2月前半のBMS・センサー分類スナップショットを深掘りする

2026年の税番見直しで、コストとリスクを同時に下げる実務ガイド


はじめに

BMSと各種センサーは、EVや蓄電システム、産業機械、IoT機器の中核部品です。一方で、見た目が似ていても「電池として提示されるのか」「制御盤として提示されるのか」「半導体センサーとして提示されるのか」によって、税番の方向性が大きく変わります。

HSは世界共通の6桁が出発点ですが、実務では各国で統計細分や運用差が生じます。日本でも、輸出入統計品目番号は6桁HSコードに国内3桁を付した9桁で運用されます。ここを理解していないと、社内マスターの整合が崩れ、仕入先や海外拠点との会話が噛み合いません。

本記事では、2026年2月前半に見直しておきたい観点として、BMSとセンサーの分類論点を「判断の軸」と「実務の落とし穴」に分けて整理します。最終的に、経営・調達・物流の意思決定に使える形まで落とし込みます。


2月前半のスナップショット

この時期に優先度が上がりやすい論点は次の5つです。

  1. BMSが電池パックの一部として提示されるのか、制御ユニットとして提示されるのか
  2. センサーがHS2022で新設された「半導体ベースの変換器」の範囲に入るのか
  3. センサーが「測定機器」として第90類に寄るのか、それとも「半導体デバイス」に寄るのか
  4. 基板やユニットが、単なる印刷回路なのか、制御盤なのか、特定機器の部分品なのか
  5. 社内の品名、仕様書、BOM、梱包形態が「提示態様」を曖昧にしていないか

これらは関税率だけの話ではありません。原産地判定、輸出管理、顧客への価格提示、輸送書類の整合など、ビジネスの下流工程に連鎖します。


BMS分類を深掘りする

まず押さえる前提

HS分類の基本は、品目表の文言と部注・類注に基づいて判断することです。複合品やセットなど複数の要素がある場合は、「重要な特性」を与える要素で判断するという考え方が軸になります(WCO解釈通則3(b))。

この原則を前提に、BMSは実務上、次の2タイプに分けて考えると誤分類が減ります。


タイプ1:セルやモジュールを含む、電池パック内蔵型BMS

セルを含む構成で外観上も電源として提示される場合、論点は「電池として提示されているか」に収束します。日本の関税率表では、リチウムイオン蓄電池は第85類の8507.60に位置づけられます。

米国の事例では、BMSがリチウムイオンセルを含み電源として機能する提示態様において、セルが不可欠である点などを踏まえ、電気蓄電池の範囲で扱う判断が示されています(HQ H155376、第三者アーカイブに掲載)。

実務上のポイントは次の3点です。

①見積・契約段階で「セル入りか」を明確化する 同じBMSという品名でも、セル入りとセル無しで分類候補が分かれます。品名だけで処理すると誤分類が起きやすくなります。

②梱包と提示資料が「電池らしさ」を強めるかを点検する 仕様書や梱包ラベルに「power source」「battery pack」という表現が中心になっていると、電池としての提示性が強まります。

③部分品輸入の可能性も並走して検討する 電池そのものではなく「蓄電池の部分品」として提示されるケースもあり、8507.90が候補になる局面があります。


タイプ2:セルを含まない、制御ユニット型BMS

セルを含まない場合、BMSは「電池」より「制御」「監視」「保護」「配電」に軸足が移ります。候補になりやすいのが次の領域です。

① 第85類 8537.10(制御・配電用の盤) 8537は、電気の制御または配電用の盤・パネル等で、機器を二以上備えるものなどを含みます。BMSがヒューズ、スイッチング、遮断、配電・制御を担い、盤としての提示態様が強い場合に論点になります。8537.10は電圧1,000V以下のものが対象です。

② 第90類 9032.89(自動調整機器) 9032は自動調整・自動制御の機器で、電気式のものを含む区分があります。BMSが測定値に基づいて充放電を自動制御し、制御装置として提示される場合に候補として浮上しやすい領域です。

