HSCF: 付番トライアル013:サバ

近くのスーパーで見かけた鮮度の高い魚の写真。商品説明は以下の写真だけ

1) 結論

  • 推定HS(6桁):0302.44
  • 要約:画像上は氷載せの丸魚で、近接する札が「さば」を示すため、生鮮・冷蔵のさばが最有力。03.02 は生鮮・冷蔵魚、0302.44 は「さば」に対応します。
  • 確度(%):74%
サバのイメージ図。HSCFのアウトプットではありません。

2) 根拠

  • 適用通則・注:GRI 1 により、まず項の規定と関係する部・類注で所属を決め、GRI 6 により同一項内の6桁号を決めます。
  • 判定ポイント:第03類は、各項に規定する状態の魚に適用され、加熱調理その他この類に記載しない方法で調製したものは第16類に移ります。
    また、03.02 項は「生鮮又は冷蔵の魚」を含み、輸送中の一時的保存のために塩又は氷を加えて包装したものも含みます。さらに 0302.44 は「さば」です。
  • 仮定:申告時点で、①丸魚のまま、②生鮮又は冷蔵、③フィレではない、④塩蔵・くん製・加熱・味付けなし、⑤近接する札が当該魚を指している、という前提で推定しています。
  • 排他・除外の理由
    03.03 は「冷凍したもの」に限られるため、冷凍であれば 0303 側へ移ります。
    03.04 はフィレその他の魚肉であり、画像は丸魚に見えるため外れます。
    03.05 や 16 類は、乾燥・塩蔵・くん製・加熱調理・その他の調製がある場合で、画像上はそこまで確認できません。
  • 型番・画像

A

  • 観察ポイント:
    • 氷上に丸魚がばら積みされている。
    • 小売の鮮魚売場の陳列に見える。
    • 切身・フィレ・缶詰・調製品の外観ではない。

B

  • 観察ポイント:
    • 近接する売場札は「…さばです」と読める可能性が高い。
    • 札が当該陳列を指しているなら、魚種は「さば」とみるのが自然。
    • ただし、札が別商品のものである可能性は残る。

C

  • 観察ポイント:
    • 銀白色の体側、青黒い背部模様、頭尾付きの全魚体である。
    • 冷凍ブロックやフィレには見えない。
    • 体型・売場札の読みからは、さば系丸魚とみるのが最も妥当。

候補比較(日本語)

候補HS理由棄却理由確度%
0302.44近接札が「さば」を示す可能性が高く、画像は氷載せの丸魚で 03.02 の生鮮・冷蔵魚に整合。0302.44 は「さば」。札が別商品のもの、又は申告時点で冷凍状態なら外れる。74
0303.54種がさばのままでも、申告時に「冷凍したもの」なら 03.03 側に移り、0303.54 が対応。画像では氷載せの小売鮮魚陳列で、硬凍結品には見えない。14
0302.43画像だけで見ると、銀色の細身魚体は いわし類にも見え得る。0302.43 は「いわし」。近接札が「さば」を示す可能性があり、背部模様・体つきもややさば寄り。12

4) 争点・注意

最大の争点は、魚種認定と**申告時の状態(冷蔵か冷凍か)**です。
画像だけでは学名まで確定できないため、近接札が正しければ 0302.44、札が別商品を指していて実物がいわし類なら 0302.43、申告時に冷凍なら 0303.54 へ変わります。

5) 追加で必要な情報

  • 売場札・納品書・インボイスに「さば」と明記されていますか。Yes/No
  • 申告時点で商品中心部は凍結していますか。Yes/No
  • 丸魚(頭尾付き)のままですか。Yes/No
  • 塩蔵・酢漬け・くん製・加熱・味付けのいずれかがありますか。Yes/No
  • 標準和名または学名(例:まさば / ごまさば / まいわし)が確認できますか。Yes/No

6) 参考資料・出所

  • General Rule of HS code classification.pdf(通則1・6)
  • 関税率表解説20250923.pdf(2025-09-23版、第03類総説、03.02項、03.03項)
  • 税関 20250622 関税の説明.pdf(2025-06-22版。関税率表解説・分類例規の位置づけ)

HSCF: 付番トライアル012:十八穀米

スーパーで売っていた十八穀米をトライしました。

商品写真:2種

どの穀物が影響するか、楽しみです。

入力条件(日本語:ユーザー条件のみ)

  • 品名/用途:木屋のこだわり 十八雑穀米/お米に混ぜて炊く
  • 材質:押麦、はだか麦、もち玄米、青肌玄米、黒米、もちきび、とうもろこし、黒大豆、白ごま、キヌア、赤米、アマランサス、大豆、発芽玄米、ひえ、もちあわ、もち麦、はと麦
  • 構成・セット:炊飯用穀物の混合品、25g×22包
  • 電気性・測定/通信:—
  • 寸法・仕様値:内容量550g(25g×22包)
  • 型番・画像:画像2枚
  • 通関国・前提:—

1) 結論

  • 推定HS(6桁):1104.19
  • 要約:無調味・未加熱の乾燥雑穀ミックスで、押麦主体とみて「ロール又はフレーク状にした穀物」寄りに評価。
  • 確度(%):62%

2) 根拠

  • 適用通則・注GRI 1, 2(b), 3(b), 6。第10類総説では、この類は穀物の穀粒のみを対象とし、米はその他の加工をしていない限り10.06、キヌアも一定範囲で10.08にとどまり、11.04項レベルの加工をした穀粒は第10類から外れる整理です。 第11類の整理では、11.04項は米・キヌアを除く穀物について、殻を除いたもの、ロールにかけたもの、ブレーク状のもの等の「その他の加工穀物」を含むと説明されています。 第19.04項の「その他の調製をしたもの」は、第10類又は第11類の加工程度を超えたものを指します。
  • 判定ポイント:画像上、本品は「炊飯用穀物の混合品」であり、米に混ぜて炊く用途の乾燥品です。原材料欄には穀物・種実が並び、塩、砂糖、香辛料、油脂等の調味成分は見当たりません。したがって、まず未加熱・無調味の穀物系ミックスとして把握するのが自然です。複数の項にまたがる混合物なので、重要な特性で決めるGRI 3(b)の考え方を使うのが相当です。 その上で、画像では扁平な押麦様の粒が目立ち、原材料欄の先頭も押麦であるため、**押麦(ロール又はフレーク状の大麦)**が全体の特性を与えるという見方を最有力にしました
  • 仮定:①HS2022で評価する、②原材料表示は一般的な重量順記載とみる、③本品は加熱膨化・蒸煮・焙煎など第19類寄りの追加調製を受けていない、④ごま・大豆は全体の特性を逆転させるほど高率ではない。
  • 排他・除外の理由19.01は穀粉・ひき割り穀物・ミール・でん粉等をもととし、それらが重要な特性を与える調製食料品が中心で、本品のような粒のままの雑穀・種実ミックスとは距離があります。 19.04も第10類又は第11類の加工程度を超えた調製が必要ですが、本品は画像上そこまでの調製は確認しにくいです。 また、第10類全体は穀物の穀粒のみを対象とする一方、本品には黒大豆・大豆・白ごまが含まれるため、全体を単純に第10類の単一物品として処理しにくいです。
  • 型番・画像

A 画像A(表面)

  • 「木屋のこだわり 十八雑穀米」「毎日使える22包入」と表示。
  • 透明窓から、扁平で押麦様に見える粒が比較的目立つ。
  • 「キヌア・アマランサス・もち麦ブレンド」と読める。

B 画像B(裏面)

  • 「名称:炊飯用穀物の混合品」と読める。
  • 用途は「お米に混ぜて炊く」。
  • 原材料欄に調味成分より先に穀物・種実が並ぶ。

C 画像C(裏面原材料欄拡大)

  • 原材料として押麦、はだか麦、もち玄米、黒米、とうもろこし、黒大豆、白ごま、キヌア、アマランサス等が確認できる。
  • 穀物主体だが、大豆・ごまも含む複合品であることが分かる。
  • 内容量は25g×22包と読める。

候補比較(日本語)

候補HS理由棄却理由確度%
1104.19押麦が先頭表示で、外観もロール/フレーク状の大麦寄り。無調味・未加熱で第19類まで進めない見方に合う。正確な配合比が不明。押麦が最多でない場合は再検討が必要。62
1008.90キヌア、アマランサス、ひえ、あわ、はと麦等の「その他の穀物」群を重く見る整理。先頭原材料と見た目は押麦寄りで、ごま・大豆も含むため、そのまま「その他の穀物」へ落とすには弱い。23
2106.90多類混合で、いずれの穀物 heading にも決め切れない場合の残余的候補。本品はまず穀物系の具体的 heading を検討すべきで、21.06は現段階では後順位。15

4) 争点・注意

  • 最大の争点は配合比です。画像だけでは押麦・裸麦・玄米・その他雑穀・大豆・ごまの正確な重量比が分からず、GRI 3(b)の「重要な特性」判断に幅があります。
  • 日本の一般的な食品表示実務どおり原材料欄が重量順なら、押麦先頭はかなり有力な手掛かりですが、ここは今回仮定にとどめています。
  • 押麦の加工態様が「ロール/フレーク」か、「真珠形にとう精・薄切り・粗びき」寄りかで、11.04内部の見方も変わり得ます。
  • 通関国の国内細分は別途確認が必要です。HS6が同じでも9桁・10桁細分は国により異なります。
  • 画像のみ評価なので、実申告では製法書・配合表・仕様書で裏付けるのが安全です。

5) 追加で必要な情報

  • 原材料表示は重量順ですか。
  • 押麦が単一原材料として最多ですか。
  • 押麦はロール又はフレーク状の大麦ですか。
  • 事前加熱、蒸煮、膨化、焙煎はしていませんか。
  • ごま・大豆の合計が少量付加であると言えますか。
  • 通関国は日本ですか。

6) 参考資料・出所

  • 関税率表解説20250923:第10類総説(穀物の範囲、米・キヌアと11.04の関係)。
  • HS Code Note 2:第19類注4(19.04の「その他の調製をしたもの」の意味)。
  • 20250729_原産地規則と品目分類:11.04項の説明(米・キヌアを除く穀物の加工物)。
  • 税関 20250622 関税の説明:GRI 3(b)の「重要な特性」判断の要旨。
  • Explanation on HS code:19.01項の対象が穀粉・ひき割り穀物・ミール・でん粉等ベースの調製食料品である点。
  • ユーザー提供画像:表面・裏面・原材料欄拡大(A/B/C)。

第85類と第90類の境界をどう見抜くか

直近事例から学ぶ、ビジネス現場の判断軸

はじめに

HSコードの第85類と第90類は、実務で最も迷いやすい境界の一つです。理由は明確です。最近の製品ほど、電気機器であると同時に、測定機器、検査機器、光学機器、医療機器としての性格も持つからです。

日本税関は、品目分類が関税だけでなく、原産品判定や貿易統計の基礎になると説明しています。実務では、関税率表、関税率表解説、分類例規、事前教示事例をあわせて確認することが重要です。特に関税率表解説は、WCOのExplanatory Notesを基礎として整備されています。(customs.go.jp)

第85類は電気機器やその部分品を広く受け止める類です。一方、第90類は、光学機器、写真用機器、測定機器、検査機器、精密機器、医療機器などを扱います。したがって、スマート化された装置ほど両者がぶつかりやすくなります。電子回路が入っているから第85類、センサーがあるから第90類、という見方だけでは足りません。(customs.go.jp)

第85類と第90類の境界を見る三つの軸

1 主たる機能は何か

日本税関の説明では、第90類に属する測定、試験、検査、選別、調整機器は、測定可能な量や値を検出して表示または記録できるもの、試験条件を与えて性能や精度を評価できるもの、検出した値に基づいて調整や選別を行うものとして整理されています。つまり、単に電気で動くかどうかではなく、何を測り、その結果をどう使うのかが核心になります。(customs.go.jp)

2 部分品そのものが独立した項に当たるか

第90類の注では、部分品や附属品であっても、その物品自体が第84類、第85類、第90類、第91類の特定の項で表現されるなら、原則としてその項に分類するとされています。日本税関の解説でも、変圧器、電磁石、コンデンサー、抵抗器、リレー、ランプなどは、たとえ第90類機器に組み込まれる用途であっても、第85類に残る例として示されています。最終用途だけで第90類に移るわけではない、という点は実務上とても重要です。(customs.go.jp)

3 単体ではなくシステムとして一つの機能を果たすか

日本税関は、第90類でも機能ユニットの考え方を採ると説明しています。複数の構成品が一つの明確な機能に直接寄与し、通常は同時に輸入されるような場合には、全体を一体として評価します。複数機能が併存する場合は、主たる機能で決めるという整理です。複雑な装置ほど、この視点を落とすと誤判定が起きやすくなります。(customs.go.jp)

直近事例で見る、境界の動き方

事例1 家庭用の電子血圧計は第90類

日本税関の2025年9月1日適用の改正概要では、腕帯、加圧ポンプ、血圧センサー、表示部などから成り、血圧と脈拍を自動測定する家庭用の電子血圧計が第9018.19号に分類されています。ここで効いているのは、家庭用であるかどうかよりも、生理学的な値を測定する医療系機器としての性格です。消費者向け製品であっても、測定対象と機能の中心が医療的な計測にあるなら、第90類に入ることがあります。(customs.go.jp)

事例2 光療法用の装置は第85類

同じく2025年9月1日適用の改正概要では、家庭用や美容施設、ヘルスケア施設向けに設計され、ハロゲン光源と光学ユニットで偏光を照射する光療法用装置が第8543.70号に分類されています。創傷治癒、疼痛緩和、皮膚疾患への使用などが説明されていても、それだけで自動的に第90類の医療機器になるわけではありません。ここで学ぶべきなのは、ヘルスケアや療法という販売上の言葉と、HS上の所属は一致しないことがある、という点です。(customs.go.jp)

