HS2028採択と相関表スケジュールの全体像


HS2028対応は、単にコード表が更新されるだけでなく、通関、関税・原産地、輸出入統計、社内マスタ、契約書の品目定義まで連鎖する「全社案件」になりやすいテーマです。wcoomd
一方で、現場がつまずきやすいのが「いつ何が正式に確定するのか」であり、条約手続きとWCOの公表情報を押さえておかないと、着手時期や社内マイルストーンがぶれやすくなります。strtrade+1​

本稿では、HS条約Article 16の仕組みと、WCO・USITC等の公表情報に基づき、企業目線でのタイムラインと相関表作業の見通しを整理します。wcoomd+2​


1. 「HS2028採択」が意味する3つの段階

ビジネス現場で混乱が起きやすいのは、「採択」という言葉が単一の出来事ではなく、少なくとも次の3段階に分かれる点です。wcoomd

  • HS委員会(HSC)による改正パッケージの暫定採択
    • 2025年3月10〜21日に開催された第75回HS委員会で、HS2028版に向けたArticle 16勧告案(改正パッケージ)が暫定的に採択され、これにより交渉は完了したと説明されています。wcoomd
    • この暫定採択は「HSCレベルでの取りまとめ完了」であり、まだ条約上の正式な採択ではありません。wcoomd
  • WCO理事会(Council)による勧告の採択
    • 暫定採択されたArticle 16勧告案は、WCO理事会に付議され、HS条約Article 16に基づく勧告として採択されます。wcoomd
    • HS条約上の「理事会採択」が行われて初めて、締約国に対する正式な勧告として通知される位置づけになります。wcoomd
  • 締約国による「みなし受諾」と発効日の確定
    • Article 16では、事務総長による通知から6か月以内に締約国から異議(objection)が出なければ、その改正は締約国により受諾されたものとみなされると規定されています。wcoomd
    • WCOは、HS2028勧告について「2025年末に正式採択(理事会)→2026年1月に公表→2028年1月1日発効」というタイミングを公表しており、この枠組みの中でみなし受諾が整理されます。wcoomd

このため、企業側の準備は「HSCで決まったら終わり」でも「理事会で採択されたら即終わり」でもなく、条約上の節目と公表タイミングを踏まえて段階的に設計する必要があります。wcoomd


2. なぜ発効が2028年1月1日なのか(Article 16のカレンダー)

HS改正の発効日は、HS条約Article 16のタイムルールで機械的に決まります。wcoomd

  • 受諾(みなし受諾)のルール
    • 勧告は、締約国に通知してから6か月の間に反対が残っていなければ、締約国により受諾されたものとみなされる仕組みになっています。wcoomd
  • 発効日のルール(実務運用)
    • 実務上、WCOは理事会での勧告採択を年央(6月前後)とし、通知から6か月の異議期間を経て、次回改正を次々回の1月1日に発効させる運用をとってきました。strtrade+1​
    • HS2028についても、WCOは「2025年12月末に正式採択、2026年1月に公表、2028年1月1日に発効」というタイムラインを明示しており、EUや各国の説明資料もこの前提に沿って記述しています。strtrade+1​

つまり、HS2028の「2028年1月1日発効」は、個別政治判断というより、Article 16に基づく標準運用の延長線上にあると理解するのが自然です。wcoomd