③ 部分品としての8538.90、または印刷回路としての8534.00 BMSが特定の制御盤や機器に専ら又は主として使用される部品として提示される場合、8538.90が論点になります。単に印刷回路として提示される場合は8534.00が候補になる局面があります。

ここで重要なのは、BMSを「基板」「ユニット」「制御盤」「部分品」のどれとして提示しているかを、書類と現物の両方で整合させることです。技術的に同じ回路でも、通関上の提示態様が違えば、分類ロジックが変わります。

BMS分類で必ず確認すべき質問

社内でレビューするときは、次の問いに答えられるようにしておくと判断がブレにくくなります。

  1. セルを含むか。含むなら、どこまでが一体か
  2. 電池としての機能(蓄電と出力)が主か、制御が主か
  3. 遮断、保護、配電などの電気的機能がどの部品で実現されるか
  4. 単体で機能するか、特定の機器に専用か
  5. 提示資料における主たる用途の説明は何か

センサー分類を深掘りする

HS2022で重要度が上がった「半導体ベースの変換器」

センサー分類で見落としが増えやすいのが、HS2022改正で新設された「半導体ベースの変換器」です。税関関税協会の解説FAQでも、従来は多数のHSコード(例:第84.31項、第84.66項、第84.73項等)に分類されていたものが、今次改正により特定のコード(8541.51)に分類されることとなった旨が明確に説明されています。

日本の関税率表でも、8541.51として「半導体ベースの変換器」が明確に掲げられています。

ビジネス上の意味はシンプルです。センサーを「測定機器」として第90類に入れていた慣行が、製品によっては見直し対象になり得るということです。特に、半導体素子としての提示性が強い場合や、モジュール構成が軽い場合に論点になりやすくなります。

センサーを3層で整理する

実務では、センサーを次の3層で整理すると、社内マスターの混乱を防げます。

① 半導体デバイス寄り 半導体ベースの変換器(8541.51)など。

② 測定機器寄り(第90類) 温度計などの9025(電気式を含む区分あり)、圧力測定などの9026.20(電気式を含む区分あり)、その他の測定・検査機器としての9031.80など。

③ 組込み・部分品寄り 特定の装置の部品として提示されるケース。基板単体の提示なら8534.00、制御系の部品なら8538.90などの論点が出ます。

ありがちな落とし穴

落とし穴①:センサーという品名だけで第90類に寄せてしまう HS2022以降、半導体ベースの変換器に該当する可能性があるため、まず「半導体デバイスとしての提示態様か」を確認する必要があります。

落とし穴②:基板付きセンサーを無条件で印刷回路扱いにしてしまう 基板があるだけで8534.00に固定すると、センサー機能が重要な特性を与えるケースでズレが出ます。複合品のときは重要な特性の見極めが必要です。

落とし穴③:電気式の測定機器区分の取りこぼし 例えば圧力測定の9026.20には電気式の区分が存在します。電気式であること自体が分類の枝分かれになることがあります。

落とし穴④:通信機能付きセンサーモジュール 無線やネットワーク機能を持つモジュールは、通信機器との境界が論点になり得ます。製品構成が千差万別なため、仕様書と提示態様の精査が欠かせません。


1枚で整理する:BMSとセンサーの候補マップ

以下は、社内で議論を始めるための「候補の地図」です。確定税番ではなく、製品の提示態様ごとに論点が出やすい方向性として使ってください。

対象提示態様の典型論点になりやすい区分例(日本の6桁起点)
BMS(セル入り)電池パックとして機能・提示8507.60(リチウムイオン蓄電池)
BMS(セル無し)制御盤・制御ユニットとして提示8537.10(制御・配電用の盤等)、9032.89(自動調整機器)
BMS関連の部品盤・開閉器等に専用の部品として提示8538.90(部分品)
基板単体印刷回路として提示8534.00(印刷回路)
半導体センサー半導体デバイスとして提示8541.51(半導体ベースの変換器)
温度・圧力などの測定機器測定機器として提示9025(温度計等)、9026(圧力等)、9031(その他の測定・検査)

