HS2022 第22類:飲料、アルコール及び食酢(Beverages, spirits and vinegar)

用語(本資料内の統一):類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. アルコール分(20℃での容量%):2202の「非アルコール飲料」は 0.5%以下(0.5%超は22.03〜22.06または22.08へ) (世界税関機関)
    2. “飲料”か“飲料にならない料理用”か:料理用調製で飲用不可なら 2103 へ飛ぶ(食酢を除く) (世界税関機関)
    3. エタノール/蒸留酒の80%境界・変性の有無:未変性エタノール 80%以上→220780%未満→2208、変性は度数不問で2207 (世界税関機関)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 「ノンアル」「微アル」飲料:HS上は0.5%の線引きがある一方、国内法(酒税法等)の“酒類”定義は別なので、通関・規制・社内管理の前提がズレやすいです。 (JETRO)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1:まずは見出し文言と注(部注/類注)で判定します。第22類は
      • 料理用に調製して飲料不適 → 2103
      • 「非アルコール飲料」の定義(0.5%以下)
      • アルコール分の測定温度(20℃)
        といった“結論を変える注”が明確です。 (世界税関機関)
    • GIR6:6桁(号)レベルでは、アルコール分・容器容量・変性の有無・酒類の種類で枝分かれします(例:2202.91/2202.99、2204.21/2204.22/2204.29、2207.10/2207.20)。 (世界税関機関)
    • (補足)混合が絡む場合:2206自体が「発酵酒の混合」等を含むため、実務上は**“発酵酒ベースの混合なのか/蒸留酒(スピリッツ)を加えたのか”**が重要になります。 (世界税関機関)
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • アルコール分(ABV):20℃での容量%で判断(0.5%・80%が重要な境界) (世界税関機関)
    • 製法:発酵(ビール/ワイン/その他発酵酒)か、蒸留・精製(スピリッツ/エタノール)か (税関ウェブサイト)
    • “ジュース”か“清涼飲料”か:2202は2009のジュースを除外(果実・ナット・野菜) (世界税関機関)
    • 容器容量や発泡条件:ワインの一部は容器容量で6桁が分岐し、発泡ワインは圧力条件で定義されます (世界税関機関)
    • 用途(料理用):飲めないように調製された場合は大きく飛びます (世界税関機関)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:それは「飲用(飲料)」としての性格が中心ですか?
    • Yes → Step2へ
    • No(料理用に調製して飲めない) → 原則 2103(ただし食酢は2209の可能性) (世界税関機関)
  • Step2:アルコール分(20℃、容量%)を確認
  • Step3:非アルコール側(0.5%以下)
    • 砂糖/香味料なしの水・氷・雪 → 2201
    • 砂糖/香味料入りの水、またはその他の非アルコール飲料 → 2202
  • Step4:アルコール側(0.5%超)
    • 麦芽から作ったビール → 2203
    • 生鮮ぶどう由来のワイン/マスト → 2204(発泡等の条件も確認) (世界税関機関)
    • ベルモット等(ぶどう酒を植物/芳香物質で香味付け) → 2205 (世界税関機関)
    • その他の発酵酒(清酒、シードル等)や発酵酒の混合 → 2206 (世界税関機関)
    • エタノール(未変性80%以上)または変性アルコール → 2207 (世界税関機関)
    • エタノール(未変性80%未満)や蒸留酒/リキュール等 → 2208 (世界税関機関)
    • 食酢・食酢代用物 → 2209(ただし酢酸10%超は2915) (世界税関機関)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 第22類 vs 第20類(2009ジュース):ジュースとしての性格か、清涼飲料としての性格か
    • 第22類 vs 第21類(2103/2106等):料理用調製品・飲料ベース(濃縮/シロップ)
    • 第22類 vs 第29類(2915酢酸):酢酸濃度10%超かどうか (世界税関機関)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2201砂糖等や香味料を加えていない水、氷・雪ミネラルウォーター、炭酸水(無糖)、氷砂糖/香味料入りは2202。蒸留水等の純水は2853。海水は2501。 (世界税関機関)
