HS2028改正:自動車電装品・センサー類の分類見直しに関する現状整理

AIを活用して、まとめてみました。


公式タイムラインと確定事項

HS2028改正パッケージは、2025年3月のHS委員会(HSC)第75会期で暫定採択され、2025年12月に正式採択、2026年1月に公表、2028年1月1日に発効するスケジュールが世界関税機関(WCO)により公式に示されています。metalife

改正の規模は、第7次レビューサイクルにおいて105の改正提案、299の改正パッケージが取りまとめられた大規模なものです。EUの対外説明資料では、改正の重点領域として「半導体およびトランスデューサー(各種センサー)」が明記されており、センサー類の分類見直しが進んでいることは高い確度で示唆されています。forbesjapan+1

何が確定し、何が未確定か

確定している情報

改正規模と発効日は2028年1月1日、詳細条文(HS6桁レベルの新旧対照表)は2026年1月に公開予定です。センサーおよびトランスデューサー領域が見直し対象に含まれることもEU資料で確認されています。metalife+1

未確定(未公表)の情報

具体的にどの品目が第85類から第90類(測定・検査機器)または第87類(自動車部品)へ移動するのかという条文レベルの詳細は、2025年11月7日現在まだ公開されていません。特に第87類への「移籍」については、現行の第17部注2(e)~(h)により、第84類・第85類・第90類・第91類に特掲される物品は原則として8708号の「部分品」に含めない取扱いとなっているため、条文改正を伴わない限り広範な第87類編入が一挙に進む可能性は限定的です。detail.chiebukuro.yahoo+1

なぜ「85類→90類/87類」移動の観測が出ているのか

現行のHS2022では、シリコン基板上のMEMS等を含む「シリコンベース・センサー」を8542号(MCO:多部品集積回路)として扱う注記が整備され、電装品(第85類)と測定機器(第90類)の境界が実務上やや複雑化しました。HS2028ではこの境界の明確化や再編が図られると予想されています。roronto

EUの説明文書では「semiconductors and transducers(半導体とセンサー)」と明記され、当該分野の分類見直し(細分化・整序)が含まれることが読み取れます。これが車載センサー(ADAS/電動化関連)への波及観測につながっています。また、WCOがASEAN向けに実施したワークショップでも、HS2028の主要改正領域に「電気機器」「車両」分野が含まれる旨の言及があり、自動車電装とセンサーの交差領域での改正可能性が意識されています。examplesentencemail+1

日本企業への実務インパクト

関税・価格への影響

第85類から第90類への移動については、日本のMFN税率ではいずれも無税品目が多いものの、貿易統計やFTA原産地規則、内外価格差分析への影響は大きい可能性があります。特に第90類への分類変更は測定機器としての性格明確化につながり、品目別規則(PSR)のCTC(関税分類変更基準)やVA(付加価値基準)が変わるケースが想定されます。ds-b

第87類の8708号等へ移動する場合は、現行の第17部注により第84類・第85類・第90類・第91類に特掲される物品は「部分品」に含まれないため、条文・注の改変を伴うか解説書の運用整理に留まるかで影響度が大きく変わります。detail.chiebukuro.yahoo

FTA原産地規則への影響

HS6桁の変更は、PSRの再マッピングを意味します。CPTPP、日EU・EPA、USMCA等のPSRはHS6桁コードに紐付けられているため、自己申告書式やサプライヤ宣誓書のロジック更新が必要となり、2027年中の準備が現実的なタイムラインです。word-dictionary

マスタ・ERPシステムへの影響

HS改正は6桁変更が各国の8~10桁の国内細分へ波及します。品番—HSコード—PSR—税率—特恵判定の一連の連鎖で整合性を保った更新が必要です。EU資料でもHS6桁変更が各域内コードへ波及する旨が説明されています。word-dictionary

税関監査対応

事後調査や税関質問において、「なぜ第85類ではなく第90類か(またはその逆)」といった技術的理由付け(主機能・検出原理・測定の有無・MCO該当性)がより厳密に求められる可能性があります。HS2022で導入されたMCO定義(8542号)は引き続き重要な論点となります。roronto

今すぐ取るべき実務アクション

対象品目の棚卸し

センサー、トランスデューサー、MEMS、車載カメラ、レーダー、LiDAR、電装ユニットなどについて、BOMから機能、現在のHSコード(第85類/第90類/その他)までを一覧化します。ds-b

境界品目の技術メモ標準化

測定・検査の主機能の有無、センサーの検出原理、単体機能かMCOか、車両専用品か否かを定型シートで可視化します。現行の第90類の類解説(測定・検査の定義)と第17部注の適用ロジックを踏まえた記述が重要です。marke-media

PSR影響の先行試算

主要FTAについて、CTC(分類変更前後の区分)と付加価値率の両面で「改正あり/なし」の2シナリオによる原産地判定を試算します。word-dictionary

2026年1月公表後のシステム更改計画

正式条文が公開され次第、HS6桁新旧対照表の確認、社内コード更新、取引先への通知、FTA書類テンプレート更新を2027年内に完了させる体制を整えます。metalife

監査・係争に備えた社内Q&A整備

特に第85類と第90類の境界については、技術書証(設計仕様書、センサー原理、測定の定義への適合性)の整備が対応力を大きく左右します。marke-media

どの品目が移動しそうか(現時点の観測)

以下は未公表情報を補う業界観測であり、最終判断は2026年1月公開の条文で確認する必要があります。metalife

MEMS/CMOS系のシリコンベース・センサーは、HS2022で8542号(MCO)に「センサー/アクチュエータ/レゾネータ/オシレータ」を含む旨が整備済みです。HS2028では第90類との住み分け明確化(解釈の整序や細分化)が想定論点となっています。roronto

車載計測・表示系(速度計/回転計/走行データ等)については、9029号や9031号などの見直しや細分追加の可能性は合理的ですが、8708号への包括的編入は第17部注2の原則に抵触しやすいため、条文変更がない限り限定的とみるのが保守的です。detail.chiebukuro.yahoo

レーダー、LiDAR、カメラ等の認識系は、現在8526号や8525号などに分類されていますが、測定目的の有無で第90類に寄せられるかは条文次第です。EU説明にある「transducers見直し」の射程に入る可能性はありますが、公表待ちの状況です。forbesjapan

主要情報ソース

WCOからはHS2028改正の暫定採択、公表・発効の公式タイムラインが示されています。EUの対外説明資料(EUR-Lex)ではHS2028改正の柱に「semiconductors and transducers」を含む旨が明記されています。WCOの2024年戦略レビュー報告書ではHS構造の見直し必要性が指摘されており、HS2022解説書(8542号MCO)ではシリコンベース・センサー等の定義が整備されています。reibuncnt+3

日本税関の類解説(第90類/第87類)では測定機器の定義や第17部の「部分品」原則が確認できます。WCOのASEAN向けワークショップでもHS2028の主要改正領域(車両・電気機器含む)の概観が示されています。examplesentencemail+1

まとめ

「第85類から第90類/第87類へ一斉移籍」という断定的な一次資料は現時点では未公開です。ただし、センサーおよびトランスデューサー領域が見直し対象に含まれていることから、車載センサーや電装ユニットの境界整理(細分追加・注記整備)は高い確度で発生すると予想されます。forbesjapan+1

2026年1月の正式条文公開をトリガーとして、2027年内に社内マスタ、PSR、書類書式の全面更新を完了する前提で計画を立てておくことが安全です。word-dictionary+1

