1. CPTPPでは「約束を守る実績」が明確に条件に入っている
CPTPPは拡大の原則として、いわゆるオークランド原則を繰り返し確認しています。要点は次の3つです。
- 協定の高水準を満たす準備ができていること
- 貿易上のコミットメントを遵守してきた実績があること
- 加盟国のコンセンサスを得られること
この「遵守実績」が、まさにご質問の「国際約束を守れるか」を、制度上の評価軸に落とし込んだものです。

2. 日本側も公式文書で「加盟後の履行意思と能力」を強調している
日本の外交青書(2025年版)でも、加盟申請国について「高い基準を満たす能力があるか」だけでなく、「加盟後も履行し続ける意思と能力」を見極める、という趣旨が明記されています。
つまり日本としても、形式的な加盟条件より「実装して守り続けるか」を重視する立場を公式に取っています。
3. 実務上は、こういう形で「信頼性」が論点化する
CPTPPの加入審査は、候補国が提出する資料や質疑応答を通じて「守れるか」を検証する仕組みです。作業部会の付託事項も、候補国がCPTPP義務を遵守できることを示す文書の確認を含みます。
その結果、「信頼性」は次のような論点に変換されがちです。
- 国内法と運用がCPTPP義務に整合しているか
- 整合していない場合、いつまでに法改正や制度変更を行うのか
- 例外や経過措置をどこまで認めるか
- 紛争解決や透明性の運用を実際に回せるか
要するに「守ると言うか」ではなく、「守る状態を作れるか、作った後も維持できるか」という確認になります。
4. 韓国のケースで日本の懸念が表に出るとしたら
日韓間には、政治・外交の文脈で「約束の履行」への不信感が語られることがあります。ただCPTPPの場でそれを前面に出すより、先ほどのオークランド原則と整合する形で、
- 貿易約束の遵守実績
- 加盟後の履行を担保する制度設計
- 国内世論の理解と継続性
という論点で、日本が「コンセンサスに慎重」になるシナリオが現実的です。
5. いま時点での現実:日本が賛否を決める「審査段階」にはまだ入っていない可能性が高い
直近の韓国高官発言は「準備が整い次第、追加的な措置を講じる」という表現で、正式な加入要請を既に寄託国へ通報した、という言い方ではありません。
CPTPPは、まず寄託国ニュージーランドへの正式通報が起点になります。
したがって、企業実務としては「日本が信頼性を理由に止めるかどうか」は、正式要請が出て作業部会が動き出してから具体論になりやすいです。
FTAでAIを活用する:株式会社ロジスティック