この表の各行が根拠を持つのは、日本の関税率表上の各品目説明とHSの解釈通則の考え方に基づきます。


2月後半に向けたアクションプラン

社内マスターを6桁と9桁で二層化する

日本の輸出入統計品目番号は、6桁HSに国内3桁が付いた9桁です。海外拠点や仕入先との会話は6桁で合わせ、申告や統計管理は9桁で運用する二層構造が有効です。

事前教示とBTIで、分類の不確実性を取り除く

分類で迷う製品は、早めに当局の判断を取りに行くほうが、監査・遅延・追加課税のリスクを下げられます。

日本の事前教示制度では、サンプル、写真、原材料、加工工程などの資料を添えて照会でき、文書による回答は原則3年間にわたって全国の税関で尊重されます。口頭照会は「参考」扱いにとどまり、文書回答とは効力が異なる点に注意が必要です。

EUのBTI(拘束的関税情報) は、一般に3年間EU全域で有効な法的決定として位置づけられており、すべてのEU加盟国の税関を拘束します。

分類ファイルを標準化する

監査対応まで見据えるなら、最低限、次のセットを製品ごとに揃えることを推奨します。

  1. 製品仕様書と機能説明(何を測り、何を制御し、何を保護するか)
  2. 構成部品表(主要部品、ヒューズや開閉器の有無、半導体センサーの有無)
  3. 写真、図面、外形、端子・コネクタ情報
  4. 梱包形態と同梱物(単体かセットか)
  5. 社内判断メモ(解釈通則の当てはめ、重要な特性の根拠)

このファイルがあるだけで、担当者が変わっても判断が再現でき、国別運用差に直面したときも修正が効きます。


まとめ

BMSとセンサーの分類は、単なるコード当てはめではなく、製品の提示態様と重要な特性を言語化する作業です。2月前半の見直しでは、次の順で整理すると迷いが減ります。

  1. セルを含むか、電池として提示されるか
  2. 制御盤か、自動調整機器か、部分品か
  3. センサーは半導体ベースの変換器か、測定機器か
  4. 基板は印刷回路か、制御系の部品か
  5. 6桁と9桁のマスター整合、当局照会の準備

ここまでを固めれば、分類ブレによる原価の揺れ、通関の差戻し、顧客への価格再提示といったビジネス上の手戻りを現実的に減らせます。


免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の製品や取引に対する法令上の助言、関税分類の確定判断、申告指示を行うものではありません。関税分類は、各国税関の規定、部注・類注、解釈通則、貨物の仕様、提示態様、契約条件、同梱物等により結論が変わる場合があります。実務適用にあたっては、最新の関係法令・公表資料を確認のうえ、必要に応じて税関の事前教示制度や専門家へ照会してください。

BMS・センサー分類 実務アクションパック

製品仕様の揺れに負けない、HSコード区分を社内で回し切るための実務設計


電動化とIoTが進むほど、BMS(Battery Management System)と各種センサーは、輸出入の現場で「分類が割れやすい」代表格です。理由は単純で、どちらも電池・制御・計測の境界に立つ部品やモジュールになりやすく、輸入形態(単体か、ユニットか、完成品の一部か)によって客観的性格が変わるからです。

しかもHSコードは、6桁までは国際的に共通でも、各国はその先を拡張して運用します。たとえば日本は9桁の統計品目番号を使い、6桁HSと国内コードの組み合わせで申告します。輸出と輸入で国内コードが一致しないこともあります。つまり、同じ製品でも「国」「輸出入」「申告実務」の条件によって結論が揺れやすいのが現実です。

そこで本記事では、BMSとセンサーの区分を短期間で安定させるための「BMS・センサー分類:実務アクションパック」を、ビジネス実務の観点から深掘りします。目指すのは、単発の正解探しではなく、社内で再現できる判断の仕組みを作ることです。


