RCEP Back-to-Back CO申請に必要な書類

韓国関税庁のRCEP運用指針(第3.19条に基づく)では必要書類を4点に明示しており 、日本商工会議所での申請もほぼ同様の書類構成です 。jetro.go+1


必要書類リスト(発給申請時)

① 元の原産地証明書(最重要)

最初の輸出国が発行した有効なRCEP原産地証明書の原本 。一定の条件下では認証された真正な写し(Certified True Copy)での代替が認められています 。なお元COの有効期間(1年)内であることを必ず確認します 。jaftas+1

② 輸出申告書の写し(または送り状・取引契約書)

中間締約国(中継国)から最終輸入国へ向けた受領済みの輸出申告の写し、またはインボイス・取引契約書のいずれか 。[jetro.go]​

③ 同一性証明書類

輸入した品目と再輸出する品目が同一であることを証明する書類 。具体的には以下が該当します。[jetro.go]​

  • パッキングリスト(品番・数量・重量の一致を確認)
  • 倉庫保管証明書または在庫記録
  • 加工・製造が行われていないことを示す書類(非加工証明)

④ 輸入申告書の写し(または保税地域搬入申告書)

中間締約国への輸入時の受領済み輸入申告書の写し 。保税地域に保管している品目の場合は保税地域搬入申告書で代替可能です 。[jetro.go]​


日本商工会議所の発給申請に必要な書類

日本が中間締約国の場合、日本商工会議所へのシステム申請時には以下を準備します 。jcci.or+1

書類必須/任意備考
元のRCEP原産地証明書(原本またはCTC)必須有効期限確認 [jaftas]​
輸入許可書(Import Permit)の写し必須日本への輸入通関書類 [jcci.or]​
輸出インボイス(Export Invoice)必須日本から最終輸入国向けのもの [jcci.or]​
パッキングリスト必須品目・数量・重量の確認用 [jcci.or]​
船荷証券(B/L)またはAWB必須輸送方法に合わせて [jcci.or]​
原産品判定依頼書(原産性確認済み)必須事前に日本商工会議所の判定を取得しておく [jcci.or]​
非加工証明書または同一性証明求められた場合日本での加工が行われていないことの証明 [jetro.go]​
分割出荷時:数量残高管理表分割時必須累計数量が元COを超えないことの確認 [blog.naver]​

CO様式への必要的記載事項(附属書3B)

RCEPのBack-to-Back COには、通常のCOの必要的記載事項(附属書3B)に加えてBack-to-Back CO固有の記載事項が求められます 。tokushuko+1

附属書3B Back-to-Back CO固有の必須記載事項:

【Box 14相当欄】
① 最初の原産地証明書の参照番号(番号)
② 最初の原産地証明書の発給年月日
③ 最初の原産地証明書の発給国(締約国名)
④ RCEP原産国(最初の輸出締約国)
⑤ 元COが認定輸出者による自己申告の場合:認定輸出者の認定番号

【Back-to-Back COチェック欄】
→ 韓国様式の場合はBox 17にチェック(√)[web:162]
→ 日本発行様式はBox 11相当欄に明記 [web:169]

書類管理の保存期間

RCEPでは、輸出者・発給機関とも原産地証明に関連する全書類を最低5年間保存することが求められます 。Back-to-Back COの場合は元COを含む全証跡が保存対象となります。[customs.go]​


RCEP特有の注意:同一性証明の厳格化

③の**「輸入品と再輸出品の同一性証明」**はRCEPで特に重視されます 。中継国での作業が協定上の「加工」に該当するか否かの判断に関わるためです 。分割・仕分け・ラベル貼付・リパレタイズのいずれかが行われた場合、それが協定上の「加工」にあたるかどうかを事前に発給機関または税関に確認しておかないと、後から同一性否定を理由に特恵が取り消されるリスクがあります 。blog.naver+2

RCEPバック・トゥ・バックCO(連続する原産地証明)の発給手順

RCEPのBack-to-Back COは第3.19条「連続する原産地証明」に根拠があり、ATIGAやAJCEPと比べて発給主体の選択肢が多く、日本商工会議所も発給に対応しています 。jaftas+1


① 発給主体の選択(3種類)

RCEPは発給方法が最も柔軟で、以下の3主体から選択できます 。[jaftas]​

発給主体方法条件
中間締約国の発給機関機関発給(第三者証明)輸出者または代理人が申請 [jaftas]​
認定された輸出者(AE)自己証明経済産業大臣による認定が必要(日本の場合)[jaftas]​
輸出者(一般)自己申告RCEP協定上認められるが、各国国内法で対応状況が異なる [tokyo-cci.or]​

日本では**日本商工会議所(発給機関)または認定輸出者(自己証明)**のいずれかで対応します 。[jcci.or]​


② 日本が中継国の場合の発給手順(日本商工会議所)

日本商工会議所の発給申請システム(電子申請)を使用します 。jcci.or+1

STEP 1:元COの確認
└── 有効なRCEP原産地証明(原本またはCertified True Copy)を入手
└── 発給日を確認し、1年以内の有効期限内であることを確認 [web:163]

STEP 2:システムログイン
└── 日本商工会議所の特定原産地証明発給システムにログイン [web:157]
└── メニューから「連続する原産地証明書(Back to Back CO)発給申請」を選択 [web:164]

STEP 3:申請情報の入力
└── 元COの参照番号・発給日・発給国を入力(必須)[web:153]
└── 中間締約国(日本)のFOB価格を入力
└── 分割出荷の場合は当該分の数量・価額を入力 [web:154]

