2025年10月25日発表「対カナダ関税追加10%ポイント引き上げ」

以下は、2025年10月25日(米国時間)にトランプ大統領が発表した「対カナダ関税を追加で10%ポイント引き上げ」の現時点で判明している要点と、既存の関税制度との関係をAIの力を借りてまとめたものです。

発表内容(速報ベース)

10月25日、トランプ大統領がカナダへの関税を「現在の税率にさらに10%ポイント上乗せする」とSNSで表明しました。発表の直接のきっかけは、オンタリオ州政府が米国内で放映した反関税TV広告(レーガン元大統領の発言を引用)への反発とされています。これに先立ち、米国は広告問題を理由にカナダとの通商協議を打ち切っていました。

対象品目や発効時期などの実務詳細は、公式告示が未公表のため未確定です。主要紙も「どの品目にどう適用されるかは現時点で不明」と報じています。

重要:現場での運用は大統領布告・商務省/税関(CBP)通知が出て初めて確定します。現時点では「追加10%ポイント」の方針表明段階です。

既存の対カナダ関税の枠組み(2025年時点)

USMCA適合品:原産地規則等を満たす大半の対米輸出は依然として無関税。2025年夏時点で対米加輸出の多くが関税非課税と報じられています。

USMCA非適合品(一般品):2025年8月1日から25%→35%に引上げ済み。

エネルギー関連:10%(国別追加関税の区分として明示)。

鉄鋼・アルミ:通商拡張法232条に基づき2025年6月4日から50%(英国のみ25%枠)。

自動車・同部品:25%(製品別の追加関税として明示)。

なお、米国は2025年4月5日から「ほぼ全輸入に最低10%関税(ベースライン)」を徴収開始していますが、対カナダではUSMCA適合品の無税枠が大きく残っています。

「追加10%ポイント」で想定される影響(シナリオ)

正式な告示が出るまで断定はできませんが、大統領の言い回しは「今払っている税率に10%ポイント上乗せ」と解釈されるため、カナダ原産で既に課税されている品目に広く加算される可能性があります。想定シナリオを整理すると:

区分現行(参考)追加10%適用と仮定した場合の見込み
USMCA適合品0%0%のまま(無税枠が維持されれば変化なし)
USMCA非適合の一般品35%45%
エネルギー10%20%
鉄鋼・アルミ(232条)50%60%
自動車・同部品25%35%

※上表は「一律に+10%ポイント」が適用される場合の試算イメージです。実際の対象範囲が限定される(例:USMCA非適合品のみ等)可能性もあり、最終は官報・布告待ちです。

:USMCA非適合の一般品を10万ドル輸入する場合、現行35%=3.5万ドルの関税 → 追加10%ポイントで45%なら4.5万ドル。差額1万ドル増。

背景事情

2025年春以降、米国は「ベースライン10%」や国別・品目別の高関税を段階的に導入しています。対カナダでは8月の35%(非USMCA品)に続くさらなる圧力となります。

今回の「10%上乗せ」は、オンタリオ州の反関税広告(レーガン発言引用)への報復色が濃い、政治的経緯を伴う措置です。

企業の実務対応チェックリスト

HS分類・原産地判定の再確認:USMCA適合化(原産地規則・RVC・関税分類変更)で関税ゼロに戻せないか直ちに検討。

関税負担のシナリオ試算:上記の+10%ポイントを前提に、製品別の実効税率・原価・価格転嫁を再計算。

在庫・通関タイミング:発効日確定後は通関日/引取り時点で税率が決まるのが通例。入港スケジュールを調整。

鉄鋼・アルミ・自動車等の品目別規制:232条50%や自動車25%など、既存の高率関税に重畳適用され得るかを注視。

公式告示のフォロー:大統領布告・商務省/CBPの実装通知(HTS追加注記・適用除外・移行措置等)を一次情報で確認。

今後の見通し

対象や発効日の詳細は未公表です。ホワイトハウスや商務省からの正式文書が出るまでは、社内ルールを「暫定→正式」に切り替える準備段階です。

米連邦最高裁は11月5日に広範な関税(IEEPAベース)の適法性を審理予定との報道もあり、法的リスクも交錯しています。

カーニー首相は協議再開に前向きと発言していますが、両首脳は直近のASEAN/APECに出席予定である一方、首脳会談の具体的計画は報じられていません。

まとめ

今回の「10%引き上げ」は「追加の10%ポイント」という宣言で、どの品目にどう重なるかは告示待ちです。実務上はUSMCA適合化(無税化)と非適合品の関税再試算が当面の肝になります。

発表されたアメリカのトラックに対する関税に関して企業の経営者への情報

エグゼクティブ・ブリーフ(2025年10月19日/JST)

何が決まったか(超要約)

対象品目と関税率
中・大型トラック(クラス3~8)および部品に25%、バスに10%の関税を賦課。国家安全保障(通商拡大法232条など)を法的根拠とする大統領布告により発効します。

発効日時
米東部夏時間(EDT)2025年11月1日0:01(日本時間11月1日13:01)

USMCA適格車両の取り扱い
USMCA特恵要件を満たすトラックは、米国コンテンツを除く価値部分のみに25%を課税します(米国コンテンツ分は免除)。商務省への申請・承認プロセスが必要です。

USMCA適格部品
課税方式が連邦官報で確定するまで一時的に対象外とします(ただしCKD/EKD等のノックダウン・キットは常に課税対象)。

相殺プログラム(オフセット)
米国内で最終組立したMHDVについて、メーカーは車両価値の3.75%相当を関税相殺枠として2030年10月31日まで積み上げ可能です。エンジンメーカーにも同等制度を設定します。自動車分野の既存相殺制度も2030年まで延長されます。

関税の重ね掛け(スタッキング)
本布告の対象品は、鋼・アルミ・銅・自動車・木材等のセクター関税や相互関税との重ね掛けを回避します。ただし、素材・非対象部材に対する別関税は継続します。

業界インパクトの含意
メキシコ組立比率が高いOEMは原則コスト増となります。ただし米国部材比率(U.S. content)を高めて証明できれば実効税率を低減可能です。米国内組立は3.75%相殺により相対優位となります。メキシコが米向けトラック輸出の最大供給国である点から、サプライチェーン再配置圧力は強まります。


影響の見える化(簡易式とシナリオ)

USMCA適合トラック(メキシコ/カナダ組立)の関税額目安

実効関税 ≒ 25% × (1 − 米国コンテンツ比率)

計算例

  • トラック価額:180,000ドル
  • 米国コンテンツ:30%
  • 実効税率:25% × 70% = 17.5%
  • 関税額:約31,500ドル

※米国コンテンツの定義・算定は商務省の承認が必要です。虚偽申告には同型全量に対し全額25%適用の制裁条項があります。

米国内最終組立の相殺効果
相殺枠=車両価値の3.75%を、輸入部品の232関税等の負担とネット相殺に活用可能です(エンジンも同様)。


実務上の重要ポイント(法令運用)

USMCA適格部品の猶予措置
課税方式確立前は25%非課税とします(ただしCKD/EKDは課税対象のまま)。連邦官報告示を待つ必要があります。

FTZ(外国貿易ゾーン)の取り扱い
特恵外国(Privileged Foreign)ステータスでの入庫が必須となります。国内移出時に当該関税が適用されます。

車齢による除外
25年以上前の車両は対象外です(8702のバス含む)。

法的基盤と訴訟リスク
232条に加え、IEEPA・1974年通商法604条も布告に明記されています。関連の緊急関税に対する司法審査は別途進行中ですが、今回の主軸は232条です。訴訟リスクはあるものの、短中期での即時停止は見込み薄です。


経営サイドのアクション・チェックリスト(今週~来月)

財務/価格

  • 11/1(米東部)通関分からの原価再計算、販売価格・入札案件の価格条項(関税スライド/サーチャージ)更新
  • 相殺3.75%の申請・配賦設計(メーカー→輸入者番号への割当)

調達/生産

  • 米国コンテンツ比率の早急な実測(BOM展開、原価データの米国起源切り出し)。USMCAとは定義が異なる点に注意
  • CKD/EKD活用案件は構成見直し(対象固定)
  • メキシコ組立→米国組立の再配分や米国部材の置換に関する投資判断(6~18か月)

通関/ロジスティクス

  • 期日跨ぎ貨物の通関タイミング最適化(10/31までの搬入可否)とインボイス価額の整合
  • FTZ利用先はPrivileged Foreignでの運用切替確認

法務/渉外

  • 商務省への米国コンテンツ申請スキーム設計(証憑・監査プロセス)。誤申告は同型全量に全額25%ペナルティ
  • 官報・通達(部品方式、相殺運用細則)のモニタリング体制

メーカー別インパクト(要点サマリ)

評価軸
①北米の最終組立拠点、②メキシコ依存度、③短期コスト影響、④中期の戦略余地(米国化・相殺活用)

Daimler Truck NA(Freightliner/Western Star)
米国+メキシコ(サルティージョ/サンティアゴ)に主力工場。CascadiaやM2のメキシコ生産比率が高く、メキシコ依存度は高めです。USMCA適合でも非米国分に25%で実効税率が上昇します。米国内組立シフト、米国部材比の引上げ、3.75%相殺の活用で対応可能です。

PACCAR(Kenworth/Peterbilt)
米国主力+メキシコ生産も一定の割合を占めます。メキシコ依存度は中~高です。四半期あたり7,500万ドル規模の関税コスト増との報道があります。USMCA部材化・米国化を進めつつ、米国内組立分には相殺3.75%で影響緩和が可能です。

Navistar(International/親会社Traton)
メキシコ・エスコベードが大規模輸出拠点、米テキサス(サンアントニオ)等も拡張中です。メキシコ依存度は高めで、メキシコ発の非米国分に25%がヒットします。米国内拠点の活用拡大、米国部材化で実効税率低減余地があります。

Volvo Trucks North America / Mack
米国生産中心(VA/PA)でメキシコ依存度は低いです。完成車輸入は限定的で直接打撃は小さく、非USMCA部品の25%リスクは残りますが、米国内組立×相殺3.75%でむしろ相対優位となります。

Stellantis(Ram 3500などHDピックアップ)
メキシコ・サルティージョでHDピックアップ(クラス3相当中心)を生産します。メキシコ依存度は高く、USMCA適合でも非米国分に25%、価格転嫁圧力が生じます。米国コンテンツの引上げ、サプライヤー米国化で実効税率を圧縮できます。

Ford(Super Duty、F-650/750)
米国(KY/OH)組立中心でメキシコ依存度は低いです。完成車の直接影響は限定的で、相殺3.75%活用でネット有利となります。カナダ増産計画がある場合はUSMCA扱い+非米国分課税ルールの精査が必要です。