事例3 インバーター関連は第85類と第90類に割れる

日本税関の分類例では、非同期電動機の速度制御に用いる電子速度制御装置が第8504.40号に分類される一方、三相非同期電動機の速度、トルク、位置の制御を確保することを主機能とし、リアルタイム測定カードなどを備えた電子周波数インバーターは第9032.89号に分類されています。両者の違いは、電力変換や駆動が中心なのか、測定値を取り込み、比較し、自動調整する仕組みが中心なのかという点です。見た目や商品名が似ていても、制御ロジックまで追わなければ結論は出ません。(customs.go.jp)

事例4 ゴーグル型製品は、電気製品より光学・眼鏡類として見られることがある

公開されている事前教示事例では、液晶シャッターを備えた3-Dゴーグルについて、第85.43項の固有の機能を有する電気機器よりも、第90.04項の眼鏡類の方が具体的であるとして、第9004.90号に分類しています。また、日本税関の分類例では、CPU、レンズ、各種センサー、接続端子を備え、特定のスマートフォンと組み合わせて使うVRヘッドセットも第9004.90号に分類されています。電子部品が多く入っていても、眼鏡やゴーグルとしての具体的な性格が勝つ場合がある、という好例です。(customs.go.jp)

事例5 制度改正そのものが境界の難しさを示している

HS2022では、第85.24項としてフラットパネルディスプレイモジュールの項目が新設されました。日本税関の資料では、その背景として、こうしたモジュールが従来は第85.28項や第85.29項、さらには第90類の測定機器などに分かれて分類され、統一的ではなかったことが説明されています。つまり、第85類と第90類の境界が難しいのは、担当者が迷うからではなく、制度側も整理を必要としたほど構造的に難しいからです。(customs.go.jp)

ビジネス現場で外さない見方

営業資料より、仕様書と機能説明を見る

税関資料から逆算すると、社内で第85類と第90類を見分けるときは、少なくとも次の順で確認すると精度が上がります。何を測るのか。測定値を表示または記録するのか。目標値との比較があるのか。その比較結果に基づいて自動調整するのか。単体品として輸入するのか、システムとして一体で輸入するのか。さらに、構成部品それ自体がすでに第85類などの独立した項に当たるのか。

結局のところ、営業資料のキャッチコピーより、仕様書、回路構成、制御ロジック、輸入形態のほうが分類には効きます。(customs.go.jp)

重要案件では事前教示を使う

継続輸入品や、税率、原産品判定、通関運用への影響が大きい案件では、文書による事前教示を使う価値があります。日本税関は、文書回答による事前教示について、原則として全国の税関で3年間尊重され、通関の迅速化にもつながると案内しています。一方で、貨物内容が回答時と異なる場合、期間を過ぎた場合、法令改正があった場合などは、その前提が崩れます。大事なのは、一度判断して終わりにしないことです。モデルチェンジ、ソフト更新、センサー追加、セット内容変更があれば、分類も見直す前提で運用したほうが安全です。(customs.go.jp)

まとめ

第85類と第90類の境界で問われるのは、電子化の度合いではありません。主たる機能は何か。測定や検査が本質なのか。測定値に基づく自動調整まで行うのか。部分品自体が独立した項に当たるのか。システム全体で一つの機能を果たしているのか。この順で見れば、迷いはかなり減ります。

最近の公表例が示しているのも、結局は同じことです。名前ではなく機能で見る。販促表現ではなく条文で見る。これが、第85類と第90類の境界で判断をぶらさないための基本姿勢です。(customs.go.jp)

免責事項

本記事は、日本税関その他の公的資料に基づく一般的な解説であり、個別貨物の最終的な所属区分、税率、原産品判定、通関結果を保証するものではありません。実際の品目分類は、輸入申告時の現況、構造、機能、用途、セット構成、同時輸入の有無、法令改正などによって変わり得ます。重要案件については、最新の関税率表と公表資料を確認したうえで、必要に応じて税関の文書による事前教示を利用してください。

EU向け輸出の巨大な壁。ICS2による「商品説明・HSコード不備」が招く自動拒絶の衝撃と対策。 2026年3月6日


欧州連合(EU)への輸出実務において、現在最も警戒すべきシステムが存在します。それが、EUの新しい輸入管理システムである「ICS2(Import Control System 2)」です。

航空貨物(フェーズ1・2)に先行導入されていたこのシステムは、海上・道路・鉄道貨物への適用(リリース3)が2024年6月以降段階的に拡大し、2025年9月1日に全モードで完全義務化されました。さらに2026年2月3日には旧メッセージ形式が完全廃止となり、欧州向けビジネスを展開するすべての日本企業に甚大な影響を及ぼしています。特に現場で多発しているのが、ENS申告における商品説明(Cargo Description)とHSコードの不備を起因とする自動拒絶のトラブルです。

本記事では、国際物流と通関ルールの専門家の視点から、この自動拒絶がなぜ起きるのか、そして自社のサプライチェーンを守るためにどのような対策を講じるべきかを解説します。


1.ICS2と「自動拒絶」のメカニズム

ICS2は、テロ対策や危険物の流入阻止を目的とした、EUの高度なセキュリティ・セーフティシステムです。最大の特徴は、貨物がEUに到着する前、あるいは「船に積み込まれる前」の段階で、ENS(Entry Summary Declaration:入域要約申告) と呼ばれる詳細な貨物データの提出を義務付けている点です。

⚠️ 適用対象はEU27ヶ国だけではありません。スイス・ノルウェー・北アイルランド向けまたは経由の貨物にも適用されます。

このENS申告において必須となるデータ項目の一つが、世界共通の品目分類番号である「HSコード(最低6桁)」です。

現在、EU税関の監督機関であるDG TAXUD(欧州委員会・税関間接税総局)は、ENS申告データに対するセキュリティリスク分析システムを極めて厳格に運用しています。ENS上に記載された**「商品説明(Cargo Description)」と、申告された「HSコード(6桁)」**の間に論理的な矛盾や不備が見られる場合、人間の審査官を通すまでもなく、システムが即座にエラーを検出し、ENS申告そのものを拒絶。有効なENS番号(MRN)が発行されず、当該貨物は積み込みができなくなります。

❌ こんな品名は即アウト

TaxUDは使用を禁止する品名リストを公開しており、随時更新されています。以下のような汎用的すぎる品名は、システムが自動的に弾く対象です。

  • Parts / Auto Parts / Metal Parts
  • Machine / Goods / Merchandise
  • Various Items / General Cargo

過去の慣例に頼った不正確なHSコードの使用も直接的なリスク要因となります。


2.日本企業を直撃するサプライチェーンの危機

このシステムの恐ろしい点は、エラーが発覚するタイミングと、それがもたらす物理的なダメージの大きさにあります。

🚢 積み地(日本側)でのコンテナ滞留リスク

海上貨物の場合、ENSデータは原則として「船積み前」に提出し、MRNを取得する必要があります。申告内容にデータ不備があると 「Do Not Load(積載禁止)」 の指令が発令され、貨物は日本の港で留め置かれます。

💸 予期せぬコスト増と納期遅延

港での滞留は、高額な保管料(ストレージ)やデマレージの発生に直結します。さらに、予定していた船便を逃すことで、EU側の顧客への納期遅延が確定します。現代のジャスト・イン・タイムを前提とした製造業や、季節性の高い消費財ビジネスにおいて、数日から数週間の遅れは致命的な契約違反や取引停止に発展する危険性をはらんでいます。

⚖️ 責任の所在を巡るトラブル

データ不備による遅延が発生した場合、その責任が「不正確な情報を提供した輸出者(荷送人)」にあるのか、「申告手続きを代行したフォワーダー(海貨業者)」にあるのかで、多額の損害賠償を巡るトラブルに発展するケースが急増しています。


3.今すぐ実行すべき3つの実務アクション

✅ アクション① 製品マスターデータの大掃除

自社が取り扱う全製品について、最新のHSコード(6桁以上)が正確に付与されているか、またENS申告に使用する商品説明(Cargo Description)がそのコードを客観的に裏付ける具体的な英語表記になっているかを全件見直してください。TAXUD禁止品名リストへの抵触有無も合わせて確認が必須です。

✅ アクション② フォワーダーとの情報連携の強化

通関業者やフォワーダーに対して、正確なHSコードと詳細な製品情報を余裕を持ったスケジュールで提供する体制を構築してください。ENSデータ提出の締め切りが従来よりも大幅に前倒しされていることを、営業部門・出荷担当者にも周知徹底することが不可欠です。

✅ アクション③ EU側バイヤーとの事前合意

HSコードの解釈は輸出側と輸入側で意見が分かれることがあります。EUに到着後の輸入通関をスムーズに行うためにも、事前にEU側の輸入者と協議し、ENS申告で使用するHSコード(6桁)および商品説明について双方で完全な合意を取っておくことが極めて重要です。


おわりに:データ精度が物流を制する時代へ

「通関書類は事務作業」という認識が、企業を危機に追い込む。

EUのICS2による自動拒絶は、貿易実務における「データ精度」が、物理的な「物流のスピード」を直接左右する時代が到来したことを明確に示しています。

経営層はこれをサプライチェーン全体の重要課題と位置づけ、コンプライアンス体制とデータ管理への投資を直ちに行う決断が求められています。


免責事項

本記事は専門的な視点からの一般的な情報提供およびビジネス動向の解説を目的としたものであり、特定の企業に対する法的助言や通関業務の最終判断を構成するものではありません。各国の税関システムや通商ルールは随時更新されるため、実際の輸出入業務にあたっては、欧州委員会の公式ガイダンス、ご利用の物流業者(フォワーダー)、および有資格の通関専門家による最新の一次情報を必ずご確認ください。本記事の情報を利用したことにより生じたいかなる損害についても、責任を負いかねます。


📢 HSCF、さらに賢くなりました。AIエンジンがバージョンアップ!


「あの写真、本当にHSコードの判定に使えるの?」 そんな疑問を持ったことはありませんか。答えはYES、そしてこれからはもっと正確になります。

AIエンジンが5.2 → 5.4へ進化

HSコード・ファインダー(HSCF)の頭脳として動くAIエンジン「ChatGPT」が、バージョン5.2から5.4へアップグレードされました。

「数字が変わっただけ?」と思った方、注目すべきはその中身です。今回のバージョンアップで特に強化されたのが、画像認識の精度。HSCFが得意とする「写真を使ったHSコード判定」において、商品画像からより多くの情報を、より正確に読み取れるようになりました。

📦 写真を撮って送るだけで、複雑なHSコードが特定できる。そのパワーが、今日からさらに磨かれました。

進化は”2本の車輪”で回る

HSCFの強みは、AIに頼り切らない点にあります。HSCFは ①独自アルゴリズム②AIエンジン の両輪で継続的に進化し続けています。

今まさに、独自アルゴリズムのさらなる高度化も進行中。近々、その成果をお披露目できる予定です。AIが上がれば精度が上がる。アルゴリズムが育てば判断力が上がる。 この二重の進化構造こそが、HSCFが高い判定精度を維持し続ける理由です。

貿易実務者の”右腕”として

HSコードの誤分類は、関税の過払い・輸出入規制違反・通関遅延など、ビジネスに直結するリスクを生みます。HSCFは、そのリスクを「写真一枚」から減らす力を持つツールです。

今回のアップグレードで、その力はさらに確かなものになりました。

次のアップデートにも、ぜひご期待ください。


修正・追加したいトーンや強調ポイント(例:特定業種向け、SNS投稿用に短縮など)があればお気軽にどうぞ。

HSC77前注視領域:第85・90類の実務論点

2026年3月会合を見据えた分類リスクと社内対応

エレクトロニクス、センサー、電池、光学機器、医療機器。こうした領域は、製品の進化スピードが速い一方で、HSコードの境界線が揺れやすい領域でもあります。
その「揺れ」が企業実務に直撃するタイミングが、WCO(世界税関機構)のHSC(Harmonized System Committee:Harmonized System Committee)での検討や整理が進む局面です。直近では、HSC第76回会合(2025年9月開催)で多数の分類判断が行われ、HS解説書(Explanatory Notes)の改訂や分類意見(Classification Opinions)の整備も進みました。次回HSC77は2026年3月にWCO本部で開催予定とされています。

本稿は、HSC77を見据えて企業が特に注視したい第85類(電気機器等)と第90類(精密機器等)の実務論点を、法的根拠となる注(部注・類注)を軸に、現場で使える形に落とし込んだものです。


HSコードは「世界共通の言語」だが、現場では「境界線の運用」が勝負になる

HSはWCOが管理する国際的な品目分類で、6桁コードを基礎に各国が関税・統計で運用します。200を超える国・地域が採用し、国際貿易貨物の大半(98%超)がHSで分類されると説明されています。

一方で、現場が悩むのは「似た機能の製品が複数の章・類にまたがる」ケースです。特に第85類と第90類は、次の事情で境界線が難しくなります。

  1. 物理量を測る製品が、電気的にはセンサーや基板で構成される
  2. 製品がモジュール化し、部分品やユニットとして取引される
  3. ひとつの筐体に複数機能(表示、通信、測定、制御)が入る

ここで重要なのは、HS分類の法的な出発点が「見出し(Heading)の文言と、関係する部注・類注」であることです。通則1の考え方として、部・類・節の表題は参照の便宜であり、分類は見出しの文言と注に基づいて決める、という構造が明示されています。


HSCで何が動くのか

企業が注視すべき成果物は3つ

HSC(Harmonized System Committee)は、分類の難所について国際的な統一解釈を積み上げる場でもあります。第76回会合では、分類判断が多数行われ、HS解説書の改訂や分類意見の作成などが実施されたことがWCOから公表されています。

企業実務への影響が出やすい成果物は、概ね次の3つです。

  1. 分類判断の蓄積(各国税関の判断に影響)
  2. HS解説書(Explanatory Notes)の改訂
  3. 分類意見(Compendium of Classification Opinions)の整備

