫20%超含有の調製品:1901.90/1904.90等の一部 → 1602.90(第16類)へ移る旨が示されています。
- 補足
- HS2012/2017の第19類内の細かな変遷(6桁単位)は、案件ごとにWCO相関表での確認が安全です(“ex”の有無が重要)。
9. 類注違反による通関トラブル 想定事例
- 事例名:肉入りパイを1905で申告してしまう
- 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第19類注1(a)(肉等20%超は第16類へ)
- 起きやすい状況:商品名が「パイ」「パン」で、肉の比率(重量)が把握できていない
- 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、納期遅延(一般論)
- 予防策:配合表で肉等比率を確定し、境界品は事前教示を検討
- 事例名:チョコがけシリアルバーを1904で申告
- 誤りの内容:第19類注3(ココア6%超・完全被覆は除外)
- 起きやすい状況:主原料が穀物で「シリアル」と認識、被覆やココア換算を未確認
- 典型的な影響:コード変更、税率差による追徴、表示・規制確認のやり直し
- 予防策:被覆写真、配合比、ココア分析(完全脱脂換算)を準備
- 事例名:甘味料比率が高い粉末ミックスを1901で申告
- 誤りの内容:1901と2106の境界(甘味料70%超の扱い)
- 起きやすい状況:BOMが輸出者側でブラックボックス、糖アルコール等の扱いを見落とす
- 典型的な影響:統計・関税・原産地PSRへの影響、差戻し
- 予防策:甘味料総量(種類含む)を取得し、基準に当てはめる
- 事例名:玄米茶を2101固定で申告
- 誤りの内容:本質的特性(玄米割合)に基づく取り扱いを見落とす
- 起きやすい状況:社内カテゴリが「茶」だけで管理
- 典型的な影響:HS差異によりPSR・関税率・統計が変わる
- 予防策:配合比と説明資料(仕様書、配合表)を整備
10. 輸出入規制事項 コンプライアンス観点
- 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫
- 検疫・衛生(SPS等)
- 食品衛生法に基づく輸入届出:販売・営業用の食品等を輸入する場合、検疫所に輸入届出が必要で、届出なしでは販売・営業使用できない旨が示されています。
- 動物検疫(該当する場合)
- 乳・乳製品が含まれる(1901など)場合、動物検疫所による乳製品の検疫が必要になるケースがあります(輸入検査申請、証明書提出等)。
- 植物検疫(該当する場合)
- 植物由来品でも、高度に加工され病害虫付着のおそれがない加工品等は植物検疫の対象外になり得る旨が示されています。加工度・形態によるため、案件ごとに植物防疫所情報で確認が必要です。
- その他
- 食品表示・アレルゲン表示などは国内流通段階で別途要件が発生し得ます(本資料では一般論に留めます)。
- 検疫・衛生(SPS等)
- 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
- 厚生労働省(輸入食品監視・食品等輸入手続)
- 農林水産省 動物検疫所(乳製品)
- 農林水産省 植物防疫所(植物検疫の要否)
- 実務での準備物(一般論)
- 原材料表、製造工程、成分規格、衛生証明書(必要な場合)、検査成績書(必要な場合)、ラベル案、写真
11. 実務チェックリスト 分類→通関→原産地→規制
- 分類前チェック(製品情報の収集)
- 原材料一覧+配合比(重量%)、肉・魚介・昆虫等の比率、ココア換算根拠、砂糖/甘味料比率
- 加工工程(焼成・焙焼・膨張・前加熱調理・乾燥)、最終形態(粉・粒・フレーク・めん・パン)
- 包装形態(ティーバッグ、調味料添付、乳幼児用小売包装)
- 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
- 注1:肉等20%超か(詰物パスタ例外の該当性含む)
- 注3:1904のココア6%・被覆要件
- 1901と2106の境界(甘味料比率、用途)
- 玄米茶など混合品は本質的特性(割合)を説明できるか
- 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
- インボイス品名に「pasta」「baking mix」「breakfast cereal」等の機能・形態を反映
- 仕様書・カタログ・写真を添付可能に(境界品ほど重要)
- FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
- 協定参照HS版(CPTPP/RCEP=HS2012、日EU/日英=HS2017等)を確認し、相関表で整合
- BOM、原価、工程証憑、サプライヤー宣誓の保存
- 規制チェック(許可/届出/検査)
- 食品衛生法の輸入届出(検疫所)
- 乳製品があれば動物検疫所(MAFF)
- 植物検疫の要否(加工度で対象外になり得るが、必ず確認)
12. 参考資料 出典
- WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
- HS Nomenclature 2022 Chapter 19(条文:注・見出し) (参照日:2026-02-16)
- HS Nomenclature 2022 Section IV Note(pellets定義) (参照日:2026-02-16)
- Correlation Tables HS 2017–2022 Table I(1901.90/1904.90の範囲変更等) (参照日:2026-02-16)
- HS Nomenclature 2007 Chapter 19(旧版の構成確認) (参照日:2026-02-16)
- 日本税関・公的機関のガイド
- 税関「関税率表解説」第19類(ココア換算等の実務的説明) (参照日:2026-02-16)
- 税関「分類例規」第19類(砂糖比率70%、即席めん、玄米茶等の取扱い) (参照日:2026-02-16)
- 税関 HS2022改正解説資料(第18類注の明確化等) (参照日:2026-02-16)
- FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
- CPTPP:PSRがHS2012で最終化された旨(ガイド) (参照日:2026-02-16)
- RCEP:Annex 3AがHS2012に基づく旨、およびHS2022へ技術的更新されたPSRの適用(公表資料) (参照日:2026-02-16)
- 日EU EPA:HS2017コード利用(EU Access2Markets) (参照日:2026-02-16)
- 日英EPA(UK-Japan CEPA):PSRがHS2017基準(英国政府・JETRO) (参照日:2026-02-16)
- 日本税関:協定により参照HS版が異なる旨(注意喚起) (参照日:2026-02-16)
- 規制(輸入手続)
- 厚生労働省:食品衛生法に基づく輸入手続・輸入届出 (参照日:2026-02-16)
- 農林水産省 動物検疫所:乳製品の検疫 (参照日:2026-02-16)
- 農林水産省 植物防疫所:植物検疫の対象外となる加工品の考え方 (参照日:2026-02-16)
免責事項
本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。
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