アメリカで進行する訴訟:相互関税・緊急関税と対中301条の現状

比較表:私の認識のために整理しました。

項目① 相互関税・緊急関税(IEEPA)② 対中301条(リスト3・4A)
根拠法IEEPA(50 U.S.C. §1701–)等(大統領の緊急権限)1974年通商法 §301/§307+APA
措置の中身ほぼ全輸入に基礎10%+国別11–50%の「相互関税」/加・墨25%、中10→20%の「Trafficking Tariffs」等(EOで変動) 国際貿易裁判所中国向け追加関税(リスト3・4A)
第一審(CIT)違法。IEEPAは関税賦課の一般授権にならないとして恒久差止(2025/5/28, Slip Op. 25-66) 国際貿易裁判所合法。USTRの再説明を維持(2023/3/17, Slip Op. 23-35) 国際貿易裁判所
控訴審(CAFC)2025/8/29 判決:IEEPAに基づく関税権限否定は維持。ただし差止の射程は一部破棄・差戻し(当面の徴収は継続) 連邦控訴裁判所2025/1/8 口頭弁論済。本日(2025/8/30)時点で判決未了(継続徴収) 連邦控訴裁判所
現在の効力徴収継続中(CAFCが控訴中の差止停止→判決でも差止再検討を指示) 連邦控訴裁判所徴収継続中(CITで原告敗訴、差止なし) 国際貿易裁判所
直近の行政府動向相互関税を一時停止・修正するEOが複数発出(例:2025/7/31の修正命令) The White House(省略:本表の争点は“適法性”)

① IEEPA(相互関税・緊急関税)訴訟の要点

  • CIT(2025/5/28):IEEPAの「輸入の規制」権限は関税の恒常的付加を包括授権しないとして、相互関税・Trafficking Tariffsの恒久差止を命令。 国際貿易裁判所
  • CAFC(2025/8/29, 全員合議)IEEPAに関税権限なしの法理は維持。ただし全国差止の範囲等は審理不十分として破棄・差戻し。控訴中に付されていた差止の停止(stay)も示され、現時点では徴収が継続連邦控訴裁判所
  • 実務への当面影響:納税は継続。差戻し後のCITでeBay要件に基づき差止範囲・救済の再検討へ(政府の上告可能性は報道ベース)。大統領令による相互関税の微修正・一時停止も発出済。 連邦控訴裁判所The White House

② 対中301条(リスト3・4A)訴訟の要点

  • CIT(2023/3/17):USTRの手続・再説明を適法と判断し、原告側の主張を退ける。 国際貿易裁判所
  • CAFC2025/1/8 口頭弁論済。本日(2025/8/30)時点で判決未了。従って徴収は継続連邦控訴裁判所

2025年8月18日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

以下のフォーマットで、最新(2025-07-31改定、8/7発効/中国は8/11に90日延長)の相互関税をまとめました。
注記:EUは品目別の“式”で決まります(下記参照)。Annexに載っていない国は原則 +10%(別途の例外がある場合を除く)。中国は当面+10%に据え置き(90日延長)。(The White House) (Federal Register)

国名関税率出所備考
アフガニスタン15%EO Annex I(2025-07-31)
アルジェリア30%同上
アンゴラ15%同上
バングラデシュ20%同上
ボリビア15%同上
ボスニア・ヘルツェゴビナ30%同上
ボツワナ15%同上
ブラジル10%同上
ブルネイ25%同上
カンボジア19%同上
カメルーン15%同上
チャド15%同上
コスタリカ15%同上
コートジボワール15%同上
コンゴ民主共和国15%同上
エクアドル15%同上
赤道ギニア15%同上
欧州連合(EU)品目別:一般税率 <15% → (15% − 一般税率) / 一般税率 ≥15% → 0%同上一律率ではなく品目ごとに計算。(The White House)
フォークランド諸島10%同上
フィジー15%同上
ガーナ15%同上
ガイアナ15%同上
アイスランド15%同上
インド25%同上
インドネシア19%同上
イラク35%同上
イスラエル15%同上
日本15%同上
ヨルダン15%同上
カザフスタン25%同上
ラオス40%同上
レソト15%同上
リビア30%同上
リヒテンシュタイン15%同上
マダガスカル15%同上
マラウイ15%同上
マレーシア19%同上
モーリシャス15%同上
モルドバ25%同上
モザンビーク15%同上
ミャンマー(ビルマ)40%同上
ナミビア15%同上
ナウル15%同上
ニュージーランド15%同上
ニカラグア18%同上
ナイジェリア15%同上
北マケドニア15%同上
ノルウェー15%同上
パキスタン19%同上
パプアニューギニア15%同上
フィリピン19%同上
セルビア35%同上
南アフリカ30%同上
韓国15%同上
スリランカ20%同上
スイス39%同上
シリア41%同上
台湾20%同上
タイ19%同上
トリニダード・トバゴ15%同上
チュニジア25%同上
トルコ15%同上
ウガンダ15%同上
英国10%同上
バヌアツ15%同上
ベネズエラ15%同上
ベトナム20%同上
ザンビア15%同上
ジンバブエ15%同上
中国(香港・マカオ含む)10%EO 14298(2025-05-12)90日停止措置を2025-11-10まで延長。(Federal Register)
(参考)Annex未記載国10%(原則)EO(2025-07-31)「Annex Iに載っていない国」は原則+10%。例外あり。(The White House)

