ベトナム以外でも、インドネシアや複数のASEAN加盟国で実態として否認・拒否が発生しており、その多くが協定間の解釈の相違や運用細則の不整備に起因しています 。[jmcti]
インドネシア:シンガポール発行のAJCEP Back-to-Back COを不受理
最も重大な実例として、インドネシア税関がシンガポール税関発行のAJCEP(日・ASEAN EPA)のBack-to-Back COを認めないという事例が、日本機械輸出組合経由で日本政府へ要望として提出されています 。[jmcti]
「AJCEPのBACK TO BACK COの適用について各国税関の見解が異なっている。(インドネシア税関ではシンガポール税関発行のBack to Back C/Oを認めないと現地から情報共有があった)」
― 貿易・投資円滑化ビジネス協議会 2023年版報告書[jmcti]
この問題は「継続」案件として複数年にわたり要望が上がり続けており、ASEAN域内での統一・明確化が求められています 。実務上、日本→インドネシア委託工場→シンガポール経由→ベトナム得意先という三国間貿易でAJCEP Back-to-Back COを使う設計が破綻するリスクがあります。[jmcti]
ATIGAとAJCEPで生じる二重問題
ATIGAのBack-to-Back COとAJCEPのBack-to-Back COは別の協定の証明書であり、最終輸入国でどちらを受け入れるかも各国の解釈に委ねられています 。インドネシアの件はAJCEPでの否認ですが、協定選択の段階でトラブルが発生する典型例です。tarifflabo+1
国別の主な問題事例
| 国 | 問題の内容 | 対象協定 | 情報源 |
|---|---|---|---|
| インドネシア | シンガポール発行のBack-to-Back COを不受理 | AJCEP | [jmcti] |
| タイ | サードカントリー・インボイス(三国間インボイス)の否認が頻発 | ATIGA・AJCEP共通 | [jmcti] |
| マレーシア | Form Dの署名者が管理省庁に登録されていない場合、3か月間は新担当者の署名で発行されたForm Dを不受理 | ATIGA | [fta.miti.gov] |
| ラオス・カンボジア | e-ATIGAが未整備のため、電子Form Dが受理されず書面の提出を追加要求 | ATIGA | [jmcti] |
| ミャンマー | e-ATIGAのシステム障害で電子Form Dが無効扱いとなり、紙COへの切り替えを強制 | ATIGA | [miti.gov] |
| 複数国 | Form DへのFOB価格記載義務撤廃に対応しておらず(インドネシア・ラオス・カンボジア)、Back-to-Back CO申請で追加記載を要求 | ATIGA | [jmcti] |
拒否に共通する根本原因
① 協定間の解釈統一がなされていない
AJCEP規定では各国発給当局が発給するか否かについて「明示的な規定がない」とされており 、ATIGAとAJCEPの双方でBack-to-Back COを認めるかどうかは各国の国内運用に依存しています。日本政府も複数年にわたり「ASEAN域内での統一・明確化」を要望しているものの 、未解決のままです。tarifflabo+1
② e-ATIGAの運用不安定
シンガポール税関の通達によれば、e-Form Dをやり取りする際、①システムダウンによる再申請要求、②電子署名の不認識、③HSコード解釈の不統一、という3つの技術的問題が複数国で継続報告されています 。これがBack-to-Back e-Form Dの場合、元のe-Form Dと新たなBack-to-Back e-Form Dの双方でエラーが発生しうるという二重リスクになります 。global-scm+1
③ 発給当局の原本確認慣行の差
シンガポールはTradeNet経由でほぼ全プロセスを電子化していますが 、インドネシア・タイ・マレーシアの一部では発給当局が書面原本の目視確認を求める慣行が根強く残っています 。Back-to-Back案件では元COの原本管理が特に重要で、これが揃わないと申請が受け付けられないケースがあります 。fta.miti+2
実務上の対応原則
拒否リスクを最小化するためには、中継国・最終輸入国の両方の発給当局および税関へ事前に「Back-to-Back COを受理するか」を文書で確認し、肯定回答を記録に残しておくことが必須です 。特にAJCEP案件ではインドネシアのような否認実例があるため、ATIGAへの協定切り替えが可能かどうかも含めた選択肢の検討が重要です 。tarifflabo+1