もう「注釈」の迷宮で悩まない。HSコード判定を「専門家への相談」に変える方法

本日、日本企業の方々へHSコード判定支援システム「HSCF」のデモンストレーションを実施しました。

複数部署から多くの方にご参加いただき、実際の案件を用いたトライアルの結果をご覧いただいたのですが、そこで改めて浮き彫りになったのは「HSコード判定の過酷さ」でした。

■ 現場の悩み:細かな「注釈」との格闘 お客様はこれまで、膨大な「類注・項注」を読み解きながら、パズルのような作業で答えを導き出されていました。「とにかくややこしくて大変……」という切実な声が印象的でした。

■ HSCFが提案する「新しい体験」 デモ中、提供いただいたデータだけでは情報が不足し、判定が難しい場面がありました。しかし、ここからがHSCFの真骨頂です。 不足していた情報を言葉でサッと補足するだけで、システムが即座に再判定。

HSCFは、単にデータを入力して結果を出すだけの「機械的なツール」ではありません。「足りない情報を補いながら、専門家に相談して正解に近づいていく」。そんな人間味のあるプロセスが、ユーザーの使いやすさに繋がっています。

■ 納得いくまで、何度でも伴走します HSCFはシステムの貸し出しを行っていない分、デモンストレーションは何度でも、納得いただけるまで実施します。

「自分たちの商材でも判定できるのか?」 少しでも気になったら、ぜひ一度HSCFのデモを体験してみてください。

税関監査に強いHS分類は「1ページ」で決まる


監査対応HS分類ドシエ:1ページテンプレートの実務的活用法

HSコードの結論が合っているだけでは、監査対応として十分ではありません 。監査の場で問われるのは、結論そのもの以上に「なぜその分類になるのかを、第三者が追体験できるか」です 。wcoomd+1​

税関監査は、通関時点の申告書類だけでは見えない取引実態を、帳簿や記録、業務プロセスまで遡って確認します 。WCOのポストクリアランス監査(PCA)ガイドラインでも、PCAは企業の商業システムや財務・非財務記録を体系的に検証してコンプライアンスを測定する枠組みであり、関連する帳簿、記録、業務システム、商業データを検査して申告の正確性を確認するものと定義されています 。rocb-europe+1​

この前提に立つと、監査対応で強いのは「説明できるHS分類」を平時から標準化している企業です 。その中心となるのが、今回のテーマである「監査対応HS分類ドシエ:1ページテンプレート」です 。wcoomd

1ページテンプレートとは何か

1ページテンプレートは、HS分類の判断を「短く、順番を正しく」まとめるための結論サマリーです 。具体的には、次の情報を固定の型で並べます。wcoomd

  • 製品概要(用途、材質、機能、構成)
  • 結論コード(HS6桁と各国の国内細分)
  • 適用したGRI(解釈通則)の番号
  • 決め手になった事実(主機能、材質比率、セット構成など)
  • 主な根拠(関係注、項の文言、Explanatory Notes、事前教示の有無)

ポイントは、監査官や社内監査、外部監査の誰が読んでも「同じ理解に到達できる」ことです 。口頭説明に頼るのではなく、説明が文書の構造として再現できる状態を作ります 。wcoomd

なぜ「1ページ」が監査に効くのか

理由1:監査の質問は「事実」と「根拠」に集約される

監査での典型質問は次の3つです 。wcoomd

  • その製品は、何でできていて、何をするものか
  • なぜその項目に入るのか(別の項目ではないのか)
  • その判断を裏づける公的根拠や証跡は何か

1ページテンプレートは、この質問に最短距離で答えるための設計になっています 。wcoomd

理由2:HS分類は後から見返すほど難しくなる

分類は、当時の製品仕様、当時の法令や運用、当時入手できた資料に依存します 。監査が過去に遡る性質を持つ以上、「当時の合理性」を示せる形で残すことが重要です 。rocb-europe+1​