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ソースを確認

  1. https://metalife.co.jp/business-words/1924/
  2. https://forbesjapan.com/articles/detail/76838
  3. https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q1419074004
  4. https://roronto.jp/business-efficiency/additions-and-corrections/
  5. https://examplesentencemail.com/if-you-have-any-corrections-please/
  6. https://ds-b.jp/dsmagazine/pages/410/
  7. https://word-dictionary.jp/posts/2929/
  8. https://www.marke-media.net/whitepaper/chatgpt-proofreading/
  9. https://reibuncnt.jp/36506

「米最高裁・トランプ関税(IEEPA関税)口頭弁論」サマリー

AIによるサマリーです。

エグゼクティブ・サマリー

争点: 大統領が1977年の国際緊急経済権限法(IEEPA)を根拠に関税を課すことは合憲か。関税は本来「課税・通商」に関する議会権限であり、IEEPAの「輸入の規制(regulate … importation)」が関税まで含むのかが最大の論点。

裁判官の反応: 保守・リベラル双方から懐疑的な質問が相次ぎ、「関税は実質的に税(Tax)で、議会の権能ではないか」「大統領権限が一方的に拡張される危険」を指摘。

政府側(トランプ政権)の主張: IEEPAの文言は広く、「輸入の規制」は関税を含む。外交は大統領の固有権限で、**重大問題原則(Major Questions Doctrine)**は当てはまらない。

原告側(中小企業・州)の主張: IEEPAは本来資産凍結・禁輸等の制裁法で、関税を授権した立法史は皆無。「関税」という巨大な権限をIEEPAが黙示授権したとは読めない。

全体ムード: 多数の判事が政府見解に厳しい視線。重大問題原則や非委任原則(権限の白紙委任は不可)が審理の軸に。判決は**2026年夏(米最高裁の今期末)**までに見込まれる公算。

事件名: Learning Resources, Inc., et al. v. Trump(併合審理:Trump v. V.O.S. Selections, Inc.)/口頭弁論:2025年11月5日。

口頭弁論で出た主要論点

1) 法律構成(IEEPAの射程)

政府:「IEEPAの『輸入の規制』は関税を含む。最も伝統的な輸入規制手段が関税だ」との位置づけ。

原告:「IEEPAの文言・立法史は**資産凍結や数量規制(クオータ)**を想定。関税への言及は皆無」と強調。

2) 憲法論点

課税権・通商規制権は議会: Kagan判事は「関税の本質は税で、憲法上は議会権限」と繰り返し指摘。

重大問題原則: 規制当局や大統領が経済秩序を一変させる類の大権限を行使するには、明確な議会授権が必要との見地が審理を覆う。

非委任原則: Gorsuch判事は、広すぎる読解は「行政府への一方通行の権限累積」を招くと警鐘。

3) 事実関係の整理(何が対象か)

争点の関税は、IEEPAに基づく**広範な「相互主義(reciprocal)」関税(ほぼ全輸入に一律10%)**と、対薬物取引を名目に特定国品目を狙う関税に大別して審理。背景として、対中を含む複数国が名指しで俎上に。

日本企業へのビジネス・インパクト(想定シナリオ別)

シナリオA:IEEPA関税が違憲・越権で全面(または大部分)無効

影響:一律10%等のグローバル加算が外れる可能性。価格前提・契約の見直しが急務。既払分の**救済(返金)**は、個別の手続・救済範囲の判断に左右される見通し(自動返還が約されるわけではない)。

実務:米輸入拠点(現地法人・代理店)でHSコードごとの負担構造を棚卸し。**価格調整条項(tariff clause)**の発動可否・再交渉余地を検討。

シナリオB:限定合憲/差戻し(要件や適用範囲を厳格化)

影響:対象国・対象品目の縮小、行政手続のやり直しにより不確実性が続く。

実務:最悪・中立・最良の3本立てで販売価格・粗利シミュレーション、在庫・受発注の柔軟化を準備。

シナリオC:政府側勝訴(IEEPA関税が維持)

影響:緊急事態宣言→関税という手段が前例化。対象国・品目の追加リスクが常在化。

実務:重要部材はデュアルソース化、米国内調達やメキシコ等への組立移管も含めたサプライチェーンの再設計を加速。

**なお、対中の”既存”追加関税(通称:301関税)**は、連邦巡回区控訴裁(CAFC)が別途有効と判断しており、今回のIEEPA訴訟の結論にかかわらず、301関税は別枠で当面存続する前提で計画を。

口頭弁論での主なやり取り(ビジネス的に重要な示唆)

関税=税か規制か」:政府は「規制目的」と強調、Sotomayor判事らは「税収を生む以上は税」として議会権限に回帰。価格・原価・粗利に直結する財源性が焦点に。

立法史の空白」:原告はIEEPAに関税授権の痕跡がないと主張。事後の政権交代でも巨大な関税裁量が残り得る点に裁判所が敏感。

行政府の権限累積」:議会が取り消そうとしても大統領拒否権で戻せない「一方通行」の懸念をGorsuch判事が提示。ポリシーの**可逆性(撤回容易性)**が企業の投資意思決定に影響。

いま取るべき実務アクション(チェックリスト)

影響マッピング: 対米出荷・米国側輸入(現法・代理店)をHSコード×国別で棚卸し(IEEPA関税/301関税/232関税の切り分け)。

契約対応: 販売・購買契約の関税パススルー条項や価格調整条項の実効性を確認。

価格戦略: 3シナリオ(撤廃・縮小・継続)で販売価格/利益の感応度分析。

在庫・調達: 短期は在庫の弾力運用、中期はソーシング多角化・工程移転のオプションを具体化。

通関記録: 将来の救済・返金対応に備え、輸入申告書・関税納付記録を整備。

レギュラトリー・モニタリング: 最高裁判決までの審理動向と、USTR・商務省の行政対応を定点観測。

今後の見通し

手続のステータス: 事件名・口頭弁論日・当事者は上記のとおり。下級審は大統領側に否定的で、最高裁が審理を決定し迅速進行。

判決時期: 今期末(概ね2026年6月~7月)までの言い渡しが通例。ビジネス計画は四半期ベースで柔軟に更新を。

論点のカギ: 重大問題原則/非委任原則の適用の仕方が帰趨を左右。複数の判事が政府側主張に懸念を示したとの報道・分析が相次ぐ。

用語ミニ解説

IEEPA: 対外的な「異常かつ特異な脅威」に対処するため、大統領に経済的制限(資産凍結・輸出入規制など)を授権する法律。

重大問題原則: 経済・政治的に重大な事項は、明確な議会授権がなければ行政権が決定できないとする最高裁の近時の判断枠組み。

非委任原則: 議会が白紙委任で権限移譲することを禁じ、明確な「統制原理」(intelligible principle)を求める憲法理論。

【要点解説】HS2028改正:主要産業への影響と実務対応ロードマップ

2028年1月1日に発効が予定されているHS条約(商品の名称及び分類についての統一システムに関する国際条約)の改正(HS2028)が、各産業に与える影響と、今から着手すべき実務対応について、経営層や実務担当者の意思決定に役立つ形で解説します。