GM(Silverado HD/ Sierra HD)
米国(フリント)+カナダ(オシャワ)で生産します。メキシコ依存度は中程度で、カナダ組立はUSMCA前提でも非米国分に25%の可能性があります。米国内組立比率向上と相殺で影響緩和が可能です。

Isuzu(北米:N/Fシリーズ)
米国組立(ミシガン→SCへ拡大)が進行中です。メキシコ依存度は低く、完成車輸入依存が小さいため直接影響は限定的です。ただし日本発ボディ/キャブ等の非USMCA部品が25%対象となるリスクがあります。米国内一貫体制の加速でネット優位化が可能です。

Hino(トヨタ系)
米国(WV)で中型組立を行います。メキシコ依存度は低く、完成車輸入は限定的で相殺3.75%のポジティブ効果があります。エンジンは外部調達中心に移行済みで、非USMCA部品の管理が論点となります。

Tesla Semi / その他米系ZEV
米国内生産のためメキシコ依存度はありません。直接影響は軽微で、部材の原産地管理・232素材関税の最適化が主眼となります。

参考情報
メキシコは米向けMHDVの最大供給国で、政策発表後の報道もメキシコ依存OEMのコスト上振れを強調しています。


直近90日で経営が押さえるべき「3つの分岐点」

1. 米国コンテンツの定義運用と承認速度
「USMCA適合+非米国分のみ課税」の実効値が各社で大きく異なる可能性があります。商務省の運用方針とプロセス速度が重要です。

2. 部品課税方式の連邦官報告示
発効までUSMCA部品は一時免除ですが、方式確定で非米国分への25%が動き出します。告示内容とタイミングが業務に直結します。

3. 法的争点(232条/IEEPA周辺)の進展
全面無効化までは距離がありますが、周辺セクターとの整合や適用除外の余地に注目する必要があります。


参考:発表と報道(一次情報と主要メディア)

一次情報

  • 大統領布告:25%/10%の新関税、USMCA下の非米国分課税、相殺3.75%、FTZ/PFS、CKD対象、発効時刻等の詳細
  • ファクトシート:クラス3~8の範囲、重ね掛け回避、部品猶予等を整理

主要報道

  • メキシコ向け影響、相殺延長、北米サプライチェーンの見立て
  • メーカー別影響分析

アメリカの自動車部品に対する軽減税率の延長

何が延長された?

米国で最終組立を行う自動車メーカー/エンジンメーカー向けの「輸入調整オフセット(関税相殺)」が2030年10月31日まで延長・拡充。相殺額はMSRP(希望小売価格)の3.75%を継続(本来は2026年5月以降2.5%に縮小し2027年4月に終了予定だったのを3.75%で据え置き・延長)。同時に中・大型トラック(MHDV)、同部品、エンジンにも相殺プログラムが新設・拡張されます(2025年11月1日発効)。

同時に新設された関税

中・大型トラックとその部品に25%、バスに10%の追加関税(Section 232ベース)。発効は2025年11月1日午前0時1分(米国東部夏時間)。

日本企業に特に効く周辺情報(2025年9月以降)

日米フレームワーク合意により、日本産品には**「ベース15%」の新料金体系**が適用されます。MFN税率が15%未満の場合は合計で15%になるよう上乗せされ、MFN税率が15%以上の場合は追加関税ゼロとなります。自動車・部品も原則として最大15%の枠内で処理され、Section 232自動車関税は免除されます。実装は9月4日の大統領令で行われ、連邦官報告示は9月16日、遡及適用は8月7日から。議会調査局(CRS)は「15%はMFNと重ね掛けせず、合計15%を上限とする(含み込み)」と解説しています。

仕組み(実務向け・超要点)

誰が使える?
米国内で最終組立を行う完成車メーカー/エンジンメーカー。メーカーが申請し、指定したImporter of Recordだけが相殺を使えます。

相殺の中身
部品に課される232関税(25%)のうち、「車両価額の15%分の部品に25%=3.75%」を理論値として、MSRP×3.75%を上限に関税支払時に相殺。余剰は他の関税に充当不可。例:MSRP $40,000 → 3.75%=$1,500を上限に相殺。

USMCAとの関係(部品)
USMCA原産の「個別部品」は、非米国価額分にのみ25%を課税する仕組みが整備されるまで232部品関税の適用を猶予(ただしCKD/ノックダウンキットは猶予対象外で、引き続き関税対象)。

対象拡大(10/17大統領布告)
自動車だけでなくMHDV(中・大型トラック)/同部品/エンジンにも相殺プログラムを新設・横展開し、2030年10月31日までの長期運用に。「関税スタッキング(複数関税の重畳)」に関する取扱いも明文化されました。

申請実務
商務省(ITA)告示(6/13)に基づき、メーカーが年次でMSRP集計→相殺枠付与→CBPがエントリーで相殺という運用。指定IORの紐づけが必須です。

日本の自動車部品サプライヤーへの影響と対応

価格交渉
米国内組立メーカー向け(メーカーまたは指定IORが自ら輸入)の取引では、メーカー側が相殺で関税コストを圧縮できる前提となります。納入条件(DAP/DDP/FOB)と誰がIORかで価格・原価表を分けて提案することが重要です。

CKD/ノックダウン回避
CKDキットおよび同等の部品集合体(CBP判定)は相殺対象外です。キット化の度合い・HS設計を再点検する必要があります。

USMCAの活用把握(間接影響)
米・加・墨サプライチェーンを跨ぐ部品はUSMCA原産化で232部品関税の扱いが有利(非米国価額への限定課税/適用プロセス整備待ち)。原産判定書類の監査性を高めておくことが推奨されます。

日米フレームワークの15%枠
完成車・部品の最終的な適用税率は”15%枠”と232措置の組み合わせで決まります。232自動車関税が免除される日本産品については、実質的に15%が上限税率となります。個々のHSと供給ルートで試算シートを作成するのが安全です。

中国原産を含む場合の併存リスク
対中301条関税の一部除外措置は2025年11月29日まで延長されています。該当部品があれば**除外HTS(9903.88.69/9903.88.70)**での申告を検討してください。

よくある誤解・注意

全ての輸入者が使えるわけではない
これは**「全ての輸入者」に対する軽減税率ではなく**、米国内組立メーカー(とその指定IOR)向けの相殺枠です。単独で部品を輸入する代理店等には自動的には使えません。

232対象品である事実は残る
相殺しても「232の対象品」である事実は残ります(スタッキング・対象性の規定)。関税分類・記録保存・監査対応は従来以上に厳格に行う必要があります。

主要原文ソース(一次情報)

  • 大統領布告(10/17):MHDV/部品/バスの関税新設+相殺延長・拡充(2030年10月31日まで、3.75%据え置き)
  • 連邦官報(6/13):自動車部品・相殺プログラムの申請手続き
  • 連邦官報(4/3):自動車・部品に対する232関税の基本枠組み(USMCA部品の暫定的取扱い、CKD除外等)
  • 日米フレームワーク(9/4大統領命令・9/16官報):日本産品のベース15%枠組みの実装
  • 参考報道(背景理解):相殺延長とトラック関税の発表

直ちにやるべき実務チェック(スプレッドシート推奨)

  1. 米国側のIORが誰か/メーカーの相殺申請の有無を取引先ごとに確認
  2. HS別に**「15%枠」「232(相殺可否)」「301(中国原産なら除外の有無)」**を列で管理
  3. CKD該当性・USMCA原産化の可否を製品群ごとに評価
  4. 新関税(MHDV/部品25%、バス10%)の該否判定と11/1以降の見積り改定

「中国、米関税に報復示唆 100%の追加関税なら相応の措置」というニュースの内容を深掘りして整理しました

以下は2025年10月12日時点の整理です。あくまで情報の整理と勝手な推定です。

エグゼクティブ・サマリー

何が起きたか:トランプ米大統領が11月1日から中国からの輸入に100%の追加関税を課すと発表。あわせて「重要ソフトウェア」の対中輸出規制も示唆・準備中。発表はTruth Social投稿・記者団への発言ベースで、現時点で連邦官報(Federal Register)やUSTRの正式告示は未確認。したがって方針発表>実装手続きの途上という段階。

中国の反応:10月11日、商務省が「高関税で脅すのは正しい付き合い方ではない」「米国が独断専行を続けるなら**断固たる措置(resolute measures)**をとる」と表明。「関税戦争は望まないが恐れもしない(We do not want to fight, but we are not afraid to fight)」と一貫した立場を強調。背景として10月9日発表のレアアース輸出管理の強化を「正当かつ防衛的」と主張。直ちに追加関税で報復するとは言及せず、交渉余地を残す発信。

ビジネス影響の核

  • 100%は**既存の関税(基準10%+フェンタニル20%=30%)に”上乗せ”**の追加税と理解され、合計130%となる見込み
  • 原産地が中国かどうかが決定的(迂回組立や単純作業では原産地は変わらない)
  • 越境ECの”抜け道”だったデミニミス($800免税)も中国発は2025年5月2日で既に停止。小口でも課税
  • 中国は関税以外(輸出規制、アンチトラスト、不可靠実体リスト等)での非関税型の報復選択肢を多く持つ

タイムライン(直近)

10/9(木):中国が商務部公告2025年第61号でレアアース輸出規制を大幅強化。ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ユーロピウム、イッテルビウムの5元素を追加し、計12元素を規制対象に。12月1日発効。

10/10(金):米大統領が中国全輸入への100%追加関税と重要ソフトウェアの輸出規制を示唆。発効は**11/1(またはそれ以前)**と発言。

10/11(日):中国商務省が「高関税で脅すのは正しい付き合い方ではない」「米国が独断専行を続けるなら断固たる措置を講じる」と表明。レアアース輸出規制は正当と反論。

:連邦官報やUSTRの正式通知に、当該100%の実装告示は未掲載(10/12時点)。制度発動には官報告示・HTSUS追補(Chapter 99)等が通常必要。

100%「追加関税」の実務解釈(通関の観点)

積み上げ型:現行の米中関税は基準10%+フェンタニル関税20%=30%(2025年5月合意、90日延長で11月期限)。100%追加が実装されれば、基準10%+フェンタニル20%+100%追加=合計130%

過去の301条税(25%等)の除外品目については、8月29日付でUSTRが178品目の除外を11月29日まで延長。しかし100%追加との関係は官報告示待ち

いずれもMerchandise Processing Fee(MPF 0.3464%)やHarbor Maintenance Fee(HMF 0.125%、海上のみ)は貨物価額に対して別途加算(関税額に対する料率ではない)。

計算の目安($100,000の貨物価額の仮例)

例A(基準10%、フェンタニル20%、100%追加)

  • 関税=$10,000(基準)+$20,000(フェンタニル)+$100,000(追加)=$130,000
  • MPF=0.3464%×$100,000=$346.40(最小・最大の閾内)
  • HMF(海上)=0.125%×$100,000=$125.00
  • 合計負担=$130,471.40