理由3:国別コード混線を最初から防げる

HSの世界共通部分は4桁または6桁で、7桁目以降は各国が独自に細分を定めます 。日本では輸出入それぞれに細分を設定し、統計品目番号は9桁で運用されています 。この構造を無視して「どの国の何桁の話か」が混ざると、監査でも社内でも議論が迷子になります 。1ページでHS6桁と国内細分を分けて書くのは、混線防止として非常に効果があります 。wcoomd+2​

1ページテンプレートの書き方

ここからは、テンプレートの各欄を「監査で効く書き方」に落として解説します。

1. 製品概要

ここは結論より先に、製品の実態を定義する欄です 。曖昧な商品名より、分類に効く情報を優先します。wcoomd

書くべき観点の例

  • 原材料、材質、組成、比率
  • 構造(単体か、複合品か、セットか)
  • 機能(主機能は何か、補助機能は何か)
  • 用途(何に使う前提で設計されたか)
  • 製造方法、加工度

WCOのHS解釈通則でも、分類には物品の正しい情報が必要で、原材料や性状、構造などの把握が重要だとされています 。wikipedia

実務のコツ

  • 営業資料のキャッチコピーは捨てる
  • 技術仕様書、BOM、図面、写真で言い切れる事実だけを書く
  • 数量や型番が多い製品は、共通仕様と差分を分ける(差分が分類に影響するかを明記)

2. 結論コード

ここは、結論を短く、しかし誤解なく書く欄です 。wcoomd

最低限分ける項目

  • HS6桁(世界共通の6桁)
  • 各国の国内細分(日本の統計品目番号、米国HTSUS、EUのCNなど)

1ページテンプレートが「HS6桁と各国の国内細分」を分けて書くことを推奨しているのは、監査での混線を防ぐためです 。wcoomd

実務のコツ

  • 輸入と輸出でコード体系が違う国もあるので、対象国を明示する
  • 社内システムのコードと税関申告のコードがズレる場合は対応表を持つ
  • コードだけでなく、項の文言(見出し)も併記する

3. 適用したGRI

この欄が、1ページテンプレートの骨格です 。wcoomd

GRI(解釈通則)は、HS分類の適用順序を与えるルールで、見出しや注から始め、必要に応じて次のルールへ進みます 。WCOが公開しているGRI解説でも、分類は原則として「項の文言と部注・類注に従って」決めることがまず示されています 。wikipedia

書き方の例

  • GRI1で決まるなら、GRI1だけ書く(多くはここで決まる)
  • セット、複合品、混合物などで迷うなら、GRI2やGRI3までの適用関係を書く
  • GRI4以降は「適用不要」と明記するだけでも監査では親切

実務のコツ

  • GRI番号は飾りではなく、論理の順番を固定するためのもの
  • 文章量より「どのルールで、どこまで検討したか」を明確にする

4. 決め手になった事実

ここは、監査で最も質問される欄です 。結論を支えた事実を、監査官が検証できる形で書きます 。wcoomd

よくある決め手の型

  • 主機能が何か(複数機能がある製品)
  • 重要な特性がどれか(複合品、セット)
  • 材質比率がどれか(混合品、複合材料)
  • 提示の態様がどうか(未完成品、未組立、分解品)

GRI本文でも、未完成品や未組立品、混合物、複合品、セットなどの扱いがルールとして示されています 。globalior+1​

実務のコツ

  • 決め手の事実は、必ず裏取り資料とセットで書く
  • 判断(だからA)と事実(BOMで樹脂が何パーセント)を混ぜない

5. 主な根拠

根拠は、できるだけ「公的で、追跡可能」なものから並べます 。wcoomd

優先順位のイメージ

  1. 項の文言、部注・類注
  2. 解説書(Explanatory Notes)
  3. 事前教示、裁決例、ルーリングなど当局判断
  4. 業界資料や社内資料(補助)