2202砂糖等や香味料入りの水、その他の非アルコール飲料(2009のジュース除く)コーラ、スポーツドリンク、エナジードリンク、ノンアルビール「非アルコール」は0.5%以下。果実/ナット/野菜ジュース(2009)は除外。 (世界税関機関)
2203麦芽から作ったビールビール0.5%以下のノンアルビールは2202.91へ行く可能性。 (世界税関機関)
2204生鮮ぶどうのワイン(強化含む)、ぶどうマスト(2009除く)ワイン、ポート、ぶどうマスト発泡ワインの定義あり(圧力条件)。容器容量で6桁分岐。料理用で飲用不可なら2103へ。 (世界税関機関)
2205ベルモット等:植物・芳香物質で香味付けした生鮮ぶどうワインベルモット、アロマワイン容器容量で6桁分岐。ベースが「ぶどうワイン」である点が重要。 (世界税関機関)
2206その他の発酵酒、発酵酒の混合、発酵酒+非アル飲料の混合(他項除く)清酒、シードル、ペリー、ミードビール/ワイン/ベルモットは別項。蒸留酒を加えたリキュール等は2208寄りになりやすい。 (世界税関機関)
2207未変性エタノール(80%以上)、変性アルコール(度数不問)工業用高濃度エタノール、変性アルコール80%境界(未変性)。変性かどうかは仕様・添加物で確認(国により変性剤が異なる)。 (世界税関機関)
2208未変性エタノール(80%未満)、蒸留酒・リキュール等ウイスキー、焼酎、ジン、ラム、リキュール果汁等にアルコールを加え0.5%超の飲料も含まれ得る(例外除く)。 (世界税関機関)
2209食酢、食酢代用物穀物酢、ワインビネガー、りんご酢酢酸の含有量が全重量の10%超の水溶液は2915へ。 (世界税関機関)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件(よく使うもの)の整理
    • アルコール分(ABV)
      • 0.5%以下 → 2201/2202側へ(ただし製品形態により別章もあり)
      • 0.5%超 → 22.03〜22.06 または 22.08 へ (世界税関機関)
    • 未変性エタノールの80%境界
    • 変性の有無:変性アルコールは 2207.20(度数不問) (世界税関機関)
    • 容器容量(ワイン/ベルモット):2L以下、2L超10L以下、その他で分岐(2204/2205) (世界税関機関)
    • 発泡(スパークリングワイン):20℃で密閉容器内の圧力が一定以上(3 bar以上) (世界税関機関)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    • (A) 2202.91(ノンアルビール) vs 2203.00(ビール)
      • どこで分かれるか:アルコール分が 0.5%以下かどうか(“非アルコール飲料”定義) (世界税関機関)
      • 判断に必要な情報:成分/製法、ABV試験成績(20℃換算)、商品仕様書
      • 典型的な誤り:「ビールに見える/麦芽由来」だけで2203にしてしまう(0.5%以下なら2202.91の可能性)
    • (B) 2202(清涼飲料) vs 2009(果実・ナット・野菜ジュース)
      • どこで分かれるか:商品が“ジュース(2009)”としての性格か、“その他の飲料(2202)”か。2202は2009ジュースを除外します。 (世界税関機関)
      • 判断に必要な情報:原材料比率、製造工程(搾汁か、調製飲料か)、最終製品の表示・仕様
      • 典型的な誤り:「果汁入り飲料は全部2202」と決め打ち(果汁主体なら2009の可能性が残る)
    • (C) 2207(エタノール) vs 2208(スピリッツ/80%未満エタノール)
      • どこで分かれるか:未変性エタノールの 80%境界、および 変性の有無 (世界税関機関)
      • 判断に必要な情報:ABV(20℃)、SDS/仕様書、変性剤の添加有無・種類
      • 典型的な誤り:
        • 高濃度でも80%未満なのに2207にする
        • 変性アルコールを飲料用として扱い2208にする(変性は2207.20)
    • (D) 2206(発酵酒) vs 2208(蒸留酒・リキュール等)
      • どこで分かれるか:発酵のみで得た酒か、蒸留酒ベース/アルコール添加で“スピリッツ系”になっているか
      • 判断に必要な情報:製造工程(発酵/蒸留/添加)、原材料、ABV、商品説明
      • 典型的な誤り:果実系のお酒を全部2206とする(蒸留酒に果実等を漬けたリキュールは2208寄りになりやすい) (税関ウェブサイト)
    • (E) 2209(食酢) vs 2915(酢酸水溶液)
      • どこで分かれるか:酢酸含有量が全重量の 10%超なら2915へ(類注の除外) (世界税関機関)
      • 判断に必要な情報:酢酸含有量(w/w%)、SDS/成分表、用途(食用/工業用)
      • 典型的な誤り:工業用の酢酸溶液を“食酢っぽい”として2209にしてしまう

