HS2022 第20類:野菜、果実、ナットその他の植物の部分の調製品(Preparations of vegetables, fruit, nuts or other parts of plants)

※用語統一:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 酢・酢酸で漬けた野菜の加工品(例:きゅうりのピクルス)→ 2001 (wcoomd.org)
    • 酢以外で保存したトマト加工品(例:トマトペースト、ホールトマト缶)→ 2002 (wcoomd.org)
    • きのこ・トリュフの加工品(例:マッシュルーム水煮缶)→ 2003 (wcoomd.org)
    • (酢以外で)調製・保存された野菜(冷凍なら2004/非冷凍なら2005。例:冷凍味付け野菜、ポテトチップス)→ 2004/2005 (wcoomd.org)
    • ジャム、マーマレード、フルーツピューレ等(加熱調製) → 2007 (wcoomd.org)
    • 果実・ナッツ等のその他の調製・保存品(例:缶詰フルーツ、ローストナッツ)→ 2008 (wcoomd.org)
    • 果汁・野菜汁(非発酵、アルコール無添加)(例:オレンジジュース濃縮、トマトジュース)→ 2009 (wcoomd.org)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 生鮮・冷蔵・単なる冷凍・乾燥など「第7類/第8類/第11類が想定する処理」にとどまるもの → 第7類/第8類/第11類へ(例:冷凍ブロッコリー=0710側に寄りやすい) (wcoomd.org)
    • 植物油脂(例:オリーブ油、ココナッツ油)→ 第15類 (wcoomd.org)
    • 肉・魚介・昆虫等が一定割合を超える調製食料品(例:ミートソース缶で肉が多い等)→ 第16類へ飛びやすい(※20類注で除外される考え方) (wcoomd.org)
    • ベーカリー製品(例:フルーツパイ、ジャム入りクッキー)→ 1905 (wcoomd.org)
    • ホモジナイズされた複合食品(複数原料のベビーフード等) → 2104 (wcoomd.org)
    • 砂糖菓子・チョコ菓子の形状に作られた果実ゼリー等 → 1704 または 1806 (wcoomd.org)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「保存・調製の方法」:酢・酢酸か/それ以外か、冷凍か/非冷凍か (wcoomd.org)
    2. 「食品としての性格」:ジュース(2009)なのか、清涼飲料(2202)なのか、発酵(2206等)なのか
    3. 類注の地雷肉・魚介・昆虫の含有割合砂糖菓子形状トマトジュースの固形分(7%) (wcoomd.org)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • **2009(果汁)⇔ 2202(飲料)**の取り違え:関税率・国内規制・表示・原産地規則(PSR)すべてに影響しやすい
    • 肉入り野菜調製品の取り違え:第16類に飛ぶと税率・統計・規制が変わりやすい (wcoomd.org)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(見出し+部注/類注):第20類は「調製・保存」という言葉に引っ張られがちですが、類注の除外(例:1905、2104、1704/1806)を最優先で確認します。 (wcoomd.org)
    • GIR6(6桁の選定):同じ項でも、果実/ナッツの種類、冷凍か否か、均質化(ホモジナイズ)か、Brix値などで分かれます。 (wcoomd.org)
    • (混合・セットのとき)GIR3:フルーツミックス、ナッツミックス、果汁ブレンドはGIR3の発想(「本質的特性」や「最後の号」など)を使う場面があります。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 状態:冷凍/非冷凍、ペースト/固形、均質化の有無、密封容器か
    • 加工度:単なる冷凍・乾燥か、加熱調理した“調製品”か
    • 保存手段:酢・酢酸、砂糖、油、塩、加熱殺菌、密封缶詰 等
    • 配合:肉・魚介・昆虫の比率、菓子形状か、アルコール(発酵/添加)の有無 (wcoomd.org)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:**植物由来(野菜・果実・ナッツ等)**が主体の食品ですか?
    • いいえ → 第20類以外の可能性(第16類、第21類、第22類など)
  • Step2:処理は第7類/第8類/第11類で想定される“基本処理”(例:単なる冷凍・乾燥)にとどまりますか?
    • はい → 原則として第7類/第8類/第11類を優先(第20類注の除外を意識) (wcoomd.org)
    • いいえ → Step3へ
  • Step3:保存方法は?
    • 酢・酢酸で保存 → 2001 (wcoomd.org)
    • トマトが対象で、酢以外で保存 → 2002(※トマトジュース固形分7%も要注意) (wcoomd.org)
    • きのこ/トリュフで酢以外 → 2003 (wcoomd.org)
    • その他の野菜で酢以外 → 冷凍なら2004/非冷凍なら2005 (wcoomd.org)
    • 砂糖で保存(ドレイン、グラッセ等) → 2006 (wcoomd.org)
    • ジャム・マーマレード等の加熱調製品 → 2007(“加熱調製”の考え方あり) (wcoomd.org)
    • 上記以外の果実/ナッツ等の調製・保存品 → 2008 (wcoomd.org)
    • 果汁/野菜汁(非発酵、アルコール無添加) → 2009(ABV0.5%の考え方) (wcoomd.org)
  • Step4:類注の除外に当たりませんか?
    • 砂糖菓子形状(1704/1806)、ベーカリー(1905)、複合ベビーフード(2104)、肉等が多い(16類)など (wcoomd.org)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第7類/第8類(生鮮・単純加工) vs 第20類(調製・保存)