分類意見は、HSCで採択された重要・難解な分類判断をまとめたもので、WCOは「分類意見はHS解説書と同じ位置づけだが、特定製品に関するもの」と説明しています。
ただし、HS解説書や分類意見は一般に法的拘束力そのものではなく、各国法令や運用の中で参照される性格のものです。例えばカナダCBSAは、HS解説書と分類意見は法的拘束力はないが分類の際に考慮すべきと整理しています。
この整理は、企業として「法的根拠(見出し+注)を土台に、解説書や分類意見で解釈を固める」という実務フローを取るうえで重要です。


第85類の実務論点

論点1:85.07 蓄電池は「補助部品込み」で広く捉えられる

第85類注3は、85.07項の「蓄電池」概念を広げています。要旨として、蓄電池には、エネルギーの蓄積・供給機能に貢献する、または蓄電池を損傷から保護する補助部品(接続子、温度制御装置、回路保護装置など)と一緒に提示するものを含み、さらに蓄電池が使用される物品の保護ハウジングの一部を取り付けたものも含む、とされています。

実務で何が起きるか

ビジネス現場では、次のような設計・購買の変化が分類リスクを呼びます。

  1. BMS(保護回路、温度管理、コネクタ)を載せた電池パック
  2. 製品筐体の一部と一体化したバッテリーモジュール
  3. 「電池ユニット」と「電池+周辺回路」の境界が曖昧な部材調達

注3の構造を踏まえると、補助部品が付いたからといって直ちに「電池ではない」とは言い切れません。逆に言えば、電池の範囲が広いからこそ、電池以外の機能(例えば、外部電源からの変換・制御など)がどの程度入っているか、製品仕様書と回路構成で説明できる状態にしておくことが、後工程のトラブル(申告差、修正申告、供給遅延)を減らします。


論点2:85.34 印刷回路の定義は「できること」より「含まないもの」を読む

第85類注8は、85.34項の「印刷回路」を定義し、境界線を明確にしています。注8の骨格は次の通りです。

  1. 印刷技術や膜回路技術で、導体や接触子等の印刷した構成部分を絶縁基板上に形成して得た回路であること
  2. 電気信号の発生・整流・変調・増幅ができる素子(例:半導体素子)は除く
  3. 印刷工程で得た素子以外の素子を結合した回路、個々の抵抗器・コンデンサー・インダクターは含まない
  4. 薄膜回路・厚膜回路で、受動素子と能動素子から成るものは85.42項に属する
    これらが注として明記されています。

実務での落とし穴

よくある誤解は「基板っぽいものは全部85.34」という短絡です。注8は、印刷回路が含まないものを強く書いています。つまり、部材が「基板」だとしても、

  1. 何が実装されているか
  2. 印刷工程で形成された部分なのか、後付け部品なのか
  3. 薄膜・厚膜の回路で、能動素子を含むか

この3点を棚卸ししないと、85.34の前提が崩れます。

会社としての実務対策

調達仕様書やサプライヤー図面に、次の項目を必須化すると、分類根拠の説明が一気に楽になります。

  1. 実装部品の有無(IC、トランジスタ、抵抗、コンデンサ等)
  2. 製造工程(印刷、めっき、エッチング、薄膜・厚膜の有無)
  3. 当該基板が単体取引か、特定装置専用の部分品か

論点3:半導体ベースのセンサーは「物理量を電気信号に変換する」定義が核

第85類注12は、85.41項・85.42項で使う用語を定義しており、半導体ベースの変換器やセンサーの範囲を示しています。
注12では、物理現象や化学現象に関連する現象として、圧力、音波、加速度、振動、移動、方向、ひずみ、磁界強度、電界強度、光、放射能、湿度、フロー、化学物質濃度などが挙げられています。
また、半導体ベースセンサーについて、半導体の内部または表面に生成したマイクロ電子構造体または機械構造体などから成り、電気特性または機械構造体の変位により生ずる物理量・化学量を検出し、それらを電気信号に変換する機能を有する旨が示されています。

第85類と第90類の境界で起きやすいこと

センサー製品は、同じ「測る」でも次のように分岐します。

  1. 素子としてのセンサー(半導体デバイス側の整理が効く)
  2. センサーを含む測定機器(第90類の測定・検査機器に寄る)
  3. 通信や制御まで含むユニット(複合機能で判断が難しくなる)

ここで注12の価値は、製品が「どこまでが変換素子で、どこからが機器・システムなのか」を説明するための共通言語になる点です。設計部門が「センサーです」と言っていても、通関実務では、注の定義に当てはまる要件(構造、変換の仕方、組込み要素)で整理し直す必要が出ます。


第90類の実務論点

論点4:第90類注2の「部分品・附属品」は三段階で決まる

いちばん多いミスは、段階を飛ばすこと

第90類注2は、部分品・附属品の帰属を三段階で決める構造です。要旨は次の通りです。

  1. 当該部分品・附属品が、第90類、第84類、第85類または第91類のいずれかの項(ただし8487、8548、9033を除く)に該当する場合は、その項に属する
  2. それ以外で、特定の機器(または同一項の複数機器)に専ら又は主として使用する部分品・附属品は、その機器の項に属する
  3. その他は90.33項に属する
    この骨格が注として明示されています。

企業実務への示唆

現場で起きがちなのは「この装置の部品だから90類」という思い込みです。注2は、まずその部品自体が84類や85類として成立していないかを先に見よ、と言っています。
つまり、測定装置の部品でも、電気的な機能部材が強いものや、独立した電気機器として評価されうるものは、90類に残らず85類側へ引っ張られる余地があります。注2の段階を社内ルール化しておくと、判断の属人化を減らせます。


論点5:第90類注3は、第16部の複合機械・機能ユニット規定を持ち込む

第90類注3は「第16部の注3及び注4の規定はこの類においても適用する」と定めています。
これは、測定・検査装置が複数機器の組合せや機能ユニットとして構成される場合に、主たる機能や明確に規定された単一機能で分類する、という第16部側の考え方を第90類でも使うという意味です。

実務で効くポイント

測定システムは、センサー、制御ユニット、表示、通信、電源などがセットになりがちです。設計が一体化するほど「複合機械」「機能ユニット」の論点が立ちます。
このとき、機能を言語化せずに「完成品名」で分類を決めに行くと、後から説明が破綻します。注3・注4の枠組みで、どの単一機能に向けて結合されているのかを先に定義し、構成表(BOM)と機能ブロック図で示すのが、監査や税関照会で強い運用です。


論点6:光学式の測定・検査は、9013と9031の二択で迷ったら注5を確認する

第90類注5は、90.13項と90.31項のいずれにも属するとみられる光学式測定機器・光学式検査機器は90.31項に属する、と定めています。

実務での使いどころ

外観検査、寸法測定、レーザーやカメラを用いた検査装置など、光学要素を使う測定機器は増え続けています。注5は「光学要素があるから9013」と短絡しないための安全装置です。
特に、現場での機能説明が「光学機器」寄りになっている場合は、測定・検査という目的機能を軸に整理し直すと、分類の一貫性が保ちやすくなります。


ケーススタディ

VRヘッドセットが9004.90に整理される理由から学ぶ、境界線の考え方

日本税関の分類事例では、スマートフォンに接続して使用するVRヘッドセットが9004.90として示されています。事例では、筐体にCPU、凸面レンズ、焦点リング、音量キー、micro USBコネクター、加速度・ジャイロ・近接センサー、タッチパッド等が組み込まれ、スマートフォンの画面を拡大し、頭の動きを検出してスマートフォン側へ送信する仕組みが説明されています。
そのうえで、通則1および6の適用により9004.90と整理されています。

ここから得られる実務上の教訓

  1. 電子部品やセンサーが入っていても、製品の本質が別の見出しに明確に当てはまると、そちらが優先されうる
  2. 「何ができるか」だけでなく、「見出し文言に何が書かれているか」「注で何が除外・包含されているか」が勝つ
  3. VR機器でも、単体で表示機能を持つもの、通信機能が主のものなどは別の論点になりうるため、仕様差を前提に個別判断が必要

この事例は、85類と90類の境界で悩むときほど「注の定義と、製品の主たる性格」をぶらさないことが重要だと示しています。


ビジネス側が今すぐやるべき社内アクション

分類を「担当者の経験」から「再現できる手順」へ

分類の品質を上げるコツは、判断を早い段階で仕組みに落とすことです。おすすめは次の3本柱です。

1. 設計変更フローに、HS影響レビューを組み込む

電池の補助部品追加、基板の実装変更、センサーの統合などは、まさに第85類・第90類の境界を動かします。リリース前に「見出しと注に照らした分類影響」を確認するだけで、後工程の修正コストが激減します。

2. 分類根拠ファイルを標準化する

最低限、次のセットを社内テンプレート化すると強いです。

  1. 製品仕様(機能、構成、入出力、用途)
  2. 主要部材リスト(BOM)
  3. 見出しと注に基づく判断プロセス(通則1からの道筋)
  4. 参考情報として、HS解説書や分類意見、過去の照会結果

HS解説書はWCOがHS分類を支援する目的で刊行し、見出しの範囲や技術的説明、識別の実務ガイダンスを提供する、と日本税関も説明しています。
分類意見についても、HSCでの分類決定がまとめられる旨が整理されています。

3. 重要品目は事前教示や照会で、予測可能性を取りに行く

日本税関は、輸入申告で関税率表に沿ったコード記載が必要であり、透明性・予測可能性向上のために文書の事前教示を開示していると説明しています。
社内の「売上上位品目」「規制対象にかかりやすい品目」「調達が頻繁に変わる品目」は、優先度を付けて事前に論点を潰すほうが、結果として安いです。


HSC77の先にあるHS2028

今から準備して損をしない理由

WCOはHS2028改正が受諾されたこと、そして2028年1月1日に発効することを明記しています。
また、受諾後の残り2年間の実施準備期間に、相関表(Correlation Tables)の作成、HS関連ツールや刊行物の更新、加盟国側の実装準備が進む、と説明しています。

第85類・第90類は、技術進化の中心にあるため、改正による影響が出やすい領域です。HSC77は、HS2028へ向けた「解釈の地ならし」が進む局面としても、企業のウォッチ対象になります。


まとめ

第85・90類は「複合化」が分類リスクを増幅する。だから、注を軸に社内プロセスを固める

第85類は、電池、基板、半導体センサーといった部材の定義が注で細かく整備されており、製品のモジュール化が進むほど注の読み込みが利益に直結します。
第90類は、部分品・附属品の三段階ルールや、複合機械・機能ユニット規定の持ち込み、光学式測定の整理など、境界線に強い注が並びます。

HSC77という外部イベントを「他人事」にしないために、社内では次の順番が効果的です。

  1. 製品仕様の変化を、HS分類の変化として捉える
  2. 注を起点に、再現可能な分類根拠を残す
  3. 重要品目は、早めに照会して予測可能性を確保する


免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引・製品に対する関税分類の結論や法務・税務上の助言を行うものではありません。HSコードの最終判断は、個別商品の仕様、取引形態、提出資料、各国税関当局の運用等により左右されます。実際の申告や契約への適用にあたっては、最新の法令・通達等を確認のうえ、必要に応じて通関士・専門家への相談、または税関への事前教示制度の利用をご検討ください。

HS2028とFTA別PSRの基準差を読み解く

2028年に向けた原産地管理の実務ポイント

はじめに

HS2028への移行は、単なる品目番号の更新ではありません。多くのFTAやEPAの品目別原産地規則(PSR)は、協定本文や附属書で参照するHSの版が固定されているため、通関実務で使う最新HSと、PSR評価で参照すべきHSの版がズレることがあります。ズレを放置すると、原産性判定の誤り、優遇税率の取りこぼし、事後検証での説明負荷に直結します。 (税関総合情報)


1. HS2028は何が変わるのか

HS2028は2028年1月1日に発効する

WCO(世界税関機構)は、HS2028がHS(品目分類)の第8版として2028年1月1日に発効するとしています。 (世界 Customs Organization)

改正規模は大きく、分類の再設計が含まれる

WCOによれば、HS2028の改正は299セットの改正から成り、体系としては1,229の項(heading)と5,852の号(subheading)になると説明されています。HS2022と比べて、新設・削除も含む構造的な変更が行われるため、品目番号の読み替え(転記)が実務上不可避になります。 (世界 Customs Organization)

企業実務に効く、HS2028の注目ポイント

HS2028は、特定分野で分類の切り直しが示されています。例としてWCOは、ワクチンの分類を見直し、従来30.02に含まれていたものを、人用ワクチンとそれ以外で別の項に再分類する構造変更を挙げています。また、栄養補助食品については新しい項(21.07)を設け、プラスチック廃棄物の分類(39.15)もバーゼル条約の区分に整合させる方向で再構成するとしています。 (世界 Customs Organization)

2028年までに相関表が整備される見込みだが、協定の転記とは別問題

WCOは、HS2022とHS2028の相関表(correlation tables)の作成や解説書類の更新を進める方針を示しています。これは分類移行の強い助けになりますが、FTAやEPAのPSRが自動的にHS2028に切り替わることを意味しません。協定側でPSRの転記や運用変更が決まらない限り、原産性判定は従来版HSを参照するケースが残ります。 (世界 Customs Organization)


2. PSR基準差はなぜ起きるのか

基準差の正体は3層ある

現場で起きる「基準差」は、だいたい次の3層で発生します。

1層目:協定が参照するHSの版の違い
同じ品目でも、協定ごとにHS2012、HS2017、HS2022など参照版が異なることがあります。 (税関総合情報)

2層目:PSR設計の違い
PSRは、関税分類変更(CC、CTH、CTSH等)、付加価値基準(RVCや非原産材料割合の上限)、特定加工工程など、複数タイプが組み合わさって規定されます。協定によって、同じ産品でも採用する条件が異なり得ます。

3層目:転記(transposition)の時期差
HS改正に合わせてPSR表を新HSへ転記する作業は、協定ごとに進捗と適用時期が異なります。よって「ある協定はすでにHS2022」「別の協定はHS2017のまま」といった状態が同時に起きます。