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第22類が属する**第4部(Section IV)**の部注は、少なくとも「ペレット」の定義を置いています。 (税関ウェブサイト)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第22類の典型的な飲料分類では「ペレット」定義に直接当たるケースは多くありません。
    • ただし、飲料原料(例:固形化した副原料等)を取り扱う場合、別章でペレット定義が効くことがあり得る、という程度の位置づけです。 (税関ウェブサイト)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第22類に関しては、部注よりも**類注(第22類注)**の除外規定(料理用、酢酸濃度、医薬品等)の方が「飛び先」を作る主役です。 (世界税関機関)

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • (除外)料理用に調製して飲料に適さないもの(食酢を除く)は主として2103へ (世界税関機関)
    • (除外)海水は2501、**純水(蒸留水等)**は2853へ (世界税関機関)
    • (除外)酢酸10%超の水溶液は2915へ (世界税関機関)
    • (除外)医薬品は3003/3004、香料・化粧品は33類へ (世界税関機関)
    • **アルコール分の測定温度(20℃)**が定義され、22類だけでなく20・21類にも関係します (世界税関機関)
    • **2202の非アルコール飲料定義(0.5%以下)**が明記されています (世界税関機関)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「非アルコール飲料」(2202用):アルコール分(20℃、容量%)が 0.5%以下 (世界税関機関)
    • 「スパークリングワイン」(2204.10用):20℃の密閉容器で、ゲージ圧力が 3 bar以上 (世界税関機関)
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

  • 影響ポイント1:0.5%の境界(2202の非アルコール定義)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • ABV(20℃の容量%)の試験成績
      • 発酵が進む可能性(輸送中の再発酵等)の有無(商品設計・保存条件) (世界税関機関)
    • 現場で集める証憑:仕様書、分析表(ABV)、成分表、製造工程図、商品ラベル案
    • 誤分類の典型:
      • “ノンアル/微アル”表記だけで2202と決める(0.5%超なら酒類側へ)
      • 逆に、0.5%以下でも「ビールに似ている」だけで2203にする
  • 影響ポイント2:料理用調製(飲料として不適)→2103へ
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 食塩・香辛料等の添加、飲用に適さない処理の有無
      • 取引実態(“調味料”として販売・用途が固定されているか) (世界税関機関)
    • 現場で集める証憑:配合表、用途説明、製品仕様(塩分等)、カタログ、ラベル
    • 誤分類の典型:料理用ワインを「ワインだから2204」としてしまう
  • 影響ポイント3:酢酸10%超 → 2915(2209から除外)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):酢酸含有量(重量%)、用途(食用/工業用)、SDS (世界税関機関)
    • 現場で集める証憑:成分分析、SDS、用途説明書
    • 誤分類の典型:工業用酢酸溶液を「酢だから2209」にしてしまう
  • 影響ポイント4:スパークリングワイン定義(2204.10)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):20℃で密閉容器内の圧力(3 bar以上か) (世界税関機関)
    • 現場で集める証憑:製品規格書(ガス圧)、製造仕様、ラベル表示
    • 誤分類の典型:発泡性をうたうワインを全部2204.10にする(圧力条件未確認)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:果汁入り飲料を一律で2202にしてしまう
    • なぜ起きる:見た目や商品名が“ドリンク”で、2009ジュース除外を見落とす
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):2202は2009の果実・ナット・野菜ジュースを除外(見出し文言) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 確認すべき資料:原材料配合比率、製造工程(搾汁/調製)、Brix等
      • 社内で聞く質問例:「これは“ジュース(搾った液)”が主体ですか?それとも水や糖類等で調製した飲料ですか?」
  2. 間違い:ノンアルビールを2203(ビール)にする/逆にビールを2202にする
    • なぜ起きる:商品名・見た目で決め、0.5%定義を確認しない
    • 正しい考え方:2202の非アルコール飲料=0.5%以下(類注)。0.5%超なら22.03〜22.06/22.08。 (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:ABV試験成績(20℃)、仕様書
      • 質問例:「ABV(20℃換算)は何%ですか?ロットで変動しますか?」
  3. 間違い:濃縮シロップ/原液(割材)を“飲料”として2202にする
    • なぜ起きる:用途が飲用でも、輸入形態が“原液”である点を見落とす
    • 正しい考え方:輸入形態が“調製品”の場合、21類(例:2106)など他章が候補になり得ます(製品の状態で判断)
    • 予防策:
      • 資料:使用方法(希釈倍率)、製品形態(そのまま飲めるか)、ラベル
      • 質問例:「この製品はそのまま飲用に供されますか?希釈や調合が前提ですか?」
  4. 間違い:料理用ワイン(塩分等で飲めない)を2204にする
    • なぜ起きる:原料がワイン=2204と短絡し、料理用調製の除外を見落とす
    • 正しい考え方:料理用に調製して飲用不適(2209を除く)は主として2103へ(類注) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:配合表(塩・香辛料)、用途表示、販売形態
      • 質問例:「飲用できますか?塩分/香辛料等の添加はありますか?」
  5. 間違い:“発酵飲料”を全部2206とする
    • なぜ起きる:発酵という言葉だけで判断し、蒸留酒添加(リキュール化)を確認しない
    • 正しい考え方:2206はビール/ワイン/ベルモット以外の発酵酒等。蒸留酒・リキュール等は2208寄り。 (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:製造工程(蒸留の有無、添加アルコールの種類)、ABV
      • 質問例:「蒸留酒(スピリッツ)の添加がありますか?あるなら何を、いつ加えますか?」
  6. 間違い:エタノールを2207/2208で取り違える
    • なぜ起きる:80%境界、変性の有無を見落とす
    • 正しい考え方:未変性80%以上→2207、未変性80%未満→2208、変性は度数不問で2207(見出し) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:ABV(20℃)、SDS、変性剤情報
      • 質問例:「変性剤は入っていますか?ABVはいくつですか?」
  7. 間違い:スパークリングワイン(2204.10)要件を確認しない
    • なぜ起きる:“発泡性”という宣伝文句で判断してしまう
    • 正しい考え方:2204.10の「スパークリングワイン」には圧力定義がある(号注) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:ガス圧(20℃)、製品規格
      • 質問例:「20℃密閉でのゲージ圧は何barですか?」
  8. 間違い:食酢(2209)と酢酸水溶液(2915)を混同
    • なぜ起きる:どちらも“酢酸”に見えるため、濃度と用途を確認しない
    • 正しい考え方:酢酸が全重量の10%超の水溶液は2915(類注で2209から除外) (世界税関機関)
    • 予防策:
      • 資料:成分分析(w/w%)、SDS
      • 質問例:「酢酸含有量は何%(重量)ですか?食用グレードですか?」