出所(主要一次情報)

  • 2025-07-31大統領令「Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates」(Annex Iに全リスト掲載/EUの算定式、Annex未記載国=10%の規定を明記)。(The White House)
  • 2025-05-12 大統領令14298「中国との協議を反映した相互関税の変更」(中国を一時的に**10%**へ)。
  • 2025-08-14 連邦官報:中国の10%据え置き措置をさらに90日**延長の告示。(Federal Register)

補足

  • 表の国別率は上記Annex Iの“最新改定(7/31)”に基づきます(8/7発効)。(The White House)
  • Annexにない国(例:一部FTA相手国など)は原則+10%ですが、別の大統領令・覚書・HTSUS注記で例外が設定されうるため、実務ではCBPガイダンスとHTSUS該当条項の確認を推奨します。(The White House)

カスタムGPTによるHSコード特定力の違い:ChatGPTとGemini

ファンがついている空調服のHSコードを、私が作ったカスタムGPT:ChatGPTベースとGeminiで試してみました。

ChatGPTによるカスタムGPTの結果

推定HSコード(HS2022・6桁)

6201.40(男子用・織物製のアノラック/ウインドジャケット等・人造繊維製)
※女子用なら 6202.40。該当見出しは62.01/62.02(アノラック、ウインドジャケット等)で、号は表地の繊維で決まります
(HS商品インデックス上も「ウインドジャケット/ウインドチーター」は62.01/62.02に位置付け。)

根拠(かんたんに)

  • どの類・項に入る? 62類は(編物を除く)衣類で、62.01/62.02の範囲に「アノラック、ウインドジャケット等」を明記。
  • 6桁の決め方:HS解説は、表生地の繊維で号を決めると説明(例:綿60/ポリ40の男子アノラック→6201.30)。従って化繊主体なら6201.40(女子は6202.40)。
  • セット扱い(服+ファン+電源):通則3(b)の「小売用のセット」は、特定の用途のために一緒に包装された複数品目を、重要な特性を与える構成要素で分類。衣類+付属品の典型例でも、衣類側が全体に重要な特性を与えるとして衣類で分類された事例が示されています。
  • 基本ルール:分類は「項の規定と部・類注」に従って決定(通則1)。

代替候補(情報次第で変動)

  • 編物(ニット)製なら 61類:男子 6101.30/女子 6102.30(人造繊維製)。
  • 表地が綿主体なら 6201.30/6202.30。
  • 男女別で号が変わる:男子=62.01、女子=62.02(編物なら61.01/61.02)。
  • ファン・電源を単独輸入:衣類から独立した場合は衣類ではなく、ファンは84.14類系、バッテリーは85.07類系の検討になります(セットでないなら通則1で各品ごとに)。

推定精度

75%
(服の素材/編み・織り/男女別/セットの構成の確定が未提示のため。これらが確定すれば90%以上に上げられます。)

追加で教えてほしいこと

  1. 表地の素材・混率(綿/ポリエステルなど)
  2. 編物(ニット)か織物(布帛)か
  3. 男性用・女性用の別(またはユニセックス表示)
  4. 服・ファン・電源を一括で輸入するか、別送か(別送ならセット扱い不可の可能性あり)

GeminiによるカスタムGPTの結果

推定HSコード: 8414.59

品目: ファン(卓上用、床用、壁用、窓用、天井用又は屋根用のものを除く。)

詳細な説明: ご提示いただいた「空調服」は、衣類と小型の電動ファンが一体となった複合製品です。このような複数の構成要素からなる物品のHSコードを決定する際には、「関税率表の解釈に関する通則」というルールに従います。

この通則に基づくと、物品に「重要な特性」を与えている要素が分類の決め手となります。「空調服」の場合、その最も重要な機能はファンによる送風・冷却機能であると解釈するのが一般的です。したがって、衣類としてではなく、ファン(機械類)として分類します。

ファンはHSコード第84.14項に分類され、その中でも空調服に使用されるような小型のファンは、この「8414.59」に該当すると考えられます。


根拠と精度

  • 情報源:
    • 関税率表の解釈に関する通則3(b)(複合産品の分類ルール)
    • HSコード第84類(機械類)の規定
    • 過去の類似品目に関する分類事例
  • 推定精度: 85%

