CBPが燃料ポンプと燃料レベルセンサー一体品の再分類を提案

NY 809868撤回案が示す、北米向け自動車部品の実務インパクト

公開日:2026年1月12日

何が起きたのか

米国税関・国境警備局(CBP)は、燃料タンク内に組み込むタイプの「燃料ポンプ+燃料レベルセンサー」一体品(いわゆる fuel sender)について、従来の分類を見直し、ポンプ(HTSUS 8413.30.90)として再分類する案を示しました。これに伴い、1995年の既存判断であるNY 809868を撤回する方向です。コメント期限は2026年1月31日とされています。 (Sandler, Travis & Rosenberg, P.A.)

ポイントは、測定機器(9026)として無税だった想定が、ポンプ(8413)として課税(2.5%)になり得る、という点です。 (Sandler, Travis & Rosenberg, P.A.)

対象製品はどんなものか

今回の対象は、車両の燃料タンクへ直接挿入されるアセンブリで、主に次の要素を一体化したものです。

  • 燃料ポンプ側:ポンプ本体、吸込みフィルター、吐出部、リターンチューブ等
  • 燃料レベルセンサー側:フロート(浮き)とアーム機構により燃料残量を検知し、電気信号を車載メーターへ送る仕組み

この構造説明は、撤回対象となっているNY 809868でも明記されています。 (カスタムズモバイル)

なぜ分類が割れるのか:1995年判断と今回提案のロジック差

ここが実務上いちばん重要です。結論だけでなく、考え方が変わった点に注意が必要です。

1995年のNY 809868は「どちらが主か決めにくい」→最後に出てくる番号へ

NY 809868では、燃料ポンプ機能(8413)と燃料レベル測定機能(9026)の両方があるため、明確な単独品目としての規定がなく、当時は一般解釈規則(GRI)3(c)の考え方で、関税表上「後に出てくる」9026に分類した、と説明されています。 (カスタムズモバイル)

今回の提案は「複合機械だが主機能はポンプ」→8413へ

一方、今回の提案ではCBPは、当該アセンブリを複合機械と整理したうえで、主たる機能は燃料をエンジンへ送ること(ポンプ機能)であり、センサーは有用だが付随的、という立て付けで8413へ寄せています。 (Sandler, Travis & Rosenberg, P.A.)

この差は、今後ほかの「機能一体型部品」にも波及し得ます。特に自動車部品は、センサー統合が進むほど分類論点が増えます。

ビジネス上の影響:コストだけでなく、契約と運用に波及

1) 関税コストの再計算が必要

提案どおりに確定した場合、無税想定から2.5%課税へ変わる可能性があります。量産部品では、わずかな税率差が年間で大きな金額になります。 (Sandler, Travis & Rosenberg, P.A.)

2) 追加関税・原産地・特恵の判定にも連鎖する

米国の追加関税、特恵、原産地規則の多くはHTS番号を前提に動きます。番号が動くと、追加関税の対象判定や、USMCA等の原産地規則の当てはめ(タリフシフト要件など)まで再点検が必要になり得ます。
1995年のNY 809868自体も、当時のNAFTAを前提に原産地要件へ言及しており、分類が原産地判定とセットで運用されやすい現実を示しています。 (カスタムズモバイル)

3) 「昔からこの番号」は通用しない

CBPは、一定の手続を踏めば過去の解釈(ルーリング)や実務上の取扱い(treatment)を変更できます。法律上、撤回・変更の案はCustoms Bulletinで公表し、利害関係者に意見提出の機会を与え、最終決定は公表後60日で発効する、と定められています。 (法律情報研究所)
つまり、長年の運用実績があっても、固定資産ではありません。

企業が今すぐやるべきこと:30日で間に合わせる実務チェックリスト

コメント期限(2026年1月31日)まで時間が限られる前提で、優先順位の高い順に並べます。 (Sandler, Travis & Rosenberg, P.A.)

  1. 該当SKUの棚卸し
    Fuel sender、fuel pump module、fuel level sensor一体品など、設計的に同等のものを抽出。完成品だけでなく、アセンブリ形態で輸入しているものも対象に含める。
  2. 現在の申告HTSと根拠の確認
    過去のルーリング依拠か、社内判断か、ブローカー判断かを切り分ける。NY 809868を根拠にしている場合は特に要注意。 (カスタムズモバイル)
  3. 製品機能の説明資料を作り直す
    争点は「主機能がポンプか、測定か」です。仕様書、配線図、取説、車両側での役割、故障時の安全設計などを、主機能論が伝わる形に整理する。
  4. 影響試算と価格・契約条項の点検
    インコタームズ、関税負担条項、価格改定条項、遡及・精算条項を再確認。関税負担が買い手側か売り手側かで、打ち手が変わります。
  5. コメント提出または個別ルーリング相談の準備
    影響が大きい場合、コメント提出(技術的・実態的反証、または適用範囲の明確化要望)を検討。あわせて、自社品の仕様が少しでも異なるなら、個別の拘束力ある判断(ルーリング)で論点を閉じる戦略も現実的です。

まとめ

  • CBPは、燃料ポンプと燃料レベルセンサー一体品を、測定機器(9026)ではなくポンプ(8413)として扱う方向で見直しを提案し、NY 809868の撤回を示しています。 (Sandler, Travis & Rosenberg, P.A.)
  • 1995年は「主機能が決めにくい」整理でしたが、今回は「主機能はポンプ」で結論が変わっています。 (カスタムズモバイル)
  • ルーリングや取扱いは、法律に基づく手続で変更され得ます。コメント期間、最終公表、発効60日という時間軸を前提に、社内の棚卸しと影響評価を急ぐ局面です。 (法律情報研究所)

免責:本稿は一般情報であり、個別案件の法的助言ではありません。実際の申告・コメント提出・契約対応は、貴社の通関担当、通関業者、米国通商実務の専門家と連携して判断してください。


HS2028採択と相関表作業の公式スケジュール


企業が「いつ何を準備すべきか」を条約手続と公表情報から整理する

HS2028対応は、単にHSコード表が書き換わるだけではなく、通関申告、関税率表、原産地規則、統計分類、社内マスタ、契約書の品目定義などに連鎖して波及する、典型的な全社案件になり得るテーマである。wcoomd+1​
一方で現場がつまずきやすいのが「いつ何が正式に確定するのか」であり、HS条約の手続きとWCOの公表スケジュールを押さえないと、準備開始のタイミングを読み違えやすい。unstats.un+1​
本稿では、HS条約Article 16とWCO・USITC・EU等の公表情報に基づき、企業目線で2025〜2028年のタイムラインと、相関表作業の位置づけを再整理する。strtrade+2​


1. HS2028の「採択」は少なくとも3段階ある

ビジネス現場で混乱しやすいポイントは、「HS2028の採択」という言葉が単一の出来事ではなく、条約手続き上は少なくとも次の3段階に分かれることである。strtrade+1​

  • HS委員会(HSC)による改正パッケージの暫定採択
    • WCOのHarmonized System Committee(HSC)は、HS改正案を技術的に審議し、Article 16勧告案(改正パッケージ)を暫定採択する役割を持つ。wcoomd
  • WCO理事会(Council)による勧告の採択
    • HSCで取りまとめられたArticle 16勧告案は、WCO Councilに付託され、HS条約Article 16に基づく正式な勧告として採択される。strtrade+1​
  • 締約国による「みなし受諾」と発効日の確定
    • HS条約によれば、事務総長による通知から6か月以内に反対(objection)が出されない限り、その勧告は締約国により受諾されたものとみなされる仕組みになっている。unstats.un+1​

この構造により、「理事会で採択された時点=企業準備が完了しているべき時点」ではなく、「理事会採択〜正式採択〜発効までの間にどこまで前倒しするか」が企業の戦略論点になる。wcoomd+1​


2. なぜ施行が2028年1月1日なのか(Article 16のタイムルール)

HS改正の発効日は、HS条約Article 16のカレンダー規定にしたがって機械的に決まる。unstats.un+1​

  • 受諾(みなし受諾)のルール
    • Article 16に基づき、WCO事務総長が締約国に勧告通知を行った日から6か月間に反対が残っていなければ、その改正は締約国により受諾されたものとみなされる。wcoomd+1​
  • 発効日のルール
    • 通知日が4月1日より前の場合は翌々年1月1日、4月1日以降の場合は3年後の1月1日に発効する、という時期ルールがArticle 16で定められている。unstats.un+1​

HS2028について、WCOや各種解説では、2025年中頃にCouncilで勧告が採択され、Article 16に基づく正式採択を経て2028年1月1日に発効するという前提で整理されており、EUや民間の解説資料でも同様の前提が示されている。aeb+3​


3. HS2028採択の公式マイルストーン(2025〜2028年)

ここでは、WCO等で明示されている事実ベースのマイルストーンだけを抽出する。

  • 2025年3月:HSC第75回会合でArticle 16勧告案を暫定採択
    • WCOのニュースリリースによれば、2025年3月10〜21日のHSC第75回会合で、HS2028改正に関するArticle 16勧告が暫定採択され、299セットの改正パッケージが取りまとめられたとされている。wcoesarpsg+2​
  • 2025年6月:WCO理事会でArticle 16勧告を採択(予定)
    • EUや各種解説によると、2025年6月末のWCO Council会期でHS2028に関するArticle 16勧告が採択される見込みであり、その後6か月間の異議申立期間が続く旨が説明されている。tarifftel+2​
  • 2025年7月〜12月:6か月の異議期間
    • WCOの説明では、Councilで勧告が採択された後、締約国は6か月間、留保や反対を表明できるとされており、この期間を経てみなし受諾に至る。wcoomd+1​
  • 2025年12月末:正式採択(みなし受諾)のタイミング
    • HSC第75回会合のニュースリリースでは、改正勧告は2025年12月末に正式採択され、2026年1月に公表され、2028年1月1日に発効すると明記されている。aeb+2​
  • 2026年1月:WCOによる勧告の公表
    • 同リリース等では、正式採択後に2026年1月にArticle 16勧告と改正HS表が公表される予定であるとされており、民間解説でも2026年1月の公表が前提として扱われている。bex+3​
  • 2028年1月1日:HS2028発効
    • WCOリリースおよび各種解説はいずれも、HS2028改正は2028年1月1日に発効する予定であるとし、各締約国はこの日までに関税・統計分類を改正HSに整合させる必要があると整理している。strtrade+2​

このため、企業にとっての国際的な節目は「2025年末の正式採択」「2026年1月のWCO公表」「2028年1月1日の発効」の3点に収れんする。aeb+2​


4. 相関表とは何か:公式資料での位置づけと法的ステータス

相関表(Correlation Tables)は、旧版HSコードと新版HSコードの対応関係を示す表であり、企業の品目マスタやシステム移行に直結する実務上の要となるツールである。wcoomd+1​
WCOはHS2017/HS2022相関表の公表時に、「相関表は法的文書ではなく、HSCが審査したものの分類決定そのものではないが、新版導入準備のために不可欠なツールとなっている」と明確に述べており、国際的には「非拘束だが実務上必須の参照資料」という位置づけが定着している。wcoomd+2​

この構造はHS2028でも変わらないと見込まれ、HSC第76回会合(2025年秋)において、HS2022とHS2028間の相関表作成に向けた作業開始と、相関表のフォーマット改善が決定されたことが公表されている。customsmanager
したがって、HS2028対応では「法的拘束力を持つ改正HS条文」と「実装を支える非拘束ツールとしての相関表・解説書等」を組み合わせて運用する前提で計画を組む必要がある。wcoomd+1​


5. 相関表作業の進み方:WCO側で何が起き、いつ企業に効いてくるか

5-1. 既に確定していること:相関表作業はHSCで開始済み

2025年10月前後に開催されたHSC第76回会合についての解説では、次の点が明示されている。customsmanager

  • HS2022とHS2028の相関表開発に向けた作業が正式に開始されたこと
  • 相関表の形式(フォーマット)を改善する方針が採択されたこと

つまり、HS2028の相関表は2026年以降に突然登場するのではなく、HSCの議題として段階的に検討が進んでいるフェーズに既に入っており、HSC報告採択後に順次公表されるという流れが想定される。wcoomd+1​

5-2. Council採択から発効までの間に集中する作業

国連統計委員会の会合で共有されたWCO資料では、CouncilによるHS改正勧告の採択から発効までの準備期間に、次のような作業が走ると整理されている。unstats.un

