HS2022 第18類:ココア及びその調製品(Cocoa and cocoa preparations)

  • 用語(統一):
    • 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)
  • 注意:ここで扱うのは原則「HS(6桁)」です。日本の7桁目以降は「国内コード(統計品目番号等)」として別管理です。

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • カカオ豆(生・焙煎、全形/割り):1801
    • カカオ豆の殻・皮などのくず:1802
    • ココアペースト(カカオマス/リカー)※脱脂の有無で分岐:1803
    • ココアバター(脂):1804
    • 砂糖等を加えていないココアパウダー:1805
    • チョコレート、ココア含有の菓子・調製食料品(ただし類注の除外を先にチェック):1806
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • ココア入りでも「ヨーグルト等(04.03)」に当たるもの → 04類0403(第18類注で除外)
    • ココア入りでも「パン・菓子(19.05)」に当たるもの(例:チョコチップクッキー)→ 19類1905
    • ココア入りでも「アイス(21.05)」に当たるもの → 21類2105
    • ココア入りでも「飲料(22類)」として直接飲用のもの(例:Crème de cacao等)→ 22類(2202/2208等)
    • ホワイトチョコレート(カカオバター+砂糖+粉乳など、いわゆる“白いチョコ”)→ 17類1704(日本の解説でも明示)
    • 肉・魚・昆虫等が「20%超」入る食品調製品 → 第16類(HS2022の類注で除外)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. “ココア入り”でも、まず類注の除外(0403/1901/1902/1904/1905/2105/2202/2208/3003/3004、及び20%超の肉・魚・昆虫等)に当たらないか
    2. ココア原料の「形状」と「砂糖・甘味料の有無」:1805(無糖粉)⇔1806.10(加糖粉)
    3. 1806は**内容量2kg超の“業務用(バルク)”**かどうか、**詰物(フィリング)**の有無で号が変わりやすい
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • チョコ菓子詰合せ(セット):GIR3(b)で「セットとしての本質」を見誤ると税率・規制・PSRまで崩れやすい
    • ホワイトチョコの誤分類(1704↔1806):品名が“チョコ”でもHSは別になり得る
    • ココア飲料系:粉末ミックスか、直接飲用の飲料か(22類に飛ぶ)で大きく変わります

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR
    • GIR1(見出し+注):第18類は類注で“除外先”が明確に列挙されます。まずここをクリアしないと、1806に寄せる判断が危険です。
    • GIR6(号の判定):1806は「加糖粉」「2kg超のバルク」「詰物の有無」など、号での分岐が実務影響大です。
    • GIR3(b)(混合物・セット):チョコ+ビスケット、チョコ+玩具などは「セット」としての判断が必要になることがあります(本質=essential character)。
  • 「品名だけで決めない」ための観点
    • 形状:豆/殻くず/ペースト/脂/粉/成形品(板・棒・粒)/飲料
    • 成分:砂糖・甘味料の有無、乳成分、穀粉・でん粉の有無、肉・魚・昆虫等の比率(20%超ルール)
    • 用途・流通形態:業務用原料(2kg超)か小売品か

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:「ココア(カカオ由来)を含むか」
    • 含む → Step2へ
    • 含まない/ココア風味のみ → 第18類の可能性が低い(別章を再検討)
  • Step2:第18類の除外(類注)に当たらないか
    • 20%超の肉・魚・昆虫等が入る食品調製品 → 第16類へ
    • 0403/1901/1902/1904/1905/2105/2202/2208/3003/3004の“調製品”に当たる → その項へ
    • どれにも当たらない → Step3へ
  • Step3:第18類内で形状・加工度を見てHeading(4桁)へ
    • 豆 → 1801
    • 殻・皮・くず → 1802
    • ペースト(カカオマス) → 1803(脱脂の有無で.10/.20)
    • 脂(ココアバター) → 1804
    • 無糖ココア粉 → 1805
    • それ以外のココア含有調製食料品(チョコ等) → 1806
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第17類(1704:砂糖菓子“ココアを含まない”)↔ 第18類(1806:ココアを含有)
      • ホワイトチョコは1704側に倒れる典型です(“チョコ”という商習慣名に引っ張られやすい)。
    • 第19類(1901/1904/1905)↔ 第18類(1806)
      • “菓子”“シリアル”“粉末ミックス”は19類に飛ぶパターンが多い(後述の%基準に注意)。
    • 第22類(飲料)↔ 第18類(粉末・菓子・原料)
      • 直接飲用か、粉末/原料かで分かれます。