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結すること:
    • PSRは通常、**HS(主に6桁)**を前提に書かれているため、最終製品のHSを誤ると、PSRの読み替えや適用条文がズレ、原産性判断が崩れます。
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品(例:2204ワイン)だけ見て、非原産材料側のHS(例えば添加酒精や香料の分類)を適当に置く
    • 製造工程の評価軸(CTC/RVC/特定工程など)がPSRと噛み合っていない

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 「当該協定が参照するHS版(例:HS2012参照 等)」を明記(一般論):
    • CPTPP:PSR(品目別規則)の表が HS2012 を前提に提示されている例が確認できます。 (international.gc.ca)
    • RCEP:協定のPSR(Annex 3A)は HS2012 版として提供されている資料があります。 (Australian Border Force Website)
      • 一方で、日本側運用としては、2023-01-01以降、PSRはHS2022版を使用しつつ、一定の附属書は最終版提供までHS2012を適用し続ける旨の整理が示されています。 (経済産業省)
    • 日EU EPA:日本税関の原産地手続の説明資料では、申告書類等での関税分類番号を HS2012(6桁) として扱う旨が示されています(協定運用上の版ズレに注意)。 (税関ウェブサイト)
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意:
    • 現行の輸出入申告はHS2022であっても、PSR参照はHS2012のまま、ということが起き得ます。
    • 第22類は大枠の構造は安定していますが、2202や2204のように過去版で6桁構造が変わった領域は特に注意が必要です(後述の第8章参照)。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • まず「協定が参照するHS版」を確定(税関/公的ガイドで確認)
    • 旧HS→新HSの対応(相関表、税関のPSR変換表)を当て、PSRの適用対象が変わらないかチェックする (税関ウェブサイト)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • そろえるべき基本データ(一般論):
    • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国
    • 非原産材料のHS(協定が参照するHS版で整理)
    • RVC計算が必要な場合は、算定式と対象コストの根拠資料
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 申告書の記載事項として、**HS2012(6桁)**の記載が求められる場面がある旨が整理されています。 (税関ウェブサイト)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(範囲明確化)2202(見出し文言)2202の除外対象ジュースが「果実・野菜」から「果実・ナット・野菜」へ明確化(2009との整合) (世界税関機関)ナット系(例:ナッツ飲料/ジュース)の取扱いで、2009との関係をより意識して確認が必要
HS2017→HS2022範囲変更(他類への移管の影響)2202.99(ex)→3006.93相関表上、2202.99の一部が新設の3006.93(臨床試験用のプラセボ等)へ移る扱いが示されている (税関ウェブサイト)医療・治験関連の“飲料形態”キットが混在する案件では、飲料としての思い込み分類を避ける
HS2017→HS2022変更なし(構造維持)2201〜2209(概ね)第22類の4桁骨格は維持(上記の文言/範囲影響を除く) (世界税関機関)過去データの比較は可能だが、2202周辺は版差/範囲差に注意

