HS2022 第76類:アルミニウム及びその製品(Aluminium and articles thereof)

(用語の統一)本資料では、**類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注/号注)**として説明します。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 7601:アルミニウムの塊(インゴット、ビレット、スラブ等の未加工の塊)
    • 7607:アルミ箔(アルミ厚さが0.2mm以下。紙・樹脂等で裏打ちされたものも含む)
    • 7604:アルミ棒・形材(押出形材、丸棒、アングル等)
    • 7612:アルミ缶・ドラム等(容量300L以下、機械・加熱冷却装置なし)
    • 7614:アルミより線・ケーブル(電気絶縁していないもの)
    • 7616:その他のアルミ製品(ねじ・ボルト等、他に当てはまらないアルミ製品)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • ボーキサイト等のアルミ鉱石:第26類 2606(アルミ鉱石・精鉱)
    • 酸化アルミニウム/水酸化アルミニウム(アルミナ):第28類 2818
    • 金属粉・フレークを基材にした塗料・インキ等の調製品:第32類(部注で第15部から除外)
    • 機械・電気機器としての完成品:第84類/第85類など(部注で第15部から除外)
    • プレハブ建物94.06(7610「構造物」から明示除外)
    • サーメット(例:アルミとアルミナの焼結品)81.13(第76類から除外)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • (A) アルミ(合金を除く)か、アルミ合金か(多くの号がここで割れる)
    • (B) 板・シート・帯(7606)か、箔(7607)か:厚さ0.2mmが境目(裏打ち材の厚みは除外)
    • (C) 形材(7604)か、構造物用に準備されたもの(7610)か(加工度・用途で分かれやすい)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • スクラップ(7602):貨物性状次第で環境規制(バーゼル法等)や検査対応が重くなることがあるため、**「スクラップの定義に当てはまるか」**を資料で固める必要があります。

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1:まずは見出し(項)文言と、第15部注(除外/定義)+第76類の**号注(定義)**で決めます。
    • GIR6:6桁(号)は、同じ階層で比較(例:7607.11 vs 7607.19)し、厚さ・裏打ち有無・加工度などの分岐条件で決めます。
    • GIR2(a):未完成・未組立でも完成品の性質を有する場合があります(例:構造物の未組立セット等)。
    • GIR3:複合材(アルミ+他金属、アルミ+樹脂等)は、見出しに別段がない限り「本質的特性」等で判断し、**第15部注7(複合品の取扱い)**も意識します。
  • 「品名だけで決めない」ための観点(この類で特に重要)
    • 材質(純アルミか合金か):号注に定義があり、成分で分岐します。
    • 形状(棒/線/板/箔/管/継手/構造物/容器):第15部注9の定義が効きます。
    • 寸法(0.2mm、6mm、7mm、容量300L):見出し文言に直結します。
    • 加工度(“構造物用に準備”か、単なる形材か):7610の適用で重要です。