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第18類は4桁見出しが少ないため「全列挙」します。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
1801カカオ豆(生/焙煎、全形/割り)カカオ生豆、ローストカカオ豆殻・皮等は1802、ペースト化したら1803へ
1802カカオ豆の殻・皮・その他くずカカオハスク、カカオシェル“くず”でも加工して飼料調製品になると別章の検討が必要(形状・混合の有無)
1803ココアペースト(脱脂の有無を問わない)カカオマス、ココアリカー号で「脱脂してない/した」に分かれる(1803.10/1803.20)
1804ココアバター・脂・油ココアバター、カカオ脂“白チョコ原料”でも脂単体なら1804。製品化(砂糖等添加)なら1704/1806の検討
1805無糖ココア粉(砂糖等なし)純ココアパウダー、アルカリ処理ココア(無糖)砂糖/甘味料が入ると1806.10
1806チョコレート等ココア含有の調製食料品板チョコ、チョコチップ、ココアミックス(加糖)、チョコスプレッド類注の除外(19類・22類等)を先に確認。ホワイトチョコは1704(除外)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出)
    • 砂糖・甘味料の有無:1805.00(無糖粉)↔1806.10(加糖粉)
    • 脱脂の有無:1803.10(脱脂してない)↔1803.20(全部/一部脱脂)
    • 包装形態と重量:1806.20(塊/板/棒で2kg超、またはバルクで2kg超)
    • 詰物(フィリング):1806.31(詰物あり)↔1806.32(詰物なし)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 1805.00 ↔ 1806.10(ココア粉:無糖か加糖か)
      • どこで分かれるか:砂糖・その他の甘味料が「添加」されているか
      • 判断に必要な情報:配合表(砂糖/甘味料の有無)、成分表示、製造仕様書
      • 典型的な誤り:「ココアパウダー」という商品名で1805に固定してしまう
    2. 1806.20 ↔ 1806.31/1806.32/1806.90(2kg超の“業務用”か)
      • どこで分かれるか:形状(塊/板/棒、粉状/粒状等)と内容量が2kg超
      • 判断に必要な情報:梱包仕様(内装/外装)、正味重量、用途(製菓原料か小売か)
      • 典型的な誤り:チョコチップ(バルク)を小売チョコ扱いで1806.90にしてしまう
        ※「ペレット状、豆状、フレーク状…」などの“バルク形状”の説明が示されています。
    3. 1806.31 ↔ 1806.32(詰物あり/なし)
      • どこで分かれるか:中心部にクリーム、リキュール等の“詰物”があるか
      • 判断に必要な情報:断面写真、製品設計図、製法(センター充填の有無)
      • 典型的な誤り:「ナッツ入り=詰物あり」と誤認
        • ナッツ等を“全体に埋め込んだ”だけの固形チョコは、詰物とみなさない旨が示されています。
    4. (章をまたぐが頻出)1704(ホワイトチョコ等)↔ 1806(チョコ等)
      • どこで分かれるか:ココア(一般にココア固形分)を含有するか/ホワイトチョコは1704に倒れる扱いが典型
      • 判断に必要な情報:原材料(ココアパウダー/カカオマスの有無)、配合比率
      • 典型的な誤り:販売名・見た目だけで「チョコ=1806」と決める
    5. (HS2022で重要度アップ)1806 ↔ 1602(20%超の昆虫等が入る調製品)
      • どこで分かれるか:肉・魚・昆虫等が重量で20%超
      • 判断に必要な情報:配合表(重量%)、工程での水分変化、最終製品の重量基準
      • 典型的な誤り:「菓子だから1806」と思い込み、昆虫プロテイン等の比率を確認しない