3. 2025〜2028年の公式マイルストーン

現時点でWCO等が公表している情報に基づき、HS2028に関する主要マイルストーンを整理すると、次のようになります。strtrade+1​

  • 2025年3月:HSC第75回会合で改正パッケージ暫定採択
    • HSC第75回会合(2025年3月10〜21日)で、HS2028版に向けたArticle 16勧告(HS2028改正パッケージ)が暫定採択され、交渉完了とされています。wcoomd
    • 改正パッケージは299の改正セットから構成されると説明されており、医薬品関連ではWHO INNリストに基づく多くの品目名整理が含まれます(ここは別記事で詳細に扱うのが安全です)。wcoomd
  • 2025年末:WCO理事会での正式採択(予定)
    • WCOは、HS2028勧告を2025年末の理事会で正式採択し、その後に勧告を公表すると案内しています。wcoomd
    • EUや各種解説資料も、「2025年6月の理事会会期での採択可能性」や「その後6か月の異議期間」の存在に言及しつつ、2028年1月1日発効を前提にしています。strtrade+1​
  • 2026年1月:WCOによるHS2028勧告の公表予定
    • WCOは、2025年末の正式採択を経て、2026年1月にHS2028の勧告内容を公表する予定であるとしています。wcoomd
    • 企業にとっては、この公表が「国際レベルでの条文・改正点を体系的に確認し、社内マッピングを本格化させる起点」となります。strtrade+1​
  • 2028年1月1日:HS2028発効
    • HS条約では、発効日に各締約国の関税・統計分類が改正HSに整合している必要があり、各国はこの日に向けて自国の関税表・統計コードを改正する義務を負います。wcoomd+1​

この間の「みなし受諾」のカウントは条約上重要ですが、企業実務としては「2026年1月の公表」と「2028年1月1日の発効」が分かりやすい節目になります。wcoomd


4. 相関表の位置づけとHS2028での動き

企業実務に直撃するのが相関表(Correlation Tables)であり、「旧版HSから新版HSへ、どのコードがどこへ移ったか」の対応関係を示すツールです。wcoomd+1​

  • 法的ステータス
    • WCOは、HS2017/HS2022相関表の公表時に、相関表が法的拘束力を持つ文書ではない一方、新版導入準備に不可欠なツールになっていると明言しています。wcoomd+1​
    • この位置づけはHS2028でも同様であり、「法源ではないが、実務上の事実上の標準参照ツール」と理解するのが適切です。wcoomd
  • 作業開始と形式改善
    • HS2028とHS2022間の相関表について、WCOはHSCの場で開発に向けた議論を開始しており、相関表の形式(見せ方)を改善する決定も採択しています(詳細は今後の会合報告で詰まる見込み)。wcoomd+1​
    • 相関表は、2026年以降に突然現れるのではなく、HSC正式議題として段階的に作り込まれるフェーズに入っていると言えます。wcoomd
  • HS2022の前例
    • HS2022では、WCOが2020年11月にHS2017/HS2022の相関表を公表しており、同年10月のHSC第66回会合での審査と、11月13日の報告採択後に公開されたと説明されています。wcoomd
    • HS2022の発効日は2022年1月1日であったため、WCO相関表が企業に届いたのは発効のおよそ14か月前となり、「WCO相関表は発効の1年前強には入手できる」という実務的な目安となります。goods-schedules.wto+1​

HS2028についても、同じ時期に必ず公開されると断言はできませんが、WCOが既に作業開始を公表していること、HS2022と同様にHSC審査→報告採択→公開という手順を踏むことから、発効前に段階的に整備されるのが自然な流れです。wcoomd+1​


5. WCO相関表と各国相関表のズレ

実務上の落とし穴として、WCO相関表と各国の国内相関表(および国内税番改正)の関係があります。usitc+1​

  • WCO相関表
    • 原則として国際共通部分である6桁レベルの対応を示すものであり、国内細分(7桁以降)は対象外です。wcoomd+1​
  • 各国相関表・国内税番改正
    • 多くの国では、実際の輸入申告や統計で、7桁以降の国内細分(例えばHTSUS、EU CN、日本の9桁/10桁など)を用いており、6桁の単純な横スライドにはなりません。usitc+1​
    • 例えば米国では、USITCが「Recommended Modifications in the Harmonized Tariff Schedule, 2028」という調査を開始し、2026年2月にHTS改正の暫定案を公表(パブコメ)、2026年9月に大統領への報告書提出というスケジュールを示しています。usitc+1​