1. まず押さえるべき前提

HSコードは情報ではなく、運用のインフラである

1-1. HSは6桁までが世界共通——ただし最新版の読み替えが必要

HSは世界の貿易品目を体系化した分類で、WCO(世界税関機構)が管理しています。定期的な改正を重ねており、2022年1月1日に発効したHS 2022(2022年版)は、WCO公表資料によれば最新の改正版に位置付けられています。WCOはさらに、加速改正手続き(accelerated amendment process)の枠組みの下で、一定の品目について継続的な更新を進めています。

一方、各国の関税率表は6桁HSを基礎にしつつ、8桁や10桁などに拡張して詳細管理します。EUではCN(Combined Nomenclature)が8桁、TARIC(統合関税品目番号)が10桁という体系で運用されます。

1-2. 事業インパクトは「関税」だけではない

BMSやセンサーの分類が崩れると、次の領域に連鎖します。

  • 関税・通関の遅延、追加資料要請
  • 原産地(EPA/FTA)の判定、原価計算への波及
  • 輸出管理や規制品目スクリーニングの誤判定
  • 取引先への見積価格や納期コミットの崩れ

つまり分類は、貿易実務にとどまらず、営業・調達・設計変更管理・マスタ管理までを含む業務基盤です。


2. BMSの分類をブレさせない「3つの分岐」

同じBMSでも、輸入形態で見える性格が変わる

BMSは大きく次の3パターンに分けると、実務が回しやすくなります。


分岐A:電池セルと一体で入ってくるか

一体なら「電池として扱う」根拠が取りやすい

HSの第85類では、見出し8507(電気蓄電池)について、「蓄電池には、蓄電・給電機能に寄与する、または損傷から保護する付属部品を伴って提示されるものを含む」とされており、例として電気コネクタ、温度制御装置(サーミスタ等)、回路保護装置が挙げられています。電池が組み込まれる機器の保護筐体の一部を含む場合もある、という趣旨です。

この注記が実務上有力なのは、BMSが「電池を成立させる付属要素」として説明しやすいからです。セルと制御基板、温度保護、筐体などを含む構成は、製品の客観的性格が電池に寄りやすくなります。

米国の公開裁定(HQ H155376)でも、セルや基板などから成るBMSを、電池機能を支える構成として見出し8507に分類した例が示されています。EUの品目実務でも、BMSを含む一体型の電池システムをCNコード8507 60 00(リチウムイオン蓄電池)に紐づけて扱う記載が、EUR-Lex掲載の関税規則文書に見られます。

実務アクション セル同梱や電池ユニット形態であれば、BMS単体の機能説明より先に「8507注記に当てはまる付属部品か」を起点に整理すると、社内合意が速まります。


分岐B:配電・制御の盤やユニットとして成立しているか

成立しているなら「制御・配電機器」側の検討が必要

見出し8537は、8535や8536の機器を2つ以上備えた、電気の制御または配電用の盤・パネル・コンソール等を対象にします。

BMSが「電池の付属」ではなく、設備側の制御盤として独立している場合、8537が候補になり得ます。たとえば、充放電設備やラックの電力系統を制御する盤で、遮断・切替・保護を担う構成(リレー、遮断器、端子台など)が明確に備わり、盤としての客観的特性が強いケースです。

実務アクション 仕様書や図面から、8536に該当し得る構成要素(スイッチング・保護・接続の機器)を洗い出し、盤としての成立性を確認します。


分岐C:計測・監視・制御の「機能装置」寄りか

機能装置なら「計測・自動制御」側も同時に検討する

BMSは電池の保護・監視・均等化・通信まで含むことが多く、制御ロジックが強い場合があります。このとき、次の観点で計測・自動制御側の候補が浮上します。

  • 9031:その他の測定・検査機器(第90類で他に特掲されないもの)
  • 9032:自動調整または制御用の機器

実務アクション BMSの要件定義を、保護(過電流遮断等)・調整(セルバランス等)・計測(電圧・温度等)・通信(CAN等)に分解し、どの機能が「客観的性格の中心」かを社内で文章化します。ここを曖昧にしたままHS番号だけ決めると、設計変更のたびに崩れます。


