HS2022 第23類:食品工業において生ずる残留物及びくず並びに調製飼料(Residues and waste from the food industries; prepared animal fodder)

用語は次で統一します:類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)


0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 魚粉・肉かす等(食用に適しないもの)(例:魚粉、ミートミール)→ 23.01
    • ふすま等の製粉残渣(例:小麦ふすま、とうもろこしふすま)→ 23.02
    • ビートパルプ・バガス・醸造かす(例:砂糖製造残渣、ビール粕、蒸留粕、清酒かす)→ 23.03 (税関ウェブサイト)
    • 大豆油かす等の油脂抽出残渣(油かす)(例:大豆かす、なたね油かす)→ 23.04〜23.06
    • 犬猫用ペットフード(小売用) → 23.09(2309.10) (税関ウェブサイト)
    • 配合飼料・発酵飼料などの“飼料用調製品” → 23.09(2309.90) (税関ウェブサイト)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • (人の)食用としての調製食品・食品原料(例:食品としてのたん白加工品など)→ 多くは第16〜22類・第21類など(個別判断)
    • 油さい(油脂精製で生じる残渣) → 15.22(油さい)
    • 大豆由来でも“たん白濃縮物”等(加工度が高いもの) → 21.06へ行きやすい(2304からの除外として言及あり)
    • 糖みつ(モラセス)そのもの → 17類(例:17.03)へ行きやすい(23.03の“砂糖製造のくず”とは別物として注意)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 単体の“残渣・副産物”か/混合・栄養添加・発酵などで“飼料用に調製”されたものか
      • 前者は 23.01〜23.08、後者は 23.09 へ寄りやすい(特に23.08と23.09が境界)。(税関ウェブサイト)
    2. 犬猫用で“小売用にしたもの”か
    3. 油脂抽出残渣(油かす)か/油さい(15.22)や高加工たん白(21.06)か
      • 同じ“大豆由来”でも分岐します。
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 飼料(23類)と食品(16〜22類など)の取り違え:規制(飼料安全・検疫)や表示、原産地規則(PSR)の適用がズレ、通関遅延・追加対応が起きやすいです。(農林水産省)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1:項(見出し)の文言+部注/類注で決めるのが基本です。第23類は「○○由来の残渣」「食用に適しない」「飼料用の調製品」など、文言に要件が多いため、品名だけで飛びつくと事故りやすいです。(税関ウェブサイト)
    • GIR3(b):配合飼料やプレミックス等、複数材料の混合品で競合する場合に、「全体としての重要な特性(多くは“飼料用に調製された”という性格)」で整理します(ただし23.09の要件を満たすかを先に確認)。(税関ウェブサイト)
    • GIR6:2309.10(犬猫・小売)と2309.90(その他)など、6桁での分岐に必須です。(税関ウェブサイト)
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 由来(どの産業工程の残渣か):製粉、でん粉製造、砂糖製造、醸造/蒸留、油脂抽出…
    • 用途・販売形態:飼料向け表示、対象動物(犬猫か家畜か)、小売包装かバルクか
    • 加工度:単なる搾りかす/ふすまか、発酵・栄養添加・成形までしているか
    • 食用適否(23.01は明確に要件)
    • 形状(ペレット等):第IV部の部注で「ペレット」の定義があります(後述)。(税関ウェブサイト)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:用途・表示
    • 飼料(動物給餌)目的ですか?(ラベル、SDS/仕様書、販売先で確認)
  • Step2:単体の残渣・副産物か
    • はい → Step3へ
    • いいえ(混合・栄養添加・発酵・成形などで“飼料用に調製”)→ 原則 23.09 を検討 (税関ウェブサイト)
  • Step3:どの工程由来か(代表)
    • 食用に適しない肉/魚粉等 → 23.01
    • 製粉のふすま等 → 23.02
    • でん粉/砂糖/醸造蒸留のかす → 23.03
    • 油脂抽出の油かす → 23.04〜23.06
    • ワイン澱・酒石 → 23.07
    • 上記に当てはまらないが飼料に使う植物性残渣等 → 23.08
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 23.08(植物性残渣等) vs 23.09(飼料用調製品):加工度・混合の有無・“調製”の実態で分かれます。
    • 23.04(大豆油かす等) vs 21.06(たん白加工品):同じ大豆由来でも「油脂抽出残渣」か「たん白濃縮・分離等の高度加工」かで分岐。
    • 23.03(バガス等) vs 23.09(発酵・調製飼料):発酵・糖みつ添加の目的等で分岐(事例あり)。(税関ウェブサイト)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