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 見出し文言(2202)の「ナット」追加は、WCOのHS2017版とHS2022版の章テキスト比較で確認できます(HS2017は“fruit or vegetable”、HS2022は“fruit, nut or vegetable”)。 (世界税関機関)
  • 2202.99の一部が3006.93へ移る影響は、WCO相関表(HS2022↔HS2017)において 2202.99(ex)→3006.93 が記載されていることに基づき、範囲影響として整理しました。 (税関ウェブサイト)
  • 上記以外については、WCOのHS2022章テキスト(第22類)における4桁の構成が2201〜2209であること、HS2017章テキストと同様の骨格であることから「概ね変更なし」と判断しています。 (世界税関機関)

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第22類は4桁レベルは比較的安定ですが、6桁の分割が過去にあります。主要点を「旧コード→新コード」中心に整理します。

時系列主な追加・削除・再編旧コード→新コード(代表)実務メモ
HS2007→HS2012大枠は維持(主要な6桁構造は概ね同様) (世界税関機関)2007/2012とも2202は2202.90(Other)で、ノンアルビールはまだ独立6桁ではない (世界税関機関)
HS2012→HS20172202の6桁分割2202.90 → 2202.91(ノンアルビール) + 2202.99(その他) (世界税関機関)ノンアルビールを独立で統計把握できるようになった(実務では“ビール類似”でも0.5%定義を同時に確認) (世界税関機関)
HS2012→HS20172204の6桁分割(容器容量)2204.29(Other)から 2204.22(2L超10L以下) を新設し分割 (税関ウェブサイト)Bag-in-Box等の流通形態で誤りやすい(容器容量の証拠が必要)
HS2012→HS2017見出し文言の例示追加2206.00(Other fermented beverages)の例示に saké を追加 (世界税関機関)清酒が2206であることの理解を補強(コード自体は2206.00のまま)
HS2017→HS20222202見出し文言の調整2202の除外ジュースに nut を追加 (世界税関機関)ナッツ系ジュース/飲料の分類検討で2009との整合を意識

※「旧コード→新コード(または行き先不明)」の観点では、第22類は「別章へ完全移管でコードが消える」より、6桁分割文言調整が中心です(上表のとおり)。


9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):料理用ワインを“ワイン(2204)”で申告してしまった
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):第22類注で、料理用に調製し飲料不適(食酢除く)は除外(主として2103) (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が“Cooking wine”でも、社内が「ワインだから2204」と処理
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、説明資料の追加提出、通関遅延
    • 予防策:塩分/香辛料等の配合確認、用途説明書を揃えて事前相談
  • 事例名(短く):“微アル飲料”を2202で申告したが、実測で0.5%超
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):2202の非アルコール飲料定義(0.5%以下)に抵触し、酒類側(22.03〜22.06/22.08)となる (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:輸送中の再発酵、ロット差、表示上“low alcohol”をノンアル扱い
    • 典型的な影響:分類更正、課税関係/規制確認のやり直し、検査強化
    • 予防策:ABV仕様の保証、輸送条件管理、輸入前の分析成績取得
  • 事例名(短く):Bag-in-Boxワインの容器容量を確認せず2204.29で処理
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):2204は容器容量で6桁が分岐(2204.21/2204.22/2204.29) (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:外装だけ見て容量を勘違い(2L超10L以下を見落とす)
    • 典型的な影響:統計・税率・通関処理の訂正
    • 予防策:製品仕様書(容量)、梱包明細(L表示)、ラベル写真をセットで保管
  • 事例名(短く):工業用酢酸溶液を“食酢(2209)”として申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):酢酸10%超の水溶液は2915に除外される (世界税関機関)
    • 起きやすい状況:英語品名が“Vinegar-like / Acetic solution”など曖昧
    • 典型的な影響:分類更正、危険物/化学品としての追加確認、遅延
    • 予防策:SDSで濃度確認、用途(食用/工業用)を明確にした書類整備

