デモ依頼が増える理由 曖昧な情報でも結論まで導くHS判定の進め方

今日のデモ依頼は「情報が揃わない」現場あるある

今日も、ある企業さまからHSCFのデモのご依頼をいただきました。テーマは、現場で本当によく起きる悩ましいケースです。情報が揃いきらない状態でも、どこまで精度を上げて判断できるか。ここが今回の焦点でした。

ご相談は大きく3つ

今回のご相談は、次の3点に集約されました。

  1. 写真がややぼけている商品の判定を、SDSと突き合わせてどう進めるか
  2. 3Dプリンタで作成した補助具を、どの考え方で整理するか
  3. CTCでの部材HSコード付番を、HS年次変換込みでどう揃えるか

1つ目:写真がぼけていても、SDSで判断の筋道は作れる

写真がややぼけている商品は、見た目だけで判断すると誤判定につながりやすい一方で、SDSには組成や性状の重要な手掛かりが詰まっています。

HSCFでは、写真の情報を補いながら、SDSの要点を根拠として整理し、判断の筋道を見える形にするところまで一気に進めました。
ポイントは、見た目の印象ではなく、根拠として残せる情報に判断軸を寄せることです。


2つ目:3Dプリンタ補助具は、用途と組み込み方で結論が変わる

次は、3Dプリンタで作成した補助具の扱いです。用途や設計思想、最終的にどの機械や工程にどう組み込まれるかで結論が変わりやすく、担当者が最も迷いやすい類型のひとつです。

デモでは、判断に必要な追加質問を最短距離で引き出し、結論に至るロジックを分解して説明しました。
曖昧さを減らす鍵は、仕様や役割を言語化し、判断に必要な条件を先に揃えることにあります。


3つ目:CTCは部材HS付番の一貫性と年次差の整理が勝負

3つ目は、CTCでの部材のHSコード付番です。部材点数が多いほど、付番の一貫性と、年次の違いによる齟齬がボトルネックになります。

今回は、HS年次変換を織り込みながら、部材ごとの付番とCTC判定の前提条件を揃えるところまで確認しました。
CTCの議論は、前提が揃った瞬間にスムーズになります。逆に言えば、前提が揃っていないと、議論がいつまでも終わりません。


デモの反応は良好、そして話題は自然にFTA検証へ

得意領域の案件だったこともあり、デモ後の反応はかなり良好でした。
ただ、印象的だったのは、その後の会話が自然にFTAの原産地検証の話へ移ったことです。

実務では、HSコードが正しくても、運用や証明の組み立てが弱いと、検証対応で時間とコストを失います。
逆に言えば、ここを整えるだけで、FTAは守りではなく攻めの武器になります。


私たちが提供しているのは、HSだけではなくFTAの戦略活用まで

私どもは、HSコードの支援にとどまらず、FTAをどう戦略的に活用するかまで含めてコンサルティングしています。そこで最後に、「ご心配があれば、証明方法や運用が適切かを点検するFTA診断もあります」とお伝えしました。


まとめ:HSCFのデモも、FTAの相談も歓迎です

HSCFのデモはもちろん、FTAの運用設計や検証対応の不安、証明の仕組みづくりまで、相談は大歓迎です。
現場で詰まりやすい論点ほど、早めに整えて、安心して攻めに転じられる状態を一緒に作っていきましょう。

HSコードの「ドシエ」とは何か?通関の答え合わせではなく、経営のリスク管理である

輸出入の現場では、HSコードを決める作業が「通関担当者だけの仕事」と見なされがちです。しかし実際には、HSコードは関税コスト、EPA/FTAの適用可否、輸入規制、統計、さらには社内マスタの整合性まで、あらゆるビジネスプロセスに連鎖します。

そこで今、先進的な企業が取り入れているのが「HSコードのドシエ(Dossier)」という考え方です。本稿では、ドシエの重要性と、ビジネスマンがとるべき対応を実務視点で解説します。


1. HSコードにおける「ドシエ」の定義

ドシエとは、ある品目を特定のHSコードで申告することについて、「なぜその番号なのか」を合理的に説明できる根拠一式をまとめた証拠ファイルです。

英語では Classification DossierClassification Rationale File と呼ばれます。

ポイント:ドシエは単なる「番号のメモ」ではない

判断のプロセスと証拠を残す「仕組み」です。税関の事後調査や監査が入った際、第三者が納得できる形で説明できることを目的とします。


2. なぜ今、ドシエが必要なのか?