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第18類が属する第IV部の部注では、「ペレット」の定義(圧縮または結合剤≤3%)が置かれています。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 1806.20の“バルク形状”説明にはペレット状等が例示されます。業務用チョコ(チップ/ドロップ等)や、くず類の加工形状を説明するときに、形状定義を補助的に参照できます。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 「カカオ殻(1802)」を他原料と混合・調製して“飼料調製品”の性格が強い場合は、23類など別章検討が必要(混合・用途・表示・規格が鍵)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1(a):肉・魚・昆虫等が重量で20%超の食品調製品は第16類へ(HS2022で明確化)。
    • 注1(b):0403、1901、1902、1904、1905、2105、2202、2208、3003、3004の調製品は第18類に入れない(“ココア入りでも除外”)。
    • 注2:1806は「ココア含有の砂糖菓子」および(注1の制約の下で)「その他のココア含有の調製食料品」を含む。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • “20%超”は重量比(by weight)基準です。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 第16類(20%超の肉・魚・昆虫等)
    • 0403 / 1901 / 1902 / 1904 / 1905 / 2105 / 2202 / 2208 / 3003 / 3004

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:“ココア入り”でも、類注の除外に引っ張られる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 製品のタイプ(乳製品/菓子/ベーカリー/シリアル/飲料/医薬品)
      • 原材料と形状、用途(直接飲用か、原料か)
    • 現場で集める証憑:
      • 原材料表(重量順)、栄養成分表示、製造工程表、用途説明、写真(断面含む)
    • 誤分類の典型:
      • 「チョコ味ヨーグルト」を1806にしてしまう(類注で0403が除外)。
  • 影響ポイント2:19類へ飛ぶ“%基準”が現場で効く
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 穀粉・でん粉・麦芽エキス等の調製食料品で、ココア含有量が「完全脱脂ココア換算で40%未満」か
      • 0401〜0404由来の調製食料品で、同換算で「5%未満」か
      • 膨張/炒った穀物で、同換算で「6%以下」か
    • 現場で集める証憑:
      • 配合表(重量%)、ココア原料の脂肪分(換算に影響)、必要に応じ試験成績書
    • 誤分類の典型:
      • 「粉末ココア飲料ミックス(穀粉/乳主体)」を一律1806に寄せる(19.01側の可能性)。
  • 影響ポイント3:HS2022の“20%超(肉・魚・昆虫等)”で第16類に飛ぶ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 最終製品に占める肉・魚介・昆虫等の重量比(20%超か)
    • 現場で集める証憑:
      • レシピ/BOM(重量)、製造時の加水・乾燥条件、最終重量ベースの計算根拠
    • 誤分類の典型:
      • 昆虫プロテイン配合チョコバーを1806のまま申告(1806.90の範囲が狭まる趣旨が相関表でも示唆)。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:加糖ココア粉を1805(無糖粉)で申告
    • なぜ起きる:「ココアパウダー」という品名だけで判断
    • 正しい考え方:砂糖等を加えたココア粉は1806.10(1805は“砂糖等なし”)。
    • 予防策:原材料表で「糖類・甘味料」の有無を必ずチェック(仕入先仕様書の取り寄せ)
  2. 間違い:業務用チョコチップ(2kg超)を1806.90で申告
    • なぜ起きる:小売品と同じ感覚で分類、重量条件を見落とす
    • 正しい考え方:バルクで2kg超は1806.20に寄る(形状の例示もあり)。
    • 予防策:包装仕様(内袋重量・カートン構成)を入手し、正味重量で判定
  3. 間違い:ナッツ入り板チョコを「詰物あり(1806.31)」にしてしまう
    • なぜ起きる:「中に何か入っている=詰物」と誤認
    • 正しい考え方:ナッツ等が全体に埋め込まれているだけの固形チョコは詰物とみなさない扱いが示されています。
    • 予防策:断面写真+設計(センター充填か、混ぜ込みか)を事前に確認
  4. 間違い:ホワイトチョコを1806で申告
    • なぜ起きる:商習慣名(“チョコ”)に引っ張られる
    • 正しい考え方:ホワイトチョコは1704に整理される例が明示されています(日本解説・海外税関例)。
    • 予防策:原材料で「ココアマス/ココアパウダーの有無」を確認(カカオバターだけなら要注意)
  5. 間違い:チョコレート掛けビスケットを1806にしてしまう
    • なぜ起きる:外観が“チョコ製品”に見える
    • 正しい考え方:ベーカリー製品(19.05)に当たる場合はそちら(日本解説で例示)。
    • 予防策:ベースがビスケット/ケーキ等か(19.05の定義)を確認、商品仕様(主原料・食感)を取る
  6. 間違い:ココア入りアイスを1806で申告
    • なぜ起きる:ココア含有=18類と思い込み
    • 正しい考え方:アイス等(21.05)は類注除外で21.05へ。
    • 予防策:冷凍菓子はまず21.05を疑い、商品分類(氷菓/アイス)と販売形態を確認
  7. 間違い:ココア味ヨーグルト等を1806で申告
    • なぜ起きる:フレーバーで分類してしまう
    • 正しい考え方:0403は類注で除外。さらに乳製品は動物検疫の対象HSに含まれるので、分類ミスが手続に波及し得る。
    • 予防策:乳製品(0401〜0406等)該当性と、原材料(乳の発酵・形状)を確認
  8. 間違い:ココア含有の飲料(直接飲用)を1806で申告
    • なぜ起きる:「ココア=粉末」の先入観
    • 正しい考え方:直接飲用の飲料は22類に整理(例示あり)。
    • 予防策:飲用形態(希釈必要か、RTDか)、アルコール有無を確認
  9. 間違い:昆虫原料20%超のチョコバーを1806で申告
    • なぜ起きる:菓子の見た目だけで判断
    • 正しい考え方:HS2022類注で、20%超の肉・魚・昆虫等を含む食品調製品は第16類へ。相関表でも1806.90の範囲縮小が示されています。
    • 予防策:配合表(重量%)と最終重量基準での計算根拠を確保

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HS付番がPSR(CTC/RVC/加工工程要件など)の選択に直結します。
    • 例:完成品を1806と見てPSRを引くのか、実は1905(チョコ掛けビスケット)でPSRを引くのかで、原産性の論点が変わります。
  • よくある落とし穴
    • 材料のHS(例:砂糖、乳製品、ココアバター等)を誤る
    • “セット”を完成品HSで見ていいのか(GIR3(b)の結果がPSR選定に影響)
    • 「輸入国側のHSで通関される番号」を前提にしていない(相手国税関の解釈差)