STEP 4:書類の添付
└── 元CO(原本スキャンまたはCertified True Copy)
└── 輸出インボイス(日本からの輸出分)
└── パッキングリスト・B/L

STEP 5:手数料の支払いと証明書受け取り
└── 基本料2,000円+加算額を納付 [web:160]
└── 電子証明書(PDF)または紙証明書を受け取る

③ RCEPのCOフォームへの記載(Back-to-Back CO専用欄)

RCEPのCO(様式は締約国が決定)では以下の欄を特に注意します 。tokushuko+1

記載欄内容
Box 11(または相当欄)「BACK-TO-BACK CO」にチェックまたは明記
Box 14(または相当欄)元COの参照番号・発給日・発給国・RCEP原産国を記載 [tokushuko.or]​
認定輸出者番号元COが認定輸出者による自己証明の場合はその認定番号も記載 [tokushuko.or]​
有効期限元COの有効期間を超えない日付を設定 [jaftas]​

④ RCEP第3.19条の発給条件(全要件)

条件内容
元COの提示有効な原産地証明の原本またはCertified True Copy [jaftas]​
有効期間の順守Back-to-Back COの有効期間が元COの有効期間を超えないこと [jaftas]​
情報の記載元COの発給日・番号を必ず記載(附属書3B要件)[jaftas]​
検認の適用第3.24条の確認手続きが連続する原産地証明にも適用 [jaftas]​
分割出荷同一方式・同一発給機関に申請すること(複数への分割販売時)[blog.naver]​

⑤ ATIGAとRCEPの手順比較

手順上の差異ATIGA(Form D)RCEP
日本での発給機関日本はATIGA締約国外のため不可日本商工会議所が対応 [jcci.or]​
電子申請システム各国発給当局のシステム(シンガポールはTradeNet)[customs.gov]​日本は特定原産地証明発給システム [jcci.or]​
分割出荷の制約同一中継国内の累計管理 [vntr.moit.gov]​同一方式・同一発給機関へ申請義務 [blog.naver]​
自己証明との組み合わせATIGAでCE制度あり [global-scm]​認定輸出者・輸出者自己申告の3方式から選択可 [jaftas]​
コンソリ制限元COは1か国発行のものに限る [miti.gov]​分割出荷時は同一発給機関制約あり [blog.naver]​
FOB価格記載Box 9に中継国FOBを記載必須 [vntr.moit.gov]​中間締約国のFOB価格を記載 [tokushuko.or]​
有効期限の起点元CO発給日から12か月 [global-scm]​元CO発給日から1年以内 [jaftas]​

実務上の重要注意点

分割出荷時は「同一発給機関への申請義務」が課されます 。例えば元CO1通に対して輸入者AとBに分けて販売する場合、AとBの両Back-to-Back CO申請を同じ商工会議所または同じ発給機関に行わなければなりません。異なる機関に分けて申請すると協定違反となります 。この制約はATIGAにはなくRCEP固有の要件であるため、複数顧客に分割販売するスキームを設計する際には特に注意が必要です。[blog.naver]​

RCEPとAJCEPのBack-to-Back CO比較

**最大の違いは「日本の発給機関(日本商工会議所)が対応しているかどうか」**です 。日本商工会議所はAJCEPのBack-to-Back CO発給を行わないのに対し、RCEPでは発給しています 。jaftas+1


根本的な差異:日本側の発給対応

AJCEPでは、日本国内で「中継国として原産資格が変更されていないことを確認する方法が困難」という実務上の理由から、現時点では日本商工会議所がAJCEPのBack-to-Back COを発給しないと公式に決定されています 。これは協定上認められていても運用上発給しないという判断であり、日本が中継国になる三国間取引ではAJCEPが使えないことを意味します。[jcci.or]​

一方RCEPは、日本商工会議所がBack-to-Back COの発給に対応しており 、シンガポール税関も「日本からの輸出COに基づいてBack-to-Back COを発給できる」と明示しています 。tokushuko+1


主要項目の比較表

比較項目AJCEP(Form AJ)RCEP
根拠条文Annex 4 OCP Rule 3(4) [jcci.or]​第3.19条 [tokushuko.or]​
日本商工会議所の発給不可(公式決定)[jcci.or]​ jaftas+1
日本が中継国の場合実質不可 [jcci.or]​対応可 [tokushuko.or]​
締約国の範囲日本+ASEAN10か国(11か国)[customs.go]​日本・ASEAN10か国・中国・韓国・豪州・NZ(15か国)[tokushuko.or]​
自己証明(認定輸出者)国によって未整備 [global-scm]​認定輸出者制度あり(日本では経済産業大臣認定)[jetro.go]​
発給様式Form AJ(Box 13にチェック)[damvietxnk.weebly]​締約国が決定する様式・英語作成 [tokushuko.or]​
有効期間発給日から12か月 [global-scm]​発給日から1年間 [tokushuko.or]​
遡及発給との組み合わせ遡及発給COを元COとして使用可 [global-scm]​船積後1年以内に遡及発給可・Back-to-Back COとの組み合わせ可 [tokushuko.or]​
税関管理下の要否原則として管理下での確認が必要 [global-scm]​税関管理下にあるか否かを問わない(ただし検認対象)[tokushuko.or]​
インドネシアでの受理シンガポール発行分の拒否事例あり [jmcti]​RCEPで別途確認が必要
中国・韓国との取引対象外対象(RCEPの強み) [bakermckenzie.co]​