    • 第20類(果汁) vs 第22類(飲料・発酵)
    • 第20類(ジャム等) vs 第17類/第18類(菓子)
    • 第20類(野菜調製品) vs 第21類(ソース/スープ等) (wcoomd.org)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2001酢・酢酸で調製/保存した野菜・果実・ナッツ等ピクルス(きゅうり、玉ねぎ等)、酢漬けミックス野菜酢/酢酸が保存の本体かが核心。単なる塩漬け等は別検討。 (wcoomd.org)
2002トマトの調製/保存品(酢・酢酸以外)トマトペースト、ホールトマト缶**トマトジュース固形分7%**で2002側になる論点あり。ケチャップ等は2103側に寄りやすい。 (wcoomd.org)
2003きのこ・トリュフの調製/保存品(酢・酢酸以外)マッシュルーム水煮缶、きのこオイル漬けきのこ種別で号が分かれる。 (wcoomd.org)
2004その他野菜の調製/保存品(酢以外)冷凍冷凍フライドポテト(調理済み)、冷凍味付け野菜「単なる冷凍」なら第7類側の可能性。調理・味付け・ソース等の有無を確認。 (wcoomd.org)
2005その他野菜の調製/保存品(酢以外)非冷凍ポテトチップス、野菜ペースト、スイートコーン缶**ホモジナイズ(ベビーフード)**は定義・容器重量で分岐。 (wcoomd.org)
2006砂糖で保存した野菜・果実・ナッツ等砂糖漬け果皮、グラッセ、結晶果実「砂糖保存(ドレイン/グラッセ)」の性格がポイント。菓子形状は1704/1806の可能性。 (wcoomd.org)
2007ジャム等(加熱調製品)ジャム、マーマレード、フルーツピューレ/ペースト“加熱調製”の意味(粘度上昇等)に注意。菓子形状のゼリー等は1704/1806へ。 (wcoomd.org)
2008果実・ナッツ等のその他の調製/保存品(他に含まれない)缶詰フルーツ、果実シロップ漬、ローストアーモンド、ピーナッツバター等ナッツ種別・果実種別で細分。**植物部位が薬用・香料用等(12.11)**との境界あり。 (wcoomd.org)
2009果汁/ナッツジュース/野菜汁(非発酵、アルコール無添加)オレンジ濃縮果汁、りんごジュース、トマトジュース、ココナッツウォーターABV0.5%超なら外れる可能性。Brix値で細分される号がある。 (wcoomd.org)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(第20類で頻出)
    • 保存方法:酢・酢酸(2001)/それ以外(2002〜2009) (wcoomd.org)
    • 冷凍か否か:2004(冷凍)/2005(非冷凍) (wcoomd.org)
    • 特定品目の優先:トマト(2002)、きのこ/トリュフ(2003)、ジャム系(2007)、果汁(2009) (wcoomd.org)
    • 均質化(ホモジナイズ)+小容量容器:2005.10、2007.10(ベビーフード等) (wcoomd.org)
    • トマトジュース固形分(乾燥重量)7%:2009側に見えても2002側に寄る“例外” (wcoomd.org)
    • 果汁のBrix値(糖度):特定の果汁号でBrix定義があり、実務では成分証明が必要になりがち (wcoomd.org)
    • アルコール:2009は「非発酵・アルコール無添加」で、解釈上の上限(0.5%)の考え方がある (wcoomd.org)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 2002(トマト加工) vs 2103(ソース類)
      • どこで分かれるか:トマト“そのもの”の保存品(ペースト、ホール等)か、調味料としてのソース
      • 判断に必要な情報:配合(砂糖・香辛料・酢等)、用途(調味用か主材料か)、粘度・容器表示
      • 典型的な誤り:「トマト系=2002」で一括
      • 根拠観点:第20類注の除外先として第21類が出てくる場面が多い(ソースは21類側に寄りやすい) (wcoomd.org)
    2. 2007(ジャム等) vs 1704/1806(菓子)
      • どこで分かれるか:パンに塗る等のジャム/ペーストか、砂糖菓子・チョコ菓子の形状
      • 判断に必要な情報:形状(個片・ゼリー菓子)、糖衣の有無、チョコ被覆の有無、販売形態
      • 典型的な誤り:フルーツゼリー菓子を「果実ゼリー=2007」にしてしまう
      • 根拠:第20類注で、砂糖菓子形状の果実ゼリー等は1704/1806へ除外される旨が示されます。 (wcoomd.org)
    3. 2009(果汁) vs 2202(清涼飲料)/2206(発酵飲料)
      • どこで分かれるか:非発酵のジュースか、飲料として調整されたもの(加水・香料・炭酸等)か、発酵(アルコール)したものか
      • 判断に必要な情報:原材料(加水、香料、炭酸)、発酵の有無、アルコール度数(分析)、表示(ジュース含有率)
      • 典型的な誤り:「ジュース飲料」を2009で申告
      • 根拠観点:2009はアルコール無添加で、解釈上0.5%超は外れる方向の整理があります。 (wcoomd.org)
    4. 2004(冷凍野菜調製品) vs 第7類(単なる冷凍野菜)
      • どこで分かれるか:冷凍しているだけか、調理・味付け・調製されているか
      • 判断に必要な情報:加熱工程、味付け、ソース、衣、油での調理有無、商品仕様書
      • 典型的な誤り:冷凍=2004と決め打ち
      • 根拠観点:第20類注で、基本処理の範囲なら第7類等に残る発想が示されます。 (wcoomd.org)
    5. 2008(ナッツ加工) vs 第8類(ナッツ)
      • どこで分かれるか:生・乾燥等の未調製か、ロースト・味付け・ペースト等の調製
      • 判断に必要な情報:焙煎、塩・油・砂糖、ペースト化の有無
      • 典型的な誤り:ローストナッツを第8類のまま扱う

