HSCF: 付番トライアル009:Googleで拾った電子部品

付番トライアル: 2026年1月15日

電子部品は、判定が難しいと考え、HSCFのチャレンジとしてトライしました。

Googleで「電子部品」というキーワードで検索、写真のみでHSコードの特定を図りました

このようなものをトライしました。

HSCFの回答はこちら

日本語版

1) 結論

推定HS(6桁):8542.33

国別例示(任意):

  • JP:8542.33(電子集積回路(アンプ))
  • US:8542.33(電子集積回路(アンプ))
  • EU:8542 33(電子集積回路(アンプ))

要約:写真の部品は、樹脂封止の8ピンDIP形状の電子集積回路(IC)に見え、表示からアンプ用ICとして扱うのが最も自然なため、電子集積回路の「アンプ」に該当する8542.33を第一候補とします。

確度(%):78%

2) 根拠

適用通則・注(例:GRI 1, 6、類注・部注):通則1(項の文言と注)により「電子集積回路」に該当する見出し8542を選択し、通則6により号レベルで「アンプ」に該当する細分(8542.33)を選択。

判定ポイント(主用途、主要材質、機能、構成、セット該当性 等):単体の半導体IC(樹脂モールドのDIPパッケージ)として提示されており、完成品機器ではなく「電子集積回路」そのものとして分類するのが自然。型番表示からアンプ用途のICとして扱うのが合理的。

仮定(入力不足を補う前提):写真上の印字(例:8002C等)はオーディオ/信号増幅用のアンプIC(パワーアンプ/オペアンプ等)を示すものと仮定。基板実装品ではなく、単体ICとして輸入される前提。

排他・除外の理由(他の類・項ではない理由):ダイオード/トランジスタ等のディスクリート半導体(8541)ではなく、複数素子を一体化した集積回路形状であるため8542を優先。単体で特定機能機器として扱う8543等より、品目が明確に特定される8542が優先。

型番・画像:画像A/B/C(観察ポイント)

A. 全体像(外観・形状)

  • 8ピンDIP形状の樹脂モールド部品に見える
  • 片側に4本のリードが見える(DIP-8想定)

B. 天面印字(メーカー/型番の手掛かり)

  • 天面に英数字の印字が確認できる(型番・ロット等の可能性)
  • 表示からアンプ系ICとしての推定材料になる

C. リード/端子部(単体部品としての提示)

  • リードフレーム(端子)が個別に露出し、基板実装前の単体部品形態に見える
  • モジュールや完成基板ではない

3) 候補比較

候補の比較表は以下です。

候補HS(6桁)理由棄却理由確度(%)
8542.33電子集積回路で、用途が「増幅(アンプ)」と判断できる場合の細分78
8542.39電子集積回路である点は同じだが、アンプ用途の確証が弱い場合の受け皿印字/型番情報がアンプを示すなら8542.33がより適合20
8542.31プロセッサ/コントローラ等に該当する場合DIP-8の一般的用途や印字からは該当性が低い2
8541.10ディスクリート半導体(例:ダイオード等)の場合形状が集積回路(多端子パッケージ)であり通常該当しない0

4) 争点・注意

「アンプ(8542.33)」か「その他(8542.39)」かは、型番の正式仕様(データシート)で確度が大きく上がります。

もしIC単体ではなく、プリント基板に実装済み(アセンブリ)で輸入する場合は、分類論点が変わる可能性があります(完成品機器/ユニットの扱い)。

税番は6桁(HS2022)までが共通ですが、各国の統計細分(7桁以降)や規制は別途確認が必要です。

5) 追加で必要な情報

  • 正式な型番(例:メーカー型番、型番末尾のパッケージ記号)
  • データシートURLまたは主要仕様(用途、増幅の有無、機能ブロック)
  • 輸入形態(単体ICか、基板実装品か、セット品か)
  • 通関国(JP/US/EU等)と、求めたい国内細分(統計品目番号)

6) 参考資料・出所

(参考)税関公表資料:品目分類の基礎、事前教示制度資料

WCO Explanatory Notes(HS2022) 第85.42項(電子集積回路)

関税率表の解釈に関する通則(通則1・6)