このため、企業が本当に必要なのは「WCO相関表+主要取引国の国内相関表と税番改正告示スケジュール」の両輪であり、6桁だけを見て国内税番を自動移行するアプローチはリスクが高いと言えます。usitc+1​


6. 企業実務:2026〜2028年の段取りの目安

条約手続きと公表スケジュールを踏まえると、企業の現実的な段取りは次のように整理できます。usitc+2​

  • 2026年:分類影響の棚卸しとマッピング設計
    • WCOが2026年1月にHS2028勧告を公表する予定であり、ここで条文と改正内容を体系的に確認できます。wcoomd
    • 自社品目マスタを6桁ベースで一覧化し、HS2028で改正が入りそうな品目群を仮特定したうえで、1対1・1対多・多対1などマッピングルールと社内判定責任を定義するフェーズに適しています。wcoomd+1​
  • 2027年:主要国の国内税番への落とし込み
    • USITCの例のように、主要国で2026年頃から国内法令・関税表改正プロセスが動き出すため、2027年は各国の国内相関表・改正告示を踏まえた「国別HS→国内税番」への落とし込みフェーズになります。usitc+1​
    • 関税率、EPA/FTA原産地ルール、原産性判定、通関システム・ERP・商品DB・取引先マスタなどの更新を、主要市場から優先的に進めるのが現実的です。usitc
  • 2028年に向けて:移行期運用
    • 2027年末〜2028年初の出荷・到着・保税・返品など、境界期間の扱いを手順化し、HS改正に起因する誤分類や追徴を抑える運用を設計する必要があります。wcoomd+1​
    • 社内教育と取引先への通知を前倒しし、「新旧コード併記」「監査証跡の確保」等を含む移行設計を行うことが望まれます。usitc

7. この記事で押さえておきたいポイント(まとめ)

  • HS2028は、HSCでの暫定採択→WCO理事会での正式採択→6か月の異議期間を経たみなし受諾→2028年1月1日発効という段階を踏む。wcoomd
  • WCOは、2025年末の正式採択、2026年1月の勧告公表、2028年1月1日の発効というタイムラインを示しており、企業はこれを前提に逆算して準備できる。strtrade+1​
  • 相関表は法的拘束力を持つ文書ではないものの、HS2022でも発効約14か月前に公表された公式ツールであり、HS2028でも実装の要となることが想定される。goods-schedules.wto+1​
  • WCO相関表は6桁レベルが中心であり、実務上は主要取引国の国内相関表・国内税番改正告示と組み合わせて管理する必要がある。wcoomd+1​
  • 米国USITCのように、2026年からHTS改正案と報告書作成が進む国もあり、企業は2026〜2028年の3年間を「棚卸し・設計」「国別落とし込み」「移行運用」の3フェーズとして設計するのが現実的である。strtrade+1​
  1. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx
  2. https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2020/november/the-wco-has-published-the-hs-2017-2022.aspx
  3. https://www.usitc.gov/press_room/news_release/2025/er0812_67410.htm
  4. https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/august/next-round-of-htsus-modifications-anticipated-to-take-effect-in-2028
  5. https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/instrument-and-tools/hs-nomenclature-2022-edition/correlation-tables-hs-2017-2022.aspx
  6. https://goods-schedules.wto.org/sites/default/files/file/2020-11/W164_0.pdf
  7. https://www.linkedin.com/posts/customs-support_tradecompliance-customs-harmonizedsystem-activity-7313836607558606848-xvCD
  8. https://www.linkedin.com/posts/ashcheglov_tariff-customs-hs2028-activity-7313504438416003073-LVES
  9. https://www.orr.gov.uk/search-news/rail-regulator-sets-out-key-recommendations-assessing-costs-and-benefits-health-and
  10. https://humanrightstracker.com/en/un-recommendation/icescr-concluding-observations-2025-paragraph-71/
  11. https://www.gov.uk/government/publications/protocol-no15-amending-the-convention-on-the-protection-of-human-rights-and-fundamental-freedoms-ts-no192025
  12. https://research.hktdc.com/en/article/MjA5Mjg3NTc4OQ
  13. https://www.wepolu.org/post/successful-conclusion-of-the-71st-session-of-the-harmonized-system-committe
  14. https://www.ddcustomslaw.com/index.php?option=com_content&view=article&id=448%3Awco-releases-the-hs-2022-correlation-tables&Itemid=50&lang=en
  15. https://warrants.ubs.com/home/hkexdoc/ch/CBBC/ubs/pdf/20250317185628.pdf