分類上の注意点と追加情報

  • 分類上の争点: この種の製品は、衣類(第61類または第62類)とファン(第84類)のどちらに重要な特性があるかで見解が分かれる可能性があります。しかし、製品の主目的が「涼をとること」であるため、ファンに重要な特性があると判断するのが最も一般的です。
  • ご確認いただきたい情報: より正確な判断のため、以下の情報を確認させていただくと、精度を高めることができます。
    • ファンの仕様: ファンの出力(ワット数)は分かりますか?
    • 衣類の素材: 主な素材(例:ポリエステル100%、綿65%・ポリエステル35%など)と、それが織物か編物(ニット)か分かりますか?
    • ファンの取り付け状態: ファンは衣類に恒久的に固定されていますか?それとも簡単に取り外せますか?

GeminiにChatGPTでの結論をぶつけてみた

セット(服+ファン+バッテリー)で輸入なら 8414.59 にはしません。通則3(b)の“重要な特性”で分類するため、全体の性質を決めるのは衣類=62類(上衣)だからです。通則3(b)は複合品/小売用セットを重要な特性で決める規則で、衣類+付属品の組合せを衣類側で分類した実例とも整合します。

このコメントにはどう返事しますか。

Geminiの回答

HS Code Finder Gemini

カスタム Gem

思考プロセスを表示

ご指摘いただき、誠にありがとうございます。 大変鋭いご指摘であり、HSコード分類における非常に重要な論点です。いただいたご意見を踏まえ、改めて検討いたしました。

おっしゃる通り、セット全体で輸入する場合、衣類として分類する方がより適切であると考えられます。私の前回の回答は、製品の「機能」に重きを置きすぎたものでした。訂正し、深くお詫び申し上げます。


HSコードの再提案

ご指摘の通り、「関税率表の解釈に関する通則3(b)」を適用すると、この商品は「小売のためにセットにした物品」と見なすことができます。その場合、セット全体に**「重要な特性」を与えているのは、ファンやバッテリーという付属品ではなく、「衣類」そのものである**と判断するのが妥当です。

なぜなら、この製品はあくまで「衣類」として着用されるものであり、ファンやバッテリーはその衣類の快適性を高めるための「付属品」と解釈できるからです。これは、ベルト付きのドレスをドレスとして分類したり、スカーフ付きのコートをコートとして分類したりするのと同じ考え方です。

この解釈に基づき、HSコードを再提案します。

推定HSコード: 6201.93

品目: 人造繊維製のもの(男性用のオーバーコート、カーコート、ケープ、クローク、アノラック(スキージャケットを含む。)、ウインドチーター、ウインドジャケットその他これらに類する衣類)

詳細な説明: このHSコードは、衣類が織物であり、主な素材がポリエステルなどの人造繊維であると仮定した場合のものです。空調服は「ウインドジャケットその他これらに類する衣類」に該当すると考えられます。セットで提示されるファンとバッテリーは、この衣類の付属品として一体で分類されます。


根拠と精度

  • 情報源:
    • 関税率表の解釈に関する通則3(b)(ご指摘いただいた通り)
    • HSコード第62類(衣類及び衣類付属品)の規定
    • 日本の関税中央分析所や税関相談室の見解、及び類似のセット産品に関する分類事例
  • 推定精度: 95%

結論

いただいたご意見は、実際の税関実務における判断と一致するものです。複合産品やセット産品の分類、特に「重要な特性」の解釈は非常に難しい問題ですが、今回のような着用する製品の場合は、ベースとなる衣類が分類を決定づける主要な要素となります。

大変勉強になるご指摘をいただき、誠にありがとうございました。今後も何かお気づきの点がございましたら、ご教示いただけますと幸いです。

ChatGPTのカスタムGPTの方が精度が高いことを確認しました。今後もそれぞれを調整します。

2025年8月8日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

国名関税率出所備考
日本15%(Reuters)既存税率15%以上品目への“積み上げ課税”を巡り日米で解釈対立(日本は回避、米国は適用余地)
欧州連合(EU)15%上限(既存15%以上は追加0%)(The White House)“no stacking” 条項を明文化
イギリス10%(ガーディアン)発効90日後に再協議予定
カナダ35%(ポリティコ)USMCA原産品は免除、第三国経由品には+40%の迂回防止課徴金
メキシコ25%(Al Jazeera)交渉継続のため25%を90日間据え置き
韓国15%(The White House)KORUS優遇なし、自動車等すべての品目対象
中国10%(暫定)→30%*(Al Jazeera)*8月12日まで10%、協議失敗時30%へ引上げ
インド50%(Bloomberg.com)既存25%+ロシア産原油問題で追加25%(21日猶予後発効)
ブラジル50%(Reuters)ボルソナロ訴追への報復とされ、WTO協議を要請
スイス39%(The White House)時計・精密機械産業に打撃
オーストラリア10%(ガーディアン)ベースラインのみ、増税回避
南アフリカ30%(The White House)鉱物・医薬品は一部除外
インドネシア19%(The White House)日米欧と並び枠組み合意済み
ベトナム20%(The White House)
フィリピン19%(The White House)
マレーシア19%(The White House)
台湾20%(The White House)中国圧力に配慮し個別レート設定
タイ19%(The White House)
トルコ15%(The White House)デジタル課税(DST)問題で追加措置の可能性
イスラエル15%(The White House)