第23類の4桁は少ないため全列挙します(文言はWCO HS2022に基づく要約)。

項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
2301食用に適しない肉・魚等の粉/ミール/ペレット、グリーブス魚粉、ミートミール、グリーブス**“食用に適しない”**が要件。食用グレードなら別類へ行き得ます。
2302穀物・豆類のふるい分け/製粉等の残渣(ペレット含む)小麦ふすま、とうもろこしふすま由来が製粉・ふるい分け等であること。穀物種別で6桁分岐。
2303でん粉製造残渣等、ビートパルプ/バガス等、醸造/蒸留かす(ペレット含む)コーングルテンフィード等、ビートパルプ、バガス、ビール粕、蒸留粕、清酒かす工程由来で6桁分岐。清酒かす等は国内運用で成分・性状確認が重要。(税関ウェブサイト)
2304大豆油の抽出後の油かす等(ペレット含む)大豆かす(大豆ミール)日本の解説では繊維状でない脱脂大豆粉を含む旨の説明あり。一方で**油さい(15.22)たん白濃縮物(21.06)**等は除外として注意。
2305落花生油の抽出後の油かす等落花生かす23.04/23.05は“特定油種の抽出残渣”として独立。
2306その他の植物性又は微生物性油脂の抽出後の油かす等(ペレット含む)なたね油かす、ひまわり油かす、綿実油かす、コプラミール等HS2022で見出しが**microbial(微生物性)**を含む形に整理(後述)。2306.41は“低エルカ酸”の定義に注意。
2307ワイン澱、酒石ワイン澱(lees)、酒石(argol)ぶどう搾りかす等は23.08側に行く場合もあり得るので要確認。
2308飼料用の植物材料・植物くず・残渣・副産物(他に特掲なし)柑橘パルプ、ぶどう粕、草粉等“残渣・副産物”としての性格が強いもの。23.09との境界が頻出。
2309飼料用の調製品犬猫用ペットフード、配合飼料、プレミックス類注により「加工で原材料の本質を失った飼料」等を含み得る。2309.10は犬猫用小売。(税関ウェブサイト)

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出):
    • 由来工程(製粉/でん粉/砂糖/醸造蒸留/油脂抽出)→ 2302/2303/2304-2306の分岐
    • 対象動物・小売形態(犬猫・小売包装)→ 2309.10/2309.90
    • 規格・定義が参照されるケース
      • 「ペレット」の定義(結合剤3%以下等)→ 部注(第IV部)(税関ウェブサイト)
      • 2306.41「低エルカ酸なたね/からし菜」→ 第12類の号注定義を参照
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 2309.10(犬猫・小売) vs 2309.90(その他)
      • どこで分かれるか:犬または猫用で、小売用にしたものか。
      • 判断に必要な情報:対象動物の表示、JAN/小売パッケージ写真、1包装重量、販売形態(EC小売・業務用)、容器形態。
      • 典型的な誤り:缶詰のキャットフードを「食品っぽい」ので16類等に寄せてしまう。実務上は2309.10に分類された事例があります。(税関ウェブサイト)
    2. 2303.20(バガス等) vs 2309.90(発酵・調製飼料)
      • どこで分かれるか:単なる砂糖製造残渣(バガス)か、**飼料に供するため積極的に加工(発酵等)**した“飼料用調製品”か。
      • 判断に必要な情報:工程(アンモニア処理、糖みつ混合、乳酸菌発酵等)、添加目的(結合剤か発酵促進か)、形状(キューブ等)。
      • 典型的な誤り:「原料はバガスだから2303.20」と短絡。発酵・加工の実態で2309.90になった事例があります。(税関ウェブサイト)
    3. 2304(大豆油かす) vs 2306(その他油かす)
      • どこで分かれるか:油種が大豆か、落花生以外の他油種/微生物油か。
      • 判断に必要な情報:抽出対象油脂(大豆油/なたね油/ひまわり油/微生物油など)、製造工程、原料証明。
      • 典型的な誤り:油種が混在、または“植物由来だから2306”と雑に振る。
    4. 2306.41(低エルカ酸なたね/からし菜) vs 2306.49(その他)
      • どこで分かれるか:原料種子が「低エルカ酸」の定義に当たるか(第12類の定義参照)。
      • 判断に必要な情報:品種情報、分析(エルカ酸)、サプライヤー仕様書。
      • 典型的な誤り:なたね由来を全部2306.41にしてしまう。