属人的な運用(「あの人が決めたから大丈夫」)には限界があります。以下のリスクを回避するために、ドシエによる組織的な管理が不可欠です。

  • 製品の高度化・複合化: センサー付部品やソフトウェア搭載機器など、分類の判断が分かれやすい製品が増えている。
  • サプライチェーンの分断: 設計は日本、製造は海外、通関は業者委託。情報が断片化し、分類の根拠が不明になりがち。
  • 税関のデータ分析力向上: 申告データがデジタル化され、同じ品目なのにコードが揺れていると、即座に照会の対象となる。
  • HS改正への対応: 数年ごとのHS改正や各国独自の細分改訂に対し、個人の記憶だけで整合性を保つのは危険。

3. 「強いドシエ」を構成する5つの要素

監査や照会に耐えうるドシエには、以下の情報が整理されている必要があります。

カテゴリ含まれるべき中身
A. 製品特定情報写真、図面、仕様書、カタログ、材質・組成、用途、機能の有無、変更履歴
B. 分類ロジック解釈通則の適用方針、参照した部類注・類注、候補から外した号とその理由
C. 外部根拠事前教示(Advance Ruling)、当局のガイダンス、他国での決定事例(EUのBTI等)
D. 運用情報適用税率、特恵適用の可否、他法令(許認可)の有無、統計品目番号
E. 統制・版管理作成・承認者、適用開始日、改訂理由(仕様変更やHS改正など)

4. 実務担当者が意識すべき「5つの論点」

ドシエを現場任せにせず、経営として機能させるための戦略的な視点です。

① 優先順位を決める(全品目を目指さない)

「支払関税額が大きい」「分類が難しい部品」「過去に指摘を受けた」など、リスクの高い品目から着手するのが現実解です。

② 情報の「所有権」を明確にする

分類は通関部門だけで完結しません。

  • 設計・品質管理: 製品の事実(Fact)を担保する。
  • 貿易担当: 分類ロジック(Logic)を構築する。最終的な説明責任は、外部業者ではなく自社にあります。

③ マスタデータと連動させる

ドシエはERP(基幹システム)や品目マスタの「裏付け」です。書類とシステム上のデータが一致していることが統制の基本です。

④ 変更管理のトリガーを定義する

「設計変更」「材料の変更」「ソフト更新による機能追加」があった際、自動的にドシエが再評価されるワークフローを構築します。

⑤ 事前教示を戦略的に使う

論点が大きい重要品目は、ドシエを土台にして税関の「事前教示」を取得し、公的なお墨付きを得ることでリスクをゼロに近づけます。


5. よくある失敗と回避策

  • 失敗:カタログだけで分類している
    • 対策: 仕様書や図面、用途限定の根拠をドシエに含める。
  • 失敗:結論(番号)しか書かれていない
    • 対策: 「なぜ他の号ではないのか」という消去法のプロセスを1行でも残す。
  • 失敗:サプライヤーの提示したHSを鵜呑みにする
    • 対策: サプライヤーの情報はあくまで参考。自社のロジックで再確認する。

まとめ:ドシエは「事業を守る資産」である

HSコードのドシエは、単なる通関書類ではありません。利益(過払い・追徴防止)、リードタイム(納期遅延防止)、そして企業の信頼を守るための経営資産です。

まずは重要品目から、**「1ページの最小ドシエ」**を作ることから始めてみてください。その運用が回り始めたとき、貴社の通関品質は劇的に安定するはずです。

HSCFで実現する「HSドシエ」の現在地:中身の生成と組織運用のギャップを整理する

これまでの仕様に基づくと、HSCFは**「HSドシエの核となる根拠を生成する機能」において非常に強力なポテンシャルを持っています。一方で、「社内統制(承認フロー・ERP連携等)」**については、今後の設計や外部システムとの連携が鍵となる領域です。