日本の実務で特にややこしい点:申告HSと協定HSは一致しないことがある

日本の税関サイトは、EPA等のPSR検索に関して「入力したHSコードと協定が採用しているHS版が異なると、検索結果に誤りがある場合がある」旨を明示しています。さらに「輸入通関申告の際には最新のHSコードを使用する」旨も記載されています。
つまり、申告は最新HS、PSR判定は協定HS、という二重運用が起き得る前提で設計しないと事故になります。 (税関総合情報)


3. 協定別に見る「PSRが参照するHS版」の現在地

ここでは、HS2028を見据えて影響を受けやすい「協定の参照HS版」と「転記の実績・状況」を、根拠資料ベースで整理します。

RCEP:PSRはHS2022に転記済み、ただし例外的にHS2012が残る領域がある

RCEPのPSR(品目別規則)は、HS2022に転記されたPSRが2022年6月30日に採択され、各締約国が2023年1月1日から実施すると明記されています。
一方、日本の経済産業省は、2023年1月1日以降の日本の原産地証明ではPSRはHS2022版を使うが、協定第2.6条第3項に基づきRCEP原産国を決定するための附属書I付録については、HS2022に変換された付録の最終版が通知されるまでHS2012版を継続適用すると説明しています。
RCEPは「すでにHS2022へ完全移行」と思い込みやすいですが、用途や条項により参照HSが混在し得る、という点が重要です。 (経済産業省)

AJCEP:附属書2(PSR)をHS2017へ更新し、2023年3月1日発効

日本の外務省は、AJCEP協定の附属書2(品目別規則)をHS2002ベースからHS2017ベースへ更新する改正であり、改正附属書2が2023年3月1日に発効する旨を公表しています。 (外務省)

日インドネシアEPA:附属書2(PSR)をHS2017へ更新し、2024年2月5日発効

外務省は、日インドネシアEPAの附属書2(PSR)改正について、HS2002ベースからHS2017ベースへ更新することが主目的であり、改正附属書2は2024年2月5日に発効するとしています。 (外務省)

日EU・EPA:PSR表はHS2017ベースで整理されている

日本税関が公開している日EU・EPAのPSR(Annex 3-B)資料では、PSR表の見出しとして「Harmonized System classification (2017)」が示されています。HS版が明示されているため、HS2028時代には「申告HS2028」と「PSR評価用のHS2017」の橋渡しが必要になります。

日英EPA:Annex 3-A/3-B等がHS2017(2017年1月1日改正のHS)ベース

日英EPAの附属書(Annex 3-A)では、Annex 3-A、Annex 3-B、Annex 3-Cが「2017年1月1日に改正されたHSに基づく」と明記されています。日英も、HS2028への移行局面では協定側転記の有無を確認しながら運用する必要があります。

CPTPP:PSR(Annex 3-D)はHS2012ベース、転記は段階的に議論・合意が進む

CPTPP(TPP11)のPSR(Annex 3-D)は、表の見出しとしてHS Classification (HS2012)が明記されています。 (ニュージーランド外務貿易省)
そのうえで、CPTPPの委員会文書では、PSRをHS2012からHS2017へ転記する作業について、メンバーが転記に同意したことが示されています。ただし、改訂されたHS版をどう採用するかのプロセスは未解決で、次回以降も議論する旨が記載されています。 (国際問題カナダ)
さらに、別の委員会文書では、HS2017からHS2022への転記案が検討され、提案された変更の多くが暫定確認された一方で、一部は追加議論が必要とされています。
また、2022年時点の文書では、HS2012からHS2017の転記作業の残課題の整理や、将来的なHS2022実装時期の見通し(理想として2024年1月開始)などが議論されていたことが分かります。

ここから言えるのは、CPTPPは転記の方向性が進んでいるものの、企業側は「いつ、どの版を、どの手続で」使うのかを公的情報で都度確認しながら運用設計する必要がある、ということです。


4. HS2028で現場が詰まりやすいパターン

パターン1:HS改正でコードが分割され、PSR条文が見当たらない

HS2028では、ワクチンや栄養補助食品、プラスチック関連などで構造的な再分類が示されています。こうした分割・新設が起きると、申告用の新HSコードでPSR表を引いても、協定側のPSR(旧HSベース)に該当行が存在しない、という検索上の違和感が発生しやすくなります。 (世界 Customs Organization)

パターン2:同じ製品でも協定ごとに満たすべきPSRが違う

たとえば、ある協定ではCTH(4桁変更)で足りるのに、別の協定ではRVC条件もセット、あるいは特定工程条件が必要、ということが起こり得ます。PSRは協定附属書で規定され、要件の種類(関税分類変更、加工工程、非原産割合、域内価値割合など)が明示されています。

パターン3:社内外の証憑が「HS版違い」で混在し、監査対応が難しくなる

取引先から受け取る原材料明細やサプライヤー申告書がHS2017表記、社内ERPの品目がHS2022表記、輸入申告が最新HS表記、という具合に、証憑が版違いで並ぶことがあります。税関側も「協定が採用しているHS版で検索すべき」と明示しているため、版違いを説明可能な形で証憑体系を整えることが重要です。 (税関総合情報)


5. 2026年からの実務ロードマップ

(本稿執筆時点は2026年3月)

ステップ1:協定ごとに「PSRの参照HS版」を棚卸しする

まず、対象協定ごとにPSRがどのHS版に基づいているかを棚卸しします。税関の注意書きのとおり、協定のHS版を外すと検索や判定の誤りが起き得ます。 (税関総合情報)
最低限、次の管理項目を持つだけで事故率が下がります。

・協定名
・PSRの参照HS版(HS2012、HS2017、HS2022など)
・参照版の根拠資料(条文・附属書・政府公表)
・自社運用の適用開始日(自社の判定基準日)

ステップ2:マスターデータに「申告HS」と「協定HS」を分けて持たせる

実務上は、次の2つを分離して管理する設計が現実的です。

・通関申告用の最新HSコード(日本の申告要件に合わせる) (税関総合情報)
・協定別のPSR判定用HSコード(協定が採用する版に合わせる) (税関総合情報)

HS2028移行期は、申告HSが更新されても協定のPSRが直ちに転記されない可能性があるため、この分離が効きます。 (世界 Customs Organization)

ステップ3:相関表と転記情報が公表されたら、影響分析を自動化する

WCOはHS2022とHS2028の相関表整備を進める方針を示しています。相関表が出てから慌てないために、以下を先に決めておきます。 (世界 Customs Organization)

・自社品目ごとに、HS改正で分割・統合されそうな領域を抽出する
・分割が起きた場合に、どの根拠資料で新コードへ割り当てるかのルールを決める
・協定別に、PSRが転記された場合の差分検知(ルール変更か、単なる番号読み替えか)を分けて扱う

ステップ4:原産地証明の根拠書類を「HS版込み」で保全する

PSRの根拠は、材料表、工程表、原価資料、仕入書類など複数にまたがります。CPTPPに関する日本税関のガイドラインでも、PSRを満たすための証憑例(材料表、工程表、原価資料など)が示されています。 (税関総合情報)
HS2028移行期は、同じ品目でもHS版が違うと説明が通りにくくなるため、保全時に次の一言を必ず付ける運用が現場で効きます。

・この資料のHSコードは、どの版に基づく表記か
・PSR判定に用いた協定と、参照したPSR表のHS版は何か
・相関表を使ったなら、どの相関表で、どう読み替えたか


6. まとめ

HS2028は2028年1月1日に発効予定で、改正規模も大きく、分類の切り直しが含まれます。 (世界 Customs Organization)
一方で、PSRは協定ごとに参照するHS版が異なり、転記や適用開始の時期も揃いません。さらに日本の実務では、申告は最新HS、PSR判定は協定HSという二重運用が起き得ることが明示されています。 (税関総合情報)

だからこそ、HS2028対応は「分類担当だけの仕事」にせず、原産地管理の仕組みとして、協定別に参照HS版を持つ、相関表で読み替えた痕跡を残す、という運用設計に落とし込むことが最短ルートになります。


免責事項

本記事は一般的な情報提供を目的としており、特定の取引、品目分類、原産性判定、申告手続についての法務・税務・通関上の助言を構成するものではありません。実際の適用にあたっては、最新の協定本文・附属書、税関・関係当局の公表資料、並びに必要に応じて専門家の助言をご確認ください。

HS2028で注視すべき主要章を深掘りする:改正ポイントと実務ロードマップ

HS2028はいつ、どれくらい変わるのか

HS2028は、世界税関機構(WCO)が管理するHS品目表の第8版で、2028年1月1日に発効します。通常は約5年ごとの見直しですが、今回の第7次レビューサイクルはCOVID-19の影響を受け、2019年7月から2025年6月までの6年間に延長されました。 (世界税関機構)

改正の規模感として、HS2028は299件の改正セットからなり、全体として1,229の項(headings)と5,852の号(subheadings)で構成されます。HS2022との比較では、新規の項が6、号が428追加され、項が5、号が172削除されています。 (世界税関機構)

ビジネスの観点で重要なのは、HSが関税率表と貿易統計の土台であり、通関・規制対応・データ分析・契約条件の多くがHSコードを起点に回っている点です。HSの更新は、単なる税番の付け替えではなく、企業のマスタデータと運用設計に直接影響します。 (世界税関機構)

ビジネス影響を見誤らないための3つの変化パターン

HS2028の実務影響は、次の3パターンで起きやすいです。

1. 新設コードによる「可視化」の強化

過去は一括りだった品目が細分化され、統計・規制・優遇措置の対象として見えやすくなります。公衆衛生分野の必需品が代表例です。 (世界税関機構)

2. 定義や注の追加による「境界線」の明確化

似た用途・似た成分の製品が、どちらの章に入るべきかの判断基準が、注で具体化されます。健康食品と医薬品の境界などが典型です。 (世界税関機構)

3. 国際条約や政策目的と連動した「規制対応型」改正

廃棄物や環境規制のように、国際的な枠組みに合わせて分類体系を組み替え、越境移動の監視や執行をやりやすくする方向です。 (世界税関機構)

注視すべき主要章を深掘り

第30類:医薬品(ワクチンと医療目的栄養製剤)

何が変わるか

HS2028では、ワクチンの分類が大きく再設計されます。従来30.02に含まれていたワクチンが、30.07(ヒト用)と30.08(その他、獣医用を含む)へ再編され、より詳細な下位分類が付与されます。 (世界税関機構)

特にヒト用ワクチン(30.07)は、6桁レベルで38の号に細分化され、疾患別の把握がしやすくなる設計です。 (世界税関機構)

また、30.04(医薬品)の見出し文に、pharmaceutical nutritional products(医療目的の栄養製剤)が明示され、章注で定義が追加されています。定義は、ビタミン、ミネラル、必須アミノ酸、脂肪酸を含み、特定の疾病・障害・医療状態の治療目的で用意された製剤を想定し、ラベル等に用途・有効成分濃度・用法用量・適用方法などの記載が求められる構造です。さらに、一般的な健康維持向け推奨量より有意に高い含有量であることも条件として示されています。 (世界税関機構)

どの企業が影響を受けやすいか

医薬品メーカー、ワクチンの原薬・製剤サプライヤー、医療系商社、官公庁案件を扱う事業者、緊急対応物資を扱う物流事業者です。公衆衛生関連では、非常時に簡素化手続や迅速通関、免税措置などが設計されやすく、その前提として分類の明確化が進んでいます。 (世界税関機構)

実務の打ち手

  1. 30.02で運用しているワクチン系SKUを棚卸しし、30.07と30.08への移管対象を事前に特定する
  2. 30.04の「医療目的栄養製剤」に該当しうる製品は、製品表示・添付文書・用途説明の整備を先に進め、分類根拠として提示できる形にする
  3. 緊急対応案件を想定する場合、通関上の優遇措置や規制対応の設計が国別に変わるため、輸入国側の運用を前提に分類根拠を固める (世界税関機構)

第21類:食品調製品(新設21.07のインパクト)

何が変わるか

サプリメント分野の最大のポイントは、新設の21.07です。HS2028では、dietary supplements(栄養補助食品)を21.07として明示し、2107.10(規定の形状での定量投与形態)と2107.90(小売包装だが定量投与形態ではないもの)に区分します。 (世界税関機構)

さらに、21.07のための定義が章注に入ります。たとえば、measured doses(定量投与形態)は、カプセル、錠剤、アンプルなどとして定義されています。 (世界税関機構)

加えて重要なのが、Section IV(食品関連の部)の注で、定量投与形態のサプリメントは原則として21.07を優先する、ただし第30類(医薬品)は例外という優先関係が明示される点です。ここが、食品と医薬の境界に直撃します。 (世界税関機構)

WCOは、従来サプリメントが複数の見出しに分散し、裁判例や照会が多く、国ごとに分類が割れやすかったことを背景に、法的確実性と規制対応、統計精度を高める狙いを説明しています。 (世界税関機構)

どの企業が影響を受けやすいか

健康食品・サプリのメーカー、OEM、越境EC、ドラッグストア向け卸、原料商社、機能性素材を扱う企業です。製品カテゴリの中心が21.06から21.07へ動く可能性があり、関税だけでなく、社内カテゴリ管理や商品マスタ、原産地規則の取り扱いにも波及します。 (世界税関機構)

実務の打ち手

  1. 自社製品を、形状(定量投与か否か)、小売包装、用途表示、成分設計の観点で分類候補に分解して整理する
  2. 21.07と30.04の境界は、章注で定義が増えた分、文書での根拠提示が以前より重要になる。規制部門と貿易部門の連携を前提に運用設計する (世界税関機構)

第39類:プラスチック(廃プラとシングルユースの制度対応)

何が変わるか

環境対応では、39.15(プラスチックのくず等)の再構成が特に重要です。HS2028は、バーゼル条約の枠組みに整合する形で39.15を再編し、有害なプラスチック廃棄物を識別する3915.40の導入など、複数の新しい区分を設けます。 (世界税関機構)