HS2028で変わる半導体・センサー分類 ビジネスに効く論点と、今からできる準備


半導体やセンサーは、関税分類の世界で「技術進化が速いのに、分類体系の更新は緩やか」という典型例です。そこにHS2028の改正が迫っています。コードが変わるだけに見えますが、実務では関税率、原産地規則、統計、輸出管理、社内マスタの整合まで連鎖的に影響します。wcoomd

本記事は、技術者向けではなく、調達・営業・経営企画・貿易管理・物流のビジネス部門が、HS2028の半導体・センサー領域をどう捉え、どこにリスクと機会が生まれるかを整理するための実務ガイドです。なお、HS2028の改正はWCOの正式手続きを経て進行中で、発効日は2028年1月1日と確定しています。wcoomd

1. まずHS2028を正しく理解する

なぜ2028なのか、いつ何が起きるのか

HSは原則5年ごとに改正されますが、第7次見直しサイクルはパンデミック等の影響で1年延長され、次の版はHS2028として2028年1月1日に実施されます。次回は5年サイクルに戻り、HS2033が続くとWCOが明示しています。aeb+1​

2025年3月開催の第75回HS委員会(HSC)では、Article 16勧告として、299件の改正セットを含むHS2028勧告パッケージが暫定採択されました。この299件には、105件の品目改正案、5件の注解改正、66件の分類決定、14件の新分類意見が含まれます。正式採択は2025年12月末に予定され、2026年1月に最終版が公表、2028年1月1日に発効します。tarifftel+2​

HS改正は「合意が必要な国際標準」です。WCO理事会承認後、各締約国には6か月の異議申立期間があり、異議が出た部分は除外される可能性があります。つまり、企業は早期に影響を見積もりつつ、最終確定版で必ず再検証する姿勢が必須です。wcoomd

2. なぜ半導体・センサーがHS2028の注目テーマなのか

ビジネス側の論点は「税率」より広い

半導体業界団体は以前から、技術進化のスピードが5年サイクルのHS改正を上回るペースで進んでおり、より迅速な改正メカニズムが必要だと主張してきました。実際、多機能化したMCO(Multi-Chip Optoelectronics)やセンサー統合製品は、機能別分類か素子基準かで分類がぶれやすく、2017年および2022年のHS改正でも半導体定義の拡張が行われています。deepbeez+1​

HS2028でも、半導体ベースのトランスデューサー(変換素子)を含む分野が改正対象に挙がっています。これは単なる統計目的にとどまらず、次の実務要素に連動します。wcoomd+1​

  • 関税率と通商救済: MFN税率だけでなく、追加関税、セーフガード、アンチダンピング等がHSコードに紐づくため、コード変更は対象判定に影響します。
  • 原産地規則: 多くのFTAは品目別規則をHSの類・項・号で定義するため、HS変更は「同じ製品でも、どの規則を見るべきか」を変え得ます。
  • 輸出管理・規制: 規制リスト自体は性能・仕様基準が中心でも、運用現場ではHSコードをスクリーニングキーにすることが多く、分類変更は監視ロジックに影響します。
  • 企業の意思決定: 調達先分散、在庫配置、製造地設計、価格交渉など、サプライチェーンKPIにHS分類が組み込まれています。