補足

  • EU以外は「相互関税」を既存MFNに“上乗せ”する仕組みです。日本は「上乗せしない」と主張する一方、米国実務は依然不透明なため留意してください。
  • 中国の10%→30%移行やインドへの追加25%など、時限・条件付きの引上げが含まれます。実務適用前に HSコード単位で連邦官報・CBP通達を必ず確認してください。

日米相互関税──両国の主張は“同床異夢”


日米相互関税──両国の主張は“同床異夢”

2025年8月時点の最新状況

8月7日、米国は日本製品に対し15%の相互関税を発動しました。これに対し日本政府は「合意内容と異なる」と強く反発し、貿易摩擦が再燃する懸念が高まっています。


日本の立場:合意不履行への強い懸念

  • 合意の前提
    • 既存関税が15%以上の品目には新たな相互関税を課さない
    • 15%未満の品目は、既存関税と合わせて**上限15%**に抑える
  • 問題点
    米国の大統領令にはこの「上限」規定が反映されておらず、一部品目で実質的に15%超となる恐れが浮上。
  • 日本政府の対応
    • 「認識に齟齬はない」としつつ、米国に即時是正を要求
    • 閣僚レベルを含むあらゆる外交ルートで交渉を継続

米国の立場:貿易赤字是正が最優先

  • 基本方針
    対日貿易赤字の縮小が最重要課題。相互関税はその“圧力装置”と位置付け。
  • 追加関税の例
    鉄鋼・アルミ製品に**最大50%**の関税を課すなど、強硬姿勢を維持。
  • 優先順位
    「公平な取引」と赤字是正が大局的目標。合意細部よりも結果重視の姿勢が色濃い。

まとめ:交わらない優先順位

  • 日本:ルールに基づく合意履行を最重視
  • 米国:貿易赤字削減という結果を最優先
  • 不安定要因
    日本は法的整合性と手続きの正当性を訴え、米国は国内政治・経済のニーズを背景に“力の外交”を展開。両者の立場の隔たりが、今後の日米貿易関係を揺さぶる火種となっています。

2025年8月7日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

以下は 2025 年 8 月 7 日時点 で公表・報道されている最新「相互関税」一覧を、8 月 6 日の追加大統領令による インドへの+25 % 制裁関税(8 月 27 日発効予定) を反映して更新したものです。フォーマットは昨日までと同一です。基礎データは 7 月 31 日付大統領令 Annex I と、8 月 6 日付「Addressing Threats to the United States by the Government of the Russian Federation」を引用しています。The White House+1

国名関税率出所備考
アフガニスタン15%同上2025-08-07 発効
アルジェリア30%同上同上
アンゴラ15%同上同上
バングラデシュ20%同上同上
ボリビア15%同上同上
ボスニア・ヘルツェゴビナ30%同上同上
ボツワナ15%同上同上
ブラジル10%同上同上
ブルネイ25%同上同上
カンボジア19%同上同上
カメルーン15%同上同上
チャド15%同上同上
コスタリカ15%同上同上
コートジボワール15%同上同上
コンゴ民主共和国15%同上同上
エクアドル15%同上同上
赤道ギニア15%同上同上
欧州連合(Column 1 Duty Rate ≥ 15 %)0%同上Column 1 Duty Rate が15 %以上
欧州連合(Column 1 Duty Rate < 15 %)15 % − Column 1 関税同上Column 1 Duty Rate が15 %未満
フォークランド諸島10%同上同上
フィジー15%同上同上
ガーナ15%同上同上
ガイアナ15%同上同上
アイスランド15%同上同上
インド25 % → 50 %(2025-08-27 発効)EO (2025-07-31) Annex I + EO (2025-08-06)追加25 %はロシア産原油制裁関税。21 日後発効で合計50 %
インドネシア19%同上2025-08-07 発効
イラク35%同上同上
イスラエル15%同上同上
日本15%同上同上
ヨルダン15%同上同上
カザフスタン25%同上同上
ラオス40%同上同上
レソト15%同上同上
リビア30%同上同上
リヒテンシュタイン15%同上同上
マダガスカル15%同上同上
マラウイ15%同上同上
マレーシア19%同上同上
モーリシャス15%同上同上
モルドバ25%同上同上
モザンビーク15%同上同上
ミャンマー40%同上同上
ナミビア15%同上同上
ナウル15%同上同上
ニュージーランド15%同上同上
ニカラグア18%同上同上
ナイジェリア15%同上同上
北マケドニア15%同上同上
ノルウェー15%同上同上
パキスタン19%同上同上
パプアニューギニア15%同上同上
フィリピン19%同上同上
セルビア35%同上同上
南アフリカ30%同上同上
韓国15%同上同上
スリランカ20%同上同上
スイス39%同上同上
シリア41%同上同上
台湾20%同上同上
タイ19%同上同上
トリニダード・トバゴ15%同上同上
チュニジア25%同上同上
トルコ15%同上同上
ウガンダ15%同上同上
英国10%同上同上
バヌアツ15%同上同上
ベネズエラ15%同上同上
ベトナム20%同上同上
ザンビア15%同上同上
ジンバブエ15%同上同上