  • Secretariat・HSCによる相関表の作成
  • 解説書(Explanatory Notes)など関連刊行物の改訂・公表
  • データベースや教材・研修資料の整備
  • 各国レベルでの関税表改正、システム更新、関係者教育

このため、企業としては「相関表だけ先に見る」のではなく、解説書の改訂や新たなClassification Opinionsの整備タイミングも視野に入れて、分類判断の最終確定時期を段階的に設計することが重要になる。wcoomd+1​

5-3. HS2022における実績:発効約14か月前に相関表が公表

HS2022の際、WCOは2020年11月にHS2017/HS2022相関表を公表しており、2022年1月1日の発効から逆算すると約14か月前に国際相関表が利用可能になったことになる。wcoomd
WCOリリースでは、HSC第66回会合(2020年10月)で相関表案の審査を終え、同年11月13日のHSC報告採択をもって相関表の公表が承認された、と手順が詳述されている。wcoomd+1​

HS2028でも同一タイミングでの公開が保証されているわけではないが、少なくとも「理事会採択後〜発効前の期間に相関表がHSC報告採択を経て公表される」という運用パターンは維持されると考えるのが自然である。customsmanager+1​


6. 実務上の落とし穴:WCO相関表と各国相関表は別物になりうる

企業実務で特に誤解が起きやすいのは、次の三点である。ddcustomslaw+1​

  • WCO相関表は原則6桁レベル(国際共通部分)の対応を示すツールであること
  • 多くの国は、輸入申告や統計で7桁以降の独自細分(国別サブヘディング)を用いていること
  • そのため、国内税番の移行は6桁レベルのシンプルな1対1変換にとどまらず、1対多・多対1・多対多の組み合わせが生じやすいこと

また、WCOリリースや各種ガイドラインでも、「相関表自体は法的地位を持たず、最終的な分類は各国の法令・関税表に依拠する」という点が繰り返し示されている。brussels.customs+1​
結果として、企業が本当に必要とするのは、WCO相関表だけでなく、主要取引国の「国内相関表」「関税表改正の官報・告示」「実務通達」の組み合わせであり、WCOと各国の両輪を継続的に追う体制である。ddcustomslaw+1​


7. 各国の国内対応はいつ動き出すか:米国の公式スケジュール例

国際スケジュールと並行して、各国は自国の関税表・統計表をHS2028に合わせて改正する必要があり、そのタイミングは国によってかなり異なる。usitc+1​
米国は相対的に早くプロセスを公表しており、企業にとってHS2028対応スケジュールの「具体例」として有用である。

  • USITCによるHTS改正プロセスの開始(2025年8月)
    • 米国国際貿易委員会(USITC)は、HS改正を反映するHTS改正作業についての調査を2025年8月に開始し、2028年版HTSに向けた変更を検討することを公表している。usitc
  • 2026年2月:予備的改正案の公表と意見募集予定
    • 同リリースでは、USITCが2026年2月にHTS改正の予備的案を公表し、一般から意見募集を行う予定であることが示されている。usitc+1​
  • 2026年9月:大統領への報告書提出予定
    • USITCは、パブリックコメントを踏まえて2026年9月に最終的な必要改正案を取りまとめ、大統領に報告書を提出する見通しであるとしている。usitc

さらに、民間の通商専門メディアでも「WCOが2026年1月にHS2028勧告を公表し、それを受けてUSITCが2月にHTS案を示す」という前提でタイムラインが整理されている。strtrade
この例から、主要国の国内税番具体化は「WCOによる2026年1月の公表直後から本格的に動き始める可能性が高い」という点を、企業の計画にも組み込むべきだといえる。strtrade+2​


8. 企業実務における2026〜2028年の現実的な段取り

ここでは、上述の公式マイルストーンを前提に、企業が「堅めに」取り得る進め方を年次ごとに整理する。

2026年:分類影響の棚卸しとマッピング設計

  • 自社品目マスタを6桁HSベースで一覧化し、輸出入・三国間・返品・保税等の取引形態を紐付ける。
  • HS2028で改正が集中するセクター(例:電子機器、環境関連、医療・化学等)を洗い出し、変更リスクの高い領域から詳細分析する。
  • 1対1・1対多・多対1・多対多のマッピングルール、属性追加の方針、社内の最終判定責任者を定義する。

このフェーズは、WCOによる勧告公表や相関表の整備が進むほど後工程が楽になる一方、全て出そろってから着手すると、主要国の国内改正スケジュールとバッティングしやすい領域である。wcoomd+1​

2027年:主要国の国内税番への落とし込み

  • 主要仕向け国・仕入国ごとに、国内相関表、関税表改正の官報・通達、HS2028対応ガイダンスを継続的にモニタリングする。
  • 税番変更が関税率、EPA/FTA上の特恵税率、原産地規則・積送要件、セーフガード・ADD等に与える影響を洗い出す。
  • 通関システム、ERP、商品データベース、帳票テンプレート、取引先マスタ等の更新と検証を順次進める。

2028年に向けた移行期運用の設計

  • 2027年末〜2028年初の出荷・到着・保税・返品・インコタームス条件など、「旧HSと新HSがまたがるケース」の社内処理基準を文書化する。
  • 社内教育(通関・調達・営業・経理)と、主要取引先への事前説明・通知を前倒しで実施する。

これらの作業は各社の事業ポートフォリオに依存するが、「2026年:影響把握と設計」「2027年:主要国マッピングとシステム実装」「2028年:移行運用と定着」という3段階で組むと、HS条約・WCOスケジュールと無理なく整合させやすい。usitc+2​


9. まとめ:公式スケジュールを押さえることで、準備の着手点が明確になる

  • HS2028は、HSCでのArticle 16勧告案の暫定採択、WCO理事会での勧告採択、6か月の異議期間を経たみなし受諾という段階を踏む構造になっている。wcoomd+1​
  • WCOは、2025年12月末の正式採択、2026年1月の勧告・改正HS表公表、2028年1月1日の発効というタイムラインを示しており、多数の国・民間解説もこれを前提としている。bex+3​
  • 相関表は国際法上の拘束力は持たないが、新版HS実装のための不可欠なツールと位置づけられており、HS2022/HS2017間の相関表は発効約14か月前の2020年11月に公表された実績がある。wcoomd+1​
  • HSC第76回会合時点でHS2022/HS2028相関表作業が開始されたことが公表されており、Council採択から発効までの期間に相関表・解説書・国内関税表改正が集中的に進むことが、国連統計関係資料等でも整理されている。customsmanager+1​
  • 国内税番の具体化時期は国ごとに異なり、米国では2026年2月にHTS改正案公表・意見募集、2026年9月に大統領への報告書提出といったスケジュールが示されているため、企業はWCO相関表だけでなく、主要国の国内相関表・官報・通達を並行して追う体制を構築する必要がある。strtrade+1​
  1. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx
  2. https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/august/next-round-of-htsus-modifications-anticipated-to-take-effect-in-2028
  3. https://www.usitc.gov/press_room/news_release/2025/er0812_67410.htm
  4. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2020/november/the-wco-has-published-the-hs-2017-2022.aspx
  5. https://www.customsmanager.info/post/wco-hs-decisions-what-changed-hsc-76-customs-manager-ltd
  6. https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/hs-nomenclature-2022-edition/correlation-tables-hs-2017-2022.aspx
  7. https://unstats.un.org/unsd/classifications/Econ/corr-notes/HS2022%20conversion%20to%20earlier%20HS%20versions%20and%20other%20classifications%20%20-%20v.1.0.pdf
  8. https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/april/amendments-to-2028-harmonized-schedule-advanced
  9. https://www.aeb.com/en/magazine/articles/hs-code-2028.php
  10. https://www.tarifftel.com/blog/hs-2028-your-guide-to-the-next-harmonised-system-update/
  11. https://www.bex.ag/en/blog/hs-2028-2/
  12. https://www.wcoesarpsg.org/wp-content/uploads/2025/06/Conclusion-of-the-75th-Session-of-the-Harmonized-System-Committee-and-the-Provisional-Adoption-of-the-HS-2028-Amendments.pdf
  13. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2020/october/correlations-tables-for-the-hs-2022-amendments-successfully-completed.aspx?p=1
  14. https://www.ddcustomslaw.com/index.php?option=com_content&view=article&id=448%3Awco-releases-the-hs-2022-correlation-tables&Itemid=50&lang=it
  15. http://brussels.customs.go.th/data_files/1604082121161154107788.pdf
  16. https://www.usitc.gov/keywords/hts
  17. https://global-scm.com/hscf/archives/134
  18. https://catts.eu/wco-wto-updates-april-2025/
  19. https://www.wcoesarpsg.org/75th-session-of-the-hsc-and-the-provisional-adoption-of-the-hs-2028-amendments/
  20. https://www.facebook.com/WCOOMD/posts/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-sessi/1084615137040221/
  21. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx?stf=1
  22. https://www.linkedin.com/posts/heitor-martins-%F0%9F%87%B5%F0%9F%87%B9-59b32756_hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-activity-7313842459153727488-2Ljf
  23. https://goods-schedules.wto.org/sites/default/files/file/2020-11/W164_0.pdf
  24. https://hstracker.wto.org
  25. https://www.ddcustomslaw.com/index.php?option=com_content&view=article&id=448%3Awco-releases-the-hs-2022-correlation-tables&Itemid=50&lang=en
  26. https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/interconnection-table.aspx
  27. https://www.tariffbase.io/en/blog/wco-strategic-review-of-hs-interim-report/
  28. https://syslp.customsinfo.com/sections/home/public/2022%20Tariff%20Information/WCO/WCO%202017%202022%20Correlation.xlsx
  29. https://global-scm.com/hscf/archives/46
  30. https://mpoverello.com/2020/11/13/wco-publishes-hs-2022-correlation-tables/

WCOのHS2028改正勧告パッケージとは何か。企業に効く中身を整理する

HS2028の改正は、HS条約第16条に基づくWCO理事会の勧告として、締約国へまとめて回付される形で進みます。ここでいう「改正勧告パッケージ」は、HS2028版の根幹となる改正の束で、企業実務では「今使っているHS2022の6桁が、どこでどう変わり得るか」を左右する最重要の一次情報です。 (wcoomd.org)

以下、ビジネスマン向けに、公開一次情報から確度高く言える範囲で中身をまとめます。個別の号レベルの差分一覧は、HSC第75回会合報告の付属文書(Annex)に入っているため、コード単位の全件精査はその正式テキストで行うのが前提です。 (EUR-Lex)


1. パッケージの規模と構成

WCOのHS委員会(HSC)は、HS2028に向けて次を暫定採択したと公表しています。 (wcoomd.org)

・HS2028改正提案 105件
・HS解説(Explanatory Notes)改正 5件
・HS2028改正勧告(Article 16 Recommendation)として、HS2028向け改正セット合計299(第7次見直しサイクルで合意した改正の全パッケージ)

この299セットが、HS本文の見出し、号、注などの見直しを束ねた「改正の本体」です。 (wcoomd.org)

補足として、同じHSC会期で「分類決定」や「分類意見」も多数出ていますが、これは改正勧告パッケージとは別枠です。ただし実務では、分類の統一運用に影響し得るため、主要品目は併せてウォッチ対象になります。 (wcoomd.org)


2. 企業が理解すべき改正の狙い。改正は何のために入るのか

EUがWCO理事会での採択に向けて示した公式説明では、HS2028の改正セット(299)は次の目的を持つと整理されています。 (EUR-Lex)

  1. 貿易パターンの変化、新技術の発展を反映する
  2. 社会、環境、セキュリティの観点で、取締りやモニタリングをしやすくする
  3. 取引量が少ない見出しや号の整理で体系を簡素化する
  4. 国際標準や新商品、製品組成の変化に合わせ分類をしやすくする
  5. 仏語版と英語版の整合性を改善し、解釈のズレを減らす
  6. 不正や違法取引への対抗、健康と環境保護のため、特定分野で見出しや号を新設する

ここがポイントです。HS2028は「単なる番号の付け替え」ではなく、政策目的に直結する識別力を上げる改正が含まれる、と公式に説明されています。 (EUR-Lex)


3. 分野別にみたHS2028の主な改正テーマ

ここからが、企業にとって具体的な影響が出やすい領域です。以下は「改正の例として公式に言及されているテーマ」を中心に整理します。

3-1. 環境、循環経済。廃棄物と回収装置が焦点に入る

公式説明の中で、環境対応として明示されているのが次の領域です。 (EUR-Lex)