3. 半導体・センサー分類で「揺れやすい境界」

HS改正が起きると影響が出やすい典型ポイント

半導体とセンサーは、商品形態が連続的に変化します。

  • ウエハ、ダイ
  • パッケージ化された素子
  • 信号処理ICと一体化したモジュール
  • 筐体、通信、電源、ソフトを含む完成品

HS分類は、こうした連続体を「どこで線を引くか」を国際標準として定める作業なので、改正が入ると境界付近の品目が動きます。ビジネスで影響が大きいのは、まさにこの境界品です。wcoomd

センサーで特に揺れやすい論点は次のとおりです。

  • センサー素子か、測定機器か: センサー素子は部品寄り(8541系)、測定機器は完成品寄り(他類)です。完成品側に寄るほど、半導体の章(第85類)から離れやすくなります。deepbeez
  • 変換素子か、信号処理まで含むか: 物理量を電気信号に変換するだけの段階と、補正・演算・デジタル出力まで含む段階は、税関分類の評価ポイントが変わります。deepbeez
  • 単機能か、多機能か: 環境センサーは温湿度、気圧、ガス、照度など複数要素を統合しがちで、多機能化は「主たる機能は何か」という論点を強めます。
  • どの産業用途に組み込まれるか: 同じセンサーでも、自動車、産業機械、医療、家電でパッケージや付加機能が変わり、分類は用途だけで決まらない一方、用途に由来する構成差は分類に影響します。youtube​

4. HS2028で半導体・センサー分類は何が「変わる」のか

確定情報と、実務上の読み方を分ける

情報の信頼性を最優先に、言い切れる範囲と言い切れない範囲を分けます。

4-1. 現時点で一次資料から言い切れること

  • HS2028は2028年1月1日に発効されるwcoomd
  • HS2028は299件の改正セットを含む勧告パッケージとして暫定採択されたstrtrade+1​
  • 改正には105件の品目改正案、5件の注解改正、66件の分類決定、14件の新分類意見が含まれるstrtrade+1​
  • 半導体ベースのトランスデューサー(変換素子)が改正議題に含まれているwcoomd+1​

つまり、半導体・センサー領域はHS2028の改正議題に含まれており、何らかの分類上の調整が入る可能性が高い、という点までは公的文書で裏づけられます。

4-2. 企業実務として「ここが動くと困る」を先に特定する

個別の6桁コードがどう変わるかは、2026年1月公表予定のWCO正式なHS2028法文と相関表(correlation table)で最終確認が必要です。ここを飛ばして断定すると、誤った社内判断につながります。tarifftel+1​

ビジネス側は、コード表の暗記ではなく「自社品が分類境界のど真ん中にいるか」を見抜くことが重要です。具体的には、次のような品目群はHS2028で影響を受けやすい位置にあります。

  • 半導体ベースの変換素子(各種トランスデューサー)deepbeez
  • センサー素子に信号処理ICが付随するモジュール
  • 複合センサー(複数の測定要素を統合)
  • 完成品に近いスマートセンサー(補正、演算、通信を内蔵)
  • センサーを搭載したユニットやサブアセンブリ(他機能と不可分)youtube​

これらは、分類が「素子」寄りか「機器」寄りかで分かれ、HS改正で線引きが再定義されると影響が出やすい領域です。

5. HS2028対応で失敗しやすい会社のパターン

通関担当だけに任せると、ほぼ確実に抜ける

半導体・センサー企業でよくある失敗は、HS改正を「通関部門のコード置換作業」にしてしまうことです。これだと次が抜けます。

  • 製品マスタの粒度が足りない: 分類に必要な属性(素子の役割、信号処理の有無、通信機能、主たる機能など)がマスタに入っていないと、相関表が出ても機械的に当てはめられません。
  • 原産地規則の影響評価が後回し: HS変更は、FTAの品目別規則(PSR)の参照単位を変え得ます。関税率がゼロでも、原産地判定でコストが跳ねることがあります。
  • 規制スクリーニングが壊れる: 社内の輸出審査フローでHSコードをキーにしている場合、誤分類や未更新は審査漏れの原因になります。