RCEPの「税関管理下を問わない」規定の重要性

ATIGAやAJCEPでは中継国での貨物管理が**「税関管理下にあること」を実質的な前提としており、一般倉庫に搬入した後の非加工確認が困難になる問題がありました 。RCEPはこの制限を「税関管理下か否かを問わない」**と緩和しており 、工場や民間倉庫に入庫した貨物に対してもBack-to-Back COの申請が理論上可能です。ただし検認の対象にはなるため、証跡管理の重要性は変わりません 。jetro.go+1


協定選択の実務的判断フロー

三国間取引のBack-to-Back COを検討する場合

├─ 日本が中継国か?
│ YES → RCEP一択(AJCEPは日本JCCI発給不可)[web:152]
│ NO → 次へ

├─ 中国・韓国・豪州・NZが絡む取引か?
│ YES → RCEP一択(AJCEPは対象外)[web:156]
│ NO → 次へ

├─ 最終輸入国がインドネシアか?
│ YES → ATIGAを第一候補(AJCEPの拒否事例あり)[web:17]
│ NO → 次へ

└─ ASEAN間の取引でシンガポール中継?
YES → ATIGAまたはAJCEP(シンガポール発給実績が最も豊富)[web:141]

実務上の結論

Back-to-Back COの汎用性・日本側の対応・締約国の広さの観点では、RCEPがAJCEPを上回っています 。AJCEPはASEAN側の発給機関が中継国になる案件(シンガポール・タイ・マレーシア等)では引き続き有効ですが、日本が三国間取引の中継点になる案件ではRCEPへの切り替えが現状の最有力な選択肢です 。jetro+1

AJCEPなどでBack-to-Back COの適用が難しい理由

Back-to-Back COは制度として存在していても、協定の構造・各国の国内整備・書類管理の複雑さという三層の障壁が重なることで実務上の難易度が高くなります 。jetro+1


理由①:「任意規定」であるため各国の国内法に委ねられる

AJCEPのOCP Rule 3(4)は「中継国の発給当局が発行できる(may issue)」という任意規定です 。これは「発行しなくてもよい」ことを意味するため、各国が国内法や運用手続きを整備していなければ事実上発行されません 。シンガポールはTradeNetで電子化済みのため対応できますが、ベトナムは年間数件程度しか発給実績がなく具体的な運用細則が存在しません 。jaftas+1


理由②:日本商工会議所はAJCEPのBack-to-Back COを発給しない

日本がASEAN国からの貨物を中継して別のASEAN国へ再輸出する場合、日本側の発給機関である日本商工会議所はAJCEPのBack-to-Back COを発給していません 。同じ日本商工会議所がRCEPのBack-to-Back COは発給しているため、協定によって対応が分かれています 。さらに日本とASEAN国間の二国間EPA(JVEPA等)ではBack-to-Back CO制度そのものが規定されていないため利用不可です 。jetro+1


理由③:「非加工証明書」の取得が構造的に難しい

中継国での加工が行われていないことを証明する**非加工証明書(Proof of Non-Manipulation)**は、Back-to-Back CO申請の核心書類ですが、発行機関・様式・取得手続きが協定や国ごとにバラバラです 。[jetro.go]​

非加工証明書の現状
シンガポールTradeNetで手続き完結。発給当局が電子的に確認 [mofa.go]​
タイ税関管轄下にある貨物なら発行可。実質加工なければ認める [mofa.go]​
ベトナム発行機関が明確でなく、担当者が現地倉庫へ出向いて目視確認 [jetro.go]​
インドネシア書類審査が厳格。提示できない場合は拒否 [jmcti]​

理由④:複数の協定・条文を同時に管理しなければならない

Back-to-Back COは「元CO」「中継国でのBack-to-Back CO」「最終輸入国での受理」という三段階が異なる協定・異なる国の法令に基づくため、1つの取引で最低3つの法的根拠を並行管理する必要があります 。[global-scm]​

① 最初の輸出国(例:日本)
↓ AJCEP OCP Rule 2 に基づくForm AJ発行
② 中継国(例:シンガポール)
↓ AJCEP OCP Rule 3(4)・IR Rule 9に基づくBack-to-Back Form AJ発行
↓ + シンガポール国内のCustoms Act・TradeNet規則
③ 最終輸入国(例:ベトナム)
↓ ベトナム国内規則による受理・特恵適用の可否判断

これに対してATIGAは10か国のASEAN内だけで完結し、共通のOCPが機能しているため、相対的に管理が容易です 。[mofa.go]​


理由⑤:書類の「紐付け」が弱いと検証リスクが急増する

Back-to-Back COには元COの参照番号・発給日・発給機関が正確に記載されていなければならず、最終輸入国の税関から検証(Verification)が来た際には中継国の発給当局にまで調査が及びます 。コンソリ出荷(複数の元COを束ねる場合)では照合ポイントが倍増し、1つの番号の誤りで全ロットのFTA特恵が否定されるリスクがあります 。[global-scm]​


理由⑥:各国税関の「解釈の相違」が解消されていない

ATIGAとAJCEPの条文はほぼ同じ内容ですが、「どの協定のBack-to-Back COを受け入れるか」は最終的に各国税関の運用次第であり、ASEAN全体での統一解釈がありません 。インドネシアがシンガポール発行のAJCEP Back-to-Back COを拒否した事例はその典型であり、日本機械輸出組合が複数年にわたり「ASEAN域内での統一・明確化」を要望しているにもかかわらず未解決のままです 。[jmcti]​