例B(301条除外品で基準10%、100%追加のみ)

  • 関税=$10,000+$100,000=$110,000
  • MPF=$346.40、HMF=$125.00
  • 合計負担=$110,471.40

※MPFの最低$33.58/最高$651.50(2025年10月1日改定)。

価格転嫁

2018–19年の米中関税では、輸入者・消費者へのパススルーがほぼ完全という実証が蓄積。関税は最終価格に反映されやすい。今回100%が実装されれば、相当程度の値上げは避けがたい。

「断固たる措置」—中国側の選択肢(非関税中心)

中国商務省は10月11日、「米国が誤った道を進むなら、中国は自国の正当な権利と利益を守るため**断固たる措置(resolute measures)**を講じる」と警告。具体的選択肢:

輸出規制の拡張:レアアース12元素(ホルミウム、エルビウム、ツリウム、ユーロピウム、イッテルビウム等)の輸出許可審査を厳格化。軍需・半導体向けの審査厳格化。民生用途は許可の可能性とするも、実務上の遅延・不透明化でサプライチェーンを締め上げる余地。12月1日発効。

行政的圧力:独禁調査やサイバー審査、データ越境規制の厳格化。直近ではQualcommへの審査着手報道も。10月14日から米船舶への港湾使用料賦課開始。

対外制裁法/不可靠実体リスト:取引・投資禁止、資産凍結、入国拒否など広範。9月マドリード会談以降、米国が複数の中国企業をエンティティリストおよびSDNリストに追加したことを非難し、中国側も同様の指定拡大を示唆。

港湾使用料等の相殺措置:米側措置に対し中国港での米船舶への料金賦課など、物流での摩擦を拡大。

どの品目が特に当たるか(米国の対中輸入の構成)

米国の対中輸入(2024年$4,387億)は電気機器(HS85)・機械(HS84)・家具(HS94)・玩具(HS95)・アパレル(61/62)が柱。100%追加は消費財セクターの最終価格に広く影響。

実装プロセスの見極めポイント(法的経路)

実装にはUSTR告示・連邦官報でのHTSUS Chapter 99追補・適用日・対象の正式特定が通常必要。10/12時点で未掲示。

手段は301の修正もしくはIEEPA等に基づく新たな宣言の可能性。過去の裁判でIEEPA権限の限界が指摘された例もあり、法廷争いや議会監督のリスクを内包。

BIS(商務省)のソフトウェア輸出規制の具体像(規制対象・除外・暫定一般許可)を要注視。最近もAI・半導体で相次ぐ規制更新あり。

既存制度との関係(重要)

301除外の延長:USTRは2025年8月29日付で178品目の301条除外を11月29日まで延長。仮に100%が発効しても、除外品の扱いがどうなるか(別枠の追加税がかかるのか)官報告示を要確認。

デミニミス($800):中国・香港発は2025年5月2日で既に免税終了。小口でも関税・通関が必要(EC事業者はDTC価格式の全面見直し必須)。

あなたの会社が直ちにやるべきこと

原産地棚卸し:全SKUの**最終実質的変更(substantial transformation)**の発生地を再確認。単純組立やリパックでは原産地は変わらない。

関税数理の即時計算:SKU別に基準10%+フェンタニル20%+100%での新想定税負担を試算し、粗利・販売価格への影響と在庫評価を更新。

契約条項のトリガー確認:Change in Law/タリフ・サーチャージ条項の発動条件、価格改定の通知義務、フォースマジュールの射程。

物流計画:11/1前納品への前倒しの可否(ただしルール確定前の駆け込みは通関事故リスクあり)。エントリー日・輸入申告時刻が発効判定の基準になるのが通例。

代替調達・加工の設計:ベトナム等での実質的加工による原産地変更は可だが実質的変更基準を満たす工程設計・コスト検証・**CBP事前裁定(Binding Ruling)**の活用を。

ドローバック戦略:輸出向け分は301等を含め最大全額の99%還付が可能(条件あり)。輸出・破棄・製造代替の各類型で5年内の請求設計を。

社内・販売先への説明キット:上記の価格影響、納期、代替策を1枚に要約。

中国側の非関税リスク:不可靠実体リスト/対外制裁法の指定拡大や当局検査の強化に備え、現地在庫・人員・データのBCPを更新。

サプライチェーン別の「当たりどころ」

**電機・ICT(HS85)/機械(HS84)/家具(HS94)/玩具(HS95)/アパレル(61/62)**は米国の対中輸入の中核。価格転嫁→需要鈍化の一次波及に加え、レアアース制約→部材ひっ迫の二次波及が重なる可能性。

シナリオと備え(確率は私見)

停戦維持(30%):官報告示が出ず交渉入り。市場は一時安堵。

段階的導入(45%):対象・時期に例外を付しつつ一部適用。輸出規制は並走。価格改定と代替調達の両睨みが必要。

全面発動(25%)+中国の非関税報復:輸出許可の絞り込みや企業への個別制裁が加速。在庫・受注の調整を即実行。

(注:現時点で中国は関税で即時報復を明言しておらず、非関税の比重が高い公算。)

実務メモ(細目)

MPF/HMF:MPFは0.3464%(10/1改定で最小$33.58/最高$651.50)。HMFは0.125%(海上)。関税額には掛からず、貨物価額に対し課金。

価格転嫁の経験則:2018–19の研究では輸入者負担が主。部材→最終製品まで広範なコスト上昇。

越境EC:中国発デミニミス廃止(2025年5月2日)でShein/Temu等の小口も通関・課税。小口多頻度のオペレーションは関税・通関コストを前提に再設計を。

直近2週間のプラン(72時間/2週間)

72時間

  • SKU別関税インパクト表(基準10%/フェンタニル20%/想定100%/MPF/HMF)を作成
  • 価格改定シナリオ(内外税、販社マージン、販促原資)
  • 在庫と発注の前倒し/見合わせの判断

~2週間

  • 原産地変更案のPoC(工程票・BOM・価値加算法)/Binding Ruling準備
  • ドローバックの要件確認(輸出・製造代替・破棄)とデータ整備
  • 契約見直し(タリフ・サーチャージ条項、Change in Law、Incoterms再定義)

今後の「確認すべき公式ソース」

USTRのプレス/官報告示:100%追加の対象・発効時刻・Chapter 99番号が出るかを最優先で確認。

BISの輸出規制:「重要ソフトウェア」の定義、暫定一般許可、猶予期間。

中国の商務省告知・輸出許可運用:レアアースの審査基準・許可遅延の実勢(12月1日発効に向けて)。

「中国のレアアース輸出規制に対するアメリカの11月1日からの中国に対する追加関税100%」詳細アップデートと日本ビジネスマンが知るべき点

60秒サマリー

米国は11月1日から対中輸入に「追加関税100%」を課すと発表。既存関税に上乗せで適用され、総負担は多くの品目で130%前後に達する見通し。加えて「重要ソフトウェア」の対中輸出規制も導入方針。発表は大統領のTruth Social投稿によるもので、詳細は未公表。状況次第で発動時期を前倒しまたは撤回する可能性に言及。

背景は中国のレアアース輸出規制の強化。中国はホルミウム、エルビウム、ツリウム、ユウロピウム、イッテルビウムの5元素を新たに規制対象に追加し、計12元素を規制下に置いた。精製装置・資材の輸出も規制対象とし、域外適用的な運用方針を打ち出した(中国産レアアースを0.1%以上含む磁石は審査対象)。主な発効は11月8日、一部は12月1日。

マーケットは株安・円高で反応。S&P500は2.7%安、ナスダックは3.6%安、円は対ドルで強含み。現行の米中「関税休戦」は11月10日に期限を迎える。

何が「決まった」か速報ベース

正確さに関しては、努力していますが、最終的には個々人でご確認下さい。

米側の措置

対中追加関税100%: 11月1日(またはそれ以前)に発動と大統領がTruth Socialで明言。既存の関税に「上乗せ」する形で適用。

重要ソフトウェアの対中輸出規制: 同じく11月1日から導入方針。ただし「重要ソフトウェア」の定義・該当ECCN・許可プロセス等の詳細は未公表。

背景: 今回の措置は中国のレアアース規制拡大への対抗。現行の米中関税休戦は11月10日に期限を迎える見通しで、11月1日発動は期限の9日前。

撤回条件への言及: 中国がレアアース規制を撤回すれば、追加関税の取り下げ余地があるとの発言も(ただし確約ではない)。

実務メモ: 現時点ではSNSでの政治判断の発表段階。HSコード範囲、免除、経過措置(積送中除外)などの実装細則は未発表。過去の追加関税(例:2025年2月の措置)の際は「船積み済み・積送中」への短期的な経過措置が官報で規定された前例あり(今回も同様とは限らないが注視が必要)。

中国側:レアアース規制の最新ポイント

規制拡大の中身: 5元素(Ho/Er/Tm/Eu/Yb)を追加し、計12元素を規制対象とした。精製技術・装置など多数を規制リストに追加。軍需用途は不許可、先端半導体関連は厳格審査。

域外適用の示唆: 中国資材・設備を使う海外生産や、中国レアアースを0.1%以上含む磁石製品についても中国の輸出許可が必要になり得るとの運用を明記。執行の実効性は未解明だが、サプライ停止リスクが抑止力として機能。

スケジュール: 規制拡大の主要部分は11月8日発効、一部規制は12月1日発効。

マーケットの初期反応(10月10-11日)

米株急落: S&P500は2.7%安(182ポイント減)、ナスダックは3.6%安(820ポイント減)、ダウは1.9%安(878ポイント減)。4月以来の大幅下落。円高進行も観測。

まだ不明な点(実務で「宿題」となる箇所)

適用範囲(HS): 一律100%を全品目に上乗せするのか、除外・猶予の設計はあるのか。官報(Federal Register)またはCBP通知待ち。

「重要ソフトウェア」の線引き: 対象ECCN、クラウド/SaaSやリモートアップデート等の「無形輸出」の扱い。BISからの追加ルールが出るまで社内フローは暫定対応が必要。

移行措置(積送中除外): 前例はあるが、今回の有無・期間は未定。

米中の追加対抗措置: 米側の輸出規制拡張、中国側の対抗課税・許可運用厳格化などの次手。

日本ビジネスが「今すぐ」押さえるべき要点

価格・コストと供給(11月1日リスク)

中国生産→米国向けの最終製品・部材は実質的に100%コスト上乗せが前提に(既存関税と合算で総負担は130%前後の水準に達する見立て)。在庫・出荷計画の前倒しや価格条項の見直しが急務。

原産地・迂回の誤解を回避

第三国経由の転送では原産地(CN)は変わらない。実質的な原産地変更(substantial transformation)や工程移管が必要。通関当局の取締り強化が予想され、形式的な迂回は高リスク。