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第20類が属する**第IV部(調製食料品、飲料等)**の部注として、用語「pellets(ペレット)」の定義が置かれています。 (wcoomd.org)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第20類そのものでは頻出ではありませんが、同じ部の他章(第23類の飼料等)で「ペレット」形状の扱いに影響します。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第20類より、むしろ第23類等で「ペレット」該当性が問題化しやすいです(第20類で直接“他章に飛ぶ”トリガーとしては、類注の方が重要です)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 第20類は「植物由来の調製・保存品」ですが、第7類/第8類/第11類の基本処理の範囲にとどまるものは第20類にしない発想が明記されています。 (wcoomd.org)
    • 植物油脂(第15類)肉・魚介・昆虫等が一定割合を超える調製食料品(第16類)ベーカリー(1905)、**ホモジナイズ複合食品(2104)**などが除外されます。 (wcoomd.org)
    • 2007・2008は、砂糖菓子/チョコ菓子の形状のものを除外します(1704/1806)。 (wcoomd.org)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • トマトジュース固形分(乾燥重量)7%:この条件に当たるトマトジュースは、例外的に2002側に整理されます。 (wcoomd.org)
    • 2007の「加熱調製(obtained by cooking)」:加熱により粘度を上げる等の調製を指す整理があります。 (wcoomd.org)
    • 2009の「アルコール無添加」:解釈上、アルコール度数0.5%を超えない範囲で捉える整理があります。 (wcoomd.org)
    • ホモジナイズ品(2005.10/2007.10):均質化され、密封容器・小容量(ネット重量上限)等の条件で定義されます。 (wcoomd.org)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 第15類(植物油脂) (wcoomd.org)
    • 第16類(肉・魚介・昆虫等が一定割合超) (wcoomd.org)
    • 1905(ベーカリー) (wcoomd.org)
    • 2104(ホモジナイズ複合食品) (wcoomd.org)
    • 1704/1806(砂糖菓子/チョコ菓子形状の果実ゼリー等) (wcoomd.org)