・プラスチック廃棄物に関する規定
・単回使用プラスチック
・使用済タイヤ由来のゴムや粉末
・ガラス繊維の廃棄物
・回収を促すためのリバースベンディングマシン(回収機)
・健康と環境保護に資する分野での見出しや号の新設

企業実務での含意は、廃棄物や再生原料だけでなく、回収や分別に使う装置そのものが、統計や規制目的で識別されやすい体系へ向かう可能性が高い、という点です。 (EUR-Lex)

3-2. 公衆衛生。ワクチンはより細かく識別される方向

EU側の説明では、パンデミック対応の反省を踏まえ「ワクチンや健康関連グループ」を明示しています。 (EUR-Lex)
さらにWTOの公式ニュースでは、HS2028で「人用ワクチン」のために新見出し3007を設け、その下に7つの区分を置く案が説明されています。 (WTO)

企業側では、医薬品、ワクチン原体や製剤、関連する供給網の統計管理や規制対応が、6桁レベルから細分化され得る点を早めに織り込む必要があります。 (WTO)

3-3. 食品、農業。機能性、配合物、サプリが論点化

公式説明の中で、食品側は次が例示されています。 (EUR-Lex)

・農業産業で重要性が増しているグループ
・食品強化用のミックス(food fortification mixes)
・食品サプリメント(food supplements)

食品と化学、医薬の境界にいる商品ほど、章注や定義の見直しで分類の根拠が変わりやすくなります。品名だけでなく、用途、配合、摂取形態、表示まで含めた説明責任が重くなる領域です。 (EUR-Lex)

3-4. 電機、機械、先端製造。新製品と機能の進化が改正を駆動する

公式説明では、技術進化や新製品への対応として、次が例示されています。 (EUR-Lex)

・電動アシスト自転車(e-bikes)
・半導体とトランスデューサー
・清掃ロボット
・ドローン

製品の機能や構成が進化すると、従来の「どれに近いか」では説明しづらくなり、分類のための定義整備が必要になります。これらは、輸出入の主力品目になりやすいだけに、企業インパクトが大きい領域です。 (EUR-Lex)

3-5. セキュリティ、取締り。不正や違法取引の識別を強める

HS2028改正の狙いとして、公式に「不正や違法取引への対抗」が挙げられ、例として次が明示されています。 (EUR-Lex)

・違法薬物の製造(illicit manufacture of drugs)に関する分野
・単回使用プラスチック
・ワクチン
・ヒートポンプ
・回収機(reverse vending machines)など

ここは関税だけでなく、輸出入規制、許認可、統計、監視という複数目的が重なるため、品目説明の精度と証跡の整備が重要になります。 (EUR-Lex)


4. 手続き面の重要ポイント。いつ確定し、いつ企業が全文を見られるか

WCOは、HSCで暫定採択された勧告を理事会へ上程し、2025年末の正式採択後、2026年1月に公表、2028年1月1日に発効すると説明しています。 (wcoomd.org)
またEUの説明では、理事会が勧告した改正は、締約国が6か月以内に異議を出さなければ受諾されたものとみなされる仕組みが整理されています。 (EUR-Lex)

実務上、改正勧告のドラフトはHSC第75回会合報告のAnnex Q(文書NC3358Ba)に含まれる、とEU側文書で明記されています。 (EUR-Lex)


5. 企業向けまとめ。HS2028改正勧告パッケージをどう読むべきか

今回のパッケージは、299の改正セットを束ね、環境、健康、セキュリティ、新技術への対応を強く意識した内容です。 (EUR-Lex)
しかも、プラスチック廃棄物、ワクチン、食品サプリ、e-bikes、半導体、清掃ロボット、ドローン、ヒートポンプ、回収機など、企業の実需に直結する対象が公式に例示されています。 (EUR-Lex)

次にやるべきことはシンプルです。

・自社の主力品目が、上で挙げたテーマ領域に入るかを棚卸しする
・入るものは、HS2028の正式テキストと相関表が出た瞬間に、6桁の置換と定義差分を精査できる状態にしておく

HS2028採択と相関表スケジュールの全体像


HS2028対応は、単にコード表が更新されるだけでなく、通関、関税・原産地、輸出入統計、社内マスタ、契約書の品目定義まで連鎖する「全社案件」になりやすいテーマです。wcoomd
一方で、現場がつまずきやすいのが「いつ何が正式に確定するのか」であり、条約手続きとWCOの公表情報を押さえておかないと、着手時期や社内マイルストーンがぶれやすくなります。strtrade+1​

本稿では、HS条約Article 16の仕組みと、WCO・USITC等の公表情報に基づき、企業目線でのタイムラインと相関表作業の見通しを整理します。wcoomd+2​


1. 「HS2028採択」が意味する3つの段階

ビジネス現場で混乱が起きやすいのは、「採択」という言葉が単一の出来事ではなく、少なくとも次の3段階に分かれる点です。wcoomd

  • HS委員会(HSC)による改正パッケージの暫定採択
    • 2025年3月10〜21日に開催された第75回HS委員会で、HS2028版に向けたArticle 16勧告案(改正パッケージ)が暫定的に採択され、これにより交渉は完了したと説明されています。wcoomd
    • この暫定採択は「HSCレベルでの取りまとめ完了」であり、まだ条約上の正式な採択ではありません。wcoomd
  • WCO理事会(Council)による勧告の採択
    • 暫定採択されたArticle 16勧告案は、WCO理事会に付議され、HS条約Article 16に基づく勧告として採択されます。wcoomd
    • HS条約上の「理事会採択」が行われて初めて、締約国に対する正式な勧告として通知される位置づけになります。wcoomd
  • 締約国による「みなし受諾」と発効日の確定
    • Article 16では、事務総長による通知から6か月以内に締約国から異議(objection)が出なければ、その改正は締約国により受諾されたものとみなされると規定されています。wcoomd
    • WCOは、HS2028勧告について「2025年末に正式採択(理事会)→2026年1月に公表→2028年1月1日発効」というタイミングを公表しており、この枠組みの中でみなし受諾が整理されます。wcoomd

このため、企業側の準備は「HSCで決まったら終わり」でも「理事会で採択されたら即終わり」でもなく、条約上の節目と公表タイミングを踏まえて段階的に設計する必要があります。wcoomd


2. なぜ発効が2028年1月1日なのか(Article 16のカレンダー)

HS改正の発効日は、HS条約Article 16のタイムルールで機械的に決まります。wcoomd

  • 受諾(みなし受諾)のルール
    • 勧告は、締約国に通知してから6か月の間に反対が残っていなければ、締約国により受諾されたものとみなされる仕組みになっています。wcoomd
  • 発効日のルール(実務運用)
    • 実務上、WCOは理事会での勧告採択を年央(6月前後)とし、通知から6か月の異議期間を経て、次回改正を次々回の1月1日に発効させる運用をとってきました。strtrade+1​
    • HS2028についても、WCOは「2025年12月末に正式採択、2026年1月に公表、2028年1月1日に発効」というタイムラインを明示しており、EUや各国の説明資料もこの前提に沿って記述しています。strtrade+1​

つまり、HS2028の「2028年1月1日発効」は、個別政治判断というより、Article 16に基づく標準運用の延長線上にあると理解するのが自然です。wcoomd


3. 2025〜2028年の公式マイルストーン

現時点でWCO等が公表している情報に基づき、HS2028に関する主要マイルストーンを整理すると、次のようになります。strtrade+1​

  • 2025年3月:HSC第75回会合で改正パッケージ暫定採択
    • HSC第75回会合(2025年3月10〜21日)で、HS2028版に向けたArticle 16勧告(HS2028改正パッケージ)が暫定採択され、交渉完了とされています。wcoomd
    • 改正パッケージは299の改正セットから構成されると説明されており、医薬品関連ではWHO INNリストに基づく多くの品目名整理が含まれます(ここは別記事で詳細に扱うのが安全です)。wcoomd
  • 2025年末:WCO理事会での正式採択(予定)
    • WCOは、HS2028勧告を2025年末の理事会で正式採択し、その後に勧告を公表すると案内しています。wcoomd
    • EUや各種解説資料も、「2025年6月の理事会会期での採択可能性」や「その後6か月の異議期間」の存在に言及しつつ、2028年1月1日発効を前提にしています。strtrade+1​
  • 2026年1月:WCOによるHS2028勧告の公表予定
    • WCOは、2025年末の正式採択を経て、2026年1月にHS2028の勧告内容を公表する予定であるとしています。wcoomd
    • 企業にとっては、この公表が「国際レベルでの条文・改正点を体系的に確認し、社内マッピングを本格化させる起点」となります。strtrade+1​
  • 2028年1月1日:HS2028発効
    • HS条約では、発効日に各締約国の関税・統計分類が改正HSに整合している必要があり、各国はこの日に向けて自国の関税表・統計コードを改正する義務を負います。wcoomd+1​

この間の「みなし受諾」のカウントは条約上重要ですが、企業実務としては「2026年1月の公表」と「2028年1月1日の発効」が分かりやすい節目になります。wcoomd


4. 相関表の位置づけとHS2028での動き

企業実務に直撃するのが相関表(Correlation Tables)であり、「旧版HSから新版HSへ、どのコードがどこへ移ったか」の対応関係を示すツールです。wcoomd+1​

  • 法的ステータス
    • WCOは、HS2017/HS2022相関表の公表時に、相関表が法的拘束力を持つ文書ではない一方、新版導入準備に不可欠なツールになっていると明言しています。wcoomd+1​
    • この位置づけはHS2028でも同様であり、「法源ではないが、実務上の事実上の標準参照ツール」と理解するのが適切です。wcoomd
  • 作業開始と形式改善
    • HS2028とHS2022間の相関表について、WCOはHSCの場で開発に向けた議論を開始しており、相関表の形式(見せ方)を改善する決定も採択しています(詳細は今後の会合報告で詰まる見込み)。wcoomd+1​
    • 相関表は、2026年以降に突然現れるのではなく、HSC正式議題として段階的に作り込まれるフェーズに入っていると言えます。wcoomd
  • HS2022の前例
    • HS2022では、WCOが2020年11月にHS2017/HS2022の相関表を公表しており、同年10月のHSC第66回会合での審査と、11月13日の報告採択後に公開されたと説明されています。wcoomd
    • HS2022の発効日は2022年1月1日であったため、WCO相関表が企業に届いたのは発効のおよそ14か月前となり、「WCO相関表は発効の1年前強には入手できる」という実務的な目安となります。goods-schedules.wto+1​

HS2028についても、同じ時期に必ず公開されると断言はできませんが、WCOが既に作業開始を公表していること、HS2022と同様にHSC審査→報告採択→公開という手順を踏むことから、発効前に段階的に整備されるのが自然な流れです。wcoomd+1​


5. WCO相関表と各国相関表のズレ

実務上の落とし穴として、WCO相関表と各国の国内相関表(および国内税番改正)の関係があります。usitc+1​

  • WCO相関表
    • 原則として国際共通部分である6桁レベルの対応を示すものであり、国内細分(7桁以降)は対象外です。wcoomd+1​
  • 各国相関表・国内税番改正
    • 多くの国では、実際の輸入申告や統計で、7桁以降の国内細分(例えばHTSUS、EU CN、日本の9桁/10桁など)を用いており、6桁の単純な横スライドにはなりません。usitc+1​
    • 例えば米国では、USITCが「Recommended Modifications in the Harmonized Tariff Schedule, 2028」という調査を開始し、2026年2月にHTS改正の暫定案を公表(パブコメ)、2026年9月に大統領への報告書提出というスケジュールを示しています。usitc+1​

このため、企業が本当に必要なのは「WCO相関表+主要取引国の国内相関表と税番改正告示スケジュール」の両輪であり、6桁だけを見て国内税番を自動移行するアプローチはリスクが高いと言えます。usitc+1​