制度的な抜け道:RCEPへの切り替え

こうした困難を回避する手段として、RCEP(東アジア地域包括的経済連携)のBack-to-Back COへの切り替えが選択肢となります 。RCEPは日本・ASEAN・中国・韓国・豪州・ニュージーランドをカバーする広域FTAであり、日本商工会議所もRCEPのBack-to-Back CO発給に対応しています 。AJCEPで壁にぶつかった案件でも、RCEP経由で同等の特恵税率が得られるか確認することが有効な実務的対応です 。tarifflabo+1

AJCEP Form AJ(Back-to-Back CO)の記入サンプル

Form AJはATIGAのForm Dとほぼ同じ構成ですが、Box番号の振り方と一部項目の名称が異なります 。以下でBack-to-Back COとして発行する場合の記入ポイントを各Boxごとに解説します。[scribd]​


Form AJ 全体レイアウト(Back-to-Back CO版)

┌────────────────────────────────────────────────────────────┐
│ CERTIFICATE OF ORIGIN Form AJ(AJCEP) │
│ Reference No. ___________ │
├──────────────────────┬─────────────────────────────────────┤
│ Box 1: Exporter │ Box 2: Production Method │
│ (中継国の輸出者) │ (空欄または該当記載) │
├──────────────────────┤ │
│ Box 3: Importer │ │
│ (最終輸入国の輸入者)│ │
├──────────────────────┴──────────────┬────────────────────┤
│ Box 4: Means of Transport / Route │ Box 4: For Official│
│ (輸送手段・経路) │ Use(公用欄) │
├──────────────────────────────────────┴────────────────────┤
│ Box 5: Item No. │ Box 6: Pref. Criteria │ Box 7: Qty │
│ Box 8: Inv. No & Date │
│ Box 9: Gross Weight / FOB Value ← Back-to-Back COは必記 │
├────────────────────────────────────────────────────────────┤
│ Box 10: Declaration by Exporter(輸出者申告) │
├────────────────────────────────────────────────────────────┤
│ Box 11: Certification by Issuing Authority(発給機関認証) │
├────────────────────────────────────────────────────────────┤
│ Box 12: Remarks(備考欄)← 元COの参照番号・発給日を記入 │
├────────────────────────────────────────────────────────────┤
│ Box 13: □ Third Country Invoicing │
│ ☑ Back-to-Back CO ← 必ずチェック │
│ □ Issued Retroactively │
└────────────────────────────────────────────────────────────┘

Box別の記入方法(Back-to-Back CO専用ポイント)

Box 1:Exporter(輸出者)

中継国(シンガポール等)の輸出者の名称・住所を記載します 。最初の輸出国(日本など)の輸出者ではありません。三国間インボイス(Third Country Invoicing)の場合、インボイスを発行している国が中継国と異なる場合があるため注意します 。jetro+1

Box 3:Importer(輸入者)

最終輸入国の輸入者の名称・住所を記載します。

Box 4:Means of Transport & Route(輸送手段・経路)

中継国(例:シンガポール)から最終輸入国(例:ベトナム)への輸送情報を記載します 。中継国への入港情報ではなく中継国からの出発情報です。[jetro.go]​

Box 6:Preference Criteria(原産基準)

元COで使用した原産基準をそのまま引き継ぎます 。Back-to-Back COで新たに原産性を判定するわけではないため、元COの基準コード(例:「B」「C」「D」等)を転記します 。jcci+1

Box 9:Gross Weight / FOB Value

Back-to-Back CO最大の記入上の注意点です 。[mofa.go]​

状況Box 9の記載
全量輸出(元COと同数量)中継国のFOB価格を記載
分割輸出(元COの一部)分割分に案分した中継国のFOB価格を記載 [global-scm]​
RVC基準不使用の場合FOB価格記載を省略できる国あり(ただしBack-to-Back COは記載推奨)[mofa.go]​

Box 12:Remarks(備考欄)

元COの参照情報を必ず記載します 。[customs.go]​

記載例:
Back-to-Back CO issued on the basis of Original Form AJ
No. [元COの番号], issued on [元COの発給日] by [元COの発給機関名],
[最初の輸出国名]

例:

“Back-to-Back CO issued on the basis of Original Form AJ No. AJ/JP/2025/001234, issued on 10 January 2025 by Japan Chamber of Commerce, Japan”

Box 13:チェックボックス(最重要)

「Back-to-Back CO」の□に必ずチェック(√)を入れます 。これがないとBack-to-Back COとして認識されません。協定条文(OCP Rule 3(4))にも、「Box 13のBack-to-Back COにチェックを入れること」が明記されています 。[scribd]​


記入完成イメージ(日本→シンガポール→ベトナム)

Box記入内容
Box 1 ExporterABC Trading Pte. Ltd., 123 Orchard Road, Singapore 238823
Box 3 ImporterXYZ Co., Ltd., 456 Nguyen Hue, Ho Chi Minh City, Vietnam
Box 4 TransportVessel “PACIFIC STAR”, Dep. Singapore 5 Feb 2026 → Ho Chi Minh City
Box 5 Item No.1
Box 6 CriteriaB(CTH+RVC40%)[jcci.or]​
Box 7 Qty500 cartons / 5,000 kg
Box 8 InvoiceINV-SG-2026-0201, dated 1 Feb 2026
Box 9 FOB ValueSGD 50,000(シンガポールのFOB価格)[global-scm]​
Box 12 RemarksBack-to-Back CO issued on the basis of Original Form AJ No. AJ/JP/2025/9876, issued 10 Jan 2025 by JCCI, Japan [customs.go]​
Box 13☑ Back-to-Back CO [scribd]​