封止材に書かれた情報他から、いろいろ調べてかなり精度の高い判定をしてくれました。

データシートを見つけましたので、それを追加の情報として、インプット。

結論は、同じ。確度が92%にアップしました。

■HS2028■➀プラスチック廃棄物とリサイクル関連のHSコード

3915の大改編と、回収インフラ機器まで含む実務インパクト

2028年1月1日発効予定のHS2028は、WCO(世界税関機構)が取りまとめた299セットの改正を含みます。改正テーマには、環境・取締り目的でのモニタリング強化が明確に掲げられており、その代表格がプラスチック廃棄物(見出し3915)と、単回使用(single-use)プラスチック、さらに回収・選別に関わる機器です。(世界税関機関)

この記事では、HS2028で何がどう変わり、企業実務にどんな影響が出るのかを、ビジネス目線で整理します。


1. なぜ今、プラスチック廃棄物のHSが大きく動くのか

背景にあるのは、バーゼル条約(Basel Convention)のプラスチック廃棄物改正です。2019年に採択され、2021年1月1日から新しい区分(A3210、Y48、B3011)が有効になりました。ポイントは、国境を越えるプラスチック廃棄物の移動について、PIC手続(事前の同意手続)の対象範囲を明確化したことにあります。(バーゼル条約)

特に、PIC対象外になり得るB3011は「単一の非ハロゲン系ポリマーのみ」や「PE・PP・PETの混合(条件付き)」などを対象としつつ、ほぼ汚染がなく、他の廃棄物混入がないこと、環境上適正なリサイクルに向けられること、といった条件を伴います。(バーゼル条約)

HS2028では、この考え方を税関実務で扱いやすいように、HSコード側(3915)を大幅に細分化し、危険性・ポリマー種・混合形態で分類しやすくする方向が明確になっています。(連邦関税局)


2. HS2028の核心:見出し3915が「危険性」と「材質」で再設計される

HS2028では、見出し39.15(プラスチックのくず、切れ端、スクラップ等)が実質的に作り替えられます。大枠は次の3層です。(連邦関税局)

2-1. 3915.40:有害性のあるプラスチック廃棄物を切り出す

3915.40は、新設の小見出し注で定義される「一定の有害物質を含み、かつ危険特性を示す」プラスチック廃棄物のみを対象にします。注には、重金属類や有機ハロゲン化合物などの例示と、爆発性・引火性・腐食性・急性毒性・生態毒性等の危険特性が列挙されています。(連邦関税局)

実務的には、廃棄物として輸出入する際に、SDSや分析、汚染・添加剤情報などの裏取りが強く求められる領域です。

2-2. 3915.51〜3915.59:非ハロゲン系で、単一ポリマーかつ汚染が少ない廃棄物をポリマー別に分類

HS2028では、非ハロゲン系ポリマーの単一材(ほぼ汚染がなく他廃棄物の混入がない)を、材質別に細分します。代表例は次の通りです。(連邦関税局)

・3915.51 ポリエチレン系
・3915.52 ポリプロピレン系
・3915.53 スチレン系
・3915.54 ABS
・3915.55 PET
・3915.56 ポリカーボネート
・3915.57 ポリエーテル
・3915.58 尿素樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、エポキシ樹脂、アルキド樹脂
・3915.59 その他

ここは、バーゼル条約B3011の「単一ポリマーで、ほぼ汚染がない」という条件と整合する思想が見えます。(バーゼル条約)

2-3. 3915.61、3915.62、3915.69:ハロゲン系やフッ素系を明確に分ける

ハロゲン系ポリマーを含む廃棄物は別建てに整理されます。PVCのみのもの(3915.61)や、特定フッ素系ポリマーの製造くず(3915.62)などが明示され、その他は3915.69に整理されます。(連邦関税局)

2-4. 3915.91:PE・PP・PETの混合(条件付き)を独立コードに

PE・PP・PETのみからなる混合で、ほぼ汚染がなく他廃棄物の混入がない場合を3915.91に整理します。その他は3915.99です。(連邦関税局)