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:それは「アルミ金属」か?それとも鉱石・化学品か?
    • 鉱石 → 第26類(例:2606)
    • 酸化物/水酸化物(アルミナ) → 第28類(2818)
    • 金属・金属製品 → Step2へ
  • Step2:第15部の除外に当たらないか?
    • 金属粉等を基材にした塗料・インキ等の調製品、機械・電気品、家具等は第15部から除外され得ます。
  • Step3:アルミ(またはアルミ合金)が主体で、第76類の範囲か?
    • 複数金属の複合品は、見出しに別段がない限り、重量優勢等で取扱う考え方が出ます(第15部注7)。
  • Step4:第76類のどの「形態」かを決める(7601〜7616)
    • 塊/スクラップ/粉 → 7601/7602/7603
    • 半製品(棒・線・板・箔・管・継手)→ 7604〜7609
    • 構造物/容器/ガス容器/より線/家庭用品/その他製品 → 7610〜7616
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 7606(板等) vs 7607(箔):0.2mmが境目(裏打ち材は厚さ計算から除外)。
    • 7604(形材) vs 7610(構造物用に準備されたもの):取付穴加工、切断、組立前提の加工などで争点になりやすい。
    • 7616(その他のアルミ製品) vs 82/83類:第15部注2(一般用の部分品)や「より特殊に限定した見出し」に引っ張られます。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
7601アルミニウムの塊(未加工)インゴット、ビレット、スラブ合金か否かで号分岐。スクラップを再溶解して鋳造した塊は7601側になり得る(7602と区別)。
7602アルミニウムくず(スクラップ)端材、使用済みアルミ部材の破砕片「くず」の定義(使用不能)に合うか。スラグ/ドロス等は除外され得る。
7603アルミ粉・フレークアルミ粉(非薄片/薄片)、フレーク粉の定義(ふるい)と、塗料等の調製品(第15部除外)に注意。
7604アルミ棒・形材押出形材、丸棒、アングル、チャンネル中空形材か否か(7604.21/29等)、合金/非合金。構造物用に準備されると7610側の争点。
7605アルミ線コイル状線材(ワイヤロッド、電線素線)コイルであることが「線(wire)」の基本定義。最大寸法7mm超/以下で号分岐。
7606アルミ板・シート・帯(厚さ0.2mm超)建材用アルミ板、加工用シート厚さ0.2mm超。矩形断面か否か、合金/非合金。
7607アルミ箔(厚さ0.2mm以下)家庭用アルミホイル、包装材厚さ0.2mm以下(裏打ち除外)。裏打ち有無、追加加工の有無。
7608アルミ管アルミパイプ合金/非合金。中空で壁厚等が均一な「管」の考え方に注意。
7609アルミ管継手エルボ、ソケット、カップリング管そのものではなく継手
7610アルミ構造物・構造物部品サッシ枠(構造用途加工済)、手すり、架構材プレハブ建物(94.06)除外。形材でも「構造物用に準備」されるとここ。
7611大型容器(容量300L超)大型タンク、リザーバー圧縮/液化ガス以外。300L超。機械/熱装置なし。
7612容器(容量300L以下)缶、ドラム、箱、チューブ容器圧縮/液化ガス以外。300L以下
7613圧縮/液化ガス用容器高圧ガスボンベ用途が決め手(ガス容器)。
7614より線・ケーブル等(非絶縁)アルミより線、撚りケーブル電気絶縁していないこと。鋼心有無で分岐。
7615家庭用品・台所用品・衛生用品鍋、弁当箱、洗面器等家庭用品系(7615.10)と衛生用品(7615.20)。
7616その他のアルミ製品ねじ・ボルト、金網、その他加工品7616.10(ねじ等)か、7616.91(金網等)か、7616.99(その他)。

出典:WCO HS2022 第76類本文および日本の関税率表解説(第76類)。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の代表(第76類で頻出)