Explanatory Notesは、HS条約の一部ではないものの、WCO理事会の承認により国際レベルでのHSの公式解釈であり、制度に不可欠な補完資料とされています 。wcoomd+1​

事前教示を根拠にできると強い

EUのBTI(Binding Tariff Information)は、税関当局による分類に関する法的な決定で、原則3年間有効であり、申請者とEU域内の全税関当局を拘束すると説明されています 。国や制度は異なりますが、「当局の判断を根拠として紐づける」ことは監査で強い設計になります 。tulli+2​

実務のコツ

  • 根拠はリンク集ではなく、結論に効いた順に絞る
  • 根拠ごとに、どの文言がどの主張を支えるかを1行で添える

6. 添付証跡

監査対応での強さは「証跡が揃っているか」で決まります 。日本の税関FAQでも、輸入者は帳簿や契約書、インボイス、パッキングリストなど申告内容を明らかにできる書類や電子データを保存する必要があるとされています(保存期間の規定もあり) 。customs

1ページには、証跡そのものを貼る必要はありません 。むしろ「どこにあるか」を管理できる一覧が重要です 。wcoomd

  • 仕様書、図面、写真
  • BOM、材質証明、試験成績書
  • 製品カタログ(ただし事実が書かれている部分)
  • 製造工程図(加工度が分類に効く場合)
  • 当局照会記録、回答、事前教示番号

実務のコツ

  • 証跡には版数と日付を付け、分類判断時点のものを特定できるようにする
  • 監査は過去に遡るので、後から差し替えた資料が混ざらないようにする

7. 変更管理

分類は一度決めたら終わりではありません 。HS品目表は技術革新などに対応するため、概ね5年ごとに大幅改正が行われます 。wcoomd+1​

制度改正だけでなく、社内側の仕様変更も分類に影響します 。1ページに「再判定トリガー」と「次回見直し日」を書いておくと、監査での説明が一段楽になります 。wcoomd

1ページテンプレート例(ダミー記入例)

以下は、構造を掴むための架空例です 。実在のHSコードや特定製品の分類を示すものではありません。wcoomd


【基本情報】

  • 品目名:携帯用電源機能付き照明器具(仮)
  • 対象国:日本(輸入)、EU(輸出)
  • 版数:v1.0
  • 作成日:2026-01-12
  • 作成者:貿易管理部
  • 承認:法務、経理、事業部

【製品概要(事実)】

  • 用途:携帯用途の照明
  • 機能:照明機能が主、外部機器への給電は補助
  • 構成:照明本体、内蔵電池、充電用端子
  • 材質:樹脂筐体、金属端子
  • 提示形態:完成品として提示

【結論コード】

  • HS6桁:XXXX.XX(仮)
  • 日本の国内細分:XXXX.XX-XXX(仮)
  • EUの国内細分:XXXX.XX-XX(仮)
  • 項の文言(要約):携帯用の照明器具(仮)

【適用GRI】

  • GRI1:項の文言と関係注により候補を特定
  • GRI3:複合機能があるため主要特性(主機能)で整理
  • GRI4以降:適用不要

【決め手になった事実】

  • 販売形態と使用実態から、購買目的は照明機能
  • 給電機能は補助で、照明機能を代替しない
  • 仕様書vAと製品写真で、照明部が製品価値の中心であることを確認

【主な根拠】

  • 該当項の文言
  • 関係する部注・類注
  • Explanatory Notes該当箇所(参照先記載)
  • 当局照会:なし
  • 事前教示:取得検討(EU向けはBTI検討)