さらに重要なのが、小見出し注のルールです。
「物理的に分離可能な異種ポリマーの混合廃棄物」は、単一ポリマー扱いの区分に入れられず、3915.40、3915.69、3915.91、3915.99のいずれかにしか分類できない、と明記されます。(連邦関税局)

これは、現場で起きがちな「混合だけど、主材で押し込む」運用にブレーキがかかることを意味します。


3. 「廃棄物」だけではない:単回使用プラスチックの定義とコード整備

HS2028では、Chapter 39に「single-use」の定義が入り、単回使用プラスチックのモニタリングを意識した小見出し整備が進みます。定義は、通常1回の使用後に廃棄またはリサイクルされ、反復・長期使用を意図しないもの、という考え方です。(連邦関税局)

具体例として、単回使用の飲用ストローが3917.24や3917.34に明示されたり、包装容器(3923)や食卓用品(3924)などでも単回使用区分が追加されています。(連邦関税局)

ここは、製品メーカー側にも「単回使用か否か」を税番で切り分ける実務が入り込む可能性があり、廃棄物(3915)に加えて、製品側のコード管理も見直し対象になります。


4. リサイクル関連設備も影響:回収機(reverse vending machines)がHS上で明確化

デポジット回収などで使われる自動回収機(reverse vending machines)も、HS2028で扱いが明確になります。見出し84.76の見出し文に「自動回収機」が明記され、さらに「自動回収機」専用の小見出し8476.30が新設されます。選別・圧縮・保管コンポーネントを付けた状態でも対象になることが書かれています。(連邦関税局)

回収機を製造・輸出入している企業や、設備を海外展開するリテール・飲料関連企業にとって、税番の固定化は契約・通関の安定材料になります。一方で、従来別分類で運用していた場合は、切替時にマスター改修が必要です。


5. 企業実務で起きる影響を、現場の言葉に直す

5-1. HSコードが細かくなるほど、要求される証拠も細かくなる

3915は「材質の自己申告」だけでは通りにくくなります。単一ポリマーか、混合か、ハロゲン含有か、有害性を示す添加剤や汚染があるか、といった判断に、仕様書・分析・工程情報が必要になります。(連邦関税局)

5-2. バーゼル対応の輸出入実務と、税番がより直結する

バーゼル条約では、PIC対象外になり得るB3011でも「環境上適正なリサイクル」や「ほぼ汚染がない」等の条件が明記されています。税番の細分化は、これら条件を税関実務に落とすための道具になりやすい構造です。(バーゼル条約)

輸出入規制は国ごとに運用が異なるため一律ではありませんが、少なくとも「税番が変わることで、許可要否や審査ポイントが変わり得る」点は、法務・環境部門と通関部門の連携テーマになります。(バーゼル条約)

5-3. 契約とコストに波及する

税番が変わると、通関で止まるリスク、追加の分析費、再仕分けコスト、差戻し時の輸送費負担などが顕在化します。廃棄物・スクラップ取引は単価が低いケースも多く、少額の追加コストでも損益が崩れやすい領域です。


6. いますぐ着手できる準備メニュー

以下は、プラスチック廃棄物とリサイクル関連で、実務的に効果が出やすい順の対応です。

6-1. 品目棚卸しの切り口を変える

・3915に入れている取引を、単一ポリマー、混合、ハロゲン含有、有害性疑い、の4類型で再分類
・輸出入国別に、許可や届出の関係部門を明確化(通関、環境、法務、営業)(連邦関税局)

6-2. 証跡セットを最小構成で整える

・ポリマー種の根拠(工程、材料証明、分析)
・汚染・混入の管理ルール(受入検査、サンプリング、保管方法)
・リサイクル先の実在と処理内容(契約、処理フロー、受領記録)(バーゼル条約)

6-3. マスターとEDIの設計を、2028年切替前提に変える

・HS2022とHS2028の両方を保持できる項目設計(適用開始日で切替)
・3915は、材質、ハロゲン有無、混合可否、有害性フラグを持たせる
・回収機など設備系(8476.30など)も、該当品番の棚卸しを実施(連邦関税局)