WCOは、越境移動を監視・執行するうえで、HSコードだけでは規制対象かどうか判断しにくいことがコスト増や運用の複雑化につながる点を指摘し、バーゼル条約上の区分とHSの連携を強めることで、官民双方のコンプライアンス負荷を下げる狙いを説明しています。 (世界税関機構)

あわせて、Chapter 39に新しい注が入り、single-use(シングルユース)を「通常、一度の使用後に廃棄またはリサイクルされ、反復または長期使用を意図しないもの」と定義します。これにより、シングルユース製品を統計・政策の観点で一貫して扱いやすくなります。 (世界税関機構)

さらに、具体的な品目でも可視化が進みます。たとえば、使い捨てストローが3917.24や3917.34として明示されます。 (世界税関機構)

どの企業が影響を受けやすいか

樹脂原料、包装材、日用品、飲食向け資材、リサイクル、廃棄物の越境移動に関わる事業者です。特に廃プラの輸出入は、国際条約や各国実務との整合が問われやすく、コード変更がそのまま輸送書類、許認可、社内審査の作り直しに直結します。 (世界税関機構)

実務の打ち手

  1. 39.15の対象(廃棄物・スクラップ)を扱う場合、取引スキームと書類(成分、汚染の有無、混合状態、用途)をHS2028の区分に合わせて再点検する
  2. シングルユース判定は、商品設計と用途説明に依存する。購買仕様書や製品仕様の記載を、分類根拠として使える粒度に整える (世界税関機構)

第87類:車両(救急車・移動診療車の可視化)

何が変わるか

公衆衛生の教訓を受け、救急車と移動診療車が新設・明確化されます。救急車は8703.12、移動診療車(mobile clinics)は8705.50として整理されます。 (世界税関機構)

どの企業が影響を受けやすいか

車両メーカー、架装メーカー、医療設備メーカー、官公庁・自治体向けの調達に関わる企業です。分類の可視化は、緊急時の優先通関や免税措置、統計上の需要予測などの設計に関わります。 (世界税関機構)

実務の打ち手

  1. 8703や8705周りで運用している車両の仕様差を整理し、救急車・移動診療車に該当する要件を文書化する
  2. 監査対応として、車両用途の説明資料、搭載医療機器の一覧、架装仕様書を分類根拠として整備する (世界税関機構)

第48類・第63類・第90類:防護具と医療機器(統計精度の上昇が実務を変える)

何が変わるか

HS2028では、健康危機対応の必需品が複数章にまたがって細分化されます。例として、保護用フェイスマスクが48類に4818.60として追加されます。 (世界税関機構)

63類では、保護マスクを6307.31として区分し、顔に密着し空中粒子をフィルタリングするなど、要件を注で定義しています。 (世界税関機構)

90類では、パルスオキシメータ(9018.15)、マルチパラメータ患者モニタ(9018.16)、ガスマスク・保護マスク(9020.10)、滴下計数器(9028.21)などの可視化が進みます。 (世界税関機構)

WCOは、こうした新設・細分化が、緊急時の簡素化手続、迅速通関、免税措置などの運用を支え、備えの計画にも資する点を明示しています。 (世界税関機構)

どの企業が影響を受けやすいか

医療機器メーカー、衛生用品メーカー、病院向けサプライヤー、自治体・公的調達に関わる企業、災害備蓄やBCPを扱う企業です。

実務の打ち手

  1. 同じ名称でも規格や性能でコードが変わり得る領域なので、製品仕様をHS判定に耐える形で標準化する
  2. 調達・営業・貿易実務で品名がぶれやすい品目は、社内で名称辞書とスペック項目を統一する (世界税関機構)

第88類:航空機(無人航空機の遠隔操縦概念の明確化)

何が変わるか

無人航空機の区分では、8806.21から8806.29に関して、for remote-controlled flight(遠隔操縦)を章注で定義します。遠隔地のオペレーターが運航し、補助的な自律飛行機能を含み得るが、オペレーターが介入できることが前提、といった考え方が示されています。 (世界税関機構)

どの企業が影響を受けやすいか

ドローンを扱うメーカー、物流・点検・測量などの運用事業者、部材サプライヤーです。分類の明確化は、データ集計や規制運用の基礎にもなります。

実務の打ち手

  1. 自律飛行機能の有無だけでなく、遠隔操縦としての運用実態を説明できる設計資料を整える
  2. 完成品だけでなく、主要部材の扱いも含めて、通関実務の説明線を一度作り直す (世界税関機構)

日本企業が見落としがちな論点

HSは国際的に6桁が共通ですが、日本の税関申告では9桁の統計品目番号が使われます。日本の9桁は、6桁のHSコードに3桁の国内コードを加えた構成で、輸出と輸入で国内3桁が一致しない場合もあるため、輸出用と輸入用のコード表が別になります。 (税関ウェブサイト)

このため、HS2028対応は6桁の読み替えだけで終わらず、日本側の9桁マスタ、輸出入それぞれのコード体系、ERPや通関システムのデータ連携まで含めて設計し直す必要が出やすい点に注意が必要です。 (税関ウェブサイト)

2026年から2028年1月までの実務ロードマップ

WCOは、発効までの準備期間に、HS2022とHS2028の対照表(correlation tables)作成、HS解説書(Explanatory Notes)や関連ツールの更新、加盟国への技術支援を進める方針を示しています。加盟国側でも法令改正、IT更新、手続・刊行物の更新、教育訓練が必要とされています。 (世界税関機構)

企業側の現実的な進め方は、次の順番が安全です。

1. 影響棚卸し

製品マスタから、該当しやすい章(30、21、39、87、48、63、90、88)を中心に、現在の6桁と9桁を抽出し、影響候補を先にリスト化します。 (世界税関機構)

2. 分類根拠の再構築

新しい注や定義が入った領域は、分類根拠をスペックと文書で説明できる状態にしておくことが最優先です。サプリメントと医薬、医療目的栄養製剤、シングルユース、PPEなどは典型です。 (世界税関機構)

3. システムと運用の改修

関税分類は現場の申告行為であり、マスタ、商品名、仕様書、通関指示書の一貫性が崩れるとミスが出ます。国際6桁の変更と国内細分の変更を同時に扱う前提で、社内のデータ連携を点検します。 (税関ウェブサイト)

4. 取引条件と価格への反映

コード変更により関税率や規制手続が変わる場合、価格条件や納期、通関責任分界にも影響します。契約更新のタイミングとHS切替のタイミングを同じプロジェクトで管理します。

免責事項

本記事は、HS2028に関する公開情報を基に一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引、製品、国・地域に対する通関判断、法令解釈、助言を提供するものではありません。実際の品目分類や輸出入手続、規制対応、関税率の適用可否は、製品仕様、用途、表示、取引実態および各国当局の運用により異なります。最終的な判断にあたっては、税関当局、通関業者、専門家への相談や事前教示等の活用を含め、必ず最新の一次情報を確認してください。本記事の内容に基づいて生じたいかなる損害についても、執筆者は責任を負いません。

HS2022 第96類:雑品(Miscellaneous manufactured articles)

用語は次で統一します。

  • 類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • ほうき・ブラシ・モップ等(9603)
    • ボタン、スナップ、プレススタッド等(9606)
    • スライドファスナー(ジッパー)及び部品(9607)
    • ペン・シャープペン・替芯等(9608)/鉛筆・クレヨン等(9609)
    • 生理用品・おむつ等(材料を問わない)(9619)
    • 三脚・一脚・自撮り棒(セルフィースティック)等(9620)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • 化粧用鉛筆(例:アイブロウペンシル)→ 第33類(章注で明示)
    • 模造身辺細貨類(イミテーションジュエリー) → 7117
    • 第82類の刃物等(完成品):彫刻用材料の柄が付いていても本体は第82類(ただし柄を単独提示なら9601/9602の余地)
    • 医療・獣医の特殊ブラシ → 9018(章注で例示)
    • 家具・照明器具 → 第94類(章注で除外)
    • がん具・遊戯用具・運動用具 → 第95類(章注で除外)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    • 「章注の除外」(第33類/66類/71類/82類/90類/94類/95類/97類など)に当たらないかを最初に確認
    • 9619は材質で迷わない(紙・不織布・プラスチックでも「衛生用品」なら9619に寄せて検討)
    • 9620は“スタンド一般”ではない(マイクスタンド等は除外、武器用に特化した三脚も除外)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 9601(象牙等)を含む製品:ワシントン条約(CITES)・国内規制の影響が大きい(差止・手続き遅延リスク)
    • 9613(ライター):**PSCマーク(消費生活用製品安全法)**の対象になり得る(輸入後販売の可否に直結)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • この類で特に効くGIR:
    • GIR1(品目表の文言+注):第96類は「注(Notes)」が強く、除外規定も多いので、まず章注を読み、外れるものを落とします。
    • GIR6(6桁の号までの選定):同じ項でも、非詰替式/詰替式(ライター)歯ブラシ/その他ブラシ(9603)、**ボタンの材質(9606)**などで号が分かれます。
    • (セット品のとき)GIR3(b):たとえば9605(旅行用セット)は、構成品の寄与(本質)・小売用セット性が論点になります(※要件充足の確認が前提)。
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 用途(例:化粧用途か、筆記用途か)
    • 状態(完成品か、部分品か、半製品か)
    • 材質が決め手になるか(9606等)/材質を問わないか(9619等)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:章注1の除外に当たらないか?
    • 化粧用鉛筆(33類)、模造身辺細貨類(7117)、家具(94類)、がん具(95類)など。
  • Step2:除外でなければ、機能で項を特定
    • 例:ブラシなら9603、ボタンなら9606、ファスナーなら9607、筆記具なら9608/9609、衛生用品なら9619、三脚等なら9620。
  • Step3:完成品/部分品の切り分け
    • 例:真空容器(完成品)=9617、ガラス内瓶は除外(70.20)
  • Step4:6桁(号)へ(材質・構造・詰替可否・用途等で分岐)
  • よく迷う境界(例:第○類と第○類の境界):
    • 9609(鉛筆等) vs 33類(化粧用鉛筆)
    • 9608(一般の筆記具) vs 9017(製図用からす口等)
    • 9603(一般のブラシ) vs 9018(医療用・歯科用などの特殊ブラシ)
    • 9620(三脚等) vs 8518(マイクスタンド)/93類(武器用に特化した三脚等)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:第96類は実務上も見出しが整理されているため、全列挙します。
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
9601動物性の彫刻用/細工用材料(加工品)とその製品象牙・骨・貝殻・角の加工品、装飾パーツ「加工したもの」が前提。種規制(CITES等)に要注意。
9602植物性/鉱物性の彫刻用材料(加工品)等、ろう等の成形品、未硬化ゼラチン製品コロゾ等の彫刻品、琥珀・海泡石加工品、ろう模型、未硬化ゼラチン製品「植物性又は鉱物性の彫刻用材料」の定義に注意。35.03のゼラチンは除外。
9603ほうき・ブラシ類、モップ、ダスター、刷毛、結束毛束等歯ブラシ、塗装用刷毛、掃除用ブラシ、モップ医療・獣医の特殊ブラシは90.18へ。結束毛束は章注3の定義が前提。
9604手用ふるい・手用ふるい分け料理用ふるい「手用」が前提。
9605旅行用セット(化粧/裁縫/靴・衣類清掃)旅行用裁縫セット、靴磨きセットセットの構成・提示形態が重要(GIR3論点)。
9606ボタン、スナップ、プレススタッド等と部品・ブランクシャツボタン、ホック、スナップ服飾金具でもバックル等は他章の可能性。材質で号が分岐。
9607スライドファスナー(ジッパー)と部品ジッパー、スライダー、チェーン部品は9607.20。
9608ボールペン等、万年筆等、シャープペン、ホルダー、部品ボールペン、サインペン、万年筆、替芯、ペン先インキカートリッジ(32.15)や製図用からす口(90.17)等は除外。
9609鉛筆、クレヨン、鉛筆芯、パステル、チョーク等木軸鉛筆、クレヨン、鉛筆芯、パステル化粧用鉛筆は33類へ(章注1(a))。
9610筆記/図画面付きのスレート・ボード携帯用黒板・ボード「筆記/図画用の表面」がポイント。
9611日付印・封印・番号印等(手押し)日付スタンプ、ナンバリングスタンプ手で操作する設計が前提。
9612タイプリボン等、インクパッドタイプリボン、インクリボン、スタンプ台リボン(9612.10)かパッド(9612.20)か。
9613ライター及び部品(火打石・芯を除く)使い捨てガスライター、詰替式ライター、電子ライター安全規制(PSC等)に注意。火打石・芯は本項から除外。
9614喫煙用パイプ、シガー/シガレットホルダー等パイプ、パイプボウル、ホルダー部品も含む。
9615くし、ヘアスライド、ヘアピン、カーラー等櫛、ヘアクリップ、ヘアピン模造身辺細貨類(7117)相当の装身性が強い場合は注意(章注1(c))。
9616香水噴霧器等(マウント・ヘッド含む)、化粧用パフ等アトマイザー、スプレーヘッド、化粧用パフ容器単体は材質別へ、機械式噴霧器は84類の可能性等。
9617魔法瓶その他の真空容器(完成品)と部品(ガラス内瓶除く)真空断熱ボトル、真空ジャー、外部ケース、ふたガラス内瓶は除外(70.20)。外部ケースなしの真空断熱ボトルも含み得る。
9618洋裁用ダミー等、ショーウインドー用自動人形等トルソー、マネキン、動く展示装置人形玩具は95類、実物説明用模型は90.23等に注意。
9619生理用ナプキン、タンポン、おむつ等(材料を問わない)生理用品、紙おむつ、成人用失禁パッド、吸水性の母乳パッド「材料を問わない」が核心。吸収性のない物品や用途が違う医療用吸収パッド等は除外。
9620一脚・二脚・三脚・自撮り棒等カメラ三脚、一脚、自撮り棒マイクスタンド(8518)等は除外。93類用に特化設計のものも除外。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(この類で頻出):
    • 材質で分かれる:9606(ボタン)、9615(くし類:硬質ゴム/プラ vs その他)など
    • 用途で分かれる:9603(歯ブラシ/化粧用筆/塗装用刷毛/機械用ブラシ等)
    • 構造・詰替可否で分かれる:9613(ガス・ポケットライターの詰替可否)
    • 完成品/部品で分かれる:9607(部品)、9613(部品)、9617(部品:ガラス内瓶除外)
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    • グループ1:9619(衛生用品) vs 材質別の章(紙製品、繊維製品、プラスチック製品など)
      • どこで分かれるか:用途が「生理用品・おむつ等(吸収性を有する同類品)」かどうか
      • 判断に必要な情報:吸収体の有無、用途(失禁用・母乳用など)、医療用ドレープ等との違い
      • 典型的な誤り:「不織布だから繊維」「プラ外層があるからプラ製品」等で材質に引きずられる
    • グループ2:9620(三脚・自撮り棒) vs 8518(マイクスタンド)
      • どこで分かれるか:カメラ・スマホ等の“無作為の動き抑制”の支持具か、マイク用スタンドか
      • 判断に必要な情報:取付対象(何を載せるか)、構造(雲台・クイックリリース等)、仕様書
      • 典型的な誤り:スタンド類を一括で9620に寄せる
    • グループ3:9608(筆記具) vs 90.17(製図用からす口等)
      • どこで分かれるか:「一般筆記具」か「製図・計測用途の機器/器具」か
      • 判断に必要な情報:用途(製図用か)、カタログの用途説明、構造(製図器具か)
      • 典型的な誤り:高級・精密=90類、あるいはペン形状=9608と短絡
    • グループ4:9617(真空容器) vs 70.20(ガラス内瓶)
      • どこで分かれるか:「真空容器の完成品/外装部品」か「単独のガラス製内部容器」か
      • 判断に必要な情報:輸入形態(完成品か部品か)、部品の材質・用途(内瓶か)