    • 合金/非合金:7601/7604/7605/7606/7608 などで分岐(号注で定義)。
    • 板か箔か:0.2mm(7606/7607)。
    • 箔の裏打ち有無(7607.11/19/20)。
    • 線の太さ:最大横断寸法7mm(7605.11/19、7605.21/29)。
    • 金網等(7616.91)の“線”定義:最大寸法6mm以下(巻いてあるか否か不問)
    • 容器の容量:300L(7611/7612)。
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 7606(板・シート等) vs 7607(箔)
      • どこで分かれるか:厚さ0.2mm(7606は超える、7607は以下)。裏打ち材の厚さは除外。
      • 判断に必要な情報:アルミ層の実測厚(ミクロン表記含む)、裏打ち材の仕様、製造工程(箔/板)。
      • 典型的な誤り:紙/樹脂の厚み込みで0.2mm超と誤判定し7606にしてしまう。
    2. 7605(線) vs 7604(棒・形材)
      • どこで分かれるか:「線(wire)」は基本的にコイル状(第15部注9(c))かどうか。
      • 判断に必要な情報:包装形態(コイル/直棒)、断面形状、寸法、引抜/押出の工程。
      • 典型的な誤り:直線状に切断されたものを“線材”と呼んで7605に寄せる。
    3. 7611(300L超) vs 7612(300L以下) vs 7613(ガス容器)
      • どこで分かれるか:内容物の性状(圧縮/液化ガスか否か)+容量300Lで分岐。
      • 判断に必要な情報:容量(L)、用途、機械/熱装置の有無。
      • 典型的な誤り:“容器”というだけで7612に寄せ、ガス容器7613や7611の容量条件を落とす。
    4. 7616.91(金網等) vs 7616.99(その他)
      • どこで分かれるか:金網等に使う「線」は最大寸法6mm以下(巻いてあるか否か不問)。
      • 判断に必要な情報:線径(最大横断寸法)、メッシュ形状、製品用途。
      • 典型的な誤り:太い棒材(>6mm)で作った格子を7616.91とする(定義不一致)。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第15部注1:第15部(卑金属)に入らないものを列挙(例:金属粉等を基材にした塗料・インキ等、機械類、家具、玩具など)。
    • 第15部注2:「一般用の部分品(parts of general use)」の定義(ねじ・ボルト等)と、各章の“parts”に含めない取扱い。
    • 第15部注7:複数の卑金属からなる製品は、原則として重量が最大の卑金属の製品として扱う。
    • 第15部注8:スクラップ(waste and scrap)と粉末(powders)の定義。
    • 第15部注9:棒・形材・線・板/箔・管などの形状定義(第74〜76類等で共通)。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • アルミ粉(7603)でも、塗料・インキ等として調製されていると第15部から外れ、Chapter 32等の扱いになり得ます(「金属粉を基材にした調製品」を除外する規定)。
    • アルミ部品が機械の一部でも、**一般用の部分品(ねじ・ボルト等)**は、機械の部分品扱いではなく、部注により別章(例:83類)側で扱われることがあります。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第15部注1(f):機械・電気品 → 第84類/第85類
    • 第15部注1(k):家具・照明・プレハブ建物 → 第94類
    • 第15部注2:一般用の部分品 → 73類・83類等の該当見出し