レアアース・磁石のボトルネック

EV、風力、産業機械、HDD、ロボットなど磁石・レアアース多用業種は二重の供給制約(中国側規制+米側コスト増)に直面。BOM再点検、代替材・代替サプライヤの即時探索を。中国は処理で約90%、磁石で90%超のシェアを持つ。

米拠点からの「無形輸出」管理

米国子会社・米在勤者が関与するソフト配信、リモート保守、AIモデル提供等は輸出に当たり得る。「重要ソフトウェア」定義確定まで、対中向けの新規提供・更新に暫定ゲートを設け、案件審査を義務化。

契約・物流・金融の実務

価格転嫁条項(サーチャージ/関税条項)の発動条件を確認。インコタームズ(DAP/DDP等)に応じた関税負担者を明確化。船積みカット・通関所要の前倒しを運送・通関業者と共有。為替・金利・在庫のヘッジ方針を更新。積送中例外の有無に注意。

業界別・影響の当たり所(早見)

自動車(EV/HEV): 駆動用NdFeB磁石、モータ、パワエレ部材のレアアース依存+米向け中国生産部材のコスト急騰。

産業機械・ロボット: サーボモータ用磁石・精密センサ類の供給不確実性。

エレクトロニクス: 磁石(スピーカー/HDD)、レアアース触媒、中国EMS由来の部材などで影響波及。

再エネ(風力): 永久磁石式発電機で依存度が高く、調達・価格圧力が強まりやすい。

直近2週間の「ウォッチポイント」

米官報(Federal Register): 対象品目(HTS)、移行措置(積送中除外の有無・期間)、免除申請(除外枠)の有無。

米商務省BISの追加告示: 「重要ソフトウェア」定義・ライセンス運用の詳細。

中国商務部(MOFCOM)の運用通知: 許可審査の実際の厳格度、防衛・先端半導体関連の扱い。

米中首脳外交イベントの有無と追加対抗措置: 米側の輸出規制拡張、中国側の対抗課税・許可厳格化。

すぐに着手したい実務アクション(チェックリスト)

48時間以内

  • 米向けCN原産の出荷案件を全件洗い出し(最終製品・部材・補修品)。船積み前倒しの可否判断。
  • BOM単位でのCN原産比率と関税転嫁条項の有無を確認、価格・納期の顧客コミュニケーション草案を用意。
  • 米拠点からの対中ソフト配信の一時ゲート(新規配信・更新・リモート保守の承認制)を導入。

1週間以内

  • サプライヤ・代替源のRFI/RFQ開始(磁石・触媒・精製工程の代替可否)。
  • 通関ブローカー・フォワーダーと移行措置の有無を前提に申告ライン確認。
  • 契約・約款(価格調整・不可抗力・通関責任)見直し案のドラフト化。

今月内

  • 工程移管(原産地変更)の実行可能性評価と投資稟議の素案。
  • 在庫・為替・金利のヘッジ更新とシナリオ別PL感応度の提示。

主な修正点

  1. SNSプラットフォーム名の明記: 「SNS投稿」→「Truth Social投稿」に修正
  2. ナスダック下落率の修正: 「約3.5%安」→「3.6%安」に修正
  3. 中国レアアース規制の対象元素数: 「5元素を新たに規制対象に追加」に加え「計12元素」を明記
  4. 磁石の審査基準: 「微量以上」→「0.1%以上」に具体化
  5. 中国のシェア: 「9割超」→「処理で約90%、磁石で90%超」と詳細化
  6. 文章構成: 読みやすさ向上のため、セクション構成を整理し、重複を削減

米国相互関税(Reciprocal Tariff:2025年10月11日現在)

2025年10月11日現在

凡例

  • 関税率:相互関税としての追加率(MFN税率に上乗せ)
  • 出所:Annex I = 2025年7月31日EO Annex I、個別EO = 国別大統領令
  • 備考:特則(別枠関税・合意・上書き等)

主要国・地域(アルファベット順)

国名関税率出所備考
Afghanistan(アフガニスタン)15%Annex I
Algeria(アルジェリア)30%Annex I
Angola(アンゴラ)15%Annex I
Bangladesh(バングラデシュ)20%Annex I
Bolivia(ボリビア)15%Annex I
Bosnia & Herzegovina(ボスニア・ヘルツェゴビナ)30%Annex I
Botswana(ボツワナ)15%Annex I
Brazil(ブラジル)50%Annex I + 個別EO重要:10%(相互関税)+ 40%(2025年7月30日EO)= 合計50%。8月6日発効。694品目が除外(鉱物・エネルギー・基礎金属・肥料・パルプ等、2024年ブラジル輸出の約44%相当)。スタッキング適用(Section 232除く)。10月5日までに入港した積込前貨物は10%のみ適用。
Brunei(ブルネイ)25%Annex I
Cambodia(カンボジア)19%Annex I
Cameroon(カメルーン)15%Annex I
Canada(カナダ)*35%北部国境EO別枠:2025年7月31日の北部国境EOで25%→**35%**へ引上げ(8月1日発効)。USMCA原産品は0%、エネルギー・カリ(potash)は10%。相互関税10%の一般規定より別枠が優先(重複課税回避の調整規定あり)。
Chad(チャド)15%Annex I
China(中国)*10%(暫定)→130%予定中国特則EO重要変更:2025年5月12日の合意EOで国別上乗せを停止し10%に一本化。8月11日のEOで11月10日まで延長確定しかし10月10日にトランプ大統領が追加100%関税を発表(現行30%+100%=合計130%)、11月1日または早期発効予定。Section 301関税・フェンタニル20%関税等は別途スタッキング。
Costa Rica(コスタリカ)15%Annex I
Côte d’Ivoire(コートジボワール)15%Annex I
DR Congo(コンゴ民主共和国)15%Annex I
Ecuador(エクアドル)15%Annex I
Equatorial Guinea(赤道ギニア)15%Annex I
EU(欧州連合)品目別:MFN<15%は差額上乗せで15%に、MFN≧15%は追加0%Annex IEU枠組み合意の実装通知(Federal Register 2025年9月25日)あり。品目のColumn 1 Duty Rateが15%未満なら差額を上乗せして合計15%、15%以上なら相互関税の追加は0%。
Falkland Islands(フォークランド諸島)10%Annex I
Fiji(フィジー)15%Annex I
Ghana(ガーナ)15%Annex I
Guyana(ガイアナ)15%Annex I
Iceland(アイスランド)15%Annex I
India(インド)*50%Annex I + 個別EO重大変更:Annex Iでは**25%だったが、2025年8月6日のEO(「Addressing Threats to the US by the Government of the Russian Federation」)により、ロシア産石油の間接輸入を理由に追加25%**を課し、**8月27日から合計50%**に引上げ。Section 232関税(鉄鋼・アルミ・銅等)を除き、既存関税とスタッキング。インド政府は「不当・不合理」と反発。
Indonesia(インドネシア)*19%Annex I
Iraq(イラク)35%Annex I
Israel(イスラエル)15%Annex I
Japan(日本)*15%日米合意EO2025年9月4日の実施EO(EO 14345)で15%に確定(自動車も15%)。半導体・医薬品はMFN(最恵国待遇)確保(将来の第三国優遇も自動追随)。過徴収分のリファンド(返還)も規定。
Jordan(ヨルダン)15%Annex I
Kazakhstan(カザフスタン)25%Annex I
Laos(ラオス)40%Annex I
Lesotho(レソト)15%Annex I
Libya(リビア)30%Annex I
Liechtenstein(リヒテンシュタイン)15%Annex I
Madagascar(マダガスカル)15%Annex I
Malawi(マラウイ)15%Annex I
Malaysia(マレーシア)19%Annex I
Mauritius(モーリシャス)15%Annex I
Mexico(メキシコ)*25%南部国境EO別枠:南部国境EOで非USMCA原産品に25%USMCA原産品は0%、一部potash等10%)。7月31日に相互関税30%案の90日猶予が公表されたが、10月11日時点では別枠25%が継続。
Moldova(モルドバ)25%Annex I
Mozambique(モザンビーク)15%Annex I
Myanmar(ミャンマー)40%Annex I
Namibia(ナミビア)15%Annex I
Nauru(ナウル)15%Annex I
New Zealand(ニュージーランド)15%Annex I
Nicaragua(ニカラグア)18%Annex I
Nigeria(ナイジェリア)15%Annex I
North Macedonia(北マケドニア)15%Annex I
Norway(ノルウェー)15%Annex I
Pakistan(パキスタン)19%Annex I
Papua New Guinea(パプアニューギニア)15%Annex I
Philippines(フィリピン)19%Annex I
Serbia(セルビア)35%Annex I
South Africa(南アフリカ)30%Annex I
South Korea(韓国)*15%Annex I7月31日発表で15%確定(8月7日発効)。ただし自動車の15%引下げは未実装(日本は9月16日実装済み)。書面合意は未完了、投資パッケージ(3,500億ドル)の条件交渉が継続中。
Sri Lanka(スリランカ)20%Annex I
Switzerland(スイス)39%Annex I
Syria(シリア)41%Annex I
Taiwan(台湾)20%Annex I
Thailand(タイ)19%Annex I
Trinidad & Tobago(トリニダード・トバゴ)15%Annex I
Tunisia(チュニジア)25%Annex I
Turkey(トルコ)15%Annex I
Uganda(ウガンダ)15%Annex I
United Kingdom(英国)*10%Annex IG7サミット(6月30日)で貿易協定署名・実装。Annex Iに**明示的に10%**として掲載。Section 232(鉄鋼・アルミ)は25%維持(EPD運用に応じ調整可能性あり)。
Vanuatu(バヌアツ)15%Annex I
Venezuela(ベネズエラ)15%Annex I
Vietnam(ベトナム)20%Annex I
Zambia(ザンビア)15%Annex I
Zimbabwe(ジンバブエ)15%Annex I
その他Annex I非掲載国10%一般規定Annex Iに掲載されていない国・地域は、EO 14257の一般規定により**一律10%**の相互関税が適用(8月7日発効)。

重要注記

1. EU(欧州連合)の品目別課税方式

Annex I本文の規定により、品目の現行MFN税率(Column 1-General)が15%未満なら差額を上乗せして合計15%15%以上なら相互関税の追加は0%。2025年9月25日のFederal Register通知で実施要領が確定。

2. 日本の最恵国待遇(MFN)条項

7月23日の枠組み合意→9月4日のEO(EO 14345)で包括的に**15%へ。半導体・医薬品は「常に最も低い関税率を自動適用」**の条項を確保し、将来の第三国優遇があっても自動的に最安税率へ引下げ。過徴収分のリファンド(返還)も規定。

3. 中国の急速な情勢変化

  • 11月10日まで:10%で延長確定(8月11日EO)
  • 10月10日発表:トランプ大統領が追加100%関税を発表(現行30%+100%=合計130%)。11月1日または早期発効予定。中国の稀土類輸出規制強化への報復措置。
  • 注意:Section 301関税(7.5%または25%)、フェンタニル20%関税、MFN税率は別途スタッキング可能。