補足・解説

  • インドのみ変更
    • 8 月 6 日付 EO により 追加 25 % が課され、合計 50 %(25 % [相互関税]+25 % [制裁関税])となります。発効は 2025-08-27 0:01 EDT。経過措置として、同時刻以前に最終輸送モードに乗った貨物は 9 月 17 日まで旧税率が適用。The White House
  • その他の国・地域
    • 7 月 31 日 EO Annex I 以降、現時点では追加改訂なし。相互関税未掲載国には追加 10 % が適用される点に変更ありません。The White House

HS Code Finderの使い方:意見が違う場合のその理屈づけを理解する

スマートリングのHSコードの見解が国によって違っています。最新の商品なのでそういうこともありますが、違う場合に、その論点を明らかにすることができるのはうれしいです。

ご指摘のとおり、スマートリングのような新しい技術を使った製品は、国や地域によってHSコードの解釈が異なる場合があります。これは、製品のどの機能を「本質的な特性」と見なすかについて、各国の税関で見解が分かれる可能性があるためです。

現状をまとめると、主に以下の2つのHSコードが候補となり、地域によって判断が異なっています。


考えられるHSコードと各地域の傾向

候補1:HSコード 8517.62

  • 分類: データ通信用の機器(音声、画像その他のデータを送受信・変換するための機器)
  • 考え方: スマートリングを、スマートフォンと連携してデータを送受信する「通信デバイス」として捉える見方です。通知の表示、音楽の操作、NFC決済などの機能が重視される場合、この分類になる可能性が高まります。
  • 該当する地域: 欧州(EU)で有力な候補
    • EUでは、同様のウェアラブルデバイスである「スマートウォッチ」が、通信機能を理由にこの8517.62に分類される傾向が強いです。スマートリングについても、双方向のデータ通信機能があれば、同様に分類される可能性が高いと考えられます。

候補2:HSコード 9031.80

  • 分類: 測定用・検査用の機器(他の項に該当しないもの)
  • 考え方: スマートリングを、心拍数や睡眠、活動量などの生体データを「測定・検査するセンサーデバイス」として捉える見方です。通信はあくまで測定データを転送するための補助的な機能と解釈されます。
  • 該当する地域: 米国で分類実績あり
    • 先日お伝えした通り、米国税関は「Samsung Galaxy Smart Ring」について、複数の機能(測定、通信など)のうち、解釈通則3(c)(等しく考慮に値する項のうち、数字上の配列で最後に来る項に分類する)を適用し、この9031.80に分類しました。

比較まとめ

HSコード (Code)分類の根拠となる機能判断する可能性のある地域・根拠
8517.62通信機能を重視EUで有力。 スマートフォンからの通知受信や、双方向のデータ連携が主機能と判断される場合。
9031.80測定・検査機能を重視米国で実績あり。 主に生体データを記録・測定するセンサーとしての役割が主機能と判断される場合。

結論と日本での対応

現時点では、日本の税関がどちらの解釈を採用するかを示す公的な分類事例(事前教示)は見当たりません。

そのため、日本に輸入する際のHSコードは、製品の具体的な機能(NFC決済や通知機能の有無など)を税関に提示し、どちらのHSコードが妥当か判断を仰ぐ必要があります。

【最も確実な対応】

このような解釈が分かれる製品については、輸入前に日本の税関へ事前教示の照会を行うことを強くお勧めします。これにより、輸入申告前に正しいHSコードと関税率が確定するため、後々のトラブルを避けることができます。

AIを使ったHS Code Finder システム:スマートリングに関して調べてみた

現在、HSコードを特定するAIモデルを作っています。

せっかくですので、モデルの一例とその結果について皆さんに見てもらおうと思います。

AI: PerplexityでAIエンジンはChatGPTのo3-proを使ってモデルを構築

特定する商品:「スマートリング」という言葉で検索。スマートリングとはこのような商品。(写真は判断材料にしていない)

