TPPへの中国、台湾、韓国の参加申請・参加検討に関する私見

中国、台湾、韓国がTPPへの参加を表明または参加検討をすることがニュースになっています。

ニュースやYouTubeで「TPPへの中国、韓国の参加は無理。台湾歓迎」という論調をよく見ますが、FTAを利用する企業側からの視点でこのことを見てみましょう。

(申請に関する是非)

TPPに参加申請をする国は、TPPが定める申請・承認プロセスを経ることになります。申請する段階でその申請を断ることはできません。断る以上は明確な理由が必要となります。

そこで、参加希望国が条件を満たせるかを見定めればよい。中国がWTOに参加するときに遵守するとした条件を今だ守れていないこと、韓国が国際的な決め事を後に保護することなどを加味して各国が見定め、満場一致をもって参加を認めればいいことで現時点で一方的に締約国が「守れない」と主張するのは無理があります。

(日本にとっての経済的メリット、リスク)

RCEPはその協定の内容を見れば分かることですが、日本にとってのメリットが余り感じられない、あったとしてもとても時間がかかる内容です。特に自動車部品の対中国輸出ではメリットがほぼないと言えます。中国や韓国が入ることでメリットが大きいと思われたRCEPですが、実際は日本に取ってそれほど手放しでは喜べないものになっています。

翻って、TPPに中国や韓国が入るとどうなるか。TPPでは日本は米などよく守ったと思われる内容となっている一方で、日本以外ではほぼ100%の関税撤廃となっています。また、その撤廃速度もRCEPとは比べるまでもありません。新規参入の国は、締約国より参加条件がよくなるわけがありません。基本は譲許のスピードが速く、かつほぼ全面的に関税を撤廃することが前提になるでしょう。そうなれば、TPPの方がいろいろな制約のあるRCEPよりも日本企業に取って対中国、対韓国上、関税削減が広く、かつ鋼板に享受できるという活用のメリットが出ると言えます。このメリットはかなり大きなものです。この点だけを考えれば、中国、韓国のTPP参加は日本にとって歓迎すべき事です。

一方、原産地証明上、日本はリスクを背負う可能性があります。

TPPにおける関税低減・撤廃のメリットを得る為には、原産地証明書を輸出時のインボイスに添付する必要があります。その原産地証明ですが、TPPでは「自己証明」という形態をとっています。「自己証明」とは企業が原産性を証明した後に、自身で原産地証明を作成することが出来るということを指します。日EU EPAや日オーストラリアEPAを除き、日本の多くのEPAでは「第三者証明」制度がとられています。これは商品の原産性判定を日本商工会議所に申請し、許可が出た後で、日本商工会議所により原産地証明書を発給してもらうことが出来る制度です。間に日本商工会議所が入ることで時間と手間とコストが企業にはかかることになります。TPPではそれがないので迅速に原産地証明書を得る事ができます。メリットに思えますよね。

FTAでは、原産性が確かなものかを輸入国が輸入時・輸入後に確認できる「検認」が認められています。原産性に関する証拠書類の提出や質疑をして、原産性があることを企業が立証しなければいけません。

先の原産地証明書の発給プロセスで、日本商工会議所が間に入ったEPAでは、検認時には日本商工会議所が輸入国税関と企業の間に立ち、検認の対応を支援していただけます。「自己証明」である日EU EPAは、税関が仲立ちしてくれます。が、TPPはその仲立ちがなく、相手国税関から直接企業に「検認」の問い合わせがいく仕組みになっています。TPPに中国や韓国が入ることで、彼らから日本企業への検認は各国税関から直接企業にいくことなるのです。助太刀のない検認でかつ中国、韓国から。怖いと思うのは私だけでしょうか。「もう少し製造工程を明確にしてもらわないと、原産として認められない」といった製造上の機密情報を要求されかねないという人も居ます。これは考えるべき大きなリスクです。

(TPPのアキレス腱)