6. 企業実務:2026〜2028年の段取りの目安

条約手続きと公表スケジュールを踏まえると、企業の現実的な段取りは次のように整理できます。usitc+2​

  • 2026年:分類影響の棚卸しとマッピング設計
    • WCOが2026年1月にHS2028勧告を公表する予定であり、ここで条文と改正内容を体系的に確認できます。wcoomd
    • 自社品目マスタを6桁ベースで一覧化し、HS2028で改正が入りそうな品目群を仮特定したうえで、1対1・1対多・多対1などマッピングルールと社内判定責任を定義するフェーズに適しています。wcoomd+1​
  • 2027年:主要国の国内税番への落とし込み
    • USITCの例のように、主要国で2026年頃から国内法令・関税表改正プロセスが動き出すため、2027年は各国の国内相関表・改正告示を踏まえた「国別HS→国内税番」への落とし込みフェーズになります。usitc+1​
    • 関税率、EPA/FTA原産地ルール、原産性判定、通関システム・ERP・商品DB・取引先マスタなどの更新を、主要市場から優先的に進めるのが現実的です。usitc
  • 2028年に向けて:移行期運用
    • 2027年末〜2028年初の出荷・到着・保税・返品など、境界期間の扱いを手順化し、HS改正に起因する誤分類や追徴を抑える運用を設計する必要があります。wcoomd+1​
    • 社内教育と取引先への通知を前倒しし、「新旧コード併記」「監査証跡の確保」等を含む移行設計を行うことが望まれます。usitc

7. この記事で押さえておきたいポイント(まとめ)

  • HS2028は、HSCでの暫定採択→WCO理事会での正式採択→6か月の異議期間を経たみなし受諾→2028年1月1日発効という段階を踏む。wcoomd
  • WCOは、2025年末の正式採択、2026年1月の勧告公表、2028年1月1日の発効というタイムラインを示しており、企業はこれを前提に逆算して準備できる。strtrade+1​
  • 相関表は法的拘束力を持つ文書ではないものの、HS2022でも発効約14か月前に公表された公式ツールであり、HS2028でも実装の要となることが想定される。goods-schedules.wto+1​
  • WCO相関表は6桁レベルが中心であり、実務上は主要取引国の国内相関表・国内税番改正告示と組み合わせて管理する必要がある。wcoomd+1​
  • 米国USITCのように、2026年からHTS改正案と報告書作成が進む国もあり、企業は2026〜2028年の3年間を「棚卸し・設計」「国別落とし込み」「移行運用」の3フェーズとして設計するのが現実的である。strtrade+1​
  1. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx
  2. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2020/november/the-wco-has-published-the-hs-2017-2022.aspx
  3. https://www.usitc.gov/press_room/news_release/2025/er0812_67410.htm
  4. https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/august/next-round-of-htsus-modifications-anticipated-to-take-effect-in-2028
  5. https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/hs-nomenclature-2022-edition/correlation-tables-hs-2017-2022.aspx
  6. https://goods-schedules.wto.org/sites/default/files/file/2020-11/W164_0.pdf
  7. https://www.linkedin.com/posts/customs-support_tradecompliance-customs-harmonizedsystem-activity-7313836607558606848-xvCD
  8. https://www.linkedin.com/posts/ashcheglov_tariff-customs-hs2028-activity-7313504438416003073-LVES
  9. https://www.orr.gov.uk/search-news/rail-regulator-sets-out-key-recommendations-assessing-costs-and-benefits-health-and
  10. https://humanrightstracker.com/en/un-recommendation/icescr-concluding-observations-2025-paragraph-71/
  11. https://www.gov.uk/government/publications/protocol-no15-amending-the-convention-on-the-protection-of-human-rights-and-fundamental-freedoms-ts-no192025
  12. https://research.hktdc.com/en/article/MjA5Mjg3NTc4OQ
  13. https://www.wepolu.org/post/successful-conclusion-of-the-71st-session-of-the-harmonized-system-committe
  14. https://www.ddcustomslaw.com/index.php?option=com_content&view=article&id=448%3Awco-releases-the-hs-2022-correlation-tables&Itemid=50&lang=en
  15. https://warrants.ubs.com/home/hkexdoc/ch/CBBC/ubs/pdf/20250317185628.pdf

HS2028で変わる半導体・センサー分類 ビジネスに効く論点と、今からできる準備


半導体やセンサーは、関税分類の世界で「技術進化が速いのに、分類体系の更新は緩やか」という典型例です。そこにHS2028の改正が迫っています。コードが変わるだけに見えますが、実務では関税率、原産地規則、統計、輸出管理、社内マスタの整合まで連鎖的に影響します。wcoomd

本記事は、技術者向けではなく、調達・営業・経営企画・貿易管理・物流のビジネス部門が、HS2028の半導体・センサー領域をどう捉え、どこにリスクと機会が生まれるかを整理するための実務ガイドです。なお、HS2028の改正はWCOの正式手続きを経て進行中で、発効日は2028年1月1日と確定しています。wcoomd

1. まずHS2028を正しく理解する

なぜ2028なのか、いつ何が起きるのか

HSは原則5年ごとに改正されますが、第7次見直しサイクルはパンデミック等の影響で1年延長され、次の版はHS2028として2028年1月1日に実施されます。次回は5年サイクルに戻り、HS2033が続くとWCOが明示しています。aeb+1​

2025年3月開催の第75回HS委員会(HSC)では、Article 16勧告として、299件の改正セットを含むHS2028勧告パッケージが暫定採択されました。この299件には、105件の品目改正案、5件の注解改正、66件の分類決定、14件の新分類意見が含まれます。正式採択は2025年12月末に予定され、2026年1月に最終版が公表、2028年1月1日に発効します。tarifftel+2​

HS改正は「合意が必要な国際標準」です。WCO理事会承認後、各締約国には6か月の異議申立期間があり、異議が出た部分は除外される可能性があります。つまり、企業は早期に影響を見積もりつつ、最終確定版で必ず再検証する姿勢が必須です。wcoomd

2. なぜ半導体・センサーがHS2028の注目テーマなのか

ビジネス側の論点は「税率」より広い

半導体業界団体は以前から、技術進化のスピードが5年サイクルのHS改正を上回るペースで進んでおり、より迅速な改正メカニズムが必要だと主張してきました。実際、多機能化したMCO(Multi-Chip Optoelectronics)やセンサー統合製品は、機能別分類か素子基準かで分類がぶれやすく、2017年および2022年のHS改正でも半導体定義の拡張が行われています。deepbeez+1​

HS2028でも、半導体ベースのトランスデューサー(変換素子)を含む分野が改正対象に挙がっています。これは単なる統計目的にとどまらず、次の実務要素に連動します。wcoomd+1​

  • 関税率と通商救済: MFN税率だけでなく、追加関税、セーフガード、アンチダンピング等がHSコードに紐づくため、コード変更は対象判定に影響します。
  • 原産地規則: 多くのFTAは品目別規則をHSの類・項・号で定義するため、HS変更は「同じ製品でも、どの規則を見るべきか」を変え得ます。
  • 輸出管理・規制: 規制リスト自体は性能・仕様基準が中心でも、運用現場ではHSコードをスクリーニングキーにすることが多く、分類変更は監視ロジックに影響します。
  • 企業の意思決定: 調達先分散、在庫配置、製造地設計、価格交渉など、サプライチェーンKPIにHS分類が組み込まれています。

3. 半導体・センサー分類で「揺れやすい境界」

HS改正が起きると影響が出やすい典型ポイント

半導体とセンサーは、商品形態が連続的に変化します。

  • ウエハ、ダイ
  • パッケージ化された素子
  • 信号処理ICと一体化したモジュール
  • 筐体、通信、電源、ソフトを含む完成品

HS分類は、こうした連続体を「どこで線を引くか」を国際標準として定める作業なので、改正が入ると境界付近の品目が動きます。ビジネスで影響が大きいのは、まさにこの境界品です。wcoomd

センサーで特に揺れやすい論点は次のとおりです。

  • センサー素子か、測定機器か: センサー素子は部品寄り(8541系)、測定機器は完成品寄り(他類)です。完成品側に寄るほど、半導体の章(第85類)から離れやすくなります。deepbeez
  • 変換素子か、信号処理まで含むか: 物理量を電気信号に変換するだけの段階と、補正・演算・デジタル出力まで含む段階は、税関分類の評価ポイントが変わります。deepbeez
  • 単機能か、多機能か: 環境センサーは温湿度、気圧、ガス、照度など複数要素を統合しがちで、多機能化は「主たる機能は何か」という論点を強めます。
  • どの産業用途に組み込まれるか: 同じセンサーでも、自動車、産業機械、医療、家電でパッケージや付加機能が変わり、分類は用途だけで決まらない一方、用途に由来する構成差は分類に影響します。youtube​

4. HS2028で半導体・センサー分類は何が「変わる」のか

確定情報と、実務上の読み方を分ける

情報の信頼性を最優先に、言い切れる範囲と言い切れない範囲を分けます。

4-1. 現時点で一次資料から言い切れること

  • HS2028は2028年1月1日に発効されるwcoomd
  • HS2028は299件の改正セットを含む勧告パッケージとして暫定採択されたstrtrade+1​
  • 改正には105件の品目改正案、5件の注解改正、66件の分類決定、14件の新分類意見が含まれるstrtrade+1​
  • 半導体ベースのトランスデューサー(変換素子)が改正議題に含まれているwcoomd+1​

つまり、半導体・センサー領域はHS2028の改正議題に含まれており、何らかの分類上の調整が入る可能性が高い、という点までは公的文書で裏づけられます。

4-2. 企業実務として「ここが動くと困る」を先に特定する

個別の6桁コードがどう変わるかは、2026年1月公表予定のWCO正式なHS2028法文と相関表(correlation table)で最終確認が必要です。ここを飛ばして断定すると、誤った社内判断につながります。tarifftel+1​

ビジネス側は、コード表の暗記ではなく「自社品が分類境界のど真ん中にいるか」を見抜くことが重要です。具体的には、次のような品目群はHS2028で影響を受けやすい位置にあります。

  • 半導体ベースの変換素子(各種トランスデューサー)deepbeez
  • センサー素子に信号処理ICが付随するモジュール
  • 複合センサー(複数の測定要素を統合)
  • 完成品に近いスマートセンサー(補正、演算、通信を内蔵)
  • センサーを搭載したユニットやサブアセンブリ(他機能と不可分)youtube​

これらは、分類が「素子」寄りか「機器」寄りかで分かれ、HS改正で線引きが再定義されると影響が出やすい領域です。

5. HS2028対応で失敗しやすい会社のパターン

通関担当だけに任せると、ほぼ確実に抜ける

半導体・センサー企業でよくある失敗は、HS改正を「通関部門のコード置換作業」にしてしまうことです。これだと次が抜けます。

  • 製品マスタの粒度が足りない: 分類に必要な属性(素子の役割、信号処理の有無、通信機能、主たる機能など)がマスタに入っていないと、相関表が出ても機械的に当てはめられません。
  • 原産地規則の影響評価が後回し: HS変更は、FTAの品目別規則(PSR)の参照単位を変え得ます。関税率がゼロでも、原産地判定でコストが跳ねることがあります。
  • 規制スクリーニングが壊れる: 社内の輸出審査フローでHSコードをキーにしている場合、誤分類や未更新は審査漏れの原因になります。

6. ビジネスマン向けの実務チェックリスト

2028年までに何を終わらせるか

以下は、半導体・センサー企業がHS2028で痛手を避けるための現実的な進め方です。

ステップ1: 影響範囲の棚卸し

  • 製品群を「素子」「モジュール」「完成品寄り」に3分類する
  • 売上上位、利益上位、規制リスク上位の品目を優先対象にする
  • 輸出入の主要国別に、関税率とFTA利用の有無を紐づける

ステップ2: 分類に必要な属性を社内で標準化する

センサーや半導体は、品名だけでは分類できません。仕様書を見なくても判断できる属性項目を、マスタに落とし込みます。

  • 測定対象(温度、圧力、加速度、光、ガスなど)
  • 変換方式と主要構成(半導体要素の有無、MEMSかどうかなど)
  • 信号処理の範囲(増幅、A/D、演算、補正)
  • 出力形態(アナログ、デジタル、通信プロトコル)
  • 単体販売か、ユニットの一部か

ステップ3: 相関表が出た瞬間に「自動変換」しない

WCO手続き上、最終的な確定内容や各国の国内拡張桁への転記を確認する必要があります。相関表は出発点で、個別品目の仕様と照合して初めて確定に近づきます。wcoomd

ステップ4: 社内の下流影響を先に洗い出す

  • 価格条件(関税負担者)
  • 原産地証明の運用(PSR参照箇所)
  • 輸出入ライセンスや社内審査フロー
  • 統計や経営レポート(品目別KPI)
  • 取引先との品目コード整合(発注、納品、請求)

7. まとめ

HS2028は「半導体・センサーの線引き」がビジネスコストになる改正

HS2028は2028年1月1日に発効され、299件の改正セットからなる勧告パッケージとして暫定採択されました。改正には105件の品目改正案、5件の注解改正、66件の分類決定、14件の新分類意見が含まれます。また、半導体ベースのトランスデューサーが改正対象として明示されています。wcoomd+3​