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

※HS2022の第76類は、いわゆる「類注(Chapter Notes)」ではなく、冒頭に**号注(Subheading Notes)**として定義が置かれています(日本の関税率表解説でも「号注」として掲載)。

  • ポイント要約:
    • 「アルミニウム(合金を除く。)」の定義:Al 99%以上かつ他元素が上限以下。
    • 「アルミニウム合金」の定義:アルミが重量最大で、他元素条件(上限超過または合計>1%)に該当。
    • 7616.91の“線”の特則:第15部注9(c)にかかわらず、最大横断寸法6mm以下(巻いてあるか否か不問)。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「アルミニウム(合金を除く。)」= Al 99%以上+(Fe+Si合計1%以下、その他各元素0.1%以下等の条件)
    • 「アルミニウム合金」=上記の条件に当てはまらないが、アルミが重量最大の金属
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 第76類本文上、7610から**プレハブ建物(94.06)**は除外。
    • 日本の解説では、アルミとアルミナ焼結品は**サーメット(81.13)**として除外。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:合金/非合金の定義で、号が二分される
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 成分表(ミルシート、材質証明)、規格(JIS/ASTM等)、合金番号(例:6061等)
      • ※ただし「合金番号の呼称」だけでなく、最終的には含有率で判定するのが安全です。
    • 現場で集める証憑:
      • ミルシート、SDS(粉末の場合)、仕様書、材料規格書
    • 誤分類の典型:
      • “高純度アルミ”という営業表現だけで7601.10(非合金)にしてしまい、実際は合金条件を満たしていた。
  • 影響ポイント2:「線(wire)」は原則コイル、ただし7616.91は例外
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • コイル品か(第15部注9(c))
      • 金網等(7616.91)の場合は、最大寸法6mm以下か(巻いてあるか否か不問)
    • 現場で集める証憑:
      • 寸法測定記録、写真(梱包形態)、図面(線径/断面)
    • 誤分類の典型:
      • 直線状の線材を7605に入れる/太い格子材を7616.91に入れる。
  • 影響ポイント3:7606/7607の「0.2mm」と「裏打ち除外」
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • アルミ層の厚さ(μm→mm換算)、裏打ち材の有無と厚さ
    • 現場で集める証憑:
      • 製品仕様書、断面構成表、サンプル測定
    • 誤分類の典型:
      • 裏打ち材込みの総厚で判断し、7606に寄せる(本来7607.20など)。
  • 影響ポイント4:「一般用の部分品」扱いで83類等に飛ぶ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • ねじ・ボルト等に該当するか、用途が特定機械専用でも“parts of general use”の範囲か
    • 現場で集める証憑:
      • 図面、カタログ、用途説明(一般用か専用品か)
    • 誤分類の典型:
      • 機械の部品だからと機械類(84/85)の部分品にしてしまう(部注で除外され得る)。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:7606(板)と7607(箔)を総厚で判断
    • なぜ起きる:裏打ち材(紙・樹脂)込みで厚さを見てしまう。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):7607は「厚さ(裏打ち除外)0.2mm以下」と明記。
    • 予防策:断面構成の仕様書(アルミ層厚)を入手し、測定基準(裏打ち除外)を社内ルール化。
  2. 間違い:“アルミ線”という呼称で、直棒品を7605に分類
    • なぜ起きる:現場用語の“線材”とHS定義のwireがずれる。
    • 正しい考え方:wireは原則コイル(第15部注9(c))。
    • 予防策:梱包形態(コイル/直棒)写真を必須添付、工程(引抜→巻取)を確認。
  3. 間違い:金網を7616.91としつつ、線径条件を確認していない
    • なぜ起きる:見出し名(wire cloth等)だけで判断。
    • 正しい考え方:7616.91の“線”は最大横断寸法6mm以下(巻いてあるか否か不問)。
    • 予防策:線径(最大寸法)の測定記録を作り、図面に落とす。
  4. 間違い:押出形材をすべて7604に入れる(7610を見ない)
    • なぜ起きる:“形材=7604”の思い込み。
    • 正しい考え方:7610は「構造物」および「構造物用に準備された板・棒・形材・管等」を含む。
    • 予防策:穴あけ、切断、取付加工、セット出荷の有無を確認し、用途(建具/架構)をヒアリング。
  5. 間違い:容器を7612に寄せて、7611(>300L)/7613(ガス容器)を落とす
    • なぜ起きる:容器分類を“材質”だけで見てしまう。
    • 正しい考え方:7611/7612は容量300Lで分岐、7613はガス用途で別立て。
    • 予防策:容量・用途・機械装置の有無をインボイス品名に併記(例:“Aluminium tank 500L, no mechanical equipment”)。
  6. 間違い:スクラップ(7602)と未加工塊(7601)を混同
    • なぜ起きる:再溶解インゴット(見た目は“スクラップ由来”)を7602と誤認。
    • 正しい考え方:スクラップ再溶解で鋳造した塊は7601側になり得る(日本解説でも7602除外として言及)。
    • 予防策:製造工程(再溶解・鋳造の有無)を確認し、出荷形態(インゴット等)を記録。
  7. 間違い:アルミ粉(7603)を、塗料・インキ用途の「調製品」でも7603として申告
    • なぜ起きる:粉=7603の単純化。
    • 正しい考え方:金属粉等を基材にした塗料・インキ等の調製品は第15部から除外され得る。
    • 予防策:SDSと配合表で「単体粉」か「調製品」かを判別(樹脂・溶剤・分散剤等の有無)。
  8. 間違い:7616(その他)に“何でも”入れてしまう
    • なぜ起きる:最終項だから安心、という心理。
    • 正しい考え方:部注(除外)や一般用の部分品(83類等)を先に排除し、それでも残るものが7616。
    • 予防策:チェック順序を固定(除外→形態→最終項)し、社内レビューでダブルチェック。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。HS(6桁)を誤ると、適用すべきPSRが別物になり、原産性判断(CTC/RVC/工程要件)が崩れます。
  • よくある落とし穴
    • 最終製品(完成品)のHSは合っているが、材料HSの付番が粗い/誤りで、CTH/CTSH判定が崩れる。
    • 7606(板)と7607(箔)を誤ると、材料と産品の比較桁(CTH/CTSH)が変わるケースがある(協定PSR次第)。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定ごとに、PSRが参照するHS版(改正年)が異なることがあります。HS2022で分類した6桁と、協定側の品目表が参照する版にズレがある場合は、対応(トランスポジション)が必要になります。
  • 実務では、税関の「品目別原産地規則(PSR)検索」で、協定を選んで確認するのが近道です。

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 最低限そろえるもの(一般論):
    • BOM(材料表)、原価、工程フロー、原産国、非原産材料のHS(可能なら6桁まで)、RVC計算の前提
    • 証明書類・保存要件は税関資料で確認(社内保存ルールに落とす)。