ルールを守らないと考えられている中国を経済的に資すると考えられるTPP参加、それを西側として阻止しなければいけないという外交上の日本のスタンスも分からなくもありません。が、TPPの初期交渉当時からかき乱して、そして離脱をしたアメリカの所業も決して褒められたものではなく、実際のTPPの協定文にはアメリカによって(ごり押しと言っていい)内容が数あります。現段階でのTPP締約国は苦々しく思っている内容です。アメリカが戻ってくることを期待して、そのままとしています。

アメリカが戻ってこないなら、締約国は修正したいところでしょう。自動車関連や特に繊維などはアメリカのごり押しの内容です。直したいというのも当然ですし、理想をいえば直すべきだと思います。が、協定内容を変えることを認めれば、ついでに様々なことが書き換えられる恐れがあります。それが中国の参加の際に書き換えられるとなればどうなるか。中国の参加を歓迎するアジアの締約国がマレーシアやシンガポールなど少なからずあるため、非現実的ではないのです。

(英国の参加申請が当面の試金石)

先に、英国がTPP加盟申請を行っているので、英国に対して、協定内容を変えずに協議するか、厳しい参加基準をどう遵守させるかが当面締約国による真偽の中で見守りたい点です。協定を変えることがなければ、中国や申請をした場合の韓国にも同様の措置がとられるでしょう。そうなればTPPの理念は守られます。

それと同時にかき乱してきたアメリカがTPPに参加するなら修正が必要といっており、かつ、TPP参加が現段階でのアメリカの優先順位ではないため、アメリカの動きも見ておく必要があります。

(中国の真意)

中国は本当にTPPに参加したいと思っているのでしょうか。RCEPという巨大メガFTAも完成目前で、「自由貿易」という意味では中国は成功しています。一方、TPPのルールを曲げない限り、中国は参加要件を満たさないのは明らかで、中国が参加要件を満たす施策を行うメリットはありません。また、TPPは「環太平洋」と謳っていますが、FTAは本来隣接する地域で有効なもので、実際には日本企業がTPPを使うのはEPAのないカナダやニュージーランドくらいで、それほどアクティブな利用はされていません。

そういうことを考えれば、台湾をTPPに参加できなくさせるのが中国の本意ではないかと思います。中国にとって台湾は自国の一部としての認識なので、台湾を独立した形で世界的にメジャーなFTAに参加させないことが肝心なのでしょう。

ほんとか嘘か分かりませんが、台湾がTPP参加申請を出すという情報を中国が知り、先に申請することで台湾の出鼻を挫いたと言われていますね。

今後の動きを見守っていきたいと思います。情報がありましたらまたこのブログに投稿します。

明けましておめでとうございます

明けましておめでとうございます。

本年もどうぞよろしくお願い致します。

RCEPの発効が今年中ではないかと勝手な想像をしています。コロナの影響もあるのですが、RCEPへの準備も着々としなくてはいけません。

今年一年も頑張りましょう。

RCEPの発効期日は?

協定には以下の様に記載されております。

この協定は、少なくとも六のASEANの構成国である署名国及び少なくとも三のASEANの構成国でない署名国が批准書、受諾書又は承認書を寄託者に寄託した日の後六十日で、批准書、受諾書又は承認書を寄託したこれらの署名国について効力を生ずる。

ASEAN10か国中6か国、非ASEAN6か国中3か国が国内承認する必要があります。

ASEAN6か国の方が難儀しますかね。

少々困ったことが起きました

少々困ったことが起きました。

FTAニュースはWordPressというブログソフトを使ってアップしています。

WordPressのアップデートが来ていたので、アップデートしたのですが、失敗。

その結果、全てのデータが飛びました。

エントリーは3000件以上あったのですが、それがなくなってしまいました。

新たなサイトを立ち上げますが、情報は一からとなります。

幸いなことに、当方では、全ての記事を自分用にとっていますので、当方の利用としては問題ありません。

皆さんの過去記事検索ができなくなったことが大変悔やまれます。

 

日本商工会議所による原産判定時の証拠書類チェック

多くの方が勘違いしていますが、日本商工会議所によるFTA原産地証明の証拠書類確認は、証明の確約、保証をするものではありません。

不十分な点を指摘して下さいますが、日本商工会議所による保証を得たということにはなりません。

あくまで、証明の責任は企業にあることを忘れないでください。

検認に来た際に、日本商工会議所は支援して下さいますが、原産地判定を出したから責任をとるということはありません。

考えてみて下さい。

証明責任を日本商工会議所が取流ことになれば、どれだけのリスクを背負うことになるか。証明の背景などを詳しく見ることもできないのです。

あくまでも不備を指摘していただけるということと理解しましょう。

 