結果は以下の通り。

スマートリングのHSコード推定結果

推定HSコード: 8517.62

HSコードの詳細説明

スマートリングは、**第85類(電気機器及びその部分品)85.17項(電話機、携帯回線網用その他の無線回線網用の電話及びその他の機器)**に分類される可能性が最も高いと推定されます123。

具体的には、8517.62(音声、画像その他のデータを受信、変換、送信又は再生するための機器)に該当すると考えられます。この分類は、スマートリングが持つ以下の機能特性に基づいています:

主要機能と分類根拠

通信・データ処理機能

  • Bluetooth通信によるスマートフォン連携
  • データの送受信・同期機能
  • 通知機能(振動アラート等)

センサー機能

  • 心拍数モニタリング
  • 体温測定
  • 睡眠追跡
  • 活動量計測(歩数、消費カロリー)
  • 血中酸素濃度測定(SpO2)

分類上の争点

スマートリングの分類については、以下の可能性があり議論の余地があります:

  1. 85.17項(通信機器) – データ通信・処理機能が主要な場合
  2. 90.19項(その他の治療用機器) – 健康モニタリング機能を医療機器として捉える場合
  3. 71.17項(身辺用模造細貨類) – 装飾品としての側面(ただし電子機器のため可能性は極めて低い)

現在の国際的な分類傾向では、スマートリングの多機能性とデータ通信機能の重要性から、スマートウォッチと同様に85.17項に分類されることが一般的です12。

追加情報の必要性

より正確なHSコード判定のため、以下の情報があると精度が向上します:

  • 具体的な機能仕様(搭載センサーの詳細)
  • 通信方式(Bluetooth、NFC等の対応規格)
  • 主要な用途(健康管理中心/フィットネス中心/通知機能中心)
  • 素材・構造(リング本体の材質、防水性能等)
  • 電源方式(充電式/電池交換式)

類似製品との分類比較

スマートリングは、スマートウォッチやフィットネストラッカーと同様の機能を持つため、これらと同じ分類基準が適用される傾向があります3。ただし、形状や装着部位の違いは分類には影響しません。

推定精度:60%

この推定精度は、スマートリングという比較的新しい製品カテゴリーであること、また具体的な機能仕様により分類が変わる可能性があることを考慮しています。最終的な確認は、製品の詳細仕様を基に税関当局への事前教示照会をお勧めします。

  1. https://ppl-ai-file-upload.s3.amazonaws.com/web/direct-files/collection_a5abd4b8-7806-4a88-9eb1-08ac23d0369f/1fa0e9f5-6d79-43ff-ab8b-10c4cfd4898d/HSkoto-20221226-HSkotoFu-Fan-noJi-Chu-FFTAkonsaruteinku-Gu-Chuan-Shi.pdf
  2. https://ppl-ai-file-upload.s3.amazonaws.com/web/direct-files/collection_a5abd4b8-7806-4a88-9eb1-08ac23d0369f/2d9e3888-443f-4818-91f9-09744677de62/hainta1.pdf
  3. https://ppl-ai-file-upload.s3.amazonaws.com/web/direct-files/collection_a5abd4b8-7806-4a88-9eb1-08ac23d0369f/8afb091c-abf7-403f-bf09-e0d61e024c18/20250729_Yuan-Chan-Di-Gui-Ze-toPin-Mu-Fen-Lei.pdf
  4. https://ppl-ai-file-upload.s3.amazonaws.com/web/direct-files/collection_a5abd4b8-7806-4a88-9eb1-08ac23d0369f/a3cde781-612f-4951-9ec3-63ff5ff0bc5b/Ri-Ben-Guan-Shui-Xie-Hui-20121005-HSShang-Pin-intetukusu.pdf
  5. https://ppl-ai-file-upload.s3.amazonaws.com/web/direct-files/collection_a5abd4b8-7806-4a88-9eb1-08ac23d0369f/e1ebf537-8530-4e95-98e2-ca56ef2d5802/HS-Ji-Jie-Lei-noBu-Fen-Pin.pdf
  6. https://ppl-ai-file-upload.s3.amazonaws.com/web/direct-files/collection_a5abd4b8-7806-4a88-9eb1-08ac23d0369f/ca8da24d-3b03-4f9f-b290-7e676286fb9b/HSGuan-Shui-Lu-Biao-noJie-Shi-niGuan-suruTong-Ze-Chang-Lai-Tou-SMALL.pdf
  7. https://ppl-ai-file-upload.s3.amazonaws.com/web/direct-files/collection_a5abd4b8-7806-4a88-9eb1-08ac23d0369f/6003745f-16c4-4a0b-b128-6b9fc7699964/International-Regulations.pdf
  8. https://ppl-ai-file-upload.s3.amazonaws.com/web/direct-files/collection_a5abd4b8-7806-4a88-9eb1-08ac23d0369f/f4dd2ad4-4bbd-471b-8599-c720063b9d22/Shui-Guan-20250622-Guan-Shui-noShuo-Ming.pdf