6. ビジネスマン向けの実務チェックリスト

2028年までに何を終わらせるか

以下は、半導体・センサー企業がHS2028で痛手を避けるための現実的な進め方です。

ステップ1: 影響範囲の棚卸し

  • 製品群を「素子」「モジュール」「完成品寄り」に3分類する
  • 売上上位、利益上位、規制リスク上位の品目を優先対象にする
  • 輸出入の主要国別に、関税率とFTA利用の有無を紐づける

ステップ2: 分類に必要な属性を社内で標準化する

センサーや半導体は、品名だけでは分類できません。仕様書を見なくても判断できる属性項目を、マスタに落とし込みます。

  • 測定対象(温度、圧力、加速度、光、ガスなど)
  • 変換方式と主要構成(半導体要素の有無、MEMSかどうかなど)
  • 信号処理の範囲(増幅、A/D、演算、補正)
  • 出力形態(アナログ、デジタル、通信プロトコル)
  • 単体販売か、ユニットの一部か

ステップ3: 相関表が出た瞬間に「自動変換」しない

WCO手続き上、最終的な確定内容や各国の国内拡張桁への転記を確認する必要があります。相関表は出発点で、個別品目の仕様と照合して初めて確定に近づきます。wcoomd

ステップ4: 社内の下流影響を先に洗い出す

  • 価格条件(関税負担者)
  • 原産地証明の運用(PSR参照箇所)
  • 輸出入ライセンスや社内審査フロー
  • 統計や経営レポート(品目別KPI)
  • 取引先との品目コード整合(発注、納品、請求)

7. まとめ

HS2028は「半導体・センサーの線引き」がビジネスコストになる改正

HS2028は2028年1月1日に発効され、299件の改正セットからなる勧告パッケージとして暫定採択されました。改正には105件の品目改正案、5件の注解改正、66件の分類決定、14件の新分類意見が含まれます。また、半導体ベースのトランスデューサーが改正対象として明示されています。wcoomd+3​

ただし、個別のコード改編の詳細は、2026年1月公表予定のWCO正式なHS2028法文と相関表、さらに各国の国内法への転記で最終確認が必要です。ここを飛ばして社内で断定しないことが、信頼性の高いHS2028対応の第一歩です。tarifftel+1​

半導体・センサー企業にとっての成功の鍵は、改正が出てから慌てて置換することではありません。分類境界にいる品目を先に特定し、仕様に基づく分類判断を回せるマスタ設計と運用体制を2028年までに構築することです。


https://hts.usitc.gov/search?query=8541.42.00.10

https://www.wcoomd.org/-/media/wco/public/global/pdf/events/2019/hs-conference/semiconductors-and-the-future-of-the-hs_sia-white-paper_april-2019.pdf?la=fr

https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2025/april/hsc-provisionally-adopts-the-recommendation-for-hs-2028-amendments-at-75th-session.aspx

https://www.aeb.com/en/magazine/articles/hs-code-2028.php

https://www.wcoomd.org/en/media/newsroom/2023/october/successful-conclusion-of-the-72nd-session-of-the-harmonized-system-committee.aspx

https://www.tarifftel.com/blog/hs-2028-your-guide-to-the-next-harmonised-system-update/

https://www.strtrade.com/trade-news-resources/str-trade-report/trade-report/april/amendments-to-2028-harmonized-schedule-advanced

https://www.wcoomd.org/en/topics/nomenclature/activities-and-programmes/amending_hs.aspx

https://deepbeez.com/d/hs/transducer

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https://global-scm.com/hscf/archives/134

https://global-scm.com/hscf/

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https://www.ul.com/resources/global-market-access-regulatory-news-update

https://www.flexport.com/data/hs-code/85-electrical-machinery-and-equipment-and-parts-thereof-sound-recorders-and-reproducers-television-image-and-sound-recorders-and-reproducers-and-parts-an/