PS

ただ、?がつく指摘をされることもありますね。

FTA原産地証明と意思決定

社内で効果的かつコンプラ問題なしに原産地証明を行うプロジェクトを多く行っています。

その中で痛切に感じるのは、情報の集中欠如と、意思決定フローの欠如です。

他の論点では十分な体制が取れている企業が、ことFTAの原産地証明では全くといっていいくらい、その仕組みができていません。

担当者の最大の関心事は、証明方法であり、一旦証明をやりすごせば、(きつい言い方ですが)その証明を忘れてしまいます。それゆえに、問題点が放置されると同時に、責任も放置され、誰がとるのかが分からなくなってしまうのです。

検認がこれから増えると思われる中で、この状況を放置することはあまりいいことではないことは明らかです。

気がつきませんでした

今日、経済産業省のHPに見ましたら、連絡先のメールアドレスの表記が変わっていました。

経済産業省 通商政策局 経済連携課
E-mail:epa-soudan(アットマーク)meti.go.jp

メールアドレスをBOTが収集するのを避けるためでしょうか。

使いにくいですよね。

 

東京国際フォーラム

本日、東京国際フォーラムから電話がありました。

都から正式な通達は10日になるそうですが、東京国際フォーラムは閉館になる予定です。

顧客の中にもウイルス感染をした企業も出て、いよいよ本格的に対策を練らねばならないことになってきました。

愛知が対象になっていないから、歌舞伎町のホストクラブが大挙して名古屋に人を送り込むかんてばかげたことをするそうですが、ぜひやめてほしいですね。

皆様もご自愛、そして、他の人への配慮もよろしくお願いします。

FTA戦略的活用研究会用の東京国際フォーラム予約(怒)

本日4月1日は、本来7月分の東京国際フォーラムの予約をする日となっている。

が、7~9月は本来オリンピックを行う予定であったため、基からこの期間は休館となっていたとのこと。オリンピックの延期が決まってもこの期間の予約を取ることは現段階ではしないらいしい。コロナが理由ではなく、行わないオリンピックが理由で閉館。

4月の予約も会場を閉鎖することはする予定がなく、企業がキャンセルするならどうぞという態度。3か月前から予約させて、一旦予約してのキャンセルの場合は一切の返金なし。

椎名林檎の東京事変もこの会場。中止すれば多大な費用だけが残るから強行したのも大きな理由だろう。場所は違うがK-1も同様の理由ではないか。

本当にお役所仕事、殿様商売。

東京国際フォーラムの51%の株式を東京都が持っている。不要不急というなら、閉じることも考えてはどうなのか。金は取るが来ないで下さいはいかがなものか。

3月半ばの研究会も、キャンセルするなら当方のリスクでとなった。当方はお金ももったいないので、無観客でセミナーを行った(ネット配信を実施)。お金が返ってこないから、会社説明会や採用面接を行っている会社も少なくなかった。人を来させる理由をここは作っている。

キャンセルも全額返金してくれればうれしいが、半分返金で痛み分けでもいい。使わない半公共のものにお金を全額払うのが納得がいかない。

都は一貫した姿勢を見せてほしいものだ。

 

 

2日連続でFTA監査報告会

コロナウイルスで顧客との時間もなかなかとれない昨今ですが、2日連続でFTA監査の報告会を行いました。

予定されていた日程だということもありますが、延期とならなかったのは少々驚きました。

このウイルスのせいで経済が停滞、減衰するのは明らかで、特に輸出関連は苦しいの一言でしょう。何もできないこの状態だからこそ逆にできることを進めておくことに意識を持たれていることを痛感しました。

コンサルティング・サービスはなくてはならないとは日本企業にはあまり思われておらず、このような苦境の時は、コストをカットする最初の項目になりやすいのですが、成果が出やすいFTAは違った見方で捉えていただいて、うれしい限りです。