ベトナムでのBack-to-Back CO実務

ベトナムはASEAN最大級の製造拠点でありながら、Back-to-Back COの発給実績が年数件程度と極めて少なく、運用細則が整備されていないことが実務上の大きな課題となっています 。[jetro.go]​


ベトナムを「中継国」として使う場合

典型的な取引例:タイ→ホーチミン→インドネシア

[タイ工場]
↓ ATIGA Form D を取得して輸出
[ホーチミン市の倉庫(一時保管)]
↓ 加工なし・仕分けのみ
↓ ベトナム発給当局がBack-to-Back Form D発行
[インドネシア通関] ← ATIGA特恵関税を適用

近年、サイゴン港やカイメップ・チーバイ港は東南アジア向けの運賃が他国比で安いため、ベトナム南部の倉庫に東南アジア各国向け在庫をプールしてBack-to-Back COで輸出することを検討する日系企業が増えています 。[jetro.go]​


ベトナム固有の実務上の壁

① 未加工証明書の取得が困難

中継国として最も重要な「貨物が加工されていない証明」について、ベトナムではどの機関が未加工証明書を発行するのかが法規上規定されていません 。現状では発給当局のスタッフが実際に倉庫へ出向き、Form Dに記載されたHS品番・ロット番号・原産地規則を目視で確認してから発給の可否を判断するという属人的な運用になっています 。[jetro.go]​

② ハノイとホーチミンで対応が異なる

ベトナムの発給機関は商工省(MOIT)管轄の地域機関ですが、ハノイとホーチミン市では担当者の経験値・解釈・処理速度が異なります 。ハノイ市当局への確認では年間数件程度の発給実績が報告されており、申請が持ち込まれるたびに担当者が個別判断する状況が続いています 。[jetro.go]​

③ 自己申告制(REX)の未成熟

ATIGAでは認定輸出者がBack-to-Back Origin Declarationを自己作成できる枠組みがありますが、ベトナムでは自己証明制度の整備がまだ途上にあり 、発給機関経由のForm D申請に依存せざるを得ない状況が続いています。[tapchi.hlu.edu]​


ベトナムを「最終輸入国」として使う場合

シンガポール等からBack-to-Back Form Dを持参してベトナムへ輸入する場合は、ベトナム税関総局(GDC)がATIGAの規定に基づきBack-to-Back COを適用可能と公式に認めており 、輸入通関での適用は可能です。ただしベトナムは出荷ごとに政府承認のCOが必要な原則を維持しており、書類審査が厳格な点に注意が必要です 。blog.naver+1

なお、タイ税関は2021年に「ベトナム発行のATIGA電子原産地証明書(e-Form D)に関するトラブル回避ガイドライン」を周知するほど、ベトナムのe-Form D運用の安定性に懸念が示されています 。[jetro.go]​


実務対応チェックリスト(ベトナム中継の場合)

確認事項内容
発給機関の事前打診ホーチミン・ハノイの担当者に申請受付可否と所要日数を事前確認 [jetro.go]​
倉庫の種類輸出加工企業(EPE)以外の倉庫を使う場合、未加工確認の現地訪問を想定 [jetro.go]​
元COの原本管理ベトナム発給当局が現物確認するため、原本または認証コピーを手元に保管 [global-scm]​
協定の選択ATIGAのほか AKFTA・AIFTA・AANZFTA も対象だが、JVEPAではBack-to-Back CO不可 [jetro.go]​
期限管理元COの有効期限内に倉庫入庫・Back-to-Back CO発行・最終輸出まで完了させる計画を立てる [global-scm]​

ベトナムをBack-to-Back COの中継国として使うスキームはコスト面では魅力的ですが、発給機関の属人的対応リスクが高いため、パイロット案件でスモールスタートし、発給当局との関係構築を先行させることが実務上の定石です 。global-scm+1

 

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