日本発行のForm AJ(特定原産地証明書)との違い

日本がASEAN国へ直接輸出する際の特定原産地証明書は日本商工会議所が発行する「AJCEP Form AJ(日本側書式)」ですが 、Back-to-Back CO案件ではASEANの発給機関が発行するASEAN側Form AJが使われます 。書式は同一ですが、発給機関欄(Box 11)の記載内容が日本商工会議所からシンガポールやタイ等の機関に変わります。最終輸入国の税関がどちらの書式であるかを問わずBox 13のBack-to-Back COチェックが入っていることを確認するため、この欄の漏れが最も多い形式ミスとなります 。jcci+3

日・ASEAN EPA(AJCEP)Back-to-Back COの発給手順

AJCEPのBack-to-Back COはOCP Rule 3(4)とImplementing Regulations(IR)Rule 9に基づいて発行されます 。ATIGAとは根拠条文・様式・申請書類の一部が異なるため、以下に専用の手順を整理します。global-scm+1


① 案件開始前の事前確認

AJCEPのBack-to-Back COは各国国内法に委ねられた任意規定のため、中継国の発給当局と最終輸入国の税関の両方に「Form AJ Back-to-Back COを受理するか」を文書で確認することが最初のステップです 。特に最終輸入国がインドネシアの場合、シンガポール発行のAJCEP Back-to-Back COを拒否した実例があるため、ATIGAへの切り替えを先に検討します 。jcci+1


② 元COの取得と確認

中間輸出締約国(最初の輸出国)が発行した**有効なCO(Form AJ)の原本または認証謄本(Certified True Copy)**を取得します 。AJCEPでは遡及発給されたCO(Issued Retroactively欄がチェック済み)も元COとして使用できます 。bruneitrade.mofe.gov+1


③ 中継国の発給当局への申請

中継国の発給当局(商工会議所または政府機関)へ以下の書類を提出します 。global-scm+1

書類備考
Back-to-Back CO発給申請書中継国所定の書式
元CO(Form AJ)原本または認証謄本有効期限(発給日から12か月)内のもの [global-scm]​
中継国からの輸出インボイス最終輸入国向けのもの
パッキングリスト数量・重量の確認用
船荷証券(B/L)またはAWB輸送形態に合わせて
非加工証明書(Proof of Non-Manipulation)中継国で加工が行われていないことの証明(要求がある場合)[global-scm]​

④ Form AJのBack-to-Back COとしての記載方法

発行されるForm AJには、通常の記載事項に加えて以下を明記します 。customs+2

textBox 13(Remarks欄)
  └── "Back-to-Back CO"の□にチェック(√)を入れる ← 必須 [web:123]
  └── 元COの参照番号・発給日・原産国を記載

Box 9(FOB価格欄)
  └── 中継国のFOB価格を記載

分割出荷の場合(Implementing Regulations Rule 9)
  └── 当該分割出荷分の価額(Partial Export Value)と数量を記載
  └── 累計発行数量が元COの総数量を超えないこと [web:121][web:115]

⑤ 発給後の管理と最終輸入国への提出

発給されたForm AJ(Back-to-Back CO)は発給日から12か月以内に最終輸入国の税関へ提出します 。提出と同時に以下も保管します。[global-scm]​

  • 元COの原本またはスキャンデータ(検証要請に備えて)
  • 数量残高台帳(分割出荷時の累計管理)
  • インボイス・B/L等の輸出書類一式

ATIGAとAJCEPの手順の主な相違点

手順上の差異ATIGA(Form D)AJCEP(Form AJ)
Box 13の記載Back-to-Back CO専用参照番号欄に記載 [global-scm]​Box 13の「Back-to-Back CO」チェックボックスにチェック customs+1
分割出荷の根拠OCP Annex 8 Rule 11(c) [vntr.moit.gov]​Implementing Regulations Rule 9 mofa.go+1
COの有効期限発給日から12か月 [global-scm]​発給日から12か月(同じ)[global-scm]​
日本が輸出国の場合日本はATIGA締約国でないため不可対応可。日本発行のForm AJを元COとして使える [jetro.go]​
コンソリ出荷Rule 11(1)(2)で規定(元COは1か国のみ)[miti.gov]​OCP Rule 3(4)・IR Rule 9に基づくが制限は同様 [mofa.go]​
自己証明(Origin Declaration)ATIGAでCE制度が整備済み [global-scm]​AJCEP側では未整備の国が多い [global-scm]​

日本が中継国になる場合の注意点

AJCEPの特徴として、日本が中継国(中間締約国)となるケースが理論上あり得ます。例えばASEAN国A→日本(倉庫)→ASEAN国B という商流です。この場合は日本商工会議所または日本税関がBack-to-Back Form AJを発行することになります 。ただし日本国内でのAJCEP Back-to-Back COの発給実績は極めて少なく、案件前に日本商工会議所または税関への事前照会が必須です 。[jcci.or]​

日・ASEAN EPA(AJCEP)でのBack-to-Back CO利用可否

AJCEPでBack-to-Back COは協定上「利用可能」ですが、「中間締約国の発給当局が発行できる(may issue)」という任意規定(Optional)であるため、各国の国内法・運用に依存します 。bruneitrade.mofe.gov+1


協定上の根拠:Annex 4 OCP Rule 3(4)

AJCEPのBack-to-Back COは、**Annex 4(運用上の証明手続:OCP)のRule 3(4)**に規定されています 。条文の骨子は以下のとおりです。tarifflabo+1

「輸出締約国の発給当局が発行した有効な元CO(Original CO)の提示を条件に、輸出者または代理人の申請があれば、中間締約国(輸入締約国)の発給当局はBack-to-Back COを新たなCOとして発行できる(may issue)。」
― AJCEP Annex 4 OCP Rule 3(4)(a)[bruneitrade.mofe.gov]​