エグゼクティブサマリー

  • 改正規模: HS2028は299項目の改正を含む大規模なもので、特にWHO(世界保健機関)が定める医薬品一般名称(INN)に関連する441品目の分類整理が確定しています。
  • 主要テーマ: 改正の柱は、環境関連(グリーン関税)、医薬品・バイオ新興技術(ドローンなど)の3分野です。これらは国際的な政策課題を反映したものであり、関連する産業は大きな影響を受ける可能性があります。
  • 公表時期: 改正内容をまとめた改正勧告は2026年1月頃にWCOから正式公表され、2028年1月1日に全世界で一斉に発効します。
  • 実務上の鍵: WCOは、現行のHS2022と新しいHS2028のHSコード対応関係を示す**相関表(Correlation Table)**の作成に着手しています。この相関表が、自社製品のHSコードを新体系へ移行させる際の最も重要な資料となります。
  • 今やるべきこと: 最終的なHSコード6桁が確定するのは2026年ですが、既に公表されている方針から影響を受ける品目を洗い出し、自社の製品マスターや管理体制の見直し準備を開始すべき段階にあります。

主要産業別の影響と確度

現時点で判明している情報に基づき、特に影響が大きいと見られる産業と、その改正内容の確度は以下の通りです。

産業分野影響のポイント改正の確度
医薬品・バイオWHOのINNリストに基づき441品目の医薬品有効成分(API)や製剤の分類が見直されます。製品マスターの成分情報とHSコードの再マッピングが必須となります。確定
EV・蓄電池・電池資源WCOが推進する「グリーン関税」の一環として、リチウムイオン電池、廃電池、およびそのリサイクル資源に関する分類が、トレーサビリティ強化のために細分化・明確化される見通しです。
再生可能・省エネ機器HS2022改正での太陽光パネルやLEDの細分化に続き、ヒートポンプなどの省エネ機器や、関連部材のHSコードが新設・整理される可能性が高いです。
ドローン(UAS)無人航空機システム(UAS)の分類見直しが提案されています。機体、制御装置、ペイロード(カメラ、センサー等)の分類が明確化され、部品の扱いやセットとしての解釈が変わる可能性があります。
農水産品初期検討段階で、甲殻類などの細分化案が議論されていました。最終的にどう反映されるかは2026年の公表を待つ必要がありますが、関税率やFTAの原産地規則に影響する可能性があります。

(注)「確定」以外は、WCOの方針や公開情報に基づく確度の高い推定です。最終的な6桁のHSコードは2026年1月の改正勧告をもって確定します。


実務対応ロードマップ(2025年~2027年)

HS2028改正への対応は、以下の4つのフェーズで計画的に進めることを推奨します。

フェーズ1:影響範囲のスクリーニング(2025年 Q4 ~ 2026年 Q1)

  1. 対象品目の抽出: 自社の売上上位品目や、影響が確実視される「医薬品、電池、再エネ機器、ドローン」関連製品をリストアップします。
  2. 影響度評価: 抽出した品目について、HSコード変更の可能性を「大・中・小」で仮評価し、優先順位をつけます。
  3. 情報基盤の整備: 製品の成分、素材、用途といった情報をHSコードと紐づけて管理できるよう、社内の「用語辞書」やデータベースを整備します。

フェーズ2:差分分析と移行準備(2026年 Q1 ~)

  1. 新旧HSコードの突合: 2026年1月に公表される相関表を入手し、自社製品リストと一括で照合します。これにより、新しいHSコード6桁の候補を特定します。
  2. FTA影響分析: HSコードの変更が、利用しているFTA/EPAの原産地規則(PSR)に与える影響を分析します。特に、関税分類変更基準(CTC)を用いる品目は注意が必要です。

フェーズ3:システム改修と各国対応(2026年 ~ 2027年)

  1. マスターデータ更新: ERPや販売管理、貿易管理システム(GTM)の製品マスターを、新しいHSコード体系に合わせて更新する準備を進めます。
  2. 各国動向の監視: 米国(USITC)、EU、日本、その他主要な輸出入国における国内法(8~10桁レベル)への反映スケジュールを監視します。例えば米国は2026年2月に予備案、同年9月に勧告報告を予定しています。

フェーズ4:テストと社内展開(2027年下期)

  1. パイロット通関: 新しいHSコードを用いて、主要な輸出入国で通関業者と連携したテスト申告(ドライラン)を実施し、問題を洗い出します。
  2. 原産性再判定と社内教育: 新しいHSコード体系に基づき、FTA原産性を再判定します。必要に応じてサプライヤーから新たな原産地証明書を取得し、営業・ロジスティクス部門など関係者への社内教育を行います。

FTA・原産地規則への影響

HSコードの変更は、FTAの根幹である**品目別原産地規則(PSR)**に直接的な影響を与えます。多くの協定では、PSRが特定のHSバージョン(例:HS2017)に紐づけられているため、HS2028への移行(トランスポジション)作業が各国で行われます。この移行作業の結果、これまで原産性を満たせていた製品が、基準を満たせなくなるリスクがあります。相関表の公開を機に、自社の原産判定ロジックの見直しとサプライヤー証明の更新計画を立てることが不可欠です。

HS2028改正 実践ガイド:計画・影響評価・実行ロードマップ

2028年1月1日に発効が予定されているHS条約の改正(HS2028)は、すべての輸出入者にとって避けては通れない重要課題です。このガイドでは、HS2028改正への準備を円滑に進めるため、「いつまでに、誰が、何をすべきか」を体系的に解説します。

HS2028改正の概要とスケジュール

HS2028改正は、2028年1月1日の発効に向けて以下のスケジュールで進められています。企業の対応計画もこの公式スケジュールに準拠する必要があります。

  • 暫定採択: 2025年4月、世界税関機構(WCO)のHS委員会(HSC)第75回会合にて、改正勧告案が暫定的に採択されました。
  • 正式採択: 2025年12月末にWCO理事会で正式に採択される見込みです。
  • 内容公表: 2026年1月頃に改正内容の詳細が公開される予定です。
  • 発効: 2028年1月1日に全世界で一斉に発効します。

今回の改正には、299セットの改正案や、世界保健機関(WHO)の国際一般名(INN)リストに基づく医薬品441品目の分類見直しなどが含まれており、広範囲な品目が影響を受ける可能性があります。

また、WCOは2025年10月のHSC第76回会合で、現行コード(HS2022)と新コード(HS2028)の相関表(Correlation Tables)の整備を開始しました。この相関表は、コード移行作業における最も重要な参照資料となります。

企業への主な影響範囲

HSコードの変更は、関税率だけでなく、企業のサプライチェーン全体に多岐にわたる影響を及ぼします。

  • コスト・財務: 品目分類の変更により関税率やFTA特恵税率が変動し、関税・消費税などの税負担額が変わる可能性があります。これは見積もりや販売価格、原価計算に直接影響します。
  • 通関・規制: 輸出入申告で参照するHSコードが変わると、他法令(例:化学物質規制、食品衛生法)に基づく許認可や証明書の紐付けを再設計する必要があります。
  • 原産地管理: FTA/EPAの原産地規則(品目別規則:PSR)はHSコードの版に準拠しているため、コード変更に伴い原産資格の再判定や、サプライヤーからの原産性証明の再取得が必要になります。
  • ITシステム: ERP、商品マスター、貿易コンプライアンスシステム(GTM)などの改修が必須です。特に日本では、HS6桁に国内細分(3桁)を加えた9桁の統計品目番号やNACCS用の10桁コードが使用されるため、これらの桁数も考慮したシステム更新が求められます。

対応プロジェクトのロードマップ

フェーズ1:調査・計画(現在〜2026年上半期)

  • プロジェクト体制の構築: 貿易コンプライアンスやサプライチェーン部門を主幹とし、通関、調達、営業、財務、ITなど関連部署を横断する専門チームを設置します。
  • データ棚卸し: 過去24ヶ月分の輸出入実績(品目、現行HSコード、仕向国・原産国、FTA適用有無、関税額)を一覧化し、分析の土台を整えます。
  • 情報収集の開始: WCOや各国税関の公式発表、特にHS2022とHS2028の相関表の公開を継続的に監視します。