この結果を皆さんはどう思われますか。

モデルの校正としては、与えられた文言で推定したHSコードとその推定精度も示しています。


そして、AIをClaude Opus 4.1 Thinkingに切り替えて再度チャレンジ。(枠組は、Perplexityのまま)

結果はこちら

スマートリングのHSコード推定結果

推定HSコード: 8517.62

HSコードの詳細説明

スマートリングは、**第85類(電気機器及びその部分品)85.17項(電話機、携帯回線網用その他の無線回線網用の電話及びその他の機器)**に分類される可能性が最も高いと推定されます。

具体的には、**8517.62号(音声、画像その他のデータを受信、変換、送信又は再生するための機器)**に該当すると考えられます。

分類の根拠

主要機能による分類判断

  • データ通信機能:Bluetooth、NFCによるスマートフォンとの連携
  • センサーデータ処理:心拍数、体温、睡眠パターン、活動量の測定・記録
  • 通知機能:振動による着信・メッセージ通知

国際的な分類傾向

  • WCO(世界税関機構)のウェアラブルデバイス分類指針
  • 類似製品(スマートウォッチ、フィットネストラッカー)の分類事例

分類上の争点と代替可能性

HSコード候補項目名適用可能性
8517.62通信機器(データ送受信機器)最有力 – 通信・データ処理が主機能
9019.20治療用機器(オゾン吸入器、酸素吸入器等)医療機器認証取得品の場合のみ検討
9018.90その他の医療用機器診断・治療目的が明確な場合
7117.19身辺用模造細貨類電子機能により該当しない

より正確な判定のための追加情報

HSコードの精度向上のため、以下の情報があると有用です:

製品仕様関連

  • 搭載センサーの詳細(心拍、SpO2、体温、加速度計等)
  • 通信規格(Bluetooth バージョン、NFC対応有無)
  • バッテリー仕様(充電式/交換式、連続使用時間)

用途・販売形態

  • 主要用途の明示(健康管理/フィットネス/医療用)
  • 医療機器認証の有無(各国の認証状況)
  • 製品カタログにおける機能説明

材質・構造

  • リング本体の材質(チタン、セラミック、樹脂等)
  • 防水性能(IPX等級)
  • サイズ展開と調整機能

推定の情報源

  • HS2022(最新版統一システム)の分類基準
  • 日本税関の事前教示事例
  • WCOのウェアラブルデバイス分類ガイドライン
  • 類似製品の国際分類事例

推定精度:60%

この精度評価は以下の要因を考慮しています:

  • スマートリングは比較的新しい製品カテゴリーであり、分類事例が限定的
  • 機能の多様性により、製品仕様次第で分類が変動する可能性
  • 医療用途と一般用途の境界が不明確な場合がある

最終的な確認は、具体的な製品仕様書を添えて税関当局への事前教示照会を行うことを強く推奨します。


商品的には意見が分れるようです。最後に以下の様な意見を添付します。

推定HSコード: 9031.80(第一候補)/ 8517.62(第二候補)

HSコードの詳細説明と分類の争点

Samsung Galaxy Smart Ringの分類については、実際に国際的な議論が存在しており、以下の2つの分類可能性があります:

1. 第90.31項(9031.80) – 測定用・検査用の機器

米国税関国境保護局(CBP)の公式判定では、Samsung Galaxy Smart Ringは9031.80.8085(測定用・検査用の機器、器具及び機械)に分類されています。この分類は以下の機能に基づいています:

  • 生体信号の測定機能が主要機能として認識
  • 心拍数、体温、血中酸素濃度の継続的な測定
  • 睡眠パターンや活動量の定量的測定

2. 第85.17項(8517.62) – 通信機器

一方、類似のスマートウォッチ(Samsung Galaxy Gear、Apple Watch等)は8517.62に分類される事例があり、スマートリングも同様に分類される可能性があります:

  • Bluetooth通信機能によるデータ送受信
  • スマートフォンとの連携による通知機能
  • データの変換・送信・処理機能

Samsung Galaxy Smart Ringの具体的機能

製品の実際の機能仕様に基づく分析

機能カテゴリー詳細仕様
センサー技術– 加速度センサー(身体の動きと活動を追跡)
– 光学生体信号センサー(心拍数モニタリング)
– 皮膚温度センサー(睡眠中の体温変化測定)
通信機能– Bluetooth接続によるスマートフォン連携
– データの同期と送信
– 通知の受信(振動アラート)
測定・分析機能– エネルギースコアの算出
– 睡眠の質の分析
– 月経周期トラッキング
– 自動ワークアウト検出
物理仕様– 幅7mm、厚さ2.6mm、重量2.3g
– チタニウム製フレーム
– 10ATM防水性能