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第IV部(第16類〜第24類)の部注で、「ペレット」の定義が置かれています。要旨としては「直接圧縮、または全重量の3%以下の結合剤で固めたもの」を指します。(税関ウェブサイト)
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 第23類の多くの項は「ペレット状であるかないかを問わない」と書かれており、HS6桁の所属自体は“ペレットか否か”で変わらないことが多いです。
    • ただし日本の国内コード(統計品目番号)では、ペレット/キューブ等の形状や包装で細分・税率・適用区分が変わることがあるため、部注の定義が効いてきます(付録A参照)。(税関ウェブサイト)
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 第23類では「ペレット」定義が主で、他章へ飛ばすタイプの部注は相対的に少ないです(ただし、食品側(16〜22類)との境界はGIRと各類注の影響が大きい)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 類注1:23.09項の範囲
      • 23.09には、他に特掲されない飼料用物品で、植物/動物材料を加工して原材料の本質的特性を失う程度になったもの等を含み得ます(ただし、同様の加工から生じる植物くず・残渣・副産物は除く、という構造)。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 「ペレット」:第IV部部注の定義(結合剤3%以下等)を参照。(税関ウェブサイト)
    • 2306.41「低エルカ酸なたね/からし菜」:第12類の号注定義を参照(第23類の号注が参照を指示)。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 日本の解説では、23.04(大豆油かす)に関連して、**油さい(15.22)**や、**脱脂大豆粉から得たたん白濃縮物等(21.06)**が除外として触れられています。

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的です。

  • 影響ポイント1:23.08(残渣)と23.09(調製飼料)の境界
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • ①混合の有無(単体か、配合か)
      • ②加工の程度(発酵・栄養添加・安定化・成形など)
      • ③“飼料用に調製”された意図(工程設計・添加目的)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書(原材料比率100%合計)、製造工程フロー、添加物リスト、栄養成分保証、用途表示ラベル、写真(形状/包装)。
    • 誤分類の典型:
      • “原料がバガスだから”と2303.20に固定 → 発酵工程・糖みつ添加目的等から2309.90になった事例がある(発酵バガス)。(税関ウェブサイト)
  • 影響ポイント2:23.09内の犬猫用(2309.10)
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 犬猫用であること(表示・販売資料)、小売用(個装)であること、給与方法(そのまま与える形)。
    • 現場で集める証憑:
      • 外装/ラベル画像、SKU情報、販売チャネル、容器仕様。
    • 誤分類の典型:
      • 缶入りキャットフードを「食品缶詰」の感覚で別章へ → 2309.10として整理された事例がある。(税関ウェブサイト)
  • 影響ポイント3:油かす(23.04〜23.06)と“油さい(15.22)/たん白加工品(21.06)”
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • どの工程で出たものか(油脂抽出後の固形残渣か、精製工程の沈殿/スカムか、たん白濃縮/分離工程品か)。
    • 現場で集める証憑:
      • 製造工程、SDS、工程内での位置づけ、粗脂肪/粗たん白/繊維の分析。
    • 誤分類の典型:
      • “大豆由来”だけで2304固定 → 除外に当たり得る(15.22や21.06)。