3. センサー分類は「完成した計測機器」か「素子・IC」かで世界が変わる

実務で迷うポイントを先に固定する

センサーは、同じ測定対象でも製品の完成度によって分類が変わりやすい領域です。実務では、まず形態を次の2つに分けます。


3-1. 完成した計測機器・計測装置として販売されるセンサー

第90類の見出しから当てにいく

代表的な見出しは以下のとおりです。

  • 9025:温度計、湿度計、気圧計など
  • 9026:流量、液位、圧力など(液体・気体の変数)
  • 9031:第90類の他の見出しに特掲されない測定・検査機器
  • 9032:自動調整または制御用機器

実務アクション 型番単位で「測るだけ」か「制御まで自動でやる」かを分けます。センサーが単独で測定値を出すだけなら9025や9026側の検討が中心です。設定値に基づき弁やモータ等を制御する仕組みが本体に組み込まれ、客観的に自動制御装置といえる場合は9032が視野に入ります。


3-2. センサー素子・トランスデューサー・ICとして販売されるセンサー

第85類の注記を起点に整理する

第85類の注記では、半導体デバイスの定義に「半導体ベースのトランスデューサー」が含まれており、物理・化学現象を電気信号へ変換するデバイスとして定義されています。また8541および8542が他の見出しに優先する趣旨も示されています。

つまり、センサーが「計測機器」ではなく「半導体素子やICとしての性格」が強い場合、8541(半導体デバイス)や8542(電子集積回路)の検討が実務上不可欠になります。

実務アクション センサーを次の3層に分けて仕様を集めます。

  • 素子層:半導体ベースのセンサー素子、MEMS、ダイ
  • 回路層:信号処理IC、アンプ、A/D、制御IC
  • 製品層:筐体、表示、通信、校正、電源、取り付け機構

この分解をすると、同じ「圧力センサー」でも、素子販売か計測装置販売かで論点が別物になることが、社内で共有しやすくなります。


4. 実務アクションパックの中身

現場が止まらないための成果物を「テンプレ化」する

実務アクションパックは、結論のHS番号よりも、結論に至るプロセスと証跡を先に整えることを重視します。推奨の成果物は次の6点です。


成果物1:製品インテークシート

設計部門から最短で情報を取るための共通フォーマット

以下の項目が揃えば一次判断が可能になります。

  • 製品名、型番、用途、販売形態(単体・キット・ユニット組み込み)
  • 機能分解(計測・制御・保護・通信・電力変換など)
  • 構成部品(セル有無、半導体素子、保護回路、スイッチング機器等)
  • 入出力(電圧範囲、通信規格、アナログ・デジタル)
  • 写真、外観図、ブロック図、主要仕様書

成果物2:BMS分岐チャート

セル同梱・盤成立・計測機能寄りの三分岐で迷いを減らす

チャートは難しくするほど運用されません。実務では次の問いを順番に当てます。

  1. セルと一体で提示されるか
  2. 8535/8536の機器を複数備えた盤として成立しているか
  3. 自動制御の装置として客観的性格が立つか
  4. それでも残る場合は、他の見出しの該当性と除外規定を確認する

この順番にするだけで、会議が「候補の羅列」から「論点の絞り込み」に変わります。


成果物3:センサー分岐チャート

完成計測機器か素子・ICかを最初に固定する

  1. 表示・校正・出力が揃っていて、計測機器として販売されるか
  2. 目的変数が温度・圧力・流量などで、特定の見出しに当てられるか
  3. 自動調整または制御まで行う装置か
  4. 半導体素子・ICとしての性格が強いか

成果物4:分類メモ

関係者が同じ文章を読めるようにする1枚資料

分類メモの核となる6項目です。

  1. 申告対象の客観的特性(何が、何をするものか)
  2. 候補見出しと採否理由
  3. 採用した見出しの根拠(注記、定義、類似事例など)
  4. 除外した見出しの理由
  5. 適用範囲(どのSKU、どの仕様まで同一扱いか)
  6. 変更管理のトリガー(セル仕様・IC変更・筐体変更など)