4. インドへの懲罰的関税

2025年8月6日のEO「Addressing Threats to the US by the Government of the Russian Federation」により、**ロシア産石油の間接輸入を理由に追加25%**を課し、8月27日から合計50%(25%+25%)に引上げ。インド政府は「不当・不合理(unjustified and unreasonable)」と反発し、「自国の国益を守るため必要な措置を講じる」と表明。今後、他のロシア産石油輸入国にも同様の措置が検討される可能性。

5. ブラジルの高率関税

Annex Iの10%に加え、2025年7月30日のEO「Addressing Threats to the US by the Government of Brazil」で**+40%**を課し、合計50%(8月6日発効)。米国デジタルプラットフォーム企業へのコンテンツ削除要求・ユーザーデータ提供要請を「検閲」と見做した措置。694品目が除外(鉱物・エネルギー・基礎金属・肥料・パルプ・紙・化学品・民間航空機用品等、2024年ブラジル輸出の約44%相当)。主要農産物(肉類・コーヒー・果物・砂糖等)は対象。

6. カナダ・メキシコの別枠制度

カナダ:北部国境EOで25%→35%(8月1日発効)。USMCA原産品は0%、エネルギー・カリは10%。

メキシコ:南部国境EOで非USMCA原産品に25%USMCA原産品は0%。7月31日に相互関税30%案の90日猶予が公表されたが、現時点では別枠25%が継続。

7. 韓国の実装遅延

IEEPAの15%は8月7日発効済みだが、自動車・部品の15%引下げは未実装(日本は9月16日実装済み)。書面合意は未完了、3,500億ドル投資パッケージの資金形態(現金vs融資・保証)を巡る協議が膠着。韓国自動車メーカーは25%関税により、8月の対米輸出が前年比15.2%減少。

8. 実務上の適用ルール

  • 発効日:8月7日午前0時1分(EDT)以降の消費引取り・保税引取り貨物に適用。
  • 積込前貨物の経過措置:8月7日前に船積み完了し、10月5日までに米国第一港に到着した海上貨物は、旧税率(一般10%)を適用。
  • トランスシップメント(迂回輸出):CBPが迂回輸出と判断した貨物には40%の懲罰的関税を課し、原産国関税との重複適用、罰金・ペナルティ(19 USC 1592等)も併科。CBPは6ヶ月ごとに迂回輸出に利用された国・施設リストを公表。
  • スタッキング(積上げ)原則:相互関税は原則として他のIEEPA関税・AD/CVD・MFN税率と積上げ可能。ただしSection 232関税(鉄鋼・アルミ・銅・自動車等)とは積上げ不可(調整規定あり)。

9. CBP実務ガイダンス

CSMS(Cargo Systems Messaging Service)「Reciprocal Tariff Updates Effective August 7, 2025」で、HTS 9903見出し新設、国別申告要領、原産地証明、スタッキング計算等の実務を提示。


10月9日→10月10日の差異

中国の重大変更:10月10日、トランプ大統領が追加100%関税を発表(現行30%+100%=合計130%)。11月1日または早期発効予定。これにより、中国の注記を「10%(11月10日まで延長)」から「10%(暫定)→130%予定」に更新する必要があります。

その他の国・地域では、10月9日〜10月10日にかけて相互関税率を変更する新たな大統領令・官報告示・CBPガイダンスは確認されませんでした。木材のSection 232プロクレメーション(9月29日公表、10月14日発効)は「相互関税と重複しない(除外)」規定を含みますが、相互関税率そのものは不変です。


主要一次情報出所

  1. 相互関税Annex I(最新版):2025年7月31日EO「Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates」(Annex I)
  2. EU実装告示:Federal Register「Implementing Certain Tariff-Related Elements of the U.S.–EU Framework…」(2025年9月25日)
  3. 日本:2025年9月4日EO「Implementing The United States–Japan Agreement」(EO 14345)
  4. 中国:2025年5月12日EO「Modifying Reciprocal Tariff Rates to Reflect Discussions with the PRC」および8月11日延長EO、10月10日の追加100%関税発表
  5. インド:2025年8月6日EO「Addressing Threats to the US by the Government of the Russian Federation」
  6. ブラジル:2025年7月30日EO「Addressing Threats to the US by the Government of Brazil」
  7. カナダ:2025年7月31日EO「Amendment to Duties to Address the Flow of Illicit Drugs Across Our Northern Border」
  8. CBP実務:CSMS「Reciprocal Tariff Updates Effective August 7, 2025」

韓米総合関税協議の現在地と日米合意との対比分析(2025年10月11日現在)

日本企業の競争戦略への示唆

エグゼクティブサマリー

韓米は7月31日に15%関税で枠組み合意したものの、実装は深刻に遅延しており、日本との競争格差が拡大しています。IEEPA一般関税の15%は8月7日に発効済みですが、自動車の15%引下げは未実装のまま25%が継続し、韓国自動車メーカーの対米輸出は8月単月で前年比15.2%減少しました。一方、日本は9月5日の大統領令署名により9月16日から自動車15%を適用開始し、競争優位を確立しています。半導体・医薬品では、日本がMFN(最恵国待遇)を正式確保したのに対し、韓国は「他国より不利にしない」との口頭表明に留まり、法的確約が未了です。10月31日-11月1日の慶州APEC首脳会議前に安全保障パッケージでの打開を模索していますが、3,500億ドル投資の資金形態(現金vs融資・保証)を巡る対立が解消されず、為替への波及懸念も残存しています。


時系列比較:韓米vs日米(2025年7月-10月)

日付韓米日米
7月23日枠組み合意発表:15%関税、自動車15%、5,500億ドル投資
7月31日枠組み合意発表:15%関税、自動車15%、3,500億ドル投資+1,000億ドルエネルギー
8月1日韓国政府「書面合意は未完了」と説明
8月7日IEEPA 15%発効(自動車は25%継続)
8月28日李大統領・トランプ大統領会談、共同声明なし(懸案未解決)
9月5日トランプ大統領が大統領令(EO 14345)に署名
9月16日韓国大統領府「協議停滞」発表自動車15%関税の適用開始
9月27-28日米側が「前払い」要求、韓国側は「一括支払い不可能」と反論
10月1日為替非ターゲティング共同声明(スワップ含まず)
10月11日現在自動車25%継続、投資条件交渉中実装完了、MFN確定

主要論点の日韓対比スコアカード

論点韓国の現状日本の現状日本企業への示唆
ベース関税(IEEPA)15%発効済(8/7)15%確定・実装済(9/16)同水準だが、日本は法的安定性で優位
自動車・部品(Section 232)25%継続(15%未実装)15%実装済(9/16~)日本車に10%の競争優位:韓国車は月間4,000-7,000億ウォンの追加コスト負担
半導体・医薬品「他国より不利にしない」(口頭表明)MFN正式確保(将来の第三国優遇も自動追随)日本メーカーは将来の関税引下げリスクをヘッジ済み、韓国サプライヤーは価格競争で不利
鉄鋼・アルミ・銅50%継続(対象外)50%継続(対象外)同条件
投資パッケージ3,500億ドル(造船1,500億、半導体等2,000億)+エネルギー1,000億ドル、資金形態で対立5,500億ドル(融資・保証・出資上限枠)、実装工程明確日本モデルは米政府が投資委員会で監督、利益配分も規定済み
為替非ターゲティング共同声明(スワップなし)市場決定原則再確認、過度のボラティリティ時のみ介入日本は既存の介入枠組みを維持
法的文書書面未完了(8/1時点)**大統領令(EO 14345)**発効日本は執行可能な法的枠組みを確保

セクター別実務インパクト(日韓競争の観点)

自動車・部品

韓国の苦境:Hyundai・Kiaは25%関税により、Hyundaiは月間4,000億ウォン(約2.9億ドル)、Kiaは3,000億ウォンの追加コストを負担し、8月の対米輸出は前年比15.2%減少しました。韓国政府は年末までの15%実装を目指していますが、9月時点の専門家見解では「年内適用は困難」との見方が優勢です。

日本の優位確立:トヨタ・ホンダ・日産は9月16日から15%関税が適用され、韓国車との価格競争で実質10%の構造的優位を獲得しました。日本の大統領令(EO 14345)では、従来のMFN税率(乗用車2.5%)に補足関税を加えた形で一律15%とする「包括的(inclusive)」運用が明確化されています。

実務アクション

  • 韓国向けサプライヤーは、顧客が25%前提で価格設定している間に、15%実装後の価格再調整条項を契約に盛り込む必要があります。
  • 日本メーカーとの競合製品は、10%の関税差を織り込んだ競争力分析の再実施が必須です。

半導体・医薬品

日本のMFN確保の実質的意味:日本は「将来のSection 232関税において、日本製半導体・医薬品は他のいかなる国に適用される税率をも超えない」との条項を9月の共同声明で確保しました。これは、例えば台湾が5%で合意した場合、日本も自動的に5%へ引下げられる仕組みです。

韓国の不透明性:韓国は商務長官Lutnickが7月31日に「他国より不利にしない(not be treated any worse than any other country)」と発言しましたが、書面合意が未了のため、法的強制力がありません。

実務アクション

  • 日本の半導体・医薬品メーカーは、将来の第三国優遇があっても自動追随するため、長期契約での価格フォーミュラに「MFN連動条項」を組み込めます。
  • 韓国サプライヤーと取引する日本企業は、韓国側が将来の関税引下げを享受できない可能性を織り込み、代替調達先の確保が推奨されます。

素材(鉄鋼・アルミ・銅)

日韓ともに50%の232関税が継続適用され、同条件です。電池・半導体用素材のコスト上振れは構造化しており、米国内調達への再設計が共通課題です。

エネルギー

韓国は米国産LNG/LPG等の1,000億ドル購入を約束しましたが、為替・物流コストの複合リスク管理が前提です。日本は年間70億ドルのエネルギー購入を約束しており、韓国の規模は日本の約14倍となります。


韓国交渉の停滞要因と日本との決定的相違

1. 投資パッケージの資金形態

韓国の対立点:米側は「前払い(up-front payment)」を要求し、トランプ大統領は9月27日に「3,500億ドルを支払えないのか」と発言しました。韓国大統領府は「一括現金支払いは不可能で、融資・保証中心になる」と反論し、膠着しています。

日本の成功モデル:5,500億ドルは「投資・融資・融資保証の上限枠」として設定され、9月4日のMOU(覚書)で利益配分(米政府に有利)、投資委員会(商務長官が議長)、2029年1月までの実施期限を明記しました。現金vs融資の配分問題は構造化により回避しています。