フェーズ2:影響評価・分析(2026年下半期〜2027年上半期)

  • 新旧コードの突合: 公表された相関表を基に、自社品目の新旧HSコードの対応関係(1対1、1対多、多対1など)を洗い出します。
  • 優先順位付け: 「取引金額 × 関税率の変動幅」や「FTA依存度」「規制への影響度」などを基に対応の優先順位を決定し、影響の大きい品目から重点的に分析します。
  • 財務影響の試算: 品目や取引先ごとに、関税負担額の増減シナリオをシミュレーションし、価格戦略や収益計画への影響を数値化します。

フェーズ3:導入準備・実行(2027年下半期〜2028年1月)

  • 分類の確定: 分類が難しい境界品目については、日本の事前教示制度や、主要国のBTI(Binding Tariff Information)などを活用して、税関の公式見解を取得します。
  • システム改修: 品目マスターに新旧HSコードを併記する期間を設け、2028年1月1日以降は新コードが自動で適用されるようシステムを改修します。
  • 対外コミュニケーション: 取引先へのHSコード変更通知、価格条件の見直し、サプライヤーへの原産性証明の再依頼などを計画的に進めます。
  • 本番切替とモニタリング: 2028年1月の発効後、申告実績を監査し、誤分類や追加納税などのリスクを早期に検知します。

よくある失敗例と対策

  • 国内細分コードの更新漏れ: HS6桁のみを更新し、日本の9桁/10桁コードの確認を怠ると、申告エラーの原因となります。
  • FTA原産地規則の版ズレ: HSコードの版が変わったことに気づかず、古いPSRに基づいて特恵税率を適用し続け、追徴課税を招くケースです。
  • 影響評価の非効率: 影響度を考慮せずに全品目を一律に対応しようとすると、リソースが分散し、重要な品目の対応が遅れます。
  • 事前教示の未取得: 分類に迷う品目を社内判断のみで処理し、後日、税関との見解の相違から修正申告や追徴に至るリスクです。

モンゴル税関総局(CGA)におけるHSコード事前教示

(最終確認:2025年10月29日)

モンゴル税関総局(Customs General Administration:CGA)におけるHSコードの事前教示(Advance Ruling、モンゴル語:Барааны ангиллын кодыг урьдчилан тодорхойлох)の実務を以下にまとめます。この制度は、輸入貨物の分類を事前に確定するためのもので、関税法および関連細則に基づいています。

1. 主管当局と公式情報源

主管当局はCustoms General Administration(CGA、モンゴル税関総局)です。電子サービスポータル「gaali.mn」から「品目分類の事前決定(申請)」サービスを利用でき、CGAの所在地や連絡先も掲載されています。

法令・根拠:

  • 関税・関税税法(英語版):第21条でHSの適用と国内細分(National Subheadings)の採用を、第23条で分類の事前教示、第24条で申請手続、第25条で決定の変更・撤回・停止を規定。
  • 実施細則(CGA長官命令 A/25:2022年2月9日):「品目分類コードを事前に確定する手続」として、申請様式、必要資料、処理期間(30日)、有効期間(1年)などを定め、2008年の旧手続を更新。
  • 補足(制度強化の動向): 2025年5月、WCOとCGAがHSおよび事前教示の実務強化を目的とした国内研修を共催。制度の運用改善が継続中です。

2. 事前教示(分類)のプロセス

  • 申請資格: 申告者(Declarant、輸入者本人または代理申告者)が申請可能。関税・関税税法第23条第1項に規定。
  • 申請タイミング: 輸入貨物が発送済みでモンゴル国境未入境時(細則2.1)。
  • 提出先・手段: CGA本部宛に書面提出(細則2.2)。オンライン申請はgaali.mnの該当サービス経由で可能。
  • 受理後の補正: 書類不足時は受領後14日以内に追加資料を通知。申請者は通知後30日以内に補正し、期限超過で申請却下(細則3.2–3.3、関税法第24条第2–3項)。
  • 審査・決定: 必要に応じ税関ラボでサンプル分析(細則3.6–3.7)。申請(および追加資料)受領から30日以内に決定書を発出(細則3.5)。ポータルでも標準30日と記載。
  • 決定の適用・提示: 通関時に決定書の原本(写し添付)を提示(細則3.10–3.11)。全国の税関で有効。
  • 判定レベル: HS 8桁(国内細分)レベル。HS解釈規則(GIR)、注解、WCO勧告を根拠(細則3.4、関税法第21条第2項)。
  • 補足: 原産地や評価の事前教示については、関税法第27条第3項で原産地のAdvance Rulingを規定。ただし、WTO TFAデータベースでは原産地ARの国内ルール整備が課題として残り(分類ARは2022年改訂で整備済)。最新運用はCGA告示を確認。

3. 申請に必要な最小限の情報

(A)申請書・添付書類(細則2.2–2.4、関税法第24条第1項):

  • 申請書(所定様式)。
  • 取引関係書類:売買契約、商業書類(インボイス等)、原産地証明、適合性証明、許認可(非関税規制該当時)。
  • 技術資料:サンプル/モデル、商品説明、写真/図面、商業・技術仕様書。

(B)品目の技術的特定(申請書記載事項、様式抜粋):

  • 商業名・固有名・英名、製造者名/国、製造年、用途・機能、銘柄・型式、規格、材質、構成・組成、部品構成、技術仕様、包装、寸法・重量等。

実務TIP: GIRや部注・類注に基づく申請者の分類見解(候補コードと根拠)を記載すると審査が効率化(細則3.4)。

4. 処理期間(SLA)

  • 標準処理期間: 申請(追加資料含む)受領日から30日(細則3.5、ポータル記載)。
  • 補正・照会: 不足通知は14日以内、補正提出は30日以内。未提出で却下(細則3.2–3.3、関税法第24条第2–3項)。
  • ラボ分析: 中央ラボの審査は別申請で目安5日(ポータルSLA)。分析の有無・件数で全体期間に影響。
  • 注意: 決定前に貨物が入境した場合、通常通関を実施(細則5.1、関税法第55条)。

5. 有効期間・拘束力・改廃

  • 有効期間: 発給日から1年(細則4.1)。
  • 拘束力: 申請者に対し全国税関で有効。通関時原本提示必要(細則3.10–3.11)。
  • 改廃・停止: 国内細分や条約変更で失効、虚偽情報判明で停止(遡及効)、税関長の裁量で改廃(関税法第25条、細則4.2–4.4)。不服申立ては関税法第16–23条に基づく。

6. 必要費用

  • 原則: 決定手数料およびラボ分析費は申請者負担(細則3.8)。具体額は別表規定。
  • ラボ分析料: 中央・支部ラボの分析料表(CGA長官命令 A/64:2022年5月6日付属書)で品目・方法ごとの定額公開。
  • 参考: ラボ分析のオンライン申請はgaali.mn経由(目安5日)。
  • 実務TIP: 決定手数料の定額は公示されていないため、CGA窓口で最新料金表・見積を確認。

7. その他の運用・留意点

  • 言語・UI: 法令・様式は主にモンゴル語。ポータルは英語UI併設で、英語資料は補助的に使用可能(要点をモンゴル語要約推奨)。
  • 公開・データベース: 決定データベースはCGA内部管理。ガイダンス・FAQはcustoms.gov.mn/gaali.mnに整理。
  • 制度整備状況: 分類ARは2022年細則改正(A/25)で更新。原産地ARは法的に規定されるが、TFA通知で国内規程整備が課題(実装期限2024年末まで延長)。現況はCGA告示で確認。
  • 他国制度との違い: EU・米国等では輸出者・生産者も申請可能だが、モンゴルは申告者(輸入者)中心(関税法第23条)。