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022実質:注の再配置(参照変更)7616.91(注の参照)HS2017では7616.91の“wire”特則が「Chapter Note 1(c)」にかかる形だったが、HS2022では定義が**第15部注9(c)**へ移ったため参照先が変更。実務の結論(6mm特則)は同じ。ただし「どの注を根拠にするか」の説明が変わる。
HS2017→HS2022変更なし(HS6桁の構成)7601〜7616第76類の項/号の並び自体は維持(少なくとも本文対比上)。国内コード(9桁等)や運用は別途要確認。

出典:WCO HS2017/HS2022 第76類本文および第15部注。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • HS2017(第76類)では、棒・形材・線などの定義が第76類のChapter Note 1として置かれていました。
  • HS2022(第76類)では、その種の定義は第76類からは外れ、第15部注9として共通定義化され、7616.91の“wire”特則も「第15部注9(c)」への参照に変わっています。
  • したがって、HS2017→HS2022で、7616.91の“wire=最大寸法6mm以下(巻いてあるか否か不問)”という実体要件は維持されつつ、根拠条文の“所在”が変わった、と整理できます。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

※第76類は長期的に大枠が安定していますが、HS2007→HS2012で7615の号が統合されています(HS2007では7615.11/7615.19、HS2012以降は7615.10)。

版の推移変更タイプ(新設/削除/分割/統合)旧コード新コード(行き先)要旨
HS2007→HS2012統合7615.11 / 7615.197615.10家庭用品等の内訳(たわし等/その他)を統合し、7615.10に整理。
HS2012→HS2017変更なし(第76類のHS6桁)大きな改編は確認されません(本文対比上)。
HS2017→HS2022変更なし(コード)/注の再配置コードは維持。定義は第15部注へ移動。

出典:WCO HS2007/HS2012/HS2022 第76類本文。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):裏打ちアルミ箔の厚さ判定ミス
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):7607の厚さは「裏打ち除外」なのに、総厚で判定。
    • 起きやすい状況:ラミネート包装材(紙/樹脂+アルミ箔)で、仕様書に総厚しかない。
    • 典型的な影響:税番更正、再計算、審査長期化。
    • 予防策:アルミ層厚を示す仕様(断面構成)を入手、測定手順を標準化。
  • 事例名:直線状線材を7605で申告
    • 誤りの内容:wireの基本定義(コイル)を満たさないのに7605。
    • 起きやすい状況:切断済みの線材、棒状梱包。
    • 典型的な影響:税番更正、説明資料追加提出。
    • 予防策:梱包形態・工程を写真/工程表で確認。
  • 事例名:金網を7616.91にしたが線径>6mm
    • 誤りの内容:7616.91の“線”定義(最大寸法6mm以下)違反。
    • 起きやすい状況:フェンス/グリル状製品で、棒材を使用。
    • 典型的な影響:税番更正、輸入許可遅延。
    • 予防策:線径測定(最大横断寸法)記録を添付。
  • 事例名:形材(7604)と構造物(7610)の境界誤り
    • 誤りの内容:7610の「構造物用に準備された」要素を見落とし。
    • 起きやすい状況:穴あけ・切断済みのフレーム材を“形材”とだけ記載。
    • 典型的な影響:検査・照会増、納期遅延。
    • 予防策:用途・加工内容をインボイスに具体化、図面添付。

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • {日本}前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • アルミそのものは検疫対象でないことが多い一方、**食品接触用途(容器・箔等)**は相手国側規制(食品接触材規制等)で追加資料を求められることがあります(HSの範囲外のため一般論に留めます)。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 通常、アルミ製品自体は該当しません(木材・革等の複合品は別途注意)。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • アルミ粉末・特定用途材等は、用途/仕様/取引先によって外為法・輸出管理の確認が必要になる場合があります。該非判定は品目・仕様で決まるため、経産省の案内(マトリクス等)で確認します。
  • その他の許認可・届出
    • スクラップ(7602):性状により「廃棄物」の越境移動規制(バーゼル法)に関係する可能性があるため、事前相談の活用が推奨されます。
    • ガス容器(7613):高圧ガス関連法令の適用(検査・刻印等)を要するケースがあり、所管の案内で確認が必要です。
    • アルミ粉・フレーク(7603):取扱い・輸送でSDS確認が重要(危険性は製品性状による)。参考として安全情報データベース等で物質情報を確認します。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 経済産業省(バーゼル法の相談、輸出管理、容器関連情報)
    • 環境省(バーゼル関連情報)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 製品仕様書、SDS(粉末/化学的性状が絡む場合)、写真、図面、工程図、成分証明(合金判定)、用途説明書