2. 実装スケジュールの明確性

韓国:7月31日の発表後、書面合意が未了のまま8月1日に韓国政府が「書面なし」と公表し、自動車関税の実装時期も未定です。

日本:7月23日の発表後、9月5日に大統領令署名、9月16日に自動車関税適用開始と、45日間で法的実装を完了しました。

3. 安全保障とのリンケージ

韓国は10月31日-11月1日の慶州APEC首脳会議前に、防衛費分担増額(GDP比3.5%への引上げ)、使用済み核燃料の再処理・ウラン濃縮制限緩和(123協定の改定)を含む安全保障パッケージで打開を図っています。韓国外相は「安全保障では大筋合意済み、関税交渉が遅れても個別発表する可能性」と述べており、交渉の分離を示唆しています。


直近90日のウォッチリスト(優先順位順)

  1. 韓国自動車15%の実装時期:大統領令・官報公示のタイミングが韓国車の価格競争力を直接規定します。年内実装は不透明であり、2026年への越年リスクも存在します。
  2. APEC首脳会議(10月31日-11月1日)での成果:李大統領・トランプ大統領の二国間会談で、安全保障パッケージの先行発表または全体合意のブレークスルーが焦点です。
  3. 3,500億ドル投資の条件確定:現金比率、融資・保証比率、利益配分(米側は「利益の90%は米国民へ」と発言)、投資監督メカニズムの詳細が、為替への波及や財政負担に直結します。
  4. IEEPA関税の司法判断:最高裁審理の帰趨により、15%の法的根拠や適用継続性が変動するシナリオがあります。
  5. 半導体・医薬品への新規関税:トランプ大統領は9月26日にブランド医薬品への100%関税を示唆しましたが、日本のMFN条項により15%上限が適用される見込みです。韓国の扱いは不透明です。

日本企業の戦術的アクションプラン

対韓国競合製品

  1. 自動車・部品:韓国車との競合モデルは、10%の関税差を活用した価格戦略または追加装備での差別化を検討します。韓国サプライヤーからの調達は、15%実装後の価格変動条項を必須とします。
  2. 半導体・医薬品:日本はMFN確保により将来の関税引下げリスクをヘッジ済みです。韓国製との競合では、関税の不確実性を強調し、長期契約での価格安定性を訴求できます。

米国市場戦略

  1. 価格設定:対米見積は「IEEPA 15%前提」を基本とし、自動車は「韓国15%実装前後の二本立て単価」を用意します。
  2. 契約条項:関税エスカレーター条項、MFN連動価格調整条項、Section 232追加品目への対応条項を標準化します。
  3. サプライチェーン再設計:232の50%素材(鉄鋼・アルミ・銅)は米国内加工または第三国原料置換で関税負担を分離します。

情報収集体制

  1. 官報監視:自動車・半導体・医薬品関連の大統領令、商務省規則、CBP実施ガイダンスの常時モニタリングを制度化します。
  2. 韓国動向の追跡:韓国の15%実装日、APEC首脳会議の成果、投資パッケージの確定内容が、日本企業の競争優位の持続性を左右します。

参考:制度的背景

KORUS FTAとの関係:韓米は本来KORUS FTA(2012年発効)で大半の関税を撤廃済みですが、2025年のIEEPA/Section 232による上乗せ関税が上書きしています。KORUS FTAとの整合性や議会承認要否は未解決の論点です。

日本の実装モデルの優位性:7月23日の枠組み合意→9月5日の大統領令署名→9月16日の実装完了と、政治決着から制度実装までの導線が明確であり、MFN条項確保も競争上の決定的差異です。


主要情報源

  • 韓米7月31日発表(15%・投資・エネルギー):Reuters, White House
  • 韓国「書面未了」(8/1):Reuters
  • 米国議会調査局(CRS)報告書(韓米・日米):Congress.gov
  • 韓国自動車輸出減少(8月):Chosun Ilbo, Donga Ilbo
  • 日本MFN確保(9月):Japan Times, Reuters
  • 韓国APEC安全保障戦略(10月):Anadolu Agency, Yonhap
  • 日本大統領令(EO 14345):White House, AFS Law

米国とカナダの相互関税交渉:現在地

現状をまとめてみました。間違っている点があるかも知れませんが、ご容赦ください。

米国とカナダの相互関税交渉は複数回にわたり決裂と再開を繰り返しており、現時点(2025年10月)でも正式な合意には至っていません。以下、合意内容と対立点を整理します。bbc+2

交渉の経緯

6月の決裂と再開

2025年6月27日、トランプ大統領はカナダとの全貿易交渉を「即時終了」すると発表しました。決裂の原因は、カナダが6月30日から施行予定だったデジタルサービス税(DST)で、米国のテクノロジー企業に対する「直接的かつ露骨な攻撃」と非難しました。両国は7月16日までに新経済・安全保障協定で合意する予定でしたが、この問題で頓挫しました。nytimes+2

6月29日、カナダのカーニー首相がDSTを撤回したことで、両国は交渉を再開し、7月21日までの合意を目指すことで合意しました。canada+2

10月の会談

7月21日の期限を逃した後、10月7日にトランプとカーニーがホワイトハウスで再会談しましたが、正式な合意や画期的な進展はありませんでした。x+3

合意された点

カナダがデジタルサービス税を撤回したことで交渉が再開されましたが、実質的な貿易協定の合意には至っていません。両首脳は以下の点で一致しました:bbc+1

  • USMCA(米国・メキシコ・カナダ協定)の2026年レビューを通じて「誠実な交渉」を進めることbrookings+1
  • カナダ企業が数百億ドル規模の米国投資を行う意向があることx
  • 国境警備とNATO支出(GDP比5%への増額)などの安全保障面での協力強化x

トランプ大統領は「解決策を見出す公式に取り組んでいる」と楽観的な発言をしましたが、具体的な内容は明らかにしませんでした。bloomberg+1

意見対立の焦点

個別品目の関税

カナダが最も強く求めているのは、以下の品目に課されている米国の関税撤廃または削減です:politico+1

  • 鉄鋼・アルミニウム:米国が50%の関税を課し、カナダは25%の報復関税で対抗reuters+1
  • 自動車:追加関税が適用され、カナダの自動車産業に打撃nytimes+1
  • 針葉樹材(ソフトウッド):カナダの製材産業が「崩壊寸前」との指摘politico
  • :追加関税の対象politico

カナダのフォード・オンタリオ州首相は「カーニー首相が早急に合意できないなら、報復関税を強化すべき」と圧力をかけています。politico

USMCA見直しの争点

2026年7月に予定されているUSMCAの共同レビューでは、以下の点が対立軸となる見込みです:whitecase+2

  • 原産地規則の強化:米国は自動車、鉄鋼、アルミなどで域内調達率の引き上げを要求する可能性が高いcsis
  • 対中国政策:北米域内での中国企業の活動制限や強制労働輸入禁止の強化whitecase+1
  • 乳製品市場アクセス:米国が継続的に要求しているカナダの乳製品市場開放whitecase
  • 労働基準の執行:最低賃金規定や迅速対応メカニズム(RRM)の拡大適用csis

トランプ大統領は「異なる取引を行うことも可能」と述べ、USMCAの再交渉や二国間協定への移行を示唆しています。aljazeera+1

構造的な課題

カナダは輸出の77%以上を米国に依存している一方、カナダはG7諸国の中で唯一トランプ政権と貿易協定を結んでいません。米国は2025年にEU、英国、日本と個別協定を締結しましたが、カナダとの交渉は過去のトルドー政権下での報復関税やUSMCAの複雑性により遅れています。bbc+3

カナダの鉄鋼労組は「緊急の行動が必要で、これ以上の譲歩は不要」と政府に圧力をかけており、国内政治的にもカーニー首相は厳しい立場に置かれています。reuters+1

  1. https://www.bbc.com/news/articles/cj6xje2778go
  2. https://www.bloomberg.com/news/articles/2025-10-07/trump-says-us-and-canada-working-on-formula-for-tariff-deal
  3. https://english.news.cn/20251008/3feef6c749504beb99353f182e606eb2/c.html
  4. https://www.nytimes.com/2025/06/27/business/trump-ends-canada-trade-talks.html
  5. https://www.cnbc.com/2025/06/27/trump-canada-trade-talks-tariffs.html
  6. https://www.politico.com/news/2025/06/27/trump-canada-trade-talks-00429665
  7. https://www.canada.ca/en/department-finance/news/2025/06/canada-rescinds-digital-services-tax-to-advance-broader-trade-negotiations-with-the-united-states.html
  8. https://www.reuters.com/world/americas/canada-rescinds-digital-services-tax-bid-advance-trade-talks-with-us-2025-06-30/
  9. https://www.cnn.com/2025/06/29/economy/canada-rescind-digital-tax-us-trade-talks
  10. https://x.com/i/grok/share/IkCrh2TxebdLc2JtZgn26ARqu
  11. https://www.bbc.com/news/articles/c5yk9dqlvygo
  12. https://www.politico.com/news/2025/10/07/carney-wins-praise-from-trump-but-no-trade-deal-yet-00596259
  13. https://www.bbc.com/news/articles/c62553ywn77o
  14. https://www.brookings.edu/articles/the-us-has-formally-started-joint-review-of-usmca/
  15. https://www.reuters.com/world/americas/canadas-carney-makes-second-white-house-visit-talk-trade-2025-10-07/
  16. https://www.nytimes.com/2025/10/07/us/politics/carney-trump-canada-trade-relationship.html
  17. https://www.whitecase.com/insight-alert/north-america-prepares-2026-usmca-review-and-potential-renegotiation
  18. https://www.csis.org/analysis/usmca-review-2026
  19. https://www.aljazeera.com/economy/2025/10/7/canadas-carney-makes-second-white-house-visit-as-trade-tensions-loom
  20. https://www.bbc.co.uk/news/articles/cj6xje2778go
  21. https://www.tradecomplianceresourcehub.com/2025/10/06/trump-2-0-tariff-tracker/
  22. https://www.canada.ca/en/department-finance/programs/international-trade-finance-policy/canadas-response-us-tariffs.html
  23. https://dimerco.com/news-press/us-tariff-update-2025/
  24. https://www.cfib-fcei.ca/en/site/us-tariffs
  25. https://en.wikipedia.org/wiki/2025_United_States_trade_war_with_Canada_and_Mexico
  26. https://en.wikipedia.org/wiki/Tariffs_in_the_second_Trump_administration
  27. https://www.youtube.com/watch?v=stZ-LLbSGWo
  28. https://www.blakes.com/insights/us-canada-tariffs-timeline-of-key-dates-and-documents/
  29. https://uk.finance.yahoo.com/news/trump-tariffs-live-updates-china-drops-google-probe-as-focus-turns-to-nvidia-tiktok-175804326.html
  30. https://www.euronews.com/2025/10/08/trump-says-there-is-natural-conflict-with-canada-as-he-hosts-pm-mark-carney-at-the-oval-of
  31. https://www.kiplinger.com/taxes/whats-happening-with-trump-tariffs
  32. https://nationalpost.com/news/the-two-ways-trump-tariffs-on-canada-could-collapse
  33. https://www.bbc.com/news/articles/cn93e12rypgo
  34. https://www.aljazeera.com/economy/2025/6/28/what-is-canadas-digital-tax-and-why-is-trump-killing-trade-talks-over-it
  35. https://www.bdo.global/en-gb/insights/tax/indirect-tax/canada-government-to-scrap-dst-to-restart-trade-deal-talks-with-u-s
  36. https://www.nbcnews.com/politics/politics-news/canadas-mark-carney-visits-trump-frosty-relations-longtime-allies-rcna236151
  37. https://www.congress.gov/crs-product/IN12399
  38. https://www.cnn.com/2025/10/07/politics/canada-pm-mark-carney-trump
  39. https://www.wilsoncenter.org/sites/default/files/media/uploads/documents/24-174_USMCA-Review%20(1).pdf
  40. https://www.nytimes.com/2025/06/30/world/canada/canada-digital-tax-tariff-negotiations-trump.html