現在のHSCFがドシエの主要機能をどの程度カバーしているのか、一覧表で整理しました。

HSドシエ機能別のカバー範囲一覧

ドシエの機能ブロック具体的な実現内容HSCFの対応状況補足・今後の展望
1. 製品特定情報の収集仕様・用途・材質・構造の集約● カバー自然文、写真、図面等から属性を抽出。不足情報の自動質問機能あり。
2. 分類候補の提示候補コードの提示と確度比較● カバー複数候補のスコアリングと、比較検討の入口を提供。
3. 分類ロジックの説明選定理由・除外理由の文章化● カバー「なぜその号か」「なぜ他ではないか」の判断道筋を言語化。
4. 根拠ソースの提示通則、部類注・類注、WCO解説等の参照● カバーGIR(解釈通則)や各国ノート、WCO解説書等の紐付けを想定。
5. 証拠の添付・記録写真、仕様書、SDS等の保管● カバー分類レコードに各種ファイルを添付・記録可能。
6. 版管理・改正追随HS2022/2028等の版差分管理△ 一部カバー相関表による切替支援は想定。ただし社内承認・通知等の統制は未確定。
7. FTA/EPA観点の接続原産地規則(PSR)への展開△ 一部カバー相関表を用いた原産性チェック支援。ルールエンジンとの連携は要設計。
8. 関税・規制影響の整理税率、許認可、輸入規制のマッピング― 未確定関税率や他法令規制の自動紐付け機能は現時点では明示なし。
9. 承認フローと監査統制作成・承認、変更履歴、責任の明確化― 未確定ワークフロー機能や組織的な統制機能は現時点では明示なし。
10. ERP/PLM連携品目マスタとの同期、社内データ運用― 未確定基幹システムへの自動反映やコネクタ連携は現時点では明示なし。

HSCFの強み:ドシエの「コア(中身)」を作る力

要するに、HSCFはドシエにおける以下の「実務の核心部分」を高いレベルでカバーしています。

  1. 根拠を作る: 膨大なデータから最適なロジックを導き出す。
  2. 再現性のある説明文を作る: 属人性を排除した納得感のある推論を展開する。
  3. 証拠を紐づける: 根拠となる資料を分類結果と一体化させる。

これは、従来「ベテランの頭の中」にしかなかった暗黙知を、形式知化してドシエに落とし込む作業を劇的に効率化することを意味します。

今後の課題:ビジネス実装としての「ガバナンス」

一方で、ビジネスの仕組みとして完結させるために必要な「最後のピース」は、現時点では未確定の領域です。

  • 承認と改訂統制: 誰が承認し、いつから有効とするのかという運用フロー。
  • ERP品目マスタへの反映: 決定したコードをいかにミスなく基幹データへ同期するか。
  • 関税・規制情報の自動整理: 分類の結果、ビジネスにどのような実務的制約が生じるかの自動提示。

結論:HSCFをどう活用すべきか

あなたが想定しているドシエの定義が、「社外提出・監査に耐えうる完成品(要約+証拠+承認印)」であるなら、HSCFは「中身の自動生成と証拠収集のエキスパート」と言えます。

最終的な「社内統制」や「システム連携」までを仕組み化する場合、HSCFを中核に据えつつ、既存のワークフローシステムやERPとのAPI連携を設計していくのが、次なる開発・導入のステップになるでしょう。

WCOがHS2028改正を正式に確定。企業実務で注視すべき4領域はセンサー、半導体、EV電池、スマート繊維

2026年1月21日、世界税関機構WCOはHS2028改正(HS2028 amendments)が受け入れられたことを公表しました。HSは各国の関税率表、統計、各種規制の土台であり、改正は通関部門だけでなく、調達、設計、営業、経営管理にまで影響します。発効は2028年1月1日で、いまは実務準備のための移行期間に入った局面です。 (wcoomd.org)

本稿では、公式一次情報で確認できる範囲を軸に、改正の全体像と、タイトルで挙げたセンサー、半導体、EV電池、スマート繊維がなぜ経営課題になりやすいのか、そして今から何を準備すべきかを整理します。



1. 何が決まったのか。HS2028の確定内容とスケジュール

HS2028は2028年1月1日に発効。改正は299セット

WCOの公表によれば、HS2028の改正は299セットの変更で構成され、HS2022と比べて新設と削除が発生しています。公式発表では、見出しは1,229、号は5,852となり、HS2022比で見出し6本と号428本が新設、見出し5本と号172本が削除と説明されています。 (wcoomd.org)

また、レビューサイクルは通常5年ですが、今回はCOVID-19等の影響で2019年7月から2025年6月までの6年に延長されたことも明記されています。 (wcoomd.org)