成果物5:エビデンスパック

税関照会や社内監査に耐える証拠一式

米国では関税分類の裁定申請(19 CFR 177.2)において、物品の完全な記述・用途・写真やサンプルなどの提出が求められます。日本の事前教示でも書面回答が税関検査で尊重されること、EUでもBTI(拘束的関税情報)が法的確実性の手段として位置づけられていることは共通しており、いずれも判断のための資料の質が問われます。


成果物6:マスタ連携の運用設計

分類を「知識」から「データ」へ落とす

分類は担当者の頭の中に置いた瞬間に崩れます。SKUマスタに次を持たせます。

  • HSコード(国別の桁まで)
  • 適用開始日と根拠資料リンク
  • 仕様の前提条件
  • 設計変更時の再判定フラグ

5. 30日で立ち上げる運用ロードマップ

分類プロジェクトを短期で「仕組み化」する

1週目:対象範囲と型番棚卸し

  • 対象SKUの一覧化
  • 輸入形態別にグルーピング(セル同梱・単体基板・計測装置など)
  • 不明点を設計に返すための質問票を確定

2週目:一次分類と論点リスト化

  • 候補見出しの一次当て
  • 分岐チャートで論点を残す
  • 関係者レビュー会を30分単位で回す

3週目:証跡整備とリスク分類

  • 分類メモをSKU単位で固定
  • 高リスク品は事前教示・裁定の検討対象に上げる
  • 監査に耐えるフォルダ構造を作る

4週目:マスタ実装と変更管理の接続

  • ERPや貿易システムへ反映
  • 設計変更プロセスに分類再判定を組み込む
  • 月次で差分レビューを回す

6. 実務で起きがちな失敗と先回りの打ち手

仕様の説明が「機能」だけで終わっている

税関や監査で問われるのは客観的特性です。ブロック図、構成部品、形態、提示のされ方を揃えます。

国別の桁の違いを放置している

HS6桁は共通でも、国別の拡張桁は運用が分かれます。日本は9桁で申告し、国内コードの扱いもあります。EUはCN8桁を基礎にし、TARICで10桁まで管理します。

口頭の回答を「正式」と誤解している

日本の事前教示制度では、書面回答が尊重される一方、口頭回答は原則として税関検査で尊重されません。実務は必ず書面と証跡に寄せます。


参考資料

  1. WCO HS Nomenclature 2022(2022年1月1日発効、加速改正手続きの枠組みも参照)
  2. 米国商務省 ITA:HSは6桁共通、構造の概説
  3. 日本の統計品目番号(9桁は6桁HSと国内コードの組み合わせ)
  4. 第85類 注記(8507の付属部品、半導体ベースのトランスデューサー定義など)—Census.gov(米国Schedule B / HTS)
  5. 国連統計部(UNSD)HS見出しの定義:9025、9026、9031、9032、8536、8537、8541、8542
  6. EU:BTIプロセスのガイダンス(CN8桁、TARIC10桁、BTIの位置付け等)—Taxation and Customs Union
  7. 日本税関:事前教示(品目分類)制度の概要(書面回答の尊重、有効期間など)
  8. 米国:関税分類の裁定申請に求められる記載事項(19 CFR 177.2)—Cornell LII
  9. 米国公開裁定 HQ H155376(BMSを8507として扱う論旨の例)—Customs Mobile


免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、関税分類、法令解釈、通関手続等に関する助言または保証を行うものではありません。実際のHSコードや統計品目番号の決定は、商品の客観的特性、提示形態、取引条件、各国の関税率表および税関の運用等により異なり得ます。必ず最新の法令・通達・関係当局の公表情報を確認し、必要に応じて税関への事前教示申請や通関士、弁護士等の専門家へご相談ください。本記事の内容は正確性に配慮して作成していますが、完全性、最新性、特定目的への適合性を保証するものではなく、本記事の情報に基づいて生じた損害について一切の責任を負いません。