ただし、個別のコード改編の詳細は、2026年1月公表予定のWCO正式なHS2028法文と相関表、さらに各国の国内法への転記で最終確認が必要です。ここを飛ばして社内で断定しないことが、信頼性の高いHS2028対応の第一歩です。tarifftel+1​

半導体・センサー企業にとっての成功の鍵は、改正が出てから慌てて置換することではありません。分類境界にいる品目を先に特定し、仕様に基づく分類判断を回せるマスタ設計と運用体制を2028年までに構築することです。


https://hts.usitc.gov/search?query=8541.42.00.10

https://www.wcoomd.org/-/media/wco/public/global/pdf/events/2019/hs-conference/semiconductors-and-the-future-of-the-hs_sia-white-paper_april-2019.pdf?la=fr

https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx

https://www.aeb.com/en/magazine/articles/hs-code-2028.php

https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2023/october/successful-conclusion-of-the-72nd-session-of-the-harmonized-system-committee.aspx

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https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/april/amendments-to-2028-harmonized-schedule-advanced

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https://global-scm.com/hscf/archives/134

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https://www.ul.com/resources/global-market-access-regulatory-news-update

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HS2028改正で注目される自動車センサーの再分類リスク 2028年1月1日までにやるべき実務対応

はじめに

自動車向けセンサーは、製品自体は小さくても、関税分類の論点が多層に重なります。
半導体デバイスとしての性格、測定機器としての性格、車両用部品としての性格、電気機器としての性格が同居しやすく、条文構造上も「どこに落とすか」で迷いやすい領域です。

HS2028改正は、こうした曖昧さが残りやすい品目ほど、再分類や各国運用の揺れが顕在化しやすい局面になります。
本稿では、HS2028の確定スケジュールと、法的に見落とされがちな優先ルールを踏まえたうえで、自動車センサー周りの再分類リスクと、2028年1月1日までに実務として準備しておくべき対応を整理します。


HS2028はいつ何が起きるのか

HSは国際的な品目分類の基盤であり、多くの国の関税率、原産地規則、輸出入統計、各種規制の適用判断がHS6桁レベルに直結しています。
各国・地域の関税分類体系はHSをベースに構築されているため、HS改正はサプライチェーン全体に共通の「イベント」として波及します。

World Customs Organization(WCO)の公表によれば、Harmonized System Committee(HSC)は2025年3月10日から21日の第75回会合において、HS2028改正パッケージとなるArticle 16勧告案を暫定採択しました。
この勧告は2025年末のWCO理事会で正式採択された後、2026年1月に公表され、2028年1月1日に発効するスケジュールとされています。

同改正パッケージでは、個別提案ベースで299件の改正パッケージが取りまとめられていると報じられており、改正範囲の広さがうかがえます。
また、2025年10月に開催された第76回HSC会合では、HS2022とHS2028の相関表の整備作業が進んでいることが公表されており、企業実務ではこの相関表がコード移行検討の出発点となります。

実務上のポイントは、2028年1月1日が切替日である一方、2026年のHS2028公表後には各国が自国の関税率表や統計品目、システムの更新・周知を進めるため、企業側の準備も2026年から本格化せざるを得ないという点です。
輸出入申告、原産地証明、顧客見積りが滞らないようにするには、その少し前の段階で品目マスタと分類根拠の整備を概ね完了しておく必要があります。


自動車センサーが再分類リスクを抱えやすい理由

自動車センサー周りの再分類リスクが高まりやすい理由は、大きく三つに整理できます。

1つ目は、「車両部品として見たくなるが、法的に車両部品にできない」ケースが頻発することです。
Section XVII(車両等)の注2は、「部品及び附属品」の適用除外を列挙しており、その中でChapter 85(電気機器)とChapter 90(測定・検査機器)が明示的に除外されています。つまり、電気機器や測定機器として該当する場合、それらはそもそもSection XVIIの「部品及び附属品」としては扱えない構造です。

自動車用であっても、用途情報だけを根拠に8708(自動車の部分品)に寄せてしまう発想は、注2との整合性を欠く場合があり、ここがセンサー品目の落とし穴になります。

2つ目は、半導体デバイスに関する優先ルールが強力であることです。
Chapter 85の注記は、半導体ベースのセンサーやアクチュエータ等を含む「semiconductor-based transducers」を定義したうえで、これに該当する品目について見出し8541または8542が他のいかなる見出しにも優先するとする「優先規定(precedence provision)」を設けています。

自動車用途であっても、物として半導体デバイスに該当すれば、他章や車両部品ではなく、半導体側の見出しが優先されることになります。
センサーの小型化・チップ化・モジュール化が進むほど、この優先規定が実務に与えるインパクトは大きくなります。

3つ目は、製品形態が「チップ → モジュール → ユニット → ECU一体」と連続的で、設計次第で境界が変わることです。
同じ用途のセンサーでも、出荷形態が半導体チップ、センサーモジュール、制御基板付きユニット、車両搭載サブアセンブリなどに分かれると、それぞれで関税分類上の論点が変わり得ます。


まず押さえるべき法的ポイント

ここからが、誤分類と再分類リスクを分ける実務上の要所です。

A. 車両部品8708は「最後に」検討する

Section XVII注2により、Chapter 85やChapter 90に該当するものは、Section XVIIの「部品及び附属品」には含まれません。
したがって、自動車センサーを見る際は、「自動車用かどうか」より先に、「電気機器か」「測定機器か」「半導体デバイスか」といった定義該当性を確認する必要があります。

B. 半導体デバイスに該当すれば8541・8542が優先し得る

Chapter 85の注記では、半導体ベースのセンサーについて、半導体基板や半導体材料を用い、半導体特性に基づいて物理量や化学量を検知・変換する構造が明確に定義されています。
さらに、この注記は、該当品目については見出し8541または8542が他のどの見出しよりも優先する旨の規定を置いており、いわゆる「半導体優先」のルールが明文化されています。

この優先規定を踏まえずに「自動車用だから8708だろう」という発想で分類すると、根拠の弱いコードが量産され、HS2028移行期の見直しで再分類指摘を受けるリスクが高まります。

C. MCO(多部品集積回路)という論点が増える

Chapter 85の注記には、多部品集積回路(MCO)の定義も含まれており、センサー、アクチュエータ、受動部品などを単一パッケージに統合した構造を想定しています。
自動車分野では、信号処理や補正機能を同一パッケージに実装したセンサーが増加しており、MCO該当性をめぐる論点は今後さらに増えることが見込まれます。

HS2028における条文変更そのものだけでなく、このMCO定義を踏まえた運用面での解釈も、センサー分類の重要論点として意識されやすくなります。


自動車センサーで想定される再分類シナリオ

ここでは、HS2028移行で見直しが生じやすいパターンを、コード断定ではなく論点として整理します。

シナリオ1 車両部品扱いから電気機器扱いへ

従来、国内運用や社内慣行で8708側に寄せていた品目について、Section XVII注2の適用を根拠にChapter 85側へ見直されるパターンです。
HS2028で当該条文が直接改正されない場合でも、相関表や各国の移行指針、監査強化などを通じて、除外規定の再確認が促され、分類の揺り戻しが起きやすくなります。

シナリオ2 センサーモジュールが半導体デバイス側へ寄る

形態がチップに近いモジュールや、半導体ベースのトランスデューサ定義に該当する製品は、8541または8542の優先規定の射程に入りやすい領域です。
機械的筐体や車両専用コネクタの有無よりも、機能と構造が半導体定義に該当するかが主要な論点となります。

シナリオ3 測定機器側へ寄る

距離、角速度、圧力、温度、流量、位置などの測定機能を有し、装置として測定機器の体裁が強い場合、Chapter 90の適用が検討対象となります。
この場合も、Section XVII注2によりChapter 90は車両部品扱いから除外されるため、「自動車用だから部品」という発想だけで8708に寄せると、注2を根拠にした指摘を受けやすくなります。

シナリオ4 レーダー・カメラ等の複合ユニットで分類が揺れる

ADAS用途のレーダー、カメラ、センサーフュージョンユニット等は、単なるセンサーではなく、検知・処理・通信・制御が混在する複合機能品です。
主機能の認定、ユニットとしての完成度、単体での個別機能の有無などが争点となり、HS改正期には過去の分類根拠の再説明が求められる局面が増えるため、根拠が薄いコードほど見直されやすくなります。


ビジネス影響は関税だけではない

再分類の影響は、関税率だけにとどまりません。

  • FTA原産地判定
    HSコードは品目別規則の適用に直結し、コード変更は原産地計算ロジックや非原産材料の判定に影響します。
  • 輸出管理・制裁・規制対応
    国や地域によっては特定HSコードに規制措置や追加関税を紐づけており、コード変更が規制適用の誤判定や申告漏れにつながるリスクがあります。
  • 見積りと長期契約
    仕入先との価格条件や顧客へのデューティ見込みをHSコード前提で固定している場合、HS2028切替前後で差額負担をどう扱うかを曖昧にすると、2028年初回出荷からトラブル化するおそれがあります。

2026年から着手すべき実務チェックリスト

2028年1月1日の切替に向け、2026年以降に段階的に進めたい実務対応を整理します。

ステップ1 対象品の棚卸しを品目マスタ単位で行う

センサー単体だけでなく、センサーモジュール、ユニット、ECU一体品、サービス部品、試作・評価用キットなど、HSコードが付与されている品目を品目マスタ単位で洗い出します。

ステップ2 技術情報の取得テンプレートを作る

分類精度は技術情報の質に依存するため、仕入先等に求める技術情報テンプレートを標準化します。
最低限、次の情報を押さえます。

  • 測定対象と測定原理
  • 出力形態(電気信号、デジタル通信等)
  • 半導体素子の有無と種類(ディスクリート、IC、MCO等)
  • 筐体・コネクタの有無、車両搭載状態での出荷か
  • 単体で測定装置として機能が完結するか
  • 回路ブロック図、データシート、型式仕様書

ステップ3 分類根拠メモを社内標準化する

「なぜその章か」「なぜその見出しか」「どの注記をどう適用したか」を文章で残し、監査や税関照会に耐える形で標準化します。
特に、Section XVII注2の除外規定とChapter 85注記の優先規定に一切触れていない根拠メモは、自動車センサー分野ではリスクが高いと考えるべきです。

ステップ4 HS2022→HS2028の相関表で影響を一次抽出する

WCOはHS2022とHS2028の相関表整備を進めていると公表しており、この相関表はコード変更可能性のある品目を機械的に抽出する一次スクリーニングに有用です。
最終判断は必ず個別の技術情報と法的根拠に立ち戻る前提で、「相関表はあくまで影響候補リストを作るためのツール」と位置づけることが重要です。

ステップ5 論点が重い品目は事前教示や裁定事例を活用する

各国制度に応じて、事前教示や裁定事例検索を活用し、重要品目について早期に当局見解を確認します。
製品仕様が固まっている品目から優先的に着手することで、HS2028切替時の不確実性を抑えられます。

ステップ6 契約条項と価格条件を点検する

HSコード変更や税率変更が発生した場合の価格調整条項の有無・内容を、部品供給契約や長期購買契約、顧客向け価格条件にわたって点検します。
2028年の切替を意識した条項修正を、2026〜2027年のうちに行っておくのが現実的です。

ステップ7 システム改修とマスタ統制

ERP、通関システム、原産地管理システム、品目マスタの連携ポイントを洗い出し、2028年の一斉更新に耐えられる統制を設計します。
HSコードは単なる入力情報ではなく、分類根拠とセットで管理すべきコンプライアンス情報として扱う必要があります。


HS2028に向けた実務の「勝ち筋」

HS2028は2028年1月1日に発効し、WCOは2026年1月に改正内容を公表するスケジュールを示しています。
自動車センサーは、Section XVIIの除外規定とChapter 85の半導体優先規定が同時に作用しやすい領域であり、車両部品扱いの慣行が再点検されるリスクが高い分野です。

実務上の「勝ち筋」は、ゴールとしてのコードを先に決め打ちするのではなく、製品仕様を起点に論点を分解し、根拠メモを整備し、相関表で影響を機械抽出しつつ、重要品目は早期に当局見解へ寄せていくことです。
2028年の切替は突然起こるのではなく、準備を前倒しした企業は静かに移行し、準備不足の企業だけが突然困る構図になると想定されます。