まとめ

HS2028では、プラスチック廃棄物(3915)が「危険性」と「ポリマー種」「混合形態」で再設計され、単回使用プラスチックの定義導入や、回収機(reverse vending machines)の明確化まで進みます。(連邦関税局)
これは、単にコードが増える話ではなく、取引の通し方が「証拠を伴う分類」に寄っていくことを意味します。

廃棄物・リサイクルは、通関だけで完結しません。環境・法務・購買・現場運用まで巻き込んで、2028年を待たずに、いま棚卸しと証跡設計に着手するのが安全です。

HS2028と品目分類アップデートを経営課題に変える方法 2028年1月1日に向けた企業の実務ロードマップ


はじめに

HS改正は、関税コストやEPA・FTAの原産地判定、輸出入規制、社内マスタやBIの集計軸まで、企業の意思決定に直結する基盤データの更新です。特にHSの改正は、現場が気づいた時にはシステム改修やデータ整備が間に合わず、誤申告やコスト増に繋がるケースが起きやすいテーマです。

この記事では、メールの要点を踏まえつつ、HS2028の背景、企業に起こる現実的な影響、そして今から取るべき準備を、経営・事業サイドの視点で整理します。根拠は一次情報を優先し、公式発表を中心に組み立てます。wcoomd

まず結論:今日のメールが示す3つの意味

メールの短い文面を、ビジネス視点で言い換えるとポイントは次の3つです。

HS2028はすでに「準備段階」ではなく「実装計画を動かす段階」に入っている

WCOの第75回HS委員会は、2025年3月にHS2028改正勧告(Article 16 Recommendation)を暫定採択しました。 この勧告は2025年末に正式採択され、2026年1月に公表、2028年1月1日に発効する予定です。 つまり、企業に残された時間は「まだ2年ある」ではなく、「本格対応のための猶予が実質2年しかない」という意味です。strtrade+1​

HS2022からHS2028へのマッピングは、通関だけでなく社内データの変換作業である

メールが示唆する「HS2022→HS2028のマッピング開始」は、単なるコード置換ではありません。多くの場合、旧コード1つが新コード複数に分岐したり、統合されたりします。結果として、商品マスタ、BOM、購買カテゴリ、輸出入統計の集計軸まで影響します。WCOのHS委員会第76回会合(2025年9月)では、HS2022とHS2028の相関表(Correlation Tables)の作成に着手し、改善された形式を採用することで明確性と使いやすさを高める方針が示されました。customsmanager+1​

国別の関税率表・規制の追随で、実際のコストとリスクが確定する

HSは世界共通の6桁ですが、各国はその先の桁で自国の関税率表や統計品目表を作ります。したがって、企業にとっての本番は「自社が輸出入する国で、いつ、どのように関税率表や規制が改正されるか」です。米国ではUSITCが2025年8月にHTS改正のための調査(Investigation No. 1205-032)を開始し、2026年2月に予備案を公表、2026年9月に大統領へ報告する予定です。 これは、主要国がすでに国内実装に動き出していることを示す分かりやすい例です。usitc+1​

HS2028の公式タイムラインを整理する

意思決定で重要なのは、社内の工程表に落とせる形で公式の流れを押さえることです。

2025年3月
WCOのHS委員会第75回会合がHS2028改正勧告(Article 16 Recommendation)を暫定採択しました。 改正パッケージは299セットの改正で構成されています。aeb+2​

2025年6月
WCO理事会がHS2028改正案を採択し、HS条約締約国に回付しました。 締約国は6か月の留保期間中に異議を提起できます。tarifftel

2025年12月末
正式採択の予定です。wcoomd+1​

2026年1月
HS2028勧告が公表されます。 これが企業にとって全体像を把握できる最初のタイミングです。strtrade+2​

2028年1月1日
HS2028が発効し、各国の関税率表・統計品目表が順次HS2028ベースへ切替わります。tarifftel+2​

このスケジュールを見ると、企業が主導できる余地が大きいのは2026年から2027年にかけてです。ここでマスタ整備と影響分析を終えておかないと、2028年直前は各国の実装情報が押し寄せ、火消し型の対応になりがちです。