2025年米国鉄鋼・アルミニウム関税制度の概要と企業対応(2025年10月最新版)

下記情報は確実にと努力しましたが、不確定な部分もあり、あくまで参考としてください。

最新動向(2025年8月~10月)

2025年8月以降、Section 232関税制度は更なる拡大を続けています。8月18日に407品目の派生製品が追加され、9月にはインクルージョン申請の第2回受付期間が実施され、10月には木材・重トラック関税の新規措置が発表されました。

8月18日発効:407品目の大規模追加

商務省産業安全保障局(BIS)は、407の製品カテゴリーを232関税対象の「派生製品」リストに追加しました。この拡大により、年間輸入額2,000億ドル超に相当する400以上のHS番号が新たに対象となり、実効関税率が約1パーセントポイント上昇したと推定されています。

主な追加品目

  • 風力タービンおよび部品・コンポーネント
  • 移動式クレーン
  • ブルドーザーおよび重機
  • 鉄道車両
  • 家具
  • 圧縮機・ポンプ
  • オートバイ
  • 船舶用エンジン
  • 電気自動車用電気鋼材
  • 自動車排気システム部品
  • バス部品
  • 空調ユニット部品

この措置は、6月23日発効の家電製品追加に続く第2弾の大規模拡大であり、鉄鋼・アルミニウムの含有価額部分に50%の関税が課されます。

9月:第2回インクルージョン申請期間

BISは2025年9月15日から29日まで、第2回目のインクルージョン申請受付期間を実施しました。このプロセスは年3回(5月・9月・1月)実施され、国内生産者等が追加対象品目を申請できる制度です。申請から60日以内にBISが判断を行い、採用された品目は順次232関税の対象に追加されます。

10月14日発効:木材・木製品への新規232関税

9月29日の大統領布告により、針葉樹材・木材および木製派生製品に対する新たなSection 232関税が10月14日から適用されています。

税率

  • 針葉樹材・木材:10%
  • 室内装飾付き木製家具:25%(2026年1月1日から30%に引上げ)
  • キッチンキャビネット・洗面台:25%(2026年1月1日から50%に引上げ)

重複関税の取扱い

  • 相互関税(reciprocal tariffs)およびIEEPA関税とは重複適用されない
  • 232自動車関税と重複する場合は自動車関税のみ適用
  • 対カナダ・メキシコIEEPA関税と重複する場合は木材232関税のみ適用

11月1日発効予定:中・大型トラック関税

10月6日、トランプ大統領は中型・大型トラック(車両総重量10,000ポンド超)および部品に対する25%の232関税を11月1日から適用すると発表しました。当初は10月1日発効予定でしたが、米国自動車メーカーからのロビー活動を受けて1カ月延期されました。

4月に開始された商務省の232調査では、「少数の外国供給者が略奪的貿易慣行により米国輸入の大部分を占めている」と指摘されており、国家安全保障上の脅威と位置付けられています。主要な影響国は、メキシコ、カナダ、日本、ドイツ、フィンランドです。

米国トラック協会(ATA)は、この措置に加えてIEEPA関税や232鉄鋼・アルミ関税も適用されることで業界への負担が過大になるとして、緩和を求めています。

1. 2025年の大改定のポイント

関税率の大幅引上げ

2025年6月3日の大統領布告により、鉄鋼・アルミニウムおよびその派生製品に対する関税率が一律**50%**に引き上げられました(英国のみ25%)。これは通商拡張法第232条(Section 232)に基づく措置で、2025年6月4日(EDT)以降の輸入に適用されます。

課税方式の変更:「金属含有価額」ベース

従来の「総額課税」から「金属含有価額のみに対する課税」に変更されました。CBP(米国税関国境警備局)の実務通達により、派生製品やHS第73類(鉄鋼)・第76類(アルミニウム)の品目についても、製品全体ではなく鋼・アルミニウムの含有価額部分のみに232関税が課されます。

除外制度の終了と「インクルージョン制度」の創設

2025年2月10日の布告により、従来の232除外申請制度が終了しました。代わりに、派生製品を追加指定するための「インクルージョン手続」が年3回(5月・9月・1月)の受付期間で運用開始されています。

重複課税(スタッキング)の整理

複数の特定関税が同一貨物に重複して過剰となる事態を一定範囲で防ぐ手順が規定されました。ただし、232関税と対中制裁の「301関税」については累積適用されることが明記されています。

2. 派生製品の対象拡大

「派生製品(derivatives)」とは、基礎素材(鉄鋼・アルミニウム)からさらに加工された下流製品のことで、2018年の232措置では対象外だった製品分野にまで関税を適用するために指定されています。

2025年の主な追加項目

アルミニウム派生製品(4月4日発効)

  • 空のアルミ缶(HS 7612.90.10)
  • ビール(HS 2203.00.00)

鉄鋼派生製品(6月23日発効)

  • 家電製品(冷蔵冷凍庫、洗濯機、乾燥機、食洗機、オーブン・レンジ、生ごみ処理機)
  • 溶接ワイヤラック(HS 9403.99.9020)

トレーラー類(8月18日発効)

  • ドライバン・冷凍(リーファー)トレーラー(HS 8716.39.0040等)とそのサブアセンブリ

407品目の大規模追加(8月18日発効)

  • 風力タービンおよび部品・コンポーネント
  • 移動式クレーン
  • ブルドーザーおよび重機
  • 鉄道車両
  • 家具
  • 圧縮機・ポンプ
  • オートバイ
  • 船舶用エンジン
  • 電気自動車用電気鋼材
  • 自動車排気システム部品

木材派生製品(10月14日発効)

  • 針葉樹材・木材
  • 室内装飾付き木製家具
  • キッチンキャビネット・洗面台

中・大型トラック(11月1日発効予定)

  • 車両総重量10,000ポンド超の中型・大型トラックおよび部品

今後の展開

BISのインクルージョン制度により、国内生産者等の申請に基づいて派生製品は継続的に追加される見込みです(申請から60日以内に判断)。次回の申請期間は2026年1月に予定されています。

3. 関税算定の具体的方法

基本税率

  • 鉄鋼・アルミニウム・派生品:50%(英国原産品のみ25%)
  • 木材派生品:10~25%(段階的引上げあり)
  • 中・大型トラック:25%(11月1日~)

課税ベースの算定

  • HS第73類(鉄鋼)・第76類(アルミニウム)製品:金属の「含有価額」のみに課税
  • 派生製品:製品中の鋼・アルミニウム含有価額に対して課税
  • 鉄・アルミ両方を含む派生品:それぞれの含有価額に対してそれぞれの232関税を課税

申告方式:「2行計上」

CBPの指示により、以下の2行に分けて申告します:

  1. 1行目(非金属部分):本来のHS番号、原産国、「総額-金属含有価額」
  2. 2行目(金属含有価額):同一HS・原産国、数量0、価額=金属含有価額、HS第99類で50%課税

算定例

洗濯機(申告価額500ドル、うち鋼含有価額100ドル、アルミ含有価額20ドル)の場合:

  • 鋼部分:100ドル × 50% = 50ドル
  • アルミ部分:20ドル × 50% = 10ドル
  • 232関税合計:60ドル

中国原産品で301関税対象の場合、さらに25%が併課される可能性があります。

4. 重複関税の取扱い

232関税 vs 301関税(対中)

累積適用されます。中国原産で232対象品の場合、232(50%)+ 301(25%)が併課される可能性があります。

232関税(鉄鋼・アルミ) vs IEEPA(相互関税)

232に関わる金属部分にはIEEPAは重複適用されませんが、非金属部分にはIEEPAが課される場合があります。

232関税(木材) vs その他関税

木材関連の232関税は、相互関税・IEEPA関税(ブラジル40%、インド25%)とは重複適用されません。232自動車関税と重複する場合は自動車関税のみが適用されます。

その他の特則

  • ロシア関連アルミニウム:232とは別に200%の特則が存続
  • デューティードローバック不可
  • FTZは原則「特恵外国品扱い」が必要

5. 企業の実務対応チェックリスト

A. 分類・原産・含有価額の把握

HTS分類の見直し:新規派生指定品目について社内マスターを更新

  • 家電、トレーラー、空缶・ビール(既存)
  • 風力タービン、移動式クレーン、ブルドーザー、鉄道車両、家具、圧縮機、ポンプ、オートバイ、船舶用エンジン、EV用電気鋼材、排気システム部品(8月18日追加)
  • 木材、木製家具、キャビネット(10月14日追加)
  • 中・大型トラック(11月1日予定)

金属含有価額の算定体制整備:BOM・コスト表から鋼・アルミ含有価額を抽出できる仕組みの構築

原産性証明の取得

  • 鉄鋼:Melt & Pour(溶解・鋳造)国の証明
  • アルミニウム:Smelt & Cast(製錬・鋳造)国の証明
  • メキシコ経由品は2024年7月以降の厳格化に注意

B. 課税最適化戦略

調達先の見直し:英国原産品は25%(他国50%)の優遇税率を活用

米国内素材の活用:米国でMelt & Pour/Smelt & Castされた素材は0%免除の可能性

設計変更の検討:鋼・アルミ以外素材への置換、金属使用量削減による含有価額の圧縮

複数関税の影響分析:232 + 301 + AD/CVDの総負担試算

C. 契約・申請対応

価格条項の見直し:サプライ・販売契約に「232/301変動条項」を追加

インクルージョン申請の活用(国内生産者向け):年3回の申請機会を活用した競合品の追加指定

社内統制の強化:HTS・原産・含有価額・証憑の監査体制整備

6. 実際の企業事例

American Trailer Manufacturers Coalition

Great Dane、Stoughton、Strick、Wabashなどの米国トレーラーメーカー連合が2025年5月にBISへ派生指定追加を申請し、8月18日にドライバン・リーファートレーラーが派生製品として採用されました。