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:「肉・魚介・昆虫等が多い」=第16類に飛ぶ可能性
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 成分表(重量%)、レシピ、製造仕様、最終製品の配合比
    • 現場で集める証憑:
      • 配合表/レシピ、原材料規格書、栄養成分表示の根拠、製造工程表
    • 誤分類の典型:
      • 「野菜が主役に見える」だけで2005等にしてしまい、実は肉が多い
    • 根拠:第20類注で一定割合超の調製食料品が除外される旨が示されています。 (wcoomd.org)
  • 影響ポイント2:砂糖菓子形状(1704/1806)を2007/2008に入れてしまう
    • 必要情報:
      • 形状(個片/キャンディ形状)、糖衣、チョコ掛け、販売形態(菓子コーナーか等)
    • 証憑:
      • 製品写真、商品規格書、包装表示(名称・用途)
    • 誤分類の典型:
      • “fruit jelly”の英語表示だけで2007に決める
    • 根拠:2007/2008の適用除外として1704/1806が明示されています。 (wcoomd.org)
  • 影響ポイント3:トマトジュースの固形分7%(2002へ)
    • 必要情報:
      • 乾燥重量%(分析表)、濃縮度、Brixや固形分の社内規格
    • 証憑:
      • 試験成績書(外部試験所)、メーカーの規格書
    • 誤分類の典型:
      • 「ジュース=2009」で固定し、濃いトマトジュース/濃縮品の例外を見落とす (wcoomd.org)
  • 影響ポイント4:ホモジナイズ(ベビーフード等)+容器重量
    • 必要情報:
      • 均質化の有無(裏ごし等)、容器の密封性、内容量(ネット重量)
    • 証憑:
      • 製造工程図、製品規格書、包装仕様(内容量)
    • 誤分類の典型:
      • ベビーフードっぽいが、容器が大きく条件外 → 2005.10/2007.10に誤投入 (wcoomd.org)
  • 影響ポイント5:2009(果汁)の“非発酵/アルコール無添加”
    • 必要情報:
      • 発酵の有無、アルコール度数、添加アルコールの有無
    • 証憑:
      • 製造工程、分析表、ラベル表示
    • 誤分類の典型:
      • 微発酵飲料(発酵果汁系)を2009に入れる (wcoomd.org)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:冷凍ブロッコリー(無味付け)を2004で申告
    • なぜ起きる:冷凍=2004と短絡
    • 正しい考え方:単なる冷凍など“基本処理”にとどまるなら第7類側を優先する発想(類注) (wcoomd.org)
    • 予防策:
      • 仕様書で「加熱調理済みか/味付けか/ソース・油の付着」を確認
      • 社内質問例:「この商品は“解凍したらそのまま食べられる”状態ですか?」
  2. 間違い:トマトケチャップを2002
    • なぜ起きる:トマト加工=2002と思い込み
    • 正しい考え方:調味用ソースは第21類(2103)側に寄りやすい
    • 予防策:
      • 原材料(砂糖・酢・香辛料)と用途(調味料)を確認
      • 商品名ではなく“性格(ソースか)”で判断
  3. 間違い:フルーツグミ/ゼリー菓子を2007
    • なぜ起きる:“fruit jelly”の語感
    • 正しい考え方:砂糖菓子/チョコ菓子形状なら1704/1806に除外されうる(類注) (wcoomd.org)
    • 予防策:
      • 形状写真・販売形態・配合(ゼラチン等)を入手
      • 社内質問例:「これは“塗る/添える食品”か、“つまむ菓子”か?」
  4. 間違い:ローストナッツを第8類(生ナッツ)
    • なぜ起きる:原料がナッツだから
    • 正しい考え方:焙煎・味付け等で“調製”されていれば2008側
    • 予防策:焙煎工程・味付け(油、塩、砂糖)を確認
  5. 間違い:肉入り野菜調製品(例:ミートソース、肉入り豆煮込み)を2005
    • なぜ起きる:見た目が野菜主体
    • 正しい考え方:肉・魚介・昆虫等の割合で第16類に飛ぶ可能性(類注) (wcoomd.org)
    • 予防策:
      • 配合表の重量%を必ず入手(推測しない)
      • “肉の含有率は何%ですか?”を仕入先に質問
  6. 間違い:トマトジュース濃厚品を2009で固定
    • なぜ起きる:「ジュース=2009」
    • 正しい考え方:固形分7%の例外で2002側に整理される論点(類注) (wcoomd.org)
    • 予防策:分析表(乾燥重量%)を取得し、判定根拠を社内保存
  7. 間違い:ベビーフードっぽい製品を2007.10(ホモジナイズ)に入れるが容器重量条件を見落とす
    • なぜ起きる:用途(乳幼児用)だけで判断
    • 正しい考え方:均質化+密封+内容量などの条件を満たすか確認(類注/号注) (wcoomd.org)
    • 予防策:包装仕様(ネット重量)と工程(裏ごし等)を入手
  8. 間違い:「ジュース飲料」(加水・香料・炭酸)を2009
    • なぜ起きる:ラベルに“juice”がある
    • 正しい考え方:清涼飲料(第22類)側の検討が必要。発酵や度数も確認
    • 予防策:配合(加水比率、香料、炭酸)とアルコール度数の証憑を揃える (wcoomd.org)