監査に強いHS分類書類の作り方


監査に強いHS分類書類の作り方
後追い監査で困らない「分類ドシエ」設計と運用の実務

輸出入実務でHSコードは、単なる番号ではありません。関税率、輸入規制、原産地規則の適用可否、統計、さらには社内の収益管理まで影響します。だからこそ税関の監査で問われるのは、最終的なHSコードそのもの以上に、なぜその結論に至ったのか、同じ判断を再現できるか、社内統制が機能しているかという点です。wcoomd+1

本記事では、監査に強いHS分類書類を、誰が作っても一定品質に揃う「分類ドシエ」として設計する方法を整理します。ポイントは、分類結果の正しさを主張することではなく、一次情報に沿って適切に判断したことを、客観的に説明・再現できる書類を作ることにあります。wcoomd+1


1. 監査で見られるのは結論より「再現性」と「統制」

税関の事後調査やポストクリアランス監査は、帳簿や記録、取引書類の確認を通じて、申告内容の正確性と適法性を検証するプロセスです。WCOのポストクリアランス監査ガイドラインでも、監査の中心に「帳簿・記録等の検査」が位置付けられており、商業帳簿・会計記録・契約書等を通じて申告と実態の整合性を確認すると説明されています。rocb-europe+2

監査に強い会社は、個々の担当者の勘や経験に頼るのではなく、判断の根拠と証跡がファイルとして体系的に残っており、数年後でも第三者が同じ結論に到達できるレベルで説明可能な状態を維持しています。こうした「再現性」と「統制」が確立されているほど、監査の時間とコストは小さくなります。documents1.worldbank+1


2. 一次情報の優先順位を固定する

GRIと注が最上位、その次に解説資料

HS分類を組み立てる際は、次のような優先順位を社内ルールとして固定するのが安全です。

  • HSの解釈通則(GRI)と、部注・類注などの法的注
  • 項の文言
  • WCOのExplanatory Notes(解説)
  • WCOのClassification Opinions(分類意見)、各国当局の事前教示・裁決事例

WCOのHS解釈通則解説では、法的目的の分類は見出し(章名や部名)ではなく、項の文言と関係する部注・類注等に基づいて行うべきであることが示されています。wcotradetools

またWCOは、Explanatory NotesはHS条文の一部ではないものの、WCO理事会が採択した“公式な解釈”であり、各項の範囲や含まれる品目・除外品目、識別のための実務的指針を与える補完的資料であると位置付けています。wcoomd+2

Classification Opinionsについては、HS委員会が採択した代表的・難解な品目に関する分類判断を集めたものであり、Explanatory Notesと同じステータスを持つ補助資料であると説明されています。wcoomdpublications+2

この優先順位を分類フローとドシエの構成に埋め込み、常にこの順番で論理を積み上げることで、監査時の説明力と内部統一性が大きく向上します。wcoomd+1


3. 監査に強い「HS分類ドシエ」10点セット

まずはこのセットを揃える

監査で強いのは、ページ数が多い資料ではなく、必要な論点が漏れなく整理された資料です。おすすめは、1製品または1製品群ごとに、次の10点を1ファイルまたは1セットとしてまとめる方式です。wcoomd+1

  1. 製品特定シート(表紙)
  • 社内品番、製品名、用途、型式、写真
  • 輸入国別の申告名称(インボイス表記)
  • 対象HS版(例:HS2022)と決定日、版管理番号
  1. 仕様根拠一式
  • カタログ、仕様書、図面、構成表、BOM
  • 外観写真、梱包形態、セット構成
    日本税関の品目分類の事前教示案内でも、サンプル、写真、原材料、加工工程などの参考資料の添付が推奨されており、仕様の客観資料は、教示取得時にも監査時にも重要な役割を果たします。customs+1
  1. 材質と製造工程の説明資料
  • 材質比率、材質証明、工程フロー
  • どこでどの加工が行われるか
    監査は本質的に「製品の実態」と「申告内容」の整合性確認であるため、材質と工程が説明できると、原産地や関税分類の妥当性を含めて説得力が高まります。documents1.worldbank+1
  1. 分類メモ(結論1ページ+詳細)
    結論だけでなく、GRIと関連する注・項の文言に沿って一本道で論理を構築します。GRIの構造に沿ったテンプレートを用いることで、担当者ごとの属人性を下げ、再現性の高い文書になります。wcotradetools+1
  2. 代替分類の検討メモ
  • 迷った項、近接する項、社内で過去に使ったコード
  • なぜ採用しなかったかの理由
    監査で指摘されやすいのは「他の候補コードが検討されていない」点です。候補と不採用理由を先回りして整理しておくと、議論が短く済みます。wcoomd+1
  1. 参照条文と注の抜粋
  • 関係する部注・類注
  • 該当項の文言(必要に応じて部分引用)
    監査現場は時間制約が厳しいため、該当条文にすぐアクセスできる状態にしておくと、説明が非常にスムーズになります。wcoomd+1
  1. Explanatory Notes・Classification Opinionsの参照メモ
  • 該当する部分を、過度に引用しすぎず要旨で整理
    WCOはExplanatory NotesおよびClassification Opinionsを、HS分類の統一と正確性を高めるための“公認の補助資料”として位置付けており、要旨を整理しておくことで、第三者も同じ解釈に辿りやすくなります。wcoomd+2
  1. 事前教示・裁決・公表資料の写し
    これらは国や案件によって最も強い根拠となることが多く、代表的な制度は次の通りです。
  • 日本:品目分類の事前教示(一定の条件のもと、輸入申告時に添付して参照してもらえる制度であり、文書回答は審査で尊重されると案内されています)。customs
  • EU:BTI(Binding Tariff Information)は、EU全域で拘束力を持つ分類決定であり、原則3年間有効と説明されています。trade.europa+2
  • 米国:CBPによる19 CFR Part 177に基づくルーリングは、該当取引に対するCBPの公式見解として、CBP職員に対して拘束力を持つことが規定されています。law.cornell+2
  1. 国別コード対応表(HS6から国内細分へ)
  • 日本の統計品目番号、米国HTSUS、EUのCNなど
    HS6で同じコードでも、各国の細分レベルで税率や規制が異なることが多く、監査では「どの国のどのコードの話か」が混線しがちです。国別対応表を固定で付けておくと、議論の前提合わせが容易になります。wcotradetools+1
  1. 変更管理ログ
  • いつ・なぜ・誰が・何を変えたか
  • 仕様変更、材質変更、用途変更、HS改正、当局見解の更新の履歴
    監査は過去に遡って行われるため、「当時の法令・仕様に照らして合理的な判断だったか」を示すことが重要です。変更履歴を時系列で残しておくことが、企業側の注意義務履行を説明する鍵になります。documents1.worldbank+1

4. 分類メモの書き方テンプレ

監査で通る文章は「短く、順番が正しい」

分類メモは、税関・社内監査・外部監査のいずれが読んでも理解できるよう、構造を固定します。GRIの構成に沿うことで、過不足のない説明を標準化できます。wcotradetools+1

A. 1ページ結論サマリー

  • 製品概要(用途、材質、機能、構成)
  • 結論コード(HS6と各国の国内細分)
  • 適用したGRIの番号
  • 決め手になった事実(例:主機能、材質比率、セット構成など)
  • 主な根拠(関係注、項の文言、Explanatory Notes、事前教示の有無)

B. 詳細パート(GRI順)

  • GRI 1
    • 項の文言と関係する部注・類注の確認内容
  • GRI 2
    • 未完成品・未組立品・混合物・セット等に該当するかどうか
  • GRI 3
    • 複数の項があり得る場合の整理(より具体的な項、主要特性、主要機能など)
  • GRI 4〜6
    • 必要な場合のみ、適用の有無と理由を明記

この骨格は、WCOが公表しているGRI解説の構造に沿ったものであり、国・担当者が変わってもロジックを共有しやすくなります。wcoomd+1


5. 事前教示を取るべき判断基準

迷ったら「条件」を先に決める

事前教示は強力なリスクヘッジですが、準備コストや時間もかかるため、漫然と「迷ったら全部取る」のは現実的ではありません。次のような条件に当てはまる案件の優先度を上げる運用がおすすめです。ecfr+2

  • 税率差が大きく、誤りが損益に直結する品目
  • 規制品目や許認可(輸入規制・安全規制など)が絡む品目
  • 似た製品が多く、社内でコード運用が混乱しやすい品目
  • 税関から過去に照会や指摘を受けた論点
  • 新製品で社内外に前例がほとんどない品目

日本税関は、品目分類の事前教示を文書で受ける制度を案内しており、一定の要件を満たす照会については回答書が発行され、輸入申告時に添付して審査に活用できると説明しています。 EUもBTIを「法的確実性」を確保するための手段と位置付け、原則3年間有効・EU全域で拘束力ありと明示しています。 米国CBPも、19 CFR Part 177でルーリングの申請方法・効果・公表等の枠組みを定め、ルーリングレターは当該取引に関するCBPの公式見解としてCBP職員を拘束する旨を規定しています。ecfr+6


6. 保管年限を国別に外さない

監査に強い以前に、保管していないと戦えない

分類ドシエは、帳簿・申告書類と同様に「いつでも提示できる」状態でなければ意味がありません。保管義務の期間は国ごとに異なるため、代表的な例を把握したうえで、自社ルールを決めておく必要があります。legislation+2

  • 米国:原則として、記録はエントリー日等から5年間保管することが19 CFR 163.4で定められています。customsmobile+2
  • EU:UCC第51条は、関係書類・情報を少なくとも3年間保管することを原則として規定しています(特定状況では延長の可能性あり)。taxation-customs.europa+1
  • 日本:輸入業として貨物を取り扱う者は、書類・輸入申告書等を一定期間保存する義務があり、税関FAQでは書類や申告書を最大7年間保存すべきケースがあることが示されています(書類5年、帳簿7年といった区分を含む)。customs

グローバル企業の場合、実務上は最も長い保管年限(あるいはそれ以上)で統一しておくことで、国別監査が重なった際の「書類が残っていない」リスクを低減できます。globalior+1


7. よくある失敗と、その直し方

監査で崩れるパターンはだいたい同じ

失敗1:仕入先のHSコードをそのまま採用する

  • 直し方
    • 仕入先コードは参考情報にとどめ、必ず自社製品仕様に紐づけたGRIベースの分類メモを作成する。
    • 代替分類検討メモに「仕入先のコード」と「採用しない理由」を記録する。

失敗2:キーワード検索結果だけで決める

  • 直し方
    • 検索は入口にとどめ、最終結論は必ず注と項の文言、およびGRIに基づいて確定する。
    • Explanatory Notesは、条文・注で絞り込んだ後の最終チェックとして活用する。customsiq+2

失敗3:国別の細分コードが混ざる

  • 直し方
    • HS6と各国の国内細分(統計品目番号・HTSUS・CNなど)を明確に分けて記載する。
    • 国別対応表を分類ドシエの必須コンテンツとして固定する。

失敗4:仕様変更が分類に反映されない

  • 直し方
    • 変更管理ログの作成・更新を必須化する。
    • 材質、用途、セット構成、製造工程の変更を、分類見直しのトリガーとしてルール化する。

8. まとめ:監査に強い会社は「説明できる分類」を標準化している

監査対応で本当に効くのは、担当者がその場で口頭説明を頑張ることではなく、「説明できる分類」を平時から標準化しておくことです。一次情報の順番に沿った分類メモ、製品実態の証跡、代替分類の検討履歴、事前教示や裁決例などの公的根拠との紐づけが、ワンセットで揃っているかどうかが問われます。wcoomd+3

今日から着手する現実的なステップとしては、次のような進め方が考えられます。

  • まず上位20品目だけ、HS分類ドシエ10点セットを作る。
  • 分類メモのテンプレートを固定し、GRI順にロジックを書く。wcotradetools+1
  • 税率・規制インパクトが大きい品目について、事前教示やBTI・ルーリング取得を検討する。ecfr+2
  • 保管年限と変更管理(再判定トリガー)を社内ルールとして明文化する。law.cornell+1

分類の最終判断権限は各国税関にありますが、企業側ができる最善は、「当時の法令と事実に照らして合理的で、再現可能で、証跡で裏付けられた判断」を継続的に示せる体制を維持することです。その仕組みが整っている企業ほど、監査による負担は小さくなり、予期せぬ追徴や業務中断のリスクも抑えられます。wcoomd+2