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第96類の章注1(d)は、「はん用性の部分品(parts of general use)」(Section XV 注2で定義)を第96類から除外します。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例えば「金属製の汎用クリップ・金具」など、**別章で一般的に扱う“はん用性の部分品”**は、第96類の“雑品”に寄せず、まずSection XVや該当章で検討します(※実務上は品名だけでなく規格・用途・取付形態が重要)。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 9606/9607等の周辺部材を「ボタン・ファスナー」と誤認し、実は“はん用性の部分品”だった、というパターン(章注1(d)で除外の方向)。

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1:第96類に入らないもの(化粧用鉛筆、66類、模造身辺細貨類、はん用性の部分品、90類、94類、95類、97類等)を列挙
    • 注2:9602の「植物性又は鉱物性の彫刻用材料」の定義(コロゾ等、琥珀、海泡石、黒玉等)
    • 注3:9603の「結束し又は房状にした物品」の定義(未装着で、ほうき/ブラシに組み込める状態)
    • 注4:貴金属・真珠・宝石等を含む場合の扱い(9601〜9606・9615は“微量使用”に限る等)
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 9602の「植物性又は鉱物性の彫刻用材料」
    • 9603の「prepared knots and tufts」相当
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 例:化粧用鉛筆→33類、医療用特殊ブラシ→90.18、玩具→95類、家具→94類など

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。

  • 影響ポイント1:章注1(除外リスト)で“第96類に行く前に落とす”
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):用途(化粧/医療/玩具/家具等)、製品説明、販路(化粧品売場か等)
    • 現場で集める証憑:カタログ、パッケージ表示、取扱説明書、用途が分かる商品ページ写し
    • 誤分類の典型:アイブロウペンシルを9609へ(実際は章注1(a)で33類)
  • 影響ポイント2:9619(材料を問わない)の“材質ブレ”を止める
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):吸収性の有無、用途(生理用/失禁用/乳児用/母乳用等)、医療用途との違い
    • 現場で集める証憑:断面構造図、材質構成(内層/吸収体/外層)、用途説明
    • 誤分類の典型:不織布だから繊維章、プラ外層だからプラ章と判断して9619を見落とす
  • 影響ポイント3:9620に“自撮り棒(セルフィースティック)”が含まれる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):地面に接地させる支持具か、手持ち自撮り用途か、取付対象(スマホ/カメラ等)
    • 現場で集める証憑:仕様書(伸縮・ホルダー・リモコン有無)、写真
    • 誤分類の典型:スマホ周辺機器として別章に寄せる/マイクスタンド等まで9620に入れる

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:アイブロウペンシル等を9609(鉛筆)にする
    • なぜ起きる:形が鉛筆状で、品名も“pencil”表記になりやすい
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):章注1(a)で化粧用鉛筆は第33類へ除外
    • 予防策:用途の確認(化粧/筆記)、化粧品としての表示・販売形態の取得
  2. 間違い:象牙等の柄付きナイフ(完成品)を9601/9602にする
    • なぜ起きる:高価な材料(象牙等)に目が行き、材料主導で分類してしまう
    • 正しい考え方:章注1(e)により、刃物等(第82類)が原則。9601/9602は“柄を単独提示”などの局面で問題になる
    • 予防策:輸入形態(完成品か、柄単体か)を確認し、商品構成図を入手
  3. 間違い:製図用のからす口等を9608(ペン)にする
    • なぜ起きる:見た目がペンに近い
    • 正しい考え方:96.08の解説で製図用からす口(90.17)を除外として明示
    • 予防策:用途(製図/計測か)と製品カタログの“Designed for drafting”相当の記載を確認
  4. 間違い:成人用失禁パッド等を材質で分類して9619を外す
    • なぜ起きる:紙/不織布/プラのどれが主かで迷う
    • 正しい考え方:9619は生理用品・おむつ等を“材料を問わず”包含し、成人用失禁者向け等も含む
    • 予防策:断面構造(内層・吸収体・外層)と用途説明(失禁用等)を資料化
  5. 間違い:自撮り棒をスマホアクセサリとして別章(通信機器系など)へ寄せる
    • なぜ起きる:スマホと一緒に売られるため
    • 正しい考え方:9620の解説で自撮り棒(セルフィースティック)を含む旨が明記
    • 予防策:カメラ支持具としての機能説明、ホルダー構造・伸縮・リモコン有無を確認
  6. 間違い:香水噴霧器の“容器だけ”を9616にしてしまう
    • なぜ起きる:製品名がatomizerで一括されやすい
    • 正しい考え方:9616の解説では、噴霧器の容器(瓶など)を単独提示する場合は材質で分類する旨が示される
    • 予防策:輸入形態(ヘッド付き完成品か、容器単体か)をインボイス・写真で確認
  7. 間違い:魔法瓶のガラス内瓶(単体)を9617にする
    • なぜ起きる:魔法瓶関連部材=9617と短絡
    • 正しい考え方:9617はガラス内瓶を除外(解説で70.20を示唆)
    • 予防策:部品図で「glass inner」かを確認、材質証明を取得
  8. 間違い:歯ブラシと医療用ブラシを9603で一括する
    • なぜ起きる:どちらも“brush”
    • 正しい考え方:章注1(f)で医療・獣医の特殊ブラシ(90.18)を例示して除外
    • 予防策:用途(歯科治療用/日用品)と販売先(医療機関向け等)を確認

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR選択に直結します。誤ったHSでPSRを見てしまうと、原産性判断(CTC/RVC等)の前提が崩れます(一般論)。
  • よくある落とし穴:
    • 最終製品(例:ボールペン=9608)と、非原産材料(例:替芯、インキカートリッジ、金属部品)のHSを混同
    • “材質で分類すると思い込む”ことで、9619(材質不問)などの大前提がズレる

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 経済連携協定等は、採用しているHS版が異なることがあり、協定が参照するHS版で検索すべき旨が税関のPSR検索画面でも注意喚起されています。
  • 協定本文・運用が参照するHS版がHS2022とズレる場合の注意(一般論):
    • 「HS2022でのコード」→「協定が採用するHS版への読み替え(トランスポジション)」が必要
    • コード番号が同じでも、文言が変わっている場合がある(第96類ではHS2022で一部文言修正あり)

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 証明書類・保存要件(一般論)
  • 実務のコツ:
    • 「完成品のHS(6桁)」と「主要材料のHS(6桁)」を並べた管理表を作り、改正時は相関表で更新(一般論)

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022文言修正(表現整理)9617.00「complete with cases」→「complete」等、完成品表現の整理外部ケースの有無に引きずられず“完成品としての9617”を再確認
HS2017→HS2022文言修正(範囲の明確化)9619.00「napkins」表現を「napkins (diapers)」等と明確化・整理“おむつ等”であることを明示。材質・対象者で迷わず9619を起点に検討
HS2017→HS2022文言修正(軽微)章注1(k) 等例:「lamps」→「luminaires」等の用語調整第94類除外の趣旨自体は同じ(実務影響は限定的)
HS2017→HS2022変更なし(番号体系)9601〜9620見出し番号・号の体系は維持(第96類内での新設・削除は確認できず)税率・国内コード細分は別途改正の可能性があるため最新表を確認

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 根拠資料として、WCOのHS2017版とHS2022版の第96類(Chapter 96)を突合し、9617および9619の見出し文言がHS2022で整理されていることを確認しました。
  • また、日本税関の「HS2022改正について」では、HS改正に伴う新旧対応としてWCO作成の相関表が案内されています(一般的に、改正影響の確認は相関表・新旧条文の突合で行う、という位置付け)。
  • なお、第96類については、HS2017→HS2022で見出し番号や号の“新設・削除・分割”よりも、文言の明確化・整理が中心であることを、本章の条文比較から判断しました。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

主要な流れ(HS2007→2012→2017→2022)を、条文(WCO品目表)ベースで整理します。

変遷変更タイプ旧コード → 新コード(または行き先)要旨実務メモ
HS2007→HS2012新設(HS2007に該当コードなし)→ 9619.00生理用ナプキン・タンポン・おむつ等を“材料を問わず”扱う見出しが追加材質別に分散しがちな品目を「用途」で束ねる設計へ
HS2007→HS2012統合(再編)9608.31/9608.39 → 9608.30“万年筆その他のペン”の細分(インディアンインク製図ペン等)を一本化旧版コードでの資料(BOM/契約/PSR)参照時に注意
HS2012→HS2017新設(HS2012に該当コードなし)→ 9620.00一脚・二脚・三脚等を独立見出し化“カメラ支持具”の定番分類。自撮り棒の扱い整理にも影響
HS2017→HS2022文言修正9617.00/9619.007章参照(完成品表現、diapers明記等)コードは同じでも“文言”更新により説明資料の更新が必要

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名(短く):化粧用ペンシルを鉛筆として申告
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):章注1(a)の除外(化粧用鉛筆は33類)
    • 起きやすい状況:インボイス品名が “cosmetic pencil” ではなく “pencil” のみ
    • 典型的な影響:修正申告、追加納税、説明資料要求
    • 予防策:用途説明、化粧品表示、成分・用途資料を添付
  • 事例名:象牙柄のナイフを9601で申告
    • 誤りの内容:章注1(e)(第82類の刃物は第96類ではない。柄単体なら別)
    • 起きやすい状況:材料が高価で、材料主導で分類してしまう
    • 典型的な影響:分類更正、検査強化(場合により種規制の追加確認)
    • 予防策:完成品/部材単体の輸入形態、構成部品リストの整備
  • 事例名:成人用失禁パッドを材質別で申告
    • 誤りの内容:9619(材料を問わない)を見落とし
    • 起きやすい状況:不織布・プラ・紙など複合材で判断が散る
    • 典型的な影響:分類更正、追加納税、品目説明補完要求
    • 予防策:断面構造、吸収体の有無、用途資料(失禁用等)
  • 事例名:自撮り棒を通信機器の付属品として申告
    • 誤りの内容:9620に含まれるべき物品を別章へ
    • 起きやすい状況:スマホ売場の周辺機器扱い
    • 典型的な影響:分類更正、統計品目の修正
    • 予防策:支持具としての仕様(伸縮、ホルダー、リモコン等)を提示

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • 日本前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)
  • ワシントン条約(CITES)等の種規制(該当し得る代表):
    • 9601(象牙等の動物性材料の加工品)は、原材料がCITES/国内法の対象になり得ます。日本国内では象牙製品等の取引が原則禁止を前提に、例外的に管理下で取引可能となる制度が案内されています。
    • 象牙製品等の国内取引を業として行う場合の登録・記録保存等(制度詳細は公的案内に従う)。
    • 輸出(CITES対象貨物)の場合、METI側で輸出承認・CITES許可書等の手続き案内があります。
  • その他の許認可・届出(消費生活用製品安全法:ライター):
    • 9613(ライター)は、ディスポーザブル(使い捨て)式ライター多目的ライターが、消費生活用製品安全法の枠組みで対象製品として整理されています(PSCマーク制度の案内)。
    • 実務では、輸入時点だけでなく「国内で販売できる状態か」(適合性検査・表示等)まで含めて確認が必要です。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 種規制:環境省の象牙規制案内、METIのCITES手続き案内
    • 製品安全:経済産業省(PSCマーク制度)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 仕様書(材質・用途・構造)、写真、原材料の由来情報(動物由来の場合)、製品安全の適合資料(該当品のみ)

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 用途(化粧/医療/一般)、構造(完成品/部品)、材質、セット構成、写真
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 章注1の除外に当たらないか(33/66/71/82/90/94/95/97等)
    • 9619(材質不問)・9620(自撮り棒含む)など“特別に迷いやすい項”の再点検
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • インボイス品名が用途を誤誘導しないか(pencil/brush/stand等)
    • 断面構造図・カタログ添付で説明力を上げる
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版の確認(税関PSR検索の注意喚起を踏まえる)
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 9601:象牙等なら種規制の該当性確認
    • 9613:PSC対象のライター類は適合性・表示等の確認

12. 参考資料(出典)