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。誤分類すると、適用すべきPSR自体がズレて原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品だけでなく、主要材料のHSも関係(CTH/CTSH、例外材料の扱い)
    • 2009(果汁)と2202(飲料)を取り違えると、PSRが大きく変わりやすい

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 例:
    • RCEPのPSR(Annex 3A)はHS2012に基づく旨が明記されています(日本税関の英語版資料)。 (税関ポータル)
    • 日本ではRCEP原産地証明に関して、2023-01-01以降、PSRはHS2022版を使用する運用が案内されています(ただし一部の付録は移行完了までHS2012継続等の注意あり)。 (経済産業省)
    • CPTPP(TPP11)の関税譲許表/PSRはHS2012ベースで作られている資料が存在します(例:Tariff Schedule of Japan (HS2012))。 (内閣官房)
  • 実務注意:
    • **通関申告は“最新HS”**を使う一方、PSR検索は協定が採用するHS版で行う必要があります(税関ポータルでも注意喚起)。 (税関ポータル)
    • 旧→新対応は、WCO相関表を使って“6桁レベルでの橋渡し”を行い、協定の運用文書に従います。 (税関ポータル)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必須になりやすい情報:
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国
    • 非原産材料のHS(協定が採用するHS版で)
    • 果汁製品なら:原料果汁の産地、濃縮/還元工程、糖類・添加物の有無
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 仕入書・製造記録・配合表・分析表(Brix、固形分、アルコール等)を、協定・国内制度の保存期間に従って保管