【添付証跡(所在)】

  • 仕様書:PLMフォルダ パスA
  • BOM:ERP 品目マスタB
  • 製品写真:品質管理フォルダC
  • インボイス雛形:経理フォルダD

【変更管理】

  • 再判定トリガー:光源方式変更、電池容量変更、セット品化、HS改正
  • 次回見直し予定:半年後または仕様変更時

よくある失敗と、1ページでの予防線

1ページテンプレートは、ミスをゼロにする魔法ではありません 。ただし「失敗の型」を早期に見える化できます 。代表例は次の通りです。wcoomd

  • 仕入先コードをそのまま採用して根拠が残らない
  • 検索結果だけで決め、注や項の文言に戻らない
  • HS6桁と国別細分が混ざって議論が崩れる
  • 仕様変更が分類に反映されない

これらは、1ページに「事実」「GRI」「根拠」「変更管理」を型として置くだけで、かなりの確率で防げます 。wcoomd

導入の進め方(現場で回るやり方)

いきなり全品目を完璧にしようとすると止まります 。ビジネスとして回すなら、優先順位と運用設計が重要です。wcoomd

おすすめのステップ

  1. 取扱品目を、売上上位、関税インパクト上位、規制インパクト上位で並べ替える
  2. 上位から1ページテンプレートを先に作り、詳細資料は後追いで紐づける
  3. 1ページのレビュー担当を固定し、表現と粒度を揃える
  4. コード決定に必要な仕様項目を、設計変更プロセスに組み込む
  5. 事前教示やルーリング取得の基準を決める(争点になりやすい品目から)
  6. 保存先と版管理ルールを決める(監査は過去を見るため)
  7. 半年または年次で棚卸しし、HS改正や仕様変更を反映する

まとめ

監査対応で本当に効くのは、担当者の経験や気合ではなく「説明できる分類」を標準化していることです 。1ページテンプレートは、その標準化を始めるための最小単位であり、監査で問われる論点を最短距離で押さえられます 。wcoomd

最後に重要な注意点として、HS分類の最終判断は各国税関にあります 。この記事は一般的な実務設計の考え方であり、個別案件の法的助言ではありません 。実案件では、対象国の法令・運用、最新の当局情報、製品仕様の確定版に基づいて判断し、必要に応じて専門家や当局への照会を行ってください 。wcoomd

  1. https://www.wcoomd.org/en/topics/enforcement-and-compliance/instruments-and-tools/guidelines/pca-guidelines.aspx?p=1
  2. https://rocb-europe.org/uploads/1/e-training/materials/en/pca/3-wco-pca-guidelines-volume-1.pdf
  3. https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/overview/what-is-the-harmonized-system.aspx
  4. https://www.customs.go.jp/english/c-answer_e/imtsukan/1117_e.htm
  5. https://en.wikipedia.org/wiki/General_Rules_for_the_Interpretation_of_the_Harmonized_System
  6. https://www.globalior.com/general-rules-of-interpretation-general-interpretative-rules-of-classification-rule-3/
  7. https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/tools-to-assist-with-the-classification-in-the-hs/explanatory-notes.aspx
  8. https://www.cmrf.org/Download_PDFS/virtual-library/ESZPZM/ExplanatoryNotesToTheHarmonizedSystem.pdf
  9. https://tulli.fi/en/businesses/commodity-codes/binding-tariff-information
  10. https://www.flexport.com/glossary/binding-tariff-information/
  11. https://www.wcoomd.org/en/topics/enforcement-and-compliance/instruments-and-tools/guidelines.aspx
  12. https://scm-en.ecer.com/topic/detail-818975-wco-updates-audit-guidelines-to-strengthen-trade-security.html
  13. https://www.wcoomd.org/pt-pt/topics/enforcement-and-compliance/activities-and-programmes/revenue-programme.aspx
  14. https://skadvisory.jp/en/conditions-for-becoming-an-importer/
  15. https://scm-en.ecer.com/topic/detail-811632-wco-introduces-new-audit-tools-to-enhance-trade-facilitation.html
  16. https://acpjapan.jp/what-is-ior-importer-of-record/
  17. https://www.ec-undp-electoralassistance.org/index_htm_files/papersCollection/APa1Qd/Explanatory_Notes_To_The_Harmonized_System.pdf
  18. https://sga.profnit.org.br/filedownload.ashx/browse/YYIxEl/Explanatory-Notes-To-The-Harmonized-System.pdf
  19. https://agelessthanet.org.uk/_pdfs/scholarship/h3tZTT/ExplanatoryNotesToTheHarmonizedSystem.pdf
  20. https://www.customs.go.jp/english/c-answer_e/extsukan/5012_e.htm