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • 検疫・衛生(SPS等)
    • 飲料(酒類を含む)を販売・営業使用目的で輸入する場合、食品衛生法に基づく輸入届出等の手続が必要とされています(検疫所で審査・必要に応じ検査判断)。 (厚生労働省)
    • 確認先:厚生労働省(食品等輸入手続)、各検疫所窓口 (厚生労働省)
  • その他の許認可・届出(酒類)
    • 酒類を輸入し、販売する場合は、酒税法に基づく酒類販売業免許が必要とされる旨が税関の案内等で整理されています。 (税関ウェブサイト)
    • 確認先:国税庁(酒類販売業免許)、税関(カスタムスアンサー) (国税庁)
    • 実務注意:HSの「非アルコール(0.5%)」と、酒税法上の“酒類”の線引きは一致しない点があるため、HS分類だけで国内規制判断を固定しないことが重要です。 (JETRO)
  • 安全保障貿易管理(該当する場合)
    • 一般的な飲料は該当しにくいですが、高濃度エタノール等は用途・仕様により別観点の確認が必要になる場合があります(個別確認)。
  • その他(安全・危険物)
    • エタノール等の高濃度アルコールは、保管・取扱数量により消防法上の危険物(第四類・アルコール類)該当が問題となり得ます(濃度は重量%基準など、表示換算の注意あり)。 (tfd.metro.tokyo.lg.jp)
    • 確認先:所轄消防署、消防庁/自治体消防のガイド (tfd.metro.tokyo.lg.jp)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 成分表、製造工程表、分析表(ABV、酢酸濃度等)、SDS(化学品該当時)、ラベル案
    • 輸入届出関連書類(検疫所向け) (厚生労働省)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 2202の0.5%定義、2209の酢酸10%除外、料理用調製の除外(2103)を再確認 (世界税関機関)
    • 2009ジュース除外の確認(果実・ナット・野菜) (世界税関機関)
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名が曖昧(“drink base”“acetic solution”等)なら仕様書・成分表添付
    • 申告単位(L、kg等)と内容量の整合
    • 酒類の場合、酒税・免許・届出が別途絡むことを前提に社内で役割分担 (税関ウェブサイト)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS2022条文、相関表、改正パッケージ等)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 実行関税率表(2022年版)第22類 注(和文PDF)(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
    • 関税率表解説(第22類 解説PDF)※例示・実務解釈(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
    • 第4部 部注(ペレット定義)和文PDF(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
    • 税関:カスタムスアンサー「酒類の輸入について」(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
    • 厚生労働省:食品等輸入手続(参照日:2026-02-17) (厚生労働省)
    • 東京消防庁:消毒用アルコールの取扱い(参照日:2026-02-17) (tfd.metro.tokyo.lg.jp)
    • 日本税関:我が国の原産地規則(手続資料、HS2012記載等)(参照日:2026-02-17) (税関ウェブサイト)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス
    • CPTPP:Annex 3-D(PSR、HS2012表記例:カナダ政府公開)(参照日:2026-02-17) (international.gc.ca)
    • RCEP:Annex 3A(PSR、HS2012版PDF例:ABF公開)(参照日:2026-02-17) (Australian Border Force Website)
    • 経済産業省:RCEP原産地証明(2023-01-01以降PSRはHS2022使用等)(参照日:2026-02-17) (経済産業省)
  • その他
    • JETRO:アルコール飲料の輸入手続Q&A(HS上0.5%等と国内法の差の注意)(参照日:2026-02-17) (JETRO)
    • UNSD:HS2017 220291とHS2012 220290の対応情報(参照日:2026-02-17) (unstats.un.org)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

 

FTAでAIを活用する:株式会社ロジスティック

Logistique Inc.

投稿者: shima

嶋 正和 株式会社ロジスティック 代表取締役社長

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