申請準備チェックリスト(分類AR用)

  • ☐ 申請時期: 発送後/入境前に申請(細則2.1)。
  • ☐ 書類準備: 申請書+取引書類(契約・商業書類・原産地証明・適合証・許認可)+技術資料(サンプル/モデル、写真・図面、仕様書等)(細則2.3–2.4)。
  • ☐ 技術的特定: 名称/用途/構造・原理/材質・組成/部品構成/技術仕様/包装/寸法重量等を様式に記載。
  • ☐ 自社見解: HS 8桁候補とGIR・注解の根拠を簡潔に。
  • ☐ SLA管理: 標準30日。不足照会→14日以内通知、30日以内補正。ラボ分析時は追加5日程度(別申請)。
  • ☐ 通関運用: 決定書原本を提示(全国有効)。入境先行時は通常通関(細則3.10–3.11/5.1)。
  • ☐ 費用: 決定手数料・ラボ費を申請者負担。ラボ料金表(A/64)を確認。
  • ☐ 有効期間: 1年。法令変更/虚偽情報等で停止・失効(関税法第25条、細則4.1–4.4)。

主要根拠(一次情報)

  • 関税・関税税法(英語版):HS適用(第21条)、分類AR(第23–25条)、原産地AR(第27条第3項)。
  • CGA長官命令 A/25(2022年2月9日):申請タイミング、必要書類、30日SLA、1年有効、原本提示、費用負担等。
  • gaali.mn(CGA電子ポータル):事前分類申請サービス(30日処理)、中央ラボ申請(5日)、CGA住所・連絡先。
  • ラボ分析料告示:中央・支部ラボ分析料表(A/64:2022年5月6日)。
  • WCOニュース(2025年5月):HS・Advance Rulings運用強化研修。
  • WTO TFAデータベース:原産地AR規程整備・期限延長(~2024年12月31日)。

カンボジア(Kingdom of Cambodia)におけるHS事前教示(Advance Ruling)制度

本文書は、カンボジアにおけるHSコードの「事前教示(Advance Ruling)」制度(分類・評価・原産地)の実務向けまとめです(最終確認日:2025年10月27日)。

主管当局と公式URL

主管当局:General Department of Customs and Excise(GDCE/経済財務省所管)

所掌部局:GDCE本部内のDepartment of Planning, Technique and International Affairs(DPTIA)が事前教示業務を所掌しています。

主要URL(公式)

Advance Ruling制度は2013年のPrakas No.002で開始され、WTO貿易円滑化協定(TFA)第3条の履行対象となっています。

事前教示のプロセス(分類ARを中心に)

対象・種別

  • (a) 分類(AR-TC)、(b) 評価(AR-CV)、(c) 原産地(AR-OG)の3種
  • 一申請=1品目(1HS)または個別の1件取引が原則

申請書

AR-TC Form 1(分類)、AR-CV Form 1(評価)、AR-OG Form 1(原産地)をクメール語または英語で作成します。

提出先

DPTIAの所掌部局(公式「Offices in Charge of Advance Rulings」に記載)。必要書類を添えて、申請者本人(または権限ある代理人)が上記オフィスへ持参提出します。

手数料の納付

1申請につき200,000リエル(公共サービス手数料)。

受理・審査

不備があれば追加資料・サンプルの提出指示があります。審査後、書面のAdvance Rulingが発給され、通関で拘束されます(同一条件に限る)。

備考(FTA経路)

カンボジア-中国FTA(CCFTA)は「必要情報受領後90日以内に発給」「有効3年」等を規定しており、国内SLAと併存します。

事前教示取得に必要な情報(最小パック)

身元・資格資料

申請者(会社・個人)のVAT登録証・パテント(営業許可)・身分証/旅券の写し等。代理提出の場合は委任状が必要です。

貨物の詳細(分類判断に十分なレベル)

  • 品名(通称/技術名)/用途・主用途/作動原理・構造
  • 材質・組成(重量%=合計100%)/寸法・重量・電気的仕様
  • 包装形態(小売/バルク、セット/部分品)
  • 写真・図面・カタログ、製造工程・処方、SDS/COA(該当品)
  • 必要に応じサンプル

商流資料

発注書・売買契約・プロフォーマインボイス・LC等(該当時)

申請者の見解

HS/AHTN候補と根拠(GIR・部注・類注)を明記します。

言語

クメール語または英語での提出が明記されています。

結果が出るまでに必要な期間(SLA)

国内SLA(公共サービス基準):30日(Advance Rulingの標準処理期間としてPrakas No.1608のサービス表に明記)。

FTAベース(例:CCFTA):必要情報受領後90日以内に発給(協定での規定)。

事前教示の有効期間・拘束力

有効期間

発給日から3年。実体事実の変更、虚偽・不完全情報、国内法や通達改正等で失効/変更し得ます。

拘束力

発効日以降、税関を拘束します(申請者の同一貨物・同一条件が前提)。

関連法との関係

通関後の事後確認で、申告から3年以内は税関が分類等を再判定できる一般規定があります(法第19条等)。ARがある場合でも実貨物が照会内容と同一であることの立証が重要です。

事前教示取得に必要な費用

申請手数料(公共サービス):200,000リエル/件(Advance Ruling per document)。GDCE案内・Prakas No.1608双方で確認できます。

その他の実費:サンプル輸送費・第三者分析費・翻訳費などは個別に発生し得ます(公示手数料の対象外)。

その他の重要事項(実務の要点)

申請窓口

**DPTIA(GDCE本部)**が所掌しています。Preah Norodom Blvd.(本部)のFocal Pointページに担当部局・連絡先が掲載されています。

公開データ

Issued Advance Rulingsで公開済み裁定の参照が可能です(他社のARは直接拘束しませんが、先例調査に有用です)。

TFA第3条の完全実施

カンボジアはAdvance Ruling条項(3.1〜3.6)を2017年2月22日に履行とWTOデータベースに通知しています。

不服申立て

分類・原産地・評価の税関決定に対する不服手続の案内ページがあります(ARに関連する決定の争いも含む)。

制度開始の根拠

**Prakas No.002(2013年1月4日)**でAdvance Ruling(分類・評価・原産地)を導入しました。

申請準備チェックリスト(分類AR・すぐ使える)

  • ☐ AR-TC Form 1(クメール語/英語)を作成(一申請=1HS)
  • ☐ 企業・申請者の身元書類(VAT・パテント・ID/旅券、委任状)を添付
  • ☐ 用途・機能/作動原理/構造/材質・組成(100%)/寸法重量/電気仕様/包装を写真・図面・カタログ・工程で裏付け。必要ならサンプル
  • ☐ **HS候補と法的根拠(GIR・部注・類注)**を明記
  • ☐ 提出方法:DPTIAの担当オフィスへ持参提出。手数料200,000リエルを準備
  • ☐ スケジュール:国内SLA30日(FTAルートは90日(必要情報受領後))
  • ☐ 有効3年。事実変更・法改正・誤りで失効/変更の可能性。同一性の社内管理(仕様変更時の再申請判断)を整備

参考(制度の背景・補強資料)

  • GDCE「Handbook on Customs Clearance」:ARは発効日から税関拘束と説明
  • WTO TPR(2025):2013年Prakas 002でARを開始の旨