日・EU・中国のHS2028移行と監視の実務要点


ビジネスマン向け深掘り版(2026年1月時点)

グローバルにモノを売買する企業にとって、HSコードは単なる分類番号ではありません 。関税コスト、原産地判定、輸出入規制、制裁対応、統計、社内マスタの整合性まで、実務の土台になっています。wcoomd

その土台が、2028年1月1日に大きく更新されます 。WCO(世界税関機構)の次期改正はHS2028として実施され、勧告は2025年末に正式採択、2026年1月に公開、2028年1月1日に発効という整理が示されています 。wcoomd

本稿では、日本・EU・中国を主要対象に、HS2028の移行(切替)と監視(継続運用)を、実務の観点から深掘りします。ポイントは、単にコード表を置き換えるのではなく、社内外のデータと判断の連鎖を、期限つきで安全に繋ぎ直すことです。


1. HS2028はいつ確定し、いつ効くのか

まず日程と前提を固める

今回の改正は通常の5年サイクルではなく、例外的に1年延長され、次版は2028年1月1日に実施されます 。延長理由はパンデミックによる交渉サイクルへの影響で、次のサイクル(2033)は通常の5年に戻るという整理です 。wcoomd+1​

2025年3月のHS委員会(HSC)第75回会合でHS2028改正の勧告案が暫定採択され、2025年末の正式採択後、2026年1月に公表、2028年1月1日に発効というタイムラインがWCOから明示されています 。改正内容は299セットの修正案を含み、HS2022の351件と比べて数は少ないものの、電子機器、医薬品、グリーン技術、デュアルユース製品など多岐にわたる分野で重要な変更が予想されています 。tarifftel+1​

HS条約の手続として、WCO理事会が勧告した改正は通知後6か月以内に異議がなければ受諾されたものとみなされます 。wcoomd

ここから実務的に導ける結論は2つです。

結論1 2026年は「影響分析と設計の年」
勧告が公表され、比較や移行設計を進められる状態に入ります 。wcoomd

結論2 2027年は「実装と並行稼働の年」
制度対応、取引先連携、IT改修、運用訓練を終え、年末の切替を安全に越えるのが主戦場です。


2. 日本・EU・中国で「同じHS」と言っても桁と制度が違う

移行設計の前に押さえる土台

HSの国際基準は6桁ですが 、実務では各国・地域が独自の下位桁を付けます。ここを曖昧にしたまま移行を進めると、マスタは揃っているのに通関で止まる、という事故が起きます。globalior

日本

日本の輸出入手続で用いる統計品目番号は9桁で、最初の6桁がHSの番号、下3桁が国内細分です。つまり、HS2028の改正は、まず6桁部分が動き、続いて9桁全体の再編として現場に降りてきます。

EU

EUでは、HSを基礎にしたCN(Combined Nomenclature、統合品目分類表)が8桁で、さらにTARIC(Integrated Tariff、統合関税率表)はEU措置などを反映する10桁以上のコード体系です 。同じ製品でも、対EUの申告ではCNやTARICの桁まで正しく持つ必要があります。さらに、CNは原則として毎年更新される枠組みのため、HS2028対応は単発プロジェクトではなく、年次更新に接続した運用にするのが現実的です 。siccode+1​