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:配合飼料(混合・ペレット)を、原料のどれか(例:ふすま=2302、油かす=2304)で申告してしまう
    • なぜ起きる:インボイス品名が「corn/wheat/soy meal mix」等で、原料名が前面に出る。
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):混合・調製され「飼料用に供する種類の調製品」として23.09に整理されることがある(配合飼料の分類事例あり)。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:原料割合、製造工程(混合/成形)、用途表示、成分保証。
      • 社内質問例:「これは単一副産物?それとも意図して配合・調製している?」「対象動物と給与方法は?」
  2. 間違い:バガス(2303.20)と“発酵バガス飼料”(2309.90)を同一視
    • なぜ起きる:原料が同じ「バガス」なので、工程差を見落とす。
    • 正しい考え方:発酵・添加・成形等で飼料用に積極加工された場合、23.09側に寄る(発酵バガスの事例)。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:発酵条件、糖みつ等の添加目的(結合剤か栄養源か)、形状(キューブ等)。
      • 社内質問例:「添加は“固めるため”だけ?それとも発酵促進・栄養調整?」
  3. 間違い:犬猫用ペットフードを“食品っぽい”ので16類/21類にしてしまう
    • なぜ起きる:缶詰・レトルト等、人の食品に近い見た目。
    • 正しい考え方:犬猫用で小売用なら2309.10(事例あり)。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:犬猫用表示、包装形態(小売)、給与方法。
      • 社内質問例:「これは“人が食べる用途”は一切ない?」「小売用(消費者向け個装)?」
  4. 間違い:大豆由来の高たん白製品を全部2304(大豆油かす)に入れる
    • なぜ起きる:「脱脂大豆」「大豆ミール」周辺の用語が紛らわしい。
    • 正しい考え方:日本の解説で、23.04に含まれる範囲と、**21.06等へ除外され得る“たん白濃縮物等”**の注意が示されています。
    • 予防策:
      • 確認資料:繊維状か否か、たん白濃縮/分離の工程有無、最終用途(食品原料か飼料原料か)。
      • 社内質問例:「油の抽出残渣?それともたん白を“製品化”する工程が入っている?」
  5. 間違い:“油かす”と“油さい(15.22)”を混同
    • なぜ起きる:どちらも油脂関連の残渣で見た目が似る。
    • 正しい考え方:油脂抽出後の固形残渣は23.04〜23.06側、精製工程の油さい等は15.22側が典型(解説で言及)。
    • 予防策:
      • 確認資料:工程図(抽出後か精製後か)、脂肪分、含水率。
  6. 間違い:「ペレット」表示だけで“ペレット状”と決めつける
    • なぜ起きる:商流用語の“pellet”と関税率表上の定義がズレる可能性。
    • 正しい考え方:部注で「ペレット」の定義(結合剤3%以下等)が示されています。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:成形方法、結合剤の種類と添加率、粒径/形状。
  7. 間違い:清酒かす等(醸造かす)の性状確認不足
    • なぜ起きる:インボイスに「sake lees」等としか書かれず、アルコール残存や状態が不明。
    • 正しい考え方:日本の詳細解説では清酒かすの定義(例:純アルコール量の目安)が示されています。(税関ウェブサイト)
    • 予防策:
      • 確認資料:アルコール分分析、製法、乾燥の有無。
  8. 間違い:23.08(植物性残渣)と23.09(飼料用調製品)の境界で、“用途だけ”で決める
    • なぜ起きる:どちらも飼料用途で、品名が似る。
    • 正しい考え方:23.09の類注が示す「加工により本質的特性を失う程度」など、加工度がポイント。
    • 予防策:
      • 確認資料:顕微鏡的な組織残存の有無(必要なら)、製造工程、混合/添加の有無。

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。HSを誤ると、適用すべきPSR(CTH/CTSH/RVC等)自体が変わり、原産性判断が崩れます。
  • 第23類は「残渣・飼料用調製品」で材料が多岐にわたるため、BOM上の材料HSが散りやすく、CTH/CTSHの判定がブレやすいです(特に2309の配合飼料)。

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定は、**交渉・締結時点のHS版(例:HS2012、HS2017等)**でPSRや譲許表が作られていることがあります。
  • 例(一次資料/公的資料から確認できるもの):
    • 日EU EPA:PSR(Annex 3-B)で「Harmonized System classification (2017)」として整理されています。(外務省)
    • 日豪EPA:JETROの実務マニュアルで、関税率・品目別規則等が2012年版HSコードで規定されている旨が説明されています。(JETRO)
    • RCEP:運用上、PSRがHS2012で参照できることや、時期によりHS2022への移行が関係する旨のガイダンス例があります(国・時期で取扱いが変わり得るので要確認)。(Australian Border Force Website)
  • 実務対応(一般論):
    • ① まず協定のPSRが参照するHS版を確認
    • ② 申告で使うHS(現行の実行関税率表/輸出統計品目表)との間で**トランスポジション(旧→新対応)**を整理
    • ③ 税関のPSR検索等で、変換リンクや対応表を使って確認(日本税関のPSR検索画面では、HS版の相互変換への案内があります)。(税関ウェブサイト)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 必要データ(最低限):
    • 材料表(BOM)・材料原産国・材料HS(可能なら6桁)
    • 配合比率、工程(混合・発酵・加熱・乾燥・成形等)、RVC計算の前提(EXW/FOB)
  • 証明書類・保存(一般論):
    • 仕様書・分析表・製造記録・仕入書・原産地証明関連の記録を、協定・国内法に沿って保存

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(範囲明確化)23.06「vegetable fats or oils」→「vegetable or microbial fats or oils」へ(微生物油脂由来の油かす等を明確に包含)微細藻類・酵母等の微生物油脂の抽出残渣が、23.06側で整理しやすくなる。契約書・工程資料に“microbial oil extraction residue”が出てくる案件で重要。