改正の意思決定はHS条約第16条の勧告として進んだ

実務上重要なのは、HS2028がHS条約第16条に基づく勧告パッケージとして取りまとめられた点です。2025年3月10日から21日のHSC第75回会合で、HS2028の改正勧告が暫定採択され、WCO理事会に回付される流れが示されています。 (wcoomd.org)

そのうえで、WCOは2026年1月21日に改正が受け入れられたと公表し、2028年1月1日に発効するとしています。 (wcoomd.org)


2. 公式発表で強調された主題と、企業にとっての意味

WCOの発表は、今回の改正が単なる品目名の整理ではなく、政策目的や規制執行を支える役割が強まっている点を繰り返し強調しています。 (wcoomd.org)

公衆衛生と緊急対応をHSで見える化

WCOは、ワクチンと医療緊急物資の見える化を主要成果として詳細に説明しています。ワクチンはHS2022の30.02から再編され、ヒト用ワクチンを30.07、その他を30.08とする新見出しと詳細な号構造が導入されるとしています。 (wcoomd.org)

環境対応は廃棄物と単回使用製品を中心に具体化

環境面では、プラスチック廃棄物をバーゼル条約の枠組みに整合させる形で整理し、単回使用という概念を法的注記で明示して分類と統計の一貫性を高める方向が示されています。 (wcoomd.org)

この方向性は、企業実務に直結します。HSは関税率だけでなく、規制対象品の特定、禁制品管理、サプライチェーンの可視化、統計分類、さらにEPAやFTAの原産地規則運用にも影響します。HS改正は、企業データの基準軸が入れ替わるイベントと捉えるべきです。


3. なぜセンサー、半導体、EV電池、スマート繊維が注目領域なのか

WCOの公式発表は公衆衛生と環境を前面に出していますが、HS2028は技術進化に合わせて分類を簡素化し、新製品や組成変化に対応することも狙いに入っています。EUはWCO理事会での第16条勧告採択に向けた説明文書で、具体例として半導体とトランスデューサ、清掃ロボット、ドローン、e-bike等を挙げ、分類容易化の対象になっていると明記しています。 (EUR-Lex)

ここでいうトランスデューサは、センサー領域と重なります。さらに、EV電池とスマート繊維は、環境規制と複合製品化という二つの潮流の中心にあり、HS改正が引き金となって各国が8桁や10桁で細分や運用明確化を進めやすい領域です。


4. 領域別に起きやすい論点と、実務での備え

以下は、HS2028で何番がどう変わるという断定ではなく、公式文書が示す方向性と、各国当局の分類実務で繰り返し問題化している境界から、企業が先回りで潰すべき論点を整理したものです。

4-1. センサー。争点は機能の複合化と分類境界

センサーは単体部品ではなく、信号処理、通信、電源、ソフトウェアを組み込んだモジュールとして取引されることが増えています。すると、測定機器なのか、電気機器なのか、あるいは特定機械の部分品なのかという境界論点が表面化します。

スマート繊維の事例ですが、米国CBPの分類事前教示では、センサー付きコンプレッション衣類、データモジュール、USBケーブルのセットについて、セットの本質的特性は衣類側にあるとして衣類側の号でセットを分類しつつ、データモジュールを単体輸入すれば測定機器側、ケーブルは電気導体側に分けて分類しています。複合製品がどこで分解され、どこでセットとして扱われるかが、税番と税率を左右する典型です。 (CROSS)

企業側の備えは、製品仕様の情報粒度を上げることです。最低限、測定対象、測定原理、出力形態、通信機能の有無、当該機械専用品か汎用品か、部品としての完成度を、型番単位でマスタ化しておくと、改正後の移行でも揺れにくくなります。

4-2. 半導体。品名より実体で分類される時代に入っている

半導体は、ウェハ、ダイ、パッケージ品、モジュール、基板実装品など形態が多様で、同じ用途でも供給形態が変われば分類ロジックが変わります。EU文書が半導体とトランスデューサを、分類容易化の対象例として名指しした点は、改正の方向性を読むうえで重要です。 (EUR-Lex)

企業実務では、材料名や用途説明だけでは足りません。取引単位が何か、電気的機能がどこまで内蔵されているか、複数機能のうち主たる機能は何かを、設計部門と調達部門が共通言語で説明できる状態を作る必要があります。HS2028対応を機に、半導体関連は分類ドシエを標準化し、品目説明のテンプレート化まで踏み込むと効果が出ます。