中国

中国の関税分類体系はHS6桁を基礎に、8桁の細分(中国独自の7桁目と8桁目)を持つことが中国税関の公式説明から確認できます 。第7桁と第8桁は、関税率、貿易統計、貿易政策措置のために設定された国内小分類です 。さらに申告実務では、監管(監督管理)や検査検疫などの管理要素に関連して9桁目以降の追加番号体系を扱う場面があるため 、社内マスタ上も「HS6桁」「中国8桁」「申告用の追加桁」という層構造で整理しておくと事故が減ります。china-briefing+2​

実務の要点は、次の分離です。

  • 国際共通のHS6桁を基幹マスタとして持つ
  • 国・地域別の拡張桁(日本9桁、EU8桁と10桁、中国8桁など)を派生マスタとして持つ
  • 有効開始日と終了日を必ず持たせ、2028年1月1日で切り替わるようにする

3. HS2028移行で本当に難しいのは「番号の差し替え」ではない

連鎖の断線を防ぐ8つの作業パッケージ

移行プロジェクトを失敗させる典型は、分類表の差し替えだけをゴールにしてしまうことです。実務では、HSコードに紐づく判断とデータが、社内外に連鎖しています。どこかが切れると、通関停止、追徴、納期遅延、在庫滞留になります。

以下は、日・EU・中をまたぐ企業が、現実に組むべき作業パッケージです。

3-1 影響分析

目的は「どの商品が変わるか」を早く確定することです。

WCOはHS2022とHS2028の相関表(Correlation Tables)整備を進めており、相関表の改善が議論されています 。相関表は必須のツールですが、法的拘束力を持つ文書ではない点に留意が必要です 。unstats.un+1​

実務では次の順で進めると速いです。

  • 売上上位、輸入額上位、利益率上位、規制品目を優先して影響の当たりを付ける
  • 相関表で、変更が入る6桁を抽出する
  • 変更が入る6桁の配下にぶら下がる社内品目を全て棚卸しする
  • 変更の種類(分割、統合、品目注の移動、文言変更)ごとに再分類の負荷を見積もる

3-2 マスターデータ設計

HSを「属性」ではなく「重要な基幹コード」として扱う必要があります。

推奨する設計思想は、二階建てです。

一階 製品実体の識別(品名、仕様、材質、用途、機能、成分、写真、図面、SDSなど)
二階 各国分類(HS6桁、JP9桁、EU CN8桁とTARIC10桁、中国8桁など)と、その根拠

二階に有効期間を持たせないと、2027年末から2028年初の出荷が破綻します。出荷日、積載日、通関日、到着日が跨ぐためです。

3-3 再分類の意思決定プロセス

重要なのは、誰が最終判断し、どう根拠を残すかです。

おすすめの運用は、社内でリスク階層を作ることです。

  • 低リスク 既存分類の微修正で済む、税率差が小さい、規制が軽い
  • 中リスク 税率差が大きい、原産地ルールや許認可が絡む
  • 高リスク アンチダンピング、制裁・規制、危険品、医薬・化学品、デュアルユース等に波及

高リスク領域は、各地域の事前教示や拘束力ある判断を活用して、係争リスクを下げます。

日本は、輸入前に税番や税率について税関へ照会し回答を得られる事前教示(品目分類)が制度化されています。EUはBTI(Binding Tariff Information、拘束的関税情報)が一般に3年間有効で、EU域内全体で拘束力を持つ枠組みです 。中国も、貨物の実際の輸出入前に商品帰類の予裁定申請ができる案内が税関サイトに示されています。welcometodojo+1​

3-4 関税と原産地と規制の連鎖チェック

HS変更は、関税率表だけでなく、原産地規則や規制品目リストにも波及します。特にFTAの品目別規則(CTCルールなど)はHS改正で読み替えが必要になります。

したがって、移行時のチェック項目は次のように「連鎖」で設計します。

  • 税率 通常税率、特恵、暫定措置
  • 原産地 品目別原産地規則(PSR)の読み替え、サプライヤー証明の更新
  • 規制 許可承認、輸入規制、輸出管理、制裁、二重用途、環境規制など
  • 統計 社内KPI、需要予測、原価分析の分類軸