  1. https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/tools-to-assist-with-the-classification-in-the-hs/explanatory-notes.aspx
  2. https://www.wcoomd.org/-/media/wco/public/global/pdf/topics/key-issues/revenue-package/pca_guidelines_vol1.pdf?la=en
  3. https://www.customs.go.jp/english/c-answer_e/imtsukan/1117_e.htm
  4. https://trade.ec.europa.eu/access-to-markets/en/content/binding-tariff-information-1
  5. https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/tools-to-assist-with-the-classification-in-the-hs.aspx
  6. https://www.law.cornell.edu/cfr/text/19/163.4
  7. https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/tools-to-assist-with-the-classification-in-the-hs/compendium.aspx
  8. https://www.legislation.gov.uk/eur/2013/952/article/51
  9. https://www.customsmobile.com/regulations/19/163.4
  10. https://www.wcoomd.org/en/topics/enforcement-and-compliance/instruments-and-tools/guidelines/pca-guidelines.aspx?p=1
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  12. https://documents1.worldbank.org/curated/en/966521468148156174/pdf/832820WP0ENGLI0Box0382083B00PUBLIC0.pdf
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  58. https://www.revenue.ie/en/customs/businesses/importing-exporting/bti/index.aspx

■専門的■ HS改正の要点は「第16条勧告」を押さえること

ビジネスマン向けに、一次情報ベースで仕組みと実務対応を整理します

ご依頼文に「下記のブログ文章」とありますが、このメッセージ内に原稿本文が見当たりませんでした。そこで、まず一次情報(HS条約本文とWCO公式情報)に基づき、同テーマの内容を正確に再構成したブログ記事案を提示します。原稿本文を貼っていただければ、次にその文章を突合チェックして全体を書き直します。


1. そもそも「第16条勧告」とは何か

結論から言うと、第16条勧告は「次のHS改正を、条約上の手続に乗せて確定させるための公式トリガー」です。

HS(Harmonized System)は、WCO(世界税関機構)の場で検討されますが、条約上の改正手続は次の骨格で動きます。

  • HS委員会(HSC)が改正案をまとめる
  • WCO理事会(Council)が、HS条約第16条の手続で締約国に改正を勧告する
  • 勧告された改正は、事務総長による通告後6か月以内に「異議(objection)」が残っていなければ受諾されたものとみなされる
  • 受諾された改正は、通告日が4月1日より前か後かで、発効日(1月1日)が条約上決まる

この「勧告→通告→6か月→受諾みなし→発効日確定」という条約ロジックを押さえるのが、HS改正を読み違えない最短ルートです。


2. なぜビジネス実務で「第16条勧告」が最重要なのか

日々の情報では「HS委員会で暫定採択」「改正案がまとまった」など、いろいろな言い方が出てきます。ですが、企業が実務計画を立てる上での分岐点は第16条勧告です。理由は3つあります。

2-1. 「法的に効くパッケージ」だから

HS改正は、個別の改正点の寄せ集めではなく、次版に組み込まれる改正一式として勧告されます。HS委員会で合意した内容が、理事会で第16条手続に乗ることで「改正としての姿」になります。

2-2. 企業の準備期間(実質2年半)を決めるから

WCOも、HS改正に時間がかかる理由として、各国法令・統計・システム対応、相関表(Correlation Tables)整備、解説書の改訂など膨大な実装作業がある点を明示しています。第16条勧告は、この実装期間を前提に動く仕組みです。(世界税関機構)

2-3. 「HS6桁」と「各国の細分」を切り分けて考える起点になるから

企業実務で混乱が起きやすいのがここです。HSの世界共通部分は原則6桁まで。一方で各国は、関税・統計目的でその下を独自に細分します。たとえば日本の統計品目表は、6桁まではHSに基づくが、それ以降は日本独自の番号、と明確に説明されています。

つまり「第16条勧告で動くのは、まずHS(原則6桁)」。その後に各国が自国のタリフや統計コードへ落とし込みます。ここを混ぜると、社内マスタ改修や顧客説明が破綻します。


3. HS改正の全体像を、ビジネスの言葉で1枚にする

HS改正は、次の順序で理解するとブレません。

  1. 民間や各国当局から改正ニーズが上がる
  2. WCOの下部組織で技術検討(レビュー)
  3. HS委員会(HSC)が投票も含めて改正案を確定方向へ
  4. 改正案をまとめて理事会へ提出
  5. 理事会が第16条の手続で締約国に改正を勧告
  6. 事務総長の通告後、6か月の異議期間
  7. 異議が残っていなければ受諾みなし
  8. 条約に従い、1月1日発効(通告日が4月1日前後でルールが分かれる)

ここでのポイントは、WCOの説明でも「HS委員会は投票機関で、一定多数が必要」「理事会承認後に一定期間が置かれる」ことが明示されている点です。(世界税関機構)


4. HS2028を例に「いつ確度が上がるか」を整理する

第16条勧告の考え方は抽象論ではなく、具体のスケジュール管理に直結します。HS2028では、WCOが次のように公表しています。

  • 2025年3月10〜21日開催のHS委員会(第75会期)で、HS2028に向けた第16条勧告パッケージを暫定採択
  • その後、手続を経て、2025年末頃に正式段階へ進み、2026年1月に公表、2028年1月1日に発効予定 (世界税関機構)
  • またHS2022とHS2028の相関表の整備も議論・準備が進められている (世界税関機構)

企業にとって重要なのは「いつから差分精査を開始できるか」です。実務上は、勧告パッケージの公開と相関表の整備が、商品マスタ移行と影響評価のスタートラインになります。


5. 第16条勧告を起点にした、企業の実務チェックリスト

第16条勧告を「ニュース」ではなく「プロジェクトの起点」と捉えると、やるべきことが整理できます。

5-1. 自社影響の棚卸し(最優先)

  • 自社で使っているHSコードの用途を洗い出す
    関税、EPA/FTA原産地判定、輸出入規制、統計、売上集計、社内マスタ、取引契約の品目定義など
  • 特に「契約書」「長期価格契約」「原産地規則(PSR)」の参照にHSが入っている箇所は要注意

5-2. 移行設計(相関表前でも進められる)

  • 現行コードのうち、分割(split)・統合(merge)が起きそうな領域を優先順位付け
  • 社内システムの改修範囲を先に見積もる
    ERP、PDM/PLM、貿易管理、品目マスタ、BI、HS管理台帳

5-3. 外部連携(通関業者と顧客への説明準備)

  • 通関業者と「改正後コードの暫定運用方針」を事前に合意
  • 顧客・販売会社へ、切替時期とコード変更可能性の説明テンプレを用意

6. よくある誤解を、一次情報で正す

誤解1 HS委員会で決まったら、もう確定

確度は上がりますが、条約上は理事会による勧告と、その後の異議期間を経て受諾みなしとなる流れが明記されています。

誤解2 改正はWCOが一方的に決める

条約上、改正案はHS委員会で検討され、理事会が第16条手続で締約国に勧告し、締約国は異議を通知できる仕組みです。

誤解3 留保ができるから、適用しない選択肢がある

条約には「条約自体への留保は認めない」旨が定められています。一方で、改正勧告に対しては第16条で異議の制度が規定されています。用語とレイヤーを混同しないことが重要です。


まとめ

HS改正を読み解く要点は「第16条勧告が、いつ、どの条件で受諾され、いつ発効するか」を条約どおりに追うことです。そこを押さえると、次の判断がブレなくなります。

  • 何が確定情報で、何が観測情報か
  • いつから社内マスタ移行に着手すべきか
  • どの部門を巻き込むべきか(通関だけでは終わらない)

現場で日常的に行われるHSコード付番と問題点

現場で日常的に行われるHSコード付番は、多くの場合「業務を回すための便宜的な割り当て」に寄りやすく、GRI(通則)や注に基づく厳密な「分類」とはズレが生じがちです。
しかし本来、HS分類は見出し(項)の文言と部注・類注、そして一般解釈通則に従って行うことが原則であり、部・類・節の表題はあくまで参照便宜にすぎません。
また日本では、通関や統計で一般に用いる番号は「6桁のHSコード(国際共通)+国内細分3桁=9桁」の統計品目番号であり、最初の6桁が各国共通のHSコード、下3桁が日本独自の細分です。

1) 現場でよく見られるHSコード付番パターン

パターンA:相手先提示コードのコピペ採用

  • 見積書・インボイス・仕様書・カタログ等に記載されたHSコードを、そのまま自社の申告や社内マスタに流用するパターン。
  • 「早い・工数ゼロ」という点ではもっとも手軽で、現場では頻出の方法。

問題になりやすい点

  • その番号が「どの国の、何桁体系(HS6桁/各国8~10桁など)」なのかが曖昧になりやすい。
  • HS6桁は国際的に共通でも、最終的な判断権限は輸入国税関にあり、相手先提示の番号がそのまま正解になる保証はない。輸出時相談でも「輸入国のHS番号は輸入国税関の最終判断」と整理されている。

パターンB:社内過去実績・品目マスタの横展開

  • 「前にこの品番で通った番号」「類似品番の番号」を横展開し、社内で番号をそろえるやり方。
  • 会社内の整合性は取りやすく、運用負荷も小さいため、大企業ほど定着しやすい。

問題になりやすい点

  • 元の分類が誤っていた場合、その誤りを大量に再生産してしまう。
  • HS改正や各国統計品目改正の際、統廃合や細分新設が発生してマスタが陳腐化し、気づかないうちに「昔の正解」が「今の誤り」になる。HSは概ね5年ごとに改正が行われている。

パターンC:Web検索・民間DBのキーワード検索頼み

  • 商品名(日本語・英語など)を検索窓に入れ、ヒットした候補から「それっぽい」番号を選ぶ方法。
  • 担当者1人で完結しやすく、スピードは出る。

問題になりやすい点

  • HS分類は「商品名検索ゲーム」ではなく、見出し文言・注・通則に基づく法的ロジックの当てはめであり、検索キーワード一致は分類根拠になりにくい。
  • マーケティング上の商品名と、分類上の本質(材質・機能・用途・加工度等)がズレているケースが多く、名前に引きずられて誤分類しやすい。

パターンD:関税率表を見出しベースで「雰囲気読み」

  • 実行関税率表などで章→類→項→号の見出しを順に眺め、「一番近そうな表現」を選んで決めるパターン。
  • 一見すると「公式資料を使っている」ため、方法としてはもっともらしく見える。

問題になりやすい点

  • 本来は見出し+部注・類注+通則をセットで読む必要があるのに、注や通則を読み飛ばすと誤分類の温床になる。
  • 特に複合材、セット品、未完成品・未組立品などは、通則2・3の論点になることが多く、「名称が近いかどうか」だけでは決まらない。

パターンE:通関業者・フォワーダーへの丸投げ相談

  • 「この貨物、何番になりますか?」と外部業者に尋ね、その回答番号を自社の番号として採用する方法。
  • 実務上は非常に多く、短期的には効率的。

問題になりやすい点

  • 社内に「なぜその番号なのか」という根拠(通則・注の当てはめ)が残らず、税関照会や監査、取引先からの説明要求への耐性が弱い。
  • 担当者や委託先が変わると番号がブレやすく、属人化した分類になりがち。

パターンF:EPA/FTA(特恵)からの“逆算付番”

  • 先に「特恵が取れそうな税番」を探し、その税番に寄せてHSを決めてしまうパターン。
  • あるいは、譲許表など古いHS版を前提とした資料から、現在の税番に無理やりマッピングするケース。

問題になりやすい点

  • EPA/FTAでは関税率も品目別規則もHSベースで規定されるため、HSコードを誤ると適用税率・原産地規則の両方がズレる。
  • 譲許表側のHS版(例:HS2012)と最新の輸入申告用統計番号との間で細分構成が異なり、適切なトランスポジションを行わないと誤判定の原因になる。

パターンG:税関の事前教示(分類)回答の類似事例当て込み

  • 公開されている事前教示回答のデータベースを検索し、自社品に似た貨物の事例から税番を参考にする方法。
  • パターンA~Cよりは、法的根拠に近い情報を参照できる点で一歩前進。

問題になりやすい点

  • 事例と自社品の仕様(材質比率・構造・用途など)が異なると、そのまま適用はできない。
  • 事前教示は「その申請貨物の説明」に基づく判断であり、自社側の商品情報が粗いまま当て込むと、かえって誤分類リスクを高める。