ペルーSUNATにおけるHSコード事前教示制度

ペルーSUNATにおけるHSコード事前教示制度(Advance Ruling)の最新実務

2025年10月25日確認時点

1. 主管当局・関連窓口

  • 統括機関:SUNAT(Superintendencia Nacional de Aduanas y de Administración Tributaria)
  • 主な窓口・制度説明:
    • サービス概要「Tariff Classification」
    • 事前教示申請(DESPA‑PE.00.09)、電子提出(MPV-SUNAT)、公開決定検索入口など複数ページから案内

2. 制度の種類と申請資格

  • 「分類決定(Resolución de Clasificación Arancelaria)」:自然人・法人の誰でも申請可能。
  • FTA等に基づく「事前決定(Resolución Anticipada)」:協定に定められた輸入者・輸出者・生産者(または代理人)が申請可能。代理申請は厳格な書類要件あり。

3. 申請方法・必要情報

  • 電子(MPV-SUNAT推奨)または窓口書面提出。
  • 様式「Solicitud de clasificación arancelaria(Anexo I)」で申請、1申請につき1品目。
  • 添付資料:技術資料(カタログ、写真、工程図、SDS等)、申請者見解、品目特定情報(用途・構成・寸法など)。
  • 代理申請時は、代理権限証明(公証要件)提出が必須。
  • スペイン語提出(他言語は簡易訳で可)。

4. 審査の流れ・期限

  • 形式要件不備があれば10営業日以内に補正要請。代理権限の場合は15営業日以内の補正。
  • 必要に応じてサンプル提出・中央研究所による分析(15営業日で一次報告+最大5営業日追加)。
  • 基本審査期間:
    • 分類決定(通常):提出日から45営業日以内に発出
    • 事前決定(FTA):提出日から最大90暦日(制度による短縮例あり)。米国FTAでは最大150暦日という記載も公刊資料あり(デッドラインは運用ベースで原則90日以内)。

5. 主な発給不可ケース

  • 審査・監査等の「行為中」や裁判・係争中
  • 申請時点で該当品が輸入済みの場合
  • 条文解釈のみや抽象的案件
  • 申請資格・代理権限の不備
  • 上記に該当する場合、申請は却下される。

6. 費用について

  • 申請自体は無料。
  • サンプル分析が必要な場合、「Boletín Químico」発行ごとにS/ 163.00(2024年1月現在)が固定で課金される。UIT%換算は旧方式であり、現行はTUPA明記の固定額のみ。

7. 決定の通知・公開・有効性

  • 決定は申請者へ書面通知、SUNATポータルでも5年間原則公開(申請者が秘密指定の場合は非公開)。
  • 決定番号は輸入申告書欄「7.37」に記載し運用。
  • 決定は関税表(Arancel)の改正や国際規則変更、事実変更等で効力を失う場合あり。FTAの事前決定は協定規定優先で運用。
  • 決定に対し不服申立(異議・上訴)は税通則法や各FTA規定を根拠に行う。

8. 実務上の注意事項

  • ウェブ上の「電子照会」(SUNATサイト)のみでは拘束力なし。正式な「書面決定」のみが法的効力を持つ。
  • 公開決定検索で先例参照はできるが、他社事例は拘束力なし。

9. チェックリスト(分類AR申請手順)

  • Anexo I様式提出(電子または紙)
  • 技術裏付資料添付(写真・カタログ・SDS等)
  • 自社分類見解明記
  • サンプル要請時の即応(分析料S/ 163.00固定)
  • 主要期限(分類決定:45営業日/FTA事前決定:原則90暦日)
  • 決定番号の運用・社内展開徹底
  • 関税表改正時の決定見直し準備

【参考資料・根拠】

  • SUNAT「Tariff Classification」
  • SUNAT PROCEDIMIENTOS ASSOCIADOS INSTRUCTIVO: DESPA-IT.00.11(分類AR・事前決定)
  • SUNAT「Boletín Químico分析費周知」
  • PAFTA導入関係資料(申請資格・期限)

必要に応じて最新官報改正、TUPA記載等も追加で参照のこと。

チリにおけるHSコード事前教示制度

チリにおけるHSコード事前教示制度の実務まとめ

チリ(Servicio Nacional de Aduanas:チリ国税関)におけるHSコードの事前教示(Advance Ruling/Resolución Anticipada)の実務まとめです。根拠は国税関の手続ページ・様式(2020年改正手続)とWCO(TFA Art.3)紹介、BCN(国会図書館)法令ページなどの一次情報です(最終確認:2025年10月23日)。

対応組織と公式情報源

主管当局: Servicio Nacional de Aduanas(チリ国税関)

制度総合ページ: 「Resoluciones Anticipadas」から手続案内・様式(アペンディクス・各別添)・公開済み決定へアクセス可能

制度の定義・範囲: WCO掲載のチリ当局説明によると、分類・評価(バリュエーション)・原産地を対象とし、輸入・輸出・再入国の申告前に書面で発給する拘束的決定。申請者(輸入者・輸出者・生産者)または通関士・代理人が申請可。有効期間は3年。

現行手続の根拠: Resolución Exenta N° 1629(2020年4月23日)で新手続を制定(官報掲載:2020年4月28日、施行:90日後)。BCN法令ページに告示要旨、国税関サイトに本文と様式が掲載。

申請フォーム: 「Formulario de Solicitud de Resolución Anticipada」(分類=Anexo 1、評価・原産地の各別添あり)

窓口住所: Plaza Sotomayor 60, Valparaíso(国税関・本庁のOficina de Partes(事務管理課)宛て)

事前教示のプロセス

対象分野の選択

申請は以下のいずれかについて行います:

  • (1) 分類(Clasificación arancelaria)
  • (2) 価額評価(Valoración)
  • (3) 原産地(Origen)

申請書の作成

アペンディクス(共通様式)+該当別添(例:分類はAnexo 1)を記入。スペイン語での提出が必須。

提出先

国税関・本庁のOficina de Partes(Plaza Sotomayor 60, Valparaíso)に書面提出(郵送・持参)。

受理・審査

申請が「admisible(適法受理)」と判断されると審査に入り、必要に応じて追加資料の提出を求められます。審査完了後、書面のResolución Anticipadaが発出されます。決定・変更・撤回は当局サイトで公開(機密条件に配慮)されます。

適用

通関前に入手した決定を、該当申告に適用します(決定は当局と申請者を拘束)。手続改正に伴い、輸入・輸出書類の記載要領も調整されています。

必要情報(最小パック:分類の例)

Anexo 1(Clasificación)に沿って、少なくとも次をスペイン語で整えます:

  • 申請者情報(輸入者・輸出者・生産者、通関士等の代理人を含む)、連絡先
  • 申請対象の特定:分類対象貨物の説明(品名・用途・機能・作動原理・構造)、材質・組成(%)、寸法・重量・電気的仕様、包装形態(小売・バルク、セット・部分品)、写真・図面・カタログ等の客観資料
  • 申請者の見解:チリ関税表での分類候補(10桁)と根拠(GIR・部注・類注等)
  • 原産地・評価で申請する場合:当該FTAの原産地規則や評価方法に関する証憑・計算根拠(別添に従う)

様式の所在:アペンディクス(共通フォーム)に「分類(Anexo 1)」「評価」「原産地」の選択欄と、各別添の記入指示が明記されています。

処理期間

現行の標準: 適法受理(admisibilidad)後、最大50営業日で発給(以前の90日から短縮)。国の行政サービス案内(ChileAtiende)で明示されています。