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(見出し)2009見出しが「果実又はナットのジュース(ココナッツウォーターを含む)…」のように整理され、ココナッツウォーター等の明確化が見られます(6桁体系自体は維持)。 (wcoomd.org)2009と2202の境界議論で、ココナッツウォーター等が2009側に位置づけられる説明材料になり得ます。
HS2017→HS2022文言修正(類注)第20類注除外規定の中で、植物油脂(第15類)の明示、また肉等の除外に昆虫が加わるなど、時勢に合わせた整理が見られます。 (wcoomd.org)植物油脂・昆虫入り製品などで「20類と思い込む」誤りの予防に有効。
HS2017→HS2022変更なし(番号体系)2001〜2009(6桁)WCO掲載のHS2017/HS2022の第20類(見出し・号)を比較すると、4桁・6桁の番号体系は同一で、主に注記・文言整理が中心です。 (wcoomd.org)システム改修は軽い一方、注記起因の判断(2009/2202等)に注意。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料として、WCOが公開するHS条文PDF(HS2017とHS2022の第20類)を参照しました。 (wcoomd.org)
  • これらを比較すると、2001〜2009の項/号の番号体系(4桁・6桁)は維持されている一方で、
    • 2009の見出しで「nut juices」「coconut water」の言及が入るなど、見出し文言の整理
    • 第20類注で植物油脂の明示や昆虫の言及など、注記の文言整理
      が確認できます。 (wcoomd.org)
  • したがって、「HS2017→HS2022で第20類は“コード番号の大改正”ではなく、“注記・見出しの明確化”が中心」と判断しました。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な流れ(HS2007→2012→2017→2022)で、第20類に関係する代表的な追加・削除・再編を整理します。

版の移行変更タイプ旧コード新コード変更の要旨(代表)参考
HS2007→HS2012削除(統合)2003.20(トリュフ)2003.90へ統合2003.20が削除され、きのこ・トリュフ系の整理が一本化(低取引量が理由として示される)(wcoomd.org)
HS2007→HS2012新設/改番2008.92(混合品)等2008.93(クランベリー)新設、2008.97へ改番 等クランベリー等を別建てにし、混合品の整理番号が変更された旨が示される(wcoomd.org)
HS2007→HS2012新設(分割)2009.80(その他単一果実/野菜汁)2009.81(クランベリー汁)新設、残部が2009.89へクランベリー汁を独立させた旨が示される(wcoomd.org)
HS2012→HS2017範囲変更(残余号の調整)2008.99(Other)2008.99(番号は同じ)12.11の範囲拡大に伴い、2008.99の一部が12.11へ移る可能性が示される(残余号のスコープ調整)(wcoomd.org)
HS2017→HS2022文言修正(注・見出し)番号体系は維持しつつ、2009見出しや類注の明確化が中心(wcoomd.org)

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):「トマトケチャップを2002で申告」
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):実態がソース類(第21類側)なのにトマト加工(2002)と誤認
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “Tomato product” 等で曖昧
    • 典型的な影響:修正申告、関税差、説明資料の追加提出、同種品の照会増
    • 予防策:配合(香辛料・酢・砂糖)、用途(調味用)を仕様書で確認
  • 事例名:「フルーツグミを2007(ジャム等)で申告」
    • 誤りの内容:砂糖菓子形状のため1704/1806側の可能性(2007/2008の除外に触れる) (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:“Fruit jelly”表記のみで判断
    • 典型的な影響:分類更正、食品表示・原産地規則の再確認
    • 予防策:形状写真・製品カテゴリー(菓子か)・チョコ被覆の有無を揃える
  • 事例名:「肉入り豆煮込みを2005で申告」
    • 誤りの内容:肉等の含有割合次第で第16類に飛ぶ可能性(類注の除外) (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:具材が混ざるレトルト、ミールキット
    • 典型的な影響:追加納税、検査強化、次回以降のサンプル提出
    • 予防策:配合表(重量%)を入手し、境界は事前教示を検討
  • 事例名:「微発酵果汁飲料を2009で申告」
    • 誤りの内容:2009は非発酵・アルコール無添加の枠で整理される(0.5%論点) (wcoomd.org)
    • 起きやすい状況:コンブチャ等の発酵系、自然発酵が起きうる製品
    • 典型的な影響:アルコール度数の再検査、分類変更、酒税等の論点(取引国による)
    • 予防策:工程(発酵工程の有無)と度数分析表を事前に確保