さらにRule 3(4)(b)では、Back-to-Back COにおける原産国の扱いが明確化されており、「元COを発行した締約国(最初の輸出国)の原産品として取り扱う」と規定されています 。[bruneitrade.mofe.gov]​


AJCEP Back-to-Back COのForm AJへの記載方法

形式面ではForm AJの第13欄(Box 13)に「Back to Back CO」のチェックボックスがあり、そこにチェックを入れることで連続する原産地証明書と認定されます 。この記載がなければ最終輸入国の税関に通常のForm AJと誤認されるリスクがあります。[jetro.go]​


ATIGAとAJCEPの利用可否・実務条件比較

比較項目ATIGA(Form D)AJCEP(Form AJ)
根拠条文Annex 8 OCP Rule 11 [vntr.moit.gov]​Annex 4 OCP Rule 3(4) [bruneitrade.mofe.gov]​
発行の性質任意(may issue) [vntr.moit.gov]​任意(may issue) [bruneitrade.mofe.gov]​
対象当事国ASEAN10か国間のみ日本+ASEAN10か国(11か国)[jetro.go]​
日本が絡む取引原則不可(ATIGAは日本を除くASEAN間)対応可(日本が輸出国・輸入国になれる) [jetro.go]​
Form の記載欄Back-to-Back CO専用欄(参照番号・発給日)[global-scm]​Box 13にチェック [jetro.go]​
分割出荷Rule 11(c)で規定 [vntr.moit.gov]​Implementing Regulations Rule 9で規定 [mofa.go]​
インドネシアでの受理概ね可シンガポール発行のものを拒否した実例あり [jmcti]​
国内整備状況ATIGAの方が整備が進む国によって未整備 [tarifflabo]​

AJCEPが持つ特有の強み:累積制度との組み合わせ

AJCEPはATIGAにはない**日本・ASEAN10か国全体での累積(ASEAN-wide cumulation)**が認められているため、日本製部品をASEAN国で加工した産品をASEAN別国へ再輸出する三国間取引でBack-to-Back COが最も力を発揮します 。[mizuho-rt.co]​

text例:日本(部品供給)→タイ(完成品製造)→シンガポール(中継)→ベトナム(輸入)
         日本製部品のRVC             AJCEP Back-to-Back CO
      がタイ原産品のRVC計算に                で
          累積される          ベトナムがATIGA/AJCEP特恵を受ける

ATIGAでは日本が締約国でないため日本製部品を累積できませんが、AJCEPであれば日本製部品の価値をASEAN国の原産資格計算に算入でき、より高い原産品認定率が期待できます 。[mizuho-rt.co]​


実務上の重要注意点

AJCEPのBack-to-Back COをインドネシアへの輸入に使う場合は、シンガポール税関発行のForm AJを認めないという実例が報告されているため、ATIGAへの切り替えを先に検討する必要があります 。また、AJCEPの分割出荷Back-to-Back COは単独の協定条文ではなくImplementing Regulations Rule 9に規定されており、ATIGAのOCP Rule 11とは参照すべき文書が異なる点にも注意が必要です 。mofa.go+1

ATIGAフォームDでのBack-to-Back CO条件(Annex 8 Rule 11)

ATIGA Back-to-Back COの条件は、Annex 8(OCP:Operational Certification Procedures)のRule 11に明示されています 。2020年のOCP改正でRule 11が大幅改訂されており、改正後の内容を条文ベースで整理します 。vntr.moit.gov+1


Rule 11の発給主体と申請要件

中間加盟国(中継国)の発給当局が、輸出者の申請に基づいてBack-to-Back Form Dを発行できます 。「任意規定(may issue)」であるため、発給当局が国内法上の根拠を持たない場合は拒否できる点は変わりません 。fta.miti.gov+1


Rule 11の発給条件(全条件)

条件(a):元Proof of Originの提示

有効な元のProof of Origin(Form DまたはOrigin Declaration)の原本を提示することが必要です 。原本が提示できない場合は**Certified True Copy(認証謄本)での代替が認められます。2020年OCP改正後は、Form Dだけでなく認定輸出者によるOrigin Declaration(自己証明)**も元の証明書として認められるようになりました 。global-scm+2

条件(b):情報の引き継ぎと全欄記載

Back-to-Back Form Dは元のProof of Originと同種の情報を一定程度引き継ぎつつ、全ての欄を完全に記載しなければなりません 。特に以下が明示的に義務付けられています。[vntr.moit.gov]​

  • Box 9:中間加盟国(中継国)のFOB価格を記載する
  • 元のProof of Originの参照番号・発給日を所定欄に明記する
  • 複数の元COを使う場合は全ての参照番号を記載する[global-scm]​

条件(c):部分輸出(分割出荷)時の価格記載

部分輸出(Partial Export Shipments)の場合は、**当該部分輸出分の価格(Partial Export Value)**をBack-to-Back Form Dに反映します 。元COの総額をそのまま転記するのではなく、出荷分に案分した価格を記載する必要があります。[vntr.moit.gov]​

条件(d):数量超過の禁止

Back-to-Back COで発行する数量の累計が元のProof of Originの数量を超えてはなりません 。複数回に分けて発行する場合は、中継国の発給当局が累計数量を管理します。global-scm+1

条件(e):検証(Verification)の適用

Back-to-Back COに対して最終輸入国から検証要請が来た場合、Back-to-Back COを発行した中継国の発給当局にも検証手続きが適用されます 。中継国は元のCOを含むすべての証跡を保管する義務があります。vntr.moit.gov+1