有効期間・拘束力

有効期間: 原則3年(発給日または決定で指定する後日から起算)。法令改正や事実変更、決定の変更・撤回があった場合は有効期間中でも影響を受けます。

拘束力: 当局(国税関)と申請者を拘束(同一の事実・条件の範囲)。行政審査・司法審査の対象となり得ます。

公開: 決定・変更・撤回は国税関サイトで公開(機密指定が可能。情報公開法の原則の下で配慮)。

費用

申請手数料: 無料(No tiene costo)。国税関サイト・行政サービス案内に明記。

留意点: 第三者分析・鑑定等が必要な場合の実費負担や翻訳費など、申請外の実費が発生することは一般論としてあり得ます(旧手続には第三者調査時の取扱い規定あり)。

その他重要な実務上の注意

申請資格: 輸入者・輸出者・生産者(自社案件に限る)。通関士・法定代理人経由も可。

言語: スペイン語で提出。

提出先: 本庁Oficina de Partes(Plaza Sotomayor 60, Valparaíso)

公開データの探索: 国税関サイトで決定一覧(Resoluciones/Dictámenes)を参照可。類似品の先例調査に有用(先例は他社を直接拘束しない)。

書類記載と申告反映: 2020年手続の導入に伴い、輸入(Anexo 18)・輸出(Anexo 35)書類の記載要領が改訂されています(決定番号の管理・記載を社内で徹底)。

見直し・不服: 決定・変更・撤回・手続打切りは、行政・司法審査の対象になり得ます。

申請準備チェックリスト(分類向け)

  • ☐ アペンディクス+Anexo 1を入手し、スペイン語で記入
  • ☐ 用途・機能・作動原理・構造、材質・組成(%)、寸法・重量、包装を一次資料(写真・図面・カタログ等)で裏付け
  • ☐ 自社見解(HS10桁・根拠:GIR・部注・類注)を簡潔に記載
  • ☐ 提出先:Plaza Sotomayor 60(本庁Oficina de Partes)へ書面提出
  • ☐ タイムライン:受理後50営業日以内を目安(早めの準備・追加照会への即応)
  • ☐ 費用:申請無料(ただし外部鑑定等の実費は発生し得る)
  • ☐ 有効期間3年。法改正・事実変更での失効・変更に備え、更新時期を逆算

主要根拠(一次情報)

  • WCO(TFA Art.3:Chileの実務):対象分野、申請主体、拘束性、有効3年、公開・見直し、国内根拠=Res.Ex.1629(2020)
  • BCN(国会図書館):Res.Ex.1629(2020年4月23日)の制定告示・施行・旧手続撤廃
  • 国税関手続ページ・様式:Oficina de Partes提出(スペイン語)、アペンディクス(共通フォーム)、Anexo 1(分類)の存在
  • 処理期間:50営業日(適法受理後)— 行政サービス案内ChileAtiendeおよび新手続の周知記事
  • 費用:無料(No tiene costo)— 国税関の案内ページ・ChileAtiende

ミャンマー(ミャンマー連邦共和国)のHSコード事前教示制度

ミャンマーにおける**HSコード分類の事前教示(Advance Ruling on Classification)**制度について、一次情報に基づき整理しました。

1. 主管当局と公式サイト

主管当局:Myanmar Customs Department(ミャンマー税関;所管省はMinistry of Planning and Finance)

公式サイト

主要な根拠法令

  • 通知150/2016(分類事前教示の手続根拠、2016年10月14日発行)
  • 通知40/2019(申請書様式CR-98(A)と手数料50,000チャットを規定、2019年4月18日発行)
  • 通知151/2016(評価事前教示、英語版公開、手続理解の参考に有用)
  • 通知91/2024(原産地事前教示、2024年12月27日発行、2025年より運用開始)

2. 事前教示(分類AR)の申請プロセス

申請書の入手
税関サイトの「Forms」ページから**Advance Ruling on Classification Application Form(様式名:Form CR-98(A)、通称ARC)**をPDFまたはExcel形式で入手できます。

提出先

  • Director of Export, Import Control Division, Customs Department, Yangon
  • 各Township Customs Station または OSS(ワンストップサービス窓口)

申請手数料
1件につき50,000ミャンマーチャット(MMK)

申請方法
英語またはビルマ語で記入し、本人持参、郵送、またはオンライン(限定的)で提出

受理・審査
税関が登録番号(Registration No.)および返信参照番号(Reply Reference No.)を付与し、内容を審査します。必要に応じて追加資料やサンプルの提出を求められる場合があります。

結果の通知
AHTN/WCO HSに基づくHSコードを記載した回答書(ARCレター)が発行されます。

輸入申告での利用
評価ARでは申告時に原本の添付が求められており、分類ARも同様の取扱いと想定されます。MACCSシステムへのオンライン添付の運用も一部で言及されていますが、実務では紙提出が基本です。

3. 申請に必要な情報

申請書(Form CR-98(A))には以下の情報を記載します:

申請者情報

  • 氏名または会社名、登録番号
  • 住所、電話番号、Eメールアドレス

商流・契約情報

  • 出荷スケジュール
  • 投資や長期契約の有無など取引詳細

貨物の詳細

  • 品名、ブランド、型式
  • 製造者、原産国、サプライヤー
  • 材質・成分、仕様・能力
  • 用途、包装形態
  • 製造・加工方法

添付書類

  • カタログ、パンフレット、技術資料
  • 写真
  • 必要に応じてサンプル

申請者の見解

  • 提案HSコード(任意)とその根拠

過去の照会情報

  • 同一品目について過去に照会したか否か

公開・非公開の選択
Disclosure(Yes/No)欄があり、非公開を希望する場合は最長180日間の非公開期間を指定できます(企業機密への配慮)。

4. 処理期間

分類ARの法定処理期間は英語資料では明確に規定されていません。

参考として、評価AR(通知151/2016)では、必要書類が揃ってから14日以内に回答することが規定されています。また、追加情報を求められた場合、申請者は5営業日以内に回答する義務があります。申請は貨物到着の30日前までに行うことが推奨されています。

分類ARも評価ARと基本的に同様の手続フローに準拠しているため、十分な資料を揃えて申請することが最短処理の鍵となります。

5. 有効期間

評価ARは発出日から6か月間有効です。

分類ARの具体的な有効期間を定めた英語の明文規定は確認できていません。一般的に、多くの国ではHS改正や事実変更まで有効とする運用や、一定期間(例:1年以上)の有効期間を付すのがWCOガイダンスの目安ですが、ミャンマー固有の期間は公表情報では未確認です。

6. 申請手数料

50,000ミャンマーチャット(MMK)

7. その他の重要事項

制度の範囲
ミャンマーでは分類(HS)、評価、原産地の3種類のAdvance Ruling制度が整備されています。原産地ARは2024年12月27日付の通知91/2024により導入され、2025年から運用が開始されました。

適用通則
ミャンマーはAHTN 2022/HS 2022に移行済みです。分類ARで参照されるHS版は最新のAHTN/HSに基づきます。

言語
申請は英語またはビルマ語で可能です。

秘密保持
評価ARでは評価情報の秘密保持が規定されています。分類ARの様式にも非公表(最大180日まで指定)のチェック欄があり、企業機密に配慮した運用がなされています。

申請主体
評価ARの規定では「国際取引者(輸入を予定する者)」が申請可能とされており、分類ARも同趣旨と考えられます。

オンライン公開状況
分類・評価ARの結果は体系的には公開されていません(2023年レビュー時点)。オンライン申請・受領システムも未整備との評価がありました。

原産地AR
通知91/2024に基づき、輸入者は貨物到着の60日前までに申請可能です。申請には製品サンプル、写真、図面、カタログ、生産計画、成分証明、製造工程、FTA原産地規則関連情報などの提出が求められます。