2) 付番が“事故”になる典型ポイント

(1) 「輸入国税関が最終判断」という前提の抜け落ち

  • HS6桁は国際的に共通だが、税率適用や分類の最終判断は各輸入国税関が行うことが、各国の通関案内や解説でも整理されている。
  • 取引先提示やWeb上の番号を「確定番号」と誤解すると、更正・追徴・通関遅延のきっかけになりやすい。

(2) 桁体系の混同(HS6桁・各国10桁・日本9桁)

  • 日本では、HS6桁(号)+国内細分3桁=9桁の統計品目番号が、通関や統計に用いられる標準体系。
  • 他国の10桁コード(例:HTSUS・CNなど)を、日本9桁にそのまま“移植”しようとしたり、6桁止まりのまま社内処理したりすると、国・用途による細分のズレを見逃しやすい。

(3) 根拠(通則・注)の不在と説明責任の弱さ

  • HSの分類原則は、見出しの文言と関連する部注・類注・節注に従い、一般解釈通則を適用して決定することであり、表題はあくまで参照便宜とされる。
  • 「商品名が似ていた」「前回通ったから」という理由だけでは、税関照会・社内監査・取引先への説明の場面で行き詰まりやすい。

(4) 製品情報が不足したまま付番してしまう

  • HSで分岐キーになりやすい情報は、例えば次のようなもの:
    • 材質(混率・主たる材質・被覆の有無など)
    • 用途・機能(どのような機能を持つ機械か、医療用途か否か等)
    • 加工度(原料・半製品・完成品)
    • 構成(セット品・付属品・複合品・複合材)
    • 形態(未完成品、未組立/分解状態)
  • こうした情報が欠けているほど、パターンB(過去流用)やC(検索依存)は誤分類を生みやすくなる。

(5) セット品・複合材・未完成/未組立品で急に難易度が上がる

  • 通則2は未完成品・未組立/分解状態の品目、通則3は複数の見出しにまたがる場合(セット品・複合材など)の分類方法を定めている。
  • このゾーンは名称一致だけでは決まらず、通則の適用順序や「本質的特性(essential character)」の判断が必要になるため、「簡易付番」のロジックが破綻しやすい領域。

(6) HS改正・統計品目改正によるマスタの“サイレント崩壊”

  • HSはWCOで定期的に改正され、それに合わせて各国の関税率表や統計品目表も更新される。
  • 改正を前提にマスタをメンテナンスしないと、「旧版では正しかった番号」が新版では統廃合・再細分により誤りとなり、気づかないまま使われ続ける。

(7) 影響は関税率だけでなくEPA/FTA・原産地規則にも波及

  • 多くのEPA/FTAでは、関税率表および品目別原産地規則がHSコード(通常は6桁)をベースに組み立てられている。
  • HSを誤ると、適用すべき協定税率や原産地規則も誤ることになり、過払いだけでなく特恵否認・追徴といった両方向のリスクが発生しうる。

(8) 「電話・メールで税関に聞いたから安心」という誤解

  • 多くの税関では、口頭(電話)やEメールの照会は参考情報としては尊重されうるものの、拘束力のある判断とは位置付けられていない一方、書面による事前教示等は一定期間、税関側が尊重する制度として整備されている。
  • 「電話で聞いたから大丈夫」と根拠を残さず付番してしまうと、後日の更正・争訟の場面で防御力が弱くなる。

HS Code Finder(HSCF)

HSコード分類は、関税率の確認だけでは終わりません。EPA/FTAの適用可否、原産地規則、輸入規制、通関の追加照会。番号を一つ誤るだけで、時間もコストも一気に膨らみます。

HS Code Finder(HSCF)は、HSコード分類の初動を速く、確実にするための支援ツールです。商品名や仕様、用途、材質などの情報に加え、写真や仕様書ファイルも活用し、HSコード候補を複数提示。担当者がゼロから調べる時間を削り、見落としやブレを減らし、社内レビューや通関実務につながる検討を短時間で立ち上げます。

期待できる効果
・候補探索の時間を大幅に圧縮
・担当者ごとの判断差を抑え、分類の再現性を向上
・税関照会や監査に備えた論点整理を効率化
・外部専門家への相談を、前提が整った状態でスムーズに

■専門的■ USITCが公表したHS2028対応スケジュールを、いま企業がどう使うべきか

米国向けビジネスでは、HSコードと米国のHTSUS(米国関税率表)が、関税率だけでなく、追加関税、輸入規制、統計、社内マスタや契約条件にまで連鎖します。usitc+1

その前提で、USITC(米国国際貿易委員会)がHS2028対応に向けた手続とスケジュールを示したことは、実務の準備開始を促す重要な合図です。usitc

以下では、USITCが示した公式スケジュールの読み方と、企業が今から取るべき実務アクションを、専門家の視点で整理します。

まず押さえるべき前提:HS2028と米国のHTSUSは同じではない

HS(Harmonized System)はWCO(世界税関機構)が管理する国際的な品目分類の共通基盤で、200を超える国と地域の関税率表や統計品目表がHSを土台に組み立てられています。米国も例外ではなく、HTSUS(米国の関税率表)はHSの章・項・号(6桁)構造を核にしつつ、米国独自の細分(主に8桁や10桁の統計番号など)を上乗せして運用します。strtrade+2

このため、HS2028の改正は「世界共通の6桁の変更」を意味しますが、米国実務ではそれに連動してHTSUSの枝番や統計番号、米国独自の注記や運用も調整されます。企業側は「HS6の改正」と「HTSUSの改正」を分けて観察することが、混乱を防ぐ近道です。strtrade+1

USITCが公表したHS2028対応の公式スケジュール

USITCは、HS改正をHTSUSへ取り込むための調整プロセスを開始し、主要な節目を明示しています。USITCは法律により、WCOのHS改正に合わせてHTSUSの修正を大統領に勧告する責任を負っており、その修正はHS改正との整合性、健全な品目分類原則との整合性、実質的な税率中立性の確保という3つの要件を満たす必要があります。usitc+1

重要ポイントだけを、実務目線で表にします。

時点USITCの公表内容企業側の意味
2025年8月HS2028対応に向けた調査を開始(調査番号も付与)usitcここが「公式に準備が始まった」起点。社内でプロジェクト化しやすい
2026年1月WCOの改正勧告(Recommendation)をUSITCが掲載予定strtrade初めて「世界共通の改正パッケージ」を具体的に精査できる段階
2026年2月USITCがHTSUS改正の提案(予備ドラフト)を掲載予定usitc+1企業がコメント提出や、社内影響評価を本格化させる段階
2026年9月USITCが大統領に報告書を提出予定usitc+1以降は米国側で最終化プロセスが進み、実装に向けた確度が上がる

上記の月次は、USITC自身が変更の可能性を示唆しています。従って、日程は固定視せず「この順番で進む」ことを前提に、監視と準備を進めるのが安全です。usitc

さらに、世界側の大枠として、WCOはHS2028改正勧告を2025年12月末に正式採択し、2026年1月に公表、2028年1月1日に発効することを示しています。米国だけでなく、世界同時に品目体系が動く前提に立つ必要があります。wcoomd+1

なぜビジネスマンが今から気にすべきか:影響は関税率だけではない

HS2028改正が企業に与える影響は、関税率表の読み替えに留まりません。特に次の領域で、実務リスクが顕在化しやすくなります。strtrade+1

誤分類リスクの再燃

長年運用してきた分類が、改正により別の号に再配置されることがあります。自社は同じ製品のつもりでも、税関システム上は別コードとして扱われ、申告エラーや追加確認の要因になり得ます。wcoomd

追加関税・規制・統計の連動崩れ

米国では追加関税や各種措置、統計管理がHTSUSの特定番号に結び付く場面が多く、番号の変更は「制度の適用関係」を組み替えます。品目番号の読み替えが遅れると、想定外のコストや手続が発生します。usitc

社内マスタ、見積、契約、原価の再計算

HSやHTSUSは、通関指示書、購買条件、原産地証明関連の書類、SAP等の品目マスタに埋め込まれています。改正対応は、貿易部門だけで完結しません。strtrade

USITCスケジュールを起点にした、企業の実務アクション

ここからが本題です。スケジュールは「読むもの」ではなく「社内段取りに落とすもの」です。次のように、節目ごとにやることを固定すると、準備の抜け漏れが減ります。usitc

いまから2026年1月までにやること(準備フェーズ)

米国向けの重点品目リストを作成します。輸出数量、利益、通関頻度、追加関税の影響度などで優先順位を付け、対象を絞ります。strtrade

現行コードの棚卸しを実施します。HS6、HTSUS(必要なら10桁)、社内品目番号のひも付けを整えます。ここが崩れていると、改正影響を評価できません。usitc

関係者を巻き込みます。米国側の輸入者(Importer of Record)、通関業者、社内の営業・購買・原価管理と、改正対応の窓口を決めます。strtrade

2026年1月(WCO改正勧告の掲載)にやること(一次情報で差分確認)

改正パッケージで「自社品目が触れている領域」を特定します。全品目を読むのではなく、重点品目が属する章・類・項を中心に差分を追います。wcoomd+1

影響を3区分に仕分けします。コードが変わる可能性が高い、コードは同じだが説明や注記が変わる可能性がある、影響は当面小さい、という区分です。この仕分けが、次のドラフト評価のスピードを決めます。usitc

2026年2月(USITCドラフト掲載)にやること(社内評価と必要なら意見提出)

USITCは、予備ドラフト公表時にクロスリファレンス表(新旧コード対応の参考表)を提供する方針を示しています。これは、企業が読み替えと影響評価を進めるうえで重要な補助輪になります。ただし、この対照表は非公式で変更される可能性があるため、確定表として社内システムへ直入れしない運用が安全です。usitc

ここでの実務は次の通りです。重点品目の新旧候補コードを当て、税率・追加関税・規制の影響を試算します。通関エラーや輸入要件変更の有無を、通関業者とすり合わせます。影響が大きい場合は、USITCの公開コメント手続に沿って意見提出を検討します。strtrade+1

2026年9月以降(大統領への報告提出後)に備えること

USITCの役割は「大統領への勧告・報告」までですが、その後、大統領が勧告に基づきHTSUSの改正を布告できる法的枠組みがあります。布告は連邦官報での公表から30日後に発効するのが通例です。従って、報告提出後は「実装に向けた確度が上がる局面」として、社内のシステム改修やマスタ改定、取引先への周知の準備を前倒しで進めるのが現実的です。govinfo+3

情報収集の実務:どこを見れば一次情報に当たれるか

今回の件は、一次情報の所在が比較的明確です。strtrade+1

USITCのプレスリリースと連邦官報(Federal Register)で、スケジュールと手続が確認できます。USITCのHTS検索サイトと、調査案件の電子ドケット(EDIS)で、資料と更新が追えます。usitc+2

更新タイミングは前後し得るため、月次で機械的に確認するより、USITCが示した節目(2026年1月、2月、9月)に照準を合わせて監視する方が、工数対効果が高くなります。strtrade+1

まとめ:HS2028は2026年が勝負どころになる

USITCが示したスケジュールは、企業にとって「2026年に差分を読み、影響を試算し、社内実装の設計を固める」ためのロードマップです。usitc+1

HS2028の発効日である2028年1月1日から逆算すると、2026年の一次情報公開とドラフト提示の時点で、準備を終えている企業ほど、コストと混乱を抑えられます。wcoomd+1

貴社が米国向けに複数品目を扱っているなら、まずは重点品目を絞った棚卸しから始め、2026年1月と2月の公開資料で差分評価を回す体制を作ることが、最も確実で実務的な第一歩になります。strtrade+1

  1. https://www.usitc.gov/press_room/news_release/2025/er0812_67410.htm
  2. https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/august/next-round-of-htsus-modifications-anticipated-to-take-effect-in-2028
  3. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx
  4. https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2016-12-02/pdf/2016-29200.pdf
  5. https://obamawhitehouse.archives.gov/the-press-office/2016/12/01/presidential-proclamation-modify-harmonized-tariff-schedule-united
  6. https://www.usitc.gov/harmonized_tariff_information/announcement_archive
  7. https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2025-08-15/pdf/2025-15518.pdf
  8. https://starusa.org/trade-news/usitc-investigation-launched-on-2028-harmonized-tariff-schedule-changes-to-align-with-global-standards/
  9. https://www.govinfo.gov/content/pkg/FR-2025-01-08/pdf/2025-00157.pdf
  10. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2023/october/successful-conclusion-of-the-72nd-session-of-the-harmonized-system-committee.aspx