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定によって、PSRや譲許表が参照するHS年版が違う点に注意が必要です。日本税関も“協定が採用するHSコードのバージョン確認”を注意喚起しています。
  • 代表例(未指定のため例示)
    • CPTPP:HS2012(PSR等がHS2012表記で運用される旨の案内あり)
    • 日EU EPA:HS2017(自己申告の記載事項としてHS2017が示されています)
    • RCEP:
      • 原本のPSRはHS2012ベースで作成されていましたが、HS2022へのトランスポジションが採択され、各国で2023-01-01から実施と整理される資料があります。
      • 実務では「どのPSR表(HS2012/HS2022)を参照する運用か」を相手国・時点で必ず確認してください。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論)
    • ①協定が参照するHS年版でPSRを確認
    • ②自社が使うHS(通関は現行HS)へ対応付け(相関表・当局公表の対応表を使用)
    • ③“範囲変更(ex)”があるコードは、テキスト/注の確認を追加(例:1806.90の範囲縮小)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必須データ
    • BOM(材料表):材料名、原産国、重量、単価
    • 非原産材料のHS(6桁):砂糖、乳製品、ココア原料など
    • 工程表:混合・加熱・成形・充填など
    • RVCを使う場合:原価計算の前提(FOB等)
  • 証明書類・保存要件(一般論)
    • 申告根拠資料(仕入書、仕様書、配合表、製造記録)の保管
    • 事後確認対応(相手国税関からの照会に備え、レシピ改訂履歴も残す)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正/範囲変更第18類 類注1(a)20%超の肉・魚・昆虫等を含む食品調製品を第16類へ、(b)除外対象に1902等を追加“ココア入り”でも第16類/第19類に飛ぶケースが明確化。配合比率・製品タイプの確認が必須
HS2017→HS2022範囲変更1806.90昆虫等を20%超含む調製品の移動により、1806.90の範囲が狭まる趣旨が相関表で示される昆虫配合菓子等での誤分類リスク増。配合表(重量%)の管理が重要

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料と判断のしかた
    • HS2022の第18類類注に、20%超の肉・魚・昆虫等を含む食品調製品を第16類へ除外する規定、および除外対象見出しの列挙が明記されています。
    • HS2017の第18類類注は、除外見出しの列挙が中心で、HS2022のような20%超の規定がありません。
    • HS2022↔HS2017相関表では、1806.90について“昆虫20%超品の移動により範囲が狭まる”旨の備考が示されています。
  • 以上より、「HS2017→HS2022で第18類の適用範囲が(特に昆虫等を含む調製品で)変わった」と判断できます。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

  • 第18類の見出し(1801〜1806)と主要な号構成は、少なくともHS2007→HS2017では大きな改編が見られません(類注の列挙も同趣旨)。
  • HS2017→HS2022で、類注の追加・範囲変更がポイントになります。
期間主な追加・削除・再編(第18類)旧コード→新コード(概要)実務メモ
HS2007→HS2012大きなコード再編は目立たない(主要構成は同様)ただし国内コードは各国で改訂あり得る
HS2012→HS2017大きなコード再編は目立たない(主要構成は同様)同上
HS2017→HS2022類注1の追加・範囲変更、1806.90等の範囲縮小(昆虫等)“ex”扱い(同一コードでも対象範囲が変わる)相関表・類注で「範囲変更」を必ず確認

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):“ホワイトチョコ”を1806で申告して差戻し
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第18類ではなく1704相当(品名誤認)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “white chocolate” のみ、原材料情報が添付されない
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、検査強化、納期遅延
    • 予防策:原材料(ココア固形分の有無)と製品規格書を事前提示
  • 事例名:業務用チョコチップ(2kg超)を小売チョコ扱い
    • 誤りの内容:1806.20の重量・形状要件を見落とす
    • 起きやすい状況:複数小袋の合算を誤る、外装重量で判断
    • 典型的な影響:分類更正、関税差額、原産地規則の再検証
    • 予防策:正味重量・包装形態の証拠(梱包明細、写真)を保管
  • 事例名:昆虫プロテイン配合チョコバー(昆虫20%超)の誤分類
    • 誤りの内容:HS2022類注の20%超ルールを見落とす
    • 起きやすい状況:“菓子”の先入観、配合表が社内にない
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、同種貨物の重点審査
    • 予防策:配合表(重量%)と最終重量基準の計算根拠を整備
  • 事例名:ココア入り飲料(直接飲用)を1806で申告
    • 誤りの内容:22類(飲料)側の整理を見落とす
    • 起きやすい状況:粉末かRTDかの区別が曖昧、サンプル未提出
    • 典型的な影響:HS更正、食品衛生届出の再作業
    • 予防策:製品形態(RTD/濃縮/粉末)と用途を明確化、ラベル写真添付