分類判定の根拠と考察

9031.80を支持する要因:

  • 米国CBPの公式判定実績がある
  • 健康指標の継続的な測定が主要機能
  • センサーによる生体データの定量的測定に重点

8517.62を支持する要因:

  • Galaxy AIによるデータ処理・分析機能
  • Bluetooth通信による常時接続とデータ送受信
  • スマートウォッチと同等の多機能性

地域による分類の相違可能性

HSコードの適用は各国・地域の税関当局により異なる可能性があり:

  • 米国:9031.80.8085として分類
  • 日本・EU:8517.62として分類される可能性も

追加確認が必要な情報

より正確な判定のため、以下の情報があると有用です:

  • 輸入国・地域の指定
  • 医療機器認証の有無
  • 主要用途の明確化(健康モニタリング中心か、通信機能中心か)
  • 販売時の製品カテゴリー表記

推定精度:75%

Samsung Galaxy Smart Ringについては米国での公式分類事例(9031.80)が存在するため、一般的なスマートリングより高い確度で推定できます。ただし、日本を含む他国での分類は異なる可能性があるため、最終的には輸入予定国の税関当局への事前教示照会を強く推奨します。

FTA-BPOセミナー012 「HSコード:汎用品と専用品」

FTA-BPOセミナー012 「HSコード:汎用品と専用品」の日時が決まりました。
人気のHSコード解説、今回は汎用品と専用品に焦点を当てます。
HSコードを付番するときに悩む点、汎用品なのか専用品なのか。その難関を専門家篠崎氏が解説します

■■ 講演者 ■■
一般社団法人日本通関業連合会 講師 篠﨑 透 氏

■■ 開催日時 ■■
2025年10月15日(水) 14:00~15:00

■■ 開催場所 ■■
Webのみでの開催(Teams利用予定)

セミナーへのご参加は、実際にFTAを活用する企業に限定させていただきます。
お申し込みの後、セミナー当日午前中にご参加頂く方にリンクをお送りいたします。

■■ 申込み ■■
こちらからお申し込み下さい。

2025年8月3日時点で公表・報道されている「相互関税」最新一覧

国名関税率出所備考
Afghanistan15%ホワイトハウス大統領令(2025-07-31)
Algeria30%同上
Angola15%同上
Bangladesh20%同上
Bolivia15%同上
Bosnia and Herzegovina30%同上
Botswana15%同上
Brazil50%ロイター通信(2025-08-01)大統領令上は10% → 報道で50%に上方修正(特定品目除外あり)
Brunei25%ホワイトハウス大統領令(2025-07-31)
Cambodia19%同上
Cameroon15%同上
Chad15%同上
Costa Rica15%同上
Côte d’Ivoire15%同上
Democratic Republic of the Congo15%同上
Ecuador15%同上
Equatorial Guinea15%同上
European Union可変同上現行税率15%未満の品目は不足分を上乗せし15%に、15%以上は追加0%
Falkland Islands10%同上
Fiji15%同上
Ghana15%同上
Guyana15%同上
Iceland15%同上
India25%同上
Indonesia19%同上
Iraq35%同上
Israel15%同上
Japan15%同上
Jordan15%同上
Kazakhstan25%同上
Laos40%同上
Lesotho15%同上
Libya30%同上
Liechtenstein15%同上
Madagascar15%同上
Malawi15%同上
Malaysia19%同上
Mauritius15%同上
Moldova25%同上
Mozambique15%同上
Myanmar (Burma)40%同上
Namibia15%同上
Nauru15%同上
New Zealand15%同上
Nicaragua18%同上
Nigeria15%同上
North Macedonia15%同上
Norway15%同上
Pakistan19%同上
Papua New Guinea15%同上
Philippines19%同上
Serbia35%同上
South Africa30%同上
South Korea15%同上
Sri Lanka20%同上
Switzerland39%同上
Syria41%同上
Taiwan20%同上
Thailand19%同上
Trinidad and Tobago15%同上
Tunisia25%同上
Turkey15%同上
Uganda15%同上
United Kingdom10%同上
Vanuatu15%同上
Venezuela15%同上
Vietnam20%同上
Zambia15%同上
Zimbabwe15%同上
Canada35%ロイター通信(2025-08-01)USMCA対象外品目に適用
Mexico30%(計画)ロイター通信(2025-08-01)非自動車・非金属品目は90日延期

出所の凡例

  • ホワイトハウス大統領令 = “Further Modifying the Reciprocal Tariff Rates” (2025年7月31日発令)
  • ロイター通信 = 2025年8月1日付報道