3-5 IT改修とデータ連携

影響が出やすいのは、次の周辺です。

  • ERPや品目マスタの桁数制約
  • 通関ソフトやフォワーダー連携の項目定義
  • 電子インボイス、物流ラベル、原産地システム、輸出管理システム

特にEUはCNとTARIC、中国は申告で追加番号体系を扱う場面があるため、桁数固定の実装は危険です 。rotra+1​

3-6 取引先と契約の調整

HS変更は、価格や責任分界にも影響します。実務で効くのは次の2点です。

  • どちらがHSコードを確定し、誤りのコストを負担するのか
  • 2028年以降、分類変更により関税や規制が変わった場合の価格調整条項

サプライヤーには、製品仕様の提出フォーマットを統一し、分類根拠の再取得を促すのが有効です。

3-7 年末年始の通関シナリオ設計

2027年末から2028年初にかけては、通関日基準で新旧が割れる可能性があります。輸送モードによってリードタイムが異なるため、次を事前に決めます。

  • どの日付をもってHS2028を適用するか(通関受理日、申告日、蔵置許可日など、各地域の実務に合わせる)
  • 出荷を前倒しする品目、逆に遅らせる品目
  • 旧コードで出した書類と新コードでの申告がズレる場合の対応

3-8 ガバナンスと監査可能性

HSは担当者の経験に依存しやすい領域です。移行期ほど、属人化がリスクになります。

最低限、次の体制を置くのが現実的です。

  • オーナー 通関コンプライアンス責任者
  • 協力 調達、物流、営業、経理、IT、法務
  • 意思決定会議 高リスク分類のみ合議、低リスクはルール化
  • 監査ログ 誰が、いつ、どの根拠で変更したか

4. 監視の実務要点

HS2028は切替が終わってからが本番

ここで言う監視とは、同じ製品でも、時間と地域でコードが変わり得る前提で、社内データと実際の申告を継続的に整合させる運用です。

4-1 WCOレベルの監視

WCOはHS委員会の活動の中で、HS改正に向けた相関表整備を進めていることが公表されています 。相関表はWCOのウェブサイトで公開され、ユーザビリティ課題が継続的に議論されています。ddcustomslaw+1​

実務では、WCO側の更新を受けて社内の比較表を更新し、影響品目の再確認を四半期ごとに回す形が堅いです。

4-2 日本の監視

日本は統計品目番号が9桁で、最初の6桁がHS、下3桁が国内細分である点を踏まえ、更新の粒度を二段階で見ます。また、事前教示(品目分類)の公開情報検索も提供されており、類似品の判断や根拠整理に使えます。

監視の実務例

  • 四半期 主要品目について、事前教示の類似回答や分類変更の兆候をチェック
  • 月次 社内の例外申告(差戻し、補正、税関照会)を集計し、分類起因の案件を重点レビュー

4-3 EUの監視

EUはCNとTARICという二層に加え、BTIが実務上の重要な拠り所になります 。siccode+1​

BTIは一般に3年有効ですが、品目分類の変更、新しいEU分類規則、裁判所の判決、説明ノートの改正などの状況では、3年の期間が短縮され、BTI決定が無効化される場合があります 。HS2028切替では既存BTIの棚卸しが必須です。welcometodojo

監視の実務例

  • 年次 CNの年次更新に合わせて、EU向けコードの一斉更新
  • 四半期 BTIの有効性レビューと、適用コードが変わった場合の影響評価
  • 月次 TARIC措置の変更による追加対応の有無を確認