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料と判断のしかた:
    • WCOが公開するHS2017版とHS2022版のChapter 23の条文PDFを比較すると、23.06の見出し文言が上表のとおり変更されていることが確認できます。
  • 補足:
    • この変更は「6桁コードの新設/削除」というより、見出しの範囲の明確化です。実務では、取引品が「微生物油脂の抽出残渣」に該当するかを、工程資料で説明できるようにすることが重要です。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

第23類は、長期的には“見た目が似た残渣”が統合されることがあります。WCOの旧版条文から確認できる主要点を、可能な範囲で整理します。(世界税関機関)

版の流れ主要な追加・削除・再編(要旨)旧コード→新コード(目安)実務メモ
HS2002→HS200723.02の「米由来(2302.20)」が見当たらなくなり、穀物系の整理が簡素化2302.20(Of rice)→ 2302.40(Of other cereals)へ吸収“米ぬか/米ふすま”は、現行では一般に2302.40側で整理する発想になります(国内コードは別途)。(世界税関機関)
HS2002→HS200723.06の「とうもろこし胚芽(2306.70)」が統合2306.70(Of maize germ)→ 2306.90(Other)へ吸収“corn germ oilcake”系は2306.90側で整理されやすいです。(世界税関機関)
HS2007→HS2017大きな6桁構造変更は限定的(少なくとも条文上は同じ構造を維持)第23類は「工程由来」で安定している一方、23.08/23.09の境界が実務では難所。(世界税関機関)
HS2017→HS202223.06の文言に「microbial」が追加微生物油脂の抽出残渣案件で要注意。

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):発酵バガスを“単なるバガス”として申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):23.09の“飼料用調製品”該当性を見落とし、23.03側で処理。
    • 起きやすい状況:インボイスに「bagasse」だけ、工程情報が出てこない。
    • 典型的な影響:税番更正、追加資料要求、検査強化・通関遅延。
    • 予防策:工程(発酵・糖みつ添加目的)を仕様書に明記し、必要なら事前教示。(税関ウェブサイト)
  • 事例名:缶詰キャットフードを食品(人用)として申告
    • 誤りの内容:犬猫用小売の2309.10に該当し得るのに、別章へ。
    • 起きやすい状況:外観が人用缶詰に近く、社内で食品担当が処理。
    • 典型的な影響:税関照会、資料追加、HS更正、(国内コード差で)税率や統計がズレる。
    • 予防策:犬猫用表示・給与方法・包装を提出できるようにする。(税関ウェブサイト)
  • 事例名:大豆由来高たん白品の2304固定
    • 誤りの内容:23.04の範囲と、21.06等に除外され得る品の区別が不十分。
    • 起きやすい状況:「soy protein」「defatted soy flour」など曖昧な品名。
    • 典型的な影響:税率差・原産地規則(CTH/CTSH)差で、EPA適用可否が崩れる。
    • 予防策:工程(たん白濃縮/分離の有無)、分析表、用途を揃えて事前確認。
  • 事例名:清酒かすの性状未確認で分類が揺れる
    • 誤りの内容:醸造かすとしての性状確認(アルコール残存等)を省略。
    • 起きやすい状況:副産物で仕様書が薄い。
    • 典型的な影響:追加分析要求、通関遅延。
    • 予防策:日本の詳細解説で示されるような指標(例:純アルコール量の目安)を踏まえ、分析・工程証跡を用意。(税関ウェブサイト)

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫(該当があるものだけ):
    • 検疫・衛生(SPS等)
      • 飼料安全法(飼料・飼料添加物):輸入飼料・飼料添加物は基準・規格、禁止物質等の対象になり得ます。具体の手続(届出等)は品目・成分・用途で変わるため、MAFF/FAMICの案内で確認が必要です。(農林水産省)
      • ペットフード安全法(犬猫用):犬猫用のペットフードは別法体系で届出・基準等の枠組みがあります。(環境省)
    • 植物検疫
      • 乾草・わら等、植物性材料を含む飼料・敷料は、植物検疫の対象になり得ます(相手国・品目で要件が変動)。(famic.go.jp)
    • 動物検疫
      • 動物由来原料(肉骨粉等)や、牧草等の一部は動物検疫の観点で制限・条件が課される場合があります。(農林水産省)
    • 安全保障貿易管理(該当する場合)
      • 第23類は一般に該当頻度は高くありませんが、混合物に該当物質が含まれる場合等は別途確認が必要です(一般論)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 農林水産省(飼料・飼料添加物、ペットフード)
    • FAMIC(手続・通知等)
    • 植物防疫所(植物検疫)
    • 動物検疫所(動物検疫) (農林水産省)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 成分表、原料由来証明、製造工程、SDS、用途表示(対象動物)、包装仕様、分析成績(必要に応じてアルコール分・油分・たん白等)。