2020年OCP改正による追加要件:コンソリ出荷

2020年のATIGA OCP改正でRule 11(1)・(2)にコンソリデーション出荷のBack-to-Back CO規定が追加されました 。重要な点は以下のとおりです。[miti.gov]​

コンソリ出荷のBack-to-Back COでは、元のProof of Originは1か国の輸出加盟国が発行したものに限る。

つまり、複数の異なるASEAN加盟国から集荷したコンソリ貨物については、元COが複数国から発行されている場合はBack-to-Back COを1通にまとめることができないという制限が設けられています 。[miti.gov]​


認定輸出者(CE)によるBack-to-Back Origin Declaration

ATIGAでは発給当局経由のForm D以外に、認定輸出者(Certified Exporter)がBack-to-Back Origin Declarationを自己作成できる枠組みもあります 。条件はForm Dと基本的に同じで、以下が追加要件となります。[global-scm]​

  • 同一品目について認定輸出者の認定を受けていること
  • 元のProof of Originを保有していること
  • 認定輸出者のコードを記載すること[global-scm]​

ASEAN各FTAの根拠条文の対応表

各協定でBack-to-Back COの根拠条文が異なります 。[customs.gov]​

協定様式根拠条文
ATIGA(AFTA)Form DAnnex 8 OCP Rule 11 [customs.gov]​
AJCEPForm AJChapter 3, Annex 4 OCP Rule 3 [customs.gov]​
ACFTA(ASEAN・中国)Form EAttachment A OCP Rule 12 [customs.gov]​
AKFTA(ASEAN・韓国)Form AKAnnex 3 Appendix 1 OCP Rule 7 [customs.gov]​
AIFTA(ASEAN・インド)Form AIAppendix D OCP Article 11 [customs.gov]​
AANZFTA(ASEAN・豪NZ)Form AANZFirst Protocol Appendix 2B OCP Rule 10 [customs.gov]​

Rule 11の条件を一覧で整理

条件内容根拠
申請者中継国の輸出者または代理人Rule 11柱書き [vntr.moit.gov]​
元COの提示原本またはCertified True CopyRule 11(a) [vntr.moit.gov]​
全欄記載Back-to-Back COの全欄を埋めるRule 11(b) [vntr.moit.gov]​
FOB価格記載Box 9に中継国のFOB価格を記載Rule 11(b) [vntr.moit.gov]​
参照番号記載元COの番号・発給日を所定欄に記載Rule 11(b) [global-scm]​
分割出荷当該分の価格を案分記載Rule 11(c) [vntr.moit.gov]​
数量超過禁止累計発行量が元COの数量以内Rule 11(d) [global-scm]​
コンソリ出荷元COは1か国発行のものに限るRule 11(1)(2) 改正 [miti.gov]​
検証適用中継国にも検証手続きが及ぶRule 11(e) [global-scm]​

Back-to-Back CO拒否時の申告訂正方法

拒否への対処法は**「輸入申告前か後か」で根本的に異なります**。輸入申告後にMFN税率で輸入許可が下りてしまうと選択肢が大幅に狭まるため、申告前の段階での対処が最も重要です 。[customslegaloffice]​


ケース①:輸入申告前に拒否された場合

選択肢が最も豊富で、以下の対応が可能です 。[customslegaloffice]​

対応A:Form Dの訂正・再発給を申請する

記載ミスが原因であれば、元の発給当局に訂正証明書(Corrected Copy)または再発給(Re-issuance)を申請します 。ただし中間国の発給機関との往復に数日〜1週間以上かかるため、貨物の保管料・滞船料との兼ね合いで現実的かどうかを判断します。container119+1

対応B:BP(輸入許可前引取承認)を利用する

日本の税関では貨物の**輸入許可前引取承認(B/P:Before Permission)**を申請することで、原産地証明書の問題が解決するまでの間に貨物を先に引き取ることができます 。COの問題が解決した時点で特恵税率を適用します。実務上最も現実的な対処法の一つです 。[customslegaloffice]​

対応C:MFN税率で通関する(一時措置)

Back-to-Back COの問題解決が間に合わない場合、MFN(最恵国)税率で輸入申告を行い、後から特恵税率への変更(還付申請)を目指す暫定的な方法です 。ただしこの後の扱いは申告後ケースと同じになるため注意が必要です(後述)。[container119]​


ケース②:輸入申告後(MFN税率で許可済み)の場合

日本の関税法上、**「一旦MFN税率で有効に輸入許可された後に、適正なCOを事後取得しても更正は認められない」**という厳格なルールがあります 。これは税関の確定的な扱いであり、CO「後出し」は原則不可です。[customslegaloffice]​

例外:事後適用制度(更正申告)が使える協定の場合

日・ASEAN EPAを含む一部のEPA・FTAでは、輸入申告後一定期間内(通常1年以内)に原産地証明書を提出して特恵税率を事後適用(還付申請)できる制度が設けられています 。ただしこれはBack-to-Back COではなく通常のCOが対象の規定であり、Back-to-Back CO案件で一度否認されたケースに適用できるかは各国の税関判断に依存します。[container119]​


インドネシアの実例:税関裁判による逆転勝訴

インドネシア租税裁判所の判例(PUT.57357/PP/M.IXB/19/2014)が重要な事例を示しています 。[aseanlawobservers.wixsite]​

シンガポールからのプロピレン共重合体のATIGA Form Dについて、インドネシア税関がBox 13(サードカントリー・インボイシング)へのチェックマークが「発給機関のオリジナルではない」として10%のMFN税率を適用。輸入者が不服申立て→シンガポール税関がForm Dの正当性を書面で証明→税関裁判所がATIGA特恵税率0%を認めた。