4-4 中国の監視

中国はHSを基礎に8桁までの細分があり 、さらに申告では監管等の追加番号体系を扱う場面があるため 、システムと運用で分けて管理するのが安全です。また、実際の輸出入前に商品帰類の予裁定を申請できる案内があるため、高リスク品目は予裁定を活用して変更期の係争を減らします。english.customs+2​

監視の実務例

  • 月次 中国向けの申告差戻し理由を分類起因とそれ以外に分解して分析
  • 四半期 予裁定の取得状況と、社内ルールへの反映状況を点検

5. 2026年から逆算するロードマップ

今から何をやるべきか

2026年上期

  • HS2028の正式資料を前提に、影響分析を完成させるwcoomd
  • 高リスク品目を抽出し、日・EU・中の事前教示や予裁定の取得計画を立てる
  • HS6桁と地域別拡張桁を分離したマスタ設計に着手する

2026年下期

  • 再分類を量産できる体制へ移行(根拠テンプレ、レビュー手順、監査ログ)
  • IT改修の要件確定と開発着手(桁数制約、連携インターフェース、帳票)

2027年

  • 並行稼働(同一品目に旧コードと新コードを紐づけ、有効日で切替)
  • フォワーダーや通関業者とテスト
  • 年末年始の通関シナリオ訓練

2028年1月

  • 本番切替後の30日間は、例外処理を優先する集中監視期間とし、差戻し理由を即日で分類し再発防止を回す

6. よくある落とし穴

日・EU・中で特に起きやすい

落とし穴1 HS6桁だけ更新して、下位桁の更新が遅れる

日本は9桁、EUは8桁と10桁、中国は8桁など、下位桁が実務の通関可否を左右します 。rotra+2​

落とし穴2 原産地ルールの読み替えを後回しにする

HS改正と原産地ルールは連動し、相関表の質がFTA運用に直結します。

落とし穴3 既存の拘束力ある判断を棚卸ししない

EUのBTIは一般に3年有効ですが、改正等で無効化される場合があり得ます 。切替でコードが変わるなら、既存判断の有効性確認を必ず組み込みます。welcometodojo

落とし穴4 監視がニュースチェックで終わる

監視は、更新情報を読むだけでは足りません。社内マスタ、申告データ、差戻し理由の分析まで含めて閉じる仕組みが必要です。


7. まとめ

HS2028対応を「プロジェクト」で終わらせないために

HS2028は2028年1月1日に発効します 。しかも今回は例外的にサイクルが延長され 、次の改正(2033)も見据えた継続的な運用が求められます。unstats.un+2​

日・EU・中国をまたぐ企業の勝ち筋は、次の3点に集約されます。

  1. HS6桁を基幹に、地域別拡張桁を分離してマスタ設計する
  2. 相関表と追跡ツールで影響分析を固め、再分類を仕組み化する
  3. 切替後を見据え、年次更新と一体化した監視運用に接続する

  1. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx
  2. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2023/october/successful-conclusion-of-the-72nd-session-of-the-harmonized-system-committee.aspx
  3. https://unstats.un.org/unsd/classifications/Meetings/UNCEISC2024/Session3P-b_Review_Cycle_Harmonized_System_UNCEISC.pdf
  4. https://www.tarifftel.com/blog/hs-2028-your-guide-to-the-next-harmonised-system-update/
  5. https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/activities-and-programmes/amending_hs.aspx
  6. https://www.globalior.com/hs-tariff-classification-a-traders-guide/
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  8. https://rotra.eu/en/knowledge-base/customs/taric-en-gn-codes
  9. https://www.china-briefing.com/news/hs-codes-in-china-guide/
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  11. https://wtocenter.vn/rcep-market/23978-determining-the-classification-of-goods-imported-into-china
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  13. https://www.ddcustomslaw.com/index.php?option=com_content&view=article&id=448%3Awco-releases-the-hs-2022-correlation-tables&Itemid=50&lang=it
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  15. https://trade.ec.europa.eu/access-to-markets/en/content/binding-tariff-information-1
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