申請準備チェックリスト

申請をスムーズに進めるため、以下の点に留意してください:

  • 製品を1申請1品目で特定(バリエーションがある場合は型式別に申請)
  • 客観的資料を十分に準備(英語カタログ、構造図、化学成分表、製造工程図、用途写真など)
  • サンプル準備(求められる場合がある)
  • 提案HSコードと論拠を簡潔に記載(AHTN注釈、HS解説、類注・部注との整合性)
  • 商流の説明(長期契約や定期船積スケジュールがある場合は詳細に記載)
  • 処理期間を考慮した早めの申請(評価ARでは到着30日前申請・14日回答が目安)
  • 手数料50,000 MMKの準備

主要参考資料

  • Myanmar Customs Department公式サイト(申請様式、SOP、手数料規定)
  • Myanmar National Trade Portal(通知150/2016、通知40/2019、通知151/2016)
  • ERIA報告書(2023年、制度横断レビュー)
  • Lincoln Legal Services Newsletter 186(2025年1月、原産地AR導入情報)
  • Myanmar Customs Tariff 2022(AHTN/HS 2022適用)

ラオス人民民主共和国におけるHSコード事前教示制度

ラオス人民民主共和国におけるHSコード事前教示制度の実務まとめ

ラオス(Lao PDR)におけるHSコードの事前教示(Advance Ruling)制度—ラオス関税法上は分類・原産地・評価・手続/レジームを対象とするAdvance Rulings—の実務向けまとめです。一次根拠は、改正関税法(Customs Law)の第32条と、財務大臣インストラクション No.3610/MoF(2012年12月21日)、およびラオ・トレードポータルの掲載資料です。

主管当局と公式情報源

所管当局:税関総局(Lao Customs Department, Ministry of Finance)

制度案内・根拠:「Instruction of the Finance Minister on Advance Ruling, No. 3610/MoF」(ラオ・トレードポータル掲載)

Advance Ruling Unit(ARU):税関本部の所掌部局内に設置(申請受付・審査・決定案作成)。決定権者は税関総局長です。

問い合わせ先:WTO TFAデータベース上の税関協力Enquiry Point(連絡先・所在地)—税関協力窓口ですが、AR申請に関する初期照会先として有用です。

関連ポータル:ラオ・トレードポータル(制度全般/関連法令)

事前教示のプロセス(分類ARを中心に)

申請

様式:指定フォーム(分類/原産地/評価/通関手続・レジーム)で手書・電子のいずれも可。ラオス語または英語で詳細記載し、裏付け資料・必要に応じサンプルを添付してARUに提出します。

受付・照会

受付票の発行:受付日・受付番号を付して書面/電子で通知。

書類確認:5営業日以内に追加情報を求め得ます(インストラクションでは5日以内に照会→申請者は10営業日以内に回答とされていますが、改正関税法〔第32条〕では「追加情報の提出期限:5営業日」に短縮されているため、実務は法〔5日〕優先と理解するのが安全です)。

審査・決定

原則の流れ(省令ベース):10営業日以内に決定案を作成→ユニット長が5営業日以内に確認→2営業日以内に申請者へ受領案内。ラボ分析が必要な場合はこの10営業日目標を超過します。

法定の上限(関税法):申請受理日から60日以内にAdvance Rulingを発出。不備照会→5営業日以内の追完→再起算。

再考申立て(Reconsideration)

決定受領後30日以内に再考請求可。税関は7営業日以内に結果を通知します。

適用範囲・現場運用

全国の国境税関で有効。ただし現場の検査権限は維持(同一性確認のため現物検査を行い得る)。同一・同質貨物にも適用できる旨が明記されています。

注意:ラオスの別資料に「advance declaration(事前申告)」という語があり、”7日以内に事前申告を行う”等の運用が示されていますが、これは通関の事前申告であり、分類・原産地・評価のAdvance Ruling(第32条)とは別制度です。混同に注意してください。

申請に必要な情報(最小パック)

申請者情報:輸入者/申告者(海外の生産者・輸出者の代表による申請も可)。連絡先。

貨物の詳細説明:品名(通称/技術名)・用途/機能・作動原理・構造・材質/組成(重量%=100%合計)・寸法重量・包装形態(リテール/バルク、セット/部品)。写真・図面・カタログ等の裏付け。必要時はサンプル(提供困難な場合は技術情報で代替)。

申請者の見解:AHTN/HS候補と法的根拠(GIR・部注・類注)。

既往・係属:同一・類似案件の既存ARや係属(審査・不服)の有無。

原産地/評価:該当協定の原産地規則・工程/投入材内訳、評価方法の適用根拠、契約・価格関連証憑 等。

言語:ラオス語または英語(申請フォーム記載可)。

処理期間

法定上限:60日以内(受理日から)。追加資料のやり取り期間は別途。

内部目標(省令):10営業日で発出目標(ラボ分析等がある場合は超過)。受理後5営業日で照会可/申請者は(旧指針では)10営業日で回答。

有効期間

最新法令(関税法 第32条):3年間有効(貨物の性状等が不変であることが条件)。変更があれば新規ARが必要。

旧インストラクション(2012年):1年+延長1年と規定。現行は関税法の3年が優先(後法優先)。

必要な費用

手数料:金額の一律公表は確認できません。インストラクション第22条は「費用徴収に関する別途指示を税関が発出」と規定(発出時は「発給・延長に係る実費」ベース)。現時点で定額の料額表の公開情報は見当たらないため、ARUに個別確認が確実です。

実費:サンプル送付・試験分析などの実費が生じ得ます(関税法の規定上、サンプル提供要請あり)。

その他重要な実務上の注意点

拘束力の射程:全国すべての国境税関で有効。ただし現場検査権限は維持(貨物同一性の確認のため)。「同一・同質貨物」にも適用可能。

対象分野:分類(1申請=1品目)、評価、原産地、通関手続/レジーム(各1テーマごと)。

再考(Reconsideration):30日以内に申請→7営業日以内に回答。

公開性:非機密のARはデータベース化する方針(インストラクション)。

制度導入の背景:2012年インストラクション→2020年の関税法改正で「60日・3年有効」を明文化。

申請準備チェックリスト(分類AR)

☐ フォーム(分類用)にラオス語/英語で記入、ARU宛に提出

☐ 用途・機能・原理・構造・材質/組成(重量%=100%)・寸法重量・包装を写真・図面・カタログで裏付け、サンプルは要請時に対応

☐ AHTN/HS候補+GIR/注解で分類見解を明示

☐ 既往AR・係属の有無を申告

☐ タイムライン:受理→60日以内(内部目標は10営業日、不備照会は現行法では5営業日以内に回答)

☐ 有効3年(性状変更・法改正で失効)。更新時期の逆算

☐ 費用:統一料額の公示なし→ARUに確認(分析・サンプル等は実費)

主要根拠

関税法(改正):第32条 Advance Rulings(60日以内の発出/不備照会5営業日/再考30日→7営業日回答/有効3年)

財務大臣インストラクション No.3610/MoF(2012年):ARUの設置・手順、内部目標(10営業日で発出、ラボ分析時は超過)、決定の構成・全国適用・データベース化・費用規定の枠組み 等

電子通関関連の別資料(参考):advance declaration(事前申告)の運用(7日)—分類等のAdvance Rulingとは別制度