Whirlpool(米国家電メーカー)

家電の派生指定追加(6月23日)に対し、「金属含有価額課税」や重複関税整理を踏まえた支持表明を行い、国産比率の高さを背景に価格公平化効果を主張しています。

Ball Corporation(アルミ缶メーカー)

2025年の関税環境下でも、調達・ヘッジ・価格見直しにより影響は限定的としており、財務・契約面での対応による影響平準化の好例となっています。

外国自動車メーカー連合

外国自動車メーカー連合は、EV用電気鋼材や排気システム部品の派生製品追加に対して、米国内に十分な生産能力がないことを理由に反対意見を提出しましたが、採用されませんでした。

Tesla

Teslaは、電気自動車モーターや風力タービンに使用される鉄鋼製品の追加指定について、米国内の生産能力が不足しているとして反対しましたが、8月18日の決定で対象に含まれました。

7. 今後の注意点

制度面のポイント

  • 232税率は原則50%(英国25%、木材10~25%)
  • 課税ベースは金属の「含有価額」のみで、2行計上が必要
  • 派生品範囲は今後もインクルージョン制度により拡大予定(年3回:5月・9月・1月)
  • 301関税(対中)とは累積適用される
  • 2026年1月には木製家具・キャビネット関税が段階的に引上げ(30%・50%)

企業の優先対応事項

緊急対応(~2025年11月)

  • 中・大型トラック輸入企業:11月1日発効の25%関税への対応準備
  • 木材・木製品輸入企業:10月14日発効の関税(10~25%)の影響分析と価格見直し

継続対応

  • HTS分類の再確認(407品目追加を反映)
  • 含有価額算定体制の整備
  • Melt & Pour/Smelt & Cast証憑の取得
  • 契約価格条項の見直し
  • 対中国301関税重複の影響分析
  • (国内生産者の場合)次回インクルージョン制度(2026年1月)の活用検討

情報収集

  • BISの連邦官報公告の定期的な確認(次回申請期間:2026年1月)
  • 自動車部品インクルージョン制度の動向監視(2025年10月1日から第1回申請期間開始)

この新制度により、米国への鉄鋼・アルミニウム関連製品の輸出入には従来以上に精緻な管理と戦略的対応が求められています。特に2025年8月の407

相互関税(米国の追加相互関税:2025年10月6日)最新一覧

作成日:2025年10月6日(JST)

対象:下記各国・地域から米国へ輸入される貨物に対して課される「相互関税(Reciprocal Tariffs)」の追加関税率(通常の関税=HTSUSのColumn 1(General)税率に上乗せ。EU・日本は特例)です。

重要な注記

  • 注1:ここでの「関税率」は相互関税の追加分です。一般(MFN/Column 1)や他制度(セクション232、アンチダンピング等)は別途。
  • 注2:EU特例…Column 1 Duty Rateが15%未満の品は「(15% − Column 1)」を加算、15%以上追加0%
  • 注3:カナダ/メキシコはAnnex Iに非掲載→相互関税としてはSec.2(d)により10%ベースラインの対象。一方で**別制度(IEEPA:国境・合成麻薬対策)**の追加関税が並行:メキシコ25%カナダ原則35%(8/1発効、エネルギー等は10%)、USMCA適合は除外。詳しくは各行の備考を参照。
  • 注4:中国5/12の大統領令で相互関税を一時10%に引下げ(90日)8/11の大統領令で延長し、2025/11/10 0:01 a.m.(米東部標準時)まで継続。
  • 注5:経過措置(7/31 EOに基づく船積済み猶予)は2025/10/5 0:01 a.m.(米東部時間)で終了。税率自体の更新ではありません。

出所の略記:
「Annex I(7/31 EO)」=2025/7/31大統領令 “Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates” 附属書I(国別率)/本文Sec.2(d)(Annex I外=10%)
「EO 9/4(日本)」=“Implementing the United States–Japan Agreement”(日本の特例)
「EO 5/12・EO 8/11(中国)」=5/12の一時引下げ8/11の延長
「IEEPA(加・墨)」=北部/南部国境対策の別制度(連邦官報・WH発表)

前日からの差分

  • 税率の変更は確認なし(前日比:なし)。経過措置の失効済み(10/5 EDT)を注記に反映。

一覧表(国名・相互関税率・出所・備考)

特記なき限り、出所はAnnex I(7/31 EO)で、相互関税=追加%です。 全レートの原典はAnnex I。

国名相互関税率(追加)出所備考
Afghanistan(アフガニスタン)15%Annex I(7/31 EO)
Algeria(アルジェリア)30%Annex I(7/31 EO)
Angola(アンゴラ)15%Annex I(7/31 EO)
Bangladesh(バングラデシュ)20%Annex I(7/31 EO)
Bolivia(ボリビア)15%Annex I(7/31 EO)
Bosnia & Herzegovina(ボスニア・ヘルツェゴビナ)30%Annex I(7/31 EO)
Botswana(ボツワナ)15%Annex I(7/31 EO)
Brazil(ブラジル)10%Annex I(7/31 EO)
Brunei(ブルネイ)25%Annex I(7/31 EO)
Cambodia(カンボジア)19%Annex I(7/31 EO)
Cameroon(カメルーン)15%Annex I(7/31 EO)
Canada(カナダ)(相互関税)原則10%(Annex I外)EO 7/31 Sec.2(d)別制度:IEEPAで35%(8/1〜)、エネルギー等は10%、USMCA適合は除外。相互関税10%は“ベースライン”。
Chad(チャド)15%Annex I(7/31 EO)
China(中国)10%(一時引下げ・延長中)EO 5/12・EO 8/115/12の90日一時引下げ→8/11延長。11/10 0:01 a.m.(EST)まで
Costa Rica(コスタリカ)15%Annex I(7/31 EO)
Côte d’Ivoire(コートジボワール)15%Annex I(7/31 EO)
DR Congo(コンゴ民主共和国)15%Annex I(7/31 EO)
Ecuador(エクアドル)15%Annex I(7/31 EO)
Equatorial Guinea(赤道ギニア)15%Annex I(7/31 EO)
EU(欧州連合)特例方式Annex I(7/31 EO)Column 1<15%:**(15%−Column 1)**を加算/Column 1≧15%:追加0%
Falkland Islands(フォークランド諸島)10%Annex I(7/31 EO)
Fiji(フィジー)15%Annex I(7/31 EO)
Ghana(ガーナ)15%Annex I(7/31 EO)(原文に未記載だったため追補)
Guyana(ガイアナ)15%Annex I(7/31 EO)
Iceland(アイスランド)15%Annex I(7/31 EO)(原文に未記載だったため追補)
India(インド)25%Annex I(7/31 EO)
Indonesia(インドネシア)19%Annex I(7/31 EO)
Iraq(イラク)35%Annex I(7/31 EO)
Israel(イスラエル)15%Annex I(7/31 EO)
Japan(日本)特例:ベースライン15%EO 9/4(日本)Column 1<15%は合計15%、≧15%は追加0%汎用医薬品・特定資源は**0%**の品目例外。
Jordan(ヨルダン)15%Annex I(7/31 EO)
Kazakhstan(カザフスタン)25%Annex I(7/31 EO)
Laos(ラオス)40%Annex I(7/31 EO)
Lesotho(レソト)15%Annex I(7/31 EO)
Libya(リビア)30%Annex I(7/31 EO)
Liechtenstein(リヒテンシュタイン)15%Annex I(7/31 EO)
Madagascar(マダガスカル)15%Annex I(7/31 EO)
Malawi(マラウイ)15%Annex I(7/31 EO)
Malaysia(マレーシア)19%Annex I(7/31 EO)
Mauritius(モーリシャス)15%Annex I(7/31 EO)
Mexico(メキシコ)(相互関税)原則10%(Annex I外)EO 7/31 Sec.2(d)別制度:IEEPAで25%(USMCA適合は除外)。相互関税10%は“ベースライン”。
Moldova(モルドバ)25%Annex I(7/31 EO)
Mozambique(モザンビーク)15%Annex I(7/31 EO)
Myanmar(ミャンマー)40%Annex I(7/31 EO)
Namibia(ナミビア)15%Annex I(7/31 EO)
Nauru(ナウル)15%Annex I(7/31 EO)
New Zealand(ニュージーランド)15%Annex I(7/31 EO)
Nicaragua(ニカラグア)18%Annex I(7/31 EO)
Nigeria(ナイジェリア)15%Annex I(7/31 EO)
North Macedonia(北マケドニア)15%Annex I(7/31 EO)
Norway(ノルウェー)15%Annex I(7/31 EO)
Pakistan(パキスタン)19%Annex I(7/31 EO)
Papua New Guinea(パプアニューギニア)15%Annex I(7/31 EO)
Philippines(フィリピン)19%Annex I(7/31 EO)
Serbia(セルビア)35%Annex I(7/31 EO)
South Africa(南アフリカ)30%Annex I(7/31 EO)
South Korea(韓国)15%Annex I(7/31 EO)
Sri Lanka(スリランカ)20%Annex I(7/31 EO)
Switzerland(スイス)39%Annex I(7/31 EO)
Syria(シリア)41%Annex I(7/31 EO)
Taiwan(台湾)20%Annex I(7/31 EO)
Thailand(タイ)19%Annex I(7/31 EO)
Trinidad and Tobago(トリニダード・トバゴ)15%Annex I(7/31 EO)
Tunisia(チュニジア)25%Annex I(7/31 EO)
Turkey(トルコ)15%Annex I(7/31 EO)
Uganda(ウガンダ)15%Annex I(7/31 EO)
United Kingdom(英国)10%Annex I(7/31 EO)
Vanuatu(バヌアツ)15%Annex I(7/31 EO)
Venezuela(ベネズエラ)15%Annex I(7/31 EO)
Vietnam(ベトナム)20%Annex I(7/31 EO)
Zambia(ザンビア)15%Annex I(7/31 EO)
Zimbabwe(ジンバブエ)15%Annex I(7/31 EO)

参照先(主要ソース)

  • 大統領令(7/31)Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates(Annex Iの国別率、EU特例、Sec.2(d)の10%ベースライン、経過措置期日)。
  • 大統領令(9/4・日本)Implementing the United States–Japan Agreement(対日ベースライン15%・0%例外)。
  • 大統領令(8/11・中国延長)Further Modifying Reciprocal Tariff Rates to Reflect Ongoing Discussions with the PRC(一時10%の延長、終了=2025/11/10 0:01 a.m. EST)。
  • IEEPA(カナダ)Amendment to Duties to Address the Flow of Illicit Drugs Across Our Northern Border(**35%**へ増率、USMCA除外やエネルギー10%等の位置づけ)。
  • IEEPA(メキシコ)Imposing Duties To Address the Situation at Our Southern Border25%、USMCA適合除外)。