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 食品衛生(輸入食品):販売・営業目的で食品等を輸入する場合、検疫所での輸入届出(食品等輸入届出)が必要で、審査の結果により検査が行われることがあります。
    • 植物検疫(カカオ豆):カカオ豆は植物検疫の対象として例示されており、検査や証明書(輸出国の検査証明書)の扱いに注意が必要です。
    • 動物検疫(乳製品に該当する場合):ココア入りでも0403等の“乳製品”に該当する品目は、HSコードで規制対象が整理されており、動物検疫の検討が必要になり得ます。
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制
    • 一般的なココア・チョコでは通常は論点になりにくいですが、希少動植物由来成分(例:特定動物由来の高級油脂等)を含む場合は別途確認が必要です。
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 一般食品としては通常該当しにくいですが、用途・取引先・制裁対象国等の観点で社内審査は別途実施してください。
  • その他の許認可・届出
    • 表示:国内流通では食品表示基準等(アレルゲン表示等)の対応が必要です(販売形態で要件が変わる)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 厚生労働省(輸入食品監視/輸入手続、検疫所窓口)
    • 農林水産省 植物防疫所(植物検疫)
    • 農林水産省 動物検疫所(乳製品等)
  • 実務での準備物(一般論):
    • HS分類根拠資料(仕様書、写真、成分表)
    • 食品等輸入届出向け:原材料表、製造工程表、必要に応じ試験成績書
    • 植物検疫向け(カカオ豆等):輸出国の検査証明書、梱包情報

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原材料(重量順、添加物含む)
    • 形状(豆/粉/脂/板/粒/飲料)・内容量・包装形態
    • 用途(直接飲用か、製造原料か)
    • 断面写真(詰物の有無が分かるもの)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 第18類類注1の除外(0403/1901/1902/1904/1905/2105/2202/2208/3003/3004、20%超ルール)を再点検
    • 1806は 2kg超バルク/詰物の有無を再点検
    • ホワイトチョコ等の“見た目に反する例外”を再点検
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイスの品名を「一般名+形状+用途」まで具体化(例:“chocolate chips, bulk 10 kg”)
    • 原材料表・仕様書の添付準備
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定の参照HS年版確認 → PSR確認 → 現行HSへの対応付け
    • 非原産材料HS(6桁)と工程の整合
    • 記録保存(BOM、原価、工程、原産国)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 食品等輸入届出(検疫所)要否・添付資料
    • カカオ豆等の植物検疫要否
    • (乳製品HSに該当する場合)動物検疫要否

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
    • HS2022 Chapter 18(Cocoa and cocoa preparations)
    • HS2022 Section IV Note(pellets定義)
    • HS2017 Chapter 18(比較用)
    • HS2007 Chapter 18(比較用)
    • HS2022↔HS2017 Correlation(1806.90範囲変更の備考等)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 税関「関税率表解説(第18類)」:40%/5%/6%基準、1806の号解説、ホワイトチョコの除外例等
    • 日本税関:EPA/PSR運用上のHS年版確認の注意喚起
    • 日本税関:EPA原産地規則の手続・HS年版の例示(HS2012/HS2017)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • CPTPPのPSR等がHS2012である旨の案内例
    • RCEP:HS2022へトランスポーズされたPSRの採択・実施時期に関する整理資料(JETRO)
    • EPA相談デスク:協定ごとのHS年版の一覧(運用確認の入口として有用)
  • 規制(検疫・衛生)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(輸入届出、事前届出等)
    • JETRO:食品等輸入届出書の提出先・方法(概説)
    • 農林水産省 植物防疫所:植物検疫の対象例(カカオ豆等)・証明書注意
    • 農林水産省 動物検疫所:乳製品の動物検疫(HSコードで規制対象整理)

※Web参照日:2026-02-16

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。