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 成分(Al%・他元素)、形状(棒/線/板/箔/管/継手/容器/構造物)、寸法(0.2mm・6mm・7mm・300L)
    • 梱包形態(コイルか否か)、加工度(穴あけ/切断/取付加工)
    • 写真、図面、仕様書、SDS(粉末等)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第15部注1(除外)・注2(一般用の部分品)・注8/9(定義)
    • 第76類号注(合金定義、7616.91線の特則)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 品名は「形状+用途+寸法」を入れる(例:“Aluminium foil, thickness 0.018mm, backed”)
    • 測定根拠(仕様書、試験成績書)を準備
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • PSR検索、BOM、材料HS、工程、RVC等、保存ルール確認
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • スクラップの越境移動(バーゼル)、高圧ガス容器、輸出管理該非などを所管情報で確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、HS2017/2012/2007条文)
    • HS2022 第76類(1576_2022e) (参照日:2026-02-27)
    • HS2022 第15部注(1500_2022e) (参照日:2026-02-27)
    • HS2017 第76類(1576_2017e) (参照日:2026-02-27)
    • HS2012 第76類(1576_2012e) (参照日:2026-02-27)
    • HS2007 第76類(1576_2007e) (参照日:2026-02-27)
    • HS2022 第26類(アルミ鉱石2606を含む) (参照日:2026-02-27)
    • HS2022 第28類(2818を含む) (参照日:2026-02-27)
  • {日本}税関・公的機関のガイド
    • 関税率表解説(第76類:76r) (参照日:2026-02-27)
    • 国内分類例規(第76類:76rd) (参照日:2026-02-27)
    • 関税率表の解釈に関する通則(GIR解説) (参照日:2026-02-27)
    • 事前教示(品目分類) (参照日:2026-02-27)
    • HS2022改正(税関資料) (参照日:2026-02-27)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • 税関:品目別原産地規則(PSR)検索 (参照日:2026-02-27)
    • 税関:EPA原産地規則資料(例:epa_roo.pdf) (参照日:2026-02-27)
    • 税関:原産地規則ポータル (参照日:2026-02-27)
  • その他(規制)
    • 経済産業省:バーゼル法(事前相談等) (参照日:2026-02-27)
    • 環境省:バーゼル関連情報(事前相談等) (参照日:2026-02-27)
    • 経済産業省:安全保障貿易管理(マトリクス等) (参照日:2026-02-27)
    • 経済産業省:高圧ガス容器関連(案内) (参照日:2026-02-27)
    • 厚生労働省:職場のあんぜんサイト(物質情報例:アルミニウム粉末) (参照日:2026-02-27)

※Web参照は「参照日(YYYY-MM-DD)」も併記

付録A. 国内コード({日本})での主な細分と注意点(任意)

  • HS6桁→国内細分で実務影響が大きいもの(例)
    • 7602.00(アルミスクラップ):日本の輸出統計品目表で「サッシのもの」の取扱いが示され、ねじ等が残っていても含み得る等、運用上の注意が記載されています(国内コードの解説)。
    • 7606.12(合金板):輸入統計品目表の統計細分として「3000系/5000系/6000系合金」等の例規が示され、成分条件や熱処理区分(JIS質別記号)に触れています(国内コードの解説)。
    • 7612.90(容器“その他”):国内分類例規として具体的な製品例(食品用ユニット式キャビネット)が掲載されています。
  • 注意点
    • これらは**国内コード(統計細分)**の扱いであり、国際共通のHS6桁とは別です。対外説明では「HS6桁」と「国内コード」を明確に分けて運用してください。

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論)
    • 仕様書(材質/成分/寸法/用途)、写真、図面、工程図、SDS(粉末等)、サンプルの有無
  • 探し方
    • 税関の「事前教示回答(品目分類)」で、公開可能な事前教示の検索ができます(税番・貨物概要等)。

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

 

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投稿者: shima

嶋 正和 株式会社ロジスティック 代表取締役社長

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