この事例から得られる教訓は、Form Dの記載ミスと判断された場合でも発給当局による正式な確認書を取得すれば覆せる可能性があるということです 。[aseanlawobservers.wixsite]​


申告段階別の対処フロー

Back-to-Back CO拒否

┌───┴────────────────────────────────┐
申告前 申告後(MFN許可済み)
│ │
├─ A. Form D訂正・再発給 ├─ 原則:更正不可 [web:43]
│ (時間的余裕がある場合) │
├─ B. BP(輸入許可前引取) ├─ 例外①:事後適用制度(協定次第)[web:99]
│ (貨物を先に引き取る) │
├─ C. MFN税率で仮通関 ├─ 例外②:発給当局の正式確認書で
│ →後から還付申請 │ 不服申立て→税関裁判 [web:98]
└─ D. 協定切替(ATIGA↔AJCEP) └─ 例外③:遡及発給COで還付申請
(受入可能な協定へ変更) (発行機関・輸入国の許可要)[web:99]

申告後の不服申立て手続き(最終手段)

MFN税率適用に不服がある場合、各国の関税不服申立て制度(日本では税関長への不服申立→再調査の請求→審査請求→租税裁判)を経る方法があります 。時間・コストがかかるため、インドネシアの判例のように発給当局(Singapore Customs等)から正式な確認書(Certificate of Authenticity)を取得してから申立てると成功率が上がります 。いずれにせよ、拒否リスクを訴訟で解決するコストは非常に大きいため、事前の書類確認と関係者間のドキュメント共有が最大の防衛策となります 。aog-partners+3

ATIGAとAJCEPの第三国経由要件比較

ATIGAとAJCEPはいずれも「原則直送・例外として第三国経由を認める」という構造ですが、要件の細部・証明書類・Back-to-Back COの位置付けに重要な差異があります 。jetro+1


基本構造の比較

要件項目ATIGA(第32条)AJCEP
根拠条文Article 32 Direct ConsignmentAnnex 4 OCP・積送基準条項 [jetro.go]​
直送原則輸出国→輸入国へ直送同左 [jetro.go]​
第三国経由の許容条件①地理的理由または輸送上の必要性、②当該国での貿易・消費なし、③積卸し・保全作業以外の加工なし同左(ほぼ同じ要件) jetro+1
第三国の範囲ASEAN加盟国・非加盟国のいずれも経由可同左 [jetro.go]​
Back-to-Back CO規定Annex 8 Rule 11に明示規定あり規定あり・ただし「各国国内法による」留保付き jetro.go+1
Back-to-Back COの発行体中間締約国の発給機関中間締約国の発給機関(同じ) [jetro.go]​
非締約国(第三国)経由時のBack-to-Back CO非加盟国では発行不可(ASEAN域内のみ)同左 [jetro.go]​

積送基準の証明書類の違い

ATIGA

輸入通関時に以下のいずれかを税関へ提出します 。[jetro.go]​

  • 通し船荷証券(Through B/L)の写し
  • 非加工証明書(第三国において積卸し・保全作業以外が行われていないことを証明)

AJCEP

ATIGA同様、通し船荷証券または非加工証明書が基本ですが、AJCEPでは輸入国税関が「貨物が良好な状態を保つための作業以外を受けていないことを示す証明書・情報」の提出を求め**得る(may require)**という任意規定になっており、実際に何を求めるかは各国に裁量があります 。global-scm+1


Back-to-Back COの要件比較

発行条件ATIGA Annex 8 Rule 11AJCEP
有効な元COの提示原本またはCertified True Copy [jetro.go]​同左 [global-scm]​
Box 9のFOB価格記載中間締約国のFOB価格を記載義務あり同左(分割の場合は分割分の輸出価格を記載)jetro.go+1
分割出荷時の数量管理中間締約国が累計数量の超過防止を管理中間締約国が合計数量の超過防止を管理 jetro.go+1
疑義時の元CO提示最終輸入国が元COの原本提示を要求可同左 [jetro.go]​
検認(Verification)の適用Back-to-Back CO発行国にも適用同左 jetro.go+1
国内法による留保「発行しない国もありうる」と協定文に明記同左(「各締約国の国内法による」) jetro.go+1

最大の実務上の差異:FOB価格の記載義務

ATIGAの2020年修正議定書(OCP改訂)では、Form DのBox 9のFOB価格記載は原則撤廃され、カンボジア・インドネシア・ラオスとの取引でRVC基準を使う場合のみ記載が必要となっています 。しかしBack-to-Back COについては、中間締約国のFOB価格記載が別途義務付けられています 。この点はATIGAの通常のForm Dと異なる記載要件であり、実務上の混乱が生じやすい部分です。[jetro.go]​


協定選択の実務的な判断軸

textATIGAを選ぶ場合
  → 日本を介さないASEAN間の取引
  → 中継国がBack-to-Back COの実績が豊富(シンガポール等)

AJCEPを選ぶ場合
  → 日本が荷主・輸出国として絡む取引
  → Back-to-Back CO受理を最終輸入国が確認済み
  ※インドネシアはAJCEPのBack-to-Back COを拒否した実例あり
    →ATIGAへ切り替えを検討 [web:17]

協定上の要件はほぼ同じでも、最終輸入国が実際にどの協定のBack-to-Back COを受け入れるかは国内法の運用に依存するため、事前確認が最も重要な実務判断となります 。jetro+1