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 原材料(100%合計)・添加物
    • 製造工程(どの産業の“残渣”か、調製の有無)
    • 用途(対象動物、給与方法)、販売形態(小売/業務用)
    • 写真(形状:粉・フレーク・ペレット・キューブ、包装)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 23.09の類注を踏まえ、23.08/23.09の境界を再点検
    • 油かす(23.04〜23.06)と油さい(15.22)/高加工たん白(21.06)を再点検
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名が“residue”“meal”“feed”程度なら、工程由来・用途が伝わる補足を添付
    • 犬猫用なら小売包装資料を必ず添付(2309.10判定の要) (税関ウェブサイト)
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版(HS2012/2017等)を確認し、必要ならHS変換 (外務省)
    • BOMの材料HSと工程証跡を整備(混合飼料は特に重要)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 飼料安全法、ペットフード安全法、植物/動物検疫の該当性を確認 (農林水産省)

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文・旧版含む)
    • HS2022 Chapter 23 条文(PDF) (参照日:2026-02-17)
    • HS2017 Chapter 23 条文(PDF) (参照日:2026-02-17)
    • HS2007 Chapter 23 条文(PDF) (世界税関機関)(参照日:2026-02-17)
    • HS2002 Chapter 23 条文(PDF) (世界税関機関)(参照日:2026-02-17)
  • 日本税関・公的機関のガイド
    • 関税率表解説 第23類(23r.pdf) (参照日:2026-02-17)
    • 第IV部 部注(ペレット定義等、4b.pdf) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 第23類の詳細解説(清酒かす等、23rd.pdf) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 品目分類事例:配合飼料(2309.90) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 品目分類事例:発酵バガス(2309.90) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 品目分類事例:キャットフード(2309.10) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
    • 日本税関:品目別原産地規則(PSR)検索(HS版変換案内含む) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
  • FTA/EPA本文・付属書・運用ガイダンス(例示)
    • 日EU EPA Annex 3-B(PSR、HS2017表記) (外務省)(参照日:2026-02-17)
    • JETRO:日豪EPA活用マニュアル(HS2012言及) (JETRO)(参照日:2026-02-17)
    • RCEP(全文) (ASEAN Main Portal)(参照日:2026-02-17)
    • RCEP運用ガイダンス例(PSR/HS移行に言及) (Australian Border Force Website)(参照日:2026-02-17)
    • 日インドネシア協定:品目別規則改正(HS版運用に言及) (税関ウェブサイト)(参照日:2026-02-17)
  • 規制・許認可(日本)
    • MAFF:飼料安全法関連(輸入手続等) (農林水産省)(参照日:2026-02-17)
    • FAMIC:飼料・ペットフード関連手続案内 (famic.go.jp)(参照日:2026-02-17)
    • 環境省:ペットフード安全法Q&A (環境省)(参照日:2026-02-17)
    • 植物防疫所(植物検疫) (famic.go.jp)(参照日:2026-02-17)
    • 動物検疫所(動物検疫) (農林水産省)(参照日:2026-02-17)

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

※ここは**HS6桁ではなく日本の国内コード(統計品目番号等)**の話です。国際共通のHS(6桁)と混同しないでください。

  • 2309.10(犬猫用・小売)では、日本の国内コードで犬/猫、気密容器入り等の区分が設けられていることがあります。キャットフード事例では統計番号レベルまで示されています。(税関ウェブサイト)
  • 2309.90(その他)では、国内運用上、ペレット状・キューブ状など形状や“基材が何か”で細分されることがあります。
  • 形状判断の前提として、第IV部部注の「ペレット」定義(結合剤3%以下等)が参照され得ます。(税関ウェブサイト)

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • どの情報を揃えると相談が早いか(一般論):
    • 製品概要(用途・対象動物)、原材料比率、製造工程、写真(形状・包装)、分析表(必要に応じて)、想定HS(自社案)
  • 日本税関の公開事例は、**品目分類事例(PDF)**が具体的で、特に23.09(配合飼料、発酵バガス、キャットフード)のような“境界が難しい品”の参考になります。(税関ウェブサイト)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

 

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投稿者: shima

嶋 正和 株式会社ロジスティック 代表取締役社長

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