そもそもHS改正とは何を変えるのか

HSは6桁の国際共通コードで、各国・地域はこれに独自の枝番を付けて関税率表や統計品目表を運用しています。EUでは、HS6桁を土台に8桁のCN(Combined Nomenclature)が構成され、通関や統計に使われます。 つまり、国際共通部分(最初の6桁)が動くと、その上に乗る各国の体系が連鎖的に動きます。siccode

ビジネスに効くポイントは次の通りです。

  • HS改正は「商品名の辞書の更新」ではなく、企業の基幹データキーの更新
  • 同じ商品でも、分類ロジック(用途、材質、機能など)によって別コードになり得る
  • コードが変わると、関税率だけでなく、規制判定や社内集計も変わる

HS2028の方向性:なぜ改正されるのか

HS2028の改正は、単なる整理ではなく「政策目的を持ったアップデート」です。299セットの改正は、貿易パターンの変化、新技術の登場、そして社会・環境・安全保障上の要請に対応するためです。 具体例として、プラスチック廃棄物、ワクチン等の健康関連品目、農業分野で重要度が増した品目群、食品強化用のミックス、食品サプリメント、eバイク、半導体やトランスデューサ、清掃ロボット、ドローンなど、新製品・市場変化を踏まえた分類の整合が含まれます。aeb+2​

この点は経営層にとって重要です。なぜならHS改正は、次のような企業リスクを「構造的に増やす」からです。

  • 新技術領域は製品定義が早く変わり、分類根拠が揺らぎやすい
  • 環境・安全保障領域は規制との紐付けが強く、誤分類のペナルティが重くなりやすい
  • 簡素化の名目で統合・削除が起きると、旧データとの連続性が崩れ、集計・比較が難しくなる

「分類」アップデートが企業を揺らす理由

メール題名にあるClassificationは、単にHS改正だけでなく、日々積み上がる分類判断(分類裁定、分類意見、解説書の改正など)も含むと捉えるのが実務的です。

WCOのHS委員会は、HSの統一的解釈のために分類判断や解説の改正を継続的に行っています。第75回会合では105件の改正案、5件の解説注改正を採択し、第76回会合(2025年9月)では40件の分類決定を採択、21件の新規分類意見を作成し、2件の既存意見を削除しました。 また、HS2028とHS2022の相関表の議論も開始されています。wcoomd+2​

ここから導ける実務の教訓は明確です。分類は一度決めて終わりではなく、制度側の判断が積み重なっていく領域です。HS2028の大改正は、その積み重ねが一気に体系変更として表面化するイベントだと言えます。

ビジネスへの影響を「5つの損益項目」で見る

HS改正は通関や貿易管理の話に見えますが、事業PLの要素に分解すると、経営会議で議論しやすくなります。

関税と輸送を含む着地原価(landed cost)

HSコードが変われば、各国の関税率表で適用税率が変わる可能性があります。税率が同じでも、追加要件(統計単位、特別措置、規制コード付与など)が付くことがあります。国別の実装が確定するまで見通しは立ちにくいので、影響が大きい品目から順にシナリオ分析するのが現実的です。usitc

EPA・FTAの原産地判定

多くの協定では関税分類(項、号など)を使って原産地規則を定義します。HSが改正されると、ルールの適用解釈や、協定側の改訂・経過措置が論点になります。調達や生産設計の意思決定に影響するため、貿易管理部門だけに閉じない論点です。

輸出入規制・社内コンプライアンス

HSコードが規制の入口になっているケースは少なくありません。分類の精度がコンプライアンスの前提になります。

需要・売上・粗利の分析軸

HSを商品分類のキーとして社内集計に流用している企業は多いはずです。HS変更は、経営ダッシュボードの前年対比や市場シェア分析の連続性を壊し得ます。ここは財務・経営企画が早めに関与すべき領域です。

取引条件・価格交渉

関税コストが変われば、価格改定や契約条項(関税負担、価格改定条項、長期契約の見直し)に波及します。特にBtoBで長期契約が多い業界は、HS改正が「誰が追加コストを負担するか」の交渉材料になります。