4-3. EV電池。環境規制と国際取引の両面で監視が強まる

EV電池は、製品としての分類だけでなく、使用済み電池や電池廃棄物、リサイクル原料としての取引が増えること自体が、分類と規制運用を難しくします。OECDは、リチウムイオン電池の循環型バリューチェーンを進めるうえで、廃棄物としての位置付けの明確化、輸送保管の安全規則の整合、設計標準の調和、回収とリサイクルの規制目標などが必要だと指摘しています。 (OECD)

一方、WCOはHS2028で環境保護を主要テーマに掲げ、廃棄物分類を国際環境枠組みに整合させ、単回使用概念まで法的注記で明確化する方向を打ち出しています。 (wcoomd.org)

この二つを合わせて読むと、EV電池は次の3点を社内で先に固めるのが合理的です。新品のセル、モジュール、パックの取引単位と機能定義。車両と一体輸入される場合と単体輸入の扱い。使用済み電池と廃棄物の線引きに必要な証憑と、物流側の安全規則対応。ここが曖昧だと、HS改正後に税番移行だけでなく、規制対応や廃棄物該当性の判断まで連鎖して止まります。

4-4. スマート繊維。複合製品の典型で、分類の根拠が問われる

スマート繊維は、繊維製品としての性格と、電子機能としての性格を同時に持ちます。実務上の争点は、電子部品が着脱可能か、着脱後も繊維製品としての価値が成立するか、機能の中心はどちらかです。

先のCBP事例は示唆が大きく、衣類にセンサーが縫い込まれ、モジュールが着脱式で、セットとして販売される場合に、セットの本質は衣類側にあるという評価が採られています。モジュール単体は測定機器側、ケーブルは導体側と分けて評価されています。スマート繊維は設計段階で、何を一体化し、何を分離するかが、分類と税率に直結する領域です。 (CROSS)


5. いま企業が着手すべきHS2028対応ロードマップ

WCOは、2028年1月1日の発効までに相関表の整備、HS関連ツールと刊行物の更新、各国実装の準備が進むと説明しています。企業側も、この2年で何を終えるかを逆算する必要があります。 (wcoomd.org)

  1. 影響棚卸し
    自社の輸出入上位品目を、HS6桁と国別8桁10桁まで含めて一覧化し、売上、原価、関税インパクト、規制リスクで優先順位を付けます。
  2. 二重管理の設計
    2027年のどこかで、現行コードとHS2028想定コードを並記できる状態を作ります。ERP、品目マスタ、通関指示書、原産地判定ロジックのどこで切り替えるかを先に決めます。
  3. 分類ドシエの標準化
    センサー、半導体、スマート繊維は、製品説明の粒度が勝負です。設計仕様、機能、構成、用途、写真、データシートを型番単位で一枚にまとめ、当局照会や監査で即答できる形にします。
  4. 国別実装の監視
    HS6は共通でも、各国は8桁以降の細分と運用で差が出ます。主要仕向け国の改正版タリフ公布とガイダンスを継続監視し、通関委託先とも切替手順を合意します。
  5. 先行してルールを取りに行く
    グレーになりやすい品目は、主要国で事前教示制度の活用を検討します。改正後の初期は当局側も運用を固めるため、早期に根拠を確保した企業が有利になります。

6. まとめ。HS2028は分類改正であり、基準データの更新である

HS2028は、2026年1月21日に受け入れが公表され、2028年1月1日に発効します。改正は299セットで、見出しと号の新設と削除が伴います。 (wcoomd.org)

公衆衛生と環境が公式発表の主役ですが、EUの公式説明は半導体とトランスデューサを明示的に挙げ、技術進化に合わせた分類容易化が改正の柱であることも示しています。 (EUR-Lex)

さらにWCOは、HSそのものの分かりやすさと使いやすさを高めるための枠組み強化プロジェクトを進め、2033に向けたより深い見直しも議論しています。今回の改正対応は、次の改正を楽にする投資でもあります。 (wcoomd.org)

センサー、半導体、EV電池、スマート繊維は、複合化と規制強化の交点にあります。だからこそ、いま必要なのは税番を当てることではなく、税番が揺れないように仕様情報と根拠を整え、切替の手順を設計し、国別実装を監視することです。これを2年で終えた企業だけが、2028年の切替をコストではなく競争力に変えられます。