  • WCO(HS条文)
    • HS2022 Chapter 96(WCO PDF)
    • HS2017 Chapter 96(WCO PDF)
    • HS2012 Chapter 96(WCO PDF)
    • HS2007 Chapter 96(WCO PDF)
    • HS2017–2022 Correlation Tables(WCO案内)
  • 日本(税関・公的機関)
    • 関税率表解説 第96類(日本税関)
    • HS2022改正について(相関表の位置付け等:日本税関)
    • 事前教示(品目分類)検索(日本税関)
    • Eメール事前教示制度(品目分類)(日本税関)
    • 事前教示制度(カスタムスアンサー:品目分類)(日本税関)
    • 品目別原産地規則(PSR)検索(HS版違いの注意喚起:日本税関)
  • 規制(日本)
    • 象牙の国外持ち出し規制/国内取引規制(環境省)
    • 特別国際種事業者登録(象牙関連:自然環境研究センター等)
    • ワシントン条約(CITES)輸出承認手続き(METI)
    • PSCマーク制度(ライターを含む:METI)
      ※Web参照日:2026-03-02

付録A. 国内コード(日本)での主な細分と注意点(任意)

  • 国内コード(日本の統計品目等)は、HS6桁(国際共通)より細かく分かれ、税率・統計・規制実務に影響します。
  • 第96類は特に、9613(ライター)、9619(衛生用品)などで国内細分が運用上重要になり得るため、必ず最新の輸入統計品目表(国内コード)を確認してください(本稿はHS6桁の整理です)。

付録B. 税関の事前教示・裁定事例の探し方(任意)

  • 税関の公開情報として、**事前教示回答(品目分類)**の検索が可能です(一般的品名、税番、貨物概要等)。
  • 相談を早めるために揃えるとよい情報(一般論):
    • 製品の用途・構造・材質(必要なら断面図)
    • 写真(外観・梱包・表示)
    • カタログ、取扱説明書、成分表(該当品のみ)
  • 申請ルート:Eメールを用いた事前教示制度の案内もあります(実務は管轄税関の案内に従ってください)。

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。

HS2022 第95類:玩具、遊戯用具及び運動用具並びにこれらの部分品及び附属品(Toys, games and sports requisites; parts and accessories thereof)

  • (用語の統一)
    類=Chapter、項=Heading(4桁)、号=Subheading(6桁)、部=Section、注=Notes(部注/類注)

0. まず結論:この類に入るもの/入らないもの(超要約)

  • この類に入る代表例(3〜6個):
    • 三輪車・スクーター等の車輪付き玩具、人形、その他の玩具、パズル(95.03)
    • 家庭用ゲーム機(外部モニターに映すタイプ)や、画面内蔵の携帯型ゲーム機(95.04のうち、主に9504.50の対象)
    • クリスマス装飾などの祝祭用品(95.05)
    • スポーツ・屋外遊戯用の用具(ゴルフ、テニス、卓球、プール等)(95.06)
    • 釣りざお・釣針・リール等の釣具(95.07)
    • 遊園地の乗り物(ジェットコースター等)、ウォーターパーク設備、射的場などの興行用設備、巡回劇場設備等(95.08)
  • この類から除外されやすい代表例(3〜6個/除外先の類・項も併記):
    • ゲームソフト(ディスク等の記録媒体):85.23(第95類注1(m)や95.04の解説で明示)
    • 無人航空機(いわゆるドローン):88.06(第95類注1(p)で除外)
    • ストリングライト(イルミネーション等):94.05(第95類注1(u)/95.05の除外でも言及)
    • 玩具っぽい外観でも、実体がポンプ・モーター・フィルター等の機械/電気機器:84類・85類など(第95類注1(m)で例示)
    • 実用性のある生活用品(衣類・寝具・リネン等):材質により別類(注1(x)の考え方)
  • 実務での最重要分岐(1〜3個):
    1. 「遊ぶ/競う/運動する」ための品か、それ以外の実用品(機械・電気製品・衣類等)か(注1で“他章へ飛ぶ”頻度が高い)
    2. ゲーム機本体(95.04)と、ゲームソフト(85.23)の切り分け
    3. 95.08(遊園地・興行設備)に該当する“設備”の範囲(ユニット同時提示・本質的必要ユニットの考え方)
  • (任意)この類で特に“誤分類が高コスト”になりやすい場面:
    • 家庭用ゲーム機・アーケード筐体(9504.30/9504.50の分岐、周辺機器・ソフトの除外)
    • 遊園地設備(95.08)(大型・高額で、誤ると税率や許認可確認、PSR(原産地規則)へ波及しやすい)

1. 区分の考え方(どうやってこの類に到達するか)

1-1. 分類の基本ルール(GIRの使いどころ)

  • 第95類は、見出し(品名)だけで決めると事故りやすい類です。理由は、注1で機械・電気・実用品などへ広く除外されるためです。
  • 実務では次が効きます:
    • GIR1:まず見出しと注(特に類注)で当たりを付ける
    • GIR6:4桁(項)→6桁(号)の分岐に落とす(例:9504.30 vs 9504.50、9508の細分など)
    • GIR3(b):複数品の組合せ(セット)で「主要な性質(essential character)」が問題になるケース(玩具の組合せ等)
  • 「品名だけで決めない」ための観点:
    • 用途(遊戯・運動・興行設備か/実用機器か)
    • 機能の実体(“玩具風デザイン”でも中身がポンプ・モーター等なら注1(m)で除外されうる)
    • 提示のされ方(95.08は“設備として一式”かが重要)

1-2. 判定フロー(疑似フローチャート)

  • Step1:その品は「玩具/ゲーム/祝祭用品/スポーツ用品/釣具/遊園地・興行設備」のいずれですか?
  • Step2:第95類注1の除外に当たりませんか?
    • 記録媒体(85.23)、無人航空機(88.06)、ストリングライト(94.05)、機械・電気機器(84/85類)等
  • Step3:95.03〜95.08のどれに最も素直に当てはまりますか?(2章の表で確認)
  • Step4:6桁(号)まで落として、分岐条件(支払手段の有無、設備の類型、水上か否か等)を確認
  • よく迷う境界:
    • 玩具(95.03) vs 無人航空機(88.06)(“飛行するもの”は注1(p)の影響が大きい)
    • ゲーム機本体(95.04) vs 記録媒体(85.23)
    • 家庭用遊具(公園・住宅向け) vs 95.08(遊園地設備)(95.08の定義・要件で整理)

2. 主な項(4桁)とその内容

2-1. 4桁(項)の主なもの一覧表(必須)

  • 原則:
    • 第95類は4桁(項)が多くないため、**実務上は原則「全列挙」**が読みやすいです。
項番号(4桁)見出しの要旨(日本語)典型例(製品名)重要な分岐条件/除外/注意点
9503玩具(車輪付き玩具、人形、縮尺模型、パズル等)三輪車・キックボード(玩具)、人形、レゴ等、ジグソーパズル注1(m)(p)(u)等の除外に注意(ドローン/電気機器/記録媒体等)
9504ビデオゲーム機・卓上/室内ゲーム、コイン作動娯楽機等家庭用ゲーム機、携帯ゲーム機、トランプ、ビリヤード用品、アーケード筐体9504.30(支払手段で作動)と9504.50(家庭用等)の分岐ゲームソフト(85.23)除外
9505祝祭・カーニバル等の装飾用品、手品用品、いたずら用品クリスマス飾り、仮装用小物(実用品でないもの)、手品道具実用性がある物品(衣類・食器等)は除外ストリングライト(94.05)除外
9506スポーツ・屋外遊戯・プール等ゴルフクラブ、テニスラケット、卓球用品、スキー用品、プール章内で細分が多い。衣類・靴・バッグ等は別類になりやすい
9507釣具釣りざお、釣針、リール、釣り具セットの一部糸など未仕上げは別類、周辺小物も材質・用途で除外あり
9508遊園地の乗り物、ウォーターパーク設備、興行用設備(射的場等)、巡回劇場設備、巡回サーカス/動物園設備ジェットコースター、回転木馬、ウォータースライダー設備、射的設備“設備として一式”要件/ユニット同時提示他類により特定される設備は除外

(注)WCOのHS上、**[95.01]・[95.02]は欠番(表示のみ)**で、実務的には9503以降が中心です。

2-2. 6桁(号)で実務上重要な分岐(必須)

  • 分岐条件の整理(頻出ポイント):
    • 9504.30 vs 9504.50
      • 9504.50は「外部画面に映すコンソール」または「画面内蔵のビデオゲーム機」等をカバーし、
      • 硬貨・紙幣・カード・トークン等の“支払手段で作動するもの”は9504.30へ、という整理が明示されています。
    • ゲームソフト(記録媒体):ゲーム機に専ら使う光ディスク等でも、記録媒体は85.23へ除外されます(95.04の解説で明示)。
    • 9508の細分(HS2022で重要度が上がった)
      • 9508.10:巡回サーカス・巡回動物園の設備
      • 9508.21〜.29:遊園地の乗り物/ウォーターパーク娯楽設備(ジェットコースター等、水上設備等)
      • 9508.30:興行用設備(射的場等)
      • 9508.40:巡回劇場の設備
  • 間違えやすい6桁ペア/グループ(2〜5組):
    1. 9504.30(支払手段で作動) vs 9504.50(それ以外のビデオゲーム機)
      • どこで分かれるか:“コイン等の支払手段で作動するか”
      • 判断に必要な情報:
        • 筐体がアーケード用途か(運用形態)
        • 支払モジュール(コインメック等)の搭載有無、仕様書
      • 典型的な誤り:家庭用ゲーム機を9504.30に入れる/逆にアーケード筐体を9504.50に入れる
    2. 95.04(ゲーム機本体) vs 85.23(ゲームソフト等の記録媒体)
      • どこで分かれるか:“物がハードか、記録媒体か”
      • 判断に必要な情報:
        • 商品形態(ディスク・カートリッジ・ダウンロードコード等)
        • セット販売の内訳(インボイス明細)
      • 典型的な誤り:ゲームディスクを95.04扱い
    3. 9503(玩具) vs 8806(無人航空機)
      • どこで分かれるか:“無人航空機(88.06)に該当するか”(第95類注1(p)で95類から除外)
      • 判断に必要な情報:
        • 飛行のための構造・機能(仕様書、取説、カタログ)
        • 用途(単なる玩具か、航空機としての機能を持つか)
      • 典型的な誤り:“玩具だから9503”と即断する(注1(p)の見落とし)
    4. 9508(設備) vs 「単品部材」
      • どこで分かれるか:通常の活動に本質的に必要なユニットを含む“設備一式”か。また、単独なら他類の物品でも、設備を構成し同時提示される場合に95.08となりうる、という整理があります。
      • 判断に必要な情報:
        • 出荷単位(ユニット構成表、据付図、BOM)
        • 同時提示(同梱)か、別送か
      • 典型的な誤り:設備一式を部材単品として別類へ分断して申告

3. 部注と類注の詳細解釈(条文→実務的な意味)

3-1. 関連する部注(Section Notes)

  • ポイント要約:
    • 第95類の注1(k)で参照される「はん用性の部分品(Section XV 注2)」は、玩具・スポーツ用品に使うものであっても、原則として各材質の類で扱う、という考え方と相性が良いです。
  • 実務での意味(具体例つき):
    • 例:スポーツ用具の「汎用ボルト・ナット」「汎用ヒンジ」「汎用バネ」等は、部品だからといって95類に寄せず、まず“はん用性の部分品”かを疑います。
  • “この部注で他章に飛ぶ”代表パターン:
    • 「専用品に見えるが、寸法・規格が一般用で流通している」=はん用性の部分品として別章へ

3-2. この類の類注(Chapter Notes)

  • ポイント要約:
    • 注1:第95類からの広範な除外(記録媒体85.23、無人航空機88.06、ストリングライト94.05、機械・電気機器84/85類など)
    • 注3(部品・附属品):原則として“当該物品に専ら又は主として使用する”部品・附属品は同じ項で扱うが、注1で除外される物品は含めない(=部品でも注1で落ちる)
    • 注6(95.08の用語定義):遊園地の乗り物/ウォーターパーク設備/興行用設備の範囲・定義が整理され、さらに「95.04の設備は含まない」「他で特定される設備は除く」等の方向性が示されます。
  • 用語定義(定義がある場合):
    • 95.08の「amusement park rides」「water park amusements」「fairground amusements」等の定義と、95.04との境界(95.04の設備は含まない)が整理されています。
  • 除外規定(除外先の類・項も明記):
    • 記録媒体:85.23
    • 無人航空機:88.06
    • ストリングライト:94.05

4. 類注が分類に与える影響(“どこでコードが変わるか”)

この章は「類注があるからこそ起きる分岐」を可視化することが目的。

  • 影響ポイント1:注1(m)で “玩具っぽい電気製品/メカ” が95類から落ちる
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 中核機能(ポンプ、モーター、トランス、フィルター等)と該当章(84/85類)
      • 記録媒体(85.23)かどうか
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書、回路図、取説、構成部品表、販売ページ(用途表示)
    • 誤分類の典型:
      • 「子ども向けデザイン」だけで玩具扱い
      • 逆に、玩具としての遊戯機能が主であるのに機器扱いへ寄せる(用途・市場実態の見落とし)
  • 影響ポイント2:注1(p)で “無人航空機(88.06)” が95類から除外
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 飛行のための構造・性能(推進、制御、滞空など)
      • 商品説明・用途(撮影等の機能)
    • 現場で集める証憑:
      • 仕様書、取説、技術資料、構造図、販売カタログ
    • 誤分類の典型:
      • “玩具ドローン”を一律に9503へ(注1(p)の見落とし)
  • 影響ポイント3:注3(部品・附属品)で「部品=一律部品分類」にならない
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 専用性(専ら又は主として95類品に使用か)
      • 注1で除外される部品(例:記録媒体85.23等)ではないか
    • 現場で集める証憑:
      • 互換表、適用機種一覧、図面、取説、梱包表示
    • 誤分類の典型:
      • ゲームソフト(85.23)を“ゲーム機の部品”として95類に寄せる
  • 影響ポイント4:95.08は「設備一式」か「単品」かでコードが変わり得る
    • 何を見れば判断できるか(必要情報):
      • 設備として通常活動に必要なユニットを含むか、同時提示か
    • 現場で集める証憑:
      • 据付図、ユニット構成表、出荷単位、契約範囲(EPC範囲)
    • 誤分類の典型:
      • 設備一式を部材単位に分断して別類へ(結果として税関説明が難しくなる)

