ATIGAとAJCEPの第三国経由要件比較

ATIGAとAJCEPはいずれも「原則直送・例外として第三国経由を認める」という構造ですが、要件の細部・証明書類・Back-to-Back COの位置付けに重要な差異があります 。jetro+1


基本構造の比較

要件項目ATIGA(第32条)AJCEP
根拠条文Article 32 Direct ConsignmentAnnex 4 OCP・積送基準条項 [jetro.go]​
直送原則輸出国→輸入国へ直送同左 [jetro.go]​
第三国経由の許容条件①地理的理由または輸送上の必要性、②当該国での貿易・消費なし、③積卸し・保全作業以外の加工なし同左(ほぼ同じ要件) jetro+1
第三国の範囲ASEAN加盟国・非加盟国のいずれも経由可同左 [jetro.go]​
Back-to-Back CO規定Annex 8 Rule 11に明示規定あり規定あり・ただし「各国国内法による」留保付き jetro.go+1
Back-to-Back COの発行体中間締約国の発給機関中間締約国の発給機関(同じ) [jetro.go]​
非締約国(第三国)経由時のBack-to-Back CO非加盟国では発行不可(ASEAN域内のみ)同左 [jetro.go]​

積送基準の証明書類の違い

ATIGA

輸入通関時に以下のいずれかを税関へ提出します 。[jetro.go]​

  • 通し船荷証券(Through B/L)の写し
  • 非加工証明書(第三国において積卸し・保全作業以外が行われていないことを証明)

AJCEP

ATIGA同様、通し船荷証券または非加工証明書が基本ですが、AJCEPでは輸入国税関が「貨物が良好な状態を保つための作業以外を受けていないことを示す証明書・情報」の提出を求め**得る(may require)**という任意規定になっており、実際に何を求めるかは各国に裁量があります 。global-scm+1


Back-to-Back COの要件比較

発行条件ATIGA Annex 8 Rule 11AJCEP
有効な元COの提示原本またはCertified True Copy [jetro.go]​同左 [global-scm]​
Box 9のFOB価格記載中間締約国のFOB価格を記載義務あり同左(分割の場合は分割分の輸出価格を記載)jetro.go+1
分割出荷時の数量管理中間締約国が累計数量の超過防止を管理中間締約国が合計数量の超過防止を管理 jetro.go+1
疑義時の元CO提示最終輸入国が元COの原本提示を要求可同左 [jetro.go]​
検認(Verification)の適用Back-to-Back CO発行国にも適用同左 jetro.go+1
国内法による留保「発行しない国もありうる」と協定文に明記同左(「各締約国の国内法による」) jetro.go+1

最大の実務上の差異:FOB価格の記載義務

ATIGAの2020年修正議定書(OCP改訂)では、Form DのBox 9のFOB価格記載は原則撤廃され、カンボジア・インドネシア・ラオスとの取引でRVC基準を使う場合のみ記載が必要となっています 。しかしBack-to-Back COについては、中間締約国のFOB価格記載が別途義務付けられています 。この点はATIGAの通常のForm Dと異なる記載要件であり、実務上の混乱が生じやすい部分です。[jetro.go]​


協定選択の実務的な判断軸

textATIGAを選ぶ場合
  → 日本を介さないASEAN間の取引
  → 中継国がBack-to-Back COの実績が豊富(シンガポール等)

AJCEPを選ぶ場合
  → 日本が荷主・輸出国として絡む取引
  → Back-to-Back CO受理を最終輸入国が確認済み
  ※インドネシアはAJCEPのBack-to-Back COを拒否した実例あり
    →ATIGAへ切り替えを検討 [web:17]

協定上の要件はほぼ同じでも、最終輸入国が実際にどの協定のBack-to-Back COを受け入れるかは国内法の運用に依存するため、事前確認が最も重要な実務判断となります 。jetro+1

 

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