2026年から始める実務ロードマップ

ここからが本題です。HS2028対応は、プロジェクトとして切り出すと成功確率が上がります。おすすめは次の6ステップです。

ステップ1 影響が大きい領域の棚卸し

  • 輸出入額上位の品目
  • 規制対象や監査頻度が高い品目
  • FTA利用比率が高い品目
  • 新技術カテゴリ(例:電子部品、機器、電池、環境関連など)

ステップ2 分類根拠の整備

コードだけを並べても、変更時に判断が揺れます。製品仕様、用途、材質、機能、構造、技術資料など、分類根拠の証跡を揃えます。

ステップ3 HS2022からHS2028へのマッピング設計

相関表を使う場合でも、単純な置換ではなく、分岐・統合の扱いが肝になります。WCO側でも相関表は重要な実装ツールとして議論されています。 社内では「自社の品目がどの分岐に該当するか」を決める必要があります。customsmanager+1​

ステップ4 国別の実装情報を監視する仕組みを作る

HSは各国で枝番と税率が付くため、国別ウォッチが必要です。特に輸出入量が多い国は、官報、税関告示、関税率表改正、関連機関のパブコメなどを定常監視に入れます。米国向け取引がある場合、USITCのHTS改正プロセスのように、ドラフトが公表されるタイミングを先に工程表へ入れられます。starusa+1​

ステップ5 システムとデータのバージョン管理を実装する

HSの年版(例:HS2022、HS2028)と適用期間をデータ項目として持ち、いつの時点でどのHS体系を使ったのかを追える設計にします。ここを曖昧にすると、監査対応とBIの整合が崩れます。

ステップ6 社外パートナーとの同期

通関業者、フォワーダー、海外子会社、主要サプライヤーに対し、いつから何を切り替えるかを共有します。データ連携をしている場合は、マッピングテーブルの配布・受領、テスト計画まで含めます。

経営層が見ておくべきKPI

現場任せにすると、進捗が見えません。次の指標は、経営側でもモニタリングしやすいです。

  • 売上または輸出入額の上位80パーセントを占める品目のうち、HS2028影響分析が完了した比率
  • マッピングで分岐・統合が発生する品目数(ここが工数とリスクの中心)
  • 規制対象品目の再確認完了率
  • 主要国別の実装情報収集状況(ドラフト入手、社内反映、テスト完了)

まとめ:HS2028は一度きりのイベントではない

HS2028は大きな節目ですが、そこがゴールではありません。WCOは継続的にHSの解釈と適用の統一を推進しており、今後も定期的な改正サイクルが続きます。 つまり、企業としては「改正のたびに頑張る」のではなく、「改正に強い運用能力」を作ることが投資対効果の高い戦略になります。wcoomd+1​

HSは通関のための番号に見えて、実態は利益管理と規制対応の共通キーです。今日のメールをきっかけに、2028年の切替を、リスク回避だけでなく、データ基盤整備と意思決定スピード向上の機会として設計していくのが得策です。


  1. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx
  2. https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/april/amendments-to-2028-harmonized-schedule-advanced
  3. https://www.customsmanager.info/post/wco-hs-decisions-what-changed-hsc-76-customs-manager-ltd
  4. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/october/harmonized-system-committee-concludes-its-76th-session-with-remarkable-outcomes.aspx
  5. https://www.usitc.gov/press_room/news_release/2025/er0812_67410.htm
  6. https://starusa.org/trade-news/usitc-investigation-launched-on-2028-harmonized-tariff-schedule-changes-to-align-with-global-standards/
  7. https://www.aeb.com/en/magazine/articles/hs-code-2028.php
  8. https://www.tarifftel.com/blog/hs-2028-your-guide-to-the-next-harmonised-system-update/
  9. https://siccode.com/page/combined-nomenclature-cn
  10. https://global-scm.com/blog/?p=3091
  11. https://www.scribd.com/document/899687945/75
  12. https://www.internationaltradenews.co.uk/issue80/next_edition_of_harmonised_system_to_be_available_from_january_2026.htm
  13. https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/tools-to-assist-with-the-classification-in-the-hs/hs_classification-decisions.aspx
  14. https://global-scm.com/hscf/archives/466
  15. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx?stf=1
  16. https://catts.eu/wco-wto-updates-april-2025/
  17. https://www.tariffnumber.com/info/combined-nomenclature