5. 分類でよくある間違い(原因→対策)

  1. 間違い:ゲームディスク(ソフト)を95.04に入れる
    • なぜ起きる:商品名が「ゲーム」で同じに見える
    • 正しい考え方(どの注・どの見出しが根拠か):
      • 記録媒体は注1(m)で例示され、95.04の解説でもゲームソフトの光ディスクは85.23と整理されています。
    • 予防策:
      • インボイスで「console」「controller」「disc」等を分ける
      • 形態(媒体か機器か)の写真を添付
  2. 間違い:家庭用ゲーム機を“コイン作動機”側(9504.30)へ入れる
    • なぜ起きる:アーケードと家庭用の境界を見ず、見た目で判断
    • 正しい考え方:
      • 9504.50のカバー範囲と、9504.30への除外(支払手段で作動)を確認します。
    • 予防策:
      • 支払手段の有無、運用形態(店舗設置か家庭用か)を仕様書で確認
  3. 間違い:“玩具っぽい外観の電気製品”を無条件に玩具(9503)へ
    • なぜ起きる:キャラクター形状=玩具と短絡
    • 正しい考え方:
      • 注1(m)で機械・電気機器への除外が広く示されます。
      • さらに日本では電安法上、子供向け装飾等の条件で「電熱式おもちゃ/電動式おもちゃ」相当になるかの考え方も示されています(分類ではなく規制面の注意ですが、製品属性整理に役立ちます)。
    • 予防策:
      • 目的(遊戯か調理・乾燥等の実用か)を取説・広告で確認
      • 電源・発熱・駆動部の仕様を入手
  4. 間違い:祝祭柄の“実用品”(食器・衣類など)を95.05へ
    • なぜ起きる:“クリスマス柄”だけで祝祭用品と思い込む
    • 正しい考え方:
      • 95.05の解説では、祝祭デザインでも実用性がある物品(衣類、リネン等)は除外されます。
    • 予防策:
      • 「使い捨て装飾か/通常使用の実用品か」を機能で判断
  5. 間違い:イルミネーション(ストリングライト)を95.05へ
    • なぜ起きる:クリスマス装飾=95.05と連想
    • 正しい考え方:
      • 注1(u)および95.05の除外で、ストリングライトは94.05に整理されています。
    • 予防策:
      • 電気照明か否か(電源、光源)を必ず確認
  6. 間違い:飛行する機体(ドローン)を“玩具”として9503へ
    • なぜ起きる:“子ども用”表示だけで決める
    • 正しい考え方:
      • 注1(p)で無人航空機(88.06)が除外されます。
    • 予防策:
      • 飛行性能・構造を確認し、88.06の検討を必須化
  7. 間違い:95.08(設備)を単品部材扱いでバラバラ申告
    • なぜ起きる:輸送・工事都合で分納され、税番も分けたくなる
    • 正しい考え方:
      • 95.08は「通常の活動に本質的に必要な全ユニットを含む場合」に属し得る、という枠組みが示されます。
    • 予防策:
      • 契約範囲(設備一式)と出荷単位を紐付け、税関説明資料(ユニット表)を準備

6. FTAやEPAで原産地証明をする際に気をつける点

6-1. HSコードとPSR(品目別規則)の関係

  • HSの付番がPSR(品目別規則)の選択に直結します。最終製品HSが誤ると、PSRの条項自体がズレます。
  • よくある落とし穴:
    • 材料HS(部材の税番)と最終製品HSの混同
    • 95.04(ハード)と85.23(ソフト/媒体)の取り違えが、PSR・材料表を崩す

6-2. 協定が参照するHS版の違い(HS2012/2017/2022のズレ)

  • 協定により参照HS版が異なる場合があり、HS2022の6桁とPSRの6桁がズレることがあります。
  • 日本税関の原産地関連情報(PSR検索等)では、協定・品目による取り扱いを確認できます。
  • トランスポジション(旧→新対応)の扱い方(一般論):
    • まず協定が参照するHS版を特定
    • 次に相関表(WCO/税関の対応表)でコード対応を確認

6-3. 実務チェック(原産性判断に必要なデータ)

  • 材料表(BOM)、原価、工程、原産国、非原産材料のHS、RVC計算の前提
  • 証明書類・保存要件(一般論):
    • 工程図、原価計算根拠、仕入書、製造記録などを“後から説明できる形”で保存
    • 95.08のような設備案件は、ユニット構成・据付範囲の説明資料が重要

7. HS2022とそれ以前のHSコードでの違い(違うことになった根拠)

7-1. 変更点サマリー(必須:表)

比較(例:HS2017→HS2022)変更タイプ(新設/削除/分割/統合/文言修正/範囲変更)該当コード変更の要旨実務への影響
HS2017→HS2022分割(細分化)95.08(9508.90等→9508.21〜.40等)95.08の構造が再設計され、遊園地の乗り物・ウォーターパーク設備・興行設備・巡回劇場等がより明確に区分9508周りのトランスポジション必須。設備案件の分類説明・PSR適用にも影響
HS2017→HS2022範囲変更(注の影響)注1(p)関連新設の88.06(無人航空機)へ品目移転があり、95類では無人航空機が除外に明示“玩具ドローン”の扱い検討が増える。輸入規制・航空法等の確認にも波及

7-2. 「違うことになった根拠」(必須)

  • 95.08の細分化については、HS2022-HS2017相関表側で「95.08の構造が再設計された」旨が明記され、かつ日本税関の解説でも9508.21〜9508.40等の区分が示されています。
  • 無人航空機(88.06)の新設と品目移転は、HS2022-HS2017相関表で新設理由(無人航空機のための新見出し)とともに示され、また第95類注1(p)で95類からの除外が確認できます。

8. HS2022以前で付け加えられたHSコード/削除されたHSコード

(主要なものを抜粋。詳細は相関表で最終確認してください)

期間主な動き旧コード → 新コード(代表)コメント
HS2007→HS2012ビデオゲーム関連の再整理9504.10(TV用ビデオゲーム)→(2012以降は9504.50側へ整理)HS2007の9504.10はHS2012以降の構造で置換された位置づけ
HS2017→HS202295.08の細分化9508.90(等)→ 9508.21〜.29、9508.30、9508.40 など95.08の範囲自体というより、統計・監視等を意識した区分の明確化
HS2017→HS2022無人航空機の新設に伴う整理(旧:88.02の一部等)→ 88.06新設、95類からも除外明示95類での“飛行する玩具”の検討が増える

9. 類注違反による通関トラブル(想定事例)

  • 事例名:ゲーム機とソフトを一括で「9504」申告して差戻し
    • 誤りの内容(どの類注/部注に抵触):注1(m)の見落とし(記録媒体85.23)
    • 起きやすい状況:セット販売、インボイスが「game set」とだけ記載
    • 典型的な影響:修正申告、資料要求、審査長期化(一般論)
    • 予防策:ハード・媒体・周辺機器を明細分離、写真添付
  • 事例名:“玩具ドローン”を9503で申告→88.06の疑いで保留
    • 誤りの内容:注1(p)の見落とし(無人航空機は88.06へ)
    • 起きやすい状況:商品名にtoy/droneが混在、仕様書なし
    • 典型的な影響:分類照会、輸入規制(航空法等)の追加確認(一般論)
    • 予防策:飛行仕様・用途を示す資料を準備(取説、仕様表)
  • 事例名:祝祭柄の衣類を95.05で申告して否認
    • 誤りの内容:実用性ある物品は除外(95.05解説の考え方)
    • 起きやすい状況:コスチューム・仮装衣装の境界
    • 典型的な影響:税番修正、繊維製品側の追加要件確認(一般論)
    • 予防策:素材・縫製・耐久性・反復使用性を整理し、実用品か仮装用かを説明
  • 事例名:遊園地設備(95.08)の“分納”で税番が分断
    • 誤りの内容:95.08の「設備一式(本質的必要ユニット)」の考え方の不整合
    • 起きやすい状況:建設工事案件、複数船積
    • 典型的な影響:説明困難、審査・検査の増加(一般論)
    • 予防策:ユニット構成表・据付図・契約範囲で“設備一式”として説明できるよう整備

10. 輸出入規制事項(コンプライアンス観点)

  • {COUNTRY}前提で、この類で頻出の規制・許認可・検疫を整理(該当があるものだけ)

製品安全(乳幼児用玩具:子供PSCマーク)

  • 令和7年(2025年12月25日)から、3歳未満向け玩具(乳幼児用玩具)に新たな規制が開始され、技術基準適合、警告表示、子供PSCマーク等が求められます(製造・輸入事業者の義務、販売事業者の販売規制も記載)。
  • 確認先(行政・公式ガイド・窓口):
    • 経済産業省(乳幼児用玩具の規制案内)
    • 消費者庁(子供PSCマークの周知)
  • 実務での準備物(一般論):
    • 対象年齢根拠(設計意図、試験、説明書)
    • 技術基準適合の確認記録、表示版下、サプライヤー情報

食品衛生(指定おもちゃ等)

  • おもちゃに関する食品衛生の基準行政は、2024年4月1日に厚生労働省から消費者庁へ移管された旨が明記されています。
  • 「指定おもちゃ」の考え方(乳幼児が口に入れたり舐めたりすることが想定されるもの等)や、運用上の“乳幼児”の扱い(例:6歳未満として運用)など、通知Q&Aで整理されています。
  • 確認先:
    • 消費者庁(食品衛生基準審査)
    • 関連通知・Q&A(厚労省掲載資料として参照可能)

電気安全(電安法:電熱式おもちゃ/電動式おもちゃに該当し得るもの)

  • 子供向けの装飾を施した電気製品が、状況により「電熱式おもちゃ」または「電動式おもちゃ」として扱われ得る判断基準例(対象年齢表示、玩具としての販売形態、装飾の占める割合(例:投影面積の1/16超)等)が示されています。
  • HS分類そのものとは別ですが、**製品の性質整理(用途・販売実態)**に関して通関実務にも影響し得るため、該当可能性がある場合は早めに確認するのが安全です。

ドローン(無人航空機:HS上は95類除外になり得る)

  • HS上、無人航空機(88.06)は第95類から除外されます。
  • さらに日本では、無人航空機の登録や飛行ルール等の制度案内が国交省から提供されています(分類の前後でコンプライアンス確認が必要になる典型例)。

11. 実務チェックリスト(分類→通関→原産地→規制)

  • 分類前チェック(製品情報の収集)
    • 仕様書(機能・材質・サイズ・電源・対象年齢)
    • 写真(全体、銘板、付属品)
    • 取説・カタログ(用途表示、販売実態)
  • 分類後チェック(注・除外・境界の再確認)
    • 注1(85.23、88.06、94.05等)に当たらないか
    • 95.04はハード/媒体の切り分けができているか
    • 95.08は設備一式の要件整理ができているか
  • 申告前チェック(インボイス品名、数量単位、補足資料)
    • 「console」「disc」「controller」等、形態別に明細化
    • セット品は内訳と主要性(GIR3(b)想定)を説明できるように
  • FTA/EPAチェック(PSR・材料・工程・保存)
    • 協定が参照するHS版の確認、相関表でのトランスポジション
  • 規制チェック(許可/届出/検査)
    • 乳幼児用玩具:子供PSCマーク制度、表示、技術基準適合
    • 指定おもちゃ:食品衛生関連の対象確認
    • 無人航空機:登録・飛行ルール等(必要に応じて)

12. 参考資料(出典)

  • WCO:HS Nomenclature 2022 Edition, Section XX / Chapter 95(参照日:2026-03-02)
  • 日本税関:関税率表解説 第95類(95r.pdf)/分類例規(95rd.pdf)(参照日:2026-03-02)
  • 日本税関:HS2022-HS2017 相関表(参照日:2026-03-02)
  • WCO:HS2007/HS2012(Chapter 95)および日本税関HS2012-HS2007相関表(参照日:2026-03-02)
  • 経済産業省:乳幼児用玩具の新規制(子供PSCマーク等、開始日含む)(参照日:2026-03-02)
  • 消費者庁:子供PSCマーク周知(参照日:2026-03-02)
  • 厚生労働省:器具・容器包装、おもちゃ関連(食品衛生基準行政の移管案内含む)(参照日:2026-03-02)
  • 厚生労働省(通知資料):指定おもちゃの範囲等に関するQ&A(参照日:2026-03-02)
  • 経済産業省:電気用品安全法の解釈(電熱式/電動式おもちゃ判断例)(参照日:2026-03-02)
  • 国土交通省:無人航空機登録・飛行ルール等(参照日:2026-03-02)
  • 日本税関:EPA/原産地関係(PSR検索等)(参照日:2026-03-02)

免責事項

本資料は、HSコード(品目分類)、通関、FTA/EPA原産地、輸出入規制等に関する一般的な情報提供を目的として作成したものであり、特定の取引に対する法的助言、税務・関税上の助言、または通関上の最終判断を提供するものではありません。HSコードの最終的な決定は輸出入国の税関当局の判断により行われ、同一または類似の商品であっても、仕様・成分・用途・形状・加工度・取引実態・提出書類等により分類結果が異なる場合があります。関税率、原産地規則、輸出入規制、必要な許認可・検疫要件等は改正等により変更される可能性がありますので、必ず最新の法令・公的機関の公表情報・協定本文等をご確認ください。重要な取引については、税関の事前教示制度の活用、通関業者、弁護士・税理士等の専門家への相談を含め、必要な検証を行った上でご判断ください。本資料の内容の利用または利用不能により生じたいかなる損害についても、作成者は一切の責任を負いません。