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 食品衛生法に基づく輸入届出:販売/営業用の食品等を輸入する場合、輸入者に届出義務があり、検疫所で審査・検査要否判断が行われます。 (厚生労働省)
    • 実務で準備しがちな資料(一般論):
      • 原材料・添加物情報、製造工程、成分規格、製造者情報、表示案(日本語ラベル)等
  • 植物検疫(植物防疫法)
    • 加工の程度により、植物検疫の対象にならないケースがあります(例:高度に加工されたもの、密閉された乾燥香辛料等)。 (農林水産省)
    • ただし、加工品でも対象となることがあるため、品目ごとに確認が必要です。
  • その他の許認可・届出
    • 食品表示(輸入加工食品):国内販売を想定するなら、食品表示基準に沿った表示(原材料・添加物・アレルゲン等)が必要になります(消費者庁ガイド参照)。 (内閣官房デジタル庁)
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口)
  • 実務での準備物(一般論)
    • HS分類:仕様書、写真、成分表、製造工程、用途説明(販売資料)
    • 規制:添加物規格、原産地、衛生証明(必要な場合)、ラベル案

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原材料と配合比(重量%)
    • 加工工程(加熱、発酵、冷凍、味付け)
    • 保存手段(酢/酢酸、砂糖、油、塩、密封)
    • 形状(菓子形状か、ソースか、ジュースか)
    • 必要なら分析(Brix、固形分、アルコール)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第20類注の除外(15類、16類、1905、2104、1704/1806)に触れていないか (wcoomd.org)
    • 2009の場合:非発酵・アルコール・加水/香料の有無
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名が抽象的(“prepared food”)になっていないか
    • 内容量、容器形態、保存方法が分かる資料を添付できるか
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定採用HS版でPSR確認(税関ポータルの注意喚起どおり) (税関ポータル)
    • 材料HS、原産国、工程、RVC計算の前提資料
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • WCO HS2022 Chapter 20(0420_2022e.pdf)参照日:2026-02-16 (wcoomd.org)
    • WCO HS2017 Chapter 20(0420_2017e.pdf)参照日:2026-02-16 (wcoomd.org)
    • WCO Correlation Tables HS2007→HS2012(Table I)参照日:2026-02-16 (wcoomd.org)
    • WCO Correlation Tables HS2012→HS2017(Table I)参照日:2026-02-16 (wcoomd.org)
    • WCO Section IV Note(0400_2022e.pdf)参照日:2026-02-16 (wcoomd.org)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関:品目別原産地規則ポータル(HS版の違いに関する注意喚起、相関表リンク)参照日:2026-02-16 (税関ポータル)
    • 税関:事前教示回答(品目分類)検索(制度案内)参照日:2026-02-16 (税関ポータル)
    • 税関:Eメールを利用した事前教示制度(品目分類)参照日:2026-02-16 (税関ポータル)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(食品衛生法に基づく輸入届出)参照日:2026-02-16 (厚生労働省)
    • 植物防疫所:輸入植物検疫の対象とならない植物(高度加工品等)参照日:2026-02-16 (農林水産省)
    • 消費者庁:食品表示ガイド(加工食品等の表示)参照日:2026-02-16 (内閣官房デジタル庁)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • RCEP:Product-Specific Rules(Annex 3A)がHS2012ベースである旨(日本税関資料)参照日:2026-02-16 (税関ポータル)
    • RCEP:2023-01-01以降のPSRをHS2022で扱う旨(経済産業省案内)参照日:2026-02-16 (経済産業省)
    • CPTPP:Tariff Schedule of Japan (HS2012)(TPP関連資料)参照日:2026-02-16 (内閣官房)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • ①製品写真(外装・中身・ラベル)
    • ②原材料一覧と配合比(重量%)
    • ③製造工程(加熱・発酵・冷凍・味付け・密封)
    • ④用途(そのまま食べる/調味用/飲料等)
    • ⑤(果汁・濃縮等)分析値:Brix、固形分、アルコール度数
  • 探し方
    • 税関の**「事前教示回答(品目分類)」検索**で、類似品の公開事例をキーワード検索できます。 (税関ポータル)
    • 個別案件は、税関が案内する手続(Eメール活用等)に沿って照会します。 (税関ポータル)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

 

FTAでAIを活用する:株式会社ロジスティック

Logistique Inc.

投稿者: shima

嶋 正和 株式会社ロジスティック 代表取締役社長

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